JP2022520972A - 2つ以上の抗体を含む組成物の製造 - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくとも2つの抗体を産生する手段及び方法に関する。方法は、抗体をコードする核酸を細胞に提供することと、当該細胞を培養することと、培養物から抗体を回収することと、産生した抗体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEX)によって半抗体から分離することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗体は、使用されるIEX条件下で、個々の抗体の保持時間の平均から10%以下逸脱するIEX保持時間を示す。本発明は、産生される抗体の組成物にも関する。いくつかの態様では、本発明は、抗体のうちの少なくとも2つのIEX保持時間が、IEX条件下で個々の抗体の保持時間の平均から、10%以下逸脱することを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物に関する。当該抗体のうちの少なくとも2つのpIが、当該少なくとも2つの抗体の平均pIから、0.4単位以下異なることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物にも関する。

Description

本発明は、抗体の分野、特に療法用抗体の分野に関する。抗体はヒトの治療に使用することができる。より具体的には、本発明は、複数の抗体の産生及び/又は精製に関する。単一の宿主細胞は、複数の抗体を産生することができる。抗体はまた、それぞれが抗体のうちの1つを産生する宿主細胞の混合物によって産生され得る。本発明は、そのような抗体を含む組成物を製造する方法、及びそのような抗体を精製するための方法にも関する。
ポリクローナル抗体は、典型的には、対象の血液から採取される。ポリクローナル抗体の利点は、病原体が複数の標的及びエピトープを介して攻撃されることである。モノクローナル抗体又は組換え抗体の利点は、良好に定義された作用及び毒性スペクトルを有する精密薬剤としてこのような抗体を用いることを可能にする、良好に特徴付けられる特異性及び機能である。
モノクローナル抗体の特異性は、特に、複数の標的に対処する必要がある場合に、欠点でもあり得る。より多くの抗体を薬剤に添加することによってこの欠点を低減することが可能であるが、単一の治療抗体でさえも高価であり得ることを考慮すると、そのような多クローン性の組合わせのコストが非常に高いことが直ぐに想定される。
二重、三重及び他の多重特異性抗体の開発は、ポリクローナル抗体のいくつかの態様を抗体治療薬に導入することに成功している。標的の数の増加とは別に、古典的な単一特異性モノ又はポリクローナル抗体で以前に達成可能ではなかった更なる機能の導入にも成功してきた。同じ治療における二重、三重及び他の多重特異性抗体の使用は、更なる利益を提供することができる。
本発明は、単一の宿主細胞又は代替的に宿主細胞の混合物から産生される複数の抗体治療薬の精製のための堅牢かつ経済的な方法を説明することによって、当該技術分野における進歩を提供する。本発明は、2つ以上の抗体、好ましくは多重特異性抗体の集合体の経済的な生産製造に特に有用である。
本発明は、少なくとも2つの多重特異性抗体を産生する方法であって、
多重特異性抗体をコードする核酸を細胞に提供することと、
当該細胞を培養することと、
培養物から多重特異性抗体を回収することと、
イオン交換クロマトグラフィ(IEX)によって、産生された多重特異性抗体を、半抗体、及び場合によっては単一特異性抗体及び/又は他の望ましくない抗体産生物関連不純物から分離することと、を含み、
多重特異性抗体が、使用されるIEX条件下で、個々の多重特異性抗体の保持時間の平均から10%以下逸脱するIEX保持時間を示すことを特徴とする、方法を提供する。それぞれの半抗体及び任意に単一特異性抗体及び/又は他の望ましくない抗体産生物関連不純物の保持時間は、多重特異性抗体の保持時間の及ぶ範囲外であることが好ましい。
本発明はまた、少なくとも2つの多重特異性抗体を産生する方法であって、
多重特異性抗体をコードする核酸を細胞に提供することと、
当該細胞を培養することと、
培養物から多重特異性抗体を回収することと、
イオン交換クロマトグラフィ(IEX)によって、産生された多重特異性抗体を、半抗体、及び場合によっては単一特異性抗体及び/又は他の望ましくない抗体産生物関連不純物から分離することと、を含み、
多重特異性抗体が、使用されるIEX条件下で本質的に同じであるIEX保持時間を示すことを特徴とする、方法を提供する。それぞれの半抗体及び任意に単一特異性抗体及び/又は他の望ましくない抗体産生物関連不純物の保持時間は、抗体の保持時間の及ぶ範囲外であることが好ましい。
本発明は更に、少なくとも2つの抗体を産生する方法を提供し、抗体は、単一特異性及び/又は多重特異性抗体を含み、
抗体をコードする核酸を細胞に提供することと、
当該細胞を培養することと、
培養物から抗体を回収することと、
産生した抗体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEX)によって、半抗体から分離することと、を含み、
抗体が、使用されるIEX条件下で本質的に同じであるIEX保持時間を示すことを特徴とする、方法を提供する。それぞれの半抗体及び任意に単一特異性抗体の保持時間は、抗体の保持時間の及ぶ範囲外であることが好ましい。
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得ることができる2~10の組換え抗体を含む組成物を提供する。
当該抗体のうちの少なくとも2つのIEX保持時間が、使用されるIEX条件下で個々の抗体の保持時間の平均から10%以下逸脱することを特徴とする、多重特異性抗体等の2~10の組換え抗体を含む組成物も提供される。
更に、当該抗体のうちの少なくとも2つのIEX保持時間が本質的に同じであることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物が提供される。
当該抗体のうち少なくとも2つの等電点(pI)が、好ましくは、当該少なくとも2つの抗体の平均pIと、0.4単位、0.3、0.2、及び好ましくは0.1単位以下異なることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物も提供される。当該少なくとも2つの各抗体のpIは、好ましくは、互いに0.25単位以下異なる。
本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、抗原上のエピトープに結合する1つ以上のドメインを含有するタンパク質の免疫グロブリンクラスに属するタンパク質分子を意味し、このようなドメインは、抗体の可変領域に由来するか又は配列相同性を共有する。抗体は、典型的には、基本的な構造単位で構成されており、それぞれに2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する。治療用の抗体は、好ましくは、可能な限り治療される対象の天然抗体(例えば、ヒト対象のヒト抗体)に近いものである。伸長した重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を有する抗体も本明細書に含まれる。本発明による抗体は、任意の特定のフォーマット又はそれを産生する方法に限定されない。
半抗体は、重鎖及び軽鎖の組合わせであり、他の重鎖及び軽鎖の組合わせとは会合せず、他の可変領域又は可変領域様ポリペプチドとの界面を形成しない。他の望ましくない抗体産生物関連不純物は、重鎖に会合しない遊離の軽鎖、軽鎖又は別の重鎖に会合しない遊離の重鎖、又は軽鎖を欠く不完全にアセンブルされた抗体とすることができる。
抗体産生に好適な細胞は、当技術分野において既知であり、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞若しくはPER-C6細胞、又は一般的な当業者に既知の様々な他の細胞株が挙げられる。様々な機関及び企業は、例えば、臨床使用のために、抗体の大規模生産のための細胞株を開発してきた。そのような細胞株の非限定的な例は、とりわけ、CHO細胞、NS0細胞若しくはPER.C6細胞又はHEK293細胞である。特に好ましい実施形態では、該細胞は、ヒト細胞である。好ましくは、アデノウイルスE1領域又はその機能的等価物によって形質転換される細胞。好ましい実施形態では、当該細胞は、CHO細胞又はその変異体である。好ましくは、抗体の発現のためにグルタミンシンテターゼ(GS)ベクター系を利用する変異体。好ましい一実施形態では、細胞は、CHO細胞である。
細胞は、抗体をコードする核酸を備えることができる。細胞は、形成された抗体を発現し、アセンブルし、細胞培養物の上清中に排出するであろう。単一の重鎖及び軽鎖(厳密に言えばそれをコードする核酸)の導入は、軽鎖にそれぞれ会合する2つの重鎖を有するモノクローナル抗体の産生を導く。
本発明の方法は、それぞれ異なる抗体を産生する2種類以上の細胞を含む細胞の混合物を用いて実施することができる。このような混合物を使用する利点は、回収された抗体の下流処理がより効率的に簡素化できることである。更なる方法の利点は、抗体産生物が回収され、1つとして精製されることである。また、本発明の方法によって産生される2つ以上の抗体の混合物は、各抗体に別々に必要とされる試験の数と比較して、規制当局の承認を得るために必要とされる試験の数を減らすことができた。
更なる実施形態では、細胞は、それぞれの抗体をコードする核酸を備えた単一細胞の複製から本質的になる細胞の相同な集合である。細胞中のいくつかの重鎖の共発現は、重鎖の様々な組合わせを可能にする。追加の軽鎖との組合わせは、組合わせの数を増加させる。特異的組合わせの形成が他のものより有利である、様々な方法が開発されてきた。ホモ二量体よりも重鎖ヘテロ二量体の形成を特異的に促進する、又は反対にヘテロ二量体よりも重鎖ホモ二量体の形成を特異的に促進する、重鎖変異体が製造されてきた。特定のホモ又はヘテロ二量体化ドメインを有する重鎖は、そのような細胞によって産生される抗体の数を低減し、及び/又は代替的な組合わせ(例えば、ホモ二量体よりもヘテロ二量体の産生量が高い)よりも、好ましい抗体のレベルを増加させる。
本発明の方法は、二重特異性抗体を含む2つ以上の多重特異性抗体の産生に特に適している。二重特異性抗体の産生のための様々な方法が当技術分野に存在する。1つの手法は、異なる重鎖を有する機能的可変ドメインを形成することができる共通軽鎖を利用することである。二重特異性抗体を産生するための1つの好ましい方法は、そのゲノム中に共通鎖を有する形質転換動物の使用を含み、そのような動物の抗原による免疫は、非共通鎖に基づいて当該抗原に特異的な抗体のレパートリーをもたらし、レパートリーは、当該共通鎖及び再配列された同族鎖を含む様々な抗体からなる。1匹の動物を異なる抗原で免疫することができ、又は異なる動物をそれぞれの抗原で別々に免疫することができる。非共通鎖又はその可変領域をコードする核酸は、動物(複数可)から、例えば、B細胞、脾臓、又はリンパ組織から得ることができる。これらは、それぞれの非共通鎖を発現することができ、次いで、産生細胞に導入され得る、核酸を生成するために使用することができる。共通鎖は、同じ又は異なる時間に導入することができる。核酸は、宿主細胞が複数の抗原を標的とする多重特異性抗体又は多量体を産生するように、核酸を核、好ましくは宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、このために形質転換動物は免疫されていた(例えば、共通鎖と組み合わせて、異なる標的及び/又は異なるエピトープに特異的である、機能的可変ドメインを産生できる可変領域の生成の目的で、参照により本明細書に組み込まれるWO2009/157771号を参照されたい)。
それぞれが共通軽鎖を有する機能的可変ドメインを形成することができる共通軽鎖及び2つの異なる重鎖を産生する細胞は、とりわけ2つの異なる重鎖及び軽鎖の組合わせを有する二重特異性抗体を産生する。同様に、共通軽鎖及び3つ以上の異なる重鎖を産生する細胞は、3つ以上の抗原を標的することができる多重特異性抗体、又は3つ以上の抗原を標的することができる2つ以上の多重特異性抗体の組合わせを形成することができる。現在、抗体の標準的フォーマット(すなわち、定常部分及び2つの可変ドメイン)を構築し、更なる結合ドメインを追加することが可能である。こうして、抗体の定常ドメイン又は1つ又は複数の可変ドメインに結合した更なる結合特異性を有する1つ又は複数の単鎖Fvを有するような多重特異性抗体を作製することができる。2つ以上の可変領域を有する重鎖を産生することも可能である。追加の重鎖領域は、有利には、異なる又は共通の軽鎖可変領域と会合することができる。参照により本明細書に組み込まれる、US62/650467号を参照する。
細胞が2つ以上の多重特異性抗体を産生する場合、場合により、同一の重鎖又はホモ二量体を有するある程度の量の半抗体及び抗体も産生する可能性がある。後者の量は、重鎖の修飾を促進するヘテロ二量体形成を含むことによって低減することができる。上記のように、重鎖のヘテロ二量体化を誘導するための様々な方法が存在する。修飾を伴うそれぞれのドメインは、集合的にヘテロ二量体化ドメインと呼ばれる。相互作用に有利なヘテロ二量体化ドメインを有する重鎖は、適合性のあるヘテロ二量体化ドメインを有すると言われている。この適合性ヘテロ二量体化ドメインは、好ましくは、適合性免疫グロブリン重鎖CH3ヘテロ二量体化ドメインである。当技術分野では、このような重鎖のCH3ヘテロ二量体化が達成され得る様々な方法が記載されている。
二重特異性抗体を産生するための好ましい方法の1つは、米国特許第9,248,181号及び同第9,358,286号に開示されている。具体的には、本質的に二重特異性全長IgG分子のみを産生するための好ましい変化は、第1のCH3ドメイン中のアミノ酸置換体L351K及びT366K(EU番号付け)(「KK-変異体」重鎖)、及び第2のドメイン中のアミノ酸置換体L351D及びL368E(「DE-変異体」重鎖)、又はその逆である。前述のように、DE-変異体及びKK-変異体は、優先的に対合して、ヘテロ二量体(いわゆる「DEKK」二重特異性分子)を形成する。DE-変異体重鎖のホモ二量体化(DEDEホモ二量体)又はKK-変異体重鎖のホモ二量体化(KKKKホモ二量体)は、同一の重鎖間のCH3-CH3界面における荷電残基間の強い反発力のため等で、ほとんど発生しない。
本発明において、細胞には、共通軽鎖をコードする核酸が提供されることが好ましい。異なる重鎖可変領域を有するが、同じ軽鎖可変領域を有する抗体を産生するために、当業者には様々な方法が利用可能である。WO2004/106375号は、共通の軽鎖可変領域を使用するファージライブラリを記載している。ファージ選択は、同じ軽鎖可変領域を有するが、異なる重鎖可変領域を有する可変ドメインをもたらす。更に、共通鎖及び異なる同族鎖を有する非ヒト動物は、WO2009/157771号に記載されている。このような動物における抗体選択は、同じ又は類似の共通鎖可変領域を有するが、異なる同族鎖可変領域を有する可変ドメインをもたらす。WO2004/106375号及び同2009/157771号は、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物は、具体的には、抗体、並びに同じ又は類似の共通鎖可変領域及び異なる同族鎖可変領域、好ましくは共通軽鎖可変領域及び異なる重鎖可変領域を有するそのような抗体をコードする核酸の生成に関して参照される。
好ましい一実施形態では、細胞は、2つ以上の重鎖及び共通軽鎖を産生する。それぞれの重鎖及び軽鎖は、それぞれの鎖に会合する1つ又は複数の可変領域を有し得る。好ましい実施形態では、細胞は、3つ以上の重鎖を産生する。3つの重鎖のうちの1つは、好ましくは、適合性ヘテロ二量体化ドメインの一部分を含有する。2つ以上の他の重鎖は、好ましくは、適合性ヘテロ二量体化ドメインの他の部分を含む。第1の重鎖が文字「A」によって象徴的に表され、2つの他の重鎖が文字「B」及び「C」によって表される場合、ヘテロ二量体化ドメインの特定の組合わせは、主にAB及びACの組合わせの形成を導く。AA、BB、CC、及びBCの組合わせは、ヘテロ二量体化ドメインを含むことによって不利である。このような細胞は、2つの二重特異性抗体AB及びACのみを有効に産生している(図1を参照)。本発明において、細胞は、少なくとも3つの重鎖を産生することによって、2つの抗体を産生することが好ましい。好ましい実施形態では、当該重鎖のうちの1つは、適合性ヘテロ二量体化ドメインの一部分を含み、当該2つ以上の他の重鎖は、好ましくは、適合性ヘテロ二量体化ドメインの他の部分を含む。組成物中の2つ以上の二重又は多重特異性抗体又は多量体によって共有される重鎖は、好ましくは、ヘテロ二量体化ドメインのCH3 DE部分を有する。二重特異性抗体又は多重特異性抗体中の他の重鎖は、好ましくは、CH3 KK部分を有する。
少なくとも2つの抗体は、好ましくは多重特異性抗体、好ましくは二重特異性抗体である。好ましい実施形態では、当該抗体のうちの少なくとも2つは、同一の重鎖を共有する。細胞は、重鎖に異なるヘテロ二量体化ドメインを含むことによって、いくつかの一連の二重特異性抗体を産生することができる。そのような実施は、重鎖の組合わせAB及びCDを有する二重特異性抗体の他のものより顕著な産生を導くことができる。組合わせABは、本明細書で上に言及されるようなDE/KKヘテロ二量体化ドメイン、及び「knob in hole」のヘテロ二量体化ドメインの組込みによるCD、又は当該技術分野において既知の他のヘテロ二量体化特徴、例えば電荷工学によって、有利になり得る。異なる二重又は多重特異的多量体間の共有重鎖又は共有重鎖との抗体組合わせは、共有重鎖にヘテロ二量体化ドメインの一部分を提供し、様々な組合わせ鎖にヘテロ二量体化ドメインの相補的部分を提供することによって作製することができる。例えば、共有重鎖中のCH3 DE部分及び組合わせ鎖中のCH3 KK部分である。1つの共有重鎖及び2つの組合わせ重鎖は、この設定において、細胞による重鎖の組合わせAB及びAC(又は多重特異性多量体のAxBC及びAxDE)を有する、二重又は多重特異性多量体又は抗体の産生をもたらす。他の可能な組合わせは、AB、AE、CD、及びCF、又はAB、AE、AG、及びCD等である。
抗体は、一般に、他の宿主細胞タンパク質と比較して、特有の等電点(典型的にはpH6~10の範囲)を有する。多重特異性抗体等の抗体、及び多重特異性多量体は、本明細書に開示される方法を介して、比較的高い純度で精製することができる。方法は、宿主細胞を培養し、収穫物の清澄化を経て、続いてタンパク質捕捉等の多くの工程を含んでもよい。アニオン交換クロマトグラフィ等のIEXクロマトグラフィを使用して、宿主細胞DNAを除去することができ、カチオン交換クロマトグラフィ(CIEX)を使用して、例えば、宿主細胞タンパク質、浸出タンパク質A、及び潜在的な凝集体を除去することができる。ウイルス濾過又は疎水性相互作用クロマトグラフィ等の追加の工程が含まれてもよい。
抗体は、典型的には、産生細胞によって排出される。そのような抗体の収穫は、典型的には、細胞上清の回収、続いてその存在が望まれていない細胞片又は凝集体を除去するためのいくつかの精製工程を伴う。収穫物の清澄化は、抗体産生細胞の培養物上清の濾過、遠心分離、又はこれらの組み合わせを含むことができる。抗体タンパク質捕捉は、典型的には、アフィニティ精製によって行われる。アフィニティ精製は、いくつかの方法で行うことができる。多くの場合、これは、抗体に対する高い特異性結合能が知られている細菌タンパク質である、組換えタンパク質A、タンパク質G又はタンパク質Lを有するカラムを使用する精製を伴う。現在、抗体を特異的に結合する様々な最適化された変異体が利用可能である。例えば、組換えタンパク質Aは、非必須ドメインが除去されている組換えタンパク質Aが利用可能であり、アルブミン結合部位が欠失している組換えタンパク質Gも利用可能であり、修飾タンパク質Lも利用可能である。結合された抗体は、このようなカラムのうちの1つ又は複数の溶出によって回収することができる。アニオン及びカチオン交換クロマトグラフィは、調製物を更に精製するために、例えば、二重特異性又は多重特異性抗体を、半抗体及び/又はホモ二量体抗体及び/又は他の望ましくない抗体産生物関連不純物から精製するために使用することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)は、抗体精製プロセスにおける代替的なポリッシング工程として一般的に使用される。HICは、イオン交換クロマトグラフィに対する直交選択性を提供し、凝集体のクリアランス及び宿主細胞タンパク質の減少に有効な工程であり得る。本発明において、HICは、2つ以上の二重特異性抗体又は多重特異性抗体あるいは多量体の精製が達成された後、分析目的のために使用して、次いで類似の、好ましくは本質的に同じIEX保持時間及び/又は類似の、好ましくは本質的に同じpIを有する2つ以上の種を定量化することができる。したがって、HICは、精製分子の相対量を定量化するために使用される。
疎水性相互作用樹脂は、固定相として選択され、移動相のpH及び/又は導電性は、必要とされる選択性を達成するように調節される。抗体は、典型的には、低pHで正電荷を誘引し、極性及び表面全体の疎水性に影響を及ぼす。調製中の2つ以上の抗体の分離を可能にするpH条件を選択することができる。
いくつかの実施形態では、回収された抗体は、最初にアフィニティ精製によって、好ましくはタンパク質A抽出によって、他のタンパク質から分離される。続いて、フロースルー画分中の抗体を回収する条件下で、アフィニティ精製した抗体をアニオン交換カラム上で走らせる。続いて、抗体を1つ又は複数のCIEXカラム上で走らせることができる。
少なくとも2つの抗体を産生するための好ましい方法は、2つ以上の抗体を含む単一の組成物として細胞によって産生することによって行われる。
少なくとも2つの抗体を産生する方法は、好ましくは、2つ以上の抗体を産生する宿主細胞を培養することと、細胞の上清を回収することと、回収物の清澄化プロセスにおいて上清回収物を処理することと、好ましくは細胞又は細胞片等の凝集体を捕捉し、抗体生成物の通過を可能にする細孔サイズカットオフにより濾過することと、とを含む。タンパク質Aを用いたアフィニティクロマトグラフィにより、細胞培養液から抗体を回収する。タンパク質樹脂に結合した抗体を、低pHへの曝露後にクロマトグラフィカラムから溶出し、続いて好適な緩衝液を用いて溶出液を中和する。
本明細書で使用する場合、用語「等電点(pI)」は、タンパク質表面の平均正味電荷、すなわちタンパク質の電気二重層の電位が0であるpHを意味する。言い換えれば、この用語は、カチオン及びアニオンの数が等しく、したがってタンパク質の正味電荷が0となるように、タンパク質の群が解離している点を意味する。
本明細書で使用する場合、「pI」は、本出願の最も早い出願日(優先日)時点でのデフォルトパラメータを使用して、ExPASy、ProtParamツールによる一次アミノ酸に基づいて計算される。ProtParamは、Swiss-Prot又はTrEMBL又はユーザが入力したタンパク質配列に保存された所与のタンパク質に対する様々な物理的及び化学的パラメータの計算を可能にするツールである。計算されたパラメータは、理論上のpIを含む。Gasteiger E.、Hoogland C.、Gattiker A.、Duvaud S.、Wilkins M.R.、Appel R.D.、Bairoch A.、Protein Identification and Analysis Tools on the ExPASy Server、(In)John M.Walker(ed):The Proteomics Protocols Handbook、Humana Press(2005)pp.571-607。
タンパク質の表面の正味電荷は、タンパク質のpIによって決定される方法でpHと共に変化する。タンパク質のpIに等しいpHでは、タンパク質は正味電荷を有さない。pIを下回るpHでは、タンパク質は正味正電荷を担持する。緩衝液pHがタンパク質のpIを上回った場合、正味負電荷を担持する。
タンパク質pIは、その一次アミノ酸配列によって決定してもよく、したがって計算することができ、次いで、目的のタンパク質の既知の正味電荷を確実にする緩衝液を選択することができる。したがって、負に帯電したカチオン交換樹脂は、目的のタンパク質が、作用pHにおいて正味正電荷を担持する時に選択される。
異なるpI値を有するタンパク質は、所与のpHで様々な電荷度を有し、それによってアニオン交換媒体の粒子上の正に帯電した表面基に対して異なる親和性を有する。したがって、異なるタンパク質は、異なる強度で樹脂に結合し、異なるタンパク質の分離を促進する。したがって、ホモ二量体及び半抗体汚染物質及び/又は他の抗体産生物関連不純物と比較して、明確なpIを有するヘテロ二量体ポリペプチドを生成することによって、ヘテロ二量体ポリペプチドは、標準的な溶出技術を用いて、例えば、pH勾配を適用することによって、又は一定のpHで塩若しくは導電率勾配を適用することによって、又はpHと導電率勾配との組合わせを適用することによって、容易に精製することができる。本発明の実施形態では、抗体中の定常部分及び軽鎖は、本質的に、異なる抗体において同じ配列を有する。そのような抗体は、典型的には、重鎖可変領域のアミノ酸配列においてのみ本質的に異なる。そのような抗体については、典型的には、本明細書に示される重鎖可変領域のpIを計算するのに十分である。次いで、(半)抗体のpIの代わりに重鎖可変領域のpIを使用することによって計算し、基準を設定する。抗体の重鎖可変領域の平均pIは、CIEXカラムにおける抗体の保持時間を示す。抗体は、存在するならば、同じ又は異なるヘテロ二量体化ドメインを有することができる。抗体は、好ましくは、同じヘテロ二量体化ドメインを有する。抗体は、定常部分において、正確なアミノ酸配列においていくらか更に異なっていてもよい。
イオン交換クロマトグラフィ(IEX)工程(複数可)では、これはイオン交換体に対する親和性に基づいて、イオン及び極性分子を分離するプロセスである。これは、大きなタンパク質、小さなヌクレオチド、及びアミノ酸を含む様々な荷電分子に作用する。IEXは、タンパク質精製に使用されることが多い。水溶性及び荷電タンパク質は、不溶性の固定相とイオン結合を形成する。次いで、結合分子は、より高い濃度のイオン及び/又は異なるpHを有する溶出液を使用して溶出及び回収することができる。塩又はpHの濃度は、クロマトグラフィ実験の移動相を徐々に変化させることにより、又はこれらの組合わせを徐々に変化させることにより、段階的に変化させることができる。2種類のイオンクロマトグラフィは、アニオン交換及びカチオン交換である。カチオン交換クロマトグラフィ又は(CIEX)が、本発明において好ましい。抗体CIEXは、好ましくは生理的pHで実施される。pHは、典型的には、5~9、好ましくは6~8の範囲である。
CIEXは、典型的には、目的の分子が、クロマトグラフィに使用されるpH下で正に帯電しているときに使用される。クロマトグラフィのpHが分子のpI未満であるため、分子は正に帯電している。この種のクロマトグラフィでは、固定相は負に帯電し、正に荷電した分子がロードされて、それに引き付けられる。アニオン交換クロマトグラフィは、固定相が正に荷電し、負に荷電した分子(すなわち、クロマトグラフィのpHがpIよりも大きいことを意味する)がロードされて、それに引き付けられる。
多重特異性抗体等の抗体は、典型的には、多重特異性抗体等の抗体の基質への結合を促進する条件下で結合段階において、IEXカラムに結合する。IEXカラムは、典型的にはその後、洗浄されて、非結合材料を除去する。カラムからの溶出は、溶出段階で行われる。多重特異性抗体等の抗体の保持時間は、典型的には、溶出段階の開始から計算される。保持時間は、溶出相が開始した時に抗体がカラムに費やす時間量である。試料がいくつかの化合物を含有する場合、試料中の各化合物は、典型的には、その化学組成に従ってカラムに異なる時間を費やし、すなわち、それぞれが異なる保持時間を有するであろう。保持時間は、通常、秒単位又は分単位で引用される。
多重特異性抗体等の抗体の保持時間は、好ましくは、本発明の方法において本質的に同じである。異なる抗体は、同じカラム及び条件で異なる保持時間を有し得る。本発明では、多重特異性抗体等の抗体は、単一のIEXクロマトグラフィ実験において、2つ以上の多重特異性抗体等の2つ以上の抗体の共精製を可能にするのに十分に近いIEX保持時間を有するように選択又は設計され得ることが見出された。個々の抗体の保持時間の平均から10%以下逸脱する保持時間は、典型的には、単一のIEXクロマトグラフィ実験において、2つ以上の多重特異性抗体等の2つ以上の抗体の共精製を可能にするのに十分に近い。
本発明による抗体精製及び/又は分析のための好適なCIEX HPLC法は、TSKgel SP-STAT(粒径7μm、4.6mM I.D.×10cm L、Tosoh 21964)シリーズのイオン交換カラムを使用する。カラムは、生体分子の高速及び高解像度分析並びに単離のために、非多孔性樹脂粒子が充填される。TSKgel STATカラム中の粒子は、ローディング容量のための多層イオン交換基のオープンアクセスネットワークを含有し、その一方で、粒径により、これらのカラムをHPLC及びFPLCシステムに好適にする。
好適な方法は、緩衝液A(リン酸ナトリウム緩衝液、25mM、pH6.0)を使用して、TSKgel SP-STAT(粒径7μm、4.6mM I.D×10cm L、Tosoh 21964)の平衡化を伴い、その後、塩濃度を増加させ、緩衝剤B(25mMリン酸ナトリウム、1mMのNaCl、pH6.0)の勾配を行うことによって、カラムから抗体を移動させる。流量を0.5mL/分に設定する。試験試料及び対照の注入試料質量は、10μgであり、注入量は10~100μlである。220nmの結果に基づいて観察された主要ピークに対する、ピークパターン、保持時間及びピーク面積についてクロマトグラムを分析する。この方法は、より大量の抗体に対してスケーリングすることができる。
抗体調製物のCIEXクロマトグラフィ実験の典型的なグラフを図2に示す。この実験のための抗体を、実施例に示されるようにトランスフェクトした細胞から回収し、タンパク質Aカラムを用いて培地中の多くの他のタンパク質から精製した。実施例に示すように、抗体を酸溶出により溶出し、続いて中和し、緩衝液をPBS、pH7.4に交換した。続いて、抗体調製物の試料をCIEXカラムにロードした。洗浄後、塩勾配を適用することによって、会合タンパク質を溶出させた。CIEX条件は、図2A及び図2Bの試料と同じであった。保持時間は、二重特異性抗体のピークトップに対して計算する。多重特異性抗体等の2つ以上の抗体の保持時間は、好ましくは、2つ以上の抗体の保持時間の平均から10%以下逸脱する。10%超の逸脱は、典型的には、半抗体からの抗体の、及び場合によってはホモ二量体及び/又は他の抗体産生物関連不純物からの多重特異性抗体の、非効率的な分離が生じる。好ましい実施形態では、2つ以上の抗体の保持時間は、2つの抗体の保持時間の平均から9%以下逸脱する。好ましくは、2つ以上の抗体の保持時間の平均から8%、7%、6%、又は5%以下逸脱する。好ましい実施形態では、2つ以上の抗体の保持時間は、2つ以上の抗体の保持時間の平均の4%以下逸脱する。好ましくは3%以下、好ましくは2%以下である。多くの類似した保持時間は、典型的には、半抗体及び場合によってはホモ二量体及び/又は他の抗体産生物関連不純物からの多重特異性抗体のますますより効率的な分離を可能にし、したがって、IEXカラムの分画における2つの抗体のより清浄な回収を可能にする。
本発明の手段及び方法では、2つ以上の多重特異性抗体等の2つ以上の抗体の平均保持時間は、共精製又は回収される抗体に対して計算される。したがって、精製される抗体が多重特異性抗体である実施形態では、2つ以上の抗体の平均保持時間は、多重特異性抗体に基づいて計算される。ホモ二量体抗体等の回収されない抗体の保持時間は、平均の計算に使用されない。
多重特異性抗体等の抗体は、IEXに使用される条件下で本質的に同じIEX保持時間を有する多重特異性抗体等の抗体を選択することによって、本発明の方法における共精製のために選択することができる。多重特異性抗体等の抗体はまた、IEXに使用される同じ又は類似の条件下で、本質的に同じIEX保持時間を有するように、1つ又は複数の可変領域の適切な改変を通して調整することもできる。
一実施形態では、二重特異性抗体及び/又は多重特異性抗体等の、共精製することが求められる産生した抗体は、類似のpIを有する。少なくとも2つの当該抗体の等電点(pI)は、好ましくは、当該少なくとも2つの抗体の平均pIとは、0.4単位、0.3、0.2、好ましくは0.1単位以下異なっている。当該少なくとも2つの各抗体のpIは、好ましくは、互いに0.25単位以下異なる。
抗体のpIの差が小さいか差がないと、典型的には、良好な共精製を可能にする。有利なことに、抗体中のそれぞれの半抗体のpIは、平均とはより異なる。この差異は、CIEXクロマトグラフィ工程において、「共」移動完全抗体からの半抗体の良好な分離を促進する。
共精製されることが求められる抗体が、二重特異性抗体又は多重特異性抗体である実施形態では、共精製されることが求められる抗体のそれぞれの可変ドメインのpIは、共精製される他の抗体(複数可)の可変ドメインのpIの平均とは、0.2超、好ましくは0.3、好ましくは0.4、0.5、0.6、0.7、1.0、1.2、1.4、好ましくは1.8又は2.0単位超異なっている。この実施形態では、抗体中の可変ドメインのpIの差は、「x」と「y」との間の差よりも少なくとも0.2単位大きいことが好ましく、好ましくは、「x」と「y」との間の差よりも少なくとも0.3、0.4、0.5、好ましくは少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、2.0又は2.5大きく、ここで、「x」は、第1の当該抗体の2つの可変ドメインのpIの平均であり、「y」は、第2の当該抗体の2つの可変ドメインのpIの平均である。抗体内の可変ドメインのpIにおいて言及されるように差は、典型的には、共精製されることが求められる抗体からの抗体産生物関連不純物の良好な分離、及び/又は単一特異性抗体からの良好な分離を示す。
2つ以上の二重特異性抗体又は多重特異性抗体を含むいくつかの組成物は、アミノ酸配列に類似する定常領域及び軽鎖を有する、又は本質的に同一のアミノ酸配列を有する。このような2つ以上の二重特異性抗体及び/又は多重特異性抗体は、典型的には、本質的に可変ドメインのアミノ酸配列のみ、又は本質的に重鎖可変領域のみで互いに異なる。そのような場合、抗体全体のpIを決定する必要はないことが多い。代わりに、可変ドメインのpI及び/又は重鎖可変領域のpIを決定することができる。これは、抗体が、CIEXクロマトグラフィ工程において互いに接近して移動し得るかどうか、言い換えれば、抗体が、共精製を可能にするのに十分に同じ保持時間を有するかどうかを評価する手段を提供する。
本明細書に開示される方法又は組成物の一実施形態では、2つ以上の二重特異性抗体又は多重特異性抗体は、同一のアミノ酸配列を有する定常領域及び軽鎖を有するか、又は本質的に同一のアミノ酸配列を有する。2つ以上の二重特異性抗体又は多重特異性抗体は、各抗体中の可変ドメインの平均pIが、共精製されることが求められるそれぞれの抗体の可変ドメインの平均pIとは、0.7単位以下異なる場合に、CIEXクロマトグラフィ工程で共精製することができる。好ましい実施形態では、第1の当該抗体の2つの可変ドメインのpIの平均「x」及び第2の当該抗体の2つの可変ドメインのpIの平均「y」は、共精製されることが求められる第1及び第2の抗体の「x」及び「y」の平均とは、0.6単位以下、好ましくは0.5単位以下異なる。「x」及び「y」は、好ましくは0.4、好ましくは0.3、好ましくは0.2、好ましくは0.1単位以下、共精製することが求められる第1及び第2の抗体の「x」及び「y」の平均と異なる。このような二重特異性抗体及び/又は多重特異性抗体は、典型的には、本質的に同じである保持時間を有する。この実施形態では、抗体の定常領域は本質的に同じである。このような抗体のpI、特に平均「x」及び「y」は、それぞれの抗体のpI全体を示す。この実施形態では、共精製されることが求められる各抗体の可変ドメインのpIは、抗体中の可変ドメインのpIの平均から、0.2超、好ましくは0.3、好ましくは0.4、0.5、0.6、0.7、1.0、1.2、1.4、好ましくは1.8又は2.0単位超異なる。この実施形態では、抗体中の可変ドメインのpIの差は、「x」と「y」との間の差よりも少なくとも0.2単位大きいことが好ましく、好ましくは、「x」と「y」との差よりも少なくとも0.3、0.4、0.5、好ましくは少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、2.0又は2.5大きい。抗体内の可変ドメインのpIにおいて言及されるような差異は、典型的には、共精製されることが求められる抗体からの半抗体の良好な分離、及び/又は単一特異性抗体からの良好な分離を示す。
本明細書に開示される方法又は組成物の一実施形態では、2つ以上の二重特異性抗体又は多重特異性抗体は、同一のアミノ酸配列を有する定常領域及び軽鎖を有するか、又は本質的に同一のアミノ酸配列を有する。2つ以上の二重特異性抗体又は多重特異性抗体は、各抗体中の重鎖可変領域の平均pIが、共精製されることが求められるそれぞれの抗体の重鎖可変領域の平均pIとは、0.7単位以下異なる場合に、CIEXクロマトグラフィ工程で共精製することができる。好ましい実施形態では、第1の当該抗体の2つの重鎖可変領域のpIの平均「m」及び第2の当該抗体の2つの重鎖可変領域のpIの平均「n」は、共精製されることが求められる第1及び第2の抗体「m」及び「n」の平均とは、0.6単位以下、好ましくは0.5単位以下異なる。「m」及び「n」は、好ましくは0.4であり、好ましくは0.3、好ましくは0.2、好ましくは0.1単位以下、共精製することが求められる第1及び第2の抗体「m」及び「n」の平均と異なる。このような二重特異性抗体及び/又は多重特異性抗体は、典型的には、本質的に同じである保持時間を有する。この実施形態では、抗体の定常領域は本質的に同じである。このような抗体のpI、特に平均「m」及び「n」は、それぞれの抗体のpI全体を示す。この実施形態では、共精製されることが求められる各抗体の重鎖可変領域のpIは、抗体中の重鎖可変領域のpIの平均から、0.2超、好ましくは0.3、好ましくは0.4、0.5、0.6、0.7、1.0、1.2、1.4、好ましくは1.8又は2.0単位超異なる。この実施形態では、抗体中の重鎖可変領域のpIの差は、「m」と「n」との間の差よりも少なくとも0.2単位大きいことが好ましく、好ましくは、「m」と「n」との差よりも少なくとも0.3、0.4、0.5、好ましくは少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、2.0又は2.5大きい。抗体内の重鎖可変領域のpIにおいて言及されるような差異は、典型的には、共精製されることが求められる抗体からの半抗体の良好な分離、及び/又は単一特異性抗体からの良好な分離を示す。
多重特異性抗体等の抗体は、使用されるIEX条件下で、完全抗体又は多重特異性抗体等の所望の抗体の保持時間とは著しく異なる保持時間を有する、重鎖及び軽鎖の組合わせ(半抗体)又はホモ二量体(例えば、単一特異性抗体)又は他の抗体産生物関連不純物を有することができるか、又は有するように選択できる。細胞が共通軽鎖を発現する実施形態では、その選択は、典型的には重鎖上である。重鎖は、半抗体又はホモ二量体が非常に異なる保持時間を有するように改変することができる。好ましい実施形態では、半抗体及び/又はホモ二量体の保持時間は、それぞれの抗体又は多重特異性抗体の保持時間の平均とは、10%超異なる。好ましい実施形態では、共精製されることが求められない抗体の個々の重鎖及び軽鎖の組合わせの平均pIは、共精製される少なくとも2つの抗体の当該重鎖及び軽鎖の平均pIとは、0.5単位超異なる。
更に、本発明は、本明細書に記載の方法によって得ることができる2~10の組換え抗体を含む組成物を提供する。当該抗体のうちの少なくとも2つのIEX保持時間が本質的に同じであることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物も提供する。
更に、本発明は、少なくとも2つの当該抗体のpIが、当該少なくとも2つの抗体の平均pIと、0.4単位、0.3、0.2、及び好ましくは0.1単位以下異なることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物を提供する。当該少なくとも2つの各抗体のpIは、好ましくは、互いに0.25単位以下異なる。
本発明は更に、第1の抗体の2つの可変ドメインのpIの平均「x」及び第2の抗体の2つの可変ドメインのpIの平均「y」が、共精製されることが求められる第1及び第2の抗体の「x」及び「y」の平均とは、0.7、0.6及び好ましくは0.5単位以下異なることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物を提供する。「x」及び「y」は、好ましくは0.4、好ましくは0.3、好ましくは0.2、好ましくは0.1単位以下、共精製することが求められる第1及び第2の抗体の「x」及び「y」の平均と異なる。このような多重特異性抗体等の抗体は、典型的には、本質的に同じである保持時間を有する。この実施形態では、抗体の定常領域は本質的に同じである。pI、特に重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をそれぞれ含む抗体の異なる可変ドメインのpIの平均は、抗体のpI全体を示す。
本発明は更に、第1の抗体の2つの可変ドメインの2つの重鎖可変領域のpIの平均「m」及び第2の抗体の2つの可変ドメインの2つの重鎖可変領域のpIの平均「n」が、共精製されることが求められる第1及び第2の抗体の「m」及び「n」の平均とは、0.7、0.6及び好ましくは0.5単位以下異なることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物を提供する。「m」及び「n」は、好ましくは0.4であり、好ましくは0.3、好ましくは0.2、好ましくは0.1単位以下、共精製することが求められる第1及び第2の抗体の「m」及び「n」の平均と異なる。このような多重特異性抗体等の抗体は、典型的には、本質的に同じである保持時間を有する。この実施形態では、抗体の定常領域及び軽鎖可変領域は、本質的に同じである。pI、特に抗体の異なる重鎖可変領域のpIの平均は、抗体のpI全体を示す。
好ましい実施形態では、IEX保持時間及び/又はpIは、組成物中で回収される全ての抗体に関して本質的に同一であることが好ましい。好ましい実施形態では、抗体のうちの少なくとも2つは二重特異性抗体である。好ましくは、当該抗体のうちの少なくとも2つは、同一の重鎖を共有する。
いくつかの実施形態では、一方又は両方のVH/VL結合領域の共通軽鎖可変領域は、生殖細胞系列IgVk1-3901可変領域Vセグメントを含む。特定の実施形態では、一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、カッパ軽鎖VセグメントIgVκ1-3901を含む。IgVκ1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子についての短縮形である。この遺伝子はまた、免疫グロブリンカッパ可変1-39、IGKV139、IGKV1-39として知られている。この遺伝因子についての外部Idsは、HGNC:5740、Entrez Gene:28930、Ensembl:ENSG00000242371である。V領域のアミノ酸配列は、配列番号25に提供されている。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。好ましいJ領域はjk1及びjk5であり、接合された配列はIGKV1-39/jk1及びIGKV1-39/jk5として示される。代替名は、IgVκ1-3901/IGJκ101又はIgVκ1-3901/IGJκ501である(imgt.orgでのIMGTデータベースの世界的なウェブによる命名法)。特定の実施形態において、VH/VL結合領域の一方又は両方の軽鎖可変領域は、カッパ軽鎖IgVk1-3901/IGJk101又はIgVk1-3901/IGJk105(それぞれ配列番号26及び配列番号27)を含む。
いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方の軽鎖可変領域は、アミノ酸配列QSISSY(配列番号22)を含むLCDR1、アミノ酸配列AASを含むLCDR2、及びアミノ酸配列QQSYSTP(配列番号24)を含むLCDR3(すなわち、IMGTによるIGKV1-39のCDR)を含む。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方の軽鎖可変領域は、アミノ酸配列QSISSY(配列番号22)を含むLCDR1、アミノ酸配列AASLQS(配列番号23)を含むLCDR2、及びアミノ酸配列QQSYSTP(配列番号24)を含むLCDR3を含む。
いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方は、配列番号26に記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方は、配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
例えば、いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域一方又は両方の可変軽鎖は、配列番号26又は配列番号27に対して、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加又はこれらの組合わせを有し得る。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方の軽鎖可変領域は、示されたアミノ酸配列に対する、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、好ましくは0~3、好ましくは0~2、好ましくは0~1、好ましくは0のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加、又はこれらの組合わせを含む。
他の実施形態では、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方の軽鎖可変領域は、配列番号26又は配列番号27のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の両方は、同一のVL領域を含む。一実施形態では、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の両方のVLは、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、二重特異性抗体のVH/VL結合領域の両方のVLは、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含む。
本明細書の方法で開示されるもの等の二重特異性抗体は、いくつかのフォーマットで提供することができる。二重特異性抗体の多くの異なるフォーマットが、当技術分野において既知である。例えば、2つのVH/VLの組合わせを有する従来の抗体ではない二重特異性抗体フォーマットは、少なくとも、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む可変ドメインを有する。この可変ドメインは、一本鎖Fvフラグメント、モノボディ、VH、及び2番目の結合活性を提供するFabフラグメントに連結されている場合がある。
本明細書で提供される方法で開示されるもの等の二重特異性抗体は、概して、ヒトIgGサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のものである。特定の実施形態において、抗体は、ヒトIgG1サブクラスのものである。半減期が有利で免疫原性が低いため、全長IgG抗体が好ましい。したがって、特定の実施形態では、二重特異性抗体は、全長IgG分子である。一実施形態では、二重特異性抗体は、全長IgG1分子である。
特定の実施形態では、抗体は、結晶性フラグメント(Fc)を含む。二重特異性抗体のFcは、好ましくは、ヒト定常領域から構成される。二重特異性抗体の定常領域又はFcは、1つ又は複数の、好ましくは10個以下の、好ましくは5個以下の、天然に存在するヒト抗体の定常領域とは異なるアミノ酸を含有し得る。例えば、特定の実施形態において、二重特異性抗体の各Fabアームは、二重特異性抗体の形成を促進する修飾、Fc媒介エフェクター機能に影響を与える修飾、及び/又は本明細書に記載の他の特徴を含むFc領域を更に含み得る。
一態様では、本明細書で定義される2つ以上の抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、動物、特にヒトで使用するために、政府規制機関によって承認されるか、又は米国薬局方又は他の総合的に認められている薬局方に列挙されていることを意味し、生理学的に適合性がある任意の及び全ての溶媒、塩、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。用語「担体」は、化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、水及び油などの無菌液体であり得、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、グリセロールポリエチレングリコールリシノール酸などが含まれる。水又は生理食塩水、並びにデキストロース及びグリセロール水溶液を、特に注射可能な溶液の担体として使用することができる。非経口投与用の液体組成物は、注射又は連続注入による投与のために製剤化することができる。注射又は注入による投与経路としては、膀胱内、腫瘍内、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、及び皮下が挙げられる。投与経路(例えば、静脈内、皮下、関節内など)に応じて、活性化合物を、化合物を不活性化する可能性のある酸及び他の天然条件の作用から保護するために、材料でコーティングすることができる。
ヒト患者への投与に好適な医薬組成物は、典型的には、例えば液体担体中の非経口投与用に製剤化され、又は静脈内投与用の液体溶液若しくは懸濁液への再構成に好適である。組成物は、投与を容易にし、投与量を均一にするために、投与単位形態で製剤化することができる。
また、使用直前に経口投与又は非経口投与用の液体調剤に変換することを目的とした固体調剤も含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、及び乳剤が挙げられる。
「二重特異性抗体」は、抗体の1つのドメインが第1の抗原に結合する一方で、抗体の第2のドメインが第2の抗原に結合し、当該第1及び第2の抗原が同一ではない、本明細書に記載の抗体である。用語「二重特異性抗体」はまた、1つの重鎖可変領域/軽鎖可変領域(VH/VL)の組み合わせが抗原上の第1のエピトープに結合し、第2のVH/VLの組み合わせが第2のエピトープに結合する抗体を包含する。この用語は更に、VHが、第1の抗原を特異的に認識することができ、免疫グロブリン可変領域においてVHと対合しているVLが、第2の抗原を特異的に認識することができる抗体を含む。得られたVH/VL対は、抗原1又は抗原2のいずれかに結合する。このようないわゆる「ツーインワン抗体」は、例えば、国際公開第2008/027236号、同第2010/108127号、及びSchaefer et al(Cancer Cell 20、472-486、October 2011)に記載されている。本発明による二重特異性抗体は、任意の特定の二重特異性フォーマット又はそれを産生する方法に限定されない。
本明細書において、核酸又はアミノ酸配列について言及する場合、「パーセント(%)同一性」は、最適な比較目的のために配列をアラインメントした後、選択された配列中の残基と同一である候補配列中の残基の百分率として定義される。核酸配列を比較するパーセント配列同一性は、デフォルト設定を使用してVector NTI Program Advance 10.5.2ソフトウェアのAlignXアプリケーションを使用して求められる。この設定には、変更されたClustalWアルゴリズム(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.,and Gibson T.J.(1994)Nuc.Acid Res.22:4673~4680)、swgapdnarntスコアマトリックス、15のギャップオープンペナルティ、及び6.66のギャップエクステンションペナルティを用いる。アミノ酸配列は、デフォルト設定を使用して、Vector NTI Program Advance11.5.2ソフトウェアのAlignXアプリケーションを使用し、これは、修正ClustalWアルゴリズム(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.,and Gibson T.J.1994)、blosum62mt2スコアマトリックス、10のギャップオープンペナルティ、及び0.1のギャップ伸長ペナルティを採用して、アライメントされる。
本明細書で使用される「共通軽鎖」という用語は、二重特異性抗体における2つの軽鎖(又はそのVL部分)を指す。全長抗体の結合特異性は影響を受けないが、2つの軽鎖(又はそのVL部分)は、同一であってもよく、いくつかのアミノ酸配列の違いを有してもよい。用語「共通軽鎖」、「共通VL」、「単一軽鎖」、「単一VL」は、用語「再構成」が付加されて、又は付加されずに、全てが本明細書で互換的に使用される。「共通」とは、アミノ酸配列が同一ではない軽鎖の機能的等価物を指す。当該軽鎖の多くの変異体が存在し、機能的結合領域の形成に影響を与えない変異(欠失、置換、挿入及び/又は付加)が存在する。本発明の軽鎖はまた、本明細書で上記に特定された、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加又はこれらの組み合わせを有する軽鎖であり得る。例えば、保存的アミノ酸の変化、重鎖と対合するときに結合特異性に寄与しない又は部分的にのみ寄与する領域におけるアミノ酸の変化などを導入し試験することによって、同一ではないが依然として機能的に同等である軽鎖を調製又は見出すことは、本明細書に使用される共通軽鎖の定義の範囲内である。本発明による「全長IgG」又は「全長抗体」という用語は、本質的に完全なIgGを含むものとして定義されるが、必ずしも完全なIgGの全ての機能を有するわけではない。誤解を避けるために、全長IgGは、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む。各鎖は、定常(C)領域及び可変(V)領域を含有し、これはCH1、CH2、CH3、VH及びCL、VLと表示されるドメインに分解することができる。IgG抗体は、Fab部分に含まれる可変領域ドメインを介して抗原に結合し、結合後、定常ドメイン、主にFc部分を介して免疫系の分子及び細胞と相互作用することができる。本発明による全長抗体は、所望の特性を提供する変異が存在し得るIgG分子を包含する。全長IgGは、領域のうちのいずれの実質的な部分の欠失も有さない必要がある。しかしながら、得られるIgG分子の結合特性を本質的に変えることなく、1つ又はいくつかのアミノ酸残基が欠失しているIgG分子は、用語「全長IgG」に含まれる。例えば、かかるIgG分子は、好ましくは非CDR領域において、1~10アミノ酸残基の欠失を有することができ、該欠失されたアミノ酸は、IgGの結合特異性にとっては必須ではない。
抗体は、典型的には、抗原のエピトープを認識し、このようなエピトープは他の化合物中に同様に存在してもよく、抗原を「特異的に認識する」本発明による抗体は、このような他の化合物が同じ種類のエピトープを含有する場合には、他の化合物も同様に認識し得る。したがって、抗原及び抗体の相互作用に関して「特異的に認識する」という用語は、同じ種類のエピトープを含有する他の化合物への抗体の結合を除外するものではない。
「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、タンパク質の3次フォールディング(いわゆる直鎖及びコンフォメーション的エピトープ)によって並置された連続アミノ酸又は非連続アミノ酸の両方から形成することができる。連続的な直鎖アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒に曝露されて保持される一方で、3次フォールディングにより形成されるエピトープは、コンフォメーションが、典型的には、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的コンフォメーションにおいて3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸を含んでもよい。エピトープの空間的コンフォメーションを判定する方法は、当業者に知られており、当技術分野の技術、例えば、エピトープの性質に応じて、X線結晶構造解析、HDX-MS及び2次元核磁気共鳴、ペプスキャン、並びにアラニンスキャンが挙げられる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、Vol.66、G.E.Morris、Ed(1996)を参照されたい)。
明確さ及び簡潔な説明のために、特徴は本明細書では同じ又は別個の実施形態の一部として記載されているが、本発明の範囲は、記載される特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態を含んでもよいことが理解されよう。
本明細書をより容易に理解できるようにするために、特定の用語が最初に定義される。詳細な説明を通して、追加の定義が記載される。特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有し、免疫学、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が採用される。
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「含む(including)」、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。
組成物が、共通のアームを共有する2つの二重特異性抗体を含む実施形態の概略図である。図は、重鎖(1)及び軽鎖(4)を有する抗体を示す。4つの重鎖は、3つの異なる可変領域(5、6、及び7)を有する。共有可変領域(5)を有する重鎖は、ヘテロ二量体化ドメインの一部分(3)を有する。可変領域(6)及び(7)を有する重鎖は、ヘテロ二量体化ドメイン(2)の適合性部分を有する。ヘテロ二量体化領域(2)及び(3)の好ましいペアリングは、二重特異性抗体の形成を導くことができる。 パネルA:二重特異性抗体PB4516産生番号8(p08)の220nmにおけるCIEXプロファイルである。 パネルB:二重特異性抗体PB6892産生番号4(p04)の220nmにおけるCIEXプロファイルである。 二重特異性抗体PB4516産生番号10(p10)の220nmにおけるCIEXプロファイルである。 二重特異性抗体PB11244産生番号1(p01)の220nmにおけるCIEXプロファイルである。 ボックス当たり2つの二重特異性抗体を、カラムPB(PBXXXX(X))で同定する。PB11244及びPB4516の重鎖可変領域は、カラム標的1及び標的2に示される。軽鎖の配列は、全ての抗体に関して同じであり、配列番号26の共通軽鎖IgKV139/jk1のアミノ酸配列を有する。ExPASy、ProtParamツールで計算されたpIは、カラムpIにおける各重鎖可変領域について示される。2つの重鎖可変領域間のpI差が最後のカラムに示され、PB11244とPB4516との間の平均VH pI差が0.08であることを実証している。 プールFST2の個々のコロニーcp12の抗体調製の220nmにおけるCIEXプロファイルである。CIEXプロファイルは、共溶出抗体PB4516及びPB11244の鋭いピークを示す。プロファイルは、試料が限られた量の産生物関連不純物を含有することを示す。共溶出二重特異性抗体と、別々に移行する産生物関連不純物との間の良好な分離も示す。 コロニーCP07の抗体調製の220nmにおけるCIEXプロファイルである。コロニーを、単一コロニーFST2cp09の個々のコロニーの集合から採取した。FST2cp09-cp07細胞株がクローン細胞株であることを確認するために、第2のサブクローニングを行った。二重特異性抗体特異的ELISAは、743μg/mlのEGFR/HER2二重特異性抗体PB11244及び1134μg/mlのEGFR/HER3二重特異性抗体PB4516の存在を示した。 2つの同一の可変ドメインを有する抗体ホモ二量体(PGXXXX)の保持時間である。重鎖可変領域のアミノ酸配列は、図8のMF及び配列番号26の共通軽鎖IgKV139/jk1に示される配列を有する。 ボックス当たり2つの二重特異性抗体を、PBの欄で同定する(PBXXXX(X))。各二重特異性抗体の重鎖可変領域(MFXXXX)は、標的1及び標的2の欄に示される。軽鎖の配列は、全ての抗体に関して同じであり、配列番号26の共通軽鎖IgKV139/jk1のアミノ酸配列を有する。ExPASy、ProtParamツールで計算されたpIは、pIの欄に各重鎖可変領域について示される。測定された2つの重鎖可変領域間のpI差と保持時間は、最後の2つの欄に示される。測定された保持時間及び計算されたpI及び平均pIは、二重特異性抗体の結合が、CIEXクロマトグラフィで効率的に共溶出することができることを示す。抗体は、IgG1定常領域及び共通軽鎖を有する。CH3 DE重鎖又はKK重鎖を有する、共有重鎖可変領域(同一のMF)を有する重鎖が示される。各二重特異性で実施されるCIEXクロマトグラフィについて、CIEXクロマトグラフィに記載された材料及び方法の項の例示的条件を用いて、保持時間が示される。多くの他のCIEXクロマトグラフィ条件は、提供されたpI値を有する、列挙された二重特異性抗体対間の好適な保持時間をもたらすであろう。 各抗体及び軽鎖可変領域のCDRの重鎖可変領域(MFXXXX)のアミノ酸配列、並びに共通軽鎖可変領域のアミノ酸配列。 各抗体及び軽鎖可変領域のCDRの重鎖可変領域(MFXXXX)のアミノ酸配列、並びに共通軽鎖可変領域のアミノ酸配列。
実施例
実施例1
材料及び方法
細胞株
HEK293及びCHO-K1を増殖培地に維持した。
二重特異性抗体の生成
二重特異性抗体は、効率的なヘテロ二量化及び二重特異性抗体の形成を確実にするために、独自のCH3技術を使用して生成した。CH3技術は、前述のように、CH3領域における電荷ベースの点変異を使用して、2つの異なる重鎖分子の効率的なペアリングを可能にする(PCT/NL2013/050294、国際公開第2013/157954A1号)。
2つの異なるバックボーンIgG1ベクターのうちの1つにVH遺伝子をクローニングした。結合パートナーに応じて、VHは、ヘテロ二量体化変異体「DE」を有するCH3変異体を含むIgG1バックボーン、又は相補的なCH3ヘテロ二量体化変異体「KK」を含むIgG1バックボーンにクローニングした。二重特異性抗体又は多重特異性抗体の場合、2つ以上の抗体が重鎖を共有する。共有鎖は、好ましくは、CH3ヘテロ二量体化変異体「DE」(DE重鎖とも呼ばれる)を有し、2つ以上の特有の重鎖は、CH3ヘテロ二量体化変異体「KK」(KK-重鎖とも呼ばれる)を有する。
HEK293細胞をDNA-FUGENE混合物で一過性にトランスフェクトし、更に培養した。トランスフェクトの7日後、上清を収穫し、培地をリフレッシュした。トランスフェクトの14日後、上清を組み合わせ、0.22μMで濾過した。滅菌上清を4℃で保存した。懸濁に適合した293F細胞を、3.0×10e6細胞/mlの密度になるまで振盪プラトー上のT125フラスコ内で培養した。細胞は、24深型ウェルプレートの各ウェルに0.3~0.5×10e6生細胞/mlの密度で播種した。細胞を、個々の滅菌DNA:PEl-MIXで一過性にトランスフェクトし、更に培養した。トランスフェクトの7日後、上清を収穫し、0.22μMで濾過した。滅菌上清を4℃で保管した。
2つの二重特異性抗体を共発現する安定した細胞株プールの生成
CHO細胞を、3つの重鎖構築物及び共通軽鎖構築物を用いて、共通軽鎖構築物(cLC):EGFR重鎖:HER2重鎖:HER3重鎖=2.5:2:1:1のモル比でトランスフェクトした。安定的にトランスフェクトした細胞の10個のプールを得た(A-J)。抗EGFR抗体、抗HER2抗体、及び抗HER3抗体のELISA分析を、10個のプールの3日目及び6日目の上清で行った。3種全てを全てのプールにおいて検出することができる。
2つの二重特異性抗体を共発現する安定した細胞株クローンの生成
プールを半固体培地に固定し、7~10日間増殖させた。単一のコロニーを採取し、24ウェル培養プレートに播種した。培養物の上清から抗体を回収する前に、コロニーを再播種した。
抗体価の決定
単一二重特異性抗体を含有する試料の抗HER2抗体価を、Erbb-2 Fcタンパク質(R&D system)に対するELISAによって決定した。単一の二重特異性抗体を含有する試料の抗HER3抗体価を、ヒトErbb-3-Fcタンパク質(R&D system)に対するELISAによって決定した。単一の二重特異性抗体を含有する試料の抗EGFR抗体価を、ヒトEGFR ECD-Fcタンパク質(R&D system)に対するELISAによって決定した。抗原の2倍段階希釈を使用して、5μg/mlで開始して、ELISAプレートのウェルをコーティングした。
2つの二重特異性抗体の混合物を含む組成物中のEFGRxHER2及びEGFRxHER3二重特異性抗体を定量化するためのELISAアッセイは、EGFR-Fc(R&D system)でELISAプレートをコーティングすることによって行った。洗浄後、プレートを試料でインキュベートした。洗浄後、1つのEFGRアーム及び1つのHER2アームを有する結合二重特異性抗体の存在を、標識されたHER2-Fcとインキュベートすることによって検出した。1つのEFGRアーム及び1つのHER3アームを有する結合二重特異性抗体の存在を、標識されたHER3-Fcでインキュベートすることによって検出した。
IgG精製
アフィニティクロマトグラフィを使用してIgGの精製を行った。真空濾過を使用して、滅菌条件下で精製を行った。最初に培地のpHをpH8.0に調整し、続いて、生成物を、タンパク質AセファロースCL-4Bビーズ(50%v/v)(Pierce)と共に、振盪プラットフォーム上で600rpmで、25℃において2時間インキュベートした。次に、真空濾過によりビーズを収穫した。ビーズをPBS pH7.4で2回洗浄した。IgGをpH3.0において、0.1Mクエン酸緩衝液で溶出させ、IgG画分をトリスpH8.0によって直ちに中和した。Ultracel(Millipore)を使用して、遠心分離により緩衝液交換を行った。試料は最終的にPBS pH 7.4の緩衝液になった。
カチオン-交換クロマトグラフィ(CIEX)
CIEX-HPLCクロマトグラフィは、TSKgel SP-STAT(粒径7μm、4.6mM I.D.×10cm L、Tosoh 21964)シリーズのイオン交換カラムを使用して行った。カラムは、生体分子の高速及び高解像度分析、並びに単離のために、非多孔性樹脂粒子が充填される。TSKgel STATカラム中の粒子は、ローディング容量のための多層イオン交換基のオープンアクセスネットワークを含有し、その一方で、粒径により、これらのカラムをHPLC及びFPLCシステムに好適にする。
緩衝液A(リン酸ナトリウム緩衝液、25mM、pH6.0)を使用して、TSKgel SP-STAT(粒径7μm、4.6mM I.D×10cmL、Tosoh 21964)を平衡化し、その後、塩濃度を増加させ、緩衝剤B(25mMリン酸ナトリウム、1mMのNaCl、pH6.0)勾配を行うことによって、カラムから抗体を移動させる。流量を0.5mL/分に設定した。全ての試験試料及び対照(PBS中)の注入試料質量は、10μgであり、注入量は10~100μlであった。220nmの結果に基づいて観察された主要ピークに対する、ピークパターン、保持時間及びピーク面積についてクロマトグラムを分析する。
結果
二重特異性抗体PB4516p08及びPB6892p04のCIEXプロファイルを比較した(図2参照)。PB6892の生成は、かなりの量の不純物を含有していたことが観察された。また、PB6892の二重特異性抗体画分の保持時間は、PB4516の二重特異性抗体画分の保持時間よりも有意に低かった。同じ細胞による同時産生及びCIEXを使用した共精製の場合、2つの二重特異性抗体の保持時間は、好ましくは互いに接近している。このため、PB6892のHER2アームの可変領域を異なる可変領域で置き換えた。可変領域MF2032を有する重鎖を選択し、EGFR×HER2二重特異性抗体PB11244を産生するために使用した。PB4516p10及びPB11244p01のCIEXプロファイルを図3に示す。二重特異性抗体画分の保持時間は、それぞれ16.310及び16.950である。これらの保持時間は、示される条件下でCIEXを使用して共精製を可能にするのに十分に等しい。加えて、図は、分析及び分取カラムにおける効率的な分離を可能にするために、不純物の保持時間が十分に異なることを示している。HEK293細胞において、上記二重特異性抗体調製物を産生した。
共産生のために、CHO-K1細胞を使用した。CHO細胞を、MF3755(EGFR)、M2032(HER2)及びMF3178(HER3)のそれぞれの可変領域を有する3つの重鎖を含有する構築物でトランスフェクトし、配列番号26の軽鎖可変領域発現構築物と共にCHO-K1細胞にトランスフェクトした。ベクター陽性細胞を選択し、プールした。トランスフェクトしたCHO-K1細胞(A~Jで同定)の別個の10のプールを生成した。
表1は、それぞれのプールによって産生された二重特異性抗体PB4516(EGFRxHER3)及びPB11244(EGFRxHER2)の量を示す。産生されたIgGの量の比及び総量も示される。プールF及びJをサブクローニング用に選択した。
表2は、それぞれのクローンによって産生された二重特異性抗体PB4516(EGFRxHER3)及びPB11244(EGFRxHER2)の量を示す。
クローンFST2cp12により産生された抗体を使用してCIEXプロファイルを分析した(図4を参照)。2つの二重特異性抗体は、同じCIEX溶出画分において効率的に共溶出することが明らかである。
クローンFST2cp09を更にサブクローニングして、細胞株がクローンであることを確認し、産生された抗体の更なるCIEXプロファイルを決定した。図5は、CIEXプロファイルを示す。2つの二重特異性抗体は、同じCIEX溶出画分において効率的に共溶出することが明らかである。共溶出における2つの二重特異性抗体の相対的寄与は、ELISA及び/又は疎水性相互作用カラムによって分析する。二重特異性抗体特異的ELISAは、743μg/mlのEGFR/HER2二重特異性抗体PB11244及び1134μg/mlのEGFR/HER3二重特異性抗体PB4516の存在を示した。
実施例2
2つの二重特異性抗体を共発現する安定した細胞株プールの生成
図7に列挙される2つずつ二重特異性抗体を発現する細胞株は、以下のように生成される。CHO細胞は、3つの重鎖構築物及び共通軽鎖構築物でトランスフェクトされる。3つの重鎖は、ボックス内に示される重鎖可変領域(MFXXXX)によって同定する。軽鎖は、配列番号26のIgVk139/jk1の軽鎖可変領域配列を含む。2つの二重特異性抗体は、共通の1つの重鎖及び1つの異なる重鎖をそれぞれ有する。例えば、図7で指定された第1の結合は、重鎖可変領域(MF3178)及び異なる第2の結合アームを含む同じHER3結合アームを含む共通の重鎖を共有する。PB4528は、重鎖可変領域(MF4003)を有するEGFR結合アームを有し、PB4188は、重鎖可変領域(MF3958)を有するHER2結合アームを有する。共有重鎖は、適合性DE/KKヘテロ二量体化ドメインのKK CH3領域を有する。共有重鎖アームはまた、DE CH3領域を有してもよい。例えば、図3~5では、2つの二重特異性抗体は、共精製されたPB11244及びPB4516である。図3cに示すように、PB11244及びPB4516は、重鎖可変領域(MF3755)を有する同じEGFR結合アームを共有し、PB11244は重鎖可変領域(MF2032)を有するHER2結合アームを有し、PB4516は重鎖可変領域(MF3178)を有するHER3結合アームを有する。この二重特異性抗体の対の共有重鎖アームは、DE CH3領域を有し、一方、異なるHER2及びHER3結合アームはKK CH3領域を有する。
共通軽鎖構築物(cLC):共有重鎖構築物:異なる重鎖構築物1:異なる重鎖構築物2のモル比は2.5:2:1:1である。安定的にトランスフェクトされた細胞のプールを得る。抗原のELISA分析は、プールから回収した上清に対して行う。全ての3つの抗原結合種をプール内で検出する。図7の各結合における二重特異性抗体のCIEX保持時間は、類似したCIEX条件下で決定され、8thの欄に示される。平均保持時間からの逸脱は、式100x((A-B)/(A+B))で計算され、式中、Aは、最長保持時間を有する二重特異性抗体の保持時間である。例えば、第1の結合の逸脱は、100x((16.46-16.24)/(16.46+16.24))=0.67、すなわち0.7%である。
回収された上清中の抗体は、最初に、タンパク質A抽出によって上清中の他のタンパク質から分離され、続いて酸溶出及び迅速な中和が行われる。回収された抗体の緩衝液は、続いてPBSに交換する。続いて、試料をCIEXカラム上にロードし、塩勾配を増加させることによって洗浄及び溶出する。溶出液の吸収は220nmで測定され、保持時間は、塩勾配の開始及び二重特異性抗体のピークの観測から計算する。二重特異性抗体を回収し、回収した溶出液中のそれぞれの二重特異性抗体をELISAにより検証する。それぞれの二重特異性抗体の保持時間は、最後の欄に示される。結合の多くは、CIEXカラムにおいて効率的に共溶出する保持時間を有することが明らかである。また、CIEXクロマトグラフィは、共溶出二重特異性抗体及びそれぞれのホモ二量体(存在する場合)の良好な分離を提供することも明らかである。図6は、共溶出二重特異性抗体中に存在する重鎖可変領域を含む重鎖のホモ二量体を有する様々な抗体の保持時間を示す。ホモ二量体の保持時間は、それぞれの二重特異性抗体の保持時間と十分に異なることは明らかである。例えば、図7の第1のボックスでは、ホモ二量体PG3178、PG3958及びPG4003は、生成物中に存在し得る。それぞれのホモ二量体の保持時間は、約22、12及び13(図6行1~3)であり、重鎖可変領域を含む二重特異性抗体の保持時間は、約19及び19.5である(図7、行1及び2)。
Figure 2022520972000001
表1:細胞のプールにおけるEGFRxHER2及びEGFRxHER3二重特異性抗体産生の定量化。10のプール(A~J)の培養物上清を評価した。ELISAアッセイは、EGFR-Fcコーティング、産生された抗体の結合、及び標識されたHER2-Fc又は標識されたHER3-Fcのいずれかの検出に基づく。2つのELISAアッセイを使用してプールA~Jを分析した。二重特異性抗体PB4516及びPB11244は、適合性DE/KKヘテロ二量体化ドメインを有するIgG1重鎖抗体である。重鎖は、共通軽鎖と組み合わせる。二重特異性抗体は、1つの重鎖上でMF3755重鎖可変領域を共有し、それぞれが、PB4516のためのMF3178及びPB11244のためのMF2032である、他のIgG1重鎖上の異なる重鎖可変領域を有する。
Figure 2022520972000002
表2:単一細胞クローニングに対して、選択されたプールを使用した。18のコロニーを3つのプールから採取した。2つの独立したプールF(FST1及びFST2)及び1つのプールJ(JST1)を単一細胞クローニングに使用した。指標「cp」、続く数字はプールの個々のコロニーを同定する。採取したコロニーを増殖させ、抗体の回収に使用した。同じプールからの個々のコロニーは、異なる量及び異なる割合のそれぞれの二重特異性抗体を産生した。

Claims (23)

  1. 少なくとも2つの抗体を産生する方法であって、
    前記抗体をコードする核酸を細胞に提供することと、
    前記細胞を培養することと、
    前記培養物から前記抗体を回収することと、
    産生した抗体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEX)によって、半抗体から分離することと、とを含み、
    前記抗体が、使用されるIEX条件下で、前記個々の抗体の保持時間の平均から、10%以下逸脱するIEX保持時間を示すことを特徴とする、少なくとも2つの抗体を産生する方法。
  2. 前記培養物からの前記抗体の回収が、好ましくはタンパク質A抽出による、抗体アフィニティ精製によって他のタンパク質から抗体を精製することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. アフィニティ精製した抗体をサイズ排除クロマトグラフィ(ゲル濾過クロマトグラフィ及び/又はアニオン交換クロマトグラフィ)に供することを更に含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記IEXに続いて、前記回収された抗体が、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって、相対発現レベルについて定量的に分析される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記回収された抗体の特異性が、ELISAにより検証される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記それぞれの半抗体の前記保持時間が、前記抗体の前記保持時間の及ぶ範囲外である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記細胞が、3つの重鎖を産生する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記重鎖が、該重鎖の効率的なヘテロ二量体化のためのドメインを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記抗体のうちの少なくとも2つが二重特異性抗体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記抗体のうちの少なくとも2つが、同一の重鎖を共有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記抗体が、前記少なくとも2つの抗体の平均pIから、0.4単位以下異なる等電点(pI)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記抗体が、使用される前記IEX条件下の前記全抗体の前記保持時間と有意に異なる保持時間を有する重鎖及び軽鎖の組合わせを有するように選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 重鎖及び軽鎖の組合わせの前記pIが、前記少なくとも2つの抗体の前記平均pIから、0.4単位超異なる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記重鎖が、該重鎖のヘテロ二量体化を助けるCH3ドメインを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記抗体の前記重鎖が、IgG重鎖である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 1つの重鎖が、前記CH3領域におけるアミノ酸置換体L351K及びT366K(EU番号付け)を含み、別の重鎖が、前記CH3領域における前記アミノ酸置換体L351D及びL368Eを含む、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 少なくとも2つの抗体を産生する方法であって、
    前記抗体をコードする核酸を細胞に提供することと、
    前記細胞を培養することと、
    前記培養物から前記抗体を回収することと、
    産生した抗体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEX)によって、半抗体から分離させることと、を含み、
    前記抗体が、使用される前記IEX条件下の前記個々の抗体の前記保持時間の平均から10%以下逸脱するIEX保持時間を示すことを特徴とし、前記IEXに続いて、前記回収された抗体が、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって相対発現レベルについて定量的に分析され、回収された抗体の特異性が、ELISAによって検証される、少なくとも2つの抗体を産生する方法。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる2~10の組換え抗体を含む組成物。
  19. 前記抗体のうちの少なくとも2つの前記IEX保持時間が、前記IEX条件下で前記個々の抗体の前記保持時間の平均から、10%以下逸脱することを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物。
  20. 前記抗体のうちの少なくとも2つの前記pIが、前記少なくとも2つの抗体の平均pIから、0.4単位以下異なることを特徴とする、2~10の組換え抗体を含む組成物。
  21. 前記IEX保持時間及び/又は前記pIが、前記抗体の全部に対して本質的に同じであることを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載の組成物。
  22. 前記抗体のうちの少なくとも2つが二重特異性抗体である、請求項18から21のいずれか一項に記載の組成物。
  23. 前記抗体のうちの少なくとも2つが、同一の重鎖を共有する、請求項22に記載の組成物。
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