JP2022514290A - 改変抗体fcおよび使用方法 - Google Patents

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Abstract

生体高分子は、中枢神経系(CNS)の疾患の処置に非常に大きな可能性を有するが、血液脳関門(BBB)の存在が、治療上関連する抗体濃度を達成することを極めて困難にする。新生児型Fc受容体に対する増強された中性pH親和性を有する抗体は、脳における改善された蓄積を実証する。本明細書に開示されるバリアントはまた、操作されたマウスモデルにおける曝露を増強した。抗BACE1抗体を使用すると、これらのFcバリアントは脳Aベータのレベルを有意に低下させた。【選択図】図8A

Description

本出願は、2018年12月20日に出願された米国仮特許出願第62/782,904号の優先権の利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、改変Fcおよび改変Fcを使用して血液脳関門を通過する方法に関する。
アミロイドベータ(Aベータ)、ベータ-セクレターゼ1(BACE1)、タウ、およびアルファ-シヌクレインを含む、有意な医学的価値を有するいくつかの中枢神経系(CNS)治療標的がある(Spillantini、Schmidtら 1997、HardyおよびSelkoe 2002、Ghosh、Gemmaら 2008、ThinakaranおよびKoo 2008、MandelkowおよびMandelkow 2012)。しかしながら、血液脳関門(BBB)は、正常な状況下では脳内への抗体透過を制限する(Abbott、Ronnbackら 2006、Pardridge、2016)。
トランスフェリン受容体(TfR)を利用する受容体介在性トランスサイトーシス(RMT)などのRMTの増強(Fishman、Rubinら 1987)によって脳への抗体透過を改善する努力がなされている(Yu,Zhangら 2011、Yu,Atwalら 2014、Pardridge 2016)。TfRは脳内皮細胞上で濃縮され、脳および他の組織におけるトランスフェリンの輸送を促進するために迅速にトランスサイトーシスされる(PonkaおよびLok 1999)。
しかしながら、TfR標的化には欠点がある。例えば、TfRを利用してBBBを通過する治療用抗体を作製するためには、第2の結合ドメインを、例えば、ノブインホール(knob-in-hole)、二重可変ドメイン、またはクロスmAb技術を含む多数の多重特異性技術のうちの1つを介して伝統的なIgGに導入しなければならない。これらの技術は、治療用抗体の開発に費用と複雑さの両方を加える。さらに、TfRはいくつかの組織で発現され、この受容体の標的化は、いくつかの潜在的な安全性の責務を導入し得る。例えば、TfRの標的化は、網状赤血球の減少を引き起こし得る(Couch、Yuら 2013)。このリスクは、様々なエフェクター減弱技術を使用することによって軽減され得る(Couch、Yuら 2013、Lo、Kimら 2017)。しかしながら、抗体エフェクター機能がいくつかのAベータ標的化抗体の作用機序において役割を果たすことが提案されているので、エフェクター減弱は、アミロイド標的化抗体、ならびに他の抗原を標的化する抗体の有効性を制限する可能性がある。
多数の生物学的抗体受容体が、Fc-ガンマ受容体および胎児性Fc受容体(FcRn)などのIgG分子と相互作用することができる(GhetieおよびWard 2002、Challa、Velmuruganら 2014)。FcRnは、FcRnアルファ鎖としても知られるFCGRTと、ベータ-2ミクログロブリン(β2M)の2つのサブユニットで構成されるヘテロ二量体タンパク質複合体である。ヒトでは、FcRnは、いくつかの造血細胞、腎臓細胞、腸および上気道上皮細胞、ならびにBBBに位置するものを含む正常な内皮細胞上で発現される(RoopenianおよびAkilesh 2007、Challa、Velmuruganら 2014)。発達中、FcRnは胎盤関門を通過するIgG分子の輸送を促進し、乳児期には、FcRnは腸上皮細胞を通過する母乳からのIgGの輸送を促進する。成人では、FcRnの主な機能は、IgGのエンドソーム再循環およびその結果としてのIgG血清半減期の持続を媒介することにある。FcRnは、胎盤、肝臓(肝細胞およびクッパー細胞を含む)、小腸(頂端腸細胞、杯細胞および陰窩の腸細胞を含む)、大腸(頂端腸細胞、杯細胞、陰窩の腸細胞、結腸および直腸を含む)、口腔上皮、鼻咽頭、上気道(肺上皮細胞を含む)、腎臓上皮細胞、内皮細胞、脳内皮細胞、脊髄、大脳皮質、脈絡叢、くも膜絨毛、骨、リンパ節、扁桃腺、脾臓、甲状腺、単球、マクロファージ、樹状細胞、Bリンパ球、NK細胞、副腎、乳房、膵臓、ランゲルハンス島、胆嚢、前立腺、膀胱、皮膚、子宮、卵巣、精巣、精嚢および脂肪組織を含む様々な組織および細胞型で発現される。
IgGのFcRnへの結合はpHによって調節される。血清中などの生理学的pHではIgGのFcRnへの結合は事実上存在しないが、エンドソーム中などの酸性pHでは、IgGのFcRnに対する親和性が増強される(KuoおよびAveson、2011)。エンドソーム中の酸性pHでのFcRnへのこの増強された結合は、ピノサイトーシスを受けた抗体の捕捉をもたらし、リソソーム分解を防止し、血清中の抗体レベルを維持する(GhetieおよびWard、2002)。研究努力により、酸性pHでのFcRnへの結合の増強の結果として、改善された薬物動態特性を有する抗体Fcバリアントが同定された(Hinton、Johlfsら2004、Dall’Acqua、Kienerら2006、Hinton、Xiongら2006、Petkova、Akileshら2006、Datta-Mannan、Witcherら2007、Yeung、Leabmanら2009、Zalevsky、Chamberlainら 2010)。生理学的pHと酸性pHの両方でFcRnへの結合を改善するいくつかのFcバリアントが同定されている(Hinton、Johlfsら2004、Dall’Acqua、Kienerら2006、Hinton、Xiongら 2006、Yeung、Leabmanら 2009、Igawa、Maedaら 2013)。しかしながら、これらのFcバリアントのいくつかは、抗体クリアランスの増強ももたらし得る(Dall’Acqua、Woodsら、2002、Vaccaro、Zhouら、2005、Igawa、Maedaら、2013、Borrok、Wuら、2015)。
以前の研究は、FcRnが脳への抗体の輸送において限られた機能を有することを示唆しており(AbuqayyasおよびBalthasar、2013)、実際、直接頭蓋内抗体注入を用いた実験は、FcRnが脳からの抗体の輸送を促進するように機能することを示した(Cooper、Ciambroneら、2013)。
改変Fcを含み、改善された脳取り込みを有する抗体およびFcコンジュゲートが本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、対象の神経障害を処置する方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。いくつかの実施形態では、神経障害は、ニューロパチー障害、神経変性疾患、脳障害、がん、眼疾患障害、発作障害、リソソーム蓄積症、アミロイドーシス、ウイルス性または微生物性疾患、虚血、行動障害、およびCNS炎症から選択される。いくつかの実施形態では、神経障害は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、神経変性疾患は、レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、アミロイドーシス、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、アミロイドーシス、タウオパチー、アルツハイマー病、核上性麻痺、プリオン病、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病および致死性家族性不眠症から選択される。
いくつかの実施形態では、抗体を対象の脳に送達する方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、抗体への脳曝露を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、血液脳関門(BBB)を通過する抗体の輸送を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含み、インビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である単離抗体が提供される。
いくつかの実施形態では、抗体は、野生型IgG Fcを含む同じ抗体に標準化された場合、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、抗体は、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、インビトロトランスサイトーシスアッセイは、FcRnを発現する細胞を含む。いくつかの実施形態では、FcRnは、ヒトFcRnである。いくつかの実施形態では、細胞は、MDCK II細胞である。
いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含む抗体は、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体の結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含む抗体は、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体の結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含む抗体は、10μM以下、5μM以下、4μM以下、3μM以下、2μM以下、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下のpH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含む抗体は、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM未満のpH6でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、pH7.4でのFcRnに対する改変IgG Fcを含む抗体の親和性の、pH6でのFcRnに対する改変IgG Fcを含む抗体の親和性に対する比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である。
いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含む抗体は、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、252Yおよび434Yを含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、配列番号1~4から選択される配列の1つまたは複数の改変を含む。いくつかの実施形態では、IgG Fcは、IgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、IgG Fcは、IgG4 Fcである。
いくつかの実施形態では、抗体は、脳抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、ベータ-セクレターゼ1(BACE1)、アミロイドベータ(Aベータ)、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、タウ、アポリポタンパク質E(ApoE)、アルファ-シヌクレイン、CD20、ハンチンチン、プリオンタンパク質(PrP)、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、ガンマセクレターゼ、細胞死受容体6(DR6)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、インターロイキン6受容体(IL6R)、インターロイキン1ベータ(IL1β)、カスパーゼ6、骨髄細胞に発現する誘発性受容体2(TREM2)、C1q、対になった免疫グロブリン様2型受容体アルファ(PILRA)、CD33、インターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNFR1)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーIB(TNFR2)およびアポリポタンパク質J(ApoJ)から選択される脳抗原に結合に結合する。
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗体断片である。
いくつかの実施形態では、抗体は、イメージング剤にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗体は、神経障害薬にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、神経障害薬は、アプタマー、抑制性核酸、リボザイム、および小分子から選択される。
いくつかの実施形態では、神経障害を処置する方法であって、改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。いくつかの実施形態では、神経障害は、ニューロパチー障害、神経変性疾患、がん、眼疾患障害、発作障害、リソソーム蓄積症、アミロイドーシス、ウイルス性または微生物性疾患、虚血、行動障害、およびCNS炎症から選択される。いくつかの実施形態では、神経障害は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、神経変性疾患は、レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、タウオパチー、アルツハイマー病、核上性麻痺、プリオン病、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病および致死性家族性不眠症から選択される。
いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートを対象の脳に送達する方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートへの脳曝露を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、血液脳関門(BBB)を通過するFcコンジュゲートの輸送を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含み、インビトロトランスサイトーシスアッセイで活性であるFcコンジュゲートが提供される。
いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、野生型IgG Fcを含む同じFcコンジュゲートに標準化された場合、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、インビトロトランスサイトーシスアッセイは、FcRnを発現する細胞を含む。いくつかの実施形態では、FcRnは、ヒトFcRnである。いくつかの実施形態では、細胞は、MDCK II細胞である。
いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートは、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照Fcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートは、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照Fcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートは、1mM未満、または750nM未満、または500nM未満、または400nM未満、または300nM未満、または200nM未満、または100nM未満、または50nM~1mM、または100nM~1mM、または100nM~500nMのpH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートは、100nM未満、または90nM未満、または80nM未満、または70nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満、または10nM未満、または1nM~200nM、または10nM~200nM、または10nM~100nMのpH6でのFcRnに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、pH7.4でのFcRnに対する改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートの親和性の、pH6でのFcRnに対する改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートの親和性に対する比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である。
いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、252Yおよび434Yを含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む。いくつかの実施形態では、改変IgG Fcは、配列番号1~4から選択される配列の1つまたは複数の改変を含む。いくつかの実施形態では、IgG Fcは、IgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、IgG Fcは、IgG4 Fcである。
いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、治療用タンパク質に融合した改変IgG Fcを含む。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、受容体細胞外ドメインおよび酵素から選択される。いくつかの実施形態では、受容体細胞外ドメインは、TNF-R1細胞外ドメイン(ECD)、CTLA-4 ECD、およびIL-1R1 ECDから選択される。いくつかの実施形態では、酵素は、アルファ-L-イズロニダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-スルファターゼ、アルファ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、N-アセチル-ガラクトサミン-6-スルファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼB、ベータ-グルクロニダーゼ、酸性アルファ-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼA、ヘキソサミニダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、ベータ-ガラクトセレブロシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼA、酸性セラミダーゼ、アスパルトアシラーゼ、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1およびトリペプチジルアミノペプチダーゼ1から選択される。
いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、神経障害薬にコンジュゲートした改変IgG Fcを含む。いくつかの実施形態では、神経障害薬は、アプタマー、抑制性核酸、リボザイム、および小分子から選択される。いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、イメージング剤にコンジュゲートした改変IgG Fcを含む。
野生型マウスにおける抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1)、改変Fcを有する抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-YTE)、または対照抗gD hIgG1抗体(抗gD)の薬物動態および薬力学を示す図である。A)血漿抗体薬物動態;B)脳Aベータレベルによって測定される脳薬力学;C)脳抗体薬物動態。D)最大濃度(Cmax)および曲線下面積(AUC)を含む、野生型IgG1と比較したヒトIgG1 YTE改変抗体の脳における相対的抗体取り込み。
ヒト FCGRT(hFcRnアルファ鎖)を含み、マウスFcgrtを欠き(すなわち、FCGRF+/+Fcgrt-/-マウス)、hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック(Tg32)マウスにおける抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1)、改変Fcを有する抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-YTE)、または抗gD hIgG1抗体の薬物動態および薬力学を示す図である。A)血漿抗体薬物動態;B)脳Aベータレベルによって測定される脳薬力学;C)脳抗体薬物動態;D)ヒトIgG1 YTE改変抗体またはヒトIgG1野生型抗体の イン ビトロヒトおよびマウスFcRn結合特性。
実施例3に記載されるような、2つの異なるpHでのhFcRnに対するFcの突然変異を含むある特定のhIgG1抗体の結合親和性のプロットを示す図である。X軸は抗体のpH6親和性を示し、Y軸は抗体のpH7.4親和性を示す。
実施例3に記載されるような、ある特定のFc改変抗体の標準化されたトランスサイトーシス値のグラフである。破線より上のFc改変抗体は、有意に改善されたトランスサイトーシスを示した。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック(Tg32)マウスにおける改変Fcを含む抗gD hIgG1抗体の改善された脳曝露特性を示す図である。A)血清薬物動態(PK);B)脳PK;C)単回用量PKデータおよび親和性データの要約。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック(Tg32)マウスにおける改変Fcを有する抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-YQAY)の薬物動態および薬力学を示す図である。A)血清抗体濃度;B)脳薬物動態(PK);C)脳Aベータレベルによって測定される脳薬力学(PD);D)hFcRn親和性および脳PKデータの要約;E)脳PDデータの要約。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニックTg32(3>FCGRT+/+Fcgrt-/-)マウス;hFCGRTとmFCGRTの両方を発現するヘミ接合性(FCGRT+/-Fcgrt+/-)マウス;またはmFCGRTのみを発現する野生型(Fcgrt+/+)マウスに投与したD1(YY)およびQ95(YQAY)hIgG1改変Fc抗体の血漿薬物動態および結合親和性を示す図である。A)ホモ接合性Tg32マウスにおける血漿PK;B)ヘミ接合性Tg32(FCGRT+/-Fcgrt+/-)マウスにおける血漿PK;C)野生型(Fcgrt+/+)マウスにおける血漿PK;D)FcRn結合親和性データおよび野生型抗体と比較した各FC改変抗体の血漿AUCの比の要約。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニックTg32マウスにおける改変Fcを含む抗gD hIgG1抗体の脳薬物動態および脳抗体濃度を示す図である。A)脳PKデータ;B)投与7日後の脳抗体濃度;C)親和性データおよび野生型抗体と比較した各Fc改変抗体の脳AUCの比の要約。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック Tg32マウスにおける改変Fcを含む抗gD hIgG1抗体の肝臓曝露を示す図である。A)肝臓PKデータ;B)投与7日後の肝臓抗体濃度;C)親和性データおよび野生型抗体と比較した各Fc改変抗体の肝臓AUCの比の要約。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック Tg32マウスにおける改変Fcを含む抗gD hIgG1抗体の大腸曝露を示す図である。A)大腸PKデータ;B)投与7日後の大腸抗体濃度;C)親和性データおよび野生型抗体と比較した各Fc改変抗体の大腸AUCの比の要約。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック Tg32マウスにおける改変Fcを含む抗gD hIgG1抗体の肺曝露を示す図である。A)肺PKデータ;B)投与7日後の肺抗体濃度;C)親和性データおよび野生型抗体と比較した各Fc改変抗体の肺AUCの比の要約。
ヒトIgGサブクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の整列された配列(それぞれ配列番号1~4)を示す図である。IgG1との配列の違いを灰色で強調し、スラッシュで区切られた2つの残基の存在は、一般的な多型バリアントを示す。位置は、Rabat(SEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST、第5版、NIH publication、第91-3242号、E.A.Rabatら)に記載されるEUインデックスに従ってナンバリングされている。EUインデックスまたはEUナンバリングスキームは、Edelmanら、1969、Proc Nail Acad Sci USA 63:78~85に記載されるEU抗体のナンバリングを指す。
hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニック(Tg32)マウスにおける改変Fc(抗BACE1-YQAYおよび抗BACE1-YY)を有する抗BACE1抗体の薬物動態および薬力学を示す図である。A)血清抗体濃度;B)脳薬物動態(PK);C)脳Aベータレベルによって測定される脳薬力学(PD);D)hFcRn親和性、脳PKデータおよび脳PDデータの要約。
カニクイザルにおける抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1 WT)および改変Fcを有する抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-YEY、YQAY、YPY)の薬物動態および薬力学を示す図である。A)抗体投与後の様々な時点でのCSF中のsAPPβ/α比によって測定されるCNS薬力学。B)抗体投与後の様々な時点での血清抗体濃度。C)(B)のデータに基づく、0日目から7日目までの抗体血清曝露。
カニクイザルにおける抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1 WTまたは「WT」)および改変Fcを有する抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-YQAY、YY、YLYI、YIY)の薬物動態および薬力学を示す図である。A)抗体投与後の様々な時点でのCSF中のsAPPβ/α比によって測定されるCNS薬力学。B)2日目および7日目の脳組織からのsAPPβ/α比によって測定される脳薬力学。C)2日目および7日目のsAPPβ/αの比によって測定されるCSF対脳の薬力学。D)抗体投与後2日目および7日目の脳抗体濃度(皮質および海馬)。E)(B)のデータに基づく、2日目および7日目のhIgG1野生型と比較した脳抗体濃度の変化倍率。F)脳薬物動態と脳薬力学の相関。G)抗体投与後の様々な時点でのCSF抗体濃度。H)抗体投与後の様々な時点でのCSFおよび血清中の抗体濃度の比。I)抗体投与後の様々な時点での血清抗体濃度。J)(I)のデータに基づく抗体血清曝露。
示される用量でmFCGRTを発現するPS2APPマウスに投与した後の血漿(A)および小脳(B)中の抗AベータhIgG4抗体および改変Fcを有する抗AベータhIgG4抗体(抗AベータhIgG4-YTE)の濃度。C)示される用量でマウスに投与した後のPS2APPマウスの苔状線維海馬管におけるオリゴマーAベータに結合する抗AベータhIgG4(「Aベータ」)、抗AベータhIgG4 YTE(「AベータYTE」)および抗gD hIgG4。D)(C)で観察された染色レベルの棒グラフ。PS2APPマウスの海馬台(E)および前頭前皮質(F)におけるAベータプラークを標的化するための抗AベータhIgG4および抗AベータhIgG4 YTEの結合。
A)カニクイザルへの単回投与後2日目および7日目の抗AベータhIgG4野生型(「WT」)ならびに抗AベータhIgG4 YY、YQAYおよびYEY抗体の平均脳濃度。B)(A)のデータに基づく、2日目および7日目のhIgG4野生型と比較した脳抗体濃度の変化倍率。C)カニクイザルへの単回投与後の抗AベータhIgG4野生型(「WT」)ならびに抗AベータhIgG4 YY、YQAYおよびYEY抗体のCSF濃度。D)カニクイザルへの抗AベータhIgG4野生型(「WT」)ならびに抗AベータhIgG4 YY、YQAYおよびYEYの単回投与後のCSFおよび血清中の抗体濃度の比。E)カニクイザルへの投与後の抗AベータhIgG4野生型(「WT」)抗体および改変Fcを有する抗AベータhIgG4抗体(YY、YQAYおよびYEY)の血清薬物動態。F)(E)のデータに基づく抗体血清曝露。
A)抗BACE1 hIgG1抗体と改変Fcを有する抗AベータhIgG4抗体の両方についてのpH7.4での抗体血清曝露と抗体親和性との間の相関。B)抗BACE1 hIgG1抗体と改変Fcを有する抗AベータhIgG4抗体の両方についてのpH7.4での血清に対する脳への抗体分配と抗体親和性との間の相関。
これより本発明のある特定の実施形態を詳細に参照するが、それらの例は、添付の構造および式に例示されている。本発明は、列挙される実施形態と併せて説明されるが、それらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、全ての代替形、修正形および同等物を網羅することが意図されており、それらは、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれ得る。
当業者であれば、本発明の実施に使用することができる、本明細書に記載されるものに類似または同等である多数の方法および材料を理解するであろう。本発明は、決して記載される方法および材料に限定されるものではない。
そうでないと定義しない限り、本明細書で用いる技術的および科学的な用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有し、Singletonら(1994)Dictionary of Microbiology and Molecular Biology、第2版、J.Wiley&Sons、New York、NY、およびJaneway,C.、Travers,P.、Walport,M.、Shlomchik(2001)Immunobiology、第5版、Garland Publishing,New Yorkと一致する。
商品名が本明細書で使用される場合、出願人らは、商品名の製品配合物、ジェネリック医薬品、および商品名の製品の活性薬学的成分(複数可)を独立して含むことを意図している。
定義
特に明記しない限り、本明細書で使用される以下の用語および句は、以下の意味を有することを意図している:
「親和性」は、分子の単一の結合部位とその結合パートナーとの間の、合計の非共有性相互作用の強度を指す。特に示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原、またはIgG定常領域またはFcとFcRn)のメンバー間の1:1相互作用を反映する固有結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、平衡解離定数(K、YからのXの解離速度(kdまたはkoff)の、XのYに対する会合速度(kaまたはkon)に対する比である)によって表すことができる。1つまたは複数の抗体のその標的に対する親和性についての代用測定値は、抗体標的に対する既知のリガンドの結合を50%阻害するために抗体がどの程度必要であるかの尺度である、その半数阻害濃度(IC50)である。親和性は、本明細書に記載されるものを含め、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の例証的かつ例示的な実施形態が、本明細書に記載される。
「血液脳関門」または「BBB」は、脳毛細血管内皮細胞膜内のタイトジャンクションによって形成される末梢循環と脳および脊髄(すなわち、CNS)との間の生理学的障壁を指し、尿素(60ダルトン)などの非常に小さな分子であっても、脳への分子の輸送を制限するタイトな障壁を形成する。脳内の血液脳関門、脊髄内の血液脊髄関門、および網膜内の血液網膜関門は、CNS内の連続した毛細血管関門であり、本明細書ではまとめて血液脳関門またはBBBと呼ばれる。BBBはまた、血液-CSF関門(脈絡叢)を包含し、この関門は、毛細血管内皮細胞ではなく上衣細胞で構成される。
本明細書で互換的に使用される「アミロイドベータ」、「ベータ-アミロイド」、「Aベータ」、「アミロイドβ」、および「Aβ」という用語は、APPのβ-セクレターゼ1(「BACE1」)およびγ-セクレターゼ切断時に産生されるアミロイド前駆体タンパク質(「APP」)の断片、ならびにAβ1-40およびAβ1-42を含むがこれらに限定されないその修正形、断片および任意の機能的同等物を指す。Aβは、単量体形態で存在すること、ならびに会合してオリゴマーおよびフィブリル構造を形成することが知られており、これらはアミロイドプラークの構成メンバーとして見出され得る。そのようなAβペプチドの構造および配列は当業者に周知であり、前記ペプチドを作製する方法、または脳および他の組織からそれらを抽出する方法は、例えば、GlennerおよびWong、Biochem Biophys Res.Comm.129:885~890(1984)に記載されている。さらに、Aβペプチドは、様々な形態で市販もされている。
「抗Aベータ免疫グロブリン」、「抗Aベータ抗体」および「Aベータに結合する抗体」は、本明細書で互換的に使用され、ヒトAベータに特異的に結合する抗体を指す。抗Aベータ抗体の非限定的な例は、クレネズマブである。抗Aベータ抗体の他の非限定的な例は、以下の刊行物に開示されているソラネズマブ、バピネズマブ、ガンテネルマブ、アデュカヌマブ、ポネズマブおよび任意の抗Aベータ抗体である:国際公開第2000162801号パンフレット、国際公開第2002046237号パンフレット、国際公開第2002003911号パンフレット、国際公開第2003016466号パンフレット、国際公開第2003016467号パンフレット、国際公開第2003077858号パンフレット、国際公開第2004029629号パンフレット、国際公開第2004032868号パンフレット、国際公開第2004032868号パンフレット、国際公開第2004108895号パンフレット、国際公開第2005028511号パンフレット、国際公開第2006039470号パンフレット、国際公開第2006036291号パンフレット、国際公開第2006066089号パンフレット、国際公開第2006066171号パンフレット、国際公開第2006066049号パンフレット、国際公開第2006095041号パンフレット、国際公開第2009027105号パンフレット。
「クレネズマブ」および「MABT5102A」という用語は、本明細書で互換的に使用され、単量体形態、オリゴマー形態およびフィブリル形態のAベータに結合し、CAS登録番号1095207に関連する特異的抗Aベータ抗体を指す。
本明細書で使用される「アミロイドーシス」という用語は、アミロイドもしくはアミロイド様タンパク質によって引き起こされるまたはこれらに関連する疾患および障害の群を指し、アミロイドプラークによるものを含む、単量体、フィブリルもしくは多量体状態、または3つの任意の組み合わせのアミロイド様タンパク質の存在または活性によって引き起こされる疾患および障害を含むが、これらに限定されない。そのような疾患には、続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシス、例えばアルツハイマー病(「AD」)などの神経障害、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、グアム・パーキンソン-認知症複合などの認知記憶能力の喪失を特徴とする疾患または症状、ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、封入体筋炎(IBM)、成人発症糖尿病、内分泌腫瘍および老人性心アミロイドーシスなどのアミロイド様タンパク質に基づくまたはそれに関連する他の疾患、ならびにベータアミロイド沈着による黄斑変性、ドルーゼン関連視神経症、緑内障および白内障を含む様々な眼疾患を含むがこれらに限定されない疾患が含まれる。
緑内障は、視神経症の特徴的なパターンの網膜神経節細胞(RGC)の喪失を伴う視神経の疾患群である。RGCは、眼から脳へ視覚信号を伝達する神経細胞である。アポトーシスプロセスにおける2つの主要な酵素である、カスパーゼ-3およびカスパーゼ-8は、RGCのアポトーシスをもたらすプロセスにおいて活性化される。カスパーゼ-3は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を切断して、Aベータを含む神経毒性断片を産生する。APPの保護効果がなければ、網膜神経節細胞層におけるAベータ蓄積は、RGCの死および不可逆的な視力喪失をもたらす。
緑内障は、常にではないが、多くの場合、眼圧上昇を伴い、これは、房水の循環の閉塞またはその排液の結果であり得る。眼圧上昇は緑内障を発症する重大な危険因子であるが、緑内障を引き起こす決定要因となる眼圧の閾値を定義することはできない。損傷はまた、重要な視神経線維への血液供給不足、神経の構造の脆弱性、および/または神経線維自体の健康の問題によって引き起こされ得る。未処置の緑内障は、視神経の永続的な損傷および結果としての視野喪失をもたらし、失明に進行し得る。
「中枢神経系」または「CNS」は、身体機能を制御する神経組織の複合体を指し、脳および脊髄を含む。
本明細書で使用される「神経障害」は、CNSを冒すおよび/またはCNSに病因を有する疾患または障害を指す。例示的なCNS疾患または障害には、ニューロパチー、アミロイドーシス、がん、眼疾患または障害、ウイルスまたは微生物感染症、炎症、虚血、神経変性疾患、発作、行動障害、およびリソソーム蓄積症が含まれるが、これらに限定されない。本出願の目的のために、CNSは、通常は血液網膜関門によって身体の残りの部分から隔離されている眼を含むと理解される。神経障害の具体例には、神経変性疾患(レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、タウオパチー(アルツハイマー病および核上性麻痺を含むがこれらに限定されない)、プリオン病(ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病および致死性家族性不眠症を含むがこれらに限定されない)、球麻痺、運動ニューロン疾患、および神経系ヘテロ変性障害(カナバン病、ハンチントン病、神経セロイドリポフスチン症、アレキサンダー病、トゥレット症候群、メンケス候群、コケイン症候群、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ラフォラ病、レット症候群、肝レンズ核変性症、レッシュ・ナイハン症候群およびウンフェルリヒト・ルントボルク病を含むがこれらに限定されない)、認知症(ピック病および脊髄小脳失調症を含むがこれらに限定されない)、がん(例えば、体の他の場所のがんから生じた脳転移を含む、CNSのもの)が含まれるがこれらに限定されない。
「神経障害薬」は、1つまたは複数の神経障害を処置する薬物または治療薬である。本発明の神経障害薬には、抗体、ペプチド、タンパク質、1つまたは複数のCNS標的の天然リガンド、1つまたは複数のCNS標的の天然リガンドの改変バージョン、アプタマー、抑制性核酸(すなわち、低分子抑制性RNA(siRNA)および短ヘアピンRNA(shRNA))、リボザイム、および小分子、または前記のいずれかの活性断片が含まれるが、これらに限定されない。本発明の例示的な神経障害薬は本明細書に記載されており、それ自体であるか、あるいは限定されないが、アミロイド前駆体タンパク質またはその一部、アミロイドベータ、ベータ-セクレターゼ、ガンマ-セクレターゼ、タウ、アルファ-シヌクレイン、パーキン、ハンチンチン、DR6、プレセニリン、ApoE、神経膠腫または他のCNSがんマーカー、およびニューロトロフィンなどのCNS抗原または標的分子を特異的に認識するおよび/またはそれらに作用する(すなわち、阻害する、作動させるもしくは検出する)抗体、アプタマー、タンパク質、ペプチド、抑制性核酸および小分子ならびに前記のいずれかの活性断片を含むがこれらに限定されない。神経障害薬およびそれらを使用して処置することができる障害の非限定的な例を以下の表1に提供する:
Figure 2022514290000002
「イメージング剤」は、その存在および/または位置を直接的または間接的に検出することを可能にする1つまたは複数の特性を有する化合物である。そのようなイメージング剤の例には、検出を可能にする標識部分を組み込んだタンパク質および小分子化合物が含まれる。
「CNS抗原」または「脳抗原」は、抗体または小分子で標的化することができる、脳を含むCNSで発現される抗原である。そのような抗原の例には、限定されないが、ベータ-セクレターゼ1(BACE1)、アミロイドベータ(Aベータ)、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、タウ、アポリポタンパク質E4(ApoE4)、アルファ-シヌクレイン、CD20、ハンチンチン、プリオンタンパク質(PrP)、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、ガンマセクレターゼ、細胞死受容体6(DR6)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、インターロイキン6受容体(IL6R)、インターロイキン1ベータ(IL1β)、カスパーゼ6、骨髄細胞に発現する誘発性受容体2(TREM2)、C1q、対になった免疫グロブリン様2型受容体アルファ(PILRA)、CD33、インターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNFR1)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーIB(TNFR2)およびアポリポタンパク質J(ApoJ)が含まれる。一実施形態では、抗原は、BACE1である。
本明細書で使用される「BACE1」という用語は、別段の指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然のベータ-セクレターゼ1([3部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素1、膜結合型アスパラギン酸プロテアーゼ2、メマプシン2、アスパルチルプロテアーゼ2またはAsp2とも呼ばれる)を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないBACE1、および細胞におけるプロセシングから生じるBACE1の任意の形態を包含する。この用語は、BACE1の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアントまたは対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なBACE1ポリペプチドのアミノ酸配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVassarら、Science 286:735~741(1999)に報告されているヒトBACE1、アイソフォームAの配列である。アイソフォームB、CおよびDを含むヒトBACE1のいくつかの他のアイソフォームが存在する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUniProtKB/Swiss-Prot Entry P56817を参照されたい。
「抗ベータセクレターゼ抗体」、「抗BACE1抗体」、「ベータ-セクレターゼに結合する抗体」および「BACE1に結合する抗体」という用語は、抗体がBACE1の標的化において診断剤および/または治療剤として有用になるように十分な親和性でBACE1に結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗BACE1抗体が非関連非BACE1タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、抗体のBACE1への結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、BACE1に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の平衡解離定数(K)を有する。ある特定の実施形態では、抗BACE1抗体は、異なる種のBACE1およびアイソフォーム間で保存されているBACE1のエピトープに結合する。他の実施形態では、BACE1の触媒ドメインの外側に位置するBACE1内のエキソサイトに結合する抗体が提供される。一実施形態では、BACE1との結合について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kornackerら、Biochem.44:11567~11573(2005)で同定されたペプチド(すなわち、ペプチド1、2、3、1-11、1-10、1-9、1-8、1-7、1-6、2-12、3-12、4-12、5-12、6-12、7-12、8-12、9-12、10-12、4、5、6、5-10、5-9、スクランブル、Y5A、P6A、Y7A、F8A、19A、P10AおよびL1 1A)と競合する抗体が提供される。非限定的な例示的抗BACE1抗体は、例えば、国際公開第2012/064836号パンフレットおよび国際公開第2016/081639号パンフレットに記載されている。
本明細書における「天然配列」タンパク質は、天然に存在するタンパク質のバリアントを含む、天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質を指す。本明細書で使用される用語は、その天然源から単離されるタンパク質、または組換え作製されるタンパク質を含む。
本明細書の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、種々の抗体構造を包含し、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを含むが、これらに限定されない。
本明細書における「参照抗体」は、試験抗体の特徴を欠く抗体である。いくつかの実施形態では、Fc改変抗体に対する参照抗体は、同じ可変領域を有し、同じアイソタイプであるが、Fc改変を欠く抗体である。いくつかの実施形態では、Fc改変抗体に対する参照抗体は、同じ可変領域およびアイソタイプを有するが、野生型Fcを有する抗体である。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は当技術分野で周知であり(例えば、Nelson、MAbs(2010)2(1):77~83参照)、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、およびFv;ダイアボディ;線状抗体;単鎖抗体分子(単鎖可変断片(scFv)、リンカーを含むもしくは含まない軽鎖および/または重鎖抗原結合ドメインの融合物(および任意にタンデム)を含むがこれらに限定されない);および抗体断片から形成された単一特異性または多重特異性抗原結合分子(Fcを欠く複数の可変ドメインから構築された多重特異性抗体を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集合から得られる抗体を指す。すなわち、集団を構成する個々の抗体が、同一である、および/または同じエピトープに結合するが、ただし、例えば、天然に存在する変異またはモノクローナル抗体の作製中に生じ得る変異を含む、可能なバリアントは除く。そのようなバリアントは、一般的に、少量存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と比べて、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(例えば、Kohlerら、Nature、256:495(1975)参照)、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書参照)、ファージディスプレイ法(例えば、Clacksonら、Nature,352:624~628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581~597(1991))、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製され得、そのような方法およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法は本明細書に記載されている。本明細書におけるモノクローナル抗体の具体例には、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体(それらの抗原結合断片を含む)が含まれる。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにそれらが所望される生物学的活性を呈する限りはそのような抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号明細書、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851~6855(1984))。
本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義される、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、またはアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列に対して、配列が同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication 91~3242、Bethesda MD(1991)、第1~3巻にあるようなサブグループである。一実施形態では、VLについて、サブグループは、上記のKabatらにあるようなサブグループカッパIである。一実施形態では、VHについて、サブグループは、上記のKabatらにあるようなサブグループIIIである。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体由来の最小限の配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト抗体(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、もしくは非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置き換えられる。例えば、ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに相当し、フレームワーク領域(FR)の全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに相当する。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFR残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでもよい。これらの改変を行って、抗体性能をさらに改良する。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、上述のFR置換(複数可)を除いて、超可変領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体の超可変領域に対応し、かつFRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のFRである少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、任意に、抗体の定常領域、典型的には、ヒト抗体の定常領域の少なくとも一部分を含む。ある抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。さらなる詳細については、例えば、Jonesら、Nature 321:522~525(1986);Riechmannら、Nature 332:323~329(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596(1992)を参照されたい。
本明細書における「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生される抗体、またはヒト抗体レパートリもしくは他のヒト抗体コード配列を利用した非ヒト源由来の抗体のアミノ酸配列構造と対応するアミノ酸配列構造を含む抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特定的に除外する。そのような抗体は、免疫化で、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体を産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)による産生(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature,362:255~258(1993);Bruggermannら、Year in Immuno.、7:33(1993);ならびに米国特許第5,591,669号明細書、同第5,589,369号明細書および同第5,545,807号明細書参照);ヒト抗体またはヒト抗体断片を発現するファージディスプレイライブラリーからの選択(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552~553(1990);Johnsonら、Current Opinion in Structural Biology 3:564~571(1993);Clacksonら、Nature,352:624~628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.222:581~597(1991);Griffithら、EMBO J.12:725~734(1993);米国特許第5,565,332号明細書および同第5,573,905号明細書参照);インビトロ活性化B細胞を介した作製(米国特許第5,567,610号明細書および同第5,229,275号明細書参照);およびヒト抗体産生ハイブリドーマからの単離を含むがこれらに限定されない様々な技術によって同定または作製することができる。
本明細書における「多重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。多重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。2つ、3つ、またはそれ以上(例えば、4つ)の機能的な抗原結合部位を有する操作された抗体も企図される(例えば、米国特許出願公開第2002/0004587 A1号明細書、Millerら参照)。多重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。
本明細書における抗体は、変化した抗原結合または生物学的活性を有する「アミノ酸配列バリアント」を含む。そのようなアミノ酸変化の例には、抗原に対する増強された親和性を有する抗体(例えば「親和性成熟」抗体)、および存在する場合には変化したFcを含む、例えば変化した(増加または減少した)抗体依存性細胞傷害性(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を有する抗体(例えば、国際公開第00/42072号パンフレット、Presta,L.および国際公開第99/51642号パンフレット、Iduosogieら参照);および/または血清半減期の増加もしくは減少(例えば、国際公開第00/42072号パンフレット、Presta,L.参照)が含まれる。
「親和性改変バリアント」は、親和性を変化させる(増加または減少させる)親抗体(例えば、親キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つまたは複数の置換超可変領域またはフレームワーク残基を有する。そのような置換バリアントを作製するための簡便な方法は、ファージディスプレイを使用する。簡潔には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7つの部位)が、各部位に全ての可能なアミノ置換を生成するように突然変異される。このように作製された抗体バリアントは、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合物として糸状ファージ粒子からの一価様式で提示される。その後、ファージ提示バリアントは、それらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。改変の候補超可変領域部位を特定するために、アラニンスキャニング変異誘発を実施して、抗原結合に著しく寄与する超可変領域残基を同定することができる。あるいは、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と標的との間の接触点を特定することが有益であり得る。そのような接触残基および隣接残基は、本明細書に詳述される技術に従う置換の候補である。そのようなバリアントが作製されたら、バリアントのパネルがスクリーニングに供され、変化した親和性を有する抗体がさらなる開発のために選択され得る。
本明細書における改変IgG Fcまたは改変IgG Fcを含む抗体もしくは融合タンパク質を「異種分子」とコンジュゲートして、例えば半減期もしくは安定性を増加させる、または抗体を改善することができる。例えば、本明細書における改変IgG Fcまたは改変IgG Fcを含む抗体もしくは融合タンパク質は、多様な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーのうちの1つに連結され得る。いくつかの実施形態では、異種分子は、治療用化合物または可視化剤(すなわち、検出可能な標識)であり、IgG Fcは、BBBを通過してそのような異種分子を輸送するために使用されている。異種分子の例には、化学化合物、ペプチド、ポリマー、脂質、核酸、およびタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書における改変Fcは、Fcに結合した任意の炭水化物が、変化されている、存在/非存在下で改変されている、または型が改変されているように、「グリコシル化バリアント」であり得る。例えば、本抗体のFcに結合しているフコースを欠く成熟炭水化物構造を有する抗体が、米国特許出願公開第2003/0157108号明細書(Presta,L.)に記載されている。米国特許出願公開第2004/0093621号明細書(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)も参照されたい。抗体のFcに結合した炭水化物中の二分枝N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する抗体は、国際公開第2003/011878号パンフレット、Jean-Mairetら、および米国特許第6,602,684号明細書、Umanaらに言及されている。抗体のFcに結合したオリゴ糖中の少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体は、国際公開第1997/30087号パンフレット、Patelらに報告されている。そのFcに結合した変化した炭水化物を有する抗体に関する国際公開第1998/58964号パンフレット(Raju,S.)および国際公開第1999/22764号パンフレット(Raju,S.)も参照されたい。改変グリコシル化を有する抗体を記載している米国特許出願公開第2005/0123546号明細書(Umanaら)も参照されたい。例えば、この配列のAsnを任意の他のアミノ酸に変異させることによる、Proを298位に配置することによる、または299位をSerもしくはThr以外の任意のアミノ酸に改変することによる、Fc中のコンセンサスグリコシル化配列(297~299位のAsn-X-Ser/Thr(式中、Xはプロリンであることができない))の突然変異は、その位置でのグリコシル化を無効にするはずである(例えば、Fares A1-Ejehら、Clin.Cancer Res.(2007)13:5519s~5527s;ImperialiおよびShannon、Biochemistry(1991)30(18):4374~4380;Katsuri、Biochem J.(1997)323(Pt 2):415~419;Shakin-Eshlemanら、J.Biol.Chem.(1996)271:6363~6366参照)。
「超可変領域」または「HVR」という用語は、本明細書で使用される場合、配列において超可変性であり(「相補性決定領域」もしくは「CDR」)、および/または構造的に所定のループ(「超可変ループ」)を形成し、および/または抗原に接触する残基(「抗原接触」)を含有する抗体可変ドメインのそれぞれの領域を指す。一般的に、抗体は、6個のHVRを含み、VHに3個(H1、H2、H3)、VLに3個(L1、L2、L3)含む。
本発明の例示的なHVRとしては、以下のものが挙げられる:
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)および96~101(H3)で生じる超可変ループ(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901~917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)および95~102(H3)で生じるCDR(Rabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版 Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)および93~101(H3)で生じる抗原接触(MacCallumら J.Mol.Biol.262:732~745(1996));ならびに
(d)HVRアミノ酸残基46~56(L2)、47~56(L2)、48~56(L2)、49~56(L2)、26~35(H1)、26~35b(H1)、49~65(H2)、93~102(H3)および94~102(H3)を含む、(a)、(b)および/または(c)の組み合わせ。
別段の指示がない限り、HVR残基および可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、上記のRabatらに従ってナンバリングされている。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。可変ドメインのFRは、一般的に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3およびFR4からなる。したがって、HVR配列およびFR配列は、一般的に、VH(またはVL)の以下の配列に現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のFR残基を改変して、抗体の安定性を調節するか、または抗体の1つもしくは複数のHVRの三次元的位置を調節して、例えば結合を増強することができる。
「完全長抗体」は、抗原結合可変領域ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメインCH1、CH2およびCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、および「全抗体」という用語は、本明細書において、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFcを含有する重鎖を有する抗体を指すために互換的に使用される。
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分または放射性標識)にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、医薬製剤中に存在し得る。
「天然抗体」は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖で構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、これに3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、これに定常軽(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき)、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2種類のうちの1つに割り当てられ得る。
「エフェクター機能」は、補体経路の活性化以外の免疫系の活性化をもたらす抗体の生物学的活性を指す。そのような活性は、抗体のFc(本明細書では改変Fcなど)に主に見られる。エフェクター機能の例には、例えば、Fc受容体結合および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)が含まれる。一実施形態では、本明細書における改変Fcは、エフェクター機能を本質的に欠く。別の実施形態では、本明細書における改変Fcは、最小のエフェクター機能を保持する。エフェクター機能を改変または排除する方法は当技術分野で周知であり、エフェクター機能を排除するために1つまたは複数のアミノ酸位置でFcを改変すること(Fc結合嵌入:238、239、248、249、252、254、256、265、268、269、270、272、278、289、292、293、294、295、296、297、298、301、303、311、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、436、437、438および439位);Fcのグリコシル化を改変すること(野生型哺乳動物グリコシル化を許容しない環境で抗体を産生すること、既にグリコシル化された抗体から1つまたは複数の炭水化物基を除去すること、および1つまたは複数のアミノ酸位置でFcを改変して、抗体がそれらの位置でグリコシル化される能力を排除すること(N297GおよびN297AおよびD265Aを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない。
「補体活性化」機能、または「補体経路の活性化」を可能にするかもしくは誘発する抗体の特性は互換的に使用され、対象の免疫系の補体経路に関与するかまたはこれを刺激する抗体の生物学的活性を指す。そのような活性には、例えば、C1q結合および補体依存性細胞傷害性(CDC)が含まれ、抗体のFc部分と非Fc部分の両方によって媒介され得る。補体活性化機能を改変または排除する方法は当技術分野で周知であり、補体成分との相互作用または補体成分を活性化する能力を排除または低減するために、一つまたは複数のアミノ酸位置でFcを改変すること(C1q結合に関与することが知られている270、322、329および321位など)、および補体活性化を担う非Fcの一部を改変または排除すること(すなわち、132位のCH1領域を排除または改変すること(例えば、Vidarteら、(2001)J.Biol.Chem.276(41):38217~38223参照))を含むが、これらに限定されない。
アミノ酸配列に応じて、Fcドメインおよびそれらが一部である抗体は、異なる「クラス」に割り当てられ得る。Fcドメインには5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2へとさらに分けることができる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は、当技術分野で周知である。重鎖定常領域は、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。
本明細書で使用される「組換え抗体」という用語は、抗体をコードする核酸を含む組換え宿主細胞によって発現される抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体もしくはヒト抗体またはその抗原結合断片)を指す。
本明細書で使用される「組換えタンパク質」という用語は、タンパク質をコードする核酸を含む組換え宿主細胞によって発現されるタンパク質(本明細書の改変Fcを含むFcコンジュゲートなど)を指す。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の後代を含む。宿主細胞には、初代形質転換細胞および継代数にかかわらずこれに由来する後代を含む、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれる。後代は、核酸含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよいが、突然変異を含有していてもよい。元々の形質転換された細胞についてスクリーニングされるかまたは選択されるのと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異体後代は、本発明に含まれる。組換え抗体およびタンパク質を産生するための「宿主細胞」の例には、以下が含まれる:(1)哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、COS、骨髄腫細胞(Y0およびNS0細胞を含む)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、HelaおよびVero細胞;(2)昆虫細胞、例えばsf9、sf21およびTn5;(3)植物細胞、例えばタバコ属(Nicotiana)に属する植物(例えば、タバコ(Nicotiana tabacum);(4)酵母細胞、例えばサッカロミセス属(Saccharomyces)に属するもの(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))またはアスペルギルス属(Aspergillus)に属するもの(例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger));(5)細菌細胞、例えば大腸菌(Escherichia coli)細胞または枯草菌(Bacillus subtilis)細胞など。
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する(specifically binding)」または「特異的に結合する(binds specifically)」は、抗原に選択的または優先的に結合する抗体を指す。結合親和性は、一般に、スキャチャード解析または表面プラズモン共鳴技術(例えば、BIACORE(登録商標)を使用)などの標準的なアッセイを使用して決定される。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する。
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞機能を阻害もしくは防止し、および/または細胞死もしくは破壊を引き起こす物質を指す。細胞傷害剤には、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体);化学療法剤または薬物(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤);成長阻害剤;酵素およびその断片、例えば核分解酵素;抗生物質;細菌、真菌、植物または動物由来の低分子毒素または酵素的活性毒素などの毒素(その断片および/またはバリアントを含む);ならびに本明細書に開示される様々な抗腫瘍剤または抗がん剤が含まれるが、これらに限定されない。
薬剤、例えば、医薬製剤の「有効量」は、必要な投与量で、かつ期間にわたって、所望の治療的または予防的結果を達成するのに有効な量を指す。
「Fc領域」または「Fc」という用語は、本明細書では、pH6、pH7.4、またはpH6とpH7.4の両方でFcRnに結合するのに十分な重鎖定常ドメインCH2およびCH3、または重鎖定常ドメインCH2およびCH3の一部を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fcおよび改変Fcを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG重鎖Fcは、Cys226またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。一方、FcのC末端リジン(Lys447)は、存在してもよく、または存在しなくてもよい。本明細書で特に明記されない限り、Fcまたは定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service,National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991に記載される、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。例示的なヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4 Fcアミノ酸配列を図12および配列番号1~4に示す。いくつかの実施形態では、Fcを含む抗体は、重鎖定常ドメインCH1およびヒンジも含む。
本明細書で使用される「FcRn受容体」または「FcRn」という用語は、ヒトもしくは霊長類の胎盤または卵黄嚢(ウサギ)を介した胎児への、および初乳から小腸を介した新生児への母体IgGの移行に関与することが知られているFc受容体(「n」は新生児を示す)を指す。FcRnは、IgG分子に結合し、それらを血清中に再利用することによって、一定の血清IgGレベルの維持に関与することも知られている。
「コンジュゲート」は、1つまたは複数の異種分子にコンジュゲートした抗体またはFcである。「イムノコンジュゲート」は、1つまたは複数の異種分子にコンジュゲートした抗体である。「Fcコンジュゲート」は、1つまたは複数の異種分子にコンジュゲートしたFcである。そのような異種分子の非限定的な例には、タンパク質、酵素、標識および細胞傷害剤が含まれる。任意に、そのようなコンジュゲーションは、リンカーを介する。いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、Fcが連続アミノ酸配列として異種タンパク質に融合されている「Fc融合物」である。
本明細書で使用される「リンカー」は、第1の分子を第2の分子に共有結合的または非共有結合的に接続する構造である。ある特定の実施形態では、リンカーは、ペプチドである。他の実施形態では、リンカーは、化学リンカーである。
「標識」は、本明細書の抗体と結合し、検出またはイメージングに使用されるマーカーである。そのような標識の例には、放射性標識、フルオロフォア、発色団またはアフィニティータグが含まれる。一実施形態態では、標識は、医用画像に使用される放射性標識、例えば、tc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)画像法(磁気共鳴画像法、mriとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、この場合もやはりヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、鉄などである。
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、飼い馴らされた動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、個体または対象は、ヒトである。
「単離」抗体は、その自然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)法によって決定される場合、純度が95%より大きく、または99%より大きくなるまで精製される。抗体純度を評価する方法の総説については、例えば、Flatmanら、J.Chromatogr.B848:79~87(2007)を参照されたい。
「単離核酸」は、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離核酸は、元々その核酸分子を含む細胞に含まれているが、その核酸分子が、染色体外に存在するか、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する核酸分子を含む。
「抗体をコードする単離核酸」は、抗体重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子を指し、単一のベクターまたは別個のベクター内の核酸分子(複数可)を含み、そのような核酸分子(複数可)は、宿主細胞内の1つまたは複数の場所に存在する。
「パッケージ添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、そのような治療製品に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌および/または警告に関する情報を含む。
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列をアライメントし、配列同一性最大パーセントを得るのに必要な場合はギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の部分として考慮せずに、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当業者が備えている技能の範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大アラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含め、配列をアラインメントするのに適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書では目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成されており、ソースコードは、U.S.Copyright Office(Washington D.C.、20559)のユーザドキュメンテーションにファイルされており、米国著作権登録番号TXU510087に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco、California)から公的に入手可能であり、またはそのソースコードからコンパイルされてもよい。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含め、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、かつ変わらない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に採用されている状況においては、(あるいは所与のアミノ酸配列Bに対する、配列Bとの、または配列Bに対向するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するかまたは含む所与のアミノ酸配列Aとして購入することができる)所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bに対する、配列Bとの、または配列Bに対向するアミノ酸配列同一性%は、次のように計算される:
分数X/Yの100倍
(式中、Xは、AおよびBのこのプログラムのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって同一性マッチとしてスコアリングされたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の合計数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解されよう。特に具体的に明記しない限り、本明細書で使用されるアミノ酸配列同一性%値は全て、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して直前の段落に記載されるように得られる。
「医薬製剤」という用語は、その中に含まれる有効成分の生物学的活性を有効にし、製剤が投与される対象にとって受け入れられないほど毒性である更なる構成成分を含まないような形態である調製物を指す。
「薬学的に許容され得る担体」は、対象に非毒性の、有効成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「処置」(およびその文法的な変形語、例えば、「処置する」または「処置すること」)は、処置される個体の本来の経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の経過の間に行うことができる。処置の所望の効果には、疾患の発症または再発を予防すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行速度を低下させること、病状の寛解または緩和、および回復または改善された予後が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるために、または疾患の進行を遅らせるために使用される。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗原に対する抗体の結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、一般的に、類似の構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む。(例えば、Kindtら、Kuby Immunology、第6版、W.H.Freeman and Co.、91頁(2007)参照)。抗原結合特異性を与えるために、単一のVHまたはVLドメインで十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体のVHまたはVLドメインを使用し、それぞれ、相補的VLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングして、単離してもよい。例えば、Portolanoら、J.Immunol.150:880~887(1993)、Clarksonら、Nature 352:624~628(1991)を参照されたい。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を増殖することができる核酸分子を指す。本用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、およびベクターが導入された宿主細胞のゲノム内へと組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と呼ばれる。
1.組成物および方法
A.抗体およびFcコンジュゲート
一態様では、本発明は、部分的に、BBBを通過して所望の分子を輸送するために使用することができる改変Fcに基づく。ある特定の実施形態では、改変Fcを含む抗体が提供される。ある特定の実施形態では、改変Fcを含むFcコンジュゲートが提供される。いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、治療用タンパク質および/または検出可能なタンパク質などのタンパク質に融合した本明細書で提供される改変Fcを含む。そのような実施形態では、Fcコンジュゲートは「Fc融合物」と呼ばれ得る。本発明の抗体およびFcコンジュゲートは、例えば、脳および/またはCNSに影響を及ぼす疾患の診断または処置に有用である。
A.例示的な改変Fc
改変Fcを含む抗体およびFcコンジュゲートが本明細書で提供され、抗体およびFcコンジュゲートは、インビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である。いくつかの実施形態では、改変Fcを含む抗体およびFcコンジュゲートは、改善された脳取り込みを有する。いくつかの実施形態では、改変Fcは、対象の脳または中枢神経系への抗体またはFcコンジュゲートの送達を改善するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書の改変Fcは、血液脳関門(BBB)を通過する輸送を改善する。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、野生型IgG Fcを含む同じ抗体またはFcコンジュゲートに標準化された場合、少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。非限定的な例示的なトランスサイトーシスアッセイが、本明細書のアッセイの節に記載される。いくつかの実施形態では、インビトロトランスサイトーシスアッセイは、FcRnを発現する細胞を含む。いくつかの実施形態では、FcRnは、ヒトFcRnである。いくつかの実施形態では、細胞は、MDCK II細胞である。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体またはFcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRn(例えば、ヒトFcRn)に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体またはFcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRn(例えば、ヒトFcRn)に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、10μM以下、5μM以下、4μM以下、3μM以下、2μM以下、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下のpH7.4でのFcRn(例えば、ヒトFcRn)に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcを含むある特定の抗体およびFcコンジュゲートは、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下のpH6でのFcRn(例えば、ヒトFcRn)に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、pH7.4でのFcRn(例えば、ヒトFcRn)に対する改変IgG Fcを含む抗体またはFcコンジュゲートの親和性の、pH6でのFcRn(例えば、ヒトFcRn)に対する改変IgG Fcを含む抗体またはFcコンジュゲートの親和性に対する比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である。
様々な実施形態では、本明細書で提供される改変Fcは、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの実施形態では、改変Fcは、252Yおよび434Yを含む。いくつかの実施形態では、改変Fcは、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む。いくつかの実施形態では、改変Fcは、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む。いくつかの実施形態では、改変Fcは、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む。いくつかの実施形態では、改変Fcは、配列番号1~4から選択されるIgG配列の1つまたは複数の改変を含む。いくつかの実施形態では、改変Fcは、IgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、改変Fcは、IgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、IgG Fcは、IgG2またはIgG3 Fcである。
いくつかの実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートの文脈で、少なくとも30の標準化されたトランスサイトーシススコアを有する改変Fcが提供される。そのような改変Fcの非限定的な例には、以下の突然変異のセットを含む改変Fcが含まれる:252W/434W;252Y/434Y;252Y/286E/434Y;252Y/307Q/434Y;252Y/308P/434Y;252Y/311A/434Y;252Y/311I/N434Y;252Y/428L/434Y;252Y/433K/434Y;252Y/434Y/436I;286E/311A/434Y;286E/311I/434Y;286E/433K/434Y;286E/434Y/436I;307Q/286E/434Y;307Q/311A/434Y;307Q/311I/434Y;307Q/433K/434Y;307Q/434Y/436I;311A/428L/434Y;311A/433K/434Y;311I/433K/434Y;433K/434Y/436I;252Y/307Q/311A/434Y;252Y/307Q/311I/434Y;252Y/307Q/434Y/436I;252Y/311I/434Y/436I;252Y/311A/434Y/436I;252Y/428L/434Y/436I;252Y/307Q/428L/434Y;および252Y/311I/428L/434Y。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG2またはIgG3 Fcである。
いくつかの実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートの文脈で、少なくとも70の標準化されたトランスサイトーシススコアを有する改変Fcが提供される。そのような改変Fcの非限定的な例には、以下の突然変異のセットを含む改変Fcが含まれる:252W/434W;252Y/434Y;252Y/286E/434Y;252Y/307Q/434Y;252Y/308P/434Y;252Y/311A/434Y;252Y/311I/N434Y;252Y/428L/434Y;252Y/433K/434Y;252Y/434Y/436I;286E/311A/434Y;286E/311I/434Y;286E/434Y/436I;307Q/286E/434Y;307Q/311A/434Y;307Q/311I/434Y;307Q/433K/434Y;307Q/434Y/436I;311A/428L/434Y;311I/433K/434Y;433K/434Y/436I;252Y/307Q/311A/434Y;252Y/307Q/311I/434Y;252Y/307Q/434Y/436I;252Y/311I/434Y/436I;252Y/311A/434Y/436I;252Y/428L/434Y/436I;252Y/307Q/428L/434Y;および252Y/311I/428L/434Y。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG2またはIgG3 Fcである。
いくつかの実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートの文脈で、少なくとも100の標準化されたトランスサイトーシススコアを有する改変Fcが提供される。そのような改変Fcの非限定的な例には、以下の突然変異のセットを含む改変Fcが含まれる:252Y/307Q/434Y;252Y/311A/434Y;252Y/311I/N434Y;252Y/428L/434Y;252Y/433K/434Y;252Y/434Y/436I;286E/311A/434Y;307Q/311I/434Y;307Q/434Y/436I;311A/428L/434Y;311I/433K/434Y;252Y/307Q/311A/434Y;252Y/307Q/311I/434Y;252Y/307Q/434Y/436I;252Y/311I/434Y/436I;252Y/311A/434Y/436I;252Y/428L/434Y/436I;252Y/307Q/428L/434Y;および252Y/311I/428L/434Y。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、上に列挙される改変Fcは、改変IgG2またはIgG3 Fcである。
非限定的なさらなる改変Fcが提供され、例えば、本明細書中に記載されるインビトロトランスサイトーシスアッセイを使用して選択され得る。様々な例示的な改変Fcが当技術分野で公知であり、本明細書で抗体およびFcコンジュゲートに使用するためのインビトロトランスサイトーシスアッセイを使用して選択され得る。トランスサイトーシス活性についてアッセイされ得るそのような改変Fcの非限定的な例には、例えば、米国特許出願公開第2015/0050269号明細書および同第2013/0131319号明細書に記載されるものが含まれ、これらは、任意の目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1.改変Fc親和性
いくつかの実施形態では、pH7.4でFcRnについて10μM以下、5μM以下、4μM以下、3μM以下、2μM以下、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下の平衡解離定数(K)を有する改変Fcが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、pH7.4でFcRnについて100nM~10μMの間、または100nM~5μMの間、または100nM~2μMの間、または100nM~1μMの間の平衡解離定数(K)を有する改変Fcが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、pH6でFcRnについて1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下の平衡解離定数(K)を有する改変Fcが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、pH6でFcRnについて10nM~1μMの間、または10nM~750nMの間、または10nM~500nMの間、または10nM~200nMの間、または10nM~100nMの間の平衡解離定数(K)を有する改変Fcが本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcは、pH7.4でFcRnに結合し、pH6でFcRnに結合し、pH7.4での Kの、pH6でのKに対する比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、または少なくとも100である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される改変Fcは、pH7.4でFcRnに結合し、pH6でFcRnに結合し、pH7.4でのKのpH6でのKに対する比は、5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、または20~200である。
様々な実施形態では、FcRnは、ヒトFcRnである。
いくつかの実施形態では、Kは、表面プラズモン共鳴を使用して測定される。いくつかのそのような実施形態では、Kは、BIACORE(登録商標)-2000装置(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用して25℃で測定される。改変Fcは、例えば、400~1000 RUの表面密度でのプロテインL結合を通して、または10~100 RUの表面密度で抗ヒトFab捕捉チップを使用することによって固定化される。中性pH結合は、例えば、HBS-P(0.01 M HEPES pH7.4、0.15 M NaCl、0.005% v/v界面活性剤P20)で決定され得る。酸性pH結合は、例えば、MBS-P(0.01 M MESS pH7.5、0.15 M NaCl、0.005% v/v界面活性剤P20)で決定され得る。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、会合センサグラムおよび解離センサグラムを同時に適合することによって、1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン4.1)を使用して計算される。平衡解離定数(Kd)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chenら、J.Mol.Biol.293:865~881(1999)を参照されたい。あるいは、K値は、分析物濃度に対する定常状態の結合レベルの依存性から決定され得る。いくつかの実施形態では、いわゆる定常状態分析は、弱い相互作用から中程度の相互作用の測定に特に適している。
2.改変Fcバリアント
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される改変Fcのアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、改変Fcバリアントの結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。Fcのアミノ酸配列バリアントは、Fcをコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような改変には、例えば、Fcのアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはFcのアミノ酸配列内の残基への挿入、および/またはFcのアミノ酸配列内の残基の置換が含まれる。欠失、挿入および置換の任意の組み合わせは、最終構築物が、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終構築物に到達するように行うことができる。
a)置換、挿入および欠失バリアント
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有するFcバリアントが提供される。置換による変異誘発に関して目的の部位には、HVRおよびFRが含まれる。保存的置換は、表2Aに「好ましい置換」の見出しの下で示される。より実質的な変化は、表2Aに「例示的な置換」の見出しの下に示され、アミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。目的のFc中にアミノ酸置換を導入し、その産物を、所望の活性、例えば、減少した免疫原性、または減少したもしくは改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングすることができる。
表2A
Figure 2022514290000003
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従ってグループ分けされてもよい。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うだろう。
突然変異誘発の標的となり得るFcの残基または領域を特定するための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989年)Science、244巻:1081~1085に記載されるように「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、FcとFcRnの相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基または標的残基群(例えば、荷電残基、例えば、arg、asp、his、lysおよびglu)が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。あるいは、または加えて、FcとFcRnとの間の接触点を特定するためのFc-FcRn複合体の結晶構造。そのような接触残基および隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、または除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有するFcが含まれる。Fc分子の他の挿入バリアントには、FcのN末端またはC末端と酵素(例えば、ADEPTの場合)またはFcの血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
b)グリコシル化バリアント
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される改変Fcは、Fcがグリコシル化されている程度を増加または減少させるように変化する。Fcへのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位が作り出されるか、または除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
哺乳動物細胞によって産生される天然Fcは、典型的には、N結合によってFcのCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、WrightらTIBTECH 15:26~32(1997)を参照されたい。オリゴ糖は様々な炭水化物、例えばマンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトースおよびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」にあるGlcNAcに結合したフコースを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明のFc中のオリゴ糖の改変は、ある特定の改善された特性を有するFcバリアントを作成するために行われてもよい。
一実施形態では、Fcに(直接的または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有するFcバリアントが提供される。例えば、そのようなFc中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であってもよい。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号パンフレットに記載されるMALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、および高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fcの約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc残基のEUナンバリング);ただし、Asn297はまた、Fcのマイナーな配列変化のために、位置297の上流または下流、すなわち位置294と300の間の約±3個のアミノ酸に位置していてもよい。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号明細書(Presta,L.);同第2004/0093621号明細書(協和発酵工業株式会社)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠乏」Fcバリアントに関する刊行物の例には:米国特許出願公開第2003/0157108号明細書;国際公開第2000/61739号パンフレット;国際公開第第2001/29246号パンフレット;米国特許出願公開第2003/0115614号明細書;米国特許出願公開第2002/0164328号明細書;米国特許出願公開第2004/0093621号明細書;米国特許出願公開第2004/0132140号明細書;米国特許出願公開第2004/0110704号明細書;米国特許出願公開第2004/0110282号明細書;米国特許出願公開第2004/0109865号明細書;国際公開第2003/085119号パンフレット;国際公開第2003/084570号パンフレット;国際公開第2005/035586号パンフレット;国際公開第2005/035778号パンフレット;国際公開第2005/053742号パンフレット;国際公開第2002/031140号パンフレット;Okazakiら、J.Mol.Biol.、336巻:1239~1249頁(2004);Yamane-Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87巻:614頁(2004)が含まれる。脱フコシル化Fcを産生することができる細胞株の例には、タンパク質フコシル化が欠乏したLee 13 CHO細胞(Ripkaら Arch.Biochem.Biophys.249:533~545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号明細書、Presta,L;および国際公開第2004/056312 A1号パンフレット、Adams ら、特に実施例11)、およびノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnukiら Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.ら、Biotechnol.Bioeng.、94(4):680~688(2006);および国際公開第2003/085107号パンフレット参照)が含まれる。
例えば、Fcに結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を有するFcバリアントがさらに提供される。そのようなFcバリアントは、減少したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのようなFcバリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878号パンフレット(Jean-Mairetら);米国特許第6,602,684号明細書(Umanaら);および米国特許出願公開第2005/0123546号明細書(Umanaら)に記載されている。Fcに結合したオリゴ糖中の少なくとも1つのガラクトース残基を有するFcバリアントも提供される。そのようなFcバリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。そのようなFcバリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号パンフレット(Patelら);国際公開第1998/58964号パンフレット(Raju,S.);および国際公開第1999/22764号パンフレット(Raju,S.)に記載されている。
c)システイン操作Fcバリアント
ある特定の実施形態では、改変Fcの1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作Fcバリアントを作製することが望ましい場合がある。特定的な実施形態では、置換された残基は、改変Fcの接近可能な部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基が改変Fcの接近可能な部位に位置付けられ、それを使用して、改変Fcを他の部分(薬物部分またはリンカー-薬物部分など)にコンジュゲートして、本明細書にさらに記載されるFcコンジュゲートを作製することができる。システイン操作Fcは、例えば、米国特許第7,521,541号明細書および同第9,000,130号明細書に記載されるように作製され得る。
d)改変Fc誘導体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される改変Fcは、当技術分野で公知であり、容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するようにさらに改変され得る。改変Fcの誘導体化に適した部位には、水溶性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。このポリマーは、任意の分子量を有していてもよく、分岐していてもよく、または分岐していなくてもよい。改変Fcに結合したポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが結合している場合には、同じ分子であっても異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数および/またはタイプは、改善される改変Fcの特定の特性または機能、改変Fc誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうかを含むがこれらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る改変Fcおよび非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kamら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、102:11600~11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、改変Fc-非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅する温度まで非タンパク質性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
B.例示的な抗体
様々な実施形態では、本明細書の改変Fcを含む抗体が提供される。ある特定の態様では、改変Fcは、BBBを通過する抗体の輸送を改善し得る。いくつかの実施形態では、本明細書の改変Fcを含む抗体は、脳抗原に結合する。そのような脳抗原の非限定的な例には、ベータ-セクレターゼ1(BACE1)、アミロイドベータ(Aベータ)、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、タウ、アポリポタンパク質E(ApoE)、アルファ-シヌクレイン、CD20、ハンチンチン、プリオンタンパク質(PrP)、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、ガンマセクレターゼ、細胞死受容体6(DR6)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、インターロイキン6受容体(IL6R)、インターロイキン1ベータ(IL1β)、カスパーゼ6、骨髄細胞に発現する誘発性受容体2(TREM2)、C1q、対になった免疫グロブリン様2型受容体アルファ(PILRA)、CD33、インターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNFR1)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーIB(TNFR2)およびアポリポタンパク質J(ApoJ)が含まれる。
さらなる態様では、本明細書の改変Fcを含む抗体は、以下の1~7節に記載される特徴のいずれかを、単独で、または組み合わせて組み込むことができる:
1.抗体親和性
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体が、その抗原について1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9 M~10-13 M)の平衡解離定数(K)を有する。
一実施形態では、Kは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態では、RIAは、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えばChenら、J.Mol.Biol.293:865~881(1999)参照)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)でブロッキングする。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pMまたは26pMの[125I]-抗原を、目的のFabの段階希釈液と混合する(例えば、Prestaら、Cancer Res.57:4593~4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥してから、150μl/ウェルのシンチラート(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、プレートを、TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)で10分間計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を競合結合アッセイでの使用に選択する。
一態様では、RIAは、スキャチャード解析である。例えば、目的の抗体は、ラクトペルオキシダーゼ法(BennettおよびHoruk、Methods in Enzymology 288 134~148頁(1997))を使用してヨウ素化することができる。放射標識抗体を、NAP-5カラムを使用するゲル濾過によって遊離125I-Naから精製し、その比活性を測定する。一定濃度のヨウ素化抗体および減少する濃度の段階希釈した非標識抗体を含有する50μLの競合反応混合物を96ウェルプレートに入れる。抗原を一過的に発現する細胞を、10% FBS、2 mM L-グルタミンおよび1×ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Genentech)からなる増殖培地中、37℃、5% COで培養する。Sigma Cell Dissociation Solutionを使用して細胞を皿から剥離し、結合緩衝液(1%ウシ血清アルブミン、50 mM HEPES、pH7.2および0.2%アジ化ナトリウムを含むDMEM)で洗浄する。洗浄した細胞を、0.2 mLの結合緩衝液中、およそ200,000個の細胞の密度で、50μLの競合反応混合物を含有する96ウェルプレートに添加する。細胞との競合反応における非標識抗体の最終濃度を、1000nMで開始し、次いで、10濃度について1:2倍希釈で減少させ、ゼロ添加緩衝液のみの試料を含めて、変化させる。各濃度の非標識抗体についての細胞との競合反応物を3連でアッセイする。細胞との競合反応物を室温で2時間インキュベートする。2時間のインキュベーション後、競合反応物をフィルタプレートに移し、結合緩衝液で4回洗浄して、結合したヨウ素化抗体から分離する。フィルタをガンマカウンターによって計数し、MunsonおよびRodbard(1980)のフィッティングアルゴリズムを使用して結合データを評価して、抗体の結合親和性を決定する。
いくつかの実施形態では、Kは、抗ヒトFcキット(BiAcore Inc.、Piscataway、NJ))を使用して、25℃で、BIACORE(登録商標)-2000装置(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)で表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗ヒトFc抗体を、5μl/分の流量で注入する前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.0で、50μg/mlに希釈して、およそ10000応答単位(RU)の結合タンパク質を達成する。抗体の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基を遮断する。動態測定のために、抗体をHBS-Pに注入して約220 RUに到達させ、次いで、2倍段階希釈の抗原をHBS-Pに25℃で約30μl/分の流速で注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、会合センサグラムおよび解離センサグラムを同時に適合することによって、単純1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して計算する。平衡解離定数(K)を、比koff/konとして計算する。例えば、Chenら、J.Mol.Biol.293:865~881(1999)を参照されたい。
所与の化合物についてのIC50を決定するいくつかの方法は当技術分野で公知であり;一般的なアプローチは、本明細書に記載されるような競合結合アッセイを実施することである。一般に、高いIC50は、既知のリガンドの結合を阻害するために必要な抗体が多く、したがって、そのリガンドに対する抗体の親和性が比較的低いことを示す。逆に、低いIC50は、既知のリガンドの結合を阻害するために必要な抗体が少なく、したがって、そのリガンドに対する抗体の親和性が比較的高いことを示す。
2.キメラ抗体およびヒト化抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851~6855(1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えば、サル由来の可変領域)およびヒト定常領域を含む。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、またはカニクイザルなどの旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる(米国特許第5,693,780号明細書)。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変化している「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
ある特定の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減する一方で、親非ヒト抗体の特異性および親和性は保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(またはその一部)がヒト抗体配列由来である1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復するか、または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。
ヒト化抗体およびその作製方法については、例えば、AlmagroおよびFransson、Front.Biosci.13:1619~1633(2008)に概説されており、例えば、Riechmannら、Nature 332:323~329(1988);Queenら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029~10033(1989);米国特許第5,821,337号明細書、同第7,527,791号明細書、同第6,982,321号明細書および同第7,087,409号明細書;Kashmiri ら、Methods 36:25~34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載している);Padlan、Mol.Immunol.28:489~498(1991)(「表面再生」を記載している);Dall’Acquaら、Methods 36:43~60(2005)(「FRシャフリング」を記載している);ならびにOsbournら、Methods 36:61~68(2005)およびKlimkaら、Br.J.Cancer、83:252~260(2000)(FRシャフリングへの「ガイド付き選択」を記載している)にさらに記載されている。
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Simsら J.Immunol.151:2296(1993)参照);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列から誘導されるフレームワーク領域(例えば、CarterらProc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);およびPrestaらJ.Immunol.、151:2623(1993)参照);ヒト成熟(体細胞変異された)フレームワーク領域またはヒト生殖系フレームワーク領域(例えば、AlmagroおよびFransson、Front.Biosci.13:1619~1633(2008)参照);およびFRライブラリーのスクリーニングから誘導されるフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J.Biol.Chem.272:10678~10684(1997)およびRosokら、J.Biol.Chem.271:22611~22618(1996)参照)が含まれるがこれらに限定されない。
3.ヒト抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して作製され得る。ヒト抗体は一般的に、van Dijkおよびvan de Winkel、Curr.Opin.Pharmacol.、5:368~74(2001)ならびにLonberg、Curr.Opin.Immunol.、20:450~459(2008)に記載されている。
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるか、または染色体外に存在するか、または動物の染色体にランダムに組み込まれるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の総説については、Lonberg、Nat.Biotech.、23:1117~1125(2005)を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載した米国特許第6,075,181号明細書および同第6,150,584号明細書;HUMAB(登録商標)技術について記載した米国特許第5,770,429号明細書;K-M MOUSE(登録商標)技術について記載した米国特許第7,041,870号明細書;ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載した米国特許出願公開第2007/0061900号明細書も参照されたい。そのような動物によって産生されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによってさらに改変され得る。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製することができる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫およびマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている(例えば、Kozbor J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51~63頁(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987);およびBoernerら、J.Immunol.、147:86(1991)参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作製されたヒト抗体もまた、Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:3557~3562(2006)に記載されている。さらなる方法は、例えば、米国特許第7,189,826号明細書(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の作製を記載する)、およびNi、Xiandai Mianyixue、26(4):265~268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載している)を含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、VollmersおよびBrandiein、Histology and Histopathology、20(3):927~937(2005)ならびにVollmersおよびBrandlein、Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology、27(3):185~91(2005)にも記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択する技術は以下に記載される。
4.ライブラリー由来抗体
本発明の抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製し、所望の結合特性を保有する抗体に関してそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboomら Methods in Molecular Biology 178:1~37(O’Brienら編、Human Press,Totowa、NJ、2001)に概説されており、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552~554;Clacksonら、Nature 352:624~628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.222:581~597(1992);MarksおよびBradbury、Methods in Molecular Biology 248:161~175(Lo編、Human Press、Totowa、NJ、2003);Sidhuら、J.Mol.Biol.338(2):299~310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.340(5):1073~1093(2004);Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467~12472(2004);ならびにLeeら、J.Immunol.Methods 284(1~2):119~132(2004)にさらに記載されている。
ある特定のファージディスプレイ方法では、VHおよびVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリー中でランダムに再結合され、次いで、Winterら、Ann.Rev.Immunol.、12:433~455(1994)に記載されているように抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片として、またはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫化源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性抗体を与える。あるいは、ナイーブなレパートリを(例えばヒトから)クローニングして、Griffithsら、EMBO J、12:725~734(1993)に記載されるように、いずれの免疫化も行わずに、広範囲の非自己抗原および自己抗原に対する単一源の抗体を得ることができる。最後に、ナイーブライブラリーを、HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.227:381~388(1992)に記載されているように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを説明する特許刊行物には、例えば、以下が含まれる:米国特許第5,750,373号明細書、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号明細書、同第2005/0119455号明細書、同第2005/0266000号明細書、同第2007/0117126号明細書、同第2007/0160598号明細書、同第2007/0237764号明細書、同第2007/0292936号明細書、および同第2009/0002360号明細書。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体または抗体断片は、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
5.多重特異性抗体
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、同じ抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原に結合し得る。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。
多重特異性抗体を作製する技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(MilsteinおよびCuello、Nature 305:537(1983)、国際公開第93/08829号パンフレット、およびTrauneckerら、EMBO J.10:3655(1991)参照)、および「ノブ・イントゥ・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号明細書参照)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(国際公開第2009/089004A1号パンフレット);2つ以上の抗体または断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号明細書、およびBrennanら、Science、229:81(1985)参照);二重特異性抗体を作製するためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelnyら、J.Immunol.,148(5):1547~1553(1992)参照);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444~6448(1993)参照);および単鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruberら、J.Immunol.、152:5368(1994)参照);および例えば、Tuttら J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体の調製によっても作製され得る。
多重特異性抗体を作製する技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(MilsteinおよびCuello、Nature 305:537(1983)、国際公開第93/08829号パンフレット、およびTrauneckerら、EMBO J.10:3655(1991)参照)、および「ノブ・イントゥ・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号明細書参照)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(国際公開第2009/089004A1号パンフレット);2つ以上の抗体または断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号明細書、およびBrennanら、Science、229:81(1985)参照);二重特異性抗体を作製するためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelnyら、J.Immunol.,148(5):1547~1553(1992)参照);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444~6448(1993)参照);および単鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruberら、J.Immunol.、152:5368(1994)参照);および例えば、Tuttら J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体の調製によっても作製され得る。
「オクトパス抗体」または「二重可変ドメイン免疫グロブリン」(DVD)を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576A1号明細書およびWuら Nature Biotechnology(2007)参照)。
6.抗体バリアント
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が含まれる。欠失、挿入および置換の任意の組み合わせは、最終構築物が、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終構築物に到達するように行うことができる。
a)置換、挿入および欠失バリアント
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換による変異誘発に関して目的の部位には、HVRおよびFRが含まれる。保存的置換は、表2Bに「好ましい置換」の見出しの下で示される。より実質的な変化は、表2Bに「例示的な置換」の見出しの下に示され、アミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。目的の抗体中にアミノ酸置換を導入し、その産物を、所望の活性、例えば、保持/改善された後編結合、減少した免疫原性、または減少したもしくは改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングすることができる。
表2B
Figure 2022514290000004
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従ってグループ分けされてもよい。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うだろう。
ある種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなるの試験ために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較したある特定の生物学的特性の修正(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)を有し、かつ/または実質的に保持された親抗体のある特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して、簡便に作製され得る。簡潔には、1つまたは複数のHVR残基が変異され、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば、置換)をHVRに行って、例えば、抗体親和性を改善することができる。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury、Methods Mol.Biol.207:179~196(2008)参照)、および/または抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVHまたはVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーの構築およびそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboomら Methods in Molecular Biology 178:1~37(O’Brienら編、Human Press、Totowa、NJ、(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様性が、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のうちのいずれかによって、成熟させるために選択された可変遺伝子に導入される。その後、二次ライブラリーが作製される。その後、このライブラリーがスクリーニングされて、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを特定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特にCDR-H3およびCDR-L3が標的とされることが多い。
ある特定の実施形態では、置換、挿入または欠失は、そのような改変が、抗体が抗原に結合する能力を実質的に低下させない限り、1つまたは複数のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変化(例えば、本明細書で提供される保存的置換)が、HVR中で行われ得る。そのような変化は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上に提供されるバリアントVHおよびVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、変化していないか、または1つ、2つもしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
変異誘発に標的化され得る抗体の残基または領域を同定するための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989)Science、244:1081~1085によって記載されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原の相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基または標的残基群(例えば、荷電残基、例えば、arg、asp、his、lysおよびglu)が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。あるいは、または加えて、抗体と抗原との間の接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基および隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、または除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端またはC末端と酵素(例えば、ADEPTの場合)または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
b)グリコシル化バリアント
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化されている程度を増加または減少させるように変化する。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位が作り出されるか、または除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が変化させられ得る。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、N結合によってFcのCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wrightら TIBTECH 15:26~32(1997)を参照されたい。オリゴ糖は様々な炭水化物、例えばマンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトースおよびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」にあるGlcNAcに結合したフコースを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の抗体中のオリゴ糖の改変は、特定の改善された特性を有する抗体バリアントを作成するために行われ得る。
一実施形態では、Fcに(直接的または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントが提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であってもよい。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号パンフレットに記載されるMALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、および高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fcの約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc残基のEUナンバリング);ただし、Asn297はまた、抗体のマイナーな配列変化のために、位置297の上流または下流、すなわち位置294と300の間の約±3個のアミノ酸に位置していてもよい。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号明細書(Presta,L.);同第2004/0093621号明細書(協和発酵工業株式会社)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例には:米国特許出願公開第2003/0157108号明細書;国際公開第2000/61739号パンフレット;国際公開第第2001/29246号パンフレット;米国特許出願公開第2003/0115614号明細書;米国特許出願公開第2002/0164328号明細書;米国特許出願公開第2004/0093621号明細書;米国特許出願公開第2004/0132140号明細書;米国特許出願公開第2004/0110704号明細書;米国特許出願公開第2004/0110282号明細書;米国特許出願公開第2004/0109865号明細書;国際公開第2003/085119号パンフレット;国際公開第2003/084570号パンフレット;国際公開第2005/035586号パンフレット;国際公開第2005/035778号パンフレット;国際公開第2005/053742号パンフレット;国際公開第2002/031140号パンフレット;Okazakiら、J.Mol.Biol.、336巻:1239~1249頁(2004);Yamane-Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87巻:614頁(2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例には、タンパク質フコシル化が欠乏したLec13 CHO細胞(Ripkaら Arch.Biochem.Biophys.249:533~545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108 A1号明細書、Presta,L;および国際公開第2004/056312 A1号パンフレット、Adamsら、特に実施例11)、およびノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnukiら Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.ら、Biotechnol.Bioeng.、94(4):680~688(2006);および国際公開第2003/085107号パンフレット参照)が含まれる。
例えば、抗体のFcに結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分される二分オリゴ糖を有する抗体バリアントがさらに提供される。そのような抗体バリアントは、減少したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878号パンフレット(Jean-Mairetら);米国特許第6,602,684号明細書(Umanaら);および米国特許出願公開第2005/0123546号明細書(Umanaら)に記載されている。Fcに結合したオリゴ糖中の少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体も提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号パンフレット(Patelら);国際公開第1998/58964号パンフレット(Raju,S.);および国際公開第1999/22764号パンフレット(Raju,S.)に記載されている。
c)Fcバリアント
様々な実施形態では、抗体は、本明細書で提供される改変Fcを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸改変を抗体のFcに導入して、それによって、改変Fcを作製することができる。改変Fcは、1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc)を含み得る。
ある特定の実施形態では、本発明は、全てではないが一部のエフェクター機能を有し、それによりインビボでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば、補体およびADCCなど)が不要または有害である用途にとって望ましい候補となる、抗体バリアントを企図する。インビトロおよび/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDCおよび/またはADCC活性の低減/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCの媒介のための主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.、9:457~492(1991)の464頁、表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号明細書(例えば、Hellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、83:7059~7063(1986)、およびHellstromら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499~1502(1985)参照);米国特許第5,821,337号明細書(Bruggemann,M.ら、J.Exp.Med.166:1351~1361(1987)参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を使用してもよい(例えば、フローサイトメトリー(CellTechnology、Inc.Mountain View、CA)のためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI))。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、目的のADCC活性は、例えば、Clynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652~656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて、インビボで評価され得る。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができないためにCDC活性を欠くことを確認してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号パンフレットトおよび国際公開第2005/100402号パンフレットにおけるC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoro ら、J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.ら、Blood 101:1045~1052(2003);ならびにCragg,M.S.およびM.J.Glennie、Blood 103:2738~2743(2004)参照)。FcRn結合およびインビボ クリアランス/半減期の決定もまた、当技術分野で公知の方法を使用して実施することができる(例えば、Petkova,S.B.ら、Int’l.Immunol.18(12):1759~1769(2006)参照)。
エフェクター機能が低下した抗体の非限定的な例には、Fc残基238、265、269、270、297、327および329のうちの1つまたは複数の置換を有するものが含まれる(米国特許第6,737,056号明細書)。そのようなFcバリアントには、アミノ酸265、269、270、297および327位のうちの2つ以上での置換を有するFcバリアントが含まれ、残基265および297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fcバリアントを含む(米国特許第7,332,581号明細書)。
FcRに対する結合が改善または減少したある特定の抗体バリアントが記載される(例えば、米国特許第6,737,056号明細書および同第8,969,526号明細書;国際公開第2004/056312号パンフレット;ならびにShieldsら、J.Biol.Chem.9(2):6591~6604(2001)参照)。
ある特定の実施形態では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つまたは複数のアミノ酸置換、例えば、Fcの298、333および/または334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFcを含む。
いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号明細書、国際公開第99/51642号パンフレット、およびIdusogieら、J.Immunol.164:4178~4184(2000)に記載されるように、変化した(すなわち、改善されたまたは減少した)C1q結合および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)をもたらす変化が、Fc領域において行われる。
Fcバリアントの他の例に関する、DuncanおよびWinter、Nature 322:738~40頁(1988);米国特許第5,648,260号明細書;米国特許第5,624,821号明細書;および国際公開第94/29351号パンフレットも参照されたい。
d)システイン操作抗体バリアント
ある特定の実施形態では、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作抗体、例えば、「チオマブ(thioMAb)」を作成することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、置換残基は、抗体の接近可能な部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基がそれにより抗体の接近可能な部位に配置され、それを使用して、薬物部分またはリンカー-薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートして、本明細書にさらに記載されるイムノコンジュゲートを作製することができる。ある特定の実施形態では、以下の残基のうちの任意の1つまたは複数がシステインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabatナンバリング);軽鎖のK149(Kabatナンバリング);重鎖のA118(EUナンバリング);および重鎖FcのS400(EUナンバリング)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号明細書および同第9,000,130号明細書に記載されるように作製され得る。
e)抗体誘導体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で公知であり、容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含有するようにさらに改変され得る。抗体の誘導体化に適した部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。このポリマーは、任意の分子量を有していてもよく、分岐していてもよく、または分岐していなくてもよい。抗体に結合したポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが結合している場合には、同じ分子であっても異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数および/またはタイプは、改善される抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうかを含むがこれらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体および非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kamら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、102:11600~11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体-非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅する温度まで非タンパク質性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
C.組換え方法および組成物
抗体、改変FcおよびFc融合物は、当技術分野で公知の組換え方法および組成物を使用して作製され得る。例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい。一実施形態では、本明細書に記載される抗体、改変FcまたはFc融合物をコードする単離核酸が提供される。抗体の場合、そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。さらなる実施形態では、そのような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。抗体を発現するためのいくつかの実施形態では、宿主細胞は、以下を含む(例えば、以下で形質転換されている):(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクター。様々な実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。いくつかの実施形態では、抗体、改変FcまたはFc融合物を作製する方法であって、上で提供される抗体、改変FcまたはFc融合体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体、改変FcまたはFc融合物の発現に好適な条件下で培養するステップと、任意に、抗体、改変FcまたはFc融合物を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収するステップとを含む方法が提供される。
抗体、改変FcまたはFc融合物の組換え作製のために、例えば、上記の、抗体、改変FcまたはFc融合物をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニングおよび/または発現のために1つまたは複数のベクターに挿入される。抗体については、そのような核酸は、従来の手順(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)を使用して容易に単離され、配列決定され得る。
タンパク質をコードするベクターのクローニングまたは発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、Fc含有タンパク質は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能を必要としない場合には、細菌中で産生され得る。細菌でのポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号明細書、同第5,789,199号明細書、および同第5,840,523号明細書を参照されたい(Charlton、Methods in Molecular Biology、248巻(B.K.C.Lo編 Humana Press、Totowa、NJ、2003)、245~254頁、大腸菌(E.coli.)での抗体断片の発現を記載も参照)。発現後、タンパク質を細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離し、さらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、タンパク質をコードするベクターのクローニングまたは発現宿主として適しており、その中には、グリコシル化経路が「ヒト化」された菌株および酵母株が含まれ、その結果、部分的または完全にヒトのグリコシル化パターンを有するタンパク質が産生される。Gerngross、Nat.Biotech.22:1409~1414(2004)およびLiら、Nat.Biotech.24:210~215(2006)を参照されたい。
グリコシル化タンパク質の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞および昆虫細胞が含まれる。昆虫細胞と併せて(特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションに)使用することができる、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号明細書、同第6,040,498号明細書、同第6,420,548号明細書、同第7,125,978号明細書および同第6,417,429号明細書(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が有用となり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)により形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚性腎臓株(例えば、Grahamら、J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293または293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather、Biol.Reprod.23:243~251(1980)に記載されるTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカ緑猿腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);水牛ラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44~68(1982)に記載されるTRI細胞;MRC 5細胞;およびFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFRCHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));ならびにY0、NS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。タンパク質産生に適したある特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えば、YazakiおよびWu、Methods in Molecular Biology、248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、ニュージャージー州トトワ)、255~268頁(2003)を参照されたい。
D.アッセイ
本明細書で提供される改変Fcは、それらの物理的/化学的特性および/または生物学的活性について、当技術分野で公知の様々なアッセイによって、特定され、スクリーニングされ、または特徴付けら得る。
1.結合アッセイおよび他のアッセイ
本明細書で提供される改変Fcを含む薬剤(抗体またはFcコンジュゲート(Fc融合物を含む)など)のFcRnへの結合を決定するための様々な技術が利用可能である。1つのそのようなアッセイは、pH7.4およびpH6などの様々なpHでヒトFcRnに結合する能力を確認するための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。抗体のその抗原への結合を決定するために、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)も含む様々な技術も利用可能である。このアッセイによると、FcRnまたは抗原でコーティングされたプレートを、抗体または他の改変Fc含有薬剤を含む試料とインキュベートし、抗体または改変Fc含有薬剤の目的の抗原またはFcRnへの結合を決定する。
一態様では、本発明の抗体を、例えばELISA、ウエスタンブロットなどの公知の方法によって、その抗原結合活性について試験する。別の態様では、改変Fc含有薬剤を、例えばELISA、ウエスタンブロットなどの公知の方法によって、FcRnへの結合活性について試験する。
別の態様では、競合アッセイは、抗原への結合について本発明の抗体のいずれかと競合する抗体を特定するために使用され得る。ある特定の実施形態では、そのような競合抗体は、本発明の抗体のいずれかによって結合されるのと同じエピトープ(例えば、線状エピトープまたは構造的エピトープ)、より具体的には、本明細書中に記載されるクラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗体によって特異的に結合されるエピトープのいずれかに結合する(例えば、実施例1および表4参照)。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法が、Morris(1996)、「Epitope Mapping Protocols」、Methods in Molecular Biology、66巻(Humana Press、ニュージャージー州トトワ)に提供されている。
例示的な競合アッセイでは、固定化された抗原は、抗原に結合する第1の標識抗体(例えば、本明細書に開示される1つまたは複数の抗体)、および抗原への結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、固定化された抗原を、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体の抗原への結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰な非結合抗体を除去し、固定化された抗原に関連する標識の量を測定する。固定化された抗原に関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第2の抗体が抗原への結合について第1の抗体と競合していることを示す。HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual 14章(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)を参照されたい。
2.活性アッセイ
一態様では、生物学的活性を有する抗体およびFcコンジュゲートを特定するためのアッセイが提供される。生物活性には、例えば、血液脳関門を通過して脳および/またはCNSに入る能力、ならびにBBBを通過して改変Fcに関連する化合物を脳および/またはCNSに輸送する能力が含まれ得る。インビボおよび/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体およびFcコンジュゲートが提供される。
ある特定の実施形態では、本発明の抗体またはFcコンジュゲートは、そのような生物学的活性について試験される。いくつかのそのような実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートは、インビトロトランスサイトーシスアッセイでそのような生物学的活性について試験される。例示的なトランスサイトーシスアッセイは以下の通りである。ヒトFcRn(例えば、P2A配列によって分離されたFCGRT(UniProtKB-P55899、FCGRTN_HUMAN)およびβm(UniProtKB-P61769、B2MG_HUMAN)(KimらPLoS one 2011;6(4):e18556))を発現するようにトランスフェクトされたMDCK II細胞(American Type Culture Collection、Manassas、VA)を、Transwell(登録商標)透過性支持プレート、0.4μm細孔径(Corning Inc.、Corning、NY)に3日間播種する。3日目に、試験抗体および蛍光マーカー色素、例えばルシファーイエロー(Molecular Probes、Eugene、OR)を含む新鮮な培地を頂端側区画に添加する。試験抗体およびルシファーイエローを含まない新鮮な培地を基底側区画に添加する。両チャンバーのpHは7.4とした。プレートを37℃、5% CO加湿インキュベータ内で一晩インキュベートする。4日目に、培地を頂端側区画および基底側区画から回収し、2つの区画中の抗体濃度を、例えばELISAによってアッセイする。細胞単層中の接合形成の完全性を、基底側区画中のルシファーイエローの相対蛍光単位を測定することによって監視する。データは、各抗体またはFcコンジュゲートのトランスサイトーシス濃度を、典型的には野生型Fcを含む参照抗体のトランスサイトーシス濃度で割ることによって標準化され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体またはFcコンジュゲートは、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体またはFcコンジュゲートは、野生型Fcを含む同じ抗体またはFcコンジュゲートに標準化された場合、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す。
E.イムノコンジュゲートおよびFcコンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤もしくは化学療法薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、もしくはそれらの断片)、または放射性同位体などの1種または複数の細胞傷害剤にコンジュゲートされた本明細書の抗体または改変Fcを含むコンジュゲートを提供する。そのようなコンジュゲートが抗体を含む場合、いくつかの実施形態では、それらはイムノコンジュゲートと呼ばれ得る。
一実施形態では、本明細書の抗体または改変Fcは、BBBを横切って薬物、化学療法剤および/またはイメージング剤をより効率的に輸送するために、神経障害薬物、化学療法剤および/またはイメージング剤とカップリングされる。
共有結合的コンジュゲーションは、直接的であってもリンカーを介してもよい。ある特定の実施形態では、直接的コンジュゲーションは、タンパク質融合物の構築による(すなわち、改変Fcをコードする遺伝子と例えば神経障害薬をコードする遺伝子の2つの遺伝子の遺伝子融合、および単一タンパク質としての発現による)。ある特定の実施形態では、直接的コンジュゲーションは、改変Fcまたは抗体上の反応性基と、例えば神経薬上の対応する基またはアクセプターとの間の共有結合の形成による。ある特定の実施形態では、直接的コンジュゲーションは、コンジュゲートされる2つの分子のうちの一方を、適切な条件下でコンジュゲートされる他方の分子と共有結合を形成する反応性基(非限定的な例として、スルフヒドリル基またはカルボキシル基)を含むように改変(すなわち、遺伝子改変)することによるものである。1つの非限定的な例として、所望の反応性基(すなわち、システイン残基)を有する分子(すなわち、アミノ酸)を抗体または改変Fcに導入し、例えば神経薬とジスルフィド結合を形成することができる。核酸とタンパク質の共有結合的コンジュゲーションの方法も当技術分野で公知である(すなわち、光架橋、例えばZatsepin ら Russ.Chem.Rev.74:77~95(2005)参照)。
非共有結合的コンジュゲーションは、当業者によって容易に理解されるように、疎水性結合、イオン結合、静電相互作用などを含む任意の非共有結合的手段によるものであり得る。
コンジュゲーションはまた、様々なリンカーを使用して実施され得る。例えば、抗体と神経薬または改変Fcと神経薬は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、および二活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を使用してコンジュゲートされ得る。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science 238:1098(1987)に記載されるように調製することができる。炭素-14で標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体、改変FcまたはFcコンジュゲートへのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。国際公開第94/11026号パンフレットを参照されたい。ペプチド結合によって結合された1~20個のアミノ酸で構成されるペプチドリンカーも使用され得る。ある特定のそのような実施形態では、アミノ酸は、20個の天然に存在するアミノ酸から選択される。ある特定の他のそのような実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミンおよびリジンから選択される。リンカーは、脳への送達時に神経薬の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chariら、Cancer Res.52:127~131(1992);米国特許第5,208,020号明細書)が使用され得る。
本明細書の本発明は、市販されている(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.、Rockford、IL.、U.S.Aから)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、およびスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)を含むが、これらに限定されない架橋剤試薬で調製されるコンジュゲートを明示的に企図するが、これらに限定されない。
一実施形態では、イムノコンジュゲートは、抗体が、メイタンシノイド(米国特許第5,208,020号明細書、同第第5,416,064号明細書および欧州特許第0 425 235号明細書参照);モノメチルオーリスタチン薬物部位DEおよびDF(MMAEおよびMMAF)などのオーリスタチン(米国特許第5,635,483号明細書および同第5,780,588号明細書、および同第7,498,298号明細書参照);ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号明細書、同第第5,714,586号明細書、同第5,739,116号明細書、同第5,767,285号明細書、同第5,770,701号明細書、同第5,770,710号明細書、同第5,773,001号明細書および同第5,877,296号明細書;Hinmanら、Cancer Res.53:3336~3342(1993);およびLodeら、Cancer Res.58:2925~2928(1998)参照);ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratzら、Current Med.Chem.13:477~523(2006);Jeffreyら、Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358~362(2006);Torgovら、Bioconj.Chem.16:717~721(2005);Nagyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829~834(2000);Dubowchikら、Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529~1532(2002);Kingら、J.Med.Chem.45:4336~4343(2002);および米国特許第6,630,579号明細書参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセルおよびオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;およびCC1065を含むが、これらに限定されない1種または複数の薬剤にコンジュゲートされた抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。いくつかの実施形態では、1種または複数の前記薬物にコンジュゲートした本明細書の改変Fcを含むFcコンジュゲートが提供される。
別の実施形態では、コンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンを含むが、これらに限定されない酵素活性毒素またはその断片にコンジュゲートされた本明細書に記載される抗体またはFcを含む。
別の実施形態では、コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートされて放射性コンジュゲートを形成する、本明細書に記載される抗体またはFcを含む。放射性コンジュゲートの作製には、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、およびLuの放射性同位体が挙げられる。放射性物質が検出のために使用される場合、それは、シンチグラフィ研究のための放射性原子、例えばtc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)イメージング(別名、磁気共鳴イメージング、mri)のためのスピンラベル、例えば再びヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、Fcコンジュゲートは、治療用タンパク質および/または検出可能なタンパク質などのタンパク質に融合した本明細書で提供される改変Fcを含む。そのような実施形態では、そのようなFcコンジュゲートは、Fc融合物と呼ばれ得る。本明細書で提供される改変Fcにコンジュゲートされ得る非限定的な例示的な治療用タンパク質には、TNF-R1、CTLA-4、IL-1R1、アルファ-L-イズロニダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-スルファターゼ、アルファ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、N-アセチル-ガラクトサミン-6-スルファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼB、ベータ-グルクロニダーゼ、酸性アルファ-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼA、ヘキソサミニダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、ベータ-ガラクトセレブロシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼA、酸性セラミダーゼ、アスパルトアシラーゼ、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1およびトリペプチジルアミノペプチダーゼ1が含まれる。いくつかの実施形態では、TNF-R1、CTLA-4、またはIL-1R1の細胞外ドメインなどの治療用タンパク質の細胞外ドメインは、本明細書で提供される改変Fcにコンジュゲートされている。
F.診断および検出のための方法および組成物
いくつかの実施形態では、診断または検出方法に使用するための抗体またはFcコンジュゲートが提供される。
本発明の抗体またはFcコンジュゲートを使用して診断され得る例示的な障害には、脳を含む中枢神経系(CNS)の障害が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の抗体およびFcコンジュゲートは、例えば、抗原の存在またはレベル上昇に関連する疾患または障害を診断するために、CNS中(例えば、脳中)の抗原を検出するために使用され得る。
ある特定の実施形態では、標識抗体およびFcコンジュゲートが提供される。標識には、直接的に検出される標識または部分(蛍光、発色団、高電子密度、化学発光および放射性標識)、および酵素反応または分子相互作用を通して間接的に検出される部分(例えば、酵素またはリガンド)が含まれるが、これらに限定されない。例示的な標識には、放射性同位体 32P、14C、125I、Hおよび131I、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体などのフルオロフォア、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号明細書)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース-6-リン酸塩デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされたウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなどの複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、ならびに安定なフリーラジカルなどが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートは、エフェクター機能を欠く。いくつかの実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートは、低下したエフェクター機能を有する。別の実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートは、低下したエフェクター機能を有するように操作されている。いくつかの態様では、抗体またはFcコンジュゲートは、エフェクター機能を低減または排除する1つまたは複数のFc突然変異を有する。別の態様では、抗体またはFcコンジュゲートは、例えば、正常なヒトグリコシル化酵素を欠く系において抗体、Fcコンジュゲートまたは改変Fcを産生するために、改変グリコシル化を有する。別の態様では、Ig骨格は、限定されたエフェクター機能を天然に有するかまたはエフェクター機能を有さないものに改変される。
抗体またはFcコンジュゲートの標的タンパク質への結合を決定するための様々な技術が利用可能である。1つのそのようなアッセイは、標的タンパク質に結合する能力を確認するための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。このアッセイによると、抗原でコーティングされたプレートを、抗体またはFcコンジュゲートを含む試料とインキュベートし、抗体またはFcコンジュゲートの目的の標的タンパク質への結合を決定する。
全身投与された抗体またはFcコンジュゲートの取り込みおよび抗体またはFcコンジュゲートの他の生物学的活性を評価するためのアッセイは、実施例に開示されているように、または目的のCNS標的タンパク質について当技術分野で公知のように実施することができる。
一態様では、生物学的活性を有する抗BACE1抗体を特定するためのアッセイが提供される。生物学的活性には、例えばBACE1アスパルチルプロテアーゼ活性の阻害が含まれ得る。例えば、合成基質ペプチドを使用して、またはAPPなどのBACE1基質を発現する細胞株においてインビボで、均一時間分解蛍光HTRFアッセイまたはマイクロ流体キャピラリー電気泳動(MCE)アッセイによって評価されるように、インビボおよび/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体も提供される。
F.医薬製剤
本明細書に記載される抗体またはFcコンジュゲートの医薬製剤は、所望の程度の純度を有するそのような抗体またはFcコンジュゲートを、1種または複数の任意の薬学的に許容され得る担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol,A.編(1980))と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。薬学的に許容され得る担体、賦形剤または安定剤は一般的に、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体には、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤がさらに含まれる。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGPおよび使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号明細書および同第第2006/0104968号明細書に記載される。一態様では、sHASEGPを、1種または複数のさらなるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
例示的な凍結乾燥抗体またはFcコンジュゲート製剤は、米国特許第6,267,958号明細書に記載される。水性抗体またはFcコンジュゲート製剤には、米国特許第6,171,586号明細書および国際公開第2006/044908号パンフレットに記載されるものが含まれ、後者の製剤は、ヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
本明細書の製剤は、処置される特定の徴候に必要な2種以上の有効成分も含んでいてもよく、好ましくは、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有するものを含んでいてもよい。例えば、ニューロパチー障害、神経変性疾患、がん、眼疾患障害、発作障害、リソソーム蓄積症、アミロイドーシス、ウイルス性または微生物性疾患、虚血、行動障害またはCNS炎症を処置するための1種または複数の有効成分をさらに提供することが望ましい場合がある。そのような医薬の例は、本明細書で論じられる。そのような有効成分は、適切には、意図する目的にとって有効な量で組み合わせて存在する。
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロ乳濁液に取り込まれ得る。そのような技術は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol,A.編(1980)に開示されている。1種または複数の有効成分は、本明細書に記載される抗体またはFcコンジュゲートにカップリングされているリポソームにカプセル化され得る(例えば、米国特許出願公開第20020025313号明細書参照)。
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例には、抗体またはFcコンジュゲートを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、そのマトリックスは、造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの非限定的な例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書)、L-グルタミン酸とγ-L-グルタミン酸エチルとのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌である。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって、容易に達成され得る。
G.治療方法および組成物
本明細書で提供される抗体またはFcコンジュゲートのいずれも治療方法に使用され得る。一態様では、医薬として使用するための抗体またはFcコンジュゲートが提供される。例えば、本発明は、血液脳関門を通過して治療用化合物を輸送する方法であって、改変FcがBBBを通過する抗体またはFcコンジュゲートの輸送を可能にするように、本発明の抗体またはFcコンジュゲートをBBBに曝露するステップを含み、抗体またはFcコンジュゲートは治療用化合物を含む、方法を提供する。別の例では、本発明は、血液脳関門を通過して神経障害薬を輸送する方法であって、改変FcがBBBを通過する抗体またはFcコンジュゲートの輸送を可能にするように、本発明の抗体またはFcコンジュゲートをBBBに曝露するステップを含み、抗体またはFcコンジュゲートは神経障害薬を含む、方法を提供する。一実施形態では、BBBは、哺乳動物(例えば、ヒト)、例えば、限定されないが、アルツハイマー病(AD)、脳卒中、認知症、筋ジストロフィー(MD)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、嚢胞性線維症、アンジェルマン症候群、リドル症候群、パーキンソン病、ピック病、パジェット病、がん、外傷性脳損傷などを含む、神経障害を有するものにある。
一実施形態では、神経障害は、ニューロパチー、アミロイドーシス、がん(例えば、CNSまたは脳を含む)、眼疾患または障害、ウイルスまたは微生物感染症、炎症(例えば、CNSまたは脳の)、虚血、神経変性疾患、発作、行動障害、リソソーム蓄積症などから選択される。本発明の抗体およびFcコンジュゲートは、BBBを通過してCNS/脳に1種または複数の関連する有効成分/カップリングされた治療化合物を輸送する能力のために、そのような神経障害の処置に特に適しており、そのような障害はそれらの分子、細胞またはウイルス/微生物の基礎を見出す。
ニューロパチー障害は、不適切なもしくは制御されない神経シグナル伝達またはその欠如を特徴とする神経系の疾患または異常であり、慢性疼痛(侵害受容性疼痛を含む)、がん関連疼痛、神経因性疼痛(神経、脊髄、または脳の異常によって引き起こされる疼痛)および心因性疼痛(完全にまたはほとんどが心理学的障害に関連する)を含む身体組織の損傷によって引き起こされる疼痛、頭痛、片頭痛、ニューロパチー、ならびにしばしばそのようなニューロパチー障害に付随する症状および症候群、例えば眩暈または悪心が含まれるが、これらに限定されない。
ニューロパチー障害の場合、麻薬性/オピオイド鎮痛薬(すなわち、モルヒネ、フェンタニル、ヒドロコドン、メペリジン、メタドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、トラマドール、コデインおよびオキシコドン)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(すなわち、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトロラック、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダクおよびトルメチン)、コルチコステロイド(すなわち、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンおよびトリアムシノロン)、抗片頭痛薬(すなわち、スマトリプチン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、スマトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、ゾルミトリプタン、ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタンおよびエルゴタミン)、アセトアミノフェン、サリチル酸塩(すなわち、アスピリン、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、ジフルニサルおよびサルサラート)、抗痙攣薬(すなわち、カルバマゼピン、クロナゼパム、ガバペンチン、ラモトリギン、プレガバリン、チアガビンおよびトピラマート)、麻酔薬(すなわち、イソフルラン、トリクロロエチレン、ハロタン、セボフルラン、ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、プロポキシカイン、プロカイン、ノボカイン、プロパラカイン、テトラカイン、アルチカイン、ブピバカイン、カルチカイン、シンコカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、ピペロカイン、プリロカイン、ロピバカイン、トリメカイン、サキシトキシンおよびテトロドトキシン)、およびcox-2阻害剤(すなわち、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびバルデコキシブ)を含むが、これらに限定されない鎮痛薬である神経薬が選択され得る。眩暈併発を伴うニューロパチー障害の場合、メクリジン、ジフェンヒドラミン、プロメタジンおよびジアゼパムを含むが、これらに限定されない抗眩暈薬である神経薬が選択され得る。悪心併発を伴うニューロパチー障害の場合、プロメタジン、クロルプロマジン、プロクロルペラジン、トリメトベンズアミドおよびメトクロプラミドを含むが、これらに限定されない抗悪心薬である神経薬が選択され得る。
アミロイドーシスは、CNSにおける細胞外タンパク質性沈着物に関連する疾患および障害の群であり、続発性アミロイドーシス、加齢性アミロイドーシス、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、グアム・パーキンソン-認知症複合、脳アミロイド血管症、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、伝達性海綿状脳症、HIV関連認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎(IBM)、およびベータアミロイド沈着に関連する眼疾患(すなわち、黄斑変性、ドルーゼン関連視神経症、および白内障)を含むが、これらに限定されない。
アミロイドーシスの場合、ベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質またはその部分、アミロイドベータペプチドまたはそのオリゴマーもしくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、終末糖化産物受容体(RAGE)、パーキン、およびハンチンチンから選択される標的に特異的に結合する抗体または他の結合分子(小分子、ペプチド、アプタマー、もしくは他のタンパク質結合剤を含むが、これらに限定されない);コリンエステラーゼ阻害剤(すなわち、ガランタミン、ドネペジル、リバスチグミンおよびタクリン);NMDA受容体アンタゴニスト(すなわち、メマンチン)、モノアミン枯渇剤(すなわち、テトラベナジン);メシル酸エルゴロイド;抗コリン抗パーキンソン症候群剤(すなわち、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデンおよびトリヘキシフェニジル);ドーパミン作動性抗パーキンソン症候群剤(すなわち、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポンおよびアマンタジン);テトラベナジン;抗炎症剤(非ステロイド性抗炎症薬(すなわち、インドメチシン(indomethicin)および上記に列挙される他の化合物)を含むが、これらに限定されない);ホルモン(すなわち、エストロゲン、プロゲステロンおよびリュープロリド);ビタミン(すなわち、葉酸およびニコチンアミド);ジメボリン;ホモタウリン(すなわち、3-アミノプロパンスルホン酸;3APS);セロトニン受容体活性調節剤(すなわち、キサリプロデン);インターフェロン、ならびにグルココルチコイドを含むが、これらに限定されない神経薬が選択され得る。
CNSのがんは、1つまたは複数のCNS細胞(すなわち、神経細胞)の異常な増殖を特徴とし、神経膠腫、多形性膠芽腫、髄膜腫、星状細胞腫、聴神経腫、軟骨腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫、神経節膠腫、シュワン腫、神経線維腫、神経芽細胞腫、および硬膜外、髄内または硬膜内腫瘍を含むが、これらに限定されない。
がんの場合、化学療法剤である神経薬が選択され得る。化学療法剤の例には、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、およびウレドパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標);β-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標)、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標)、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、および9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロスレア;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンγ1IおよびカリケアミシンωI1(例えば、Agnew,Chem Inti.Ed.Engl.、33:183~186(1994)参照);ダイネミシンAを含む、ダイネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシンCなどのミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシンおよびアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖錯体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(商標)クレモホールフリー、アルブミン操作されたパクリタキセルのナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Illinois)、およびTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、フランス);クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、または誘導体;ならびにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの併用療法の略語);およびFOLFOX(5-FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いた処置レジメンの略語)などの上記のうち2つ以上の組み合わせが含まれる。
がんの増殖を促進し得るホルモンの効果を調節、低下、遮断、または阻害するように作用し、多くの場合、全身性または身体全体の処置の形態にある抗ホルモン剤も化学療法剤のこの定義に含まれる。化学療法剤はホルモン自体であってもよい。例としては、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御因子(ERD);卵巣を抑制するかまたは活動停止するように機能する薬剤、例えば、LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)ロイプロリド酢酸塩、ゴセレリン酢酸塩、ブセレリン酢酸塩、およびトリプテレリンなどの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト;フルタミド、ニルタミド、およびビカルタミドなどの他の抗アンドロゲン薬;ならびに副腎におけるエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロールアセテート、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールを含む、抗エストロゲンおよび選択的なエストロゲン受容体調節因子(SERM)が挙げられる。さらに、化学療法剤のそのような定義には、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標)、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE-58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、またはACTONEL(登録商標)リセドロネートなどのビスホスホネート;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えばPKC-α、Raf、H-Ras、および表皮成長因子受容体(EGFR)などの異所(aberrant)細胞増殖に関係があるとされるシグナル伝達系路における遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ジトシル酸ラパチニブ(別名GW572016、ErbB-2およびEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、または誘導体が含まれる。
がんを処置または予防するための神経薬として選択され得る化合物の別の群は、抗がん免疫グロブリン(トラスツズマブ、ペルツズマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、パニツムマブおよびリツキシマブを含むが、これらに限定されない)である。いくつかの例では、131I放射標識を有するトシツモマブまたはトラスツズマブエムタンシンを含むが、これらに限定されない毒性標識またはコンジュゲートと合わせた抗体を使用して、所望の細胞(すなわち、がん細胞)を標的化し、死滅させることができる。
眼疾患または障害は、本明細書の目的のために、BBBによって分離されたCNS器官と考えられる眼の疾患または障害である。眼疾患または障害には、強膜、角膜、虹彩および毛様体の障害(すなわち、強膜炎、角膜炎、角膜潰瘍、角膜擦過傷、雪目、アークアイ、タイゲソン点状表層角膜炎、角膜血管新生、フックスジストロフィー、円錐角膜、乾性角結膜炎、虹彩炎およびブドウ膜炎)、水晶体の障害(すなわち、白内障)、脈絡膜および網膜の障害(すなわち、網膜剥離、網膜分離症、高血圧性網膜症、糖尿病性網膜症、網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、黄斑変性(滲出型または萎縮型)、網膜上膜、網膜色素変性および黄斑浮腫)、緑内障、飛蚊症、視神経および視覚経路の障害(すなわち、レーバー遺伝性視神経症および視神経乳頭ドルーゼン)、眼筋/両眼運動調節/屈折の障害(すなわち、斜視、眼麻痺、進行性外眼筋麻痺、内斜視、外斜視、遠視、近視、乱視、不同視、老視および眼筋麻痺)、視覚障害および失明(すなわち、弱視、レーバー先天性黒内障、暗点、色盲、全色盲、夜盲症、失明、河川盲目症および小眼球症/コロボーマ)、充血、アーガイル・ロバートソン瞳孔、角膜真菌症、眼球乾燥症ならびに無虹彩症が含まれるが、これらに限定されない。
眼疾患または障害の場合、抗血管新生眼科薬(すなわち、ベバシズマブ、ラニビズマブおよびペガプタニブ)、眼科用緑内障薬(すなわち、カルバコール、エピネフリン、臭化デメカリウム、アプラクロニジン、ブリモニジン、ブリンゾラミド、レボブノロール、チモロール、ベタキソロール、ドルゾラミド、ビマトプロスト、カルテオロール、メチプラノロール、ジピベフリン、トラボプロストおよびラタノプロスト)、炭酸脱水酵素阻害剤(すなわち、メタゾラミドおよびアセタゾラミド)、眼科用抗ヒスタミン薬(すなわち、ナファゾリン、フェニレフリンおよびテトラヒドロゾリン)、眼潤滑薬、眼科用ステロイド(すなわち、フルオロメトロン、プレドニゾロン、ロテプレドノール、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、リメキソロン、フルオシノロン、メドリゾンおよびトリアムシノロン)、眼科用麻酔薬(すなわち、リドカイン、プロパラカインおよびテトラカイン)、眼科用抗感染症薬(すなわち、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、クロラムフェニコール、バシトラシン/ポリミキシンb、スルファセタミド、トブラマイシン、アジスロマイシン、ベシフロキサシン、ノルフロキサシン、スルフイソキサゾール、ゲンタマイシン、イドクスウリジン、エリスロマイシン、ナタマイシン、グラミシジン、ネオマイシン、オフロキサシン、トリフルリジン、ガンシクロビル、ビダラビン)、眼科用抗炎症薬(すなわち、ネパフェナク、ケトロラック、フルルビプロフェン、スプロフェン、シクロスポリン、トリアムシノロン、ジクロフェナクおよびブロムフェナク)、および眼科用抗ヒスタミン薬またはうっ血除去薬(すなわち、ケトチフェン、オロパタジン、エピナスチン、ナファゾリン、クロモリン、テトラヒドロゾリン、ペミロラスト、ベポタスチン、ナファゾリン、フェニレフリン、ネドクロミル、ロドキサミド、フェニレフリン、エメダスチンおよびアゼラスチン)である神経薬が選択され得る。
CNSのウイルスまたは微生物感染症には、急性または慢性であり得る髄膜炎、脳炎、脊髄炎、血管炎および膿瘍を含むが、これらに限定されないCNS病態生理学をもたらす、ウイルス(すなわち、インフルエンザ、HIV、ポリオウイルス、風疹)、細菌(すなわち、ナイセリア属(Neisseria)種、ストレプトコッカス属(Streptococcus)種、シュードモナス属(Pseudomonas)種、プロテウス属(Proteus)種、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、肺炎球菌属(Pneumococcus)種、髄膜炎菌属(Meningococcus)種、ヘモフィルス属(Haemophilus)種および結核菌(Mycobacterium tuberculosis))および真菌(すなわち、酵母、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans))、寄生生物(すなわち、トキソプラズマ・ゴンディ(toxoplasma gondii))またはアメーバなどの他の微生物による感染症が含まれるが、これらに限定されない。
ウイルス性または微生物性疾患の場合、抗ウイルス化合物(アダマンタン系抗ウイルス薬(すなわち、リマンタジンおよびアマンタジン)、抗ウイルスインターフェロン(すなわち、ペグインターフェロンアルファ-2b)、ケモカイン受容体アンタゴニスト(すなわち、マラビロク)、インテグラーゼ鎖転移阻害剤(すなわち、ラルテグラビル)、ノイラミニダーゼ阻害剤(すなわち、オセルタミビルおよびザナミビル)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(すなわち、エファビレンツ、エトラビリン、デラビルジンおよびネビラピン)、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(テノホビル、アバカビル、ラミブジン、ジドブジン、スタブジン、エンテカビル、エムトリシタビン、アデホビル、ザルシタビン、テルビブジンおよびジダノシン)、プロテアーゼ阻害剤(すなわち、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、チプラナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、インジナビルおよびサキナビル)、プリンヌクレオシド(すなわち、バラシクロビル、ファムシクロビル、アシクロビル、リバビリン、ガンシクロビル、バルガンシクロビルおよびシドホビル)、および種々の抗ウイルス薬(すなわち、エンフビルチド、ホスカルネット、パリビズマブおよびホミビルセン)を含むが、これらに限定されない)、抗生物質(アミノペニシリン(すなわち、アモキシシリン、アンピシリン、オキサシリン、ナフシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、テモシリン、アズロシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリンおよびバカンピシリン)、セファロスポリン(すなわち、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファマンドール、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジン、ロラカルベフ、セフォテタン、セフロキシム、セフプロジル、セファクロルおよびセフォキシチン)、カルバペネム/ペネム(すなわち、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ファロペネムおよびドリペネム)、モノバクタム(すなわち、アズトレオナム、チゲモナム、ノカルジシンAおよびタブトキシニン-ベータ-ラクタム、別のベータ-ラクタム抗生物質と合わせたベータ-ラクタマーゼ阻害剤(すなわち、クラブラン酸、タゾバクタムおよびスルバクタム)、アミノグリコシド(すなわち、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシンおよびパロモマイシン)、アンサマイシン(すなわち、ゲルダナマイシンおよびハービマイシン)、カルバセフェム(すなわち、ロラカルベフ)、糖ペプチド(すなわち、テイコプラニンおよびバンコマイシン)、マクロライド(すなわち、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシンおよびスペクチノマイシン)、モノバクタム(すなわち、アズトレオナム)、キノロン(すなわち、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシンおよびテマフロキサシン)、スルホンアミド(すなわち、マフェニド、スルホンアミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール)、テトラサイクリン(すなわち、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびオキシテトラサイクリン)、抗腫瘍または細胞傷害性抗生物質(すなわち、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、ダウノルビシ、ダクチノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ペントスタチンおよびバルルビシン)、および種々の抗菌化合物(すなわち、バシトラシン、コリスチンおよびポリミキシンB)を含むが、これらに限定されない)、抗真菌剤(すなわち、メトロニダゾール、ニタゾキサニド、チニダゾール、クロロキン、ヨードキノールおよびパロモマイシン)、および抗寄生生物薬(キニーネ、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、スルファドキシン、プログアニル、メフロキン、アトバコン、プリマキン、アルテミシニン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、メベンダゾール、ピランテルパモ酸塩、チアベンダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、リファンピン、アムホテリシンB、メラルソプロール、エフロルニチンおよびアルベンダゾールを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない神経薬が選択され得る。
CNSの炎症には、物理的損傷(すなわち、事故、外科手術、脳外傷、脊髄損傷、脳震盪による)およびCNSの1つまたは複数の他の疾患または障害(すなわち、膿瘍、がん、ウイルスまたは微生物感染症)によるまたはこれらに関連する損傷であり得る、CNSの損傷によって引き起こされる炎症が含まれるが、これに限定されない。
CNS炎症の場合、炎症自体に対処する神経薬(すなわち、イブプロフェンもしくはナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬)、または炎症の根本的原因を処置する神経薬(すなわち、抗ウイルス薬もしくは抗がん剤)が選択され得る。
本明細書で使用されるCNSの虚血は、脳内の異常な血流もしくは血管挙動またはその原因に関連する障害の群を指し、局所脳虚血、全脳虚血、脳卒中(すなわち、くも膜下出血および脳内出血)、および動脈瘤を含むが、これらに限定されない。
虚血の場合、血栓溶解薬(すなわち、ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、レテプラーゼおよびテネクテプラーゼ)、血小板凝集阻害剤(すなわち、アスピリン、シロスタゾール、クロピドグレル、プラスグレルおよびジピリダモール)、スタチン(すなわち、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチンおよびピタバスタチン)、および血流または血管の柔軟性を改善するための化合物(例えば、血圧薬を含む)を含むが、これらに限定されない神経薬が選択され得る。
神経変性疾患は、CNSにおける神経細胞の機能喪失または死に関連する疾患および障害の群であり、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパース病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調、バッテン病、コケイン症候群、皮質基底核変性症、アミロイドーシスによって引き起こされるまたはこれに関連する変性、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭葉変性症、ケネディ病、多系統萎縮症、多発性硬化症、原発性側索硬化症、進行性核上性麻痺、脊髄性筋萎縮症、横断性脊髄炎、レフサム病、および脊髄小脳失調症を含むが、これらに限定されない。
神経変性疾患の場合、成長ホルモンまたは神経栄養因子である神経薬が選択され得る;例には、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-4/5、線維芽細胞成長因子(FGF)-2および他のFGF、ニューロトロフィン(NT)-3、エリスロポエチン(EPO)、肝細胞成長因子(HGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-アルファ、TGF-ベータ、血管内皮成長因子(VEGF)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、血小板由来成長因子(PDGF)、ヘレグリン、ニューレグリン、アルテミン、ペルセフィン、インターロイキン、グリア細胞株由来神経栄養因子(GFR)、顆粒球コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球-マクロファージ-CSF、ネトリン、カルディオトロフィン-1、ヘッジホッグ、白血病抑制因子(LIF)、ミッドカイン、プレイオトロフィン、骨形成タンパク質(BMP)、ネトリン、サポシン、セマフォリン、および幹細胞因子(SCF)が含まれるが、これらに限定されない。
CNSの発作疾患および障害は、CNSにおける不適切なおよび/または異常な電気伝導を伴い、てんかん(すなわち、欠神発作、脱力発作、良性ローランドてんかん、小児欠神、間代発作、複雑部分発作、前頭葉てんかん、熱性発作、点頭攣縮、若年性ミオクローヌスてんかん、若年性欠神てんかん、レノックス・ガストー症候群、ランドウ・クレフナー症候群、ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、ミオクローヌス発作、ミトコンドリア障害、進行性ミオクローヌスてんかん、心因性発作、反射性てんかん、ラスムッセン症候群、単純部分発作、続発性全身発作、側頭葉てんかん、強直間代発作、強直発作、精神運動発作、辺縁系てんかん、部分発症発作、全身発症発作、てんかん重積状態、腹部てんかん、無動発作、自律神経発作、両側汎発性ミオクローヌス、月経随伴性てんかん、転倒発作、情動発作、焦点発作、笑い発作、ジャクソン・マーチ、ラフォラ病、運動発作、多焦点発作、夜間発作、光感受性発作、疑似発作、感覚発作、微細発作、シルヴァン発作、離脱発作および視覚性反射発作)を含むが、これらに限定されない。
発作障害の場合、バルビツール酸系抗痙攣薬(すなわち、プリミドン、メタルビタール、メホバルビタール、アロバルビタール、アモバルビタール、アプロバルビタール、アルフェナール、バルビタール、ブラロバルビタールおよびフェノバルビタール)、ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬(すなわち、ジアゼパム、クロナゼパムおよびロラゼパム)、カルバメート系抗痙攣薬(すなわち、フェルバメート)、炭酸脱水酵素阻害剤抗痙攣薬(すなわち、アセタゾラミド、トピラマートおよびゾニサミド)、ジベンザゼピン系抗痙攣薬(すなわち、ルフィナミド、カルバマゼピンおよびオクスカルバゼピン)、脂肪酸誘導体系抗痙攣薬(すなわち、ジバルプロエクスおよびバルプロ酸)、ガンマ-アミノ酪酸類似体(すなわち、プレガバリン、ガバペンチンおよびビガバトリン)、ガンマ-アミノ酪酸再取り込み阻害剤(すなわち、チアガビン)、ガンマ-アミノ酪酸トランスアミナーゼ阻害剤(すなわち、ビガバトリン)、ヒダントイン系抗痙攣薬(すなわち、フェニトイン、エトトイン、ホスフェニトインおよびメフェニトイン)、種々の抗痙攣薬(すなわち、ラコサミドおよび硫酸マグネシウム)、プロゲスチン(すなわち、プロゲステロン)、オキサゾリジンジオン系抗痙攣薬(すなわち、パラメタジオンおよびトリメタジオン)、ピロリジン系抗痙攣薬(すなわち、レベチラセタム)、スクシンイミド系抗痙攣薬(すなわち、エトスクシミドおよびメトスクシミド)、トリアジン系抗痙攣薬(すなわち、ラモトリギン)、および尿素系抗痙攣薬(すなわち、フェナセミドおよびフェネトライド)を含むが、これらに限定されない抗痙攣薬または抗てんかん薬である神経薬が選択され得る。
行動障害は、罹患した対象の一部における異常な行動を特徴とするCNSの障害であり、睡眠障害(すなわち、不眠症、睡眠時随伴症、夜驚症、概日リズム睡眠障害およびナルコレプシー)、気分障害(すなわち、うつ病、自殺うつ病、不安症、慢性情動障害、恐怖症、パニック発作、強迫性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、慢性疲労症候群、広場恐怖症、心的外傷後ストレス障害、双極性障害)、摂食障害(すなわち、食欲不振または過食症)、精神病、発達行動障害(すなわち、自閉症、レット症候群、アスペベルガー症候群)、人格障害および精神病性障害(すなわち、統合失調症、妄想性障害など)を含むが、これらに限定されない。
行動障害の場合、神経薬は、非定型抗精神病薬(すなわち、リスペリドン、オランザピン、アプリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン、アセナピン、クロザピン、イロペリドンおよびジプラシドン)、フェノチアジン系抗精神病薬(すなわち、プロクロルペラジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、チオリダジンおよびメソリダジン)、チオキサンテン(すなわち、チオチキセン)、種々の抗精神病薬(すなわち、ピモジド、リチウム、モリドン、ハロペリドールおよびロキサピン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(すなわち、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチンおよびセルトラリン)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(すなわち、デュロキセチン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン)、三環系抗うつ薬(すなわち、ドキセピン、クロミプラミン、アモキサピン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン、トリミプラミン、イミプラミン、プロトリプチリンおよびデシプラミン)、四環系抗うつ薬(すなわち、ミルタザピンおよびマプロチリン)、フェニルピペラジン系抗うつ薬(すなわち、トラゾドンおよびネファゾドン)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(すなわち、イソカルボキサジド、フェネルジン、セレギリンおよびトラニルシプロミン)、ベンゾジアゼピン(すなわち、アルプラゾラム、エスタゾラム、フルラゼパム、クロナゼパム、ロラゼパムおよびジアゼパム)、ルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(すなわち、ブプロピオン)、CNS刺激薬(すなわち、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アンフェタミン、メチルフェニデート、デクスメチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、モダフィニル、ペモリン、フェンジメトラジン
、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、アルモダフィニル、ジエチルプロピオン、カフェイン、アトモキセチン、ドキサプラムおよびマジンドール)、抗不安薬/鎮静薬/催眠薬(バルビツール酸系(すなわち、セコバルビタール、フェノバルビタールおよびメホバルビタール)、ベンゾジアゼピン系(上記)、および種々の抗不安薬/鎮静薬/催眠薬(すなわち、ジフェンヒドラミン、ナトリウムオキシベート、ザレプロン、ヒドロキシジン、抱水クロラール、アルピデム、ブスピロン、ドキセピン、エスゾピクロン、ラメルテオン、メプロバメートおよびエトクロルビノール)を含むが、これらに限定されない)、セクレチン(例えば、Ratliff-Schaubら Autism 9:256~265(2005)参照)、オピオイドペプチド(例えば、Cowenら、J.Neurochem.89:273~285(2004)参照)、および神経ペプチド(例えば、Hethwaら Am.J.Physiol.289:E301~305(2005)参照)を含むが、これらに限定されない行動修正化合物から選択され得る。
リソソーム蓄積障害は、場合によってはCNSに関連するかまたはCNS特異的症状を有する代謝障害である;そのような障害には、テイ・サックス病、ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症(I、II、III、IV、V、VIおよびVII型)、糖原病、GM1ガングリオシドーシス、異染性白質ジストロフィー、ファーバー病、カナバン白質ジストロフィー、および神経セロイドリポフスチン症1型および2型、ニーマン・ピック病、ポンペ病、ならびにクラッベ病が含まれるが、これらに限定されない。
リソソーム蓄積症の場合、それ自体であるか、そうでなければ疾患において損なわれている酵素の活性を模倣する神経薬が選択され得る。リソソーム蓄積障害を処置するための例示的な組換え酵素には、例えば、米国特許出願公開第2005/0142141号明細書に示されるもの(すなわち、アルファ-L-イズロニダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-スルファターゼ、アルファ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、N-アセチル-ガラクトサミン-6-スルファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼB、ベータ-グルクロニダーゼ、酸性アルファ-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼA、ヘキソサミニダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、ベータ-ガラクトセレブロシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼA、酸性セラミダーゼ、アスパルトアシラーゼ、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1およびトリペプチジルアミノペプチダーゼ1)が含まれるが、これらに限定されない。
一態様では、本発明の抗体またはFcコンジュゲートは、症状の発症前に神経障害を検出するため、および/または疾患もしくは障害の重症度もしくは持続期間を評価するために使用される。一態様では、抗体またはFcコンジュゲートは、X線撮影、断層撮影、または磁気共鳴画像法(MRI)による画像化を含む、神経障害の検出および/または画像化を可能にする。
一態様では、医薬として使用するための本発明の抗体またはFcコンジュゲートが提供される。さらなる態様では、神経疾患または障害(例えば、アルツハイマー病)の処置に使用するための抗体またはFcコンジュゲートが提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される処置方法に使用するための抗体またはFcコンジュゲートが提供される。ある特定の実施形態では、本発明は、有効量の抗体またはFcコンジュゲートを個体に投与することを含む、神経疾患または障害を有する個体を処置する方法に使用するための抗体またはFcコンジュゲートを提供する。そのような一実施形態では、本方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤を個体に投与することをさらに含む。さらなる実施形態では、本発明は、神経疾患または障害(例えば、アルツハイマー病)のリスクがあるか、またはこれを患っている患者でアミロイドプラーク形成を減少させるまたは阻害するのに使用するための抗体またはFcコンジュゲートを提供する。上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、任意に、ヒトである。ある特定の態様では、本発明の方法に使用するための本発明の改変Fcを含む抗体またはFcコンジュゲートは、野生型Fcを含む抗体またはFcコンジュゲートと比較して神経障害薬の取り込みを改善する。
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造または調製における本発明の抗体またはFcコンジュゲートの使用を提供する。一実施形態では、医薬は、神経疾患または障害を処置するためのものである。さらなる実施形態では、医薬は、有効量の医薬を神経疾患または障害を有する個体に投与することを含む、神経疾患または障害を処置する方法に使用するためのものである。そのような一実施形態では、本方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤を個体に投与することをさらに含む。
さらなる態様では、本発明は、アルツハイマー病を処置する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、有効量の、BACE1またはAベータに結合する本発明の抗体を、アルツハイマー病を有する個体に投与することを含む。そのような一実施形態では、本方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤を個体に投与することをさらに含む。上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
本発明の抗体およびFcコンジュゲートは、治療において、単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体またはFcコンジュゲートは、少なくとも1つのさらなる治療剤と同時投与されてもよい。ある特定の実施形態では、さらなる治療剤は、抗体またはFcコンジュゲートが処置のために使用されているのと同じまたは異なる神経障害を処置するのに有効な治療剤である。例示的なさらなる治療剤には、上記の様々な神経薬、コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル、ガランタミン、ロバスチグミンおよびタクリンなど)、NMDA受容体アンタゴニスト(メマンチンなど)、アミロイドベータペプチド凝集阻害剤、抗酸化剤、γ-セクレターゼモジュレーター、神経成長因子(NGF)模倣物またはNGF遺伝子治療、PPARγアゴニスト、HMS-CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン)、アンパキン、カルシウムチャネル遮断薬、GABA受容体アンタゴニスト、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤、静脈内免疫グロブリン、ムスカリン受容体アゴニスト、ニコチン受容体モジュレーター、活性または受動的アミロイドベータペプチド免疫化、ホスホジエステラーゼ阻害剤、セロトニン受容体アンタゴニストおよび抗アミロイドベータペプチド抗体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなる治療剤は、神経学的薬物の1つまたは複数の副作用を軽減する能力について選択される。
上述および本明細書の様々な併用療法は、併用投与(2種以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる場合)、ならびに本発明の抗体またはFcコンジュゲートの投与が、さらなる治療剤および/またはアジュバントの投与の前、それと同時、および/またはその後に行われ得る、別個の投与を包含する。一実施形態では、抗体またはFcコンジュゲートの投与およびさらなる治療剤の投与は、互いの約一カ月以内、または約1、2、もしくは3週間以内、または約1、2、3、4、5、もしくは6日以内に行われる。本発明の抗体およびFcコンジュゲートはまた、限定されないが、放射線療法、行動療法、または当技術分野で公知であり、処置または予防される神経障害に適した他の治療法などの他の介入療法と組み合わせて使用することもできる。
本発明の抗体またはFcコンジュゲート(および任意のさらなる治療剤)は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与、ならびに局所処置で所望される場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。投薬は、任意の適切な経路によるもの、例えば、一部には、投与が一時的であるか慢性的であるかに依存して、注射によって、例えば、静脈または皮下への注射によるものであってもよい。種々の時点にわたる単回または複数回の投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含むが、これらに限定されない種々の投薬計画が本明細書で企図される。
本発明の抗体およびFcコンジュゲートは、良好な医療行為と一貫する様式で、製剤化され、投薬され、かつ投与される。本文脈で考慮する因子としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与計画、および医学専門家に既知の他の因子が挙げられる。抗体またはFcコンジュゲートは、当の障害を予防もしくは処置するため、または抗体もしくはFcコンジュゲート投与の1つもしくは複数の副作用を予防、緩和もしくは改善するために現在使用されている1種または複数の薬剤と製剤化される必要はないが、任意に、これらと製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体またはFcコンジュゲートの量、障害または処置の種類、および上で考察される他の因子に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載されるのと同じ投薬量および投与経路によって、または本明細書に記載される投薬量の約1~99%、または適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量および任意の経路で使用される。
疾患の予防または処置のために、本発明の抗体またはFcコンジュゲートの適切な投薬量(単独で、または1つもしくは複数の他のさらなる治療剤と組み合わせて使用される場合)は、処置される疾患の種類、抗体またはFcコンジュゲートの種類、疾患の重症度および経過、抗体またはFcコンジュゲートが予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、ならびに抗体またはFcコンジュゲートへの応答、ならびに主治医の裁量に依存するだろう。抗体またはFcコンジュゲートは、一度に、または一連の処置にわたって患者に好適に投与される。疾患の種類および重症度に応じて、例えば、1回または複数回の別個の投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体またはFcコンジュゲートが、患者への投与のための初期候補投薬量であり得る。典型的な1日投薬量は、上述の因子に依存して、約1μg/kg~100mg/kgの範囲であってもよい。数日間またはそれ以上にわたる反復投与については、症状に応じ、処置は一般的に、疾患症状の所望の抑制が生じるまで維持される。抗体またはFcコンジュゲートの1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kg~約40mg/kgの範囲内であるだろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kgまたは40mg/kg(またはそれらの任意の組み合わせ)の1つまたは複数の用量を患者に投与してもよい。そのような用量は、間欠的に、例えば、毎週または3週間に1回(例えば、患者が約2~約20回、もしくは例えば約6回用量の抗体またはFcコンジュゲートを受けるように)投与され得る。初回の多めの負荷量、それに続く1回または複数回の少ない用量を投与してよい。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であり得る。この治療の進行は、本明細書に記載され、当技術分野で公知の従来の技術およびアッセイによって容易に監視される。
H.製造物品
本発明の別の態様では、上記の障害の処置、予防および/または診断に有用な材料を含む製造物品が提供される。製造物品は、容器と、容器に挿入されるか、または容器に付随するラベルもしくはパッケージ添付文書とを含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、単独である、あるいは症状を処置、予防および/または診断するのに有効な別の組成物と組み合わせられた組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明の改変Fcを含む抗体または本発明のFcコンジュゲートである。ラベルまたはパッケージ添付文書は、組成物が、選択される症状を処置するために使用されることを示す。さらに、製造物品は、(a)本発明の改変Fcを含む抗体または本発明のFcコンジュゲートを含む組成物がその中に含有された第1の容器と、(b)さらなる細胞傷害剤またはさもなければ治療剤を含む組成物がその中に含有された2の容器とを含み得る。本発明のこの実施形態では、製造物品は、組成物を特定の症状を処置するために使用することができることを示すパッケージ添付文書をさらに含み得る。あるいは、または加えて、製造物品は、薬学的に許容され得る緩衝剤、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含み得る。製造品は、他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針およびシリンジを含む、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
以下の実施例は、ある特定の開示される実施形態を説明するために提供され、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1-方法
プラスミド構築ならびに抗体およびFcRn産生-抗体の重鎖および軽鎖またはFc、またはFcRnの場合はFCGRTもしくはFcgrt(ヒトFcRnアルファ鎖およびマウスFcRnアルファ鎖をそれぞれコードする)およびベータ2ミクログロブリン(β2 M)をコードするクローニング配列を含む、抗体、抗体Fc、ならびにヒトおよびマウスFcRn複合体を、標準的な技術を使用して、以前に記載された(Eaton、Woodら 1986)標準的な分子生物学技術によって哺乳動物発現ベクターで発現させた。FcRnを、Hisタグを用いて発現させ、固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)または固定化IgGカラム(例えば、Sigma A0919、マウスIgGアガロースまたはウサギIgGアガロースの場合はA2909)で精製することによって精製する。抗体を、一過性トランスフェクション培養物としてCHO細胞で発現させ(Wong,Baginskiら、2010、Biotechol.Bioeng.、106(5):751~63)、GE MabSelect SuReカラム(GE Healthcare、Pittsburgh、PA)、引き続いてSuperdex-200サイズ排除クロマトグラフィー(GE Healthcare、Pittsburgh、PA)でアフィニティー精製した。
抗体-FcRn親和性測定-ヒトまたはマウスFcRnに対する改変Fcを含む抗体の親和性を、Biacore T200(GE Healthcare)装置を使用して表面プラズモン共鳴によって決定した。全ての実験は25℃で行った。改変Fc抗体を、1000 RUの表面密度でプロテインL結合によって固定化した。中性pH結合を、HBS-P(0.01 M HEPES pH7.4、0.15 M NaCl、0.005% v/v界面活性剤P20)で決定した。酸性pH結合を、MBS-P(0.01 M MES pH6.0、0.15 M NaCl、0.005% v/v界面活性剤P20)で決定した。会合速度(ka)および解離速度(kd)を、会合センサグラムおよび解離センサグラムを同時に適合することによって、1対1Langmuir結合モデルを使用して計算した(BIAevaluationsバージョン4.1)。全ての適合は、10%未満のカイ二乗/Rmax値を有し、許容される適合度基準を満たす。平衡解離定数(K)を、比kd/kaとして計算した。あるいは、平衡結合K値を、分析物濃度に対する定常状態の結合レベルの依存性から決定した。いわゆる定常状態分析は、弱い相互作用から中程度の相互作用の測定に適している。検出不能な結合または正確な親和性分析を可能にするには弱すぎた結合は、本明細書の表で10μM超に設定されている。
トランスサイトーシスアッセイ-インビトロアッセイを使用して、改変Fc抗体のトランスサイトーシス活性を測定した。この2チャンバートランスウェルアッセイでは、hFcRnまたはmFcRnを発現する上皮細胞の層が、2つのチャンバーを分離する膜上に確立される。細胞間に形成されたタイトジャンクションが抗体拡散を排除するので、一方のチャンバーから他方のチャンバーへの抗体通過は細胞内輸送によってのみ可能である。したがって、一方のチャンバーから他方のチャンバーへのこの細胞層を通過する抗体の輸送は、トランスサイトーシスのモデルとして使用される。同様のアッセイは、例えば、Claypoolら Journal of Biological Chemistry 2002年8月2日;277(31):28038-50に記載されている。MDCK II細胞(American Type Culture Collection、Manassas、VA)を、10%のウシ胎児血清(Clontech、Mountain View、CA)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび0.292mg/mLのL-グルタミン(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を含有するダルベッコ改変最小必須培地(Invitrogen、Gaithersburg、MD)中、37℃、5%のCOの加湿インキュベータ中で増殖させた。MDCK II細胞を最初にhFcRnをコードする遺伝子(P2A配列によって分離されたFCGRT(UniProtKB-P55899、FCGRTN HUMAN)および βm(UniProtKB-P61769、B2MG_HUMAN)(KimらPLoS one 2011;6(4):e 18556))でトランスフェクトし、次いで、トランスフェクトした細胞株を、抗FCGRT抗体(ADM31、Aldevron、Fargo、ND)および二次抗マウスPEコンジュゲート抗体(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を使用してFACSによって選択された単離された単一コロニーから増殖させた。全てのクローンを、一定の抗生物質選択(5μg/mLのピューロマイシン)で維持した。FITC抗ヒトβM(BioLegend)を使用してフローサイトメトリーによって評価したそのFCGRTおよびβ M細胞表面発現に基づいて、最終クローンを選択した。
トランスサイトーシスアッセイを以下の通り実施した:FcRn発現細胞をTranswell(登録商標)透過性支持プレート、0.4μm細孔径(Corning Inc.,Corning,NY)に3日間播種した。3日目に、試験抗体および蛍光マーカー色素ルシファーイエロー(Molecular Probes、Eugene、OR)を含む新鮮な培地を頂端側区画に添加した。試験抗体およびルシファーイエローを含まない新鮮な培地を基底側区画に添加した。両チャンバーのpHは7.4とした。プレートを37℃、5% CO加湿インキュベータ内で一晩インキュベートした。4日目に、培地を頂端側区画および基底側区画から回収し、2つの区画中の抗体濃度を、以下に記載されるようにELISAによってアッセイした。側底側区画中の試験抗体の濃度を、同じ区画中の参照抗体、典型的には野生型抗体の濃度で割ることによってデータを標準化された。細胞単層中の接合形成の完全性を、基底側区画中のルシファーイエローの相対蛍光単位を測定することによって監視した。対照レベルより上の上昇したレベルのルシファーイエローを有するウェルからのデータは、上皮性関門がインタクトではなかったことを示すので破棄した。
野生型およびトランスジェニックマウスのPKおよびPD試験-6週齢~8週齢の野生型C57B/6マウスをmFcRn試験に使用した。hFcRnをモデル化するマウス試験のために、ヒトプロモータの制御下でヒトFcRnアルファ鎖(FCGRT)導入遺伝子を発現し、マウスFcRnアルファ鎖のノックアウト対立遺伝子を有するトランスジェニックTg32マウス(FcgrttmIDcr)-B6.Cg-FcgrttmIDcr Tg(FCGRT)32Dcr/DcrJ,(JAXストック番号014565)を使用した(Petkova S.B.2006 Int.Immunol 18(2):1759-69、Roopenian,D.C.、2010、Methods Mol.Biol.602:93~104)。
マウス試験のための投与、試料収集-マウスに、以下に概説されるように、示される用量の抗体を静脈内注射した。投与後の様々な時間の後、血液を採取し、抗体濃度の測定のために血漿または血清のいずれかを単離した。血漿収集のために、全血を灌流の前にEDTAマイクロコンテナチューブ(BD Diagnostics)に収集し、5,000×gで15分間遠心分離し、血漿抗体濃度を測定するために上清を単離した。血清採取のために、全血を血清セパレータマイクロコンテナチューブ(BD Diagnostics)に収集し、少なくとも30分間凝固させ、5,000×gで90秒間スピンダウンした。血清抗体測定のために上清を単離した。示された時間に、マウスをD-PBSで灌流し、脳を抗体濃度および/またはAベータの測定のために収集した。脳抗体濃度測定のために、各マウス由来の半脳を、Complete Mini EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Diagnostics)を含有するPBS中1% NP-40(Cal-Biochem)中でホモジナイズした。ホモジナイズした脳試料を4℃で1時間回転させた後、14,000rpmで20分間遠心分離した。脳抗体測定のために上清を単離した。Aベータ1-40 測定のために、半脳を5M塩酸グアニジン緩衝液中でホモジナイズし、試料を室温で3時間回転させた後、新たに添加したアプロチニン(20mg/mL)およびロイペプチン(10mg/ml)を含有するPBS中0.25%カゼイン、5mM EDTA(pH8.0)に希釈した(1:10)。希釈したホモジネートを14,000 rpmで20分間遠心分離し、Aベータ1-40測定のために上清を単離した。
マウス血漿または血清中の抗体濃度の測定(薬物動態)-マウス血漿または血清中の総抗体濃度を、一般的なヒトFc ELISAで測定した。Nunc 384ウェルMaxiSorpイムノプレートを、ロバ抗ヒトIgGのF(ab’)断片およびFc断片特異的ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch)により4℃で一晩コーティングした。プレートをPBSおよび0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)により25℃で1時間ブロッキングした。各抗体(対照IgGまたは改変Fc)を標準として使用して、それぞれの抗体濃度を定量した。プレートを、マイクロプレートウォッシャ(Bio-Tek Instruments Inc.)を使用して、PBSおよび0.05% Tween 20で洗浄し、0.5% BSA、0.35 M NaCl、0.25% CHAPS、5 mM EDTA、0.05% Tween 20および15 ppm(百万分率)Proclinを含有するPBSに希釈した標準および試料を、25℃で2時間添加した。結合した抗体をHRPコンジュゲートF(ab’)ヤギ抗ヒトIgGおよびFc特異的ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch)で検出し、TMB(KPL Inc.)で展開し、吸光度(A)をMultiskan Ascentリーダー(Thermo Scientific)で450nmで測定した。濃度を、4パラメータ非線形回帰プログラムを用いて標準曲線から決定した。
抗BACE1抗体薬物動態アッセイ-マウス血清および脳試料中の抗体濃度を、ELISAを使用して測定した。NUNC 384ウェルMaxisorpイムノプレート(Neptune,NJ)を、コートとしての組換えヒトBACE1 ECDで4℃で一晩コーティングした。次いで、プレートを、0.5% BSAを含有するPBSで、室温で1時間ブロッキングした。各抗体を標準として使用して、血清および脳試料中のそれぞれの抗体濃度を定量した。マイクロプレートウォッシャ(Bio-Tek Instruments,Inc.、Winooski、VT)を使用して0.05% Tween 20を含有するPBSでプレートを洗浄した後、標準および0.5% BSA、0.35 M NaCl、0.25% CHAPS、5 mM EDTA、0.05% Tween 20および15 ppmプロクリンを含有するPBSに希釈した試料をプレート上で穏やかに撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。結合した抗体を、HRPコンジュゲートF(ab’)ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch)で検出した。最後に、基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)(KPL,Inc.、Gaithersburg、MD)を使用してプレートを展開した。吸光度を、Multiskan Ascentリーダー(Thermo Scientific、Hudson、NH)で、630nmを参照として450nmの波長で測定した。濃度を、4パラメータ非線形回帰プログラムを使用して標準曲線から決定した。遊離抗BACE1マウスELISAの検出下限(LLOD)は0.06ng/mlであった。
PDアッセイ-マウス脳試料中のAベータ1-40濃度を、PK分析についての上記の方法と同様のELISAを使用して測定した。簡潔には、Aベータ1-40のC末端に特異的なウサギポリクローナル抗体(Millipore、Bedford、MA)をプレート上にコーティングし、ビオチン化抗マウスAベータモノクローナル抗体M3.2(Covance、Dedham、MA)を検出に使用した。このアッセイは、血漿中1.96pg/mlおよび脳中39.1pg/gの定量値下限を有していた。
放射標識試験-修正したChizzonite放射ヨウ素標識プロトコルを使用して、抗体を125Iで標識した(Chizzonite、Truittら、1991)。野生型またはヒトFCGRT ホモ接合性トランスジェニックマウス(Tg32)に [125I]標識抗体(5 mCi iv)を投与した。注射後、血液、脳および他の組織を指定された時点で収集した。次いで、試料を、組織1グラム当たりの総放射能について分析した。組織放射能を血管血中濃度からの寄与について補正した(n=2/群)。
実施例2-野生型およびヒトFCGRTトランスジェニックマウスにおけるhIgG1野生型およびFc改変抗体の薬物動態および薬力学
pH6でhFcRnへの改善された結合を有するとして以前に同定された改変Fc、M428L/N434A(LA)およびM252Y/S254T/T256E(YTE)を含む2つの抗体、ならびに野生型hIgG1およびhIgG4を含む2つの抗体を発現および精製し、pH7.4およびpH6でのhFcRnに対する親和性を測定した。さらに、野生型IgGまたは改変Fcを含む各抗体のトランスサイトーシスを、実施例1に記載されるインビトロトランスサイトーシスアッセイで決定した。表2は、これらの抗体についての親和性およびトランスサイトーシスの結果を示す。
表2
Figure 2022514290000005
表2に示されるように、LAまたはYTE Fc改変を含む抗体は、pH6での改善されたFcRn結合を有し、pH7.4での結合に検出可能な差はなく、野生型対照と比較して、トランスサイトーシスの改善はほとんど示さなかった。(10μM超は、pH7.4での親和性が検出不能であったか、または弱すぎて測定できなかったことを示す)。LAおよびYTEバリアントは、トランスサイトーシスをそれぞれ5.1倍および1.9倍増加させた。
pH6でFcRn親和性が増強された抗体で脳取り込みを改善できるかどうかを評価するために、対照抗gD hIgG1抗体(抗gD-hIgG1)、抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-hIgG1)、またはYTE Fc改変を含む抗BACE1 hIgG1抗体(抗BACE1-hIgG1-YTE)を投与した後の野生型(Fcgrt+/+)マウスにおいて、抗体薬物動態およびAベータ薬力学を決定した。図1に示されるように、抗BACE1-hIgG1-YTEは、野生型Fcを有する抗BACE1 hIgG1と比較して、速い血漿からのクリアランス(図1A)および改善された脳抗体濃度(図1C)を示した。抗体の改善された脳濃度と一致して、抗BACE1-hIgG1-YTE投与は脳Aベータ1-40レベルを低下させた(図1B)。対照的に、抗gD-hIgG1抗体(対照)および抗BACE1-hIgG1抗体は、脳で検出された低レベルのこれらの抗体と一致して、脳Aベータ1-40レベルにほとんど影響を及ぼさなかった(図1B、図1C)。抗BACE1-hIgG1と比較して、抗BACE1-hIgG1-YTEは、野生型(Fcgrt+/+)マウスにおいて最大濃度(Cmax)と曲線下面積(AUC)(図1D)の両方に関して脳曝露を増加させた。
驚くべきことに、hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニックTg32(FCGRT+/+Fcgrt-/-)マウスにおいて抗BACE1-hIgG1-YTEを試験した場合、抗BACE1-hIgG1と比較して、脳取り込みの改善も脳Aベータ1-40レベルの低下もなかった(図2A、図2B、図2C)。この理由を調べるために、pH7.4およびpH6での野生型hIgG1抗体およびYTE改変を含むhIgG1抗体のmFcRnおよびhFcRnへの結合を試験した。データは、YTE改変がpH7.4とpH6.0の両方でmFcRnへの結合を約10倍改善したが、hFcRnへの結合はpH6.0でのみ改善されたことを示した(図2D;図2DのKデータは、異なる実験で測定されたため、表2のデータとわずかに異なる)。これらの結果は、pH6ではなく中性pHでのFcRnに対するより強い親和性が、脳への輸送の増加を可能にすることを示唆した。
実施例3-hIgG1およびhIgG4 Fc改変の評価
脳取り込みが改善された抗体を同定するために、一連の単一Fc改変を有する抗BACE1抗体を作製した。改変の位置は、EUナンバリングに従う。図12を参照されたい。
Fc改変を含む抗体を発現させ、精製し、pH7.4およびpH6でのhFcRnに対する親和性を、Biacoreを使用して測定し、トランスサイトーシス活性を実施例1に記載されるように決定した。
表3は、pH6.0でヒトFcRnに対する改善された結合を有するFc改変抗体を示し、これはインビトロトランスサイトーシスを実質的に改善しなかった。
Figure 2022514290000006
表3に示されるように、pH6ではhFcRnに対する増強された親和性を有するが、pH7.4では測定不能な親和性を有する改変Fc抗体については、トランスサイトーシスの改善は観察されない、またはわずかであり(1.7~7.8)、実施例2に記載されるYTE結果と一致した。対照的に、N434W Fc改変を含む抗体の、測定可能ではあるが弱いpH7.4親和性(5.5μM)は、野生型抗体と比較して、トランスサイトーシスの増加(26倍)を示した。
単一Fc改変を二重、三重および四重Fc改変に組み合わせ、改変Fcを含む抗BACE1抗体を実施例1に記載されるように構築、発現および精製し、pH7.4およびpH6でのヒトFcRnへの結合および実施例1に記載されるトランスサイトーシスアッセイにおける有効性について試験した。表4、5および6は、pH7.4でのヒトFcRnへの改善された結合および改善されたトランスサイトーシス活性を有する、それぞれ二重、三重および四重Fc改変を含む抗体を示す。図3は、改変Fc抗体のpH7.4 FcRn親和性とpH6 FcRn親和性との間の相関を示す。各点は単一抗体を表す。白い三角形は、インビボでさらに試験した、四重Fc改変M252Y/T307Q/Q311A/N434Yを含み、Q95(YQAY)として示される、本開示の例示的抗体を示す。図4は、表3、4、5および6に示されるFc改変抗体の標準化されたトランスサイトーシス活性を示す。
Figure 2022514290000007
Figure 2022514290000008
Figure 2022514290000009
Figure 2022514290000010
上記の表に示されるように、トランスサイトーシス活性が実質的に改善された一連のFc改変抗体を作製し、いくつかのFc改変は、野生型IgG1抗体と比較して100倍超トランスサイトーシスを促進した。
表7および表8は、抗ヒトFab捕捉チップを使用してBIACOREによって決定された、改変Fcを含むある特定の抗BACE1抗体およびある特定の抗Aベータ抗体の定常状態親和性を示す。
Figure 2022514290000011
Figure 2022514290000012
実施例4-Tg32マウスにおける改変Fcを含む抗体の薬物動態
単回25mg/kg静脈内(IV)用量の野生型ヒトIgG1を含む抗gD抗体(抗gD-hIgG1)、YY(D1、M252Y/N434Y)Fc改変を有するhIgG1を含む抗gD抗体(抗gD-hIgG1-YY)、YQAY(Q95、M252Y/T307Q/Q311A/N434Y)Fc改変を有するhIgG1を含む抗gD抗体(抗gD-hIgG1-YQAY)、またはLA(M428L/N434A)Fc改変を有するhIgG1を含む抗gD抗体(抗gD-IgG1-LA)を、hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニックTg32(FCGRT+/+Fcgrt-/-)マウスに投与した。図5Aおよび図5Bに示されるように、異なるhIgG1 Fcを含む抗gD抗体の血清レベルは類似していたが、抗gD-hIgG1-YY、抗gD-hIgG1-YQAYおよび抗gD-hIgG1-LAの脳レベルは、抗gD-hIgG1よりも高かった。
hFcRnに対する抗gD抗体の結合親和性を、上記のようにpH6およびpH7.4で測定した。YYおよびYQAY Fc改変抗体は、抗BACE1状況で観察されたのと同様の抗gD抗体におけるhFcRn親和性増強をもたらした(図5C)(表4および表6)。PK結果およびhFcRn親和性を図5Cにまとめて要約しており、これは、抗gD-hIgG1-YYおよび抗gD-hIgG1-YQAYがより大きい脳/血清比(脳/血清についての%AUC/AUCとして測定)を有したことを示している。両方のFc改変は、pH7.4およびpH6でhFcRnへの結合を有意に改善し、高いトランスサイトーシススコアをもたらした(抗BACE1との関連でYYについては79、YQAYについては100-表4および表6)。
実施例5-Tg32マウスにおける改変Fcを含む抗体の薬力学
薬力学(PD)アッセイを行って、野生型hIgG1を含む抗BACE1抗体(抗BACE1-hIgG1)およびYQAY Fc改変を有するhIgG1を含む抗BACE1抗体(抗BACE1-hIgG1-YQAY)を、hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くトランスジェニックTg32(FCGRT+/+Fcgrt-/-)マウスに、単回50mg/kg IV投与した後のAベータレベルを評価した。脳抗体レベルおよびAベータ1-40レベルを実施例1に記載されるようにアッセイした。以前の結果と一致して、Fc改変抗BACE1-hIgG1-YQAYは、抗BACE1-hIgG1野生型よりも大きな脳取り込みを示した(図6B)。さらに、Fc改変抗BACE1-hIgG1-YQAYの投与後に脳Aベータ1-40レベルは低下したが、抗BACE1-hIgG1はほとんどまたは全く低下を示さなかった(図6C)。図6Dおよび図6Eに示されるように、抗BACE1-hIgG1-YQAYは、抗BACE1-hIgG1よりも大きなCmaxおよびAUClast、ならびにAベータのより大きな減少を有していた。
同様の実験を、抗BACE1-hIgG1、抗BACE1-hIgG1-YYおよび抗BACE1-hIgG1-YQAYとしてフォーマット化された異なる抗BACE1抗体を用いて行った。トランスジェニックTg32(FCGRT+/+Fcgrt-/-)マウスに、抗BACE1-hIgG1、抗BACE1-hIgG1-YYまたは抗BACE1-hIgG1-YQAYの単回50mg/kg IV投与を行った。脳抗体レベルおよびAベータ1-40レベルを実施例1に記載されるようにアッセイした。3つ全ての抗体が同様の血清濃度を有していたが(図13A)、抗BACE1-hIgG1-YQAYは、最大の脳取り込みを示し、抗BACE1-hIgG1-YYは、抗BACE1-hIgG1と比較して脳取り込みの増強に向かっていた(図13B)。より大きな脳取り込みと一致して、脳Aベータ1-40レベルは、Fc改変抗BACE1-hIgG1-YQAYの投与後に最も大きく低下し、Fc改変抗BACE1-hIgG1-YYの投与後に低下する傾向が観察された(図13C)。図13Dに示されるように、抗BACE1-hIgG1-YQAYは、抗BACE1-hIgG1よりも大きな脳CmaxおよびAUCを有し、抗BACE1-hIgG1-YYは、抗BACE1-hIgG1よりも大きな脳CmaxおよびAUC、ならびにAベータのより大きな減少に向かっていた。
実施例6-FCGRT+/+、FCGRT+/-およびFcgrt+/+マウスにおける高トランスサイトーシスIgG1バリアントの薬物動態
5mg/kgの単回静脈内(IV)用量の抗gD-hIgG1抗体、抗gD-hIgG1-YY、抗gD-hIgG1-YQAY、またはYTE(M252Y/S254T/T256E)Fc改変(抗gD-hIgG1-YTE)を有するhIgG1を含む抗gD抗体を、hFCGRTを発現し、mFCGRTを欠くホモ接合型トランスジェニックTg32(FCGRT+/+Fcgrt-/-)マウス;hFCGRTとmFCGRTの両方を発現するヘミ接合性(FCGRT+/-Fcgrt+/-)マウス;およびmFCGRTのみを発現する野生型(Fcgrt+/+)マウスに投与した。各抗体を5μCi 125Iで標識した。全ての抗体が、ホモ接合性Tg32マウスおよびヘミ接合性(FCGRT+/-Fcgrt+/-)マウスにおいて同様の血漿PKを示した。野生型マウスでは、抗gD-hIgG1-YYおよび抗gD-hIgG1-YQAYは、抗gD-hIgG1または抗gD-hIgG1-YTEよりも速い血漿からのクリアランスを示した(図7A、図7B、図7C)。図7Dは、pH7.4およびpH6でのhFcRnおよびmFcRnに対する抗gD-hIgG1および各Fc改変抗体の親和性を、各系統のマウスで、各抗体について、野生型に対する血漿AUCと共に示す。
ホモ接合性hFCGRTマウスにおける抗gD-hIgG1および3つのFc修改変抗体の脳PKを図8に示す。抗gD-hIgG1-YYおよび抗gD-hIgG1-YQAYは、抗gD-hIgG1または抗gD-hIgG1-YTEよりも大きな脳取り込みを示した(図8A)。抗gD-hIgG1-YYおよび抗gD-hIgG1-YQAYの脳取り込み増加は、ホモ接合性hFCGRT Tg32マウスに特異的であった(図8B)。hFCGRTについてホモ接合性であるマウスでAUCによって測定されるように、抗gD-hIgG1-YYは、抗gD-hIgG1と比較して2.2倍増加した脳曝露をもたらし、抗gD-hIgG1-YQAYは、抗gD-hIgG1と比較して3.4倍の増加という、脳曝露のさらに大きな増加をもたらした(図8C)。
抗gD-hIgG1および3つのFc改変抗体の薬物動態を、肝臓、大腸および肺を含む他の組織においても決定した(図9~図11)。これらの組織も、Fc改変抗体による組織透過の中程度の改善を示したが、改善は脳で見られる改善よりも少ない。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、これらの組織は、より低いレベルのFcRnを有するか、または有窓毛細管を有する脈管構造を含み得、これが拡散によるある程度のレベルの抗体透過を可能にし得る。
実施例7-カニクイザルにおける高トランスサイトーシスIgG1バリアントの薬物動態および薬力学
カニクイザルPK/PD試験.両方の試験について、1実験群当たり4匹の3~5歳の雄カニクイザルを使用した。
第1の試験では、抗BACE1 hIgG1野生型抗体、および改変Fc(抗BACE1-YQAY、YEY、YPY)を有する抗BACE1 hIgG1抗体を、0日目に伏在静脈への静脈内ボーラス注射によって50mg/kgで投与した。CSFおよび血液試料を、投与7日前から投与29日後までの様々な時点で収集した。試料は、同じ時間に収集した。
第2の試験では、抗BACE1 hIgG1野生型抗体、および改変Fc(抗BACE1-YQAY、YY、YLYI、YIY)を有する抗BACE1 hIgG1抗体を、伏在静脈への静脈内ボーラス注射によって50mg/kgで投与した。CSFおよび血液試料を、投与7日前から投与7日後までの様々な時点で収集した。投与2日後および7日後に、2匹の動物の脳を全身灌流後に採取した。脳領域を部分解剖し、直ちに凍結した。異なる脳領域を、Complete Mini EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Diagnostics)を含有するPBS中1% NP-40(Cal-Biochem)中でホモジナイズした。ホモジナイズした脳試料を4℃で1時間回転させてから、14,000rpmで20分間スピンした。上清を脳薬物動態および薬力学(sAPPβ/α)分析のために単離した。
薬物動態アッセイ.サル血清中の総抗体濃度を、Pure Proteome Protein A Magnetic Beads(Millipore)による親和性捕捉、引き続いて変性、還元、アルキル化およびトリプシン消化を使用するLCMS法を使用して測定した。Fc領域からのシグネチャペプチドを、総抗体濃度の定量のための代用として選択した。アッセイのMQCは60ng/mLであった。CSFおよび脳試料の総抗体濃度を、コートとしてサル吸着ヒツジ抗ヒトIgGポリクローナル抗体(Binding Site)を使用し、検出としてHRPにコンジュゲートしたサル吸着ヤギ抗ヒトIgG抗体(Bethyl)を用いるELISA法を使用して測定した。アッセイは、CSFおよび脳で1.6ng/mlのMQC値を有していた。
薬力学アッセイ.sAPPβ/α比.sAPPαおよびsAPPβのCSF濃度および脳濃度を、sAPPα/sAPPβマルチプレックスECLアッセイを用いて決定した。抗Aベータモノクローナル抗体6E10を使用してsAPPαを捕捉し、APPのアミノ酸591~596に対する抗体を使用してAPPβを捕捉した。両分析物を、APPのN末端に対する抗体を用いて検出した。CSFを氷上で解凍し、次いで、TBS-Tween 20中1% BSAに1:10希釈した。アッセイは、sAPPαおよびsAPPβについてそれぞれ0.05ng/mlおよび0.03ng/mlのLLOQ値を有していた。
結果.図14Aに示されるように、第1の試験では、改変Fcを有する抗BACE1抗体は、抗BACE1 hIgG1野生型抗体と比較して、脳脊髄液(CSF)sAPPβ/α比の有意な減少を示した。図14Bおよび図14Cに示されるように、中性pHでのFcRn親和性は、血清からの抗体のクリアランスの増加と相関するように見え、抗BACE1 hIgG1野生型抗体は、改変Fcを有する抗体のいずれよりもゆっくりと除去された。
図15Aに示されるように、第2の試験では、改変Fcを有する抗BACE1抗体は、抗BACE1 hIgG1野生型抗体と比較して、CSF sAPPβ/α比の有意な減少を示した。図15Bに示されるように、改変Fcを有する抗BACE1抗体は、抗BACE1 hIgG1野生型抗体と比較して脳sAPPβ/α比の実質的な減少を示した。図15Cは、各抗体についてのCSF sAPPβ/α比および脳sAPPβ/α比の比較を示す。CSFおよび脳は、様々な抗体で同様のPD効果を示した。
図15Dに示されるように、改変Fcを有する抗BACE1抗体の全てが、抗BACE1 hIgG1野生型抗体よりも2日目に脳(皮質および海馬の平均値)により高濃度で存在し、YQAY、YYおよびYIY Fc改変を有する抗BACE1抗体は、抗BACE1 hIgG1野生型抗体よりも7日目に高い脳濃度を有していた。2日目の抗体濃度の改善倍率は7.4であり、7日目では、抗BACE1 hIgG1 YYについて4.7であった。2日目の抗体濃度の改善倍率は7.4であり、7日目では、抗BACE1 hIgG1 YQAYについて8.1であった(図15E)。
図15Fは、脳sAPPβ/α比と脳抗体濃度との間の相関を示しており、これは、より高レベルの抗BACE1抗体が、より低いsAPPβ/α比およびより強いPD応答を脳でもたらすことを実証している。
図15Gは、野生型または改変hIgG1 Fcを有する抗BACE1抗体の平均CSF濃度を示す。YYおよびYQAY改変を含むhIgG1 Fcを有する抗BACE1抗体は、様々な時点でhIgG1野生型Fcを有する抗BACE1抗体と比較して高いCSF濃度を示した。図15Hは、CSF中の抗BACE1抗体の濃度の血清中の抗BACE1抗体の濃度に対する比を示す。改変Fc、YY、YQAY、YLYIおよびYIYの全てが、CSF中の抗BACE1抗体の割合の増加をもたらした。図151および図15Jに示されるように、改変Fcを有する抗BACE1抗体は、抗BACE1 hIgG1野生型抗体よりも迅速に血清から除去された。
実施例8-PS2APPトランスジェニックマウスにおける抗Aベータ抗体標的結合の評価
実施例2で論じられるように、M252Y/S254T/T256E(YTE)を含む改変Fcは、pH7.4とpH6.0の両方でmFcRnへの結合を改善したが、pH6.0でのみhFcRnを改善した。野生型マウスでは、抗BACE1-hIgG1-YTEは、抗BACE1-hIgG1と比較して改善された脳取り込みを実証している。他の脳抗原に結合する抗体で改善された脳取り込みが観察されるかどうかを決定するために、それぞれThy1およびPrPプロモーターによって駆動される、スウェーデン変異K670N/M671Lを有するヒトAPP(hAPP)およびN141I変異を有するヒトプレセニリン2を共発現するPS2APPマウスに抗Aベータ-hIgG4-YTE抗体を投与した。例えば、Richardsら、J.Neurosci.23、8989~9003(2003)を参照されたい。これらのマウスは、アミロイドプラークを含むオリゴマーおよび原線維性アミロイド沈着物を脳に蓄積し、したがって、抗Aベータ抗体の標的結合を評価することができる。一般に、抗Aベータ抗体の投与後、抗体の結合がアミロイドプラークの周辺部に沿って、また苔状線維海馬管内で観察される。この特異的染色パターンは、アイソタイプ適合対照抗体では観察されない(データは示さない;例えば、Meilandt,W.J.ら Characterization of the selective in vitro and in vivo binding properties of crenezumab to oligomeric Aβ.Alz Res Therapy 11、97(2019)doi:10.1186/s13195-019-0553-5参照)。
インビボ投与.トランスジェニックPS2APP同腹子または非トランスジェニック(Ntg)同腹子を処置群に無作為化し、単回静脈内(i.v.)用量の抗AベータhIgG4または抗AベータhIgG4-YTE(20、40、80または120mg/kg)を投与した。抗体をプラットフォーム緩衝液(20 mMヒスチジン、240 mMスクロース;pH5.5、0.02% Tween 20)で希釈し、5 ml/kgの体積で注入した。投与5日後、動物を屠殺し、心臓穿刺によって終末血漿を回収した後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で灌流した;右半脳を取り出し、4%パラホルムアルデヒド中で滴下固定した。左半脳から海馬、皮質および小脳を切除し、秤量し、-80℃で保存した。
免疫組織化学.右半脳を4%パラホルムアルデヒド中で48時間滴下固定し、次いで、PBS中30%スクロースに移した。マウス脳の浮動性矢状凍結切片(35μm)をPBS、次いで、PBS-Triton X100(PBST、0.1%)で洗浄し、次いで、5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBST(0.3%)でブロッキングし、PBST(0.3%)中1% BSAに希釈した一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。ヤギ抗ヒトIgG-Alexa594(またはAlexa555、1:100~1:500;Thermo-Fisher、Waltham、MA)を使用して、投与したヒト抗体の局在化を行った。Ap蛍光マーカーメトキシ-X04を使用してプラークを検出した。
蛍光顕微鏡法.4’6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、二塩酸塩(DAPI)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)およびシアニン5(Cy5)フルオロフォアに最適化されたPCO.エッジカメラ(Kelheim、ドイツ)、Lumencor Spectra X(Beaverton、OR)およびSemrockフィルタ(Rochester、NY)を備えたPannoramic 250(3D Histech、ハンガリー)を使用して、全スライド画像を20倍で取り込む。各チャネルの理想的な露光は、最も明るい強度の試料に基づいて決定し、スライドのセット全体をバッチとして実行するように設定する。画像はまた、Leica Application Suite Advanced Florescenceソフトウェア(LAS AF4.0)を使用して、Leica DM5500B光学顕微鏡を使用して20倍で捕捉した。Zen2.3ソフトウェアを使用してZeiss LSM800共焦点レーザー走査型顕微鏡で20倍または40倍の油浸対物レンズを使用して共焦点画像を撮影した。ImageJ(NIH)を使用して動物1匹当たり2~4切片からの積分密度を測定することによって、苔状線維染色の定量を実施した。
インビボ抗体薬物動態(PK)測定.小脳試料を秤量し、Qiagen TissueLyser II(30 Hzで2×3分)を使用して300μlの1% NP-40(Roche完全ETDAフリープロテアーゼ阻害剤カクテルを含む)中でホモジナイズした。次いで、試料を氷上に20分間置き、次いで、20,000×gで20分間遠心分離した。上清を回収し、PKアッセイに使用するまで-80℃で保存した。マウス血漿および脳試料中の抗体濃度を、ELISAを使用して測定した。NUNC 384ウェルMaxisorpイムノプレート(Neptune、NJ、米国)を、ヒツジ抗ヒトIgGのF(ab’)断片、Fc断片特異的ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA、米国)により4℃で一晩コーティングした。次いで、プレートを、0.5% BSAを含有するPBSで、室温で1時間ブロッキングした。各抗体(抗AベータhIgG4または抗AベータhIgG4-YTE)を標準として使用して、それぞれの抗体濃度を定量した。マイクロプレートウォッシャ(Bio-Tek Instruments,Inc.、Winooski、VT)を使用して0.05% Tween 20を含有するPBSでプレートを洗浄した後、標準および0.5% BSA、0.35 M塩化ナトリウム(NaCl)、0.25% 3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート水和物(CHAPS)、5 mM EDTA、0.05% Tween 20および15 ppmプロクリンを含有するPBSに希釈した試料をプレート上で穏やかに撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。結合した抗体を、西洋ワサビぺルオキシダーゼコンジュゲートF(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG、Fc断片特異的ポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch)で検出した。最後に、基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(KPL,Inc.、Gaithersburg、MD、米国)を使用してプレートを展開した。吸光度を、Multiskan Ascentリーダー(Thermo Scientific、Hudson、NH、米国)で、630nmを参照として450nmの波長で測定した。濃度を、4パラメータ非線形回帰プログラムを使用して標準曲線から決定した。このアッセイは、血漿中13.7ng/mlおよび脳中1.37ng/mlの定量値下限を有していた。
結果.図16A~図16Bに示されるように、血漿PKおよび脳PKの用量依存的増加が抗AベータhIgG4について観察されたが、抗AベータhIgG4-YTEは、全ての用量でより低い血清曝露および増強された脳取り込みを示した。抗AベータhIgG4についての脳:血漿比は約0.15%であり、抗AベータhIgG4 YTEについては約0.75%であった。
図16Cは、苔状線維海馬管への抗体結合によって測定されるインビボ標的結合を示す。抗AベータhIgG4 YTEは、20mg/kgの投与後に有意な結合を示し、用量が増加するにつれて結合増加を示す。対照的に、抗AベータhIgG4は、20mg/kgおよび40mg/kgでの投与後、抗AベータhIgG4 YTEと比較してはるかに低い染色を示す。図16Dは、図16Cからの染色レベルを示す棒グラフである。
図16Eおよび図16Fは、20mg/kgでの投与後の海馬台(16E)および前頭前野(16F)におけるアミロイドプラークの周辺部への抗AベータhIgG4および抗AベータhIgG4 YTEの結合を示す。これらの脳領域におけるアミロイドプラークへの抗AベータhIgG4 YTEの結合レベルは、抗AベータhIgG4について観察された結合よりもはるかに大きい。
実施例9-カニクイザルにおける高トランスサイトーシスIgG4バリアントの薬物動態
カニクイザルPK試験.1実験群当たり4匹の3~5歳の雄カニクイザルを使用した。抗Aベータ hIgG4野生型抗体、および改変Fc(抗Aベータ-YQAY、YEY、YY)を有する抗AベータhIgG4抗体を、0日目に伏在静脈への静脈内ボーラス注射によって50mg/kgで投与した。pH7.4およびpH6.0でのカニクイザルFcRnに対する各抗体の結合親和性を表9に示す。示される親和性は25℃で測定した;37℃での親和性は類似であった(データは示さず)。
Figure 2022514290000013
CSFおよび血液試料を、投与7日前から投与7日後までの様々な時点で収集した。試料は、同じ時間に収集した。投与2日後および7日後に、2匹の動物の脳を全身灌流後に採取した。脳領域を部分解剖し、直ちに凍結した。異なる脳領域を、Complete Mini EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Diagnostics)を含有するPBS中1% NP-40(Cal-Biochem)中でホモジナイズした。ホモジナイズした脳試料を4℃で1時間回転させてから、14,000rpmで20分間スピンした。上清を脳薬物動態分析のために単離した。
薬物動態アッセイ.サル血清、CSFおよび脳試料の総抗体濃度を、コートとしてサル吸着ヒツジ抗ヒトIgGポリクローナル抗体(Binding Site)を使用し、検出としてHRPにコンジュゲートしたサル吸着ヤギ抗ヒトIgG抗体(Bethyl)を用いるELISA法を使用して測定した。アッセイは、CSFおよび脳で1.6ng/mlのMQC値を有していた。
結果.図17Aは、2日目および7日目の抗Aベータ抗体の平均脳濃度を示す。図17Bは、各改変hIgG4 Fcで観察された脳濃度の改善倍率を要約している。改変Fcを有する抗Aベータ抗体は、2日目に野生型Fcと比較して脳取り込みの2.7~4.7倍の改善、および7日目に3.7~4.2倍の改善を示した。
図17Cは、野生型または改変hIgG4 Fcを有する抗Aベータ抗体の平均CSF濃度を示す。YEYおよびYQAY改変を含むhIgG4 Fcを有する抗Aベータ抗体は、hIgG4野生型Fcを有する抗Aベータ抗体と比較して高いCSF濃度を示した。YY改変を含むFcでもわずかな改善が観察された。図17Dは、CSF中の抗Aベータ抗体の濃度の血清中の抗Aベータ抗体の濃度に対する比を示す。改変Fc、YY、YEYおよびYQAYの全てが、CSF中の抗Aベータ抗体の割合の増加をもたらした。図17Eおよび図17Fに示されるように、改変Fcを有する抗Aベータ抗体は、抗Aベータ hIgG4野生型抗体よりも迅速に血清から除去された。
図18Aは、カニクイザルにおける血清曝露とpH7.4でのhFcRnに対するFcの親和性(K(7.4))の相関を示す。抗BACE1 hIgG1(丸)と抗AベータIgG4(四角)の両方のFc改変バリアントをプロットに示す。WT Fcを丸で囲み、標識する。
図18Bは、カニクイザルの脳への抗体分配(% [mAb]/[mAb血清])とpH7.4でのhFcRnに対するFcの親和性(KD(7.4))の相関を示す。抗BACE1 hIgG1(丸)と抗AベータIgG4(四角)の両方のFc改変バリアントをプロットに示す。WT Fcを丸で囲み、標識する。
要約すると、結果は、pH7.4でFcRnに対する増加した親和性を有する改変Fcが、hIgG1とhIgG4の両方の状況においてカニクイザルの脳曝露を改善することを実証している。特に血清曝露と比較して、CSF曝露の改善も観察された。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、pH7.4でのFcRnに対する増加した親和性は、再利用も分解もされるのではなく、トランスサイトーシスされるIgGの割合を増加させ、脳およびCSF曝露の改善をもたらし得る。あるいは、または加えて、pH7.4での細胞表面上のFcRnに対する増加した親和性は、細胞中に内在化され、トランスサイトーシスされるIgG抗体の量を増加させ、脳およびCSF曝露の改善をもたらし得る。
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明および実施例によってある程度詳細に記載してきたが、その記載および実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許および科学文献の開示は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
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[配列表]
Figure 2022514290000014

Claims (114)

  1. 神経障害を処置する方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  2. 前記神経障害が、ニューロパチー障害、神経変性疾患、脳障害、がん、眼疾患障害、発作障害、リソソーム蓄積症、アミロイドーシス、ウイルス性または微生物性疾患、虚血、行動障害、およびCNS炎症から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記神経障害が、神経変性疾患である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記神経変性疾患が、レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、アミロイドーシス、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、アミロイドーシス、タウオパチー、アルツハイマー病、核上性麻痺、プリオン病、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病および致死性家族性不眠症から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 抗体を対象の脳に送達する方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  6. 抗体への脳曝露を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  7. 血液脳関門(BBB)を通過する抗体の輸送を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記抗体はインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  8. 前記抗体が、野生型IgG Fcを含む同じ抗体に標準化された場合、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記抗体が、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項8に記載の方法。
  10. 前記インビトロトランスサイトーシスアッセイが、FcRnを発現する細胞を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記細胞が、MDCK II細胞である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体の結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体の結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、10μM以下、5μM以下、4μM以下、3μM以下、2μM以下、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下のpH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下のpH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. pH7.4でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記抗体の親和性の、pH6でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記抗体の親和性に対する比が、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Yを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記改変IgG Fcが、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記改変IgG Fcが、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記IgG FcがIgG1 Fcである、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記IgG FcがIgG4 Fcである、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記抗体が脳抗原に結合する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記抗体が、ベータ-セクレターゼ1(BACE1)、アミロイドベータ(Aベータ)、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、タウ、アポリポタンパク質E(ApoE)、アルファ-シヌクレイン、CD20、ハンチンチン、プリオンタンパク質(PrP)、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、ガンマセクレターゼ、細胞死受容体6(DR6)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、インターロイキン6受容体(IL6R)、インターロイキン1ベータ(IL1β)、カスパーゼ6、骨髄細胞に発現する誘発性受容体2(TREM2)、C1q、対になった免疫グロブリン様2型受容体アルファ(PILRA)、CD33、インターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNFR1)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1B(TNFR2)およびアポリポタンパク質J(ApoJ)から選択される脳抗原に結合に結合する、請求項24に記載の方法。
  26. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記抗体が、二重特異性抗体である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記抗体が、抗体断片である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記改変IgG Fcが、配列番号1~4から選択される配列の1つまたは複数の改変を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記抗体が、イメージング剤にコンジュゲートされている、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記抗体が、神経障害薬にコンジュゲートされている、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記神経障害薬が、アプタマー、抑制性核酸、リボザイム、および小分子から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 神経障害を処置する方法であって、改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  35. 前記神経障害が、ニューロパチー障害、神経変性疾患、がん、眼疾患障害、発作障害、リソソーム蓄積症、アミロイドーシス、ウイルス性または微生物性疾患、虚血、行動障害、およびCNS炎症から選択される、請求項34に記載の方法。
  36. 前記神経障害が、神経変性疾患である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記神経変性疾患が、レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、タウオパチー、アルツハイマー病、核上性麻痺、プリオン病、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病および致死性家族性不眠症から選択される、請求項36に記載の方法。
  38. Fcコンジュゲートを対象の脳に送達する方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  39. Fcコンジュゲートへの脳曝露を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  40. 血液脳関門(BBB)を通過するFcコンジュゲートの輸送を増加させる方法であって、改変IgG Fcを含む抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記Fcコンジュゲートはインビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、方法。
  41. 前記Fcコンジュゲートが、野生型IgG Fcを含む同じFcコンジュゲートに標準化された場合、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項34から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記Fcコンジュゲートが、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項41に記載の方法。
  43. 前記インビトロトランスサイトーシスアッセイが、FcRnを発現する細胞を含む、請求項34から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記細胞が、MDCK II細胞である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照Fcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項34から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照Fcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項34から45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、1mM未満、または750nM未満、または500nM未満、または400nM未満、または300nM未満、または200nM未満、または100nM未満、または50nM~1mM、または100nM~1mM、または100nM~500nMのpH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項34から46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、100nM未満、または90nM未満、または80nM未満、または70nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満、または10nM未満、または1nM~200nM、または10nM~200nM、または10nM~100nMのpH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項34から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. pH7.4でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートの親和性の、pH6でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートの親和性に対する比が、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である、請求項34から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記改変IgG Fcが、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む、請求項45から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Yを含む、請求項49に記載の方法。
  52. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記改変IgG Fcが、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む、請求項51に記載の方法。
  54. 前記改変IgG Fcが、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む、請求項34から53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記IgG FcがIgG1 Fcである、請求項34から54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記IgG FcがIgG4 Fcである、請求項34から54のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記Fcコンジュゲートが、治療用タンパク質に融合した前記改変IgG Fcを含む、請求項34から56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記治療用タンパク質が、受容体細胞外ドメインおよび酵素から選択される、請求項57に記載の方法。
  59. 前記受容体細胞外ドメインが、TNF-R1細胞外ドメイン(ECD)、CTLA-4 ECD、およびIL-1R1 ECDから選択される、請求項57に記載の方法。
  60. 前記酵素が、アルファ-L-イズロニダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-スルファターゼ、アルファ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、N-アセチル-ガラクトサミン-6-スルファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼB、ベータ-グルクロニダーゼ、酸性アルファ-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼA、ヘキソサミニダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、ベータ-ガラクトセレブロシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼA、酸性セラミダーゼ、アスパルトアシラーゼ、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1およびトリペプチジルアミノペプチダーゼ1から選択される、請求項57に記載の方法。
  61. 前記Fcコンジュゲートが、神経障害薬にコンジュゲートした前記改変IgG Fcを含む、請求項34から56のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記神経障害薬が、アプタマー、抑制性核酸、リボザイム、および小分子から選択される、請求項59に記載の方法。
  63. 前記Fcコンジュゲートが、イメージング剤にコンジュゲートした前記改変IgG Fcを含む、請求項34から56のいずれか一項に記載の方法。
  64. 脳抗原に結合する単離抗体であって、改変IgG Fcを含み、インビトロトランスサイトーシスアッセイで活性である、単離抗体。
  65. 野生型IgG Fcを含む同じ抗体に標準化された場合、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項64に記載の単離抗体。
  66. 少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項65に記載の単離抗体。
  67. 前記インビトロトランスサイトーシスアッセイが、FcRnを発現する細胞を含む、請求項64から66のいずれか一項に記載の単離抗体。
  68. 前記細胞が、MDCK II細胞である、請求項67に記載の単離抗体。
  69. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体の結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項64から68のいずれか一項に記載の単離抗体。
  70. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照抗体の結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項64から69のいずれか一項に記載の単離抗体。
  71. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、10μM以下、5μM以下、4μM以下、3μM以下、2μM以下、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下のpH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項64から70のいずれか一項に記載の単離抗体。
  72. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下のpH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項64から71のいずれか一項に記載の単離抗体。
  73. pH7.4でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記抗体の親和性の、pH6でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記抗体の親和性に対する比が、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である、請求項64から72のいずれか一項に記載の単離抗体。
  74. 前記改変IgG Fcを含む前記抗体が、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む、請求項64から73のいずれか一項に記載の単離抗体。
  75. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Yを含む、請求項74に記載の単離抗体。
  76. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む、請求項75に記載の単離抗体。
  77. 前記改変IgG Fcが、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む、請求項75に記載の単離抗体。
  78. 前記改変IgG Fcが、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む、請求項64から77のいずれか一項に記載の単離抗体。
  79. 前記IgG FcがIgG1 Fcである、請求項64から78のいずれか一項に記載の単離抗体。
  80. 前記IgG FcがIgG4 Fcである、請求項64から78のいずれか一項に記載の単離抗体。
  81. 前記脳抗原が、ベータ-セクレターゼ1(BACE1)、アミロイドベータ(Aベータ)、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、タウ、アポリポタンパク質E(ApoE)、アルファ-シヌクレイン、CD20、ハンチンチン、プリオンタンパク質(PrP)、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、ガンマセクレターゼ、細胞死受容体6(DR6)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、インターロイキン6受容体(IL6R)、インターロイキン1ベータ(IL1β)、カスパーゼ6、骨髄細胞に発現する誘発性受容体2(TREM2)、C1q、対になった免疫グロブリン様2型受容体アルファ(PILRA)、CD33、インターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNFR1)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1B(TNFR2)およびアポリポタンパク質J(ApoJ)から選択される、請求項64から80のいずれか一項に記載の単離抗体。
  82. モノクローナル抗体である、請求項64から81のいずれか一項に記載の単離抗体。
  83. ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項65から82のいずれか一項に記載の単離抗体。
  84. 二重特異性抗体である、請求項64から83のいずれか一項に記載の単離抗体。
  85. 抗体断片である、請求項64から84のいずれか一項に記載の単離抗体。
  86. 前記改変IgG Fcが、配列番号1~4から選択される配列の1つまたは複数の改変を含む、請求項64から85のいずれか一項に記載の単離抗体。
  87. イメージング剤にコンジュゲートされている、請求項64から86のいずれか一項に記載の単離抗体。
  88. 神経障害薬にコンジュゲートされている、請求項64から87のいずれか一項に記載の単離抗体。
  89. 前記神経障害薬が、アプタマー、抑制性核酸、リボザイム、および小分子から選択される、請求項88に記載の単離抗体。
  90. 改変IgG Fcを含むFcコンジュゲートであって、インビトロトランスサイトーシスアッセイで活性であるFcコンジュゲート。
  91. 野生型IgG Fcを含む同じFcコンジュゲートに標準化された場合、少なくとも50の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項90に記載のFcコンジュゲート。
  92. 少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の、インビトロトランスサイトーシスアッセイでのトランスサイトーシス活性を示す、請求項91に記載のFcコンジュゲート。
  93. 前記インビトロトランスサイトーシスアッセイが、FcRnを発現する細胞を含む、請求項90から92のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  94. 前記細胞が、MDCK II細胞である、請求項93に記載のFcコンジュゲート。
  95. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照Fcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項90から94のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  96. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、同じ種およびアイソタイプの未改変IgG Fcを有する参照Fcコンジュゲートの結合親和性よりも大きい、pH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項90から95のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  97. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、10μM以下、5μM以下、4μM以下、3μM以下、2μM以下、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下のpH7.4でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項90から96のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  98. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、1μM以下、900nM以下、800nM以下、700nM以下、600nM以下、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下のpH6でのFcRnに対する結合親和性を有する、請求項90から97のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  99. pH7.4でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートの親和性の、pH6でのFcRnに対する前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートの親和性に対する比が、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、もしくは少なくとも100;または5~200、5~100、10~200、10~100、20~100、もしくは20~200である、請求項90から98のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  100. 前記改変IgG Fcを含む前記Fcコンジュゲートが、EUナンバリングで252W、252Y、286E、286Q、307Q、308P、310A、311A、311I、428L、433K、434F、434W、434Yおよび436Iから選択される1つまたは複数の突然変異を含む、請求項90から99のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  101. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Yを含む、請求項100に記載のFcコンジュゲート。
  102. 前記改変IgG Fcが、252Yおよび434Y、ならびに286E、286Q、307Q、308P、311A、311I、428L、433Kおよび436Iから選択される1つまたは2つのさらなる突然変異を含む、請求項101に記載のFcコンジュゲート。
  103. 前記改変IgG Fcが、307Qおよび311Aをさらに含むか、または286Eをさらに含む、請求項101に記載のFcコンジュゲート。
  104. 前記改変IgG Fcが、表4、5および6の突然変異のセットから選択される突然変異のセットを含む、請求項90から103のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  105. 前記IgG FcがIgG1 Fcである、請求項90から104のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  106. 前記IgG FcがIgG4 Fcである、請求項90から104のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  107. 治療用タンパク質に融合した前記改変IgG Fcを含む、請求項90から106のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  108. 前記治療用タンパク質が、受容体細胞外ドメインおよび酵素から選択される、請求項107に記載のFcコンジュゲート。
  109. 前記受容体細胞外ドメインが、TNF-R1細胞外ドメイン(ECD)、CTLA-4 ECD、およびIL-1R1 ECDから選択される、請求項107に記載のFcコンジュゲート。
  110. 前記酵素が、アルファ-L-イズロニダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-スルファターゼ、アルファ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、N-アセチル-ガラクトサミン-6-スルファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼB、ベータ-グルクロニダーゼ、酸性アルファ-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼA、ヘキソサミニダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、ベータ-ガラクトセレブロシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アリールスルファターゼA、酸性セラミダーゼ、アスパルトアシラーゼ、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1およびトリペプチジルアミノペプチダーゼ1から選択される、請求項107に記載のFcコンジュゲート。
  111. 前記改変IgG Fcが、配列番号1~4から選択される配列の1つまたは複数の改変を含む、請求項90から110のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  112. イメージング剤にコンジュゲートされている、請求項90から111のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  113. 神経障害薬にコンジュゲートされている、請求項90から111のいずれか一項に記載のFcコンジュゲート。
  114. 前記神経障害薬が、アプタマー、抑制性核酸、リボザイム、および小分子から選択される、請求項113に記載のFcコンジュゲート。
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