JP2022513196A - 治療のために操作された肝細胞増殖因子バリアントと組み合わされた操作された線維芽細胞増殖因子バリアント - Google Patents

治療のために操作された肝細胞増殖因子バリアントと組み合わされた操作された線維芽細胞増殖因子バリアント Download PDF

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Abstract

本発明は、治療で使用するためのポリペプチドバリアント、特に、角膜上皮欠損(PCED)及び/または角膜血管新生を治療するために組み合わせて使用するための線維芽細胞増殖因子(FGF)のバリアント及び肝細胞増殖因子(HGF)のバリアントを提供する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月09日に出願された「Engineered Fibroblast Growth Factor Variants Combined With Engineered Hepatocyte Growth Factor Variants For Treatment」と題される米国仮特許出願第62/743,416号の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、治療において使用するためのポリペプチドバリアント、特に、組み合わせて使用するための線維芽細胞増殖因子(FGF)のバリアント及び肝細胞増殖因子(HGF)のバリアントの分野に関する。
ヒト増殖因子は、創傷治癒、組織再生、血管新生、及び腫瘍形成などの多くの複雑なプロセスを編成する上で重要な役割を果たす14。したがって、創傷治癒及び再生プロセスを加速させるためのタンパク質治療薬として増殖因子を利用すること、または様々な疾患及び状態においてがんの増殖及び血管新生を阻害することに非常に関心がある57。しかしながら、多数の組換え増殖因子が治療薬として開発されてきたにもかかわらず、少数の候補しか臨床承認を受けるのに十分に有効ではなかった8,9。これは、インビボでの増殖因子の有効半減期が短いことに大きく起因し、概して安定性が低く、血液クリアランスが速いことから生じる5,10。治療用増殖因子は、有効であるために、創傷領域内で長期間活性を維持しなければならない。しかしながら、増殖因子は、生理学的温度及びプロテアーゼにさらされると変性するか、または分解され得る11,12。プロテアーゼ媒介性分解に対する耐性は、プラスミン及びメタロプロテイナーゼなどのプロテアーゼが組織リモデリングにおいて特に活性であるため、特に重要であり得る13
眼に関しては、ドーム状の眼の最も外側の組織として保護的な役割を果たしているにもかかわらず、通常透明な角膜は、損傷または疾患の結果として潰瘍化、瘢痕、及び混濁化を非常に起こしやすい。角膜の重度の損傷及び疾患では、主に対症手段であるが現在利用可能な多数の手段にもかかわらず、永久的な瘢痕及び視力低下が結果として生じることが多い。1末期角膜失明は、角膜の通常透明な層のうちの1つ以上の血管新生及び混濁化、その後の浮腫及び線維性瘢痕を特徴とする。眼表面のほぼすべての盲障害は、それが感染性(例えば、重度の角膜潰瘍またはヘルペス性角膜炎)、免疫媒介性(例えば、スティーブンス-ジョンソン症候群)、及びまたは外傷性(例えば、アルカリ熱傷)であるかにかかわらず、上皮欠損の治癒障害から始まり、不透明な角膜血管新生で終わる。血清点眼薬1及び羊膜2などの組織由来療法は、臨床的に広く使用されているが、両治療の分子組成及び根底にある機序は未だ明確に定義されていない。2逆に、上皮増殖因子(EGF)などの単一の組換え増殖因子は、臨床試験で失敗しており、3角膜創傷治癒を完全に支援するために多因子介入が必要であることを示唆している。
eHGFと抗FGFRとの組み合わせに関して、Massachusetts Eye and Ear/Harvard Medical Schoolの研究で公表された4.14%の有病率の外挿に基づき、年間推定140万人の患者に影響を及ぼす角膜血管新生は、目標の必要性を満たしていない。FDA承認の治療がない異常な角膜血管新生は、典型的には、PCEDの後期もしくは重度の兆候、及び/または外傷もしくは疾患を介して角膜の周辺にある上皮幹細胞の喪失もしくは破壊として生じる。この典型例は、化学角膜熱傷であり、これは10万人当たり10.7人(すべての眼の外傷の11.5%~22.1%を表す)に影響を及ぼし、末梢幹細胞が重度に枯渇し、治癒の遅延及び角膜上への血管増殖につながる。化学熱傷、特にアルカリ熱傷は、ほぼ間違いなく眼が受け得る最も破壊的な損傷であり、ほぼ例外なく、現在利用可能なすべての(主に対症)手段にもかかわらず、角膜及び結膜の瘢痕化、角質化、混濁化、及び血管新生により失明につながる。したがって、それは、提案されるeHGF/抗FGFR併用療法によって標的とされる複数の経路、ならびにそれらの組み合わせが血管新生及び線維症を阻害しながら上皮化を促進することが示されている確立された動物モデルの理想的な標的である(図40)。角膜化学熱傷の他にも、現在治療法はないが、スティーブンス-ジョンソン症候群、輪部幹細胞欠損、さらにはコンタクトレンズ過剰装用を含む、eHGF/抗FGFR併用技術によって潜在的に対処可能である他の多くの角膜血管新生の原因があり、これらのすべてが、根本的には、透明な無血管角膜とそれに隣接する高血管結膜組織との間の障壁の不全を表している。この併用療法は、新規の操作されたHGF(eHGF)断片811を用いて組換え肝細胞増殖因子(rHGF)6、7の既知の栄養効果を改善し、それを線維芽細胞増殖因子(FGF)の新生血管及び線維化効果の操作されたアンタゴニストと組み合わせる。
本発明は、遷延性角膜上皮欠損(PCED)ならびに角膜血管新生の治療及び/または予防に使用するための線維芽細胞増殖因子(FGF)のバリアント及び肝細胞増殖因子(HGF)のバリアントを含む併用療法の方法を提供することによって、この必要性を満たす。
本発明は、遷延性角膜上皮欠損(PCED)の治療及び/または予防を必要とする対象においてそれを治療及び/または予防する方法を提供し、本方法は、ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)バリアント及びヒト線維芽細胞増殖因子1(FGF1)バリアントを対象に投与し、それによって該PCEDを治療することを含む。
本発明は、角膜血管新生の治療、低減、及び/または予防を必要とする対象においてそれを治療、低減、及び/または予防する方法を提供し、本方法は、hHGFバリアント及びFGF1バリアントを対象に投与し、それによって該角膜血管新生を治療、低減、及び/または予防することを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1は、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み、結果として生じるFGF1バリアントは、配列番号1の野生型FGF1と比較して、増加したタンパク質分解安定性を示す。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、βループまたはC末端付近においてアミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)アンタゴニストである。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、28位、40位、47位、93位、または131位に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、D28N、Q40P、S47I、H93G、L131R、及びL131Kからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換L131Rを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換L131Kを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換D28N及びL131Rを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換D28N及びL131Kを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換Q40P、S47I、H93G、及びL131Rを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換Q40P、S47I、H93G、及びL131Kを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換D28N、Q40P、S47I、H93G、及びL131Rを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換D28N、Q40P、S47I、H93G、及びL131Kを含む。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換L131Aを含まない。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、配列番号8の野生型hHGFと比較して、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、62位、127位、137位、170位、または193位に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、K62E、N127D/A/K/R、K137R、K170E、及びN193Dからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、アミノ酸置換K62E、N127D/A/K/R、K137R、K170E、及びN193Dを含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、Metのアンタゴニストである。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、Metのアゴニストである。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、検出可能な部分、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、治療部分、標的化部分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーにコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、64位、77位、95位、125位、130位、132位、142位、148位、154位、及び173位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、図41に提供される米国特許第9,556,248号からの配列番号2~22からなる群から選択される配列を含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、アミノ酸置換K62E、Q95R、I125T、N127D/A/K/R、I130V、K132N/R、K137R、K170E、Q173R、及びN193Dを含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、64位、77位、142位、148位、及び154位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、アミノ酸置換K62E、Q95R、K132N、K137R、K170E、Q173R、及びN193Dを含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、64位、77位、125位、127位、130位、142位、148位、及び154位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む。
いくつかの実施形態では、該hHGFバリアントは、アミノ酸置換K62E、Q95R、N127D/A/K/R、K132N/R、K137R、K170E、Q173R、及びN193Dを含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、64位、77位、125位、130位、142位、148位、及び154位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む。
いくつかの実施形態では、hHGFバリアントは、配列番号2~22からなる群から選択される配列を含む。
いくつかの実施形態では、HGFバリアントは、アゴニストであり、FGF1バリアントは、アンタゴニストである。
タンパク質分解安定性を操作するための増殖因子の酵母提示。目的の増殖因子(GF)は、2つのジスルフィド結合によって細胞壁タンパク質Aga1pに結合される接着タンパク質凝集素Aga2pへの融合物として発現される。プロテアーゼとインキュベートすると、切断は、増殖因子内(増殖因子特異的切断)または酵母提示タンパク質Aga1pもしくはAga2p内(非特異的切断)のいずれかで生じ得る。増殖因子受容体(GFR-Fc)の可溶性Fc融合物とインキュベートした後、蛍光抗体を使用して、HAタグ、c-mycタグ、及びFcドメインについて染色することができる。HAシグナルを使用して、増殖因子の基底発現レベル及びプロテアーゼによる非特異的切断を測定する。C-mycシグナルをHAシグナルと併用して、GF特異的切断を測定する。Fcシグナルを使用して、GF変性のレベル及びその受容体に対するGFの結合親和性を測定する。 タンパク質分解的に安定した増殖因子変異体のためのFACSに基づくスクリーニング方法。増殖因子変異体のライブラリは、EBY100酵母細胞に形質転換され、酵母提示によって増殖因子を提示するように誘導される。細胞をプロテアーゼと共にインキュベートし、洗浄した後、受容体の可溶性Fc融合物と共にインキュベートする。適切な蛍光抗体で標識した後、フロー活性化細胞選別(FACS)を使用して、低レベルのタンパク質分解切断及び高レベルの可溶性受容体への結合を有する変異体を発現する細胞をゲートし、収集する。このインキュベーション及び細胞選別プロセスを複数回繰り返して、最大レベルのタンパク質分解安定性を有する変異体を特定する。 FGF1の酵母提示。(A)FGF1は、2つのジスルフィド結合によって細胞壁タンパク質Aga1pに結合される接着タンパク質凝集素Aga2pへの融合物として発現される。FGFR1-Fcは、FGF1に結合する対応する可溶性受容体である。(B)c-mycタグの蛍光標識は、FGF1が酵母の表面上で良好に発現されることを示す。(C)FGFR1のFc融合は、酵母提示FGF1への特異的結合を示す。表面提示FGF1を発現する酵母を、様々な濃度で可溶性FGFR1-Fcと共に3時間インキュベートした。細胞を洗浄し、可溶性FGFR1-Fcについて抗Fc AlexaFluor488で染色した。酵母細胞への結合に関連する蛍光をフローサイトメトリーにより測定し、プロットした。 ウシ胎仔血清によるタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1変異体ライブラリを提示する酵母細胞を、異なる濃度のウシ胎仔血清と共にインキュベートした。細胞を洗浄し、10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートした後、細胞を、c-myc及び可溶性受容体のFcドメインについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、FBSの濃度の増加は、FGF1特異的切断シグナルならびにFGFR1-Fc結合シグナルに対する影響が比較的少ないことを示す。 トリプシンを用いたタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のトリプシンと共にインキュベートした。細胞を洗浄し、10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートした後、細胞を、c-myc及び可溶性受容体のFcドメインについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、トリプシンの濃度の増加は、酵母提示タンパク質の切断(c-mycの減少)及びFGFR1-Fcへの結合の喪失をもたらすことを示す。 キモトリプシンを用いたタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のキモトリプシンと共にインキュベートした。細胞を洗浄し、10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートした後、細胞を、c-myc及び可溶性受容体のFcドメインについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、キモトリプシンの濃度の増加は、酵母提示タンパク質の切断(c-mycの減少)及びFGFR1-Fcへの結合の喪失をもたらすことを示す。 トリプシンによる酵母提示タンパク質Aga1及びAga2の非特異的切断。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のトリプシンと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、HA及びc-mycについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、トリプシンの濃度の増加は、HAシグナルの喪失をもたらすことを示し、酵母提示タンパク質Aga1及びAga2の非特異的切断を示す。 トリプシンによる酵母提示タンパク質Aga1及びAga2の非特異的切断。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のトリプシンと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、HA及びc-mycについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、トリプシンの濃度の増加は、HAシグナルの喪失をもたらすことを示し、酵母提示タンパク質Aga1及びAga2の非特異的切断を示す。 キモトリプシンによるFGF1特異的切断。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のトリプシンと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、HA及びc-mycについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、キモトリプシンの濃度の増加は、c-mycシグナルの喪失をもたらすが、HAシグナルの喪失はもたらさないことを示し、FGF1特異的切断が生じることを示す。 キモトリプシンによるFGF1特異的切断。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のトリプシンと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、HA及びc-mycについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、キモトリプシンの濃度の増加は、c-mycシグナルの喪失をもたらすが、HAシグナルの喪失はもたらさないことを示し、FGF1特異的切断が生じることを示す。 プラスミンを用いたタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1を提示する酵母細胞を、異なる濃度のプラスミンと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、HA及びc-mycについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、FGF1の濃度依存的切断があることを示す。 プラスミンによるFGF1特異的切断。FGF1を提示する酵母細胞ならびに酵母提示タンパク質Aga1及びAga2のみを発現する空の対照を、125nMのプラスミンと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、HA及びc-mycについて蛍光抗体で染色した。フローサイトメトリーによる分析は、プラスミンの濃度の増加は、FGF1を提示する酵母細胞に関してはc-mycシグナルの喪失をもたらすが、空の対照を提示する酵母細胞に関しては喪失をもたらさないことを示す。これにより、プラスミンによる酵母提示タンパク質の切断がFGF1特異的であることが確認される。 野生型FGF1とタンパク質分解的に安定したPM2との区別によるタンパク質分解安定性アッセイの検証。プラスミンは、様々なプラスミン濃度で2日間インキュベートした後に、酵母表面提示により野生型FGF1とタンパク質分解的に安定した変異体(PM2)との区別を可能にする。これは、プラスミンに基づくスクリーニングが新しいタンパク質分解的に安定した変異体を特定する能力を示す。 選別1:FGFR1-Fcバインダーの選択。(A)FGFR1-Fcに対するバインダーのスクリーニング方法の概略図。ランダム変異誘発ライブラリを、酵母の表面上のFGF変異体の発現のために誘導した。細胞を10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートし、洗浄した後、発現(α-c-myc)及びFGFR1結合(α-FGFR1-Fc)について蛍光抗体で染色した。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、高いc-mycシグナル及び高いFGFR1-Fcシグナルを示した細胞について分析し、ゲートした。(B)FGF1のFACSドットプロットを示す。全集団から収集した細胞の割合を、ドットプロット上の描画ゲートの隣に示す。 選別2:FGF1特異的切断に対する耐性の選択。(A)選別2のスクリーニング方法の概略図。選別1からの細胞を発現のために誘導し、プラスミンと共にインキュベートした。細胞を洗浄した後、発現(α-HA)及びFGF1特異的切断に対する耐性(α-c-myc)について蛍光抗体で染色した。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、HA発現シグナルによって正規化された高c-mycシグナルを示した細胞について分析し、ゲートした。(B)FGF1のFACSドットプロットを示す。各ライブラリの選別1からの細胞を、詳述されるように、様々なインキュベーション時間にわたって、様々な濃度のプラスミン中でインキュベートした。富化のための細胞のゲーティング及び収集に使用された最終条件を赤色でハイライトする。同じゲートがすべての試験条件に対して描画される。 ペプチドアーチファクトの単離。(A)FGF1選別2ライブラリの選別についてのFACSドットプロットを示す。FGF1特異的切断に対する耐性の選択を、選別2と同じ方法で適用した。タンパク質分解切断に対して顕著に高い耐性を示した細胞(c-myc)の亜集団の周囲に収集ゲートを描画した。(B)ゲートから収集した変異体のタンパク質配列を示す。大半は、ランダム変異誘発のアーチファクトであり、FGF1に由来しない短いペプチドからなる。 FGFR1-Fcへのペプチドアーチファクトの非結合。細胞表面上にRTTTSまたはHTTSペプチドを発現する酵母細胞を、10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートした。細胞を発現(α-c-myc)及び結合(α-FGFR1-Fc)について蛍光抗体で染色した。有意な結合シグナルは検出されず、ペプチドがFGFR1-Fcに結合しないことを示した。 選別3及び4の概略図。前のものからの細胞を発現のために誘導し、様々な濃度のプラスミンと共にインキュベートし、洗浄し、FGFR1-Fcと共にインキュベートした。最終洗浄後、細胞を、次いで、発現(α-HA)、FGF1特異的切断に対する耐性(α-c-myc)、及びFGFR1結合(α-FGFR1-Fc)について蛍光抗体で染色した。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、HA発現シグナル及び/または高FGFR1-Fc結合シグナルによって正規化された高c-mycシグナルを示した細胞について分析し、ゲートした。 選別3:プロテアーゼ耐性FGFR1-Fcバインダーの選択。選別2からの誘導した細胞を、示される濃度のプラスミン中で12時間インキュベートした。洗浄後、細胞を10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートした。最終洗浄後、細胞を、発現(α-HA)及びFGFR1結合(α-FGFR1-Fc)について蛍光抗体で染色した。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、高いHAシグナル及び高いFGFR1-Fcシグナルを示した細胞について分析し、ゲートした。FGF1のFACSドットプロットを示す。全集団から収集した細胞の割合を、ドットプロット上の描画ゲートの隣に示す。下部パネル:1.25μMのプラスミンと共に24時間インキュベートした後、FGFR1-Fcへの結合を保持する。 選別4:プロテアーゼ耐性FGFR1-Fcバインダーの選択。選別3からの誘導した細胞を、様々な濃度のプラスミン中で36時間インキュベートした。洗浄後、細胞を10nMのFGFR1-Fcと共にインキュベートした。最終洗浄後、細胞を、発現(α-c-myc)及びFGFR1結合(α-FGFR1-Fc)について蛍光抗体で染色した。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、高いc-mycシグナル及び高いFGFR1-Fcシグナルを示した細胞について分析し、ゲートした。FGF1のFACSドットプロットを示す。富化のための細胞のゲーティング及び収集に使用された最終条件を赤色でハイライトする。同じゲートが所与のFGFのすべての条件に対して描画される。全集団から収集した細胞の割合を、ドットプロット上の描画ゲートの隣に示す。下部パネル:3.75μMのプラスミンと共に36時間インキュベートした後、FGFR1-Fcへの結合を保持する。 FGF1構造上のBS4M1変異(PDBコード1E0O)。タンパク質分解安定性のスクリーニングによって特定された富化された変異は、青色でハイライトされる。D28N変異は、6本鎖βバレル構造を安定化させる3つのβヘアピン(赤色でハイライトされる)のうちの1つに位置する。L131R変異は、N末端とC末端との間に安定化βヘアピンが欠如している、タンパク質のC末端付近に位置する。 可溶性野生型FGF1の組換え発現。(A)精製した野生型FGF1を、非還元クマシー染色ゲル(左)及びFGF1に対するウエスタンブロット(右)によって分析した。2つの有意なバンドは、FGF1単量体(19.7kDa)及び二量体(39.4kDa)の存在を示す。(B)FGF1の適切な折り畳みは、酵母提示FGFR3構築物への特異的結合を観察することによって確認される。 pBADベクターにおけるFGF2の組換え発現。(A)pBADにおいて発現させ、精製した野生型FGF2-Hisを、還元クマシー染色ゲル(左)及びFGF2に対するウエスタンブロット(右)によって分析した。どちらも、発現したFGF2による凝集を示す。(B)pBADにおいて発現させたFGF2-Hisは、酵母提示FGFR3構築物に結合することができない。 pET28bベクターにおけるFGF2の組換え発現。野生型FGF2及びFGF2変異体(BS5M1、BS5M3、BS5M5)を、pET28bベクター中のスーパーフォルダーGFPとの融合物として発現させた。pBADにおいて発現させ、精製した野生型FGF2-Hisを、還元クマシー染色ゲル(左)及びFGF2に対するウエスタンブロット(右)によって分析した。野生型FGF2の発現が不十分である一方で、FGF2変異体は凝集及び/またはオリゴマー化の徴候を示す。 pET32aベクターにおける野生型FGF2の組換え発現。(A)FGF2は、pET32aベクターにおけるチオレドキシンへの融合物として発現した。TEVで切断し、Ni-NTA及びサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した後、FGF2に対してウエスタンブロットによりタンパク質を分析した。FGF2(19.3kDa)の精製に成功したことを確認した。 プラスミンにおけるFGF1 WT及びBS4M1のタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1 BS4M1(D28N/L131R)変異体は、野生型FGF1と比較して、プラスミンにおいてより高いタンパク質分解安定性を示す。100ngのFGF1を、600nMのプラスミンと共に、様々なインキュベーション時間にわたって、37℃でインキュベートした。インキュベートした試料を、FGF1に対するウエスタンブロットの別個のレーン上で実行して、各時点でのタンパク質分解の程度を測定した。赤い矢印によって示されるタンパク質バンドのバンド強度を画像分析によって定量化して、残りのタンパク質の量を測定した。各タンパク質の時点t=0によってバンド強度を正規化し、プロットした。 プラスミンにおけるFGF1 WT、BS4M1、PM2、及びPM3のタンパク質分解安定性アッセイ。BS4M1からの変異(D28N、L131R)を、PM2からの変異(Q40P、S47I、H93G)と組み合わせてPM3を作製する。PM3は、BS4M1またはPM2のいずれかと比較して、プラスミンにおいてより高いタンパク質分解安定性を示す。125ngのFGF1を、様々な濃度のプラスミンと共に37℃で48時間インキュベートした。インキュベートした試料を、FGF1に対するウエスタンブロットの別個のレーン上で実行して、各時点でのタンパク質分解の程度を測定した。赤い矢印によって示されるタンパク質バンドのバンド強度を画像分析によって定量化して、残りのタンパク質の量を測定した。0μMのプラスミンと共にインキュベートした場合、バンド強度を各構築物のタンパク質の量によって正規化し、プロットした。 トリプシンにおけるFGF1 WT及びBS4M1のタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1 BS4M1(D28N/L131R)変異体は、野生型FGF1と比較して、トリプシンにおいてより高いタンパク質分解安定性を示す。100ngのFGF1を、1:20のトリプシン対FGF1のモル比で、様々なインキュベーション時間にわたって、37℃でインキュベートした。インキュベートした試料を、FGF1に対するウエスタンブロットの別個のレーン上で実行して、各時点でのタンパク質分解の程度を測定した。赤い矢印によって示されるタンパク質バンドのバンド強度を画像分析によって定量化して、残りのタンパク質の量を測定した。時点t=0での各構築物のタンパク質の量によってバンド強度を正規化し、プロットした。 プラスミンにおけるFGF1 WT、BS4M1、D28N、及びL131Rのタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1 L131R単一変異体は、BS4M1と比較して、そのタンパク質分解安定性の大部分を保持する。FGF1 D28N単一変異体は、野生型FGF1と比較しても、タンパク質分解安定性が低い。100ngのFGF1を、様々な濃度のプラスミンと共に37℃で48時間インキュベートした。インキュベートした試料を、FGF1に対するウエスタンブロットの別個のレーン上で実行して、各時点でのタンパク質分解の程度を測定した。赤い矢印によって示されるタンパク質バンドのバンド強度を画像分析によって定量化して、残りのタンパク質の量を測定した。0μMのプラスミンと共にインキュベートした場合、バンド強度を各構築物のタンパク質の量によって正規化し、プロットした。 プラスミンにおけるFGF1 WT、L131R、L131A、及びL131Kのタンパク質分解安定性アッセイ。FGF1 L131K単一変異体は、FGF1 L131Rと比較して、そのタンパク質分解安定性の大部分を保持する。FGF1 L131A単一変異体は、野生型FGF1と比較しても、タンパク質分解安定性が低い。100 ngのFGF1を、様々な濃度のプラスミンと共に37℃で48時間インキュベートした。インキュベートした試料を、FGF1に対するウエスタンブロットの別個のレーン上で実行して、各時点でのタンパク質分解の程度を測定した。赤い矢印によって示されるタンパク質バンドのバンド強度を画像分析によって定量化して、残りのタンパク質の量を測定した。0μMのプラスミンと共にインキュベートした場合、バンド強度を各構築物のタンパク質の量によって正規化し、プロットした。 FGF1野生型及びL131R変異体のThermoFluorアッセイ。FGF1野生型及びL131R変異体の融解温度を3つ組で測定し、プロットした。2つのタンパク質の融解温度間に統計的に有意な差異はなかった。 MDA-MB-231培養におけるFGF1野生型及びL131R変異体の安定性。FGF1 L131R変異体は、野生型FGF1と比較して、MDA-MB-231での培養においてより高い安定性を示す。500ngのFGF1を、MDA-Mb-231細胞と共に、様々なインキュベーション時間にわたって、37℃でインキュベートした。インキュベートした試料を濃縮し、FGF1に対するウエスタンブロットの別個のレーン上で実行して、各時点でのタンパク質分解の程度を測定した。赤い矢印によって示されるタンパク質バンドのバンド強度を画像分析によって定量化して、残りのタンパク質の量を測定した。各タンパク質の時点t=0によってバンド強度を正規化し、プロットした。 NIH3T3 ERKリン酸化アッセイ。FGF1 L131R変異体は、野生型FGF1によるNIH3T3 ERKリン酸化を阻害する。NIH3T3細胞を、FGF1野生型及び/または様々な濃度のFGF1 L131R変異体で15時間刺激した。細胞を溶解し、溶解物をウエスタンブロットで抗リンERKでプローブした。バンド強度を画像分析によって定量化して、FGF経路活性化の程度を測定した。下部パネル: NIH3T3細胞を、FGF1野生型及び/または様々な濃度のFGF1 L131R変異体で10時間刺激した。 NIH3T3細胞におけるFGF1 L131R変異体によるFGF1刺激ERKリン酸化の阻害。NIH3T3細胞を、1nMのFGF1及び様々な濃度のFGF1 L131Rと共にインキュベートした。各条件のERKリン酸化の程度を、リンERKに対するウエスタンブロットによって測定する。バンド強度を画像分析により定量化し、プロットして、IC50値を得た。 FGF1野生型及びL131R変異体のNIH3T3細胞への結合。FGFR発現NIH3T3細胞に対するHisタグFGF1 WT及びL131R変異体の平衡結合滴定。細胞を、様々な濃度の各タンパク質と共に4℃でインキュベートし、Hisに対する蛍光抗体で染色して、細胞への結合を定量化した。 IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4配列の例を提供する。 IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4配列の例を提供する。 HGFドメイン構造。N: N末端PANモジュール、K: クリングルドメイン、SPH:セリンプロテアーゼ相同性ドメイン。黒い矢印は、HGFをその2鎖活性形態に切断するための切断部位を示す。α鎖及びβ鎖は、ジスルフィド結合を介して接続される。N末端及び第1のクリングルドメインは、HGFのNK1断片を含む。 酵母提示構築物pTMY-HA。(A)pTMY-HAのオープンリーディングフレーム。タンパク質は、遊離N末端で提示され、そのC末端を介してAga2pに連結される。(B)酵母表面提示の概略図。目的のタンパク質(NK1)は、Aga2pのN末端への遺伝連鎖を介して酵母細胞壁に係留される。HAエピトープタグに対する抗体を使用して、細胞表面発現を監視し、結合パートナー(この場合はMet-Fc)との相互作用も監視した。 NK1操作戦略の概要。1回目の指向性進化(M1)においてライブラリをMetへの機能的結合についてスクリーニングし、2回目(M2)では、ライブラリを、親和性の増強または安定性の増強のいずれかについて並行してスクリーニングし、3回目(M3)では、M2生成物をシャッフルし、親和性及び安定性の改善について同時にスクリーニングした。 角膜の化学的損傷は、多くの場合、血管新生、瘢痕、及び失明をもたらす。 (A)t=0時間での角膜創傷、(B)HA/CSゲル送達ビヒクルにおけるMSCセクレトームでの治療の24時間後の角膜創傷、(C)生理食塩水液滴単独の24時間後の角膜創傷を比較する、アルカリ熱傷後の角膜創傷治癒研究。予備研究では、(D)Cochranラボで開発されたeHGF(挿入画像に示されるPDB構造)単独でも、インビボでのアルカリ熱傷ラット角膜における創傷閉鎖時間が加速されることが示された。 (A)アルカリ熱傷角膜、及び(B)局所セクレトーム治療の7日後の角膜。(C)アルカリ熱傷角膜、及び(D)eHGF及び抗FGF治療の7日後の角膜。未治療の角膜は瘢痕があり、血管が形成され、場合によっては出血のエビデンスがある。(E)ラットの左眼のアルカリ熱傷の7日後の両側ラット眼の外観。(F)初期のアルカリ熱傷の7日後のeHGF及び抗FGF治療のラットの両眼の外観。 参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,556,248号からの配列番号2~22のバリアント肝細胞増殖因子配列を提供する。
I.序文
線維芽細胞増殖因子は、多種多様なプロセス、最も顕著には、正常な発達のための重要な要素として関与する細胞シグナル伝達タンパク質のファミリーである。これらの増殖因子は、一般に、細胞表面受容体を活性化する細胞外起源の全身または局所循環分子として作用する。哺乳類の線維芽細胞増殖因子受容体ファミリーは、4つのメンバー、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及びFGFR4を有する。FGFRは、3つの細胞外免疫グロブリン型ドメイン(D1~D3)、シングルスパン膜貫通ドメイン、及び細胞内スプリットチロシンキナーゼドメインからなる。FGFは、D2及びD3ドメインと相互作用し、D3相互作用は、主にリガンド結合特異性に関与する(下記を参照されたい)。ヘパラン硫酸塩結合は、D3ドメインを介して媒介される。D1ドメインとD2ドメインとの間に位置する酸性アミノ酸の短い伸長は、自己阻害機能を有する。この「酸ボックス」モチーフは、ヘパリン硫酸塩結合部位と相互作用して、FGFの不在下で受容体活性化を阻止する。各FGFRは、FGFの特定のサブセットに結合する。同様に、大半のFGFは、いくつかの異なるFGFRサブタイプに結合することができる。FGF1は、7つすべての異なるFGFRを活性化することができるため、「ユニバーサルリガンド」と称されることがある。対照的に、FGF7(ケラチノサイト増殖因子、KGF)は、FGFR2b(KGFR)にのみ結合する。
本発明は、酵母提示プラットフォーム及びスクリーニングのためのフロー活性化細胞選別(FACS)を使用して、タンパク質分解的に安定した増殖因子を操作するためのコンビナトリアルアプローチのための方法を提供する。FGF1をモデル例として使用するスクリーニング方法を設定するプロセスが記載され、例示的なタンパク質分解的に安定した増殖因子を操作するための方法が提供される。本発明はまた、タンパク質分解的に安定したFGF1変異体の特徴付けをさらに提供する。
II.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法、ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学及び核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションにおける実験手順は、当該技術分野で周知であり、一般に用いられるものである。核酸及びペプチド合成には、標準的な技法が使用される。技法及び手順は、当該技術分野における従来の方法、及び本文書全体を通して提供される様々な一般的な参考文献に従って一般に行われる(一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL,2d ed.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照されたい)。本明細書で使用される命名法、ならびに以下に記載される分析及び合成有機化学の実験手順は、当該技術分野で周知であり、一般に用いられるものである。標準的な技法またはその修正が、化学合成及び化学分析に使用される。
「M2.1」及び「M2.2」という用語は、以下の置換:それぞれ、(i)K62E、N127D、K137R、K170E、N193D、及び(ii)K62E、Q95R、N127D、K132N、K137R、K170E、Q173R、N193Dを有する配列番号2のバリアントを指す。
「BS4M1」ならびに「PM2」及び「PM3」という用語は、以下の置換:(i)BS4M1(D28N及びL131R)、(ii)PM2(Q40P、S47I、H93G)、ならびに(iii)PM3(D28N、Q40P、S47I、H93G、L131R)を有する配列番号1のバリアントを指す。FGF1:
Figure 2022513196000002
配列番号1は、プロペプチドを含まないFGF1配列である(World Wide Web、uniprot.org/blast/?about=P05230[16-155]&key=Chain&id=PRO_0000008908に記載される)。本明細書に記載される番号付けは、上記の配列の第1のアミノ酸が1位(例えば、F1、N2など)であることに基づく。FGF1の他の番号付けは、番号付けにプロペプチド配列を含み得、これにより、番号付けが14大きくなるであろう。しかしながら、本明細書における番号付けは配列番号1に基づいており、FGF1プロペプチドを含まない。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)及びそれらのポリマーを指す。特に限定されない限り、本用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。別途示されない限り、特定の核酸配列は、その保存的修飾バリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、及び相補配列、ならびに明示的に示される配列も暗示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの第3の位置が混合塩基及び/またはデオキシイノシン残基で置換される配列を生成することによって達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081 (1991)、Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985)、及びRossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によってコードされるmRNAと交換可能に使用される。さらに、本明細書で使用する場合、本発明のポリペプチドバリアントをコードする核酸は、この核酸配列に相補的な核酸配列を含むように定義される。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味する。これは、コード領域の前後(リーダー及びトレーラー)の領域、ならびに個々のコードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含み得る。
「単離された」という用語は、核酸またはタンパク質に適用されるとき、核酸またはタンパク質が、それが天然状態で会合する他の細胞構成要素を本質的に含まないことを意味する。好ましくは均質な状態であるが、乾燥溶液または水溶液のいずれであってもよい。純度及び均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技法を使用して決定される。調製物中に存在する主な種であるタンパク質は、実質的に精製される。特に、単離された遺伝子は、遺伝子に隣接し、目的の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを意味する。具体的には、それは、核酸またはタンパク質が少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。単離された核酸は発現ベクターの構成要素であり得る。
典型的には、本発明の単離されたポリペプチドは、好ましくは範囲として表される純度レベルを有する。ポリペプチドの純度範囲の下端は、約60%、約70%、または約80%であり、純度範囲の上端は、約70%、約80%、約90%、約95%、または約95%超である。ポリペプチドが約90%超純粋である場合、その純度もまた好ましくは範囲として表される。純度範囲の下端は、約90%、約92%、約94%、約96%、または約98%である。純度範囲の上端は、約92%、約94%、約96%、約98%、または約100%の純度である。
純度は、任意の当技術分野で認識される分析方法(例えば、銀染色ゲル上のバンド強度、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC、質量分析、または同様の手段)によって決定される。
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合するα炭素と同じ塩基性化学構造を有する化合物を指す。そのような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ塩基性化学構造を保持する。「アミノ酸模倣物」は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化学化合物を指す。
「親水性アミノ酸」は、Eisenberg et al.,1984,J.Mol.Biol.179:125-142の正規化されたコンセンサス疎水性スケールに従って、0未満の疎水性を示すアミノ酸を指す。遺伝的にコードされた親水性アミノ酸には、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)、及びArg(R)が含まれる。
「酸性アミノ酸」は、7未満の側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を指す。酸性アミノ酸は、典型的には、水素イオンの喪失に起因して、生理学的pHで負に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコードされた酸性アミノ酸には、Glu(E)及びAsp(D)が含まれる。
「塩基性アミノ酸」は、7を超える側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を指す。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの会合に起因して、生理学的pHで正に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコードされた塩基性アミノ酸には、His(H)、Arg(R)、及びLys(K)が含まれる。
「極性アミノ酸」は、生理学的pHに荷電されていないが、2つの原子によって共有される電子対が原子のうちの1つによってより密接に保持される少なくとも1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされた極性アミノ酸には、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)、及びThr(T)が含まれる。
「疎水性アミノ酸」は、Eisenberg,1984,J.Mol.Biol.179:125-142の正規化されたコンセンサス疎水性スケールに従って、0を超える疎水性を示すアミノ酸を指す。例示的な疎水性アミノ酸としては、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)、Leu(L)、Trp(W)、Met(M)、Ala(A)、Gly(G)、Tyr(Y)、Pro(P)、及びプロリン類似体が挙げられる。
「芳香族アミノ酸」は、少なくとも1つの芳香族環または芳香族複素環を有する側鎖を有する疎水性アミノ酸を指す。芳香族環または芳香族複素環は、-OH、-SH、-CN、-F、-Cl、-Br、-I、-NO2、-NO、-NH2、-NHR、-NRR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、-C(O)NH2、-C(O)NHR、-C(O)NRRなどの1つ以上の置換基を含有し得、式中、各Rは、独立して、(Cl-C6)アルキル、置換された(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、置換された(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、置換された(Cl-C6)アルキニル、(Cl-C21)アリール、置換された(C5-C20)アリール、(C6-C26)アルカリル、置換された(C6-C26)アルカリル、5~20員ヘテロアリール、置換された5~20員ヘテロアリール、6~26員アルキヘテロアリール、または置換された6~26員アルキヘテロアリールである。遺伝的にコードされた芳香族アミノ酸には、Phe(F)、Tyr(Y)、及びTrp(W)が含まれる。
「非極性アミノ酸」は、生理学的pHに荷電されておらず、2つの原子によって共有される電子対が一般に2つの原子の各々によって等しく保持される結合を有する側鎖を有する(すなわち、側鎖は極性ではない)疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされた非極性アミノ酸には、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)、及びAla(A)が含まれる。
「脂肪族アミノ酸」は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされた脂肪族アミノ酸には、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、及びIle(I)が含まれる。
アミノ酸残基Cys(C)は、他のCys(C)残基または他のスルホニル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成することができるという点で珍しい。還元された遊離SHまたは酸化ジスルフィド架橋形態のいずれかでペプチド中に存在するCys(C)残基(及び-SH含有側鎖を有する他のアミノ酸)の能力は、Cys(C)残基がペプチドに正味の疎水性または親水性の特性を寄与するかどうかに影響を及ぼす。Cys(C)は、Eisenberg(Eisenberg,1984、上記)の正規化されたコンセンサススケールに従って0.29の疎水性を示すが、本発明の目的のために、Cys(C)は、上記に定義される一般的な分類にかかわらず、極性親水性アミノ酸として分類されることを理解されたい。
「リンカー」という用語は、2つ以上のポリペプチドを共有結合するアミノ酸ポリペプチドスペーサーを指す。リンカーは、1~15のアミノ酸残基であり得る。好ましくは、リンカーは、単一のシステイン残基である。リンカーはまた、アミノ酸配列番号1:KESCAKKQRQHMDSを有し得る。
当業者には理解されるように、上記に定義されたカテゴリーは、相互排他的ではない。したがって、2つ以上の物理化学的特性を示す側鎖を有するアミノ酸は、複数のカテゴリーに含まれ得る。例えば、Tyr(Y)などの極性置換基でさらに置換されている芳香族部分を有するアミノ酸側鎖は、芳香族疎水性及び極性または親水性の両方を示し得、したがって、芳香族及び極性の両方のカテゴリーに含まれ得る。任意のアミノ酸の適切な分類は、特に本明細書に提供される詳細な開示に照らして、当業者には明らかであろう。
「ヘリックス破壊」アミノ酸と呼ばれるある特定のアミノ酸残基は、ヘリックス内の内部位置に含有される場合、αヘリックスの構造を破壊する傾向がある。そのようなヘリックス破壊特性を示すアミノ酸残基は、当該技術分野において周知であり(例えば、Chou and Fasman,Ann.Rev.Biochem.47:251-276を参照されたい)、Pro(P)、Gly(G)、及び潜在的にすべてのD-アミノ酸(L-ペプチドに含有される場合、逆にL-アミノ酸はD-ペプチドに含有される場合、ヘリックス構造を破壊する)、ならびにプロリン類似体を含む。これらのヘリックス破壊アミノ酸残基は、Gly(G)(以下に論じられる)を除いて、上記に定義されるカテゴリーに属するが、これらの残基は、ヘリックス内の内部位置でアミノ酸残基を置換するために使用されるべきではなく、それらは、ペプチドのN末端及び/またはC末端で1~3つのアミノ酸残基を置換するためにのみ使用されるべきである。
上記に定義されるカテゴリーは、遺伝的にコードされたアミノ酸に関して例示されているが、アミノ酸置換は、遺伝的にコードされたアミノ酸に限定される必要はなく、ある特定の実施形態では、好ましくは限定されない。実際に、式(I)の好ましいペプチドの多くは、遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有する。したがって、天然に存在する遺伝的にコードされたアミノ酸に加えて、式(I)のコアペプチドのアミノ酸残基は、天然に存在するコードされていないアミノ酸及び合成アミノ酸で置換され得る。
式(I)のコアペプチドの有用な置換を提供するある特定の一般的に遭遇するアミノ酸としては、β-アラニン(β-Ala)及び他のオメガ-アミノ酸、例えば、3-アミノプロピオン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr)、4-アミノ酪酸など;α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGly);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(t-BuA);t-ブチルグリシン(t-BuG);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);4-クロロフェニルアラニン(Phe(4-Cl));2-フルオロフェニルアラニン(Phe(2-F));3-フルオロフェニルアラニン(Phe(3-F));4-フルオロフェニルアラニン(Phe(4-F));ペニシラミン(Pen);1/2/3/4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(MSO);ホモアルギニン(hArg);N-アセチルリジン(AcLys);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);2,3-ジアミノ酪酸(Dab);p-アミノフェニルアラニン(Phe(pNH2));N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモフェニルアラニン(hPhe)及びホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)、ホモプロリン(hPro)、N-メチル化アミノ酸及びペプトイド(N-置換グリシン)が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、いくつかの実施形態では、式(I)のコアペプチドのアミノ酸プロリンは、アゼチジン-2-カルボキシレート(A2C)、L-チアゾリジン-4-カルボン酸、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン(CHP)、3,4-デヒドロプロリン、チオプロリン、及びイソニペコチン酸(Inp)を含むがこれらに限定されない、プロリン類似体で実証される。
アミノ酸は、本明細書において、一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB生化学的命名委員会(IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字記号のいずれかによって参照され得る。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に受け入れられている1文字コードによって参照され得る。
アミノ酸配列に関して、コード配列中の単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変更、付加、または欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、「保存的に修飾されたバリアント」であり、その変更は、アミノ酸を化学的に類似するアミノ酸で置換することによりもたらされることを当業者は認識するであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野で周知である。そのような保存的に修飾されたバリアントは、本発明の多型バリアント、種間相同体、及び対立遺伝子に加えられ、これらを除外しない。
以下の8つの群はそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T)、及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton ,Proteins(1984)を参照されたい)。
アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズ等の相対的類似性に基づく。前述の特徴のうちの1つ以上を考慮した例示的な置換は、当業者に周知であり、以下を含むが、これらに限定されない(元の残基:例示的な置換):(Ala:Gly、Ser)、(Arg:Lys)、(Asn:Gln、His)、(Asp:Glu、Cys、Ser)、(Gln:Asn)、(Glu:Asp)、(Gly:Ala)、(His:Asn、Gln)、(Ile:Leu、Val)、(Leu:Ile、Val)、(Lys:Arg)、(Met:Leu,Tyr)、(Ser:Thr)、(Thr:Ser)、(Tip:Tyr)、(Tyr:Trp、Phe)、及び(Val:Ile、Leu)。したがって、本開示の実施形態は、上述のポリペプチドまたはタンパク質の機能的もしくは生物学的等価物を考慮する。特に、本発明の実施形態は、親ポリペプチドと約50%、60%、70%、80%、90%、及び95%の配列同一性を有するバリアントを提供する。様々な実施形態では、本発明は、親ポリペプチド配列の一部、例えば、野生型FGF1(配列番号1)を含む、例えば、野生型増殖因子とこのレベルの同一性を有するバリアントを提供する。様々な実施形態では、バリアントは、本明細書に定義される親ポリペプチドまたは親ポリペプチド配列の一部、例えば、野生型FGF1(配列番号1)を含む、例えば、野生型増殖因子と少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、同一もしくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一の核酸は、任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及びGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって指定されるすべての位置において、コードされたポリペプチドを変更することなく、コドンを記載される対応するコドンのいずれかに変更することができる。そのような核酸変異は、保存的に修飾された変異の1つの種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書のすべての核酸配列は、核酸のすべての可能なサイレント変異も記載する。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、及び通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が修飾されて、機能的に同一の分子を得ることができることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各記載の配列において暗示的である。
「同一性」は、当該技術分野で知られているように、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチドまたはタンパク質配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、そのような配列の列間の一致によって決定される、ポリペプチドまたはタンパク質間の配列相関性の程度を指す。「同一性」は、既知の生体情報方法によって容易に計算することができる。
「ペプチド」は、単量体がアミノ酸であり、アミド結合を介して一緒に連結されるポリマーを指す。本発明のペプチドは、サイズが、例えば、2つのアミノ酸から数百または数千のアミノ酸まで変動し得る。より大きなペプチド(例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、または少なくとも50のアミノ酸残基)は、代替的に、「ポリペプチド」または「タンパク質」と称される。加えて、非天然アミノ酸、例えば、β-アラニン、フェニルグリシン、ホモアルギニン、及びホモフェニルアラニンも含まれる。遺伝的にコードされていないアミノ酸もまた、本発明において使用され得る。さらに、反応性基、グリコシル化配列、ポリマー、治療部分、生体分子などを含むように修飾されたアミノ酸も、本発明で使用され得る。本発明で使用されるアミノ酸のすべては、DまたはL異性体のいずれであってもよい。L異性体が一般に好ましい。加えて、他のペプチド模倣物も本発明において有用である。本明細書で使用する場合、「ペプチド」または「ポリペプチド」は、グリコシル化及び非グリコシル化ペプチドまたは「ポリペプチド」の両方を指す。ポリペプチドを発現する系によって不完全にグリコシル化されるポリペプチドも含まれる。一般的な考察については、Spatola,A.F.,in CHEMISTRY AND BIOCHEMISTRY OF AMINO ACIDS,PEPTIDES AND PROTEINS,B.Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983)を参照されたい。
本出願では、アミノ酸残基は、「1」と番号付けされるポリペプチドのN末端アミノ酸(例えば、N末端メチオニン)からのそれらの相対位置に従って(典型的には上付き文字で)番号付けされる。N末端アミノ酸は、「1」と番号付けされたメチオニン(M)であり得る。各アミノ酸残基に関連する番号は、ポリペプチドのN末端がメチオニンなしで開始する場合、N末端メチオニンの不在を反映するように容易に調整することができる。例示的なポリペプチドのN末端は、メチオニンの有無にかかわらず開始することができることが理解される。したがって、アミノ酸リンカーが野生型ポリペプチドのN末端に付加される場合では、N末端アミノ酸に隣接する第1のリンカーアミノ酸は、番号-1などである。例えば、リンカーがアミノ酸配列KESCAKKQRQHMDS(配列番号2)を有し、S残基が野生型ポリペプチドのN末端アミノ酸に隣接している場合、最もN末端のリンカーアミノ酸Kは-14であり、最もC末端のリンカーアミノ酸Sは-1である。このようにして、野生型ポリペプチド及びリンカー結合野生型ポリペプチドにおけるアミノ酸の番号付けが保存される。
「親ポリペプチド」という用語は、野生型ポリペプチドを指し、野生型ポリペプチドのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列は、公的にアクセス可能なタンパク質データベース(例えば、EMBLヌクレオチド配列データベース、NCBI Entrez、ExPasy、タンパク質データバンクなど)の一部である。
「変異ポリペプチド」または「ポリペプチドバリアント」または「ムテイン」または「バリアントポリペプチド」という用語は、ポリペプチドの形態を指し、そのアミノ酸配列は、その対応する野生型(親)形態、天然に存在する形態、または任意の他の親形態のアミノ酸配列とは異なる。変異ポリペプチドは、変異ポリペプチドをもたらす1つ以上の変異、例えば、置換、挿入、欠失等を含有し得る。
「親ポリペプチドに対応する」という用語(またはこの用語の文法的変形)は、本発明のポリペプチドを説明するために使用され、ポリペプチドのアミノ酸配列は、少なくともアミノ酸変異の存在によってのみ対応する親ポリペプチドのアミノ酸配列と異なる。典型的には、バリアントポリペプチド及び親ポリペプチドのアミノ酸配列は、高い割合の同一性を示す。一例では、「親ポリペプチドに対応する」とは、バリアントポリペプチドのアミノ酸配列が、親ポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の同一性を有することを意味する。別の例では、バリアントポリペプチドをコードする核酸配列は、親ポリペプチドをコードする核酸配列に対して少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、親ポリペプチドは、配列番号1のFGF1に対応する。
「親ポリペプチドに変異を導入する(または付加する等)」という用語(またはその文法的変形)、または変異を含むように「親ポリペプチドを修飾する」(またはその文法的変形)は、親ポリペプチドがそのような変換のための物理的出発材料であることを必ずしも意味するわけではなく、むしろ親ポリペプチドがバリアントポリペプチドを作製するための誘導アミノ酸配列を提供することを意味する。一例では、「バリアントを親ポリペプチドに導入すること」は、バリアントポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を作製するために、親ポリペプチドの遺伝子が適切な変異により修飾されることを意味する。別の例では、「バリアントを親ポリペプチドに導入すること」は、結果として生じるポリペプチドが、親ポリペプチド配列をガイドとして使用することにより理論的に設計されることを意味する。次いで、設計されたポリペプチドは、化学的または他の手段によって生成され得る。
本明細書で使用する場合、「NK1」は、肝細胞増殖因子のN末端及び第1のクリングルドメインからなる。本発明のポリペプチドにおける破壊点は、ヒト肝細胞増殖因子アイソフォーム1のアミノ酸28~210(Genbank受託ID NP_000592)を含む。他は、31~210及び32~210の破壊点を使用している。代替のヒト肝細胞増殖因子アイソフォーム、アイソフォーム3(Genbank受託ID NP_00101932.1)は、第1のクリングルドメインにおける5つのアミノ酸欠失を除いて、ヒトHGF(hHGF)アイソフォーム1と同一である。hHGFアイソフォーム1及びアイソフォーム3の両方は、Met受容体を強力に活性化し、hHGFアイソフォーム1またはアイソフォーム3に由来するNK1タンパク質もまた、Met受容体に結合し、それを活性化する。アイソフォーム3バリアントに基づくNK1の28~205、31~205、及び32~205の破壊点は、アイソフォーム1バリアントに基づくNK1の28~210、31~210、及び32~210の破壊点と同一であり、唯一の違いは、第1のクリングルドメイン(K1)からの5つのアミノ酸の欠失である。
「ライブラリ」という用語は、それぞれ共通の親ポリペプチドに対応する異なるポリペプチドの集合を指す。ライブラリ内の各ポリペプチド種は、ライブラリのメンバーと称される。好ましくは、本発明のライブラリは、リードポリペプチドを特定する集団を得るのに十分な数及び多様性のポリペプチドの集合を表す。ライブラリは、少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。一実施形態では、ライブラリは、約2~約100,000,000のメンバーを含む。別の実施形態では、ライブラリは、約10,000~約100,000,000のメンバーを含む。また別の実施形態では、ライブラリは、約100,000~約100,000,000のメンバーを含む。さらなる実施形態では、ライブラリは、約1,000,000~約100,000,000のメンバーを含む。別の実施形態では、ライブラリは、約10,000,000~約100,000,000のメンバーを含む。また別の実施形態では、ライブラリは、100を超えるメンバーを含む。
ライブラリのメンバーは、混合物の一部であり得るか、または互いに単離され得る。一例では、ライブラリのメンバーは、任意選択で他の構成要素を含む混合物の一部である。例えば、少なくとも2つのポリペプチドが細胞培養ブロスの体積中に存在する。別の例では、ライブラリのメンバーはそれぞれ、別個に発現され、任意選択で単離される。単離されたポリペプチドは、任意選択で、各ウェルが異なる種類のポリペプチドを含有するマルチウェル容器に含有され得る。別の例では、ライブラリのメンバーはそれぞれ、酵母もしくは細菌細胞、またはファージもしくはウイルス粒子への融合物として発現される。
本明細書で使用する場合、「ポリマー修飾基」という用語は、少なくとも1つのポリマー部分(ポリマー)を含む修飾基である。ポリペプチドに付加されるポリマー修飾基は、そのようなポリペプチドの特性、例えば、その生物学的利用能、生物学的活性、または体内でのその半減期を変更することができる。例示的なポリマーとしては、水溶性及び水不溶性ポリマーが挙げられる。ポリマー修飾基は、直鎖状または分枝状であり得、ポリ(アルキレングリコール)及びその誘導体などの1つ以上の独立して選択されるポリマー部分を含み得る。一例では、ポリマーは非天然に存在する。例示的な実施形態では、ポリマー修飾基は、水溶性ポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(PEG、m-PEG)、ポリ(プロピレングリコール)及びその誘導体(PPG、m-PPG)などを含む。好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(プロピレングリコール)は、本質的に均一分散(homodisperse)である分子量を有する。一実施形態では、ポリマー修飾基は、天然に存在する多糖ではない。
本明細書で使用する場合、「標的化部分」という用語は、身体の特定の組織または領域に選択的に局在する種を指す。局在性は、分子決定基、標的化剤またはコンジュゲートの分子サイズ、イオン相互作用、疎水性相互作用などの特異的認識によって媒介される。当業者には、薬剤を特定の組織または領域に標的化する他の機序が知られている。例示的な標的化部分としては、抗体、抗体断片、トランスフェリン、HS-糖タンパク質、凝固因子、血清タンパク質、β-糖タンパク質、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、EPOなどが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「Fc融合タンパク質」という用語は、本明細書で「Fc部分」と呼ばれる免疫グロブリン由来部分と、疾患の治療が意図されるか否かにかかわらず、本明細書で「治療部分」と呼ばれる第2の非免疫グロブリンタンパク質に由来する部分とを含むタンパク質、特に治療用タンパク質を包含することを意味する。
本明細書で使用する場合、「治療部分」は、抗生物質、抗炎症剤、抗腫瘍薬、細胞毒素、及び放射性剤を含むがこれらに限定されない、療法に有用な任意の薬剤を意味する。「治療部分」は、2つ以上の治療部分が担体、例えば、多価薬剤に結合する構築物である、生体活性剤のプロドラッグを含む。
治療部分はまた、タンパク質及びタンパク質を含む構築物も含む。
本明細書で使用する場合、「抗腫瘍薬」は、を含む、がんに対抗するのに有用な任意の薬剤を意味する。
本明細書で使用する場合、「細胞毒素または細胞傷害性薬」は、細胞に有害な任意の薬剤を意味する。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルキシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルコルコルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体が挙げられる。他の毒素としては、例えば、リシン、CC-1065及び類似体、ならびにデュオカルマイシンが挙げられる。さらに他の毒素としては、ジフテリア毒素、及び蛇毒(例えば、コブラ毒)が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「放射性剤」は、腫瘍の診断または破壊に有効な任意の放射性同位体を含む。例としては、インジウム-111、コバルト-60、フッ素-18、銅-64、銅-67、ルテチウム-177、またはテクニシウム-99mが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、放射性同位体の混合物を典型的に表すウラン、ラジウム、及びトリウムなどの天然に存在する放射性元素は、放射性剤の好適な例である。金属イオンは、典型的には、有機キレート部分とキレートされる。放射性剤または放射性核種は、造影剤の構成要素であり得る。
近赤外線色素は、光学撮像用途のための標準的な化学を使用してコンジュゲートすることもできる。「近赤外線」は、可視光に関連するその部分に隣接する電磁スペクトルの部分、例えば約0.7μm~約1μmの放射線を指す。近赤外線色素としては、例えば、Cy5.5などのシアニンまたはインドシアニン誘導体を挙げることができる。赤外線色素はまた、ホスホラミダイト色素、例えば、IRDye(登録商標)800(LI-COR(登録商標)Biosciecnes)を含み得る。
多くの有用なキレート基、クラウンエーテル、クリプタン等が当該技術分野で既知であり、本発明の化合物に組み込まれ得る(例えば、EDTA、DTPA、DOTA、NTA、HDTA等、及びそれらのホスホネート類似体、例えば、DTPP、EDTP、HDTP、NTP等)。例えば、 Pitt et al.,“The Design of Chelating Agents for the Treatment of Iron Overload,”In,INORGANIC CHEMISTRY IN BIOLOGY AND MEDICINE; Martell,Ed.;American Chemical Society,Washington,D.C.,1980,pp.279-312、Lindoy,THE CHEMISTRY OF MACROCYCLIC LIGAND COMPLEXES;Cambridge University Press,Cambridge,1989、Dugas,BIOORGANIC CHEMISTRY;Springer-Verlag,New York,1989、及びそれらに含まれる参照文献を参照されたい。さらに、キレート剤、クラウンエーテル、及びシクロデキストリンの他の分子への結合を可能にする多様な経路が当業者に利用可能である。例えば、Meares et al.,“Properties of In Vivo Chelate-Tagged Proteins and Polypeptides.”In,MODIFICATION OF PROTEINS: FOOD,NUTRITIONAL,AND PHARMACOLOGICAL ASPECTS;”、Feeney,et al.,Eds.,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982,pp.370-387、Kasina et al.,Bioconjugate Chem.,9:108-117(1998)、Song et al.,Bioconjugate Chem.,8:249-255(1997)を参照されたい。これらの金属結合剤を使用して、撮像法で検出可能な金属イオンを結合することができる。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」は、コンジュゲートと組み合わせたときに、コンジュゲートの活性を保持し、対象の免疫系と非反応性である任意の材料を含む。「薬学的に許容される担体」には、固体及び液体、例えば、ビヒクル、希釈剤、及び溶媒が含まれる。例としては、標準的な薬学的担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルション、例えば、油/水エマルション、及び様々な種類の湿潤剤のうちの任意のものが挙げられるが、これらに限定されない。他の担体はまた、滅菌溶液、コーティングされた錠剤を含む錠剤、及びカプセルを含み得る。典型的には、そのような担体は、賦形剤、例えば、デンプン、牛乳、糖、ある特定の種類の粘土、ゼラチン、ステアリン酸もしくはその塩、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、タルク、植物性脂肪もしくは油、ガム、グリコール、または他の既知の賦形剤を含有する。そのような担体はまた、風味及び着色添加物または他の成分を含んでもよい。そのような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される。
本明細書で使用する場合、「投与すること」は、経口投与、座薬としての投与、局所接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、くも膜下腔内、病巣内、もしくは皮下投与、吸入による投与、または対象への徐放性デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口及び経粘膜(例えば、経口、経鼻、膣、直腸、または経皮)を含む任意の経路、特に吸入によるものである。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、及び頭蓋内が挙げられる。さらに、注射が腫瘍を治療する、例えば、アポトーシスを誘導する場合、投与は、腫瘍に直接及び/または腫瘍を取り囲む組織に直接行われ得る。他の送達モードとしては、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチ等の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
「回復すること」または「回復する」という用語は、症状の軽減、寛解、もしくは減少、または患者の心身の健康の改善などの任意の客観的または主観的パラメータを含む、病理または状態の治療における成功の任意の指標を指す。症状の回復は、客観的または主観的パラメータに基づいてもよく、身体検査及び/または精神科的評価の結果を含む。
「療法」という用語は、疾患にかかりやすいが、疾患の症状をまだ経験していないか、または示さない対象(例えば、ヒト)において疾患または状態が発生するのを予防すること(予防的治療)、疾患を阻害すること(その発症を緩徐または停止させる)、疾患の症状または副作用からの緩和を提供すること(対症治療を含む)、及び疾患を緩和すること(疾患の退縮を引き起こす)を含む、疾患または状態を「治療すること」またはその「治療」を指す。
「有効量」、または「に有効な量」、もしくは「治療有効量」という用語、または任意の文法的に等価な用語は、疾患を治療するために動物またはヒトに投与される場合、その疾患の治療をもたらすのに十分である量を意味する。有効量はまた、例えば、アポトーシス、細胞周期開始、及び/またはシグナル伝達を含む、細胞応答を引き起こすのに必要な量を指し得る。
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物で見られる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を、十分な量の所望の塩基と、無溶媒で、または好適な不活性溶媒中で接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、十分な量の所望の酸と、無溶媒で、または好適な不活性溶媒中で接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、またはリン酸等の無機酸、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機酸に由来する塩が挙げられる。また、アルギニン酸等のアミノ酸の塩、及びグルクロン酸またはガラクツロン酸等の有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66:1-19(1977)を参照されたい)。本発明のある特定の具体的な化合物は、化合物を塩基または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする塩基性官能基及び酸性官能基の両方を含有する。
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生されることが好ましい。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度などのある特定の物理的特性において様々な塩形態とは異なるが、そうでなければ、塩は、本発明の目的のための化合物の親形態と同等である。
本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上において、不自然な割合の原子同位体も含有し得る。例えば、化合物は、放射性同位体、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)で放射標識され得る。放射性であるか否かにかかわらず、本発明の化合物のすべての同位体変化は、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
本明細書で使用する場合、「反応性官能基」は、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、酸化物、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、硫酸、スルフェニン酸イソニトリル、アミジン、イミド、イミデート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、亜硫酸、エナミン、イナミン、尿素、シュードウレア(pseudourea)、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、及びニトロソ化合物を含むがこれらに限定されない基を指す。反応性官能基には、バイオコンジュゲート、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド等を調製するために使用されるものも含まれる。これらの官能基のそれぞれを調製するための方法は、当該技術分野で周知であり、特定の目的のためのそれらの適用または修飾は、当業者の能力の範囲内である(例えば、Sandler and Karo,eds.ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS,Academic Press,San Diego,1989を参照されたい)。
III.バリアント:HGF及びFGF
いくつかの実施形態では、バリアントは、野生型増殖因子と比較してタンパク質分解的に安定したバリアントである。例示的な実施形態では、バリアントは、野生型と比較して、増加したタンパク質分解安定性を示す。いくつかの実施形態では、バリアントは、野生型増殖因子の任意のバリアントである。いくつかの実施形態では、バリアントは、野生型増殖因子が結合する増殖因子受容体のアンタゴニストである。
いくつかの実施形態では、バリアントは、FGF1のバリアントである。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのメンバーを含むヒト線維芽細胞増殖因子1(FGF1)のバリアントが提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのメンバーを含むヒト線維芽細胞増殖因子1(FGF1)のバリアントが提供され、結果として生じるFGF1バリアントは、配列番号1の野生型FGF1と比較して、増加したタンパク質分解安定性を示す。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、βループまたはC末端付近においてアミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)アンタゴニストである。本発明は、このアミノ酸が親FGF1ポリペプチド(野生型、配列番号1)に見られない少なくとも1つの位置に少なくとも1つのアミノ酸を含むFGF1ポリペプチドを提供する。
Figure 2022513196000003
いくつかの実施形態では、配列番号1のFGF1バリアントは、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、28位、40位、47位、93位、または131位に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、D28N、Q40P、S47I、H93G、L131R、及びL131Kからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換L131Rを含む。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換L131Kを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、アミノ酸置換D28N及びL131Rを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、アミノ酸置換D28N及びL131Kを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、アミノ酸置換Q40P、S47I、H93G、及びL131Rを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、アミノ酸置換Q40P、S47I、H93G、及びL131Kを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、アミノ酸置換D28N、Q40P、S47I、H93G、及びL131Rを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、アミノ酸置換D28N、Q40P、S47I、H93G、及びL131Kを含む。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、アミノ酸置換L131Aを含まない。
いくつかの実施形態では、バリアントFGF1は、BS4M1(D28N及びL131R)バリアントと称されるバリアントである。いくつかの実施形態では、BS4M1は、配列
Figure 2022513196000004
を含む。
いくつかの実施形態では、バリアントFGF1は、PM2(Q40P、S47I、H93G)と称されるバリアントである。いくつかの実施形態では、PM2は、配列
Figure 2022513196000005
を含む。
いくつかの実施形態では、バリアントFGF1は、PM3(D28N、Q40P、S47I、H93G、L131R)と称されるバリアントである。いくつかの実施形態では、PM3は、配列
Figure 2022513196000006
を含む。
いくつかの実施形態では、バリアントFGF1は、配列
Figure 2022513196000007
を含む。
いくつかの実施形態では、バリアントFGF1は、配列
Figure 2022513196000008
を含む。
いくつかの実施形態では、バリアントは、単離されたバリアントである。いくつかの実施形態では、バリアントは、本ポリペプチド中に存在しない少なくとも1つの望ましい特徴を示す。例示的な特徴としては、タンパク質分解安定性の増加、熱安定性の増加、立体配座柔軟性の増加または減少、及び増加したアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。当業者に理解されるように、バリアントは、これらの改善された特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを示し得る。
いくつかの実施形態では、バリアントFGF1は、FGFR受容体のアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6からなる群から選択される配列を有する。
いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントは、親ポリペプチドと少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本発明の増殖因子バリアントは、親ポリペプチドと少なくとも約99.2%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.6%、または少なくとも約99.8%の配列同一性を有する。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントは、親ポリペプチドと少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本発明のFGF1バリアントは、親ポリペプチドと少なくとも約99.2%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.6%、または少なくとも約99.8%の配列同一性を有する。
いくつかの実施形態では、変異される配列番号1の位置は、28、40、47、93、または131のうちの1つ以上を含む。当業者が認識するように、これらの位置の任意の組み合わせを変異させることができる。
いくつかの実施形態では、28位にある親ポリペプチドのアミノ酸は、野生型FGF1(例えば、配列番号と比較してNに変更される。
いくつかの実施形態では、40位にある親ポリペプチドのアミノ酸は、Pに変更される。
いくつかの実施形態では、47位にある親ポリペプチドのアミノ酸は、Iに変更される。
いくつかの実施形態では、93位にある親ポリペプチドのアミノ酸は、Gに変更される。
いくつかの実施形態では、131位にある親ポリペプチドのアミノ酸は、Rに変更される。いくつかの実施形態では、131位にある親ポリペプチドのアミノ酸は、Kに変更される。
本発明は、このアミノ酸が親hHGFポリペプチド(野生型)に見られない少なくとも1つの位置に少なくとも1つのアミノ酸を含むhHGFポリペプチドを提供する。本発明は、アイソフォーム1及び3を含むが、これらに限定されない、hHGFのすべてのアイソフォームのバリアントを包含する。アイソフォーム3(NCBI受託NP_001010932)は、以下の配列番号8(アイソフォーム1)において下線で示される5つのアミノ酸欠失(SFLPS)を含む。
例示的な実施形態では、本発明は、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する配列番号9のバリアントを提供する。
例示的な実施形態では、バリアントは、単離されたバリアントである。さらに、様々な実施形態では、バリアントは、本ポリペプチド中に存在しない少なくとも1つの望ましい特徴を示す。例示的な特徴としては、Met受容体に対する親和性の増加、熱安定性の増加、立体配座柔軟性の増加または減少、及びMet受容体に対する増加したアゴニストまたはアンタゴニスト活性が挙げられるが、これらに限定されない。当業者に理解されるように、バリアントは、これらの改善された特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを示し得る。
例示的な実施形態では、ポリペプチドバリアントは、Met受容体のアンタゴニストである。様々な実施形態では、バリアントは、Met受容体のアゴニストである。
例示的な実施形態では、本発明は、配列番号9から選択されるメンバーである配列を有するhHGFポリペプチドバリアントを提供する。
例示的な親ポリペプチドは、野生型HGFアイソフォーム1(HGF NCBI受託NP_000592)(配列番号8)である。
Figure 2022513196000009
配列番号8において、シグナルペプチドは、アミノ酸1~31を含む。N末端ドメインは、アミノ酸39~122を含む。クリングル1ドメインはアミノ酸126~207を含み、クリングル2はアミノ酸208~289を含み、クリングル3はアミノ酸302~384を含み、クリングル4はアミノ酸388~470を含む。セリンプロテアーゼ様ドメインは、495~719を含む。
例示的な実施形態では、本発明のバリアントは、親ポリペプチドと少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する。様々な実施形態では、本発明のバリアントは、親ポリペプチドと少なくとも約99.2%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.6%、または少なくとも約99.8%の配列同一性を有する。
例示的な実施形態では、変異される配列番号9の位置は、62、64、77、95、125、127、130、132、137、142、148、154、170、173、及び193のうちの1つ以上を含む。当業者が認識するように、これらの位置の任意の組み合わせを変異させることができる。様々な実施形態では、アイソフォーム3の類似位置が変異される。
MWVTKLLPALLLQHVLLHLLLLPIAIPYAEGQRKRRNTIHEFKKSAKTTLIKIDPALKIK
TEKANTADQCANRCIRNKGLPFTCKAFVFDKARKRCLWFPVNSMSSGVKKEFGHEFDLYE
NKDYTRNCIVGNGRSYRGTVSTTKSGIKCQPWSAMIPHEHSFLPSSYRGEDLRENYCRNP
RGEEGGPWCYTSDPEVRYEVCDIPQCSEVECMTCNGESYRGLMDHTESGKICQRWDHQTP
HRHKFLPERYPDKGFDDNYCRNPDGQPRPWCYTLDPHTRWEYCAIKTCADNTMNDTDVPL
ETTECIQGQGEGYRGTVNTIWNGIPCQRWDSQYPHEHDMTPENFKCKDLRENYCRNPDGS
ESPWCFTTDPNIRVGYCSQIPNCDMSHGQDCYRGNGKNYMGNLSQTRSGLTCSMWDKNME
DLHRHIFWEPDASKLNENYCRNPDDDAHGPWCYTGNPLIPWDYCPISRCEGDTTPTIVNL
DHPVISCAKTKQLRVVNGIPTRTNIGWMVSLRYRNKHICGGSLIKESWVLTARQCFPSRD
LKDYEAWLGIHDVHGRGDEKCKQVLNVSQLVYGPEGSDLVLMKLARPAVLDDFVSTIDLP
NYGCTIPEKTSCSVYGWGYTGLINYDGLLRVAHLYIMGNEKCSQHHRGKVTLNESEICAG
AEKIGSGPCEGDYGGPLVCEQHKMRMVLGVIVPGRGCAIPNRPGIFVRVAYYAKWIHKII
LTYKVPQS(配列番号9)
例示的な実施形態では、親ポリペプチドのアミノ酸は、Kから、E、N、及びRから選択されるメンバーに変更される。例示的な実施形態では、親ポリペプチドのアミノ酸は、QからRに変更される。例示的な実施形態では、親ポリペプチドのアミノ酸は、Iから、T及びVから選択されるメンバーに変更される。例示的な実施形態では、親ポリペプチドのアミノ酸は、NからDに変更される。いくつかの実施形態では、Dは、親ポリペプチドのNに戻すことができる。
様々な実施形態では、42位のアミノ酸は、FまたはCである。様々な実施形態では、62位のアミノ酸は、野生型親ポリペプチドに見られるKからEに変化する。様々な実施形態では、64位は、VまたはAである。様々な実施形態では、77位は、NまたはSである。様々な実施形態では、95位のアミノ酸は、QまたはRである。様々な実施形態では、125位のアミノ酸は、野生型親ポリペプチドに見られるIからTに変化する。様々な実施形態では、127位のアミノ酸は、D、N、K、R、またはAであり得る。様々な実施形態では、130位のアミノ酸は、IからVに変化する。様々な実施形態では、132位のアミノ酸は、KからNまたはRに変化する。様々な実施形態では、137位のアミノ酸は、KまたはRである。様々な実施形態では、154位のアミノ酸は、SまたはAである。様々な実施形態では、170位のアミノ酸は、KまたはEである。様々な実施形態では、173位のアミノ酸は、QまたはRである。様々な実施形態では、193位のアミノ酸は、NまたはDである。様々な実施形態では、42位のアミノ酸は、FまたはCである。様々な実施形態では、96位のアミノ酸は、CまたはRである。当業者が理解するように、これらの変化の任意の組み合わせ、ならびに以下の表に記載されるそれらの任意の組み合わせは、本発明のポリペプチドバリアントに存在し得る。
いくつかの実施形態では、HGFバリアントは、野生型HGF(配列番号9)と比較して、K62E、N127D、K170E、及びN193Eを含む。いくつかの実施形態では、HGFバリアントは、野生型HGF(配列番号9)と比較してK62E、Q95R、N127D、K132N、K170E、Q173R、及びN193Eを含む。
いくつかの実施形態では、HGFバリアントは、野生型HGF(配列番号9)と比較して、列挙される位置に以下の特異的アミノ酸を有するコンセンサス配列を含む:K62E、Q95R、I125T、N127D、I130V、K132N、K137R、K170E、Q173R、及びN193E。
表1、2、及び3は、本発明の例示的な変異を示す。
Figure 2022513196000010
表2.3回目の指向性進化から単離されたNK1変異体の個々の配列変異。配列番号1は野生型であり、野生型配列との違いのみが配列番号9に示され、空白は、野生型hHGF残基が保持されることを意味する。
Figure 2022513196000011
bp:塩基対変異の数
AA:アミノ酸変異の数
表3.3回目の指向性進化から単離されたNK1変異体の個々の配列変異。配列番号9は野生型であり、野生型配列との相違のみが配列番号9に示される。
Figure 2022513196000012
bp:塩基対変異の数
AA:アミノ酸変異の数
a.コンジュゲート
本発明は、本発明のバリアントと、1つ以上のコンジュゲーションパートナーとのコンジュゲートを提供する。例示的なコンジュゲーションパートナーとしては、ポリマー、標的化剤、治療剤、細胞傷害性薬、キレート剤、及び検出可能な薬剤が挙げられる。当業者は、これらの非限定的な薬剤カテゴリー間に重複があることを認識するであろう。
コンジュゲーションパートナーまたは「修飾基」は、任意のコンジュゲート可能な部分であり得る。例示的な修飾基を以下に論じる。修飾基は、所与のポリペプチドの特性(例えば、生物学的または物理化学的特性)を変更するそれらの能力のために選択され得る。修飾基の使用によって変更され得る例示的なポリペプチドの特性としては、薬物動態学、薬力学、代謝安定性、生体分布、水溶性、親油性、組織標的化能力、及び治療活性プロファイルが挙げられるが、これらに限定されない。修飾基は、診断用途またはインビトロ生物学的アッセイ系で使用するポリペプチドの修飾に有用である。
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載されるFGF1バリアントを含む増殖因子バリアントが、Fc部分と組み合わされる。Fc部分は、好ましくはIgGであるヒトまたは動物免疫グロブリン(Ig)に由来し得る。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であり得る(例えば、図34を参照されたい)。Fc部分が、免疫グロブリン、好ましくはIgGの重鎖に由来することも好ましい。より好ましくは、Fc部分は、免疫グロブリン重鎖定常領域の一部分、例えばドメインなどを含む。そのようなIg定常領域は、好ましくは、ヒンジ、CH2、CH3ドメインのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つのIg定常ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc部分は、少なくともCH2及びCH3ドメインを含む。Fc部分は、IgGヒンジ領域、CH2、及びCH3ドメインを含むことがさらに好ましい。
表4:例示的なIgG配列:
Figure 2022513196000013
IgG1サブクラスのFcドメインは、IgG1が血清タンパク質のいずれかの中で最も長い血清半減期を有するため、Fc部分として使用されることが多い。長い血清半減期は、動物研究及び潜在的なヒト治療使用のための望ましいタンパク質の特徴であり得る。加えて、IgG1サブクラスは、抗体媒介エフェクター機能を実行する最も強い能力を有する。
融合タンパク質において最も有用であり得る一次エフェクター機能は、IgG1抗体が抗体依存性細胞傷害性を媒介する能力である。一方で、これは、主にアンタゴニストとして機能する融合タンパク質にとって望ましくない機能であり得る。IgG1サブクラスにおいて抗体定常領域媒介活性に重要ないくつかの特定のアミノ酸残基が特定されている。したがって、これらの特異的アミノ酸の包含または除外は、特異的免疫グロブリン定常領域媒介活性の包含または除外を可能にする。
本発明によると、Fc部分はまた、エフェクター機能を調節するために修飾され得る。例えば、EUインデックス位置による以下のFc変異(Kabat et al.,1991)は、Fc部分がIgG1:T250Q/M428L;M252Y/S254T/T256E+H433K/N434F;E233P/L234V/L235A/AΔ236+A327G/A330S/P331S;E333A;K322Aに由来する場合、導入することができる。
さらなるFc変異は、例えば、330、331、234、もしくは235、またはそれらの組み合わせから選択されるEUインデックス位置での置換であり得る。CH2ドメインに位置するEUインデックス位置297におけるアミノ酸置換は、本発明の文脈におけるFc部分にも導入され得、N結合炭水化物結合の潜在的部位を排除する。EUインデックス位置220におけるシステイン残基も置き換えられ得る。
本発明のFc融合タンパク質は、単量体または二量体であり得る。Fc融合タンパク質はまた、二量体Fc部分(例えば、2つのジスルフィド架橋ヒンジ-CH2-CH3構築物の二量体)を含有する「擬似二量体(pseudo-dimer)」であってもよく、そのうちの1つのみが治療部分に融合される。
Fc融合タンパク質は、2つの異なる治療部分を含有するヘテロ二量体、または単一の治療部分の2つのコピーを含有するホモ二量体であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される増殖因子バリアント(例えば、FGF1バリアントを含む)のインビボ半減期は、ポリエチレングリコール(PEG)部分で増強され得る。PEG(PEG化)によるポリペプチドの化学修飾は、それらの分子サイズを増加させ、典型的には、表面及び官能基の到達性を低下させ、それらの各々は、ポリペプチドに結合したPEG部分の数及びサイズに依存する。しばしば、この修飾は、血漿半減期の改善及びタンパク質分解安定性、ならびに免疫原性及び肝取り込みの減少をもたらす(Chaffee et al.J.Clin.Invest.89:1643-1651(1992)、Pyatak et al.Res.Commun.Chem.Pathol Pharmacol.29:113-127(1980))。例えば、インターロイキン-2のPEG化は、インビボでその抗腫瘍効力を増加させることが報告されており(Katre et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.84:1487-1491 (1987))、モノクローナル抗体A7に由来するF(ab’)2のPEG化は、その腫瘍局在性を改善した(Kitamura et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.28:1387-1394(1990))。したがって、別の実施形態では、本発明の方法によってPEG部分により誘導体化されたポリペプチドのインビボ半減期は、非誘導体化親ポリペプチドのインビボ半減期に対して増加する。
ポリペプチドインビボ半減期の増加は、親ポリペプチドに対して増加パーセントの範囲として最適に表される。パーセント増加の範囲の下端は、約40%、約60%、約80%、約100%、約150%、または約200%である。範囲の上端は、約60%、約80%、約100%、約150%、または約250%超である。
多くの水溶性ポリマーは当業者には既知であり、本発明の実施に有用である。「水溶性ポリマー」という用語は、糖類(例えば、デキストラン、アミロース、ヒアルロン酸、ポリ(シアル酸)、ヘパラン、ヘパリン等);ポリ(アミノ酸)、例えば、ポリ(アスパラギン酸)、及びポリ(グルタミン酸);核酸;合成ポリマー(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エーテル)、例えば、ポリ(エチレングリコール);ペプチド、タンパク質等の種を包含する。本発明は、ポリマーが、コンジュゲートの残りが結合され得る点を含まなければならないという唯一の制限を有する任意の水溶性ポリマーで実施することができる。例えば、Harris,Macronol.Chem.Phys.C25:325-373(1985)、Scouten,Methods in Enzymology 135:30-65(1987)、Wong et al.,Enzyme Microb.Technol.14:866-874(1992)、Delgado et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9:249-304(1992)、Zalipsky,Bioconjugate Chem.6:150-165(1995)、及びBhadra,et al.,Pharmazie,57:5-29(2002).を参照されたい。
別の実施形態では、上に論じられるものと同様に、修飾糖は、水溶性ポリマーではなく水不溶性ポリマーを含む。本発明のコンジュゲートはまた、1つ以上の水不溶性ポリマーを含んでもよい。本発明のこの実施形態は、制御された様式で治療用ポリペプチドを送達するビヒクルとしてのコンジュゲートの使用によって図示される。ポリマー薬物送達系は当該技術分野で既知である。例えば、Dunn et al.,Eds.POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS,ACS Symposium Series Vol.469,American Chemical Society,Washington,D.C.1991を参照されたい。当業者は、実質的に任意の既知の薬物送達系が本発明のコンジュゲートに適用可能であることを理解するであろう。
代表的な水不溶性ポリマーとしては、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコライド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、プルロニック(登録商標)、及びポリビニルフェノール、ならびにそれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のコンジュゲートに使用される代表的な生分解性ポリマーとしては、ポリラクチド、ポリグリコライド及びそれらのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、それらのブレンド及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の使用のものは、ゲルを形成する組成物、例えば、コラーゲン、プルロニック(登録商標)等を含むものである。
例示的な吸収性ポリマーとしては、例えば、ポリ(α-ヒドロキシ-カルボン酸)/ポリ(オキシアルキレン)の合成により生成された吸収性ブロックコポリマーが挙げられる(Cohn et al.、米国特許第4,826,945号)。これらのコポリマーは架橋されておらず、本体が分解性ブロックコポリマー組成物を排泄することができるように水溶性である。Younes et al.,J Biomed.Mater.Res.21:1301-1316(1987)及びCohn et al.,J Biomed.Mater.Res.22:993-1009(1988)を参照されたい。
ヒドロゲルの構成要素であるポリマーも本発明において有用である。ヒドロゲルは、比較的大量の水を吸収することができるポリマー材料である。ヒドロゲル形成化合物の例としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、カラギーナン、及び他の多糖類、ヒドロキシエチレンメタクリル酸(HEMA)、ならびにそれらの誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。安定した、生分解性、及び生体吸収性のヒドロゲルを生成することができる。さらに、ヒドロゲル組成物は、これらの特性のうちの1つ以上を示すサブユニットを含むことができる。
別の実施形態では、ゲルは熱可逆性ゲルである。プルロニック(登録商標)、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、多糖類、ポリウレタンヒドロゲル、ポリウレタン-尿素ヒドロゲルなどの構成要素を含む熱可逆性ゲル、及びそれらの組み合わせが現在好ましい。
さらに別の例示的な実施形態では、本発明のコンジュゲートは、リポソームの構成要素を含む。リポソームは、例えば、1985年6月11日に発行されたEppsteinらの米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に既知の方法により調製され得る。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(複数可)(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン、及びコレステロールなど)を無機溶媒に溶解し、その後蒸発させ、容器の表面上に乾燥脂質の薄膜を残すことによって調製され得る。次いで、活性化合物またはその薬学的に許容される塩の水溶液を容器中に導入する。次いで、容器を手で旋回させて、容器の側面から脂質材料を遊離し、脂質凝集体を分散させ、それによってリポソーム懸濁液を形成する。
本発明はまた、ポリペプチドが治療部分、診断部分、標的化部分、毒素部分等にコンジュゲートされる上述のものに類似するコンジュゲートを提供する。上に列記される部分のそれぞれは、小分子、天然ポリマー(例えば、ポリペプチド)、または合成ポリマーであり得る。
様々な実施形態では、バリアントは、組織再生のためにマトリックスの構成要素にコンジュゲートされる。例示的なマトリックスは、当該技術分野で既知であり、本発明の増殖因子バリアント(例えば、FGF1バリアントを含む)のマトリックスの適切な選択及び修正は、当業者の能力の範囲内である。本発明の増殖因子バリアント(例えば、FGF1バリアントを含む)は、一般に、例えば、眼、肝臓、筋肉、神経、及び心臓組織の再生を含む再生医療用途に有用である。
いくつかの実施形態では、本発明は、コンジュゲートの構成要素としての標的化剤の存在に起因して特定の組織において選択的に局在するコンジュゲートを提供する。例示的な実施形態では、標的化剤は、タンパク質である。例示的なタンパク質としては、トランスフェリン(脳、血液プール)、HS-糖タンパク質(骨、脳、血液プール)、抗体(脳、抗体特異的抗原を有する組織、血液プール)、凝固因子V~XII(損傷組織、凝血塊、がん、血液プール)、血清タンパク質、例えばα-酸糖タンパク質、フェチュイン、α-胎児タンパク質(脳、血液プール)、β2-糖タンパク質(肝臓、粥状動脈硬化プラーク、脳、血液プール)、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、及びEPO(免疫刺激、がん、血液プール、赤血球過剰産生、神経保護)、アルブミン(半減期の増加)、IL-2、及びIFN-αが挙げられる。
別の実施形態では、本発明は、本発明の増殖因子バリアント(例えば、FGF1バリアントを含む)と治療部分との間にコンジュゲートを提供する。本発明の実施において有用な治療部分としては、様々な薬理活性を有する広範な薬物クラスからの薬物が挙げられる。治療剤及び診断剤を様々な他の種にコンジュゲートする方法は、当業者に周知である。例えば、Hermanson,BIOCONJUGATE TECHNIQUES,Academic Press,San Diego,1996及びDunn et al.,Eds.POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS,ACS Symposium Series Vol.469,American Chemical Society,Washington,D.C.1991を参照されたい。
有用な治療部分のクラスとしては、例えば、抗悪性腫瘍薬(例えば、抗アンドロゲン(例えば、ロイプロリドまたはフルタミド)、細胞破壊剤(例えば、アドリアマイシン、ドキソルビシン、タキソール、シクロホスファミド、ブスルファン、シスプラチン、β-2-インターフェロン)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、抗代謝物(例えば、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニン)が挙げられる。診断と療法の両方のための放射性同位体に基づく薬剤、ならびにコンジュゲートされた毒素、例えば、リシン、ゲルダナマイシン、ミタンシン、CC-1065、デュオカルマイシン、カリケアミシン、ならびにそれらの関連する構造及び類似体もこのクラス内に含まれる。
治療部分はまた、ホルモン(例えば、メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ロイプロリド、メゲストロール、オクトレオチド、またはソマトスタチン);内分泌調節薬(例えば、避妊薬(例えば、エチノジオール、エチニルエストラジオール、ノルエチンドロン、メストラノール、デソゲストレル、メドロキシプロゲステロン)であり得る。本発明の様々な実施形態に有用なのは、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベステロール)、グルココルチコイド(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン等)、及びプロゲストゲン、例えば、ノルエチンドロン、エチノジオール、ノルエチンドロン、レボノルゲストレルとのコンジュゲートであり、甲状腺剤(例えば、リオチロニンまたはレボチロキシン)または抗甲状腺剤(例えば、メチマゾール)、抗高プロラクチン血症薬(例えば、カベルゴリン)、ホルモン抑制剤(例えば、ダナゾールまたはゴセレリン)、分娩誘発薬(例えば、メチルエルゴノビンまたはオキシトシン)、ならびにプロスタグランジン、例えば、ミオプロストール、アルプロスタジル、またはジノプロストンも用いることができる。
他の有用な修飾基としては、免疫調節薬(例えば、抗ヒスタミン剤、肥満細胞安定剤、例えば、ロドキサミド及び/またはクロモリン、ステロイド(例えば、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベクロメタゾン、またはクロベタゾール)、ヒスタミンH2アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン、ラニチジン)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、シクロスポリン)等が挙げられる。抗炎症活性を有する基、例えば、スリンダク、エトドラク、ケトプロフェン、及びケトロラックも有用である。本発明と併せて使用される他の薬物は、当業者には明らかであろう。
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、反応性アミノ酸と反応性アミノ酸の反応性コンジュゲーションパートナーとの間の反応によって形成される。反応性アミノ酸及び反応性コンジュゲーションパートナーの両方が、それらのフレームワーク内に1つ以上の反応性官能基を含む。2つの結合種のうちの1つは、酵素調節求核置換反応において容易に置換されるか、または代替的に、求核反応パートナー(例えば、スフヒドリル基を担持するアミノ酸部分)を利用する化学反応において置換されるこれらの部分を指す「脱離基」(または活性化基)を含んでもよい。各種類の反応に好適な脱離基を選択することは、当業者の能力の範囲内である。多くの活性化糖が当該技術分野で既知である。例えば、Vocadlo et al.,In CARBOHYDRATE CHEMISTRY AND BIOLOGY,Vol.2,Ernst et al.Ed.,Wiley-VCH Verlag: Weinheim,Germany,2000、Kodama et al.,Tetrahedron Lett.34:6419(1993)、Lougheed,et al.,J.Biol.Chem.274:37717(1999))を参照されたい。
様々な実施形態では、天然に存在するFGF1のバリアント(またはあるバリアント)であるアミノ酸置換は、コンジュゲーションパートナー、例えば、側鎖アミノ酸、例えば、システイン、リジン、セリン等の結合のための遺伝子座である。
本発明の実施において有用な反応基及び反応のクラスは、一般に、生体共役化学の分野において周知のものである。現在、反応性糖部分で利用可能な好ましい反応のクラスは、比較的穏やかな条件下で進行するものである。これらには、求核置換(例えば、アミン及びアルコールのアシルハロゲン化物、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、ならびに炭素-炭素及び炭素-ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス-アルダー付加)が含まれるが、これらに限定されない。これら及び他の有用な反応は、例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,3rd Ed.,John Wiley &Sons,New York,1985、Hermanson,BIOCONJUGATE TECHNIQUES,Academic Press,San Diego,1996、及びFeeney et al.,MODIFICATION OF PROTEINS;Advances in Chemistry Series,Vol.198,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982に論じられている。
b.反応性官能基
反応性アミノ酸または反応性コンジュゲーションパートナー上の有用な反応性官能基としては、以下を含むが、それらに限定されない:
(a)カルボキシル基、ならびにN-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p-ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及び芳香族エステルを含むがこれらに限定されないその様々な誘導体;
(b)例えば、エステル、エーテル、アルデヒド等に変換され得るヒドロキシル基、
(c)ハロゲン化物が、後に、例えば、アミン、カルボキシレートアニオン、チオールアニオン、カルバニオン、またはアルコキシドイオン等の求核基で置換され得、それによって、ハロゲン原子の官能基において新しい基の共有結合をもたらす、ハロアルキル基;
(d)例えば、マレイミド基などのディールス-アルダー反応に関与することができるジエノフィル基;
(e)例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾンもしくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、またはグリニャール付加もしくはアルキルリチウム付加などの機構を介して、後続の誘導体化が可能であるような、アルデヒドまたはケトン基;
(f)例えば、スルホンアミドを形成するための、アミンとの後続反応のための、ハロゲン化スルホニル基;
(g)例えば、ジスルフィドに変換されるか、またはハロゲン化アシルと反応し得る、チオール基;
(h)例えば、アシル化、アルキル化、または酸化され得る、アミンまたはスルフヒドリル基;
(i)例えば、シクロ付加、アシル化、マイケル付加等を受けることができる、アルケン;ならびに
(j)例えば、アミン及びヒドロキシル化合物と反応し得る、エポキシド。
反応性官能基は、反応性糖核または修飾基を組み立てるのに必要な反応に関与しないか、または干渉しないように選択され得る。あるいは、反応性官能基は、保護基の存在によって反応における関与から保護することができる。当業者は、選択された一連の反応条件に干渉しないように特定の官能基を保護する方法を理解する。有用な保護基の例については、例えば、Greene et al.,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,John Wiley &Sons,New York,1991を参照されたい。
ポリペプチド及びコンジュゲーションパートナーを連結する基は、架橋基、例えば、ゼロまたは高次架橋基であってもよい(架橋試薬及び架橋手順の概説については、Wold,F.,Meth.Enzymol.25:623-651,1972、Weetall,H.H.,and Cooney,D.A.,In: ENZYMES AS DRUGS.(Holcenberg,and Roberts,eds.)pp.395-442,Wiley,New York,1981、Ji,T.H.,Meth.Enzymol.91:580-609,1983、Mattson et al.,Mol.Biol.Rep.17:167-183,1993を参照されたく、それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる)。好ましい架橋試薬は、様々なゼロ長、ホモ二官能性、及びヘテロ二官能性架橋試薬に由来する。ゼロ長架橋試薬としては、外因性材料の導入を伴わない2つの内因性化学基の直接コンジュゲーションが挙げられる。ジスルフィド結合の形成を触媒する薬剤は、このカテゴリーに属する。別の例は、カルボキシルと一次アミノ基との縮合を誘導して、カルボジイミド、クロロギ酸エチル、ウッドワード試薬K(2-エチル-5-フェニルイソオキサゾリウム-3’-スルホネート)、及びカルボニルジイミダゾールなどのアミド結合を形成する試薬である。これらの化学試薬に加えて、酵素トランスグルタミナーゼ(グルタミルペプチドγ-グルタミルトランスフェラーゼ、EC 2.3.2.13)がゼロ長架橋試薬として使用され得る。この酵素は、通常は基質として一次アミノ基を用いて、タンパク質結合グルタミニル残基のカルボキサミド基においてアシル転移反応を触媒する。好ましいホモ及びヘテロ二官能性試薬は、それぞれ、アミノ、スルフヒドリル、グアニジノ、インドール、または非特異的基に対して反応性であり得る2つの同一のまたは2つの異なる部位を含有する。
本発明のポリペプチドに結合される例示的なコンジュゲーションパートナーとしては、PEG誘導体(例えば、アルキル-PEG、アシル-PEG、アシル-アルキル-PEG、アルキル-アシル-PEG、カルバモイル-PEG、アリール-PEG)、PPG誘導体(例えば、アルキル-PPG、アシル-PPG、アシル-アルキルPPG、アルキル-アシル-PPG カルバモイル-PPG、アリール-PPG)、治療部分、診断部分、マンノース-6-ホスフェート、ヘパリン、ヘパラン、Slex、マンノース、マンノース-6-ホスフェート、シアリルルイスX、FGF、VFGF、タンパク質、コンドロイチン、ケラタン、デルマタン、アルブミン、インテグリン、分岐型(antennary)オリゴ糖、ペプチド等が挙げられるが、これらに限定されない。
共有結合に加えて、本発明の増殖因子バリアント(例えば、FGF1バリアントを含む)は、非共有相互作用を介して生体材料の表面上に結合することができる。非共有結合タンパク質組み込みは、例えば、封入または吸収によって行われ得る。本発明のポリペプチドの生体材料への結合は、ヘパリンを介して媒介され得る。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、Harada et al.,J.Clin.Invest.(1994)94:623-630、Laham et al.,Circulation(1999)1865-1871、及びその中で引用される参照文献に記載されるヘパリン-アルギネートポリマー及びアルギネートに結合される。他の実施形態では、本発明のポリペプチドは、コラーゲンに基づく生体材料に結合される。
c.造影剤
本発明の例示的なコンジュゲートは、本発明のバリアントと検出可能な部分とを含む造影剤であり、これは画像診断法において検出可能である。生体におけるMet受容体を特異的に標的とし、患者特異的がん治療及び疾患管理のための腫瘍の非侵襲的特徴付けを可能にする分子撮像プローブが緊急に必要である。非侵襲的撮像を介してMet発現腫瘍を検出する能力は、転移リスクの指標としても役立ち得る。
本発明のコンジュゲートが利用される例示的な画像診断法としては、本発明のバリアントに陽電子放射同位体がタグ付けされる陽電子放射断層撮影(PET)が挙げられるが、これに限定されない。典型的な同位体としては、11C、13N、15O、18F、64Cu、62Cu、124I、76Br、82Rb、及び68Gaが挙げられ、18Fが最も臨床的に利用される。バリアントはまた、超音波剤、磁気共鳴造影剤、X線剤、CT剤、ガンマカメラシンチグラフィー剤、及び蛍光造影剤に組み込まれ得る。さらなる検出可能な部分及び撮像方法を、以下の方法のセクションに記載する。
例示的な実施形態では、コンジュゲーションパートナーは、選択された条件下で切断される結合を介して本発明のポリペプチドバリアントに結合される。例示的な条件としては、選択されたpH(例えば、胃、腸、細胞内空胞)、活性酵素(例えば、エステラーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ)、光、熱の存在が挙げられるが、これらに限定されない。多くの切断可能な基が当該技術分野で既知である。例えば、Jung et al.,Biochem.Biophys.Acta,761:152-162(1983)、Joshi et al.,J.Biol.Chem.,265:14518-14525(1990)、Zarling et al.,J.Immunol.,124:913-920(1980)、Bouizar et al.,Eur.J.Biochem.,155:141-147(1986)、Park et al.,J.Biol.Chem.,261:205-210(1986)、Browning et al.,J.Immunol.,143:1859-1867(1989)を参照されたい。
IV.薬学的組成物
例えば、FGF1バリアントを含む本発明の増殖因子バリアント、及びそれらのコンジュゲートは、広範な薬学的用途を有する。
したがって、別の態様では、本発明は、少なくとも1つの本発明のポリペプチドまたはポリペプチドコンジュゲートと、薬学的に許容される希釈剤、担体、ビヒクル、添加物、またはそれらの組み合わせとを含む、薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、様々な薬物送達系において使用するのに好適である。本発明で使用される好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に見出される。薬物送達のための方法の簡単な概説については、Langer,Science 249:1527-1533(1990)を参照されたい。
薬学的組成物は、例えば、局所、経口、経鼻、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下、または筋肉内投与を含む任意の適切な投与様式用に製剤化され得る。皮下注射などの非経口投与の場合、担体は、好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、または緩衝液を含む。経口投与の場合、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、及び炭酸マグネシウムなどの上記担体または固体担体のいずれかが用いられ得る。微粒子(例えば、ポリラクテートポリグリコレート)などの生分解性マトリックスも、本発明の薬学的組成物の担体として用いられ得る。好適な生分解性微粒子は、例えば、米国特許第4,897,268号及び同第5,075,109号に開示されている。
一般に、薬学的組成物は、皮下または非経口的に、例えば静脈内に投与される。したがって、本発明は、許容される担体、好ましくは水性担体、例えば、水、緩衝水、生理食塩水、PBS等に溶解または懸濁された化合物を含む、非経口投与のための組成物を提供する。組成物はまた、Tween 20及びTween 80などの洗剤、マンニトール、ソルビトール、スクロース、及びトレハロースなどの安定剤、ならびにEDTA及びメタ-クレゾールなどの防腐剤を含有し得る。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤、洗剤等の生理学的条件に近づけるために必要な薬学的に許容される補助物質を含有し得る。
これらの組成物は、従来の滅菌技法によって滅菌され得るか、または滅菌濾過され得る。結果として生じる水溶液は、そのまま使用するためにパッケージ化されるか、または凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8である。
いくつかの実施形態では、本発明のグリコペプチドは、標準的な小胞形成脂質から形成されるリポソームに組み込まれ得る。例えば、Szoka et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、及び同第4,837,028号に記載される、様々な方法がリポソームを調製するのに利用可能である。様々な標的化剤(例えば、本発明のシアリルガラクトシド)を使用するリポソームの標的化は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第4,957,773号及び第4,603,044号を参照されたい)。
標的化剤をリポソームに結合するための標準的な方法を使用することができる。これらの方法は、一般に、標的化剤の結合のために活性化され得るホスファチジルエタノールアミンなどの脂質構成要素、または本発明の脂質誘導体化グリコペプチドなどの誘導体化親油性化合物のリポソームへの組み込みを伴う。
標的化機序は、一般に、標的化部分が標的、例えば細胞表面受容体との相互作用のために利用可能であるように、標的化剤がリポソームの表面上に配置されることを必要とする。本発明の炭水化物は、リポソームが形成される前に、当業者に既知の方法(例えば、それぞれ、長鎖ハロゲン化アルキルまたは脂肪酸による炭水化物上に存在するヒドロキシル基のアルキル化またはアシル化)を使用して脂質分子に結合され得る。
あるいは、リポソームは、膜を形成するときにコネクタ部分が膜に最初に組み込まれるような方法で作製され得る。コネクタ部分には、膜にしっかりと埋め込まれ、固定された親油性部分が必要である。また、リポソームの水性表面上で化学的に利用可能な反応性部分を有する必要がある。反応性部分は、後に付加される標的化剤または炭水化物と安定した化学結合を形成するのに化学的に好適であるように選択される。いくつかの実施形態では、標的薬剤を直接コネクタ分子に結合させることが可能であるが、ほとんどの場合、化学架橋として作用するための第3の分子を使用することがより好適であり、したがって、膜中にあるコネクタ分子を標的化剤または小胞表面から3次元的に伸長される炭水化物と連結する。
本発明の方法によって調製される、例えばFGF1バリアントを含む、増殖因子バリアントはまた、診断試薬として用いられてもよい。例えば、標識された化合物を使用して、炎症を有すると疑われる患者の炎症または腫瘍転移の領域を特定することができる。この使用のために、化合物は、125I、14C、またはトリチウムで標識され得る。
V.核酸
いくつかの実施形態では、本発明は、上述の実施形態のいずれかによる、例えば、FGF1バリアントを含む、増殖因子バリアントをコードする単離された核酸を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、この核酸に相補的な核酸を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された上述の実施形態のいずれかによるポリペプチドバリアントをコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。
VI.ライブラリ及びスクリーニングの方法
様々な実施形態では、複数の異なるメンバーを含む、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドのライブラリも提供され、ライブラリの各メンバーは、共通の親増殖因子ポリペプチドまたはFGF1親ポリペプチドに対応し、ライブラリの各メンバーは、アミノ酸が親ポリペプチドでは見られない位置にアミノ酸を含む。
a.ライブラリの作製
FGF1または他の増殖因子のランダム化ライブラリを生成するために、様々なFGF1または他の増殖因子配列をコードするオリゴヌクレオチドを調製した。例えば、酵母中のFGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドを発現するために使用されるDNAを、合成により、または標準的な組換え技法によって調製した。アミノ酸が変化する場合、それぞれが異なるアミノ酸をコードする20の異なるコドンが所与の位置に対して合成された。約5~約15のアミノ酸がランダム化されるコーディングカセットを作製するために、ランダム化オリゴヌクレオチド合成が使用されている(例えば、Burritt et al.,(1996)Anal.Biochem.238:1 13;、Lowman(1997)Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.26:410 24、Wilson(1998)Can.J.Microbiol.44:313 329を参照されたい)。
改善された変異体の進化に典型的に使用される酵母提示ベクターは、「pCT」と呼ばれる。ベクターは、2004年7月29日に公開された「Yeast cell surface display of proteins and uses thereof」と題するWittrupらのUS2004/0146976にさらに記載される。そこに記載されるように、ベクターは、目的のポリペプチドのN末端の、酵母Aga2p細胞壁タンパク質のC末端への遺伝的融合を提供する。各酵母細胞の外壁は、約104~105のタンパク質凝集素を提示することができる。ベクターは、特定の制限部位を含有し、ガラクトース、N末端HA及びC末端c-mycエピトープタグ、ならびに第Xa因子プロテアーゼ切断部位による転写調節を例示する。
本発明のいくつかの実施形態では、高親和性バインダーを操作するために一般的に使用される酵母提示プラットフォームは、より大きなタンパク質分解安定性を有するタンパク質を操作するためにも利用される(例えば、図1を参照されたい)。いくつかの実施形態では、単一増殖因子バリアントの数千のコピーがテザー融合物として酵母の表面に提示される。いくつかの実施形態では、血球凝集素(HA)タグは、増殖因子の上流で発現される一方で、c-mycタグは、増殖因子の下流で発現される。いくつかの実施形態では、細胞は、対応する受容体の可溶性Fc融合物と共にインキュベートすることができ、これは酵母提示増殖因子に結合することができる。
いくつかの実施形態では、酵母提示プラットフォームは、より高いタンパク質分解安定性を有する増殖因子を操作するために、フロー活性化細胞選別(FACS)と組み合わされる(例えば、図2を参照されたい)。いくつかの実施形態では、増殖因子変異体のライブラリは、ランダム変異誘発、指向性変異誘発、もしくはDNAシャッフル、または上に論じられるかまたは当該技術分野で既知である他の組換え技法によって生成することができる。いくつかの実施形態では、酵母細胞のライブラリは、目的のプロテアーゼと共にインキュベートされ、その間に、酵母表面提示タンパク質の切断が生じる。いくつかの実施形態では、より大きなタンパク質分解安定性を有する増殖因子変異体は、酵母細胞表面上の切断に対してより耐性がある。いくつかの実施形態では、プロテアーゼインキュベーションの後、細胞を洗浄し、保持された受容体結合親和性を有する適切に折り畳まれた増殖因子変異体に結合する機能性受容体の可溶性Fc融合物と共にインキュベートする。いくつかの実施形態では、FACSを使用して、拡張され、次回の選別のために誘導される、適切に折り畳まれた未切断の増殖因子変異体について選別する。
いくつかの実施形態では、Fcドメイン、c-mycドメイン、及びHAタグに対する蛍光抗体マーカーを使用して、受容体結合、増殖因子特異的切断、及び非特異的切断を測定する(例えば、以下の表2を参照されたい)。いくつかの実施形態では、結合したFc融合受容体の検出は、増殖因子における変異が受容体に対する結合親和性を著しく低下させないか、または不適切なタンパク質折り畳みをもたらさないことを確認することを可能にする。いくつかの実施形態では、増殖因子特異的切断は、増殖因子のタンパク質分解安定性の直接的尺度である。いくつかの実施形態では、切断された増殖因子はC末端c-mycタグを除去するため、増殖因子特異的切断は、c-mycシグナルによって検出される。いくつかの実施形態では、非特異的切断は、プロテアーゼが酵母表面提示タンパク質、例えば、酵母提示タンパク質Aga1p及びAga2p内で切断されるときに生じる。いくつかの実施形態では、非特異的切断中、3つすべてのマーカーの蛍光シグナルが減少する。いくつかの実施形態では、増殖因子切断及び結合活性を検出するためのダイナミックレンジが減少するため、これは望ましくない。いくつかの実施形態では、目的のプロテアーゼによる非特異的切断が最小限であることを確実にするために、HAシグナルが使用される。
表5:蛍光抗体マーカーからの観察されたシグナルに対する異なる事象の影響。
Figure 2022513196000014
いくつかの実施形態では、野生型増殖因子及びそのバリアントは、pCTベクターにクローニングされ得る。いくつかの実施形態では、野生型増殖因子及びそのバリアントは、Aga2p交配タンパク質への融合物としてS.cerevisiae酵母細胞の表面上で発現することができる。いくつかの実施形態では、酵母細胞表面上での野生型増殖因子及びそのバリアントの良好な発現は、タンパク質のC末端上のc-mycタグの検出によって確認することができる。いくつかの実施形態では、酵母提示野生型増殖因子及びそのバリアントの適切な折り畳みは、野生型増殖因子-Fcへの特異的結合活性を測定することによって確認することができる。
いくつかの実施形態では、配列番号1のFGF1ポリペプチドが、タンパク質分解安定性スクリーニングのセットアップを示すためのモデルとして用いられた。いくつかの実施形態では、野生型FGF1がpCTベクターにクローニングされた。いくつかの実施形態では、このFGF1ポリペプチド及びそのFGF1バリアントは、Aga2p交配タンパク質への融合物としてS.cerevisiae酵母細胞の表面上で発現することができる(例えば、図3Aを参照されたい)。いくつかの実施形態では、酵母細胞表面上でのFGF1の良好な発現は、タンパク質のC末端上のc-mycタグの検出によって確認することができる(例えば、図3Bを参照されたい)。いくつかの実施形態では、酵母提示FGFの適切な折り畳みは、FGFR1-Fcへの特異的結合活性を測定することによって確認することができる(例えば、図3Cを参照されたい)。
いくつかの実施形態では、血清、トリプシン、キモトリプシン、及びプラスミンは、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドのタンパク質分解安定性スクリーニングを開発するために使用され得る。いくつかの実施形態では、これらのプロテアーゼは、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドに対するそれらの科学的及び生物学的関連性に基づいて選択された。いくつかの実施形態では、スクリーニングに対するプロテアーゼの適合性は、酵母提示タンパク質の最小限の非特異的切断によって、合理的な速度で増殖因子を切断するその能力によって決定された。いくつかの実施形態では、血清は、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドのタンパク質分解安定性スクリーニングを開発するために使用され得る。いくつかの実施形態では、トリプシンは、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドのタンパク質分解安定性スクリーニングを開発するために使用され得る。いくつかの実施形態では、キモトリプシンは、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドのタンパク質分解安定性スクリーニングを開発するために使用され得る。いくつかの実施形態では、プラスミンは、例えば、FGF1バリアントポリペプチドを含む、増殖因子バリアントポリペプチドのタンパク質分解安定性スクリーニングを開発するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、安定性は、野生型増殖因子のタンパク質分解切断を、バリアント増殖因子のタンパク質分解切断と比較することによって決定される。いくつかの実施形態では、安定性は、野生型FGF1のタンパク質分解切断を、FGF1バリアントのタンパク質分解切断と比較することによって決定される。
いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%~少なくとも95%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも10%~少なくとも90%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%~少なくとも90%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%~少なくとも85%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%~少なくとも80%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%~少なくとも75%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%~少なくとも70%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも10%~少なくとも70%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも10%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも15%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも20%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも25%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも30%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも35%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも40%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも45%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも50%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも60%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも65%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも70%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも75%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも80%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも85%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも90%増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも95%増加する。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%~少なくとも95%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも10%~少なくとも90%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%~少なくとも90%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%~少なくとも85%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%~少なくとも80%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%~少なくとも75%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%~少なくとも70%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも10%~少なくとも70%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも10%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも15%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも20%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも25%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも30%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも35%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも40%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも45%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも50%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも60%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも65%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも70%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも75%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも80%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも85%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも90%増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも95%増加する。
いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも1倍~少なくとも10倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも1倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも2倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも3倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも4倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも5倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも6倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも7倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも8倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも9倍増加する。いくつかの実施形態では、増殖因子バリアントの安定性は、野生型増殖因子と比較して、少なくとも10倍増加する。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも1倍~少なくとも10倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも1倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも2倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも3倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも4倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも5倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも6倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも7倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも8倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも9倍増加する。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントの安定性は、野生型FGF1と比較して、少なくとも10倍増加する。
b.蛍光細胞選別
いくつかの実施形態では、スクリーニングは、細胞選別機の使用を含み得る。市販のフローサイトメーターは、毎秒約50,000の細胞の速度で、単一細胞レベルで4つ以上の波長で蛍光放射を測定することができる(Ashcroft and Lopez,2000)。典型的なフローサイトメトリーデータは、タンパク質発現レベル及び結合した可溶性リガンド(例えば、増殖因子受容体)を測定するために、酵母が2つの異なる色蛍光プローブで標識されていることを示し得る。細胞の「対角線」集団は、細胞ごとのタンパク質発現レベルの変化に起因する結果をもたらし、より多くのタンパク質を発現する細胞は、より多くのリガンドに結合する。平衡結合定数(KD)は、可溶性リガンドの滴定によって決定することができ、解離速度定数(koff)は、非標識リガンドの競合結合によって測定することができる。酵母では、テザータンパク質の単分散が細胞表面上に存在し、可溶性リガンドが結合及び試験に使用され、その結果、固定化リガンドを使用する他の提示方法とは異なり、結合活性効果は観察されない。これまでに、酵母細胞表面上で発現されたほとんどのタンパク質の特性は、安定性及び結合親和性の観点から溶液に見られるものを模倣する(Bader et al.,2000、Feldhaus et al.,2003、Holler et al.,2000、VanAntwerp and Wittrup,2000)。Weaver-Feldhaus et al.,”Directed evolution for the development of conformation-specific affinity reagents using yeast display,” Protein Engineering Design and Selection Sep.26,2005 18(11):527-536も参照されたい。
細胞選別は、FACS Vantage (BD Biosciences)マルチパラメータレーザーフローサイトメーター及び細胞選別機で行うことができる。上述のように様々なポリペプチドレベルの分析が検出されるように、選別の前に、蛍光染色を上述のように行った。
VII.方法
a.化学合成
本発明のポリペプチドバリアントは、従来の段階的溶液または固相合成を使用して調製することができる(例えば、Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,Williams et al.,Eds.,1997,CRC Press,Boca Raton Florida,and references cited therein;Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach,Atherton &Sheppard,Eds.,1989,IRL Press,Oxford,England、及びその中で引用される参考文献を参照されたい)。
あるいは、本発明のペプチドは、例えば、Liu et al.,1996,Tetrahedron Lett.37(7)933 936、Baca et al.,1995,J.Am.Chem.Soc.117:1881-1887、Tam et al.,1995,Int.J.Peptide Protein Res.45:209-216、Schnolzer and Kent,1992,Science 256:221-225、Liu and Tam,1994,J.Am.Chem.Soc.116(10):4149-4153、Liu and Tam,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:6584-6588、Yamashiro and Li,1988,Int.J.Peptide Protein Res.31:322-334に記載されるセグメント縮合により調製され得る。セグメント縮合は、内部グリシン残基を含有する実施形態を合成するための特に有用な方法である。本発明のペプチドの合成に有用な他の方法は、Nakagawa et al.,1985,J.Am.Chem.Soc.107:7087-7092に記載されている。
N及び/またはC末端遮断基を含有するポリペプチドバリアントは、有機化学の標準的な技法を使用して調製することができる。例えば、ペプチドのN末端をアシル化する、またはペプチドのC末端をアミド化もしくはエステル化するための方法は、当該技術分野で周知である。当業者には、N及び/またはC末端に他の修飾を担持するモード、ならびに末端遮断基を結合するために必要であり得る任意の側鎖官能基を保護するモードは明らかであろう。薬学的に許容される塩(対イオン)は、当該技術分野で周知であるように、イオン交換クロマトグラフィーまたは他の方法によって便宜的に調製することができる。
タンデム型多量体の形態である本発明の化合物は、合成の適切なステップでリンカー(複数可)をペプチド鎖に付加することによって、便宜的に合成することができる。あるいは、ヘリックスセグメントを合成し、各セグメントをリンカーと反応させることができる。当然ながら、実際の合成方法はリンカーの組成に依存する。適切な保護スキーム及び化学は周知であり、当業者には明らかであろう。
分岐ネットワークの形態である本発明の化合物は、Tam,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5409-5413及びDemoor et al.,1996,Eur.J.Biochem.239:74-84に記載の三量体及び四量体樹脂ならびに化学を使用して便宜的に合成することができる。高次または低次の分岐ネットワークを合成するための、または異なるコアペプチドヘリックスセグメントの組み合わせを含有する合成樹脂の修飾及び戦略は、ペプチド化学及び/または有機化学の当業者の能力の範囲内である。必要に応じて、ジスルフィド結合の形成は、一般に、弱い酸化剤の存在下で行われる。
化学酸化剤が使用され得るか、または化合物を単に大気酸素に曝露してこれらの結合をもたらしてもよい。例えば、Tam et al.,1979,Synthesis 955-957、Stewart et al.,1984,Solid Phase Peptide Synthesis,2d Ed.,Pierce Chemical Company Rockford,IL、Ahmed et al.,1975,J.Biol.Chem.250:8477-8482、及びPennington et al.,1991 Peptides 1990 164-166,Giralt and Andreu,Eds.,ESCOM Leiden,The Netherlandsによって記載されるものを含む様々な方法が当該技術分野で既知である。さらなる代替案が、Kamber et al.,1980,Helv.Chim.Acta 63:899-915によって記載される。固体支持体上で行われる方法は、Albericio,1985,Int.J.Peptide Protein Res.26:92-97によって記載される。これらの方法のいずれかを使用して、本発明のペプチドにおいてジスルフィド結合を形成することができる。
VIII.ポリペプチドコード配列の取得
a.一般組換え技術
本発明のO結合グリコシル化配列を組み込むバリアント及び/または変異ポリペプチドの作製は、変異またはポリペプチドの完全な化学合成のいずれかによって、対応する親ポリペプチドのアミノ酸配列を変更することにより達成することができる。ポリペプチドアミノ酸配列は、好ましくは、DNAレベルでの変化を介して、特に、ポリペプチドをコードするDNA配列を予め選択された塩基で変異させて、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成することによって変更される。DNA変異(複数可)は、好ましくは、当該技術分野で既知の方法を使用して作製される。
本発明は、組換え遺伝学の分野における日常的な技法に依存する。本発明の一般的な使用方法を開示する基本的なテキストとしては、Sambrook and Russell,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(3rd ed.2001)、Kriegler,Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual(1990)、及びAusubel et al.,eds.,Current Protocols in Molecular Biology(1994)が挙げられる。
核酸サイズは、キロベース(kb)または塩基対(bp)のいずれかで与えられる。これらは、アガロースまたはアクリルアミドゲル電気泳動、配列決定された核酸、または公開されているDNA配列に由来する推定値である。タンパク質の場合、サイズはキロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基番号で与えられる。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動から、配列決定されたタンパク質から、導かれたアミノ酸配列から、または公開されているタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドは、例えば、Van Devanter et.al.,Nucleic Acids Res.12:6159-6168(1984)に記載されるように、自動合成機を使用して、最初に Beaucage &Caruthers,Tetrahedron Lett.22:1859-1862(1981)によって記載された固相ホスホラミダイトトリエステル方法により化学合成され得る。全遺伝子を化学合成することもできる。オリゴヌクレオチドの精製は、当技術分野で認識されている任意の戦略、例えば、Pearson &Reanier,J.Chrom.255:137-149(1983)に記載されるように、天然アクリルアミドゲル電気泳動または陰イオン交換HPLCを使用して行われる。
クローニングした野生型ポリペプチド遺伝子、変異ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えば、Wallace et al.Gene,16:21-26(1981)の二本鎖テンプレートを配列決定するための連鎖停止方法を使用して、クローニング後に検証され得る。
例示的な実施形態では、ポリヌクレオチドをシャッフルすることによってグリコシル化配列が付加される。候補ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、DNAシャッフルプロトコルを用いて調節することができる。DNAシャッフルは、関連する遺伝子のプールのランダム断片化、続いてポリメラーゼ連鎖反応様プロセスによる断片の再組み立てによって行われる再帰的組換え及び変異のプロセスである。例えば、Stemmer,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747-10751(1994)、Stemmer,Nature 370:389-391(1994)、ならびに米国特許第5,605,793号、同第5,837,458号、同第5,830,721号、及び同第5,811,238号を参照されたい。
b.野生型ペプチドコード配列のクローニング及びサブクローニング
例えば、ヒト成長ホルモン、例えば、GenBank受託番号NM000515、NM002059、NM022556、NM022557、NM022558、NM022559、NM022560、NM022561、及びNM022562などの野生型ポリペプチドをコードする多くのポリヌクレオチド配列が決定されており、商業サプライヤーから入手可能である。
ヒトゲノムの研究の急速な進歩により、ヒトDNA配列データベースが、既知のヌクレオチド配列と一定の割合の配列相同性を有する任意の遺伝子セグメント、例えば、以前に特定されたポリペプチドをコードするものを検索することができるクローニングアプローチが可能になった。そのように特定された任意のDNA配列は、その後、化学合成及び/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法、例えば、オーバーラップ伸長法によって得ることができる。短い配列については、完全に新規の合成で十分であり得るが、より大きな遺伝子を得るためには、合成プローブを使用したヒトcDNAまたはゲノムライブラリからの全長コード配列のさらなる単離が必要であり得る。
あるいは、ポリペプチドをコードする核酸配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの標準的なクローニング技法を使用してヒトcDNAまたはゲノムDNAライブラリから単離され得、相同性に基づくプライマーは、多くの場合、ポリペプチドをコードする既知の核酸配列に由来し得る。この目的のために最も一般的に使用される技法は、標準的なテキスト、例えば、上記の Sambrook and Russellに記載されている。
野生型ポリペプチドのコード配列を得るのに好適なcDNAライブラリは、市販されているか、または構築されてもよい。mRNAを単離し、逆転写によりcDNAを作製し、cDNAを組換えベクターにライゲーションし、増殖、スクリーニング、及びクローニングのために組換え宿主にトランスフェクトする一般的な方法は周知である(例えば、Gubler and Hoffman,Gene,25:263-269(1983)、Ausubel et al.,上記を参照されたい)。PCRによってヌクレオチド配列の増幅セグメントを得たら、セグメントをプローブとしてさらに使用して、cDNAライブラリから野生型ポリペプチドをコードする全長ポリヌクレオチド配列を単離することができる。適切な手順の一般的な説明は、Sambrook and Russell、上記に見出すことができる。
同様の手順に従って、ヒトゲノムライブラリから、野生型ポリペプチド、例えば、上述のGenBank受託番号のうちのいずれか1つをコードする全長配列を得ることができる。ヒトゲノムライブラリは、市販されているか、または様々な技術分野で認識された方法により構築することができる。一般に、ゲノムライブラリを構築するために、DNAは、最初に、ポリペプチドが見出される可能性が高い組織から抽出される。次いで、DNAを機械的に剪断するか、または酵素的に消化して、約12~20kbの長さの断片を得る。その後、断片を望ましくないサイズのポリヌクレオチド断片から勾配遠心分離することにより分離し、バクテリオファージλベクターに挿入する。これらのベクター及びファージは、インビトロでパッケージ化される。組換えファージを、Benton and Davis,Science,196:180-182(1977)に記載されるように、プラークハイブリダイゼーションによって分析する。コロニーハイブリダイゼーションは、Grunstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,72:3961-3965(1975)によって記載されるように行われる。
配列相同性に基づいて、変性オリゴヌクレオチドをプライマーセットとして設計することができ、PCRを好適な条件下で行って(例えば、White et al.,PCR Protocols: Current Methods and Applications,1993、Griffin and Griffin,PCR Technology,CRC Press Inc.1994を参照されたい)、cDNAまたはゲノムライブラリからのヌクレオチド配列のセグメントを増幅することができる。増幅セグメントをプローブとして使用して、野生型ポリペプチドをコードする全長核酸を得る。
野生型ポリペプチドをコードする核酸配列を取得したら、結果として生じる構築物から組換え野生型ポリペプチドを産生することができるように、コード配列をベクター、例えば発現ベクターにサブクローニングすることができる。野生型ポリペプチドコード配列のさらなる修飾、例えば、ヌクレオチド置換は、その後、分子の特徴を変更するために行われ得る。
c.ポリペプチド配列への変異の導入
コードポリヌクレオチド配列から、野生型ポリペプチドのアミノ酸配列を決定することができる。その後、このアミノ酸配列は、アミノ酸配列内の様々な位置に追加のグリコシル化配列(複数可)を導入することによって、タンパク質のグリコシル化パターンを変更するように修飾され得る。
様々な変異生成プロトコルが当該技術分野で確立されており、記載されている。例えば、Zhang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4504 -4509(1997)、及びStemmer,Nature,370:389-391(1994)を参照されたい。手順は、一組の核酸のバリアント、したがって、コードされたポリペプチドのバリアントを産生するために、別個にまたは組み合わせて使用することができる。変異誘発、ライブラリ構築、及び他の多様性生成方法のためのキットが市販されている。
多様性を生成する変異方法としては、例えば、部位特異的変異誘発(Botstein and Shortle,Science,229:1193-1201(1985))、ウラシル含有テンプレートを使用した変異誘発(Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488 -492(1985))、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発(Zoller and Smith,Nucl.Acids Res.,10:6487-6500(1982))、ホスホロチオエート修飾DNA変異誘発(Taylor et al.,Nucl.Acids Res.,13:8749-8764及び8765-8787(1985))、ならびにギャップ二本鎖DNAを使用した変異誘発(Kramer et al.,Nucl.Acids Res.,12:9441-9456(1984))が挙げられる。
変異を生成するための他の方法としては、点ミスマッチ修復(Kramer et al.,Cell,38:879-887(1984))、修復欠損宿主株を使用した変異誘発(Carter et al.,Nucl.Acids Res.,13:4431-4443(1985))、欠失変異誘発(Eghtedarzadeh and Henikoff,Nucl.Acids Res.,14:5115(1986))、制限選択及び制限精製(Wells et al.,Phil.Trans.R.Soc.Lond.A,317:415-423(1986))、全遺伝子合成による変異誘発(Nambiar et al.,Science,223: 1299-1301(1984))、二本鎖切断修復(Mandecki,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:7177-7181(1986))、ポリヌクレオチド連鎖停止法による変異誘発(米国特許第5,965,408号)、及びエラープローンPCR(Leung et al.,Biotechniques,1:11-15(1989))が挙げられる。
d.宿主生物における好ましいコドン使用のための核酸の修飾
ポリペプチドバリアントをコードするポリヌクレオチド配列は、特定の宿主の好ましいコドン使用と一致するようにさらに変更することができる。例えば、1つの細菌細胞株の好ましいコドン使用は、本発明のポリペプチドバリアントをコードし、この株によって好まれるコドンを含むポリヌクレオチドを導くために使用され得る。宿主細胞によって示される好ましいコドン使用頻度は、宿主細胞によって発現される多数の遺伝子における好ましいコドン使用頻度を平均化することによって計算することができる(例えば、計算サービスは、Kazusa DNA Research Institute,Japanのウェブサイトから入手可能である)。この分析は、好ましくは、宿主細胞によって高度に発現される遺伝子に限定される。例えば、米国特許第5,824,864号は、双子葉類植物及び単子葉植物によって示される高度に発現された遺伝子によるコドン使用頻度を提供する。
修飾の完了時に、ポリペプチドバリアントコード配列を配列決定によって検証し、次いで、野生型ポリペプチドと同じ様式で組換え産生のための適切な発現ベクターにサブクローニングする。
IX.変異ポリペプチドの発現
配列検証に続いて、本発明のポリペプチドバリアントは、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に依存する、組換え遺伝学の分野で日常的な技法を使用して産生され得る。
a.発現系
本発明の変異ポリペプチドをコードする核酸の高レベル発現を得るために、典型的には、変異ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、翻訳を指向する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、及び翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有する発現ベクターにサブクローニングする。好適な細菌プロモーターは当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrook and Russell、上記及びAusubel et al.、上記に記載されている。野生型または変異ポリペプチドを発現するための細菌発現系は、例えば、E.coli、Bacillus sp.、Salmonella、及びCaulobacterにおいて利用可能である。そのような発現系のためのキットは、市販されている。哺乳類細胞、酵母、及び昆虫細胞のための真核生物発現系は、当該技術分野で周知であり、また市販されている。一実施形態では、真核生物発現ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ関連ベクター、またはレトロウイルスベクターである。
異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターは、特定の用途に依存する。プロモーターは、任意選択で、その自然な設定における転写開始部位からと同じように、異種転写開始部位からほぼ同じ距離に配置される。しかしながら、当該技術分野で既知のように、この距離のある程度の変化は、プロモーター機能を失うことなく適合させることができる。
プロモーターに加えて、発現ベクターは、典型的には、宿主細胞における変異ポリペプチドの発現に必要なすべての追加要素を含有する転写単位または発現カセットを含む。したがって、典型的な発現カセットは、変異ポリペプチド、ならびに転写産物、リボソーム結合部位、及び翻訳終結の効率的なポリアデニル化に必要なシグナルをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターを含有する。ポリペプチドをコードする核酸配列は、典型的には、形質転換された細胞によるポリペプチドの分泌を促進するために切断可能なシグナルペプチド配列に連結される。そのようなシグナルペプチドには、とりわけ、組織プラスミノーゲン活性化因子、インスリン、及びニューロン増殖因子からのシグナルペプチド、ならびにHeliothis virescensの若年性ホルモンエステラーゼが含まれる。カセットのさらなる要素は、エンハンサー、ならびにゲノムDNAが構造遺伝子として使用される場合、機能的スプライスドナー及びアクセプター部位を有するイントロンを含み得る。
プロモーター配列に加えて、発現カセットは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域も含有するべきである。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、または異なる遺伝子から得ることができる。
遺伝子情報を細胞に輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核細胞または原核細胞において発現に使用される従来のベクターのいずれかを使用することができる。標準的な細菌発現ベクターとしては、pBR322系プラスミド、pSKF、pET23D、ならびにGST及びLacZなどの融合発現系などのプラスミドが挙げられる。また、エピトープタグを組換えタンパク質に付加して、便宜的な単離方法、例えば、c-mycを提供することもできる。
真核生物ウイルスからの調節エレメントを含有する発現ベクターは、典型的には、真核生物発現ベクター、例えば、SV40ベクター、乳頭腫ウイルスベクター、及びエプスタイン・バーウイルス由来のベクターにおいて使用される。他の例示的な真核生物ベクターとしては、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウイルスpDSVE、及びSV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞における発現に有効であることが示される他のプロモーターの指向下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが挙げられる。
いくつかの例示的な実施形態では、発現ベクターは、参照により本明細書に組み込まれる、2004年4月9日に出願された共同所有の米国特許出願に開示されるpCWin1、pCWin2、pCWin2/MBP、pCWin2-MBP-SBD(pMS39)、及びpCWin2-MBP-MCS-SBD(pMXS39)から選択される。
いくつかの発現系は、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、及びジヒドロ葉酸還元酵素などの遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。あるいは、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指向下で変異ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を有する、昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクターなどの遺伝子増幅を伴わない高収率発現系も好適である。
発現ベクターに典型的に含まれる要素は、E.coliにおいて機能するレプリコン、組換えプラスミドを保有する細菌の選択を可能にする抗生物質耐性をコードする遺伝子、及び真核生物配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域における独特の制限部位も含む。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は重要ではなく、当該技術分野で知られている多くの耐性遺伝子のいずれも好適である。
原核生物配列は、必要に応じて、真核細胞内のDNAの複製に干渉しないように、任意選択で選択される。
組換えタンパク質(例えば、本発明のhgh変異体)のペリプラズマ発現が所望される場合、発現ベクターは、発現されるタンパク質のコード配列の5’に直接接続される、E.coli OppA(ペリプラズマオリゴペプチド結合タンパク質)分泌シグナルまたはその修飾型などの分泌シグナルをコードする配列をさらに含む。このシグナル配列は、細胞質において産生される組換えタンパク質を細胞膜を介して細胞質周辺腔に指向する。発現ベクターは、組換えタンパク質が細胞質周辺腔に入っているときにシグナル配列を酵素的に切断することができる、シグナルペプチダーゼ1のコード配列をさらに含んでもよい。組換えタンパク質のペリプラズム産生のためのより詳細な説明は、例えば、Gray et al.,Gene 39:247-254(1985)、米国特許第6,160,089号及び同第6,436,674号に見出すことができる。
上に論じられるように、当業者は、ポリペプチドの生物学的活性を依然として保持しながら、任意の野生型もしくは変異ポリペプチドまたはそのコード配列に対して様々な保存的置換が行われ得ることを認識するであろう。さらに、ポリヌクレオチドコード配列の修飾は、結果として生じるアミノ酸配列を変更することなく、特定の発現宿主における好ましいコドン使用に適合するようにも行われ得る。
b.トランスフェクション方法
標準的なトランスフェクション方法を使用して、大量の変異ポリペプチドを発現する細菌、哺乳類、酵母、または昆虫細胞株を産生し、次いで標準的な技法を使用して精製する(例えば、Colley et al.,J.Biol.Chem.264:17619-17622(1989)、Guide to Protein Purification,in Methods in Enzymology,vol.182(Deutscher,ed.,1990)を参照されたい)。真核細胞及び原核細胞の形質転換は、標準的な技法により行われる(例えば、Morrison,J.Bact.132:349-351(1977)、Clark-Curtiss &Curtiss,Methods in Enzymology 101:347-362(Wu et al.,eds,1983)を参照されたい)。
宿主細胞に外来ヌクレオチド配列を導入するための周知の手順のいずれかを使用することができる。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、細胞質ベクター、ウイルスベクター、ならびにクローニングしたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、または他の外来の遺伝子材料を宿主細胞に導入するための他の周知の方法のいずれかの使用が含まれる(例えば、Sambrook and Russell、上記を参照されたい)。使用される特定の遺伝子操作手順が、変異ポリペプチドを発現することができる宿主細胞に少なくとも1つの遺伝子を良好に導入することができることのみが必要である。
c.宿主細胞における変異ポリペプチドの発現の検出
発現ベクターを適切な宿主細胞に導入した後、トランスフェクトされた細胞を、変異ポリペプチドの発現を好む条件下で培養する。次いで、細胞を組換えポリペプチドの発現についてスクリーニングし、その後、標準的な技法を使用して培養物から回収する(例えば、Scopes,Protein Purification: Principles and Practice(1982)、米国特許第4,673,641号、Ausubel et al.、上記、及びSambrook and Russell、上記を参照されたい)。
遺伝子発現をスクリーニングするためのいくつかの一般的な方法は、当業者の間で周知である。最初に、遺伝子発現は、核酸レベルで検出され得る。核酸ハイブリダイゼーション技法を使用した、様々な特異的DNA及びRNAの測定方法が一般的に使用される(例えば、Sambrook and Russell、上記)。いくつかの方法は、電気泳動分離(例えば、DNAを検出するためのサザンブロット及びRNAを検出するためのノーザンブロット)を伴うが、DNAまたはRNAの検出は、電気泳動なしでも(例えば、ドットブロットなどによって)行うことができる。トランスフェクトされた細胞における変異ポリペプチドをコードする核酸の存在は、配列特異的プライマーを使用して、PCRまたはRT-PCRによって検出することもできる。
第2に、遺伝子発現は、ポリペプチドレベルで検出され得る。様々な免疫学的アッセイが、特に、本発明の変異ポリペプチドと特異的に反応するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用して、遺伝子産物のレベルを測定するために当業者によって日常的に使用される(例えば、Harlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Chapter 14,Cold Spring Harbor,1988、Kohler and Milstein,Nature,256:495-497(1975))。そのような技法は、変異ポリペプチドまたはその抗原部分に対して高い特異性を有する抗体を選択することによる抗体調製を必要とする。ポリクローナル及びモノクローナル抗体を産生する方法は十分に確立されており、それらの説明は、文献に見出すことができる。例えば、Harlow and Lane、上記、Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol.,6:511-519(1976)を参照されたい。本発明の変異ポリペプチドに対する抗体の調製、及び変異ポリペプチドを検出する免疫学的アッセイの実施のより詳細な説明は、後のセクションに提供される。
X.組換え産生された変異ポリペプチドの精製
トランスフェクトされた宿主細胞における組換え変異ポリペプチドの発現が確認されたら、次いで、宿主細胞は、組換えポリペプチドを精製する目的のために適切なスケールで培養される。
a.細菌からの精製
本発明の変異ポリペプチドが、形質転換された細菌によって大量に、典型的にはプロモーター誘導後に組換えにより産生される場合、発現は構成的であり得るが、タンパク質は、不溶性凝集体を形成し得る。タンパク質包含体の精製に好適ないくつかのプロトコルが存在する。例えば、凝集タンパク質(以下、包含体と称される)の精製は、典型的には、細菌細胞の破壊による、例えば、約100~150μg/mlのリゾチーム及び0.1% Nonidet P40、非イオン性洗剤の緩衝液中でのインキュベーションによる、包含体の抽出、分離、及び/または精製を伴う。細胞懸濁液は、ポリトロン粉砕機(Brinkman Instruments,Westbury,NY)を使用して粉砕することができる。あるいは、細胞を氷上で超音波処理することができる。細菌の溶解の代替方法は、Ausubelら及びSambrook and Russell(いずれも
上記)に記載されており、当業者には明らかであろう。
細菌包含体から組換えポリペプチドを精製するさらなる説明については、例えば、Patra et al.,Protein Expression and Purification 18:182-190(2000)を参照されたい。
上清中に存在する組換えタンパク質は、当業者に周知の標準的な分離技法によって宿主タンパク質から分離され得る。
b.変異ポリペプチド発現の検出のためのイムノアッセイ
組換え変異ポリペプチドの産生を確認するために、免疫学的アッセイは、試料中でポリペプチドの発現を検出するのに有用であり得る。免疫学的アッセイはまた、組換えホルモンの発現レベルを定量化するために有用である。変異ポリペプチドに対する抗体は、これらの免疫学的アッセイを行うために必要である。
c.変異ポリペプチドに対する抗体の産生
目的の免疫原と特異的に反応するポリクローナル及びモノクローナル抗体の産生方法は、当業者に既知である(例えば、Coligan,Current Protocols in Immunology Wiley/Greene,NY,1991,Harlow and Lane,Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press,NY,1989,Stites et al.(eds.)Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications,Los Altos,CA、及びその中で引用されている参考文献、Goding,Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed.)Academic Press,New York,NY,1986、ならびにKohler and Milstein Nature 256:495-497,1975を参照されたい)。そのような技法には、ファージまたは同様のベクターにおける組換え抗体のライブラリからの抗体の選択による抗体調製が含まれる(Huse et al.,Science 246:1275-1281,1989及びWard et al.,Nature 341:544-546,1989を参照されたい)。
所望の特異性を有する抗血清含有抗体を産生するために、目的のポリペプチド(例えば、本発明の変異ポリペプチド)またはその抗原断片を使用して、好適な動物、例えば、マウス、ウサギ、または霊長類を免疫化することができる。フロイントのアジュバントなどの標準的なアジュバントは、標準的な免疫プロトコルに従って使用することができる。あるいは、その特定のポリペプチドに由来する合成抗原ペプチドを担体タンパク質にコンジュゲートさせ、その後免疫原として使用することができる。
免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、試験出血を採取し、目的の抗原に対する反応性の力価を決定することによって監視される。抗原に対する抗体の適切に高い力価が得られる場合、動物から血液を収集し、抗血清を調製する。抗原に特異的に反応する抗体を濃縮するための抗血清のさらなる分画及び抗体の精製は、その後行われる。上記のHarlow and Lane、ならびに上に提供されるタンパク質精製の一般的な説明を参照されたい。
当業者に知られている様々な技法を使用して、モノクローナル抗体が得られる。典型的には、所望の抗原で免疫化された動物からの脾臓細胞は、通常、骨髄腫細胞との融合によって不死化される(Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol.6:511-519,1976を参照されたい)。代替的な不死化方法としては、例えば、エプスタイン・バーウイルス、がん遺伝子、もしくはレトロウイルス、または当該技術分野で周知の他の方法を用いた形質転換が挙げられる。単一の不死化細胞から生じるコロニーは、抗原に対する所望の特異性及び親和性の抗体の産生についてスクリーニングされ、そのような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収率は、脊椎動物宿主の腹腔への注射を含む様々な技法によって増強され得る。
加えて、モノクローナル抗体はまた、Huse et al.、上記によって概説される一般的なプロトコルに従ってヒトB細胞cDNAライブラリをスクリーニングすることによって、所望の特異性を有する抗体またはそのような抗体の結合断片をコードする核酸配列の特定時に組換えにより産生されてもよい。上に論じられる組換えポリペプチド産生の一般的な原理及び方法は、組換え方法による抗体産生に適用可能である。
所望される場合、本発明の変異ポリペプチドを特異的に認識することができる抗体を、野生型ポリペプチドに対するそれらの交差反応性について試験することができ、したがって、野生型タンパク質に対する抗体と区別することができる。例えば、変異ポリペプチドで免疫化された動物から得られた抗血清を、野生型ポリペプチドが固定化されたカラムに通すことができる。カラムを通過する抗血清の部分は、野生型ポリペプチドではなく変異ポリペプチドのみを認識する。同様に、変異ポリペプチドに対するモノクローナル抗体は、野生型ポリペプチドではなく、変異体のみを認識する際のそれらの排他性についてスクリーニングすることもできる。
本発明の変異ポリペプチドのみを特異的に認識するが野生型ポリペプチドを認識しないポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、例えば、固体支持体上に固定化された変異ペプチド特異的ポリクローナルまたはモノクローナル抗体と共に試料をインキュベートすることによって、野生型タンパク質から変異タンパク質を単離するのに有用である。
XI.治療及び診断方法
様々な実施形態では、本発明は、FGF1バリアントポリペプチド及びHGFバリアントポリペプチドの併用療法を施すことによって、Met及び/またはFGFRを阻害することによって治療することができる、疾患状態を予防する、回復させる、または治療する方法を提供する。これらの実施形態では、本発明は、疾患状態の予防、回復、または治療を必要とする対象において、それを予防する、回復させる、または治療するのに十分な量の本発明のFGF1バリアントポリペプチド及びHGFバリアントポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。例示的な疾患状態は、がんである。開示されるアゴニストバリアントは、細胞増殖の促進、特に血管新生、ならびに心血管、肝臓、筋骨格、及び神経細胞疾患の治療に有用であり得る。
いくつかの実施形態では、FGF1バリアントポリペプチドとHGFバリアントポリペプチドとの併用療法は、(1)遷延性角膜上皮欠損(PCED)、及び(2)角膜血管新生の治療、予防、及び/または阻害のために使用される。いくつかの実施形態では、PCEDは、眼の非治癒性潰瘍で、足の非治癒性(例えば、糖尿病性)潰瘍に等しい。いくつかの実施形態では、PCEDは、上皮治癒及び欠損閉鎖のプロセスが遅延し、潰瘍、感染、瘢痕、穿孔、及び視力低下をもたらし得る角膜上皮欠損をもたらす場合に生じる。いくつかの実施形態では、PCEDは、損傷、以前の眼の手術、感染(例えば、以前のヘルペス感染または重度の細菌性潰瘍)、または眼の疾患(重度のドライアイ疾患、糖尿病、眼瞼病理に起因する慢性露出、及び造血幹細胞移植後の眼移植片対宿主病などの基礎状態を含む)から生じ得る。いくつかの実施形態では、FGF1バリアントポリペプチドとHGFバリアントポリペプチドとの併用療法は、損傷、以前の眼の手術、感染(例えば、以前のヘルペス感染または重度の細菌性潰瘍)、または眼の疾患(重度のドライアイ疾患、糖尿病、眼瞼病理に起因する慢性露出、及び造血幹細胞移植後の眼移植片対宿主病などの基礎状態を含む)の治療、予防、及び/または阻害のために使用される。
例えば、成人において、HGF-Met経路は、傷害後の筋肉再生に関与する。したがって、開示されるバリアントは、例えば、梗塞後の心臓組織再生を含む、筋肉損傷の修復に利用され得る。
開示されるバリアントを使用して、例えば、ウイルス感染(肝炎ウイルス、例えば、HAV、HBV、またはHCVによる感染によるものなど)、または他の急性ウイルス性肝炎、自己免疫性慢性肝炎、妊娠の急性脂肪肝、バッド・キアリ症候群、及び静脈閉塞症、高熱、低酸素、悪性浸潤、ライ症候群、敗血症、ウィルソン病、ならびに移植拒絶を含む状態によって引き起こされる肝不全または疾患を治療または予防することができる。
開示されるバリアントを使用して、キノコ中毒(例えば、Amanita phalloides)、ヒ素、四塩化炭素(または他の塩化炭化水素)、銅、エタノール、鉄、メトトレキサート、及びリンから選択される毒素を含む、毒素によって誘導される急性肝不全または疾患を治療または予防することができる。本発明のポリペプチドの特定の使用は、N-アセチル-p-アミノフェノール(商業的にパラセタモールまたはアセトアミノフェンとして知られる)による中毒によって引き起こされる肝損傷の治療または予防にある。
さらに、開示されるバリアントは、腎不全後の治療において有用であり得、腎臓の維持及び再生を支持する。
本発明のポリペプチドバリアントは、HGFの活性を中和するため、様々な治療用途に使用され得る。例えば、本発明のある特定のポリペプチドバリアントは、過剰増殖性疾患または障害、例えば、様々な形態のがんの予防または治療において有用である。
例示的な実施形態では、本発明は、がんの治療を必要とする対象において、それを治療する方法を提供する。本方法は、治療有効量の本発明のポリペプチドバリアントを対象に投与することを含む。
本発明のポリペプチドバリアントを使用して、例えば、様々な眼障害、肺癌、乳癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、卵巣癌、多発性骨髄腫、肝臓癌、胃癌、食道癌、腎臓癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、中皮腫、黒色腫、及び神経膠芽腫におけるFGF応答性腫瘍細胞を含む、様々なFGF応答性障害を治療することができることが企図される。
例示的な実施形態では、がんは、癌腫、例えば、結腸直腸、扁平上皮細胞、肝細胞、腎臓、乳房、または肺である。
ポリペプチドバリアントを使用して、腫瘍細胞の増殖を阻害または低減することができる。このようなアプローチでは、腫瘍細胞の増殖を阻害または減少させるために、腫瘍細胞は、治療有効量のポリペプチドバリアントに曝露される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドバリアントは、腫瘍細胞の増殖を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%阻害する。
ある特定の実施形態では、ポリペプチドバリアントは、腫瘍細胞の増殖を阻害または低減するために使用され、バリアントは、FGF1がFGFRに結合する能力を低下させる。ある特定の実施形態では、FGF1ポリペプチドバリアントは、創傷治癒を阻害または促進するために使用される。
加えて、ポリペプチドバリアントは、哺乳動物における腫瘍増殖または発達を阻害するか、または緩徐させるために使用され得る。そのような方法では、有効量のポリペプチドバリアントは、哺乳動物における腫瘍増殖を阻害するか、または緩徐させるために哺乳動物に投与される。したがって、ポリペプチドバリアントを使用して、例えば、哺乳動物における腫瘍を治療することができる。本方法は、治療有効量のポリペプチドバリアントを哺乳動物に投与することを含む。ポリペプチドバリアントは、腫瘍を治療するために、単独で、または別の薬学的に活性な分子と組み合わせて投与することができる。
一般に、治療有効量のポリペプチドバリアントは、約0.1mg/kg~約100mg/kg、任意選択で約1mg/kg~約100mg/kg、任意選択で約1mg/kg~10mg/kgの範囲である。投与量は、治療される疾患または適応症の種類及び程度、特定の患者の全体的な健康状態、送達されるポリペプチドバリアントの相対的な生物学的有効性、ポリペプチドバリアントの製剤化、製剤中の賦形剤の存在及び種類、ならびに投与経路などの変数に依存する。投与される初期投薬量は、所望の血液レベルまたは組織レベルを迅速に達成するために、上位レベルを超えて増加され得るか、または初期投薬量は、最適投薬量よりも小さくてもよく、1日の投薬量は、特定の状況に応じて、治療過程中に漸進的に増加されてもよい。ヒト投薬量は、例えば、0.5mg/kg~20mg/kgを実行するように設計された従来の第I相用量漸増試験で最適化され得る。投与頻度は、投与経路、投薬量、及び治療される疾患状態などの要因に応じて変動し得る。例示的な投薬頻度は、1日1回、週に1回、及び2週間に1回である。好ましい投与経路は、非経口、例えば、静脈内注入である。タンパク質に基づく薬物の製剤化は、当業者の範囲内である。本発明のいくつかの実施形態では、ポリペプチドバリアント、例えば、タンパク質に基づくバリアントは、凍結乾燥され、投与時に緩衝生理食塩水中で再構成される。
ポリペプチドバリアントは、単独で、または他の薬学的に活性な成分と組み合わせたいずれかで投与することができる。他の活性成分、例えば、免疫調節剤は、ポリペプチドバリアントと一緒に投与され得るか、またはポリペプチドバリアントの前または後に投与され得る。
治療的使用のためのポリペプチドバリアントを含有する製剤は、典型的には、薬学的に許容される担体と組み合わせたポリペプチドバリアントを含む。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」とは、妥当な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適である緩衝液、担体、及び賦形剤を意味する。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合し、レシピエントに有害ではないという意味で「許容」されなければならない。薬学的に許容される担体は、この点において、薬学的投与と適合する任意及びすべての緩衝液、溶媒、分散媒体、コーティング、等張剤及び吸収遅延剤等を含むことが意図される。薬学的に活性な物質のためのそのような培地及び薬剤の使用は、当該技術分野で既知である。
製剤は、便宜的に、投薬単位形態で提示することができ、薬学分野において周知の方法のうちのいずれも含む、任意の好適な方法によって調製することができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.(Mack Publishing Company,1990)。
例示的な実施形態では、ポリペプチドバリアントは、インビトロまたはインビボのいずれかで診断目的のために使用され、ポリペプチドバリアントは、典型的には、検出可能な部分で直接または間接のいずれかで標識される。検出可能な部分は、直接的または間接的のいずれかで検出可能なシグナルを産生することができる任意の部分であり得る。例えば、検出可能な部分は、3H、14C、32P、35S、または125Iなどの放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、Cy5.5(GE Healthcare)、Alexa Fluro(登録商標)色素(Invitrogen)、IRDye(登録商標)赤外線色素(LI-COR(登録商標)Biosciences)、ローダミン、もしくはルシフェリンなどの蛍光もしくは化学発光化合物、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素、スピン標識などのスピンプローブ、または着色粒子、例えばラテックスもしくは金粒子であり得る。ポリペプチドバリアントは、例えば、Hunter et al.(1962) Nature 144:945、David et al.(1974) Biochemistry 13:1014、Pain et al.(1981) J.Immunol Meth 40:219、及びNygren(1982) J.Histochem and Cytochem.30:407に記載されるように、当該技術分野で既知のいくつかのアプローチを使用して検出可能な部分にコンジュゲートされ得ることが理解される。標識は、例えば、視覚的に、または分光光度計もしくは他の検出器もしくは他の適切な撮像システムの補助により検出され得る。
ポリペプチドバリアントは、当該技術分野で利用可能な広範なイムノアッセイ技法において用いることができる。例示的なイムノアッセイとしては、例えば、サンドイッチイムノアッセイ、競合イムノアッセイ、免疫組織化学的手順が挙げられる。
サンドイッチイムノアッセイでは、目的の分析物または抗原に結合する2つの抗体、例えば、1つは、固体支持体上に固定化され、1つは、溶液中で遊離であり、検出可能な部分で標識される抗体が使用される。抗原を含有する試料がこの系に導入されると、抗原は固定化された抗体及び標識された抗体の両方に結合し、支持体の表面上に「サンドイッチ」免疫複合体を形成する。複合体化タンパク質は、非結合試料構成要素及び過剰な標識された抗体を洗い流し、支持体表面上のタンパク質に複合体化された標識された抗体の量を測定することによって検出される。あるいは、溶液中で遊離である抗体は、遊離抗体に結合する検出可能な部分で標識された第3の抗体によって検出され得る。免疫学的アッセイ設計、理論及びプロトコルの詳細な概説は、Butt,ed.,(1984) Practical Immunology,Marcel Dekker,New York、Harlow et al.eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Approach,Cold Spring Harbor Laboratory、及びDiamandis et al.,eds.(1996)Immunoassay,Academic Press,Bostonを含む、多くのテキストに見出すことができる。
標識されたポリペプチドバリアントがインビ造影剤として有用であることが企図され、それによって、ポリペプチドバリアントは、造影剤をレシピエントにおける目的の特定の組織に標的化することができる。インビボ撮像のための遠隔で検出可能な部分は、放射性原子99mTc、半減期が約6時間であるガンマ放射体を含む。放射性核種診断剤の非限定的な例としては、例えば、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、32P、11C、13N、15O、186Re、188Re、51Mn、52mMn、55Co、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、または他のγ-、β-、または陽電子放射体が挙げられる。
インビボ撮像にも有用な非放射性部分には、窒素酸化物スピン標識、ならびにランタニド及び遷移金属イオンが含まれ、これらはすべて、インサイチュで陽子緩和を誘導する。撮像に加えて、複合体化放射性部分は、標的細胞を破壊するために、標準的な放射線免疫療法プロトコルで使用され得る。
フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリセリン(phycoerytherin)、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、及びフルオレスカミンを含むが、これらに限定されない、多種多様な蛍光標識が当該技術分野で既知である。有用な化学発光標識としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、またはシュウ酸エステルが挙げることができる。
開示されるポリペプチドバリアントはまた、インビボでの検出を可能にするために、蛍光マーカーで標識されてもよい。いくつかの実施形態では、蛍光標識はCy5.5(GE Healthcare)である。他の実施形態では、蛍光標識は、Alexa Fluro(登録商標)色素(Invitrogen)である。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、IRDye(登録商標)赤外線色素(LI-COR(登録商標)Biosciences)である。
高用量放射線療法のための例示的なヌクレオチドには、放射性原子90Yt、131I、及び111Inが含まれる。ポリペプチドバリアントは、画像技術分野において既知のカップリング技法を使用して、131I、111In、及び99mTCで標識することができる。同様に、造影剤を調製及び投与するための手順、ならびに画像を捕捉及び処理するための手順は、画像技術分野で周知であるため、本明細書では詳細に論じない。同様に、抗体に基づく免疫療法を行うための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,534,254号を参照されたい。
実施例1.タンパク質分解的に安定した増殖因子を操作するためのハイスループットスクリーニング方法
摘要
増殖因子は、再生医療及びがん治療のための治療分子として開発される可能性が大きい重要な調節タンパク質のクラスである。しかしながら、治療分子としての増殖因子の活性及び有効性は、それらの熱的及びタンパク質分解安定性が低いため大きく制限される。増加した熱的安定性を有する増殖因子を操作するための多くの方法が開発されているが、増加したタンパク質分解安定性を有する増殖因子を操作することに重点を置き、そのための方法の開発が欠如している。プラスミン、エラスターゼ、uPA、カテプシン、及びMMPなどのプロテアーゼは、細胞外マトリックス分解及びシグナル伝達において、特に創傷治癒及び腫瘍形成において重要な役割を果たす。これらのプロテアーゼは、通常、増殖因子も分解することが報告されている。この研究では、増加したタンパク質分解安定性のために増殖因子を操作するための一般化可能な方法を記載する。酵母提示プラットフォーム及びFACSスクリーニングを、増加したタンパク質分解安定性を有する変異体を選択するための組み合わせアプローチとして利用する。この方法は、スクリーニングが野生型FGF1と文献に報告されるタンパク質分解的に安定したFGF1変異体とを区別する能力を示すことによって検証された。
序文
この実施例は、酵母提示プラットフォーム及びスクリーニングのためのフロー活性化細胞選別(FACS)を使用して、タンパク質分解的に安定した増殖因子を操作するための組み合わせアプローチを記載する。FGF1をモデル例としてスクリーニング方法を設定するプロセスが示される。FGF1の熱的及びタンパク質分解安定性は極めて低いため、そのスクリーニングが設定された14、21。最も安定性が低い野生型増殖因子は、治療薬で使用するための安定したバージョンを操作するために最も必要である。したがって、安定性が低いモデル増殖因子を選択することによって、増殖因子を操作する方法の有用性を示すことが重要であった。この実施例では、スクリーニングのための選択圧として血清またはいくつかの異なるプロテアーゼの使用を探索した。最後に、スクリーンが異なるタンパク質分解安定性のFGFバリアントを区別する能力を検証した。実施例2では、タンパク質分解的に安定したFGF1変異体の操作及び特徴付けによる組み合わせスクリーニングの能力が示される。
結果
タンパク質分解的に安定したタンパク質を操作するためのコンビナトリアルスクリーニング方法のワークフロー
高親和性バインダーを操作するために一般的に使用される酵母提示プラットフォームは、より大きなタンパク質分解安定性を有するタンパク質を操作するためにも利用される(図1)。単一の増殖因子バリアントの数千のコピーが、テザー融合物として酵母の表面上に提示される。血球凝集素(HA)タグは、増殖因子の上流で発現される一方で、c-mycタグは、増殖因子の下流で発現される。細胞は、酵母提示増殖因子に結合することができる、対応する受容体の可溶性Fc融合物と共にインキュベートされ得る。
酵母提示プラットフォームは、より高いタンパク質分解安定性を有する増殖因子を操作するために、フロー活性化細胞選別(FACS)と組み合わされる(図2)。増殖因子変異体のライブラリは、ランダム変異誘発、指向性変異誘発、またはDNAシャッフルによって生成される。酵母細胞のライブラリは、目的のプロテアーゼと共にインキュベートされ、その間に、酵母表面提示タンパク質の切断が生じる。より大きなタンパク質分解安定性を有する増殖因子変異体は、酵母細胞表面上の切断に対してより耐性がある。プロテアーゼインキュベーションの後、細胞を洗浄し、保持された受容体結合親和性を有する適切に折り畳まれた増殖因子変異体に結合する機能性受容体の可溶性Fc融合物と共にインキュベートする。FACSを使用して、適切に折り畳まれた未切断の増殖因子変異体について選別し、これらを拡張し、次回の選別のために誘導する。
Fcドメイン、c-mycドメイン、及びHAタグに対する蛍光抗体マーカーを使用して、受容体結合、増殖因子特異的切断、及び非特異的切断を測定する(表2.1)。結合したFc融合受容体の検出は、増殖因子における変異が受容体に対する結合親和性を著しく低下させないか、または不適切なタンパク質折り畳みをもたらさないことを確実にすることが重要である。増殖因子特異的切断は、増殖因子のタンパク質分解安定性の直接的尺度である。切断された増殖因子はC末端c-mycタグを除去するため、それはc-mycシグナルによって検出される。非特異的切断は、プロテアーゼが酵母表面提示タンパク質Aga1p及びAga2p内で切断されるときに生じる。非特異的切断中、3つすべてのマーカーの蛍光シグナルが減少する。増殖因子切断及び結合活性を検出するためのダイナミックレンジが減少するため、これは望ましくない。したがって、目的のプロテアーゼによる非特異的切断が最小限であることを確実にするために、HAシグナルが使用される。
FGF1の酵母提示
FGF1が、タンパク質分解安定性スクリーニングの設定を示すためのモデルとして選択された。野生型FGF1をpCTベクターにクローニングし、Aga2p交配タンパク質への融合物としてS.cerevisiae酵母細胞の表面上に発現させた(図3A)。酵母細胞表面上でのFGF1の良好な発現は、タンパク質のC末端上のc-mycタグの検出によって確認された(図3B)。最後に、酵母提示FGFの適切な折り畳みは、FGFR1-Fcに対する特異的結合活性を測定することによって確認した(図3C)。
タンパク質分解的に安定したFGF1を操作するためのプロテアーゼの選択
FGF1のタンパク質分解安定性スクリーニングを開発するための血清、トリプシン、キモトリプシン、及びプラスミンの使用を試験した。これらのプロテアーゼは、FGF1に対するそれらの科学的及び生物学的関連性に基づいて選択された。スクリーニングに対するプロテアーゼの適合性は、酵母提示タンパク質の最小限の非特異的切断で、合理的な速度で増殖因子を切断するその能力によって決定された。
我々は、最初に、体内の増殖因子が遭遇する可能性がある多数のプロテアーゼからなる天然血液生成物である血清を使用してスクリーニングを開発しようと試みた2224。様々な濃度のウシ胎仔血清(FBS)と共にFGF1変異体のライブラリをインキュベートして、FGF1切断及びFGFR1-Fc結合シグナルの減少を観察することができるかどうかを確かめた(図4)。FBSの濃度が100%に増加した場合でも、FGF1切断シグナル(α-c-myc)及びFGFR1-Fc結合シグナルの最小限の減少しか観察されなかったことが分かった。したがって、血清は、タンパク質分解安定性が低い酵母提示FGF1変異体を切断するのに十分にストリンジェントな選択圧を提供しなかったと結論付けた。
次に、タンパク質のタンパク質分解安定性を測定及び報告するために一般的に使用される2つのプロテアーゼ、トリプシン及びキモトリプシンを使用してスクリーニングの開発を試験した。我々は、様々な濃度のトリプシン(図5)及びキモトリプシン(図6)と共に酵母提示野生型FGF1をインキュベートし、次いでタンパク質切断(α-c-myc)及びFGFR1-Fcへの結合の程度を測定した。トリプシン及びキモトリプシンの両方が、観察されたタンパク質切断及びFGFR1-Fcへの結合の程度に濃度依存的効果を有したことが分かった。次に、観察されたタンパク質切断が非特異的切断(α-HA)またはFGF1特異的切断(α-c-myc)に起因するかどうかを決定した。より高いトリプシン濃度とのインキュベーション時にHAシグナルが有意に減少したことが分かり、観察されたトリプシンによるタンパク質切断の多くが非特異的切断に起因することを示した(図7)。したがって、トリプシンをタンパク質分解安定性スクリーニングに使用することはできないと結論付けた。c-mycシグナルのみが減少する一方で、HAシグナルがより高いキモトリプシン濃度とのインキュベーションによって比較的影響を受けなかったことが分かり、キモトリプシンによるタンパク質切断が主にFGF1内の切断に起因することを示した(図8)。したがって、キモトリプシンは、タンパク質分解安定性スクリーニングで使用するための合理的な候補であると結論付けた。
最後に、細胞外マトリックスタンパク質を分解し、FGF1を分解することが報告されている25プロテアーゼであるプラスミンを使用したタンパク質分解安定性スクリーニングの開発を評価した。様々な濃度のプラスミンと共に酵母提示野生型FGF1をインキュベートし、酵母提示タンパク質が濃度依存的様式で切断されたことが分かった(図9)。観察された切断が非特異的ではなくFGF1特異的であることを確認するために、酵母提示FGF1の切断を、酵母提示タンパク質Aga1及びAga2、ならびにHA及びc-mycタグのみを発現する空の対照と比較した(図10)。96時間にわたるプラスミンとのインキュベーション中、酵母提示FGF1が切断されている一方で、空の対照は切断されなかったことが分かった。したがって、観察された切断はFGF1特異的であると結論付けた。
野生型FGF1とタンパク質分解的に安定したFGF1変異体を区別することによるスクリーニング方法の検証
異なるタンパク質分解安定性を有するFGFを区別するプラスミンに基づくスクリーニングの能力を試験するために、野生型(WT)FGF1を、合理的設計によって文献中で開発された熱安定化FGF1変異体(PM2)14と比較した。PM2は、トリプシンの存在下でより安定するようにZakrzewskaらによって特徴付けられた。我々は、プラスミンがトリプシンと一次配列特異性を共有するため、PM2はプラスミンによる切断に対してより耐性が高いであろうと仮定した。したがって、プラスミンを使用する機能的タンパク質分解安定性スクリーニング方法によって、WT FGF1と比較して、PM2において少ないFGF1特異的切断が観察されるだろうと予測した。
PM2またはWT FGF1を提示する酵母細胞を、様々な濃度のプラスミンと共に48時間インキュベートし、非特異的切断(抗HA)及びFGF1特異的切断(抗c-myc)について染色した(図11)。集団の明確な分離は、HAシグナルに対して比較的少ない影響との、c-mycシグナルにおける差異によって得られることが分かった。切断シグナルのこの差異は、プラスミンを使用することにより、スクリーニングがより高いタンパク質分解安定性を有する新しいFGF変異体を適切に特定し、FACSによってこれらの集団を選別することが可能となるであろうことを立証した。
考察
この実施例では、酵母提示プラットフォーム及びフロー活性化細胞選別を使用してタンパク質分解的に安定した増殖因子を操作するためのハイスループットの一般化可能なスクリーニング方法の開発を記載する。例として、非常に不安定な増殖因子であるFGF1のスクリーニングの設定が提供される。
目的の増殖因子のスクリーニングを確立する際、第1のステップは、増殖因子が酵母の表面上で発現され得、それがその受容体の可溶性型に結合することができることを確実にすることである。FGF1が、Aga2酵母提示タンパク質へのC末端融合物としてpCTベクターにおいて発現することができ、FGFR1-Fcに特異的に結合することが確認された。過去に、VEGF、EGF、及びHGFは、酵母提示によって良好に発現されている6、26、27。これは、酵母提示に基づくタンパク質分解スクリーニング方法が他の増殖因子にもより一般的に適用され得ることを示唆する。増殖因子がpCTベクターにおいて発現することができない場合、pTMYベクターを使用して、代わりにAga2へのN末端融合物として増殖因子を良好に発現させることができる。HGFの場合、pCTベクターにおいて発現させることはできなかったが、pTMYにおいて発現させることに成功した。
第2のステップは、タンパク質分解スクリーニングに使用されるプロテアーゼを決定することであった。酵母提示FGF1を操作するための血清、トリプシン、キモトリプシン、及びプラスミンの使用を試験した。ウシ胎仔血清(FBS)は、高濃度であっても選択圧が弱すぎることが分かった。プロテアーゼはFBSに見られるが、α-1-抗プロテイナーゼ及びα-1-抗キモトリプシンなどのFBSに見られるプロテアーゼ阻害剤は、それらの活性を低くし得る28。FGF1が特に不安定な増殖因子であることを考慮すると、FBSも他の増殖因子を操作するための適切な選択的タンパク質分解圧ではない可能性がある。しかしながら、新生仔ウシ血清、成体ウシ血清、またはヒト血清などの異なる組成を有する他の種類の血清が考慮され得る。文献においてタンパク質のタンパク質分解安定性を測定するために一般的に使用されるプロテアーゼであるトリプシン及びキモトリプシンの使用を試験した。これは、トリプシン及びキモトリプシンが高い活性及び低い特異性を有し、これにより、それらがある一定の分解速度でほぼすべてのタンパク質を切断することを可能にするためである可能性が高い29。しかしながら、これらの特性は、それらをタンパク質分解安定性スクリーニングで使用するためには魅力的ではない場合がある。トリプシンについて、発現(c-myc)シグナルの損失の多くは酵母提示タンパク質の非特異的切断に起因し、トリプシンを任意の増殖因子のタンパク質分解安定性スクリーニングの候補にするには不十分であることが分かった。キモトリプシンは有意なレベルの非特異的切断を示さないように思われたが、プロテアーゼは主に消化管において見出され、血流中の増殖因子に生物学的に関連する可能性は低いことに留意することが重要である。最後に、実質的にすべての組織において見出され、FGF1を分解することが示されている13、25プロテアーゼであるプラスミンの使用を試験した。プラスミンはまた、VEGFなどの他の増殖因子の分解に関与している30。酵母提示タンパク質の非特異的切断が比較的少なく、プラスミンが酵母提示FGF1を特異的に切断することができたことが分かった。試験することができたプロテアーゼに基づいて、プラスミンがスクリーニングの選択圧として使用するのに最も適切なプロテアーゼであると結論付けた。エラスターゼ、uPA、カテプシン、及びMMPなどの増殖因子に生物学的に関連する他のプロテアーゼも、記載されるように、酵母提示タンパク質の高増殖因子特異的切断及び低非特異的切断について試験することによって検証され得る。
スクリーニングの設定における最終ステップは、異なるタンパク質分解安定性を有する増殖因子変異体を区別することができるかどうかを決定することである。この任意のステップは、スクリーニングがタンパク質分解的に安定した変異体を選択する能力の信用性を提供する重要なベンチマークを提供する。FGF1について、増加した熱的及びタンパク質分解安定性を有するFGF1変異体であるPM2が酵母の表面上に提示されるときに野生型FGF1と区別され得ることを確認した。利用可能なタンパク質分解的に安定した増殖因子変異体の不在下で、プロテアーゼが酵母提示タンパク質の高増殖因子特異的切断及び低非特異的切断を示す限り、スクリーニングは依然として行うことができる。実施例2では、我々が開発した方法を使用したタンパク質分解安定性のためのFGF1の操作を報告する。
材料及び方法
酵母提示構築物のクローニング
酵母提示のために、FGF1を、ヒトFGF1 cDNA(MGCクローン:9218、画像:3896359、残基:Phe16~Asp155)からpCTベクター(制限部位:NheI、BamHI)にクローニングした。タンパク質分解的に安定したFGF1変異体PM2について、部位特異的変異誘発を使用して、変異Q40P(CAA~CCA)、S47I(TCC~ATC)、及びH93G(CAT~GGT)をFGF1に作製した。
酵母提示FGF1の結合アッセイ
50,000個の誘導した酵母細胞を、室温で、1g/LのBSA(PBSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水中で、様々な濃度のヒトFGFR1ベータ(IIIc)-Fc(R&D Systems)と共にインキュベートした。リガンド枯渇を回避するために十分な量で、及び平衡に到達するのに十分に長い時間(典型的には3~24時間)、細胞をインキュベートした。インキュベーションの最後の30分間、酵母細胞を、PBSA中1:2500希釈のニワトリ抗c-Myc (Invitrogen)と共にインキュベートした。酵母をペレット化し、洗浄し、次いで、1:200希釈の二次抗体:抗ヒトIgG-FITC(Sigma Aldrich)及び抗c-mycに対する抗ニワトリ-IgY-PE(Santa Cruz Biotechnology)と共に10分間氷上でインキュベートした。EMD Millipore Guava EasyCyteを使用したフローサイトメトリーによる分析の直前に、酵母を洗浄し、ペレット化し、PBSAに再懸濁した。フローサイトメトリーデータを、FlowJo(v7.6.1)を使用して分析した。結合曲線をプロットし、GraphPad Prism 6を使用してKd値を得た。
スクリーニングのためのタンパク質分解安定性アッセイ
ウシ胎仔血清(Gibco)、ウシ膵臓からのトリプシン(Sigma Aldrich)、ウシ膵臓からのキモトリプシンVII型(Sigma Aldrich)、またはヒト血漿からのプラスミン(Sigma Aldrich)を、インキュベーションのためのプロテアーゼまたはプロテアーゼミックスとして使用した。ウシ胎仔血清を、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)に希釈した。トリプシン及びキモトリプシンをトリプシン緩衝液(100mMのTris-HCl(pH8)、1mMのCaCl2、1%BSA)に希釈した。プラスミンをプラスミン緩衝液(100mMのTris-HCl、0.01%BSA、pH8.5)に希釈した。
100万個の誘導した酵母細胞を、適切な緩衝液中の様々な濃度のプロテアーゼと共にインキュベートした。インキュベーションの最後に、細胞をPBSA(PBS+0.1%BSA)で1回洗浄し、緩衝プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma Aldrich)に再懸濁して、残留プロテアーゼ活性をクエンチした。5分後、細胞をPBSAでもう一度洗浄した。FGFR結合活性を測定した実験のみについて、細胞を、pBSA中10nMのヒトFGFR1ベータ(IIIc)-Fc(R&D Systems)中で1時間インキュベートした。最終洗浄後、適切な蛍光抗体と共に細胞をインキュベートした。
FGFR1結合活性及びc-mycシグナルを測定する実験について、細胞を、PBSA中1:2000希釈のニワトリ抗c-Myc(Invitrogen)と共に30分間インキュベートした。次いで、細胞を、二次抗体:抗ヒトIgG-FITC(Sigma Aldrich)及び抗c-mycに対する抗ニワトリ-IgY-PE(Santa Cruz Biotechnology)において、氷上で10分間インキュベートした。
HA及びc-mycシグナルを測定する実験について、細胞を、1:1000希釈の抗HAタグ(6E2)マウスmAb(Cell Signaling)及び1:2000希釈のニワトリ抗c- myc(Invitrogen)と共に30分間インキュベートした。次いで、細胞を、二次抗体:ヤギ抗マウス-PE(Invitrogen)及びヤギ抗ニワトリ-IgY-AlexaFluor488(Santa Cruz Biotechnology)において、氷上で10分間インキュベートした。
EMD Millipore Guava EasyCyteを使用したフローサイトメトリーによる分析の直前に、酵母を洗浄し、ペレット化し、PBSAに再懸濁した。フローサイトメトリーデータを、FlowJo(v7.6.1)を使用して分析した。結合曲線をプロットし、GraphPad Prism 6を使用してKd値を得た。
表6.蛍光抗体マーカーからの観察されたシグナルに対する異なる事象の影響。
Figure 2022513196000015
実施例2.タンパク質分解的安定化線維芽細胞増殖因子の操作
摘要
FGF1は、創傷治癒、組織再生、腫瘍形成、及び他の血管新生依存性疾患中の細胞分化及び血管新生の誘導において重要な役割を果たす。したがって、FGF1に基づくアゴニスト及びアンタゴニストは、細胞培養及びタンパク質治療薬のための重要な用途を有し得る。しかしながら、FGF1は、培養下でプロテアーゼに曝露されたときに分解に対する感受性を示すことが報告されている。その不十分なタンパク質分解安定性は、細胞培養において、または治療用分子として開発される場合、それらの活性及び有効性を妨げ得る。この実施例では、実施例1に記載の酵母提示に基づくスクリーニング方法を使用して、タンパク質分解安定性のためにFGF1ペプチドを操作した。タンパク質分解的に安定したFGFの選択のためのゲーティング戦略、及び特徴付けのための良好な特定候補を探索した。
序文
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、胚発達、細胞分化、細胞増殖、細胞遊走、血管新生、代謝、及び創傷治癒を含む生物学的活性を調節する重要な増殖因子ファミリーの一部である1、3135。したがって、FGFに基づく治療薬は、がん療法、創傷治癒、組織再生、及び代謝障害の治療における適用に関心がある32、36、37。多くのFGFファミリーメンバーのうち、FGF1は、FGFR1及びFGFR2を介したシグナル伝達によって内皮細胞において血管新生促進表現型を誘導することが知られている最も重要なFGFリガンドの1つとして特に関心がある38
FGF1は、機能的血管を退縮から保護し、動脈成長を誘導し、毛細血管の増殖を促進することが報告されている39、40。ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)における管形成及びマトリゲルプラグアッセイにおける血管の形成を誘導することが分かった41
創傷治癒及び組織再生のための血管新生の誘導におけるFGF1の有効性にもかかわらず、治療剤としてFGF1を利用するための努力は、ほとんど成功していない。FGF1をコードする注射可能な筋肉内プラスミドの形態の遺伝子療法が、灌流を改善し、末期下肢虚血を有する患者における切断の必要性を低減するための第I相及び第II相臨床試験において示された42、43。しかしながら、それは、重篤な肢虚血を有する患者における切断または死亡率の低減に関する第III相臨床試験において臨床的有効性を示すことができなかった44。CardioVascular BioTherapeuticsはまた、潰瘍、冠動脈疾患、及び末梢動脈疾患の治療のための組換え野生型FGF1(CVBT-141)を開発したが、臨床試験はほぼ2年間失敗し続けている45
多くの臨床用途において有効である組換えFGF1の失敗は、その不十分な安定性に部分的に起因する可能性がある。野生型FGF1は、条件培地または培養下で37℃でインキュベートすると、急速に分解され、分解半減期は約25分である14、21。創傷治癒の領域に見られる主要なプロテアーゼであるプラスミンが、FGF1及びFGF2の両方を分解し得ることが具体的に示されている25、46、47
この実施例は、実施例1に記載の開発されたスクリーニング方法を使用して、プラスミンに対する改善されたタンパク質分解安定性のためのFGF1の操作を記載する。酵母表面提示プラットフォームを使用してFGF1を操作して、遺伝子-タンパク質結合を確立した。各増殖因子のランダム変異誘発ライブラリを、FGFR1バインダーについてスクリーニングし、次いで、プロテアーゼとのインキュベーション後に切断されていないままであった変異体、及び最後に、プロテアーゼとのインキュベーション後に切断されていないままであり、FGFR1結合を保持した変異体についてスクリーニングした。各増殖因子のタンパク質分解安定性を増加させると思われるいくつかの有望な変異を特定し、実施例3に記載されるように、特徴付けのための候補を生成した。
結果
野生型FGFの酵母提示及びランダム変異誘発ライブラリの生成
適切に折り畳まれた野生型FGF1の良好な酵母提示について、以下に記載する。エラープローンPCRをヌクレオチド類似体と共に使用して、野生型FGF1内に変異をランダムに生成した。3.3×107の変異体を有するライブラリを生成した。ヌクレオチド類似体の濃度を変化させることにより、変異体当たり平均3.1の変異を生成することができた(変異率2.1%)。これは、改善されたタンパク質分解性を有する変異体を生成するのに十分に高く、FGFR1受容体に対する適切なタンパク質折り畳みまたは結合親和性を損なうであろう変異体の蓄積を回避するのに十分に低い多様性であると仮定した。
選別1: FGFR1-Fcへのバインダーの選択
第1の選別について、FGF1変異体を、FGFR1-Fcに対する結合親和性を保持したものについて選別した(図12A)。ほとんどのランダム変異は結合親和性の喪失をもたらすと仮定した。FGFR1-Fcとのインキュベーション後、高発現(α-c-myc)及び高結合シグナル(α-FGFR1-Fc)を示した細胞についてゲーティングし、収集した。FGF1ライブラリについて、非バインダーであった変異体とFGFR結合親和性を保持した変異体との間の明確な分離が観察された(図12B)。
選別2:FGF1特異的切断に対する耐性の選択
第2の選別について、選別1からの細胞を拡張し、プラスミンと共にインキュベートしたときに切断に対して耐性を維持したFGF1変異体について選別した(図13A)。有効なダイナミックレンジを得、異なるタンパク質分解安定性を有する変異体を区別するために、細胞のインキュベーションを様々な濃度及びインキュベーション期間で試験した。FGF1ライブラリについては、切断された変異体と未切断変異体の集団との間の明確な分離を達成するために、400nMのプラスミンと共に36時間インキュベートすることが必要であることが分かった(図13B)。最高レベルのプロテアーゼ耐性を示す細胞の上位1~2%を収集し(高α-c-myc)、発現レベル(α-HA)により正規化した。
スクリーニング中のペプチドアーチファクトの単離。
第2の選別のFGF1ライブラリを拡張し、HA及びc-mycシグナルを使用して、FGF1特異的切断に対する耐性のための選択にもう一回供した。36時間のインキュベーションのために200nMのプラスミンでインキュベートすると、ある細胞集団が残りのライブラリと比較してはるかに高いc-mycシグナルを示したことが明らかに観察され、プラスミンによる切断に対して酵母提示タンパク質の有意に大きな耐性を示した(図14A)。この集団を収集し、分析のために個々のクローンを配列決定した(図14B)。細胞の大部分は、細胞表面上にFGF2変異体を発現せず、代わりにランダム変異誘発中に生成された可能性がある短いペプチドアーチファクトを発現することが分かった。
これらのペプチドがFGFR1-Fcに対していかなる特異的結合も示さないことが確認され、FGF1特異的切断に対する耐性についての選別が、これらのペプチドアーチファクトを発現する非常に少数の細胞集団の急速な富化をもたらしたことを示した(図15)。したがって、すべての後続の選別について、FGFR1結合親和性を保持するための選択圧を含むように進めた。
選別3~4:プロテアーゼ耐性FGFR1-Fcバインダーの選択
残りの選別3及び4について、ライブラリを、プラスミン、その後FGFR1-Fcと共にインキュベートした後に選択した(図16)。α-HA、α-c-myc、及びα-FGFR1-Fcの異なる組み合わせを使用して、未切断のままであり、FGFR1に対する結合親和性を保持したFGF1変異体を選択した。
第3の選別のFGF1について、選別2からの細胞を拡張し、プラスミンとのインキュベーション後にFGFR1結合を保持したFGF変異体について選別した(図17)。より高い濃度のプラスミンと共に12時間のインキュベーションを行った。FGF1ライブラリの選別に1.5μMのプラスミンを最終的に使用した。高結合シグナル(α-FGFR1-Fc)及び高発現(α-HA)を示した細胞についてゲーティングし、収集した。
第4の選別のFGF1について、選別3からの細胞を拡張し、プラスミンインキュベーション時間を12時間から36時間に増加した。選別3からの細胞を、1.5μMのプラスミンまたは500nMのプラスミンのいずれかでインキュベートした。最終的に、500nMのプラスミンと共にインキュベートした細胞について選別した(図18)。切断に対する高い耐性(α-c-myc)及び高い結合シグナル(α-FGFR1-Fc)を示した細胞についてゲーティングし、収集した。選別4によって、FGF1ライブラリの完全なコンセンサスが得られ、さらなる回の選別を行うために捕捉された。
選別したFGF1変異体の配列分析
最終選別4について、個々のクローンをランダムに選択し、分析のために配列決定した。4回以内の選別で完全なコンセンサスに達することができた。変異体(BS4M1)は、2つの変異:D28N及びL131Rを含有する(図19)。アスパラギン酸28は、FGF1の6本鎖βバレル構造を閉じる3つの主要なβヘアピンのうちの最初(LPDG)の一部である。ロイシン131は、FGF1のN末端とC末端との間のβ鎖対内に見られる。
考察
この実施例では、プラスミンに対するタンパク質分解安定性のためのFGF1の操作を記載した。最初のステップとして、野生型FGF1及び野生型FGF2を良好に発現することができた。タンパク質は、FGFR1-FcまたはsFGFR3-D2D3-Fcに対する特異的結合についてのc-mycタグ試験の検出によって、良好に発現され、適切に折り畳まれることが示された。FGF1が比較的高い発現シグナルを示すことが観察され、これは、FGF1が短い半減期及び低い融解温度で不安定であると見なされることを考えると興味深い21。酵母提示発現及び分泌効率は、不安定なタンパク質のタンパク質安定性と大まかに相関することが報告されているが、これは常にそうではない48、49。したがって、この実施例は、酵母提示が操作のための不安定な野生型増殖因子の発現に対応することができたことを示した。
酵母提示によるFGF1の高発現は、FGF1ランダム変異誘発ライブラリの選別及びその後の選別中にシグナルの良好なダイナミックレンジをもたらした。FGF1の選別は、ストリンジェンシーを増加させるために、高濃度のプラスミン及び長いインキュベーション時間に供され得る。これは、切断されたFGF1変異体と非切断FGF1変異体との間の明確な分離が達成された選別2において特に有用であった。
選別1におけるFGFRバインダーを選択するために初回の選別を行ったが、切断を測定するためにHA及びc-mycシグナルのみを使用することは、選別における非FGFR結合ペプチドの急速な富化をもたらすことが分かった。わずか2回のそのような選別において、残りのライブラリからのペプチド発現集団の明確な分離が特定された。ライブラリは、野生型FGFを足場とするランダム変異誘発によって構築されたが、ランダム変異誘発プロセスにおける稀なエラーは、おそらくペプチドアーチファクトを発現する極めて少数の細胞集団をもたらした。これらのアーチファクトは、親和性成熟のためのより伝統的な酵母提示スクリーニングにあまり重要ではないであろうが、それらは、受容体結合のための選択圧なしでは急速に有意になった。したがって、結合親和性を測定するための選択圧は不可欠であり、切断活性のみに基づいて変異体を選択することによって、1回の選別が行われるべきであると結論付けられた。
スクリーニングプロセスを通して、タンパク質分解安定性の改善に有意であり得るいくつかの富化された変異を特定した。興味深いことに、変異は、タンパク質のβループ領域またはC末端付近に見られ、タンパク質安定性を決定するための重要な領域であることが示唆される。FGF1ライブラリについては、4回以内の選別で完全なコンセンサスに達した。FGF1 BS4M1変異体は、2つの変異:D28N及びL131Rを含有する。アスパラギン酸28は、FGF1の6本鎖βバレル構造を閉じる3つの主要なβヘアピンのうちの最初(LPDG)の一部である。FGF1の安定性への寄与におけるAsx-Pro-Asx-Glyモチーフの重要性は以前に研究されており、Asx残基をアラニンで置き換えることは、FGF1を大きく不安定化させることが示されている50。しかしながら、D28Nの置換が実際にそのGibbs遊離エネルギーを約2.5kJ/mol増加させることが示され、タンパク質分解安定性が常に熱的安定性と相関するとは限らないことを示唆する。ロイシン131は、FGF1のN末端とC末端との間のβ鎖対内に見られる。このβ鎖対に隣接してβバレル構造を安定化するためのβヘアピンが存在しないため、この対のアミノ酸は、2つの鎖間の結合強度、または主鎖がβバレル構造を閉じるように位置付けられるのを立体的に好ましくすることのいずれかによってバレルを安定化するために重要であると仮定されている。実際、プロリン134のシステイン、スレオニン、またはバリンへの変異は、FGF1の安定性を-6~-8kJ/mol増加させることが示されている51
結論として、タンパク質分解安定性のスクリーニングは、文献中のFGF1タンパク質安定性に重要であると報告されている位置の変異のために良好に濃縮することができたことが示された。実施例3では、可溶性に発現したFGF1の安定性及びFGF経路を調節するリガンドの能力に対するそれらの影響について、最終的なFGF1 BS4M1変異体において特定された変異を特徴付ける。
材料及び方法
タンパク質の酵母表面提示
YPD培地は、20g/Lのデキストロース、20g/Lのペプトン、及び10g/Lの酵母抽出物からなる。選択的SD-CAA培地は、20g/Lのデキストロース、6.7g/Lのアミノ酸不含酵母ニトロゲンベース(Difco)、5g/Lのカザミノ酸(Bacto)、5.4g/LのNa2HPO4、及び8.56g/LのNaH2PO4・H2Oからなる。SD-CAAプレートは、培地と同じ構成要素を含有し、182g/Lのソルビトール及び15g/Lの寒天が加えられる。SG-CAA誘導培地はSD-CAAと同一であるが、デキストロースの代わりに20g/Lのガラクトースを含有する。酵母を増殖させ、235rpmで振盪しながら30℃で誘導した。
pCT酵母提示プラスミドをエレクトロポレーションによりSaccharomyces cerevisiae株EBY100に形質転換し、30℃で1時間、YPD中で回収した後、SD-CAAプレート上にプレーティングした。3日後、酵母コロニーをSD-CAAに一晩播種した。タンパク質の発現及び酵母提示を、確立されたプロトコル52に従って、30℃で24時間SG-CAA中で誘導した。
ライブラリ作製
酵母提示のために、FGF1を、ヒトFGF1 cDNA(MGCクローン:9218、画像:3896359、残基:Phe16~Asp155)からpCTベクター(制限部位:NheI、BamHI)にクローニングした。FGF1ランダム変異誘発ライブラリを、前述52、53のエラープローンPCRを使用して生成した。FGF1をテンプレートとして使用し、Taqポリメラーゼ(New England Biolabs)ならびにヌクレオチド類似体8-オキソ-dGTP及びdPTP(TriLink Biotech)を使用して変異を導入した。順方向及び逆方向のpCTプラスミドと50bpのオーバーラップを含有したプライマーを使用して、酵母相同組換えを介して変異遺伝子をpCTベクターに挿入することを可能にした。様々な変異頻度を有するクローンを得るために、20のPCRサイクルにわたって様々な濃度のヌクレオチド類似体(40μM、20μM、10μM、5μM、2.5μM、1.25μM)を用いて6回のPCRを行った。PCR生成物をヌクレオチド類似体の不在下で増幅し、ゲル電気泳動を使用して精製した。NheI及びBamHIを用いて、PCTプラスミドをベクターとして消化した。5μgの精製したDNA挿入物及び1μgの制限酵素消化pCTの8つの形質転換物を、エレクトロコンピテントEBY100酵母細胞にエレクトロポレーションした。形質転換された酵母細胞を、30℃で1時間、YPD中で回収し、次いで選択的SD-CAA培地中で増殖させた。各PCRからのクローンをサンプリングして、変異誘発頻度を決定した。5μM及び2.5μMのPCRからのクローンを組み合わせて、クローン当たり平均3つの変異を有する最終ライブラリを作製した。2回の継代後、細胞をSG-CAAに移し、タンパク質発現を誘導した。希釈プレーティングにより推定されるように、2×107の形質転換体のライブラリサイズを得た。
ライブラリスクリーニング
FGF1変異体を提示する誘導されたEBY100酵母細胞を、各選別について記載されるように、37℃でプラスミン消化緩衝液(100mMのTris-HCl、0.01%BSA、pH8.5)中のプラスミン、及び/または室温でPBS+0.1%BSA(PBSA)中のFGFR1-Fcと共にインキュベートした。プロテアーゼ消化ステップ後、細胞をPBSAで洗浄し、PBSA中1:100希釈のプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)と共に5分間インキュベートした後、PBSAで再度洗浄した。FGFRのインキュベーションステップ後、細胞をPBSAで洗浄した。各選別についてインキュベートした酵母細胞の数は、前の選別で収集した細胞の数の約10倍であった。細胞を、1mL当たり200万個の細胞密度の体積でインキュベートした。すべてのインキュベーションステップ後、細胞を一次及び二次抗体で染色した。一次染色について、細胞を、1:1000希釈の抗HAタグ(6E2)マウスmAb(Cell Signaling)及び/または1:2000希釈のニワトリ抗c-Myc(Invitrogen)と共に30分間適切にインキュベートした。一次染色後、細胞をPBSAで洗浄した。二次染色を10分間氷上で行った。二次染色のために、次の抗体を各選別に使用した:選別1、3、4-抗c-mycに対する抗ニワトリ-IgY-PE(Santa Cruz Biotechnology)及びFGFR1-Fcに対する抗ヒトIgG-FITC(Sigma Aldrich);選別2-ヤギ抗マウス-PE(Invitrogen)及びヤギ抗ニワトリ-IgY-AlexaFluor488(Santa Cruz Biotechnolology)。
標識した酵母細胞を、BD FACS Aria II(Stanford Shared FACS Facility)を使用して蛍光活性化細胞選別(FACS)により選別した。各選別において、各選別について設定された基準に基づいて、0.5~10%の酵母細胞を収集した。各選別で収集した細胞を、ODが5~8に達するまで、数日間SD-CAA(細菌汚染を制限するためにpH5)中で増殖させた。次回の選別の前に、クローンを、30℃で24時間、SG-CAA中で酵母提示発現のために誘導した。
配列決定及びクローニングのために、プラスミドDNAを、Zymoprep Yeast Plasmid Miniprep I Kit(Zymo Research)を使用して酵母細胞から抽出した。抽出したDNAをDH10Bエレクトロコンピテント細胞に形質転換し、プレーティングした。単一のコロニーを選択し、LB培地(Fisher Scientific)中で増殖させた。プラスミドDNAを、plasmid miniprep kit(GeneJet)を使用して単一のコロニー培養物から単離した。DNA配列決定をMCLABにより行った。
酵母提示ペプチドRTTTS及びHTTSの結合親和性アッセイ
50,000個の誘導した酵母細胞を、室温で、1g/LのBSA(PBSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水中で、様々な濃度のFGFR1-Fcと共にインキュベートした。リガンド枯渇を回避するために十分な量で、及び平衡に到達するのに十分に長い時間(典型的には3~24時間)、細胞をインキュベートした。インキュベーションの最後の30分間、酵母細胞を、PBSA中1:2500希釈のニワトリ抗c-Myc (Invitrogen)と共にインキュベートした。酵母をペレット化し、洗浄し、次いで、1:200希釈の二次抗体:FGFR1-Fcに対する抗ヒトIgG-FITC(Sigma Aldrich)及び抗c-mycに対する抗ニワトリ-IgY-PE(Santa Cruz Biotechnology)と共に氷上で10分間インキュベートした。EMD Millipore Guava EasyCyteを使用したフローサイトメトリーによる分析の直前に、酵母を洗浄し、ペレット化し、PBSAに再懸濁した。フローサイトメトリーデータを、FlowJo(v7.6.1)を使用して分析した。結合曲線をプロットし、GraphPad Prism 6を使用してKd値を得た。
実施例3.タンパク質分解的安定化線維芽細胞増殖因子の特徴付け
摘要
タンパク質分解安定性は、FGF1などの不安定な増殖因子の有効性を改善するのに重要な役割を果たし得る。研究は、FGF1が、部分的には、血清中に見られるか、または細胞によって発現されるプロテアーゼに起因して、培養下で急速に分解されることを示した。実施例2では、増加したタンパク質分解安定性のためのFGF1の操作が記載される。表面酵母上に増強されたタンパク質分解安定性を示したFGF1変異体について、FGF1ランダム変異誘発ライブラリをスクリーニングした。この実施例では、可溶性FGF1の組換え発現及びFGF1におけるタンパク質分解安定性を改善するためのハイスループットスクリーニングによって特定される変異の特徴付けが記載される。FGF1及びFGF2を、E.coli発現系において組換え発現し、精製した。FGF1 BS4M1(D28N、L131R)及びL131R変異体は、野生型FGF1と比較してよりタンパク質分解的に安定しており、FGF1 L131R変異体は、強力なFGF経路アンタゴニストとして作用することが確認された。
序文
FGF1は、血管新生の誘導のための強力な調節分子であるが、その不十分な安定性は、タンパク質活性を維持し、長期間の有効性を達成する能力を制限する。実施例2では、ECM分解に関する疾患領域で見られる重要なプロテアーゼであるプラスミンとのインキュベーション時に増加したタンパク質分解安定性を示すFGF1変異体を選択するためのハイスループットスクリーニングの使用が記載される。FGF1ライブラリの4回の選別後に完全なコンセンサスが達成され、FGF1 BS4M1(D28N、L131R)変異体を特定した。変異は、FGFの安定性に重要であることが報告されているタンパク質の領域で見られた。
この実施例では、FGF1 BS4M1変異体に由来する変異FGFの可溶性発現及び特徴付けがスクリーニングで特定されていることが記載される。野生型及びFGF1 BS4M1変異体を酵母提示ベクターからクローニングし、E.coli発現ベクターに挿入した。精製後、酵母提示されたFGFR3構築物への特異的結合の検出によって、組換えFGF1の適切な折り畳みを試験した。
FGF1 BS4M1変異体及び野生型FGF1について、それらの可溶性安定性及びFGF経路を調節するそれらの能力をさらに特徴付けた。プラスミンまたはトリプシン中のタンパク質のタンパク質分解安定性を試験し、ウエスタンブロット及びバンド強度定量化を用いて異なる時点でのそれらの分解の程度を測定した。変異D28N及びL131Rの有意性、ならびにタンパク質安定性へのそれらの寄与について調査した。FGF1の熱的安定性を測定して、タンパク質分解安定性とのそれらの関係を分析した。より生物学的に関連した条件下でのFGF1の安定性を試験するために、MDA-MB-231乳癌細胞培養物におけるそれらの分解の程度を特徴付けた。加えて、ERKなどのFGFR活性化の下流であるシグナル伝達分子の活性化を調節する能力を特徴付けるためのNIH3T3細胞におけるERKリン酸化アッセイを行った。これらの特徴付け研究の結果は、操作されたFGF1変異体の改善されたタンパク質分解安定性及びアンタゴニスト活性、ならびに抗血管新生療法に使用される可能性を示した。
結果
FGFの組換え発現
操作されたFGF1変異体をそれらの可溶性において発現させ、それらを野生型タンパク質と比較するために、タンパク質をE.coli発現系において組換え発現させた。組換えタンパク質の細胞内発現のために、FGF1及びFGF1変異体をpBADベクターにクローニングした。pBAD FGF1発現ベクターを、E.coliにおいてほとんど使用されないコドンを有する真核生物タンパク質の発現を増強するE.coli株Rosettaに形質転換した。細胞を洗剤ベースの溶液を使用して溶解した。次いで、Ni-NTAカラムクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを使用してタンパク質を精製した。野生型FGF1の同一性及び純度を、クマシー染色タンパク質ゲル及びウエスタンブロットによって確認した(図20A)。FGF1の適切な折り畳みは、酵母提示FGFR3構築物への特異的結合の観察によって確認された(図20B)。
プラスミンにおけるFGF1変異体BS4M1のタンパク質分解安定性
野生型FGF1及びFGF1変異体BS4M1(D28N/L131R)のタンパク質分解安定性を測定するために、100ngの可溶性FGFをプラスミン中で様々なインキュベーション時間にわたってインキュベートした。次いで、試料をウエスタンブロットで実行し、抗FGFについて染色することによって、それらの分解速度を評価した。残りのFGFの量を、各条件のバンド強度を測定し、プラスミンインキュベーションなしのタンパク質のバンド強度により正規化することによって計算した。BS4M1(D28N、L131R)変異体は、野生型FGF1と比較して、プラスミン中のすべてのインキュベーション時点でより低いレベルの分解を示したことが分かった(図21)。したがって、プラスミンに対するFGF1のタンパク質分解安定性を増加させるためのスクリーニングが成功したことが確認された。
BS4M1(D28N及びL131R)からの変異を安定化PM2(Q40P、S47I、H93G)変異体に組み込み、PM3(D28N、Q40P、S47I、H93G、L131R)を作製した。48時間のインキュベーション後、異なるプラスミン濃度で各構築物の分解を測定した。BS4M1からの変異をPM2からの変異に導入することにより、すべての試験濃度でタンパク質分解に対する耐性が顕著に増加したことが分かった(図22)。したがって、BS4M1において新たに特定された変異は、PM2からの変異と組み合わせたとき、タンパク質分解安定性に相加的効果を有したと結論付けた。
トリプシンにおる操作されたFGF変異体のタンパク質分解安定性
野生型FGF1及びFGF1変異体BS4M1のタンパク質分解安定性をトリプシンにおいて同様の方法で測定した。プラスミン及びトリプシンは、リジン及びアルギニンと同じ一次特異性を共有するため、プラスミンに対するタンパク質分解安定性のための操作は、トリプシンにおけるタンパク質分解安定性を増加させることができると仮定した。加えて、トリプシンによる分解に対してより耐性があるFGF1変異体PM2(Q40P、S47I、H93G)もプラスミンによる切断に対してより耐性があることが確認された。BS4M1(D28N、L131R)変異体は、野生型FGF1と比較して、トリプシンにおけるすべてのインキュベーション時点でより低いレベルの分解を示したことが分かった(図23)。したがって、プラスミンにおけるFGF1のタンパク質分解安定性のための操作は、トリプシンにおけるタンパク質分解安定性を増加させることにも成功したと結論付けた。
FGF1変異体BS4M1における変異の有意性
D28N及びL131R変異の両方がBS4M1変異体にタンパク質分解安定性を付与するために重要であるかどうかを決定するために、D28NまたはL131R変異のみを有するFGF1のバージョンを作製した。経時的なプラスミンにおけるそれらの分解速度を評価することによって、これらの変異体のタンパク質分解安定性を測定した。L131R変異体は、BS4M1(D28N/L131R)変異体と比較して、同等のタンパク質分解安定性を示したが、D28N変異体は、野生型FGF1と比較しても、はるかに低いタンパク質分解安定性を示したことが分かった(図24)。D28N変異は、可溶性発現タンパク質に組み込まれたときに、FGF1のタンパク質分解安定性を大幅に増加させるように翻訳されなかったと結論付けた。したがって、L131R変異体によるさらなる特徴付けを継続した。
また、131位のアルギニンへの変異がタンパク質分解安定性を付与するのに独特であったかどうか、またはロイシンから離れた変異が有意であったかを決定したかった。したがって、131位を代替的にアラニン(L131A)またはリジン(L131K)のいずれかに変異させて、これらの単一の変異体がタンパク質分解安定性においてそれらの増強を維持したか、または失ったかどうかを確認した。それらの分解速度をプラスミンで評価した。L131Kが、L131Rと比較して同様のレベルの分解を維持した一方で、L131Aは、野生型FGF1と比較しても、より高いレベルの分解を示したことが分かった(図25)。
野生型FGF1及びFGF1 L131R変異体の熱的安定性
FGF1 L131R変異体のタンパク質分解安定性の改善が熱安定性の改善に起因するかどうかを決定するために、野生型FGF1及びFGF L131R変異体の融解温度を測定した。温度が徐々に増加するときの各タンパク質のアンフォールディングを測定するために、疎水性色素を用いたThermoFluorアッセイを使用した54、55。L131R変異は、野生型FGF1と比較して融解温度のわずかな増加をもたらすが、その差異は統計的に有意ではないことが分かった(図26)。したがって、熱的安定性は、FGF1 L131R変異体のタンパク質分解安定性の増加に著しく寄与しないと結論付けた。
細胞培養下でのFGF1 L131R変異体の安定性
プラスミノーゲンを活性化し、プラスミンに変換するために、FGF1 L131R変異体の安定性を、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)を発現する乳癌細胞株であるMDA-MB-231を用いた培養下で試験した。500ngのタンパク質を、培養下でMDA-MB-231と共に様々なインキュベーション時間にわたってインキュベートした。各条件のすべてのタンパク質を濃縮し、ウエスタンブロットによる分析のために各条件を別個のウェルに充填した。残ったタンパク質の量を、バンド強度を測定し、培養下でインキュベートされなかった500ngのタンパク質により正規化することによって定量化した。FGF1 L131R変異体は、野生型タンパク質と比較して、培養下で増加した安定性を示したことが分かった(図27)。
FGF1 L131R変異体は、FGFRアンタゴニストである
FGF1 L131RがFGF経路を調節する能力を特徴付けるために、FGFR活性化の下流であり、細胞増殖の誘導に重要である主要なシグナル伝達分子であるERK(MAPK)のリン酸化を調節する能力を評価した56,57。FGFRを発現するNIH3T3細胞を、野生型FGF1のみ、FGF1 L131R変異体のみ、または様々な濃度のFGF1 L131R変異体を有する野生型FGF1と共にインキュベートした。FGF1 L131R変異体は、ERKリン酸化を誘導することができないが、変異体は、野生型FGF1によるERKリン酸化を効果的に阻害することができることが分かった(図28)。1nMの野生型FGF1について、FGF1 L131R変異体によるERKリン酸化の阻害のための用量応答曲線を生成し、そのIC50(1nM)が野生型FGF1の濃度と等モルであることが分かった(図29)。
NIH3T3細胞へのFGF1 L131R変異体の結合
FGF1 L131R変異体の結合親和性を特徴付け、野生型FGF1の結合親和性と比較した。FGFRを発現するNIH3T3細胞を、インキュベートを防止するために、4℃で様々な濃度のFGF1と共にインキュベートした。結合したHisタグFGF1を検出するために、細胞を蛍光タグ抗His抗体で標識した。FGF1 WT及びFGF1 L131R変異体の両方が、NIH3T3細胞に対して10nMの結合親和性を示すことが分かった(図30)。
考察
この実施例では、実施例2からのプラスミンにおけるタンパク質分解安定性についてスクリーニングで特定されたFGF変異体を可溶性発現させ、特徴付けた。組換え発現の際に、FGF1が発現し、容易に精製されることが分かった。しかしながら、発現の収量は、1~3mg/Lの発現でかなり低いことが分かった。この低いタンパク質収量は、FGF1の不十分な安定性に起因し得る。
可溶性FGF1 BS4M1(D28N、L131R)変異体は、野生型FGF1と比較して、プラスミンにおいて増加したタンパク質分解安定性を示すことが良好に確認された。変異D28N及びL131Rを、Zakrzewskaら14からの安定化FGF1 PM2変異体(Q40P、S47I、H93G)からの変異と組み合わせると、新たな変異が、プラスミンにおけるFGF1のタンパク質分解安定性をさらに増強させることが分かった。加えて、BS4M1変異体は、プラスミン58と同様の方法でリジン及びアルギニンの後で切断するプロテアーゼであるトリプシンにおいてより安定していることが分かった。これは、選択に使用されるプロテアーゼと一次特異性を共有する他のプロテアーゼの存在下でタンパク質のタンパク質分解安定性を増加させるスクリーニング能力を示す。例えば、BS4M1変異体はまた、リソソーム分解に関与し、プラスミンと一次特異性を共有するカテプシンの存在下でよりタンパク質分解的に安定し得る。
FGF1 D28N及びL131R単一変異体の特徴付けを通して、増加したタンパク質分解安定性のほとんどがL131Rに起因するが、D28N単一変異体は野生型よりもさらにタンパク質分解安定性が低いことが分かった。酵母提示FGF1と可溶性E.coli由来FGF1との間のD28N変異の有意性の差異は、酵母提示タンパク質にのみ生じるグリコシル化に起因し得る。アスパラギン酸のアスパラギンへの変異は、真核生物のNGxグリコシル化部位の導入をもたらす59。したがって、酵母または哺乳類細胞において発現するFGF1 BS4M1変異体は、さらなるタンパク質分解安定性を有し得る。
L131R変異は、プラスミンがアルギニンに対する一次特異性を有するため、反直感的なものである。実際、合理的な設計戦略は、タンパク質に新しい潜在的な切断部位を導入することを伴わないだろう。しかしながら、実施例1で論じられるように、一次特異性は、タンパク質切断が潜在的な切断部位で生じるかどうかの唯一の決定因子ではなく、部位の周囲の複数のアミノ酸、及び部位のプロテアーゼへの立体アクセス性も大きく寄与する。ロイシンから離れた変異または131位のアルギニンへの変異がタンパク質分解安定性を増加させるために重要であるかどうかをさらに調査するために、FGF1 L131A及びL131K単一変異体を特徴付けた。ロイシン131をアラニン(合理的設計によるプロテアーゼ切断部位の置換に一般的に使用されるアミノ酸)に変化させることは、野生型FGF1と比較してもタンパク質分解安定性の低下をもたらしたことが分かった。しかしながら、ロイシン131のリジン(プラスミンが一次特異性を有する他のアミノ酸)への変異は、プラスミンにおける増加したタンパク質分解安定性の保持をもたらした。プラスミンによる131位でのFGF1タンパク質の切断が、結果として生じるタンパク質断片の増加したタンパク質分解安定性をもたらすかどうかを検討したが、スクリーニングはそのような変異について選択することができなかったと結論付けた。酵母提示FGF1内の任意の切断は、c-mycシグナルの喪失及びこの変異体から離れた選択をもたらすであろう。リジン及びアルギニンは共に正荷電アミノ酸であるため、代わりに、この位置に正荷電を付加することが、FGF1のタンパク質分解安定性を増加させるために重要である可能性がある。野生型FGF1とFGF1 L131R変異体との間で融解温度に統計的に有意な差異がないことが分かり、熱的安定性の増加がタンパク質分解安定性の増加を説明しないことを示唆する。したがって、タンパク質分解安定性を増加させるためのL131Rの機序を確実に見つけるためには、さらなる研究が必要であろう。
また、FGF1 L131R変異体は、MDA-MB-231乳癌細胞を有する細胞培養下で、野生型FGF1よりも安定しているように思われることも分かった。これらの細胞は、プラスミノーゲンをプラスミンに切断し、活性化するウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)を発現する。その結果は、FGF1 L131R変異体が、より生物学的に関連する文脈において増加した安定性を示すことを示すために有意であった。
最後に、NIH3T3細胞におけるERKリン酸化アッセイを使用して、L131R変異がFGF1をFGF経路アンタゴニストに変換することが分かった。この結果は、タンパク質分解安定性を増加させるためのスクリーニングはFGFRに結合する変異体のみを選択するが、タンパク質がアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するかどうかを選択しないことを考慮すると、合理的であるが興味深い。NIH3T3細胞に対するFGF1 L131R変異体の結合親和性は、野生型FGF1とほぼ同等であり、これは、FGF1 L131R変異体のIC50が阻害アッセイで使用される野生型FGF1の濃度とほぼ等モルである理由を説明する。FGF1 L131R変異体によるERKリン酸化の阻害は、野生型FGF1の存在下で最高濃度のFGF L13R変異体で処理した試料が、未処理細胞のものを上回る低いERKリン酸化レベルを示すため、完全ではない。しかしながら、この現象は、文献60においてアンタゴニストとして作用することが報告されている唯一の他のFGF1変異体であるFGF1 R50E変異体においても観察される。FGF経路関連細胞増殖の誘導及びサイクリンD1などの下流エフェクタータンパク質の活性化のための持続的な高いERKリン酸化レベルが報告されている57、61。FGF1 R50E変異体は、インテグリンαvβ3へのその結合に欠損があり、ERKリン酸化の不完全な阻害も示す。しかしながら、Moriらによるフォローアップ研究では、それらのFGF1 R50Eアンタゴニストが、FGF1誘導細胞遊走、HUVEC管形成、マトリゲルプラグアッセイにおける血管新生、及び大動脈環アッセイにおける細胞の成長を阻害することができることを良好に示す41。したがって、この実施例は、FGF1 L131Rが機能的生物学的アッセイにおいてFGF経路アンタゴニストとして同様に作用することができるという良好な証拠を提供する。
結論として、この実施例2及び3に記載される結果は、プラスミンにおけるFGF1のタンパク質分解安定性を増加させ、FGF2の主要なタンパク質分解的安定化候補を特定するためにハイスループットスクリーニングをうまく利用することができたことを示す。FGF1変異体は、プラスミン及びトリプシンにおける増加したタンパク質分解安定性、ならびに培養下の増加した安定性を示すことが示された。FGF1 L131R変異体が、NIH3T3細胞におけるFGF1誘導ERKリン酸化を阻害するために使用することができる強力なFGF経路アンタゴニストとして作用することが示された。FGF1変異体は、眼におけるがん及び望ましくない血管新生などの疾患の治療における抗血管新生療法のためのタンパク質分解的安定化治療用分子の開発のためのそれらの有望性を示す。
材料及び方法
組換えFGF1の発現及び精製
FGF1は、Rosetta(DE3)コンピテント細胞(Novagen)を使用して発現された。遺伝子を、ヒトFGF1 cDNA(Dharmacon)から、N末端6x Hisタグ及びアラビノース誘導性プロモーターを有するpBAD/His Bベクター(Invitrogen)にクローニングした。制限部位XhoI及びHindIIIをクローニングに使用した。pBAD FGF1-Hisプラスミドを化学的にコンピテントなRosetta(DE3)細胞に形質転換し、235rpmで振盪しながら37℃で1mLのLB中で回収し、アンピシリン(Amp)選択のLBプレート上にプレーティングした。コロニーを5mLのLB Ampに播種し、37℃で一晩増殖させた。1mLの一晩培養物を使用して、100mLのLB Amp発現培養物を播種した。細胞を235rpmで2~2.5時間振盪させながら37℃で増殖させた。約0.5のOD600で、細胞を0.2%L-アラビノース(Sigma Aldrich)で誘導した。タンパク質を発現させ、細胞質中で維持した。発現培養物を37℃で6時間増殖させた後、細胞を沈降させて収集した。
細胞を、リゾチーム、DNase I、及びヘパリン硫酸塩を含むB-PER細菌タンパク質抽出試薬(Thermo Scientific)に30分間溶解した。抽出混合物を15,000gで10分間沈降させ、上清を収集し、0.22μmフィルタを通して濾過した。FGF1を含有する上清を、セクション2.5.6.1に詳述されるように、Ni-NTA親和性精製のための結合緩衝液で1:10希釈で希釈した。上清と結合緩衝液との混合物をNi-NTAカラム上に充填した。Ni-NTA親和性精製からの溶出物を濃縮し、10kDaカットオフを有するAmicon Ultra-4遠心フィルタユニットを使用して、緩衝液をPBSに交換した。Superdex 75カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、セクション2.5.6.1に記載されるように、最終FGF1-Hisタンパク質を精製した。
FGF1単一変異体のクローニング
オーバーラップ伸長PCRを使用して、野生型FGF1を単一アミノ酸変異体に変異させた62。コドン変異は以下の通りである:D28N-GATからAAT、L131R-CTAからCGA、L131A-CTAからGCA、L131K-CTAからAAA。部位特異的変異誘発プライマーは、コドン変異、ならびに野生型FGF1配列と重複する各側上の20bpのオーバーハングを組み込んだ。
タンパク質分解安定性アッセイ
各条件について、125ngのタンパク質を、様々な濃度のプラスミンと共に、または37℃で様々なインキュベーション時間にわたって、20μLのプラスミン消化緩衝液(100mMのTris-HCl、0.01%のBSA、pH8.5)中でインキュベートした。各試料の適切なインキュベーション時間の終了時に、プロテアーゼ消化を、試料を-20℃で貯蔵することによって停止した。すべてのインキュベーションが完了した後、分析のために試料を氷上で解凍した。各20μLの試料を5μLのNuPAGE LDS試料緩衝液及び2μLのNuPAGE試料還元剤と混合した。試料を10分間95℃に加熱した後、SDS-PAGEゲルを実行した。ゲルを20%エタノールと共に10分間インキュベートした後、Invitrogen iBlot Gel Transfer Deviceを使用してニトロセルロース膜上にブロットした(プログラム0、7分)。
ウエスタンブロットを、TBST(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、25mMのTris、0.1%Tween 20)中5%の脱脂粉乳(Bio-Rad)で1時間遮断した。5%乳含有TBST中1:1000希釈のマウス抗FGF1(Sigma Aldrich、クローン2E12)で、一次染色を1時間行った。15分間TBST中で3回洗浄した後、1:2500希釈のヤギ抗マウスHRP(ThermoFisher Scientific)で、二次染色を2時間行った。15分間TBST中でさらに3回洗浄した後、ブロットをBioRad ChemiDoc XRS Systemによって Chemi Hi感度モードで撮像した。ImageJを使用してバンド強度を定量化し、GraphPad Prism 6を使用して、正規化されたバンド強度をプロットした。
融解温度を測定するためのThermoFluorアッセイ
50μLの1.2mg/mLのタンパク質を96ウェル薄壁PCRプレート(Bio-Rad)に充填した。0.5μLのSYPRO Orange(Molecular Probes)を試料に加え、十分に混合した。プレートをプラスチックカバーで密封した後、BioRad CFX96 RT System C1000 Touchでプレート分析した。プレートを5分間4℃まで冷まし、次いでプレートを毎分1℃の速度で100℃までゆっくりと加熱した。蛍光変化を監視し、各℃で測定した。温度に対する蛍光をMicrosoft Excelでプロットし、蛍光が最大及び最小蛍光シグナルの平均に等しい温度を見つけることによって、融解温度を計算した。
細胞培養安定性アッセイ
MDA-MB-231細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco)中100,000個の細胞/ウェルの密度で6ウェルプレート(Sigma Aldrich)上に播種し、5%CO2で、37℃で増殖させた。24時間後、培地を吸引し、血清飢餓のためにDMEMに置き換えた。24時間後、DMEMを吸引した。各試料について、1mLのDMEM中500ngのタンパク質を各ウェルに加え、様々なインキュベーション時間にわたって、5%CO2で、37℃でインキュベートした。各インキュベーションの最後に、上清を収集し、0.22μmのフィルタで濾過し、-20℃で凍結した後分析した。すべてのインキュベーションが完了した後、氷上で上清を解凍した。各上清試料を、Amicon 3K MWCO Ultra-0.5mL遠心フィルタを使用して、50μLの体積まで濃縮した。15μLの濃縮した試料を5μLのNuPAGE LDS試料緩衝液及び2μLのNuPAGE試料還元剤と混合した。試料を10分間95℃に加熱した後、SDS-PAGEゲルを実行した。ゲルを20%エタノールと共に10分間インキュベートした後、Invitrogen iBlot Gel Transfer Deviceを使用してニトロセルロース膜上にブロットした(プログラム0、7分)。
ウエスタンブロットを、TBST(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、25mMのTris、0.1%Tween 20)中5%の脱脂粉乳(Bio-Rad)で1時間遮断した。5%乳含有TBST中1:1000希釈のマウス抗FGF1(Sigma Aldrich、クローン2E12)で、一次染色を1時間行った。15分間TBST中で3回洗浄した後、1:2500希釈のヤギ抗マウスHRP(ThermoFisher Scientific)で、二次染色を2時間行った。15分間TBST中でさらに3回洗浄した後、ブロットをBioRad ChemiDoc XRS Systemによって Chemi Hi感度モードで撮像した。ImageJを使用してバンド強度を定量化し、GraphPad Prism 6を使用して、正規化されたバンド強度をプロットした。
NIH3T3 ERKリン酸化アッセイ
MDA-MB-231細胞を、10%新生胎仔血清(NBCS)(Gibco)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco)中100,000個の細胞/ウェルの密度で6ウェルプレート(Sigma Aldrich)上に播種し、5%CO2で、37℃で増殖させた。24時間後、培地を吸引し、血清飢餓のためにDMEMに置き換えた。24時間後、DMEMを吸引した。細胞を、任意のホスファターゼ阻害剤なしで、野生型FGF1及び/または様々な濃度のFGF1 L131R変異体で15~18時間、37℃で刺激した。刺激後、細胞を氷冷PBSで洗浄し、1Xホスファターゼ阻害剤カクテル2及び1Xプロテアーゼ阻害剤カクテル2(Sigma)を含む、100μlの溶解緩衝液(20mMのTris-HCl、pH8.0、137mMのNaCl、10%グリセロール、1% Nonidet P-40)で、4℃で1時間処理した。溶解物を-80℃で凍結した後分析した。溶解物を氷上で解凍し、遠心分離によって清澄化した。タンパク質濃度をPierce BCAタンパク質アッセイで定量化した。各試料の2μgのタンパク質溶解物を、MilliQ H2Oで14.6μLに希釈した。各希釈試料を5.6μLのNuPAGE LDS試料緩衝液及び2.25μLのNuPAGE試料還元剤と混合した。試料を10分間95℃に加熱した後、SDS-PAGEゲルを実行した。ゲルを20%エタノールと共に10分間インキュベートした後、Invitrogen iBlot Gel Transfer Deviceを使用してニトロセルロース膜上にブロットした(プログラム0、7分)。
ウエスタンブロットを、TBST(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、25mMのTris、0.1%Tween 20)中5%の脱脂粉乳(Bio-Rad)で1時間遮断した。5%乳含有TBST中1:1000希釈のウサギ抗リンERK1/2(Y202/Y204)抗体(Cell Signaling)またはウサギ抗ERK1/2(Cell Signaling)で、一次染色を1時間行った。15分間TBST中で3回洗浄した後、1: 2500希釈のヤギ抗ウサギHRP(Santa Cruz Biotechnology)で、二次染色を2時間行った。15分間TBST中でさらに3回洗浄した後、ブロットをBioRad ChemiDoc XRS Systemによって Chemi Hi感度モードで撮像した。ImageJを使用してバンド強度を定量化し、GraphPad Prism 6を使用してプロットした。
NIH3T3細胞結合アッセイ
NIH3T3細胞を、結合緩衝液(1mMのMgCl2、1mMのMnCl2、2mMのCaCl2、100mMのNaCl、及び0.1%BSAを含む20mMのTris-HCl(pH7.5))中で、様々な濃度の野生型FGF1またはFGF1 BS4M1変異体と共に4℃で3時間インキュベートした。細胞を、リガンド枯渇を回避するために十分に大きな体積でインキュベートした。FGFでインキュベーションした後、細胞を洗浄し、1:100希釈の抗His Hilyte Fluor 488(Anaspec)と共に、氷上で15分間インキュベートした。細胞を洗浄し、ペレット化し、EMD Millipore Guava EasyCyteを使用したフローサイトメトリーによる分析の直前に結合緩衝液に再懸濁した。フローサイトメトリーデータを、FlowJo(v7.6.1)を使用して分析した。結合曲線をプロットし、GraphPad Prism 6を使用してKd値を得た。
実施例1~3で引用された参考文献
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実施例4.NK1のタンパク質操作
1.1 酵母表面提示を介したNK1のタンパク質操作。酵母表面提示は、増強された標的結合親和性、適切な折り畳み、及び改善された安定性のためのタンパク質を設計するために使用されてきた強力な指向性進化技術である。NK1タンパク質のコンビナトリアルライブラリを、酵母交配凝集素タンパク質Aga2pへの遺伝的融合を介して酵母株Saccharomyces cerevesiaeの表面上に提示した。Aga2pは、酵母細胞壁に共有結合するAga1pにジスルフィド結合される。ほとんどの酵母提示研究とは対照的に、本明細書で使用した構築物は、提示されたNK1タンパク質をAga2pのN末端に係留した(米国特許第9,556,248号からの図2)。このリガンド-受容体系について、この配向が、以下に記載の受容体及び抗体標識の立体障害を低減したことが分かった。NK1タンパク質は、N末端血球凝集素(HA)及びC末端c-mycエピトープタグと隣接し、これらは酵母細胞表面上の構築物の発現を確認し、表面発現レベルを定量化するために使用された。提示されたNK1タンパク質のC末端の柔軟な(Gly4 Ser)3リンカーを使用して、タンパク質を酵母細胞表面から離れて突出させ、立体障害をさらに最小限に抑えた。
タンパク質操作研究のために、107~108の形質転換体のライブラリを日常的に作製し、各酵母細胞は、その表面に何千もの特定のNK1変異体の同一のコピーを提示する。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用した数千万個の酵母提示NK1変異体のハイスループットスクリーニングは、所望の特性、この場合、増強されたMet受容体結合親和性及び/または増強された発現を有するタンパク質バリアントの単離を可能にした。この目的のために、酵母提示NK1ライブラリを、蛍光標識されたMet-Fc融合タンパク質、ならびにHAエピトープタグに対する一次及び二次抗体の両方で染色した(米国特許第9,556,248号からの図2B)。マルチカラーフローサイトメトリーの使用により、フィコエリトリン及びAlexa-488蛍光をそれぞれ検出することによって、相対表面発現レベル及びMet結合の両方の同時及び独立した監視を可能にした。最も高いレベルのMetに結合し、最も高いNK1発現レベルを有する酵母細胞を単離した。以前、酵母細胞表面上の発現レベルと熱的安定性及び可溶性発現収率との間に強い相関が示された。選別した酵母を培養下で増殖させ、スクリーニングプロセスを数回繰り返して、少数の独特のクローンからなる濃縮酵母集団を得た。
1.2 概要:酵母表面提示を使用した高親和性及び安定性のためのNK1の指向性進化。NK1断片を、1)増強された熱安定性、及び2)Metに対する高結合親和性のために操作した。1回目の指向性進化は主に、酵母細胞表面上の機能発現及びMet結合親和性の適度の改善のためのNK1を進化させることからなった。プールした生成物をさらに変異させ、それらを改善されたMet結合親和性または増強された安定性のいずれかについて独立してスクリーニングした2回目の指向性進化に供した。次いで、2回目からのプールされた生成物に対してDNAシャッフルを行い、続いて改善されたMet結合親和性及び増強された安定性について同時にスクリーニングすることによって、3回目の指向性進化を行った(図3)。
1.3 野生型NK1は酵母細胞表面上に機能的に発現しない。HGFは、2つの主要なアイソフォーム、アイソフォーム1(I1:Genbank受託番号NP_000592)及びアイソフォーム3(I3: Genbank受託番号NP_001010932、配列番号10)に存在する。
配列番号4(NP_00101932)
MWVTKLLPALLLQHVLLHLLLLPIAIPYAEGQRKRRNTIHEFKKSAKTTLIKIDPALKIKTKKVNTADQCANRCTRNKGLPFTCKAFVFDKARKQCLWFPFNSMSSGVKKEFGHEFDLYENKDYIRNCIIGKGRSYKGTVSITKSGIKCQPWSSMIPHEHSYRGKDLQENYCRNPRGEEGGPWCFTSNPEVRYEVCDIPQCSEVECMTCNGESYRGLMDHTESGKICQRWDHQTPHRHKFLPERYPDKGFDDNYCRNPDGQPRPWCYTLDPHTRWEYCAIKTCADNTMNDTDVPLETTECIQGQGEGYRGTVNTIWNGIPCQRWDSQYPHEHDMTPENFKCKDLRENYCRNPDGSESPWCFTTDPNIRVGYCSQIPNCDMSHGQDCYRGNGKNYMGNLSQTRSGLTCSMWDKNMEDLHRHIFWEPDASKLNENYCRNPDDDAHGPWCYTGNPLIPWDYCPISRCEGDTTPTIVNLDHPVISCAKTKQLRVVNGIPTRTNIGWMVSLRYRNKHICGGSLIKESWVLTARQCFPSRDLKDYEAWLGIHDVHGRGDEKCKQVLNVSQLVYGPEGSDLVLMKLARPAVLDDFVSTIDLPNYGCTIPEKTSCSVYGWGYTGLINYDGLLRVAHLYIMGNEKCSQHHRGKVTLNESEICAGAEKIGSGPCEGDYGGPLVCEQHKMRMVLGVIVPGRGCAIPNRPGIFVRVAYYAKWIHKIILTYKVPQS
HGF I1及びI3は、I3の第1のクリングルドメイン(K1)の5つのアミノ酸欠失を除いて、配列は同一である。酵母提示プラスミドpTMY-HAを使用して、酵母細胞壁タンパク質Aga2pへの遺伝的融合物として酵母細胞表面上にNK1 I1またはNK1 I3を発現させた(図2)。NK1 I1及びNK1 I3の両方で同様の結果が見出された。酵母提示NK1 I1を、相対発現(HAタグの抗体検出を介して)、及びAlexa 488で標識された20または200nMのMet-Fc(R&D Systems)への結合について染色した。野生型NK1-Met相互作用にはヘパリンが必要であるため、この実験は、2μMのヘパリン(Lovenox、Sanofi-Aventis)の存在下(米国特許第9,556,248号からの図4A、上部)及び不在下(図4A、下部)の両方で行った。フローサイトメトリーを使用して、酵母細胞表面上でNK 1 I1を発現する酵母を検出した。可溶性Met-Fcへの低レベルの結合のみが観察された(図4、x軸対y軸)。結合レベルは、酵母提示NK1を70℃に加熱した後に示される(米国特許第9,556,248号からの図4B)。以下に示すように、酵母Pichia pastorisから産生される可溶性NK1 I1は、60℃で完全にアンフォールドされる(米国特許第9,556,248号からの図4)。まとめると、このデータは、酵母提示野生型NK1が酵母細胞表面上で機能的に発現されないことを示す。
1.4 酵母表面提示を使用した改善された親和性及び安定性のためのNK1の操作。野生型NK1と比較して、安定性及びMet結合親和性の改善のために、3回の別個の指向性進化を使用してNK1を進化させた。NK1は、酵母細胞表面上で機能的に発現されなかったため、1回目の指向性進化は主に、酵母提示NK1変異体をスクリーニングして、Met受容体に結合するクローンを単離することからなった。この目標に向けて、ヌクレオチド類似体8-オキソ-dGTP及びdPTP(TriLink BioTechnologies)を使用して、エラープローンPCRによって約3×107のNK1変異体のライブラリを生成した。NK1 I1またはNK1 I3のいずれも酵母細胞表面上で機能的に発現されないため、どのアイソフォームが指向性進化を介した親和性成熟に最も適しているか明らかではなかった。したがって、開始テンプレートとして等量のNK1 I1及びNK1 I3を使用して、I1及びI3の両方に基づく組み合わせたNK1変異体ライブラリを生成した。酵母提示ライブラリからのランダムクローンの配列決定は、NK1 I1及びNK1 I3の等しい表示を確認した。
酵母は30℃で増殖することを好むが、それらは多くの場合、20℃でより複雑なタンパク質の改善された発現を示す。したがって、20℃で酵母細胞表面上のタンパク質発現を誘導して、NK1変異体の改善された折り畳みを可能にした後、2回目のライブラリ選別を行い、FACSを使用して、200nMのAlexa-488標識されたMet-Fc(Met-Fc A488)への検出可能な結合を示した酵母細胞を単離した(米国特許第9,556,248号からの図5A)。その後のライブラリ選別は、30℃の発現温度を使用して改善された安定性を有する変異体についてスクリーニングすることを目的に、20℃または30℃のいずれかの誘導温度を使用して並行して行われた。各戦略で5回の選別後(20℃の発現温度を使用して5回、または20℃で2回、続いて30℃の発現温度で3回)、ライブラリは、200nMのMet-Fcに結合したメンバーを明らかに含有した。
2回目の指向性進化について、1回目の指向性進化の最終選別からプールされた変異体を、エラープローンPCRによってランダムに変異させて、約8×107の独特の変異体のライブラリを生成した。このライブラリの最初の2回の選別を、可溶性Met-Fc A488に結合した変異体を最初に回収するために20℃の発現温度を使用して行った。その後の回について、改善された熱的安定性と相関することが示されている発現の改善(すなわち、折り畳み安定性)、またはMet結合親和性の改善のいずれかについて並行して選別した(米国特許第9,556,248号からの図5B)。高温(37℃)での発現を使用して、改善された安定性のために選別ストリンジェンシーを付与した一方で、低濃度の可溶性Met-Fc A488への改善された結合を親和性選別ストリンジェンシーに使用した。
最後に、3回目の指向性進化は、2回目の指向性進化からの安定性及び親和性増強された変異体の最終プールをDNAシャッフルして、約2×107の独特な形質転換体の第3世代ライブラリを生成することからなった。このライブラリを、増強された安定性(37℃の誘導時の高い細胞表面発現レベルを介して)及び増強された親和性(実質的に低濃度のMet-Fc A488への改善された結合を介して)の両方について同時にスクリーニングした。1回目、2回目、及び3回目の選別は、それぞれ40、20、及び2nMのMet-Fc A488を使用した。3回目の選別の後、得られた変異体のプールは、37℃で良好に発現し、2nMのMet-Fc A488に強く結合した(米国特許第9,556,248号からの図6、中央)。2nMのMet-Fc A488で標識し、続いて過剰な非標識競合体、この場合、組換えHGF(R&D Systems)の存在下で非結合ステップを行うことによって、後続の選別を行った。過剰なHGF競合体の存在下で24時間後にMet結合を保持したクローンをFACSによって単離した。このプロセスを、NK1変異体のプールがMet-Fc競合体として過剰なHGFの存在下での2日間の非結合ステップ後にMet-Fc A488への結合を保持するまで繰り返した(図6、右)。
過剰なHGF競合体の存在下での2日間の非結合ステップ後でも、バリアントが高温で酵母細胞表面上で効率的に発現され、2nMの可溶性Metへの持続的結合を維持するNK1バリアントのプールを特定した(米国特許第9,556,248号からの図6)。
1.5 親和性及び安定性増強NK1変異体の配列分析。3回目の指向性進化の実施と並行して、2回目からの有望な変異体の特徴付けを開始した。各選別戦略(20℃親和性選別戦略及び37℃安定性選別戦略)の最終的な2つ選別回の各々から8つのランダム変異体を配列決定した。興味深いことに、配列決定された32すべてのクローンは、初期ライブラリの配列決定が比較的等しい割合のNK1アイソフォーム1及びアイソフォーム3を示したにもかかわらず、NK1 I1に基づいた。加えて、いくつかの好ましいまたはコンセンサス変異が明らかであった。10の変異は、ライブラリ選別生成物からランダムに配列決定されたクローンに繰り返し出現し、これらの変異のうちの8つは、ランダムに選択されたクローンの半分を超えて存在した。これらの優性変異を、表1に太字で強調した。多種多様な変異に起因して、個々のクローンのいずれもこれらの変異の8つすべてを含有しなかった。しかしながら、1つのクローンは、8つの最も頻繁な変異のうちの5つを含有した(K62E、N127D、K137R、K170E、N193D、このクローンはM2.1と称される)。残りの3つの変異(Q95R、K132N、Q173R)をこのクローンの背景に加えて、M2.2と称するNK1変異体を生成した。これらの変異のさらなる配列分析は、以下でさらに論じられるいくつかの興味深い観察を強調した。
2つの戦略からの選別生成物は、完全に同じクローンの多くを産生しなかったが、コンセンサス配列において顕著なオーバーラップを示した。M2(2回目の指向性進化)生成物において観察されたI125TとN127Dとの間の負の相関は、M3(3回目の指向性進化)生成物に残存した。配列決定した30のクローンのうち、25は、N127D変異を含有し、そのいずれもI125T変異も含有しなかった。しかしながら、N127Dを含有しない5つのクローンの各々は、I125T変異を含有しなかった。K62E/V64A及びI130V/K132Nコンセンサス変異は、2つのアミノ酸間隔のみで生じた。
M2生成物からの8つのコンセンサス変異のすべてがM3生成物に存在した(M2.2=K62E、Q95R、N127D、K132N、K137R、K170E、Q173R、N193Dを想起されたい)。M3生成物の50%超で生じた5つの追加のコンセンサス変異があった:V64A、N77S、I130V、S154A、及びF190Y。
表7: ある特定のバリアントに存在する配列置換
Figure 2022513196000016
実施例5.NK1の産生
2.1 酵母株P.pastorisにおける野生型NK1及びNK1変異体の可溶性産生。簡潔には、N末端FLAGエピトープタグ(DYKDDDDK)及びC末端ヘキサヒスチジンタグを含有する野生型NK1、M2.1、またはM2.2をコードするDNAを、分泌プラスミドpPIC9Kにクローニングした。構築物をP.pastorisに形質転換し、4mg/mLのジェネティシンを含有するYPD-寒天プレート上での増殖のために選択し、培養上清のウエスタンブロットによってNK1発現についてスクリーニングした。図7A(米国特許第9,556,248号から)は、M2.1及びM2.2が30℃で良好に発現する一方で、野生型NK1がはるかに低いレベルで発現することを示す。このデータは、酵母表面提示を使用した増加したタンパク質安定性のための操作も改善された組換え発現レベルをもたらすことを報告する以前の研究と一致する。しかしながら、発現温度を20℃に低下させることは、野生型NK1の効率的な発現を可能にした(データ図示せず)。NK1及び変異体発現を振盪フラスコ培養下で0.5Lまでスケールアップし、固定化ニッケル親和性クロマトグラフィーを使用して精製し、続いてSuperdex(商標)75カラム(GE Healthcare)上でゲル濾過した。数ミリグラムの変異体M2.1及びM2.2が、任意の最適化なしに1つの0.5L振盪フラスコから得られ、誘導条件を修正することによって、または発酵を介してさらに高い収率を得ることができることを示唆する。
2.2 変異体M2.1及びM2.2は野生型NK1よりも高い熱的安定性を示す。熱的安定性を試験するために、M2.1及びM2.2を酵母細胞表面上に発現させ、様々な温度に加熱し、蛍光標識されたMet-Fcへの結合の保持をフローサイトメトリーにより測定した(米国特許第9,556,248号からの図8A)。NK1変異体M2.1及びM2.2は、酵母の表面でそれぞれ61.0±1.4℃及び61.4±0.7℃のTm値を有する。酵母提示野生型NK1は、酵母細胞表面上に機能的に発現されなかったため、安定性を監視することができなかった。
可溶性タンパク質の安定性を試験するために、精製された可溶性変異体の二次構造アンフォールディングを、Jasco J-815CD分光計で円二色性(CD)を使用して監視した。変異タンパク質のCDスキャンは、主にβシート構造要素に起因して、208nmでピークを特定した。M2.1及びM2.2のCDスキャンは、野生型NK1のCDスキャンと類似しており、変異タンパク質が野生型NK1と同じ全体的な二次構造要素を含有することを図示する(米国特許第9,556,248号からの図8B)。80℃での野生型NK1のCDスペクトルはランダムコイルのCDスペクトルに似ており、円二色性を使用した二次構造要素のアンフォールディングを監視する能力を示す(図8B)。この情報を使用して、この二次構造のアンフォールディングを可変温度CDスキャンによって監視した(図8C)。これらのアッセイのそれぞれにおいて、M2.1及びM2.2は、野生型NK1(Tm=50.9±0.2℃)と比較して、より高い熱的安定性(それぞれ、63.6±0.3℃及び67.8±0.2℃)を示した。これらの結果をさらに確認するために、M2.1のランダムコイルの融解に対する236nmでの局所最大の融解を監視した。同じTmが208nmでの融解について観察された。CD温度融解によって決定された野生型及び変異NK1タンパク質の熱的安定性(Tm)の要約を表8に示す。
Figure 2022513196000017
2.3 塩濃度がタンパク質の安定性に与える影響。その構造完全性を維持するために、野生型NK1は、高い塩濃度(>200~300mMのNaCl)を含有する緩衝液中で維持されなければならないことが観察された。この要件のさらなる証拠として、野生型NK1は、中程度の塩濃度(137mM)を含有する緩衝液を用いたサイズ排除クロマトグラフィーで広範な遅延溶出プロファイルを示し(米国特許第9,556,248号からの図9及び挿入図)、これらの条件下でのアンフォールディング及び/またはカラムへの非特異的結合を示唆した。対照的に、M2.1及びM2.2は、同様の中等度の塩条件下でのサイズ排除クロマトグラフィーで、単一の鋭いピークとして溶出した(米国特許第9,556,248号からの図9)。
実施例6.NK1の特徴付け
3.1 NK1ホモ二量体化界面残基N127における点変異は、N及びK1ドメインを接続するリンカー領域内にある(図1)。このアスパラギン残基の側鎖は、2つの水素結合を形成する。N127Dバリアントは、ライブラリ単離されたバリアントの間で頻繁に観察された。(表2及び3)。M2.2内のN127D変異が生物学的活性に与える影響を調べるために、この位置で一連の点変異体を生成した。アラニン残基は、NK1ホモ二量体の安定化相互作用を妨害することによって、野生型NK1をアゴニストからアンタゴニストに変換する。この位置でのリジンまたはアルギニンへの変異の影響を試験した。これらの置換は、かさ高い荷電側鎖を介して立体及び静電妨害物を導入する。
加えて、点変異体D127Nを分析した。これにより、この位置を野生型アスパラギン残基に戻す。N127D変異を含有するM2.2の文脈内では、これらの変異は、D127A、D127K、D127R、及びD127Nと称される。重要なことに、これらの変異体の各々は、M2.2に関連する高い熱的安定性を保持した(表5)。
3.2 Met受容体アゴニストまたはアンタゴニストとしてのNK1変異体の特徴付け。NK 1変異体は、MDCK細胞散乱及びuPAアッセイにおいて評価され、2つのアッセイは、哺乳類細胞におけるMet受容体の活性化を研究するために広く使用されている。MDCK細胞散乱アッセイについて、1500個の細胞/ウェルを100μLの完全成長培地の96ウェルプレートに播種し、37℃、5% CO2でインキュベートした。24時間後、培地を吸引によって除去し、それぞれ0.1または100nMの濃度のHGFまたはNK1タンパク質を含有する培地に置き換えた。いくつかの実験では、lovenox(登録商標)ヘパリン(Sanofi-Aventis)を2μMの濃度で、または2:1のヘパリン:NK1のモル比で使用した。24時間後、細胞を固定し、室温で10分間、50%エタノール中0.5%クリスタルバイオレットで染色し、水で洗浄し、風乾させた後、写真を撮った。細胞を250nMのNK1変異体と共に30分間インキュベートした後、HGFを0.1nMの最終濃度で加えたことを除いて、MDCK散乱阻害アッセイを同様の方法で行った。
MDCK uPAアッセイについて、4000個の細胞/ウェルを100μLの完全成長培地の96ウェルプレートに播種し、37℃、5% CO2でインキュベートした。24時間後、培地を吸引によって除去し、それぞれ1または100nMの濃度のHGFまたはNK1を含有する培地に置き換えた。24時間後、細胞を200μLのフェノールレッド不含DMEMで2回洗浄し、100mMのグリシン(pH3.5)
溶液中に50 %(体積/体積)の0.05単位/mLのプラスミノーゲン(Roche Applied Science)、40%(体積/体積)の50mMのTris(pH8.0)、10%(体積/体積)及び3mMのchromozym PL(Roche Applied Science)を含有する200μLの反応緩衝液と共にインキュベートした。プレートを37℃、5%CO2で4時間インキュベートした後、Infinite M1000マイクロプレートリーダー(Tecan Group Ltd.)を使用して405nmで吸光度を測定した。
変異体M2.2 D127A、D127K、及びD127Rは、MDCK細胞における散乱(米国特許第9,556,248号からの図10及び図11A)またはuPA活性化(図11B)によって測定されるように、Met活性化を誘導しなかった。N127D変異を含有する未修飾M2.2バリアントは、弱い(米国特許第9,556,248号からの図11A)またはまったく(米国特許第9,556,248号からの図10及び図11B)アゴニスト活性を示さなかった。
対照的に、127位を野生型アスパラギン残基に戻す(M2.2 D127N)ことは、MDCK散乱(米国特許第9,556,248号からの図10及び図11A)及びuPAアッセイ(米国特許第9,556,248号からの図11B)の両方においてアゴニスト活性をもたらした。M2.2 D127Nの活性は、野生型NK1の活性と同様であり、両方とも可溶性ヘパリンの存在下での活性の増強を示した(米国特許第9,556,248号からの図11Cの上部対下部)。比較して、M2.2D127A、D127K、及びD127Rは、ヘパリンの存在下または不在下のいずれにおいてもこれらのアッセイにおいてアゴニスト活性を示さなかった(米国特許第9,556,248号からの図10及び図11A~C)。
これらの変異体がHGF誘導Met活性化を阻害する能力を試験した。対照として、M2.2 D127Nは、HGF誘導活性を阻害せず、Met受容体アゴニストとしてのその機能のさらなる証拠を提供した(米国特許第9,556,248号からの図12)。M2.2変異体D127A、D127K、及びD127Rは、可溶性ヘパリンの不在下でHGF誘導MDCK散乱の弱いまたは最小限の阻害を示した(米国特許第9,556,248号からの図12、上部)。
対照的に、2μMのヘパリンを加えたことにより強いアンタゴニスト活性を観察した(図12、下部)。2:1のヘパリン:NK1のモル比でのNK1変異体の予備製剤化は、このアンタゴニスト活性を付与するのに十分であり、アンタゴニスト活性の改善のために過剰なヘパリンを加える必要性を取り除いた(米国特許第9,556,248号からの図13)。未修飾M2.2(M2.2 N127D)は、ヘパリンの2:1のモル比で弱いアンタゴニスト活性のみを示し(米国特許第9,556,248号の図13)、合理的に操作された点変異の有用性を支持する。M2.2 D127Kのアンタゴニスト活性は、以前に報告されたアンタゴニストNK1 N127Aのものと同様である(米国特許第9,556,248号からの図13)。しかしながら、M2.2 D127A/K/及びR変異体は、NK1 N127Aと比較して顕著に改善された安定性及び発現、つまり、より低い塩依存的安定性、約15℃の増加したTm、及び約40倍の改善された組換え発現収率を有し、これらはすべて魅力的な特性である。
4.1 組換えAras-4の生化学的及び生物学的特徴付け。配列分布、酵母表面発現レベル、及びMet-Fc結合に基づいて、3回目の指向性進化からのクローンのうちの5つをさらなる調査のために選択した。これらのクローンは、Aras-1、-2、-3、-4、及び-5と称された(米国特許第9,556,248号からの図14)。これらのクローンのそれぞれは、Aras-1を除いて、酵母Pichia pastorisにおいて十分に発現されることが分かった。
Aras-4をさらなる特徴付けのために選択した。CD温度融解によって決定されるように、それは高い熱的安定性を示した(Tm=64.9±1.2℃)。Aras-4は、MDCK細胞の培養物に加えられた場合、細胞Metを活性化せず、M2.2 D127Aまたは野生型NK1に基づくアンタゴニストNK1 N127Aより約5倍低い濃度で、MetのHGF誘導活性化を効果的に阻害した(米国特許第9,556,248号からの図15)。
4.2 共有結合二量体を形成するためのジスルフィド結合の導入。遊離システイン残基をM2.2 D127NのN末端に導入し、これは組換え発現時に単量体及び二量体種の形成をもたらした。シスチン結合二量体タンパク質(cdD127Nと称される)を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して単量体から精製した。還元及び非還元条件下でのcdD127NのSDS-PAGE分析は、二量体が共有結合のジスルフィド結合を介して形成されることを確認した。(米国特許第9,556,248号からの図16)。シスチン結合二量体M2.2 D127K(cdD127Kと称される)及びAras-4(cdAras-4と称される)ポリペプチドも生成した。
4.3 cdD127N、cdD127K、及びcdAras-4の生物学的活性。cdD127N及びcdD127Kは、野生型NK1と同様のアゴニスト活性を有するM2.2 D127N単量体よりも1桁低い濃度でアゴニスト活性を示した(米国特許第9,556,248号からの図17)。親単量体M2.2 D127Kがアンタゴニストであるため、cdD127Kのアゴニスト活性は驚くべきことである。同様に、共有結合がアンタゴニストAras-4をアゴニストに変換したcdAras-4の結果も驚くべきことである。観察されるアゴニスト活性のレベルは、全長HGFのものに近づくが、cdD127N、cdD127K、及びcdAras-4は、全長HGFに対して実質的に改善された安定性を有し、酵母において組換え発現され得る。
4.4 N末端システインのみがホモ二量体化を直接媒介する。NK1ホモ二量体の結晶構造に基づいて、127位が隣接するプロトマー上で近接していることが認識された。これは、この位置にシステイン残基を配置することによって共有結合ホモ二量体を形成する可能性を示唆した。この可能性を試験するために、残基D127をCysで置換したバリアントAras-4ポリペプチドを生成した。結果として生じるポリペプチドは、大部分は、図18(米国特許第9,556,248号から)に示すように、自発的またはフェナトロリン硫酸銅処理後のいずれかで二量体を産生することができなかった。
NK1及びバリアントのN末端に遊離システインを付加することによる共有結合に加えて、他の位置及びリンカーを試験した。(米国特許第9,556,248号からの図19)。遊離システイン、または遊離システインとシステインタグとの組み合わせ(Backer et al.(2006)Nat.Med.13(4):504-509)を、Aras-4バリアントのN末端またはC末端に結合させた。N末端の遊離システインのみが酵母における組換え発現時に二量体タンパク質をもたらした。
5.0 ヘパリンアルギン酸ペレットを含有するHGFバリアントポリペプチドの調製。アルギン酸カルシウムペレットは、活性及び貯蔵時間の保持が増強したため、HGFに安定したプラットフォームを提供し得、したがって、HGFバリアント放出を制御するためのデバイスとして使用することができる。ヘパリン-セファロースビーズ(Pharmacia LKB)は、紫外線下で30分間滅菌され、次いで濾過滅菌アルギン酸ナトリウムと混合され得る。次いで、混合スラリーを、CaCl2(1.5%重量/体積)の硬化溶液を含有するビーカー内に針を通して滴下することができる。ビーズがすぐに形成し得る。架橋カプセルエンベロープは、CaCl2溶液中のカプセルを穏やかな混合下で5分間、次いで混合せずに10分間インキュベートすることによって得ることができる。形成されたビーズを、滅菌水で洗浄し、0.9%NaCl-1mmol/LのCaCl2中に4℃で貯蔵することができる。HGF充填は、0.9%NaCl-1mmol/LのCaCl2-0.05%ゼラチン中の10個のカプセルを、12.5μg(10μg用量の場合)もしくは125μg(100μg用量の場合)、またはHGFバリアントと共に、4℃で穏やかな撹拌下で16時間インキュベートすることによって行うことができる。最終生成物は、紫外線下で30分間滅菌され得る。
実施例7.HGF/FGFの組み合わせを使用した角膜治療
ドーム状の眼の最も外側の組織として保護的な役割を果たしているにもかかわらず、通常透明な角膜は、損傷または疾患の結果として潰瘍化、瘢痕、及び混濁化を非常に起こしやすい。角膜の重度の損傷及び疾患では、主に対症手段であるが現在利用可能な多数の手段にもかかわらず、永久的な瘢痕及び視力低下が結果として生じることが多い。1末期角膜失明は、角膜の通常透明な層のうちの1つ以上の血管新生及び混濁化、その後の浮腫及び線維性瘢痕を特徴とする(図38)。眼表面のほぼすべての盲障害は、それが感染性(例えば、重度の角膜潰瘍またはヘルペス性角膜炎)、免疫媒介性(例えば、スティーブンス-ジョンソン症候群)、及びまたは外傷性(例えば、アルカリ熱傷)であるかにかかわらず、上皮欠損の治癒障害から始まり、不透明な角膜血管新生で終わる。血清点眼薬1及び羊膜2などの組織由来療法は、臨床的に広く使用されているが、両治療の分子組成及び根底にある機序は未だ明確に定義されていない。2逆に、上皮増殖因子(EGF)などの単一の組換え増殖因子は、臨床試験で失敗しており、3角膜創傷治癒を完全に支援するために多因子介入が必要であることを示唆している。この仮説と一致して、我々の予備データ4及び他のグループのデータは、傷ついた眼に適用されるヒト間葉幹細胞(MSC)の分泌因子(セクレトーム)が上皮化を加速し、動物モデルにおける血管新生及び瘢痕を抑制することを示している。5しかし、これらの効果の原因となる正確な因子は不明のままである。それらの治療可能性は否定できないが、眼表面へのMSCの直接投与は、実現が困難で予測不可能なことが多い。予備データに動機づけられて、MSCセクレトームの再生効果は、(i)上皮細胞増殖及び遊走を誘導する、ならびに(ii)角膜の血管新生及び瘢痕を抑制する経路に要約され得ると推論した。我々は、MSCセクレトームの創傷治癒効果から情報を得て始まった操作された治療用生体分子で構成される合理的に設計され定義されたコンビナトリアル局所療法を開発している。この定義された療法は、新規の操作されたHGF(eHGF)断片811を用いて組換え肝細胞増殖因子(rHGF)6、7の既知の栄養効果を改善し、それを線維芽細胞増殖因子(FGF)の新生血管及び線維化効果の操作されたアンタゴニストと組み合わせる。
図39に要約されるように、ヒアルロン酸(HA)及び硫酸コンドロイチン(CS)の粘弾性ゲル担体内に送達される骨髄由来のMSCのセクレトームの1日1回の適用だけで、ラットにおいて上皮創傷治癒が加速し、角膜アルカリ熱傷後の血管新生及び瘢痕を防止することが示されている。4組換えHGF(rHGF)は、角膜上皮創傷治癒を促進し、7動物において静脈内注射されたMSCの効果を再現することが示されている。6しかしながら、rHGFは製造が困難であり、水溶液中では比較的不安定であり、眼科使用に典型的に必要な高用量では極めて高価である。タンパク質操作方法は、野生型成長因子と比較して、安定性、アゴニスト活性、及び組換え発現収率が実質的に改善された、新規のHGF断片を作製するために使用されている。811
この実施例は、この操作されたHGF(eHGF)断片のみが、アルカリ熱傷後の角膜における上皮治癒を加速させる可能性があることを示す(図39)。加えて、細胞培養アッセイにおいて、FGF受容体(FGFR)アンタゴニストとして有望な属性を有するFGFのバリアントを開発するために、ハイスループットスクリーニングアプローチが行われた。FGFRアンタゴニストは、FGFが上流を調節することが知られている血管内皮増殖因子(VEGF)媒介性血管新生及び形質転換増殖因子(TGF)ベータ媒介性線維化効果を阻害することができる。12、13このHGF受容体アゴニスト及びFGFRアンタゴニストの組み合わせは、ラットにおける角膜アルカリ熱傷モデル及び予備研究において一緒に試験されており、MSCセクレトーム全体の創傷治癒、抗線維化、及び抗血管新生効果を顕著に再現するように思える(図40)。
この併用療法は、(1)遷延性角膜上皮欠損(PCED)、及び(2)角膜血管新生において使用できる可能性がある。PCEDは、眼の非治癒性潰瘍で、足の非治癒性(例えば、糖尿病性)潰瘍に等しい。PCEDは、上皮治癒及び欠損閉鎖のプロセスが遅延し、潰瘍、感染、瘢痕、穿孔、及び視力低下をもたらし得る角膜上皮欠損をもたらす場合に生じる。eHGF分子のみがPCEDに対処する可能性を有し、唯一の目標は、上皮びらん、摩耗、または潰瘍の閉鎖である。PCEDは、損傷、以前の眼の手術、感染(例えば、以前のヘルペス感染または重度の細菌性潰瘍)、または眼の疾患(重度のドライアイ疾患、糖尿病、眼瞼病理に起因する慢性露出、及び造血幹細胞移植後の眼移植片対宿主病などの基礎状態を含む)から生じ得る。PCED症例の50%超はドライアイ疾患及び糖尿病が原因であると推定される。1糖尿病は、全身組織修復障害に寄与し、角膜表面は温存されない。医療従事者にとって、糖尿病性角膜疾患及びドライアイ疾患に起因する上皮欠損を有する患者の管理は困難で、時間がかかり、費用及び資源集約的である。患者は、しばしば長引く疾患の治療のために繰り返し来院する必要がある。同様に、中等度から重度のドライアイ疾患の影響は、透析及び重度の狭心症などの状態と同等の範囲であり、著しい不快感、役割制限、低活力、及び全体的な健康不良に関連する。1、2全体的に、米国における年間の推定PCED数は、約73,434~99,465例である。20万未満であるので、PCED自体は、難病と見なされる。4現在の治療は、様々な結果をもたらし、侵襲的で高価であり、患者にとって不便であり得る。既存の承認された薬理療法がなく、PCEDは、大きな満たされていない医学的ニーズを表す。14
PCEDを治癒するための現在の治療は最適ではなく、潤滑剤、包帯(コンタクトレンズ、パッチ、及び侵襲的な外科グラフ)、ならびに自家血清、羊膜、及び臍帯液(umbilical fluid)を通して提供される内因性増殖因子からなる姑息な手段である。しかしながら、これらの治療は、角膜欠損を適時に完全に治癒させることができない場合がある。糖尿病性角膜上皮症では、糖尿病神経障害に起因する角膜感覚の低下が見られる。5治療用の液体充填アーチ形コンタクトレンズ及び瞼板縫合などの外科的介入も使用されている。新鮮凍結または凍結乾燥調製物の羊膜は、PCED上の所定の位置に縫合することができる。自家血清涙(患者自身の沈降血液から)は、眼表面に必須因子を提供することによって治癒を促進することが示されている。PCEDまたはひどく乾燥した眼表面の正確な原因にかかわらず、最終目標は、眼の損なわれた外上皮層を閉鎖し、治癒することである。このようにして、局所eHGF化合物単独は、より保存的な手段に不応で、根底にある原因が分からないPCEDを有する患者にとって魅力的な選択肢となるであろう。
eHGFと抗FGFRとの組み合わせに関して、Massachusetts Eye and Ear/Harvard Medical Schoolの研究で公表された4.14%の有病率の外挿に基づき、年間推定140万人の患者に影響を及ぼす角膜血管新生は、目標の必要性を満たしていない。FDA承認の治療がない異常な角膜血管新生は、典型的には、PCEDの後期もしくは重度の兆候、及び/または外傷もしくは疾患を介して角膜の周辺にある上皮幹細胞の喪失もしくは破壊として生じる。この典型例は、化学角膜熱傷であり、これは10万人当たり10.7人(すべての眼の外傷の11.5%~22.1%を表す)に影響を及ぼし、末梢幹細胞が重度に枯渇し、治癒の遅延及び角膜上への血管増殖につながる。化学熱傷、特にアルカリ熱傷は、ほぼ間違いなく眼が受け得る最も破壊的な損傷であり、ほぼ例外なく、現在利用可能なすべての(主に対症)手段にもかかわらず、角膜及び結膜の瘢痕化、角質化、混濁化 、及び血管新生により失明につながる。したがって、それは、提案されるeHGF/抗FGFR併用療法によって標的とされる複数の経路、ならびにそれらの組み合わせが血管新生及び線維症を阻害しながら上皮化を促進することが示されている確立された動物モデルの理想的な標的である(図40)。角膜化学熱傷の他にも、現在治療法はないが、スティーブンス-ジョンソン症候群、輪部幹細胞欠損、さらにはコンタクトレンズ過剰装用を含む、eHGF/抗FGFR併用技術によって潜在的に対処可能である他の多くの角膜血管新生の原因があり、これらのすべてが、根本的には、透明な無血管角膜とそれに隣接する高血管結膜組織との間の障壁の不全を表している。
方法:
動物
これらの実験において、雌の7~8週齢の野生型ラット(Charles River Laboratories)を使用した。ラットに麻酔をかけ、処置の前に、0.5mg/kgのブプレノルフィンSRを皮下に、そして0.5%のプロパラカイン塩酸塩を左眼に1滴投与した。
角膜損傷
直径4mmの1NのNaOH飽和濾紙を角膜の中央部に1分間適用し、続いて100mLの滅菌生理食塩水ですすぐことによって、アルカリ熱傷を行った。
増殖因子投与及び角膜創傷修復の評価
アルカリ熱傷の直後、白色及びコバルトブルー光条件下で角膜の写真画像を撮影した。蛍光色素を角膜表面に適用して、コバルトブルー光下の上皮欠損領域を評価した。
31匹のラットを、治療群当たり4~5匹のラットの7つの治療群に分けた。治療群には、陰性対照として滅菌生理食塩水、ヒアルロン酸ゲル(DisCoVisc)生理食塩水(HA/CS)混合物、生理食塩水懸濁液中0.01%eHGF、生理食塩水懸濁液中0.01%FGF-1アンタゴニスト、生理食塩水懸濁液中0.02%eHGF-FGF-1アンタゴニスト、HA/CSゲル中0.02%eHGF-FGF-1アンタゴニスト、及び生理食塩水懸濁液中0.01%eHGF、続いて1%酢酸プレドニゾロンが含まれた。損傷当日に写真を撮影した後、各ラットに、適切な物質の10μLの結膜下注射1回及び20μLの局所治療を1回施した。各ラットの結膜下治療及び局所治療は、結膜下注射が10μLのeHGFであり、局所治療が20μLのeHGF、続いて20μLの酢酸プレドニゾロンであったステロイド群の場合を除き、同じ物質及び濃度からなった。
写真を毎日撮影し、局所治療を1日1回、合計14日間施した。損傷後14日目に、最終的な写真を撮影し、ラットを安楽死させ、眼球除去を行った。上皮欠損の面積は、NIH ImageJソフトウェアを用いた毎日の写真の検査によって計算した。写真を使用して、角膜の混濁化及び血管新生を評価した。
免疫組織化学
眼球全体の凍結切片を固定した。切片を免疫染色し、共焦点顕微鏡で検査した。
RNA単離及びリアルタイムqPCR
全RNAを、RNeasy Micro Kitを使用して単離した。単離したRNAをcDNAに逆転写した。リアルタイムqPCRを行い、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、アルファ平滑筋アクチンのプライマー。結果を分析し、GAPDHに正規化した。
今後の研究:
機械的角膜損傷モデルにおける操作されたHGFの創傷治癒効果を特徴付け、制御する。リン酸化アッセイを使用して、血管内皮細胞で以前に行ったように、初代培養角膜上皮細胞のHGF受容体に対するeHGFの活性を確認及び解明する。8角膜上皮化に対するeHGF対rHGF及び全MSCセクレトームの濃度及び担体依存効果は、インビトロ及び臓器培養に基づく創傷治癒アッセイの両方を通して試験される。重度のドライアイ状態の誘導(別の箇所に記載される確立されたモデルを介して)または機械的デブリードマンモデルの両方の後にインビボで機械的損傷ラット角膜に送達されるヒアルロン酸ベースのゲル担体の有無にかかわらず、eHGFを評価し、rHGF及び全MSCセクレトームの創傷治癒効果に対してその濃度及び担体依存的影響を滴定することが計画される。
アルカリ角膜熱傷モデルにおける瘢痕及び血管新生を予防するために定義されたコンビナトリアル療法を最適化する。抗線維化剤をHGFの栄養効果と組み合わせることにより、MSCセクレトームの再生効果が再現されると予測される。HGF受容体のHGF媒介性活性化を介して上皮創傷治癒も促進しながら、角膜のアルカリ熱傷後に続く間質線維症及び血管新生を抑制する目的で、eHGFは、(a)操作されたFGFRアンタゴニスト、(b)抗VEGF剤ベバシズマブ、または(c)局所ステロイドと組み合わされる。これらの組み合わせを、インビボでアルカリ熱傷ラット角膜に送達されるヒアルロン酸ベースのゲル担体の有無にかかわらず試験し、それらを全MSCセクレトームの創傷治癒効果と比較することによって、それらの相対比を滴定する。上皮及び間質の完全性ならびに表現型、角膜の透明度、血管新生、及び炎症の臨床的及び組織学的証拠を、治療後の結果尺度として使用する。
実施例7で引用された参考文献:
1.Matsumoto Y,Dogru M,Goto E,et al.Autologous serum application in the treatment of neurotrophic keratopathy.Ophthalmology.2004;111(6):1115-1120.
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7.Miyagi H,Thomasy SM,Russell P,Murphy CJ.The role of hepatocyte growth factor in corneal wound healing.Exp Eye Res.2017.
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14.Rafii M,Chapin M.Identifying and filling the unmet need.Review of Ophthalmology.2015;May.

Claims (33)

  1. 遷延性角膜上皮欠損(PCED)の治療及び/または予防を必要とする対象においてそれを治療及び/または予防する方法であって、ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)バリアント及びヒト線維芽細胞増殖因子1(FGF1)バリアントを前記対象に投与し、それによって前記PCEDを治療及び/または予防することを含む、前記方法。
  2. 角膜血管新生の治療、低減、及び/または予防を必要とする対象においてそれを治療、低減、及び/または予防する方法であって、hHGFバリアント及びFGFバリアントを前記対象に投与し、それによって前記角膜血管新生を治療、低減、及び/または予防することを含む、前記方法。
  3. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み、結果として生じるFGF1バリアントが、配列番号1の野生型FGF1と比較して、増加したタンパク質分解安定性を示す、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記FGF1バリアントが、βループまたはC末端付近においてアミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記FGF1バリアントが、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)アンタゴニストである、請求項1~4に記載の方法。
  6. 前記FGF1バリアントが、28位、40位、47位、93位、または131位に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1~5に記載の方法。
  7. 前記FGF1バリアントが、D28N、Q40P、S47I、H93G、L131R、及びL131Kからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換L131Rを含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換L131Kを含む、請求項6に記載の方法。
  10. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換D28N及びL131Rを含む、請求項6に記載の方法。
  11. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換D28N及びL131Kを含む、請求項6に記載の方法。
  12. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換Q40P、S47I、H93G、及びL131Rを含む、請求項6に記載の方法。
  13. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換Q40P、S47I、H93G、及びL131Kを含む、請求項6に記載の方法。
  14. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換D28N、Q40P、S47I、H93G、及びL131Rを含む、請求項6に記載の方法。
  15. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換D28N、Q40P、S47I、H93G、及びL131Kを含む、請求項6に記載の方法。
  16. 前記FGF1バリアントが、アミノ酸置換L131Aを含まない、請求項6に記載の方法。
  17. 前記hHGFが、配列番号8の野生型hHGFと比較して、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項1~16に記載の方法。
  18. 前記hHGFバリアントが、62位、127位、137位、170位、または193位に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1~17に記載の方法。
  19. 前記hHGFバリアントが、K62E、N127D/A/K/R、K137R、K170E、及びN193Dからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1~18に記載の方法。
  20. 前記hHGFバリアントが、アミノ酸置換K62E、N127D/A/K/R、K137R、K170E、及びN193Dを含む、請求項1~19に記載の方法。
  21. 前記hHGFバリアントが、Metのアンタゴニストである、請求項1~20に記載の方法。
  22. 前記hHGFバリアントが、Metのアゴニストである、請求項1~20に記載の方法。
  23. 前記hHGFバリアントが、検出可能な部分、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、治療部分、標的化部分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーにコンジュゲートされる、請求項1~22に記載の方法。
  24. 前記hHGFバリアントが、64位、77位、95位、125位、130位、132位、142位、148位、154位、及び173位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む、請求項1~22に記載の方法。
  25. 前記hHGFバリアントが、図41)に提供される米国特許第9,556,248号からの配列番号2~22からなる群から選択される配列を含む、請求項1~22に記載の方法。
  26. 前記hHGFバリアントが、アミノ酸置換K62E、Q95R、I125T、N127D/A/K/R、I130V、K132N/R、K137R、K170E、Q173R、及びN193Dを含む、請求項1~22に記載の方法。
  27. 前記hHGFバリアントが、64位、77位、142位、148位、及び154位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記hHGFバリアントが、アミノ酸置換K62E、Q95R、K132N、K137R、K170E、Q173R、及びN193Dを含む、請求項1~22に記載の方法。
  29. 前記hHGFバリアントが、64位、77位、125位、127位、130位、142位、148位、及び154位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記hHGFバリアントが、アミノ酸置換K62E、Q95R、N127D/A/K/R、K132N/R、K137R、K170E、Q173R、及びN193Dを含む、請求項1~22に記載の方法。
  31. 前記hHGFバリアントが、64位、77位、125位、130位、142位、148位、及び154位のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記hHGFバリアントが、配列番号2~22からなる群から選択される配列を含む、請求項1~31に記載の方法。
  33. 前記HGFバリアントが、アゴニストであり、前記FGF1バリアントが、アンタゴニストである、請求項1~31に記載の方法。
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