JP2022513025A - 安定化された融合前rsv fタンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、安定な融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)Fタンパク質、前記タンパク質を含む免疫原性組成物、並びにRSV感染の予防及び/又は処置のためのそれらの使用を提供する。

Description

本発明は、医薬の分野に関する。本発明は、特に、組換え融合前RSV Fタンパク質、このRSV Fタンパク質をコードする核酸分子、及び例えばワクチンでのその使用に関する。
1950年代に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が発見されると、このウイルスは、直ちにヒトにおける上下気道感染症に関連した認定病原体になった。世界中で毎年6400万件のRSV感染が発生し、その結果、160,000人が死亡していると推定されている(WHO Acute Respiratory Infections Update September 2009)。最も重篤な疾患が生じるのは、特に、未熟児、高齢者、及び免疫無防備状態の個体である。2歳未満の小児では、RSVが最も一般的な気道病原体であり、呼吸器感染症による入院の約50%を占め、入院のピークは2~4カ月齢で生じる。小児のほぼ全てが2歳までにRSVに感染したことがあるとの報告がある。生涯にわたり繰り返し感染することは、自然免疫が効果を有さないことに起因する。高齢者では、RSV疾患の負担は、非汎発性のインフルエンザA感染により引き起こされるものと類似している。
RSVは、ニューモウイルス(pneumoviridae)亜科に属するパラミクソウイルスである。RSVのゲノムは、中和抗体の主要な抗原標的であるRSV糖タンパク質(G)及びRSV融合(F)タンパク質として既知の膜タンパク質を含む様々なタンパク質をコードする。F1タンパク質の融合媒介部に対する抗体は、細胞へのウイルス取り込みを防止し得、そのため中和作用を有する。
RSV Fは、不可逆性タンパク質が不安定な融合前コンフォメーションから安定した融合後コンフォメーションにリフォールディングすることにより、ウイルスと宿主細胞膜とを融合する。両方のコンフォメーションの構造が、RSV F(McLellan JS, et al.(2010,2013,2013);Swanson KA, et al.(2011))、及び関連するパラミクソウイルスからの融合タンパク質に関して決定されており、この融合タンパク質の複雑なメカニズムに関する洞察がもたらされている。他のI型融合タンパク質のように、不活性な前駆体、RSV F0は、フーリン様プロテアーゼにより細胞内成熟中に切断される必要がある。RSV Fは2つのフーリン切断部位を有し、それにより3つのタンパク質:F2、p27、及びF1に分けられ、F1はそのN末端に疎水性融合ペプチド(FP)を含む。融合前コンフォメーションから融合後コンフォメーションにリフォールディングするために、FP及びヘプタッドリピートA(HRA)を含む残基137~216のリフォールディング領域1(RR1)は、へリックス、ループ、及びストランドのアセンブリから長い連続へリックスに変形する必要がある。RR1のN末端セグメントに位置するFPは、その後、ウイルス膜から伸びて標的細胞の近位膜に入ることができる。次に、融合前FスパイクにおいてC末端ステムを形成し、且つヘプタッドリピートB(HRB)を含むリフォールディング領域2(RR2)が、RSV Fヘッドの他方の側に位置を変え、HRAコイルドコイルトリマーをHRBドメインと結合させて、6へリックスバンドルを形成する。6へリックスバンドルを完成するためのRR1コイルドコイルの形成及びRR2の移動は、リフォールディングの過程で起こる最も劇的な構造変化である。
現在、RSV感染に対するワクチンは未だ入手不能であるが、疾患による高い負担のために非常に要望されている。RSV融合糖タンパク質(RSV F)は、ヒト血清中の中和抗体の主要な標的であることから、魅力的なワクチン抗原である。ヒトの血清中の大半の中和抗体は、融合前コンフォメーションに対するものであるが、不安定さに起因して、融合前コンフォメーションは、溶液中及びビリオン表面上の両方で融合後コンフォメーションに早期にリフォールディングする傾向がある。上記のように、結晶構造から、融合前状態と融合後状態との間にコンフォメーションの大きな変化があることが明らかになっている。再配列の規模から、RSV-Fの融合後コンフォメーションに対する抗体の一部しか、ウイルス表面上で融合前スパイクの生得コンフォメーションと交差反応し得ないことが示唆された。従って、RSVに対するワクチンを作製する努力は、RSV Fタンパク質の融合前形態を含むワクチンの開発に焦点が当てられている(例えば、国際公開第20101149745号パンフレット、同第2010/1149743号パンフレット、同第2009/1079796号パンフレット、同第2012/158613号パンフレットを参照されたい)が、今日まで、依然としてワクチンは入手不能である。
従って、RSVに対する効果的なワクチン(特に、融合前コンフォメーションのRSV Fタンパク質を含むワクチン)が依然として要望されている。本発明は、RSVに対するワクチン接種での使用のためのそのような安定な融合前RSV Fタンパク質を得るための手段を提供することを目的とする。
本発明は、安定な組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質(即ち、融合前コンフォメーションで安定化されている組換えRSV Fタンパク質)及びその断片を提供する。この融合前RSV Fタンパク質又はその断片は、例えば、このタンパク質に対する、融合前コンフォメーションに特異的に抗体の特異的結合により決定された場合に、融合前コンフォメーションのFタンパク質に特異的な少なくとも1つのエピトープを含む。ある特定の実施形態では、この融合前RSV Fタンパク質は、可溶性の多量体(例えば三量体)タンパク質である。本発明はまた、融合前RSV Fタンパク質又はその断片をコードする核酸分子、及びそのような核酸分子を含むベクター(例えばアデノベクター)も提供する。
本発明はまた、融合前コンフォメーションのRSV Fタンパク質を安定化させる方法、及び前記方法により得られる融合前RSV Fタンパク質にも関する。
本発明は、さらに、本明細書で説明されている、RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターを含む組成物、好ましくは免疫原性組成物、並びにRSV Fタンパク質に対する免疫応答の誘導でのその使用、特にRSVに対するワクチンとしてのその使用、に関する。本発明はまた、対象に抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)免疫応答を誘導する方法であって、本明細書で説明されている、有効な量の融合前RSV Fタンパク質、前記RSV Fタンパク質をコードする核酸分子、及び/又は前記核酸分子を含むベクターを対象に投与することを含む方法にも関する。好ましくは、誘導される免疫応答は、RSVに対する中和抗体及び/又はRSVに対する防御免疫の誘導を特徴とする。特定の態様では、本発明は、対象に抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)F抗体を誘導する方法であって、本明細書で説明されている、融合前RSV Fタンパク質、前記RSV Fタンパク質をコードする核酸分子、及び/又は前記核酸分子を含むベクターを含む有効な量の免疫原性組成物を対象に投与することを含む方法に関する。
実施例で説明されているサブグループA RSV Fタンパク質変異体の構築に使用されたRSV サブグループAのRSV Fタンパク質の外部ドメインのコンセンサスアミノ酸配列を示す。この前駆体ポリペプチドは、リンカーと、フォールドン(foldon)三量化ドメイン(下線を引いている)とを有するC末端伸張を含む。このコンセンサスRSV F配列は、野生型(非継代)群A RSV F配列に非常に類似している(Kumaria et al.2011)。 実施例で説明されているサブグループB RSV Fタンパク質変異体の構築に使用されたサブグループBのRSV Fタンパク質の外部ドメインのコンセンサスアミノ酸配列を示す。この前駆体ポリペプチドは、リンカーと、フォールドン三量化ドメイン(下線を引いている)とを有するC末端伸張を含む。このコンセンサスRSV F配列は、野生型(非継代)RSV F配列に非常に類似している(Kumaria et al.2011)。 図3:サブタイプAのコンセンサスF及びそのバリアントの融合前Fの安定性。実施例1で説明されているトランスフェクトされた細胞の上清における融合前コンフォメーションのFタンパク質の含有量を測定した。トランスフェクトされた細胞の上清を回収し、4℃で保存し、保存の1日目、4日目、11日目、及び18日目に、融合前Fタンパク質含有量に関して試験した。減衰曲線は、変異I79M、P101S、P101Q、P101T、I152V、又はQ354Lが、単一のD486N変異を含む、既に説明されている安定化されたサブタイプA Fタンパク質(国際公開第2017/005844号パンフレットで説明されている)と比較して融合前Fタンパク質を安定化させることを示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) サブタイプBのコンセンサスF及びそのバリアントの融合前Fの安定性。実施例1で説明されているトランスフェクトされた細胞の上清における融合前コンフォメーションのFタンパク質の含有量を測定した。トランスフェクトされた細胞の上清を回収し、4度で保存し、保存の1日目、4日目、11日目、及び18日目に、融合前Fタンパク質含有量に関して試験した。減衰曲線は、変異T152M及びK226Mが、サブタイプB F-D486N(国際公開第2017/005844号パンフレットで説明されている)と比較して融合前Fタンパク質を安定化させることを示す。 図5:RSV pre-F(RSV180305;配列番号20)の精製。このバリアントは、D486N置換と、融合前コンフォメーションをさらに安定化させる、本発明に係る2つの追加の置換(P101Q及びI152V)とを含み、RSV pre-F(RSV172527;配列番号21)の精製物は、変異S46G、L203I、S215P、T357R、N371Y、D486N、及びD489Yにより融合前コンフォメーションで安定しており、且つ本発明に係る追加の変異P101Q及びI152Vを含んでいた。(A)及び(B):RSV180305は、C末端C-タグを含み、実施例2で説明されているようにHek293細胞 300mlから精製された。矢印は、プールされた画分を示す(図5Bを参照されたい)。精製されたRSV180305(C)及びRSV172527(D)を、4週にわたる4℃での保存後に、SEC-MALSで分析した。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) 非還元条件下(レーン2)及び還元条件下(レーン4)でのSECクロマトグラムからのプールされたピークを含むタンパク質サンプルであるRSV172527(配列番号21)のSDS-PAGE分析。ゲルを、クマシーブリリアントブルーで染色する。 図7:精製されたpre-Fタンパク質RSV180305(配列番号20)及びRSV172527(配列番号21)のELISAを、対照融合前Fタンパク質RSV150042(配列番号22)(例えば、国際公開第2017/174568号パンフレットで説明されているPRPM)と比較し、RSV Fの融合前コンフォメーションに特異的なモノクローナル抗体CR9501及びCR9502(それぞれ国際公開第WO2012/006596号パンフレットで説明されている抗体58C5及び30D8の可変領域を含む)への結合と、RSV Fの融合前コンフォメーション及び融合後コンフォメーションの両方に結合し、且つ配列番号25を含む重鎖可変領域及び配列番号26を含む軽鎖可変領域を含むMab CR9506への結合とに関して試験した。平均±SEとしてプロットした。 (上記の通り。) 精製されたpre-Fタンパク質(A)RSV180305及び(B)RSV172527の温度安定性。融解温度(Tm℃)を、SyproOrange蛍光染料による示差走査蛍光定量法(DSF)アッセイにより決定した(実施例5で説明されている)。
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の融合タンパク質(Fタンパク質)は、ウイルス膜と宿主細胞膜との融合に関与し、この融合は、感染に必要とされる。RSV F mRNAは、F0と称される574個のアミノ酸の前駆体タンパク質に翻訳され、この前駆体タンパク質は、N末端に、小胞体内のシグナルペプチダーゼにより除去されるシグナルペプチド配列(例えば、配列番号13又は14のアミノ酸残基1~26)を含む。F0は、細胞プロテアーゼ(特に、フーリン又はフーリン様プロテアーゼ)により2つの部位(アミノ酸残基109/110間及び136/137間)で切断され、アミノ酸残基110~136を含む短いグリコシル化介在配列(p27領域とも呼ばれる)が除去され、F1及びF2と称される2つのドメイン(又はサブユニット)が生成される。F1ドメイン(アミノ酸残基137~574)は、そのN末端に疎水性融合ペプチドを含み、C末端に膜貫通(TM)(アミノ酸残基530~550)領域及び細胞質領域(アミノ酸残基551~574)を含む。F2ドメイン(アミノ酸残基27~109)は、2つのジスルフィド架橋によりF1に共有結合している。F1-F2ヘテロ二量体は、ビリオン中でホモ三量体として集合している。
上記のように、現在、RSV感染に対するワクチンは未だ入手不能である。ワクチンの作製に有望な1つのアプローチは、精製されたRSV Fタンパク質に基づくサブユニットワクチンを作製することである。しかしながら、このアプローチの場合には、精製されたRSV Fタンパク質が、例えば、RSV Fタンパク質に対する融合前コンフォメーションに特異的な抗体へのRSV Fタンパク質の特異的結合により決定された場合に、RSV Fタンパク質の融合前状態のコンフォメーションに類似するコンフォメーションであり、且つ経時的に安定している(即ち、融合前コンフォメーションのままである)こと、及び十分な量で作製され得ることが望ましい。加えて、可溶性のサブユニットベースのタンパク質ワクチンの場合には、RSV Fタンパク質を、膜貫通(TM)領域及び細胞質領域の欠失により短縮して、可溶性分泌型Fタンパク質(sFタンパク質)を生成する必要がある。TM領域は、膜アンカリングに関与し、且つ安定性を増加させることから、アンカーなしの可溶性Fタンパク質は、完全長タンパク質と比べてかなり不安定であり、融合後最終状態に容易にリフォールディングするであろう。そのため、高い発現レベル及び高い安定性を示す安定な融合前コンフォメーションの可溶性Fタンパク質を得るためには、融合前コンフォメーションを安定化する必要がある。また、完全長(膜結合した)RSV Fタンパク質は準安定でもあることから、融合前コンフォメーションの安定化は、完全長RSV Fタンパク質(即ち、TM及び細胞質領域を含む)にも望ましく、例えば、任意の弱毒化生ワクチン又はベクターベースのワクチンのアプローチにも望ましい。
融合前コンフォメーションでの、F1サブユニット及びF2サブユニットに切断される可溶性RSV Fの安定化のために、この可溶性RSV-F C末端のC末端に、フィブリチン(fibritin)ベースの三量化ドメインが融合された(McLellan et al.,(2010,2013))。このフィブリチンドメイン又は「フォールドン」は、T4フィブリチンに由来しており、以前は人工的な天然三量化ドメインと説明された(Letarov et al.,(1993);S-Guthe et al.,(2004))。しかしながら、この三量化ドメインの融合のみでは、融合前RSV-Fタンパク質は安定化しない(Krarup et al.,(2015))。実際に、これらの努力では、ヒトでの試験に適した候補を未だ得るに至っていない。
最近、本発明者らは、融合前コンフォメーションのRSV Fタンパク質を安定化するいくつかの変異の組み合わせを説明した(例えば、国際公開第2014/174018号パンフレット及び同第2014/202570号パンフレット)。そのため、例えば、215位のアミノ酸残基の変異(好ましくは、215位のアミノ酸SのPへの変異)を含む安定な融合前RSV Fタンパク質が説明されている。加えて、短縮されたF1ドメインと、215位のアミノ酸残基の変異(好ましくは、215位のアミノ酸残基SのPへの変異)とを含む可溶性融合前RSV Fタンパク質であって、前記短縮されたF1ドメインに結合した異種三量化ドメインを含むタンパク質が説明されている。追加の融合前RSV Fタンパク質であって、任意選択的に215位での変異との組み合わせで、1つ又は複数の他の安定化変異(例えば、486位のアミノ酸残基DのNへの変異、203位のアミノ酸残基LのIへの変異、357位のアミノ酸残基TのK若しくはRへの変異、及び/又は371位のアミノ酸残基NのYへの変異)を含むタンパク質が説明されている。さらなる融合前RSV Fタンパク質であって、1つ又は複数の他の変異(例えば、489位のアミノ酸残基DのYへの変異、398位のアミノ酸残基SのLへの変異、及び/又は394位のアミノ酸KのRへの変異)をさらに含むタンパク質が説明されている。
本発明は、1つ又は複数の安定化アミノ酸を含む新規の組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質であって、この1つ又は複数の安定化アミノ酸は、任意選択的に486位の安定化アミノ酸との組み合わせで、79位、101位、152位、226位、及び/又は354位に存在している、新規の組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質を提供する。本発明によれば、任意選択的に486位のアミノ酸残基Nの存在との組み合わせでの、79位、101位、152位、354位、及び/又は226位(配列番号13又は14に従うナンバリング)の1つ又は複数の特定の安定化アミノ酸の存在により、融合前コンフォメーションのタンパク質が安定化されことが発見されている。
本発明によれば、示された位置での特定の安定化アミノ酸の存在により、融合前コンフォメーションのタンパク質の安定性が増加することが実証されている。本発明によれば、この特定のアミノ酸は、アミノ酸配列中に既に存在し得るか、又はこの位置のアミノ酸の本発明に係る特定のアミノ酸への置換(変異)により導入され得る。
ある特定の実施形態では、本発明は、RSV Fタンパク質のアミノ酸配列を含む組換えFタンパク質であって、79位のアミノ酸は、Mであり、101位のアミノ酸は、S、Q、若しくはTであり、152位のアミノ酸は、V若しくはMであり、226位のアミノ酸は、Mであり、及び/又は354位のアミノ酸は、Lであり、任意選択的に、486位のアミノ酸は、Nである、組換えFタンパク質を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、RSV Fタンパク質のアミノ酸配列を含む、RSV サブグループAの組換えFタンパク質であって、79位のアミノ酸は、Mであり、101位のアミノ酸は、S、Q、若しくはTであり、152位のアミノ酸は、V若しくはMであり、及び/又は354位のアミノ酸は、Lであり、任意選択的に、486位のアミノ酸は、Nである、組換えFタンパク質を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、RSV Fタンパク質のアミノ酸配列を含む、RSV サブグループBの組換えFタンパク質であって、152位のアミノ酸は、V若しくはMであり、及び/又は226位のアミノ酸は、Mであり、任意選択的に、486位のアミノ酸は、Nである、組換えFタンパク質を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、任意選択的に486位のアミノ酸の変異との組み合わせで、79位のアミノ酸残基の変異、101位のアミノ酸残基の変異、152位のアミノ酸残基の変異、226位のアミノ酸残基の変異、及び354位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される1つ又は複数の安定化変異を含む組換え融合前Fタンパク質を提供する。
具体的な実施形態では、本発明は、79位のアミノ酸残基の変異、101位のアミノ酸残基の変異、152位のアミノ酸残基の変異、354位のアミノ酸残基の変異、及び226位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される1つ又は複数の安定化変異との組み合わせで、486位のアミノ酸残基の変異(好ましくは、486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N))を含む組換え融合前Fタンパク質を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、任意選択的に486位のアミノ酸残基の変異(好ましくは、486位のアミノ酸残基DのNへの変異(D486N))との組み合わせで、79位のアミノ酸残基の変異、101位のアミノ酸残基の変異、152位のアミノ酸残基の変異、及び354位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される1つ又は複数の安定化変異を含む、RSV サブグループAの組換え融合前Fタンパク質を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、任意選択的に486位のアミノ酸残基の変異(好ましくは、486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N))との組み合わせで、152位のアミノ酸残基の変異、及び/又は226位のアミノ酸残基の変異を含む、RSV サブグループBの組換え融合前Fタンパク質を提供する。
ある特定の実施形態では、79位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸イソロイシン(I)のメチオニン(M)への変異(I79M)である。
ある特定の実施形態では、101位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸プロリン(P)のセリン(S)、グルタミン(Q)、又はトレオニン(T)への変異(P101S、P101Q、又はP101T)である。
ある特定の実施形態では、152位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸イソロイシン(I)のバリン(V)又はメチオニン(M)への変異(I152V又はI152M)である。
ある特定の実施形態では、354位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸グルタミン(Q)のロイシン(L)への変異(Q354L)である。
ある特定の実施形態では、226位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸リシン(K)のメチオニン(M)への変異(K226M)である。
ある特定の実施形態では、融合前Fタンパク質は、下記からなる群から選択される1つ又は複数の追加の安定化変異を含む:
(a)46位のアミノ酸残基SのGへの変異;
(b)203位のアミノ酸残基LのIへの変異;
(c)215位のアミノ酸残基SのPへの変異
(d)357位のアミノ酸TのKへの変異;
(e)371位のアミノ酸NのYへの変異;
(f)487位のアミノ酸残基EのQ,N、又はIへの変異;
及び
(g)489位のアミノ酸残基DのYへの変異。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、2つ以上の安定化アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、2つ以上の安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、3つ以上の安定化アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、3つ以上の安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、4つ以上の安定化アミノ酸又は安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、5つ以上の安定化アミノ酸又は安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、6つ以上の安定化アミノ酸又は安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、7つ以上の安定化アミノ酸又は安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、8つ以上の安定化アミノ酸又は安定化変異を含む。
ある特定の実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、9つ以上の安定化アミノ酸又は安定化変異を含む。
好ましい実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、RSV サブグループA由来であり、且つ任意選択的に46位のアミノ酸残基SのGへの変異、203位のアミノ酸残基LのIへの変異、215位のアミノ酸残基SのPへの変異、357位のアミノ酸残基TのRへの変異、371位のアミノ酸残基NのYへの変異、486位のアミノ酸残基DのNへの変異、及び489位のアミノ酸残基DのYへの変異との組み合わせで、101位のアミノ酸PのQへの変異、及び152位のアミノ酸IのVへの変異を少なくとも含む。
好ましい実施形態では、組換え融合前Fタンパク質は、RSV サブグループB由来であり、且つ任意選択的に46位のアミノ酸残基SのGへの変異、203位のアミノ酸残基LのIへの変異、215位のアミノ酸残基SのPへの変異、357位のアミノ酸残基TのRへの変異、371位のアミノ酸残基NのYへの変異、486位のアミノ酸残基DのNへの変異、及び489位のアミノ酸残基DのYへの変異との組み合わせで、152位のアミノ酸IのMへの変異、及び226位のアミノ酸KのMへの変異を少なくとも含む。
そのため、本発明は、新規の安定な組換え融合前RSV Fタンパク質(即ち、融合前コンフォメーションで安定化されているRSV Fタンパク質)又はその断片を提供する。本発明の安定な融合前RSV Fタンパク質又はその断片は、融合前コンフォメーションで存在し、即ち、このタンパク質又はその断片は、融合前コンフォメーションFタンパク質に特異的な少なくとも1つのエピトープを含む(提示する)。融合前コンフォメーションFタンパク質に特異的なエピトープは、融合後コンフォメーションでは存在しないエピトープである。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、RSV Fタンパク質の融合前コンフォメーションは、天然RSVビリオンで発現されるRSV Fタンパク質のものと同一のエピトープを含み得、従って、予防的中和抗体を誘発するという利点を備え得ると考えられる。
ある特定の実施形態では、本発明の融合前RSV Fタンパク質又はその断片は、配列番号1の重鎖CDR1領域、配列番号2の重鎖CDR2領域、配列番号3の重鎖CDR3領域、並びに配列番号4の軽鎖CDR1領域、配列番号5の軽鎖CDR2領域、及び配列番号6の軽鎖CDR3領域を含む融合前特異的モノクローナル抗体(以降、CR9501と称される)並びに/又は配列番号7の重鎖CDR1領域、配列番号8の重鎖CDR2領域、配列番号9の重鎖CDR3領域、並びに配列番号10の軽鎖CDR1領域、配列番号11の軽鎖CDR2領域、及び配列番号12の軽鎖CDR3領域を含む融合前特異的モノクローナル抗体(CR9502と称される)により認識される少なくとも1つのエピトープを含む(表2)。CR9501及びCR9502は、それぞれ抗体58C5及び30D8の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、そのためこれらの抗体の結合特異性を有するが、これらの抗体は、融合後コンフォメーションではなく融合前コンフォメーションのRSV Fタンパク質に特異的に結合することが既に分かっている(国際公開第2012/006596号パンフレットを参照されたい)。
本発明はまた、RSV Fタンパク質の融合前コンフォメーションを安定化させる方法であって、このRSV Fタンパク質に1つ又は複数の安定化変異を導入することであり、この1つ又は複数の安定化変異は、任意選択的に486位のアミノ酸の変異(好ましくは、486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N))との組み合わせで、79位のアミノ酸の変異、101位のアミノ酸残基の変異、152位のアミノ酸残基の変異、354位のアミノ酸残基の変異、及び226位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される、導入することを含む方法も提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、サブグループAのRSV Fタンパク質を安定化させる方法であって、任意選択的に486位のアミノ酸の変異(好ましくは、486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N))との組み合わせで、79位のアミノ酸の変異、101位のアミノ酸残基の変異、及び354位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される1つ又は複数の安定化変異を導入することを含む方法を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、サブグループBのRSV Fタンパク質を安定化させる方法であって、任意選択的に486位のアミノ酸の変異(好ましくは、486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N))との組み合わせで、152位のアミノ酸の変異、及び/又は226位のアミノ酸残基の変異を導入することを含む方法を提供する。
ある特定の実施形態では、79位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸イソロイシン(I)のメチオニン(M)への変異(I79M)である。
ある特定の実施形態では、101位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸プロリン(P)のセリン(S)、グルタミン(Q)、又はトレオニン(T)への変異(P101S、P101Q、又はP101T)である。
ある特定の実施形態では、152位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸イソロイシン(I)のバリン(V)又はメチオニン(M)への変異(I152V又はI152M)である。
ある特定の実施形態では、354位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸グルタミン(Q)のロイシン(L)への変異(Q354L)である。
ある特定の実施形態では、226位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸リシン(K)のメチオニン(M)への変異(K226M)である。
ある特定の実施形態では、この方法は、下記からなる群から選択される1つ又は複数の追加の安定化変異を導入することを含む:
(a)46位のアミノ酸残基SのGへの変異;
(b)203位のアミノ酸残基LのIへの変異;
(c)215位のアミノ酸残基SのPへの変異
(d)357位のアミノ酸TのKへの変異;
(e)371位のアミノ酸NのYへの変異;
(f)487位のアミノ酸残基EのQ,N、又はIへの変異;
及び
(g)489位のアミノ酸残基DのYへの変異。
ある特定の実施形態では、この方法は、2つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、3つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、4つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、5つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、6つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、7つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、8つ以上の安定化変異を導入することを含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、9つ以上の安定化変異を導入することを含む。
好ましい実施形態では、RSV Fタンパク質は、サブグループA由来であり、且つこの方法は、101位のアミノ酸PのQへの変異、及び152位のアミノ酸IのVへの変異を少なくとも導入することを含む。
別の好ましい実施形態では、RSV Fタンパク質は、サブグループB由来であり、且つこの方法は、152位のアミノ酸TのMへの変異、及び226位のアミノ酸KのMへの変異を少なくとも導入することを含む。
本発明は、さらに、前記方法により得られる組換え融合前RSV Fタンパク質、及び本明細書で説明されているその使用を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明の組換え融合前RSV Fタンパク質は、三量体タンパク質である。
上記のように、融合前RSV Fタンパク質の断片もまた、本発明に含まれる。この断片を、アミノ末端欠失(例えば、シグナル配列を切断することによる)並びにカルボキシ末端欠失(例えば、膜貫通領域及び/若しくは細胞質側末端を欠失させることによる)のいずれかから得ることができるか、又はその両方から得ることができる。この断片は、Fタンパク質の免疫学的に活性な断片(即ち、対象に免疫応答を生じさせる部分)を含むように選択され得る。このことは、当業者には全て慣例である、インシリコ、インビトロ、及び/又はインビボの方法を使用して容易に決定され得る。
ある特定の実施形態では、本発明に係るコード化タンパク質又はその断片は、配列番号13又は14のアミノ酸1~26に対応するシグナル配列(リーダー配列又はシグナルペプチドとも称される)を含む。シグナル配列は、典型的には、分泌経路に向かう新たに合成されたタンパク質の大部分のN末端に存在する短い(例えば、5~30個のアミノ酸の長さ)アミノ酸配列であり、典型的には、シグナルペプチダーゼにより切断されて、遊離シグナルペプチド及び成熟タンパク質が生成される。
ある特定の実施形態では、本発明に係るタンパク質又はその断片は、シグナル配列を含まない。
ある特定の実施形態では、融合前RSV Fタンパク質(その断片)は、可溶性タンパク質である(即ち、膜結合しない)。ある特定の実施形態では、本発明に係る安定な融合前RSV Fタンパク質又はその断片は、短縮されたF1ドメインを含み、且つ前記短縮されたF1ドメインに結合した異種三量化ドメイン又は三量体のより高次の集合のためのアセンブリドメインを含む。本発明によれば、本明細書で説明されている安定化変異の内の1つ又は複数と組み合わされた、短縮されたF1ドメインのC末端アミノ酸残基への異種三量化ドメインの結合により、高発現を示し且つ融合前特異的抗体に結合する可溶性のRSV Fタンパク質が提供されることが示され、このことは、このタンパク質が融合前コンフォメーションであることを示す。
ある特定の実施形態では、異種三量化ドメインは、アミノ酸配列GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号15)を含む。
上記のように、ある特定の実施形態では、本発明のタンパク質又はその断片は、短縮されたF1ドメインを含む。本明細書で使用される場合、「短縮された」F1ドメインは、完全長F1ドメインではないF1ドメイン(即ち、N末端又はC末端で1つ又は複数のアミノ酸残基が欠失しているF1ドメイン)を指す。本発明によれば、少なくとも膜貫通ドメイン及び細胞質側末端は、可溶性細胞外ドメインとしての発現を可能にするために欠失している。
ある特定の実施形態では、三量化ドメインは、RSV F1ドメインのアミノ酸残基513に結合している。そのため、ある特定の実施形態では、三量化ドメインは、配列番号15を含み、且つRSV F1ドメインのアミノ酸残基513に直接的に又はリンカーを介して結合している。
ある特定の実施形態では、本発明の融合前RSV Fタンパク質の発現レベルは、野生型RSV Fタンパク質及び/又は486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N)を含むRSV Fタンパク質と比較して上昇している。ある特定の実施形態では、融合前含有量(融合前特異的CR9501抗体に結合するFタンパク質の割合として定義される)は、前記安定化置換が行なわれていない野生型Fタンパク質と比較して、タンパク質の回収後5~10日で有意に高かった。
本発明に係る融合前RSV Fタンパク質は、安定化アミノ酸の内の1つ又は複数の存在(既に存在しているか、又は変異により導入されている)により、融合前コンフォメーションで安定化されており、即ち、タンパク質のプロセシング(例えば、精製、凍結融解サイクル、及び/又は保存等)時に、融合後コンフォメーションへと容易に変化しない。
ある特定の実施形態では、本発明に係る融合前RSV Fタンパク質は、変異がないRSV Fタンパク質と比較して、4℃での保存時の安定性が増大している。ある特定の実施形態では、このタンパク質は、4℃での保存時に、少なくとも15日にわたり、好ましくは少なくとも18日にわたり、好ましくは少なくとも30日にわたり、好ましくは少なくとも60日にわたり、好ましくは少なくとも6ヶ月にわたり、より一層好ましくは少なくとも1年にわたり、安定である。「保存時に安定な」とは、タンパク質が、少なくとも30日にわたる4℃での溶液(例えば、培地)中におけるこのタンパク質の保存時に、融合前特異的抗体(例えば、CR9501及び/又はCR9502)に特異的な少なくとも1つのエピトープを依然として提示することを意味する。ある特定の実施形態では、このタンパク質は、4℃での融合前RSV Fタンパク質の保存時に、少なくとも6ヶ月にわたり、好ましくは少なくとも1年にわたり、少なくとも1つの融合前特異的エピトープを提示する。
ある特定の実施形態では、本発明に係る融合前RSV Fタンパク質は、前記変異がないRSV Fタンパク質と比較して、実施例6で説明されているように溶融温度を測定して決定された熱安定性が増大している。
ある特定の実施形態では、このタンパク質は、適切な製剤緩衝液中での1~6回の凍結融解サイクルに供された後も、少なくとも1つの融合前特異的エピトープを提示する。
ある特定の実施形態では、このタンパク質は、HIS-Tag、strep-タグ、又はc-タグを含む。His-Tag又はポリヒスチジン-タグは、少なくとも5つのヒスチジン(H)残基からなる、タンパク質中のアミノ酸モチーフであり;strep-タグは、8つの残基からなるアミノ酸配列であり(WSHPQFEK(配列番号23));c-タグは、4つの残基からなるアミノ酸モチーフである(EPEA;配列番号24)。タグは、タンパク質のN末端又はC末端に存在することが多く、一般的には精製目的に使用される。
RSVは、2つの抗原性サブグループ:A及びBを有する単一血清型として存在することが知られている。2つのグループのプロセシングされた成熟Fタンパク質のアミノ酸配列は、約93%同一である。本出願全体を通して使用される場合、アミノ酸の位置は、サブグループA(配列番号13)又はサブグループB(配列番号14)の臨床分離株のFタンパク質のコンセンサス配列を参照して付与される。そのため、本発明で使用される場合、「RSV Fタンパク質の「x」位のアミノ酸」という表現は、配列番号13(サブグループAの場合)又は配列番号14(サブグループBの場合)のRSV Fタンパク質の「x」位でのアミノ酸に対応するアミノ酸を意味する。本出願全体を通して使用されるナンバリングシステムでは、1は未成熟F0タンパク質(配列番号13又は14)のN末端アミノ酸を指すことに留意されたい。別のRSV株のFタンパク質が使用される場合には、このFタンパク質のアミノ酸の位置は、必要に応じてギャップを挿入しつつ、この他のRSV株の配列と配列番号13又は14のFタンパク質とをアラインさせることにより、配列番号13(サブグループAの場合)又は配列番号14(サブグループBの場合)のFタンパク質のナンバリングを参照してナンバリングする。配列アラインメントを、当該技術分野で公知の方法を使用して行ない得、例えば、CLUSTALW、Bioedit又はCLC Workbenchにより行ない得る。
本出願全体を通して使用される場合、当該技術分野での慣例として、ヌクレオチド配列は、5’から3’の方向で記載されており、アミノ酸配列は、N末端からC末端の方向で記載されている。
本発明に係るアミノ酸は、20種の天然に存在するもの(又は「標準」アミノ酸)の内のいずれかであり得る。標準アミノ酸は、その特性に基づいて、いくつかのグループに分類され得る。重要な因子は、電荷、親水性又は疎水性、サイズ、及び官能基である。これらの特性は、タンパク質構造及びタンパク質間相互作用にとって重要である。いくつかのアミノ酸は、特別な特性を有する(例えば、他のシステイン残基とジスルフィド共有結合(又はジスルフィド架橋)を形成し得るシステイン、タンパク質骨格のターンを誘導するプロリン、及び他のアミノ酸と比べてフレキシブルなグリシン)。表1は、標準アミノ酸の略語及び特性を示す。
タンパク質に対する変異は慣例的な分子生物学手順により行なわれ得ることが当業者に認識されるだろう。本発明に係る変異は、好ましくは、この変異を含まないRSV Fタンパク質と比較して、融合前RSV Fタンパク質の発現レベルの上昇、及び/又は安定性の増大をもたらす。
本発明は、さらに、本発明に係るRSV Fタンパク質をコードする核酸分子を提供する。
好ましい実施形態では、本発明に係るタンパク質をコードする核酸分子は、哺乳動物細胞(好ましくはヒト細胞)における発現用にコドン最適化されている。コドン最適化の方法は既知であり、既に説明されている(例えば、国際公開第96/09378号パンフレット)。配列は、野生型配列と比較して少なくとも1つの好ましくないコドンがより好ましいコドンに置き換えられている場合には、コドン最適化されていると考えられる。本明細書では、好ましくないコドンとは、生物において、同じアミノ酸をコードする別のコドンと比べて使用される頻度が低いコドンのことであり、より好ましいコドンとは、生物において、好ましくないコドンと比べて使用される頻度が高いコドンのことである。特定の生物に関するコドン使用の頻度を、コドン頻度表(例えば、http://www.kazusa.or.jp/codon)で見出し得る。好ましくは、複数の好ましくないコドン(好ましくは、ほとんど又は全ての好ましくないコドン)が、より好ましいコドンに置き換えられている。好ましくは、生物で最も高頻度に使用されるコドンが、コドン最適化配列で使用されている。好ましいコドンに置き換えられると、概して発現が高くなる。
多くの異なるポリヌクレオチド及び核酸分子が、遺伝子コードの縮重の結果として同じタンパク質をコードし得ることが、当業者に理解されるであろう。また、当業者が慣例の技術を使用して、タンパク質を発現させることになる任意の特定の宿主生物のコドン使用を反映するように、核酸分子がコードするタンパク質配列に影響を及ぼさないヌクレオチド置換を行い得ることも、理解される。従って、別途指定されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、相互の縮重バージョンであり且つ同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含んでもよいし含まなくてもよい。
核酸配列は、慣例の分子生物学技術を使用してクローン化され得るか、又はDNA合成により新規に生成され得、それは、DNA合成及び/又は分子クローニングの分野の事業を有するサービス会社(例えば、GeneArt、GenScripts、Invitrogen、Eurofins)により、慣例の手順を使用して実施され得る。
本発明はまた、上記の核酸分子を含むベクターも提供する。そのため、ある特定の実施形態では、本発明に係る核酸分子は、ベクターの一部である。そのようなベクターは、当業者に公知の方法により容易に操作され得、例えば、原核細胞及び/又は真核細胞で複製され得るように設計され得る。加えて、多くのベクターは、真核細胞の形質転換に使用され得、そのような細胞のゲノムに全体的に又は部分的に組み込まれ、その結果、ゲノムで所望の核酸を含む安定な宿主細胞が得られる。使用されるベクターは、DNAのクローニングに適しており且つ目的の核酸の転写に使用され得る任意のベクターであり得る。本発明に係る好適なベクターは、例えば、アデノベクター、アルファウイルス、パラミクソウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルスベクター等である。当業者は、適切な発現ベクターを選択して、機能的方法で本発明の核酸配列を挿入し得る。
融合前RSV Fタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞も、本発明の一部を形成する。融合前RSV Fタンパク質は、宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、腫瘍細胞株、BHK細胞、ヒト細胞株、例えばHEK293細胞、PER.C6細胞、若しくは酵母、真菌、昆虫細胞、及び同類のもの、又はトランスジェニック動物若しくはトランスジェニック植物における分子の発現を含む組換えDNA技術により作製され得る。ある特定の実施形態では、細胞は、多細胞生物由来であり、ある特定の実施形態では、細胞は、脊椎動物起源又は無脊椎動物起源である。ある特定の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一般に、宿主細胞における、本発明の融合前RSV Fタンパク質等の組換えタンパク質の産生は、発現可能形式でタンパク質をコードする異種核酸分子の宿主細胞への導入、核酸分子の発現に資する条件下での細胞の培養、及び前記細胞におけるタンパク質発現を可能にすることを含む。発現可能形式でタンパク質をコードする核酸分子は、発現カセットの形態であり得、通常は、核酸の発現をもたらし得る配列(例えば、エンハンサー、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及び同類のもの)を必要とする。当業者は、様々なプロモーターが宿主細胞中での遺伝子の発現を得るために使用され得ることを認識している。プロモーターは、構成的又は調節的であり得、様々な供給源(例えば、ウイルス、原核生物、若しくは真核生物の供給源)から入手され得るか、又は人為的に設計され得る。
細胞培養培地は、様々なベンダーから入手可能であり、好適な培地は、宿主細胞が目的のタンパク質(本明細書では融合前RSV Fタンパク質)を発現するように慣例的に選択され得る。好適な培地は、血清を含んでもよいし含まなくてもよい。
「異種核酸分子」(本明細書では「導入遺伝子」とも呼ばれる)は、宿主細胞中に天然には存在しない核酸分子である。異種核酸分子は、例えば、標準の分子生物学技術によりベクターに導入される。導入遺伝子は、一般に、発現制御配列に作動可能に結合している。これは、例えば、導入遺伝子をコードする核酸をプロモーターの制御下に置くことで行われ得る。さらなる調節配列が加えられてもよい。導入遺伝子の発現のために多くのプロモーターが使用され得、それらは当業者に既知であり、例えば、それらは、ウイルスプロモーター、哺乳動物プロモーター、合成プロモーター、及び同類のものを含み得る。真核細胞内での発現を得るのに好適なプロモーターの非限定的な例は、CMVプロモーター(米国特許第5,385,839号明細書)であり、例えばCMV最初期プロモーターであり、例えばCMV最初期遺伝子エンハンサー/プロモーターからのnt.-735~+95を含むものである。ポリアデニル化シグナル(例えばウシ成長ホルモンのポリAシグナル(米国特許第5,122,458号明細書))が、導入遺伝子の後に存在してもよい。或いは、いくつかの広く使用されている発現ベクターが、当該技術分野で及び商用供給源から入手可能であり、例えば、InvitrogenのpcDNA及びpEFベクターシリーズ、BD SciencesのpMSCV及びpTK-Hyg、StratageneのpCMV-Script等があり、これらを使用して、目的のタンパク質を組換えにより発現させ得えるか、又は好適なプロモーター及び/若しくは転写ターミネーター配列、ポリA配列、並びに同類のものを得ることができる。
細胞培養は、任意のタイプの細胞培養(例えば、付着細胞培養、例えば培養容器の表面又はマイクロキャリアに付着した細胞、及び懸濁培養)であり得る。ほどんどの大規模懸濁培養は、操作及びスケールアップが最も簡単であることからバッチ法又は流加法として操作される。最近では、灌流原理に基づく連続法がより一般的になりつつあり、且つ好適でもある。好適な培養培地も当業者に公知であり、一般に、商用供給源から大量に得ることができるか、又は標準プロトコルに従って注文生産し得る。培養を、例えば、バッチ、流加、連続システム、及び同類のものを使用して、シャーレ、ローラーボトル、又はバイオリアクター内で行い得る。細胞を培養するのに好適な条件は、既知である(例えば、Tissue Culture,Academic Press,Kruse and Paterson,editors(1973),及びR.I.Freshney,Culture of animal cells:A manual of basic technique,fourth edition(Wiley-Liss Inc.,2000,ISBN 0-471-34889-9)を参照されたい)。
本発明は、さらに、上記の融合前RSV Fタンパク質、及び/又は核酸分子、及び/又はベクターを含む組成物を提供する。そのため、本発明は、RSV Fタンパク質の融合前コンフォメーションには存在するが融合後コンフォメーションには存在しないエピトープを提示する融合前RSV Fタンパク質を含む組成物を提供する。本発明はまた、そのような融合前RSV Fタンパク質をコードする核酸分子及び/又はベクターを含む組成物も提供する。本発明は、さらに、上記の融合前RSV Fタンパク質、及び/又は核酸分子、及び/又はベクターを含む免疫原性組成物を提供する。本発明は、さらに、上記の融合前RSV Fタンパク質、及び/又は核酸分子、及び/又はベクターと、1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
本発明はまた、対象にRSV Fタンパク質に対する免疫応答を誘導するための、本発明に係る安定化された融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターの使用も提供する。さらに提供されるのは、対象にRSV Fタンパク質に対する免疫応答を誘導する方法であって、本発明に係る融合前RSV Fタンパク質、及び/又は核酸分子、及び/又はベクターをこの対象に投与することを含む方法である。同様に提供されるのは、対象へのRSV Fタンパク質に対する免疫応答の誘導での使用のための、本発明に係る融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターである。さらに提供されるのは、対象へのRSV Fタンパク質に対する免疫応答の誘導での使用のための薬剤の製造のための、本発明に係る融合前RSV Fタンパク質、及び/又は核酸分子、及び/又はベクターの使用である。
本発明の融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、又はベクターを、RSV感染の予防(prevention)(予防(prophylaxis))及び/又は処置に使用し得る。ある特定の実施形態では、予防及び/又は処置は、RSV感染に罹りやすい患者群を標的にし得る。そのような患者群として下記が挙げられるが、これらに限定されない:例えば、高齢者(例えば、50歳以上、60歳以上、及び好ましくは65歳以上)、若齢者(例えば、5歳以下、1歳以下)、妊婦(母胎免疫化の場合)、入院患者、並びに抗ウイルス性化合物で処置されたが十分な抗ウイルス応答を示していない患者。
本発明に係る融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターを、例えば、RSVを原因とする疾患若しくは病態の独立した処置及び/若しくは予防で使用し得るか、又は(既存の若しくは将来の)ワクチン、抗ウイルス剤、及び/若しくはモノクローナル抗体等の他の予防的処置及び/若しくは治療的処置と組み合わせて使用し得る。
本発明は、さらに、本発明に係る融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターを利用して、対象のRSV感染を予防する及び/又は処置する方法を提供する。特定の実施形態では、対象のRSV感染を予防する及び/又は処置する方法は、上記の融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターの有効な量を、必要とする対象に投与することを含む。治療上有効な量は、RSVによる感染から生じる疾患又は病態を予防するのに、寛解させるのに、及び/又は処置するのに有効なタンパク質、核酸分子、又はベクターの量を指す。予防は、RSVの伝播の阻害若しくは低減を包含するか、又はRSVによる感染に関連した症状の内の1つ若しくは複数の発症、進展、若しくは進行の阻害若しくは低減を包含する。寛解は、本明細書で使用される場合、目に見えるか若しくは知覚できる疾患の症状、ウイルス血症、又はインフルエンザ感染の任意の他の計測可能な徴候の低減を指し得る。
ヒト等の対象に投与するために、本発明は、本明細書で説明されている融合前RSV Fタンパク質、核酸分子、及び/又はベクターと、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を使用し得る。本文脈では、「薬学的に許容される」という用語は、担体若しくは賦形剤が、使用される投与量及び濃度で、それらを投与する対象に如何なる望ましくないか又は有害な効果も引き起こさないことを意味する。そのような薬学的に許容される担体及び賦形剤は、当該技術分野では公知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R.Gennaro,Ed.,Mack Publishing Company[1990];Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins,S.Frokjaer and L.Hovgaard,Eds.,Taylor & Francis[2000];及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,3rd edition,A.Kibbe,Ed.,Pharmaceutical Press[2000]を参照されたい)。RSV Fタンパク質又は核酸分子は、凍結乾燥製剤を利用することも可能であり得るが、滅菌溶液として製剤化されて投与されることが好ましい。滅菌溶液は、滅菌ろ過により調製されるか、又は当該技術分野でそれ自体既知である他の方法により調製される。次いで、この溶液は、凍結乾燥されるか、又は医薬投与容器に充填される。この溶液のpHは、一般に、pH3.0~9.5の範囲であり、例えばpH5.0~7.5の範囲である。RSV Fタンパク質は、典型的には、好適な薬学的に許容される緩衝剤を含む溶液中に存在し、この組成物は塩も含み得る。任意選択的に、アルブミン等の安定剤が存在し得る。ある特定の実施形態では、洗浄剤が添加されている。ある特定の実施形態では、RSV Fタンパク質は、注射用製剤に製剤化され得る。
ある特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、1種又は複数種のアジュバントをさらに含む。適用される抗原決定基に対する免疫応答をさらに高めるアジュバントは、当該技術分野で既知である。「アジュバント」及び「免疫刺激剤」という用語は、本明細書では同義的に使用され、免疫系の刺激を引き起こす1種又は複数種の物質と定義される。この文脈では、アジュバントは、本発明のRSV Fタンパク質に対する免疫応答を増強するために使用される。好適なアジュバントの例として、下記が挙げられる:アルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウム及び/又はリン酸アルミニウム;油-エマルション組成物(又は水中油型組成物)、例えば、MF59等のスクアレン-水エマルション(例えば、国際公開第90/14837号パンフレットを参照されたい);サポニン製剤、例えば、QS21及び免疫刺激複合体(ISCOMS)(例えば、米国特許第5,057,540号明細書;国際公開第90/03184号パンフレット、同第96/11711号パンフレット、同第2004/004762号パンフレット、同第2005/002620号パンフレットを参照されたい);細菌又は微生物の派生物(これらの例は、モノホスホリルリピドA(MPL)、3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)、CpG-モチーフ含有オリゴヌクレオチド、ADP-リボシル化細菌毒素又はその変異体、例えば大腸菌(E.coli)易熱性エンテロトキシンLT、コレラ毒素CT、及び同類のものである);真核生物のタンパク質(例えば、抗体又はその断片(例えば、抗原自体又はCD1a、CD3、CD7、CD80に対するもの)、並びに受容体へのリガンド(例えば、CD40L、GMCSF、GCSF等)(これらは、受容細胞と相互作用すると、免疫応答を刺激する))。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、アジュバントとして、アルミニウムを、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウムアルミニウム、又はこれらの組み合わせの形態で、1回の用量当たり0.05~5mg(例えば0.075~1.0mg)のアルミニウム含有量の濃度にて含む。
融合前RSV Fタンパク質をまた、例えばポリマー、リポソーム、ビロソーム、ウイルス様粒子等のナノ粒子と組み合わせても投与し得るか、又はこのナノ粒子にコンジュゲートさせ得る。融合前Fタンパク質を、アジュバントの有無にかかわらず、ナノ粒子と組み合わせ得るか、ナノ粒子中に封入し得るか、又はナノ粒子にコンジュゲートさせ得る。リポソーム内への封入は、例えば米国特許第4,235,877号明細書で説明されている。高分子へのコンジュゲーションは、例えば米国特許第4,372,945号明細書又は同第4,474,757号明細書で開示されている。融合前RSV Fタンパク質をまた、自己集合タンパク質にもコンジュゲートさせ得る。
他の実施形態では、本組成物は、アジュバントを含まない。
ある特定の実施形態では、本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンを作製する方法であって、本発明に係るRSV Fタンパク質、核酸、又はベクターを準備すること、及びこのRSV Fタンパク質、核酸、又はベクターを薬学的に許容される組成物に製剤化することを含む方法を提供する。「ワクチン」という用語は、ある特定の病原体又は疾患に対して対象にある程度の免疫を誘導するのに有効な活性成分を含む薬剤又は組成物を指し、これにより、この病原体又は疾患による感染に関連する症状の重症度、期間、又は他の徴候が少なくとも低減される(最大で完全消失する)。本発明では、ワクチンは、有効な量の融合前RSV Fタンパク質、及び/又は融合前RSV Fタンパク質をコードする核酸分子、及び/又は前記核酸分子を含むベクターを含み、これにより、RSVのFタンパク質に対する免疫応答がもたらされる。これは、入院に至る重篤な下気道疾患を予防する方法、並びに対象でのRSVの感染及び複製に起因する肺炎及び細気管支炎等の合併症の頻度の低減を提供する。本発明に係る「ワクチン」という用語は、それが医薬組成物であり、そのため、典型的には、薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含むことを暗示する。それは、さらなる活性成分を含んでもよいし含まなくてもよい。ある特定の実施形態では、それは、例えばRSVの他のタンパク質及び/又は他の感染因子に対する免疫応答を誘導する他の成分をさらに含む組み合わせワクチンであってもよい。さらなる活性成分の投与は、例えば、別個の投与により行われてもよいし、本発明のワクチンとさらなる活性成分との組み合わせ製剤を投与することにより行われてもよい。
組成物を、対象(例えばヒト対象)に投与し得る。単回投与のための組成物中におけるRSV Fタンパク質の総用量は、例えば約0.01μg~約10mgであり得、例えば1μg~1mgであり得、例えば10μg~100μgであり得る。単回投与のための組成物中における、RSV Fタンパク質をコードするDNAを含む(アデノ)ベクターの総用量は、例えば約0.1×1010vp/ml~2×1011vp/mlであり得、好ましくは約1×1010vp/ml~2×1011vp/mlであり得、好ましくは5×1010vp/ml~1×1011vp/mlであり得る。
本発明に係る組成物の投与を、標準の投与経路を使用して実施し得る。非限定的な実施形態として、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、皮下、経皮)、又は粘膜投与(例えば、鼻腔内、口腔内)、及び同類のものが挙げられる。一実施形態では、組成物を、筋肉内注射により投与する。当業者は、ワクチン中の抗原に対する免疫応答を誘導するために、組成物(例えばワクチン)を投与する様々な可能性を認識している。
対象は、本明細書で使用される場合、好ましくは、哺乳動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウス、コットンラット)、又は非ヒト霊長類、又はヒトである。好ましくは、対象は、ヒト対象である。
タンパク質、核酸分子、ベクター、及び/又は組成物を、初回免疫として、又は追加免疫として、同種又は異種の初回免疫-追加免疫レジメンでも投与し得る。追加免疫ワクチン接種を実施する場合、典型的には、そのような追加免疫ワクチン接種を、最初に対象に組成物を投与した(このような場合には「初回免疫ワクチン接種」と呼ばれる)後の1週間~1年(好ましくは2週間~4ヶ月)のある時点で、同じ対象に投与する。ある特定の実施形態では、この投与は、初回免疫投与、及び少なくとも1回の追加免疫投与を含む。
加えて、本発明のタンパク質を、例えば、本発明のタンパク質に結合可能な抗体が個体の血清中に存在するか否かを確定することにより、そのような個体の免疫状態を検査するための診断ツールとして使用し得る。そのため、本発明はまた、患者におけるRSV感染の存在を検出するためのインビトロ診断方法であって、a)前記患者から得られた生体サンプルと、本発明に係るタンパク質とを接触させる工程と、b)抗体-タンパク質複合体の存在を検出する工程と
を含む方法に関する。
実施例1:培養物上清中でのRSV Fバリアントの融合前コンフォメーションの安定性
この安定性試験の対照として使用するRSV F配列は、サブグループAのコンセンサス配列(配列番号13)又はサブグループBのコンセンサス配列(配列番号14)のいずれかに基づいており、なぜならば、このコンセンサス配列は、臨床分離株に対応する野生型(非継代)配列に非常に類似しているからである(Kumaria et al.(2011))。検出目的のために、Fタンパク質のC末端にstrep-タグを融合させた。RSV Fでの様々な点変異の安定性を評価するために、融合前コンフォメーションのFタンパク質の含有量を、AlphaLISAで測定した。
このアッセイを、アッセイ緩衝液中の融合前特異的Mab CR9501(0.8nM)、抗ヒトIgG受容体ビーズ、及びStreptactin Donorビーズ(Perkin Elmer)の混合物 25μlに、RSV Fサンプル 5μlを添加することにより実施した。この混合物の室温での2.5時間のインキュベーション後に、615nmでの化学発光を測定した。融合前コンフォメーションのRSV Fのみが両方の抗体に同時に結合し、そのため、このアッセイでシグナルが得られる。回収後0日目、4日目、11日目、及び18日目に測定を行ない、融合前Fシグナルの減少を、wt Fシグナル、及び安定化D486N変異を有するFタンパク質のシグナルと比較した。不安定な融合前Fタンパク質を、CR9501結合(F wt及びF-D486N)の時間依存的喪失により同定し得るが、より安定な融合前構築物は、本発明の安定化点変異を有しない対照Fタンパク質(例えば、wtF及びF-D486N)と比較した場合に、回収日でのより高い融合前F含有量、及び/又は4℃でのある期間にわたる保存後の融合前F含有量のより遅い減少若しくは減少なしを示した。図3は、変異V76G、I79M、P101S、P101Q、P101T、I152V、又はQ354Lの内の1つ又は複数の追加により、サブタイプAのF-D486Nバリアントと比較して融合前Fタンパク質が安定化されることを示す。図4は、変異T152M及び/又はK226Mの追加により、サブタイプBのF-D486Nバリアントと比較して融合前Fタンパク質が安定化されることを示す。
実施例2:安定な融合前RSV Fポリペプチドの調製-安定化変異
コンセンサスRSV F(配列番号13又は14)に基づく可溶性融合前タンパク質を、明らかな不安定性(図3、4に示される)に起因して精製し得なかった。図3に示す安定化変異の一部を評価するために、既に説明されているD486N安定化変異に加えて、融合前コンフォメーションを安定化させる2つの変異(具体的には変異P101Q及びI152V)を有するRSV-Fタンパク質(RSV180305;配列番号20)を作製した(Krarup et.al.,2015)。加えて、別の安定化された融合前Fタンパク質を作製し(RSV172527;配列番号21)、この融合前Fタンパク質では、既に説明されているいくつかの安定化置換(具体的には、変異S46G、L203I、S215P、T357R、N371Y、D486N、及びD489Y)を既に含む融合前RSV Fタンパク質に、P101Q置換及びI152V置換を導入した。この構築物を、Gene Art(Life Technologies、Carlsbad,CA)で合成してコドン最適化した。この構築物を、部位特異的変異誘発及びPCRに関する分野で広く知られている標準的方法により、pCDNA2004にクローニングしたか又は生成し、配列決定した。使用する発現プラットフォームは、HEK293細胞であった。細胞を、製造業者の指示に従って293Fectin(Life Technologies)を使用して一過性にトランスフェクトし、37℃及び10%CO2で5日又は6日にわたり培養した。培養物上清を採取し、300gで5分にわたり遠心して、細胞及び細胞片を除去した。その後、0.22umの真空フィルタを使用して、遠心上清を滅菌ろ過し、使用するまで4℃で保存した。
融合前RSV Fタンパク質を、pH5.0での陽イオン交換による、C-タグ付きタンパク質RSV180305又はタグなしタンパク質RSV172527の場合にはCaptureSelect(商標)C-タグ親和性カラム(HiTrap Capto SP ImpResカラム;GE Healthcare Biosciences,Pittsburgh,PA,USA)、及びその後のResource-Qカラムを使用する陰イオン交換を含む2段階精製プロトコルを使用して精製した。RSV180305(配列番号20)及びRSV172527(配列番号21)の両方を、それぞれ図5a及び図5bに示すように、Superdex 200カラム(GE Healthcare)を使用するサイズ排除クロマトグラフィーによりさらに精製した。4週間にわたる4℃での保存後、プールされたサンプルのSEC-MALS分析は、精製されたタンパク質が三量体であることを示しており、精製されたRSV180305には集合体がわずかに含まれていることも観察した。
実施例3:SDS-PAGE分析。
精製されたRSV172527を、還元条件下又は非還元条件下で、4~12%(w/v)Bis-Tris NuPAGEゲル、1×MOPS(Life Technologies)で分析した。全ての手順を、製造業者の指示に従って実施した。純度分析のために、このゲルを、Krypton Infrared Protein Stain(Thermo Scientific)で染色した。非還元RSV172527及び還元RSV172527は純粋であり、F0及びF1外部ドメインそれぞれの予想される高さで、バンドが見える。
実施例4:ELISA
4週にわたる4℃での保存後、精製された融合前RSV Fタンパク質RSV180305、RSV172725、及び国際公開第2017/174568号パンフレットで既に説明されている対照融合前Fタンパク質(RSV150042)(配列番号22)の、融合前特異的中和抗体への結合を、ELISAで試験した。1/2 AreaPlate-96 HBプレート(白色、高タンパク質結合親和性(PerkinElmer))を、抗RSVモノクローナル抗体の試験パネルでコーティングした。Mab CR9501及びCR9502は、RSV Fの融合前コンフォメーションに特異的であり、Mab CR9506は、RSV Fの融合前コンフォメーション及び融合後コンフォメーションの両方に結合する。CR9506は、モタビズマブと競合し(データは示さない)、同一の直鎖状エピトープに結合する。これらの抗体を、1μg/mlにてPBSで希釈し、PBS中で4℃にて一晩プレートにコーティングした。翌日、プレートを洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween)で洗浄し、1%ウシ血清アルブミンを含むPBSでブロックした。全てのインキュベーションを、1時間にわたり室温で実施した。各工程後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。精製されたRSV Fタンパク質の滴定液を、1%ウシ血清アルブミンを含む洗浄緩衝液で調製した。CR9506を、標準的手順に従ってビオチン化し、検出用のBM Chemiluminescence ELISA基質(POD)(Sigma Aldrich)と共に0.05μg/mlで使用した。図7に示すように、全ての精製されたRSV Fタンパク質は、融合前特異的Mab(CR9501及びCR9502)と、両方のコンフォメーションに特異的なMab(CR9506)とに同様に結合し、そのため、本発明に係るFタンパク質は融合前コンフォメーションであることが示された。
実施例5:RSV Fタンパク質の温度安定性
精製されたタンパク質の温度安定性を、示差走査蛍光定量法(DSF)により決定した。精製された融合前Fタンパク質を、96ウェル光学qPCRプレート内でSYPRO橙色蛍光染料(Life Technologies S6650)と混合した。最適な染料及びタンパク質の濃度を、実験により決定した(データは示さない)。タンパク質の希釈をPBSで実施し、減算参照として、染料のみを含む陰性対照サンプルを使用した。測定を、下記のパラメータを使用するqPCR機器(Applied Biosystems ViiA 7)で実施した:1秒当たり0.015℃の速度での25~95℃の温度勾配。データを、連続的に取得した。Graph Pad PRISMソフトウエア(バージョン5.04)を使用して、溶融曲線をプロットした。非線形EC50シフト方程式を使用して、最大蛍光の50%で溶融温度を算出した。RSV180305の融解温度は65.9度であり(図8a)、RSV172527の融解温度は72.9であった(図8b)。参照融合前RSV F(RSV150042)は、融解温度が65.0である(データは示さない)。
Figure 2022513025000002
Figure 2022513025000003
配列
RSV F Aコンセンサス完全長(配列番号13)
Figure 2022513025000004
RSV F Bコンセンサス外部ドメイン(配列番号14)
Figure 2022513025000005
配列番号15(フィブリチン)
GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL
CR9501重鎖(配列番号16):
Figure 2022513025000006
CR9501軽鎖(配列番号17):
Figure 2022513025000007
CR9502重鎖(配列番号18):
Figure 2022513025000008
CR9502軽鎖(配列番号19):
Figure 2022513025000009
RSV180305(配列番号20)
Figure 2022513025000010
RSV172527(配列番号21)
Figure 2022513025000011
RSV150042(配列番号22)
Figure 2022513025000012
CR9506重鎖(配列番号25)
Figure 2022513025000013
CR9506軽鎖(配列番号26)
Figure 2022513025000014
参考文献
Krarup et al.,Nature Comm.6:8143,(2015)
Kumaria et al.,Virology Journal,8:372,(2011);
Letarov et al.,Biochemistry Moscow 64:817-823(1993);
McLellan,et al.Science 342,592-598(2013);
McLellan,et al.Nat Struct Mol Biol 17,248-250(2010);
McLellan,et al.Science 340,1113-1117(2013);
S-Guthe et al.,J.Mol.Biol.337:905-915.(2004).
Swanson,et al.(2011)

Claims (27)

  1. 1つ又は複数の安定化アミノ酸を含む組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質であって、前記1つ又は複数の安定化アミノ酸は、任意選択的に486位の安定化アミノ酸との組み合わせで、79位、101位、152位、226位、及び/又は354位に存在している、組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質。
  2. 前記79位のアミノ酸は、Mであり、前記101位のアミノ酸は、S、Q、若しくはTであり、前記152位のアミノ酸は、V若しくはMであり、前記226位のアミノ酸は、Mであり、及び/又は前記354位のアミノ酸は、Lであり、任意選択的に、前記486位のアミノ酸は、Nである、請求項1に記載の組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質。
  3. 任意選択的に486位のアミノ酸の変異との組み合わせで、79位のアミノ酸残基の変異、101位のアミノ酸残基の変異、152位のアミノ酸残基の変異、354位のアミノ酸残基の変異、及び226位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される1つ又は複数の安定化変異を含む請求項1又は2に記載の組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質。
  4. 前記79位のアミノ酸残基の変異、前記101位のアミノ酸残基の変異、前記152位のアミノ酸残基の変異、前記354位のアミノ酸残基の変異、及び前記226位のアミノ酸残基の変異からなる群から選択される1つ又は複数の安定化変異との組み合わせで、前記486位のアミノ酸残基の変異を含み、好ましくは、前記486位のアミノ酸DのNへの変異(D486N)を含む請求項3に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  5. 前記79位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸イソロイシン(I)のメチオニン(M)への変異である、請求項3又は4に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  6. 前記101位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸プロリン(P)のセリン(S)、グルタミン(Q)、又はトレオニン(T)への変異である、請求項3又は4に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  7. 前記152位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸イソロイシン(I)のバリン(V)又はメチオニン(M)への変異である、請求項3又は4に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  8. 前記354位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸グルタミン(Q)のロイシン(L)への変異である、請求項3又は4に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  9. 前記226位のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸リシン(K)のメチオニン(M)への変異である、請求項3又は4に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  10. 前記組換え融合前Fタンパク質は、前記安定化変異の内の2つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  11. 前記組換え融合前Fタンパク質は、前記安定化変異の内の3つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  12. 前記組換え融合前Fタンパク質は、前記安定化変異の内の3つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  13. 前記組換え融合前Fタンパク質は、前記安定化変異の内の4つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  14. 前記組換え融合前Fタンパク質は、前記安定化変異の内の5つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  15. 前記組換え融合前Fタンパク質は、前記安定化変異の内の6つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換え融合前Fタンパク質。
  16. 前記タンパク質は、前記融合前コンフォメーションFタンパク質に特異的な少なくとも1つのエピトープを含み、前記少なくとも1つのエピトープは、配列番号1の重鎖CDR1領域、配列番号2の重鎖CDR2領域、配列番号3の重鎖CDR3領域、並びに配列番号4の軽鎖CDR1領域、配列番号5の軽鎖CDR2領域、及び配列番号6の軽鎖CDR3領域を含む融合前特異的モノクローナル抗体並びに/又は配列番号7の重鎖CDR1領域、配列番号8の重鎖CDR2領域、配列番号9の重鎖CDR3領域、並びに配列番号10の軽鎖CDR1領域、配列番号67の軽鎖CDR2領域、及び配列番号11の軽鎖CDR3領域を含む融合前特異的モノクローナル抗体により認識される、請求項1~15のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質。
  17. 前記タンパク質は、三量体である、請求項1~16のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質。
  18. 短縮されたF1ドメイン、及び前記短縮されたF1ドメインに結合した異種三量化ドメインを含む請求項1~17のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質。
  19. 前記異種三量化ドメインは、アミノ酸配列GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号15)を含む、請求項18に記載の融合前RSV Fタンパク質。
  20. 前記三量化ドメインは、前記RSV Fタンパク質のアミノ酸残基513に結合している、請求項18又は19に記載の融合前RSV Fタンパク質。
  21. 請求項1~20のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質をコードする核酸分子。
  22. 前記核酸分子は、哺乳動物細胞における発現用にコドン最適化されている、請求項21に記載の核酸分子。
  23. 請求項21又は22に記載の核酸分子を含むベクター。
  24. 請求項1~20のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質、請求項21若しくは22に記載の核酸分子、及び/又は請求項23に記載のベクターを含む組成物。
  25. RSV Fタンパク質に対する免疫応答の誘導での使用のための、請求項1~20のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質、請求項21若しくは22に記載の核酸分子、及び/又は請求項23に記載のベクター。
  26. ワクチンとしての使用のための、請求項1~20のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質、請求項21若しくは22に記載の核酸分子、及び/又は請求項23に記載のベクター。
  27. RSV感染の予防及び/又は処置での使用のための、請求項1~20のいずれか一項に記載の融合前RSV Fタンパク質、請求項21若しくは22に記載の核酸分子、及び/又は請求項23に記載のベクター。
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