JP2022511958A - クロム層又はクロム合金層を析出させるための方法及びめっき装置 - Google Patents

クロム層又はクロム合金層を析出させるための方法及びめっき装置 Download PDF

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Abstract

少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための方法であって、(a)4.1~6.9の範囲のpHを有する水性析出浴を用意する工程であって、浴が、-3価クロムイオンと、-ギ酸イオンと、-任意選択で硫酸イオンとを含む工程と、(b)少なくとも1つの基材及び少なくとも1つの陽極を用意する工程と、(c)少なくとも1つの基材を水性析出浴中に浸漬し、基材上にクロム層又はクロム合金層が析出されるように電流を適用する工程であって、基材が陰極であり、工程(c)中、又はその後である場合、3価クロムイオンが、3価クロムイオンのターゲット濃度未満の濃度を有する工程と、(d)水性析出浴から取られた分離された部分体積において固体の3価ギ酸クロムが溶解されて、工程(d)のための溶解された3価ギ酸クロムが得られるという条件で、3価クロムイオンが工程(d)の前より高い濃度で存在するように、前記溶解された3価ギ酸クロムを水性析出浴に加える工程とを含む方法。

Description

本発明は、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための方法及び専用に設計されためっき装置に関する。
機能性クロム層は通常、装飾クロム層(典型的に1μm未満)と比較してはるかに高い平均層厚(少なくとも1μmから数百μmまで)を有し、優良な硬度及び耐摩耗性を特徴とする。
6価クロムを含有する析出浴から得られる機能性クロム層は、従来技術において公知であり、確立された標準である。
最近数十年の間、6価クロムに依拠するクロム析出法は、3価クロムに依拠する析出法によってますます取って代わられている。そのような3価クロムベースの方法は、健康及び環境にはるかに優しい。
しかしながら、3価クロムベースの方法は、典型的に、硫酸イオン又は塩化物イオン等の無機対アニオンの蓄積に至ることが認められている。これが起こるのは、消費された3価クロムが、典型的には一般的に入手可能なそれらの3価クロム源によって補充される必要があるためである。非常に一般的な3価クロム源は、硫酸クロム(III)及び塩化クロム(III)である。
この蓄積は根本的な問題である。アニオンの望ましくない蓄積に至るおそれがなく、したがって際限なく実施することができる、三酸化クロムを利用する6価クロム析出浴に対して、3価クロム析出浴の寿命はこの蓄積によって必然的に限定される。妨げとなるアニオン(例えば硫酸塩の)の最大濃度に達している、又はさらにそれを超えている場合、望ましくない沈殿がしばしば観察され、管及びポンプが閉塞される。更に、析出プロセス全体が悪影響を受け、例えば、析出されたクロム層の望ましくない粗さをもたらす。更に、それぞれの析出浴中にスラッジが形成される傾向が大幅に増大する。しばしば、そのようなスラッジは陽極を覆っており、望ましくない6価クロムの陽極形成を助長する。そのような浴を連続的に再生し、前記アニオンの濃度を人工的に低減することは経済的に非常に非効率である。いくつかの事例において、毒性がある、且つ/又はさらに危険である分解生成物が形成される。例えば、3価塩化クロムが補充に使用される場合、塩化物イオンは、最大で、さらに毒性の塩素ガスが形成される濃度まで蓄積される。したがって、6価クロムに依拠する析出法と同じ長さで実施することができる析出プロセスが非常に望ましい。
従来技術において、アニオンの蓄積は、典型的には有機アニオンである揮発性アニオンを利用することによって避けることができると記載されている。
例えば、国際公開第2015/110627A1号は、クロムを析出させるための電気めっき浴、及び前記電気めっき浴を使用して基材上にクロムを析出させるための方法に言及する。国際公開第2015/110627A1号はまた、電解質を蓄積しない電解で消費可能なアニオンを開示している。これらのアニオンの中から、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸塩類のイオン、グリコール酸塩類のイオン、シュウ酸塩類のイオン、炭酸塩類のイオン、クエン酸塩類のイオン、及びそれらの組み合わせが開示されている。国際公開第2015/110627A1号はまた、電解質全体を覆う望ましくないアニオンの蓄積を制限するための膜の使用を示唆している。
しかしながら、自身の実験では、そのようなアニオンはしばしば、その溶解度が低すぎるために、3価クロムに依拠する一般的に確立された析出法において実際に利用できないか、又はそれぞれの析出浴において錯化剤と良好に調和しないかのいずれかの不利点にしばしば陥ることが示されている。典型的には、析出浴における3価クロム源及び錯化剤のアニオンが同一であることが好ましい。非常に一般的な錯化剤は、弱いカルボン酸である。膜に関して、自身の実験では、膜が非常に高価であり、高い電流密度において急速に分解することが示されている。
米国特許第4,054,494号は、3価クロム電気めっき浴の維持のための方法を開示している。しかしながら、この開示は、穏やかに酸性のpH範囲で析出される機能性クロム析出物に適用可能ではない。
国際公開第2015/110627A1号 米国特許第4,054,494号
したがって、上述の不利点を克服することが本発明の目的である。特に、3価クロムイオンに基づいてクロム層又はクロム合金層を析出させるための方法を提供することが目的であり、方法は、最終的に妨げとなるアニオンの蓄積を完全に阻止し(又はさらにそのようなアニオンを完全に回避し)、集中的な再生なしに、はるかに長い時間、最も好ましくは6価クロムを利用する析出浴と同じ長さで実施することができ、要求される厚さ及び耐摩耗性を有する優良な機能性クロム析出物を提供する。これに関し、膜を用いないことが所望であった。
目的は、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための方法であって、
(a)4.1~6.9の範囲のpHを有する水性析出浴(aqueous deposition bath)を提供する工程であって、浴が、
-3価クロムイオンと、
-ギ酸イオンと、
-任意選択で硫酸イオンとを含む、工程と、
(b)少なくとも1つの基材及び少なくとも1つの陽極を提供する工程と、
(c)少なくとも1つの基材を水性析出浴中に浸漬し、基材上にクロム層又はクロム合金層が析出されるように電流を印加する工程であって、基材が陰極である、工程と、
工程(c)の間、又はその後、3価クロムイオンが、3価クロムイオンのターゲット濃度未満の濃度を有する場合に、
(d)水性析出浴から取られた分離された部分体積に固体の3価ギ酸クロムを溶解して、工程(d)のための溶解された3価ギ酸クロムが得られ、
3価クロムイオンが工程(d)の前より高い濃度で存在するように、前記溶解された3価ギ酸クロムを水性析出浴に加える工程と
を含む方法によって解決される。
更に、目的は、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるためのめっき装置であって、
(A)少なくとも1つの加熱部112と、少なくとも1つの陽極113とを含む、水性析出浴のための第1の区画110と、
(B)任意選択で少なくとも1つの撹拌部121と、任意選択で少なくとも1つの加熱部122とを含む、水性析出浴の部分体積を受け取るための第2の区画120と、
(C)第2の区画120に機能的に接続された供給部130と、
(D)少なくとも1つの分析部150と、
(E)第1の区画110と第2の区画120とを接続して水性析出浴の部分体積を第2の区画120に移送し、改変された部分体積を第2の区画120から第1の区画110に移送して戻す、少なくとも1つの移送手段140とを備え、
-少なくとも1つの移送手段140が少なくとも1つの搬送機部180を含み、
-少なくとも1つの分析部150、供給部130、少なくとも1つの搬送機部180、及び制御部170が互いに通信するのに適しているように適合された制御部170を含む電気接続160によって、少なくとも1つの分析部150、供給部130、及び少なくとも1つの搬送機部180が互いに接続されており、
-制御部170が供給信号を通信すると、供給部130が、定義された量の乾燥粉体又は懸濁液を第2の区画120に加えるように構成されており、
-制御部170が搬送信号を通信すると、少なくとも1つの搬送機部180が、改変された部分体積を第1の区画110に搬送するように構成されている、
めっき装置によって解決される。
析出装置を詳細に記載した図である。
図は概略図であり、必ずしも実際のサイズ、配置、及び比率を表さない。
3価ギ酸クロムは典型的に、非常に低い、さらに不十分である水への溶解度を有するが、本発明の方法により、3価クロムイオン、及び前記3価クロムイオンのための錯化剤としてのギ酸イオンを補充するために、3価ギ酸クロムを利用することが可能となる。ギ酸アニオンは、3価クロムイオンのための優良な錯化剤であるため、錯化剤を3価クロムと一緒に、即ち1つの源で補充することができる。これは、経済的に最適であり、取り扱いが容易なプロセスを可能にする。ギ酸イオンは典型的に、本発明の方法中に分解されるため、ギ酸イオンの蓄積は起こらない。
本発明の方法において、工程(c)において析出されるクロム層又はクロム合金層は、好ましくは機能性クロム層又は機能性クロム合金層(しばしば硬質クロム層又は硬質クロム合金層とも呼ばれる)であり、装飾クロム層又は装飾クロム合金層ではない。したがって、工程(c)において析出されるクロム層又はクロム合金層の平均層厚が、1.0μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上、さらにより好ましくは5μm以上、最も好ましくは平均層厚が5μm~200μmの、好ましくは6μm~150μmの範囲であることが好ましい。これらは、機能性クロム層又はクロム合金層の典型的な平均層厚である。そのような厚さは、典型的に要求される必要とされる耐摩耗性を与えるために必要である。いくつかの事例において、下限は、好ましくは且つ具体的には、10μm、15μm、又は20μmを含む。
それに対して、装飾クロム層/クロム合金層は典型的に、1μmよりはるかに低い平均層厚を有する。更に、装飾目的で利用される基材は通常、機能性目的で利用される基材の滞留時間と比較して、それぞれの析出浴において比較的短い滞留時間を有する。これは、装飾目的での析出法において、それぞれの析出浴が、ドラッグアウトによる比較的高い体積の減少をこうむることを意味する。これは、機能性目的の析出法に関しては大きく異なる。機能性目的で利用される基材は、それぞれの析出浴において比較的長く滞留する、即ち、著しいドラッグアウトはなく、したがって、著しい体積の減少はない。これは、例えば水の比較的小さい体積だけを補充すればよいことを意味するため、飛躍的な結果を有する。そうでない場合は、析出浴の望ましくない希釈が起こる。これは、補充に必要とされる化合物が、大体積の新鮮な電解質又は水で事前溶解できないことを意味する。本発明の方法において、この事実は、本発明の方法において利用される水性析出浴から取られた分離された部分体積に溶解された固体の3価ギ酸クロムを利用することによって、考慮に入れられる。これにより、3価クロムイオン及びギ酸イオンの濃度を所望のターゲット濃度へと増加させ、同時に水性析出浴の全体積を長時間にわたり大体一定に保つことが可能となる。
更に、本発明の方法の結果として、水性析出浴の安定性、及び電流効率が向上する、即ち、増加する。
本発明の文脈において、「少なくとも1つ」という用語は、「1、2、3、又は3より多い」を表す(且つそれらと交換可能である)。更に、「3価クロムイオン」という用語は、遊離又は錯体の形態であるCr3+イオンを意味する。同様に、「6価クロム」は、酸化数+6を有するクロムを、及び6価状態のクロムを含有するイオンを含む関連する化合物を、意味する。
本発明の方法は、工程(a)及び(b)を含み、その順序は(a)続いて(b)、又はその逆である。工程(c)は典型的に、(a)及び(b)両方の工程が実行された後に実行される。
工程(a)において、水性析出浴が提供される。これは、主溶媒が水であることを意味する。好ましくは、水は唯一の溶媒である。したがって、好ましくは、水性析出浴は有機溶媒を含まない。
本発明の方法は、4.1~6.9の範囲のpHを有する水性析出浴のために特に設計される。方法は、唯一4.1未満のpHを有すること以外は同一である析出浴には対応せず、これは、pHが4.1未満の場合、望ましくない沈殿が生じるためである。更に、pHが4.1未満又は6.9超である場合、十分な耐摩耗性及び硬度を有する機能性クロム層又はクロム合金層は得られない。
好ましいのは、pHが4.6~6.5の範囲、好ましくは5.1~6.1の範囲、最も好ましくは5.5~5.9の範囲である、本発明の方法である。非常に良好な機能性クロム層及びクロム合金層は5.1~6.1の範囲のpHで得られ、優良な結果は5.5~5.9の範囲のpHで得られた。そのようなpHを有する水性析出浴から得られる機能性クロム層及びクロム合金層は、良好な又はさらに優良な耐摩耗性及び硬度を示す。上述のpH範囲及び値は、20℃の温度を基準とする。
本発明の方法は、固体の3価ギ酸クロムが、水性析出から取られた分離された部分体積に溶解される場合、3価クロムイオンを優良に補充することができるという知見に基づいている。これは、3価ギ酸クロムの溶解を容易にし、析出浴中の望ましくない粒子の原因となる、固体の3価ギ酸クロムの水性析出浴への直接の投入を阻止する。そのような望ましくない粒子は、析出されるクロム層又はクロム合金層の望ましくない粗さをもたらすおそれがある。
3価ギ酸クロムの溶解度を増強するために、水性析出浴における、及び分離された部分体積における、定義された温度は有益である。
好ましいのは、水性析出浴が、20℃~80℃の範囲の、好ましくは30℃~70℃の範囲の、より好ましくは40℃~60℃の範囲の、最も好ましくは45℃~55℃の範囲の温度を有する、本発明の方法である。水性析出浴の非常に好ましい温度は、50℃である。温度が80℃を著しく超える場合、望ましくない蒸発が起こり、これは浴成分の濃度に悪影響を及ぼす(さらに沈殿のおそれに至るまで)。更に、6価クロムの形成の抑制は、著しく低い。温度が20℃より著しく低い場合、析出は不十分である。上述の温度範囲は、最も好ましくは、本発明の方法の工程(c)中に適用される。
更に、好ましいのは、水性析出浴から取られた分離された部分体積の温度が、工程(c)における水性析出浴の温度と比較して3.1℃~30℃、好ましくは3.3℃~26℃、より好ましくは3.5℃~21℃、さらにより好ましくは3.7℃~15℃、最も好ましくは3.9℃~11℃、さらに最も好ましくは4℃~8℃高い、本発明の方法である。この好ましい事例において、水性析出浴から取られた分離された部分体積の温度は、工程(c)における水性析出浴の温度より常に著しく高く、これは固体の3価ギ酸クロムの溶解に好影響を与える。上述の温度は、分離された部分体積において得られる温度が95℃を超えず、沸騰及び過度のガス放出を回避するという条件を含む。分離された部分体積の温度が、水性析出浴の温度と比較して十分に高くない場合、不十分な量の3価ギ酸クロムが、分離された部分体積中で溶解され、溶解されていない固体の3価ギ酸クロムが大量に残る。しかしながら、分離された部分体積の温度が、水性析出浴の温度と比較して高すぎる場合、溶媒の望ましくない蒸発が起こる。更に、強く加熱された分離された部分体積を水性析出浴に導き戻すと、析出法に悪影響を及ぼし、水性析出浴中の温度バランスを好ましくなく乱すことになる。
最も好ましいのは、工程(c)において、水性析出浴が45℃~55℃の範囲の温度を有し、水性析出浴から取られた分離された部分体積の温度が、水性析出浴の温度と比較して5℃~15℃高い、本発明の方法である。
最も好ましくは、水性析出浴から取られた分離された部分体積は、好ましくは水性析出浴の温度に関係なく、50℃~65℃の範囲の温度を有する。
代替的には、いくつかの事例において、水性析出から取られた分離された部分体積は、基本的に水性析出浴と同じ温度を有することが好ましい。したがって、好ましいのは、水性析出浴から取られた分離された部分体積の温度が、工程(c)における水性析出浴の温度の±3℃の範囲内、好ましくは+0℃~+3℃の範囲内、より好ましくは+0℃~+2℃の範囲内である、本発明の方法である。この好ましい事例において、水性析出浴から取られた分離された部分体積の温度は、好ましくは、工程(c)における水性析出浴の温度と同一であるか、又は好ましくはほんのわずかに異なるか、即ち温度の小さい変動内であるかのいずれかである。
この後者の(代替の)事例において、3価ギ酸クロムの溶解は、機械的影響によって、好ましくは撹拌及び/又は循環/対流によって、主として達成される。
各事例において、水性析出から取られた分離された部分体積が、好ましくは撹拌によって、最も好ましくは一定の撹拌によってかき混ぜられる、本発明の方法が好ましい。最も好ましくは、分離された部分体積は、好ましくは撹拌によって、最も好ましくは一定の撹拌によってかき混ぜられ、追加的に、分離された部分体積は、好ましくは上述のように加熱される。
ギ酸クロムの限定された溶解度に起因して、分離された部分体積における固体の3価ギ酸クロムの溶解は、ある特定の時間を必要とする。好ましいのは、固体の3価ギ酸クロムは1分~120分以内、好ましくは10分~80分以内、最も好ましくは40分~70分以内に溶解される、本発明の方法である。
3価ギ酸クロムが溶解されれば、前記溶解されたギ酸クロムを含む分離された部分体積は、可能な限り速やかに水性析出浴に戻されるべきである。好ましいのは、水性析出浴から取られた分離された部分体積中に固体の3価ギ酸クロムが溶解されてから遅くとも8時間後に、好ましくは遅くとも4時間後に、より好ましくは、水性析出浴から取られた分離された部分体積中に固体の3価ギ酸クロムが溶解されてから5分~3時間以内に、最も好ましくは6~60分以内に、工程(d)において、溶解された3価ギ酸クロムが加えられる、本発明の方法である。溶解される量に依存して、溶解された3価ギ酸クロムが8時間より著しく長い時間の後に戻される場合、高濃度の3価クロムイオンが沈殿を促進するために、分離された部分体積中に望ましくないスラッジ形成がしばしば認められる。
好ましいのは、水性析出浴中の3価クロムイオンが、析出浴の全体積基準で15g/L~35g/Lの範囲の、好ましくは16g/L~30g/Lの範囲の、より好ましくは17g/L~26g/Lの範囲の、さらにより好ましくは18g/L~23g/Lの範囲の濃度を有する、本発明の方法である。全量が15g/Lより著しく少ない場合、多くの事例において不十分な析出が認められ、析出されたクロム層又はクロム合金層は通常、低品質である。全量が35g/Lを著しく上回る場合、析出浴はもはや安定ではなく、これには妨げとなる沈殿の形成が含まれる。
3価クロムイオンのターゲット濃度は、各事例において、前述の濃度範囲内、好ましくは16g/L~30g/Lの範囲内、より好ましくは17g/L~26g/Lの範囲内、最も好ましくは18g/L~23g/Lの範囲内である。水性析出浴中の3価クロムイオンがこのターゲット濃度未満の濃度を有し、且つ好ましくはなおも前述の濃度範囲のうちの1つ以内である、最も好ましくはなおも18g/L~23g/L以内である場合、本発明の方法の工程(d)は実行される。
工程(c)中に、金属クロムの析出に起因して析出浴中の3価クロムイオンの濃度が典型的に減少するため、本発明の方法の工程(d)において、水性析出浴中の3価クロムイオンの濃度は、溶解された3価ギ酸クロムを加えることによって増加される。好ましくは、本発明の方法において、工程(d)の後、析出浴中の3価クロムイオンの濃度は、析出浴の全体積基準で35g/Lを超えない、好ましくは30g/Lを超えない、より好ましくは26g/Lを超えない、最も好ましくは23g/Lを超えない。
好ましいのは、工程(d)において、溶解された固体のギ酸クロムを含む水性析出浴から取られた分離された部分体積中で、3価クロムイオンが、水性析出浴中の3価クロムイオンより高い濃度を有し(好ましくは工程(c)中、又はその後に)、固体のギ酸クロムが溶解された分離された部分体積の全体積基準で、好ましくは最大15g/Lまでより高い、より好ましくは最大10g/Lまでより高い、さらにより好ましくは最大8g/Lまでより高い、最も好ましくは最大6g/Lまでより高い、さらに最も好ましくは最大4g/Lまでより高い、本発明の方法である。
好ましいのは、溶解された固体のギ酸クロムを含む分離された部分体積中で、3価クロムイオンが、水性析出浴中の3価クロムイオンより高い濃度を有する(好ましくは工程(c)中、又はその後に)という条件で、工程(d)において、溶解された固体のギ酸クロムを含む水性析出浴から取られた分離された部分体積中で、3価クロムイオンが、溶解された固体のギ酸クロムを含む分離された部分体積の全体積基準で、20g/L~35g/Lの範囲の、好ましくは20.5g/L~30g/Lの範囲の、より好ましくは21g/L~28g/Lの範囲の、さらにより好ましくは21.5g/L~25g/Lの範囲の濃度を有する、本発明の方法である。
最も好ましいのは、工程(d)が実行された後、水性析出浴中の3価クロムイオンがそれぞれのターゲット濃度を超える濃度を有し、ターゲット濃度が、好ましくは18g/L~23g/Lの範囲内であり、3価クロムイオンの濃度が、好ましくは再度前述の濃度範囲のうちの1つ以内である、最も好ましくは再度18g/L~23g/Lの範囲内である、本発明の方法である。
好ましいターゲット濃度は、19g/L~21g/Lの範囲内である。
本発明の方法において、工程(d)は少なくとも1回実行される。換言すると、本発明の方法は少なくとも1つの工程(d)含み、工程(d)は、工程(c)中、又はその後に、3価クロムイオンが、3価クロムイオンのターゲット濃度未満の濃度を有する場合、実行される。
本発明の方法は、好ましくは連続的な方法である。これは、
A:工程(a)~(d)は連続的に繰り返される、且つ/又は
B:工程(c)は、工程(d)が実行される前に、1回又は2回以上、別の基材を用いて繰り返される
ことを意味する。
シナリオ「B」は、好ましくは、工程(d)が実行される前に、工程(c)が数回、他の基材を用いて繰り返されることを含む。工程(d)が終了した後、工程(d)後に得られた析出浴は、工程(a)において別の一連の工程に提供される。したがって、好ましいのは、工程(d)の後、少なくとも1つの更なる工程(a)のための水性析出浴が結果として生じ、工程(a)~(d)が、そのような析出浴を用いて、少なくとも1つの更なる基材を用いて繰り返される、本発明の方法である。
各工程(c)の後、3価クロムイオンは典型的に、工程(c)の前より低い濃度で存在するが、各工程(c)の後に、水性析出浴中の3価クロムイオンがターゲット濃度未満の濃度を有するとは限らないため、各工程(c)中、又はその後に、溶解された3価ギ酸クロムを加えることは必ずしも必要とされない。当業者は、濃度がターゲット濃度未満になれば、増加させなければならないことを知っている。したがって、好ましいのは、工程(d)が、各工程(c)の後に実行されるか、又は各工程(c)の後には実行されないが、少なくとも1回の工程(c)の後に実行される、本発明の方法である。
上述されるように、本発明の方法において、工程(d)は少なくとも1回、好ましくは数回実行される。これは、本発明の方法は、
(c)少なくとも1つの基材を水性析出浴中に浸漬し、基材上にクロム層又はクロム合金層が析出されるように電流を印加する工程であって、基材が陰極である工程と、
工程(c)中、又はその後に、3価クロムイオンが、3価クロムイオンのターゲット濃度未満の濃度を有する場合に、
(d)水性析出浴から取られた分離された部分体積に固体の3価ギ酸クロムを溶解して、工程(d)のための溶解された3価ギ酸クロムが得られ、
3価クロムイオンが工程(d)の前より高い濃度で存在するように、前記溶解された3価ギ酸クロムを水性析出浴に加える工程と
の少なくとも1つを含むことを意味する。好ましくは、本テキストを通して記載される本発明の方法の好ましい特徴は同様に適用される。
いくつかの事例において、水性析出浴が硫酸イオンを、好ましくは工程(a)においても工程(d)の後においても含まない、本発明の方法が好ましい。これは、本発明の方法中に、硫酸塩を含有するクロムイオンの源も、硫酸塩を含む任意の他の化合物も利用されないことを意味する。そのような事例において、代替的な伝導性アニオンが好ましくは利用され、より好ましくは塩化物イオンが利用される。
しかしながら、水性析出浴は、硫酸イオンを、好ましくは伝導性アニオンとして含有してもよい。したがって、いくつかの事例において、水性析出浴が硫酸イオンを含有する、本発明の方法が好ましい。硫酸イオンの源は、好ましくは3価硫酸クロム、典型的には、以下で「新鮮な水性析出浴」と呼ばれる水性析出浴を初めて準備するのに使用される硫酸クロムである。そのような事例において、硫酸イオンは分解しないため、硫酸イオンの濃度は比較的一定のままである。しかしながら、時間と共に、硫酸イオンの濃度はドラッグアウトに起因して減少する。そのような好ましい事例において、硫酸イオンは、水性析出浴に不可欠の成分であるため、好ましくは3価硫酸クロムではない源によって、一定の濃度に維持される必要がある。したがって、そのような事例において、いかなる種類の硫酸クロムも水性析出浴に加えないことがはるかに好ましい。
好ましいのは、工程(a)において、水性析出浴が硫酸イオンを含有し、硫酸イオンが、析出浴の全体積基準で5g/L~120g/Lの範囲の、好ましくは20g/L~100g/Lの範囲の、より好ましくは35g/L~90g/Lの範囲の、さらにより好ましくは50g/L~85g/Lの範囲の濃度を有する、本発明の方法である。最も好ましくは、これはいずれの工程(a)にも適用される。概して、水性析出浴中のすべての成分の濃度を一定に保つことが最も好ましい。
好ましいのは、好ましくは各工程(a)における硫酸イオンの濃度が析出浴の全体積基準で5g/L~120g/Lの範囲内で、好ましくは20g/L~100g/Lの範囲で、より好ましくは35g/L~90g/Lの範囲で、さらにより好ましくは50g/L~85g/Lの範囲であるという条件で、各工程(a)において、硫酸イオンが、最初の工程(a)の硫酸イオンの濃度と比較して、±10g/Lの変動以内、好ましくは±5g/Lの変動以内の濃度を有する、本発明の方法である。最初の工程(a)とは、最も好ましくは新鮮な水性析出浴を意味する。好ましくは、本発明の方法は、2つ以上の工程(a)を含む。
新鮮な水性析出浴はまた、錯化剤としてギ酸イオンを含む。ギ酸イオンは析出プロセス中に強力に分解されるため、ギ酸イオンは比較的ひんぱんに補充されなければならない。したがって、本発明の方法において定義されるように、3価クロムイオンをギ酸イオンと一緒に補充することが有益である。しかしながら、好ましくは、ギ酸イオンの他の源も利用される。
好ましいのは、工程(a)において、水性析出浴が、好ましくは、析出浴の全体積基準で30g/L~150g/Lの、好ましくは70g/L~120g/Lの、さらにより好ましくは80g/L~100g/Lの濃度でアンモニウムイオンを含む、本発明の方法である。
いくつかの事例において、好ましいのは、水性析出浴中、3価クロムイオンの全質量とアンモニウムイオンの全質量との総和が、水性析出浴中のすべてのカチオンの全質量の90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上に対応する、本発明の方法である。したがって、本質的に、析出浴中のカチオンの全体量は、前記3価クロムイオン及び前記アンモニウムイオンによって形成される。
好ましいのは、工程(a)において、水性析出浴が臭化物イオンを、析出浴の全体積基準で、好ましくは少なくとも0.06mol/L、好ましくは少なくとも0.1mol/L、より好ましくは少なくとも0.15mol/Lの全濃度で含む、本発明の方法である。臭化物イオンは陽極に形成される6価クロムの形成を効果的に抑制する。
好ましいのは、3価クロムイオンとギ酸イオンとが、1:0.5~1:14の範囲の、好ましくは1:1~1:12の範囲の、より好ましくは1:4~1:11の範囲内の、さらにより好ましくは1:5~1:10の範囲内のモル比を形成する、本発明の方法である。このモル比内でのみ、特により好ましい範囲及びさらにより好ましい範囲において、優良な機能性クロム層又は機能性クロム合金層が得られる。モル比が、特に水性析出浴のpHとの組み合わせにおいて、最も好ましくは、上に定義される好ましいpH及びより好ましいpHの範囲との組み合わせにおいて、1:5~1:10の範囲である場合、優良な安定性が得られる。
好ましいのは、水性析出浴が、酸化数+6未満の硫黄原子を有する硫黄含有化合物、及びホウ素含有化合物を含まない、本発明の方法である。
前記硫黄含有化合物の不存在がアモルファスクロム層及びクロム合金層をそれぞれもたらすことが仮定される。したがって、工程(c)で析出される層が、X線回折により測定されるアモルファスである、本発明の方法が好ましい。これは、本発明の方法の工程(c)中に、且つ析出された層をアモルファスから結晶質又は部分的に結晶質に変化させて、析出された層の原子構造に影響を及ぼす任意の更なる析出後表面処理に先立って、得られる、クロム層又はクロム合金層に当てはまる。そのような硫黄含有化合物は、工程(c)において析出される機能性クロム層又は機能性クロム合金層の硬度に悪影響を及ぼすことが更に仮定される。
本発明の文脈において、主題(例えば化合物、材料等)を「含まない」という用語は、前記主題が全く存在しないか、又は本発明の意図される目的に影響することなく、非常に少量で且つ妨げとならない量(程度)でのみ存在することを独立して表す。例えば、そのような主題は、例えば不可避の不純物として、非意図的に加えられるか、又は利用される可能性がある。「含まない」という用語は、好ましくは、本発明の方法において利用される水性析出浴のために定義される場合、前記浴の全質量基準で、前記主題を、0(ゼロ)ppm~50ppmに、好ましくは0ppm~25ppmに、より好ましくは0ppm~10ppmに、さらにより好ましくは0ppm~5ppmに、最も好ましくは0ppm~1ppmに限定する。最も好ましくは、前記主題は検出可能ではなく、これは前記主題がゼロppmで存在することを含み、これは最も好ましい。
いくつかの事例において、好ましいのは、水性析出浴が、NH 及びNH以外の窒素含有化合物を含まない、本発明の方法である。
好ましいのは、水性析出浴が、ホルムアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド重亜硫酸塩、グリオキサール重亜硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートナトリウム、及びそれらの混合物を含まない、好ましくはアルデヒド(モノアルデヒド類、及びジアルデヒド類を含む)、亜硫酸塩(重亜硫酸塩を含む)、スルホキシル酸塩、及びそれらの混合物を含まない、最も好ましくは可溶性還元剤を含まない、本発明の方法である。
本発明の方法において、6価クロムは、水性析出浴に意図的に加えられない。
本発明の方法において利用される水性析出浴は、いくつかの金属カチオンに対して敏感であり、金属カチオンは望ましくなく、望ましくない変色を引き起こすおそれがある。したがって、好ましいのは、工程(a)において水性析出浴が、銅イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、及び鉄イオンを含まない、本発明の方法である。これはまた、好ましくは前記金属カチオンを含む化合物を含む。最も好ましくは、上述の金属カチオンのいずれも全く存在しない。
最も好ましくは、本発明の方法において利用される水性析出浴において、クロムは、唯一の元素周期表による遷移元素(side group element)である。
更に、水性析出浴が、グリシン、アルミニウムイオン、及びスズイオンを含まない、本発明の方法が好ましい。
工程(a)において、水性析出浴が、析出浴の全体積基準で、0mol/L~0.8mol/Lの範囲の、好ましくは0mol/L~0.6mol/Lの範囲の、より好ましくは0mol/L~0.4mol/Lの範囲の、さらにより好ましくは0mol/L~0.2mol/Lの範囲の全濃度でアルカリ金属カチオンを含む、本発明の方法が好ましい。最も好ましくは、水性析出浴が、0mol/L~0.08mol/Lの範囲の全濃度でアルカリ金属カチオンを含み、さらに最も好ましくはいかなるアルカリ金属カチオンも含有しない。自身の実験によれば、上述のような、水性析出浴中のアルカリ金属カチオンの低い全濃度により、非常に平滑な、析出されたクロム層又はクロム合金層がもたらされる。
工程(d)において固体の3価ギ酸クロムがアルカリ金属カチオンを含まない、本発明の方法が好ましい。これは、好ましくは、本発明の方法の工程(d)において、アルカリ金属カチオンは、好ましくは水性析出浴中のアルカリ金属カチオンの全濃度から独立して水性析出浴に加えられないことを意味する(即ち、アルカリ金属カチオンは水性析出浴中にすでに存在しているかもしれず、又はしていないかもしれない)。
「アルカリ金属カチオンの総濃度」という用語は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びフランシウムの金属カチオンの個別の量の総和を意味する。典型的には、ルビジウム、フランシウム、及びセシウムイオンは、水性析出浴において利用されない。したがって、ほとんどの事例において(且つ最も好ましくは)、上に定義されるアルカリ金属カチオンの総濃度は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの金属カチオンを、より好ましくはナトリウム及びカリウムの金属カチオンを意味する。
本発明の方法の工程(b)において、少なくとも1つの基材及び少なくとも1つの陽極が提供され、基材は陰極である。好ましくは、本発明の方法において、2つ以上の基材が同時に利用される。
好ましいのは、工程(b)において用意される少なくとも1つの基材が、金属基材又は金属合金基材である、好ましくは銅、鉄、ニッケル、及びアルミニウムからなる群より選択される1種又は2種以上の金属を独立して含む金属基材又は金属合金基材である、より好ましくは鉄を含む金属基材又は金属合金基材である、本発明の方法である。最も好ましくは、少なくとも1つの基材は鋼基材であり、鋼基材は鉄を含む金属合金基材である。多くの技術的用途において、平滑で耐摩耗機能性のクロム層又はクロム合金層を有する鋼基材が必要とされる。これは具体的には、本発明の方法によって達成することができる。
いくつかの事例において、少なくとも1つの基材は、好ましくはコーティングされた基材、より好ましくはコーティングされた金属基材である。コーティングは、好ましくは金属層又は金属合金層、好ましくはニッケル層又はニッケル合金層、最も好ましくは半光沢ニッケル層である。具体的には、好ましいのは、ニッケル層又はニッケル合金層でコーティングされた鋼基材である。しかしながら、好ましくは、他のコーティングが代替的に又は追加的に存在する。多くの事例において、そのようなコーティングは、そのようなコーティングを有さない金属基材と比較して耐食性を著しく増加させる。しかしながら、いくつかの事例において、腐食不活性環境(例えば油浴における使用法)のために、基材は腐食されやすくはない。そのような事例において、コーティング、好ましくはニッケル層又はニッケル合金層は、必ずしも必要ではない。
したがって、好ましいのは、
工程(c)において、クロム層又はクロム合金層が少なくとも1つの基材上に直接析出される、又は
工程(b)において定義される少なくとも1つの基材が、追加的にニッケル層又はニッケル合金層を含み、工程(c)において、クロム層又はクロム合金層がその上に析出される、
本発明の方法である。
好ましいのは、少なくとも1つの陽極が、グラファイト陽極、及び混合金属酸化物陽極(MMO)からなる群より独立して選択される、好ましくはグラファイト陽極、及びチタン上の混合金属酸化物の陽極からなる群より独立して選択される、本発明の方法である。そのような陽極は、本発明の方法において利用される水性析出浴において、十分に耐性があることを示している。
好ましくは、少なくとも1つの陽極は、鉛又はクロムを全く含有しない。
本発明の方法における工程(c)において、少なくとも1つの基材を水性析出浴中に浸漬し、電流を印加し、その結果として、基材上にクロム層又はクロム合金層が析出される。
本発明の方法における工程(c)において、クロム層又はクロム合金層のいずれかが析出される。ほとんどの事例において、工程(c)で析出される層が、クロム合金層である、本発明の方法が好ましい。好ましい合金化元素は、炭素及び酸素である。炭素は、ギ酸イオンのために、典型的に存在する。好ましくは、クロム合金層は、硫黄、ニッケル、銅、アルミニウム、スズ、及び鉄からなる群より選択される1つの、2つ以上の、又はすべての元素を含まない。より好ましくは、合金化元素は炭素及び/又は酸素のみであり、最も好ましくは炭素及び酸素である。好ましくは、クロム合金層は、クロム合金層の全質量基準で88質量%以上の、より好ましくは91質量%以上の、さらにより好ましくは93質量%以上の、最も好ましくは96質量%以上のクロムを含有する。
好ましいのは、工程(c)において、電流が、直流(DC)であり、好ましくは5A/dm~100A/dmの範囲の、より好ましくは10A/dm~80A/dmの範囲の、さらにより好ましくは15A/dm~70A/dmの範囲の、最も好ましくは20A/dm~60A/dmの範囲の電流密度を有する直流である、本発明の方法である。
好ましくは、直流は、工程(c)中は中断されることなく、工程(c)において印加される。したがって、直流は、好ましくはパルスにされてない(非パルスDC)。更に、直流は、好ましくは反転パルスを含まない。
工程(c)中に、水性析出浴は、好ましくは撹拌によって、好ましくは連続的にかき混ぜられる。
好ましいのは、析出されたクロム層又はクロム合金層を含む、工程(c)後に得られる少なくとも1つの基材が、少なくとも700HV(0.05)のビッカース硬度(50g「荷重」で測定)を示す、本発明の方法である。耐摩耗性は、好ましくは6価クロムベースの析出法を用いて得られる耐摩耗性と同程度に良好である。
本発明の方法において、3価クロムイオンが少なくとも1つの陽極と接触しているように、水性析出浴中に、少なくとも1つの基材及び少なくとも1つの陽極が存在することが好ましい。そのような好ましい方法において、3価クロムイオンを陽極から分離するための膜又は隔膜を完全に回避することができる(即ち、水性析出浴内に追加の区画が形成されない)。換言すれば、本発明の方法において、析出浴中の3価クロムイオンを陽極から分離するために、分離手段は利用されない。これにより、コスト、保守努力が低減され、簡素化された本発明の方法の実施が可能となる。自身の実験では、そのような分離手段が本発明の方法において必要とされないことが示されている。
工程(d)において、3価クロムイオン及びギ酸イオンは、溶解された固体の3価ギ酸クロムを用いて補充される。固体の3価ギ酸クロムは、好ましくは乾燥粉体又は懸濁液である。そのような懸濁液は、好ましくは、粉体の大部分が溶解されずに残るように、少量の液体を乾燥粉体と混合することによって得られる。これにより、望ましくないダストが巻き上げられることが阻止され、同時に固体のギ酸クロムが与えられる。最も好ましくは、少量の液体はまた、水性析出浴の部分体積である。代替的には、少量の水が水性析出浴に補充されなければならない場合(例えばドラッグアウトに起因して)、好ましくは、そのような水を使用して前記懸濁液を得る。
本発明の方法において、工程(c)中、又はその後に、3価クロムイオンが3価クロムイオンのターゲット濃度未満の濃度を有する場合、工程(d)が開始される。いくつかの事例において、3価クロムイオンの濃度は、好ましくは直接測定され、続いてターゲット濃度と比較される。
しかしながら、他の事例において、水性析出浴中の3価クロムイオンの濃度が、最も好ましくは、水性析出浴に印加される全電流を監視及び/又は測定することによって、間接的に測定される、本発明の方法が好ましい。全電流及び電流効率を考慮に入れて、濃度の減少、及び3価クロムイオンの濃度をそれぞれ算出し、ターゲット濃度と比較することができる。
したがって、工程(d)に先立って、水性析出浴中でアンペア時計を利用してアンペア時の値を測定する、本発明の方法が好ましい。最も好ましくは、このアンペア時の値は、本発明の方法の工程(d)を開始するためのトリガーである。
工程(d)において溶解された3価ギ酸クロムを加えることの他に、本発明の方法中に、追加的にNHOH、NH、及び/又は、1種又は2種以上のアンモニウム塩が加えられて、最も好ましくは、水性析出浴のpHが調整され、硫酸イオンが加えられ、及び/又は追加のギ酸イオンが加えられる、本発明の方法が好ましい。したがって、1種又は2種以上のアンモニウム塩は、好ましくはギ酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムである。好ましくは、本発明の方法において、NHOH以外の水酸化物は利用されない。好ましくは、本発明の方法において、NHOH、NH、及びギ酸が、水性析出浴のpHを調整するための唯一の化合物である。
本発明はまた、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための水性析出浴中の3価クロムイオン及びギ酸アニオンを補充するための固体の3価ギ酸クロムの使用に言及する。好ましくは、本発明の方法のために上に定義されるような3価クロムイオンとギ酸イオンとのモル比との組み合わせにおいて。
本発明は、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための水性析出浴中の3価クロムイオン及びギ酸アニオンを補充するための固体の3価ギ酸クロムの使用であって、前記水性析出浴が4.1~6.9の範囲のpHを有する、使用に言及する。好ましくは、本発明の方法のために上に定義されるような3価クロムイオンとギ酸イオンとのモル比との組み合わせにおいて。
したがって、本発明は、非常に特定の目的(クロム層又はクロム合金層を電解析出させるための水性析出浴を補充するため)で、特定の形態(即ち固体)で、非常に特定の3価クロム塩(即ちギ酸クロム)の使用を意味する。3価ギ酸クロムの溶解度が不良であるにもかかわらず、固体の3価ギ酸クロムの使用により、3価クロムイオン及び錯化剤としてのギ酸イオンを同時に補充することが可能になる。これは、経済的に非常に大変好ましく、望ましくないアニオン、例えば硫酸イオンの蓄積を阻止し、又はさらに硫酸の存在を完全に回避する。更に、これは、機能性クロム層又は機能性クロム合金層を析出させるために特に有益である(機能性層に関しては上のテキストを参照されたい)。そのような事例において(且つテキストに上述されるように)、補充は注意深く制御されて水性析出浴の希釈を回避しなければならない。固体の3価ギ酸クロムは、比較的低い溶解度にうまく対処すれば、この問題を克服するための優良なツールとなる。これは本発明の方法によって達成することができる。
より好ましいのは、固体の3価ギ酸クロムが、水性析出浴から取られた分離された部分体積において補充に先立って溶解される、本発明の使用である。
最も好ましいのは、本発明の方法において利用される水性析出浴における本発明の使用である。したがって、適用可能な場合、本発明の方法に関する前述の特徴は、好ましくは本発明の前述の使用に同様に適用される。
特に好ましいのは、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための水性析出浴が、4.6~6.5の範囲の、より好ましくは5.1~6.1の範囲の、最も好ましくは5.5~5.9の範囲のpHを有する、本発明の使用である。これは、本発明の方法のために上に定義される3価クロムイオンとギ酸イオンとのモル比との組み合わせにおいて、特に好ましい。
本発明はまた、少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるためのめっき装置であって、
(A)少なくとも1つの加熱部112と、少なくとも1つの陽極113とを含む、
水性析出浴のための第1の区画110と、
(B)任意選択で少なくとも1つの撹拌部121と、任意選択で少なくとも1つの加熱部122とを含む、
水性析出浴の部分体積を受け取るための第2の区画120と、
(C)第2の区画120に機能的に接続された供給部130と、
(D)少なくとも1つの分析部150と、
(E)第1の区画110と第2の区画120とを接続して水性析出浴の部分体積を第2の区画120に移送し、改変された部分体積を第2の区画120から第1の区画110に移送して戻す、少なくとも1つの移送手段140と
を備え、
-少なくとも1つの移送手段140が少なくとも1つの搬送機部180を含み、
-制御部170を含む電気接続160によって、少なくとも1つの分析部150、供給部130、及び少なくとも1つの搬送機部180が互いに接続されて、少なくとも1つの分析部150、供給部130、少なくとも1つの搬送機部180、及び制御部170が互いに通信するのに適しているように構成されており、
-制御部170が供給信号を通信すると、供給部130が、定義された量の乾燥粉体又は懸濁液を第2の区画120に加えるように構成されており、
-制御部170が搬送信号を通信すると、少なくとも1つの搬送機部180が、改変された部分体積を第1の区画110に搬送するように構成されている、
めっき装置に関する。
最も好ましくは、めっき装置の第1の区画はめっき槽であって、最も好ましくは4.1~6.9の範囲のpHを有する水性析出浴を含有するめっき槽であって、浴が、
-3価クロムイオンと、
-ギ酸イオンと、
-任意選択で硫酸イオンと
を含む、めっき槽である。
本発明の方法において利用される水性析出浴に関する前述の特徴は、好ましくは本発明のめっき装置において利用される水性析出浴に同様に適用され、最も好ましくは本発明の方法の前述の特徴は、好ましくは本発明のめっき装置に同様に適用される(適用可能である場合)。
好ましくは、第2の区画は補充槽である。
好ましくは、少なくとも1つの移送手段は管である。
好ましくは、少なくとも1つの移送手段は、水性析出浴の部分体積を第2の区画120に移送するための第1の移送手段、及び改変された部分体積を第2の区画120から第1の区画110に移送して戻すための第2の移送手段を含む。より好ましくは、各移送手段はそれぞれ個別に搬送機部を含む。これは、各移送手段において、1つの流れ方向のみが適用されることを確実にする。本発明の文脈において、「移送手段」は、液体を搬送するのに適切な接続手段を同等に表す(したがって、当該接続手段と交換可能である)。
非常に好ましくは、少なくとも1つの移送手段は、少なくとも1つのろ過部を追加的に含む。固体の3価ギ酸クロムが完全に溶解されていないか、又は他の沈殿が形成されている場合、そのようなろ過部は非常に有益であり、したがって、析出浴に粒子が入ることを阻止する。代替的に又は追加的に、ろ過部は搬送機部180に含まれる。
改変された部分体積は、好ましくは、溶解された乾燥粉体(好ましくは溶解された固体のギ酸クロム)を含む第1の区画から取られた(好ましくは水性析出浴から取られた)分離された部分体積である。
更に、本発明のめっき装置は、好ましくは第1の区画において電流を印加する手段を備える。電流に関する詳細に関して、上のテキストを参照されたい。
いくつかの事例において、第2の区画の体積が、第1の区画の体積の少なくとも5vol%であり、好ましくは少なくとも9vol%である、本発明のめっき装置が好ましい。
第2の区画の体積は、主として、第1の区画における水性析出浴の全体積に適用される1時間(h)当たりのアンペア時(Ah)での平均電流スループット(average electrical current throughput)によって/これに基づいて測定される。したがって、第2の区画は、前記部分体積の必要とされる体積を取り込むのに適した全体積を有しなければならない。好ましいのは、第2の区画が、第1の区画において水性析出浴に適用される電流1000Ah/h当たり、前記部分体積の15L~100Lの範囲の、好ましくは25L~80Lの範囲の体積を取り込むように適合された、本発明のめっき装置である。最も好ましくは、これが、水性析出浴の前記部分体積の温度が45℃~65℃の範囲の、最も好ましくは50℃~60℃の範囲であるという条件で適用される。これらの条件下では、最適な投入を達成することができる、即ち、固体の3価ギ酸クロムを溶解するのに十分な時間が与えられ、溶解された3価ギ酸クロムを水性析出浴に適切に加えることができる。保守のための十分な時間も考慮に入れられる。前述されたことは、本発明の方法に同様に適用される。
本発明の方法は、例として図1において概略的に描写されるめっき装置100を用いて説明される。
新鮮な水性析出浴は、めっき槽である第1の区画110において準備される。新鮮な水性析出浴は、18g/L~23g/Lの3価クロムイオン、硫酸イオン、ギ酸イオン、臭化物イオン、及びアンモニウムイオンを含み、20℃を基準として5.5~5.9の範囲のpHを有する。ターゲット濃度は、19g/L~21g/Lの濃度内である。
析出浴は、加熱部112を使用して約50℃の温度に保たれる。ニッケル合金層でコーティングされた鋼基材は、析出浴に浸漬され、同時に約45分間約40A/dmの直流が適用され、機能性クロム合金層が電解析出される。陽極113はグラファイト陽極である。そのようなクロム合金層を析出することは、3価クロムイオンの濃度がターゲット濃度未満になるまで、追加の基材を用いて数回繰り返される。3価クロムイオンの濃度は、少なくとも1つの分析部150によって間接的に分析され、分析部150はアンペア時計であり、析出浴に適用された全電流を分析する。そのような事例において、少なくとも1つの分析部150は、第1の区画110の外側に配置される。しかしながら、代替的には、且つ3価クロムイオンの全濃度が直接分析される場合は、少なくとも1つの分析部150は析出浴と直接接触している。
3価クロムイオン及びギ酸イオンを補充するために、乾燥粉体としての(代替的には、懸濁液としての)固体の3価ギ酸クロムは、手動又は自動で供給部130に加えられる。部分体積は、管である、少なくとも1つの移送手段140を用いて第1の区画における水性析出浴から分離され、第2の区画、即ち補充槽に移送される。
電気接続160を用いて制御部170及び供給部130に電気接続されている、少なくとも1つの分析部150が、3価クロムイオンの濃度がターゲット濃度未満であると分析する場合、制御部170において供給信号が生成され、供給部130に通信される。供給部130は、乾燥粉体(又は代替的には、懸濁液)を定義された量で第2の区画120に自動的に加える。第2の区画は、加熱部122を用いて約60℃の温度まで加熱され、分離された部分体積は、乾燥粉体を溶解するために、即ち溶解された3価ギ酸クロムを得るために、撹拌部121によって約60分間連続的に撹拌される。本発明の文脈において、制御部170は、好ましくは制御及び/又は調節部であり、第2の区画に「機能的に接続された」供給部130は、第2の区画「と併せて」を同等に表す。
供給部130が乾燥粉体を加えていようと懸濁液を加えていようと、供給部は、各事例において少なくとも固体を第2の区画に加える(即ち移送する、与える等)ように適合されている。懸濁液の場合、固体に液体が伴う。
加えた固体の3価ギ酸クロムが溶解された後、改変された部分体積が第2の区画120において得られる。続いて、少なくとも1つの搬送機部180が改変された部分体積を第1の区画に搬送して戻すように、制御部170は少なくとも1つの搬送機部180に搬送信号を通信する。結果として、第1の区画における、即ち水性析出浴における3価クロムイオンの濃度は増加され、ターゲット濃度より高くなる。機能性クロム合金層を析出することは、濃度が再度ターゲット濃度未満になるまで、更なる基材を用いて継続される。この場合、上述のように補充することは繰り返される。
本発明の文脈において、「搬送機部」という用語は、「搬送部」、即ち、部分体積及び改変された部分体積の移送が促進される/実行されるようにそれぞれの通信される信号の処理を主として担う部を表す(且つ交換可能である)。典型的には、これは移送手段140における能動要素である。
好ましいのは、工程(d)において、溶解された3価クロムイオンが水性析出浴にバッチ式で加えられる、本発明の方法である。他の事例において、工程(d)において、溶解された3価クロムイオンが水性析出浴に連続的に、又は半連続的に加えられる、方法が好ましい。
本発明の方法は、同様のやや難溶のクロム塩、好ましくは、酢酸イオン、プロビオン酸イオン、グリコール酸イオン、シュウ酸イオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるアニオンを含むやや難溶のクロム塩に、基本的に適用可能であると考えられる。しかしながら、ギ酸イオンは、3価クロムイオンのための最適な、したがって最も好ましい錯化剤であり、したがって、3価ギ酸クロムは、本発明の方法の工程(d)において利用される最も好ましいやや難溶のクロム塩である。したがって、主として、工程(d)において、酢酸イオン、プロビオン酸イオン、グリコール酸イオン、シュウ酸イオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるアニオンを含むクロム塩は利用されず、より好ましくは水性析出浴が酢酸イオン、プロビオン酸イオン、グリコール酸イオン、シュウ酸イオン、炭酸イオン、及びクエン酸イオンを全く含まない、本発明の方法が好ましい。最も好ましいのは、ギ酸イオンが、3価クロムイオンのための唯一の有機錯化剤である。
100 めっき装置
110 第1の区画
112 加熱部
113 陽極
120 第2の区画
121 撹拌部
122 加熱部
130 供給部
140 少なくとも1つの移送手段
150 少なくとも1つの分析部
160 電気接続
170 制御部
180 少なくとも1つの搬送機部(少なくとも弁及びポンプを含む)

Claims (15)

  1. 少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための方法であって、
    (a)4.1~6.9の範囲のpHを有する水性析出浴を提供する工程であって、浴が、
    -3価クロムイオンと、
    -ギ酸イオンと、
    -任意選択で硫酸イオンとを含む工程と、
    (b)前記少なくとも1つの基材及び少なくとも1つの陽極を提供する工程と、
    (c)前記少なくとも1つの基材を前記水性析出浴中に浸漬し、前記基材上にクロム層又はクロム合金層が析出されるように電流を印加する工程であって、前記基材が陰極である工程と、
    工程(c)の間、又はその後、前記3価クロムイオンが、3価クロムイオンのターゲット濃度未満の濃度を有する場合に、
    (d)前記水性析出浴から取られた分離された部分体積に固体の3価ギ酸クロムを溶解して、工程(d)のための溶解された3価ギ酸クロムが得られ、
    3価クロムイオンが工程(d)の前より高い濃度で存在するように、前記溶解された3価ギ酸クロムを前記水性析出浴に加える工程と
    を含む方法。
  2. 前記水性析出浴が、20℃~80℃の範囲の、好ましくは30℃~70℃の範囲の、より好ましくは40℃~60℃の範囲の、最も好ましくは45℃~55℃の範囲の温度を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水性析出浴から取られた前記分離された部分体積の温度が、工程(c)における前記水性析出浴の温度と比較して3.1℃~30℃、好ましくは3.3℃~26℃、より好ましくは3.5℃~21℃、さらにより好ましくは3.7℃~15℃、最も好ましくは3.9℃~11℃、さらに最も好ましくは4℃~8℃高い、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記水性析出浴から取られた前記分離された部分体積の温度が、工程(c)における前記水性析出浴の温度の±3℃の範囲内、好ましくは+0℃~+3℃の範囲内、より好ましくは+0℃~+2℃の範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記水性析出浴から取られた前記分離された部分体積中に前記固体の3価ギ酸クロムが溶解されてから遅くとも8時間後に、好ましくは遅くとも4時間後に、より好ましくは、前記水性析出浴から取られた前記分離された部分体積中に前記固体の3価ギ酸クロムが溶解されてから5分~3時間以内に、最も好ましくは6~60分以内に、工程(d)において、前記溶解された3価ギ酸クロムが加えられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記水性析出浴中の前記3価クロムイオンが、析出浴の全体積基準で15g/L~35g/Lの範囲の、好ましくは16g/L~30g/Lの範囲の、より好ましくは17g/L~26g/Lの範囲の、さらにより好ましくは18g/L~23g/Lの範囲の濃度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程(d)において、溶解された前記固体のギ酸クロムを含む前記水性析出浴から取られた前記分離された部分体積中で、前記3価クロムイオンが、前記水性析出浴中の前記3価クロムイオンより高い濃度を有し、前記3価クロムイオンが、前記溶解された固体のギ酸クロムを含む前記分離された部分体積の全体積基準で、前記水性析出浴中の前記3価クロムイオンより好ましくは最大15g/L高い、より好ましくは最大10g/L高い、さらにより好ましくは最大8g/L高い、最も好ましくは最大6g/L高い、さらに最も好ましくは最大4g/L高い、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記溶解された固体のギ酸クロムを含む前記分離された部分体積中で、前記3価クロムイオンが、前記水性析出浴中の3価クロムイオンより高い濃度を有し、工程(d)において、前記溶解された固体のギ酸クロムを含む前記水性析出浴から取られた前記分離された部分体積中で、前記3価クロムイオンが、前記溶解された固体のギ酸クロムを含む前記分離された部分体積の全体積基準で、20g/L~35g/Lの範囲の、好ましくは20.5g/L~30g/Lの範囲の、より好ましくは21g/L~28g/Lの範囲の、さらにより好ましくは21.5g/L~25g/Lの範囲の濃度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程(d)の後、少なくとも1つの更なる工程(a)のための水性析出浴が結果として生じ、工程(a)~(d)が、そのような析出浴を用いて、少なくとも1つの更なる基材を用いて繰り返される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 工程(a)において、前記水性析出浴が硫酸イオンを含有し、前記硫酸イオンが、析出浴の全体積基準で5g/L~120g/Lの範囲の、好ましくは20g/L~100g/Lの範囲の、より好ましくは35g/L~90g/Lの範囲の、さらにより好ましくは50g/L~85g/Lの範囲の濃度を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 各工程(a)において、前記硫酸イオンが、最初の工程(a)の硫酸イオンの濃度と比較して、±10g/Lの変動範囲内、好ましくは±5g/Lの変動範囲内の濃度を有し、好ましくは、各工程(a)における硫酸イオンの濃度が、析出浴の全体積基準で、5g/L~120g/Lの範囲内で、好ましくは20g/L~100g/Lの範囲で、より好ましくは35g/L~90g/Lの範囲で、さらにより好ましくは50g/L~85g/Lの範囲である、請求項10に記載の方法。
  12. 工程(a)において、前記水性析出浴が、好ましくは、析出浴の全体積基準で30g/L~150g/Lの、好ましくは70g/L~120g/Lの、さらにより好ましくは80g/L~100g/Lの濃度でアンモニウムイオンを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(d)に先立って、前記水性析出浴中でアンペア時計を利用してアンペア時の値を測定する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるための水性析出浴中の3価クロムイオン及びギ酸アニオンを補充するための固体の3価ギ酸クロムの使用であって、前記水性析出浴が4.1~6.9の範囲のpHを有する、使用。
  15. 少なくとも1つの基材上にクロム層又はクロム合金層を析出させるためのめっき装置100であって、
    (A)少なくとも1つの加熱部112と、少なくとも1つの陽極113とを含む、水性析出浴のための第1の区画110と、
    (B)任意選択で少なくとも1つの撹拌部121と、任意選択で少なくとも1つの加熱部122とを含む、前記水性析出浴の部分体積を受け取るための第2の区画120と、
    (C)前記第2の区画120に機能的に接続された供給部130と、
    (D)少なくとも1つの分析部150と、
    (E)前記第1の区画110と前記第2の区画120とを接続して前記水性析出浴の部分体積を前記第2の区画120に移送し、改変された部分体積を前記第2の区画120から前記第1の区画110に移送して戻す、少なくとも1つの移送手段140とを備え、
    -前記少なくとも1つの移送手段140が少なくとも1つの搬送機部180を含み、
    -制御部170を含む電気接続160によって、前記少なくとも1つの分析部150、前記供給部130、及び前記少なくとも1つの搬送機部180が互いに接続されて、前記少なくとも1つの分析部150、前記供給部130、前記少なくとも1つの搬送機部180、及び制御部170が互いに通信するのに適しているように構成されており、
    -前記制御部170が供給信号を通信すると、前記供給部130が、所定の量の乾燥粉体又は懸濁液を前記第2の区画120に加えるように構成されており、
    -前記制御部170が搬送信号を通信すると、前記少なくとも1つの搬送機部180が、前記改変された部分体積を前記第1の区画110に搬送するように構成されている、
    めっき装置100。
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