JP2022508346A - 極低温超高真空スーツケース - Google Patents

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Abstract

本発明は、超高真空状態下で且つ低温でサンプルを搬送及び移送する可搬型デバイスであって、真空チャンバーと、冷却システムと、サンプル位置を調整することを可能にする移送ロッドと、チャンバーを開放又は閉鎖するとともに別の真空装置に取り付けることを可能にする弁と、サンプルがチャンバー内にあるときは常に及び/又はサンプルが移送されているときは常に、チャンバー内を10-9mbar未満の圧力で維持するように設計されたポンプと、搬送中にサンプルが保持されるチャンバー内部の容積部を画定する冷却シールドであって、冷却システムに熱接触する冷却シールド106と、移送ロッドに取外し可能に取り付けられるとともに搬送中にサンプルを担持するように構成されたサンプルホルダーと、冷却シールドに熱接触している冷却ブロックとを備え、冷却ブロック及びサンプルホルダーは、冷却シールドによって画定された容積部の内部で熱接触することができるように構成され、冷却システムは、冷却シールドを80K未満の温度まで冷却することができるように構成されており、冷却シールドと冷却ブロックとの間の熱接触、及び/又は冷却ブロックとサンプルホルダーとの間の熱接触は、冷却シールドの温度がチャンバーの温度よりも低いときは常に、サンプルが冷却シールドよりも高い温度で維持されるように構成されている、デバイスに関する。本発明はまた、ヘキサポッドポートアライナーの使用であって、真空搬送デバイスから電子顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡にサンプルを移送する、使用に関する。【選択図】5a

Description

本発明は、真空デバイスの技術分野に関し、より具体的には、可搬型真空デバイスの技術分野に関する。特に、本発明は、いわゆる超高真空(UHV)状態下で1つの真空チャンバーから別の離れた真空チャンバーにサンプルを搬送及び移送することができる、以下真空スーツケースと称する可搬型真空デバイスに関する。より正確には、本発明は、サンプルを極低温で維持しながらUHV状態下で搬送することができるデバイスに関する。さらに、本発明はまた、真空状態下で真空スーツケースにより電子顕微鏡に搬送されるサンプルの移送のためのヘキサポッドポートアライナー(hexapod port aligner)の使用に関する。
多くの実験科学の分野において、サンプルは、非常に特定の且つ制御された大気条件下で調製される。これらのサンプルは、特に、主にそれらが実際にどれくらいのコストがかかるかに関してではなく、それらが必要とする調製の時間に関してより価値がある。不都合なことに、大部分の場合では、これらのサンプルは、通常の大気条件に曝露された場合、即座に劣化する。したがって、サンプルが特定の条件下で調製された装置又はデバイスからそれらが分析される装置まで、サンプルを搬送及び移送する手段を提供することが必須である。実際には、調製デバイス及び分析チャンバーは別個且つ遠隔であることが非常に一般的である。これらのチャンバーは、同じ敷地における異なる研究室に、又は異なる国に、又は更には異なる大陸にある場合がある。
非常に繊細なサンプルの搬送の問題は新しいものではなく、サンプルを常に真空状態下で維持しながら調製チャンバーと分析チャンバーとの間でサンプルを移送するいわゆる真空スーツケースの開発のきっかけとなった。
大部分の既存のスーツケースは、高真空状態下で、すなわち10-6mbar~10-7mbarの圧力範囲でサンプルを搬送することができるが、これらのデバイスでは、いわゆる超高真空(UHV)状態下で、すなわち10-9mbar未満の圧力でサンプルを搬送することはできない。しかしながら、この圧力領域は、現代科学において、特に現代表面物理学及びナノサイエンスにおいて、はるかに最も関心の高い領域である。高真空状態下で搬送されるサンプルは、早くも数分で劣化し、それらの特性評価又はそれらの使用を不可能にする。
超高真空は、繊細なサンプルを調製チャンバーから別のチャンバーへ又はいくつかの特性評価チャンバー間で搬送するための1つの重要な条件である。別の重大なパラメーターは、サンプル温度である。サンプルが極低温で調製されることは非常に一般的である。これは、例えば、表面物理学の分野において頻繁にある。極低温で調製されたサンプルは、温まると、この場合もまた略即座に劣化する。したがって、サンプルは、調製チャンバーと分析チャンバーとの間で、低温に維持しながら搬送する必要がある。
超高真空状態下で且つ極低温でサンプルを搬送及び移送するときの更なる問題は、真空スーツケースから受容チャンバーへのサンプルの移送ステップ自体によってもたらされる。実際に、サンプルを極低温で且つあり得る最適な真空状態下で維持することができるように、真空スーツケースの全ての構成要素だけでなく、受容チャンバーの全ての構成要素もまた、最適化されており、通常は非常に小型であり、且つ繊細である。したがって、サンプルを、本発明において提案されるような極低温UHVスーツケースから、電子顕微鏡のような分析チャンバーまで移送することができるようにするために、両デバイスの軸を可能な限り適切に位置合せしなければならない。そうでなければ、移送によりこれらのデバイスに著しい損傷がもたらされる可能性がある。
そのため、本出願の発明者らは、サンプルを極低温で維持しながら超高真空状態下でサンプルを搬送及び移送するのを可能にする、極低温超高真空スーツケースを開発した。本発明者らは、真空スーツケースから、例えば電子顕微鏡のような分析チャンバーへのサンプルの円滑且つリスクのない移送を可能にする手段も提案する。
したがって、本発明の目的は、超高真空状態下で且つ低温でサンプルを搬送及び移送する可搬型デバイスを提案すること、及び、真空スーツケースから分析チャンバーへサンプルを移送するためのポートアライナーの使用を提案することである。
本発明によれば、これらの目的は、特に独立請求項の要素を通して達成される。更なる有利な実施形態は、従属請求項及び本明細書から更にもたらされる。異なる実施形態で本明細書に開示する特徴はまた、当業者により、容易に組み合わせることもできる。
特に、第一の態様では、本発明の目的は、超高真空状態下で且つ低温でサンプルを搬送及び移送する可搬型デバイスであって、真空チャンバーと、冷却システムと、サンプル位置を調整することを可能にする移送ロッドと、チャンバーを開放又は閉鎖するとともに別の真空装置に取り付けることを可能にする弁と、サンプルがチャンバー内にあるときは常に及び/又はサンプルが移送されているときは常に、チャンバー内を10-9mbar未満の圧力で維持するように設計されたポンプと、搬送中にサンプルが保持されるチャンバー内部の容積部を画定する冷却シールドであって、冷却システムに熱接触する冷却シールドと、移送ロッドに取外し可能に取り付けられるとともに少なくとも搬送中にサンプルを担持するように構成されたサンプルホルダーと、冷却シールドに熱接触している冷却ブロックと、を備え、冷却ブロック及びサンプルホルダーは、冷却シールドによって画定された容積部の内部で熱接触することができるように構成され、冷却システムは、冷却シールドを80K未満の温度まで冷却することができるように構成されており、冷却シールドと冷却ブロックとの間の熱接触、及び/又は冷却ブロックとサンプルホルダーとの間の熱接触は、冷却シールドの温度がチャンバーの温度よりも低いときは常に、サンプルが冷却シールドよりも高い温度で維持されるように構成されている、デバイスによって達成される。
本発明によるデバイスにより、サンプルが真空チャンバー内で最冷点にないことを確実にしながら、UHV状態で且つ低温でサンプルを搬送することができる。サンプルよりも低温の冷却シールドにより、サンプルが極低温ポンプとして作用しないことが確実である。したがって、本発明のデバイスにより、低温で維持されたサンプルを搬送することと、サンプルが汚染されないままであることを保証することとが可能である。移送ロッドにより、サンプルホルダー及び/又はサンプルを分析チャンバー又は調製チャンバーにそれぞれ測定又は更なる処理のために移送することができる。
本発明の好ましい実施形態では、冷却シールドと冷却ブロックとの間の熱接触、及び/又は冷却ブロックとサンプルホルダーとの間の熱接触は、冷却シールドとサンプルとの間の温度差が、少なくとも10K、好ましくは15K、更により有利には20Kであるように構成されている。この手段により、サンプルが汚染されないままであることを確実にしながら、サンプルを非常に低い温度で維持されるようにすることができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、冷却シールドの温度を測定する少なくとも1つの冷却シールド温度センサーを備える。これにより、冷却シールドの温度を監視することができる。例えば、調製装置内で低温に維持されたサンプルを、サンプルの温度がサンプルに損傷を与える許容できない温度閾値を超えて上昇するリスクなしに搬送デバイスまで搬送することができるように、冷却シールドの温度が十分に低いか否かを知ることは有用である。
本発明の更に好ましい実施形態では、デバイスは、サンプルホルダーの温度を測定するサンプルホルダー温度センサーを備える。この手段により、サンプルの温度を監視することができ、サンプルが常に十分に低い温度で維持されることを保証することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、サンプルと冷却シールドとの間の温度差が調整可能であるようにする加熱器を備える。これにより、サンプルの温度を正確に調整することができる。これは、デバイスによりガラス化サンプルが搬送される場合に非常に有利である可能性がある。制御された方法で温度を上昇させることにより、サンプルのバルク水又は氷を、タンパク質の水和殻を維持しながら昇華させることができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、ポンプは非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプである。非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプにより、非常に小さいポンプ容積でUHV状態に達し且つそれを維持することができる。したがって、この実施の形態によるデバイスは、より軽量であるとともに搬送がより容易である。さらに、UHV状態では、非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプの活性部分が非蒸発型ゲッターであるため、且つ、ポンプのこの部分はいかなる電源も不要であるため、何カ月又は更には何年もの間、本発明によるデバイスのチャンバー内部でUHV状態を維持することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、デバイスは、ポンプに高電圧を供給するポンプコントローラーを備える。デバイスにポンプのコントローラーを組み込むことにより、搬送中、可能な限り低い真空状態が維持されることを確実にすることができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、チャンバーの内部の圧力は、ポンプを用いて測定可能である。これにより、デバイスに圧力計を追加する必要なしに、チャンバー内部の圧力を監視することができる。特に、チャンバー内部の圧力は、ポンプのイオンポンプ要素によって測定されるイオン電流によって測定することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、冷却システムは極低温流体デュワーである。デュワーに極低温流体を注ぐことにより、機械的に作動する冷凍機の場合に必要である電源を必要とすることなく、冷却シールドを迅速に冷却することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、極低温流体は液体窒素である。液体窒素により、サンプルを、好都合な且つ既知の方法で、100K未満の温度で維持することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、デバイスは、パーキングステージリニアフィードスルーを備え、パーキングステージリニアフィードスルーの空気側部分は、真空チャンバーに取り付けられたデュワーの内部に配置され、パーキングステージリニアフィードスルーの真空側部分は、パーキングステージに接続されており、デバイスは、デュワーに熱的に接続されたパーキングステージ冷却ブロックを更に備え、パーキングステージ冷却ブロックは、パーキングステージをパーキングステージ冷却ブロックに押し付けることによりパーキングステージを冷却することができるように構成されており、パーキングステージは、パーキングステージリニアフィードスルーを用いて冷却シールド内部で移送することができる。これにより、極低温まで冷却することができるサンプルパーキングステージを有することができる。したがって、この実施形態によるスーツケースにより、全て極低温で維持されたいくつかのサンプルを同時に搬送することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、冷却システムは機械式冷凍機である。機械式冷凍機により、極低温流体の使用に関連するリスクなしにサンプルを迅速に冷却することができる。したがって、極低温流体の使用が可能ではない搬送手段により、例えば飛行機により、低温で維持されたサンプルを搬送することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、機械式冷凍機は、スターリング冷凍機又はギフォード・マクマホン冷凍機である。これら2つのタイプの機械式冷凍機には、必要な容積がごくわずかであるという利点があり、それは、搬送デバイスを好都合に搬送することができることを意味する。さらに、それらは、必要なエネルギーがごくわずかである。
本発明の更に好ましい実施形態では、デバイスは、機械式冷凍機に電力を供給するとともに機械式冷凍機を制御する制御電子手段を備える。搬送デバイスに機械式冷凍機の制御電子手段を組み込むことにより、非常に長い距離にわたって低温で維持されたサンプルを搬送することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、制御電子手段は、バッテリにより又は24V電源により動作可能である。これにより、機械式冷凍機を動作させるために自動車の通常の24V電源を利用するか、又はいかなる外部電源への接続もなしに機械式冷凍機を動作させることができる。これにより、外部電源の必要なしに長距離の搬送が可能となる。これにより、搬送中に常に真空レベルを監視することも可能である。
本発明の別の好ましい実施形態では、冷却シールドは、少なくとも1つの開口部を備え、チャンバーは少なくとも1つの真空窓を備え、開口部及び真空窓は、冷却シールドによって画定された容積部内に保持されているサンプルが、チャンバーの外部から光学的に観察可能であるように配置されている。これにより、光学測定、例えば光学分光法を、冷却シールドによって画定される容積部の内部にあるサンプルに対して実施することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、サンプルは、サンプルホルダー及び冷却ブロックが熱接触している間に光学的に観察可能である。これにより、光学測定、例えば光学分光法を、低温で維持されているサンプルに対して実施することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、冷却シールドの少なくとも1つの開口部は、光学的に透明の且つ熱反射性の材料によって覆われている。この手段により、真空チャンバーの高温の壁又は外部からの熱放射がサンプルに到達しサンプルを加熱する可能性がないことを確実にしながら、サンプルの光学測定を実施することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、冷却シールドの内部に位置するとともにサンプルを包囲するサンプルシールドを備え、サンプルシールドは、冷却シールドに対して変位可能であり、サンプルシールドに対するサンプルの位置は、サンプルの移送のために調整することができる。これにより、サンプルが常にサンプルシールドの冷却された面によって包囲されている間にサンプルを移送することができる。したがって、冷却ブロックとの熱接触が中断され、サンプルが能動的に冷却されていない場合であっても、サンプルを常に極低温で維持することができる。これは、移送ステップ自体に長時間が必要である状況において有利である。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、少なくとも1つのサンプルを配置することができる、冷却シールドに熱接触しているパーキングステージを備える。これにより、2つ以上のサンプルを、全てのサンプルが低温で維持された状態で、同時に搬送することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、パーキングステージの温度が調整可能であるようにするパーキング加熱器を備える。これにより、パーキングステージで維持されるサンプルの温度を調整することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、移送ロッドは、サンプルホルダーを掴持及び解放する移送ヘッドを備える。この手段により、サンプルが別の装置のサンプルホルダーステージ上に又は真空スーツケースのパーキングステージの上にある状態で、サンプルホルダーを移送することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、移送ヘッドは、ポリエーテルエーテルケトン又はポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂から作製されている。これにより、移送ロッドからの熱がサンプルホルダーに伝達されないことが確実になる。
本発明の更に好ましい実施形態では、冷却シールド及び/又は冷却ブロックはAlMgSi1から作製されている。この材料は、容易に加工可能であるとともに高真空対応でありながら、特に高い熱伝導率を有する。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、サンプルが、電子顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡に移送可能であるように構成されている。この実施形態によるデバイスにより、電子顕微鏡法を用いる画像化のためにサンプルを電子顕微鏡に移送することができる。それは、サンプルが、生体分子、例えば、透過型電子顕微鏡法を用いて画像化する必要があるタンパク質を含む場合に、特に有利である。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、弁の空気側に取り付けられたポートアライナーを備える。移送ロッド、及び/又はサンプルが移送されるステージが、それらの位置を調整する手段を備えていないとき、ポートアライナーは有利である。このポートアライナーにより、サンプルの移送時に位置ずれに起因する損傷がもたらされないことを確実にすることができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、ポートアライナーはヘキサポッドポートアライナーである。ヘキサポッドポートアライナーにより、移送ロッドの軸とサンプルが移送される受容ステージの軸とを、全方向において非常に正確に位置合せすることができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、デバイスは、少なくとも350K、有利には少なくとも450Kまでベーキング可能であるように構成されている。これにより、例えばデバイスの弁に取り付けられたターボ分子ポンプを用いて、デバイスのチャンバーの内部でUHV状態を迅速に達成することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、デバイスは、弁に取外し可能に取り付けられたバッファー容積部を備える。バッファー容積部により、弁のチャンバーとは反対側を、大気圧よりも低い圧力で維持することができる。これにより、UHV状態を、チャンバーの内部でより長い時間にわたって維持することができる。
本発明の別の好ましい実施形態では、真空チャンバーは、アルミニウム合金から作製されている。これにより、デバイスの重量を低減させることができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、真空チャンバーの内面は電解研磨されている。これにより、真空チャンバーの内部でより適切な真空を達成することができるとともに、真空チャンバーの内部を可能な限り低い温度に到達させることができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、真空チャンバーの内面は、アルミニウム、金又は銀でコーティングされている。これは、真空チャンバーの内部を可能な限り低い温度に到達させるのに有利である。
本発明の更に好ましい実施形態では、真空チャンバーはモノリシックブロックから製造されている。これにより、簡単な製造が可能になるとともに、真空漏れの原因となり得る溶接継手を回避することができる。
本発明の更に好ましい実施形態では、真空チャンバーの形状は、ポンプの圧送能力が最適化されるように構成されている。これは、当該ポンプで、可能な限り低い真空レベルに達するために重要である。非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプの場合、ポンプの非蒸発型要素がチャンバーの中心に可能な限り近接して完全に自立して配置されるように、チャンバーの形状が選択される場合、特に好都合である。
本発明の目的はまた、ヘキサポッドポートアライナーの使用であって、真空搬送デバイスから電子顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡にサンプルを移送する、使用によっても達成される。ヘキサポッドポートアライナーを採用することにより、真空搬送デバイスに保管されたサンプルを、電子顕微鏡に容易に移送することができる。こうした移送中、真空搬送デバイスの移送デバイス、例えばリニア移送ロッドの軸が、電子顕微鏡の受容サンプルステージの軸と一致することが非常に重要である。ヘキサポッドポートアライナーにより、これらの軸を全方向において最適に位置合せすることができる。
好ましい実施形態では、ヘキサポッドポートアライナーは、サンプルが、真空搬送デバイス内で、150K未満、特に100K未満の温度で維持される場合に、使用される。真空搬送デバイスの移送デバイスの軸と電子顕微鏡の受容ステージの軸との位置合せは、移送されるサンプルが極低温で維持される場合に特に重要である。
好ましい実施形態では、ヘキサポッドポートアライナーは、真空搬送デバイスと電子顕微鏡の間のバッファー容積部として使用される。これにより、バッファー容積部として作用する別個の要素を想定する必要がない。
更に好ましい実施形態では、真空搬送デバイスは、本発明による搬送デバイスである。これにより、極低温で且つUHV状態で維持されるサンプルの電子顕微鏡への最適な搬送及び移送が可能になる。
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する、非限定的な例示的実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の第一の実施形態によるデバイスの概略斜視図である。 本発明の第一の実施形態によるデバイスのサンプル移送操作軸のための位置合せデバイスの概略斜視図である。 本発明の第一の実施形態によるデバイスの真空チャンバーの内部を示す図である。 本発明の第一の実施形態によるデバイスの側面図である。 本発明の第一の実施形態によるデバイスの側面図である。 本発明の第一の実施形態によるデバイスの冷却シールドの内部の斜視図である。 本発明の第一の実施形態によるデバイスの冷却シールドの内部の別の斜視図である。 本発明の第二の実施形態によるデバイスの概略斜視図である。 冷却シールドの開口部を覆う光学的に透明の且つ熱反射性の材料が省略されている、本発明の第二の実施形態によるデバイスの側面図である。 冷却シールドの開口部を覆う光学的に透明の且つ熱反射性の材料が示されている、本発明の第二の実施形態によるデバイスの側面図である。 本発明の第二の実施形態によるデバイスの冷却シールドの内部の斜視図である。 本発明の第二の実施形態によるデバイスの冷却シールドの内部の側面図である。 本発明の第三の実施形態によるデバイスの概略斜視図である。 冷却シールドの開口部を覆う光学的に透明の且つ熱反射性の材料が省略されている、本発明の第三の実施形態によるデバイスの側面図である。 本発明の第三の実施形態によるデバイスの冷却シールドの内部の斜視図である。 本発明によるデバイスを用いてサンプルの透過型電子顕微鏡への移送をいかに達成することができるかを示す図である。 受容TEMホルダーの斜視図である。 サンプルホルダーとそれに搭載されているサンプルとを含む受容TEMホルダーのヘッドの斜視図である。 サンプルを含むTEMホルダーの、それらが本発明による搬送デバイス内にあるときの斜視図である。 サンプルを含むTEMホルダーの詳細な斜視図である。 ヘキサポッドポートアライナーの斜視図である。 本発明の第四の実施形態によるデバイスの概略斜視図である。 サンプルがサンプルシールドの内部にあるとともにサンプルパーキングステージがその上方位置にある、本発明の第四の実施形態によるデバイスの真空チャンバーの内部を示す図である。 サンプルがサンプルシールドの内部にあるとともにサンプルパーキングステージがその下方位置にある、本発明の第四の実施形態によるデバイスの真空チャンバーの内部を示す図である。 サンプルがサンプルシールドの外側に移動し、サンプルパーキングステージがその下方位置にある、本発明の第四の実施形態によるデバイスの真空チャンバーの内部を示す図である。
図1は、本発明による極低温UHVスーツケース100の第一の好ましい実施形態の斜視図を示す。UHV真空スーツケース100は、有利には316型のステンレス鋼から、又は更により有利には316L型のステンレス鋼から作製された真空チャンバー101を備える。チャンバー101は、8つのCFフランジ101a~101hを備える。フランジ101dには、チャンバー101を周囲から隔離することができるゲート弁102が取り付けられている。ゲート弁102は、例えば、チャンバー101の内部でUHV真空状態を維持しながら、サンプルが移送される元又は先である調製チャンバー又は分析チャンバー(ここでは図示せず)から、UHVスーツケース100を分離することができる。チャンバー101のフランジ101cには、非蒸発型ゲッター要素とイオンポンプとの組合せである、いわゆる非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプ103が取り付けられている。組合せポンプ103により、一方では、チャンバー101の内部でUHV真空状態、すなわち10-9mbar未満の圧力を達成するとともにそれを維持し、他方では、真空レベルを監視することができる。ポンプ103のイオンポンプ部分によって測定されたイオン電流を圧力単位に変換することにより、常に真空スーツケース内の圧力を容易に監視することができる。UHV状態では、非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプの主活性部分は非蒸発型ゲッター部分であるため、且つ、非蒸発型ゲッター部分がいかなる電源も不要であるため、いかなる電源も必要とすることなく、何カ月又は更には何年間もチャンバー101内でUHV状態を維持することができる。
チャンバー101のフランジ101bには、移送ロッド104、この好ましい実施形態ではいわゆるウォーブルスティック(wobble stick)が取り付けられている。この移送ロッド104により、サンプルを操作することができる(より詳細は後述参照)。真空チャンバー101の内部の構成要素に意図せずに損傷を与えるのを回避するために、ウォーブルスティックの移動範囲は、意図的に、移送ロッドプレート104aによって制限される。図2に示すように、移送ロッド104、より正確にはプレート104aは、位置合せデバイス104dによって支持されている。移送ロッド軸の向きは、位置合せデバイス104dのねじ104eを介して正確に調整することができる。移送ロッド軸の細かく且つ正確な位置合せの可能性は、低温サンプルを、内部の受容ステージが非常に繊細であるか又は限られた許容角度を有する調製チャンバー又は分析チャンバー内部の低温ステージに移送しなければならない状況において、特に有利である。
ウォーブルスティック104に、操作ヘッド104b(より詳細は後述参照)が取り付けられている。操作ヘッド104bにより、チャンバー101の内部でサンプル1を操作することができる。ウォーブルスティック104により、任意の方向X、Y又はZにおけるサンプルの移動とともに、操作ハンドル104cによる軸C周りのサンプルの回転も可能である。操作ヘッド104bの意図しない移動を回避するために、操作ハンドル104cの動きを固定することができる。
チャンバー101のフランジ101aに、冷却システム105、ここでは液体窒素(LN2)デュワーが取り付けられている。ここで、チャンバー101の内部の図である図3を参照すると、デュワー105が、チャンバー101の内部で、第一の部分106a及び第二の部分106bを含む冷却シールド106に熱接触していることが明らかとなる。デュワー105にLN2を充填することにより、冷却シールド106を77Kまで迅速に冷却することができる。有利には、冷却シールド106は、熱伝導率の高い材料、例えばAlMgSi1から作製される。代替的に、冷却シールドは、純研磨アルミニウム又は銅から作製することができる。有利には、金及び/又は銀の薄層により、両方の材料を覆うことができる。
図1、図4a及び図4bに示すように、フランジ101gは、この特定の実施形態では、ブラインドフランジによって閉鎖されている。しかしながら、電気フィードスルーが取り付けられているフランジ101hで例示するように、フランジ101gを用いて、電気フィードスルー若しくは機械フィードスルー又は真空窓等の機能的特徴部をスーツケース100に追加することができる。後者は、例えば、冷却シールド106、冷却ブロック107、サンプルホルダー2及び/サンプル1自体の温度を測定するために設けられる温度センサーからの信号を読み取るために用いられる。これらのフィードスルーはまた、サンプル1及び/又は冷却シールド106の温度を調整するために用いることができる、チャンバー101の内部の加熱器に、電流を渡すために用いることもできる。
最後に、図4a及び図4bに示すように、チャンバー101のフランジ101e及び101fに2つの真空窓108が取り付けられている。ハンドル109はレール110とともに、UHVスーツケース100の快適且つ確実な搬送を可能にする。図1に示すように、この好ましい実施形態のレール110は、非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプ103のコントローラー103aを受け入れるように構成されているスパンを有する。ポンプコントローラー103aは、バッテリ式であり、したがって、チャンバー101の内部の圧力は、搬送中、常に監視することができる。コントローラー103aは、温度制御及び表示の更なる機能を有する。冷却シールド106又はサンプル1の1つ以上の温度センサーに接続されると(より詳細は後述参照)、コントローラーは、測定温度が所定臨界温度に達したときに音響警報を発する。
図3に示すように、冷却シールド106は、真空窓108と対向して、開口部106cを備える。これらの開口部106cは、有利には、光学的に透明の且つ熱反射性の材料から作製されたプレートによって覆われている。これは、真空窓108とともに、サンプル1が冷却シールド106の内部において低温で維持されている間に、チャンバー101の外部からのサンプル1への光学的アクセスを可能にする。開口部106を覆うプレートにより、熱放射によるサンプル1の熱損失又は加温を最小限にすることができる。したがって、開口部106c及び窓106により、冷却シールド106の内部において低温で維持されているサンプル1に対して、測定、例えば光学分光法を実施することができる。
冷却シールド106の内部の斜視図である図5a及び図5bに示すように、冷却ブロック107は、この好ましい実施形態では、シールド106の部分106bに直接取り付けられた半円筒体の形態を取る。シールド106及びブロック107は、有利には、ともに、例えば銅、ベリリウム銅又はAlMgSi1のような熱伝導率の高い真空対応材料から作製される。
冷却ブロック107の上の適所に、スプリングプレート107aを用いて、サンプル1を担持するサンプルホルダー2を取り付けるとともに保持することができる。冷却ブロック107に、その温度を測定するために、温度センサー111、例えば、例としてPt100センサーのような熱電対センサー又は抵抗温度検出器が取り付けられている。当然ながら、例えばシールド106の、サンプルホルダー2の、又はサンプル1の温度を測定する、更なる温度センサーを設けることができる。
図5a及び図5bに提示する実施形態における移送ロッドヘッド104bは、現行技術水準から既知であるグリッパーを用いて、サンプルホルダー2を掴持又は解放することができる。ヘッド104bは、有利には、銅又はCuBe2等、熱伝導率の高い材料から作製され、これにより、ヘッド104が大きい熱質量を有することが確実になる。これにより、サンプル1を移送するために、サンプルホルダー2と冷却ブロック7との熱接触が中断されると、サンプル1は、長期間、極低温の状態を維持する。さらに、ヘッド104b及びロッド104は、熱可塑性樹脂等の熱伝導率の低い材料、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリアミドイミドから作製されたブッシングによって、接続されている。これにより、通常は室温にある移送ロッド104からの熱が、サンプルホルダー2に、そして最終的にサンプル1に伝達されないことが確実になる。
サンプルホルダー2は、サンプル1とサンプルホルダー2との間で良好な熱接触が得られるように設計されている。一方で、サンプルホルダー2と冷却ブロック107との間の熱接触は、サンプル1と冷却シールド106との間で10K~20Kの温度差が得られるように設計されている。これは、冷却シールド106がチャンバー101の温度よりも低い温度にある時はいつでも、サンプル1が冷却シールド106よりもわずかに高い温度で維持されることが保証されるため、有利である。これにより、サンプル1が極低温ポンプとして作用しないことが確実になる。冷却シールド106の内部の残留ガス分子は、サンプル1によるのではなくシールド106のより低温の表面によって「ポンピングされ」又は捕捉される。冷却シールド106は、低温で維持されるときは常に極低温ポンプとして作用するため、サンプル1の周囲の「局所」圧力は低下する。これにより、更により長い時間、サンプル1を汚染されない状態で維持することができる。
図6は、本発明の第二の好ましい実施形態によるUHVスーツケース200を示す。第一の実施形態に関して既に記載した部分又は構成要素は、ここでは、それらの参照番号を維持する。スーツケース200は、外側から見ると、スーツケース100と同様である。しかしながら、相違があり、それは、例えばハンドル109の位置にある。図7a及び図7bに示すように、スーツケース200の冷却シールド106は、サンプル1への光学的アクセスのための開口部106cも備える。開口部106cは、有利には、光学的に透明であるが熱反射性の材料から作製されたプレートによって覆われている。
図8及び図9に表示するように、スーツケース200のサンプルホルダー2は、スーツケース100のサンプルホルダーとは異なる。スーツケース200のホルダー2は、異なるタイプであり得るいくつかのサンプル1a及び1bを同時に担持するように設計されている。ホルダー2は、更に、移送ロッド104の軸に対して垂直な軸の軸周りで回転することができる。言い換えれば、ホルダー2は、回転式コンベア(carousel)の機能を担う。
スーツケース200では、移送ロッドヘッド104bは、ホルダー2を担持し、サンプルホルダー2並びにサンプル1a及び1bを冷却するために冷却ブロック107に押し付けられる。図8及び図9に示すように、冷却ブロック107は、この実施形態では、シールド106の部分106bに直接取り付けられた、例えば溶接されたプレートである。この実施形態でも同様に、熱接触は、サンプル1の汚染を回避するために、シールド106とサンプル1との間に有利にはおよそ10K~20Kの温度差があるように設計されている。冷却ブロック107の温度を測定するために、温度センサー111(ここでは図示せず)、例えば、例としてPt100センサーのような熱電対又は抵抗温度検出器が設けられている。当然ながらスーツケース100と同様に、サンプルホルダー2及び/又はサンプル1a及び1bの温度を測定するために更なる温度センサーが想定される。
図10は、本発明の第三の好ましい実施形態によるUHVスーツケース300の斜視図を示す。スーツケース300は、ウォーブルスティックの代わりにリニアフィードスルー304を有する。サンプル1が移送される先である装置の受容ステージに向かうX、Y及びZ方向における、リニアフィードスルー304の長手方向軸の位置合せは、例えば、弁102に取り付けられたヘキサポッドポートアライナー500を用いて得ることができる(より詳細は後述参照)。
この好ましい実施形態では、冷却は、LN2によるのではなく機械式冷凍機305によって得られる。この特定の実施形態では、機械式冷凍機305はスターリング冷凍機である。冷凍機305を制御するとともに冷凍機305に電力を供給するために、コントローラー305aが設けられている。冷凍機305の調節及び制御は、例えば、UHVチャンバー101内に、冷却シールド106に、サンプルホルダー2の冷却要素107に、又はサンプル1自体に取り付けられた1つ以上のセンサーによって測定された温度に基づいて、達成される。コントローラー305aには、搬送中、24V充電式バッテリにより、又は電圧変換器を介して車両電源により、電力が供給される。これにより、非常に長時間且つ非常に長い距離にわたって低温で維持されるサンプルを搬送することができる。コントローラー305aは、有利には、プログラミングのためにシリアルインターフェースを介してラップトップコンピューターにつなぐことができる。
スーツケース100及び200と比較したUHVスーツケース300の主な利点は、サンプル1を冷却するためにLN2が不要であるという事実にある。第一に、これにより、LN2と接触することに起因する損傷のリスクなしにより安全な搬送が可能となり、第二に、デュワーにLN2を定期的に充填する必要なしにサンプル1の継続的な冷却が可能になる。これにより、飛行機によってサンプル1を搬送することも可能になる。LN2を用いるスーツケースでの飛行機による搬送は禁じられている。さらに、機械式冷凍機305により、冷却シールドを40Kまで冷却することができる。したがって、冷却媒体としてLN2を用いる搬送システムの場合よりもはるかに低い温度でサンプルを搬送することができる。
図11に示すように、スーツケース300に、真空窓108及び開口部106cも設けられ、これらにより、低温で維持されている間のサンプル1への光学的アクセスが可能になる。したがって、例えば光学分光法のような、光学手段によるサンプル特性の測定が可能になる。図12に示すように、UHVスーツケース300の冷却ブロック107は、シールド106の上にねじ止めされるバーの形態を取る。サンプルホルダー2、したがってサンプル1を冷却するために、サンプルホルダー2は、リニアフィードスルー104によって回転し、冷却バー107に押し付けられる。冷却ブロック107の温度を測定するために、温度センサー111、例えば、例としてPt100センサーのような熱電対又は抵抗温度検出器が設けられる。この場合もまた、冷却シールド106と冷却バー107との熱接触及び/又は冷却バー107とサンプルホルダー2との熱接触は、サンプル1が、シールド106よりも10K~20K高い温度で維持されるように設計されている。サンプル1の温度を調整するために、加熱器(ここでは図示せず)、例えば抵抗加熱器が設けられ、サンプルホルダーの下に取り付けられている。操作ヘッド104bは、リニアフィードスルー104からサンプルホルダー2への伝熱を回避するために、熱伝導率の低い材料、例えば、PEEK又はポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂から作製される。
スーツケース100、200、300又は600のゲート弁102により、搬送システムが分析チャンバー又は調製チャンバーに接続されていないときはいつでもUHVチャンバー101を閉鎖することができる。真空ゲート弁102の封止要素は、通常、10-9mbar未満の超高真空用途には不十分な高浸透率を有するエラストマーシールであるため、長い搬送時間が予測される場合、ゲート弁102の「空気側」も排気されると有利である。この目的で、ゲート弁102に、いわゆるバッファー容積部を画定するパイプ312が取り付けられている(図10を参照)。このバッファー容積部は、コネクター312aを介して、小型機械式ポンプ、有利には、例えばメンブレンポンプ又はスクロールポンプのようなドライポンプによってポンプダウンすることができる。およそ5mbarの圧力まで排気されるバッファー容積部により、いかなる問題もなしに数カ月にわたりチャンバー101内の10-10mbar未満の作動圧を安定して維持することができるように十分に、弁102のエラストマーシールを通るガスの拡散が低減する。これにより、長距離にわたってUHV状態下でサンプルを搬送することができる。サンプルが移送される装置にUHVスーツケースを取り付ける前に、バッファー容積部は排気され、ゲート弁102からパイプ312が取り外される。
図19は、本発明の第四の好ましい実施形態によるUHVスーツケース600を示す。前述の実施形態に関して既に記載した部分又は構成要素は、ここでは、それらの参照番号を維持する。スーツケース600は、外側から見ると、スーツケース100と非常に類似している。しかしながら、重要な相違がある。UHVスーツケース600は、デュワー605内部に搭載されるとともに真空フランジ101aに取り付けられているパーキングリニアフィードスルー601を備える。後により詳細に説明するように、デュワー605の内部にLN2を注ぐことにより、冷却シールド106と同時にパーキングリニアフィードスルー601を冷却することができる。チャンバー101の内部で、リニアフィードスルー601にサンプルパーキングステージ602が取り付けられている。したがって、サンプルパーキングステージ602を極低温まで容易に冷却することができる。
UHVスーツケース600のチャンバー101の内部図である図20に示すように、パーキングサンプルステージ602は、サンプル1aが搭載されるいくつかのサンプルホルダー2aを担持することができる。パーキングサンプルステージ602を効率的に冷却するために、デュワー605の底部と熱接触しているパーキング冷却ブロック603に、パーキングサンプルステージ602を押し付けることができる。リニアフィードスルー601により、パーキングサンプルステージ602を方向Wに沿って移動させることができる。サファイア、有利には単結晶サファイアから作製された、特別に設計された滑り軸受607により、パーキングサンプルステージが下降し、したがってパーキング冷却ブロック603に押し付けられなくなったときであっても、リニアロータリーフィードスルー601のシャフトが十分に冷却されることが確実になる。円筒状サファイア滑り軸受607はセグメント化されており、それらのセグメントは、ばね付勢され、規定された力により操作シャフトに押し付けられる(ここでは図示せず)。セグメント化された軸受のばね付勢により、関係する材料の熱膨張係数が異なることに起因して、リニアロータリーフィードスルーのシャフトが冷却時に詰まることがないことが確実になる。サファイアセグメントは、LN2デュワーの底部フランジの中心に取り付けられている銅リング内側に取り付けられ且つ包囲されている。リニアロータリーフィードスルーのシャフトは、熱伝導の優れた硬質金属、例えばCuBe2又はモリブデンから作製される。シャフト及びサファイア軸受の表面は、摩擦を最小限にするためにRa0.1に研磨されている。可動シャフトの冷却のこの新たな原理は、ウォーブルスティックマニピュレーターを含む、極低温真空用途に対する全ての種類のモーションフィードスルーに適合可能である。
UHVスーツケース600は、サンプル1への光学的アクセスのための開口部106c(ここでは図示せず)を有する冷却シールド106を備える。開口部106cは、有利には、光学的に透明であるが熱反射性の材料から作製されたプレートによって覆われている。
スーツケース600では、移送ロッドヘッド104bは、ホルダー2を担持し、サンプルホルダー2及びサンプル1を冷却するために冷却ブロック107に押し付けられる。図20~図22に示すように、冷却ブロック107は、この実施形態では、シールド106に直接取り付けられるプレートの形態を取る。この実施形態でも同様に、冷却ブロック107と移送ヘッド104bとの熱接触は、サンプル1の汚染を回避するために、シールド106とサンプル1との間に、有利にはおよそ10K~20Kの温度差が存在するように設計されている。冷却ブロック107の温度を測定するために、温度センサー111(ここでは図示せず)、例えば、例としてPt100センサーのような熱電対又は抵抗温度検出器が設けられている。当然ながらスーツケース100、200及び300と同様に、サンプルホルダー2及び/又はサンプル1の温度を測定するために更なる温度センサーが想定される。
冷却シールド106のほかに、UHVスーツケース600は、円筒部606a及びカバーキャップ606bを有するサンプルシールド606を備える。カバーキャップ606bは、それ自体、本質的にスリットの形をした開口部606cを備える。図20~図22に示すように、サンプルシールド606は、移送ヘッド104bに直接取り付けられ、したがって、常に同じ温度を採用する。サンプルシールド606内部に保持されている間にサンプル1に光学的にアクセスすることができるために、サンプルシールド606は、有利には、例えばサファイア等、熱伝導率の高い透明材料から作製される。
スーツケース600におけるサンプルシールド606の存在は、(スーツケース100、200及び300の場合のような)搬送中だけでなく、サンプル自体を移送する必要がある真空チャンバーへの移送ステップ中においても、サンプルが冷却された表面によって包囲されるという極めて大きい利点がある。実際には、スーツケース600のリニア移送ロッド104は、いわゆるデュアルシャフトリニアフィードスルーであり、それは、一方では、冷却シールド106又はチャンバー101に対してサンプルシールド606及びサンプル1の位置を変更し、他方では、サンプルシールド606に対してサンプル1の位置を変更することを可能にする。この機構については、パーキングステージ602のローディング/アンローディングに関して後に詳細に例示する。
図20は、搬送中の状況を示す。サンプル1を含むホルダー2は、サンプルシールド606の内部に位置し、移送ヘッド104bは、冷却ブロック107と熱接触している。パッケージステージ602をロード又はアンロードするために、サンプルホルダーがアンロードされるかロードされるパーキング受容部604の位置が、リニア移送ロッド104の軸に位置合せされるまで(図21を参照)、パーキングステージ602は方向Wに沿って移動する。
ここで、パーキングステージ602にサンプルホルダー2をロードするために、サンプルホルダー2は、デュアルシャフトリニア移送ロッド104により、パーキングステージ602の方に向かってサンプルシールド606に対して並進する。サンプルホルダー2は、パーキングステージ602の受容部604に達する(図22を参照)まで、サンプルシールド606の開口部606cを経由して押し進められる。同じ作動原理を用いて、別個の真空チャンバー、例えば分析装置の受容ステージに、サンプル1を含むサンプルホルダー2を移送することができる。
パーキングステージ602のローディングの後、パーキングステージ602にロードされたサンプル1a及びホルダー2aの全てを極低温で維持するために、パーキングステージ602を再びステージ冷却ブロック603に押し付けることができる。
パーキングステージ602及び/又はホルダー2a及び/又はサンプル1aの温度を測定するために、温度センサー(ここでは図示せず)を設けることができる。パーキングステージ602の温度を調節するために加熱器(ここでは図示せず)が想定される。パーキングステージ602及びサンプルシールド606の構成要素は、互いに独立していることに留意することが重要である。それらは、本出願の他の実施形態のうちの1つにおいて、独立して実施することができる。例えば、スーツケース100、200又は300のうちの任意の1つにおいて、サンプルシールド606が想定される。
図22に示すように、ポンプ103の非蒸発型ゲッター要素は、ポンプ103の最高圧送能力に達するために、冷却シールド106の1つの開口部の真下に、且つ、チャンバー101の中心に近接して、配置されている。
上記に提示した実施形態は、UHV状態で且つ100K未満の温度で維持された状態でサンプルを搬送することができる。既に述べたように、こうしたUHVスーツケースは、例えば、表面物理学において又は半導体産業において応用することができる。本発明による極低温UHVスーツケースを採用することができる別の重要な応用分野は、電子顕微鏡検査の分野、特に透過型電子顕微鏡検査(TEM)の分野である。TEM及び高解像度TEM(HR-TEM)は、単一分子レベルでの構造生物学用の主なツールとなっている。この種の応用では、サンプルは、特別な方法で調製し、調製後は常に極低温で維持しなければならない。例えば、3次元構造を画像化する生体分子、例えばタンパク質を含有する溶液の液滴が、いわゆるTEMグリッド上にキャストされる。これらのグリッド上にキャストされた液滴が完全に乾燥する前に、極低温流体、例えば液体窒素に投入することにより、グリッドは急速冷凍される。次いで、画像化のためにTEM内に、又は更なる調製のために分析/調製装置内に、サンプルを直接導入しなければならない。こうした更なる調製装置は、集束イオンビーム(FIB)デバイスである場合がある。このステップは、細胞全体に組み込まれているタンパク質の画像化の場合に特に重要である。FIBを用いて、細胞を、画像化してそれらの内部構造及び生体分子を明らかにするために、正確に切断することができる。
上述した全てのステップの間、サンプルは、必然的に極低温で維持されなければならない。そうでなければ、対象物体の構造は破壊される。さらに、サンプルが、例えば、急速冷凍によって調製された場所と、例えばFIBによって更に処理されるか又はTEMによって画像化される場所との間での、サンプルの搬送は、サンプルが周囲状況への曝露によって汚染されないことを保証するため、理想的にはUHV状態下で行われる。
図13は、極低温UHVスーツケースによってUHV状態で且つ極低温で維持されるサンプル1を、いかにしてTEMに移送することができるかを示す。この図では、TEMは、軸Wを有する電子カラム400の一部分によって例示されている。任意の市販のTEMに見られる標準的な挿入ポート402から、受容TEMホルダー401が挿入される。受容TEMホルダー401は、サンプル1が、そこに取り付けられると、TEM電子カラム400の電子ビームの焦点に配置されるように、設計されている。UHVスーツケース100、200、300又は600からTEMにサンプル1を移送するために、標準的な挿入ポート402の反対側のTEM上に、ドッキングポート403が配置されている。図13に示すように、ドッキングポート403にドッキングゲート弁404が取り付けられており、ドッキングゲート弁404とUHVスーツケース100のゲート弁102との間に、バッファー容積部405が設けられている。バッファー容積部は、例えば、ターボ分子ポンプ(ここでは図示せず)を用いて、排気パイプ406を通して容易にポンピングすることができる。バッファー容積部405が排気されると、スーツケース100のゲート弁102及びドッキングゲート弁404は開放され、サンプル1が、スーツケース100からTEMに移送される。
図14及び図15を参照して、受容TEMホルダー401へのサンプル1の取付について説明する。受容TEMホルダー401は、標準的なTEMサンプルホルダーのように見える。受容ヘッド401aのみがわずかに変更されている。図15に最もよく示されるように、受容ヘッド401aは、この特定の例ではエッチングされた金属チップである、サンプル1を担持するサンプルホルダー2を収納するように設計されている。当然ながら、サンプルホルダー2は、対象の生体分子を含むTEMグリッドを担持するようにも構成することができる。サンプルホルダー2は、受容ヘッド401aのレール401b内に挿入することができる脚部2aを有する。上述したように、受容ヘッド401a及びサンプルホルダー2の寸法は、TEM電子カラム400の電子ビームの焦点にサンプル1を配置することができるように選択されている。操作のために、サンプルホルダー2は、スーツケース100の移送ロッド104のグリッパー104a(ここでは図示せず)によって掴持することができる操作ループ2bを備える。受容ヘッド401bに取り付けられた後であってもサンプル1を極低温で維持するために、受容TEMホルダー410を冷却することができる。その目的で、受容TEMホルダーは液体窒素リザーバ401cを備え、液体窒素リザーバ401cは、リザーバ401cを補充するのを可能にする開口部401dを有する。有利には、受容TEMホルダーは、少なくとも部分的に、高熱伝導率材料から作製される。これにより、サンプルを80Kまで急速に冷却することができる。
図16は、極低温UHVスーツケース100内にあるサンプル1を含むサンプルホルダー2を表示する。この図では、グリッパー104aはその閉鎖位置にあり、ホルダー2の操作ループ2bを掴持している。図17に示すように、サンプルホルダー2の脚部2aはピン2cを備える。これらのピン2cは、サンプルホルダー2を受容TEMホルダー401に取り付けたうえで、受容ヘッド401aの対応する孔内に挿入される。ピン2cを用いて、電気回路を閉鎖し、それにより、サンプルホルダー2が受容ヘッド401a上で正確に適所にあることを通知する信号を発生させることができる。
搬送中、サンプル1を極低温で維持するために、上記で説明した冷却機構の1つを採用することができる。例えば、グリッパー本体104f又はサンプルホルダー2自体を、スーツケース100の冷却シールド106(ここでは図示せず)の上に搭載されたか又はそれに取り付けられた冷却ブロック107に押し付けることができる。当業者であれば、その目的で、上記で提示した機構の1つを容易に適合させることができよう。しかしながら、サンプル1が極低温ポンプとして作用しないことを保証するために、サンプル1が冷却シールド106の温度よりもわずかに高い温度で維持されることを確実にすることが重要である。
サンプルを搬送デバイスから電子顕微鏡、特にTEMまで移送するときの最も重要な態様の1つは、移送ロッド軸と受容TEMホルダーの軸との位置合せである。これらの2つの軸の完全な位置合せのみにより、円滑且つリスクのない移送を保証することができる。この問題は、低温電子顕微鏡法の場合のように、極低温で維持されるサンプルが、同様に低温で維持される受容ステージに移送される場合、特に深刻である。この応用範囲において、この問題に対する2つの解決法を提案する。第一に、UHVスーツケースは、デバイス100の説明に関連して提示したように、ウォーブルスティック及び位置合せデバイス104dを備えることができる。当然ながら、デバイス200、300及び600もまた、移送ロッドとしてウォーブルスティックを備えることができる。ウォーブルスティック解決法には、チャンバー101の内部で搬送される1つ以上のサンプルの操作における高い柔軟性を提供するという主な利点がある。搬送デバイスがパーキングステージを備える場合、及び、いくつかのサンプルを操作しなければならない場合、ウォーブルスティックを有することは特に好都合である。
第二の解決法は、図18に示すように、搬送デバイス100、200、300又は600にヘキサポッドポートアライナー500を追加することによって与えられる。フランジ502の1つを用いて弁102に好都合に取り付けることができるヘキサポッドポートアライナー500は、一般的なポートアライナーの通常の3つではなく、6つの位置合せねじ501を有する。左及び右のねじ切りヘキサナットにより、角度、直線状及び横方向(軸外)の調整が可能である。位置合せねじの両端にピボットマウントが備えられ、六角形状は、更なる頑強性を追加する。ヘキサポッドアライナーの主な利点は、全方向における位置合せの精度である。さらに、ヘキサポッドアライナー500によってもまた、サンプルが移送される装置からの又は装置への搬送デバイス100、200、300又は600の取外し及び再取付の後であっても、正確な位置合せが可能になる。こうした場合、搬送デバイスにはリニア移送ロッドのみがあればよく、移送は更には、電動リニア移送ロッドを用いることによって自動化することができる。
図18のヘキサポッドポートアライナーを、ポートアライナーとしてだけでなくバッファー容積部としても作用するように変更することができるということに、留意することが重要である。こうした変更されたヘキサポッドポートアライナーは、図13に示すバッファー容積部405の代わりに好都合に用いることができる。これにより、極低温で維持されるサンプルのTEMへの迅速な、容易な且つ完全に自動化された移送が可能になる。
さらに、当業者であれば、ヘキサポッドポートアライナーを用いて、任意の種類の、すなわち、本発明のUHVスーツケースのみに限定されない、真空移送デバイスから、電子顕微鏡、特にTEMにサンプルを移送することができることが理解されよう。
最後に、本明細書において例として記載した実行の形態は、本発明の概念を具現化するための単に可能性を表すものであり、限定するものとして決してみなされるべきではないことを、再度指摘しなければならない。当業者であれば、本発明の本質的な特徴を無視することなく、本発明及び他の要素の他の実施態様が可能であることを理解するであろう。

Claims (39)

  1. 超高真空状態下で且つ低温でサンプル(1)を搬送及び移送する可搬型デバイス(100、200、300、600)であって、
    真空チャンバー(101)と、
    冷却システム(105)と、
    サンプル位置を調整することを可能にする移送ロッド(104)と、
    前記チャンバー(101)を開放又は閉鎖するとともに別の真空装置に取り付けることを可能にする弁(102)と、
    サンプルが前記チャンバー(101)内にあるときは常に及び/又は前記サンプル(1)が移送されているときは常に、前記チャンバー(101)内を10-9mbar未満の圧力で維持するように設計されたポンプ(103)と、
    搬送中に前記サンプル(1)が保持される前記チャンバー(101)内部の容積部を画定する冷却シールド(106)であって、前記冷却システム(105)に熱接触する冷却シールド(106)と、
    前記移送ロッド(104)に取外し可能に取り付けられるとともに搬送中に前記サンプル(1)を担持するように構成されたサンプルホルダー(2)と、
    前記冷却シールド(106)に熱接触している冷却ブロック(107)と、
    を備え、
    前記冷却ブロック(107)及び前記サンプルホルダー(2)は、前記冷却シールド(106)によって画定された前記容積部の内部で熱接触することができるように構成され、前記冷却システム(105)は、前記冷却シールド(106)を80K未満の温度まで冷却することができるように構成され、
    前記冷却シールド(106)と前記冷却ブロック(107)との間の前記熱接触、及び/又は前記冷却ブロック(107)と前記サンプルホルダー(2)との間の前記熱接触は、前記冷却シールド(106)の温度が前記チャンバー(101)の温度よりも低いときは常に、前記サンプル(1)が前記冷却シールド(106)よりも高い温度で維持されるように構成されていることを特徴とする、デバイス。
  2. 請求項1に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記冷却シールド(106)と前記冷却ブロック(107)との間の前記熱接触、及び/又は前記冷却ブロック(107)と前記サンプルホルダー(2)との間の前記熱接触は、前記冷却シールド(106)とサンプル(1)との間の温度差が、少なくとも10K、好ましくは15K、更により有利には20Kであるように構成されている、デバイス。
  3. 請求項1又は2に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記冷却シールド(106)の温度を測定する少なくとも1つの冷却シールド温度センサー(111)を備える、デバイス。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記サンプルホルダー(2)の温度を測定するサンプルホルダー温度センサーを備える、デバイス。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、サンプル(1)と前記冷却シールド(106)との間の温度差が調整可能であるようにする加熱器を備える、デバイス。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記ポンプ(103)は非蒸発型ゲッターイオン組合せポンプである、デバイス。
  7. 請求項6に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記ポンプ(103)に高電圧を供給するポンプコントローラー(103a)を備える、デバイス。
  8. 請求項7に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記チャンバー(101)の内部の圧力は、前記ポンプ(103)を用いて測定可能である、デバイス。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、600)であって、前記冷却システム(105、605)は極低温流体デュワーである、デバイス。
  10. 請求項9に記載のデバイス(100、200、600)であって、前記極低温流体は液体窒素である、デバイス。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス(600)であって、
    該デバイス(600)は、パーキングステージリニアフィードスルー(601)を備え、該パーキングステージリニアフィードスルー(601)の空気側部分は、前記真空チャンバー(101)に取り付けられたデュワー(105、605)の内部に配置され、該パーキングステージリニアフィードスルー(601)の真空側部分は、パーキングステージ(602)に接続されており、
    該デバイス(600)は、前記デュワー(605)に熱的に接続されたパーキングステージ冷却ブロック(603)を更に備え、該パーキングステージ冷却ブロック(603)は、前記パーキングステージ(602)を該パーキングステージ冷却ブロック(603)に押し付けることにより該パーキングステージ(602)を冷却することができるように構成されており、
    前記パーキングステージ(602)は、前記パーキングステージリニアフィードスルー(601)を用いて前記冷却シールド(106)内部で移送することができる、デバイス。
  12. 請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス(300)であって、前記冷却システム(105)は機械式冷凍機(305)である、デバイス。
  13. 請求項12に記載のデバイス(300)であって、前記機械式冷凍機(305)は、スターリング冷凍機又はギフォード・マクマホン冷凍機である、デバイス。
  14. 請求項12又は13に記載のデバイス(300)であって、前記機械式冷凍機(305)に電力を供給するとともに該機械式冷凍機(305)を制御する制御電子手段(305b)を備える、デバイス。
  15. 請求項14に記載のデバイス(300)であって、前記制御電子手段(305b)は、バッテリにより又は24V電源により動作可能である、デバイス。
  16. 請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、
    前記冷却シールド(106)は、少なくとも1つの開口部(106c)を備え、前記チャンバー(101)は少なくとも1つの真空窓(108)を備え、
    前記開口部(106c)及び前記真空窓(108)は、前記冷却シールド(106)によって画定された前記容積部内に保持されている前記サンプル(1)が、前記チャンバー(101)の外部から光学的に観察可能であるように配置されている、デバイス。
  17. 請求項16に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記サンプル(1)は、前記サンプルホルダー(2)及び前記冷却ブロック(107)が熱接触している間に光学的に観察可能である、デバイス。
  18. 請求項16又は17に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記冷却シールド(106)の前記少なくとも1つの開口部(106c)は、光学的に透明の且つ熱反射性の材料によって覆われている、デバイス。
  19. 請求項1~18のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、
    該デバイスは、前記冷却シールド(106)の内部に位置するとともにサンプル(1)を包囲するサンプルシールド(606)を更に備え、
    該サンプルシールド(606)は、前記冷却シールド(106)に対して変位可能であり、
    該サンプルシールド(606)に対するサンプル(1)の位置は、該サンプル(1)の移送のために調整することができる、デバイス。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、少なくとも1つのサンプル(1)を配置することができる、前記冷却シールド(106)に熱接触しているパーキングステージを備える、デバイス。
  21. 請求項20に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記パーキングステージの温度が調整可能であるようにするパーキングステージ加熱器を備える、デバイス。
  22. 請求項1~21のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記移送ロッド(104)は、前記サンプルホルダー(2)を掴持及び解放する移送ヘッド(104b)を備える、デバイス。
  23. 請求項22に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記移送ヘッド(104b)は、ポリエーテルエーテルケトン又はポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂から作製されている、デバイス。
  24. 請求項1~23のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記冷却シールド(106)及び/又は前記冷却ブロック(107)はAlMgSi1から作製されている、デバイス。
  25. 請求項1~24のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記サンプル(1)が、電子顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡に移送可能であるように構成されている、デバイス。
  26. 請求項1~25のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記弁(102)の前記空気側に取り付けられたポートアライナー(104d、500)を備える、デバイス。
  27. 請求項26に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記ポートアライナーはヘキサポッドポートアライナー(500)である、デバイス。
  28. 請求項1~27のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、少なくとも350K、有利には少なくとも450Kまでベーキング可能であるように構成されている、デバイス。
  29. 請求項1~28のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記弁(102)に取外し可能に取り付けられたバッファー容積部(302)を備える、デバイス。
  30. 請求項1~29のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記真空チャンバー(101)は、アルミニウム合金から作製されている、デバイス。
  31. 請求項1~30のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記真空チャンバー(101)の内面は電解研磨されている、デバイス。
  32. 請求項1~31のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記真空チャンバー(101)の内面は、アルミニウム、銀又は金でコーティングされている、デバイス。
  33. 請求項1~32のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記真空チャンバー(101)はモノリシックブロックから製造されている、デバイス。
  34. 請求項1~33のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、前記真空チャンバー(101)の形状は、前記ポンプ(103)の圧送能力が最適化されるように構成されている、デバイス。
  35. 請求項1~34のいずれか一項に記載のデバイス(100、200、300、600)であって、例えば前記移送ロッド(104)、前記リニアリードスルー(304)又は前記パーキングステージリニアフィードスルー(601)のような少なくとも1つのモーションフィードスルーは、サファイア、有利には単結晶サファイアから作製された滑り軸受を備える、デバイス。
  36. ヘキサポッドポートアライナー(500)の使用であって、真空搬送デバイスから電子顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡にサンプルを移送する、使用。
  37. 請求項36に記載のヘキサポッドポートアライナー(500)の使用であって、前記サンプルは、前記真空搬送デバイス内で、150K未満、特に100K未満の温度で維持される、使用。
  38. 請求項36又は37に記載のヘキサポッドポートアライナー(500)の使用であって、前記ヘキサポッドポートアライナーは、前記真空搬送デバイスと前記電子顕微鏡との間のバッファー容積部として使用される、使用。
  39. 請求項36~38のいずれか一項に記載のヘキサポッドポートアライナー(500)の使用であって、前記真空搬送デバイスは、請求項1~35のいずれか一項に記載のデバイスである、使用。

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