JP2022191563A - 合成皮革 - Google Patents
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Abstract
【課題】消臭性及び耐摩耗性に優れた合成皮革を提供する。【解決手段】実施形態に係る合成皮革は、繊維質基材上に、表皮層と、前記表皮層を覆うように配置された表面処理層とを順次積層してなる。前記表面処理層はポリウレタン樹脂と消臭剤を含む。前記表面処理層の厚みは3~20μmである。前記繊維質基材に対する前記消臭剤の付与量は0.5~3.0g/m2である。【選択図】図1
Description
本発明は、合成皮革に関する。
従来、合成皮革は、車両シート、ドア内張り等の車両内装材用途、家具、椅子等のインテリア資材用途、鞄、靴、衣料などのファッション用途等、様々な分野で用いられている。悪臭が発生しやすい場所や、悪臭が蓄積されやすい場所などで使用できる消臭効果を有する合成皮革が望まれている。
特許文献1には、繊維基材表面にポリウレタン樹脂接着層を介して単一層又は複数層のポリウレタン樹脂皮膜層が積層されてなる合成皮革において、最表皮層とならないポリウレタン樹脂皮膜層及びポリウレタン樹脂接着層から選ばれる少なくとも一つの層が消臭剤を含有してなるとともに、合成皮革を貫通する複数の開孔が設けられていることにより、各種の悪臭を効果的に消臭することが記載されている。
特許文献2には、繊維基材表面にポリウレタン樹脂接着層を介してポリウレタン樹脂皮膜層が積層され、ポリウレタン樹脂皮膜層上に該ポリウレタン樹脂皮膜層の少なくとも一部が露出するように表面処理層が設けられた合成皮革において、前記ポリウレタン樹脂皮膜層及び表面処理層の少なくともいずれか一方が、マンガン(II)イオンに、アスコルビン酸及びオキシ多塩基酸から選ばれた少なくとも一種の酸、又はそれらの塩を結合させてなる化合物を含有させることにより、各種の悪臭を効果的に消臭することが記載されている。
消臭効果を十分に発揮させるためには、消臭剤と悪臭の原因物質とを十分に接触させることが必要である。そのため、特許文献1の合成皮革では、通気性を考慮し、貫通孔を設けることが必要であり、合成皮革の構成が限定されるという課題がある。また、特許文献2の合成皮革では、表面処理層が部分的にしか設けられていないため、得られる合成皮革の耐摩耗性が損なわれるという問題がある。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、消臭性及び耐摩耗性に優れた合成皮革を提供することである。
本発明の実施形態に係る合成皮革は、繊維質基材上に、表皮層と、前記表皮層を覆うように配置された表面処理層とを順次積層してなる合成皮革であって、前記表面処理層はポリウレタン樹脂と消臭剤を含み、前記表面処理層の厚みは3~20μmであり、前記繊維質基材に対する前記消臭剤の付与量は0.5~3.0g/m2である。
本発明の実施形態によれば、消臭性及び耐摩耗性に優れた合成皮革を提供することができる。
本実施形態に係る合成皮革は、繊維質基材と、表皮層と、前記表皮層を覆うように配置された表面処理層とを備える。前記表面処理層は、ポリウレタン樹脂と消臭剤を含む。前記表面処理層の厚みは3~20μmである。前記繊維質基材に対する前記消臭剤の付与量は、0.5~3.0g/m2である。繊維質基材に対する消臭剤の付与量を上記範囲とすることにより、合成皮革の伸び特性を損なうことなく消臭性能を発揮することができる。また、表面処理層の厚みを上記範囲とすることにより、表面処理層中の消臭剤が樹脂に埋没することなく、空気中の悪臭の原因物質に接触しやすいため、良好な消臭性能を発揮することができる。そして、表面処理層を表皮層を覆うように配置することにより、耐摩耗性に優れる合成皮革とすることができる。
図1は、一実施形態に係る合成皮革1の断面構造を模式的に示したものである。この合成皮革1では、繊維質基材2の一方の面に、表皮層3と、表皮層3を覆うように配置された表面処理層4が積層されている。
図2は、他の実施形態に係る合成皮革10の断面構造を模式的に示したものである。この合成皮革10では、繊維質基材2の一方の面に接着層5を介して表皮層3が積層されている点で図1の合成皮革1とは異なる。したがって、図2の例では、繊維質基材2の一方の面に、接着層5と、表皮層3と、表皮層3を覆うように配置された表面処理層4が積層されている。
図1,2の例では、表皮層3と表面処理層4には凹凸が設けられている。合成皮革のオモテ面は、図1,2のように意匠を考慮して、例えばシボ模様などの凹凸が設けられていてもよいし、平坦であってもよい。ここで、合成皮革のオモテ面とは、合成皮革の表裏のうち、使用時に目に見える面(意匠面)をいい、上記表面処理層の表面である。
上記繊維質基材は、特に限定されるものでなく、織物、編物、不織布などの繊維布帛や、天然皮革(床革含む)等を例示することができる。繊維布帛には、従来公知の溶剤系、無溶剤系(水系を含む)の高分子化合物(例えば、ポリウレタン樹脂や塩化ビニル系樹脂)を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いてもよい。繊維布帛において繊維の種類は、特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも強度の観点から、合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましい。繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。着色に用いられる染料や顔料は特に限定されない。
繊維質基材の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。繊維質基材の単位面積当たりの質量も、特に限定されないが、耐摩耗性の観点から、150~350g/m2が好ましく、より好ましくは260~320g/m2である。
本実施形態の合成皮革は、上記繊維質基材の一方の面に、第一の樹脂層として、表皮層が、また、第二の樹脂層として、ポリウレタン樹脂と消臭剤を含む表面処理層が、積層されたものである。
表皮層を構成する樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。耐久性の観点から、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。表皮層は、少なくとも一層の樹脂層からなるが、同一または異なる組成の二層以上の樹脂層にて構成することもできる。
表皮層を構成するポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく、従来公知のポリウレタン樹脂を用いることができる。例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、アクリル系ポリウレタン樹脂等を挙げることができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐摩耗性の観点からは、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましく、風合いの観点からは、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂の形態は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、無溶剤系(無溶媒系)、ホットメルト系、溶剤系または水系であってよく、一液型、二液硬化型であってよい。
表皮層には、必要に応じて、その物性を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、ポリウレタン樹脂以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、難燃剤、導電性付与剤、撥水剤、消泡剤、顔料分散剤、加水分解防止剤、架橋剤、着色剤(顔料、染料)、艶消し剤、平滑剤、界面活性剤、充填剤、レベリング剤、増粘剤等の任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
表皮層の厚みは、特に限定されず、20~50μmであることが好ましく、より好ましくは25~40μmである。表皮層の厚みが20μm以上であることより、均一な表皮層を形成しやすく、部分的に表皮層が欠落することを防いで、耐摩耗性を向上することができる。表皮層の厚みが50μm以下であることにより、表皮層を粗硬になりにくくすることができる。得られる合成皮革は良好な伸び特性や良好な風合いが得られやすい。
ここで、表皮層の厚みは、以下のように算出される。すなわち、合成皮革の垂直断面をマイクロスコープ(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、走査電子顕微鏡S-3000N)で観察し、任意の10ヶ所について厚みを測定して、それらの平均値を表皮層の厚みとする。表皮層が凹凸を備える場合、以下のようにして、凸部における表皮層の厚みT3と凹部における表皮層の厚みT4とを算出し、これらの平均値を表皮層の厚みとする。詳細には、合成皮革の厚み方向の断面において、任意の一つの凸部に焦点を合わせて、走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で観察する。当該凸部における2箇所厚みを測定し、測定した厚みの平均値を、当該視野における凸部の厚みとする。この作業を、同じ観察視野内で焦点を合わせる凸部を変えて、計10ヶ所に対して行う。得られた10ヶ所の凸部の厚みの平均値を、凸部の厚み(T3)とする。凹部の厚み(T4)についても、凸部を凹部に変えて、同様に算出する。
上記表皮層は、繊維質基材の一方の面に積層される。表皮層を積層する際、接着層を介してもよいし、直接積層してもよい。繊維質基材と表皮層の間に接着層を介在させることにより、表皮層を繊維質基材に直接積層した場合に起こり得る、表皮層を構成するポリウレタン樹脂の繊維質基材への過度の浸み込みを抑制することができる。そのため、良好な風合いを具備することができる。
本実施形態の合成皮革は、繊維質基材の一方の面に積層された表皮層の表面に、第二の樹脂層として、消臭剤を含むポリウレタン樹脂からなる表面処理層が、前記表皮層を覆うように配置され積層されたものである。これにより、合成皮革の耐摩耗性が向上する。なお、かかる表面処理層は、表皮層の表面に形成されて当該表皮層を保護する最外層としての樹脂層の総称をいい、少なくとも一層の樹脂層からなるが、同一または異なる組成の二層以上の樹脂層にて構成することもできる。
表面処理層を構成するポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく、表皮層の形成に用いられるポリウレタン樹脂と同様のものを用いることができる。なかでも、耐摩耗性の観点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系(無溶媒系)、ホットメルト系、溶剤系または水系を問わず、さらには、一液型または二液硬化型を問わず使用可能であり、具体的用途に応じて適宜選択することができる。
表面処理層に用いられる消臭剤は、特に限定されるものでなく、従来公知の消臭剤を用いることができる。なかでも、多孔質体、金属化合物が好ましく用いられる。消臭剤は、その種類によって消臭できる物質が異なるため、目的に応じて複数の消臭剤を組み合わせて使用することが好ましい。なかでも、表面処理層を形成するポリウレタン樹脂と反応せず、消臭性能を十分に発揮できるという観点から、無機系の消臭剤を用いることが好ましい。
多孔質体としては、シリカゲル、エアロゾル、コロイダルシリカなどのシリカ系無機多孔質体;活性アルミナ等のアルミナ系無機多孔質体;アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライトなどのゼオライト系無機多孔質体;カオリナイト、モンモリロナイト、雲母などのケイ酸塩化合物系無機多孔質体;メソポーラスシリカなどメソポーラス系無機多孔質体;ヒドロキシアパタイト、層状リン酸ジルコニウム、ヘテロポリ酸塩、多孔性酸化マンガンをはじめとする金属酸化物や水酸化物などの無機多孔質体;活性炭;活性白土、珪藻土、ベントナイト、木節粘土、蛙目粘土などの粘土などが挙げられる。
金属化合物としては、亜鉛、銅、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄などの金属の酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩などが挙げられる。具体例としては、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化銅、水酸化鉄、塩化亜鉛、塩化銅、ケイ酸亜鉛などが挙げられる。なかでも、金属酸化物が好ましく、酸化亜鉛であることがより好ましい。
消臭剤の粒径は、特に限定されないが、0.3~7μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~5μmである。粒径が0.3μm以上であることにより、消臭剤が表面処理層中に埋没しにくく、消臭性能を発揮することができる。粒径が7μm以下であることにより、表面処理層から消臭剤が脱落しにくくなり、消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。なお、本発明において、粒径とは、「メジアン径D50」を意味する。
また、消臭剤の粒径は、消臭性能の耐久性の観点から、後述する表面処理層の厚みより小さいことが好ましい。消臭剤の粒径が表面処理剤の厚みより小さいことにより、表面処理層から消臭剤が脱落しにくくなり、消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。
表面処理層における消臭剤の含有量は、特に限定されず、例えば、表面処理層100質量%に対して7~33質量%であることが好ましく、より好ましくは10~20質量%である。そのためには、表面処理層用樹脂組成物における固形分換算で消臭剤の含有量を7~33質量%、又は10~20質量%とすればよい。消臭剤の含有量が7質量%以上であることにより、消臭性能を良好なものとすることができる。消臭剤の含有量が33質量%以下であることにより、合成皮革の伸び特性を良好なものとすることができる。表面処理層における消臭剤の含有量が上記範囲であることにより、後述の繊維質基材に対する消臭剤の付与量を満たすことができる。
繊維質基材に対する消臭剤の付与量は0.5~3g/m2であることが肝要であり、好ましくは0.75~1.5g/m2である。消臭剤の付与量が0.5g/m2以上であることにより、消臭性能を発揮することができる。消臭剤の付与量が3g/m2以下であることにより、合成皮革の伸び特性を良好なものとすることができる。
表面処理層の厚みは3~20μmであることが肝要であり、好ましくは6~10μmである。厚みが3μm以上であることにより、合成皮革の耐摩耗性を良好なものとすることができる。厚みが20μm以下であることにより、消臭剤が表面処理中に埋没せず、消臭性能を発揮することができる。
ここで、表面処理層の厚みは、以下のように算出される。すなわち、合成皮革の垂直断面をマイクロスコープ(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、走査電子顕微鏡S-3000N)で観察し、任意の10ヶ所について厚みを測定して、それらの平均値を表面処理層の厚みとする。
表面処理層は凹凸(例えば、シボ模様)を有していてもよい。この場合、合成皮革は、本革のような外観を備える。本実施形態によれば、表面処理層が凹凸を備える場合にも、優れた消臭性能が維持される。表面処理層の凹凸は、例えば、表皮層に形成された凹凸に倣って形成されてもよい。
表面処理層において、凸部から表皮層までの厚みT1と凹部から表皮層までの厚みT2との比(T1/T2)は、0.02~1.5が好ましく、より好ましくは0.05~1である。該比(T1/T2)が上記範囲であることにより、表面処理層に亀裂が生じにくくなり、消臭剤の脱落を抑制することができる。消臭性能の耐久性が良好なものとなる。また、凹凸(シボ模様)が明確になりやすく、意匠性が向上する。
表面処理層が凹凸を備える場合、以下のようにして、凸部における表面処理層の厚みT1と凹部における表面処理層の厚みT2とを算出し、これらの平均値を表面処理層の厚みとする。上記厚みの比(T1/T2)は、上記で算出されたT1とT2との比である。詳細には、合成皮革の厚み方向の断面において、任意の一つの凸部に焦点を合わせて、走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で観察する。当該凸部における2箇所厚みを測定し、測定した厚みの平均値を、当該視野における凸部の厚みとする。この作業を、同じ観察視野内で焦点を合わせる凸部を変えて、計10か所に対して行う。得られた10か所の凸部の厚みの平均値を、凸部の厚み(T1)とする。凹部の厚み(T2)についても、凸部を凹部に変えて、同様に算出する。
表面処理層には、必要に応じて、着色剤(顔料、染料)、艶消し剤、平滑剤、界面活性剤、充填剤、レベリング剤、耐光向上剤、増粘剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。
次に、本実施形態に係る合成皮革の製造方法について説明する。該製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の合成皮革と同様の製造方法を採用することができる。具体的には、以下のような工程を順に行うことにより実施形態の合成皮革が製造できる。すなわち、該製造方法は、
(1)表皮層用樹脂組成液を離型性基材上に塗布して、表皮層を形成する工程、
(2)表皮層と繊維質基材とを貼り合せる工程、
(3)離型性基材を剥離する工程、及び、
(4)表皮層を覆うように、表面処理層用樹脂組成液を表皮層上に塗布して、表面処理層形成する工程、を含むものである。
(1)表皮層用樹脂組成液を離型性基材上に塗布して、表皮層を形成する工程、
(2)表皮層と繊維質基材とを貼り合せる工程、
(3)離型性基材を剥離する工程、及び、
(4)表皮層を覆うように、表面処理層用樹脂組成液を表皮層上に塗布して、表面処理層形成する工程、を含むものである。
離型性基材上に表皮層用樹脂組成液を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない、例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどを用いた方法を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、リバースロールコーター、ナイフコーター、又は、コンマコーターによる塗布が好ましい。
離型性基材は特に限定されず、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂に対して離型性を有する基材、あるいは離型処理を施した基材であればよく、例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。離型性基材は凹凸模様を有していてもよく、このような離型性基材を用いることにより、合成皮革の表面に意匠性を付与することができる。
表皮層用樹脂組成液を離型性基材に塗布したのち、必要により熱処理を行う。熱処理は、表皮層用樹脂組成液中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。
次いで、表皮層と繊維質基材とを貼り合わせる。接着層を介してもいいし、直接積層してもよい。接着層を介することにより、表皮層を繊維質基材に直接積層した場合に起こり得る、表皮層を構成するポリウレタン樹脂の繊維質基材への過度の浸み込みや、表皮層内の不均一な孔の形成が抑制されて、良好な風合いを具備することができる。
接着剤としては、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。表皮層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
接着剤を塗布する方法は、公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーターまたはコンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。
次いで、表皮層から離型性基材を剥離する。剥離することで、表皮層と繊維質基材との積層体が得られる。
その後、表皮層上に表面処理層を形成する。表面処理層を形成するための表面処理層用樹脂液の粘度は、500~2000mPa・sであることが好ましい。粘度をこの範囲にすることにより、形成された表面処理層中に消臭剤が埋没することを抑制することができる。良好な消臭性能を発揮することができる。
表面処理層を形成するために、表面処理層用樹脂液を表皮層に塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーターまたはコンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも、均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、リバースロールコーター、ナイフコーターまたはコンマコーターによる塗布が好ましい。樹脂組成液の塗布厚みは、前記表面処理層の厚みに応じて適宜設定すればよい。
次いで、必要により熱処理を行う。熱処理は、表面処理層用樹脂液中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。
かくして、本実施形態に係る合成皮革が得られる。但し、本実施形態に係る合成皮革を製造するための方法は、上記方法に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各評価項目は、以下の方法に従った。
[耐摩耗性]
幅37mm、長さ160mmの大きさの試験片をタテ、ヨコ各方向からそれぞれ3枚採取した。JIS L0849の染色堅牢度試験用摩擦試験機II型(摩擦堅牢度試験機RT-300、株式会社大栄科学精器製作所製)のテーブルに、内径5mm、外径7mm、長さ170mmのシリコンチューブ(ラボランシリコンチューブ、アズワン株式会社製)を取り付け、試験片の幅が29mmになるようにシリコンチューブに両面テープで固定した。幅25mm、長さ80mmに裁断した綿帆布(JIS L3102:綿帆布No.10)を取り付けた摩擦子に荷重9.8Nをかけて摩擦試験を行った。摩擦子は試験片の表面上130mmの間を30往復/分の速さで10000回往復摩耗した。綿布は摩耗回数2500回往復ごとに交換し、合計10000回往復摩耗した。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
〇:消臭剤の脱落による白化は認められない。
△:消臭剤の脱落による白化が少し認められる。
×:消臭剤の脱落による白化が認められる。
幅37mm、長さ160mmの大きさの試験片をタテ、ヨコ各方向からそれぞれ3枚採取した。JIS L0849の染色堅牢度試験用摩擦試験機II型(摩擦堅牢度試験機RT-300、株式会社大栄科学精器製作所製)のテーブルに、内径5mm、外径7mm、長さ170mmのシリコンチューブ(ラボランシリコンチューブ、アズワン株式会社製)を取り付け、試験片の幅が29mmになるようにシリコンチューブに両面テープで固定した。幅25mm、長さ80mmに裁断した綿帆布(JIS L3102:綿帆布No.10)を取り付けた摩擦子に荷重9.8Nをかけて摩擦試験を行った。摩擦子は試験片の表面上130mmの間を30往復/分の速さで10000回往復摩耗した。綿布は摩耗回数2500回往復ごとに交換し、合計10000回往復摩耗した。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
〇:消臭剤の脱落による白化は認められない。
△:消臭剤の脱落による白化が少し認められる。
×:消臭剤の脱落による白化が認められる。
[消臭性能]
幅10cm、長さ10cmの大きさでサンプルを採取した。サンプルの表面処理層面が表になるように長方形に2つ折りにし、縫いしろ1cmでサンプルの縁を縫合し、袋状にしたものを試験片とした。容量6Lの袋(株式会社近江オドエアーサービス製、におい袋)に試験片を入れた。その後、臭源としてアンモニア水溶液(28質量%)を、袋内のアンモニア濃度が80~100ppmとなるように適量を滴下した後、20℃×65%Rhの雰囲気に放置した。アンモニア水溶液を滴下してから2時間経過後、袋内の残留アンモニア濃度を検知管(光明理化学工業株式会社製、北川式Tube No.105SC)を用いて測定した。このとき得られる測定値をA(ppm)とした。また、ブランクとして、試験片を入れないで同様に操作し、残留アンモニア濃度を測定した。このとき得られる測定値をB(ppm)とした。下記式により消臭率(%)を算出した。消臭率70%以上であれば、消臭性能ありと判断した。
消臭率(%)={(A-B)/A}×100
幅10cm、長さ10cmの大きさでサンプルを採取した。サンプルの表面処理層面が表になるように長方形に2つ折りにし、縫いしろ1cmでサンプルの縁を縫合し、袋状にしたものを試験片とした。容量6Lの袋(株式会社近江オドエアーサービス製、におい袋)に試験片を入れた。その後、臭源としてアンモニア水溶液(28質量%)を、袋内のアンモニア濃度が80~100ppmとなるように適量を滴下した後、20℃×65%Rhの雰囲気に放置した。アンモニア水溶液を滴下してから2時間経過後、袋内の残留アンモニア濃度を検知管(光明理化学工業株式会社製、北川式Tube No.105SC)を用いて測定した。このとき得られる測定値をA(ppm)とした。また、ブランクとして、試験片を入れないで同様に操作し、残留アンモニア濃度を測定した。このとき得られる測定値をB(ppm)とした。下記式により消臭率(%)を算出した。消臭率70%以上であれば、消臭性能ありと判断した。
消臭率(%)={(A-B)/A}×100
[消臭性能の耐久性]
上述の耐摩耗試験後の試験片を用いて、上述の消臭性能試験を行った。
消臭率70%以上であれば、消臭性能の耐久性ありと判断した。
上述の耐摩耗試験後の試験片を用いて、上述の消臭性能試験を行った。
消臭率70%以上であれば、消臭性能の耐久性ありと判断した。
[実施例1]
<繊維質基材>
基材として、黒色のトリコット編地(ポリエステル繊維、単位面積当たりの質量290g/m2)を準備した。
<繊維質基材>
基材として、黒色のトリコット編地(ポリエステル繊維、単位面積当たりの質量290g/m2)を準備した。
<処方1:表皮層用樹脂組成液>
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(固形分30質量%):100質量部
・ジメチルホルムアミド:40質量部
調製法:粘度を2000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)になるように、ジメチルホルムアミドで調整した。
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(固形分30質量%):100質量部
・ジメチルホルムアミド:40質量部
調製法:粘度を2000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)になるように、ジメチルホルムアミドで調整した。
<処方2:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:38.5質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:38.5質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
<処方3:接着層用樹脂組成液>
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(固形分70質量%):100質量部
・ジメチルホルムアミド:50質量部
調製法:粘度を4500mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)になるように、ジメチルホルムアミドで調整した。
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(固形分70質量%):100質量部
・ジメチルホルムアミド:50質量部
調製法:粘度を4500mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)になるように、ジメチルホルムアミドで調整した。
<合成皮革の作製>
上述の処方1に従い調製した表皮層用樹脂組成液を、シボ調の凹凸模様を有する離型紙に、アプリケータ(テスター産業株式会社製、SA-201、ベーカー式アプリケーター)にて塗布厚みが220μmとなるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、表皮層を形成した。
上述の処方1に従い調製した表皮層用樹脂組成液を、シボ調の凹凸模様を有する離型紙に、アプリケータ(テスター産業株式会社製、SA-201、ベーカー式アプリケーター)にて塗布厚みが220μmとなるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、表皮層を形成した。
次いで、上述の処方3に従い調製した接着層用樹脂組成液を、離型紙上に形成された表皮層表面に、アプリケータ(テスター産業株式会社製、SA-201、ベーカー式アプリケーター)にて塗布厚みが200μmなるようにシート状に塗布した後、乾燥機にて100℃で1分間処理した。接着層の表面と繊維質基材を重ねて、ラミネーター機にて常温で、394.2kPa条件下で、4秒間加圧した後、離型紙を剥離し、厚さ40μmの表皮層を有する積層体を得た。
次いで、上述の処方2に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が35g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ10μmの表面処理層を形成し、合成皮革を得た。表面処理層は凹凸を有しており、凸部から表皮層までの厚みT1と凹部から表皮層までの厚みT2との比(T1/T2)は、0.52であった。
[実施例2]
実施例1において、下記処方4に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が17.5g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ5μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
実施例1において、下記処方4に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が17.5g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ5μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方4:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:17.2質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・水:34質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:17.2質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・水:34質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[実施例3]
実施例1において、下記処方5に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が70g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ20μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
実施例1において、下記処方5に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が70g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ20μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方5:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:16.5質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:16.5質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[実施例4]
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を上記処方5に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を上記処方5に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
[実施例5]
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方6に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方6に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方6:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:116.5質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:116.5質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
[実施例6]
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方7に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方7に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方7:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:8.2質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
・水:34質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:8.2質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
・水:34質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[実施例7]
実施例1において、下記処方8に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が10.5g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ3μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
実施例1において、下記処方8に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が10.5g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ3μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方8:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:31.1質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・水:34質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:31.1質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・水:34質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[比較例1]
実施例1において、下記処方10に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が8.75g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ2.5μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
実施例1において、下記処方10に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が8.75g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ2.5μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方10:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:30.4質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:30.4質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[比較例2]
実施例1において、下記処方11に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が77g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ22μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
実施例1において、下記処方11に従い調製した表面処理層用樹脂組成液を用いて、離型紙を剥離した後の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR-SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が77g/m2となるようにシート状に塗布し、乾燥機にて80℃で2分間処理して、厚さ22μmの表面処理層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方11:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:14.8質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:14.8質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[比較例3]
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方12に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方12に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方12:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:6質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:6質量部
(シュークレンズKD-211(R20)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)0.5μm、ラサ工業株式会社製、固形分17質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
[比較例4]
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方13に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
表面処理層を形成する表面処理層用樹脂組成液を下記処方13に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
<処方13:表面処理層用樹脂組成液>
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:24.2質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分16.5質量%):90質量部
・水系ポリカーボネ―ト系ポリウレタン樹脂(固形分17質量%):10質量部
・カルボジイミド系架橋剤(固形分40質量%):3質量部
・平滑剤(シリコーン系化合物水分散液、固形分30質量%):9.6質量部
・レベリング剤(固形分100質量%):1質量部
・消臭剤:24.2質量部
(シュークレンズKD-211(G)、非晶質シリカと酸化亜鉛の混合物、粒径(D50)3~5μm、ラサ工業株式会社製、固形分82質量%)
・粘度調整剤(固形分28質量%):1質量部
調製法:上記薬剤を混合、攪拌し、表面処理用樹脂組成液を調製した。得られた表面処理用樹脂組成液の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、ローター:No3、10rpm、23℃)であった。
表1に示されるように、実施例1~7の合成皮革は、消臭性能、消臭性能の耐久性、および耐摩耗性に優れるものであった。なかでも、実施例1,3,4の合成皮革は、表面処理層の厚みと、消臭剤の粒径と、繊維質基材に対する消臭剤の付与量とのバランスがよいため、消臭性能、消臭性能の耐久性、および耐摩耗性に優れるものであった。一方、表2に示されるように、比較例1の合成皮革は表面処理層の厚みが薄く、耐摩耗性が劣るものであった。比較例2の合成皮革は、表面処理層の厚みが厚く、消臭性能が劣るものであった。比較例3の合成皮革は、繊維質基材に対する消臭剤の付与量が少なく、消臭性能が劣るものであった。比較例4の合成皮革は繊維質基材に対する消臭剤の付与量が多く、耐摩耗性が劣るものであった。
1,10…合成皮革、2…繊維質基材、3…表皮層、4…表面処理層、5…接着層
Claims (3)
- 繊維質基材上に、表皮層と、前記表皮層を覆うように配置された表面処理層とを順次積層してなる合成皮革であって、
前記表面処理層はポリウレタン樹脂と消臭剤を含み、
前記表面処理層の厚みは3~20μmであり、
前記繊維質基材に対する前記消臭剤の付与量は0.5~3.0g/m2である合成皮革。 - 前記消臭剤の粒径は0.3~7μmである、請求項1に記載の合成皮革。
- 前記消臭剤の粒径は、前記表面処理層の厚みより小さい、請求項2に記載の合成皮革。
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