JP6626276B2 - 抗菌性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、抗菌性と、優れた抗菌耐久性および装飾性とを有する積層体に関する。さらに詳しくは銅および錫を含む合金によって抗菌性を付与された、優れた抗菌耐久性および装飾性を有する積層体に関する。
物品の衛生を維持するために、抗微生物性を有する物質を物品表面に設けることがある。例えば、食品を扱う事業所や一般家庭の調理場、医療施設、特別養護老人ホームなどにおいて、床や壁などの内装、機器、什器などに付着した有害微生物(病原菌など)に起因した接触感染や中毒を防止するため、これらの内装、機器、什器の表面を無菌状態に保つことが求められている。また、高湿で換気の少ない住宅の押入れや食品保管庫、結露の多い浴室等の水周り、空調機器、冷蔵庫の内部などでは、かびの発生や食品等の腐敗を有効に防ぐ必要があり、壁紙などの建材や、食品保存容器および浴室用品などの物品表面にも有害微生物低減効果を付与することが求められている。
有害微生物低減効果を付与するものとして抗菌剤が広く使用されており、抗菌剤には有機系の抗菌剤と無機系の抗菌剤とがある。特に無機系抗菌剤は、有機系の抗菌剤と比べてより広範囲の有害微生物に対する強い抗菌効果を発揮し、かつ人体への毒性が低いことから着目されている。無機系の抗菌剤として銀、亜鉛、銅やその合金が知られている。このような無機系の抗菌剤の利用方法として、金属の薄膜を、紙やフィルムなどの可撓性基材に設けたフィルムが提案されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、そこに提案されているフィルムでは抗菌性が限定的であり、かつ腐食による品位の低下等の問題があったので、抗菌性および耐食性に優れた抗微生物性材料として、樹脂からなる基材層と銅−錫合金層とを含む抗微生物性材料が提案されている(特許文献4及び特許文献5)。
不織布は、医療用品、衛生用品、食品包材、液体用フィルタ、気体フィルタなどのような分野に利用されるので、高い衛生性が求められることが多いため、不織布に抗菌剤を用いて抗菌性を付与する試みがなされてきた。抗菌剤として前記した銀、銅、亜鉛などの金属のイオンをゼオライト、シリカゲル、ヒドロキシアパタイトなどの各種の無機担体にイオン交換作用や吸着作用などによって担持させた無機系抗菌剤や、これらの金属イオンを含有する無機化合物自体からなる無機系抗菌剤が用いられている。例えば、無機系抗菌剤をバインダーによってポリオレフィン繊維などの繊維表面に付着させた不織布が提案されている(特許文献6)。しかし、無機系抗菌剤をバインダーによって不織布に付着させる方法は、バインダーに無機系抗菌剤を混合して後加工により無機系抗菌剤を不織布に付着させるため、加工工程が増えて生産上不利であり、しかも無機系抗菌剤が不織布から脱落したり、剥離したりし易く、抗菌効果の持続性の点で問題があった。また、無機系抗菌剤を含有するポリオレフィン繊維から形成した不織布も提案されている(特許文献7及び8)。しかしながら、無機系抗菌剤を含有するポリオレフィン繊維から形成した不織布では、無機系抗菌剤がその表面全体をポリオレフィンで被覆された状態で繊維内部に存在していて繊維表面に露出していないため、無機系抗菌剤が有する抗菌作用を十分に発揮できないという問題があった。
そこで、合成繊維からなる不織布、織物、編物などの布帛の少なくとも一方の面にCu、Zn及びNiの合金からなる金属膜を被覆して繊維シートとすることが提案された(特許文献9)。同特許文献では、金属膜を被覆する方法として、真空蒸着、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの真空薄膜形成方法や、金属微粒子をバインダーと溶剤を用いて分散させた塗工剤としこれを布帛に塗布して乾燥硬化させる方法が提案されている。特許文献9では、得られた抗菌性繊維シートを靴の中敷として、あるいはスリッパや他の中敷に貼着して用いることが提案されている。しかしながら、特許文献9において提案されているような抗菌性繊維シートは、抗菌性の耐摩耗性に乏しく使用していると摩擦によって金属層が摩滅したり剥離したりして抗菌性効果が失われるという問題があった。
特開平11−179870号公報 特開2004−183030号公報 特開昭61−182943号公報 特許第4778123号公報 特許第5166651号公報 特開平5−057002号公報 特開平5−153874号公報 特開平8−325915号公報 特開2012−52258号公報
本発明者らは、前記の状況を踏まえて、優れた抗菌性を有し、優れた抗菌性の耐久性(以下「抗菌耐久性」という)を有する不織布を用いたシート状素材の開発に鋭意努めた結果本発明に到達したものである。
本発明の目的は、抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性を有する不織布を用いた積層体を提供することである。
本発明はまた、抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性を有するうえに、優れた装飾性を備えた不織布を用いた積層体を提供する。
本発明は、多孔質基材からなる層の表面の少なくとも一部に銅−錫合金層が形成されている多孔質基材層に、開口部を有する絵柄が形成された絵柄層が積層されている抗菌性を有する積層体を提供する。
前記多孔質基材が、織布、不織布及び編布から選ばれた布質基材である前記抗菌性を有する積層体は本発明の好ましい態様である。
前記布質基材が、合成樹脂または天然繊維からなる前記抗菌性を有する積層体は本発明の好ましい態様である。
前記銅−錫合金層が、銅を60〜90原子%含有し、且つ錫を10〜40原子%含有するものである前記抗菌性を有する積層体は本発明の好ましい態様である。
前記絵柄層の開口率が5〜90%である前記抗菌性を有する積層体は本発明の好ましい態様である。
前記絵柄層の厚さが0.1〜3mmである前記抗菌性を有する積層体は本発明の好ましい態様である。
前記絵柄層がグラビア印刷またはモールドプリントによって形成されている前記抗菌性を有する積層体は本発明の好ましい態様である。
本発明によれば、抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性を有する不織布を用いた積層体が提供される。
本発明では、多孔質基材層の表面に形成させた抗菌性を備えた銅−錫合金層が露出するように開口部を有する絵柄層が形成されるので優れた抗菌性が発揮され、銅−錫合金層は絵柄層によって積層体に接触するものが銅−錫合金層に接触することから保護されるので、接触によって剥離したり摩滅したりすることがなく、優れた抗菌耐久性が発揮される結果、優れた抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性を有する積層体が提供される。
本発明によれば、優れた抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性を有するうえに、優れた装飾性を備えた不織布を用いた積層体が提供される。
本発明の積層体の構成を示す断面図である。 銅および錫の蒸気圧の温度依存性を示すグラフである。 本発明の積層体の絵柄層の絵柄の一例を示す平面概略図である。 本発明の積層体の絵柄層の絵柄の他の例を示す平面概略図である。
本発明は、多孔質基材からなる層の表面の少なくとも一部に銅−錫合金層が形成されている多孔質基材層に、開口部を有する絵柄が形成された絵柄層が積層されている抗菌性を有する積層体を提供するものである。
<多孔質基材>
本発明の多孔質基材としては、織布、不織布、編布などの布質基材、発泡シートなどの形態をとり得るが、なかでも布質基材が好ましく、とくには織布および不織布が好ましい。多孔質基材を構成する好ましい材質としては、合成樹脂および天然繊維を挙げることができる。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を挙げることができる。特には熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の具体的な例としては、オレフィン系重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル系樹脂などを挙げることができる。なかでも、オレフィン系重合体及びポリエステル樹脂が好ましく、特にはオレフィン重合体が好ましい。
オレフィン系重合体としては、具体的には、α−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体、またはα−オレフィンと他のモノマーとの共重合体である。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィンを挙げることができる。オレフィン系重合体には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体などのポリオレフィン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのα−オレフィンと他のモノマーとの共重合体が含まれる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートなどを挙げることができる。ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66を挙げることができる。
天然繊維としては、綿、麻などの植物繊維、絹、羊毛などの動物繊維を挙げることができる。中でも好ましいものとして綿および絹を挙げることができる。
不織布としては、スパンボンド法による長繊維不織布、メルトブローン法による短繊維不織布、フラッシュ紡糸不織布などの長繊維不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布などを挙げることができるが、スパンボンド不織布及びメルトブローン不織布が好ましい。なかでもスパンボンド不織布が好ましく、特にはポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンのスパンボンド不織布が好ましい。
本発明の不織布は、構成する繊維を異なった樹脂による複合繊維とし、繊維外表面側に異なった樹脂を配した芯鞘型またはサイドバイサイド型複合繊維とすることができる。複合繊維の例としてポリエチレン/ポリプロピレンの芯鞘型またはサイドバイサイド型複合繊維を挙げることができる。
本発明の不織布は、積層不織布であってもよい。積層不織布の例として、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布の積層不織布を挙げることができる。積層不織布としてスパンボンド不織布/メルトブローン不織布(SM)、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布(SMS)などがある。このような積層不織布を得るには、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを積層し、両者を一体化して形成させるが、一体化する方法の例としては、スパンボンド不織布とメルトブローンを重ね合わせて加熱加圧する方法、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤等の接着剤によって接着する方法、スパンボンド不織布の上にメルトブローン不織布を堆積させて熱融着する方法などを挙げることができる。
また、本発明の不織布は、不織布の間に微小孔を有する多孔性フィルムを挟んだ形態の積層不織布であってもよい。このような形態の積層不織布として、例えばポリプロピレン(PP)不織布/多孔性PPフィルム/PP不織布(SFS)、PP不織布/多孔性PPフィルム/レーヨンPP不織布(SFR)などを挙げることができる。
本発明で用いられる不織布の目付は、積層不織布の場合には積層不織布として、10〜80g/m程度、好ましくは50〜70g/m程度であることが好ましい。
本発明の多孔質基材層の厚みは、平均厚みが5〜700μm程度、好ましくは140〜200μm程度の範囲にあればよい。
本発明の多孔質基材層には、必要に応じて下面にフィルム、紙などの他の層を積層させて使用してもよい。多孔質基材層と他の層との間は、溶融樹脂をフィルム状に塗工した後固化させて一体化されていてもよいし、フィルムまたは紙等をホットメルト粘着剤等の接着剤を介して接合していてもよい。
<銅−錫合金被覆>
本発明においては、多孔質基材層の表面の少なくとも一部に、銅−錫合金が薄層として被覆されている。多孔質基材が布質基材である場合には、それを構成する繊維の表面に銅−錫合金が薄層として被覆されていることが好ましい。
銅−錫系合金薄膜は、銅と錫を原子比で50:50〜95:5の割合で含有し、好適には、銅と錫を60:40〜90:10の比率で含有し、特に好適には、銅と錫を65:35〜85:15の比率で含有する。銅−錫系合金薄膜中の錫の含有量が少なすぎると、水や塩水、体液などとの接触により腐食または変色して外観変化が生じる虞がある。一方、錫の含有量が過剰の場合、銅の含有量が少なくなるため、抗微生物性能が不十分となる。本発明において、銅−錫系合金薄膜に含まれる金属成分中の、銅および錫の合計の好ましい含有量は、75原子%〜100原子%である。好適には、80原子%〜100原子%であり、特に好適には、90原子%〜100原子%である。銅−錫系合金薄膜は銅−錫系合金の薄膜が酸化されたものであってもよい。
本発明の銅−錫合金層は、本発明の目的を損なわない範囲において、他の元素をさらに含んでもよい。これにより、経済性、各種液体との親和性、基材との親和性、金属薄膜の色調などが調整されうる。かかる他の元素としては、例えば、溶融状態での蒸気圧が銅に近いアルミニウム、ゲルマニウム、ベリリウム、シリコンなどが挙げられる。
多孔質基材層の表面に銅−錫合金の薄層を形成させる方法は、特に限定されず、物理的成膜法であっても、化学的成膜法であってもよい。物理的製膜法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザー蒸着法、アーク蒸着法、溶射法などを挙げることができる。また化学的成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法などを挙げることができる。薄層形成方法のうち、生産性に優れているという観点から、真空蒸着法およびイオンプレーティング法が好ましい。
本発明の抗微生物性材料が有する合金層は、銅と錫の合金層である。図2に示すように、銅と錫は、1050〜1500℃の広い範囲で非常に近い蒸気圧を有する。そのため、銅と錫以外の合金系の場合とは異なり、単一の銅−錫合金の蒸発源を用いても、比較的一定範囲の組成に制御された銅と錫の合金蒸着膜を得ることができる。
多孔質基材層の表面に銅−錫合金層を被覆する場合、例えば真空蒸着方によって被覆するとき、銅−錫合金層は主として多孔質基材の表面に露出している部分に形成される。多孔質基材が不織布の場合には、主として不織布層の表面部分を構成する繊維の表面に銅−錫合金層が形成される。外観として不織布層の表面全面に銅−錫合金層の被覆が形成されているように見えても、詳細に観察すれば表面部分を構成する繊維の表面に銅‐錫合金層が形成されていることがわかる。
なお、不織布層の表面に銅‐錫合金層被覆を行うとき、形成される銅−錫合金層の厚さを知るために、通常被覆の際に樹脂フィルムを指標体として用いて形成される銅−錫合金層の厚さを間接的に知る方法を採用することもできる。
<絵柄層>
本発明の絵柄層は、多孔質基材層の表面に銅−錫合金の薄層を形成させた面に、塗工材を用いて種々の模様を描くことにより形成させることができる。絵柄層を形成させる方法としては、グラビア印刷、モールドプリント、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリント等の印刷法などを挙げることができる。中でもグラビア印刷およびモールドプリントによって形成させることが好ましい。
絵柄の種類には特に制限はなく、例えばメッシュ模様、格子模様、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、布地模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、およびこれらを複合した寄木、パッチワークなどの模様を挙げることができる。
本発明の絵柄は、単色で形成させてもいいし、複数の色を用いて形成させて、多様な意匠性を持たせて装飾性を発揮させることもできる。
本発明の絵柄は、多孔質基材層の表面に形成させた抗菌性を備えた銅−錫合金の薄層が露出するように開口部を有するものであることが特徴である。このような開口部を有する絵柄層を形成させることにより、抗菌性を備えた銅−錫合金層が露出しているので優れた抗菌性を発揮するのである。また、銅−錫合金層は、絵柄層によって積層体への接触物が銅−錫合金層に接触することから保護されるので、銅−錫合金層が摩擦によって剥離したり摩滅したりすることがない。したがって、本発明の積層体は、優れた抗菌性と、抗菌耐久性とを発揮することができるのである。
したがって、絵柄層の開口部としては、個々の開口部が、積層体への接触物が銅−錫合金層に接触することから保護することができる大きさである開口によって構成されていることが好ましい。例えば絵柄層が円形で構成される開口部を有する絵柄で形成されている場合には、個々の円形開口部の直径は、0.1〜5mm程度、好ましくは0.5〜3mm程度であることが望ましい。開口部の形状としては、円形以外にも種々の形状を採用し得るが、個々の開口部の大きさは、上記を参考にして適宜選択し得る。たとえば、長辺が上記値を超える場合でも、短辺が小さければ物の接触から保護されるので、採用し得る形状となる。
絵柄層における開口率は、5〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%であることが望ましい。なお、本発明の開口率とは、絵柄層に垂直の方向から見たときの絵柄において開口部が占める面積割合をいう。
絵柄層を形成させる塗工材は、樹脂を必要に応じて着色剤(染料又は顔料)を含む成分を配合して用いることが好ましい。塗工材は樹脂の溶融条件下で多孔質基材表面に塗工することができるが、塗工材を溶剤または分散媒中に分散させて塗工する方法を採用することもできる。
樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂などを挙げることができる。
また、樹脂としては他にも、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等を挙げることができる。さらに例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性又は混合樹脂なども使用できる。上記樹脂は、単独でまたは2種以上で使用してもよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
絵柄層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工後に乾燥させた層厚として、0.1〜3mm程度、好ましくは0.2〜2mm程度、より好ましくは0.5〜1.5mm程度であることが望ましい。
銅−錫合金被覆を施した多孔質基材層に開口部を有する絵柄層を設けることによって銅−錫合金層によってもたらされる抗菌性を維持すると共に、磨耗によって銅−錫合金層が消失することを防ぐ結果、銅−錫合金層の耐摩耗性を付与し、持続する抗菌性を実現し、優れた抗菌耐久性を発揮させることができる。その上に、絵柄層が本発明の積層体の引裂強度や引張強度などの機械的強度を向上させることになり、抗菌耐久性がある積層体を可能とするのである。
<積層体の形成>
本発明の積層体は、予め形成させた多孔質基材層の表面に、銅−錫合金被覆を施し、続いて得られた銅−錫合金被覆を施した面に塗工材を用いて絵柄層を形成させることによって得ることができる。
多孔質基材層の材質や厚み、目付け等は前記を参考に適宜選択することができるし、絵柄層の絵柄、開口率及び塗工材も前記を参考に適宜選択することができる。これらの選択を通して目的に合致した積層体を製造することができる。
図1には本発明の積層体の代表例を示す断面図が示されている。図1の積層体1は、表面に真空蒸着によって銅−錫合金層3が被覆された不織布層2の上面に開口部を有する絵柄層4が形成されている。絵柄層4には開口部5が形成されているので、銅−錫合金層3は露出している。
絵柄層の開口部が、種々の形状を採り得ることは前記したが、開口部が円形である場合の絵柄の例を絵柄1として図3に示した。また、絵柄が円形以外の形状である場合の例として、開口部が菱形である場合の絵柄を絵柄2として図4に示した。
絵柄層を構成するインク材料中の樹脂の表面摩擦係数を適宜選択することによって、表面がすべり易い積層体を得ることができるし、また表面がすべり難い積層体を得ることもできる。
本発明の積層体は、抗菌性を有し、抗菌耐久性に優れる上に、装飾性を有しており、さらに適度の通気性および柔軟性を有する積層体なので、スリッパ、靴の中敷等の履物用材料に使用すると、足の感触が良好で、抗菌効果を発揮する好適な履物用材料となる。
そのほか衣服、芯地、裏地、エプロン、靴下、足袋等の衣類;シーツ、布団カバー、枕カバー等の寝具;帽子、手袋、テーブルクロス、等の身回り品;ベッドマット、マスク、包帯、ガーゼ、吸収材、創傷保護材、オムツ、各種生理用品等の医療用品・生理用品・衛生材料;壁用シート、床材、カーテン、椅子張り地、バスマット等の内装材;飲料や各種水を浄化する浄水材料;空調機・空気清浄機・掃除機・クリーンルーム用のフィルタ、浄水フィルタ等のフィルタ材料、車用カバーシート、シートクロス、天井材、床材等の車内装品;包装材料;などにも有用である。
以下、実施例および比較例を参照してさらに本発明を説明する。本発明の技術的範囲は、これらによって限定されるものではない。
実施例および比較例では、以下の方法に従って各種測定および試験を行った。
(1)金属組成分析
銅−錫合金層に含まれる金属原子は、蛍光X線法により検出し原子数比率を求めた。
(2)被覆銅−錫合金層量の測定
不織布の基材ロールの先端と終端にリードフィルムを繋いでおき、被覆操作後のリードフィルムの光透過率を測定して検量線に基づいて被覆銅−錫合金層量を算出した。
(3)抗菌性能試験
実施例および比較例で得られた積層体を、一辺が50ミリメートルの正方形に切り出してサンプルとした。このサンプルについて、黄色ブドウ球菌を用いて、JIS Z2801に準拠した抗菌性試験を実施した。
試験24時間後に検出された菌のコロニー数を菌数(A)として計測した。同時に対照品としてポリエチレン板を用いて同様の試験を行い、ポリエチレン板上で検出された菌のコロニー数を計測した。
ポリエチレン板上で検出された菌のコロニー数を、菌数(A)で割った値の常用対数値を抗菌活性値とし、抗菌活性値をもって抗菌性能試験結果とした。
(4)抗菌耐久性試験
実施例および比較例で得られた積層体について、幅2.5cm、長さ10cmに切り出してサンプルを得た。得られたサンプルについてJIS L0849に準拠して表面を、水で濡れたフェルト布を用いて3kgf荷重の条件下で1000回擦った後、サンプルをさらに切り出して一辺が50ミリメートルの正方形になるようにした。この正方形のサンプルについて、黄色ブドウ球菌を用いて、上記したJIS Z2801に準拠した抗菌性試験を実施し、抗菌活性値を測定した。
(5)耐摩耗性試験
実施例および比較例で得られた積層体について、幅2.5cm、長さ10cmに切り出してサンプルを得た。得られたサンプルについてJIS L0849に準拠して、布を用いて表面を3kgf荷重の条件下で摩擦し、銅−錫合金層で被覆された不織布の表面の破損が目視によって認められるまでの摩擦回数を耐摩耗性とした。
(実施例1)
多孔質基材として、目付けが60g/mのポリプロピレンスパンボンド不織布(三井化学社製、SFS060)を用意した。この不織布は、二層のポリプロピレンスパンボンド不織布の間に微小孔を有するポリプロピレンフィルムが挟まれた構造を有するものである。
この不織布層に銅−錫合金[銅74原子%、錫26原子%(銅60重量%、錫40重量%)]を真空蒸着によって蒸着させて、表面が銅−錫合金層で被覆された不織布を得た。銅−錫合金層の被覆厚さは80nmであった。
得られた表面が銅−錫合金層で被覆された不織布に、ポリエチレンを構成樹脂とする塗工材を使用してグラビア印刷によって開口率が30%の絵柄層を、厚さ1mmで形成させて積層体を得た。絵柄層の開口部の形状は、直径が1mmの円形であった。
上記で得られた積層体について、抗菌性能試験と抗菌耐久性試験を行った。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、絵柄層の形成を省略するほかは同様にして、スパンボンド不織布に銅−錫合金を被覆したものを積層体として得た。
得られた積層体について、抗菌性能試験と抗菌耐久性試験を行った。結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1で得られた不織布の表面が銅―錫合金層で被覆された不織布に絵柄層を形成させた積層体について、抗菌耐久性試験を行う際に積層体表面を擦るときに用いる水で濡れたフェルト布を、エチルアルコールで濡れたフェルト布に代えるほかは同様にして抗菌耐久性試験を行った。結果を表1に示した。
(実施例3〜5)
実施例1と同様にして得られた表面が銅−錫合金層で被覆された不織布にグラビア印刷によって絵柄層を設けた積層体を得た。
得られた積層体について、前記耐摩耗性試験において用いる布として、乾燥白綿布(かなきん3号)(実施例3)、同白綿布にエチルアルコールを含浸させた布(実施例4)および同白綿布に0.5%次亜塩素酸を含浸させた布(実施例5)をそれぞれ用いて耐摩耗性試験を行った。結果を表2に示した。
(比較例2)
実施例3において、絵柄層の形成を省略するほかは同様にして、スパンボンド不織布に銅−錫合金を被覆したものを積層体として得た。得られた積層体について、実施例3と同様にして耐摩耗性試験を行った。結果を表2に示した。
本発明により提供される積層体は、抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性を有する不織布を用いた積層体である。
本発明により提供される積層体は、多孔質基材層の表面に形成させた抗菌性を備えた銅−錫合金層が露出するように開口部を有する絵柄層が形成されるので優れた抗菌性が発揮される。また、絵柄層によって積層体に接触するものが銅−錫合金層に接触することから保護されるので、銅−錫合金層が接触によって剥離したり摩滅したりすることがない。その結果、本発明の積層体は、抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性及び耐摩耗性を有するのである。
本発明により提供される積層体は、抗菌性を有し、優れた抗菌耐久性及び耐摩耗性を有するうえに、優れた装飾性を備えた積層体である。
本発明により提供される積層体は、スリッパ、靴の中敷等の履物用材料のほか、各種用途への展開が期待される積層体である。
1.積層体
2.不織布
3.銅−錫合金層
4.絵柄層
5.開口部
6.絵柄1
7.絵柄2

Claims (4)

  1. 多孔質基材からなる層の表面の少なくとも一部に銅−錫合金層が形成されている多孔質基材層に、開口部を有する絵柄が形成された絵柄層が積層されている抗菌性を有する積層体であって、前記銅−錫合金層が、銅を60〜90原子%含有し、且つ錫を10〜40原子%含有すると共に、前記絵柄層の開口率が20〜80%であり、且つ前記絵柄層の厚さが0.1〜3mmである積層体。
  2. 前記多孔質基材が、織布、不織布及び編布から選ばれた布質基材である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記布質基材が、合成樹脂または天然繊維からなることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
  4. 前記絵柄層がグラビア印刷またはモールドプリントによって形成されている請求項1〜のいずれかに記載の積層体。
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