JP2022188746A - 加工糸の製造方法、及び糸加工機 - Google Patents

加工糸の製造方法、及び糸加工機 Download PDF

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Abstract

【課題】糸を加熱装置によって加熱しつつ加工する際に、断糸が発生したときの融着のリスクを回避しつつ、加熱効率を高める。【解決手段】加工糸の製造方法は、合成繊維からなる走行中の糸Yを第1加熱装置13によって加熱する工程を有する。第1加熱装置13は、熱源51と加熱部52とを備える。加熱部52は、少なくとも所定の延在方向に延びた、走行中の糸Yを接触させるための接触面56を有するものである。当該製造方法においては、接触面56を少なくとも下側に向け、鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、接触面56の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まるように第1加熱装置13を配置する。また、接触面56の温度を230℃以上350℃以下の所定温度に設定する。この状態で、糸Yを接触面56に接触させながら走行させる。【選択図】図5

Description

本発明は、加工糸の製造方法、及び、糸加工機に関する。
合成繊維からなる糸の加工(仮撚加工等)に用いられる種々の加熱装置が、従来から知られている。例えば特許文献1には、熱媒であるダウサム(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの登録商標)を用いた加熱装置(特許文献1では一次ヒータと記載)が開示されている。当該加熱装置を用いた糸加工においては、糸を接触させるための接触板(接触部材)が熱媒によって所定の加工温度に加熱される。走行中の糸が接触部材に接触する(接触方式)ことにより、糸が上記加工温度まで加熱される。また、例えば特許文献2に開示された加熱装置(特許文献2では第1加熱装置と記載)においては、熱源であるシーズヒータによって温められた糸走行空間内を糸が走行する。これにより、糸走行空間内の気体によって糸が加熱される(非接触方式)。当該加熱装置を用いた糸加工においては、糸走行空間の温度を上記加工温度よりも高く設定し、且つ、糸の走行速度を適切に設定することにより、糸走行空間を通過する糸が加工温度と略等しい温度に加熱される。また、例えば特許文献3においては、シーズヒータを熱源とする加熱装置において、接触方式と非接触方式との間で加熱方式を切り換える手段が提案されている。
特開2005-68573号公報 特開2011-47074号公報 特開2002-194631号公報
一般的に、接触方式においては、加熱温度(接触部材の設定温度)を低くすることが推奨されている(例えば、特許文献3においては225℃以下)。また、非接触方式においては、加熱温度(糸走行空間の設定温度)を高くすることが推奨されている(例えば、特許文献3においては420℃以上)。この理由について、本願発明者は以下の見解を有している。加熱温度がある範囲(以下、説明の便宜上、ミドルレンジと称する)の内側に収まっている場合、断糸が生じて糸が正常に走行できなくなると、糸が加熱装置内で融解して加熱装置に付着してしまう(融着)。このような付着物を除去するためには、加熱装置を長時間停止させる必要が生じる。なお、設定温度が十分高ければ、断糸が生じたときに糸は容易に昇華するため、融着の問題は回避される。このため、従来は、加熱温度は、接触方式においてはミドルレンジの温度よりも低く設定され、非接触方式においてはミドルレンジの温度よりも高く設定されてきた。一方で、近年は、加熱効率がより高い糸加工方法及び糸加工機の提供が求められている。
本発明の目的は、糸を加熱装置によって加熱しつつ加工する際に、断糸が発生したときの融着のリスクを回避しつつ、加熱効率を高めることである。
第1の発明の加工糸の製造方法は、合成繊維からなる走行中の糸を加熱装置によって加熱する工程を有する加工糸の製造方法であって、前記加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部と、を備えるものであり、前記加熱部は、少なくとも所定の延在方向に延びた、前記走行中の糸を接触させるための接触面を有するものであり、前記接触面を少なくとも下側に向け、鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、前記接触面の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まるように前記加熱装置を配置し、前記接触面の温度を230℃以上350℃以下の所定温度に設定した状態で、前記糸を前記接触面に接触させながら走行させることを特徴とする。
本発明では、230℃以上350℃以下の温度範囲をミドルレンジと称する。一般的に、加熱温度が350℃以下の場合、融着のリスクがあると考えられている。しかし、本願発明者は、接触方式を採用し、融着の問題を回避しつつ加熱温度をミドルレンジ内の温度に設定すれば、糸をより効率的に加熱できると考えた。つまり、従来の接触方式と比べた場合、加熱温度をより高く設定できるので、当然に加熱効率を高めることができる。また、従来の非接触式の加熱装置と比べた場合、加熱温度が低くても、接触面により糸を効率的に加熱できる(つまり、加熱効率を高めることができる)。
本発明では、糸が正常に走行している状態(通常状態)においては、接触面の温度(加熱温度)がミドルレンジ内の所定温度であっても、糸の種類、糸の銘柄(太さ)、糸の走行速度及び加熱温度を適切に設定することにより、糸を最適な加工温度に加熱できる(融着の問題を回避できる)。また、接触面が少なくとも下側を向いており、且つ、接触面の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まっている(傾き角度の定義の詳細については、後述の実施形態において説明する)。これにより、断糸が発生したときには、糸を自重で接触面から速やかに離れさせることができる。これにより、断糸が発生しても糸の融解を回避できる。
第2の発明の加工糸の製造方法は、前記第1の発明において、前記糸の材料は、ポリエステルであり、前記所定温度は、250℃以上350℃以下であることを特徴とする。
ポリエステルにおいては、加熱温度が250℃以上になると、融着が発生する可能性が特に高まる。このような加熱温度において、本発明によって融着を回避できることは特に有効である。
第3の発明の加工糸の製造方法は、前記第1の発明において、前記糸の材料は、ナイロン6であり、前記所定温度は、230℃以上350℃以下であることを特徴とする。
ナイロン6においては、加熱温度が230℃以上になると、融着が発生する可能性が特に高まる。このような加熱温度において、本発明によって融着を回避できることは特に有効である。
第4の発明の加工糸の製造方法は、前記第1の発明において、前記糸の材料は、ナイロン66であり、前記所定温度は、260℃以上350℃以下であることを特徴とする。
ナイロン66においては、加熱温度が260℃以上になると、融着が発生する可能性が特に高まる。このような加熱温度において、本発明によって融着を回避できることは特に有効である。
第5の発明の加工糸の製造方法は、前記第1~第4のいずれかの発明において、前記所定温度は、320℃以下であることを特徴とする。
加熱温度が350℃又はその近傍の温度である場合に、糸の種類及び/又は太さ、或いは糸走行速度等の条件によっては、融着が発生しやすくなるおそれもある。本発明では、加熱温度を320℃以下に設定することにより、より確実に融着を回避できる。
第6の発明の加工糸の製造方法は、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記熱源として電熱ヒータを用いることを特徴とする。
一般的に、熱源として、熱媒を用いて接触面を加熱するものと、電熱ヒータによりジュール熱を生成して接触面を加熱するものとが存在する。熱媒を用いる熱源では、一般的に熱媒の温度上昇に限界があり、接触面の温度を高くすることが難しい。本発明では、電熱ヒータを用いることにより、接触面の温度を容易に高くすることができる。
第7の発明の加工糸の製造方法は、前記第6の発明において、前記加熱装置の前記延在方向における長さは、0.4m以上1.6m以下であることを特徴とする。
本発明では、延在方向において適切な長さを有する加熱装置を用いることで、様々な糸の種類及び/又は太さ、或いは糸走行速度等の条件に対応することができる。
第8の発明の糸加工機は、合成繊維からなる走行中の糸を加熱する加熱装置を有する糸加工機であって、前記加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部と、前記熱源を制御する制御部と、を備え、前記加熱部は、少なくとも所定の延在方向に延びた、前記走行中の糸を接触させるための接触面を有し、前記接触面は、少なくとも下側を向いており、鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、前記接触面の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まるように前記加熱装置が配置されており、前記制御部は、前記糸が前記接触面に接触しながら走行しているとき、前記接触面の温度が230℃以上350℃以下の所定温度になるように前記熱源を制御することを特徴とする。
本発明では、第1の発明と同様に、断糸が発生したときの融着のリスクを回避できる。
第9の発明の糸加工機は、前記第8の発明において、前記糸の材料は、ポリエステルであり、前記所定温度は、250℃以上350℃以下であることを特徴とする。
本発明では、第2の発明と同様に、ポリエステルにおいて融着のリスクを回避できる。
第10の発明の糸加工機は、前記第8の発明において、前記糸の材料は、ナイロン6であり、前記所定温度は、230℃以上350℃以下であることを特徴とする。
本発明では、第3の発明と同様に、ナイロン6において融着のリスクを回避できる。
第11の発明の糸加工機は、前記第8の発明において、前記糸の材料は、ナイロン66であり、前記所定温度は、260℃以上350℃以下であることを特徴とする。
本発明では、第4の発明と同様に、ナイロン66において融着のリスクを回避できる。
第12の発明の糸加工機は、前記第8~第11のいずれかの発明において、前記熱源は、電熱ヒータを有することを特徴とする。
本発明では、第6の発明と同様に、接触面の温度を容易に高くすることができる。
第13の発明の糸加工機は、前記第12の発明において、前記加熱装置の前記延在方向における長さは、0.4m以上1.6m以下であることを特徴とする。
本発明では、第7の発明と同様に、延在方向において適切な長さを有する加熱装置を用いることで、様々な糸の種類及び/又は太さ、或いは糸走行速度等の条件に対応することができる。
本実施形態の加工糸の製造方法を実施するための仮撚加工機の側面図である。 糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。 (a)~(d)は、第1加熱装置を示す説明図である。 接触面の水平方向に対する傾き角度の定義を示す説明図である。 (a)、(b)は、接触面の水平方向に対する傾き角度の限度を示す説明図である。 各種加熱装置を用いて所定太さの糸を仮撚加工した場合の、捲縮率と加熱温度との関係を示すグラフである。
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。機台長手方向及び機台幅方向は、水平方向と略平行な方向である。
(仮撚加工機の全体構成)
まず、本実施形態の加工糸の製造方法を実施するための仮撚加工機1(本発明の糸加工機)の全体構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、仮撚加工機1の側面図である。図2は、糸Yの経路(糸道)に沿って仮撚加工機1を展開した模式図である。
仮撚加工機1は、合成繊維(例えばポリエステル)からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。糸Yは、例えば複数のフィラメントからなるマルチフィラメント糸である。或いは、糸Yは、1本のフィラメントによって構成されていても良い。仮撚加工機1は、給糸部2と、加工部3と、巻取部4とを備える。給糸部2は、糸Yを供給可能に構成されている。加工部3は、給糸部2から糸Yを引き出して仮撚加工するように構成されている。巻取部4は、加工部3によって加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取るように構成されている。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、機台長手方向において複数配列されている(図2参照)。機台長手方向は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道によって形成される、糸Yの走行面(図1の紙面)と直交する方向である。
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド7を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸部2から複数の糸Yを引き出して加工するように構成されている。加工部3は、糸走行方向における上流側から順に、例えば、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13(本発明の加熱装置)、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延びるように設けられている。主機台8及び巻取台9は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。仮撚加工機1は、1組の主機台8及び巻取台9を含む、スパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンにおいては、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。仮撚加工機1は、このスパンが、主機台8の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている(主機台8は、左右のスパンで共通のものとなっている)。また、複数のスパンが、機台長手方向に配列されている。
(加工部の構成)
加工部3の構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを第1加熱装置13へ送るように構成されている。或いは、第1フィードローラ11は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを所定の加工温度に加熱するための装置である。第1加熱装置13は、例えば、図2に示すように、2本の糸Yを加熱可能に構成されている。第1加熱装置13のより詳細については後述する。
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを冷却するように構成されている。或いは、冷却装置14は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側に配置され、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを交絡装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸仮撚される。
交絡装置17は、糸Yに交絡を付与するように構成されている。交絡装置17は、例えば、空気流によって糸Yに交絡を付与する公知のインターレースノズルを有する。
第3フィードローラ18は、交絡装置17よりも糸走行方向における下流側を走行している糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。或いは、第3フィードローラ18は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。なお、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置19は、鉛直方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって加熱された糸Yを巻取装置21へ送るように構成されている。第4フィードローラ20は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを巻取装置21へ送ることが可能に構成されている。或いは、第4フィードローラ20は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15よりも糸走行方向下流側では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって糸Yが波状に仮撚りされた状態が維持される(すなわち、糸Yの捲縮が維持される)。
仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与された後、糸走行方向下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱処理される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yは、巻取装置21によって巻き取られる。
(巻取部の構成)
巻取部4の構成について、図2を参照しつつ説明する。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、1つの巻取ボビンBwに糸Yを巻取可能に構成されている。巻取装置21は、支点ガイド41と、トラバース装置42と、クレードル43とを有する。支点ガイド41は、糸Yが綾振りされる際の支点となるガイドである。トラバース装置42は、トラバースガイド45によって糸Yを綾振りすることが可能に構成されている。クレードル43は、巻取ボビンBwを回転自在に支持するように構成されている。クレードル43の近傍には、接触ローラ46が配置されている。接触ローラ46は、巻取パッケージPwの表面に接触して接圧を付与する。以上のように構成された巻取部4では、上述した第4フィードローラ20から送られた糸Yが各巻取装置21によって巻取ボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
(第1加熱装置)
次に、第1加熱装置13のより具体的な構成について、図3(a)~(d)を参照しつつ説明する。図3(a)は、第1加熱装置13を機台長手方向から見た図であり、且つ、第1加熱装置13が延びる方向(後述の延在方向)が紙面左右方向を向くように第1加熱装置13を記載した図である。図3(b)は、図3(a)のAb-Ab線断面図である。図3(c)は、図3(b)のAc-Ac線断面図である。図3(d)は、図3(b)のAd-Ad線断面図である。機台長手方向及び延在方向の両方と直交する方向を高さ方向とする(図3(b)参照)。図3(a)~(d)において、紙面左側を延在方向における一方側とし、紙面右側を延在方向における他方側とする。延在方向における一方側は、例えば糸走行方向における上流側であっても良いが、これには限られない。図3(a)~(d)において、紙面上側を高さ方向における一方側とし、紙面下側を高さ方向における他方側とする。
第1加熱装置13は、走行する糸Yを加熱するように構成されている。本実施形態では、第1加熱装置13は、例えば2本の糸Y(糸Ya、Yb。図3(b)参照))を加熱可能に構成されている。第1加熱装置13は、機台長手方向と直交する所定の延在方向に延びている(図3(a)等参照)。第1加熱装置13の延在方向における長さは、0.4m以上1.6m以下であると良い。或いは、第1加熱装置13の延在方向における長さは、例えば1.0m以上1.5m以下であっても良い。糸の種類及び/又は太さ、或いは糸走行速度等の条件に応じて、延在方向において適切な長さを有する第1加熱装置13が選定されていると良い。第1加熱装置13は、熱源51と、加熱部52とを有する。第1加熱装置13は、熱源51によって加熱された加熱部52に走行中の糸Ya、Ybを接触させることによって、糸Ya、Ybを同時に加熱する。
熱源51は、例えば公知のシーズヒータ(電熱ヒータ)である。シーズヒータは、電熱線(例えばコイル)と、電熱線を囲むパイプとを有する装置である。シーズヒータは、電熱線に電流が流れているときにジュール熱を発生させる。熱源51は、延在方向に沿って延びている(図3(a)、(c)参照)。熱源51は、第1加熱装置13の加熱温度を制御する制御装置100(図3(a)参照。本発明の制御部)と電気的に接続されている。制御装置100は、第1加熱装置13の加熱温度を設定可能に構成されている。制御装置100は、第1加熱装置13の設定された温度の値に基づいて第1加熱装置13を制御する。制御装置100は、例えば、第1加熱装置13の上記設定温度と、加熱部52の実際の温度を検知する温度センサ(不図示)による検知結果と、を考慮して第1加熱装置13を制御しても良い。制御装置100は、第1加熱装置13の他にも、仮撚加工機1を構成する装置と電気的に接続されていても良い。
加熱部52は、熱源51が生成する熱によって加熱されるように構成されている。加熱部52は、熱源51に沿って延在方向に延びている(図3(a)参照)。延在方向において、加熱部52は、第1加熱装置13の延在方向における長さと略同じ長さを有している。例えば、第1加熱装置13の延在方向における長さが1.0mである場合、加熱部52の延在方向における長さも1.0mである。加熱部52は、例えば、2つの加熱部材53(加熱部材53a、53b)と、2つの接触ブロック54(接触ブロック54a、54b)とを有する。加熱部材53a及び接触ブロック54aは、糸Yaを加熱するための部材である。加熱部材53b及び接触ブロック54bは、糸Ybを加熱するための部材である。糸Yaを加熱するための部材と糸Ybを加熱するための部材は、例えば、機台長手方向において、熱源51を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。
糸Yaを加熱するための部材について説明する。加熱部材53aは、例えば、黄銅などの比熱が大きい金属材料によって構成されている。加熱部材53aは、熱源51に沿って延在方向に延びている。加熱部材53aは、熱源51に接触するように配置されている。加熱部材53aは、例えば、熱源51の機台長手方向における一方側(図3(b)の紙面左側)に配置されている。加熱部材53aは、例えば、延在方向に延びた、糸道を形成するためのスリット55(スリット55a)を有する。スリット55aは、延在方向と直交する断面において逆U字状のスリットである。スリット55aは、高さ方向における他方側が開口している。スリット55a内には、接触ブロック54(接触ブロック54a)が収容されている。
接触ブロック54aは、糸Yaが走行するための糸道を形成している部材である。接触ブロック54aは、例えばSUS製の長尺の部材である。接触ブロック54aは、少なくとも延在方向に延びている。接触ブロック54aは、スリット55a内に収容されている。接触ブロック54aは、加熱部材53aと接触した状態で加熱部材53aに固定されている。接触ブロック54aは、加熱部材53aを介して熱源51から伝わる熱によって昇温される。接触ブロック54aは、糸Yを接触させるための接触面56(接触面56a)を有する。接触面56aは、少なくとも高さ方向における他方側を向いている。接触面56aは、機台長手方向と直交する断面において、例えば略U字状に湾曲している(図3(d)参照)。接触面56aは、延在方向から見たときに、例えば逆U字状に湾曲している(図3(b)参照)。
また、糸Ybを加熱するための部材について説明する。加熱部材53bは、例えば、熱源51の機台長手方向における他方側(図3(b)の紙面右側)に配置されている。加熱部材53bは、熱源51と接触している。加熱部材53bは、スリット55aと同様の形状のスリット55bを有する。スリット55b内には、接触ブロック54aと同様の構造の接触ブロック54bが収容されている。接触ブロック54bは、接触面56aと同様の形状の接触面56bを有する。接触面56bは、少なくとも高さ方向における他方側を向いている。さらなる詳細については省略する。
ここで、糸Yが正常に走行している状態(以下、通常状態)において、糸Yが接触面56に確実に接触するように、第1加熱装置13と撚止ガイド12との位置関係及び第1加熱装置13と冷却装置14との位置関係が適切に設定されている。これにより、接触面56に沿って走行している糸Yに対して、少なくとも高さ方向において接触面56側への力が加えられる。したがって、通常状態においては、糸Yが接触面56から離れてしまうことが防止される。
以上の構成を有する第1加熱装置13においては、通常状態で、糸Yは、走行しながら接触面56と接触することにより、接触面56を介して加熱部52から熱を受け取る(接触方式)。これにより、糸Yが加熱される。糸Yの種類、糸Yの銘柄(太さ)、糸Yの走行速度及び第1加熱装置13の加熱温度を適切に設定することにより、糸Yの温度を最適な加工温度にすることができる。第1加熱装置13においては、加熱温度と加工温度は必ずしも一致しない。加熱温度は、加工温度の目標値よりも高く設定されることが多い。
ここで、従来は、第1加熱装置13の加熱温度をある範囲(以下、ミドルレンジと称する)の内側に収まるように設定することが避けられてきた。その理由は、第1加熱装置13の加熱温度がミドルレンジ内の温度に設定されている場合、断糸が生じて糸Yが正常に走行できなくなると、糸Yが装置に融着してしまうおそれがあるためである。一方で、近年は、加熱効率がより高い糸加工方法及び糸加工機の提供が求められている。そこで、糸を加熱装置によって加熱しつつ加工する際に、断糸が発生したときの融着のリスクを回避しつつ、加熱効率を高めるために、第1加熱装置13は以下のように構成されている。
(第1加熱装置の構成及び配置)
第1加熱装置13の構成及び配置について、図3(a)~図5(b)を参照しつつ、より具体的に説明する。図4は、接触面56の水平方向に対する傾き角度の定義を示す説明図である。図5(a)、(b)は、接触面56の水平方向に対する傾き角度の限度を示す説明図である。
まず、第1加熱装置13の加熱温度(接触面56の設定温度)は、少なくともミドルレンジ(例えば、本実施形態では230~350℃)内の任意の温度に設定されることが可能である。第1加熱装置13においては、さらに、加熱温度が230℃よりも低い温度に設定されることが可能であっても良い。また、第1加熱装置13においては、さらに、加熱温度が350℃よりも高い温度に設定されることが可能であっても良い。
上述したように、第1加熱装置13の接触ブロック54は、接触面56を有する。図3(b)、(d)に示すように、接触面56の高さ方向における他方側の(より正確には、下側の)空間が開放されている。「開放されている」とは、第1加熱装置13において、接触面56の下側への延長線上に部材が配置されておらず、断糸時に糸Yが自重で第1加熱装置13から脱落可能な空間が形成されていることを意味する。
また、例えば図3(d)及び図4に示すように、機台長手方向に直交する断面(言い換えると、上下方向及び延在方向の両方と平行な断面)において、接触面56は逆U字状に湾曲している。より詳しくは、接触面56の延在方向における中央部(図4に示す点P0の近傍部分)は、延在方向と略平行である。接触面56の延在方向における外側部分は、延在方向に対して傾いている。接触面56の延在方向における一方側の端(図4に示す点P1)の近傍部分及び他方側の端(図4に示す点P2)の近傍部分が、延在方向に対して最も大きく傾いている。例えば、延在方向が水平方向と略平行になるように第1加熱装置13が配置されているとき(図4参照)、機台長手方向と直交する断面において、点P0の近傍部分が水平方向と略平行である。また、このとき、点P1の近傍部分及び点P2の近傍部分が水平方向に対して大きく傾いている。
図4に示すように、機台長手方向と直交する断面において、点P1の近傍部分の水平方向に対する傾き角度を角度θ1とする。また、当該断面において、点P2の近傍部分の水平方向に対する傾き角度を角度θ2とする。以下、角度θ1、θ2の詳細な定義について説明する。角度θ1は、機台長手方向と直交する断面において、接触面56の点P1を通る接線のうち延在方向における一方側の部分(接線T1)と、機台幅方向に沿って延びる略水平な直線L1とのなす角度である。接線T1が直線L1よりも上側に位置しているとき(図4及び図5(a)参照)、角度θ1は正の値を有するものとする。接線T1が直線L1よりも下側に位置しているとき(図5(b)参照)、角度θ1は負の値を有するものとする。角度θ2は、機台長手方向と直交する断面において、接触面56の点P2を通る接線のうち延在方向における一方側の部分(接線T2)と、機台幅方向に沿って延びる略水平な直線L2とのなす角度である。接線T2が直線L2よりも上側に位置しているとき(図5(a)参照)、角度θ2は正の値を有するものとする。接線T2が直線L2よりも下側に位置しているとき(図4及び図5(b)参照)、角度θ2は負の値を有するものとする。機台長手方向と直交する断面において、接触面56の、点P1と点P2との間の部分の水平方向に対する傾き角度は、角度θ1と角度θ2との間の値を有する。
本実施形態において、接触面56の水平方向に対する傾き角度は、-60~+60°の間に収まっている。より具体的には、接触面56の点P1から点P2に亘る全ての部分(つまり、接触面56の延在方向における全ての部分)の傾き角度が、水平方向に対して-60~+60°の間に収まっている。本実施形態では、角度θ1及び角度θ2の両方が-60~+60°の間に収まっているとき、接触面56全体の水平方向に対する傾き角度は、-60~+60°の間に収まっている。
以上のように、第1加熱装置13において接触面56の下側(真下)の空間が開放されており、且つ、機台長手方向と直交する断面において、接触面56の水平方向に対する傾き角度が所定の範囲に収まっている。このため、仮撚加工機1の稼働中に断糸が生じたとき、糸Yを自重で速やかに接触面56から離れさせ、さらには、第1加熱装置13から糸Yを脱落させることが可能になる。このため、第1加熱装置13における設定温度がミドルレンジ内の温度であっても、断糸時に融着が生じることを回避できる。本実施形態では、ミドルレンジは、従来において設定することが避けられてきた、230℃以上350℃以下の温度範囲である。
(加工糸の製造方法)
次に、本実施形態における加工糸の製造方法(具体的には、第1加熱装置13によって糸Yを加熱する工程を有する、加工糸の製造方法)について説明する。本実施形態では、上述したように、第1加熱装置13において接触面56を少なくとも下側に向ける。また、機台長手方向と直交する断面(上下方向及び延在方向の両方と平行な断面)において、接触面56の水平方向に対する傾き角度を-60~+60°の間に収める。また、接触面56の温度(加熱温度)を230℃以上350℃以下の所定温度に設定する。この状態で、糸Yを接触面56に接触させながら走行させる。以上の方法によって糸Yを加熱することで、何らかの原因で断糸が発生しても、糸Yを速やかに接触面56から離れさせることができる。したがって、断糸時に糸Yの融着を回避でき、糸Yの第1加熱装置13への付着を回避できる。
加熱される糸Yの太さは、どのような太さでも良い。なお、加熱される糸Yが太い場合、接触方式は特に有効である。接触方式においては、太い糸Y(例えば80dtex以上)が加熱される場合でも、接触面56を介して糸Yに熱をしっかり伝えることができる。したがって、糸Yをその径方向において均一に温めることができる。
(従来の製造方法との比較)
次に、従来の製造方法との比較について、図6を参照しつつ説明する。本願発明者は、本実施形態の第1加熱装置13を用いた加工糸の製造方法によって、従来の他の加熱装置(不図示)を第1加熱装置13の代わりに用いた場合と同様の糸品質が得られるかどうか、以下のとおり実際に評価した。
図6は、後述する3種類の加熱装置を用いて所定太さの糸Yを仮撚加工した場合の、糸Yの捲縮率(Crimp Contraction)と加熱温度との関係を示すグラフである。横軸が加熱温度を示し、縦軸が捲縮率を示している。図6においては、167dtex(48フィラメント)の糸Yが加熱された場合の捲縮率と加熱温度との関係が示されている。評価に用いられた糸Yの材料(糸材料)は、ポリエステルである。参考として、ポリエステルの融点は255~260℃である。一般的に、仮撚加工において、第1加熱装置13によるポリエステルの好ましい加工温度は、約180~200℃である。また、評価に用いられた、糸Yの走行速度(加工速度)は800m/minである。なお、捲縮率と加熱温度との関係は、糸Yの走行速度を変更する(すなわち、走行中の糸Yが第1加熱装置13によって加熱される時間を変更する)ことにより、適宜調整することも可能である。
3種類の加熱装置の概要について説明する。第1の種類の加熱装置(図6における「シーズヒータ(接触)1.0m」)は、上述した第1加熱装置13と同様の構造を有する加熱装置である。「シーズヒータ」は、熱源の種類を示す。「接触」は、接触方式が採用されていることを示す。「1.0m」は、加熱装置の延在方向における長さが1.0mであることを示す(以下、第2及び第3の種類の加熱装置において同様である)。第1の種類の加熱装置における加熱温度と捲縮率との関係は、図6において、塗りつぶされた円形のマーカーで示されている。第2の種類の加熱装置(図6における「熱媒(接触)2.0m」)は、公知の熱媒であるダウサムを用いた公知の接触方式の加熱装置である。第2の種類の加熱装置は、いわゆるダウサムヒータとして知られている。第2の加熱装置における加熱温度は、糸Yの実際の加工温度と略等しい。第2の種類の加熱装置における加熱温度と捲縮率との関係は、図6において、塗りつぶされた正方形のマーカーで示されている。第3の種類の加熱装置(図6における「シーズヒータ(非接触)1.0m」)は、上述した第1加熱装置13と概ね同じ構造を有する加熱装置である。第3の種類の加熱装置においては、第1加熱装置13における接触ブロック54の代わりに、例えば特開平9-291428号公報に記載のスリットガイドが設けられている。第3の種類の加熱装置は、公知の非接触方式の(主に、加熱部52によって温められた空気の熱を利用して糸Yを加熱する)加熱装置である。第3の種類の加熱装置における加熱温度と捲縮率との関係は、図6において、塗りつぶされた三角形のマーカーで示されている。
なお、上記第2の種類の加熱装置(ダウサムヒータ)及び上記第3の種類の加熱装置(非接触方式の加熱装置)の沿革について簡単に説明する。従来は、上述したダウサムヒータが広く使用されてきた。しかしながら、ダウサムヒータは、加熱温度の上昇に限界があるため、加熱される糸が太くなると装置が大型化し、又は糸Yの走行速度を下げる必要が生じるという問題を有している。また、ダウサムヒータは、一般的に放熱部の面積が広いため、加熱温度を維持するための消費電力が大きいという問題も有している。その後、シーズヒータを熱源として備える加熱装置が製造された。これにより、加熱温度を上昇させやすく装置の小型化を図ることができ、且つ放熱部の面積を小さくすることで消費電力の増大を抑制できる。ただし、上述した融着の問題を回避するため、当該加熱装置においては加熱温度が十分に高く設定され、且つ、糸Yを加熱し過ぎないように非接触方式が採用される必要があったと本願発明者は考察している。
上述した第1の種類の加熱装置(本実施形態の第1加熱装置13)においては、加熱温度を約250~290℃(図6に示す実線の枠内)に設定することにより、上述した第2の種類の加熱装置(ダウサムヒータ)において加熱温度を約180~200℃(図6に示す破線の枠内)に設定した場合とほぼ同等の捲縮率が得られた。また、この捲縮率は、上述した従来の第3の種類の加熱装置(シーズヒータ且つ非接触方式)において加熱温度を約420~460℃(図6に示す一点鎖線の枠内)に設定した場合に得られた捲縮率とほぼ同等である。なお、上述した評価結果は、あくまで、3種類の加熱装置において、特定の種類及び特定の太さの糸を特定の走行速度で走行させたときの糸物性の比較結果である。したがって、この評価結果は、第1加熱装置13の加熱温度が約250~290℃に限定されることを示すものではないことに留意されたい。
以上のように、第1加熱装置13と同様の構成を有する第1の種類の加熱装置を用いた場合に、従来の第2及び第3の種類の加熱装置を用いた場合と同様の糸品質が得られることが分かった。接触方式を採用し、且つ、加熱温度をミドルレンジに設定することにより、例えば下記のような利点が得られる。第1加熱装置13は、第2の種類の加熱装置(ダウサムヒータ)と比較して加熱温度を高くすることができるため、装置のコンパクト化及び/又は加熱効率の向上を図ることができる。また、第1加熱装置13は、第3の種類の加熱装置(非接触方式)と比較して加熱温度を低くすることができるため、熱源51の消費電力を低減できる。また、接触面56を有する第1加熱装置13においては、接触面56を介して糸Yに効果的に熱を伝えることができる。したがって、太い糸Yを加熱する場合でも、糸Yの径方向における外側部分及び内側部分を均一に加熱できる。
以上のように、通常状態においては、接触面56の温度(加熱温度)がミドルレンジ内であっても、糸の種類、糸の銘柄(太さ)、糸の走行速度及び加熱温度を適切に設定することにより、糸を最適な加工温度に加熱できる(融着の問題を回避できる)。また、接触面56が少なくとも下側を向いており、且つ、接触面56の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まっている。これにより、断糸が発生したときには、糸Yを自重で接触面56から速やかに離れさせることができる。これにより、断糸が発生しても糸Yの融解を回避できる。したがって、断糸が発生したときの融着のリスクを回避しつつ、加熱効率を高めることができる。また、接触方式を採用し且つ加熱温度をミドルレンジ内に設定することにより、上述したように、装置のコンパクト化及び/又は消費電力の低減を図ることができる。
また、本実施形態では、電熱ヒータであるシーズヒータを熱源51として用いることにより、接触面56の温度を糸材料の融点以上に容易に上げることができる。
また、第1加熱装置13の延在方向における長さは、0.4m以上1.6m以下である。延在方向において適切な長さを有する第1加熱装置13を用いることで、様々な糸Yの種類及び/又は太さ、或いは糸走行速度等の条件に対応することができる。
具体的には、例えば仮撚装置15が公知のPINタイプの仮撚装置であるとき、加工速度は50~100m/minである。このように加工速度が低いときには、第1加熱装置13は、延在方向において短いと良い(0.4m)。なお、このような加工速度の条件において、上述したダウサムヒータを用いて糸Yを加熱する場合、ダウサムヒータの延在方向における長さは、例えば1.0~1.2mである。また、例えばナイロン6製、ナイロン66製又はポリエステル製の産業資材用の太い糸Yを加熱する場合、第1加熱装置13は、延在方向において長いと良い(1.6m)。このときの加工速度は600~800m/minである。なお、このような加工速度の条件において、上述したダウサムヒータを用いて糸Yを加熱する場合、ダウサムヒータの延在方向における長さは、例えば2.0~2.5mである。
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
(1)前記実施形態においては、第1加熱装置13において、接触面56の下側(真下)の空間が常に開放されているものとした。しかしながら、これには限られない。第1加熱装置13の高さ方向における他方側の端部には、例えば、糸Yが走行する糸走行空間に外気が入り込むことを抑制するための、開閉可能又は着脱可能なカバー(不図示)が設けられていても良い。このような場合でも、断糸時に糸Yを接触面56から速やかに離れさせることができるので、融着の問題を回避できる。
(2)糸Yの糸材料は、上述したものに限られない。例えば、糸材料としてナイロン6又はナイロン66等が用いられても良い。
(3)前記までの実施形態において、ミドルレンジは230℃以上350℃以下の温度範囲であるものとした。しかしながら、これには限られない。ミドルレンジの下限値は、例えば糸材料の種類及び糸材料ごとの融着が発生する可能性が高まる温度に応じて変えても良い。例えば、ポリエステルの融着が発生する可能性が高まる温度は約250℃以上である。したがって、例えばポリエステルにおいて、ミドルレンジの下限値は250℃であっても良く、250℃よりも高くても良い。また、ナイロン6の融着が発生する可能性が高まる温度は約230℃以上である。したがって、ナイロン6において、ミドルレンジの下限値は230℃であっても良く、230℃よりも高くても良い。また、ナイロン66の融着が発生する可能性が高まる温度は約260℃以上である。したがって、ナイロン66において、ミドルレンジの下限値は260℃であっても良く、260℃よりも高くても良い。また、第1加熱装置13の加熱温度が350℃又はその近傍の温度である場合に、糸Yの種類及び/又は太さ、或いは糸走行速度等の条件によっては、融着が発生しやすくなるおそれもある。そのため、ミドルレンジの上限値は、例えば320℃であっても良い。これにより、より確実に融着を回避できる。第1加熱装置13の加熱温度は、以上のような範囲内に収まる所定温度であっても良い。
(4)前記までの実施形態においては、接触面56を有する部材として接触ブロック54が設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。接触ブロック54の代わりに、例えば、延在方向から見たときに逆U字状になるように板金加工されたSUSプレート(不図示)が、スリット55内に収容されていても良い(例えば、特開2002-194631号公報参照)。このようなSUSプレートに接触面(不図示)が形成されていても良い。
(5)前記までの実施形態においては、機台長手方向と直交する断面において、接触面56が湾曲しているものとした。しかしながら、これには限られない。接触面56は、機台長手方向と直交する断面において、例えば略直線状であっても良い。
(6)前記までの実施形態において、接触ブロック54がスリット55内に収容されており、スリット55は、高さ方向における他方側が開口しているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、延在方向から見たときに、加熱部材53の高さ方向における他方側における端の位置と、接触面56の高さ方向における端の位置とが略同じであっても良い。この場合でも、接触面56の下側(真下)の空間が開放されていると言える。
(7)前記までの実施形態においては、シーズヒータによって加熱部52を加熱する第1加熱装置13が仮撚加工機1に設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。第1加熱装置13の代わりに、上述したダウサムヒータが仮撚加工機1に設けられていても良い。例えば、低い融点を有する糸材料が存在する場合に、ダウサムヒータにおいて、上述したような加工方法(加工糸の製造方法)を実施しても良い。
(8)前記までの実施形態においては、第1加熱装置13が2本の糸Yを加熱可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。第1加熱装置13は、1本の糸Yを加熱可能に構成されていても良い。或いは、第1加熱装置13は、3本以上の糸Yを加熱可能に構成されていても良い。
(9)本発明は、仮撚加工機1に限らず、他の構成を有する公知の仮撚加工機(不図示)にも適用可能である。例えば、本発明は、特開2009-74219号公報に記載の仮撚加工機(不図示)に適用されても良い。当該仮撚加工機は、2本の糸を合糸して1本の糸を形成することが可能に構成されている。当該仮撚加工機は、合糸された1本の糸又は合糸されていない2本の糸を単一のクレードルに巻き取ることが可能に構成されている。例として、このような仮撚加工機に本発明が適用されても良い。或いは、本発明は、仮撚加工機の他に、例えば公知のエア加工機(不図示)等、糸(不図示)を走行させながら加工する糸加工機にも適用可能である。
1 仮撚加工機(糸加工機)
13 第1加熱装置(加熱装置)
51 熱源
52 加熱部
56 接触面
100 制御装置(制御部)
Y 糸
θ1 角度
θ2 角度

Claims (13)

  1. 合成繊維からなる走行中の糸を加熱装置によって加熱する工程を有する加工糸の製造方法であって、
    前記加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部と、を備えるものであり、
    前記加熱部は、少なくとも所定の延在方向に延びた、前記走行中の糸を接触させるための接触面を有するものであり、
    前記接触面を少なくとも下側に向け、
    鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、前記接触面の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まるように前記加熱装置を配置し、
    前記接触面の温度を230℃以上350℃以下の所定温度に設定した状態で、前記糸を前記接触面に接触させながら走行させることを特徴とする加工糸の製造方法。
  2. 前記糸の材料は、ポリエステルであり、
    前記所定温度は、250℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の加工糸の製造方法。
  3. 前記糸の材料は、ナイロン6であり、
    前記所定温度は、230℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の加工糸の製造方法。
  4. 前記糸の材料は、ナイロン66であり、
    前記所定温度は、260℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の加工糸の製造方法。
  5. 前記所定温度は、320℃以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の加工糸の製造方法。
  6. 前記熱源として電熱ヒータを用いることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の加工糸の製造方法。
  7. 前記加熱装置の前記延在方向における長さは、0.4m以上1.6m以下であることを特徴とする請求項6に記載の加工糸の製造方法。
  8. 合成繊維からなる走行中の糸を加熱する加熱装置を有する糸加工機であって、
    前記加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部と、前記熱源を制御する制御部と、を備え、
    前記加熱部は、少なくとも所定の延在方向に延びた、前記走行中の糸を接触させるための接触面を有し、
    前記接触面は、少なくとも下側を向いており、
    鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、前記接触面の水平方向に対する傾き角度が-60~+60°の間に収まるように前記加熱装置が配置されており、
    前記制御部は、
    前記糸が前記接触面に接触しながら走行しているとき、前記接触面の温度が230℃以上350℃以下の所定温度になるように前記熱源を制御することを特徴とする糸加工機。
  9. 前記糸の材料は、ポリエステルであり、
    前記所定温度は、250℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項8に記載の糸加工機。
  10. 前記糸の材料は、ナイロン6であり、
    前記所定温度は、230℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項8に記載の糸加工機。
  11. 前記糸の材料は、ナイロン66であり、
    前記所定温度は、260℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項8に記載の糸加工機。
  12. 前記熱源は、電熱ヒータを有することを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載の糸加工機。
  13. 前記加熱装置の前記延在方向における長さは、0.4m以上1.6m以下であることを特徴とする請求項12に記載の糸加工機。
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