JP3709523B2

JP3709523B2 - 合成繊維糸条の熱処理装置

Info

Publication number: JP3709523B2
Application number: JP2002265827A
Authority: JP
Inventors: 淳久藤田
Original assignee: Toyo Electric Co Ltd
Current assignee: Toyo Electric Co Ltd
Priority date: 2002-09-11
Filing date: 2002-09-11
Publication date: 2005-10-26
Anticipated expiration: 2022-09-11
Also published as: JP2004100107A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、合成繊維の糸条を熱媒の飽和蒸気の特性を利用して糸条の全長に亘って均一温度で加熱する熱処理装置に関する。さらに述べれば、給糸装置から送られる走行中のポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性合成繊維糸条の延伸及び仮撚り装置を構成する一部分として、他の部分に積み重ねて設置する合成繊維糸条の熱処理装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
熱媒の飽和蒸気の特性を利用する合成繊維糸条の熱処理装置は、その性質上飽和蒸気の密閉容器の下方に熱媒を加熱するボイラを設けなければならないことと、走行中の糸条を所定温度まで加熱するために、その糸条に対向する加熱面の長さをそれに応じた長さにする必要があることから、上記飽和蒸気の密閉容器は必然的に縦長に形成されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
【特許文献１】
特開平１１−９３０２７号公報（図５，６）
【０００４】
また、この熱処理装置は前述の通り、合成繊維糸条の延伸及び仮撚り装置を構成する一部分として他の部分の装置に積み重ねて設置する都合上、上記装置の全体の高さが増加し、それを設置できる高さの建物の取得が困難になる。
【０００５】
この傾向は、上記合成繊維糸条の加熱能力を増加するために、その糸条の給糸速度を高速にする場合、特に著しい。
【０００６】
このような、合成繊維糸条の熱処理装置を設置する建物の高さを低くするために上記飽和蒸気の室を構成する密閉容器全体を横長にして、その加熱面を下向きに設置することも考えられるが、そのようにすると合成繊維の凝縮液が飽和蒸気の密閉容器内における底面の加熱面側に集積するので、飽和蒸気で合成繊維を加熱することが妨げられる。
【０００７】
更にその熱処理装置は該密閉容器を増加する毎にボイラを設けているので、その能力を増大するために密閉容器の数を増加する際はボイラの数もそれに応じて増加しなければならず、その分の費用が増大する。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、熱媒の飽和蒸気の特性を利用した合成繊維糸条の熱処理装置において、それを構成する密閉容器の高さを、該密閉容器の全長より低くして、その熱処理装置を他の装置と一緒に設置する際、それらの各装置全体を設置する建物の高さを低くしてその建物の取得を容易にすることである。
【０００９】
他の目的はその能力を増大するために密閉容器の数を増加する際、該密閉容器内の熱媒を加熱するためのボイラの数をそれに応じて増加しなくても済むようにして、そのためのコストを安価にすることである。
【００１０】
また他の目的は前記加熱器の密閉容器の加熱面に合成繊維の糸条を糸掛けする手作業を容易にすることである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
この発明の合成繊維糸条の熱処理装置は、熱媒液の飽和蒸気を流入する横長密閉容器の一端と熱媒のボイラとを熱媒蒸気と熱媒凝縮液を流す共通の連通管で接続し、その接続部における横長密閉容器の加熱面と該共通の連通管の下側面を同一高さに配置し、各横長密閉容器の加熱面を下方に向けて配置するとともに、その横長密閉容器の一端を他端より低位に配置して密閉容器を傾斜するものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】
この発明の実施に際して最も好ましい形態は、図１〜図６に示す如く、熱媒液１の飽和蒸気２を流入する横長密閉容器３の一端３ａと熱媒のボイラとを熱媒飽和蒸気２と熱媒凝縮液１ｂを流す共通の連通管５で接続し、その接続部における横長密閉容器３の加熱面７と該共通の連通管５の下側面５ａを同一高さに配置し、各横長密閉容器３の加熱面７を下方に向けて配置するとともに、その横長密閉容器３の一端３ａを他端３ｂより低位に配置して横長密閉容器１を傾斜αするものである。
さらに述べれば、前記横長密閉容器３を複数個互いに間隔３ｃを隔てて平行に配設し、それらの横長密閉容器３の各一端３ａを熱媒蒸気と熱媒凝縮液を流す共通の連通管５と別体の連通管５で接続し、その接続部における横長密閉容器３の加熱面７と該共通の連通管５の下側面５ａを図３と図４に示すように同一高さに配置し、また横長密閉容器３の各他端３ｂを互いにヘッダー９で連通するものである。
【００１３】
前記横長密閉容器３は横長方向に対して下向きに凸になるように若干湾曲し、その湾曲した密閉容器３の加熱面７を平面7aで形成して、その加熱面7の長さ方向に沿って熱処理する合成繊維の糸条６を対面するように配置する。
【００１４】
また、ボイラ４内の熱媒液１は従来から広く用いられているダムサム（米国、ダウケミカル社製）及びその他の有機溶媒が用いられ、その熱媒液１内のヒータ１０で加熱されて熱媒液１の飽和蒸気２となって、前記ボイラ４内の飽和蒸気室2aを充満するようになっている。
【００１５】
飽和蒸気室2aに充満している熱媒液１の飽和蒸気２はその飽和蒸気室2aに接続されている上記連通管５を通って、それに接続している密閉容器３およびその他の各密閉容器３内に流入して、その飽和蒸気２の潜熱で密閉容器３の加熱面７に対面している合成繊維の糸条６を所定温度に加熱して熱処理する。
【００１６】
この間における糸条６の加熱に際し、飽和蒸気３の潜熱の消費によって、その飽和蒸気は一定温度を保ちながら液化して凝縮熱媒液となり、密閉容器３の加熱面７の内側に落下し、前記密閉容器３の他端３ｂより低位の一端３ａに向かって流下し、一端３ａに凝縮液層１ｂを形成し、その密閉容器３の一端３ａと同一高さに位置する上記連通管と同一の連通管５の下側面５ａに流れ込み、更に図５に示す如くそれより低い位置にあるボイラ４内の熱媒液１の液面１ａに流れ込み、ここで再びヒータ１０で加熱されて飽和蒸気２になって各密閉容器３内に供給され、前述と同様に走行中の糸条６を継続的に熱処理する。
【００１７】
上記本発明の実施の形態を示す熱処理装置は図１０に示す如く、給糸装置１１から供給される合成繊維の糸条６を前段ヒータ１２で加熱し、冷却プレート１３で冷却し、延伸仮撚り部１４で処理し、続いて後段ヒータ１５で加熱して熱固定し、さらに捲き取り装置１６に捲き取る一連の延伸仮撚り装置１７において、前記前段ヒータ１２として、前記給糸装置１１側の案内ロール１８と冷却プレート１３寄りの案内ロール１９との間の空間２０上に横長の密閉容器３の加熱面７を下方に向けて設置するものである。
【００１８】
この際、該糸条６が本発明の実施の形態の密閉容器３の下向きの加熱面７に沿って横長方向Ａ６に走行する間、その全長に亘って飽和蒸気の潜熱で加熱処理され、その際の加熱処理によって潜熱を失った飽和蒸気は一定温度を保ったままの状態で液化する。
【００１９】
上述のようにこの熱処理装置は、横長の密閉容器３で形成してあるから、これを図１０に示す如く、給糸装置１１と冷却プレート１３との間の空間２０上に水平方向に設けることができるので、図１１，１２に示すような従来の縦長の密閉容器２３を図１３に示す如く該冷却プレート１３上に設置する場合の全体の高さＨ２７と比較して、図１０における延伸仮撚り装置１７全体の高さＨ１７を大幅に低くすることができる。
【００２０】
また、該横長の密閉容器３の加熱面７をその下方に向けているので、本発明の熱処理装置を図１０のように設置した場合は、その加熱面７が空間２０側に開放されることとなり、糸条６を加熱面７に沿って糸掛けする際、及びその糸切れを接続する際、それらの作業者が空間２０側に入り込んで容易に作業することができる。
【００２１】
さらに、密閉容器３の一端３ａをその他端３ｂの高さ位置より低位に配置したので、密閉容器３内の飽和蒸気２で糸条６を加熱した際に生ずる飽和蒸気２の凝縮熱媒液は、密閉容器３の他端３ｂからその一端３ａに向ってその自重で自然に流下して、そこに図２に示すような凝縮熱媒液層１ｂを形成し、それを前記熱媒液の飽和蒸気の通る連通管と同一の連通管５を通ってボイラ４内に流し込ませることができる。
【００２２】
この発明は上記実施の形態の通りであるが、それだけに限定されるものではなく、上記の実施の形態の構造や配置を部分的に変更したり、付加して実施することが可能である。
【００２３】
例えば、図８に示す如く、密閉容器３を横長方向に沿って直線状に形成して、その一端3aを他端3bに対して低位にんるように傾斜αすることも可能である。
【００２４】
又、図１〜図６に示す密閉容器３の加熱面７は平面状に形成されているが、その加熱面７を平面状に形成しないで、図７〜９に示す如く、密閉容器３の加熱面７に下向きに開口した2本の溝7bを突条7cで形成することも可能であり、その場合は、図７及び図８に示す突条7cにおける密閉容器３の一端3a側寄りに前記凝縮層1bが残留するが、その凝縮層1bは飽和蒸気２と直接接触して一定温度を保っている。
【００２５】
さらに、図１及び図７に示す熱処理装置はボイラ４の左右両側に同数の横長密閉容器３及び連通管５を接続しているが、その数は上述のようにしないで左右両側が互いに異なっても差し支えない。
【００２６】
【発明の効果】
この発明の熱処理装置は、複数の横長密閉容器の各一端を連通管を介して接続し、その接続部における横長密閉容器の加熱面と該連通管の下側面を同一高さに配置し、前記連通管の何れかを熱媒液の収容されているボイラの飽和蒸気室と接続し、各横長密閉容器の加熱面を下方に向けて配置するとともに、その横長密閉容器の一端を前記他端より低位に配置して密閉容器を傾斜するので、その熱処理装置を他の装置と一緒に設置する際、それらの各装置全体を設置する建物の建物の高さを低くしてその建物の取得を容易にすることができる。
【００２７】
またこの発明の熱処理装置は、上述の通りであるのでそれを合成繊維の延伸仮撚り装置の上方に設ける際、その密閉容器を横長に設置しても、密閉容器内で凝縮した熱媒液が各横長密閉容器の加熱面の内側に滞留しないで、前記熱媒液の飽和蒸気の通る連通管と同一の連通管５を通ってボイラ内に自然に流下するため、そのボイラ内の熱媒液をその中のヒータで常時加熱することができる。
【００２８】
さらにこの発明の熱処理装置は、上述の通りであるのでその能力を増大するために密閉容器の数を増加する際、その増加する密閉容器を前記ボイラまたは他の密閉容器に前記共通の連通管で連通するだけで、該密閉容器内の熱媒液を加熱するためのボイラの数をそれに応じて増加しなくても済むから、そのためのコストを安価にすることができる。
【００２９】
またこの発明は、横長の密閉容器の加熱面をその下方に向けているので、これを延伸仮撚り装置における他の装置上に設置した際、その加熱面の下方に空間を形成することができるため、前記加熱面に合成繊維の糸条を糸掛けしたり、糸切れ時の接続作業を作業者がその空間に入り込んで容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の実施の形態を示す熱処理装置の斜視図である。
【図２】図１のII−II線部分の断面図である。
【図３】図１のIII−III線部の拡大断面図である。
【図４】図２のIV−IV線部の拡大断面図である。
【図５】図１および２のV−V線部の拡大断面図である。
【図６】図２の他の実施の形態を示す右側面図である。
【図７】図３の他の実施の形態を示す断面図である。
【図８】図７の一部分の拡大断面図である。
【図９】図７に於ける図５に相当する部分の拡大断面図である。
【図１０】この発明の熱処理装置を配置した装置全体の側面図である。
【図１１】従来の熱処理装置の側面図である。
【図１２】図１１の正面図である。
【図１３】従来の装置全体の側面図である。
【符号の説明】
１熱媒液
1a 液面
1b 凝縮層
２熱媒飽和蒸気
2a 飽和蒸気室
３密閉容器
3a 一端
3b 他端
４ボイラ
５連通管
5a 下側面
６合成繊維の糸条
７加熱面
7a 平面
7b 溝
7c 突条
８熱媒液面
９ヘッダ
10 ヒータ
11 給糸装置
12 前段ヒータ
13 冷却プレート
14 延伸仮撚り部
15 後段ヒータ
16 捲き取り装置
17 延伸仮撚り装置

Claims

熱媒液の飽和蒸気を流入する横長密閉容器の一端と熱媒のボイラとを熱媒蒸気と熱媒凝縮液を流す共通の連通管で接続し、その接続部における横長密閉容器の加熱面と該共通の連通管の下側面を同一高さに配置し、各横長密閉容器の加熱面を下方に向けて配置するとともに、その横長密閉容器の一端を他端より低位に配置して密閉容器を傾斜することを特徴とする合成繊維糸条の熱処理装置。
横長密閉容器をその長さ方向に沿って直線状に形成することを特徴とする請求項１記載の合成繊維糸条の熱処理装置。
横長密閉容器をその長さ方向に沿って下向きの凸に湾曲することを特徴とする請求項１記載の合成繊維糸条の熱処理装置。
密閉容器の加熱面を平面で形成することを特徴とする請求項１乃至３の何れか一項に記載の合成繊維糸条の熱処理装置。
密閉容器の加熱面を下向きに開口する横長方向の溝で形成することを特徴とする請求項１乃至３の何れか一項に記載の合成繊維糸条の熱処理装置。
密閉容器の加熱面を下向きに開口する横長方向の複数の溝で形成することを特徴とする請求項１乃至３の何れか一項に記載の合成繊維糸条の熱処理装置。