JP2022187125A - 差込み便器の尻受け装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用者の臀部に常時接する尻パッドで褥瘡が生じることのないようにした差し込み便器の尻受け装置を提供すること。【解決手段】要介護者24の股間にセットするカップ10に、尻パッド15を有する尻受け部48を設け、前記尻パッド15は、前記要介護者24の臀部の組織と前記尻パッド15との間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなり、より詳しくは、前記尻パッド15は、硬度がアスカーCで0~5、より好ましくはアスカーCが0で、厚さが17~25mmのウレタンゲルからなる。【選択図】図1
Description
本発明は、身動きの不自由な要介護者が排泄物処理装置により排尿・排便を自動で処理するときに股間に装着する差込み便器であって、長時間装着しても褥瘡が生じない差込み便器の尻受け装置に関するものである。
身動きの不自由な要介護者(使用者)は排泄物処理装置にて排尿・排便を自動で処理するときに股間に差込み便器を装着するが、従来、差し込み便器に、専用おむつをセットし、要介護者の股間に装着して使用するものが知られている(特許文献1)。
この特許文献1によれば、使用者の臀部を支持する臀部ユニットを備え、この臀部ユニットは、ウレタン樹脂などの硬度がJIS-Aにおいて0~4の第1弾性体と、この第1弾性体の臀部支持面と側面を覆い、前記第1弾性体より硬度が高く、JIS-Aにおいて15~25の第2弾性体からなるものである。
このような構成により、第2弾性体の内部に高度が低い第1弾性体を配置することで、使用者の臀部への負担を低減させる柔らかさを実現し、しかも使用者の臀部の重さによる臀部ユニットのつぶれすぎを防ぐ強度を有している、としている。
一般のゴムの硬さを測るのに従来からJISスプリング式A型が使用されて「Hs50」又は単に「50」などと表現されていた。しかし、最近では、国際的な取引も多くなり、ISO(国際標準化機構)やデュロメータ(シヨア)などに準拠したA型が使用されている。
しかるに、上記文献の「JIS-Aにおいて0~4の第1弾性体と15~25の第2弾性体」とは、デュロメータタイプA(シヨアA)で表したものと考えられる。
また、より柔らかいゴムのスポンジや軟質ゴムを測定するときによく使用されるものに、デュロメータタイプC(アスカーC)があり、日本ゴム協会標準規格(SRIS)に規定されている。
そして、一般のゴムの硬さに用いられるシヨアA(JIS-A)より柔らかなもの(ウレタンゲル等)の測定には、アスカーCが用いられ、これらの硬度を表す数値には、図3(b)に示すように、シヨアAが「0度」に対し、アスカーCでは約「18度」となっており、約20度のずれがある。このことは、アスカーCでは、シヨアAでは表せない超軟質体の硬度を表すことができる。
しかるに、上記文献の「JIS-Aにおいて0~4の第1弾性体と15~25の第2弾性体」とは、デュロメータタイプA(シヨアA)で表したものと考えられる。
また、より柔らかいゴムのスポンジや軟質ゴムを測定するときによく使用されるものに、デュロメータタイプC(アスカーC)があり、日本ゴム協会標準規格(SRIS)に規定されている。
そして、一般のゴムの硬さに用いられるシヨアA(JIS-A)より柔らかなもの(ウレタンゲル等)の測定には、アスカーCが用いられ、これらの硬度を表す数値には、図3(b)に示すように、シヨアAが「0度」に対し、アスカーCでは約「18度」となっており、約20度のずれがある。このことは、アスカーCでは、シヨアAでは表せない超軟質体の硬度を表すことができる。
日本褥瘡学会によれば、褥瘡を次のように定義している。
「身体に加わった外力は骨と皮膚表面の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」。つまり、外力がかかることで骨によって圧迫された組織が障害された状態が褥瘡です。さらに、圧迫には垂直方向に圧縮する力だけでなく、「引っ張り応力」「せん断応力」といわれる圧力がかかっています。それらによって組織に「ずれ力」がはたらき、組織障害が助長されるのです。
と記載されている。
人間は、差込み便器を装着して寝たきり状態であったとしても、同じ姿勢を長時間持続していることはなく、必ず、寝返りを打つなどの体位を変化させる。この体位変化による褥瘡を防ぐには、尻受けパッドには、垂直方向に圧縮する外力を抑制するだけでなく、「引っ張り応力」「せん断応力」による「ずれ力」のはたらきを抑制することが望まれる。
「身体に加わった外力は骨と皮膚表面の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」。つまり、外力がかかることで骨によって圧迫された組織が障害された状態が褥瘡です。さらに、圧迫には垂直方向に圧縮する力だけでなく、「引っ張り応力」「せん断応力」といわれる圧力がかかっています。それらによって組織に「ずれ力」がはたらき、組織障害が助長されるのです。
と記載されている。
人間は、差込み便器を装着して寝たきり状態であったとしても、同じ姿勢を長時間持続していることはなく、必ず、寝返りを打つなどの体位を変化させる。この体位変化による褥瘡を防ぐには、尻受けパッドには、垂直方向に圧縮する外力を抑制するだけでなく、「引っ張り応力」「せん断応力」による「ずれ力」のはたらきを抑制することが望まれる。
しかるに、前記特許文献1に記載の発明では、最も柔らかいとされるJIS-Aにおける硬度0の第1弾性体に、さらにJIS-Aにおける硬度15~25(アスカーCに換算すると、硬度35~45)の第2弾性体で覆っていることにより、使用者の臀部の重さによる臀部ユニットのつぶれすぎを防いでいる、としている。
しかし、垂直方向の圧力によるつぶれすぎの防止だけでは、褥瘡は防ぐことができない。なぜなら、尻受けパッドが使用者の臀部に常時接している箇所において、寝返りを打つことにより発生する「ずれ力」のはたらきを抑制することについては何ら考慮されていない。しかも、前記特許文献1に記載の発明では、臀部に直接接する第2弾性体は、JIS-Aにおいて15~25の硬度のものが使用されており、柔らく敏感な臀部が擦れて「ずれ力」のはたらきにより褥瘡が生じるという問題があった。
しかし、垂直方向の圧力によるつぶれすぎの防止だけでは、褥瘡は防ぐことができない。なぜなら、尻受けパッドが使用者の臀部に常時接している箇所において、寝返りを打つことにより発生する「ずれ力」のはたらきを抑制することについては何ら考慮されていない。しかも、前記特許文献1に記載の発明では、臀部に直接接する第2弾性体は、JIS-Aにおいて15~25の硬度のものが使用されており、柔らく敏感な臀部が擦れて「ずれ力」のはたらきにより褥瘡が生じるという問題があった。
本発明は、使用者の臀部に常時接する尻パッドに、柔らく敏感な臀部と略同一の柔らかさを有するものを使用することで、寝返りを打っても尻パッドの臀部との接触部分が臀部の軟部組織の一部のように一体にずれることにより、尻パッドとの間に「ずれ力」が生じないようにしたものである。
本発明の差込み便器の尻受け装置は、
要介護者24の股間にセットするカップ10に、尻パッド15を有する尻受け部48を設け、
前記尻パッド15は、前記要介護者24の臀部の組織と前記尻パッド15との間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなることを特徴とする。
要介護者24の股間にセットするカップ10に、尻パッド15を有する尻受け部48を設け、
前記尻パッド15は、前記要介護者24の臀部の組織と前記尻パッド15との間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなることを特徴とする。
前記尻パッド15は、硬度がアスカーCで0~5で、厚さが17~25mmのウレタンゲルからなることを特徴とする。
前記尻パッド15の表面に、べたつき防止剤を塗布したことを特徴とする。
前記尻受け部48は、下層がアスカーCで10~20の尻受け板16の上に、前記尻パッド15を積層してなることを特徴とする。
前記尻受け板16は、両側の前記尻パッド15が接触する縁部を肉薄屈曲片42としたことを特徴とする。
前記カップ10は、大便受け部17と小便受け部18を有するインナーカップ12と、
このインナーカップ12の背部に宛がって股間に装着するためのおむつ11と、
前記インナーカップ12の前記大便受け部17と小便受け部18が露出するように前記おむつ11の背後に宛がって前記インナーカップ12とで前記おむつ11を挟持するアウターカップ13とからなることを特徴とする。
このインナーカップ12の背部に宛がって股間に装着するためのおむつ11と、
前記インナーカップ12の前記大便受け部17と小便受け部18が露出するように前記おむつ11の背後に宛がって前記インナーカップ12とで前記おむつ11を挟持するアウターカップ13とからなることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、
要介護者の股間にセットするカップに、尻パッドを有する尻受け部を設け、
前記尻パッドは、前記要介護者の臀部の組織と前記尻パッドとの間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなるので、臀部に垂直方向に圧縮する力に対してはもちろんのこと、寝返りを打つなどの体位変換により尻パッドと臀部との接触部分に「引っ張り応力」「せん断応力」といわれる「ずれ力」がかかっても尻パッドの臀部との接触部分が臀部の軟部組織の一部のように一体にずれることにより、尻パッドとの間に「ずれ力」が生じない。したがって、褥瘡の発生を防ぐことができる。
要介護者の股間にセットするカップに、尻パッドを有する尻受け部を設け、
前記尻パッドは、前記要介護者の臀部の組織と前記尻パッドとの間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなるので、臀部に垂直方向に圧縮する力に対してはもちろんのこと、寝返りを打つなどの体位変換により尻パッドと臀部との接触部分に「引っ張り応力」「せん断応力」といわれる「ずれ力」がかかっても尻パッドの臀部との接触部分が臀部の軟部組織の一部のように一体にずれることにより、尻パッドとの間に「ずれ力」が生じない。したがって、褥瘡の発生を防ぐことができる。
請求項2記載の発明によれば、
前記尻パッドは、硬度がアスカーCで0~5で、厚さが17~25mmのウレタンゲルからなるので、成型により簡単に構成することができる。
前記尻パッドは、硬度がアスカーCで0~5で、厚さが17~25mmのウレタンゲルからなるので、成型により簡単に構成することができる。
請求項3記載の発明によれば、
前記尻パッドの表面に、べたつき防止剤を塗布したので、おむつにべたつかず、おむつの交換が容易になる。
前記尻パッドの表面に、べたつき防止剤を塗布したので、おむつにべたつかず、おむつの交換が容易になる。
請求項4記載の発明によれば、
前記尻受け部は、下層がアスカーCで10~20の尻受け板の上に、前記尻パッドを積層したので、超軟質材の尻パッドでもこの尻パッド部分がめくれたり、変形したりすることがなく、差込み便器の取り扱いが容易である。
前記尻受け部は、下層がアスカーCで10~20の尻受け板の上に、前記尻パッドを積層したので、超軟質材の尻パッドでもこの尻パッド部分がめくれたり、変形したりすることがなく、差込み便器の取り扱いが容易である。
請求項5記載の発明によれば、
前記尻受け板は、両側の前記尻パッドが接触する縁部を肉薄屈曲片としたので、寝返りを打っても差し込み便器が常にずれずに正常な状態で装着される。
前記尻受け板は、両側の前記尻パッドが接触する縁部を肉薄屈曲片としたので、寝返りを打っても差し込み便器が常にずれずに正常な状態で装着される。
請求項6記載の発明によれば、
前記カップは、大便受け部と小便受け部を有するインナーカップと、
このインナーカップの背部に宛がって股間に装着するためのおむつと、
前記インナーカップの前記大便受け部と小便受け部が露出するように前記おむつの背後に宛がって前記インナーカップとで前記おむつを挟持するアウターカップとからなるので、差し込み便器とおむつの交換が容易にできる。
前記カップは、大便受け部と小便受け部を有するインナーカップと、
このインナーカップの背部に宛がって股間に装着するためのおむつと、
前記インナーカップの前記大便受け部と小便受け部が露出するように前記おむつの背後に宛がって前記インナーカップとで前記おむつを挟持するアウターカップとからなるので、差し込み便器とおむつの交換が容易にできる。
本発明による差込み便器の尻受け装置は、
要介護者24の股間にセットするカップ10に、尻パッド15を有する尻受け部48を設け、
前記尻パッド15は、前記要介護者24の臀部の組織と前記尻パッド15との間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなる。
要介護者24の股間にセットするカップ10に、尻パッド15を有する尻受け部48を設け、
前記尻パッド15は、前記要介護者24の臀部の組織と前記尻パッド15との間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなる。
前記尻パッド15は、硬度がアスカーCで0~5で、厚さが17~25mmのウレタンゲルからなる。
必要に応じて前記尻パッド15の表面に、べたつき防止剤を塗布する。
前記尻受け部48は、下層がアスカーCで10~20の尻受け板16の上に、前記尻パッド15を積層してなる。
前記尻受け板16は、両側の前記尻パッド15が接触する縁部を肉薄屈曲片42とする。
前記カップ10は、大便受け部17と小便受け部18を有するインナーカップ12と、
このインナーカップ12の背部に宛がって股間に装着するためのおむつ11と、
前記インナーカップ12の前記大便受け部17と小便受け部18が露出するように前記おむつ11の背後に宛がって前記インナーカップ12とで前記おむつ11を挟持するアウターカップ13とからなる。
このインナーカップ12の背部に宛がって股間に装着するためのおむつ11と、
前記インナーカップ12の前記大便受け部17と小便受け部18が露出するように前記おむつ11の背後に宛がって前記インナーカップ12とで前記おむつ11を挟持するアウターカップ13とからなる。
図2は、要介護者24の股間にセットする本発明の差し込み便器10(以下、カップ10という)を示すもので、要介護者24の股間に宛がうインナーカップ12と、このインナーカップ12の背後から被せるおむつ11と、このおむつ11の背後から被せておむつ11を前記インナーカップ12との間で挟んで保持するアウターカップ13とからなる。
前記アウターカップ13の両側の縁部には、軟質材14が嵌められ、また、前記アウターカップ13の前端部には、尻パッド15と尻受け板16からなる尻受け部48が取り付けられる。
前記アウターカップ13の両側の縁部には、軟質材14が嵌められ、また、前記アウターカップ13の前端部には、尻パッド15と尻受け板16からなる尻受け部48が取り付けられる。
前記インナーカップ12は、上面に皿状の窪みを有する大便受け部17と、両側に壁部壁部を立ち上げた縦型溝状の小便受け部18が設けられている。前記大便受け部17は、後端に連通して排泄物吸引管23が一体に連結しており、この大便受け部17の前端部には、洗浄水ノズル39と送風ノズル40が設けられている。また、前記大便受け部17には、1個の大便センサー19と4個の小便センサー20が設けられている。前記大便受け部17の前端部には、係止突起27が設けられ、前記アウターカップ13の係止孔28に係合して一体に嵌合される(詳細な嵌合方法は後述する)。
前記アウターカップ13の背後に図1に示すように、前記排泄物吸引管23が嵌め込まれ、さらに、下から順に、送風管22と送水管21と電気コード26が設けられている。また、前記アウターカップ13の上端には、前記インナーカップ12におむつ11を挟んだ後、全体を固定する係止具25が設けられている。
前記アウターカップ13の背後に図1に示すように、前記排泄物吸引管23が嵌め込まれ、さらに、下から順に、送風管22と送水管21と電気コード26が設けられている。また、前記アウターカップ13の上端には、前記インナーカップ12におむつ11を挟んだ後、全体を固定する係止具25が設けられている。
前記尻受け部48は、図2に示すように、下側に尻受け板16を配置し、その上に尻パッド15を接着したものである。この尻パッド15は、本発明特有のもので、幅が約160~170mm、長さが約200~210mm、厚さが17~25mmで、手前側が次第に肉薄となっている。前記大便受け部17側には、半円形の切欠き部44が形成されている。前記尻パッド15の材質は、硬度が前記アスカーCで0~4程度、より好ましくはアスカーCで0のウレタンゲルなどの超軟質材からなる。アスカーCで0のウレタンゲルは、乳幼児の肌に相当する柔らかさとされている。このような超軟質材とすることで、尻の軟部組織と同等の柔らかさのために、体位を変えたときに接触部分の尻パッド15がおむつ11とともに尻の軟部組織と一体になってずれて、垂直方向に圧縮する。この垂直方向の外力に対して作用するだけでなく、尻の軟部組織と尻パッド15との間に、「引っ張り応力」「せん断応力」といわれる圧力が作用すると、尻の軟部組織と尻パッド15が一体になってずれる。そのため、尻の軟部組織と尻パッド15との間に「ずれ力」がはたらくことがなく、褥瘡の発生を防ぐことができる。
なお、アスカーCで0程度の超軟質ウレタンゲルは、表面がべたつくような感触がある。このようなべたつきがあっても、柔らかなおむつ11を介在するので、ウレタンゲルの表面の位置が剥離して皮膚に付着することはないが、このべたつきを防止するには、表面に、内部の硬度に影響しない程度に粉体や液体等のべたつき防止材を塗布することが望ましい。
なお、アスカーCで0程度の超軟質ウレタンゲルは、表面がべたつくような感触がある。このようなべたつきがあっても、柔らかなおむつ11を介在するので、ウレタンゲルの表面の位置が剥離して皮膚に付着することはないが、このべたつきを防止するには、表面に、内部の硬度に影響しない程度に粉体や液体等のべたつき防止材を塗布することが望ましい。
前記尻受け板16は、超軟質材の前記尻パッド15を支持するために、図4(a)(b)に示すように、幅と長さは、前記尻パッド15と略同じ大きさを有する。この尻受け板16の材質は、硬度が前記アスカーCで10~20程度、より好ましくはアスカーCで15程度のシリコーン樹脂からなる。この尻受け板16の手前側が次第に肉薄となっており、前記大便受け部17側には、半円形の切欠き部45が形成されている。また、この尻受け板16の両側には、肉薄屈曲片42が形成されるとともに、中央部分の尾てい骨が接触する位置の下面に複数個の硬度調整穴49が形成されている。
図2において、おむつ11の基本構成は、従来の専用おむつと略同様で、薄くて強度のある紙製のおむつ本体を用いる。このおむつ本体は、横幅が55~60cm、縦幅が80~85cmで、縦方向に略3等分して手前側が腰回り包み部32、後方側が腹回り包み部33で、中間部が股間回り包み部50となっており、この股間回り包み部50の横幅は、35~40cmにくびれている。前記股間回り包み部50の両側付近は、伸ばしたとき約20cmのゴム等の弾性材入りのギャザー部36となっている。このおむつ本体の内側には、内側防水紙34を除いて肉厚のクッション部31が貼着され、このクッション材31における内側防水紙34の中央に前記排泄物吸引管23と送風管22と送水管21を逃がすとともに係止具25を差し込むための突起物逃げ孔35を有する。また、裏面には、尻受け板包み部38を有する。
おむつ11をインナーカップ12とアウターカップ13にてセットする工程を説明する。
尻受け部48をおむつ11の尻受け板包み部38に差し込み、この尻受け板包み部38をおむつ11の下面に面ファスナー等で接着し、インナーカップ12の背部からおむつ11を腹包み部33が上になるようにし、おむつ11の内側防水紙34が大便受け部17と小便受け部18の外側に密着するように宛がう。この時、インナーカップ12の排泄物吸引管23と送風管22と送水管21と電気コード26を突起物逃げ孔35から突出させる。
インナーカップ12に背部からおむつ11を宛がった状態で、インナーカップ12の前端部の係止突起27をおむつ11の内側防水紙34とともにアウターカップ13の係止孔28にやや傾けながら差し込み、この係合部分を支点にしてインナーカップ12と内側防水紙34をアウターカップ13の内側に押し込む。すると、おむつ11がアウターカップ13内に密着して収納される。インナーカップ12とおむつ11がともにアウターカップ13に密着嵌合した後、係止具25を差し込み、90度回転して全体を固定する。
これでカップ10へのおむつ11のセットが完了する。
尻受け部48をおむつ11の尻受け板包み部38に差し込み、この尻受け板包み部38をおむつ11の下面に面ファスナー等で接着し、インナーカップ12の背部からおむつ11を腹包み部33が上になるようにし、おむつ11の内側防水紙34が大便受け部17と小便受け部18の外側に密着するように宛がう。この時、インナーカップ12の排泄物吸引管23と送風管22と送水管21と電気コード26を突起物逃げ孔35から突出させる。
インナーカップ12に背部からおむつ11を宛がった状態で、インナーカップ12の前端部の係止突起27をおむつ11の内側防水紙34とともにアウターカップ13の係止孔28にやや傾けながら差し込み、この係合部分を支点にしてインナーカップ12と内側防水紙34をアウターカップ13の内側に押し込む。すると、おむつ11がアウターカップ13内に密着して収納される。インナーカップ12とおむつ11がともにアウターカップ13に密着嵌合した後、係止具25を差し込み、90度回転して全体を固定する。
これでカップ10へのおむつ11のセットが完了する。
次に、おむつ11をセットしたカップ10を要介護者24の股間に宛がう。このとき、図1に示すように、臀部がおむつ11のクッション材31を介して尻受け部48の尻パッド15に接する。
股間に密着したら、腹回り包み部28を腹の上まで折り返す。腹包み部33を腹の上まで引き込んで腰包み部32を捲込み、腰包み部32の面ファスナー37で係止する。
股間に密着したら、腹回り包み部28を腹の上まで折り返す。腹包み部33を腹の上まで引き込んで腰包み部32を捲込み、腰包み部32の面ファスナー37で係止する。
以上のようにおむつ11をカップ10にセットして装着する。排便、排尿を大便センサー19や小便センサー20で感知すると、図示しない排泄物処理装置が駆動して大便受け部17内の排便と排尿を排泄物吸引管23から吸引処理し、送水管21に連結した洗浄ノズル39から温水が噴射するとともに、噴射ノズル51からも温水が噴射して局部を洗浄し、送風管22からの温風で乾燥する。
要介護者24が仰向けに寝ている状態では、図5に示すように、臀部がおむつ11のクッション部31を介して尻受け部48の尻パッド15に接触し、臀部に垂直方向の外力がかかる。外力がかかることで骨によって圧迫された骨と皮膚表面の間の軟部組織の血流が低下、又は停止する恐れがあるが、尻パッド15が軟部組織と同等の柔らかさ、言い換えれば、前記尻パッド15の材質は、硬度がアスカーCで0~4程度、より好ましくはアスカーCで0のウレタンゲルなどの超軟質材からなるので、垂直方向の外圧に対しては、尻パッド15で吸収する。また、従来は、臀部の皮膚が垂れ下がるような人は、大便センサー19や小便センサー20に接して誤作動することがあった。しかし、尻パッド15の切欠き部44に臨ませた位置での厚さは、17~25mmとしたので、図1の鎖線で示すように、臀部の皮膚が大便受け部17に垂れ下がるようなことがなくなり、大便センサー19や小便センサー20に接することがなく、誤作動することがない。
人は、長時間図5に示すような仰向けの状態で寝ていることはできず、図6に示すように左又は右に寝返りを打つ。この寝返りを打つことにより「ずれ力」が働き、褥瘡が生じることは前述の通りである。
本発明では、次の2点を考慮することで、この寝返りによる褥瘡防止をしている。
(1)第1点は、尻パッド15の材質を、臀部に「引っ張り応力」「せん断応力」による「ずれ力」が発生しても、そのはたらきを抑制するものが用いられる。具体的には、臀部に「ずれ力」が発生したとき、尻パッド15が臀部の軟部組織の一部のように一体に動いて尻パッド15との間に「ずれ力」が生じない硬度がアスカーCで0~4程度、より好ましくはアスカーCで0のウレタンゲルなどの超軟質材が用いられている。
(2)第2点は、図6に示すように、水平線46に対して傾斜線47のように寝返りを打った時に、尻受け部48が臀部の一部となるように密着してずれないように構成されている。ずれないように構成するために、尻パッド15を載せている尻受け板16の両側の縁部に、肉薄屈曲片42を形成している。この肉薄屈曲片42は、寝返りを打つと臀部の重さで屈曲して臀部の変形に追随し、尻受け部48が臀部からずれることを防止している。そのため、臀部と尻受け部48との間に「ずれ力」が生じようとしても「ずれ力」が生じない。
本発明では、次の2点を考慮することで、この寝返りによる褥瘡防止をしている。
(1)第1点は、尻パッド15の材質を、臀部に「引っ張り応力」「せん断応力」による「ずれ力」が発生しても、そのはたらきを抑制するものが用いられる。具体的には、臀部に「ずれ力」が発生したとき、尻パッド15が臀部の軟部組織の一部のように一体に動いて尻パッド15との間に「ずれ力」が生じない硬度がアスカーCで0~4程度、より好ましくはアスカーCで0のウレタンゲルなどの超軟質材が用いられている。
(2)第2点は、図6に示すように、水平線46に対して傾斜線47のように寝返りを打った時に、尻受け部48が臀部の一部となるように密着してずれないように構成されている。ずれないように構成するために、尻パッド15を載せている尻受け板16の両側の縁部に、肉薄屈曲片42を形成している。この肉薄屈曲片42は、寝返りを打つと臀部の重さで屈曲して臀部の変形に追随し、尻受け部48が臀部からずれることを防止している。そのため、臀部と尻受け部48との間に「ずれ力」が生じようとしても「ずれ力」が生じない。
以上のように、本発明は、使用者の臀部に常時接する尻パッド15に、柔らく敏感な臀部と略同一の柔らかさを有するものを使用することで、寝返りを打っても尻パッド15の臀部との接触部分が臀部の軟部組織の一部のように一体にずれることにより、尻パッド15との間に「ずれ力」が生じない。そのため、臀部には、褥瘡が生じることはなくなる。
10…カップ、11…おむつ、12…インナーカップ、13…アウターカップ、14…軟質材、15…尻パッド、16…尻受け板、17…大便受け部、18…小便受け部、19…大便センサー、20…小便センサー、21…送水管、22…送風管、23…排泄物吸引管、24…要介護者、25…係止具、26…電気コード、27…係止突起、28…係止孔、29…縁部、30…逃げ孔、32…腰包み部、33…腹包み部、34…内側防水紙、35…突起物逃げ孔、36…ギャザー部、37…面ファスナー、38…尻受け板包み部、39…洗浄ノズル、40…送風ノズル、41…粘着防止剤、42…肉薄屈曲片、43…柔軟付与穴、44…切欠き部、45…切欠き部、46…水平線、47…傾斜線、48…尻受け部、49…硬度調整穴、50…股間回り包み部、51…噴射ノズル。
Claims (6)
- 要介護者の股間にセットするカップに、尻パッドを有する尻受け部を設け、
前記尻パッドは、前記要介護者の臀部の組織と前記尻パッドとの間にずれ力が生じても、前記臀部の組織と一体にずれる程度の硬度を有するものからなることを特徴とする差込み便器の尻受け装置。 - 前記尻パッドは、硬度がアスカーCで0~5で、厚さが17~25mmのウレタンゲルからなることを特徴とする請求項1記載の差込み便器の尻受け装置。
- 前記尻パッドの表面に、べたつき防止剤を塗布したことを特徴とする請求項2記載の差込み便器の尻受け装置。
- 前記尻受け部は、下層がアスカーCで10~20の尻受け板の上に、前記尻パッドを積層してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の差込み便器の尻受け装置。
- 前記尻受け板は、両側の前記尻パッドが接触する縁部を肉薄屈曲片としたことを特徴とする請求項4記載の差込み便器の尻受け装置。
- 前記カップは、大便受け部と小便受け部を有するインナーカップと、
このインナーカップの背部に宛がって股間に装着するためのおむつと、
前記インナーカップの前記大便受け部と小便受け部が露出するように前記おむつの背後に宛がって前記インナーカップとで前記おむつを挟持するアウターカップとからなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の差込み便器の尻受け装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021094976A JP2022187125A (ja) | 2021-06-07 | 2021-06-07 | 差込み便器の尻受け装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021094976A JP2022187125A (ja) | 2021-06-07 | 2021-06-07 | 差込み便器の尻受け装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022187125A true JP2022187125A (ja) | 2022-12-19 |
Family
ID=84525382
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021094976A Pending JP2022187125A (ja) | 2021-06-07 | 2021-06-07 | 差込み便器の尻受け装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022187125A (ja) |
-
2021
- 2021-06-07 JP JP2021094976A patent/JP2022187125A/ja active Pending
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