JP2020171471A - 介護用陰茎固定具及び介護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装着者に不快感や圧迫感を与えることなく、長時間に亘って陰茎の向きを適正に維持する。【解決手段】介護用陰茎固定具(2,20,30)は、オムツ又は自動排泄処理装置の排泄物受けユニット(46)と一緒に用いられる。陰茎固定具は、陰茎の挿入を受け入れるための筒状本体(4,22)と、この筒状本体(4,22)から患者の下腹部に向けて延び且つ平坦な取付部(10,32)とを備えている。【選択図】図8

Description

本発明は、一般的に、下肢機能障害など歩行不能な患者や自力でトイレに行くことのできない人、頻尿者など(以下、「患者」と総称する。)に適用される介護具であり、より詳しくは、長時間に亘って患者が装着する排泄介護具に適用可能な陰茎固定具及び介護装置に関する。
特許文献1は、患者に適用される男性用尿瓶を開示している。この尿瓶は、一般的な睡眠時間である8時間分の尿を貯留することができる容量を有している。尿瓶との組み合わせで陰茎固定リングが用いられる。陰茎固定リングは、海綿、ウレタンスポンジなどの弾性素材から作られている。陰茎固定リングの貫通孔は、弛緩時の陰茎の平均的な直径よりも若干大きな直径を有している。この陰茎固定リングは、好ましくは切り込みを有し、この切り込みを通じて陰茎を固定リングに装着する又は固定リングから陰茎を離脱させるのが容易である。固定リングを陰茎根に装着した後、固定リングを圧縮して尿瓶の陰茎挿入口に挿入する。これにより、陰茎は固定リングによって尿瓶に固定された状態となるため陰茎が尿瓶から不用意に脱出し難くなる。
特許文献2は、陰茎をオムツに固定することを目的として、伸縮性を備え且つ陰茎を挿入可能な筒状本体と、該筒状本体をオムツに固定するための接続部材とを備えた陰茎固定具を提案している。筒状本体の材料は、シリコーンを塗布したストッキング素材、不織布とゴム紐の組み合わせが例示されている。また、オムツの例示として紙オムツを挙げている。
介護者の負担軽減などを目的として、例えば夜間、自動排泄処理装置が用いられる。この種の装置として特許文献3に開示の自動排泄処理装置を挙げることができる。この自動排泄処理装置は、患者の排泄物を受け止めて吸引する機構と、肛門などの局部を洗浄し、そして乾燥させる機構とを有している。排泄物を受け止めて吸引する機構は、その主要な構成部材として排泄物受けユニット本体を含む。排泄物受けユニット本体は、尿、大便などの汚物を受けるための合成樹脂の成型品であり、患者の局部に対向して延びる縦長の且つ側面視したときに湾曲した形状部分を含んでいる。排泄物受けユニット本体は、装着具として設計されたオムツに組み付けられて患者の股間に位置決めされる。このオムツの組立体は排泄物受けユニットとも呼ばれている。
特許文献3は、自動排泄処理装置に含まれる排泄物受けユニットを、互いに分離可能な幾つかの部材で構成することを提案している。排泄物受けユニットは、汚物を受けるトレー状の汚物受けトレー部と、この汚物受けトレー部の一端から起立して尿を受ける尿受けカップ部とが一体的に成形された主要部品を有している。尿受けカップ部は、患者から離れる方向に膨らみを有するカップ状の形状を有し、その上端が上方に向けて開放されている。排泄物受けユニットは、上記の主要部品に対して2つの部材が脱着可能である。第1の脱着可能部材は、尿受けカップ部の上端開口に対して脱着可能な腹当てカバー部材である。第2の脱着可能部材は、尿受けカップ部の起立する側縁に対して装着可能であり、汚物受けトレー部の上に設置されて患者の臀部を受ける尻当てカバー部材である。
WO2003/068127号公報 JP特開2010−154994号公報 JP特開2006−55513号公報
特許文献3に開示のような自動排泄処理装置の使用に際して、介護者が患者の局部に排泄物受けユニットを装着することになるが、男性患者の場合、陰茎の向き、つまり尿道口の方向が不適切だと排尿に伴ってユニットから尿漏れが発生する可能性が高くなる。このことから、陰茎の向きを調整しながら排泄物受けユニットを男性患者に装着することが行われている。しかし、装着時に陰茎の尿道口の方向を適正にしたとしても、長時間、同じ方向に維持することは実際上不可能である。例えば、患者の体位変換によって排泄物受けユニットの中の陰茎の向きが変わってしまう。また、勃起によっても尿道口の方向が変わってしまう。
本発明の目的は、装着者に不快感や圧迫感を与えることなく、長時間に亘って陰茎の向きを適正に維持することができる介護用陰茎固定具及び介護装置を提供することにある。
上記の技術的課題を達成すべく、本発明の一つの観点によれば、
オムツ又は自動排泄処理装置の排泄物受けユニット(46)と一緒に用いられる介護用陰茎固定具(2,20,30)であって、
患者の陰茎の挿入を受け入れるために陰茎基部側開口(4a)と亀頭側開口(4b)とを備えた筒状本体(4,22)と、
該筒状本体(4,22)の前記陰茎基部側開口(4a)から患者の下腹部に向けて延び且つ平坦な取付部(10,32)とを備えた介護用陰茎固定具を提供することにより達成することができる。
本発明の好ましい実施形態において、筒状本体(4,22)は合成樹脂製である。そして、筒状本体(4,22)は、好ましくは、患者の勃起に伴う陰茎の径方向の拡大に応答して該筒状本体(4,22)の径方向の拡張を容易にするための「形状部分」を有している。形状部分の典型例は、筒状本体(4,22)の長手方向に延びるスリット(8)であるが、例えば、筒状本体(4,22)を波形断面にすることで勃起に伴う陰茎の径方向の拡大を吸収してもよい。
本発明は、他の観点によれば、
上記の介護用陰茎固定具(2,20,30)と、該介護用陰茎固定具と一緒に用いられる前記排泄物受けユニット(46)とを含む介護装置であって、
前記排泄物受けユニット(46)が、汚物受けトレー部(50)及び尿受けカップ部(52)からなるユニット本体(46(B))と、該ユニット本体(46(B))の周囲に広がるクッションカバー部(54)と、該クッションカバー部(54)に対して脱着可能なクッション部材(56)とを含み、
前記クッションカバー部(54)は、患者の局部の周囲に連続して延びる漏れ防止壁(78)を有し、
前記クッション部材(56)は、前記漏れ防止壁(78)と接する部分をL字状に切り欠いた形状の段付き部(80)を有し、
該クッション部材(56)を前記クッションカバー部(54)に装着したとき、前記段付き部(80)が前記漏れ防止壁(78)と当接し且つ該漏れ防止壁(78)の頂面を覆う状態となることを特徴とする介護装置を提供する。
本発明の作用効果及び他の目的は、本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
実施例の陰茎固定具の斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 図1のIII−III線に沿った断面図である。 図1に図示の陰茎固定具を展開した図であり、図1の陰茎固定具が一枚のシートから作製されていることを説明するための図である。 第1変形例の陰茎固定具の斜視図である。 第2変形例の陰茎固定具の斜視図である。 実施例の陰茎固定具と一緒に用いるのが好ましい自動排泄処理システムを説明するための図である。 図7に図示の自動排泄処理システムが排泄物受けユニットと陰茎固定具と介護用ガーターとを含むことを説明するための図である。 排泄物受けユニットが、脱着可能なクッション部材を含むことを説明するための図である。 クッションカバー部の構造を説明するための断面図である。 クッション部材を装着した状態の排泄物受けユニットの斜視図である。 排泄物受けユニットの縦断面図である。 図11のXIII−XIII線に沿った断面図である。 図12のXIVで指し示す部位を拡大した断面図である。 図9のXV−XV線に沿った断面図であり、クッション部材の構造を説明するための図である。 介護用ガーターの正面図である。 介護用ガーターの背面図である。 介護用ガーターの平面図である。 介護用ガーターの底面図である。 介護用ガーターの右側面図である。 患者に装着した排泄物受けユニットを介護用ガーターで固定した状態を説明するための図である。 男性用の排泄物受けユニットの平面図である。 男性用の排泄物受けユニットの断面図である。 女性用の排泄物受けユニットの平面図である。 女性用の排泄物受けユニットの断面図である。 陰茎固定具を装着した男性患者に自動排泄処理システムを適用した状態を説明するための図である。 変形例の介護用ガーターの正面図である。 変形例の介護用ガーターを患者に装着した状態を説明するための図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、実施例の陰茎固定具の斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。図1を参照して、陰茎固定具2は、陰茎の挿入を受け入れる筒状本体4を有し、筒状本体4は両端が開口した中空形状を有している。すなわち、筒状本体4は、陰茎基部側開口4aと、亀頭側開口4bとを有する中空筒状であり且つ断面略円形の形状を有している(図2)。
筒状本体4は複数の通気孔6を有しており、通気孔6の数およびその形状は任意である。筒状本体4は、図1、図3から分かるように、陰茎基部側開口4aに開放したスリット8を有し、スリット8は筒状本体4の長手方向に延びている。具体的には、スリット8は2つ設けられており、この2つのスリット8は直径方向に互いに対抗して位置している(図3)。スリット8の数は任意である。各スリット8はその一端が陰茎基部側開口4aに開放し、他端が筒状本体4の長手方向中間部分で終わっている。
陰茎固定具2は、これを患者の下腹部に定置するための取付部10を有している。取付部10は、筒状本体4の陰茎基部側開口4aから患者の臍に向けて延出しており、筒状本体4と一体構造である。取付部10は平坦なリップ状の形状を有し、患者の下腹部において幅方向に広がりを有している。実施例の陰茎固定具2は、図1から分かるように、リップ状の取付部10の中央部分に開口10aを有しているが、これは必須ではない。中央部分の開口10aは通気のために設けられており、例えば複数の通気孔で構成してもよい。図1において、参照符号12は通気孔を示す。
図4は、陰茎固定具2を展開した図である。陰茎固定具2は、図4から分かるように、一枚のシート14から構成されている。シート14は、適度な弾性及び保形性を有する合成樹脂、典型的にはシリコーンスポンジの成型品である。このシリコーンスポンジは連続気泡であり、通気性に優れている。陰茎固定具2の筒状本体4は、シート14の一端部分14aの幅方向両端を重ね合わせた状態で接着することにより形成される。陰茎固定具2は、筒状本体4を備えた状態で市場に提供される。
筒状本体4の直径は、弛緩時の陰茎の平均直径よりも若干大きな寸法に設定されているのがよく、弛緩した陰茎を筒状本体4の中に挿入することができ、筒状本体4に挿入した陰茎は、その亀頭部分が外部に露出した状態になる。陰茎の挿入を受け入れる筒状本体4がスリット8を備えることにより、勃起に伴う陰茎の径方向の拡大に応答して、その長手方向の全体が容易に径方向に拡張することができ、これにより陰茎の鬱血を防止できる。スリット8の変形例として、筒状本体4を波形断面にすることで勃起に伴う陰茎の径方向の拡大を吸収してもよい。この波形断面及びスリット8を包括する定義として「形状部分」という用語を使う。
図5、図6は、陰茎固定具2の変形例を説明するための図である。図5に図示の陰茎固定具20は、筒状本体4の第1変形例を示すものであり、第1変形例の陰茎固定具20の筒状本体22は筒状に成形されることにより形作られている。図6に図示の陰茎固定具30は、取付部10の変形例を示すものであり、第2変形例の陰茎固定具30の取付部32は、平面視T字状の形状を有している。第2変形例の陰茎固定具30は、図4を参照して説明した一枚のシート14から筒状本体4を形成したものであってもよいし、第1変形例の陰茎固定具20で説明した成形した筒状本体22であってもよい。図6に示す参照符号34は通気孔を示す。
図1〜図6を参照して説明した陰茎固定具2、20、30は、図7に示す自動排泄処理システム40と一緒に用いられる。陰茎固定具2、20、30の適用はこれに限定されず、例えばパンツ型の紙オムツと一緒に使うことも可能である。図7を参照して、自動排泄処理システム40は、処理装置本体42と、この処理装置本体42に、汚物吸引ホースなどを含む可撓性連結部材44を介して接続された排泄物受けユニット46と、患者に装着された排泄物受けユニット46を固定するための介護用ガーター48とを含む。
上述した陰茎固定具2、20、30のうち、図1を参照して説明した陰茎固定具2を例に以下に説明する。図8は、排泄物受けユニット46と、陰茎固定具2と、介護用ガーター48とを示す図である。排泄物受けユニット46は、図9に図示するように、汚物受けトレー部50、尿受けカップ部52からなるユニット本体46(B)(図12)と、クッションカバー部54との組立体であり、クッションカバー部54は、ユニット本体46(B)に接着される。クッションカバー部54は適度な可撓性を有し、患者の臀部、股間、下腹部に沿って変形可能である。汚物受けトレー部50、尿受けカップ部52は合成樹脂の成型品である。クッションカバー部54はクッション性のある材料で作られている。図10は、クッションカバー部54の断面図である。図10を参照して、クッションカバー部54は、患者側の第1外皮54aと、外側の第2外皮54bと、芯材を構成するクッション素材54cとで構成されている。患者側の第1外皮54aは、防水性を備え且つ肌に粘着しない肌当たりの良い材料で構成されている。具体的には、ネオプレーンゴムにフッ素樹脂をコーティングした材料で構成されている。第2外皮54bは、通気性を備えた材料、例えばジャージ生地で構成されている。クッション素材54cは防水性を備え且つ柔軟性を備えた、例えばネオプレーンゴムで構成されている。
クッションカバー部54には、クッション部材56が脱着可能に装着される。図11は、クッション部材56を取り付けた状態の排泄物受けユニット46を示す。
図12は、排泄物受けユニット46の縦断面図である。図13は、図11のXIII−XIII線に沿った排泄物受けユニット46の断面図である。図13に参照符号54dで指し示す部位は尿受けカップ部52に連続する凸部である。先ず、図12を参照して、合成樹脂製のユニット本体46(B)は、汚物吸引するホースが接続される第1接続口60と、洗浄水を供給するホースが接続される第2接続口62と、温風を供給するホースが接続される第3接続口64とを有する。また、ユニット本体46(B)は、第2接続口62を通じて供給された洗浄水を肛門に向けて吐出する第1、第2の肛門用洗浄口70、72と、汚物受けトレー部50の汚物を第1接続口つまり汚物吸引ホース接続口60に向けて洗浄水を吐出する汚物用洗浄口74に加えて、女性患者の尿道口に向けて洗浄水を吐出する尿道口洗浄口76とを有している。なお、上述した汚物受けトレー部50には、既知のように、排泄物検知センサが設けられて排泄を検知すると、予め定められた手順で、ユニット本体46(B)から汚物を吸引し、次に肛門などを洗浄し、次に乾燥させる工程が実行される。
図12、図13を参照して、クッションカバー部54は、断面矩形の漏れ防止壁78を有している。漏れ防止壁78は、患者の局部の周囲に連続して延びている。クッション部材56は、漏れ防止壁78と接する部分に段付き部80を有し、この段付き部80においてL字状に切り欠いた形状の段部80aに漏れ防止壁78を当接し且つ漏れ防止壁78の頂面を覆う状態でクッションカバー部54に装着される。図中、参照符号82は面ファスナを示す。面ファスナ82によってクッション部材56がクッションカバー部54に固定される。面ファスナ82に代えて両面接着テープ(図示せず)でクッション部材56をクッションカバー部54に固定してもよい。
図14は、図12の矢印XIVで指し示す部位の拡大図である。漏れ防止壁78は、その芯材としてウレタンフォーム78aを含み、このウレタンフォーム78aは前述の防水性を備えた第1外皮54aで覆われている。
図15は、図9のXV−XV線に沿った断面図である。図15を参照して、クッション部材56は、例えばウレタンフォームからなるクッション素材56aと、クッション素材56aを包囲する表皮材56bとで構成され、クッション素材56aは、前述した漏れ防止壁78の芯材と同様に、ウレタンフォームで構成されている。表皮材56bは、防水性を備えた生地、例えばネオプレーン生地で構成されている。この表皮材56bに関し、患者の臀部と当接する臀部当接部位56c(図11、図12)は、患者(臀部)と接する面56d(図14)が、通気性を備えた布地に撥水加工を施すことにより防水性だけでなく通気性を備えた生地で構成されている。これにより、患者の臀部の褥瘡の発生を抑えることができる。
クッションカバー部54にクッション部材56を脱着可能に付加することで、患者の局部の周囲に密着する部位のクッション性を、クッション部材56を交換することにより長期に亘って維持することができる。この利点を確保するためにクッション部材56とクッションカバー部54との接触部位を図12〜図14に図示の構成を採用することにより、当該部位からの漏れを防止することができる。すなわち、クッション部材56の段部80aは、上述したクッション素材56aとこれを包囲する防水性の表皮材56bで構成されており、また、同様に、クッションカバー部54の漏れ防止壁78は、その芯材としてウレタンフォーム78aを包囲する第1外皮54aが防水性を備えた材料で構成されているため、排泄物受けユニット46を適正に装着した状態では、クッション素材56a、ウレタンフォーム78aの適度な圧縮変形の反力によって防水表皮材56b、54a同士の密着性を維持することができる。
図16〜図20は介護用ガーター48を説明するための図である。図16は、装着時に患者に対向する正面図である。図17は、ベッドに対向する背面図である。図18は平面図である。図19は底面図である。図20は右側面図である。左側面図は図20の右側面図と同じであることから図示を省略する。
患者に装着した排泄物受けユニット46は、介護用ガーター48によって固定される。図21は、介護用ガーター48を患者に装着した状態を説明するための図である。介護用ガーター48は、患者の臀部と当接するガーター本体90から左右に延びる一対の腰ベルト92を有し、一対の腰ベルト92を患者の腰に巻き付けて面ファスナ94によって腰ベルト92同士を固定することができる。この腰ベルト92の幅W(west)(図21)は、排泄物受けユニット46のクッションカバー部54のうち患者の下腹部と当接する腹当てカバー部位54(B)の一部と干渉できるように設定されている。これにより、排泄物受けユニット46は、腹当てカバー部位54(B)が腰ベルト92によって患者の腹部と密着した状態となり、この状態が維持される。
介護用ガーター48は、ガーター本体90から下方に延びる一対の股ベルト96を有している(図16)。この一対の股ベルト96は患者の股間を通って患者の前方に引き出される。一対の股ベルト96の先端部96aには、互いに嵌合するスナップボタン98が設けられている。図21を参照して、一対の股ベルト96は、排泄物受けユニット46において可撓性連結部材44を接続する部位に巻き付けられ、そして、一対の股ベルト96の先端部96a同士がスナップボタン98を使って固定される。
介護用ガーター48の好ましい装着手順としては、先ず、ガーター48に排泄物受けユニット46を位置決めした状態で、側臥位の患者に排泄物受けユニット46を当てがい、そして、排泄物受けユニット46を患者の局部に位置決めしたら、ホースなどの可撓性連結部材44を接続する部位に一対の股ベルト96を巻き付けてスナップボタン98で股ベルト96の先端同士を固定する。次に患者を仰臥位に姿勢変換して腰ベルト92を装着する。これにより、排泄物受けユニット46は、腹当てカバー部位54(B)が腰ベルト92によって固定され、また、可撓性連結部材44を接続する部位が股ベルト96によって臀部の方に引き寄せられた状態で固定される。
介護用ガーター48は、一対の股関節ベルト100を有している。図16などを参照して、股関節ベルト100は、ガーター本体90の中央部分から斜め下方に延びており、患者の臀部から股関節の部位を通り患者の下腹部まで延びる長さを有している(図21)。一対の股関節ベルト100の先端部には、夫々、第1面ファスナ102(図16)が設けられ、これと係合する第2面ファスナ104が腹当てカバー部位54(B)に設けられている。これら第1、第2の面ファスナ102、104が係止することによって、各股関節ベルト100を、排泄物受けユニット46の腹当てカバー部位54(B)に固定することができる。この股関節ベルト100によって、患者の局部に位置決めした排泄物受けユニット46の状態の維持を長時間に亘って確実なものにすることができる。
排泄物受けユニット46は、男性用と女性用とに分類した2種類のユニットを用意するのが好ましい。男性用と女性用とを識別するために、男性用には参照符号(M)を付記し、女性用には参照符号(F)を付記して以下に説明する。図22、図23は、男性用の排泄物受けユニット46(M)を説明するための図である。図24、図25は、女性用の排泄物受けユニット46(F)を説明するための図である。男性用と女性用との本質的な違いは尿受けカップ部52及びクッションカバー部54の凸部54dに見られる。図22、23と、図24、25とを参照して、男性用の尿受けカップ部52(M)及び凸部54d(M)の幅W(M)及び奥行きD(M)は女性用の尿受けカップ部52(F)の幅W(F)及び奥行きD(F)よりも大きい。男性用の尿受けカップ部52(M)の幅W(M)及び奥行きD(M)は陰茎及び睾丸を受け入れることのできる寸法に設定されている。これに対して、女性用の尿受けカップ部52(F)及び凸部54d(F)の幅W(F)は女性の局部を受け入れることができる寸法に設定されている。従来は、男性と女性の兼用のカップ部が採用されており、この場合には男性を主眼において寸法が設定されていたため、女性にとって大き過ぎるため女性患者に不快感を与えていた。
図26は、陰茎固定具2を自動排泄処理システム40と一緒に用いたときの状態を説明するための図である。陰茎固定具2の取付部10は腰ベルト92と患者の下腹部との間まで延びる長さを有している。これにより、陰茎固定具2は、その取付部10の一部が腰ベルト92によって固定される。また陰茎固定具2は股関節ベルト100によって左右方向への変位が抑制される。これにより陰茎固定具2を位置決めした状態を長時間に亘って維持することができる。
図16などを参照して説明した介護用ガーター48は、前述したように、一対の股ベルト96を排泄物受けユニット46において可撓性連結部材44を接続する部位に巻き付ける構成を有している。変形例を図27、図28を参照して説明する。この変形例の介護用ガーター110は、腰ベルト92まで延びる長さ寸法を備えた一対の長尺股ベルト112を有している。一対の長尺股ベルト112は、その先端部分に面ファスナ114を有し(図27)、この面ファスナ114を使って腰ベルト92に固定することができる(図28)。
変形例の介護用ガーター110は、好ましくは、一つの長尺股ベルト112の長手方向中間部分に横断ベルト106を含むのがよい。この横断ベルト106は、排泄物受けユニット46の尿受けカップ部52を横断して位置し、これにより排泄物受けユニット46を横断ベルト106で押さえつけることができる。
2 陰茎固定具
4 筒状本体
4a 陰茎基部側開口
4b 亀頭側開口
8 スリット
10 取付部
14 展開したシート
14a シートの一端部分
20 第1変形例の陰茎固定具
22 第1変形例の陰茎固定具の筒状本体
30 第2変形例の陰茎固定具
32 第2変形例の陰茎固定具のT字状の取付部
40 自動排泄処理システム
46 排泄物受けユニット
48 介護用ガーター
50 排泄物受けユニットの汚物受けトレー部
52 排泄物受けユニットの尿受けカップ部
54 排泄物受けユニットのクッションカバー部
54(B) クッションカバー部の腹当てカバー部位
56 クッション部材
78 漏れ防止壁
90 介護用ガーターの臀部と当接するガーター本体
92 介護用ガーターの腰ベルト
96 介護用ガーターの股ベルト
100 介護用ガーターの股関節ベルト

Claims (8)

  1. オムツ又は自動排泄処理装置の排泄物受けユニット(46)と一緒に用いられる介護用陰茎固定具(2,20,30)であって、
    患者の陰茎の挿入を受け入れるために陰茎基部側開口(4a)と亀頭側開口(4b)とを備えた筒状本体(4,22)と、
    該筒状本体(4,22)の前記陰茎基部側開口(4a)から患者の下腹部に向けて延び且つ平坦な取付部(10,32)とを備えた介護用陰茎固定具。
  2. 前記介護用陰茎固定具が一枚のシート(14)から構成され、
    該シートの一端部分(14a)の幅方向両端を重ね合わせた状態で接着することにより前記筒状本体(4,22)が作られている、請求項1に記載の介護用陰茎固定具。
  3. 前記筒状本体(4,22)が、勃起に伴う陰茎の径方向の拡大を吸収する形状部分(8)を有する、請求項1又は2に記載の介護用陰茎固定具。
  4. 前記取付部(10)が平面視リップ状の形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の介護用陰茎固定具。
  5. 前記取付具(32)が平面視T字状の形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の介護用陰茎固定具。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の介護用陰茎固定具(2,20,30)と、
    該介護用陰茎固定具と一緒に用いられる前記排泄物受けユニット(46)とを含む介護装置であって、
    前記排泄物受けユニット(46)が、汚物受けトレー部(50)及び尿受けカップ部(52)からなるユニット本体(46(B))と、該ユニット本体(46(B))の周囲に広がるクッションカバー部(54)と、該クッションカバー部(54)に対して脱着可能なクッション部材(56)とを含み、
    前記クッションカバー部(54)は、患者の局部の周囲に連続して延びる漏れ防止壁(78)を有し、
    前記クッション部材(56)は、前記漏れ防止壁(78)と接する部分をL字状に切り欠いた形状の段付き部(80)を有し、
    該クッション部材(56)を前記クッションカバー部(54)に装着したとき、前記段付き部(80)が前記漏れ防止壁(78)と当接し且つ該漏れ防止壁(78)の頂面を覆う状態となることを特徴とする介護装置。
  7. 前記クッション部材(56)が防水性の表皮(56b)を有し、
    該クッション部材(56)の患者の臀部と当接する臀部当接部位(56c)の面(56d)が防水性と共に通気性を有する、請求項6に記載の介護装置。
  8. 介護用ガーター(48,110)を更に含み、
    該介護用ガーター(48,110)が、
    患者の臀部と当接するガーター本体(90)と、
    該ガーター本体(90)から左右に延びて、患者の腰に巻き付けられる一対の腰ベルト(92)と、
    前記ガーター本体(90)から下方に延びて、患者の股間を通る一対の股ベルト(96,112)と、
    前記ガーター本体(90)から斜め下方に延びて、患者の股関節の部位を通る一対の股関節ベルト(100)とを有し、
    該一対の股関節ベルト(100)が患者の下腹部で固定される、請求項6又は7に記載の介護装置。
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