JP2022184362A - 複合構造回転体の製造方法及び複合構造回転体 - Google Patents

複合構造回転体の製造方法及び複合構造回転体 Download PDF

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Abstract

【課題】クラックの影響による複合構造回転体の強度低下を抑制すること。【解決手段】複合構造ギヤ1の製造方法は、金属製環状部材7の内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の回り止め部71に、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80よりも融点が低い熱可塑性の低融点樹脂90を塗布する第1工程と、第1工程後において、金属製環状部材7及び金属製ブッシュ3を射出成形機100の金型101にセットした状態で、金属製環状部材7及び金属製ブッシュ3の間に樹脂80を流し込み、射出成形によって、金属製環状部材7、金属製ブッシュ3、及び樹脂製環状部材5を一体成形する第2工程と、第2工程後において、射出成形機100から、一体成形された金属製環状部材7、金属製ブッシュ3、及び樹脂製環状部材5を取り出し冷却する第3工程と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明の一態様は、複合構造回転体の製造方法及び複合構造回転体に関する。
複合構造回転体に関する技術として、例えば特許文献1に記載された歯車が知られている。特許文献1に記載された歯車は、外周部に歯が形成された金属製環状体(金属製環状部材)と、環状の金属製ブッシュと、金属製環状体と金属製ブッシュとを連結する樹脂製ウェブ(樹脂製環状部材)と、を備える。
特開2017-61059号公報
ここで、上述したような複合構造回転体を成形する際においては、金属により形成された金属製環状部材及び金属製ブッシュと、樹脂により形成された樹脂製ウェブとの熱収縮差によって、金属及び樹脂の接合部分においてクラックが発生することがある。クラックが発生することによって、成形された複合構造回転体の強度が低下することが問題となる。
従来、上述したクラックを抑制する技術が提案されている。例えば、成形直後の複合構造回転体に対してアニーリング処理又はキュアリング処理を行うことにより、クラックの発生を抑制する技術がある。しかしながら、このような処理については、成形後の製品が冷却される前に実施しなければならないため、そのような迅速な処理が可能となるような設備面の変更等が必要となる。また、アニールによる硬化促進・物性向上によるクラック抑制は、熱可塑性樹脂を用いた場合には期待できないため、上記処理による効果については限定的となってしまう。クラックを抑制する他の技術として、例えば、金属及び樹脂の接合部分のエッジのR面取りを行うことによりクラックの発生を抑制する技術がある。しかしながら、接合部分の形状によっては、上記のR面取りの加工が複雑となってしまう。また、このような技術によるクラック発生抑制効果は限定的である。このように、従来のクラックを抑制する技術によっては、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下を十分に抑制することができていない。
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下を抑制することを目的とする。
本発明の一態様に係る複合構造回転体の製造方法は、外周部に歯形が形成された金属製環状部材と、環状の金属製ブッシュと、金属製環状部材及び金属製ブッシュを連結する樹脂製環状部材と、を有する複合構造回転体の製造方法であって、金属製環状部材の内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第1の回り止め部に、樹脂製環状部材を構成する第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂を塗布する第1工程と、第1工程後において、金属製環状部材及び金属製ブッシュを成形機にセットした状態で、金属製環状部材及び金属製ブッシュの間に第1の樹脂を流し込み、射出成形によって、金属製環状部材、金属製ブッシュ、及び樹脂製環状部材を一体成形する第2工程と、第2工程後において、成形機から、一体成形された金属製環状部材、金属製ブッシュ、及び樹脂製環状部材を取り出し冷却する第3工程と、を備える。
本発明の一態様に係る複合構造回転体の製造方法では、射出成形によって金属製環状部材、金属製ブッシュ、及び樹脂製環状部材が一体成形される工程(第2工程)に先んじて、金属製環状部材の内周面に形成された複数の第1の回り止め部に、樹脂製環状部材を構成する第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂が塗布される工程(第1工程)が実施される。射出成形が実施される第2工程においては、金属により形成された金属製環状部材及び金属製ブッシュと、樹脂により形成された樹脂製環状部材との熱収縮差によって、金属及び樹脂の接合部分においてクラックが発生することがある。このようなクラックは、第1の樹脂が充填されるタイミングが遅い金属製環状部材側の接合部分であって、樹脂製環状部材に入り込むように突出した第1の回り止め部の周辺において、特に発生しやすい。この点、射出成形前において、第1の回り止め部に、第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂が塗布されていることにより、射出成形時に第2の樹脂が熱で溶融するため、成形後に第1の回り止め部の周辺にクラックが発生した際には、当該クラックに、溶融している第2の樹脂が浸透することとなる。この場合、その後の第3工程において冷却されることによりクラックに浸透した第2の樹脂が固化すると、クラックが第2の樹脂によって埋められることとなるので、クラックの影響によって複合構造回転体の強度が低下することを抑制できる。以上のように、本発明の一態様に係る複合構造回転体の製造方法によれば、クラックの発生を抑制するという思想ではなく、発生したクラックを埋めるという思想によって、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下を抑制することができる。
第1工程では、金属製環状部材の内周面における樹脂製環状部材と接する面の全域に、第2の樹脂を塗布してもよい。このように、金属製環状部材の内周面における樹脂製環状部材と接する面の全域に第2の樹脂が塗布されることにより、第1の樹脂の充填タイミングが遅くクラックが発生しやすい領域に第2の樹脂を塗布することができ、クラック発生時におけるクラックへの第2の樹脂の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下をより抑制することができる。
第1工程では、金属製ブッシュの外周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第2の回り止め部に、第2の樹脂を塗布してもよい。金属製環状部材と樹脂製環状部材との接合部分ほどではないものの、金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分(金属製ブッシュの外周面)においてもクラックが発生しやすい。金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分のうち、樹脂製環状部材に入り込むように突出した第2の回り止め部の周辺においては、クラックが特に発生しやすい。この点、第2の回り止め部に第2の樹脂が塗布されていることにより、金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分のうち特にクラックが発生しやすい領域に第2の樹脂を塗布することができ、クラック発生時におけるクラックへの第2の樹脂の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下をより抑制することができる。
第1工程では、金属製ブッシュの外周面における樹脂製環状部材と接する面の全域に、第2の樹脂を塗布してもよい。このように、金属製ブッシュの外周面における樹脂製環状部材と接する面の全域に第2の樹脂が塗布されることにより、金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分におけるクラック発生時におけるクラックへの第2の樹脂の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下をより抑制することができる。
本発明の一態様に係る複合構造回転体は、外周部に歯形が形成された金属製環状部材と、環状の金属製ブッシュと、金属製環状部材及び金属製ブッシュを連結する樹脂製環状部材と、を備える複合構造回転体であって、金属製環状部材は、その内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第1の回り止め部を有し、第1の回り止め部には、樹脂製環状部材を構成する第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂が塗布されている。本発明の一態様に係る複合構造回転体では、金属製環状部材の内周面に複数形成された凸状の第1回り止め部に、樹脂製環状部材を構成する第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂が塗布されている。このような複合構造回転体においては、クラックが発生しやすい第1の回り止め部に第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂が塗布されているので、成形後に第1の回り止め部の周辺にクラックが発生した場合には当該クラックに、溶融している第2の樹脂が浸透することとなり、クラックに浸透した第2の樹脂が冷却によって固化することによりクラックが第2の樹脂によって埋められることとなる。これにより、クラックの影響によって強度が低下することが抑制される。以上のように、本発明の一態様に係る複合構造回転体では、クラックの影響による強度低下が効果的に抑制される。さらに、本発明の一態様に係る複合構造回転体では、第1の樹脂と比べて融点が低く(比較的低温で溶融し)、常温付近で比較的弾性変形しやすく且つ粘性が高い第2の樹脂が、金属製環状部材の内周面の第1回り止め部に塗布されているため、振動を効果的に低減することができる。
上記複合構造回転体において、金属製環状部材の内周面における樹脂製環状部材と接する面の全域には、第2の樹脂が塗布されていてもよい。このように、金属製環状部材の内周面における樹脂製環状部材と接する面の全域に第2の樹脂が塗布されることにより、第1の樹脂の充填タイミングが遅くクラックが発生しやすい領域に第2の樹脂を塗布することができ、クラック発生時におけるクラックへの第2の樹脂の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による強度低下をより抑制することができる。
上記複合構造回転体において、金属製ブッシュは、その外周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第2の回り止め部を有し、第2の回り止め部には、第2の樹脂が塗布されていてもよい。金属製環状部材と樹脂製環状部材との接合部分ほどではないものの、金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分(金属製ブッシュの外周面)においてもクラックが発生しやすい。金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分のうち、樹脂製環状部材に入り込むように突出した第2の回り止め部の周辺においては、クラックが特に発生しやすい。この点、第2の回り止め部に第2の樹脂が塗布されていることにより、金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分のうち特にクラックが発生しやすい領域に第2の樹脂を塗布することができ、クラック発生時におけるクラックへの第2の樹脂の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による強度低下をより抑制することができる。
上記複合構造回転体において、金属製ブッシュの外周面における樹脂製環状部材と接する面の全域には、第2の樹脂が塗布されていてもよい。このように、金属製ブッシュの外周面における樹脂製環状部材と接する面の全域に第2の樹脂が塗布されることにより、金属製ブッシュと樹脂製環状部材との接合部分におけるクラック発生時におけるクラックへの第2の樹脂の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による強度低下をより抑制することができる。
本発明の一態様によれば、クラックの影響による複合構造回転体の強度低下を抑制することができる。
図1は、実施形態に係る複合構造ギヤの正面図及び断面図である。 図2は、図1の複合構造ギヤに含まれる金属製ブッシュの斜視図である。 図3は、図1の複合構造ギヤに含まれる金属製環状部材の斜視図である。 図4は、図1(a)及び図1(b)の複合構造ギヤの成形工程を説明する図である。 図5は、成形工程における低融点樹脂の塗布を説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係る複合構造ギヤ1の正面図(図1(a))、及び断面図(図1(b))である。図1(a)及び図1(b)に示されるように、複合構造ギヤ1は、樹脂及び金属からなる所謂ハイブリッドギヤであって、例えば車両用及び産業用等のギヤとして用いられる。複合構造ギヤ1は、金属製ブッシュ3と、樹脂製環状部材5と、金属製環状部材7と、を備える複合構造回転体である。複合構造ギヤ1は、例えばはすば歯車である。複合構造ギヤ1は、平歯車であってもよい。なお、図1(a)及び図1(b)においては、後述する低融点樹脂90(図5参照)の図示を省略している。ここでは、低融点樹脂90(図5参照)以外の構成について説明する。
金属製ブッシュ3は、例えば不図示の回転軸に取り付けられる部材である。図2は、図1の複合構造ギヤ1に含まれる金属製ブッシュ3の斜視図である。図1(a)及び図1(b)並びに図2に示されるように、金属製ブッシュ3は、環状である。金属製ブッシュ3は、例えばステンレス鋼等の金属で形成されている。金属製ブッシュ3には、貫通孔3hが設けられている。貫通孔3hは、金属製ブッシュ3を軸方向に貫通する。貫通孔3hには、回転軸が挿入される。金属製ブッシュ3は、その外周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の回り止め部31(第2の回り止め部)を有している。回り止め部31は、樹脂製環状部材5に入り込んでいる。回り止め部31は、金属製ブッシュ3に対する樹脂製環状部材5の回り止め及び抜け防止の機能を有する。
樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3と金属製環状部材7との間に設けられており、金属製ブッシュ3と金属製環状部材7とを連結する。樹脂製環状部材5は、例えば金属製環状部材7と金属製ブッシュ3との間を伝播する振動を減衰する部材である。振動には、複合構造ギヤ1が他の歯車と噛み合うことで発生する衝撃によるものが含まれる。樹脂製環状部材5は、その弾性変形によって振動を吸収して減衰する。樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3と同軸の環状である。樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3の周囲に設けられている。ここでの樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3の外周面に接するように設けられている。なお、金属製ブッシュ3の周囲に設けられることには、金属製ブッシュ3の周りに接するように設けられることだけでなく、金属製ブッシュ3の周りに他の部材を介して設けられることも含む。
樹脂製環状部材5は、樹脂成形により製造される。樹脂製環状部材5を構成する樹脂80(第1の樹脂)は、例えば、熱可塑性樹脂である、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリロニトリルスチレンアクリレート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、エチレンアクリル酸樹脂、エチレン酢酸ビニル、液晶ポリマー、ポリアミド、ポリブチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ペルフルオロアルコキシアルカン、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、スチレンアクリロニトリル、スチレンブタジエン、スチレンブタジエンスチレン、又はスチレンエチレンブタジエンスチレン等であってもよい。或いは、樹脂80は、例えば、熱硬化性樹脂である、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、液状シリコンゴム、フェノール樹脂、又はポリウレタンであってもよい。また、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80(第1の樹脂)は、繊維強化樹脂であってもよい。樹脂製環状部材5の端面は、金属製ブッシュ3の端面と段差なく連なる。
金属製環状部材7は、他の歯車と噛み合う部材である。図3は、図1の複合構造ギヤ1に含まれる金属製環状部材7の斜視図である。図1(a)及び図1(b)並びに図3に示されるように、金属製環状部材7は、金属製ブッシュ3と同軸の環状である。金属製環状部材7は、例えば、ステンレス鋼等の金属で形成されている。金属製環状部材7は、金属製ブッシュ3の周囲、ひいては、樹脂製環状部材5の周囲に設けられている。ここでの金属製環状部材7は、樹脂製環状部材5の外周面に接するように設けられている。なお、樹脂製環状部材5の周囲に設けられることには、樹脂製環状部材5の周りに直接接するように設けられることだけでなく、樹脂製環状部材5の周りに他の部材を介して設けられることを含む。金属製環状部材7の外周部には、歯形7aが形成されている。歯形7aは、金属製環状部材7の周方向において、所定の間隔をあけて複数形成されている。歯形7aは、回転軸に対して斜めに形成されている。
金属製環状部材7は、その内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の回り止め部71(第1の回り止め部)を有している。回り止め部71は、樹脂製環状部材5に入り込んでいる。回り止め部71は、金属製環状部材7に対する樹脂製環状部材5の回り止め及び抜け防止の機能を有する。金属製環状部材7の端面は、樹脂製環状部材5の端面と段差なく連なる。
次に、図4を参照して、複合構造ギヤ1の成形工程(製造方法)について説明する。図4は、図1(a)及び図1(b)の複合構造ギヤの成形工程を説明する図である。なお、図4においては、後述する低融点樹脂90(図5参照)に関する図示を省略している。ここでは、低融点樹脂90(図5参照)の塗布に係る工程以外の工程について説明する。図4(a)は、成形工程のフローを示している。図4(b)は射出注入前の射出成形機100を示している。
複合構造ギヤ1の成形は射出成形により行われる。射出成形機100は、図4(b)に示されるように、金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7がセットされる金型101と、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80が投入されるホッパー102と、ホッパー102に投入された樹脂80を加熱溶融するシリンダ103と、溶融した樹脂80を射出するノズル104と、を備えている。
このような射出成形機100において、図4(a)に示されるように、最初に金型101の予熱処理(ステップS1)及び型込め処理(ステップS2)が実施される。この状態においては、図4(b)に示されるように、金型101に金属製ブッシュ3がセットされると共に、金型101における金属製ブッシュ3がセットされた位置よりも外側に金属製環状部材7がセットされる。金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7がセットされた状態においては、金属製ブッシュ3の回り止め部31が金属製環状部材7に向かって延びており、金属製環状部材7の回り止め部71が金属製ブッシュ3に向かって延びている。
そして、図4(a)に示されるように、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80がホッパー102に投入され(ステップS1)、シリンダ103において樹脂80が加熱溶融され(ステップS12)、樹脂80の計量が実施される(ステップS13)。この状態においては、図4(b)に示されるように、樹脂80がノズル104から射出可能になっている。
そして、金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7が射出成形機100の金型101にセットされた状態で、金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7の間に樹脂80が流し込まれ、射出成形によって、金属製ブッシュ3、金属製環状部材7、及び樹脂製環状部材5が一体成形される(第2工程)。より詳細には、図4(a)に示されるように、樹脂80を流し込む射出処理(ステップS21)、保圧処理(ステップS22)、硬化又は固化処理(ステップS23)が順次実施される。ステップS23においては、樹脂80が熱硬化樹脂の場合には硬化処理が実施され、熱可塑樹脂の場合には固化処理が実施される。
図4(c)は射出成形中の射出成形機100を示している。図4(d)は、図4(c)の一部拡大図を示している。図4(c)に示されるように、ノズル104から射出注入された樹脂80は、金型101内の流路101aを通過する。そして、図4(d)に示されるように、樹脂80は、円周上のディスクゲート101bから金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7の間の領域に流れ込み、金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7の間の領域に充填される。樹脂80は、例えば、金属製ブッシュ3の外周面(回り止め部31の領域を含む)の全域、及び、金属製環状部材7の内周面(回り止め部71の領域を含む)の全域に接するように充填される。
射出成形による一体成形が完了すると、図4(a)に示されるように、射出成形機100から、一体成形された金属製ブッシュ3、金属製環状部材7、及び樹脂80によって構成される樹脂製環状部材5が取り出され、これらが自然冷却される(ステップS31,第3工程)。最後に、必要に応じてアニーリング処理又はキュアリング処理が実施される。例えば、樹脂80が熱硬化樹脂である場合には、アニーリング処理が実施される(ステップS41)。
ここで、上述した成形工程においては、金属により形成されている金属製ブッシュ3及び金属製環状部材7と、樹脂により整形されている樹脂製環状部材5との熱収縮差によって、金属及び樹脂の接合部分においてクラックが発生することがある。すなわち、金属製ブッシュ3と樹脂製環状部材5との接合部分、及び、金属製環状部材7と樹脂製環状部材5との接合部分において、クラックが発生することがある。クラックが発生することによって、成形された複合構造ギヤ1の強度が低下するおそれがある。
上述した課題を解決すべく、本実施形態に係る複合構造ギヤ1の成形工程(製造方法)では、射出成形(上述した第2工程)の前において、クラックが発生しやすい金属及び樹脂の接合部分に、樹脂80よりも融点が低い熱可塑性の低融点樹脂90(第2の樹脂)を塗布する。低融点樹脂90を塗布する理由については後述する。低融点樹脂90は、例えば、アクリロニトリルプタジエンスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリビニルクロライド等であってもよく、樹脂80の耐熱性に応じて適宜選択される。低融点樹脂90は、例えば数mm程度の厚さで塗布される。
具体的には、射出成形の前において、少なくとも、金属製環状部材7の回り止め部71に、上述した低融点樹脂90を塗布する(第1工程)。好ましくは、第1工程では、金属製環状部材7の内周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に、低融点樹脂90を塗布する。更に好ましくは、第1工程では、金属製ブッシュ3の回り止め部31に低融点樹脂90を塗布する。更に好ましくは、第1工程では、金属製ブッシュ3の外周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に、低融点樹脂90を塗布する。
図5は、成形工程における低融点樹脂90の塗布を説明する図である。図5(a)では、第1工程において、金属製環状部材7の内周面の全域(回り止め部71を含む)に低融点樹脂90が塗布されると共に、金属製ブッシュ3の外周面の全域(回り止め部31を含む)に低融点樹脂90が塗布された状態で、射出成形(第2工程)が実施された例を示している。この場合、射出成形(第2工程)が完了した状態において、金属製環状部材7の内周面における樹脂80(樹脂製環状部材5)と接する面の全域、及び、金属製ブッシュ3の外周面における樹脂80(樹脂製環状部材5)と接する面の全域に、低融点樹脂90が塗布されていることとなる。
図5(b)は、図5(a)の一部拡大図であり、射出成形(第2工程)後における回り止め部71の周辺の状態を示している。いま、回り止め部71を含む金属製環状部材7の内周面の全域には低融点樹脂90が塗布されており、低融点樹脂90と樹脂80(樹脂製環状部材5)とが接しているとする。ここで、射出成形時には、低融点樹脂90が熱で溶融している。そのため、図5(c)に示されるように、射出成形後に、回り止め部71周辺の樹脂80(樹脂製環状部材5)においてクラック300が発生すると、当該クラック300に、溶融している低融点樹脂90が浸透することとなる。この場合、その後の第3工程において複合構造ギヤ1が冷却されると、クラック300に浸透した低融点樹脂90が固化し、クラック300が低融点樹脂90によって埋められることとなる。これによって、クラック300が生じた場合であっても、クラック300の影響によって複合構造ギヤ1の強度が低下することを効果的に抑制することができる。
このようにして形成される複合構造ギヤ1では、金属製環状部材7の回り止め部71には、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80よりも融点が低い熱可塑性の低融点樹脂90が塗布されている。好ましくは、複合構造ギヤ1では、金属製環状部材7の内周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に低融点樹脂90が塗布されている。更に好ましくは、複合構造ギヤ1では、金属製ブッシュ3の回り止め部31に低融点樹脂90が塗布されている。更に好ましくは、複合構造ギヤ1では、金属製ブッシュ3の外周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に低融点樹脂90が塗布されている。
次に、本実施形態に係る複合構造ギヤ1の製造方法の作用効果について説明する。
本実施形態に係る複合構造ギヤ1の製造方法は、外周部に歯形7aが形成された金属製環状部材7と、環状の金属製ブッシュ3と、金属製環状部材7及び金属製ブッシュ3を連結する樹脂製環状部材5と、を有する複合構造ギヤ1の製造方法であって、金属製環状部材7の内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の回り止め部71に、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80よりも融点が低い熱可塑性の低融点樹脂90を塗布する第1工程と、第1工程後において、金属製環状部材7及び金属製ブッシュ3を射出成形機100の金型101にセットした状態で、金属製環状部材7及び金属製ブッシュ3の間に樹脂80を流し込み、射出成形によって、金属製環状部材7、金属製ブッシュ3、及び樹脂製環状部材5を一体成形する第2工程と、第2工程後において、射出成形機100から、一体成形された金属製環状部材7、金属製ブッシュ3、及び樹脂製環状部材5を取り出し冷却する第3工程と、を備える。
本実施形態に係る複合構造ギヤ1の製造方法では、射出成形によって金属製環状部材7、金属製ブッシュ3、及び樹脂製環状部材5が一体成形される工程(第2工程)に先んじて、金属製環状部材7の内周面に形成された複数の回り止め部71に、樹脂製環状部材5を構成する樹脂80よりも融点が低い熱可塑性の低融点樹脂90が塗布される工程(第1工程)が実施される。射出成形が実施される第2工程においては、金属により形成された金属製環状部材7及び金属製ブッシュ3と、樹脂により形成された樹脂製環状部材5との熱収縮差によって、金属及び樹脂の接合部分においてクラックが発生することがある。このようなクラックは、樹脂80が充填されるタイミングが遅い(外側に配置されているため、充填タイミングが遅い)、金属製環状部材7側の接合部分であって、樹脂製環状部材5に入り込むように突出した回り止め部71の周辺において、特に発生しやすい。この点、射出成形前において、回り止め部71に、低融点樹脂90が塗布されていることにより、射出成形時に低融点樹脂90が熱で溶融するため、成形後に回り止め部71の周辺にクラックが発生した際には、当該クラックに、溶融している低融点樹脂90樹脂が浸透することとなる(図5(c)参照)。この場合、その後の第3工程において冷却されることによりクラックに浸透した低融点樹脂90が固化すると、クラックが低融点樹脂90によって埋められることとなるので、クラックの影響によって複合構造ギヤ1の強度が低下することを抑制できる。以上のように、本実施形態に係る複合構造ギヤ1の製造方法によれば、クラックの影響による複合構造ギヤ1の強度低下を抑制することができる。
上述した第1工程では、金属製環状部材7の内周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に、低融点樹脂90を塗布してもよい。このように、金属製環状部材7の内周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に低融点樹脂90が塗布されることにより、樹脂80の充填タイミングが遅くクラックが発生しやすい領域に低融点樹脂90を塗布することができ、クラック発生時におけるクラックへの低融点樹脂90の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による複合構造ギヤ1の強度低下をより抑制することができる。
上述した第1工程では、金属製ブッシュ3の外周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の回り止め部31に、低融点樹脂90を塗布してもよい。金属製環状部材7と樹脂製環状部材5との接合部分ほどではないものの、金属製ブッシュ3と樹脂製環状部材5との接合部分(金属製ブッシュ3の外周面)においてもクラックが発生しやすい。金属製ブッシュ3と樹脂製環状部材5との接合部分のうち、樹脂製環状部材5に入り込むように突出した回り止め部31の周辺においては、クラックが特に発生しやすい。この点、回り止め部31に低融点樹脂90が塗布されていることにより、金属製ブッシュ3と樹脂製環状部材5との接合部分のうち特にクラックが発生しやすい領域に低融点樹脂90を塗布することができ、クラック発生時におけるクラックへの低融点樹脂90の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による複合構造ギヤ1の強度低下をより抑制することができる。
上述した第1工程では、金属製ブッシュ3の外周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に、低融点樹脂90を塗布してもよい。このように、金属製ブッシュ3の外周面における樹脂製環状部材5と接する面の全域に低融点樹脂90が塗布されることにより、金属製ブッシュ3と樹脂製環状部材5との接合部分におけるクラック発生時におけるクラックへの低融点樹脂90の浸透をより適切に促すことができる。このことで、クラックの影響による複合構造ギヤ1の強度低下をより抑制することができる。
1…複合構造ギヤ、3…金属製ブッシュ、5…樹脂製環状部材、7…金属製環状部材、7a…歯形、31…回り止め部(第2の回り止め部)、71…回り止め部(第2の回り止め部)、80…樹脂(第1の樹脂)、90…低融点樹脂(第2の樹脂)、100…射出成形機(成形機)。

Claims (8)

  1. 外周部に歯形が形成された金属製環状部材と、環状の金属製ブッシュと、前記金属製環状部材及び前記金属製ブッシュを連結する樹脂製環状部材と、を有する複合構造回転体の製造方法であって、
    前記金属製環状部材の内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第1の回り止め部に、前記樹脂製環状部材を構成する第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂を塗布する第1工程と、
    前記第1工程後において、前記金属製環状部材及び前記金属製ブッシュを成形機にセットした状態で、前記金属製環状部材及び前記金属製ブッシュの間に前記第1の樹脂を流し込み、射出成形によって、前記金属製環状部材、前記金属製ブッシュ、及び前記樹脂製環状部材を一体成形する第2工程と、
    前記第2工程後において、前記成形機から、一体成形された前記金属製環状部材、前記金属製ブッシュ、及び前記樹脂製環状部材を取り出し冷却する第3工程と、を備える複合構造回転体の製造方法。
  2. 前記第1工程では、前記金属製環状部材の前記内周面における前記樹脂製環状部材と接する面の全域に、前記第2の樹脂を塗布する、請求項1記載の複合構造回転体の製造方法。
  3. 前記第1工程では、前記金属製ブッシュの外周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第2の回り止め部に、前記第2の樹脂を塗布する、請求項1又は2記載の複合構造回転体の製造方法。
  4. 前記第1工程では、前記金属製ブッシュの前記外周面における前記樹脂製環状部材と接する面の全域に、前記第2の樹脂を塗布する、請求項3記載の複合構造回転体の製造方法。
  5. 外周部に歯形が形成された金属製環状部材と、環状の金属製ブッシュと、前記金属製環状部材及び前記金属製ブッシュを連結する樹脂製環状部材と、を備える複合構造回転体であって、
    前記金属製環状部材は、その内周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第1の回り止め部を有し、
    前記第1の回り止め部には、前記樹脂製環状部材を構成する第1の樹脂よりも融点が低い熱可塑性の第2の樹脂が塗布されている、複合構造回転体。
  6. 前記金属製環状部材の前記内周面における前記樹脂製環状部材と接する面の全域には、前記第2の樹脂が塗布されている、請求項5記載の複合構造回転体。
  7. 前記金属製ブッシュは、その外周面において周方向に所定の間隔をあけて複数形成された凸状の第2の回り止め部を有し、
    前記第2の回り止め部には、前記第2の樹脂が塗布されている、請求項5又は6記載の複合構造回転体。
  8. 前記金属製ブッシュの前記外周面における前記樹脂製環状部材と接する面の全域には、前記第2の樹脂が塗布されている、請求項7記載の複合構造回転体。
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