JP2016068652A - 電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 射出成形機の金型内に中子を配置せずに環状部材内に適切な空隙部を形成することが可能な電動式パワーステアリング装置用ウォームホイールおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 外縁部の周方向にわたって複数の歯が設置された合成樹脂製の環状部材12と、環状部材12の内縁側に固定された金属製の芯部材13と、を備える電動式パワーステアリング装置用のウォームホイール1であって、環状部材12は、径方向寸法が他の部分の該寸法よりも大である厚肉部16aを有する。
【選択図】図1
【解決手段】 外縁部の周方向にわたって複数の歯が設置された合成樹脂製の環状部材12と、環状部材12の内縁側に固定された金属製の芯部材13と、を備える電動式パワーステアリング装置用のウォームホイール1であって、環状部材12は、径方向寸法が他の部分の該寸法よりも大である厚肉部16aを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電動式パワーステアリング装置の減速機を構成するウォームホイールとその製造方法に関する。
自動車用のパワーステアリング装置は、従来の油圧式から燃料消費量低減に資する電動式への置き換えが進展している。とりわけ、小型自動車用の電動式パワーステアリングの減速機用ウォームホイールは、軽量化および低騒音を図った合成樹脂製のものが採用されてきている。また、前記ウォームホイールの歯には、該歯間の周方向にバックラッシと呼ばれる余裕代が一般的に設けられる。該バックラッシが設けられることで、減速機を構成するウォームとウォームホイールとの相互の歯の噛み合わせを良好なものとし、ウォームおよびウォームホイールの回転を円滑なものとすることができる。
前記バックラッシ量が大きいときは、ウォームホイールが回転方向にバックラッシ分変位するため、ウォームホイールの歯とウォーム歯とが衝突する。この際の歯打ち音が、自動車の室内の騒音要因となる。一方、前記バックラッシ量が小さいときは、前記歯打ち音は抑制されるものの、ウォームホイールの歯とウォーム歯との噛合面の摩擦抵抗が増加する。該摩擦抵抗の増加により、ウォームおよびウォームホイールの回転に負荷が生じ、操舵が困難となるおそれがある。
図5は、特許文献1により開示されているウォームホイールの要部における拡大断面図である。ウォームホイール90は、外縁部の周方向にわたって複数の歯91が設置された合成樹脂製の環状部材92と、金属製の芯部材93からなる。芯部材93は環状部材92の内縁部に固定され、環状部材92と芯部材93とがウォームホイール90の回転軸に対し直交する同一平面上に配置されている。環状部材92は、複数の空隙部94を有している。歯91にウォーム歯からの外力が作用した場合、空隙部94が収縮変形するため、歯91の歯間に微小な開きが生じる。ゆえに、歯91のバックラッシ量を小さくしても、該作用により歯91とウォーム歯との噛合面の摩擦抵抗が低減される。以上より、空隙部94を形成することにより、歯打ち音抑制による自動車の室内の騒音低減と、ウォームおよびウォームホイールの円滑な回転確保による操舵労力の負担軽減との両立を図ることができる。
しかしながら、空隙部94を形成するためには、射出成形機の金型内に中子を配置の上、溶融された合成樹脂材料を射出充填する方法が開示されている。該開示方法では、合成樹脂材料の射出充填において該合成樹脂の充填圧力により中子が破損し、空隙部94の未形成といった不具合が発生するおそれがある。
本発明は上記事情に鑑み、射出成形機の金型内に中子を配置せずに環状部材内に適切な空隙部を形成することが可能な電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールおよびその製造方法を提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供される電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールは、外縁部の周方向にわたって複数の歯が設置された合成樹脂製の環状部材と、前記環状部材の内縁部に固定された金属製の芯部材と、を備える電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールであって、前記環状部材は、径方向寸法が他の部分の該寸法よりも大である厚肉部を有することを特徴としている。
本発明の第2の側面によって提供される電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールの製造方法は、金属製の芯部材を周方向にわたって歯型が設置された射出成形機の金型内に配置する工程と、前記芯部材と前記金型とによって形成された空間内に溶融された合成樹脂材料を射出充填する工程と、前記合成樹脂材料を固化させる工程と、を備える電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールの製造方法であって、前記固化させる工程において、前記芯部材を前記金型の径方向に移動させる工程を含むことを特徴としている。
本発明の第1の側面によれば、前記ウォームホイールの前記環状部材の厚肉部に集中して、気泡からなる空隙部が形成される。該気泡は、本発明の第2の側面である前記ウォームホイールの製造方法のうち、溶融された前記合成樹脂材料を固化させる工程において、前記芯部材を前記金型の径方向に移動させることで発生させることが可能である。前記気泡の発生により、前記空隙部を容易かつ確実に形成することができる。これにより、前記空隙部の形成にあたって中子は不要となる。したがって、騒音低減と、操舵労力の負担軽減との両立を図りつつ、中子破損等の該空隙部の未形成といった不具合を回避することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の実施形態に係るウォームホイールについて、添付図面を参照して以下のとおり説明する。
図1は、本発明に係るウォームホイールの一例を示している。本実施形態のウォームホイール1は、ウォーム2と組み合わされることにより、操舵輪(図示略)の回転に応じて、前記操舵輪に連結された操舵軸(図示略)のトルクの増大を図る減速機として機能する。前記操舵輪を回転することによって前記操舵軸に加わるトルクをセンサ(図示略)が検出する。前記センサの検出結果、自動車の走行速度および前記操舵輪の回転角等に基づいて駆動する操舵補助用モータ(図示略)が駆動する。前記モータの回転はウォーム軸22に伝達され、ウォーム2が前記モータと連動して回転する。ウォーム歯21と歯11とが噛み合うことで、ウォーム2の回転力がウォームホイール1に伝達される。そして、ウォームホイール1はウォームホイール中心O1周りに減速回転する。前記操舵軸はウォームホイール1の芯部材13に設けられた貫通孔14と嵌合し、ウォームホイール1の減速回転によって増大されたトルクが操舵軸に伝達されるため、運転者の操舵労力の負担軽減が図られる。
本実施形態のウォームホイール1は、環状部材12と芯部材13とを備えている。
環状部材12は、たとえばポリアミド樹脂による合成樹脂製であり、外縁部の周方向にわたって歯11が複数設置されている。また、環状部材12の径方向には、径方向寸法T1の厚肉部16aと、径方向寸法T2の薄肉部16bがそれぞれ形成されている。径方向寸法T1は、径方向寸法T2よりも大である関係である。厚肉部16aに集中して、後述するウォームホイール1の製造方法によって発生する気泡からなる複数の空隙部15が互いに離間して形成されていることを特徴とする。空隙部15を含む厚肉部16aを主体とした環状部材12の略扇形の領域を、便宜上、空隙部形成領域VAと定義する。
芯部材13は、たとえば軟鋼による金属製であり、環状部材12の内縁部に固定されている。環状部材12および芯部材13は、ウォームホイール1の回転軸に対し直交する同一平面上に配置されている。芯部材13の略中央に、貫通孔14が設けられている。貫通孔14において、ウォームホイール1と操舵軸とを嵌合させることで、ウォームホイール1のトルクが操舵軸に伝達される。貫通孔14の中心は、芯部材13と同一中心ではなく、芯部材13の中心から離間しているため、貫通孔14は芯部材13に対し偏心している。これに対し、操舵軸の回転軸位置とウォームホイール中心O1とは一致することから、貫通孔14の中心は、ウォームホイール中心O1と同一中心となっている。
本実施形態においては、さらに、空隙部形成領域VAに属する歯11のバックラッシ量を小さくし、自動車の直進状態時に空隙部形成領域VAに属する歯11とウォーム歯21とが噛合するようにウォームホイール1および操舵輪の回転方向位置を設定することができる。
次に、本発明の実施形態に係るウォームホイールの製造方法について、添付図面を参照して以下のとおり説明する。
上述したウォームホイール1は、射出成形により製造されることが意図されており、図2に示される工程に基づいて製造される。本製造方法は、芯部材13を射出成形機の金型3内に配置する工程と、環状部材12を形成する溶融された合成樹脂材料を射出充填する工程と、前記合成樹脂材料を固化させる工程とを備える。前記合成樹脂を固化させる工程には、芯部材13を金型3の径方向に移動させる工程が含まれることを特徴とする。
図3は、芯部材13を金型3内に配置する工程を示している。金型3は、射出成形機の一部を構成する。金型3は、略円盤状の内部空間を有しており、周方向にわたって歯型31が複数設置されている。芯部材13には、貫通孔14が予め設けられている。芯部材13を、該中心と金型中心03とが略一致するように配置する。
次いで、金型3内に溶融された合成樹脂材料を射出充填する。前記合成樹脂材料は、金型3と芯部材13とによって形成された空間内に充填される。
図4は、芯部材13を金型3の径方向に移動させる工程を示している。合成樹脂材料を射出充填する工程が完了後、前記合成樹脂材料が固化するまでの間の好ましいタイミングで、芯部材13を金型3の径方向(移動方向A)へ移動させ、貫通孔14の中心と金型中心O3とを一致させる。芯部材13を移動させることにより、環状部材12の径方向に、厚肉部16a(径方向寸法T1)と薄肉部16b(径方向寸法T2)がそれぞれ形成される。そして、厚肉部16aに集中して気泡が発生し、空隙部15が形成される。金型3内においては、芯部材13の移動に伴い、厚肉部16aを形成する合成樹脂材料に作用する圧力が、環状部材12の他の部分を形成する前記合成樹脂材料に作用する圧力よりも低くなる。このため、厚肉部16aに集中して気泡が発生する。
芯部材13を金型3の径方向に移動させる手段として、たとえば、金型3内に設置された可動軸を貫通孔14に嵌合し、可動軸を油圧等により作動させる方法が挙げられる。
次に、ウォームホイール1およびその製造方法の作用について説明する。
本実施形態によれば、ウォームホイール1の環状部材12の厚肉部に集中して、気泡からなる空隙部15が形成される。該気泡は、ウォームホイール1の製造方法のうち、合成樹脂材料を固化させる工程に含まれる、芯部材13を射出成形機の金型3の径方向に移動させること工程により発生する。該気泡の発生により、空隙部15を容易かつ確実に形成することができる。したがって、本製造方法により、空隙部15の形成の際に中子が不要となるため、中子破損等の空隙部15の未形成といった不具合を回避できる。
図1に示すように、歯11とウォーム歯21とが噛み合った際に、空隙部15が収縮変形するため、歯11の歯間に微小な開きが生じる。ゆえに、歯11のバックラッシ量を小さくしても、該作用により歯11とウォーム歯21との噛合面の摩擦抵抗が低減される。空隙部15の形成により、歯打ち音抑制による自動車の室内の騒音低減と、ウォーム2およびウォームホイール1の円滑な回転確保による操舵労力の負担軽減との両立という効果が得られる。
さらに、本実施形態においては、図1に示す空隙部形成領域VAに属する歯11のバックラッシ量を小さくし、自動車の直進状態時に歯11とウォーム歯21とが噛合するようにウォームホイール1および操舵輪の回転方向位置を設定されている。これにより、操舵輪の通常操作の大半を占める略直進操舵時にて、上述の効果が得られる。
本発明に係るウォームホイールおよびその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るウォームホイールおよびその製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
1:ウォームホイール
11:歯
12:環状部材
13:芯部材
14:貫通孔
15:空隙部
16a:厚肉部
16b:薄肉部
O1:ウォームホイール中心
T1,T2:径方向寸法
VA:空隙部形成領域
2:ウォーム
3:金型
31:歯型
O3:金型中心
A:移動方向
11:歯
12:環状部材
13:芯部材
14:貫通孔
15:空隙部
16a:厚肉部
16b:薄肉部
O1:ウォームホイール中心
T1,T2:径方向寸法
VA:空隙部形成領域
2:ウォーム
3:金型
31:歯型
O3:金型中心
A:移動方向
Claims (2)
- 外縁部の周方向にわたって複数の歯が設置された合成樹脂製の環状部材と、
前記環状部材の内縁側に固定された金属製の芯部材と、を備える電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールであって、
前記環状部材は、径方向寸法が他の部分の該寸法よりも大である厚肉部を有することを特徴とする、電動式パワーステアリング装置用のウォームホイール。 - 金属製の芯部材を、周方向にわたって複数の歯型が設置された射出成形機の金型内に配置する工程と、
前記芯部材と前記金型とによって形成された空間内に溶融された合成樹脂材料を射出充填する工程と、
前記合成樹脂材料を固化させる工程と、を備える電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールの製造方法であって、
前記固化させる工程において、前記芯部材を前記金型の径方向に移動させる工程を含むことを特徴とする、電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールの製造方法。
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JP2014197838A JP2016068652A (ja) | 2014-09-29 | 2014-09-29 | 電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールおよびその製造方法 |
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JP2014197838A Pending JP2016068652A (ja) | 2014-09-29 | 2014-09-29 | 電動式パワーステアリング装置用のウォームホイールおよびその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
KR20200094359A (ko) * | 2019-01-30 | 2020-08-07 | 현대모비스 주식회사 | 전동파워 스티어링 장치 |
-
2014
- 2014-09-29 JP JP2014197838A patent/JP2016068652A/ja active Pending
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KR102537011B1 (ko) | 2019-01-30 | 2023-05-26 | 현대모비스 주식회사 | 전동파워 스티어링 장치 |
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