JP2022182867A - 繊維用難燃加工剤及び繊維製品 - Google Patents

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Kimiyuki Suesada
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Abstract

【課題】繊維材料に対して優れた難燃性及び繊維収束性を付与可能な繊維用難燃加工剤を開示する。【解決手段】アミド樹脂(A)と、ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(B)と、を含む、繊維用難燃加工剤。【選択図】なし

Description

本願は繊維用難燃加工剤及び繊維製品を開示する。
自動車用シート材や鉄道車両用シート材等の車両用シート材や弱電分野の不織布・フェルト等の繊維製品には難燃性が求められる場合がある。繊維製品に難燃性を付与する難燃加工においては、例えば、難燃剤としてのハロゲン系化合物やノンハロゲン系化合物とともに、当該難燃剤を繊維に付着させるためのバインダー成分としての樹脂等が用いられる。
例えば、特許文献1には、合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を官能基含有有機ケイ素樹脂で被覆したノンハロゲン系難燃剤の1種又は2種以上を1~300質量部添加してなる車両内装材用コーティング組成物が開示されている。また、特許文献2には、アクリル系樹脂エマルジョン及びウレタン樹脂エマルジョンから選ばれる少なくとも1種の樹脂エマルジョン(a)、ポリエステル樹脂エマルジョン(b)、液状リン系難燃剤(c)、並びに芳香族基を有する界面活性剤(d)を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物が開示されている。
特開2006-028488号公報 特開2018-058916号公報
特許文献1及び2に開示された技術においては、繊維製品において優れた難燃性及び繊維収束性を確保し難い問題があった。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
アミド樹脂(A)と、
ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(B)と、
を含む、繊維用難燃加工剤
を開示する。
本開示の繊維用難燃加工剤において、前記アミド樹脂(A)に対する前記難燃剤(B)の質量比(B/A)が0.01以上100以下であってもよい。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
アミド樹脂(A)と、
ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(B)と、
が付着した、繊維製品
を開示する。
本開示の繊維製品において、前記アミド樹脂(A)に対する前記難燃剤(B)の質量比(B/A)が0.01以上100以下であってもよい。
本開示の繊維製品は、車両用シート材、弱電用不織布又は弱電用フェルトであってもよい。
本開示の技術によれば、繊維製品において優れた難燃性及び繊維収束性を確保し易い。
1.繊維用難燃加工剤
本開示の繊維用難燃加工剤は、アミド樹脂(A)と、難燃剤(B)とを含む。難燃剤(B)は、ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。このように、難燃加工剤において難燃剤(B)とともにアミド樹脂(A)を併用することで、難燃加工後の繊維製品において優れた難燃性及び繊維収束性を確保し易く、また、摩擦堅牢度も確保し易い。
1.1 アミド樹脂(A)
アミド樹脂(A)は、例えば、ポリカルボン酸(A1)に由来する構成単位とポリアミン(A2)に由来する構成単位とを有するものであってよく、ポリカルボン酸(A1)とポリアミン(A2)とを脱水縮合させることによって得られたものであってよい。本開示の繊維用難燃加工剤においては、アミド樹脂が1種のみ用いられてもよいし、2種以上のアミド樹脂が混合されて用いられてもよい。
1.1.1 ポリカルボン酸(A1)
ポリカルボン酸(A1)としては、アミド樹脂を構成可能な公知のポリカルボン酸をいずれも採用可能である。ポリカルボン酸(A1)は、カルボキシル基を2つ以上有するものであればよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、その両方であってもよく、また、脂環式化合物であってもよい。
例えば、ポリカルボン酸(A1)として、炭素数2以上30以下のジカルボン酸を用いてもよい。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸等の炭素数2以上20以下の脂肪族ジカルボン酸を用いてもよいし、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β-フェニルグルタル酸、α-フェニルアジピン酸、β-フェニルアジピン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ビス(4-カルボキシフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メトキシカルボニルフェノキシ)エタン、6,6’-(エチレンジオキシ)ビス-2-ナフトエ酸、1,6-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ヘキサン等の炭素数8以上30以下の芳香族ジカルボン酸を用いてもよいし、1,2-又は1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジ酢酸、ジシクロヘキシル-4,4’-ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸等の炭素数7以上30以下の脂環式のジカルボン酸を用いてもよい。また、スルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホイソフタル酸等のスルホン酸塩基を有する二塩基酸を用いてもよい。
中でも、ポリカルボン酸(A1)として、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のうちの少なくとも1つ、特に、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のうちの少なくとも1つを用いた場合に、一層優れた難燃性が発揮され、繊維収束性(耐ホツレ性)が高く、摩擦堅牢度への悪影響も少ない。
また、ポリカルボン酸(A1)としてダイマー酸を用いてもよい。すなわち、二重結合を有する脂肪族モノカルボン酸(例えば、植物性不飽和脂肪酸)を加熱・重合させた高分子量の二塩基酸を用いてもよい。ダイマー酸の炭素数は、例えば、24以上44以下であってもよい。
アミド樹脂(A)において、ポリカルボン酸(A1)に由来する単位は、上記のポリカルボン酸(A1)の酸クロリドを用いて構成されてもよいし、上記のポリカルボン酸(A1)の塩を用いて構成されてもよいし、或いは、上記ポリカルボン酸(A1)のメチル、エチル及びフェニルエステル等を用いて構成されてもよい。
1.1.2 ポリアミン(A2)
ポリアミン(A2)としては、アミド樹脂を構成可能な公知のポリアミンをいずれも採用可能である。ポリアミンは、アミノ基を2つ以上有するものであればよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、その両方であってもよく、また、脂環式化合物であってもよい。
例えば、ポリアミン(A2)として、炭素数2以上30以下のジアミンを用いてもよい。具体的には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン等の炭素数2以上22以下の脂肪族ジアミンを用いてもよいし、p-フェニレンジアミン、2,4-又は2,6-トルイレンジアミン、2,2-ビス(4,4’-ジアミノフェニル)プロパン、4-アミノベンジルアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピルベンゼン)、ビス(アミノブチル)ベンゼン等の炭素数6以上30以下の芳香族ジアミンを用いてもよいし、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、1,8-メンタンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシル又は2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等の炭素数5以上20以下の脂環式のジアミンを用いてもよい。或いは、ポリアミン(A2)としてダイマージアミン(例えば、上記のダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に置換したもの)を用いてもよい。或いは、ポリアミン(A2)として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン等のポリアミンを用いてもよいし、ジ第一級アミン及びモノカルボン酸から誘導されるアミドアミンを用いてもよいし、ジ第一級アミンのモノケチミン等のアミン誘導体を用いてもよいし、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、1,1’-エチレンジヒドラジン、1,1’-トリメチレンジヒドラジン、1,1’-(1,4-ブチレン)ジヒドラジン等のヒドラジン誘導体を用いてもよい。
中でも、ポリアミン(A2)として、ジエチレントリアミン及びヘキサメチレンジアミンのうちの少なくとも1つを用いた場合に、優れた難燃性が発揮され、繊維収束性(耐ホツレ性)が高く、摩擦堅牢度への悪影響も少ない。
1.1.3 ポリカルボン酸/ポリアミン比率
アミド樹脂(A)において、ポリカルボン酸(A1)に由来する構成単位とポリアミン(A2)に由来する構成単位とのモル比(A1/A2)は、例えば、0.5以上2.0以下であってよい。特に、モル比(A1/A2)が0.8以上1.2以下である場合に、一層優れた繊維収束性(耐ホツレ性)が確保され易い。
1.1.4 その他の物性
アミド樹脂(A)の酸価やアミン価は特に限定されるものではない。アミド樹脂(A)の末端基はカルボキシル基であってもよいし、アミノ基であってもよいし、その他の基であってもよい。また、アミド樹脂(A)の分子量についても特に限定されるものではない。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるアミド樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上であり、また、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下である。また、GPC法によるアミド樹脂(A)の数平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは400以上であり、また、好ましくは12,000以下、より好ましくは6,000以下である。
1.2 難燃剤(B)
難燃剤(B)は、ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。本開示の繊維用難燃加工剤においては、難燃剤が1種のみ用いられてもよいし、2種以上の難燃剤が混合されて用いられてもよい。本開示の繊維用難燃加工剤においては、上記(B1)~(B4)に係る難燃剤(B)に加えて、これ以外の難燃剤が含まれてもよい。
1.2.1 ハロゲン系化合物(B1)
ハロゲン系化合物(B1)としては、難燃剤としての機能を発揮し得る公知のハロゲン系化合物をいずれも採用可能である。例えば、ハロゲン系化合物(B1)として、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、デカブロモジフェニルエーテル、ビスペンタブロモフェニルエタン、ポリ臭化スチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の臭素系化合物が用いられてもよい。これらの中でも、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレートを用いた場合に優れた難燃性が確保され易い。
1.2.2 リン系化合物(B2)
リン系化合物(B2)としては、難燃剤としての機能を発揮し得る公知のリン系化合物をいずれも採用可能である。例えば、リン系化合物(B2)として、下記一般式(1)~(5)で表される化合物が用いられてもよいし、リン酸化合物が用いられてもよい。
Figure 2022182867000001
上記一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基を有していてもよいフェニル基、炭素数1~4のアルキル基を有していてもよいナフチル基又は炭素数1~4のアルキル基を有していてもよいビフェニル基を表し、Eは直接結合、-O-又は-N(H)-を表し、aは1又は2を表し、bは0又は1を表す。
Figure 2022182867000002
上記一般式(2)において、Rはベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基又は下記一般式(6)で表される基を表す。
Figure 2022182867000003
上記一般式(6)において、Rは炭素数1~10のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。
Figure 2022182867000004
上記一般式(3)において、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、cは1~5の整数を表す。
Figure 2022182867000005
上記一般式(4)において、R10及びR11はそれぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基を表し、R12はビフェニル基又はナフチル基を表す。
Figure 2022182867000006
上記一般式(5)において、R13~R16はそれぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基を表す。
(一般式(1)の化合物)
一般式(1)で表される化合物としては、トリフェニルホスフェート(融点50℃)、ナフチルジフェニルホスフェート(融点61℃)、ジナフチルフェニルホスフェート、トリナフチルホスフェート(融点111℃)、ビフェニルジフェニルホスフェート(20℃で液状)、トリクレジルホスフェート(20℃で液状)、トリキシレニルホスフェート(20℃で液状)、フェノキシエチルジフェニルホスフェート(融点80℃)、エチルヘキシルジフェニルホスフェート(20℃で液状)、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート(20℃で液状)、ジ(フェノキシエチル)フェニルホスフェート、フェノキシエチルジナフチルホスフェート、ジ(フェノキシエチル)ナフチルホスフェート、ナフトキシエチルジフェニルホスフェート、ジ(ナフトキシエチル)フェニルホスフェート、ナフトキシエチルジナフチルホスフェート、ジ(ナフトキシエチル)ナフチルホスフェート、アニリノジフェニルホスフェート(融点130℃)、ジアニリノフェニルホスフェート、トリアニリノホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド(融点157℃)等が挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチルジフェニルホスフェート(融点80℃)、アニリノジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド及びトリキシレニルホスフェート(20℃で液状)のうちの少なくとも一つを用いた場合に優れた難燃性が確保され易い。
(一般式(2)の化合物)
一般式(2)で表される化合物としては、10-ベンジル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(融点115℃)、10-(4-メチルベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-フェネチル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(1-ナフチルメチル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(2-ナフチルメチル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、ブチル[3-(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド-10-イル)メチル]スクシンイミド、フェニル[3-(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド-10-イル)メチル]スクシンイミド、ベンジル[3-(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド-10-イル)メチル]スクシンイミド(融点143℃)等が挙げられる。これらの中でも、10-ベンジル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイドを用いた場合に優れた難燃性が確保され易い。
(一般式(3)の化合物)
一般式(3)において、Rで表されるアリーレン基は置換基を有していてもよく、かかる置換基の例としては、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基等が挙げられ、またアリーレン基の例としてはフェニレン基、ビフェニレン基、メチレンビスフェニレン基、ジメチルメチレンビスフェニレン基、スルホンビスフェニレン基等が挙げられる。一般式(3)で表される化合物としては、レゾルシノールジ-2,6-キシレニルホスフェート(融点95℃)、レゾルシノールジフェニルホスフェート(20℃で液状)、ハイドロキノンジ-2,6-キシレニルホスフェート、4,4´-ビフェノールジ-2,6-キシレニルホスフェート、4,4´-ビフェノールジフェニルホスフェート、4,4´-ビフェノールジクレジルホスフェート、ビスフェノールAジフェニルホスフェート(20℃で液状)、ビスフェノールAジクレジルホスフェート(20℃で液状)等が挙げられる。これらの中でも、レゾルシノールジ-2,6-キシレニルホスフェート及びレゾルシノールジフェニルホスフェート(20℃で液状)のうちの少なくとも一方を用いた場合に優れた難燃性が確保され易い。
(一般式(4)の化合物)
一般式(4)で表される化合物としては、5,5-ジメチル-2-(2´-フェニルフェノキシ)-1,3,2-ジオキサフォスフォリナン-2-オキシド(融点129℃)、5,5-ジメチル-2-(4´-フェニルフェノキシ)-1,3,2-ジオキサフォスフォリナン-2-オキシド、5-ブチル-5-エチル-2-(4´-フェニルフェノキシ)-1,3,2-ジオキサフォスフォリナン-2-オキシド、5,5-ジメチル-2-(2´-ナフチロキシ)-1,3,2-ジオキサフォスフォリナン-2-オキシド等が挙げられる。これらの中でも、5,5-ジメチル-2-(2´-フェニルフェノキシ)-1,3,2-ジオキサフォスフォリナン-2-オキシドを用いた場合に優れた難燃性が確保され易い。
(一般式(5)の化合物)
一般式(5)で表される化合物としては、5-エチル-5-[[[メトキシ(メチル)ホスフィニル]オキシ]メチル]-2-メチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(20℃で液状)を挙げることができる。
一般式(1)~(5)で表される化合物の中でも、キワツキ抑制の観点から、融点が95℃以上又は融点が20℃以下であることが好ましい。融点が95℃以上のものは繊維にハードな風合いを、融点が20℃以下のものはソフトな風合いを与えることができるため、融点が95℃以上のものと融点が20℃以下のものとを組み合わせることで、風合いを任意に調整することが可能となる利点も有する。
(リン酸化合物)
リン酸化合物としては、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸カルバメート、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸アンモニウム・カリウム、ポリリン酸グアニジン、リン酸グアニジン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニル尿素、表面が被覆されたポリリン酸アンモニウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、リン酸グアニジンを用いた場合に優れた難燃性が確保され易い。或いは、表面が被覆されたポリリン酸アンモニウムを用いた場合は、難燃性とともにキワツキ抑制効果が得られ易い。表面が被覆されたポリリン酸アンモニウムは、シラン被覆やメラミン被覆されたポリリン酸アンモニウムであってもよい。中でも、シラン被覆されたポリリン酸アンモニウムを用いた場合、VOCの発生がない。シラン被覆されたポリリン酸アンモニウムとしてはFRCROS486(ブーデンハイム社製)、Exflam APP-204(Wellchem社製)、APP-102、APP-105(JLS社製)、APP-5(西安化工社製)等が挙げられる。
リン系化合物(B2)が非水溶性である場合、キワツキが一層抑制され易い。非水溶性とは、リン系化合物(B2)が固形の場合は粉末とした後、リン系化合物(B2)10gを20℃のイオン交換水100gの内に入れ、20℃±0.5℃で1分間強く振り混ぜた場合の、イオン交換水100gに対するリン系化合物(B2)の溶解する度合い(g)が1.0g以下であることをさす。ここに「溶解する」とは、透明な溶液を与えるか、または任意の割合で透明に混和することを言う。
リン系化合物(B)の中でも、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリ2,6-キシレニルホスフェート、10-ベンジル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド及びレゾルシノールジ-2,6-キシレニルホスフェートのうちの少なくとも1つを用いた場合に、難燃性とキワツキ抑制と低コストとが両立され易い。
1.2.3 金属水酸化物(B3)
金属水酸化物(B3)としては、難燃剤としての機能を発揮し得る公知の金属水酸化物をいずれも採用可能である。例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムのうちの少なくとも一方、特に、水酸化アルミニウムを用いた場合に、優れた難燃性が確保され易い。金属水酸化物(B3)の形状や大きさは特に限定されるものではない。金属水酸化物(B3)は、例えば、粒子状であってよく、難燃性とコーティング面の白化や発粉の観点から、その平均粒径は20μm以下又は10μm以下であってもよい。金属水酸化物(B3)の平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒子径(メジアン径)である。尚、金属水酸化物(B3)には不純物が含まれ得るが、不純物が少ない場合に優れた難燃性が確保され易い。例えば、水酸化アルミニウム中のSiOは少ない方が難燃性に優れ、0.02%以下であってもよい。
1.2.4 窒素化合物(B4)
窒素化合物(B4)としては、難燃剤としての機能を発揮し得る公知の窒素化合物をいずれも採用可能である。例えば、メラミン化合物;グアナミン化合物;トリアジン化合物;シアヌル酸化合物;メラミン化合物、グアナミン化合物及びトリアジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種と酸との塩等が挙げられる。尚、窒素化合物(B4)と上述のリン系化合物(B2)とを併用することで、それぞれの化合物を単独で使用する以上の、優れた難燃性と熱水に対するキワツキの発生の抑制とを両立し易くなる。
メラミン化合物としては、メラミン;2-メチルメラミン等のアルキルメラミン、グアニルメラミン等の置換メラミン化合物;メラム、メレム、メロン、メトン等のメラミンの脱アンモニア縮合物等が挙げられる。
グアナミン化合物としては、グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、3,9-ビス〔2-(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアザフェニル)エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、ベンゾトリアジン及びそれらの炭素原子に1~3個のアミノ基が置換したアミノ基含有トリアジン等が挙げられる。
シアヌル酸化合物としては、(イソ)シアヌル酸(シアヌル酸とイソシアヌル酸の両方を表す)、アンメリン、アンメリド等が挙げられる。シアヌル酸化合物は水和物であっても無水物であってもよい。
メラミン化合物、グアナミン化合物及びトリアジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種と塩を形成する酸としては、(イソ)シアヌル酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の有機酸;塩酸、硝酸、硫酸、ピロ硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スルファミン酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、フェニルホスホン酸、アルキルホスホン酸、亜リン酸、ホウ酸、タングステン酸等の無機酸が挙げられる。特にメラミンとシアヌル酸との塩であるメラミンシアヌレートを用いた場合に、優れた難燃性が確保され易い。
1.3 アミド樹脂(A)と難燃剤(B)との質量比
アミド樹脂(A)に対する難燃剤(B)の質量比(B/A)は、例えば、0.01以上100以下であってよい。特に、当該質量比(B/A)が0.1以上10以下である場合、一層優れた繊維収束性(耐ホツレ性)が得られ易く、且つ、難燃剤由来の繊維の白化等が抑制され易い。
1.4 その他の成分
本開示の繊維用難燃加工剤は、少なくともアミド樹脂(A)と難燃剤(B)とを含むものであればよい。本開示の繊維用難燃加工剤は、例えば、アミド樹脂(A)と難燃剤(B)との混合物を含むものであってもよく、アミド樹脂(A)と難燃剤(B)とその他の成分との混合物であってよい。混合物において、アミド樹脂(A)と難燃剤(B)とは、各々、粒子状にて存在していてもよい。また、混合物において、アミド樹脂(A)は難燃剤(B)の表面全体を被覆している必要は無い。その他の成分としては、水等の溶媒や、当該溶媒におけるアミド樹脂(A)等の分散性を向上させるための界面活性剤等が挙げられる。すなわち、本開示の繊維用難燃加工剤は、水等の溶媒にアミド樹脂(A)と難燃剤(B)とが各々分散又は溶解した分散液であってもよい。この場合、分散液における固形分濃度は特に限定されるものではない。また、本開示の繊維用難燃加工剤には上記した成分以外の各種の添加剤が含まれていてもよい。例えば、上記以外の難燃剤、消臭剤、抗菌剤、柔軟剤、吸水剤、撥水撥油剤、平滑剤、浸透剤、分散均染剤、制電剤、キレート剤、酸化防止剤、消泡剤、pH調整剤、溶媒・溶剤、アミド樹脂以外の樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂等)、架橋剤、凍結安定剤、艶消し剤、顔料、染料、キャリアー剤、フィックス剤、湿潤剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、製膜助剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、黄変防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。以下、その他の成分の一例について詳述する。
1.4.1 溶媒
本開示の繊維用難燃加工剤においては、アミド樹脂(A)と難燃剤(B)とを混合する際に、溶媒として水を使用してもよい。水は、イオン交換水又は蒸留水であってよい。或いは、溶媒として有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等のグリコール類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。キワツキ、コスト、危険物、堅牢度、粘度、裏抜けの観点から、有機溶剤は、水に対して10質量%以下、5質量%以下又は0質量%であってよい。
1.4.2 界面活性剤
界面活性剤の種類は特に限定されず、例えば、公知の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤のうちの少なくとも一種であってよい。
1.4.3 pH調整剤
本開示の繊維用難燃加工剤においては、添加剤としてpH調整剤が含まれていてもよい。pH調整剤は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、アンモニア、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸等から選ばれる少なくとも1つであってよい。
1.4.4 増粘剤
本開示の繊維用難燃加工剤においては、添加剤として増粘剤が含まれていてもよい。増粘剤は、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン等の天然の水溶性有機高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成の水溶性有機高分子;ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、アルカリ増粘型アクリル樹脂等の合成の水溶性有機高分子等から選ばれる少なくとも1つであってよい。これらの増粘剤中でも、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、アルカリ増粘型アクリル樹脂を用いた場合に、優れた塗工性が得られ易い。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーを挙げることができる。このようなポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーとしては、市販品を使用することができ、例えば、アデカノールUH-420、アデカノールUH-450、アデカノールUH-540、アデカノールUH-752(以上(株)ADEKA製)、SNシックナー601、SNシックナー612、SNシックナー621N、SNシックナー623N(以上サンノプコ(株)製)、レオレート244、レオレート278、レオレート300(以上エレメンティス・ジャパン(株)製)、DKシックナーSCT-275(第一工業製薬(株)製)等を挙げることができる。
(アルカリ増粘型アクリル樹脂)
アルカリ増粘型アクリル樹脂としては、カルボキシル基含有モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物の重合物が挙げられる。より具体的には、アルカリ増粘型アクリル樹脂は、カルボキシル基含有モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物を、必要により重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、架橋剤等の存在下に、乳化重合して得られたものであってよい。
アルカリ増粘型アクリル樹脂の構成成分であるカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸等のモノカルボン酸系モノマー;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸系モノマー及びこれらの酸無水物;さらにジカルボン酸モノアルキルエステル系モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、フェニル基を有していてもよい炭素数が1以上又は4以上且つ22以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられる。
アルカリ増粘型アクリル樹脂には、その構成成分として、カルボキシル基含有モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー以外に、これらと共重合可能なモノマーを使用することができる。このような共重合可能なモノマーとしては、例えば、カルボン酸ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、シアノ基含有モノマー等が挙げられる。
カルボン酸ビニル系モノマーとしては、例えば、炭素数が1~21のアルキル基やフェニル基を有するカルボン酸ビニルが挙げられ、好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルである。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert-ブチルスチレン等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、炭素数が2~4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数が2~8のポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、炭素数が1~4のN-アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1~3のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1~4のN-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリルとはアクリルとメタクリルの両方を意味する。
(重合開始剤)
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、レドックス系開始剤(過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム-酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等)、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシー2-メチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、水溶性アゾ系開始剤等のラジカル供与剤が例示される。また、紫外線、電子線、放射線等による光重合によって、ラジカルを発生させてもよく、この場合、光増感剤等を使用してもよい。
(界面活性剤)
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な界面活性剤としては、公知の非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤の少なくとも一種を使用することができる。
(連鎖移動剤)
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な連鎖移動剤としては、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルルメルカプタン、n-ステアリルメルカプタン等のメルカプタン類、テトラエチルチウラニウムスルフィド、ペンタフェニルエタン、ターピノーレン、α-メチルスチレンダイマー等の通常の乳化重合で使用可能なものを、単独もしくは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な架橋剤としては、ラジカル重合性の二重結合を2つ以上持つ化合物であれば、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N´-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、必要に応じて使用できる。
その他、pH緩衝剤、キレート剤等を、重合時に使用してもよく、pH緩衝剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が例示でき、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸ナトリウム等が例示できる。
アルカリ増粘型アクリル樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、ニカゾールVT-253A(日本カーバイド工業(株)製)、アロンA-20P、アロンA-7150、アロンA-7070、アロンB-300、アロンB-300K、アロンB-500、アロンA-20L(以上東亞合成(株)製)、ジュリマーAC-10LHP、ジュリマーAC-10SHP、レオジック250H、レオジック835H、ジュンロンPW-110、ジュンロンPW-150(以上日本純薬(株)製)、プライマルASE-60、プライマルTT-615、プライマルRM-5(以上ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製)、SNシックナーA-818、SNシックナーA-850、SNシックナー902(以上サンノプコ(株)製)、レオレート430(エレメンティス・ジャパン(株)製)、オステッカーV(日華化学(株)製)、バナゾールK(新中村化学工業(株)製)、ボンコートHV-E(DIC社製)等を挙げられる。
1.5 繊維用難燃加工剤の用途
本開示の繊維用難燃加工剤は、繊維材料に難燃性を付与する加工又は繊維材料の難燃性を向上させる加工のために用いられる。繊維材料の種類や繊維材料に対する難燃加工の詳細については後述する。
2.繊維製品
本開示の技術は繊維製品としての側面も有する。すなわち、本開示の繊維製品は、アミド樹脂(A)と、ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(B)と、が付着してなる。アミド樹脂(A)や難燃剤(B)の種類や質量比等については上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。
2.1 繊維材料
アミド樹脂(A)及び難燃剤(B)を付着させる対象である繊維材料としては、特に制限されず、例えば、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、あるいはレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリアミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、これらの複合繊維、混紡繊維等からなる織布、編布、不織布が挙げられる。中でも、難燃性と摩擦堅牢度の観点から、目付が50g/m以上の織物、編物又は不織布であることが好ましく、織物又は編物の場合100~500g/m、不織布の場合50~200g/mの目付であることがより好ましい。
2.2 付着量
繊維製品におけるアミド樹脂(A)や難燃剤(B)の付着量(DRY基準)は、特に限定されるものではないが、当該付着量が少な過ぎると難燃性が低下する傾向があり、多過ぎると繊維製品が白化、硬くなるなど品位が低下する虞がある。この点、繊維製品の表面におけるアミド樹脂(A)と難燃剤(B)との合計の付着量は、例えば、好ましくは1g/m以上、より好ましくは5g/m以上であり、また、好ましくは100g/m以下、より好ましくは80g/m以下である。
2.3 繊維製品の用途
本開示の繊維製品の用途は特に限定されるものではない。例えば、車両用シート材、弱電用不織布又は弱電用フェルトとして採用可能である。車両用シート材としては、自動車用シート材や鉄道車両用シート材等が挙げられる。弱電用フェルトや弱電用不織布とは、弱電分野において用いられる不織布やフェルトを意味する。具体的には、緩衝材、フィルター、吸音材、マット用部材等が挙げられる。
3.繊維製品の製造方法
本開示の技術は繊維製品の製造方法としての側面も有する。すなわち、本開示の繊維製品の製造方法は、上記の繊維材料に対して上記の繊維用難燃加工剤を接触させて難燃加工を施す工程を含む。このように、本開示の繊維用難燃加工剤を用いて繊維材料に対して難燃加工を施すことで、繊維製品において優れた難燃性及び繊維収束性を付与することができ、また、繊維製品の摩擦堅牢度も低下し難く、繊維製品の品位を向上させ易い。
繊維用難燃加工剤を繊維材料に接触させる方法としては、特に制限されず、浸漬法、パディング法、コーティング法、スプレー法等の公知の方法を適宜用いることができる。繊維用難燃加工剤を繊維材料に接触させるにあたり、繊維用難燃加工剤を溶媒等で適宜希釈して用いてもよい。希釈後の処理液に含まれるアミド樹脂(A)及び難燃剤(B)の濃度は特に限定されず、例えば、これらの合計の濃度が0.01~30質量%の範囲内となるようにしてもよい。また、繊維材料に対するポリアミド樹脂(A)及び難燃剤(B)の付着量が上記した量となるように、処理液における成分濃度を調整してもよい。
浸漬法を用いる場合には、一般に使用される染色機械、例えば、ウインス、液流染色機、ジッカー、チーズ染色機、かせ染色機を用いて、所定の温度で所定の時間、繊維材料を処理した後、脱水して乾燥させることにより難燃性の繊維製品を得ることができる。
パディング法を用いる場合には、繊維材料を処理液に浸漬し、マングル、ロール等を用いて所定のピックアップ量に調整した後、乾燥させることにより難燃性の繊維製品を得ることができる。具体的には、例えば、繊維用難燃加工剤である処理液を用いて一浴又は二浴にて繊維材料を浸漬し、次いで所定の水分含有量になるようにローラで絞るとともに繊維材料の中までアミド樹脂(A)や難燃剤(B)等を浸透させてもよい。この場合、浸漬時間や絞り率は、処理される繊維材料の厚さや目付け、さらにはアミド樹脂(A)や難燃剤(B)の付与量に応じて適宜選択すればよい。特に限定されないが、例えば浸漬時間は1~5秒とすることができ、絞り率は50~100%とすることができる。
コーティング法を用いる場合には、繊維用難燃加工剤と任意にバインダーとを混合した処理液を使用することができる。繊維用難燃加工剤を繊維材料にコーティングする方法としては、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、スリットコーター、コンマコーター、エアナイフコーター、フローコーター、刷毛、発泡等のコーティング法を挙げることができる。繊維用難燃加工剤を繊維材料にコーティングした後に、ラミネート加工やボンディング加工を行ってもよい。
スプレー法を用いる場合には、例えば、コンベア等で繊維材料を連続的に送りながら、繊維用難燃加工剤である処理液を繊維材料上に噴霧すればよい。スプレーの詳細な条件は、処理される繊維材料の厚さや目付け、さらにはアミド樹脂(A)や難燃剤(B)の付与量に応じて適宜選択すればよい。
繊維材料を繊維用難燃加工剤に接触させた後、適宜乾燥させる工程を行ってもよい。乾燥方法としては、特に制限されず、例えば、熱風を利用した乾式乾燥;ハイテンパルチャースチーマー(H.T.S.)、ハイプレッシャースチーマー(H.P.S.)等を用いた湿式乾燥;マイクロ波を照射することによる乾燥等が挙げられる。乾燥温度や乾燥時間は特に限定されるものではなく、例えば、乾燥温度は0℃~300℃であってもよく、乾燥時間は5秒~数日間であってもよい。また、必要に応じて、乾燥後に100℃以上の温度で10秒~10分間程度加熱処理(キュアリング)してもよい。
以下、実施例を示しつつ本開示の技術による効果等について、より詳細に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
1.アミド樹脂(A)分散液の調製
1.1 合成例1
イソフタル酸294.2部(質量部)及びヘキサメチレンジアミン205.8部を仕込み、220℃で加圧下4時間反応させた。反応後、圧力を徐々に減じ、減圧状態とした後、窒素により大気圧に上げると同時に温度を260℃とした。その後、圧力を徐々に減じ133Pa以下にし、260℃で3時間反応させて合成例1のアミド樹脂を得た。
合成例1のアミド樹脂500部に湯(80℃)500部を徐々に加えて分散させ、常温まで冷却することで、アミド樹脂分散液を得た。当該アミド樹脂分散液のpHは8.2であった。
1.2 合成例2~12
下記表1、2に示される条件に変更したこと以外は合成例1と同様にして合成例2~12のアミド樹脂を得て、当該アミド樹脂を用いてアミド樹脂分散液を得た。当該アミド樹脂分散液のpHは下記表1、2に示される通りである。
Figure 2022182867000007
Figure 2022182867000008
2.その他の樹脂分散液の調製
2.1 アクリル樹脂分散液の準備
アクリル樹脂分散液としてNipol LX874(日本ゼオン社製、アクリル樹脂45%)を用いた。
2.2 ウレタン樹脂分散液の調製
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、ポリオールとしてポリテトラメチレングリコール(平均分子量1000)216.13部及びポリオキシエチレンポリプロピレンランダム共重合グリコール(平均分子量1000、オキシエチレン基含有70%)50.91部と、低分子鎖伸長剤として1,4-ブタンジオール4.50部及びトリメチロールプロパン0.62部と、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート0.002部と、溶剤としてメチルエチルケトン98.36部とを仕込み、均一に混合した後、ポリイソシアネートとしてジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)121.26部を加え、75℃にて300分間反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃以下に冷却した後、反応停止剤としてデシルリン酸エステル2部と、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(HLB=15)18部とを添加し、均一に混合した後、別容器に移し、水646.80部を徐々に加えて、ディスパー羽根を用いて転相乳化、分散させ、これに、ポリアミン化合物としてピペラジン六水和物22.90部及びジエチレントリアミン1.43部を水56.76部に溶解したポリアミン水溶液を添加し、90分間撹拌してウレタン樹脂水分散液を得た。得られたウレタン樹脂水分散液を、さらに減圧下35℃で脱溶剤を行うことにより、平均粒子径0.2μmの安定な感熱凝固型強制乳化水系ウレタン樹脂の水乳化分散物(ウレタン樹脂40%)を得た。
2.3 ポリエステル樹脂分散液の準備
ポリエステル樹脂分散液としてプラスコートZ221(互応化学社製、ポリエステル樹脂20%)を用いた。
3.難燃剤(B)分散液の調製
3.1 ポリリン酸アンモニウム(APP)分散液の調製
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコにおいて、水595部にラウリル硫酸ナトリウム5部を溶解し、ポリリン酸アンモニウム(ExflamAPP-204、Wellchem社製)400部を少しずつ導入して30分混合し、ポリリン酸アンモニウム(APP)分散液(難燃剤40%分散液)を得た。
3.2 リン酸グアニジン分散液の準備
リン酸グアニジン系難燃剤分散液としてアビノン307(三和化学社製、難燃剤50%分散液)を用いた。
3.3 メラミンシアヌレート分散液の調製
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコにおいて、水595部にラウリル硫酸ナトリウム5部を溶解し、メラミンシアヌレート(MC-4500、日産化学社製)400部を少しずつ導入して30分混合し、メラミンシアヌレート分散液(難燃剤40%分散液)を得た。
3.4 水酸化アルミニウム分散液の調製
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコにおいて、水595部にラウリル硫酸ナトリウム5部を溶解し、水酸化アルミニウム(B53、日本軽金属社製)400部を少しずつ導入して30分混合し、水酸化アルミニウム分散液(難燃剤40%分散液)を得た。
3.5 トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート(TBC)分散液の調製
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコにおいて、水595部にラウリル硫酸ナトリウム5部を溶解し、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート(TAIC-6B、日本化成社製)400部を少しずつ導入して30分混合し、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート(TBC)分散液(難燃剤40%分散液)を得た。
4.アミド樹脂(A)及び難燃剤(B)を含む浴中難燃剤の調製
トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド15モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩の50質量%水溶液20部と、合成例1に係るアミド樹脂分散液10部と、水30部との混合液に、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート10部を徐々に添加して分散させ、浴中難燃剤を得た。
5.試験用繊維材料の準備
5.1 染色布帛1の準備
ミニカラー染色機(テクサム技研社製)のポットに、水、下記表3に示す分散染料、分散均染剤及びpH調整剤を入れて混合均一とし、染色浴を調製した。次いで、繊維材料としてのポリエステル織物(目付け:350g/m)を浴比=1:10となるように染色浴に投入し、この染色浴を40℃から80℃まで2℃/分で昇温し、次いで80℃から130℃まで1℃/分で昇温した後、130℃で30分間保持することにより染色を行った。次に、染色浴を80℃まで降温してポリエステル織物をポットから取り出し、下記表4に示す処理液により還元洗浄(80℃×15分、浴比=1:10)を行い、次いで水洗脱水乾燥を行って染色布帛1(黒色ポリエステル100%織物、目付350g/m)を得た。
Figure 2022182867000009
Figure 2022182867000010
5.2 染色布帛2の準備
浴比1:15でKayacelon Black(日本火薬社製)5%o.w.f.、ソーダ灰20g/L、芒硝50g/Lを用いて、綿織物精練布を60℃で1時間染色した。次に、60℃で5分間湯洗し、オーバーフローにて30分間水洗後脱水し、80℃で30分間乾燥し、染色布帛2(黒色綿100%織物、目付け350g/m)を得た。
5.3 染色布帛3の準備
ミニカラー染色機(テクサム技研社製)のポットに、水、上記表3に示す分散染料、分散均染剤及びpH調整剤を入れて混合均一とし、染色浴を調製した。次いで、繊維材料としてのポリエステル/レーヨン=50%/50%織物(目付け:350g/m)を浴比=1:10となるように染色浴に投入し、この染色浴を40℃から80℃まで2℃/分で昇温し、次いで80℃から130℃まで1℃/分で昇温した後、130℃で30分間保持することにより染色を行った。次に、染色浴を80℃まで降温してポリエステル/レーヨン織物をポットから取り出し、上記表4に示す処理液により還元洗浄(80℃×15分、浴比=1:10)を行い、次いで水洗、湯洗した。その後、Remazol Brill.Blue RK-N(Dystar社製)5%o.w.f.、ソーダ灰20g/L、芒硝50g/Lを使用し、60℃で1時間染色した。次に、60℃で5分間湯洗し、オーバーフローにて30分間水洗後脱水し、80℃で30分間乾燥し、染色布帛3(黒色ポリエステル/レーヨン=50%/50%織物、目付け350g/m)を得た。
6.繊維材料の難燃加工
6.1 実施例1
水85部と、難燃剤(B)分散液としてAPP分散液10部と、アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部とを混合し、繊維用難燃加工剤としての処理液を調製した。染色布帛1にディップし、マングルロールにて絞った。処理液のピックアップは70%であった。絞った生地を150℃で3分間乾燥して、難燃性の車両シート材料を作製した。なおピックアップは(マングル絞り後の難燃性車両シート材料の質量-車両シート材料の質量)÷車両シート材料の質量より計算して求めた。
6.2 実施例2
難燃剤(B)分散液としてAPP分散液10部に替えて、リン酸グアニジン分散液8部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.3 実施例3
難燃剤(B)分散液としてAPP分散液10部に替えて、メラミンシアヌレート分散液10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.4 実施例4
難燃剤(B)分散液としてAPP分散液10部に替えて、水酸化アルミニウム分散液10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.5 実施例5
難燃剤(B)分散液としてAPP分散液10部に替えて、TBC分散液10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.6 実施例6
水85部と、難燃剤(B)分散液としてAPP分散液10部と、アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部とを混合し、繊維用難燃加工剤としての処理液を調製した。調整した処理液を、染色布帛1に対して、生地重量の70%となるようにスプレーにて塗布した。その後生地を150℃で3分間乾燥して、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.7 実施例7
水85部と、難燃剤(B)分散液としてAPP分散液100部と、アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液50部とを混合し、繊維用難燃加工剤としての処理液を調製した。調整した処理液にさらにネオステッカーNを3部混合し、粘度5,000mPa・sの粘調液(コーティング難燃剤)を得た。染色布帛1に対して、得られた粘調液をJバーにてWET約57g/mとなるようコーティングし、その後生地を150℃で5分間乾燥して、ドライ約16g/m塗布量の難燃性の車両シート材料を作製した。
6.8 実施例8
目付350g/mのレギュラーポリエステル繊維100%の未染色織物布に対して、ミニカラー染色機(テクサム社)を使用し、分散染料(Kayalon Polyester Black ECX300)5%o.w.f.と、上述の浴中難燃剤15%o.w.f.と、分散均染剤(日華化学社製、ニッカサンソルトRM-340E)0.5g/Lと、80質量%酢酸0.3mL/Lとを含む染色浴で、浴比1:15、温度130℃の条件で、30分間浴中熱処理を施した。次いで、浴中熱処理が施されたポリエステル系繊維に対してソーピング剤(日華化学社製、エスクードFRN)2g/Lと、苛性ソーダ1g/Lとを含む水溶液を用いて、80℃で20分間ソーピング処理を施し、180℃で1分間乾燥して、難燃加工された黒色ポリエステル100%織物を得た。
6.9 実施例9
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例2に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.10 実施例10
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例3に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.11 実施例11
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例4に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.12 実施例12
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例5に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.13 実施例13
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例6に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.14 実施例14
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例7に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.15 実施例15
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例8に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.16 実施例16
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例9に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.17 実施例17
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例10に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.18 実施例18
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例11に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.19 実施例19
アミド樹脂(A)分散液として合成例1に係るアミド樹脂分散液5部に替えて、合成例12に係るアミド樹脂分散液5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.20 実施例20
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液の量を2.5部としたうえで、アクリル樹脂分散液2.8部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.21 実施例21
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液の量を2.5部としたうえで、ウレタン樹脂分散液3.1部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.22 実施例22
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液の量を2.5部としたうえで、ポリエステル樹脂分散液6.3部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.23 実施例23
染色布帛1に替えて染色布帛2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛2の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.24 実施例24
染色布帛1に替えて染色布帛3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛3の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.25 比較例1
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液5部に替えて、アクリル樹脂分散液5.6部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.26 比較例2
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液5部に替えて、ウレタン樹脂分散液6.0部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.27 比較例3
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液5部に替えて、ポリエステル樹脂分散液10部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.28 比較例4
難燃加工処理液においてアミド樹脂(A)分散液を混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛1の難燃加工を行い、難燃性の車両シート材料を作製した。
6.29 比較例5
反応容器に液状リン系難燃剤としてフェノール、4,4´-(プロパン-2,2-ジシル)ジフェノール及びトリクロロホスフィン=オキシドの反応生成物であるFP-600(ADEKA社製、商品名)を固形分で250部、芳香族基を有する界面活性剤としてポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルであるエマルゲンA-90(花王社製、商品名)を固形分で15部加え、40℃で30分間攪拌し混合した。その後、水143部を加えながら攪拌して乳化し、難燃剤分散液とした。この難燃剤分散液に、アクリル樹脂分散液を85部、ポリエステル樹脂エマルジョンとしてエリーテルKT-8701(ユニチカ社製、固形分30%、Tg12℃)を15部配合し、増粘剤としてアクリル系増粘剤であるネオステッカーV(日華化学製)を10部混合し、固形分50%の難燃性樹脂組成物を得た。得られた難燃性樹脂組成物をJバーにて染色布帛1にWET約33g/mとなるようコーティングし、その後生地を150℃で5分間乾燥して、ドライ約16g/m塗布量の難燃性の車両シート材料を作製した。
7.評価方法
作製した車両シート材料の難燃性、摩擦堅牢度及び端末ホツレ性(繊維収束性)を以下の方法により評価した。
7.1 難燃性
FMVSS-302法(自動車内装用品の安全基準)の方法にしたがって、繊維布地の燃焼距離、燃焼時間及び燃焼速度を測定し、以下の燃焼スコア基準によって難燃性を評価した。燃焼スコアは10回測定したスコアを平均し、小数点以下1桁までの数値にて比較した。
5点:着炎せず。
4点:着炎するがA標線を越えて燃焼しない(A標線前自消)。
3点:A標線を越えて燃焼するが、燃焼距離が50mm未満、且つ、燃焼速度が80mm/分未満である。
2点:A標線を越えて燃焼し、燃焼距離が50mm以上、且つ、燃焼速度が80mm/分未満である。
1点:A標線を越えて燃焼し、燃焼距離が50mm以上、且つ、燃焼速度が80mm/分以上である。
7.2 端末ホツレ性(繊維収束性)
JIS L 1076:2012のA法(ICI型試験機を用いる方法)を参考に、タテ100mm、ヨコ100mmにカットした生地の各辺の中央に底辺3mm高さ2mmの切込みを入れた。その生地をICI型試験機へ入れ、10時間回転させた。その後生地を取り出して、切込みの視認性にて級数判断した。それぞれの級数の中間の級数を、例えば4-5のように表現する。
5級:4ケ所の切込みのいずれにも変形がなく、ホツレが全く無い。
4級:4ケ所のうち2ケ所以上で切込みの変形が無いが、その他の場所では変形が認められる。
3級:4ケ所とも切込みの変形が認められる。もしくは、20mm以上の長さのほつれた糸4本以上が発生している。
2級:4ケ所の切込みのうち1ケ所以上で切込みの形が確認できない程度にホツレが発生している。
1級:4ケ所の切込みの全てで形が確認できない程度にホツレが発生している。
7.3 摩擦堅牢度
JIS L0849:2013(乾燥、湿潤)と同じ方法で、摩擦試験機II形(学振形)(大栄化学精機製作所社製:型番RT-300)を用いて、荷重2Nの条件で繊維布地の表面を摩擦布により100回摩耗した。摩擦布として綿金巾を使用した。摩擦後の綿金巾布の汚染度と汚染グレースケールとの比較に基づいて、摩擦堅牢度を評価した。評価は乾式及び湿式それぞれの条件で行った。それぞれの級数の中間の級数を、例えば4-5のように表現する。
8.評価結果
評価結果を下記表5~7に示す。
Figure 2022182867000011
Figure 2022182867000012
Figure 2022182867000013
表5~7に示される結果から明らかなように、繊維材料に難燃加工を施す際、難燃加工処理液中に難燃剤(B)とともにアミド樹脂(A)を併用した実施例1~24については、難燃加工後の繊維材料において優れた難燃性及び繊維収束性(耐ホツレ性)を確保することができ、さらには、優れた摩擦堅牢度を確保することもできた。一方、アミド樹脂(A)に替えてその他の樹脂を用いた比較例1~3や、樹脂を併用しなかった比較例4については、実施例1~24と比較して、繊維収束性(耐ホツレ性)や摩擦堅牢度が低下した。また、難燃剤とアクリル樹脂とポリエステル樹脂とを含みアミド樹脂を含まない難燃性樹脂組成物を用いた比較例5については、実施例1~24と比較して、難燃性や摩擦堅牢度が低下した。以上の通り、アミド樹脂(A)と難燃剤(B)とを含む繊維用難燃加工剤によれば、繊維材料に対して高いレベルの難燃性と繊維収束性を付与できるとともに、染料や顔料の移行防止性(摩擦堅牢度)を向上させることもできることが分かった。

Claims (5)

  1. アミド樹脂(A)と、
    ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(B)と、
    を含む、繊維用難燃加工剤。
  2. 前記アミド樹脂(A)に対する前記難燃剤(B)の質量比(B/A)が0.01以上100以下である、
    請求項1に記載の繊維用難燃加工剤。
  3. アミド樹脂(A)と、
    ハロゲン系化合物(B1)、リン系化合物(B2)、金属水酸化物(B3)及び窒素化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(B)と、
    が付着した、繊維製品。
  4. 前記アミド樹脂(A)に対する前記難燃剤(B)の質量比(B/A)が0.01以上100以下である、
    請求項3に記載の繊維製品。
  5. 車両用シート材、弱電用不織布又は弱電用フェルトである、
    請求項3又は4に記載の繊維製品。
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