JP2022181301A - モノパイルへの水底ケーブルの敷設方法およびモノパイル基礎 - Google Patents

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【課題】洗掘防止材を設置しない場合にもケーブルが挿通された鞘管の損傷を防止できるモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法およびモノパイル基礎を提供する。【解決手段】内部にガイド管4が固定されたモノパイル2を地盤1に打設し、モノパイル2の頂部近傍に曲りボーリング施工機5を設置する。次に、ガイド管4へ削孔ロッド6を挿入し、曲りボーリング施工機5によってモノパイル2の外部の地盤1に向けて曲りボーリングを行う。そして、水底表面12までの掘削が完了した後、削孔ロッド6内に鞘管7を挿入し、削孔ロッド6を引き抜き、鞘管7の内部にケーブル8を挿通する。【選択図】図6

Description

本発明は、モノパイルへの水底ケーブルの敷設方法およびモノパイル基礎に関するものである。
洋上風力発電設備のモノパイル基礎の周辺では、波力や潮流力による流速が大きくなり、水底地盤の洗掘が生じやすい。そのため、地盤が軟弱である場合、洗掘防止材をモノパイル基礎周辺の地盤上に設置している。
また、洋上風力発電設備には送電などのためのケーブルが接続されているが、水底でケーブルが露出していると、フリースパン化したケーブルが波力や潮流力などの外力を受けて損傷する恐れがある。そのため、モノパイルに取り付けた鞘管にケーブルを挿通してケーブルを防護し、さらに鞘管上に洗掘防止材を設置することにより、ケーブルが挿通された鞘管を洗掘防止材で押さえてフリースパン化を防止している(例えば、特許文献1参照)。
特許第6460894号公報
しかしながら、基礎周辺の地盤が比較的硬質である場合、コストダウンのために洗掘防止材を省略することがある。洗掘防止材を省略すると、水底ケーブルを防護する鞘管が水中や水底に露出した状態となるため、鞘管が波力や潮流力などの外力を受けやすくなり、モノパイルへの取付部に大きな反力が作用して鞘管が破断する可能性がある。また、鞘管が水中や水底に露出した状態では、洋上風力発電設備を作業船でメンテナンスする時に作業船の投錨や走錨によって鞘管が破損する可能性がある。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、洗掘防止材を設置しない場合にもケーブルが挿通された鞘管の損傷を防止できるモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法およびモノパイル基礎を提供することである。
前述した目的を達成するために第1の発明は、モノパイルへの水底ケーブルの敷設方法であって、前記モノパイルは、内部にガイド管が固定されており、前記モノパイルの頂部近傍に曲りボーリング施工機を設置する工程と、前記ガイド管へ削孔ロッドを挿入し、前記曲りボーリング施工機によって前記モノパイルの外部の地盤に向けて曲りボーリングを行う工程と、水底表面までの掘削が完了した後、前記削孔ロッド内に鞘管を挿入する工程と、前記削孔ロッドを引き抜く工程と、前記鞘管の内部にケーブルを挿通する工程と、を具備することを特徴とするモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法である。
第1の発明によれば、モノパイルの外部の地盤に向けて曲りボーリングを行って水底に鞘管を埋設しケーブルを挿通するので、洗掘防止材を設置しない場合にも、波力や潮流力などの外力による鞘管やケーブルの損傷を防止することができる。また、ガイド管がモノパイルの内部に固定されているので、水上から曲がりボーリングを行ったり鞘管を挿入したりすることができる。
前記ガイド管は、前記モノパイルの内部において、複数の支持部材によって湾曲して固定されていることが望ましい。
これにより、ガイド管を適切な形状に曲げて支持しつつモノパイルに固定することができる。
前記ガイド管の下端付近は、水平方向よりも下方に向けて前記モノパイルの開口部に接続されていることが望ましい。
これにより、ガイド管内からモノパイルの周辺地盤に削孔ロッドを円滑に発進させることができる。
水底表面と前記モノパイルとの間で露出する前記鞘管の上部に、防護部材が配置されてもよい。
これにより、鞘管が水中に露出する場合に、防護部材で鞘管を被覆して防護することができる。
前記モノパイルから、前記鞘管が水底表面に露出するまでの距離が、メンテナンス用の船舶による投走錨の影響を受けない50m程度以上であることが望ましい。
これにより、モノパイル基礎に支持された洋上風力発電設備を作業船でメンテナンスする時に、作業船の投錨や走錨によるケーブルの破損を防止できる。
前記ガイド管が互いに別の方向に向けて複数本配置され、それぞれの前記ガイド管に対して、曲りボーリングを行ってもよい。
これにより、モノパイル基礎から複数のケーブルを異なる方向に敷設することができる。
第2の発明は、中空のモノパイル基礎であって、モノパイルの内部にはガイド管が配置され、前記ガイド管は、前記モノパイルの内部において、複数の支持部材によって湾曲して固定されていることを特徴とするモノパイル基礎である。
第2の発明によれば、ガイド管が湾曲してモノパイルに固定されているので、曲がりボーリングや鞘管の挿入をモノパイルの頂部側から行うことができる。
本発明によれば、洗掘防止材を設置しない場合にもケーブルが挿通された鞘管の損傷を防止できるモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法およびモノパイル基礎を提供できる。
モノパイル基礎3を構築する工程を示す図。 モノパイル2の上部の鉛直断面を示す図。 曲りボーリング施工機5を設置する工程を示す図。 曲りボーリングを行う工程を示す図。 鞘管7を挿入する工程を示す図。 削孔ロッド6を引き抜く工程を示す図。 ケーブル8を挿通する工程を示す図。 ケーブル8を挿通する工程を示す図。 2本のガイド管4を固定した例を示す図。 (a)は作業用ステージ10aを用いた例を示す図、(b)は中掘り工法でモノパイル2を打設した例を示す図。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1はモノパイル基礎3を構築する工程を示す図であり、鉛直方向の断面を示す。図2はモノパイル2の上部の鉛直断面を示す図である。
図1に示す工程では、水底表面12上に設置した大型SEP10を用いてモノパイル2を地盤1に設置して、洋上風力発電設備のモノパイル基礎3を構築する。SEP(Self-Elevating Platform)は自己昇降式作業台船であり、設置時には昇降用脚を地盤1に着床させてプラットフォームを水上までジャッキアップする。
図2に示すように、モノパイル2は内部にガイド管4が固定されている。ガイド管4は、モノパイル2の内部において、複数の支持部材41によって湾曲して固定される。複数の支持部材41は、例えば十字状の水平材であり、十字の交差の位置がそれぞれ異なる。ガイド管4は支持部材41の交差部分に固定され支持されることにより、適切な形状に曲げた状態でモノパイル2内に固定される。モノパイル2は周面に開口部21を有し、ガイド管4の下端42は水平方向よりも下方に向けて斜めに開口部21に接続される。
モノパイル2は、例えば打撃工法により地盤1に打設される。モノパイル2は、開口部21が水底表面12の直上に達する深さまで打設される。ガイド管4や支持部材41は、モノパイル2の打設時の衝撃に耐えられるように鋼製等とするのが望ましい。
図3は、曲りボーリング施工機5を設置する工程を示す図であり、鉛直方向の断面を示す。図3に示す工程では、大型SEP10からモノパイル2の頂部の上方に張出した張出部11に曲りボーリング施工機5を設置する。曲りボーリング施工機5は、後述する削孔ロッド6をガイド管4に上方から挿入可能な位置に設置される。
図4は、曲りボーリングを行う工程を示す図であり、図4(a)は鉛直方向の断面を、図4(b)は図4(a)のA1-A1による断面を示す。図4に示す工程では、先端に削孔用ビットが設けられた中空の削孔ロッド6をガイド管4の上端から挿入し、ガイド管4の下端42から出た削孔用ビットを曲りボーリング施工機5によってモノパイル2の外部の地盤1に向けて発進させる。そして、曲りボーリング施工機5によって地盤1中に矢印B1に示すようにモノパイル2から遠ざかる方向に曲りボーリングを行い、削孔ロッド6の先端61が水底表面12から出たら曲りボーリングを完了する。なお、曲りボーリングの曲率はガイド管4の曲率と一致する必要はなく、適宜変更可能である。地盤1の改良が必要な場合は、削孔ロッド6内に注入管を挿入して薬液注入を行う。
図5は、鞘管7を挿入する工程を示す図であり、図5(a)は鉛直方向の断面を、図5(b)は図5(a)のA2-A2による断面を示す。図5に示す工程では、削孔ロッド6内に鞘管7を挿入する。鞘管7は、モノパイル2の頂部側から矢印B2に示すように削孔ロッド6の先端61に向かう方向に挿入され、先端61から鞘管7が出たら挿入を完了する。鞘管7は、耐久性と可撓性を有する塩ビ管等である。
図6は、削孔ロッド6を引き抜く工程を示す図であり、図6(a)は鉛直方向の断面を、図6(b)は図6(a)のA3-A3による断面を示す。図6に示す工程では、曲りボーリング施工機5によって削孔ロッド6を地盤1およびガイド管4から引き抜く。削孔ロッド6は、矢印B3に示すように水上に向かう方向に引き抜きつつ、解体される。鞘管7は先端71が水底表面12に出た状態で残置される。
図7、図8は、ケーブル8を挿通する工程を示す図であり、図7(a)は鉛直方向の断面を、図7(b)は図7(a)のA4-A4による断面を、図8は図7(a)のC-Cによる断面を示す。図7に示す工程では、鞘管7内にケーブル8を挿通する。ケーブル8は、鞘管7の先端71側から水上に向かう方向に押し込んでもよいし、鞘管7内に予め仕込んでおいたロープに先端71側でケーブル8を接続し水上側から引き上げてもよい。
図7、図8に示すように、水底表面12とモノパイル2との間にわずかに露出する鞘管7が、波力や潮流力による影響を受けると思われる場合など、必要に応じて、露出する鞘管7の上部には、防護部材9が配置され、鞘管7が波力や潮流力などの外力を受けないように被覆される。防護部材9は、例えば砕石を詰めた網袋等とし、洗掘防止材を兼ねてもよい。図8に示すように、モノパイル2の周面から鞘管7が水底表面12に露出する位置14までの水平距離13は、メンテナンス等のための船舶がモノパイル2の近傍に係留した際に、錨等でケーブル8が損傷しないように設定することが望ましい。例えば、国内での交通船と呼ばれる曳船や押船といった能力を必要としない、人を運ぶための船が点検等のメンテナンスに使用されると考えられるが、その船の長さはだいたい10m+α程度である。また、モノパイル方式の風車の適用水深はだいたい30m程度までと考えられるため、たとえば45°の角度まで係留位置から錨が流されたとすれば、30mの位置となる。このため、作業船の船首は乗り降りのためモノパイルに接しているとすると、そこから船長10m+α+30mとして、αを10m以下と仮定すれば50m程度と考えられる。このため、水平距離13は、50m程度以上とすることが望ましい。
このように、本実施形態によればモノパイル2の外部の地盤1に向けて曲りボーリングを行って水底に鞘管7を埋設しケーブル8を挿通するので、洗掘防止材を設置しない場合にも、波力や潮流力などの外力による鞘管7やケーブル8の損傷を防止することができる。また、ガイド管4がモノパイル2の内部に固定されているので、ガイド管4を用いてモノパイル2の頂部側から削孔ロッド6による曲がりボーリングを行ったり鞘管7を挿入したりすることができ、潜水士作業を最小限にできる。
本実施形態では、ガイド管4が複数の支持部材41によって湾曲してモノパイル2の内部に固定され、ガイド管4の下端42が水平方向よりも下方に向けてモノパイル2の開口部21に接続されているので、ガイド管4内からモノパイル2の周辺の地盤1に削孔ロッド6を円滑に発進させることができる。この際、ガイド管4が直線状ではなく湾曲しているため、削孔ロッド6によって曲りボーリングを行う際の反力をガイド管4で受けることができる。
また、水底表面12とモノパイル2との間に位置する鞘管7の上に必要に応じて防護部材9が配置されるので、鞘管7が波力や潮流力などの外力を受けないように防護することができる。
さらに、モノパイル2と鞘管7の露出位置14との距離13を50m程度以上とすることにより、モノパイル基礎3に支持された洋上風力発電設備を作業船でメンテナンスする時に、作業船の投錨や走錨による海底の鞘管7やケーブル8の破損を防止できる。
なお、本実施形態では1本のガイド管4をモノパイル2の内部に固定したが、複数のガイド管4を別の方向に向けて配置してもよい。図9は2本のガイド管4を固定した例を示す図である。図9に示す例では、2本のガイド管4-1、4-2が互いに別の方向に向けて配置される。これにより、ガイド管4-1、4-2に対してそれぞれ点線で示す方向に曲りボーリングを行って複数の水底ケーブルを異なる方向に敷設することができる。この方法はケーブルを他のモノパイル基礎のケーブルと繋ぐ場合などに有用である。
また、各工程の詳細は上記したものに限らない。図10(a)は作業用ステージ10aを用いた例を示す図である。上記の実施形態では曲りボーリング施工機5を大型SEP10上に設置したが、図10(a)の例では、大型SEP10を用いてモノパイル2を打設した後、大型SEP10を退避させ、モノパイル2に固定した作業用ステージ10a上に曲りボーリング施工機5を設置して後続の工程を実施する。これにより、大型SEP10の使用期間を短縮できる。
図10(b)は先行削孔建て込み工法でモノパイル2を施工した例を示す図である。上記の実施形態では打撃工法によりモノパイル2を打設したが、図10(b)に示す例では地盤1を先行削孔したのちモノパイル2を建て込む先行削孔建て込み工法によって、モノパイル2を開口部21が水底表面12の下方に達する深さまで挿入し、ガイド管4の下端42を地盤1内に配置する。すなわち、ガイド管4の下端が、水底表面12よりも深くに位置する。これにより、削孔ロッド6をガイド管4の下端42から地盤1内に発進させることができるので、水底表面12とモノパイル2との間で鞘管7が露出せず、防護部材9が不要となる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、支持部材41の形状は十字状に限らず、ガイド管4を湾曲した状態でモノパイル2の内部に固定できるような形状であればよい。また、ガイド管4の下端42を鋭利な形状としてモノパイル2の開口部21から突出させ、モノパイル2の打設時にガイド管4の下端42を水底表面12に貫入させてもよい。これにより、ガイド管4の下端を水底表面12よりも深くに位置することができるため、打設工法の場合にも削孔ロッド6をガイド管4の下端42から地盤1内に発進させることができる。さらに、ガイド管4及び支持部材41を、モノパイル2を打設した後に取り付けられる構造とすることで、打設時にモノパイル2の中に中掘り用掘削機を入れて打設を行う中掘り工法に対しても適用することができる。
1………地盤
2………モノパイル
3………モノパイル基礎
4、4-1、4-2………ガイド管
5………曲りボーリング施工機
6………削孔ロッド
7………鞘管
8………ケーブル
9………防護部材
10………大型SEP
10a………作業用ステージ
11………張出部
12………水底表面
13………距離
14………位置
21………開口部
41………支持部材
42………下端
61、71………先端

Claims (7)

  1. モノパイルへの水底ケーブルの敷設方法であって、
    前記モノパイルは、内部にガイド管が固定されており、
    前記モノパイルの頂部近傍に曲りボーリング施工機を設置する工程と、
    前記ガイド管へ削孔ロッドを挿入し、前記曲りボーリング施工機によって前記モノパイルの外部の地盤に向けて曲りボーリングを行う工程と、
    水底表面までの掘削が完了した後、前記削孔ロッド内に鞘管を挿入する工程と、
    前記削孔ロッドを引き抜く工程と、
    前記鞘管の内部にケーブルを挿通する工程と、
    を具備することを特徴とするモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法。
  2. 前記ガイド管は、前記モノパイルの内部において、複数の支持部材によって湾曲して固定されていることを特徴とする請求項1記載のモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法。
  3. 前記ガイド管の下端付近は、水平方向よりも下方に向けて前記モノパイルの開口部に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法。
  4. 水底表面と前記モノパイルとの間で露出する前記鞘管の上部に、防護部材が配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法。
  5. 前記モノパイルから、前記鞘管が水底表面に露出するまでの距離が、50m以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法。
  6. 前記ガイド管が互いに別の方向に向けて複数本配置され、それぞれの前記ガイド管に対して、曲りボーリングを行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のモノパイルへの水底ケーブルの敷設方法。
  7. 中空のモノパイル基礎であって、
    モノパイルの内部にはガイド管が配置され、前記ガイド管は、前記モノパイルの内部において、複数の支持部材によって湾曲して固定されていることを特徴とするモノパイル基礎。
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