JP2022180747A - 多元系合金からなる粉末及び成形体 - Google Patents

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Ryohei HOSOMI
俊之 澤田
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Abstract

【課題】混合のエントロピーΔSmixが高い合金からなり、かつ、硬さ、強さ、延伸性及び耐摩耗性のバランスに優れた粉末成形体の提供。【解決手段】成形体は、粉末から得られる。この成形体の材質は、多元系合金である。この多元系合金は、Co:5原子%以上35原子%以下、Cr:5原子%以上35原子%以下、Fe:5原子%以上35原子%以下、Ni:5原子%以上35原子%以下、及びV:0.1原子%以上20原子%以下を含有する。この多元系合金は、Oをさらに含有する。Oの含有率は、20ppmw以上1000ppmw以下である。この多元系合金の混合のエントロピーΔSmixは、1.30R以上である。この合金の価電子濃度VECは、7.84以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、混合のエントロピーΔSmixが大きい多元系合金からなる、粉末及び成形体に関する。
混合のエントロピーΔSmixが高い多元系合金が、着目されている。このような合金として、ミディアムエントロピー合金及びハイエントロピー合金が、知られている。ミディアムエントロピー合金のエントロピーΔSmixは、気体定数Rの1.0倍以上である。ハイエントロピー合金のエントロピーΔSmixは、気体定数Rの1.5倍以上である。これらの多元系合金は、特徴的な力学特性を示す。
特開2019-163535公報には、主要元素としてCr、Fe及びVを含む多元系合金が開示されている。この合金はさらに、Al、Si、Mn、Mo、Ti又はNiを含有する。この合金は、耐食性に優れる。
特表2021-500469公報には、Co、Cr、V、Fe及びNiを含む多元系合金が提案されている。この合金は、極低温での特性に優れている。
特開2019-163535公報 特表2021-500469公報
一般的な多元系合金は、耐摩耗性に劣る。耐摩耗性の改善が、望まれている。特開2019-163535公報に開示された合金は、多量のVを含有する。Vは、耐摩耗性に寄与しうる。しかしこの合金では、Vが脆性相を析出させる。この合金の伸びは、不十分である。
特表2021-500469公報に開示された合金でも、Vが耐摩耗性に寄与しうる。しかしこの合金では、Feの含有量が多い。この合金の硬さは不十分である。
本発明の目的は、混合のエントロピーΔSmixが高い合金からなり、かつ、硬さ、強さ、延伸性及び耐摩耗性のバランスに優れた粉末成形体の提供にある。
本発明に係る粉末の材質は、多元系合金である。この多元系合金は、
Co:5原子%以上35原子%以下、
Cr:5原子%以上35原子%以下、
Fe:5原子%以上35原子%以下、
Ni:5原子%以上35原子%以下、
V:0.1原子%以上20原子%以下
及び
不可避的不純物
を含有する。この多元系合金は、Oをさらに含有する。Oの含有率は、質量基準で20ppmw以上1000ppmw以下である。この多元系合金の混合のエントロピーΔSmixは、1.30R以上である。合金の価電子濃度VECは、7.84以上である。
他の観点によれば、本発明に係る粉末成形体の材質は、多元系合金である。この多元系合金は、
Co:5原子%以上35原子%以下、
Cr:5原子%以上35原子%以下、
Fe:5原子%以上35原子%以下、
Ni:5原子%以上35原子%以下、
V:0.1原子%以上20原子%以下
及び
不可避的不純物
を含有する。この多元系合金は、Oをさらに含有する。この成形体の金属組織は、マトリックスとこのマトリックスに分散する多数の酸化物とを含む。この酸化物の最大サイズDmaxは、10.0μm以下である。この酸化物の面積率Poは、0.5%以上7.0%以下である。この多元系合金の混合のエントロピーΔSmixは、1.30R以上である。この合金の価電子濃度VECは、7.84以上である。
多元系合金が、V、Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素を含有してもよい。好ましくは、これらの元素の合計含有率は、20原子%以下である。
多元系合金が、Siを含有してもよい。好ましくは、Siの合計含有率は、20原子%以下である。
本発明に係る成形体では、合金の混合のエントロピーΔSmixが大きい。しかもこの成形体は、硬さ、強さ、延伸性及び耐摩耗性のバランスに優れる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
本発明に係る粉末は、多数の粒子の集合である。これらの粒子の材質は、多元系合金である。この多元系合金は、
Co:5原子%以上35原子%以下、
Cr:5原子%以上35原子%以下、
Fe:5原子%以上35原子%以下、
Ni:5原子%以上35原子%以下、
及び
V:0.1原子%以上20原子%以下
を含有する。この多元系合金は、
O:20ppmw以上1000ppmw以下
をさらに含有する。好ましくは、残部は不可避的不純物である。この粉末から、後に詳説される焼結により、成形体が得られる。
この多元系合金は、複数の元素をベースとして含有する。本実施形態では、Co、Cr、Fe及びNiは、ベース元素である。本実施形態では、Vもベース元素たり得る。それぞれのベース元素の原子含有率(at%)は、十分に大きい。従ってこの多元系合金の金属組織は、単一の元素のみがベースである合金の金属組織とは、明確に異なる。この合金の混合のエントロピーΔSmixは、十分に大きい。
混合のエントロピーΔSmixは、下記の数式によって算出されうる。
Figure 2022180747000001
この数式においてCiは、各元素のモル分率である。
この合金におけるベース元素の原子含有率が等量に近いほど、この合金の混合のエントロピーΔSmixが大きい。このエントロピーΔSmixが大きい合金では、混合状態が安定である。このエントロピーΔSmixが大きい合金では、複雑かつ微細な金属組織が得られうる。この金属組織は、緩和拡散に優れる。このエントロピーΔSmixが大きい合金では、原子半径差に起因する格子歪みが大きい。大きな格子歪みによって変形抵抗が増大されるので、この合金から得られた成形体は高硬度である。これらの観点から、混合のエントロピーΔSmixは1.30R以上が好ましく、1.40R以上がより好ましく、1.50R以上が特に好ましい。ここでRは、気体定数を表す。気体定数Rの具体的な値は、8.314J・K-1・mol-1である。
Co、Cr、Fe及びNiのそれぞれの原子含有率は、大きなエントロピーΔSmixが得られるよう、5原子%以上35原子%以下の範囲で調整される。この含有率は10原子%以上がより好ましく、15原子%以上が特に好ましい。この含有率は30原子%以下がより好ましく、25原子%以下が特に好ましい。
ベース元素のうち、原子含有率が最大である元素の原子含有率Pmaxと、原子含有率が最小である元素の原子含有率Pminとの差(Pmax-Pmin)は、15原子%以下が好ましく、10原子%以下がより好ましく、5原子%以下が特に好ましい。
Vは、本発明に係る多元系合金において、極めて重要な元素である。本発明者が得た知見によれば、本発明に係る合金では、VがOと結合して酸化物を形成する。この酸化物は、マトリックスに分散している。この合金から得られる成形体では、多元系合金の特徴である緩和拡散効果と、酸化物によるピン止め効果との重畳効果により、結晶粒の成長が抑制される。この成形体は、高温での軟化抵抗に優れる。
十分な酸化物が析出するとの観点から、Vの含有率は0.1原子%以上が好ましく、5原子%以上がより好ましく、10原子%以上が特に好ましい。過剰のVは、脆性相の生成を招来する。脆性相は、成形体の熱間加工性を阻害する。熱間加工性の観点から、Vの含有率は20原子%以下が好ましく、18原子%以下がより好ましく、16原子%以下が特に好ましい。
Oは、本発明に係る多元系合金において、極めて重要な元素である。本発明者が得た知見によれば、本発明に係る合金では、VがOと結合して酸化物を形成する。この酸化物は、マトリックスに分散している。この合金から得られる成形体では、多元系合金の特徴である緩和拡散効果と、酸化物によるピン止め効果との重畳効果により、結晶粒の成長が抑制される。この成形体は、高温での軟化抵抗に優れる。一般的な鉄鋼材料では、Oは破壊の起点となる等の理由で、極力除去される。本発明に係る多元系合金では、酸化物によるピン止め効果が重視されるので、ある程度のOの残留は好ましい。Oは、原材料に由来して、多元系合金に含有されうる。酸素ガスがある程度存在する雰囲気中で精錬されることによっても、Oが多元系合金に含有されうる。
十分な酸化物が析出するとの観点から、粉末におけるOの含有率(質量基準)は20ppmw以上が好ましく、150ppmw以上がより好ましく、200ppmw以上が特に好ましい。過剰のOは、過剰の酸化物の生成を招来する。過剰の酸化物は、成形体の延伸性を阻害する。延伸性の観点から、Oの含有率は1000ppmw以下が好ましく、800ppmw以下がより好ましく、600ppmw以下が特に好ましい。
不可避的不純物として、P、S、Sn及びNが例示される。Pの含有率は、0.10質量%以下が好ましく、0.02質量%以下が特に好ましい。Sの含有率は、0.10質量%以下が好ましく、0.002質量%以下が特に好ましい。Snの含有率は、0.10質量%以下が好ましく、0.02質量%以下が特に好ましい。Nの含有率は、0.50質量%以下が好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。
成形体の金属組織では、前述の通り、マトリックスに多数の酸化物が分散している。マトリックスの好ましい結晶構造は、面心立方格子(fcc)である。混合のエントロピーΔSmixが大きいfcc型の合金において、酸化物が高硬度と耐摩耗性とに寄与しうることを、本発明者は見出した。
好ましい他の実施形態によれば、多元系合金は、Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素を含む。Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnの合計含有率は、20原子%以下である。すなわち、この多元系合金は、
Co:5原子%以上35原子%以下、
Cr:5原子%以上35原子%以下、
Fe:5原子%以上35原子%以下、
Ni:5原子%以上35原子%以下、
V:0.1原子%以上20原子%以下、
Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素:20原子%以下、
並びに
O:20ppmw以上1000ppmw以下
を含有する。好ましくは、残部は不可避的不純物である。
Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al又はMnを含む多元系合金から得られる成形体では、マトリックス中にこれらの元素のいずれかを含む微細化合物が析出する。典型的な微細化合物は、酸化物である。Vの酸化物に比べれば劣るものの、この微細化合物も、結晶粒をピン止めする。この成形体は、軟化抵抗に優れる。軟化抵抗の観点から、Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnの原子含有率が大きいことが好ましい。脆性相の生成が抑制されて優れた熱間加工性が達成されるとの観点からは、この原子含有率が小さいことが好ましい。
軟化抵抗及び熱間加工性の観点から、Mo、Nb、W、Ti、Zr及びAlの合計含有率は1原子%以上16原子%以下がより好ましく、3原子%以上9原子%以下が特に好ましい。Mnの含有率は10原子%以下がより好ましく、1.00原子%以下が特に好ましい。
好ましいさらに他の実施形態によれば、多元系合金は、Siを含有する。Siの含有率は、10原子%以下である。すなわち、この多元系合金は、
Co:5原子%以上35原子%以下、
Cr:5原子%以上35原子%以下、
Fe:5原子%以上35原子%以下、
Ni:5原子%以上35原子%以下、
V:0.1原子%以上20原子%以下、
Si:10原子%以下、
及び
O:20ppmw以上1000ppmw以下
を含有する。好ましくは、残部は不可避的不純物である。
Siを含む多元系合金から得られる成形体では、マトリックス中にSiを含む微細化合物が析出する。この微細化合物が結晶粒をピン止めするので、この成形体は軟化抵抗に優れる。軟化抵抗の観点から、Siの原子含有率が大きいことが好ましい。脆性相の生成が抑制されて優れた熱間加工性が達成されるとの観点から、この原子含有率が小さいことが好ましい。軟化抵抗及び熱間加工性の観点から、Siの含有率は0.5原子%以上8原子%以下がより好ましく、1.0原子%以上5原子%以下が特に好ましい。
多元系合金が、Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素を含み、さらにSiを含んでもよい。すなわち、この多元系合金は、
Co:5原子%以上35原子%以下、
Cr:5原子%以上35原子%以下、
Fe:5原子%以上35原子%以下、
Ni:5原子%以上35原子%以下、
V:0.1原子%以上20原子%以下、
Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素:20原子%以下、
Si:10原子%以下、
並びに
O:20ppmw以上1000ppmw以下
を含有する。好ましくは、残部は不可避的不純物である。Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al、Mn及びSiの合計含有率は、20原子%以下が好ましい。
この多元系合金の価電子濃度(Valence Electron Concentration(VEC))は、7.84以上が好ましい。価電子濃度VECが7.84以上である多元系合金では、脆性相の生成が抑制されうる。この合金ではさらに、結晶構造がfccである相が、安定して形成されうる。これらの観点から、価電子濃度VECは7.87以上がより好ましく、7.90以上が特に好ましい。
合金の価電子濃度VECは、この合金の結晶構造が予測されうる指標である。価電子濃度VECは、下記の数式によって算出されうる。
Figure 2022180747000002
この数式において、Ciは各元素のモル分率であり、VECiは、各元素における、d電子を含む価電子帯の電子数である。
前述の通り、成形体の金属組織は、マトリックスとこのマトリックスに分散する多数の酸化物とを含んでいる。酸化物のサイズは、成形体の延伸性と相関する。延伸性の観点から、成形体における酸化物の最大サイズDmaxは10.0μm以下が好ましく、7.0μm以下がより好ましく、5.0μm以下が特に好ましい。最大サイズDmaxは、0.1μm以上が好ましい。
最大サイズDmaxの測定では、走査型電子顕微鏡によって成形体の研磨面の反射電子像が撮影される。撮影によって得られた画像に存在するそれぞれの酸化物の、円相当径Dが、算出される。画像に存在する全ての酸化物の、円相当径Dの最大値が、最大サイズDmaxである。換言すれば、最大サイズDmaxは、成形体における酸化物の円相当径Dの最大値である。酸化物の円相当径Dは、当該酸化物の面積Sと同じ面積を有する真円の直径である。円相当径Dは、下記の数式によって算出されうる。
D = (4 × S / π)0.5
成形体における酸化物の面積率Poは、0.5%以上7.0%以下が好ましい。この面積率Poが0.5%以上である成形体は、軟化抵抗に優れる。この観点から、この面積率Poは1.0%以上がより好ましく、2.0%以上が特に好ましい。この面積率Poが7.0%以下である成形体は、延伸性に優れる。この観点から、この面積率Poは6.0%以下がより好ましく、5.0%以下が特に好ましい。
面積率Poの測定では、走査型電子顕微鏡によって成形体の研磨面の反射電子像が撮影される。撮影によって得られた画像に存在するそれぞれの酸化物の面積が、測定される。画像に存在する全ての酸化物の合計面積に基づき、面積率Poが算出される。
この成形体は、粉末冶金法によって製造されうる。換言すれば、本発明に係る成形体は、粉末成形体である。粉末冶金法に供される粉末は、好ましくは、アトマイズ法によって得られる。ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法、単ロール急冷法、双ロール急冷法及び遠心アトマイズ法が、採用される。好ましいアトマイズは、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法である。アトマイズによって得られた粉末に、メカニカルミリング等が施されてもよい。アトマイズにおける急冷凝固により、微細なV酸化物が得られうる。この酸化物の、結晶粒をピン止めする効果は、大きい。この酸化物を含む成形体は、軟化抵抗に優れる。アトマイズにおける急冷凝固はさらに、酸化物の微細化に寄与する。微細酸化物を含む成形体は、延伸性に優れる。
この粉末を固化させる典型的な方法は、焼結である。この焼結では、粉末が加圧処理に供される。典型的な加圧処理は、熱間静水圧加圧処理である。焼結で得られた焼結体に熱間鍛造等の塑性加工が施され、本発明に係る成形体が得られる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
表1に示された組成の金属を溶解し、溶湯を得た。この溶湯を、アルミナ製坩堝に投入した。この坩堝のノズルから溶湯を出し、これに高圧アルゴンを噴霧して、粉末を得た。この粉末を分級に供し、粒子径を300μm以下に調整した。この粉末をカプセルに充填し、このカプセルを密封した。この粉末を1170℃の熱間静水圧プレス処理(HIP)に供し、燒結体を得た。この燒結体を、1100℃に加熱した。この成形体に鍛造加工を施して空冷し、実施例1の粉末成形体を得た。
[実施例2-14及び比較例1-14]
組成を下記の表1及び2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2-14及び比較例1-14の粉末成形体を得た。
[比較例15]
アーク溶解法により、インゴットを得た。このインゴットを、1100℃に加熱した。このインゴットに鍛造加工を施して空冷し、成形体を得た。
[Dmax、Po]
成形体から、試験片を切り出した。この試験片のサイズは、10mm×10mm×10mmであった。この試験片を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、4000倍の反射電子像を得た。この電子像から、画像処理により、酸化物の円相当径の最大値Dmaxを算出した。さらにこの電子像から、画像処理により、酸化物の面積率Poを算出した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。
[ロックウェル硬さ(HRB)]
成形体の硬さH1を、測定した。この成形体を870℃に加熱し、1時間保持して徐冷した。この成形体の硬さH2を、測定した。硬さH1及びH2の測定は、ロックウェルハードネススケールBで行った。さらに、硬さの差(H1-H2)を算出した。これらの結果が、下記の表1及び2に示されている。10以下である差(H1-H2)が、好ましい。
[引張り試験]
成形体から、「JIS 14A号 φ5試験片(φ5×GL25mm)」を切り出した。この試験片を室温での引張り試験に供し、引張強さと伸びを測定した。これらの結果が、下記の表1及び2に示されている。750MPa以上の引張強さが、好ましい。15%以上の伸びが、好ましい。
[比摩耗量]
成形体から、試験片を切り出した。この試験片のサイズは、19mm×41mm×6mmであった。この試験片を大越式摩耗試験機にセットし、比摩耗量を測定した。測定条件は、以下の通りである。
相手材:SCM420
摩耗速度:2.38m/sec
摩耗距離:200m
最終荷重:20.6N
潤滑:なし
温度:室温
試験で得られた摩耗痕幅を測定し、摩耗体積を計算した。この摩耗体積を摩耗距離と最終荷重の積で除すことで、比摩耗量を算出した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。6.0×10-6mm/kg以下である比摩耗量が、好ましい。
Figure 2022180747000003
Figure 2022180747000004
表1及び2には、粉末の段階での組成が示されている。但し、比較例15に係る成形体では、インゴットの段階での組成が示されている。各合金は、表1又は2に示された元素以外に、不可避的不純物を含む。
比較例1に係る粉末は、Vを含有していない。この粉末から得られた成形体は、硬度、軟化抵抗、引張強さ及び耐摩耗性に劣る。比較例2に係る粉末は、過剰のVを含有する。この粉末から得られた成形体は、延伸性に劣る。比較例3に係る粉末では、混合のエントロピーΔSmixが小さい。この粉末から得られた成形体は、硬度に劣る。比較例4に係る粉末から得られた成形体では、酸化物の面積率Poが過少である。この成形体は、軟化抵抗及び耐摩耗性に劣る。比較例5に係る粉末から得られた成形体では、酸化物の面積率Poが過剰である。この成形体は、延伸性に劣る。比較例6-14に係る粉末では、VECが過小である。これらの粉末から得られた成形体は、延伸性に劣る。比較例15に係る成形体は、粗大な酸化物を含む。この成形体は、軟化抵抗及び延伸性に劣る。
それぞれの実施例に係る粉末から得られた成形体は、硬さ、強さ、延伸性及び耐摩耗性のバランスに優れている。
これらの評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された多元系合金は、強靱性及び耐摩耗性が要求される種々の用途に適している。

Claims (6)

  1. その材質が多元系合金であり、
    上記多元系合金が、
    Co:5原子%以上35原子%以下、
    Cr:5原子%以上35原子%以下、
    Fe:5原子%以上35原子%以下、
    Ni:5原子%以上35原子%以下、
    V:0.1原子%以上20原子%以下
    及び
    不可避的不純物
    を含有しており、
    上記多元系合金が、Oをさらに含有しており、
    Oの含有率が質量基準で20ppmw以上1000ppmw以下であり、
    上記多元系合金の混合のエントロピーΔSmixが、1.30R以上であり、
    上記合金の価電子濃度VECが7.84以上である粉末。
  2. 上記多元系合金が、
    Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素:20原子%以下
    をさらに含有する請求項1に記載の粉末。
  3. 上記多元系合金が、
    Si:10原子%以下
    をさらに含有する請求項1又は2に記載の粉末。
  4. その材質が多元系合金であり、
    上記多元系合金が、
    Co:5原子%以上35原子%以下、
    Cr:5原子%以上35原子%以下、
    Fe:5原子%以上35原子%以下、
    Ni:5原子%以上35原子%以下、
    V:0.1原子%以上20原子%以下
    及び
    不可避的不純物
    を含有しており、
    上記多元系合金が、Oをさらに含有しており、
    その金属組織が、マトリックスとこのマトリックスに分散する多数の酸化物とを含んでおり、
    上記酸化物の最大サイズDmaxが10.0μm以下であり、
    上記酸化物の面積率Poが0.5%以上7.0%以下であり、
    上記多元系合金の混合のエントロピーΔSmixが、1.30R以上であり、
    上記合金の価電子濃度VECが7.84以上である粉末成形体。
  5. 上記多元系合金が、
    Mo、Nb、W、Ti、Zr、Al及びMnからなる群から選択された1又は2以上の元素:20原子%以下
    をさらに含有する請求項4に記載の粉末成形体。
  6. 上記多元系合金が、
    Si:10原子%以下
    をさらに含有する請求項4又は5に記載の粉末成形体。
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