JP2022178259A - 樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、流動性、耐熱性、面衝撃強度に優れると共に、繰り返し加工性にも優れるポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及び当該樹脂組成物を含む成形品を提供することを目的とする。【解決手段】(a)ポリアミド、(b)ポリフェニレンエーテル、(c)前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤、及び(d)2個以上のヒドロキシル基を有し、且つ500未満の数平均分子量(Mn)を有する多価アルコールを含み、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対し、(d)多価アルコールの含有量が、0.3~5質量部であり、(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度の、末端カルボキシル基濃度に対する比率(末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度)が0.3~0.5であり、(a)ポリアミドが連続相を形成していることを特徴とする、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリフェニレンエ-テルは機械的性質、電気的性質、及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性にも優れるため広い範囲で用いられているが、単独では成形加工性が劣っている。
これを改良するために、ポリアミドを配合する技術が特許文献1等に提案され、現在では、このポリマーアロイに様々な改良が加えられ、電気電子部品や自動車部品等の金属代替材として様々な用途に用いられている。
一方、従来よりポリアミドは、機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品等、数多くの分野で使用されている。中でも特に、自動車のエンジンルーム内に設置されるリレーブロックには、従来、ポリアミド6,6が使用されていたが、吸水時の寸法変化が大きくなるという問題点があった。
このため、最近では次第にポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物へ置き換わってきている。特許文献2には、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ビニル芳香族-オレフィンブロック共重合体からなる組成物のポリフェニレンエーテルとビニル芳香族-オレフィンブロック共重合体を特定の分散径に制御する技術が開示されている。また、特許文献3には、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、特定の対水溶解度を有する水可溶性物質を含む組成物が開示されている。
特公昭45-997号公報 特開平1-79258号公報 特開2005-231219号公報
自動車部品、機械部品、電気・電子部品等は、その形状が複雑化する傾向にあり、さらには小型化、薄肉化していく流れに有るのが現状である。その中でも、近年のリレーブロックや、コネクター等に代表されるSMT対応部品は、特に形状が複雑化、小型化、薄肉化されている。また、資源の持続可能性の観点から素材に対しては再使用できる設計が求められつつある。したがって、材料には射出成形の際の流動性、耐熱性、面衝撃強度、繰り返し加工性が求められているが、特許文献1~3で提案されているいずれの技術でも、薄肉部品での優れた成形性を実現可能な流動性を保持しつつ、同時に耐熱性及び面衝撃強度、繰り返し加工性に優れた材料とするには不十分であった。
そこで、本発明は、流動性、耐熱性、面衝撃強度に優れると共に、繰り返し加工性にも優れるポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及び当該樹脂組成物を含む成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリアミドを用いたポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物にポリアミドとポリフェニレンエーテルとの相溶化剤、特定の多価アルコールを添加することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
(a)ポリアミド、
(b)ポリフェニレンエーテル、
(c)前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤、及び
(d)2個以上のヒドロキシル基を有し、且つ500未満の数平均分子量(Mn)を有する多価アルコールを含み、
前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対し、前記(d)多価アルコールの含有量が、0.3~5質量部であり、
前記(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度の、末端カルボキシル基濃度に対する比率(末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度)が0.3~0.5であり、
前記(a)ポリアミドが連続相を形成していることを特徴とする、樹脂組成物。
[2]
前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対し、前記(a)ポリアミドの含有量が、40~90質量部であり、前記(b)ポリフェニレンエーテルの含有量が、10~60質量部である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記(a)ポリアミドのギ酸相対粘度(VR)が30~40である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記(a)ポリアミドがポリアミド6,6である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記(d)多価アルコールがジペンタエリスリトールである、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
(e)衝撃改良材として、芳香族ビニル単量体単位を主体とするブロックを少なくとも1つと、共役ジエン単量体単位を主体とするブロックを少なくとも1つ含むブロック共重合体及び/又は該ブロック共重合体の水素添加物をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
[8]
自動車用電気・電子用途部品である、[7]に記載の成形品。
本発明によれば、流動性、耐熱性、面衝撃強度に優れると共に、繰り返し押出後も流動性と面衝撃強度に優れるポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及び当該樹脂組成物を含む成形品を得ることができる。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、(a)ポリアミド、(b)ポリフェニレンエーテル、(c)前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤、及び(d)2個以上のヒドロキシル基を有し、且つ500未満の数平均分子量(Mn)を有する1種又は複数種の多価アルコールを含み、前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対し、前記(d)多価アルコールの含有量が、0.3~5質量部であり、前記(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度の、末端カルボキシル基濃度に対する比率(末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度)が0.3~0.5であり、前記(a)ポリアミドが連続相を形成しているものである。
本実施形態の樹脂組成物は、上記構成をとることにより、例えば、射出成形品とした際に、ブリードアウト現象が抑制され、同時に流動性、耐熱性、及び面衝撃強度に優れる樹脂組成物とすることができる。また、本実施形態の樹脂組成物は、繰り返し使用する場合においても、流動性と面衝撃強度の保持を発現することが可能である。
[(a)ポリアミド]
本実施形態の(a)ポリアミド(以下、単に「(a)成分」と称する場合がある)は、ポリマー主鎖の繰り返し単位中にアミド結合{-NH-C(=O)-}を有するものであれば、特に制限されない。
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、ωアミノカルボン酸の重縮合等によって得られるが、これらの方法によって得られた樹脂に限定されるものではない。
ラクタム類としては、具体的にはεカプロラクタム、エナントラクタム、ωラウロラクタム等が挙げられる。
上記ジアミンとしては、大別して脂肪族、脂環式及び芳香族ジアミンが挙げられる。ジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、大別して脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,1,3-トリデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはεアミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、9-アミノナノン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、13-アミノトリデカン酸等が挙げられる。
本実施形態においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ωアミノカルボン酸は、単独あるいは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類はいずれも使用することができる。
また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ωアミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
特に本実施形態で好適に用いることのできる(a)ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12、ポリアミドMXD(m-キシリレンジアミン),6、ポリアミド6,T、ポリアミド9,T、ポリアミド6,I、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6/6,T/6,I、ポリアミド6,6/6,T/6,I、ポリアミド6/12/6,T、ポリアミド6,6/12/6,T、ポリアミド6/12/6,I、ポリアミド6,6/12/6,I等が挙げられる。
これらのうち、複数のポリアミドを押出機等で共重合化したポリアミド類も使用することができる。中でも好ましいポリアミドは、脂肪族ポリアミドのポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11、ポリアミド12;及び半芳香族ポリアミドのポリアミド9,T、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミドMXD,6から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、ポリアミド6,6、ポリアミド6、ポリアミド9,T、ポリアミド6,6/6,Iから選ばれる1種以上のポリアミドである。
本実施形態の(a)ポリアミドの分子量の指標としては、ギ酸相対粘度(VR)を用いることができる。ギ酸相対粘度(VR)は、(a)ポリアミドのギ酸溶液の相対粘度であり、(a)ポリアミドのギ酸溶液が有する粘度とギ酸自身が有する粘度とを比較した相対粘度である。VRの数値が高いほど、高分子量であると評価される。
VRを測定する際には、ASTM-D789に準拠して実施する。具体的には、90質量%ギ酸(水10質量%)に(a)ポリアミドを8.4質量%になるように溶解させた溶液を用いて、25℃で測定した値をVR値として採用することができる。
(a)ポリアミドのVRは25以上45以下が好ましく、25以上40以下がより好ましく、30以上40以下がさらに好ましい。
(a)ポリアミドのVRが25以上であることで、機械的性質がより良好となる傾向にある。一方、(a)ポリアミドが45以下であることで、機械物性を維持しつつ流動性がより良好となり、成形加工性がより良好となる傾向にある。
本実施形態の(a)ポリアミドは、VRの異なる複数のポリアミドの混合物であっても良い。
(a)ポリアミドの末端基は、(b)ポリフェニレンエーテルとの反応に関与する。一般に、ポリアミドは、末端基としてアミノ基又はカルボキシル基を有しているが、一般的に末端カルボキシル基濃度が高くなると、耐衝撃性が低下し、流動性が向上する。逆に末端アミノ基濃度が高くなると耐衝撃性が向上し、流動性が低下する。
本実施形態における、(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度の末端カルボキシル基濃度に対する比率(末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度)は、0.3~0.5である。好ましくは0.3~0.45、より好ましくは0.3~0.4である。この範囲とすることにより、組成物の流動性と耐衝撃性、繰り返し押出時の流動性と面衝撃強度をより良好にすることができる。
また、本実施形態の(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度は、20~80μmol/gであることが好ましく、より好ましくは20~60μmol/gであり、さらに好ましくは20~50μmol/gである。末端アミノ基濃度を上述の範囲とすることにより、組成物の流動性と耐衝撃性、繰り返し押出時の流動性と面衝撃強度をより良好にすることができる。
また、本実施形態の(a)ポリアミドの末端カルボキシル基濃度は、40~150μmol/gであることが好ましく、より好ましくは60~120μmol/gであり、さらに好ましくは70~110μmol/gである。末端カルボキシル基濃度を上述の範囲とすることにより、組成物の流動性と耐衝撃性、繰り返し押出時の流動性と面衝撃強度をより良好にすることができる。
(a)ポリアミドのこれらの末端基の調整方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)ポリアミドの重合時に所定の末端濃度となるようにジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物等から選ばれる1種以上を添加する方法が挙げられる。
本実施形態でいう末端アミノ基と末端カルボキシル基の濃度は、種々の方法により測定可能であるが、H-NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。例えば、半芳香族ポリアミドの末端基濃度定量の具体的方法としては、特開平7-228689号公報の実施例に記載された方法に従うことが推奨される。
本実施形態の(a)ポリアミドとして半芳香族ポリアミドを使用する場合は、その分子鎖の末端基の10~95%が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)の下限値は、40%であることがより好ましく、60%であることがさらに好ましい。末端封止率を10%以上とすることにより、本実施形態の樹脂組成物の溶融成形時の粘度変化を小さくすることができ、得られる成形品の外観、加工時の耐熱安定性等の物性に優れるといった効果が得られる傾向にある。また、末端封止率の上限値は、90%であることがより好ましい。末端封止率を95%以下とすることにより、組成物の耐衝撃性と成形品の表面外観に優れるといった効果が得られる傾向にある。
本実施形態の(a)ポリアミドとしての半芳香族ポリアミドの末端封止率は、ポリアミド系樹脂に存在する末端カルボキシル基、末端アミノ基、及び末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)に従って求めることができる。
末端封止率(%)=[(α-β)/α]×100・・・(1)
〔式中、αは分子鎖の末端基の総数(単位=モル;これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、βは封止されずに残ったカルボキシル基末端及びアミノ基末端の合計数を表す。〕
末端封止剤としては、ポリアミドの末端のアミノ基又はカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性及び封止末端の安定性等の点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネ-ト、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコ-ル類等を末端封止剤として使用することができる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましく、酢酸、安息香酸が特に好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましく、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンが特に好ましい。
また、本実施形態においては、(a)ポリアミドによって樹脂組成物に付与される耐熱安定性をさらに向上させる目的で、樹脂組成物中に鉄を除く遷移金属及び/又はハロゲンを存在させても構わない。
遷移金属の種類に関しては特に制限はないが、銅、セリウム、ニッケル、コバルトが好ましく、特に銅が好ましい。また、ハロゲンの中でも、臭素又はヨウ素が好ましく使用できる。
鉄元素を除く遷移金属の好ましい量は、樹脂組成物すべてを100質量%としたとき、1質量ppm以上200質量ppm未満である。さらに好ましくは5質量ppm以上100質量ppm未満である。また、ハロゲンの好ましい量は同様に、500質量ppm以上1500質量ppm未満であり、より好ましくは、700質量ppm以上1200質量ppm未満である。
これら遷移金属及び/又はハロゲンの樹脂組成物への添加方法としては、特に制限はなく、例えば、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を溶融混練するときに粉体として添加する方法、ポリアミドの重合時に添加する方法、ポリアミドに高濃度で添加したマスターペレットを作製した後、このマスターペレットを樹脂組成物へ添加する方法等が挙げられるが、いずれの方法をとっても構わない。これらの方法の中で好ましい方法は、ポリアミドの重合時に添加する方法、又はポリアミドに高濃度で添加したマスターペレットを作製したのち添加する方法である。
また、本実施形態においては、上述した遷移金属及び/又はハロゲンの他に、公知の有機安定剤も問題なく使用することができる。
有機安定剤の例としては、イルガノックス1098(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)等に代表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)等に代表されるリン系加工熱安定剤、HP-136(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)に代表されるラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これら有機安定剤の中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、もしくはその併用がより好ましい。
これら有機安定剤の好ましい配合量は、(a)ポリアミド100質量部に対して、0.001~1質量部である。
[(b)ポリフェニレンエーテル]
本実施形態における(b)ポリフェニレンエーテル(以下、単に「(b)成分」と称する場合がある)の具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52-17880号公報に記載されているような2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体や2-メチル-6-ブチルフェノールとの共重合体)等のポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体、又はこれらの混合物である。
(b)ポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、第一銅塩とアミンとのコンプレックスを触媒として用いて、例えば、2,6-キシレノールを酸化重合することによって製造する、米国特許第3306874号明細書に記載される方法や、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50-51197号公報、特公昭52-17880号公報及び同63-152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
本実施形態における(b)ポリフェニレンエーテルの還元粘度(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定)の好ましい範囲は0.30~0.80dL/g、より好ましくは0.35~0.75dL/g、最も好ましくは0.38~0.55dL/gである。(b)ポリフェニレンエーテルの還元粘度がこの範囲にあると、耐衝撃性、耐熱性等の特性に優れ好ましい。
本実施形態の(b)ポリフェニレンエーテルにおいては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、好ましく使用することができる。
また、(b)ポリフェニレンエーテルの安定化の為、公知の各種安定剤も好適に使用することができる。安定剤の例としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の金属系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等の有機安定剤であり、これらの好ましい配合量は、(b)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して5質量部未満である。
さらに、(b)ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等も(b)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
[(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの量比]
本実施形態において、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの好ましい含有量は、両者の総量を100質量部としたときに、(a)ポリアミド40~90質量部、(b)ポリフェニレンエーテル10~60質量部の範囲内である。より好ましくは(a)ポリアミド50~75質量部、(b)ポリフェニレンエーテル25~50質量部の範囲内、さらに好ましくは(a)ポリアミド50~70質量部、(b)ポリフェニレンエーテル30~50質量部の範囲内である。(a)と(b)との含有比がこの範囲であると、耐熱性、流動性、面衝撃強度のバランスに優れ好ましい。
なお、樹脂組成物中のこれらの含有量は、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)を用いて検量線法により求めることができる。
なお、本実施形態では、樹脂組成物における、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの合計の含有量は、樹脂組成物全体を100質量%として、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
[(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの分散形態]
本実施形態の樹脂組成物においては、(a)ポリアミドを含む相が連続相となっている。一方、(b)ポリフェニレンエーテルを含む相は分散相であってよい。
なお、(a)ポリアミドによる連続相の形成は、樹脂組成物を成形して得た試験片を(a)ポリアミドが染色されるように染色し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて3000倍から25000倍の倍率で観察することにより判定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により判定することができる。
[(c)相溶化剤]
本実施形態の(c)相溶化剤(以下、単に「(c)成分」と称する場合がある)とは、(b)ポリフェニレンエーテル、(a)ポリアミド、又はこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。この相互作用は、化学的(例えば、グラフト化)であっても、又は物理的(例えば、分散相の表面特性の変化)であってもよい。いずれにしても、得られるポリアミド-ポリフェニレンエーテル混合物は改良された相溶性を示す。
本実施形態で使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8-48869号公報及び特開平9-124926号公報等に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、クエン酸、マレイン酸、イタコン酸及びそれらの無水物から選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、無水マレイン酸及びクエン酸がより好ましい。
本実施形態における(c)相溶化剤の好ましい含有量は、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの総量を100質量部としたときに、0.01~20質量部であり、より好ましくは0.1~10質量部、さらに好ましくは0.1~5質量部である。
[(d)多価アルコール]
本実施形態の(d)多価アルコール(以下、単に「(d)成分」と称する場合がある)は、2個以上のヒドロキシル基を有し、且つ500未満の数平均分子量(Mn)を有するものであれば、特に限定されない。
具体的には、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール等の糖アルコール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の糖アルコールの多量体、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド基含有多価アルコール、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンボクタデシルアミン等のアミノ基含有多価アルコール、ポリオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレンエーテルユニットを有するアリル化エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニットを有する2価アルコールが挙げられる。
(d)成分を含有させることにより、射出成形の際の流動性、耐熱性、及び面衝撃強度が両立され、さらに繰り返し押出時の流動性と面衝撃強度が保持される傾向にある。メカニズムは明らかではないが、分子内のOH基が作用し、(a)ポリアミドの分子間力を緩和することで耐熱性を保ちながら流動性を向上させるとともに、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの界面の結合力が高まることにより面衝撃強度に優れ、さらに(b)ポリフェニレンエーテルを可塑化させることで、繰り返し押出時の(b)ポリフェニレンエーテル分散相の分散サイズが保持されることで面衝撃強度が保持されるものと推定している。
本実施形態では、相溶性の観点から、(d)多価アルコールが、アミド構造、エーテル構造、エステル構造のうち1つ又は複数を含むことが好ましい。
(d)成分の数平均分子量(Mn)は、射出成形の際の流動性と面衝撃強度を良好とする観点、及び耐熱性を保持させる観点から、500未満であり、好ましくは400以下であり、特に好ましくは350以下である。また、好ましくは130以上であり、より好ましくは180以上であり、さらに好ましくは250以上である。
なお、(d)成分の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値を言う。
また、(d)成分は、好ましくは2級以下のアルコールを分子内に1つ以上持ち、より好ましくは1級アルコールを分子内に1つ以上持つ。さらに好ましくは1級アルコールを分子内に2つ以上持つ。
本実施形態における(d)多価アルコールの含有量は、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの総量を100質量部としたときに、0.3~5質量部であり、好ましくは0.5~3質量部であり、より好ましくは0.5~2質量部である。上記範囲の含有量であることで、(d)成分の添加効果を十分に発揮させられ、かつブリードアウトをより防止できる傾向にある。
[(e)衝撃改良材]
本実施形態では、(e)衝撃改良材(以下、単に「(e)成分」と称する場合がある)をさらに含んでいてもよい。本実施形態における(e)衝撃改良材とは、芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとを含む非水素化ブロック共重合体及び/又は該ブロック共重合体の水素添加物を言う。
なお、上記の芳香族ビニル重合体ブロックに関して「芳香族ビニル単量体単位を主体とする」とは、当該ブロックにおいて、50質量%以上が芳香族ビニル単量体単位であるブロックを指す。より好ましくは芳香族ビニル単量体単位が70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
また、上記共役ジエン重合体ブロックの「共役ジエン単量体単位を主体とする」に関しても同様で、50質量%以上が共役ジエン単量体単位であるブロックを指す。より好ましくは共役ジエン単量体単位が70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
また、上記の芳香族ビニル重合体ブロックは、例えば、芳香族ビニル重合体ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物が結合されてなる共重合体ブロックであってもよい。また、上記の共役ジエン重合体ブロックの場合も同様に、例えば、共役ジエン重合体ブロック中にランダムに少量の芳香族ビニル化合物が結合されてなる共重合体ブロックであってもよい。
芳香族ビニル単量体単位を形成するために用いる芳香族ビニル化合物としては、特に制限はなく、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン重合体ブロックを形成するために用いる共役ジエン化合物としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
上記ブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロック部分のミクロ構造は、1,2-ビニル含量もしくは1,2-ビニル含量と3,4-ビニル含量の合計量(全ビニル結合量)が5~80%であることが好ましく、10~50%であることがより好ましく、15~40%であることがさらに好ましい。
なお、全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定することができる。
上記ブロック共重合体の水素添加物(水素化ブロック共重合体)の製造に用いる非水素化ブロック共重合体は、芳香族ビニル重合体ブロック(a)と共役ジエン重合体ブロック(b)が、a-b型、a-b-a型、a-b-a-b型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体であることが好ましい。これらの内、異なる結合形式を有するブロック共重合体を組み合わせて用いても構わない。これらの中でもa-b-a型、a-b-a-b型から選ばれる結合形式を有することがより好ましく、a-b-a型の結合形式を有することがさらに好ましい。
また、本実施形態で使用する(e)衝撃改良材は、部分的に水素添加されたブロック共重合体(部分水素化ブロック共重合体)であることが好ましい。
部分水素化ブロック共重合体とは、上述の非水素化ブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン重合体ブロックの脂肪族二重結合を、0%超100%未満の範囲で制御したものをいう。該部分水素化ブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上100%未満であり、より好ましくは80%以上100%未満、最も好ましくは98%以上100%未満である。これがこの範囲にあると、ネクター、ブレーカー、マグネットスイッチ等の電気・電子部品、リレーブロックに代表される自動車分野の電装部品、航空機内の部品に特に好適に利用することができる。
さらに、本実施形態で使用する(e)衝撃改良材は、数平均分子量が150,000以上300,000未満であることが好ましい。これがこの範囲にあると、流動性、衝撃強度に優れた組成物を得ることができる。
樹脂組成物中の(e)衝撃改良材の数平均分子量の評価方法を以下に示す。すなわち、(a)ポリアミドには良溶解性で、且つ、(b)ポリフェニレンエーテル及び(e)衝撃改良材には難溶性を示す溶剤、例えばギ酸水溶液等を用いて組成物中の(b)ポリフェニレンエーテル及び(e)衝撃改良材の混合物を不溶分として分取し、さらに、その不溶分から、(e)衝撃改良材には良溶解性を示し、且つ、(b)ポリフェニレンエーテルには難溶性を示す溶剤、例えばクロロホルムを用いて(e)衝撃改良材を分取する。これを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV-41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算して数平均分子量を求める。
なお、測定条件は下記のとおりとしてよい[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K-G,K-800RL,K-800R)、リファレンス側(K-805L×2本)、流量10mL/分、測定波長:254nm、圧力15~17kg/cm)]。
また、数平均分子量の測定の際、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。当該低分子量成分は、分子量3000以下の成分を指すものとする。通常、計算された正しい分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.0~1.1の範囲内である。
これら本実施形態中で用いることのできる、(e)衝撃改良材としてのこれらブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2-結合ビニル含有量もしくは1,2-結合ビニル含有量と3,4-結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等の各々について2種以上を混合して用いても構わない。
また、本実施形態で用いることのできる、(e)衝撃改良材としてのこれらブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であっても構わない。
ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合又は三重結合、及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたブロック共重合体を指す。
該変性されたブロック共重合体の製法としては、ラジカル開始剤の存在下又は不存在下で、(1)ブロック共重合体の軟化点温度以上、250℃以下の温度範囲で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(2)ブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶液中で反応させる方法、(3)ブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶融させることなく反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、さらには(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行う方法が最も好ましい。
ここでいう「分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合又は三重結合、及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物」としては、変性されたポリフェニレンエーテルで述べた変性化合物と同じものが使用できる。
本実施形態における、(e)衝撃改良材の好ましい含有量は、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルの合計量を100質量部としたときに、3~20質量部であり、より好ましくは5~15質量部であり、さらに好ましくは5~10質量部である。
[難燃剤]
本実施形態においては、難燃剤をさらに含んでいてもよい。難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤;メラミン、シアヌル酸、これらの塩等の含窒素環状化合物;トリフェニルフォスフェート、水酸化トリフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、これらの誘導体等の有機リン酸エステル類;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等のリン酸系含窒素化合物;特開平11-181429号公報に記載されるホスファゼン系化合物;ホウ酸亜鉛等のホウ酸化合物;シリコーンオイル類;赤燐;国際公開第2007/055147号に記載されるホスフィン酸塩類;これらの混合物;等が挙げられる。中でも、含窒素環状化合物、有機リン酸エステル類、リン酸系含窒素化合物、ホスファゼン系化合物、ホウ酸化合物、シリコーンオイル類、ホスフィン酸塩類が好ましく、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)及びその誘導体、ホスフィン酸塩類、これら混合物がより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における難燃剤の含有量は、(a)ポリアミドと(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対して、5~30質量部であることが好ましい。特に、(e)衝撃改良材を含む場合は、(a)ポリアミド、(b)ポリフェニレンエーテル、及び(e)衝撃改良材の総量100質量部に対して、5~25質量部であることが好ましい。
[着色剤]
本実施形態において、樹脂組成物の着色方法には特に制限はなく、公知の有機系染顔料、及び無機顔料から選ばれる1種以上の着色剤を使用することができる。
有機染顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料、アジン系顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
このうち、カーボンブラックとしては、ジブチルフタレート(DBP)吸収量が250mL/100g未満、好ましくは150mL/100g未満、且つ窒素吸着比表面積900m/g未満、さらに好ましくは400m/g未満であることが好ましい。これらがこの範囲にあると、着色性、機械的強度、難燃性に特に優れた組成物を得ることができる。
ここでいうDBP吸収量、及び窒素吸着比表面積とは、それぞれASTM D2414、JIS K6217に定められた方法で測定した値を言う。
アジン系染料としては、例えばカラーインデックスにおけるソルベントブラック5(C.I.50415、CAS No.11099-03-9)、ソルベントブラック7(C.I.50415:1、CAS No.8005-20-5/101357-15-7)、アシッドブラック2(C.I.50420、CAS No.8005-03-6/68510-98-5)が挙げられる。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム等の酸化鉄を除く金属酸化物、チタンイエロー、コバルト青、群青等の複合金属酸化物等が挙げられる。
上記着色剤の好ましい添加量は、樹脂組成物全体を100質量%としたときに、カーボンブラックは2質量%以下、アジン系染料は2質量%以下、無機顔料は8質量%以下である。より好ましい量は、カーボンブラックは1質量%以下、アジン系染料は1質量%以下、無機顔料は5質量%以下である。
上記添加量で添加することで、耐衝撃性や機械特性のバランスを良好に保つことができる。また、難燃性が必要な用途の場合は、難燃性の観点より、上記添加量が好ましい。
[その他の添加剤]
本実施形態では、上記した成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて無機充填材、その他の添加剤成分を任意の段階で添加することができる。
無機充填材としては、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ゾノトライト、アパタイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン等の繊維状、粒状、板状、あるいは針状の無機質強化材が挙げられる。これら無機充填材は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でより好ましい無機充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、が挙げられる。また、無機充填材はシランカップリング剤等の表面処理剤を用いて公知の方法で表面処理した物を用いても構わない。ただし、天然鉱石系充填材は、しばしば鉄元素を微量ながら含有することがあるので、精製して鉄元素を除いたものを選定して用いる必要がある。
無機充填材の具体的な好ましい添加量は、樹脂組成物全体を100質量%としたときに、それぞれ、15質量%以下であり、より好ましくは13質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、無機充填剤全体としては、樹脂組成物全体を100質量%としたときに、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
その他の添加剤成分の例としては、ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、可塑剤(低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)及び、帯電防止剤、核剤、流動性改良剤、滴下防止剤、補強剤、各種過酸化物、展着剤、銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系酸化劣化防止剤に代表される有機系熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
その他の添加剤成分の具体的な好ましい添加量は、樹脂組成物全体を100質量%としたときに、それぞれ、15質量%以下であり、より好ましくは13質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、その他の添加剤成分全体としては、樹脂組成物全体を100質量%としたときに、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物のブリードアウト現象の評価としては、実験後に成形品の表面に添加剤がブリードしていない状態が好ましい。
なお、ブリードアウト現象の評価は、具体的には後述の実施例に記載の方法で行う。
本実施形態の樹脂組成物の落錘衝撃強度(J)としては、より大きな値となることが面衝撃強度の向上を示しており、好ましい。
なお、落錘衝撃強度は、後述の実施例に記載の方法で測定される値を言う。
本実施形態の樹脂組成物のメルトボリュームフローレート(cc/10min)は、より大きな値となることが流動性の向上を示しており、好ましい。
なお、メルトボリュームフローレートは、後述の実施例に記載の方法で測定される値を言う。
本実施形態の樹脂組成物の荷重撓み温度(DTUL)(℃)としては、より大きな値となることが耐熱性の向上を示しており、好ましい。
なお、荷重撓み温度(DTUL)は、後述の実施例に記載の方法で測定される値を言う。
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の組成物を得るための具体的な加工機械としては特に制限はなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられるが、中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。
溶融混練温度としては、280~340℃の範囲内が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物を得るための溶融混練は、特に限定されないが、例えば、(b)ポリフェニレンエーテルと(c)相溶化剤とを溶融混練した後、(a)ポリアミドと(d)多価アルコールとを加えて溶融混練することが好ましい。また、樹脂組成物が(e)衝撃改良材を含有する場合には、上記溶融混練において、(b)ポリフェニレンエーテル及び(c)相溶化剤とともに溶融混練することが好ましい。
具体的には、原料の流れ方向に対して上流部、中流部に各1ヶ所ずつ計2ヶ所の供給口を備えた二軸押出機を用い、(b)ポリフェニレンエーテルと(c)相溶化剤と、任意で(e)衝撃改良材とを上流供給口から供給し、(a)ポリアミドと(d)多価アルコールとを中流供給口から供給することが好ましい。
(成形品及びその製造方法)
本実施形態の樹脂組成物を、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形及び流延成形等の、一般に樹脂組成物に対する成形方法を用いて成形することにより、各種形状を有する成形品を製造することができる。
すなわち、本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物を含むものである。
例えば、シリンダー温度が(a)ポリアミドの融点以上350℃以下の範囲内に調整された射出成形機のシリンダー内で樹脂組成物を溶融させ、所定の形状の金型内に射出することによって、所定の形状の成形品を製造することができる。
また、シリンダー温度が上記の範囲内に調整された押出機内で樹脂組成物を溶融させ、口金ノズルより紡出することによって、繊維状の成形品を製造することができる。
さらに、シリンダー温度が上記の範囲内に調整された押出機内で樹脂組成物を溶融させ、Tダイから押し出すことにより、フィルム状やシート状の成形品を製造することができる。
また、このような方法で製造された成形品の表面に、塗料、金属や他種のポリマー等からなる被覆層を形成した形態で使用することもできる。
本実施形態の樹脂組成物は、自動車用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、並びに日用及び家庭品用等、各種部品の成形材料として好適に使用することができる。
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に用いた原材料及び評価方法を以下に示す。
[原材料]
(a)ポリアミド
(a-1)VRが36であり、末端アミノ基濃度が27μmol/g、末端カルボキシル基濃度が81μmol/g、末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度の比率が0.33であるポリアミド6,6を用いた。
(a-2)VRが45であり、末端アミノ基濃度が90μmol/g、末端カルボキシル基濃度が36μmol/g、末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度の比率が0.4であるポリアミド6,6を用いた。
(a-3)VRが36であり、末端アミノ基濃度が80μmol/g、末端カルボキシル基濃度が45μmol/g、末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度の比率が0.56であるポリアミド6,6を用いた。
(a-4)VRが45であり、末端アミノ基濃度が53μmol/g、末端カルボキシル基濃度が95μmol/g、末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度の比率が0.56であるポリアミド6,6を用いた。
なお、(a)ポリアミドのVRは、ASTM-D789に準拠して、90質量%ギ酸(水10質量%)に(a)ポリアミドを8.4質量%になるように溶解させた溶液を用いて、25℃で測定した。
また、(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度は、特開平7-228689号公報の実施例に記載されている測定方法に従い、H-NMRにより測定した。
(b)ポリフェニレンエーテル(PPE)
2,6-キシレノールを酸化重合して得られたポリフェニレンエーテル樹脂を用いた。該ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度(0.5g/dL、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.40dL/gであった。
(c)相溶化剤
無水マレイン酸(日本油脂(株)製、「クリスタルMAN」)
(d)多価アルコール
ジペンタエリスリトール(Perstorp社製、「Dipenta-90」)(融点217~222℃、数平均分子量254.28の6価のアルコール、エーテル構造含有)を用いた。
(e)衝撃改良材
ポリスチレン-水素添加ポリブタジエン-ポリスチレンの各ブロックからなる共重合体(TSRC(Nanton)Industries.Ltd製、「TAIPOL 6154-364-A」)を用いた。
[評価方法]
実施例及び比較例で行った各評価試験は、以下のようにして行った。
(1)(a)ポリアミドによる連続相の形成
得られた樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度270~290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度90℃、射出圧力70MPa、射出時間20秒、冷却時間15秒の条件で評価用ISOダンベルを作製した。
3本の上記ISOダンベルに対し、下記の染色を行った。
3本の上記ISOダンベルの中央部から、長さ(樹脂流動方向)5mm×幅5mm×厚み4mmの試験片を切り出した。この試験片に長さを足すため、長さ5mm×幅5mm×厚み4mmのハイインパクトポリスチレンの試験片を瞬間接着剤で接着し、長さ10mm×幅5mm×厚み4mmの染色用試験片を作製した。ウルトラミクロトーム(Reichert-Nissei社製ULTRACUT-N)にて、染色用試験片の樹脂組成物側の短側面に、薄膜切片切り出し用の1mm四方の平面を作製した。
次に、上記の染色用試験片を、耐熱容器に入れた10質量%リンタングステン酸水溶液に漬け、ウォーターバスで80℃×4時間湯せんした後引き上げ、常温になるまで冷却した。その後、染色用試験片を耐熱容器から取り出し、水洗、乾燥を行った。
次に、水を入れたダイアモンドナイフを取り付けた上記ウルトラミクロトームを用いて、上記の染色用試験片の薄膜切片切り出し用の平面から1mm四方、厚み85nmの薄膜を水の上に切り出し、該薄膜をSEM観察用Cuメッシュですくった。この薄膜が乗ったCuメッシュをステンレス網の上に並べておいた。
この染色操作により、(a)ポリアミド、(c)相溶化剤、及び(d)多価アルコールが染色され、走査型電子顕微鏡で観察したときに白色に観察されるようにすることができた。また、(b)ポリフェニレンエーテル及び(e)衝撃改良材は染色されず、走査型電子顕微鏡で観察したときに、(b)ポリフェニレンエーテル及び(e)衝撃改良材は黒色に観察されるようにすることができた。なお、(e)衝撃改良剤は、(b)ポリフェニレンエーテルが形成する分散相に含まれていると考えられる。
上記の染色した試験片を、走査型電子顕微鏡(商品名「SU8220」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、撮影倍率5千倍、加速電圧4.0kVの設定で撮影した。得られた観察像を観察し、(a)ポリアミドを含む相が連続相を形成している(白色の連続相が観察される)場合を「〇」と判定した。
(2)メルトボリュームフローレート(MVR)
得られた樹脂組成物のペレットについて、ISO1133に準じて、280℃、荷重2.16kgでMVR(cc/10min)を測定した。
値が大きい程、流動性に優れていると判定した。
(3)繰り返し押出後の流動性
下記各実施例・比較例で得られた、繰り返し押出後の樹脂組成物のペレットについて、ISO1133に準じて、280℃、荷重2.16kgでMVR(cc/10min)を測定した。
繰り返し押出前のペレットと比較してMVRの保持率が90%以上のものを「◎(優れる)」、80%以上90%未満のものを「〇(良好)」、80%未満のものを「×(不良)」として、繰り返し押出後の流動性を評価した。
(4)落錘衝撃強度
得られた樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度270~290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度90℃、射出圧力70MPa、射出時間20秒、冷却時間15秒の条件で、75mm×75mm×3mmの平板に成形した。
得られた平板に対し、23℃の環境下でJIS K 7211-1に準じて、先端直径20mmφのストライカーを用いて落錘衝撃試験を実施し、試験片の破壊に要した全吸収エネルギー(J)を測定した。
値が大きい程、面衝撃強度に優れていると判定した。
(5)繰り返し押出後の落錘衝撃強度
下記各実施例・比較例で得られた、繰り返し押出後の樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度270~290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度90℃、射出圧力70MPa、射出時間20秒、冷却時間15秒の条件で、75mm×75mm×3mmの平板に成形した。
得られた平板に対し、23℃の環境下でJIS K 7211-1に準じて、先端直径20mmφのストライカーを用いて落錘衝撃試験を実施し、試験片の破壊に要した全吸収エネルギー(J)を測定した。
繰り返し押出前のペレットと比較して全吸収エネルギーの保持率が90%以上のものを「◎(優れる)」)、80%以上90%未満のものを「〇(良好)」、80%未満のものを「×(不良)」として、繰り返し押出後の面衝撃強度を評価した。
(6)荷重撓み温度(DTUL)
得られた樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度270~290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度90℃、射出圧力70MPa、射出時間20秒、冷却時間15秒の条件で評価用ISOダンベルを作製した。また、該ISOダンベルを切削し、荷重撓み温度(DTUL)測定用テストピースを作製した。上記荷重撓み温度測定用テストピースを用いて、荷重撓み温度DTUL(ISO 75、0.45MPa荷重)の測定を行った。
値が大きいほど、耐熱性に優れていると判定した。
(7)ブリードアウト
得られた樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度270~290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度80℃、射出圧力70MPa、射出時間10秒、冷却時間15秒の条件で、50mm×90mm×2mmの平板に成形した。
作製した成形品を120℃のオーブンに入れ、100時間経過した後に成形品表面に粉状のものが析出(ブリードアウト)しているかどうかを確認した。
ブリードアウトが全く発生していないものを「◎(優れる)」、部分的に発生したものを「〇(良好)」、全面に発生したものを「×(不良)」として評価した。
[実施例1~6、比較例1~4]
樹脂組成物の製造装置として、二軸押出機ZSK-25(コペリオン社製)を用いた。該二軸押出機において、原料の流れ方向に対し、上流部に1ヶ所、中流部に1ヶ所の計2ヶ所の供給口を設け、このとき中流供給口のあるシリンダーブロックの直前のブロックと、ダイ直前のシリンダーブロックとに真空ベントを設けた。また、中流部の供給口への原料供給方法は、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方法とした。
上記のように設定した二軸押出機に、(a)~(e)成分を表1に示した組成で、(b)、(c)、(e)成分は上流部の供給口から、(a)、(d)成分は中流部の供給口から供給し、押出温度280~320℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量20kg/時間の条件にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットの水分率を調整するため、押出後、120℃に設定した除湿乾燥機中で乾燥した後、アルミニウムコートされた防湿袋に入れた。この時のペレットの水分率は概ね250~400ppmであった。このペレットを用い、各評価試験を行った。
引き続き、得られたペレットを二軸押出機で押出温度280、スクリュー回転数300rpm、吐出量20kg/時間の条件にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得ることを2回繰り返し、繰り返し押出後のペレットを得た。
得られたペレットの水分率を調整するため、押出後、120℃に設定した除湿乾燥機中で乾燥した後、アルミニウムコートされた防湿袋に入れた。この時のペレットの水分率は概ね250~400ppmであった。このペレットを用い、繰り返し押出後の流動性の評価、落衝衝撃強度の試験を行った。
樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 2022178259000001
本発明の樹脂組成物を使用することによって、ブリードアウトが抑制され、耐熱性、流動性、面衝撃強度に優れ、薄肉部品での優れた成形性を有する樹脂組成物が得られる。また、本発明の樹脂組成物は繰り返し押出後も流動性と面衝撃強度を保持しやすく、材料の再資源化に優れる。その結果、本発明の樹脂組成物は、自動車用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、並びに日用及び家庭品用等、各種部品の成形材料として好適に使用することができる等、産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. (a)ポリアミド、
    (b)ポリフェニレンエーテル、
    (c)前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤、及び
    (d)2個以上のヒドロキシル基を有し、且つ500未満の数平均分子量(Mn)を有する多価アルコールを含み、
    前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対し、前記(d)多価アルコールの含有量が、0.3~5質量部であり、
    前記(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度の、末端カルボキシル基濃度に対する比率(末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度)が0.3~0.5であり、
    前記(a)ポリアミドが連続相を形成していることを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記(a)ポリアミドと前記(b)ポリフェニレンエーテルとの総量100質量部に対し、前記(a)ポリアミドの含有量が、40~90質量部であり、前記(b)ポリフェニレンエーテルの含有量が、10~60質量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(a)ポリアミドのギ酸相対粘度(VR)が30~40である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(a)ポリアミドがポリアミド6,6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(d)多価アルコールがジペンタエリスリトールである、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. (e)衝撃改良材として、芳香族ビニル単量体単位を主体とするブロックを少なくとも1つと、共役ジエン単量体単位を主体とするブロックを少なくとも1つ含むブロック共重合体及び/又は該ブロック共重合体の水素添加物をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
  8. 自動車用電気・電子用途部品である、請求項7に記載の成形品。
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