JP2010265380A - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い薄肉流動性を有し、熱暴露時の成形片の変色性を抑制することのできる熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】脂環構造を有するポリアミドと、ポリフェニレンエーテルと、前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤と、を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記ポリアミドが、シクロヘキサンジカルボン酸単位を20〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位を含有するジアミン単位と、からなるポリアミドであり、前記ポリフェニレンエーテルにおいて、分子量30000以下の成分の含有量が60質量%以上であり、かつ分子量3000以下の成分の含有量が5質量%以下である、熱可塑性樹脂組成物とすること。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその成形体に関する。
ポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイは、従来、自動車エンジンルーム内のジャンクションブロック等の電装部品をはじめ多種多様な用途に使用されている。
このポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイに用いられるポリアミドとしては、主としてポリアミド6,6やポリアミド6といった比較的低耐熱性のポリアミドが用いられていた。
近年の環境規制を発端として、SMT(表面実装技術)に使用されるハンダが、鉛を含まないハンダへと急速に移行しており、そのため表面実装時に使用するリフロー装置の炉内温度がより高温になってきている。
これにより、従来のポリアミド6,6等を用いたポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイからなるコネクターでは、実装時の膨れ等の発生といった問題が顕在化してきており、改善が求められていた。
これらの課題を解決するために、例えば、特許文献1〜7には、ポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイとして用いるポリアミド材料として、特定の芳香族ポリアミドを使用する技術が開示されている。
また、多くのSMT用部品は、非ハロゲン難燃剤により難燃性であることが要求されている。これらに対応するため、例えば、特許文献8には、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ホスフィン酸金属塩からなる熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
特開2000−212433号公報 特開2000−212434号公報 特開2004−083792号公報 米国特許出願公開第2005−0038159号明細書 米国特許出願公開第2005−0038171号明細書 米国特許出願公開第2005−0038191号明細書 米国特許出願公開第2005−0038203号明細書 国際公開第2007/55147号パンフレット
ところで、コネクター部品等の成形品は、その識別のために、白色をはじめ種々の明彩色に着色されることが多い。しかしながら、近年のより高温になったリフローシステムにおいては、炉に複数回通した際、成形体の色が変色するといった問題点が顕著である。この課題に対して、上記特許文献に記載された熱可塑性樹脂組成物では、解決し得ない。
さらに、極めて薄肉化してきているコネクター類を所望の形状に成形するためには、上記特許文献記載の熱可塑性樹脂組成物では、依然として樹脂の粘度が高いため、樹脂温度を非常に高く設定する必要がある。ところが、難燃化した樹脂組成物を樹脂温度が高い条件で成形加工した場合、成形機の金属部分(スクリューなど)が腐食するといった不都合があり、その課題を解消するには至っていない。
また、コネクター部品等において、射出成形時の金型におけるランナーの径は1mmを下回るほど小型化している。そのため、樹脂組成物の靭性不足に起因する射出成形品の突き出し時にランナーが折れやすくなり、それにより製品の金型残りが発生するなどの不都合も生じてきている。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、高い薄肉流動性を有し、熱暴露時の成形片の変色性を抑制することのできる熱可塑性樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、驚くべきことに、特定の脂環構造を有するポリアミド、低分子量でありながらオリゴマー成分の少ないポリフェニレンエーテル、及び両者の相溶化剤を含む熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
[1]脂環構造を有するポリアミドと、ポリフェニレンエーテルと、前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤と、を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記ポリアミドが、シクロヘキサンジカルボン酸単位を20〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位を含有するジアミン単位と、からなるポリアミドであり、前記ポリフェニレンエーテルにおいて、分子量30000以下の成分の含有量が60質量%以上であり、かつ分子量3000以下の成分の含有量が5質量%以下である、熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が、7000〜15000である、[1]の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記ポリフェニレンエーテルの分散比が、2.00〜2.50である、[1]又は[2]の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記ポリアミドの末端アミノ基濃度が5〜60μモル/gである、[1]〜[3]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記ポリアミドの固有粘度が、0.7〜1.0dL/gである、[1]〜[4]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記ポリアミドのジアミン単位が、1,6−ヘキサメチレンジアミン単位、1,9−ノナメチレンジアミン単位、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン単位及び1,12−ドデカメチレンジアミン単位、並びにそれらの誘導体単位からなる群より選ばれる1種以上のジアミン単位を60〜100モル%含有する、[1]〜[5]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[7]前記ポリアミドのシクロヘキサンジカルボン酸単位が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を含有する、[1]〜[6]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[8]前記1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位のトランス/シス比が、モル比で60/40〜90/10である、[7]の熱可塑性樹脂組成物。
[9]前記相溶化剤を、前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、0.05〜5質量部含む、[1]〜[8]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[10]前記相溶化剤が、マレイン酸又はその無水物である、[1]〜[9]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[11]前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、前記ポリアミドを30〜90質量部含み、前記ポリフェニレンエーテルを10〜70質量部含む、[1]〜[10]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[12]前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計100質量部に対して、導電性カーボンブラック0.5〜5質量部を更に含む、[1]〜[11]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[13]前記熱可塑性樹脂組成物の合計量に対して、ガラス繊維10〜60質量%を更に含む、[1]〜[12]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[14]前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、ホスフィン酸塩5.0〜35質量部を更に含む、[1]〜[13]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[15]水酸化物カルシウム及び/又は酸化カルシウムを更に含む、[1]〜[14]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物。
[16][1]〜[15]のいずれか一つの熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、高い薄肉流動性を有し、熱暴露時の成形片の変色性を抑制することのできる熱可塑性樹脂組成物及びその成形体とすることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分について以下に詳しく述べる。
本実施形態において使用されるポリアミドは、ジカルボン酸単位(a)とジアミン単位(b)とから構成される脂環構造を有するポリアミドである。
脂環構造を有するポリアミドを構成するジカルボン酸単位(a)は、シクロヘキサンジカルボン酸単位を20〜100モル%含有する。このシクロヘキサンジカルボン酸単位の含有量が20モル%以上であることにより、成形品の耐熱性の低下を抑制することができる。脂環構造を有するポリアミドを構成するジカルボン酸単位(a)中の上記シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有量は、50〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましく、実質的に全てのジカルボン酸単位が上記シクロヘキサンジカルボン酸単位であることが最も好ましい。これらの好ましい態様、特に実質的に全てのジカルボン酸単位を上記シクロヘキサンジカルボン酸単位とすることにより、耐熱性の低下を更に抑制することが可能となる。
上記シクロヘキサンジカルボン酸単位としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸単位、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸単位が挙げられる。これらの中では、耐熱性及びポリアミドの重合性の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位が好ましい。
あるいは、シクロヘキサンジカルボン酸単位は脂環中の水素原子が置換されていてもよい。そのようなジカルボン酸単位としては、例えば、1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸単位、1,4−(3−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸単位が挙げられる。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位には、立体構造異性体、すなわちトランス体及びシス体が存在する。本実施形態の脂環構造を有するポリアミドを構成する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位の好ましいトランス/シス比(異性体比)は、モル比で60/40〜90/10である。樹脂組成物の耐熱性の低下を防ぐために、トランス体の単位が60モル%以上であることが好ましい。
本実施形態において、ジカルボン酸単位(a)は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を50〜100モル%含有するのが好ましく、その他のジカルボン酸単位を50モル%以下含んでいてもよい。その他のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。上述の中では、アジピン酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸からなる群より選ばれる1種以上のジカルボン酸が好ましく、アジピン酸及び/又はイソフタル酸であることがより好ましい。これにより、成形流動性の向上という効果が得られる。
本実施形態の脂環構造を有するポリアミドを構成するジアミン単位(b)は、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位を含有する。
本実施形態において、脂環構造を有するポリアミドのジアミン単位(b)における、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位の好ましい含有量は60〜100モル%である。その含有量は、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。最も好ましくは、そのポリアミド中の実質的に全てのジアミン単位が、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位で構成されていることである。
樹脂組成物の耐衝撃性と低吸水性とを向上させるために、脂環構造を有するポリアミドのジアミン単位(b)における、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位の含有量を60〜100モル%の範囲内にすることが好ましい。
好ましい炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミン単位、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位、1,9−ノナメチレンジアミン単位、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン単位、1,12−ドデカメチレンジアミン単位、及びこれらの誘導体単位からなる群より選ばれる1種以上のジアミン単位が挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサメチレンジアミン単位、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン単位、1,9−ノナメチレンジアミン単位、1,12−ドデカメチレンジアミン単位、及びこれらの誘導体単位からなる群より選ばれる1種以上のジアミン単位が好ましく、更に好ましくは1,6−ヘキサメチレンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位であり、より更に好ましくは、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位である。かかる好ましいジアミン単位を有することにより、本実施形態に係るポリアミドは、本発明の課題をより有効且つ確実に解決することができる。
本実施形態において使用可能な脂環構造を有するポリアミドの末端アミノ基濃度は、耐衝撃性の低下を抑制するために、5μモル/g以上であることが好ましい。より好ましい末端アミノ基濃度の下限値は10μモル/gであり、更に好ましくは12μモル/gであり、特に好ましくは15μモル/gである。流動性の悪化を抑制するためには、上限値を60μモル/gとすることが望ましい。より好ましい末端アミノ基濃度の上限値は50μモル/gであり、更に好ましくは40μモル/gであり、特に好ましくは30μモル/gである。
末端アミノ基濃度を上記範囲とすることにより、成形品外観を向上させ、成形体とした際の靭性を向上させる効果が得られる。
脂環構造を有するポリアミドの末端カルボキシル基濃度には特に制限はないが、下限値は、20μモル/gであると好ましく、より好ましくは30μモル/gである。また、その末端カルボキシル基濃度の上限値は、150μモル/gであると好ましく、より好ましくは100μモル/gであり、更に好ましくは80μモル/gである。
本実施形態のポリアミドにおいて、好ましい末端カルボキシル基濃度に対する末端アミノ基濃度の比(末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度)は、1.0以下である。その比は、より好ましくは0.9以下であり、更に好ましくは0.8以下であり、特に好ましくは0.7以下である。濃度比であるので、下限は特に制限されないが、その比を0.1以上とすることにより、衝撃性と流動性とに優れる組成物を得やすくなる。
脂環構造を有するポリアミドの末端アミノ基/末端カルボキシル基濃度の調整方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリアミドの重合時に所定の末端基濃度となるように、ジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル、モノアルコールなどの末端基と反応する末端調整剤を重合液に添加する方法が挙げられる。
末端アミノ基と反応する末端調整剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;及びこれらから任意に選ばれる複数の混合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び安息香酸からなる群より選ばれる1種以上の末端調整剤が好ましく、酢酸が最も好ましい。
末端カルボキシル基と反応する末端調整剤としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン及びこれらの任意の混合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンからなる群より選ばれる1種以上の末端調整剤が好ましい。
これら、末端アミノ基及び末端カルボキシル基の濃度は、1H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値から求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。それらの末端基の濃度を求める方法として、具体的に、特開平7−228775号公報に記載された方法が推奨される。この方法を用いる場合、測定溶媒としては、重トリフルオロ酢酸が有用である。また、1H−NMRの積算回数は、十分な分解能を有する機器で測定した際においても、少なくとも300スキャンは必要である。そのほか、特開2003−055549号公報に記載されているような滴定による測定方法によっても末端基の濃度を測定できる。ただし、混在する添加剤、潤滑剤等の影響をなるべく少なくするためには、1H−NMRによる定量がより好ましい。
本実施形態の脂環構造を有するポリアミドは、濃硫酸中30℃の条件下で測定した固有粘度[η]が、0.6〜2.0dL/gであることが好ましく、0.7〜1.4dL/gであることがより好ましく、0.7〜1.2dL/gであることが更に好ましく、0.7〜1.0dL/gであることが特に好ましい。好ましい範囲、その中でも特に好ましい範囲の固有粘度を有する上記ポリアミドを使用すると、樹脂組成物の射出成形時の金型内流動性を大幅に高め、ガラス繊維等の無機フィラーを配合した際における成形片の外観を向上させることが可能となる。
本明細書において、「固有粘度」とは、一般的に極限粘度と呼ばれている粘度と同義である。この粘度を求める具体的な方法は、96%濃硫酸中、30℃の温度条件下で、濃度の異なるいくつかの測定溶媒のηsp/cを測定し、そのそれぞれのηsp/cと濃度(c)との関係式を導き出し、濃度をゼロに外挿する方法である。このゼロに外挿した値が固有粘度である。
これらの詳細は、例えば、Polymer Process Engineering(Prentice−Hall,Inc 1994)の291ページ〜294ページ等に記載されている。
このとき濃度の異なるいくつかの測定溶媒の点数は、少なくとも4点とすることが精度の観点より望ましい。このとき、推奨される異なる粘度測定溶液の濃度は、好ましくは、0.05g/dL、0.1g/dL、0.2g/dL、0.4g/dLの少なくとも4点である。
本実施形態の脂環構造を有するポリアミドは、上述の構造を有するように原料を選択したり製造条件を変更したりする以外は、従来知られている任意のポリアミドの製造方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロリドとジアミンとを原料とする溶液重合法又は界面重合法、ジカルボン酸とジアミンとを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により、そのポリアミドを製造することができる。特に、国際公開第WO2002−048239号パンフレットに記載されている製造方法が好ましく用いられる。
本実施形態の脂環構造を有するポリアミドは、耐熱性及び低吸水性の観点から、結晶性を有する結晶性樹脂であることが望ましい。本明細書において「結晶性樹脂」とは、融解エンタルピーが5J/g以上の樹脂を意味する。
より具体的には、示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて、樹脂試料を340℃まで加熱し、少なくとも10分間保持した後、20℃/minの降温速度で40℃まで冷却し、40℃で少なくとも5分間保持した後、更に、20℃/minの昇温速度で、340℃まで再加熱する。その再加熱の際の吸熱ピークから算出される融解エンタルピーが5J/g以上である樹脂を、「結晶性樹脂」とする。
また、脂環構造を有するポリアミドの融点は、より高い耐熱性を保持させる目的を達成するために、270℃以上であることが望ましい。また、その融点は、成型加工容易性をより高める目的から330℃以下であることが望ましい。その融点のより好ましい下限値は280℃であり、更に好ましい下限値は285℃である。その融点のより好ましい上限値は320℃であり、更に好ましい上限値は310℃であり、より更に好ましい上限値は305℃である。
本実施形態の樹脂組成物は、脂環構造を有するポリアミドの結晶性を高める目的で結晶造核剤を含んでもよい。その場合の結晶造核剤の好ましい含有量は、脂環構造を有するポリアミドとポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して0.01〜1質量部である。
本実施形態で使用可能な結晶造核剤としては特に制限はないが、例えば、タルク、シリカ、グラファイト、窒化ホウ素などの無機微粒子;酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの金属酸化物;カプロラクタム二量体などのポリアミドオリゴマーが挙げられる。これらの中では、タルク、シリカ、窒化ホウ素などの無機微粒子が好ましく、特にタルクが好ましい。結晶造核剤としてタルクを用いる際、好ましいタルクの平均粒子径は30μm以下である。その平均粒子径は、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。その平均粒子径の下限値は、好ましくは1μmである。
この結晶造核剤が存在することで、樹脂組成物の吸水率を大幅に低下させることが可能となる。また、本実施形態の樹脂組成物からなる成形体の加熱時の発泡現象を抑制することもできる。
上記結晶造核剤を脂環構造を有するポリアミドの相を含む本実施形態の樹脂組成物に予め存在させておくと、上述の各効果をより高めるだけではなく、耐熱性の指標である荷重たわみ温度を向上させることも可能となるので好ましい。この結晶造核剤を脂環構造を有するポリアミドの相を含む本実施形態の樹脂組成物に予め存在させておく方法としては特に制限はなく、単軸押出機、二軸押出機又はニーダー等で脂環構造を有するポリアミドと結晶造核剤とを溶融混練する方法、脂環構造を有するポリアミドの重合段階で結晶造核剤を添加する方法、ヘンシェルミキサー等の強制混合機で脂環構造を有するポリアミドと結晶造核剤とを混合した後、その混合物を圧縮してマスターバッチとする方法が挙げられる。結晶造核剤を予め存在させておく方法は、もちろんこれらに制限されるものではない。
結晶造核剤としての効果があるか否は、示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて、結晶造核剤を含む脂環構造を有するポリアミドの結晶化ピーク温度と、結晶造核剤を含まない脂環構造を有するポリアミドの結晶化ピーク温度とを測定することで確認することができる。具体的な結晶化ピーク温度の測定方法としては、脂環構造を有するポリアミドの融点以上の温度に試料をいったん加熱し、溶融状態にして、少なくとも10分間保持した後、その試料を20℃/minの降温速度で冷却し、その冷却プロセスで観測される発熱ピークのピークトップを測定する方法が例示できる。両者のピークトップの温度差が2℃以上であれば、結晶造核剤の効果が認められると判断できる。その効果が認められる結晶造核剤を、5℃以上のピークトップの温度差の生じる量で上記ポリアミドに配合することが、より望まれる態様である。
本実施形態の樹脂組成物中に、脂環構造を有するポリアミド以外の、その他のポリアミドを本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
ここで、添加してもよい脂環構造を有するポリアミド以外のその他のポリアミドとしては、脂肪族ポリアミド、芳香環構造を有するポリアミドが挙げられる。具体的には、炭素数4〜8の脂肪族ジアミン単位と炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸単位とからなる脂肪族ポリアミド、炭素数6〜8のラクタム単位からなる脂肪族ポリアミド、及びアミノカルボン酸単位からなる脂肪族ポリアミドからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族ポリアミド、炭素数4〜9の脂肪族ジアミン単位と炭素数4〜8の芳香族ジカルボン酸単位とからなる半芳香族ポリアミド、炭素数4〜8の芳香族ジアミン単位と炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸単位とからなる半芳香族ポリアミドが好ましい。これにより、耐熱性の制御や、機械的物性と成形流動性とのバランスの向上という効果が得られる。
より具体的には、脂肪族ポリアミドとして、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12が挙げられる。あるいは、複数の脂肪族ポリアミドを押出機等で共重合化して得られる脂肪族ポリアミドであってもよい。
好ましい脂肪族ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11、及びポリアミド12からなる群より選ばれる1種以上の脂肪族ポリアミドである。好ましい半芳香族ポリアミドは、ポリアミド6、T/6,6、ポリアミド6,I/6,T/6,6、ポリアミド6,I/6,T、ポリアミド9,Tからなる群から選ばれる1種以上半芳香族ポリアミドである。その中でも特に好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド9,T、又はこれらの混合物である。
本実施形態の樹脂組成物において、脂環構造を有するポリアミド以外のポリアミドの好ましい配合量は、脂環構造を有するポリアミド100質量部に対して、100質量部以下である。その配合量は、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。
脂肪族ポリアミドを樹脂組成物中に少量配合することにより、若干の耐熱性の低下は生じるが、機械的特性(衝撃強度及び引張伸び)と流動性とのバランスをより高いレベルに引き上げることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、リン元素を含むことが望ましい。リン元素の好ましい含有量は、樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、1〜500質量ppm、より好ましくは5〜250質量ppm、特に好ましくは50〜200質量ppmである。
成形機での滞留安定性を悪化させないために、リン元素の含有量を1質量ppm以上とすることが望ましい。樹脂組成物の流動性(ここではMVR等の溶融流動時の流動性)の悪化を抑制するために、リン元素の含有量を500質量ppm以下とすることが望ましい。
上記リン元素は、1)リン酸類、亜リン酸類及び次亜リン酸類、2)リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類及び次亜リン酸金属塩類、並びに3)リン酸エステル及び亜リン酸エステル等の、リン酸化合物、亜リン酸化合物、及び次亜リン酸化合物からなる群より選ばれる1種以上のリン元素含有化合物として添加されることが好ましい。
上記1)のリン酸類、亜リン酸類及び次亜リン酸類としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、二亜リン酸が挙げられる。
上記2)のリン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類及び次亜リン酸金属塩類としては、例えば、上記1)のリン元素含有化合物と、周期律表第1族及び第2族の金属、マンガン、亜鉛、アルミニウム、アンモニア、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、ジアミンとの塩が挙げられる。
上記3)のリン酸エステル及び亜リン酸エステルは下記一般式(1)及び(2)で表される。
リン酸エステル;(OR)nPO(OH)3-n ・・・(1)
亜リン酸エステル;(OR)nP(OH)3-n ・・・(2)
ここで、nは1、2又は3を表し、Rはアルキル基、フェニル基、又はそれらの基の一部を炭化水素基などで置換した基を表す。nが2以上の場合、上記一般式内の複数の(RO)基は同じでも異なっていてもよい。
上記Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基、オレイル基などの脂肪族基;フェニル基、ビフェニル基などの未置換の芳香族基;ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基などの置換基を有する芳香族基が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態で添加できる好ましいリン元素含有化合物は、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類及び次亜リン酸金属塩類からなる群より選ばれる1種以上である。その中でも、リン酸、亜リン酸、及び次亜リン酸からなる群より選ばれるリン化合物と、周期律表第1族及び第2族の金属、マンガン、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる金属との塩であることが好ましい。より好ましくは、リン酸、亜リン酸及び次亜リン酸からなる群より選ばれるリン化合物と周期律表第1族の金属とからなる金属塩であり、更に好ましくは、亜リン酸又は次亜リン酸と周期律表第1族の金属とからなる金属塩であり、特に好ましくは次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)又はその水和物(NaH2PO2・nH2O)である。
また、リン酸エステルの中では、フェニルホスホン酸が特に好ましく用いられる。
これらリン元素含有化合物も、予め脂環構造を有するポリアミドの相中に存在させておくことがより望ましい。その化合物を予め脂環構造を有するポリアミドの相中に存在させることにより、流動性と耐衝撃性とのバランスをより高めることが可能となる。これらリン元素含有化合物を予め脂環構造を有するポリアミドの相中に存在させておく方法としては、例えば、脂環構造を有するポリアミドの製造段階でリン元素含有化合物を添加する方法、脂環構造を有するポリアミドの相中にリン元素含有化合物を溶融混練しマスターペレットを作製することで、予め存在させておく方法等が挙げられる。
リン元素含有化合物を予め脂環構造を有するポリアミドの相中に存在させる場合、脂環構造を有するポリアミドの相中におけるリン元素含有化合物の量は、リン元素含有化合物を含む脂環構造を有するポリアミドを100質量%としたとき、リン元素として1〜500質量ppmが好ましく、より好ましくは30〜400質量ppmであり、特に好ましくは150〜400質量ppmである。
樹脂組成物中及び脂環構造を有するポリアミドの相中におけるリン元素の定量は、例えば、測定装置としてThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)で行うことが可能である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、銅を含むことが好ましい。組成物中に存在させる銅の存在形態としては、金属銅、銅イオン、銅化合物のいずれの形態でもよいが、銅イオン又は銅化合物の形態がより好ましい。また、銅は、ポリアミド中に存在することが更に好ましい。
本実施形態では、銅は下記一般式(3)で表される物質として添加されることが好ましい。
Cuab ・・・(3)
ここで、式中、Cuは、銅を示し、Xは、OH、CH3COO、SO4、CN、酸素原子又はハロゲン原子を示す。aは、1又は2であり、bは、1〜4の整数を示す。
その具体例としては、金属銅、酸化銅、酢酸銅、硫酸銅、ヨウ化銅、塩化銅、臭化銅等が挙げられ、これらは混合物であってもよい。より好ましくは、酢酸銅、ヨウ化銅、塩化銅から選ばれる1種以上である。更に好ましくは、ヨウ化銅、塩化銅、あるいはこれらの混合物である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において、銅を含有させる場合の好ましい量としては、樹脂組成物全体を100質量%としたときに、銅元素として10〜250質量ppmの範囲内である。より好ましい下限値は20質量ppmであり、更に好ましくは50質量ppmである。また、より好ましい上限値は、200質量ppmであり、更に好ましくは150質量ppmである。
高温条件下での耐熱エージング特性を良好にするためには、銅元素として10質量ppm以上とすることが好ましい。また、押出機等の金属部分等に銅の析出が起こることを抑制するために、銅元素として250質量ppm以下とすることが好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において、銅は、分散剤と銅又は銅化合物をあらかじめ混合させたマスターバッチの形態や、ポリアミド中に銅又は銅化合物をあらかじめ存在させたマスターバッチの形態で添加することが、より好ましい。マスターバッチの形態で添加することにより、組成物中での銅の分散性が大幅に改良され、耐熱エージング性が大幅に向上する。
本実施形態において、分散剤と銅又は銅化合物をあらかじめ混合させたマスターバッチの形態を取る場合の分散剤としては、例えば脂肪酸金属塩、エチレンビスアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。ここでいう脂肪酸の金属塩とは下記一般式(4)で表され、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、アラギン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの高級脂肪酸のカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛、アルミニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸カルシウムが、組成物にした際の銅又は銅化合物の組成物中への分散能力に優れ、入手が容易なため好ましい。
CH3(CH2)nCOOY ・・・(4)
ここで、式中、Yは周期律表第I〜III族の金属原子を示し、nは9〜30の整数を示す。
さらに、エチレンビスアミド化合物は下記一般式(5)で表され、例えば、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンビスステアリルアミドが、組成物にした際の銅又は銅化合物の組成物中への分散能力に優れ、入手が容易なため好ましい。
CH3(CH2)mCONH(CH22NHCO(CH2)nCH3 ・・・(5)
ここで、式中、m及びnは9〜30の整数を示す。
上述のマスターバッチの形態は特に限定されないが、取り扱い性を高める上で、混合した粉体状の形態よりも、ペレット状に圧縮した形態であることが好ましい。ペレット状に圧縮する場合における分散剤としては特に限定されないが、長期保存時のペレットの崩壊性が低いこと、及び組成物への銅及び銅化合物の分散性に優れることより、エチレンビスステアリルアミドが好ましい。
圧縮されたペレット状に成形されたマスターバッチの最適な構成例としては、ヨウ化銅、ヨウ化カリウム及び、エチレンビスステアリルアミドを含有するマスターバッチペレットが挙げられる。このマスターバッチペレット中に占めるそれぞれの好ましい割合は、ヨウ化銅が、10〜30質量%であり、ヨウ化カリウムが、50〜85質量%であり、エチレンビスステアリルアミドが、5〜20質量%の割合である。ペレットへの圧縮性を高めるためには、エチレンビスステアリルアミドの含有量を、5〜20質量%の範囲内に制御することが好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において、ポリアミド中に銅又は銅化合物をあらかじめ存在させたマスターバッチの形態を取る場合の、好ましい方法としては、例えばポリアミド原料と銅及び又は銅化合物とを配合し、次いでポリアミドの重合を行う方法、ポリアミドの重合工程のいずれかの段階で銅及び/又は銅化合物を配合する方法、銅及び/又は銅化合物を溶融混練法によりポリアミドに配合する方法、銅及び/又は銅化合物をポリアミドペレット表面に付着させる方法等が挙げられる。
それらの中でも好ましい方法はポリアミド原料と銅及び/又は銅化合物とを配合し、次いでポリアミドの重合を行う方法、銅及び/又は銅化合物を溶融混練法によりポリアミドに配合する方法であり、より好ましくはポリアミド原料と銅及び/又は銅化合物とを配合し、次いでポリアミドの重合を行う方法である。
ポリアミドとして、ポリアミド原料と銅及び/又は銅化合物とを配合し、次いでポリアミドの重合を行う方法により得られたポリアミド/銅マスターバッチを使用する場合の、ポリアミド中に占める銅及び銅化合物の好ましい割合は、10〜150質量ppm以下であることが好ましい。また、銅及び/又は銅化合物を溶融混練法によりポリアミドに配合する方法により得られたポリアミドを使用する場合の、ポリアミド中に占める銅及び銅化合物の好ましい割合は、100〜1500質量ppm以下であることが好ましい。
本実施形態においては、更に、ポリアミドに添加することが可能な他の公知の添加剤等をポリアミド100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもよい。
次に、本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテルに関して詳細に述べる。
本実施形態で使用可能なポリフェニレンエーテルは、下記一般式(6)で表される繰り返し構造単位を有する、単独重合体及び/又は共重合体である。
Figure 2010265380
ここで、式中、Oは酸素原子、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、第一級又は第二級のC1〜C7アルキル基、フェニル基、C1〜C7ハロアルキル基、C1〜C7アミノアルキル基、C1〜C7ヒドロカルビロキシ基、又はハロヒドロカルビロキシ基(ただし、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てている)を示す。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されているような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチル−1,4−フェノールと2,3,6−トリメチル−1,4−フェノールとの共重合体、又はこれらの混合物である。
また、2,6−ジメチル−1,4−フェノールと2,3,6−トリメチル−1,4−フェノールとの共重合体は、そのポリフェニレンエーテル共重合体全量を100質量%としたときに、2,3,6−トリメチル−1,4−フェノールを10〜30質量%含む共重合体であると好ましく、より好ましくは15〜25質量%含み、更に好ましくは20〜25質量%含む。
本実施形態で使用するポリフェニレンエーテルの特徴の一つは、低分子量で、分子量分布が狭く、かつ、オリゴマー量が少ないポリフェニレンエーテルであることである。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成するポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル中に分子量30000以下の成分を60質量%以上含み、より好ましくは65質量%以上である。分子量30000以下の成分量が60質量%以上であることにより、金型内の薄肉流動性が優れたものとなる。また、コネクター等の成形体としたときの成形体の靭性を維持する観点から、分子量30000以下の成分量の好ましい上限値は、95質量%であり、より好ましい上限値は85質量%であり、更に好ましい上限値は80質量%である。
これまで一般的に用いられているポリフェニレンエーテルの分子量30000以下の成分の量は、通常汎用されている分子量のもので40質量%前後であり、低分子量タイプと呼ばれるものでも50質量%前後である。本実施形態で用いるポリフェニレンエーテルは、これらを更に下回る低分子量タイプのポリフェニレンエーテルである。
また、本実施形態で使用するポリフェニレンエーテルは、そのオリゴマー成分を少なくすることが重要である。具体的には、ポリフェニレンエーテルにおける分子量3000以下の成分の量が、5質量%以下である。より好ましくは、分子量3000以下の成分の量は4.5質量%以下であり、更に好ましくは4質量%以下である。ポリフェニレンエーテルの分子量3000以下の成分の量が、5質量%以下であることにより、熱暴露時の成形体の色の変化が抑制される。
本実施形態でいう分子量に関わる情報は、ゲルパーミエーションクロマトフィー測定装置を用いて測定することにより得られる。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(商品名「GPC SYSTEM21」:昭和電工(株)製)を用いて、紫外分光検出器(商品名「UV−41」:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した分子量をいう。
本実施形態で使用するポリフェニレンエーテルの数平均分子量は特に限定されず、好ましい下限値は7000であり、より好ましい下限値は9000であり、更に好ましい下限値は10000である。また、その数平均分子量の好ましい上限値は15000であり、より好ましい上限値は14000であり、更に好ましい上限値は13000である。熱暴露後の成形体の色の変化を更に抑制するために、数平均分子量の下限値は7000以上であることが好ましく、金型内の薄肉流動性をより高めるために、数平均分子量の上限値は15000以下とすることが好ましい。
また、ポリフェニレンエーテルの分散比、すなわち数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は特に限定されず、好ましい上限値は2.50であり、より好ましい上限値は2.40である。好ましい下限値は2.00であり、より好ましい下限値は2.10である。その分散比が2.50以下であることにより、分子量分布が狭く、低分子量成分であるオリゴマー成分の減少、あるいは、高分子量成分の減少が起きていることを示している。熱暴露後の成形片の色変化を少なくするため、低分子量成分を減少させることが好ましい。
ポリフェニレンエーテルの製造方法は、大きく分けて沈殿析出重合法及び溶液重合法の2種類の製造方法がある。
上記沈殿析出重合とは、上記濃度範囲においてポリフェニレンエーテルの沈殿が得られる重合形態を意味する。この重合形態では、詳細には、ポリフェニレンエーテルの重合が進行するにつれて、十分に高分子化したものが析出し、高分子化が十分でないものは溶解した状態となる。溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等のポリフェニレンエーテルの良溶媒と、メタノール、ブタノール等のポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合溶媒が用いられる。
析出したポリフェニレンエーテルは、分子鎖の運動が抑制され、また、触媒が混合溶媒中に溶解しているため、固−液反応になり、更なる重合の反応速度が遅くなると考えられる。
一方、溶解している状態であり、分子量がまだ十分に高分子化していないポリフェニレンエーテルは、重合の反応速度が維持されており、重合が進行して析出に十分な高分子量に達すると析出する。これらにより、ポリフェニレンエーテルの分子量分布が狭くなっていく。
また、上述したような重合形態においては、粒子径が小さいものが析出すると、固−液反応において、表面積が大きくなるため、粒子径が大きいものより反応が早くなると考えられる。さらに、ポリフェニレンエーテルは、重合途中で析出するため、系内の粘度は徐々に低下していき、重合時のモノマー濃度(フェノール化合物濃度)を高くでき、さらには、析出したポリフェニレンエーテルをろ過すれば容易に取り出すことができ、工程上極めて簡略化が可能であるという利点も有している。
上記溶液重合法とは、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で重合が行われ、重合中に沈殿が析出しない重合方法である。溶液重合法では、ポリフェニレンエーテル分子が溶解した状態にあり、分子量分布は広くなる傾向にある。溶液重合法においては、ポリフェニレンエーテルが溶解した重合液を、メタノール等のポリフェニレンエーテルの貧溶媒中に展開することによって粉体状のポリフェニレンエーテルを得ることができる。
本実施形態で使用するポリフェニレンエーテルの重合方法としては、特に限定されないが、好ましくは沈殿析出重合法である。沈殿析出重合法は、分子量分布が狭い低分子ポリフェニレンエーテルの製造には適しており、本実施形態の分子量30000以下の成分の量が60質量%以上で、かつ分子量3000以下の成分の量が、5質量%以下のポリフェニレンエーテルを得ることができる。
本実施形態で使用することのできるポリフェニレンエーテルの固有粘度(クロロホルム溶液、30℃測定)は、特に限定されず、好ましくは0.15〜0.40dL/gの範囲である。より好ましくは0.20〜0.35dL/gの範囲、更に好ましくは0.25〜0.35dL/gの範囲、特に好ましくは0.25〜0.30dL/gの範囲である。
本実施形態において、2種以上の固有粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドした混合物が用いられてもよい。そのような混合物としては、例えば、固有粘度0.40dL/g以下のポリフェニレンエーテルと固有粘度0.45dL/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物が挙げられるが、もちろん、これに限定されることはない。この場合であっても、混合物の固有粘度が、上述の好ましい固有粘度の範囲内に入っていると、本実施形態による所望の効果を発現しやすいのでより好ましい。
また、本実施形態において、ポリフェニレンエーテルの安定化のために公知の各種安定剤も好適に使用することができる。安定剤の例としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の金属系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸エステル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等の有機安定剤が挙げられる。これらの好ましい含有量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対してそれぞれ5質量部未満である。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な他の公知の添加剤等も、本実施形態の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
本実施形態における、脂環構造を有するポリアミドとポリフェニレンエーテルとの好ましい質量比は、脂環構造を有するポリアミドとポリフェニレンエーテルとの合計量を100質量部としたとき、脂環構造を有するポリアミドが30〜90質量部であり、ポリフェニレンエーテルが10〜70質量部であることが好ましい。より好ましくは、脂環構造を有するポリアミドが40〜80質量部であり、ポリフェニレンエーテルが20〜60質量部であり、更に好ましくは、脂環構造を有するポリアミドが40〜70質量部であり、ポリフェニレンエーテルが30〜60質量部である。組成物の流動性を低下させないためには、ポリフェニレンエーテルの量が70質量部以下であることが好ましく、難燃性及び耐熱性を更に発現させるためには、ポリフェニレンエーテルの量は、10質量部以上であることが好ましい。
本実施形態においては、脂環構造を有するポリアミドとポリフェニレンエーテルとの相溶化剤を含有する。その好ましい下限値は、脂環構造を有するポリアミドと、ポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、0.05質量部である。その下限値は、より好ましくは、0.1質量部であり、更に好ましくは0.2質量部である。また、好ましい上限値は5質量部であり、より好ましい上限値は3質量部であり、更に好ましい上限値は2質量部である。組成物の耐衝撃性を低下させないためには、下限値を0.05質量部とすることが好ましく、流動性を低下させないためには、上限値を5質量部とすることが好ましい。
本実施形態において用いることのできる相溶化剤としては、特に限定されないが、その取り扱い性、経済性の観点から、クエン酸、マレイン酸、イタコン酸及びこれらの無水物から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。これらの中でより好ましいのは、マレイン酸又はその無水物である。マレイン酸又はその無水物は、比較的少量で、芳香族ポリアミドとポリフェニレンエーテルとを相溶化できるので、成形片の色調変化を抑制することが可能である。
さらに、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、公知の衝撃改良材を用いることもできる。
好ましい衝撃改良材の一例として、芳香族ビニル化合物を主体とするブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とするブロックを少なくとも1個含むブロック共重合体、及び/又は該ブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。
本実施形態で使用することのできる、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体において、該ブロック共重合体の一部を構成する芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンが挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でもスチレンは特に好ましい。
また、該ブロック共重合体の一部を構成する共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの共役ジエン化合物は2種以上組み合わせて用いてもよい。
衝撃改良材における、芳香族ビニル化合物を主体とするブロック及び共役ジエン化合物を主体とするブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%が芳香族ビニル化合物又は共役ジエン化合物であることを意味する。より好ましくは、当該ブロックにおいて、70質量%以上が芳香族ビニル化合物又は共役ジエン化合物である。
ブロック共重合体の共役ジエン化合物にブタジエンを使用する場合は、ポリブタジエンブロック部分のミクロ構造として、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が5〜80%であることが好ましく、10〜50%が更に好ましく、15〜40%が特に好ましい。通常、共役ジエン化合物の結合形態として、1,2−ビニル結合、3,4−ビニル結合、1,4−ビニル結合があるが、ここでいうビニル結合量とは、重合時の共役ジエン化合物の結合形態の割合を示すものである。例えば、1,2−ビニル結合量とは、上記3種の結合形態中の1,2−ビニル結合の割合を意味するものであり、核磁気共鳴装置によって容易に知ることができる。
少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)が、S−B型、S−B−S型、S−B−S−B型の中から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でもS−B−S型、S−B−S−B型がより好ましく、S−B−S型が更に好ましい。これらは混合物であってもよい。
本実施形態においては、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との水素添加されたブロック共重合体を使用することもできる。すなわち、この水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体中の脂肪族二重結合を水素添加処理することにより、0を超えて100%までの範囲内で、二重結合のうちの水素添加処理されたものの割合(水素添加率)を制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上である。
ここでいう水素添加率は核磁気共鳴装置によって測定できる。
本実施形態で用いることのできる、これらのブロック共重合体は、本実施形態の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−ビニル結合量、又は1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等の各々について2種以上を混合して用いてもよい。
また、本実施形態で使用するこれらのブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であってもよい。
ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合又は三重結合、及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたブロック共重合体をいう。
本実施形態における衝撃改良材の含有量は、特に限定されず、好ましくはポリアミドとポリフェニレンエーテルとの合計量を100質量部としたときに、5〜25質量部であり、より好ましくは7〜15質量部である。詳細には、上述の比率を満足しつつ、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、衝撃改良材の含有量が10〜100質量部の範囲内を満足することが好ましい。
また、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系熱可塑性樹脂をポリアミドとポリフェニレンエーテルとの合計100質量部に対し、20質量部未満の量で配合してもよい。
本実施形態でいうスチレン系熱可塑性樹脂の例としては、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)が挙げられる。
また、本実施形態においては、耐熱性と機械的強度とを高める観点から、無機フィラーを添加してもよい。本実施形態において使用できる無機フィラーの例としては、ガラス繊維、ウォラストナイト、タルク、カオリン、ゾノトライト、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの中でもガラス繊維、ウォラストナイト、タルク、クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましく、より好ましくはガラス繊維、ウォラストナイト、タルク、酸化チタンである。
より好ましい無機フィラーは、タルク、マイカ、ウォラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維及び炭酸カルシウムから選ばれる1種以上である。
本実施形態において使用することができるウォラストナイトについて詳細に説明する。本実施形態で使用可能なウォラストナイトは、珪酸カルシウムを成分とする天然鉱物を精製、粉砕及び分級したものである。また、人工的に合成したものも使用可能である。ウォラストナイトの大きさとしては、平均粒子径2〜9μm、アスペクト比5以上のものが好ましく、より好ましくは平均粒子径3〜7μm、アスペクト比5以上のもの、さらに好ましくは平均粒子径3〜7μm、アスペクト比8以上30以下のものである。
次に、本実施形態で使用することができるタルクについて説明する。本実施形態で好適に使用可能なタルクとは、珪酸マグネシウムを成分とする天然鉱物を精製、粉砕及び分級したものである。また広角X線回折によるタルクの(002)回折面の結晶子径が570Å以上であることがより好ましい。
ここでいうタルクの(002)回折面は、広角X線回折装置を用いて、タルクMg3Si410(OH)2が同定され、その層間距離がタルクの(002)回折面による格子面間隔である約9.39Åに一致することにより確認できる。また、タルクの(002)回折面の結晶子径は、そのピークの半値幅より算出される。
タルクの好ましい形状としては、平均粒子径が1〜20μmであり、粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)との比(d75%/d25%)が1.0〜2.5である粒子径分布を有するものである。更には、(d75%/d25%)が1.5〜2.2であることがより好ましい。
タルクの好ましい平均粒子径は、1〜16μmであり、さらに好ましくは3μmより大きく9μm未満である。
本実施形態で好ましく使用可能な炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。好ましい繊維径は、5〜20μmであり、より好ましくは5〜13μmである。アスペクト比は10以上であることが好ましい。
本実施形態で好適に使用可能なガラス繊維としては、繊維径が5μm〜20μmのチョップドストランドが、機械的特性及び取り扱い性の観点より好ましい。より好ましい繊維径は8μm〜15μmである。
ここでいう繊維径は、使用するガラス繊維を走査型電子顕微鏡等で観察することにより、測定可能である。
また、これらの無機フィラーは表面処理剤により表面処理が施されたものであってもよい。表面処理剤として、高級脂肪酸又はそのエステル、塩等の誘導体(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、ステアリン酸エチルエステル等)やカップリング剤(例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等)を必要により使用することができる。その使用量としては無機フィラーを100質量部としたとき、0.05〜5質量部である。より好ましくは0.1〜2質量部である。
これら、無機フィラーの好ましい含有量は、その添加効果をより有効に発揮する観点及び本発明による上記効果を有効に発揮する観点から、熱可塑性樹脂組成物の合計量を100質量%としたとき、10〜60質量%である。その含有量は、より好ましくは15〜50質量%であり、更に好ましくは18〜45質量%である。
これらの無機フィラーには、取り扱い性を高める目的で、あるいは樹脂との密着性を改善する目的で、集束剤で集束されていてもよい。集束剤としては、エポキシ系、ウレタン系、ウレタン/マレイン酸変性系、ウレタン/アミン変性系の化合物が好ましく使用できる。これら集束剤はもちろん併用してもよい。また、この集束剤として、分子構造内に複数のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を用いたものが、上述の中では、特に好ましく使用可能である。エポキシ化合物の中でも、ノボラック型エポキシ化合物が特に好ましい。
集束剤として分子構造内に複数のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を用いることにより、ガラス繊維を配合した際の成形片表面外観の悪化を防止するとともに、吸水率を低減させ、リフロー炉耐熱を向上させすることが可能となる。
本実施形態の無機フィラーは、ポリアミド若しくはポリフェニレンエーテルの重合段階から、熱可塑性樹脂組成物の成形段階までの任意の段階で添加することができるが、熱可塑性樹脂組成物の押出工程及び成形工程(ドライブレンドを含む)の段階で添加することが好ましい。
具体的には、押出工程において、溶融した熱可塑性樹脂組成物中へ添加し溶融混練する方法が挙げられる。また、無機フィラーをあらかじめポリアミドやポリフェニレンエーテル中へ配合したマスターバッチの形態で添加することも有用である。この際のマスターバッチの調製方法に制限はなく、ポリアミド又はポリフェニレンエーテルと溶融することなく混合し、押出機等にて溶融混練する方法、溶融したポリアミド又はポリフェニレンエーテル中に強化無機フィラーを添加する方法等が好ましく使用可能である。特に、無機フィラーが繊維状フィラーの場合、溶融したポリアミド又はポリフェニレンエーテル中に添加して溶融混練する方法がより好ましい。
本実施形態において、導電付与材を更に含むことが好ましい。このときの導電付与材の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の合計を100質量%としたとき0.1〜10質量%の量である。その含有量は、より好ましくは、0.5〜5質量%であり、更に好ましくは、1〜3質量%である。この場合の好ましい導電付与材は、導電性カーボンブラック、グラファイト及びカーボンフィブリルからなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくは導電性カーボンブラックである。
本実施形態において導電付与材として導電性カーボンブラックを用いる場合の好ましい導電性カーボンブラックとしては、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が250mL/100g以上のものである。より好ましくはDBP吸油量が300mL/100g以上、更に好ましくは350mL/100g以上の導電性カーボンブラックである。ここでいうDBP吸油量とは、ASTM D2414に定められた方法で測定した値である。
また、本実施形態で使用できる導電性カーボンブラックはBET比表面積(JIS K6221−1982に準拠)が200m2/g以上のものが好ましく、更には400m2/g以上のものがより好ましい。市販されているものを例示すると、ケッチェンブラックインターナショナル社より入手可能なケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JD、エボニックデグサ社から入手可能なプリンテックスXE、同XE−2Bが挙げられる。
本実施形態において導電付与材として使用できるカーボンフィブリルとしては、米国特許第4663230号明細書、米国特許第5165909号明細書、米国特許第5171560号明細書、米国特許第5578543号明細書、米国特許第5589152号明細書、米国特許第5650370号明細書、米国特許第6235674号明細書等に記載されている繊維径が75nm未満で中空構造をした分岐の少ない炭素系繊維をいう。また、1μm以下のピッチでらせんが一周するコイル状形状のものも含まれる。市販されているものとしては、ハイペリオンキャタリシスインターナショナル社から入手可能なカーボンフィブリル(BNフィブリル)を挙げることができる。
本実施形態において導電付与材として使用できるグラファイトとしては、無煙炭、ピッチ等をアーク炉で高温加熱して得られるものや、天然に産出される石墨も包含される。これらの好ましい重量平均粒子径は0.1〜50μmであり、より好ましくは1〜30μmである。
これら導電付与材の添加方法に関しては特に制限はないが、脂環構造を有するポリアミドとポリフェニレンエーテルとの溶融混合物中に、導電付与材を添加して溶融混練する方法、脂環構造を有するポリアミドに導電付与材を予め配合したマスターバッチの形態で添加する方法等が挙げられる。特に、脂環構造を有するポリアミド中に導電付与材を予め配合したマスターバッチの形態で添加することが好ましい。
導電付与材がカーボンフィブリルの場合には、マスターバッチとして、ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド/カーボンフィブリルマスターバッチを使用することができる。
これらマスターバッチ中の導電付与材の量としては、マスターバッチを100質量%としたとき、導電付与材の量が5〜25質量%であることが好ましい。導電付与材として導電性カーボンブラックを使用する場合の好適なマスターバッチ中の導電付与材の量は、5〜15質量%であり、より好ましい量は8〜12質量%である。
また、導電付与材として、グラファイト又はカーボンフィブリルを使用する場合の好適なマスターバッチ中の導電付与材の量としては、15〜25質量%であり、より好ましくは18〜23質量%である。
導電付与材のマスターバッチに使用される樹脂としては、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び衝撃改良材より選ばれる1種以上を挙げることができる。特に好ましいのはポリアミドである。この際、使用するポリアミドとしては、導電付与材のマスターバッチ中への分散性を高める観点から、脂環構造を有するポリアミドであることがより好ましく、その好ましい固有粘度としてある上下限値を有することが好ましい。押出加工時のストランド引取り性を良好にする観点から、固有粘度の好ましい下限値としては0.6dL/gであり、より好ましくは0.65dL/gであり、更に好ましくは0.7dL/gであり、特に好ましくは0.75dL/gである。また、押出加工時の樹脂温度を適正な加工温度に維持する観点から、固有粘度の好ましい上限値は1.0dL/gであり、より好ましくは0.95dL/gであり、更に好ましくは0.9dL/gであり、特に好ましくは0.85dl/gである。
固有粘度の範囲を上述の範囲の脂環構造を有するポリアミドとすることにより、該マスターバッチ生産時の効率を向上(単位時間あたりの生産量の増加)させ、更には該マスターバッチを用いて得られる熱可塑性樹脂組成物の面衝撃強度を高めることが可能となる。
これら導電性マスターバッチの製造方法の例としては、特に制限はないが、
(1)脂環構造を有するポリアミドと導電付与材とを溶融することなく混合したのち、樹脂温度が脂環構造を有するポリアミドの融点以上となる温度で溶融混練する方法、
(2)溶融した脂環構造を有するポリアミド中に導電付与材を添加して溶融混練する方法、
(3)脂環構造を有するポリアミドと導電付与材とを溶融することなく混合物を作製し、該混合物を溶融した脂環構造を有するポリアミド中に供給し、溶融混練する方法、
(4)溶融した脂環構造を有するポリアミド中に導電付与材を供給し溶融混練した後、更に脂環構造を有するポリアミドを供給し溶融混練する方法、等が挙げられる。
これらの中でより好ましい態様は、(3)脂環構造を有するポリアミドと導電付与材とを溶融することなく混合物を作製し、該混合物を溶融した脂環構造を有するポリアミド中に供給し、溶融混練する方法である。
この好ましい製造方法を採用することにより、導電付与材マスターバッチ製造時の樹脂温度を大幅に低下させることが可能となり、導電性熱可塑性樹脂組成物とした後の、モールドデポジットの抑制に非常に効果的である。
上述の製造方法としては以下の具体例が挙げられる。
(1)上流部に1箇所の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流部供給口より芳香族ポリアミドと導電付与材とを混合した混合物を供給し、脂環構造を有するポリアミドの融点以上の温度で溶融混練する方法、
(2)上流部に1箇所と下流部に1箇所の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流部供給口より脂環構造を有するポリアミドを供給し、脂環構造を有するポリアミドの融点以上の温度で溶融混練した後、下流部供給口より導電付与材を添加して更に溶融混練する製造方法、
(3)上流部に1箇所と下流部に1箇所の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流部供給口より脂環構造を有するポリアミドの一部を供給し、脂環構造を有するポリアミドの融点以上の温度で溶融混練した後、下流部供給口より残りのポリアミドと導電付与材とを溶融することなく混合した混合物を添加して更に溶融混練する製造方法、
(4)上流部に1箇所、中流部に1箇所、下流部に1箇所の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流部供給口より脂環構造を有するポリアミドを供給し、脂環構造を有するポリアミドの融点以上の温度で溶融混練した後、中流部供給口より導電付与材を添加して更に溶融混練し、下流部供給口より脂環構造を有するポリアミドを添加して更に溶融混練する方法、等が挙げられる。
これらの中で特に好ましい態様は、(3)上流部に1箇所と下流部に1箇所の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流部供給口より脂環構造を有するポリアミドの一部を供給し、芳香族ポリアミドの融点以上の温度で溶融混練した後、下流部供給口より残りのポリアミドと導電付与材とを溶融することなく混合した混合物を添加して更に溶融混練する製造方法である。
また、これらマスターバッチを製造する際の加工機械のシリンダー設定温度として特に制限はなく、上述のように脂環構造を有するポリアミドの融点以上の温度であれば問題ないが、好ましい範囲としては、290〜350℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは300〜330℃の範囲である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に導電付与材を添加して導電性熱可塑性樹脂組成物を製造するにあたり、好ましい製造方法は、以下の(1)、(2)及び(3)の工程をその順に経ることである。
(1)脂環構造を有するポリアミドと導電付与材とを溶融することなく混合物を作製し、該混合物を溶融した脂環構造を有するポリアミド中に供給し、溶融混練して、脂環構造を有するポリアミドと導電付与材とのマスターペレットを製造する工程、
(2)脂環構造を有するポリアミドと導電付与材との上記マスターペレットを、ポリフェニレンエーテルと、ポリアミドとポリフェニレンエーテルとの相溶化剤と、の溶融混合物と溶融混練して溶融混合物ペレットを得る工程、並びに
(3)上記溶融混合物ペレットの水分を除去する工程。
上述の工程をこの順に経ることにより、導電性熱可塑性樹脂組成物の射出成形時のモールドデポジットの抑制とシルバーストリークス発生の抑制、及びシート押出時のダイリップ部への目やに生成の抑制効果が得られる。
この際に、脂環構造を有するポリアミドとして粉体状の脂環構造を有するポリアミドを使用することにより、これらの効果がより高められる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤を含有することができる。本実施形態において、難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物とすることで、その組成物及び成形体を難燃化させることができる。しかも、難燃剤を含有しているにも関わらず、その組成物による金属腐食を抑制できる。好ましく使用可能な難燃剤としては、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸塩が挙げられる。これらの中で熱可塑性樹脂組成物の耐熱性の維持、及びブリードアウトを抑制する観点から、より好ましいのは、ホスフィン酸塩である。
以下にホスフィン酸塩について説明する。
本実施形態で好適に使用可能なホスフィン酸塩は、下記一般式(7)及び/又は下記一般式(8)で表されるジホスフィン酸塩、あるいはこれらの縮合物(本明細書中では、これらをホスフィン酸塩類と総称することがある)である。
Figure 2010265380
ここで、式中、R5及びR6は、同一か又は異なり、直鎖状若しくは分岐状のC1〜C6のアルキル及び/又はアリール(好ましくはフェニル)であり、R7は、直鎖状若しくは分岐状のC1〜C10のアルキレン、C6〜C10のアリーレン、C6〜C10のアルキルアリーレン又はC6〜C10のアリールアルキレンであり、Mはカルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)、亜鉛(イオン)、ビスマス(イオン)、マンガン(イオン)、ナトリウム(イオン)、カリウム(イオン)及びプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、mは2又は3であり、nは1〜3の整数であり、xは1又は2である。
これらは、欧州特許出願公開第699708号明細書や特開平08−73720号公報に記載されているように、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物を用いて水溶液中で製造される。
これらホスフィン酸塩は、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存して、環境によっては縮合度が1〜3の縮合物であるポリマー性ホスフィン酸塩も含まれる。
本実施形態で使用可能なホスフィン酸塩は、より高い難燃性の発現及びモールドデポジット発生の抑制の観点から、下記一般式(9)で表されるホスフィン酸塩を90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上含む。
Figure 2010265380
ここで、式中、R8及びR9は、同一か又は異なり、直鎖状若しくは分岐状のC1〜C6のアルキル及び/又はアリール(好ましくはフェニル)であり、Mはカルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)、亜鉛(イオン)、ビスマス(イオン)、マンガン(イオン)、ナトリウム(イオン)、カリウム(イオン)及びプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、mは2又は3である。
本実施形態において、好ましく使用可能な上記ホスフィン酸の具体例としては、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸及びこれらの混合物が挙げられる。
好ましく使用可能なホスフィン酸塩を構成する金属成分としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及びプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンから選ばれる1種以上である。
ホスフィン酸塩の好ましく使用可能な具体例としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
特に、高い難燃性の発現、モールドデポジット抑制の観点からジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。
本実施形態において、好ましいホスフィン酸塩の含有量は、脂環構造を有するポリアミドとポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対し、1.0〜50質量部である。その含有量の下限値は、より好ましくは2.0質量部であり、更に好ましくは3.0質量部であり、特に好ましくは5.0質量部である。また、その含有量の上限値は、より好ましくは35質量部、更に好ましくは25質量部、特に好ましくは15質量部、極めて好ましくは10質量部である。充分な難燃性を発現させるためにはホスフィン酸塩の含有量は1質量部以上が好ましく、押出加工に適した溶融粘度にするにはホスフィン酸塩の含有量は50質量部以下が好ましい。
また、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品(成形体)の機械的強度、成形品外観を考慮し、好ましいホスフィン酸塩の数平均粒子径の下限値は0.1μmであり、より好ましい下限値は0.5μmである。好ましいホスフィン酸塩の数平均粒子径の上限値は40μmであり、より好ましい上限値は20μmであり、更に好ましい上限値は10μmである。
ホスフィン酸塩の数平均粒子径を0.1μm以上とすると、溶融混練等の加工時において、取扱い性や押出し機等への噛み込み性が向上し好ましい。また、数平均粒子径を40μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が発現しやすくなり、かつ成形品の表面良外観が向上する。
これらホスフィン酸塩の数平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、日本国、島津製作所社製、商品名:SALD−2000)を用い、水中にホスフィン酸塩を分散させ測定解析することができる。超音波拡散機及び/又は攪拌機を備えた攪拌槽に水及びホスフィン酸塩を加える方法により、水中にホスフィン酸塩を分散させた分散液を、ポンプを介して測定セルへ送液し、レーザー回折により粒子径を測定する。測定によって得られる、粒子径と粒子数の頻度分布より数平均粒子径として計算することができる。
また、本実施形態におけるホスフィン酸塩は、本実施形態の効果を損なわなければ、未反応物あるいは副生成物が残存していてもよい。
本実施形態で使用可能なホスフィン酸塩は、あらかじめ脂環構造を有するポリアミドを混合した難燃剤マスターバッチの形態で添加してもよい。難燃剤マスターバッチ中の好ましいホスフィン酸塩の含有割合は、難燃剤マスターバッチの全量を100質量%としたとき、10〜60質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。
この難燃剤マスターバッチの製造方法については、特に制限はないが、具体例を挙げると、下記(1)及び(2)の製造方法が挙げられる、すなわち、
(1)脂環構造を有するポリアミドとホスフィン酸塩とを溶融することなくあらかじめ混合した混合物を溶融混練する方法。
(2)ホスフィン酸塩を、溶融した脂環構造を有するポリアミド中に添加して、更に溶融混練する方法。
これらのうち、後者の(2)の方が難燃剤の分散性が向上するため好ましい。
本実施形態では、特に難燃剤としてホスフィン酸塩を使用する場合、金型等の金属腐食を更に有効に防止するために、熱可塑性樹脂組成物は水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウムを含むことが好ましい。
本実施形態において使用可能な水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の純度は、本実施形態の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる純度の物であってもよい。
水酸化カルシウムを入手しようとする場合、一般的に流通しているものの例として、消石灰が挙げられる。消石灰は、日本工業規格において工業用石灰(JIS R9001:2006)として、種々の特性が規定されている。
水酸化カルシウムとして工業用石灰を用いる場合、該消石灰中の好ましい酸化カルシウムの純度は、工業用消石灰2号以上の純度である。
水酸化カルシウムは、酸化カルシウムと水が反応することにより得られるものであるため、JIS R9001:2006においては、水酸化カルシウムの純度は、酸化カルシウムの含有量をもって表される。その具体的な好ましい純度は、消石灰中に酸化カルシウムとして65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは72.5質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。工業用消石灰に含まれる、他の成分としてはCO2、SiO2、Al23、Fe23、MgOなどが挙げられるが、これら成分の中でも、SiO2、Al23、Fe23、MgO合計の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。難燃性熱可塑性樹脂組成物の機械的特性の低下を抑制するためには、これら無機不純物濃度を低く抑制することが好ましい。
水酸化カルシウムの粒子径としては、JIS R9001:2006で定義される590μmでの粉末度残分が実質的にないものが好ましい。より好ましくは、149μmの粉末度残分が15質量%以下のものであり、更に好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
水酸化カルシウムの好ましい平均粒子径は、100μm以下であり、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。その平均粒子径は、0.5μm以上であれば特に問題なく使用できる。高い腐食抑制効果を発現し、かつ難燃性熱可塑性樹脂組成物の高い機械的強度を維持する観点から、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。また、取扱い性を悪化させない観点から、平均粒子径は0.5μm以上であることが好ましい。ただし、例えば、顆粒化処理等により取扱い性を高めた場合においては、0.5μm以下の平均粒子径のものも好ましく使用可能である。
本実施形態において使用可能な、酸化カルシウム(CaO)の純度は、本実施形態の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる純度の物であってもよい。
酸化カルシウムを入手しようとする場合、一般的に流通しているものの例として、生石灰が挙げられる。生石灰は、日本工業規格において、工業用石灰(JIS R9001:2006)として種々の特性が規定されている。
酸化カルシウムとして、工業用生石灰を用いる場合の、該生石灰中の好ましい酸化カルシウムの純度は、工業用消石灰2号以上の純度である。好ましい純度は、消石灰中に酸化カルシウムとして80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは93質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
工業用生石灰に含まれる、他の成分としてはCO2、SiO2、Al23、Fe23、MgOなどが挙げられるが、これら成分の中でも、SiO2、Al23、Fe23、MgO合計の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。難燃性熱可塑性樹脂組成物の機械的特性や、難燃性の低下を抑制するためには、これら無機不純物濃度を低く抑制することが好ましい。
次に、酸化カルシウムの平均粒子径としては、500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。その平均粒子径は0.5μm以上であれば、特に問題なく使用できる。高い腐食抑制効果を発現し、かつ難燃性熱可塑性樹脂組成物の高い機械的強度を維持する観点から、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。また、取扱い性を悪化させない観点から、平均粒子径は0.5μm以上であることが好ましい。ただし、例えば、顆粒化処理等により取扱い性を高めた場合においては、0.5μm以下の平均粒子径のものも好ましく使用可能である。
本実施形態における水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウム(以下、「カルシウム塩類」と総称することがある)の平均粒子径は、ホスフィン酸塩の測定と同様に、レーザー回折式粒度分布計を用い測定することができる。ただし、この際に、カルシウム塩類や含まれる他の成分が溶解や膨潤しない溶媒を適宜選択する必要がある。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において、これらカルシウム塩類の好ましい含有量は、ホスフィン酸塩100質量部に対し、0.05〜10質量部の範囲であり、より好ましくは0.08〜7質量部であり、更に好ましくは0.10〜5質量部である。金属腐食性の抑制効果を低下させないためには、これらカルシウム塩類の含有量は0.05質量部以上であることが好ましく、機械的特性、難燃性を悪化させないためには、これらカルシウム塩類の含有量は10質量%以下とすることが好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物では、上記した成分の他に、本実施形態の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加してもよい。
付加的成分としては、例えば、上述以外の難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、流動性改良材(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料、添着剤が挙げられる。
これら付加的成分のそれぞれの含有量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、それぞれ20質量部を超えない範囲であり、かつそれらの合計量が50質量部を超えない範囲である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を得るための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられる。これらの中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流部供給口と1箇所以上の下流部供給口とを備えたスクリュー直径25mm以上でL/Dが30以上の二軸押出機がより好ましく、スクリュー直径45mm以上でL/Dが30以上の二軸押出機が更に好ましい。スクリュー直径の上限としては、樹脂温度の上昇を抑制する観点より120mm以下であることが好ましい。
この際の加工機械のシリンダー設定温度は特に限定されるものではなく、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができるが、好ましい設定温度は300〜350℃の範囲である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品(成形体)を製造するに当たっては、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、一般に用いられている種々の成形方法や成形装置が使用できる。何ら限定されるものではないが、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いて、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの任意の成形法によって成形品を製造することができ、またそれらの成形技術の複合によっても成形を行うことができる。さらに、各種熱可塑性樹脂又はその組成物、熱硬化性樹脂、紙、布帛、金属、木材、セラミックスなどの各種の材料との複合成形体とすることもできる。得られた成形品は、本発明による効果の他、優れた外観及び難燃性を有することも可能である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、多くの優れた特性を有するため、上述したような成形プロセスを経て、自動車部品、工業材料、産業資材、電気電子部品、機械部品、事務機器用部品、家庭用品、シート、フイルム、繊維、その他の任意の形状及び用途の各種成形品の製造に有効に使用することができる。
具体例としては、例えばリレーブロック材料等に代表されるオートバイ・自動車の電装部品、ICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット、液晶プロジェクター等のランプ廻り部品、SMTコネクター等の電気・電子部品、各種コンピューター及びその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のバンパー・フェンダー・ドアーパネル・ランプ廻り部品、各種モール・エンブレム・アウタードアハンドル・ドアミラーハウジング・ホイール,キャップ・ルーフレール及びそのステイ材・スポイラー等に代表される外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品、自動車アンダーフード部品、自動車エンジン周り部品等に好適に使用できる。特にSMTコネクター等の電気・電子部品に好ましく適用可能である。
以下の実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[配合に用いた原材料]
PPEULMw−1(超低分子量ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル))
重合方法:沈殿析出重合法
PPEULMw−2(超低分子量ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル))
重合方法:溶液重合法
PPELMw(低分子量ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル))
重合方法:溶液重合法
PPEHMw(高分子量ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル))
重合方法:溶液重合法
分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(商品名「GPC SYSTEM21」:昭和電工(株)製)を用いて、紫外分光検出器(商品名「UV−41」:昭和電工(株)製)で測定し、標準ポリスチレンで換算した。
詳細な条件は以下の通りである。
溶媒:クロロホルム、
サンプル濃度:0.1g/100ml、
温度:40℃、
カラム:サンプル側(K−G,K−800RL,K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、
測定波長:283nm,圧力15〜17kg/cm2
標準ポリスチレンの検量線を作成する際のUV検出器の測定波長:254nm
分子量30000以下の成分の含有量(WT30000)及び分子量3000以下の成分の含有量(WT3000)は、上記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって得られたクロマトグラムに基づいて算出した。
得られたポリフェニレンエーテルの性状は表1に記載した。
MAH(無水マレイン酸、商品名:クリスタルMAN、日本油脂(株)製)
脂環構造を有するポリアミド(PAC−1)
ジカルボン酸単位の成分としてトランス/シスのモル比が25/75である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を、ジアミン単位の成分として1,6−ヘキサメチレンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンを準備した。なお、1,6−ヘキサメチレンジアミンと1,12−ドデカンジアミンとのモル比は、(1,6−ヘキサメチレンジアミン/1,12−ドデカンジアミン)で13/87であった。これらの成分を蒸留水中に溶解し、pH=7.80を中和等量点とするような水溶液を作製した。このとき、ジカルボン酸単位の成分とジアミン単位の成分とのモル比は1/1とした。また、重合触媒として、次亜リン酸ナトリウム一水和物を水溶液中に加えた。
得られた水溶液をオートクレーブに仕込み、窒素置換した。次いで、オートクレーブの内部を160℃の温度に約50分かけて昇温し、160℃の温度下で水溶液を撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に除去して濃縮した。この濃縮工程に約30分を要した。
その後、オートクレーブ内圧が3.5MPaとなるまで加熱した。その時の内部温度は250℃であった。そのままオートクレーブ内部の圧力を3.5MPaに保ちながら、水蒸気を徐々に除去して内部温度が300℃に到達するまで1時間反応させ、プレポリマーを得た。
このプレポリマーを粒子径が3mm以下の大きさになるまで粉砕した後、窒素ガスを20L/分の流量で流した雰囲気の下、100℃で24時間乾燥した。その後、更に200mL/分の流量で窒素ガスを流した雰囲気の下、280℃で10時間プレポリマーを固相重合し、ポリアミドを得た。この得られたポリアミドをポリアミドC−1(PAC−1)と称する。
PAC−1の融点を測定したところ、308℃であり、その融解エンタルピーは31J/gであった。また、270℃で再結晶化が起きることも観察された。なお、PAC−1中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位のトランス/シスのモル比を測定したところ82/18であった。また、固有粘度は1.0dL/gであり、末端アミノ基濃度は55μモル/g、末端カルボキシル基濃度は135μモル/gであった。また、リン元素の定量をThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)で実施したところ、110質量ppmであった。
脂環構造を有するポリアミド(PAC−2)
ジアミン単位の成分を、1,6−ヘキサメチレンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンから2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミンに代えた以外はPAC−1の製造と同様にして重合を行いプレポリマーを得た。このプレポリマーを、固相重合の時間を10時間から8時間に代えた以外はPAC−1の製造と同様にして固相重合を行いポリアミドを得た。この得られたポリアミドをポリアミドC−2(PAC−2)と称する。
PAC−2の融点を測定したところ、320℃であり、その融解エンタルピーは35J/gであった。なお、PAC−2中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位のトランス/シスのモル比を測定したところ82/18であった。また、固有粘度は0.8dL/gであり、末端アミノ基濃度は、45μモル/g、末端カルボキシル基濃度は、130μモル/gであった。また、リン元素の定量をThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)で実施したところ、110質量ppmであった。
ポリアミド9,T
特開2000−212433号公報に記載の製造例1に従いポリアミド9,Tを製造した。このポリアミドをPA9Tと称する。
ポリアミド6,T/6,6
特開平7−126516号公報に記載の製造例1に従いポリアミド6,T/6,6を製造した。このポリアミドをPA6T/66と称する。
DEP(ジエチルホスフィン酸アルミニウム)
商品名:Exolit OP930(クラリアント社製)
純度:95%以上
粒子径:平均粒子径5μm
GF(ガラス繊維)
商品名:ECS03−T747(日本電気硝子(株)製)
Ca(OH)2(水酸化カルシウム(和光純薬工業社製))
[測定方法]
(1)メルトボリュームレイト(MVR330℃)
後述のようにして得られたペレットを、ISO1133に準拠し、シリンダー温度330℃、荷重5kgで測定し、メルトボリュームレイトを導出した。
(2)スパイラル流動長(SFD0.5mmt
後述のようにして得られたペレットを、射出成形機(東芝機械(株)製:商品名「IS−80EPN」、型締圧力80トン)のシリンダー温度を330℃に設定し、スケールが予め刻印されている渦巻形状のキャビティー(幅10mm、厚み0.5mm)を有する金型の金型温度を130℃に設定して、120MPaの圧力で射出成形した。その際に樹脂が流れた流動距離を測定した。なお、測定にあたっては、10ショット連続成形した後の10ショットの流動距離の平均を用い、これを「スパイラル流動長」とした。
(3)コネクター成形温度
後述のようにして得られたペレットを、射出成形機(ソディックプラステック社製:商品名「TR05EH2」、型締圧力5トン)を用いて、FPCコネクター(長さ30mm、幅1mm、2個取り、50ピン穴、ピン穴ピッチ:0.5ミリピッチ)金型を130℃に設定し、シリンダー温度を下記温度のいずれかに設定し、射出圧力を150MPaに設定して射出成形した。その際、シリンダー温度を300℃から340℃の間で5℃刻みで変更して、それぞれの温度にて射出成形し、コネクター成形片が完全に充填可能な最低の温度を「コネクター成形温度」とした。
(4)成形時の靭性
シリンダー温度を上記コネクター成形温度にし、その他の成形条件を上記「(3)コネクター成形温度」における条件と同様に設定して、後述のようにして得られたペレットの射出成形を100ショット実施し、得られたコネクター成形片のうちランナーが折れたものの個数を計測した。折れる個数が少ないほど、靭性が高いことを示している。
(5)リフロー前後の色調変化
後述のようにして得られたペレットを、射出成形機(東芝機械(株)製:商品名「IS−80EPN」)のシリンダー温度を330℃、金型温度を120℃に設定して射出成形し、長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mmの淡いベージュ色の試験片を得た。その試験片を最高温度265℃、260℃以上で10秒間加熱されるよう設定したリフロー炉に、合計3回通し、リフロー前後の試験片の色調変化を観察した。
(6)金属腐食性
後述のようにして得られたペレットを、耐圧2.0MPa、内容量100mLのSUS314製オートクレーブに20g入れ、次いで、縦×横×厚みが10mm×20mm×2.0mmで表面を#2000研磨した炭素鋼(材質:SS400)試験片を入れ、ペレットをさらに20g入れ、炭素鋼試験片を埋没させた。次にオートクレーブ内部を窒素置換した後、密閉し、330℃に設定した恒温槽に5時間、静置した。オートクレーブを取り出し、流水下で室温まで冷却してオートクレーブを開放した。
次にオートクレーブから溶融固化したペレットを回収し、そのペレットの中から炭素鋼試験片を取り出し、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)により炭素鋼試験片に付着した樹脂を溶解除去した。
その後、炭素鋼試験片を風乾し、0.1mg単位まで秤量し、予め測定しておいた腐食試験前の炭素鋼試験片質量で除算し、試験前後の質量減少率を質量ppmで求め、「金属腐食性」として評価した。この値が高いほど、金属腐食性が低く、耐金属腐食性に優れていると認められる。
(7)難燃性(UL−94VB)
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて、1つの実施例又は比較例当たりそれぞれ5本ずつ難燃性を評価した。なお、試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mm)は射出成形機(東芝機械(株)製:商品名「IS−80EPN」)を用いて成形した。成形はシリンダー温度330℃、金型温度120℃で実施した。
難燃等級には、UL94垂直燃焼試験によって分類される難燃性のクラスを示した。ただし、全てのサンプルで試験は5本行い判定した。分類方法の概要は以下の通りである。その他詳細はUL94規格に準じる。
V−0:平均燃焼時間5秒以下、1本あたりの最大燃焼時間10秒以下、有炎滴下なし。
V−1:平均燃焼時間25秒以下、1本あたりの最大燃焼時間30秒以下、有炎滴下なし。
平均燃焼時間とは、各試験片5本に対し、各2回接炎した計10回接炎後、消炎に至るまでの時間の合計燃焼時間を接炎回数である10で除した時間であり、最大燃焼時間は、消炎に至るまでの時間が最も長かった時の時間を示す。
[実施例及び比較例]
上流側に1箇所と、下流側に2箇所の供給口(押出機シリンダーの全長を1.0とした時、押出機最上流から0.4(L=0.4)の位置に1箇所、0.8の位置に1箇所)を有する二軸押出機(商品名「TEM58SS」:東芝機械(株)社製)を準備した。その押出機のシリンダー温度を、上流側供給口(以下、「上流供給口」という)からL=0.4の位置の供給口(以下、「中央供給口」という)までを320℃、中央供給口より下流側を300℃に設定した。
次いで、表2及び3に記載の組成に従い、それぞれの原材料を上記押出機に供給し、溶融混練してペレットを得た。
なお、この際、ポリフェニレンエーテル、MAHを押出機の上流供給口より供給し、PAC、PA9T、DBP及びCa(OH)2を中央供給口より供給し、GFを下流供給口より供給した。このときの総吐出量は、400kg/hであり、スクリュー回転数は、250rpmであった。
得られたペレットの水分率を調整するため、押し出し後、80℃に設定した除湿乾燥機中でペレットを乾燥した後、アルミニウムコートされた防湿袋に入れた。この時のペレットの水分率は概ね250〜400ppmであった。
なお、このとき中央供給口のあるシリンダーブロックの直前のブロックと、ダイ直前のシリンダーブロックにそれぞれ開口部を設け、真空吸引することにより残存揮発分及びオリゴマーの除去を行った。この時の真空度(絶対圧力)は60Torrであった。
得られたペレットを用いて、上述の各種評価を実施した。難燃化させた実施例3〜5、比較例4〜7については、金属腐食性の試験と燃焼試験とを更に行った。実施例1〜3、比較例1〜5の結果を表2に組成とともに、実施例4、5及び比較例6、7の結果を組成とともに表3に示した。
Figure 2010265380
PPEULMW−1とPPEULMW−2とを比較すると、重合方法の違いにより、固有粘度は同じであっても、分散比は大きく異なり、また、3000以下の分子量の量も大きく異なることがわかる。
Figure 2010265380
実施例1〜3はいずれもMVR330℃、SFD0.5mmt、コネクター成形温度とも優れた値であり、コネクター成形時のランナー折れも皆無か、あっても非常に少なく、かつリフロー前後の色調変化もほとんど認められなかった。
一方、比較例1〜5は、MVR330℃、SFD0.5mmt、コネクター成形温度、コネクター成形時のランナー折れ及びリフロー前後の色調変化の少なくともいずれかが不良であった。
難燃化させた実施例3、比較例4、5について金属腐食性の試験と燃焼試験とを更に行ったところ、実施例3は金属腐食性及び難燃性試験の両方が優れた結果であったのに対し、比較例4については、両者が、比較例5については少なくとも金属腐食性が劣る結果であった。
以上より、本実施例によれば、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、薄肉流動性が高く、熱暴露時の成形片の変色性を抑制でき、更に、難燃化した組成物においては、金属腐食しないことが示された。
Figure 2010265380
実施例4及び5は、そのポリアミドの融点の違いにより、MVR330℃、SFD0.5mmtには、若干の違いが認められるが、成形時の靭性、金属腐食性及び難燃性に優れる事が判る。実施例4に関しては、リフロー前後の色調変化は認められなかったが、若干の発泡現象が成形片に確認された。
一方、比較例6は、コネクター成形温度が高く、その影響からか、成形時の靭性に劣る結果であった。また、比較例7においては、流動性測定(MVR330℃、SFD0.5mmt)時に分解が要因と思われる流動性が不安定になる現象が確認された。また、コネクター成形時の靭性にいたっては、大半がランナー折れを起こす状況であった。
以上より、本実施例によれば、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、薄肉流動性が高く、熱暴露時の成形片の変色性を抑制でき、成形時のランナー折れといった不具合も抑制し、更に、難燃化した組成物においては、金属腐食しないことが示された。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱暴露での変色を抑制した高流動性の熱可塑性樹脂組成物であり、各種コネクター用材料等として非常に好適である。

Claims (16)

  1. 脂環構造を有するポリアミドと、
    ポリフェニレンエーテルと、
    前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの相溶化剤と、を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドが、シクロヘキサンジカルボン酸単位を20〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位を含有するジアミン単位と、からなるポリアミドであり、
    前記ポリフェニレンエーテルにおいて、分子量30000以下の成分の含有量が60質量%以上であり、かつ分子量3000以下の成分の含有量が5質量%以下である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が、7000〜15000である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ポリフェニレンエーテルの分散比が、2.00〜2.50である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリアミドの末端アミノ基濃度が5〜60μモル/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミドの固有粘度が、0.7〜1.0dL/gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記ポリアミドのジアミン単位が、1,6−ヘキサメチレンジアミン単位、1,9−ノナメチレンジアミン単位、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン単位、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン単位及び1,12−ドデカメチレンジアミン単位、並びにそれらの誘導体単位からなる群より選ばれる1種以上のジアミン単位を60〜100モル%含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記ポリアミドのシクロヘキサンジカルボン酸単位が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位のトランス/シス比が、モル比で60/40〜90/10である、請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記相溶化剤を、前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、0.05〜5質量部含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記相溶化剤が、マレイン酸又はその無水物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、前記ポリアミドを30〜90質量部含み、前記ポリフェニレンエーテルを10〜70質量部含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計100質量部に対して、導電性カーボンブラック0.5〜5質量部を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 前記熱可塑性樹脂組成物の合計量に対して、ガラス繊維10〜60質量%を更に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. 前記ポリアミドと前記ポリフェニレンエーテルとの合計量100質量部に対して、ホスフィン酸塩5.0〜35質量部を更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  15. 水酸化物カルシウム及び/又は酸化カルシウムを更に含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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