JP2022176223A - カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カラーフィルタの低膜厚化が達成され、視差混色が少なく、画素の再現色等に優れたカラーフィルタ用着色組成物を提供する。また、着色層を製造する際に、色材を良好に分散することができ、経時劣化しにくい色材分散液を用いたカラーフィルタ用着色組成物を提供する。更に、現像残渣が少なく、水染みが発生しにくいカラーフィルタ用着色組成物を提供する。【解決手段】色材、溶剤、重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物であって、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該着色組成物全体に対して120質量ppm以下であり、該アルカリ可溶性樹脂が炭化水素環を有するものであることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物やそれを用いたカラーフィルタにより課題を解決した。【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタ用着色組成物に関し、更に詳しくは、特定の金属元素の合計含有量が規定され、また、炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するカラーフィルタ用着色組成物、及び、それらを用いて得られたカラーフィルタに関するものである。
なお、カラーフィルタ用着色組成物を製造する際には、色材液が使用される。本明細書において、顔料・染料等の色材が溶剤の中に分散した形で存在する「色材分散液」と、染料等の色材が溶剤に溶解した状態で存在する「色材溶液」とを総称して「色材液」という。
ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタは、一般的に、透明基板、着色層、遮光部等を有しており、この着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法等が知られているが、中でも、分光特性、耐久性、パターン形状、精度等の点から顔料分散法が広範に使用されている(特許文献1、2)。
近年、ディスプレイの発展によって、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の需要が増加してきており、それに伴い、これらディスプレイの性能において、演色性、コントラスト、輝度、色再現性等の向上と言った高画質化が強く望まれている。
更に近年、タブレット、スマートフォン等の高精細化のため、ブラックマトリクスの細線化が進み、ディスプレイを横から見た際に隣り合う画素の色が混ざり合って見える視差混色という現象が特に問題になってきている。
該問題の解決のために、カラーフィルタの低膜厚化が要求され、具体的には例えば従来の膜厚の約50%~70%の膜厚の達成が求められている。
また一方で、画素の再現色についても、「adobeRGB規格」「DCI規格」(「DCI」は、Digital Cinema Initiatives)と定義される色度域における高演色が求められている。
そこで、カラーフィルタの低膜厚化や画素の高演色化のためには、カラーフィルタ用着色組成物の色材濃度を上げる必要がある。
しかしながら、カラーフィルタ用着色組成物やそれに使用する色材液の色材濃度を上げようとすると、そもそも色材を良好に分散・溶解することが困難になり、経時的な安定性を得られない場合があった。
更に、色材濃度が上がることにより画素を形成するパターニングに必要となる成分が相対的に減少し、良好な現像性が得られない(現像速度が小さい;現像残渣が多い;等)という問題点があった。
すなわち、高濃度で分散・溶解でき色性能が優れたカラーフィルタ用着色組成物がたとえできたとしても、カラーフィルタ製造時の現像性との両立が困難になるという問題も発生していた。
一方、カラーフィルタ中又はカラーフィルタ製造用の着色組成物中の金属元素の含有量を規定するものとしては、特許文献3~6が知られている。
特許文献3には、R(赤)、G(緑)、B(青)及びBK(黒)の画素に含有されるナトリウムイオン(Na)とカリウムイオン(K)の合計量を規定することで、カラーフィルタに近接する液晶素子や半導体素子の汚染を防ぐ技術が開示されている。
特許文献4には、ブラックマトリクス用カーボンブラックに被覆されている樹脂中のナトリウム(Na)とカリウム(K)の合計量を規定して、高遮光率と低表面反射率を達成する技術が開示されている。
特許文献5には、電気伝導度を規定し、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)の各含有量を規定した顔料分散液が記載されており、その顔料分散液を使用して得られたカラーフィルタは、電圧保持率に優れるため表示安定性が良好であるとされている。
特許文献6には、C.I.ピグメントグリーン58に含有されるナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、マグネシウムイオン(Mg)の含有量が規定されたカラーフィルタ用有機顔料組成物が記載されており、それを使用して得られたカラーフィルタは、表示応答性に優れるとされている。
しかしながら、ディスプレイ用のカラーフィルタ用の色材液は、極めて高度な分散・溶解が要求されるため、前記した技術では未だ十分ではなく、前記した問題点を解決するためには更なる改善が望まれていた。
特に、高精細化により視差混色が問題になり、また画素の高演色が求められるようになり、カラーフィルタの低膜厚化が要求されるようになった近年、色材の分散安定性・溶解性、種々の画像特性、カラーフィルタ製造時の現像性等において、優れた性能を有するカラーフィルタ用着色組成物が望まれていた。
特開2007-133131号公報 特開2009-244617号公報 特開平7-198928号公報 特開平9-071733号公報 特開2009-007432号公報 特開2014-119487号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、カラーフィルタの低膜厚化が達成され、ディスプレイを横から見た際の視差混色が少なく、画素の再現色についても、一定色度域における高演色が達成される等の優れた特性を有するカラーフィルタ用着色組成物を提供することにある。
また、カラーフィルタ用着色組成物の色材を良好に分散・溶解することができ、粘度安定性に優れ、現像性に優れる(現像速度が大きく、現像残渣の量が少ない)カラーフィルタ用着色組成物を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタ用色材液又はカラーフィルタ用着色組成物に含有される、ナトリウム(Na)やカリウム(K)といった極めてありふれた金属元素以外の金属元素である「カルシウム(Ca)、鉄(Fe)」(以下、この括弧内を「第一特定金属元素」と記述する場合がある。)や、「マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)」(以下、この括弧内を「第二特定金属元素」と記述する場合がある。また、「第一特定金属元素」と「第二特定金属元素」を総称して、「特定金属元素」と記述する場合がある。)の含有量を低減させることによって、意外にも上記課題が解決されたカラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタが得られることを見出した。
また、本発明者は、色材を製造する工程で使用される、溶剤、工程水、装置部材等から混入してくる「特定金属元素」(「第一特定金属元素」及び「第二特定金属元素」)がある場合(とりわけ、「第一特定金属元素」がある場合)、色材液製造時の、色材液の初期粘度が高くなり、経時安定性が悪くなり、現像時間が長くなり、適切なパターンや良好な画素が得られないことを見出した。
そして、カラーフィルタ用色材液の原料となる、色材、溶剤等の中の「特定金属元素」の混入を低減することで(特に、色材中の「特定金属元素」の混入を低減することで)、上記課題が解決されたカラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタが得られることを見出した。
また、着色組成物が前記特定金属元素を多く含有すると、現像時間が長くなるだけでなく、現像残渣が多くなり、水染みが発生しやすくなる。特に、色材の濃度が高い場合、このような傾向が強くなる。
本発明者は、前記特定金属元素の混入を低減した上で、更に、アルカリ可溶性樹脂として、炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を使用することにより、現像残渣を少なくでき、水染みの発生を抑制することができることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、色材、溶剤、重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物であって、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該着色組成物全体に対して120質量ppm以下であり、該アルカリ可溶性樹脂が炭化水素環を有するものであることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記のカラーフィルタ用着色組成物の硬化物である着色層を有することを特徴とするカラーフィルタを提供するものである。
また、本発明は、上記のカラーフィルタを有するものであることを特徴とする表示装置を提供するものである。
前記した通り、ナトリウム(Na)やカリウム(K)といった極めてありふれた金属元素の混入を避けて、カラーフィルタに近接する液晶素子や半導体素子の汚染を防いだり、顔料被覆樹脂中の該金属の含有量を規定して高遮光率と低表面反射率を達成したり、カラーフィルタ中の該金属の含有量を規定して電圧保持率を上げて表示安定性や表示応答性を良好にする技術は知られている。
すなわち、ありふれた金属元素を削減して、その金属の混入に直接的に起因する特定の光学特性や電気特性を改良する技術は知られている。
しかしながら、特定金属元素(特に、第一特定金属元素)の含有量を規定して、色材液の段階で、その態様(高濃度化等)や物性(低粘度化、分散安定性等)を改良し、それを用いて最終的に優れたカラーフィルタを得る技術は知られていない。
すなわち、「カルシウム(Ca)、鉄(Fe)」(第一特定金属元素)の含有量を規定することによって、更には、「マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)」(第二特定金属元素)の含有量を規定することによって、高い色材濃度でも低粘度(適正粘度)で、分散安定性・溶解性に優れた色材液が得られ、その結果として、画像特性・現像特性に優れたカラーフィルタが得られることは知られていない。
近年、前記した諸問題解決のために、カラーフィルタの低膜厚化が要求され、一方で、画素の再現色についても一定の色度域における高演色が求められているが、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いると、カラーフィルタの低膜厚化が達成され、視差混色が少なく、高演色が達成され、パターニングにおける現像性等に優れたカラーフィルタ用着色組成物やカラーフィルタを提供することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の「カラーフィルタ用着色組成物」は、色材、溶剤、重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物であって、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該着色組成物全体に対して120質量ppm以下であることを特徴とする。
例えば、色材及び溶剤を含有し、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該カラーフィルタ用色材液全体に対して180質量ppm以下であるカラーフィルタ用色材液を使用することにより、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量がかかる範囲内であるカラーフィルタ用着色組成物を調製しやすい。
なお、本発明では、「カラーフィルタ用色材液」を、単に「色材液」と略記することがあり、「カラーフィルタ用着色組成物」を、単に「着色組成物」と略記することがある。
<色材>
本発明において、色材は、カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の無機顔料、有機顔料、染料等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。
<<無機顔料>>
本発明に用いられる無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
<<有機顔料>>
本発明に用いられる有機顔料としては、着色顔料(黒色等の無彩色の顔料も含む)であり、カラーフィルタ用の有機顔料として所望の発色が可能なものであれば特に限定はない。ここで、「カラーフィルタ用」とは、画素部用、ブラックマトリクス部用等、カラーフィルタの着色用の全てを含む。
また、本発明に用いられる有機顔料としては、染料に各種置換基を結合させたり、公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、溶剤に不溶化させたりすることにより分散可能となったレーキ顔料も挙げられる。
ここで、有機顔料には、白色、黒色、灰色等の無彩色の顔料も含まれ、具体的には、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
本発明における顔料分散液は、カラーフィルタ材料として用いられるので、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黒色顔料が主ではあるが、それらの透過・吸収波長の調整等のために、上記色調の顔料も用いられる。
上記中でも、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料等が、本発明の前記効果を発揮する点から好ましい。
以下に、有機顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下の「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントレッド177、209、224、254等が挙げられる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:6等が挙げられる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59等が挙げられる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、213等が挙げられる。
この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、213等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、185等が挙げられる。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71等が挙げられる。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。
この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントバイオレット23等が挙げられる。
本発明においては、上記顔料を1種類用いてもよく、2種以上用いてもよい。
また、本発明における色材液が、カラーフィルタのブラックマトリックス用の色材液である場合、色材として黒色顔料を用いることができる。
黒色顔料としては、カーボンブラックを挙げることができる。
また、黒色等の無彩色の有機顔料は、該無彩色の顔料単独でもよく、赤、緑、青等の着色顔料との混合によるものでもよい。
本発明における有機顔料として好ましいものとしては、化学構造や光の透過スペクトルの観点から見ると、ピグメントレッド177等のアントラキノン顔料;ピグメントレッド254等のジケトピロロピロール顔料;ピグメントイエロー150等のアゾメチン顔料等のアゾ顔料;ピグメントイエロー138等のキノフタロン顔料;ピグメントバイオレット23等のジオキサジン顔料;ピグメントブルー15:6等のフタロシアニン顔料;ピグメントイエロー180等のベンズイミダゾロン顔料;ピグメントイエロー213等のキノキサリン顔料;キナクリドン顔料;イソインドリン顔料;イソインドリノン顔料;インダンスレン顔料;ペリレン顔料;等が挙げられる。
特に本発明の効果を発揮する点から、上記有機顔料(色材)が、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アゾ顔料、キノフタロン顔料、ジオキサジン顔料及びフタロシアニン顔料からなる群から選ばれる1種以上の有機顔料であることが特に好ましい。
本発明においては、化学構造の骨格が同一、すなわち系が同一の有機顔料(色材)は、その系内で1種類を用いてもよく、2種以上用いてもよい。また、系を跨いで2種以上用いてもよい。また、混晶であってもよい。
上記した化学構造を有する有機顔料は、カラーフィルタ用の有機顔料(色材)として使用されることが多いため高濃度での色材分散液が要求されることが多く、特定金属元素による分散性や現像性への影響が大きく、更に、製造工程において特定金属元素の混入が発生しやすいため、本発明の前記効果を特に奏しやすい。
具体的には、例えば、ピグメントレッド254、ピグメントレッド177、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー185、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23、ピグメントグリーン58又はピグメントグリーン59が上記理由から特に好ましい。
また、本発明における有機顔料としては、公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、染料を不溶化させたレーキ顔料を使用することもできる。
レーキ顔料の原料となる染料としては、従来公知の染料の中から適宜選択することができる。このような染料としては、例えば、アゾ系染料、金属錯塩アゾ系染料、アントラキノン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、ナフトキノン系染料、キノンイミン系染料、メチン系染料、フタロシアニン系染料、ペリノン系染料、ジピロメテン系染料等を挙げることができる。
この中でも、レーキ顔料の原料となる染料としては、耐熱性が高い点からキサンテン系染料(キサンテン系酸性染料)が好ましい。上記キサンテン系酸性染料としては、中でも、下記一般式(II)で表される化合物、即ち、ローダミン系酸性染料を有することが好ましい。
Figure 2022176223000001

[一般式(II)中、R~RIVは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、RとRIII、RIIとRIVが結合して環構造を形成してもよい。Rは、酸性基、Xは、ハロゲン原子を表す。mは0~5の整数を表す。一般式(II)は酸性基を1個以上有するものであり、nは0以上の整数である。]
~RIVにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1~8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1~5の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられ、更に置換基としてハロゲン原子や、酸性基を有していてもよい。
~RIVにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基が挙げられ、中でも、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が好ましい。R~RIVにおけるヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい炭素数5~20のヘテロアリール基が挙げられ、ヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が好ましい。
アリール基又はヘテロアリール基が有してもよい置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子、酸性基、水酸基、アルコキシ基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基等が挙げられる。
なお、R~RIVは、同一であっても異なっていてもよい。
酸性基又はその塩の具体例としては、カルボキシ基(-COOH)、カルボキシラト基(-COO)、カルボン酸塩基(-COOM、ここでMは金属原子を表す。)、スルホナト基(-SO )、スルホ基(-SOH)、スルホン酸塩基(-SOM、ここでMは金属原子を表す。)等が挙げられ、中でも、スルホナト基(-SO )、スルホ基(-SOH)、又はスルホン酸塩基(-SOM)の少なくとも1種を有することが好ましい。なお金属原子Mとしては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。
一般式(II)で表される化合物としては、高輝度化の点から、中でも、アシッドレッド50、アシッドレッド52、アシッドレッド289、アシッドバイオレット9、アシッドバイオレット30、アシッドブルー19等が好ましい。
また、耐熱性の点からは、一般式(II)において、m=1、かつn=0であるベタイン構造を有する化合物が好ましい。
また、中でも、m=1、かつn=0であって、R及びRIIは各々独立にアルキル基又はアリール基であり、RIII及びRIVは各々独立にアリール基又はヘテロアリール基であることが、輝度及び耐光性に優れた着色層を形成可能になる点から好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2010-211198号公報を参考に得ることができる。
上記キサンテン系酸性染料の金属レーキ色材は、レーキ化剤として、金属原子を含むものが用いられる。金属原子を含むレーキ化剤を用いることにより、色材の耐熱性が高くなる。このようなレーキ化剤としては、2価以上の金属カチオンとなる金属原子を含むレーキ化剤が好ましい。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して、レーキ顔料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該レーキ顔料(染料)が分散可能であると判定することができる。
<<酸性色素誘導体>>
本発明における有機顔料は、酸性色素誘導体を含有するものであることが、本発明の前記効果を奏しやすいために好ましい。酸性色素誘導体を用いると、特に、微分散化が可能であり、カラーフィルタ用に使用したときに、分散安定性が高い、コントラストが高い、光の透過率が高い、高輝度となる、色材分散液が得られる等のために好ましい。
また、酸性色素誘導体を用いると、本発明における特定金属元素の低減の効果がより発揮され、上記効果を相乗的に奏することができる。
ここで「酸性色素誘導体」とは、その化学構造中に酸性基を有する色素誘導体を言い、特に好ましくは、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アゾ顔料、キノフタロン顔料、ジオキサジン顔料及びフタロシアニン顔料からなる群から選ばれる1種以上の顔料骨格を有し、酸性基を有する色素誘導体である。
酸性色素誘導体の中でも、キノフタロン顔料の顔料骨格を有し、酸性基を有する色素誘導体であるキノフタロン色素誘導体が、分散性を向上させる点でより好ましい。
酸性色素誘導体の酸性基としては、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシ基、及び、該官能基の金属塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
顔料1分子に対しての酸性基の平均導入量は、特に限定はないが、0.5~5個が好ましく、0.6~4個がより好ましく、0.7~3.5個が特に好ましい。
酸性基の導入により、微分散化が可能となり、カラーフィルタ用に使用したときに、分散安定性が高い、コントラストが高い、光の透過率が高い、高輝度である、等の長所を有する色材分散液が得られるために好ましく、また、前記特定金属元素を低減することによって、相乗効果を奏し、前記効果を更に得ることができる。
本発明における有機顔料は、顔料と酸性色素誘導体とを含有することが好ましい。酸性色素誘導体は、顔料と相互作用し、顔料粒子を作製する際に、顔料表面に吸着したり、又は、取り込まれたりしている。
また、顔料の表面に吸着することにより、顔料の表面を酸性にし、有機顔料そのものよりも、顔料分散剤との親和性を高め、また、顔料分散剤との仲介役を果たす。
また、塩基性分散剤と相互作用する酸性色素誘導体が顔料表面に吸着することにより、塩基性分散剤を効率的に顔料表面に位置させることができる。これにより、微分散化や分散安定化が可能になり、カラーフィルタ用に使用したときに優れる。
本発明における有機顔料全体における、酸性色素誘導体の含有量は、特に限定されないが、顔料100質量部に対して、0.5~30質量部であることが好ましく、1~15質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることが特に好ましい。
上記下限値以上とすることで、安定分散や微分散を可能にし、前記した特定金属元素の低減との相乗効果を奏し、上記上限値以下とすることで酸性色素誘導体の過剰による色度の変化を抑制することができる。
本発明においては、有機顔料として、上記酸性色素誘導体を1種類でも2種以上用いてもよく、また、1種類の顔料に対しても、上記酸性色素誘導体を1種類でも2種以上用いてもよい。
上記酸性色素誘導体は、顔料粒子の分散体中に、どの段階で添加されてもよいが、酸性色素誘導体を、顔料表面に吸着させたり、取り込ませたりすることを考慮すると、顔料を製造する工程の中で顔料に添加することもでき、例えば、顔料を合成する工程中、ニーダー等により顔料をソルベントソルトミリングする工程中、該工程後の処理の工程中、アトライター等により顔料を乾式粉砕する工程中、分散している工程中、分散後の処理の工程中等に添加することができる。
再沈法において良溶媒又は貧溶媒に添加しておくこともでき、顔料粒子の析出後、又は、その後に濃縮若しくは再分散をするときに添加しておくこともできる。
本発明によれば、更に、分散剤が後述する(塩型)塩基性ブロック型分散剤又は(塩型)塩基性グラフト型分散剤であることにより、その塩形成部位が、顔料、及び、特に顔料表面に吸着された酸性色素誘導体に対する吸着性が強く、一方で、溶剤に対して親和性を有する高分子分散剤の主鎖及び側鎖により、カラーフィルタ用顔料分散液の分散性が向上して、有機顔料濃度を上げられ、低粘度化が達成でき、顔料分散液の経時変化を抑制でき、その結果、カラーフィルタ用着色組成物の評価において現像性が向上する。
<<染料>>
本発明においては、染料も、色材として使用することができる。染料の具体例としては、前記の「レーキ顔料の原料となる染料」と同様のものを使用することができる。
目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して、染料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料は分散可能であり、色材分散液とすることができる。
10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して、10mgを超えて溶解する染料は、溶剤に溶解させて色材溶液とし、カラーフィルタ用着色組成物として用いることができる。
<<色材の粒径>>
色材の粒径は、特に限定はないが、30nm~500nmが好ましく、40nm~300nmがより好ましく、50nm~200nmが特に好ましい。
粒径が小さ過ぎると、分散性や再溶解性が低下し、また、微紛による汚染等により作業性が低下する場合がある。
一方、粒径が大き過ぎると、分散性、分散安定性、耐光性等が悪くなり、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)等の特定金属元素の含有量削減の効果が現れにくくなり、前記した本発明の効果が奏されず、特に、良好なコントラストを得ることができない場合がある。
ここで「再溶解性」とは、一度乾燥したカラーフィルタ用着色組成物の固形分が再度溶剤に溶解する性質をいう。例えば、ダイコーターによる塗布を行う際にダイリップ先端にカラーフィルタ用着色組成物が付着すると、乾燥速度が速い場合に、乾燥によって固化物が発生するが、塗布が再開された際に固化物がカラーフィルタ用着色組成物に溶解しやすくないと、ダイリップ上の固化物が一部剥離し、カラーフィルタの着色層に付着しやすく、異物欠陥の原因となる。
<分散剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、必要に応じて分散剤を含有することができる。
本発明における分散剤としては、公知の分散剤の中から適宜選択して用いることができ、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤;高分子分散剤;低分子分散剤等を使用できる。中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子分散剤(高分子の界面活性剤も含む)が好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤を挙げることができる。
具体的には、「(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル」の(共)重合体類;「(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体」の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩若しくは(部分)アルキルアミン塩類;「1級、2級若しくは3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル」の(共)重合体、当該(共)重合体のアミノ基の(部分)塩、当該(共)重合体のアミノ基の(部分)酸変性物;「水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステル」の(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシ基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類;等を挙げることができる。
<<高分子分散剤と低分子分散剤>>
本発明における「分散剤」は特に限定はなく、色材の分散に公知の高分子分散剤や低分子分散剤が使用できる。
高分子分散剤としては、例えば、ランダム(共)重合体よりなるランダム型分散剤;ブロック共重合体よりなるブロック型分散剤;主鎖に対してところどころに側鎖としてペンダントに(枝のように)繰り返し単位を結合させたグラフト(共)重合体等よりなるグラフト型分散剤;等が挙げられる。
また、(共)重合体の構成単位の少なくとも一部が塩構造になった塩型分散剤も好ましいものとして挙げられる。かかる塩型は、上記ランダム型分散剤、ブロック型分散剤及びグラフト型分散剤の全てに当てはまり、それらは好適に使用される。
高分子分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体;ポリ(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシ基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類、側鎖にポリエステル基を有する(メタ)アクリレートの共重合体等を挙げることができる。
中でも、ポリ(メタ)アクリル酸塩、マレイン酸ナトリウム-オレフィン共重合体、末端カルボキシ基含有ポリエステル(例えば、特公昭54-34009号公報等);テトラキス(2-ヒドロキシアルキル)エチレンジアミンを出発物質とする酸性基及び/又は塩基性基を有するポリエステル(特開平2-245231号公報等);マクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有するオリゴマー)、水酸基を有するモノマー、カルボキシ基含有モノマーが共重合してなる共重合体(特開平8-259876号公報等);マクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有するオリゴマー)、窒素原子を有するモノマーが共重合してなる共重合体(特開平10-339949号公報等)等が好ましい。
低分子分散剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基等を有するアニオン性化合物;脂肪族アミンの塩、4級アンモニウム塩等を有するカチオン性化合物;水酸基、オキシエチレン鎖等を有する非イオン性化合物;高分子化合物;等が挙げられる。
具体的には、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカノールアミン誘導体(米国特許第3536510号)等が挙げられる。
分散剤の中でも高分子分散剤が好ましく、高分子分散剤の中でも、塩基性ブロック型分散剤及び/又は塩基性グラフト型分散剤であることが、色材吸着部位と溶剤親和部位が機能分離されており、後記する「カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計含有量」、また「カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計含有量に加えて、更にマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計含有量」を一定値以下にすることによる、分散安定性、着色画像性、現像性等の前記本発明の効果との相乗効果がある点、前記した酸性色素誘導体と併用したときの相乗効果がある点等から好ましい。
ここで、「分散剤が、塩基性ブロック型分散剤及び/又は塩基性グラフト型分散剤であること」とは、分散剤が、塩基性ブロック型分散剤であること、塩基性グラフト型分散剤であること、塩基性ブロック型分散剤と塩基性グラフト型分散剤とを併用していること、塩基性ブロック型分散剤であり同時に塩基性グラフト型分散剤でもある分散剤であること、の何れをも意味している。また、塩基性ブロック型分散剤でも塩基性グラフト型分散剤でもない分散剤の併用は排除していない。
<<塩基性ブロック型分散剤>>
「塩基性ブロック型分散剤」とは、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アミド基;それらの塩;トリアルキルアンモニウム基;等の塩基性基を有するモノマー(以下、「aモノマー」と略記する)と、該モノマーとは異なる他のモノマー(以下、「bモノマー」と略記する)とのブロック共重合体よりなる分散剤を言い、2元共重合体でもよく、3元以上の共重合体でもよい。なお、「aモノマー」には、上記「アルキル」を、「アリール」、「アラルキル」、「アルケニル」等と言い換えたものも含まれる。
上記aモノマーとしては、4級アンモニウム塩基、及び/又は、窒素に結合した水素が置換基で置換されていてもよい2級又は3級アミノ基又はそれらの塩を含有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、特に好ましくは、3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基である。
上記aモノマーとしては、下記一般式(1)で表される構成単位を与えるもの、又は、下記一般式(1)で表される構成単位の塩型(後述する)がより好ましい。すなわち、本発明においては、上記分散剤が下記一般式(1)で表される構成単位を含む塩基性ブロック共重合体又はその塩型である前記のカラーフィルタ用色材液が好ましい。
Figure 2022176223000002
[一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Aは2価の連結基、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRが互いに結合して環構造を形成してもよい。]
塩を構成しているものとしては、具体的には、例えば、塩基性ブロック共重合体を形成するユニットである等の3級アミノ基を、スルホン酸化合物、リン酸化合物等の酸によって塩形成したものが挙げられる。
また、塩基性ブロック共重合体を形成するユニットであるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基に、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アラルキル等により4級アンモニウム塩としたものが挙げられる。
上記aモノマーが上記一般式(1)で表される繰り返し単位を与えるものである場合、適宜他の重合可能なモノマーと共重合した後に、アミノ基と反応する化合物、例えば、スルホン酸化合物、リン酸化合物、カルボン酸化合物等の酸化合物;ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル等のハロゲン化合物;等と反応させて、一部又は全部を4級アンモニウム塩としてもよい。
上記スルホン酸化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。すなわち、前記塩形成したものとしては、上記ブロック共重合体が、上記一般式(1)で表される構成単位の少なくとも一部の窒素がカチオンとなり、下記一般式(2)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物がアニオンとなり、それらが塩を形成してなる塩型ブロック共重合体である前記のカラーフィルタ用色材液が好ましい。
Figure 2022176223000003
[一般式(2)において、Rは、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよいビニル基、フェニル基若しくはベンジル基又は-O-Rを表し、Rは、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよいビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は炭素数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。]
上記「ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル等のハロゲン化合物」としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。すなわち、前記塩形成したものとしては、上記ブロック共重合体が、上記一般式(1)で表される構成単位の少なくとも一部の窒素がカチオンとなり、下記一般式(3)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物がアニオンとなり、それらが塩を形成してなる塩型ブロック共重合体である前記のカラーフィルタ用色材液が好ましい。
Figure 2022176223000004
[一般式(3)において、R、Rb’及びRb”は、それぞれ独立に、水素原子;酸性基若しくはそのエステル基;置換基を有してもよい炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよいビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は-O-Rを表し、Rは、置換基を有してもよい、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は炭素数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表し、Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
一般式(3)中のXが、カウンターアニオン(X)となり塩を形成する。
上記リン酸化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。すなわち、前記塩形成したものとしては、上記ブロック共重合体が、上記一般式(1)で表される構成単位の少なくとも一部の窒素がカチオンとなり、下記一般式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物がアニオンとなり、それらが塩を形成してなる塩型ブロック共重合体である前記のカラーフィルタ用色材液が好ましい。
Figure 2022176223000005
[一般式(4)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は-O-Rを表し、Rは、炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は炭素数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。ただし、R及びRの少なくとも1つは炭素原子を含む。]
上記aモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸のジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジアリールアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジアラルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジアルケニルアミノアルキルエステル、それらの塩等が挙げられる。「それらの塩」を形成する際に用いられる化合物としては、上記一般式(2)~(4)で表される化合物が挙げられる。
より具体的には、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有化合物;これら3級アミノ基含有化合物の塩;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド類;(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム基含有化合物の塩;等が挙げられる。
特に好ましくは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのスルホン酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのフェニルホスホン酸塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
前記aモノマーが(共)重合した塩基性ブロック共重合体又はその塩型の分散剤は、カラーフィルタ用に使用したときに、微分散化や分散安定化が可能になり、色材濃度を上げても良好な分散安定性を保持できる。すなわち、色材分散液や着色組成物の高濃度化、それを用いて得られるカラーフィルタの、高演色化、薄膜化、高コントラスト化、良現像性、良再溶解性等が可能になり、特定金属元素の含有量を限定したこととの相乗効果で、前記した本発明の効果が発揮されやすい。
色材が前記aモノマー(好ましくは一般式(1)で表される構成単位)に含まれる窒素部位にしっかり吸着して色材分散性に優れたものになると共に、該窒素部位にしっかり吸着して分散剤に取り囲まれた色材が現像時に分散剤に吸着したまま流されやすくなり、基材上に色材が取り残されることがなく、残渣の発生が抑制されやすくなる。
また、同様に、窒素部位にしっかり吸着して分散剤に取り囲まれた色材が、再溶解性の溶剤に分散剤に吸着したまま流されやすくなる。
前記bモノマーとしては、例えば、芳香族基含有モノマーとして、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアクリレート類;スチレン等のスチレン類;フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;等が挙げられる。
更には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;等が挙げられる。
前記bモノマーとしては、カルボキシ基含有モノマーも好ましい。該カルボキシ基含有モノマーとは、共重合可能な不飽和二重結合とカルボキシ基を含有するモノマーを言う。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸ダイマー等が挙げられる。
また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体と、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等のような環状無水物との付加反応物;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等も挙げられる。
また、該カルボキシ基の前駆体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物を用いたカルボキシ基含有モノマーも挙げられる。
中でも、共重合性、コスト、溶解性等の点から、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
上記bモノマーの選択の包括的な理由としては、特にカラーフィルタ用に使用したときに、溶剤に対して親和性を有し、微分散化や分散安定化が可能になることが挙げられる。
aモノマー若しくはその塩を含有する重合ブロックを「A」、bモノマーを含有する重合ブロックを「B」とすると、本発明における塩基性ブロック型分散剤は、A-Bブロック共重合体、A-B-Aブロック共重合体、B-A-Bブロック共重合体、A-B-A-Bブロック共重合体、それ以上のブロック共重合体の何れでもよいが、好ましくは、A-Bブロック共重合体である。
aモノマー若しくはその塩を含むブロック共重合体は、aモノマー若しくはその塩を含むブロック部分が色材に吸着し、aモノマー若しくはその塩を含まないブロック部分が、溶剤に対して親和性を有するため、色材の分散性を向上させることができる。
本発明における塩基性ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定はないが、500~100000の範囲内であることが好ましく、1000~30000の範囲内であることがより好ましく、3000~20000の範囲内であることが特に好ましく、4000~15000の範囲内であることが最も好ましい。
上記範囲内であることにより、「色材を均一に分散させる濡れ性」と分散安定性とを両立させることが可能となる。また、本願の色材分散剤を着色組成物の成分として用いる場合には、上限が上記値以下であると、分散液の粘度が高くなり過ぎず、現像性、解像性が低下せず、一方、下限が上記値以上であると十分な分散性が得られる。
ここで、重量平均分子量は(Mw)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。
塩基性ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)等の測定は、東ソー(株)製のHLC-8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/Lの臭化リチウムを添加したN-メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS-2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
また、アミン価は、特に限定はないが、好ましくは15~200mgKOH/g、より好ましくは30~150mgKOH/g、特に好ましくは40~130mgKOH/gである。
アミン価が小さ過ぎると十分な分散安定性が得られず、大き過ぎると溶剤への溶解性が低下する。
上記アミン価はJIS-K7237により求めることができる。
また、酸価は、0~50mgKOH/gが好ましく、1~30mgKOH/gがより好ましく、2~18mgKOH/gが特に好ましい。この範囲であると現像性が優れる。また、酸価が上記上限以下であると、「レジストパターン剥がれ」が起きにくい。
分子量、アミン価又は酸価が、上記範囲であると、分散されやすく、色材濃度を上げても良好な分散安定性を保持でき、現像性が良好で、特定金属元素の含有量を限定したこととの相乗効果で前記した本発明の効果が発揮されやすい。
その結果、該色材分散液を用いて得られたカラーディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
<<塩基性グラフト型分散剤>>
「塩基性グラフト型分散剤」とは、主鎖に対して側鎖として繰り返し単位が結合した(共)重合体よりなる塩基性の分散剤をいう。
具体的には、先に側鎖を合成しておき、それを(共)重合したもの、すなわち、片末端に重合不飽和基を有するマクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有し繰り返し単位を有するオリゴマー)等を重合成分とする(共)重合体よりなる分散剤が挙げられる。
また、先に主鎖を合成しておいてから、その主鎖に対して、ところどころに側鎖としてペンダントに(枝のように)繰り返し単位を結合させた(共)重合体よりなる分散剤が挙げられる。
「塩基性グラフト型分散剤」の塩基性は、どのように付与されていてもよいが、塩基性を有する窒素原子含有モノマーを共重合させることにより塩基性が付与されているものが好ましい。
共重合させる塩基性のモノマーとしては特に限定はないが、具体的には、例えば、前記「塩基性ブロック型分散剤」の項で記載した前記「aモノマー」が挙げられる。
前記「片末端に重合性基不飽和基を有するマクロモノマー」としては特に限定はなく公知のものが使用可能である。
かかるマクロモノマーにおける繰り返し単位を構成する重合成分としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;等が挙げられる。本発明におけるマクロモノマーとしては、上記重合成分が重合した単位を有するものであることが好ましい。
「塩基性グラフト型分散剤」において、上記「片末端に重合性基不飽和基を有するマクロモノマー」と「共重合させる塩基性のモノマー」以外に、他の重合性モノマーが共重合されていてもよい。
かかる「他の重合性モノマー」としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、前記「塩基性ブロック型分散剤」の項で記載した前記「bモノマー」等が挙げられる。
マクロモノマーの導入率は、特に限定はないが、主鎖の繰り返し単位100個中に、平均で0.1個~20個の割合で導入されることが好ましく、0.3個~10個の割合で導入されることが特に好ましい。
本発明における塩基性グラフト型分散剤の分子量は、特に限定はないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、通常1000~100000、好ましくは2000~40000、より好ましくは3000~30000、特に好ましくは4000~25000、更に好ましくは5000~20000である。
上記範囲であると、分散されやすく、「色材分散液を調製する際の最終分散工程」で微分散化が可能となったり、分散時間の短縮が可能となったりする。その結果、該色材分散液を用いて得られたカラーディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
<<市販品>>
本発明において、分散剤として用いられる市販品としては、限定はされないが、具体的には、例えば、EFKA-4046、EFKA-4047、EFKAポリマー10、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー4300、EFKAポリマー4310、EFKAポリマー4320、EFKAポリマー4330(以上、BASFジャパン(株)製)、Disperbyk111、Disperbyk161、Disperbyk165、Disperbyk167、Disperbyk182、Disperbyk2000、Disperbyk2001、BYK-LPN6919、BYK-LPN21116(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、SOLSPERSE24000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000(以上、ルーブリゾール社製)、アジスパー(登録商標)PB821、PB822(味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。
<溶剤>
本発明における色材液の溶剤としては特に限定はなく、公知のものが用いられる。
具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のアルキレングリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジアルキレングリコールエーテル類;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル等のトリアルキレングリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のトリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ酢酸ブチル、3-メチル-3-メトキシ酢酸ブチル(3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート)、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシプロパン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル類;等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、特に、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシ酢酸ブチル、3-メチル-3-メトキシ酢酸ブチル(3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2-ヒドロキシプロパン酸メチルが好ましい。
また、現像性や再溶解性等の観点から、2種類以上の溶剤を含有する混合溶剤を使用するのも好ましい。
混合溶剤を使用する場合、第1溶剤としては、安全性の高い;適度な揮発性を持つ;適度な溶解性を持つために分散性が良好である;等の理由から、グリコールエーテルアセテート系溶剤(前記した、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等)を使用するのが好ましい。また、その中でも、沸点(大気圧における沸点をいう。以下同じ。)が150℃未満であるエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が特に好ましい。
第2溶剤(第1溶剤以外の溶剤)としては、アルコール性水酸基を持つ溶剤(以下、「アルコール系溶剤」という場合がある。)や、沸点150℃以上の溶剤が好ましい。
第2溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
第2溶剤としてアルコール系溶剤を使用すると、分散性が良好になり再溶解性が良好になる。また、極性が高く染料の溶解に優れている。
アルコール系溶剤の例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(沸点174℃)、ジアセトンアルコール(沸点166℃)、乳酸エチル(沸点151℃)等が挙げられる。
混合溶剤を使用する場合に、アルコール系溶剤の含有量は、全溶剤中10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。
上記範囲内であると、分散剤の溶解性が良好になり、また、分散剤の第1溶剤への溶解を阻害しなくなるため、分散安定性が良好になる。
第1溶剤が沸点150℃未満の溶剤である場合、第2溶剤として沸点150℃以上の溶剤を使用すると、乾燥ムラが発生しにくくなり、また、再溶解性が良好になる。
沸点150℃以上の溶剤の例としては、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点179℃)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート(沸点188℃)、3-エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、3-メトキシブチルアセテート(3-メトキシ酢酸ブチル)(沸点172℃)等が挙げられる。
混合溶剤を使用する場合、沸点150℃以上の溶剤の含有量は、全溶剤中30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。また、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。
上記範囲内であると、乾燥ムラが発生しにくく、また、乾燥時間が長くなり過ぎず生産性が良好となる。
また、第2溶剤として、アルコール系溶剤と沸点150℃以上の溶剤を併用することにより、再溶解性が極めて良好となり、乾燥ムラも発生しにくくなる。
この場合、アルコール系溶剤に対する沸点150℃以上の溶剤の含有比率(質量基準)は、0.1以上25以下が好ましく、0.3以上20以下がより好ましく、0.5以上10以下が特に好ましい。
上記「沸点150℃以上の溶剤」の沸点は、乾燥時間が長くなり過ぎない等の点から、240℃以下であることが好ましく、200℃以下であることが特に好ましい。
<その他の成分>
色材液は、本発明の効果を損なわない範囲で、後述するアルカリ可溶性樹脂等、その他の成分を含有していてもよい。
<含有割合>
本発明におけるカラーフィルタ用色材液において、色材、分散剤及び溶剤の含有比率は特に限定はないが以下が好ましい。
色材100質量部に対して、分散剤が、5~200質量部が好ましく、10~150質量部がより好ましく、15~100質量部が特に好ましく、20~60質量部が最も好ましい。
また、色材液100質量部に対して、色材が、3~40質量部が好ましく、5~35質量部がより好ましく、7~30質量部が特に好ましい。
上記した「色材と分散剤の含有比率」であると、色材が分散されやすく、優れた分散安定性が得られ、高い色材濃度の色材分散液が得られ、分散時間の短縮が可能となる。
その結果、該色材分散液を用いて得られたカラーフィルタは、前記効果を発揮し、高演色、高コントラスト、薄膜化が可能、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
また、上記した「色材と溶剤の含有比率」であると、分散性、分散安定性、溶解性等に優れ、好適な粘度に調整され、本発明における色材液に、少なくとも重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂(及び好ましくは重合性多官能化合物)を含有させて着色組成物を得る際等に、それらの含有比率を最適値に調整しやすいために好ましい。
<分散方法>
上記した色材を、分散剤存在の下、溶剤に分散して含有させる。湿式分散して含有させると本願発明の効果が特に発揮される。
本発明においては、分散時間は特に限定されないが、色材の分散粒径が好適となるように、0.01~50時間が好ましく、0.02~30時間がより好ましく、0.05~10時間が特に好ましい。
<色材液中の特定金属元素の含有量>
本発明におけるカラーフィルタ用色材液は、該色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該色材液全体に対して180質量ppm以下であることを特徴とする。
カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量は、コスト等を考慮しなければ、少なければ少ないほど好ましいが、具体的には、該色材液全体に対して、好ましくは140質量ppm以下、より好ましくは70質量ppm以下、特に好ましくは30質量ppm以下、更に好ましくは15質量ppm以下、最も好ましくは5質量ppm以下である。
「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が、上記上限以下であると、色材液に含有される色材濃度を上げても良好に分散でき、経時でも分散安定性が良好に保持され、しかも高色材濃度であるにもかかわらず経時劣化しにくいカラーフィルタ用色材液が得られる。
また、「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が、上記上限以下の色材液を用いてカラーフィルタ用着色組成物を製造すると、該着色組成物中の色材濃度を上げることができ、その結果、低膜厚であっても高い色濃度を実現するカラーフィルタを得ることができる。
かかる色材液を用いると、カラーフィルタの低膜厚化が達成され、視差混色が少なく、高演色が達成され、パターニングにおける現像性に優れた着色組成物やカラーフィルタを得ることができる。
上記金属量が限定された色材液を用いて得られる本発明の着色組成物では、色材濃度を上げられ、良好な分散性能・分散安定性能・溶解性が得られると共に、カラーフィルタ製造時の良好な現像性が達成される。つまり、例えばアルカリ性の現像液に、未露光部が、該色材と共に着色組成物中の組成物が溶解しやすくなる。
「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」の下限は、特に限定はないが、1質量ppm以上が好ましく、3質量ppm以上が特に好ましい。上記下限以上であると、分散性・溶解性の向上と現像性の向上については十分なので、金属元素の過剰な除去に要するコストがかからない。
本発明におけるカラーフィルタ用色材液は、更に、該色材液に含まれるマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量が、該色材液全体に対して200質量ppm以下であることが好ましい。
色材液に含まれるマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量は、該色材液全体に対して、より好ましくは140質量ppm以下、特に好ましくは60質量ppm以下、更に好ましくは20質量ppm以下である。
また、色材液に含まれるマグネシウム(Mg)とクロム(Cr)の合計質量が、200質量ppm以下であることが好ましく、140質量ppm以下であることがより好ましく、60質量ppm以下であることが特に好ましく、20質量ppm以下であることが更に好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が前記上限以下であり、かつ、「色材液に含まれるマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量」が、上記上限以下であると、色材液に含有される色材濃度を上げても更に良好に分散でき、経時でも更に分散安定性が良好に保持され、しかも高色材濃度であるにもかかわらず更に経時劣化しにくいカラーフィルタ用色材液が得られる。
「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が前記上限以下であり、かつ、カルシウム(Ca)が、該色材液全体に対して、160質量ppm以下が好ましく、100質量ppm以下がより好ましく、60質量ppm以下が特に好ましく、30質量ppm以下が更に好ましい。
また、「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が前記上限以下であり、かつ、鉄(Fe)が、該色材液全体に対して、30質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下が特に好ましく、5質量ppm以下が更に好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が前記上限以下であり、かつ、「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量」が、該色材液全体に対して、290質量ppm以下が好ましく、260質量ppm以下がより好ましく、190質量ppm以下が特に好ましく、100質量ppm以下が更に好ましく、50質量ppm以下が最も好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
更に、「色材液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)とクロム(Cr)の合計質量」が、該色材液全体に対して、290質量ppm以下が好ましく、260質量ppm以下がより好ましく、190質量ppm以下が特に好ましく、100質量ppm以下が更に好ましく、50質量ppm以下が最も好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
<作用原理>
分散安定性の向上等、本発明の前記効果を発揮する作用原理は、発明の範囲を限定するものではないが、以下のように考えられる。
すなわち、色材近傍に、カルシウム(Ca)や鉄(Fe)、又は、前記特定金属元素が多く存在する場合、分散剤の色材への吸着が阻害されると推定される。また、分散性向上に寄与する塩型の分散剤や酸性色素誘導体が、前記特定金属元素と塩形成することで、該分散剤や酸性色素誘導体が分散性の向上に寄与できなくなると推定される。
また、上記分散性の低下に与える影響は、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)等の1価の陽イオンより、特定金属元素の陽イオンのような2価以上の陽イオンの方が大きい可能性も考えられる。金属陽イオンの価数の大きい方が凝集性に与える影響が高いので、「何れも2価以上の価数をとる金属元素であるCaとFeの合計質量の上限、更には、同様に何れも2価以上の価数をとる金属元素であるMgとAlとCrの合計質量の上限」が抑えられた結果、「分散安定性」が向上したとも考えられる。
また、3価の陽イオンを与える金属元素であるFeの含有量を抑えたことが、更に好ましくは、Feの含有量を抑えた上に、同じく3価の陽イオンを与える金属元素であるAlやCrの含有量をも抑えたことが、分散安定性の向上に大きく影響したとも考えられる。
よって、前記特定金属元素の含有量が本発明で規定したように少ない場合には、上記の障害が起こりにくく、そのため分散性及び後述する現像性が向上したと推定される。
<色材液中の特定金属元素の含有量の低減方法>
本発明における色材液は、少なくとも、色材及び溶剤を含有するが、上記特定金属元素は、色材液の原料となる色材、溶剤等から持ち込まれる。また、撹拌、混合、分散等に使用される装置からも混入され得る。従って、上記原料及び装置から前記金属の混入を防ぐことが好ましい。
特に、色材から持ち込まれる前記特定金属元素の量が多いことから、色材から該特定金属元素を除去することがより好ましい。
更には、配合する色材から、また酸性色素誘導体を用いる場合はそれも含めて、それら着色剤から前記特定金属元素の量を低減しておくことが特に好ましい。
色材中の前記特定金属元素の除去方法は、特に限定はなく、色材の製造工程において除去してもよいし、製造された色材から特定の除去方法で前記特定金属元素を除去してもよい。
色材の中でも染料の製造工程、製造された色材から前記特定金属元素を除去する方法は、再結晶法、透析法、塩析法、イオン交換樹脂法、カラムクロマイトグラフィー、及びペーパークロマトグラフィー等が挙げられる。コストの面から再結晶法が好ましい。
また、製造された色材の中でも顔料から前記特定金属元素を除去する方法は、アルコール、水等の液体による洗浄が好ましいが、コストの面で水による洗浄方法(以下、単に「水洗」と略記する場合がある)が特に好ましいものとして挙げられる。
また、上記「水洗」等の「液体による洗浄」以外にも、色材製造工程における製造用装置の部材に、鉄、ステンレス等の鉄を含有する金属;クロムめっきされた部材;等の金属製のものを使用しないことが好ましい。
「製造用装置の部材」としては、ボールミルにおけるボール、ビーズミルにおけるビーズ等のメディア;色材製造容器、分散容器、表面処理容器、乾燥容器、濾過容器等の内壁;粉砕機の部材;撹拌装置の部材;等が挙げられる。
除去方法は、特に好ましくは水洗である。該水洗は、色材を水に懸濁状態にして回分法で懸洗してもよいし、流水を用いて連続法で処理してもよい。
本発明における色材液に用いられる色材に含有される特定金属元素の量は、以下を調整したり最適化したりして達成できる。
すなわち、色材に含有される特定金属元素の量の減少手段としては、使用する水洗水中に含まれる特定金属元素の含有量を減少させておく(十分該金属量を減らした脱塩水を使用する)、該水洗を、流水を用いた連続法で行う、水洗が回分法の場合は水洗回数を多くする、連続法でも回分法でも色材の量に対する水洗水の量を増やす、水洗水の温度を高くする、水洗水のpHを調整する、水洗時の撹拌器具を最適化する、水洗時間を長くする、等が挙げられる。
中でも、水洗の回数を増やした回分法、流水を用いた連続法、又は、水洗水の温度を上げる方法が特に好ましい。
水洗水の温度は、20℃~80℃の範囲が、所定の金属が効率的に除去できる点からより好ましく、30℃~70℃の範囲が特に好ましく、40℃~60℃の範囲が更に好ましい。
中でも、流水を用いた連続法等が好適で、その場合、流水の使用量は、色材1質量部に対して、流水30質量部~40000質量部が好ましく、40質量部~20000質量部がより好ましく、50質量部~10000質量部が特に好ましく、60質量部~5000質量部が更に好ましい。
水洗に用いられる脱イオン水は、原水を強酸性若しくは弱酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性若しくは弱塩基性陰イオン交換樹脂、イオン交換膜、キレート樹脂、活性炭、抗菌性活性炭等の処理剤から選ばれる少なくとも1種、好ましくは上記の処理剤を2種以上組み合わせて処理したり、(減圧)蒸留したりして得られるものであることが好ましい。
水洗は、特に限定されるわけではないが、公知の方法で製造された前記の色材を、前記の脱イオン水中に懸濁し、真空式濾過機、ベルトプレス、遠心分離機、ヌッチェ漏斗等を用いて、脱イオン水を連続的に供給して連続的に洗浄する連続法や、フィルタープレス、ホモジナイザー(高圧若しくは低圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等)、サンドミル、ボールミル、ロールミル、マグネチックスターラー等の撹拌機で、色材を分散させながら洗浄する回分法が好ましい。
中でも、使用材質や使用メディアから、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)等の金属の混入を低減するために、高圧若しくは低圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等のホモジナイザーがより好ましく、超音波ホモジナイザーが、上記特定金属元素の混入量低減、コスト低減の面等から特に好ましい。
また、上記撹拌機を用い色材を分散させながら洗浄する際に、水を連続的に供給し、流水を用いて連続法で処理することも好ましい。すなわち、上記撹拌機と連続法を組み合わせて使用することも、特定金属元素の低減のために好ましい。
上記の洗浄工程中で、上記脱イオン水中に、色材中の金属塩、遊離金属、その他無機塩等の不純物を抽出させる。洗浄後、その懸濁液を濾過して脱イオン水中に抽出させられた不純物を濾液として除去する。
次いで、上記で得られた色材のウェットケーキを再度脱イオン水中に懸濁し、必要に応じて、上記と同様の工程にて洗浄処理を数回行い、その都度、不純物を濾液として除去し、最終的に得られた色材のウェットケーキを乾燥して、色材液に配合用の色材を得ることが好ましい。洗浄効果とコストのバランスから、上記「数回」は、2回~50回が好ましく、3回~40回がより好ましく、4回~30回が特に好ましく、5回~20回が更に好ましい。色材1質量部に対して用いられるトータルの脱イオン水の(特に)好ましい質量は、前記した「流水を用いた連続法」の場合と同様である。
すなわち、水洗の好ましい態様は、色材を「高圧若しくは低圧ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、ロールミル、マグネチックスターラー等」の撹拌機を用い、該色材を水に分散させながら回分法又は連続法で洗浄し、濾過後、新たな水の中に懸濁して水洗し、回分法の場合は上記工程を複数回繰り返し、濾過して乾燥する、ことである。
また、前記洗浄工程の最終の濾液の電気伝導度は、20μS/cm以下(特に好ましくは、0.05μS/cm~5μS/cm)であることが好ましい。上記の電気伝導度が、上記範囲を超えるような水洗方法であると、色材の水洗不足が起こり、前記した特定金属元素の量が本発明の範囲に減少した色材液ができない場合がある。
すなわち、色材の水洗に使用された脱イオン水の電気伝導度に匹敵するレベルまで洗浄処理を繰り返して行い、色材中の不純物を皆無に近づけることにより、該色材を使用して得られる色材液は、前記した本発明の効果を発揮する。
また、本発明における色材液の調製に使用される色材に関する前記洗浄工程の最終は、濾液のICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によっても確認できる。濾液のICP測定は、実施例中の測定例<色材液中の金属の定量>に記載の方法において、測定例中の「色材液」を「濾液」に代えて同様に行う。
前記洗浄工程の最終の濾液中の含有量は、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の何れもが検出限界以下であることが好ましく、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)及びクロム(Cr)の何れもが検出限界以下であることがより好ましく、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の何れもが検出限界以下であることが特に好ましい。
ここで、本発明の測定方法(ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析)における検出限界は0.01ppm未満である。
上記の濾液中の不純物である各金属原子の「ICP測定による含有量」や「濾液の電気伝導度」が上記の上限値を超える場合は、色材液中の前記所定の金属の含有量が前記した本発明の範囲に入らない場合があるため、高色材濃度の色材液が低粘度(最適粘度)で調製できない場合や分散安定性が達成されない場合がある。
このため、前記の色材の調製の際に、濾液中の上記特定金属元素の含有量や濾液の電気伝導度が上記数値範囲になるまで、洗浄処理を繰り返すことが好ましい。
<色材分散液の態様>
本発明における色材分散液中の色材の平均分散粒径は特に限定はないが、8nm~150nmが好ましく、10nm~100nmがより好ましく、12nm~70nmが特に好ましい。
ここで、色材分散液中の色材の平均分散粒径(以下、単に「平均分散粒径」と略記する場合がある)は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈し(例えば、1000倍等)、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA-EX150)を用いて、動的光散乱法により23℃にて測定する。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
平均分散粒径が小さ過ぎると、耐光性が低下する場合があり、一方、平均分散粒径が大き過ぎると、該色材分散液を用いて得られたカラーフィルタを用いたディスプレイは、コントラストが低かったり、光の透過率が低かったり、高輝度のディスプレイとならなかったりする場合がある。
分散後、通常0.05μ~10μm、好ましくは0.1μm~5μmのフィルタ等で濾過して、本発明における色材分散液とすることが好ましい。
<カラーフィルタ用着色組成物>
本発明における色材液は、カラーフィルタ材料、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ用着色組成物、液晶ディスプレイ材料、有機ELディスプレイ材料等に好適に使用できる。特に、カラーフィルタ用着色組成物として有用である。
本発明は、前記の本発明におけるカラーフィルタ用色材液、重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物であって、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該着色組成物全体に対して120質量ppm以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物である。
アルカリ可溶性樹脂に重合性官能基があって、該アルカリ可溶性樹脂の重合性官能基だけが重合してもよいが、カラーフィルタ用着色組成物には、更に重合性多官能化合物が含有されていることも好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、前記した本発明の効果を奏する。
<<アルカリ可溶性樹脂>>
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、炭化水素環を有するものであれば、特に限定はなく、アルカリ性の現像液で好適に現像できるものであれば使用可能である。
該アルカリ可溶性樹脂としては、好ましくは、酸基を有するモノマーを共重合成分とする共重合体である。また、重合体に後から酸基を導入したものであってもよい。
ここで、酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸(メチレンコハク酸)等のカルボキシ基を有するモノマー;4-ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;等が挙げられる。
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は、ラジカル重合性二重結合が導入されたものが、感度が向上する点、着色組成物が像露光され光硬化し、未露光部が現像された結果、強固な塗膜ができる点等から好ましい。
ラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば、重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマーを(共)重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を側鎖に導入する。
かかる「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシ基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;等が挙げられる。
ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o-又はm-又はp-ビニルベンジルグリシジルエーテル等の「エポキシ基とラジカル重合性二重結合」を有する化合物が挙げられる。
「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」の酸基に、「エポキシ基とラジカル重合性二重結合」を有する化合物のエポキシ基が反応して、ラジカル重合性二重結合が導入されたアルカリ可溶性樹脂が得られる。
該アルカリ可溶性樹脂には、上記の他に、これらと共重合可能なモノマーを使用することができ、該モノマー(以下、「他のモノマー」と略記する)として、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーが挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;等が共重合される。
前記、「酸基を有するモノマー」、「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」、「ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物」及び「他のモノマー」は、用いられる場合には、それぞれ1種又は2種以上が用いられて、(共)重合や反応に供される。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、特に限定はないが、30~200mgKOH/gが好ましく、40~150mgKOH/gがより好ましく、50~120mgKOH/gが特に好ましい。
酸価は、上限が上記値以下だと基板との十分な密着性が得られ、下限が上記値以上だと十分なアルカリ現像性が得られる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の分子量は、特に限定はないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、通常、3000~25000、好ましくは、4000~20000、特に好ましくは、5000~15000である。
重量平均分子量(Mw)は、上限が上記値以下だと他の構成成分との相溶性が向上し、現像性が良くなり、また粘度が高くなり過ぎない。一方、下限が上記値以上だと、基板との密着性が向上する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は、着色層の密着性が優れる点等から、炭化水素環を有することが必須である。アルカリ可溶性樹脂に嵩高い基である、炭化水素環を有することにより硬化時の収縮が抑制され、基板との間の剥離が緩和し、基板密着性が向上する。また、本発明者らは、炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、得られた着色層の耐溶剤性、特に着色層の膨潤が抑制されるとの知見を得た。作用については未解明であるが、着色層内に嵩高い炭化水素環が含まれることにより、着色層内における分子の動きが抑制される結果、塗膜の強度が高くなり溶剤による膨潤が抑制されるものと推定される。
また、アルカリ可溶性樹脂が炭化水素環を有する場合、現像残渣を抑制することができ、水染みの発生が抑制される。
このような炭化水素環としては、置換基を有していてもよい環状の脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族環、及びこれらの組み合わせが挙げられ、炭化水素環がカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、アミド基等の置換基を有していてもよい。
炭化水素環の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン(ジシクロペンタン)、アダマンタン等の脂肪族炭化水素環;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等の芳香族環;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環や、下記一般式(5)に示されるカルド構造等が挙げられる。
Figure 2022176223000006
炭化水素環として、脂肪族環を含む場合には、着色層の耐熱性や密着性が向上すると共に、得られた着色層の輝度が向上する点から好ましい。
また、前記一般式(5)に示されるカルド構造を含む場合には、着色層の硬化性が向上し、耐溶剤性(NMP膨潤抑制)が向上する点から特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、2つ以上の環が2以上の原子を共有した構造を有する脂肪族基である、架橋環式脂肪族基を有するのも好ましい。
架橋環式脂肪族基の具体例としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンタジエン基、ジシクロペンタジエン基;これらの基の一部が置換基によって置換された基が挙げられる。
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヒドロキシル基、ケトン基、ニトロ基、アミン基、ハロゲン原子等が挙げられる。
架橋環式脂肪族基の炭素数は、他の材料との相溶性やアルカリ現像液に対する溶解性の観点から、下限は5以上が好ましく、7以上が特に好ましい。上限は、12以下が好ましく、10以下が特に好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(6)で表されるマレイミド構造を有するのも好ましい。
Figure 2022176223000007
[一般式(6)において、Rは、置換されていてもよい環状構造を有する炭化水素基である。]
アルカリ可溶性樹脂が、一般式(6)で表されるマレイミド構造を有する場合、炭化水素環に窒素原子を持つため、前記した塩基性ブロック型分散剤塩基性グラフト型分散剤との相溶性が非常によいため、現像速度が極めて速く、現像残渣が極めて少なくなりやすい。
一般式(6)において、Rとして、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基や、置換されていてもよい芳香族炭化水素基が挙げられる。
前者の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
後者の例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、アルカリ可溶性樹脂は、一般式(6)で表されるマレイミド構造と、炭化水素環をともに有するものであることが、現像残渣を少なくできる点から特に好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(7)で表される構成単位を有するものであるのも好ましい。
Figure 2022176223000008
[一般式(7)において、Xは、水素原子又はメチル基である。また、Yは下記一般式(8)で表されるフェノキシエチル構造を有する基である。]
Figure 2022176223000009
[一般式(8)において、nは、1~8の整数である。]
本発明においては、なかでも、一般式(8)のnは1~4が好ましく、特にnが1である2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上述した化合物を用いることにより、より現像残渣が良好で、再溶解性が向上する。
脂肪族環を含むアルカリ可溶性樹脂の場合、適度な現像速度であると、相溶している分散剤と色材は一緒に現像されるため、現像残渣が少なくなりやすい。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂において、カルボキシル基を有する構成単位とは別に、上記炭化水素環を有する構成単位を有するアクリル系共重合体を用いることが、各構成単位量を調整しやすく、上記炭化水素環を有する構成単位量を増加して当該構成単位が有する機能を向上させやすい点から好ましい。
カルボキシルを有する構成単位と、上記炭化水素環とを有するアクリル系共重合体は、前述の“共重合可能なその他のモノマー”として炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより調製することができる。
炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ、水染み抑制効果に優れる点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、N-フェニルマレイミドが好ましく、特にフェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましい。
本発明においては、着色組成物中のアルカリ可溶性樹脂が炭化水素環を有するが、アルカリ可溶性樹脂において、炭化水素環を有する構成単位(以下、「含炭化水素環構成単位」という場合がある。)が2種以上含まれていると、本発明の効果を相乗的に奏する場合があり、好ましい。
「アルカリ可溶性樹脂において、炭化水素環を有する構成単位が2種以上含まれている」とは、含炭化水素環構成単位を2種以上有するアルカリ可溶性樹脂を着色組成物に含有させる場合(後述の着色組成物調製例26~28)、2種以上の炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂(そのうち少なくとも2種のアルカリ可溶性樹脂が、互いに異なる構成単位を有する)を着色組成物に含有させる場合(後述の着色組成物調製例30)の何れであってもよい。含炭化水素環構成単位を2種以上有するアルカリ可溶性樹脂を、複数組み合わせて使用してもよい。
<<重合性多官能化合物>>
重合性多官能化合物としては、特に限定はなく、公知の重合性多官能化合物が用いられる。
「重合性多官能化合物」は、1分子中に2個以上の重合性官能基を有するものであれば、特に限定はないが、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物;等が挙げられる。
このうち、ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖アルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上のアルコールの部分(メタ)アクリル酸エステル;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
3官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε-カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート等が挙げられる。
4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの多官能モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、カルボキシ基を有する多官能モノマーと、カルボキシ基を有しない多官能モノマーを組み合わせて用いてもよい。耐熱性及び密着性を向上させる点から、カルボキシ基を有しているペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、カルボキシ基を有しているジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物等が好ましい。
<<重合開始剤>>
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては特に限定はなく、ラジカル重合に対して従来用いられている公知のものが使用可能である。特に、一般的にカラーフィルタの製造に用いられるものを使用することが好ましい。
このような光重合開始剤としては、具体的には、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン誘導体;キサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のキサントン誘導体若しくはチオキサントン誘導体;イルガキュアOXE-01、イルガキュアOXE-02(以上、BASFジャパン社製);ADEKA OPT-N-1919(旭電化製)等のオキシムエステル系化合物;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類等の含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物;等が挙げられる。
光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ミヒラーケトン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メチルフェニル)イミダゾール2量体等のビイミダゾール化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物;2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1,3-ブタジエニル)-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-s-トリアジン、2-(4-エトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-s-トリアジン、2-(4-ブトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-s-トリアジン等のハロメチル-s-トリアジン系化合物;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン、1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-n-ブトキシエチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、4-ベンゾイル-メチルジフェニルサルファイド、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリルニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、1,2-オクタジオン等が挙げられる。
また、3級アミン構造を有する光重合開始剤を好適に用いることができる。3級アミン構造を有する光重合開始剤は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、光重合開始剤から発生したラジカルが酸素により失活しにくく、感度を向上させることができるといった利点を有する。
上記3級アミン構造を有する光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369(以上、BASFジャパン社製)、ハイキュアABP(川口薬品社製)等が挙げられる。
<<<オキシムエステル系光重合開始剤>>>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、オキシムエステル系光重合開始剤を含有するのが好ましい。
カラーフィルタ用着色組成物を調製する際に、オキシムエステル系光重合開始剤を使用すると、着色組成物の感度(残膜率)が向上する。
オキシムエステル系光重合開始剤は、特開2000-80068号公報、特開2001-233842号公報、特表2010-527339、特表2010-527338、特開2013-041153、国際公開第2015/036910号等に記載の化合物の中から適宜選択できる。
オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、イルガキュアOXE-01、イルガキュアOXE-02、イルガキュアOXE-03、イルガキュアOXE-04(以上、BASF社製)、ADEKA OPT-N-1919、アデカアークルズNCI-930、アデカアークルズNCI-831(以上、ADEKA社製)、TR-PBG-304、TR-PBG-326、TR-PBG-3057(以上、常州強力電子新材料社製)等が挙げられる。
これらのうち、感度が高い点から、イルガキュアOXE-03、イルガキュアOXE-04、ADEKA OPT-N-1919、アデカアークルズNCI-930、アデカアークルズNCI-831、TR-PBG-304が特に好ましい。
オキシムエステル系光重合開始剤の具体的な化合物名としては、以下のもの、すなわち、下記式(A1)、(B1)~(B7)の化合物を挙げることができる。
Figure 2022176223000010
Figure 2022176223000011
オキシムエステル系光重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<<<その他の光重合開始剤>>>
オキシムエステル系光重合開始剤の他に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、更に、α-アミノケトン系光重合開始剤、ビイミダゾール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を含有していてもよい。
α-アミノケトン系光重合開始剤は、塗膜表面から中間を硬化させる性質を有し、塗膜深部硬化性を抑制しやすいことから、前記オキシムエステル系光重合開始剤と組み合わせると塗膜深部硬化性を向上する傾向が高い点から好ましい。
α-アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
α-アミノケトン系光重合開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、及び、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノンを組み合わせて用いると、残膜率が向上する点から好ましい。
ビイミダゾール系光重合開始剤は、塗膜深部を硬化させるという性質を有し、塗膜表面硬化性を抑制しやすく、前記オキシムエステル系光重合開始剤で表される化合物と組み合わせると塗膜表面硬化性を向上する傾向が高い点から好ましい。
ビイミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等を挙げることができる。
ビイミダゾール系光重合開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、後述するメルカプト化合物と組み合わせて用いることが、塗膜硬化性が向上する点から好ましい。
また、前記オキシムエステル系光重合開始剤に、更にビイミダゾール系光重合開始剤と前記α-アミノケトン系光重合開始剤を組み合わせて用いると、中でも残膜率や直線性が向上する点から好ましい。
「直線性が向上する」とは、着色組成物を塗布した後の現像工程において形成される着色層の端部の凹凸が少なく、直線状に形成されることをいう。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、2,4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、2,4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンを用いることが、ラジカル発生の転移が向上する点から好ましい。
また、前記オキシムエステル系光重合開始剤に、更にチオキサントン系光重合開始剤と前記α-アミノケトン系光重合開始剤を組み合わせて用いると、中でも残膜率が向上する点から好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は、熱による黄変が少ないという性質を有するものの、一般的に感度が低く十分な硬化性が得られない場合があるが、前記オキシムエステル系光重合開始剤と組み合わせると全体的な塗膜硬化性を向上する傾向が高い点から好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6-テトラメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、3,4-ジメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメチルベンゾイル)-エチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイドを用いることが、塗膜硬化性が向上する点から好ましい。
<<<メルカプト化合物>>>
本発明の着色組成物は、メルカプト化合物を含有するのが好ましい。メルカプト化合物は反応の遅いラジカルからラジカルを受け取り、反応を早めるという性質を有するため、塗膜表面硬化を促進し、水染みの発生を抑制することができる。
なお、水染みとは、アルカリ現像後、純水でリンスした後に、水が染みたような跡が発生するこの現象をいう。このような水染みは、ポストベーク後に消えるので製品としては問題がないが、現像後にパターニング面の外観検査において、ムラ異常として検出されてしまい、正常品と異常品の区別がつかないという問題が生じる。そのため、外観検査において検査装置の検査感度を下げると、結果として最終的なカラーフィルタ製品の歩留まり低下を引き起こし、問題となる。
メルカプト化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾイミダゾール、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
また、特に、メルカプト基(-SH基)を1分子中に2個以上有する多官能メルカプト化合物は、架橋密度が高く、水染みの抑制効果に極めて優れる。
多官能メルカプト化合物の具体例としては、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
また、長期保存した場合にも、良好な水染み抑制効果が維持されやすい点から、メルカプト基が結合する炭素原子が第2級炭素原子である2級メルカプト基を有する2級メルカプト化合物が好ましく、更に、当該2級メルカプト基を1分子中に2個以上有する多官能2級メルカプト化合物であることがより好ましい。
カラーフィルタ用着色組成物に、炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を含有させ、更に、メルカプト化合物を併用することにより、水染み発生の抑制効果が、相乗的に極めて優れたものとなる。
メルカプト化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上を組み合わせて用いる場合、その中に多官能メルカプト化合物及び/又は2級メルカプト化合物が含まれているのが好ましく、多官能2級メルカプト化合物が含まれているのが特に好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物において、メルカプト化合物の合計含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に制限はないが、カラーフィルタ用着色組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.2質量%以上7質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上5質量%以下の範囲内である。
上記範囲内であると、水染みの発生を効果的に抑制することができる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物において用いられる光重合開始剤の合計含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に制限はないが、カラーフィルタ用着色組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.1質量%以上16.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以上12.0質量%以下の範囲内である。この含有量が上記下限値より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が現像時に溶出する場合があり本願発明の効果が損なわれる恐れがあり、一方上記上限値より多いと、得られる着色層の黄変性が強くなって輝度が低下する場合がある。
なお、本発明において、固形分とは、上述した溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物において用いられるオキシムエステル系光重合開始剤の含有量は、着色組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.1質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内である。この含有量が上記下限値より少ないと本願発明の効果が損なわれる恐れがあり、一方上記上限値より多いと、得られる着色層の黄変性が強くなって輝度が低下する場合がある。
本発明に用いられる光重合開始剤として、オキシムエステル系光重合開始剤とその他の光重合開始剤とを併用する場合には、オキシムエステル系光重合開始剤の含有量は、本発明の着色組成物に用いられる光重合開始剤の合計100質量部中に、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましく、30質量部以上であることがより更に好ましい。
一方で、その他の光重合開始剤との併用効果を十分に発揮させる点から、オキシムエステル系光重合開始剤の含有量は、本発明の着色組成物に用いられる光重合開始剤合計100質量部中に、90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤として、更に、α-アミノケトン系光開始剤、ビイミダゾール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種を含有する場合、これらの合計含有量は、着色組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.4質量%以上4.0質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以上3.0質量%以下の範囲内である。
本発明に用いられる光重合開始剤として、α-アミノケトン系光重合開始剤と、ビイミダゾール系光重合剤及び/又はチオキサントン系光重合開始剤とを組み合わせる場合、α-アミノケトン系光重合開始剤と、ビイミダゾール系光重合開始剤及び/又はチオキサントン系光重合開始剤との比率は、α-アミノケトン系光重合開始剤100質量部に対して、ビイミダゾール系光重合開始剤及び/又はチオキサントン系光重合開始剤が5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、更に10質量部以上40質量部以下であることが、塗膜硬化性とパターン形状が両立する点から好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤は、1種に限定されず、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<<含有割合>>
本発明の着色組成物における、アルカリ可溶性樹脂と重合性多官能化合物との含有割合は、特に限定はないが、感度、解像度及び現像性の観点から、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、重合性多官能化合物0~500質量部が好ましく、10~300質量部がより好ましく、20~200質量部が特に好ましい。
着色組成物の固形分合計量に対して、アルカリ可溶性樹脂は5~80質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。また、該固形分全量に対して、重合性多官能化合物は5~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
重合開始剤の含有割合は、感度、解像度及び現像性の観点から、重合性多官能化合物100質量部に対して、通常3~50質量部、好ましくは7~40質量部、特に好ましくは10~35質量部である。
着色組成物の固形分合計量に対して、色材は3~65質量%が好ましく、6~55質量%がより好ましく、10~45質量%が特に好ましい。
この範囲であると、前記した本発明の効果を奏しやすく、特に、着色力、感度、解像度及び現像性が良好となる。特に、本発明における色材液を用いると、上記上限まで色材の濃度を上げられ、そのために前記したような優れたカラーフィルタを製造できる。
また、溶剤の含有量は、当該溶剤を含む上記着色組成物の全量に対して、55~95質量%の範囲内であることが好ましく、65~88質量%の範囲内であることが特に好ましい。
上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
<<その他の成分>>
着色組成物には、更に必要に応じて、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、レベリング剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、密着促進剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤、重合停止剤、連鎖移動剤等を含有させることができる。
<<着色組成物中の特定金属元素の含有量>>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、前記の本発明における色材液、重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物であって、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該着色組成物全体に対して120質量ppm以下であることを特徴とする。
該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量は、コストを考慮しなければ、少なければ少ないほど良いが、該着色組成物全体に対して90質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、20質量ppm以下が特に好ましく、10質量ppm以下が更に好ましく、3質量ppm以下が最も好ましい。
上記上限以下であると、分散安定性を保持しつつ現像性が良好であるため、着色組成物中の色材濃度、及び、着色組成物の固形分中の色材濃度を上げることができ、その結果、低膜厚であっても高い色濃度を実現するカラーフィルタを得ることができる。
上記した金属含有範囲に収まる着色組成物は、良好な分散性能・分散安定性能・溶解性が得られると共に、カラーフィルタ製造時に、良好な現像性を示す。
「着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」の下限は、特に限定はないが、0.5質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上が特に好ましい。上記下限以上であると、現像性は十分良好であるので、金属元素の除去に要するコストが過剰にかからない。
更に、該着色組成物に含まれるマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量が、該着色組成物全体に対して135質量ppm以下であることが好ましい。すなわち、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量を、該着色組成物全体に対して120質量ppm以下にしつつ、かつ、マグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量を、該着色組成物全体に対して135質量ppm以下にすることが好ましい。
本発明の前記色材液を用いてカラーフィルタ用着色組成物を調製することによって、上記した金属含有範囲に収まる優れた着色組成物を調製しやすい。
着色組成物に含まれるマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量は、より好ましくは、60質量ppm以下であり、特に好ましくは、30質量ppm以下であり、更に好ましくは、20質量ppm以下である。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
また、着色組成物に含まれるマグネシウム(Mg)とクロム(Cr)の合計質量が、135質量ppm以下であることが好ましく、60質量ppm以下であることがより好ましく、30質量ppm以下であることが特に好ましく、20質量ppm以下であることが更に好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
更に、「着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が前記上限以下であり、かつ、「着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量」が、該着色組成物全体に対して、200質量ppm以下が好ましく、150質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が特に好ましく、50質量ppm以下が更に好ましく、15質量ppm以下が最も好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
また、「着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量」が前記上限以下であり、かつ、「着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)とクロム(Cr)の合計質量」が、該着色組成物全体に対して、200質量ppm以下が好ましく、150質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が特に好ましく、50質量ppm以下が更に好ましく、15質量ppm以下が最も好ましい。
上記上限以下であると、前記した本発明の効果が特に奏される。
<<作用原理>>
以下の作用原理が当てはまる範囲に本発明が限定されるわけではないが、着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量(又は特定金属元素の合計質量)が多過ぎると、分散安定性・溶解性が悪化し現像性が悪くなり、現像時間が長くなり、現像残渣が発生する作用原理は、以下のように推定される。
すなわち、分散剤中の例えば前記aモノマー(好ましくは一般式(1)で表される構成単位)に含まれる窒素部位が、色材に吸着して色材の分散性を向上させると共に、該分散剤にしっかり取り囲まれた色材が、現像時に分散剤に吸着したまま流されやすくなり、基材上に色材由来の残渣の発生が抑制されると考えられる。
しかし、色材近傍に、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量又は特定金属元素の合計質量が多過ぎると(カルシウム(Ca)、鉄(Fe)又は前記特定金属元素が多過ぎると)、分散剤の色材への吸着が阻害されたり、分散性向上に寄与する塩型の分散剤や酸性色素誘導体が、特定金属元素と相互作用することで、分散性の向上に寄与できなくなったりすると考えられる。
また、上記特定金属元素の合計質量が多過ぎると、上記したように、色材が分散剤に好適に取り囲まれていないために、現像時に、「分散剤に好適に取り囲まれた色材」の形態で現像液と共に流されにくくなり、基板上に色材由来の残渣が発生しやすくなった(現像不良を起こしやすくなった)と考えられる。
着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂が含有されていることによって現像性を発揮しているが、上記「色材を好適に取り囲んでいない塩型の分散剤」が該現像性を低下させていることも考えられる。また、該アルカリ可溶性樹脂に対する2価以上の特定金属元素の陽イオンの影響も考えられる。
上記現像性の低下に与える影響は、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)等の1価の陽イオンより、特定金属元素の陽イオンのような2価以上の陽イオン(2価以上の陽イオンのみの合計量、3価の陽イオンを含んだ含有量)の方が大きい可能性が考えられる。
そのため、分散性安定性が良好な色材分散液を用いて得られた着色組成物は現像性が良好になったと考えられる。
<<カラーフィルタ用着色組成物の調製>>
本発明の着色組成物の調製は、色材に、少なくとも、アルカリ可溶性樹脂、及び、重合開始剤を配合し、要すれば、重合性多官能化合物、及び、「その他の成分」を配合し、更に必要に応じて、更に溶剤を配合し、混合する方法で行うことができる。
本発明の着色組成物は、予め色材液を製造して用いるので、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る。
また、本発明における色材液は、好適な粘度範囲、好適な分散安定性・溶解性を保持しつつ、高い色材濃度に設定できるので、本発明における色材液を使用して得られた本発明の着色組成物も、好適な粘度範囲、好適な分散安定性・溶解性を保持しつつ、高い色材濃度が達成できる。
<カラーフィルタ>
カラーフィルタは、通常、透明基板、遮光部及び着色層を有している。本発明の着色組成物を使用して得られるカラーフィルタは、高い色材濃度、高い演色性、高いコントラスト等を実現することができ、また、カラーフィルタ製造時の現像性に優れている。
<<着色層>>
着色層は、前述した本発明の着色組成物を硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該着色組成物に含まれる色材の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、塗布条件、着色組成物の固形分濃度、粘度等を調整することにより制御されるが、通常1~5μmの範囲である。
本発明における色材液や、本発明の着色組成物を用いると、固形分中の色材濃度が高いことによって、組成によっては従来の厚みに対して、(例えば80~50%にまで)薄膜化が可能である。その結果、高演色、混色なく、再溶解性が高いため異物発生が少なく生産性の高い等という効果を発揮する。
当該着色層は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明の着色組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法等の塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレート、オーブン等を用いて、該ウェット塗膜を乾燥させた後、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂、重合性多官能化合物を光重合反応させる。
露光に使用される光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の紫外線、電子線等が挙げられる。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。本発明における色材液や着色組成物は、極めて現像性に優れている。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。
<<遮光部>>
カラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものである。
遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。
この遮光部としては、例えば、黒色色材をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたもの;クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよい。
該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、例えば、遮光部用樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合、顔料(色材)としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料及び感光性樹脂を含有する遮光部用樹脂組成物には、光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法等で真空成膜した金属薄膜をフォトリソグラフィー法により金属薄膜上に形成したレジストパターンをマスクとして金属エッチングする方法等を挙げることができる。
該遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は、0.05~0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は、0.5~3μm程度で設定される。
<<透明基板>>
カラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、用途に応じて、例えば100μm~1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、更には配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
<表示装置>
本発明の他の態様は、前記のカラーフィルタを有するものであることを特徴とする表示装置である。該表示装置としては、特に限定はないが、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。
本発明における色材液を含有する着色組成物を使用して得られるカラーフィルタは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイ表示装置に好適に用いられる。
カラーフィルタの、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイへの適用は、通常公知の方法で行われる。
以下に、実験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実験例に限定されるものではない。
調製例1
<分散剤A(分散剤溶液A)の調製>
<<ブロック共重合体Aの合成>>
500mLの4口セパラブルフラスコを減圧して乾燥後、内部をアルゴン(Ar)で置換した。
アルゴンフローしながら、脱水テトラヒドロフラン(THF)100g、メチルトリメチルシリルジメチルケテンアセタール2.0g、テトラブチルアンモニウム-3-クロロベンゾエート(TBACB)の1Mアセトニトリル溶液0.15mL、及び、メシチレン0.2gを加え撹拌して混合した。
そこに、滴下ロートを用いて、メチルメタクリレート36.7gを45分かけて滴下した。反応が進むと発熱するため、氷冷することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、前記「aモノマー」として、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)13.3gを15分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール5gを加えて反応を停止させた。
溶剤を減圧除去して、ブロック共重合体Aを得た。
GPC測定(NMP、LiBr10mM)により求めた質量平均分子量は、6000であった。また、アミン価は95mgKOH/gであった。
得られたブロック共重合体Aを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、60質量%のブロック共重合体溶液を作製した。
<<ブロック共重合体を塩にする工程(塩基性ブロック型分散剤の調製工程)>>
次に、100mL丸底フラスコ中で、PGMEAの23.76質量部に、上記で得られたブロック共重合体溶液を5.0質量部混合し、塩形成成分であるフェニルホスホン酸(東京化成(株)社製)を0.94質量部(ブロック共重合体のDMAEMAユニットに対し、0.5モル当量)加え、反応温度40℃で2時間撹拌することにより、「分散剤A」とし、更に、適宜PGMEAで希釈して、固形分20質量%の「分散剤溶液A」を調製した。
調製例2
<分散剤B(分散剤溶液B)の調製>
<<ブロック共重合体Bの合成>>
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的撹拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、脱水テトラヒドロフラン(THF)250質量部、塩化リチウム0.6質量部を加え、充分に窒素置換を行った。
反応フラスコを-60℃まで冷却した後、ブチルリチウム4.9質量部(15質量%ヘキサン溶液)、ジイソプロピルアミン1.1質量部、イソ酪酸メチル1.0質量部を、シリンジを用いて注入した。
前記「bモノマー」として、メタクリル酸1-エトキシエチル(EEMA)2.2質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)18.7質量部、メタクリル酸2-エチルヘキシル(EHMA)12.8質量部、メタクリル酸n-ブチル(BMA)13.7質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)9.5質量部、メタクリル酸メチル(MMA)17.5質量部を、添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。
30分後、前記「aモノマー」であるジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)26.7質量部を20分かけて滴下した。
30分間反応させた後、メタノール1.5質量部を加えて反応を停止させた。得られた前駆体ブロック共重合体THF溶液は、ヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、PGMEAで希釈し固形分30質量%溶液とした。
水を32.5質量部加え、100℃に昇温し7時間反応させ、EEMA由来の構成単位を脱保護し、メタクリル酸(MAA)由来の構成単位とした。
得られたブロック共重合体PGMEA溶液は、ヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、「一般式(1)で表される構成単位を含むAブロック」と「カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を含み、親溶剤性を有するBブロック」とを含むブロック共重合体Bを得た。
ブロック共重合体Bの酸価は8mgKOH/g、Tgは38℃であった。
得られたブロック共重合体Bを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて確認したところ、重量平均分子量Mwは7730であった。また、アミン価は95mgKOH/gであった。
<<ブロック共重合体を塩にする工程(塩基性ブロック型分散剤の調製工程)>>
次に、調製例1と同様にして塩形成をして「分散剤B」を調製し、更に、PGMEAで希釈して、固形分20質量%の「分散剤溶液B」を調製した。
調製例1と同様、塩形成成分であるフェニルホスホン酸(東京化成(株)社製)をブロック共重合体Bの「aモノマーであるDMAEMAユニット」に対し、0.5モル当量加えた。
調製例3
<有機顔料の精製>
表1に示した有機顔料(R-1)を2.0質量部、イオン交換水を100質量部、ビーカーに入れ、30℃に保ちつつ回分法で、超音波ホモジナイザーで10分間撹拌し、下記濾紙を用いて濾過を行った。
製造販売会社:ADVANTEC
製品名:FIKTER PAPER QUANTITATIVE ASHLESS
規格:5C、150mm(100CIRCLES)
それぞれ、上記洗浄(水洗)の工程を2回行う方法を「精製方法1」とし(色材分散液調製例1)、20回行う方法を「精製方法2」とし(色材分散液調製例2)、30回行う方法を「精製方法3」とした(色材分散液調製例3、色材分散液調製例9)。
また、表1に示した有機顔料(R-1)を2.0質量部用い、ヌッチェ漏斗を使用し、トータルのイオン交換水30000質量部を、15分間に亘って流し続け、連続法で吸引濾過により洗浄(水洗)した。次いで、上記濾紙を用いて濾過を行った。
流したイオン交換水の温度は30℃であった。この方法を、「精製方法4」とした(色材分散液調製例4)。
精製方法1~4を使用して、精製有機顔料を調製した。
色材分散液調製例5~8、色材分散液調製例101~103については、有機顔料の精製を行わなかった。
得られた(精製)有機顔料を、それぞれ用いて、以下の色材分散液調製例1~9、色材分散液調製例101~103のように色材分散液を調製した。
調製例4
<(4-1)樹脂1の合成>
BzMAを40質量部、MMAを15質量部、MAAを25質量部、及び、AIBNを3質量部の混合液を、PGMEAを150質量部入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で3時間加熱し、重合体溶液を得た。
この重合体溶液中の重合体の重量平均分子量は、7000であった。
次に、得られた重合体溶液に、GMA20質量部、トリエチルアミン0.2質量部、及び、p-メトキシフェノール0.05質量部を添加し、110℃で10時間加熱することにより、主鎖のメタクリル酸のカルボキシ基と、GMAのエポキシ基との反応を行って、樹脂1を合成した。
反応中は、GMAの重合を防ぐために、反応溶液中に空気をバブリングさせた。反応は溶液の酸価を測定することで追跡した。
得られた樹脂1は、BzMA、MMA及びMAAの共重合により形成された重合体の主鎖に、GMAを用いてエチレン性二重結合を有する側鎖を導入した樹脂であり、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<<略称の名称>>
BzMA ベンジルメタクリレート
MMA メチルメタクリレート
MAA メタクリル酸
GMA グリシジルメタクリレート
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<(4-2)樹脂2の合成>
上記(4-1)で、BzMAを40質量部の代わりにシクロヘキシルメタクリレートを40質量部用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂2を得た。
得られた樹脂2は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<(4-3)樹脂3の合成>
上記(4-1)で、BzMAを40質量部の代わりにスチレンを40質量部用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂3を得た。
得られた樹脂3は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<(4-4)樹脂4の合成>
上記(4-1)で、BzMAを40質量部の代わりにジシクロペンタニルメタクリレートを40質量部用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂4を得た。
得られた樹脂4は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<(4-5)樹脂5の合成>
上記(4-1)で、BzMAを40質量部の代わりにN-フェニルマレイミド(東京化成工業株式会社)を40質量部用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂5を得た。
得られた樹脂5は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<(4-6)樹脂6の合成>
上記(4-1)で、「BzMAを40質量部」の代わりに、「スチレンを20質量部、及び、N-フェニルマレイミド(東京化成工業株式会社)を20質量部」用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂6を得た。
得られた樹脂6は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<(4-7)樹脂7の合成>
上記(4-1)で、BzMAを40質量部の代わりにフェノキシエチルメタクリレートを40質量部用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂7を得た。
得られた樹脂7は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
<(4-8)樹脂8の合成>
上記(4-1)で、BzMAを40質量部の代わりにヒドロキシエチルメタクリ―トを40質量部用いた以外は上記(4-1)と同様にして樹脂8を得た。
得られた樹脂8は、固形分40質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
調製例5
<酸性色素誘導体の合成>
三酸化硫黄の含有率が11質量%の発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら撹拌し、ピグメントイエロー138を74.96質量部加えた。次いで、90℃で6時間撹拌した。得られた反応液を氷水1600質量部中に加え、15分間撹拌した後、沈殿を濾過した。
得られたウェットケーキを、800質量部の脱塩水で3回洗浄した。洗浄後のウェットケーキを、80℃で真空乾燥し、酸性色素誘導体である黄色顔料スルホン化誘導体を得た。TOF-MSにより分子量を測定し、合成目的物であることを確認した。
<色材液の調製>
色材分散液調製例1
調製例4で得られた「樹脂1(BzMA/MMA/MAA/GMA=40/15/25/20(質量比)、重量平均分子量12000)の固形分40質量%PGMEA溶液」16.7質量部、分散剤溶液Aを8.1質量部、及び、PGMEA62.2質量部を、ディゾルバーで撹拌混合して均一に溶解させた。
この溶液に、調製例3で得られた(精製)有機顔料12.7質量部と、調製例5で得られた酸性色素誘導体0.3質量部とを加え、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振盪した。
次いで、粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に、本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、赤色の色材分散液を調製した。
色材分散液調製例2~7、9
色材と分散剤を表1に示すように変更し、調製例3で得られた(精製)有機顔料をそれぞれ用いて、色材分散液調製例1と同様にして、色材分散液調製例2~7、9の色材分散液を調製した。色材分散液調製例5~8は、使用した有機顔料自体に前記特定金属元素の含有量が少ないので水洗を行っていない。
色材分散液調製例8
色材を表1に示すよう(G-1)にし、分散剤A(分散剤溶液A)を、BYK21116(ビックケミー・ジャパン社製、塩基性ブロック型分散剤)に変更(固形分換算で分散剤Aや分散剤Bと同一質量使用)した以外は、色材分散液調製例1~7と同様にして、緑色の色材分散液を調製した。色材分散液調製例8は、使用した有機顔料(G-1)自体に前記特定金属元素の含有量が少ないので水洗を行っていない。
色材分散液調製例10
フラスコに、前記「精製方法4」で精製したアシッドレッド289(AR289;キサンテン系染料、東京化成社製)100質量部に対し、メタノールを1000質量部加えてマグネチックスターラーにて溶解させた。溶解を確認後、濃塩酸29.9質量部を加え撹拌し、AR289が有するスルホン酸塩をスルホ基とした。この溶液に、更にPGMEA1000質量部を加えた。次いで前記分散剤Aを276質量部加えて撹拌した。その後、還流冷却管を接続し、ウォーターバスにて80℃まで昇温させ、80℃到達後4時間反応させた。その後エバポレーターにより、ウォーターバス45℃でメタノールを溜去し、PGMEA1000質量部を加えた後16時間室温で冷却放置した。次いで析出物をろ別し、100質量部程度のPGMEAにて濾過物を洗浄し、得られたろ液を回収して染料が均一に分散された色材分散液調製例10の色材分散液を得た。
マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて、粒度分布を測定した。評価は50%平均粒子径で行い、体積換算(MV)した結果は78nmであった。
色材溶液調製例11
染料(Y-2)(C.I.ソルベントイエロー162)21.3質量部をジアセトンアルコール100質量部に溶解して色材溶液を調製した。使用した染料(Y-2)は、水とアセトンとの混合溶媒(質量比で水:アセトン=50:50)を用いて再結晶法で精製し、濾過をした。
色材分散液調製例101~103
色材を表1に示すように変更し、「調製例3のように精製した精製有機顔料ではない有機顔料」を使用した以外は(有機顔料を精製しなかった以外は)、色材分散液調製例1と同様にして、色材分散液調製例101~103の色材分散液を調製した。
<カラーフィルタ用着色組成物の調製>
着色組成物調製例11~19、111~113
着色組成物調製例11~19は、それぞれ色材分散液調製例1~9の色材分散液を用い、着色組成物調製例111~113は、それぞれ色材分散液調製例101~103の色材分散液を用い、必要に応じPGMEAで固形分濃度を調整し、以下に示す組成で各成分を混合し、カラーフィルタ用着色組成物をそれぞれ調製した。
・色材分散液調製例1~9及び色材分散液調製例101~103で調製した色材分散液(固形分:21.3質量%):それぞれ、52.7質量部
・色材分散液調製例1で用いた樹脂1と同一の樹脂を「アルカリ可溶性樹脂」として用い、該アルカリ可溶性樹脂:3.04質量部
・重合性多官能化合物(東亞合成社製、アロニックスM-403、光硬化性多官能単量体):2.84質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907、光重合開始剤):0.89質量部
・界面活性剤(DIC(株)製、メガファックF-559):0.03質量部
・PGMEA:40.5質量部
・シランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM-503):0.2質量部
着色組成物調製例21
着色組成物調製例17において、以下の(変更点1)及び(変更点2)を変更した以外は、着色組成物調製例17の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
(変更点1)
「光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907、光重合開始剤):0.89質量部」の代わりに、以下に示す光重合開始剤及びメルカプト化合物を使用した。
・光重合開始剤(ADEKA社製、NCI-831):0.36質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア369):0.27質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907):0.27質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(SC有機化学社製、PEMP):0.18質量部
(変更点2)
溶剤として、「PGMEA40.5質量部」の代わりに、「PGMEA27.9質量部及び3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート(商品名:ソルフィットAC、クラレ製)12.6質量部」を使用した。
着色組成物調製例22~26、32
アルカリ可溶性樹脂を、表3に示すように変更した以外は、着色組成物調製例21の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例27~28
メルカプト化合物を、表3に示すように変更した以外は、着色組成物調製例26の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例29
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を使用しなかった以外は、着色組成物調製例21の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例30
アルカリ可溶性樹脂として、樹脂1の代わりに、樹脂3と樹脂5の混合物を使用した以外は、着色組成物調製例21の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
樹脂3:樹脂5=50:50(質量比率)で使用した。
着色組成物調製例31
色材分散液調製例7で調製した色材分散液の代わりに、色材分散液調製例10で調製した色材分散液を使用した以外は、着色組成物調製例21の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例33
着色組成物調製例21において、光重合開始剤を表3に示すように変更した以外は、着色組成物調製例21の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例34
色材分散液調製例7で調製した色材分散液の代わりに、色材溶液調製例11で調製した色材溶液を使用した以外は、着色組成物調製例21の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例121
アルカリ可溶性樹脂を、表3に示すように変更した以外は、着色組成物調製例27の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
着色組成物調製例122
着色組成物調製例111において、以下の(変更点1’)及び前述の(変更点2)を変更した以外は、着色組成物調製例111の場合と同様にして、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
(変更点1’)
「光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907、光重合開始剤):0.89質量部」の代わりに、以下に示す光重合開始剤を使用した。
・光重合開始剤(ADEKA社製、NCI-831):0.36質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア369):0.27質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907):0.27質量部
測定例
<色材液中の金属の定量>
ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置(Varian社製、Vista-PRO)を用いて、色材液(色材分散液又は色材溶液)中のカルシウム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)及びクロム(Cr)の含有量を定量した。
測定試料の調製は以下のように行った。すなわち、色材液を約1g(0.5~1.5g)を精秤し、バーナー上及び電気炉(700℃)中で加熱し、灰化処理した後、希王水を添加し、ホットプレート上で加熱し溶解させた。
得られた溶液を、超純水で希釈して、全体を50.000gとして測定試料とした。
本発明におけるICP発光分光分析の検出限界は0.01ppm未満である。
表1~3における「0質量ppm」とは、四捨五入して「1」の位までが「0」であること、すなわち0.5質量ppm未満であることを示す。上記の通り測定試料は約50倍に希釈されているので、表中の「0」は、従って測定装置の上記検出限界以下であることを示す。
評価例
<色材分散液の「分散安定性」の評価方法>
色材分散液調製例で調製した色材分散液を、室温(25℃)で保管し、調製から1日後及び1か月保管後に、それぞれ粘度を測定した。粘度は、振動式粘度計(セコニック社製、VM-200T2)を用いて、25.0±1.0℃において測定し、測定開始から30秒後の値を採用した。
<<判定基準>>
調製1日後の粘度と、1か月保存後の粘度とを比較して、以下のように判定した。
AA:粘度変化が3%以内
A:粘度変化が3%を超過し5%以内
B:粘度変化が5%を超過し7%以内
C:粘度変化が7%を超過し10%以内
D:粘度変化が10%を超過
結果を表1に示す。粘度変化が7%以内であれば、すなわち、「分散安定性」が「B」以上であれば、安定性に優れ、実用レベルであると評価される。
<カラーフィルタ用着色組成物の「光学特性」の評価方法>
各着色組成物調製例で得られた着色組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて、ポストベーク後に所望の色(赤色着色層:C光源でのx=0.650、緑色着色層:y=0.450、黄色着色層:y=0.500)になるように塗布した。80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った後、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射し、その後、230℃のクリーンオーブンで25分間ポストベークした。
得られた着色膜のコントラスト、色度(x、y)、輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)製「コントラスト測定装置CT-1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)製「顕微分光測定装置OSP-SP200」を用いて測定した。
結果を表2~5に示す。
<<判定基準>>
コントラストは、赤色着色層では12000以上、緑色着色層では18000以上、黄色着色層10000以上であれば、優れていると評価される。
<カラーフィルタ用着色組成物の「乾燥ムラ」の評価方法>
ガラス基板に、カラーフィルタ用着色組成物を、ダイコーターを用いて塗布した後、真空度が0.2torrに到達するまで真空ベイクを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。その後、得られた基板を、干渉縞検査灯(Naランプ)を用いて観察し、塗膜に発生する乾燥ムラの有無を目視評価した。
<<判定基準>>
AA:乾燥ムラが全く認められない。
A:乾燥ムラが僅かに認められる。
B:乾燥ムラが多く認められる。
<カラーフィルタ用着色組成物の「現像性」の評価方法1(現像速度)>
各着色組成物調製例で得られたカラーフィルタ用着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥した。
この着色層に、線幅1μmから100μmまでの独立細線パターンフォトマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて、60mJ/cmの紫外線で露光することにより、ガラス基板上に厚さ2.0μmの着色層を形成した。
次いで、0.05質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液を現像液として、スピン現像し、現像液に接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し、パターン形成を行い、現像性を評価した。
上記現像処理において、未露光部が溶解し除去されるまでの時間を測定した。現像の終了は、目視により観察し、現像時間について下記基準で判定した。
<<判定基準>>
AA:40秒未満
A:40秒以上60秒未満
B:60秒以上80秒未満
C:80秒以上120秒未満
D:120秒以上
結果を表2~3に示す。
現像時間が40秒未満(AA)であれば「現像速度」が特に優れており、現像時間が40秒以上60秒未満(A)であれば「現像速度」がより優れており、現像時間が60秒以上80秒未満(B)であれば「現像速度」が優れており、AA、A、B共に何れも良好であり実用レベルであると判定される。
一方、現像時間が80秒以上(C、D)であれば「現像速度」が劣っており、実用レベルでないと判定される。
<カラーフィルタ用着色組成物の「現像性」の評価方法2(現像残渣)>
各着色組成物調製例で得られたカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥することにより、厚さ2.5μmの着色層を形成した。上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した。上記着色層の形成後のガラス基板の未露光部(50mm×50mm)を、目視により観察した後、エタノールを含ませたレンズクリーナー(東レ社製、商品名トレシーMKクリーンクロス)で十分に拭き取り、そのレンズクリーナーの着色度合いを目視で観察した。
<<判定基準>>
AA:目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーが全く着色しなかった
A:目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーの着色がわずかに確認された
B:目視により現像残渣がわずかに確認され、レンズクリーナーの着色が確認された
C:目視により現像残渣が確認され、レンズクリーナーの着色が確認された
結果を表2~3に示す。
上記判定結果がA、B又はCであれば、実用上使用できるが、判定結果がB、更にAであればより効果が優れている。
<カラーフィルタ用着色組成物の「再溶解性」の評価方法>
幅0.5cm、長さ10cmのガラス基板の先端を、カラーフィルタ用着色組成物に浸漬させ、ガラス基板の長さ1cm部分に塗布した。引き上げたガラス基板を、ガラス面が水平になるように恒温恒湿機に入れ、温度23℃、湿度80%RHで30分間の条件で乾燥させた。次に、乾燥させた塗膜が付着したガラス基板をPGMEA中に15秒間浸漬させた。このとき乾燥塗膜の再溶解状態を目視で判別し、評価した。結果を表3に併せて示す。
<<判定基準>>
AA:乾燥塗膜が完全に溶解した
A:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じ、その薄片がやがて溶解した
B:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じ、溶液が着色した
C:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じ、溶液が着色しなかった
AA、A又はBであれば、実用上問題なく使用できる。
<カラーフィルタ用着色組成物の「水染み」の評価方法>
各着色組成物調製例で得られたカラーフィルタ用着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いてポストベーク後に厚さ1.6μmの着色層を形成する膜厚で塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥し、フォトマスクを介さずに超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を全面照射することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。次いで、0.05wt%カリウム(KOH)を現像液としてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し、洗浄後の基板を10秒間回転させ水を遠心除去した直後に、下記のように純水の接触角を測定して水染みを評価した。
純水の接触角の測定は、前記水を遠心除去した直後の着色層表面に、純水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測した。測定装置は、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて測定した。
<<判定基準>>
AAA:接触角90度以上
AA:接触角85度以上90度未満
A:接触角80度以上85度未満
B:接触角65度以上80度未満
C:接触角50度以上65度未満
D:接触角50度未満
水染み評価基準がB以上であれば、実用上使用できるが、評価結果がAであれば水染み発生抑制効果が高く、AA又はAAAであれば水染み発生抑制効果が極めて高い。
Figure 2022176223000012
表1中、色材については、以下の通りである。表2~3についても同様である。
「R-1」(有機顔料):C.I.R177であり、BASF社製、クロモフタルレッドA3Bである。
「R-2」(有機顔料):C.I.R177であり、BASF社製、クロモフタルレッドA2Bである。
「R-3」(有機顔料):C.I.R177であり、BASF社製、イルガジンレッドA2BNである。
「R-4」(有機顔料):C.I.R177であり、百合化工社製、FAST REDA3Bである。
「Y-1」(有機顔料):C.I.Y138であり、BASF社製、パリオトールイエローK0961HDである。
「G-1」(有機顔料):C.I.G58であり、DIC社製、FASTOGEN GreenA110である。
「V-1」(染料):C.I.アシッドレッド289であり、東京化成社製、AR289である。
「Y-2」(染料):C.I.ソルベントイエロー162であり、BASF社製、NEPTUN YELLOW 075である。
ナトリウム(Na)とカリウム(K)の含有量は、表1には記載しないが、全ての例でほぼ同一であった。
また、表1には記載しないが、色材分散液調製例1~9は、色材分散液の初期の粘度が何れも20mPa・s以下と低く実用範囲であった。
粘度は、振動式粘度計(セコニック製、VM-200T2)を用いて、25.0±1.0℃における粘度を測定した。色材分散液の粘度が20mPa・s以下であれば実用範囲である。
Figure 2022176223000013
Figure 2022176223000014
表3中、光重合開始剤については、以下の通りである。
「NCI-831」:オキシムエステル系光重合開始剤(ADEKA社製)
「Irg369」:α-アミノケトン系光重合開始剤(イルガキュア369、BASF社製)
「Irg907」:α-アミノケトン系光重合開始剤(イルガキュア907、BASF社製)
<色材分散液に関する結果>
表1から分かる通り、カラーフィルタ用色材分散液に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該カラーフィルタ用色材分散液全体に対して180質量ppm以下である色材分散液調製例では何れも、分散安定性が「AA」、「A」又は「B」判定であり、実用レベルであった。
一方、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該カラーフィルタ用色材分散液全体に対して180質量ppmより多い色材分散液調製例では何れも、分散安定性が「C」又は「D」判定であり、実用レベルに達しなかった。
また、上記結果は、色材の種類に依らず言えることが分かった。また、洗浄によってカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計濃度を低くしても(色材分散液調製例1~4、9)、最初から該合計濃度が低い場合でも(色材分散液調製例5~8)、分散安定性が高いことが分かった。また、上記傾向は、色材の種類に依らず言えることが分かった。
また、水洗前で、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計濃度が、該カラーフィルタ用色材分散液全体に対して180質量ppmより多く分散安定性が「C」判定の「色材分散液調製例101の有機顔料(R-1)」を水洗することによって、色材分散液中のカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計濃度を180質量ppm以下にした色材分散液調製例1~4、9は、何れも分散性が「A」又は「AA」判定となった。
洗浄(水洗)の回数を多くすると分散安定性が向上し(色材分散液調製例1~3)、連続法で洗浄(水洗)すると分散安定性が優れていた(色材分散液調製例4)。
また、色材(有機顔料)と精製方法を統一し、分散剤だけを変えた色材分散液調製例3と色材分散液調製例9を比較すると、何れも「AA」判定ではあるが、分散剤Bを用いた色材分散液調製例9の方が、分散剤Aを用いた色材分散液調製例3より分散安定性が優れていた。
<カラーフィルタ用着色組成物に関する結果>
また、表2から分かる通り、カラーフィルタ用着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該カラーフィルタ用着色組成物全体に対して120質量ppm以下である着色組成物調製例では何れも、現像速度が「AA」、「A」又は「B」判定であり、優れていた又は実用レベルであった。また、何れの着色組成物も安定性が優れていた。
一方、カルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該カラーフィルタ用着色組成物全体に対して120質量ppmより多い着色組成物調製例では何れも、現像速度が「C」又は「D」判定であり、実用レベルに達しなかった。また、上記傾向は、色材の種類に依らず言えることが分かった。
また、色材(有機顔料)と精製方法を統一し、分散剤だけを変えた着色組成物調製例13と着色組成物調製例19を比較すると、分散剤Bを用いた着色組成物調製例19の方が、分散剤Aを用いた着色組成物調製例13より現像速度が良好で「AA」判定であった。
表3から分かる通り、特定金属元素を低減させた上で、炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物を使用した場合(着色組成物調製例21~34)は、何れも現像残渣を少なくすることができ、また、水染みの発生が抑制される傾向となった。特に、前記一般式(6)で表されるマレイミド構造を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物(着色組成物調製例25~28、30)の場合、現像残渣を極めて少なくすることができた。
また、着色組成物がメルカプト化合物を含有する場合(着色組成物調製例21~28)、含有しない場合(着色組成物調製例29)に比べて、水染みの発生が抑制できた。
第一特定金属元素(Ca及びFe)を多量に含有する着色組成物調製例122は、乾燥ムラが発生し、現像速度が遅く、現像残渣が多かった。
本発明の特定の金属含有量が規定された着色組成物は、高色材濃度、低粘度であるため、カラーフィルタの低膜厚化等が可能であるため、各種ディスプレイ等の製造に広く利用されるものである。

Claims (20)

  1. 色材、溶剤、重合開始剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有する着色組成物であって、該着色組成物に含まれるカルシウム(Ca)と鉄(Fe)の合計質量が、該着色組成物全体に対して0.5質量ppm以上120質量ppm以下であり、該アルカリ可溶性樹脂が炭化水素環を有するものであることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物(但し、下記一般式(1’)で示される色素を含有する着色組成物を除く。
    一般式(1’) (D-L1-Y-X-)n-R1-(R2m
    一般式(1’)中、R1は、m+n価の連結基を表し、Xは、-C(=O)O-、-C(=O)-、-C(=O)NR10-、-O-、-S(=O)-、または、-SO2-を表し、R10は水素原子またはアルキル基を表し、Yは、アルキレン基を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Dは、色素構造を表し、R2は、1価の置換基を表す;mは、1~13の整数を表し、nは、2~14の整数を表し、m+nは、3~15の整数を表す;mが2以上の場合、複数のR2は互いに異なっていても良く、nが2以上の場合、複数のDは互いに異なっていても良い;L1が2価の連結基の場合は、L1とXとは、Yにより炭素原子数として3以上隔てられており、L1が単結合の場合はDとXとは、Yにより炭素原子数として3以上隔てられている;D、L1、R1、R2、X、Yのうち少なくとも1つは酸基を有する。)。
  2. 更に、該着色組成物に含まれるマグネシウム(Mg)とクロム(Cr)の合計質量が、該着色組成物全体に対して135質量ppm以下である請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  3. 更に、該着色組成物に含まれるマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とクロム(Cr)の合計質量が、該着色組成物全体に対して135質量ppm以下である請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  4. 上記アルカリ可溶性樹脂の酸価が30~200mgKOH/gである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  5. 上記アルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(6)で表されるマレイミド構造を有するものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    Figure 2022176223000015

    [一般式(6)において、Rは、置換されていてもよい環状構造を有する炭化水素基である。]
  6. 上記アルカリ可溶性樹脂が、架橋環式脂肪族基を有するものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  7. 上記アルカリ可溶性樹脂が、スチレン構成単位を有するものである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  8. 上記アルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(7)で表される構成単位を有するものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    Figure 2022176223000016
    [一般式(7)において、Xは、水素原子又はメチル基である。また、Yは下記一般式(8)で表されるフェノキシエチル構造を有する基である。]
    Figure 2022176223000017
    [一般式(8)において、nは、1~8の整数である。]
  9. 上記アルカリ可溶性樹脂が、炭化水素環を有する構成単位を2種以上有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  10. 炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を2種以上含有し、そのうち少なくとも2種のアルカリ可溶性樹脂が、互いに異なる構成単位を有するものである請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  11. オキシムエステル系光重合開始剤を含有する請求項1ないし請求項10の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  12. α-アミノケトン系光重合開始剤、ビイミダゾール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤及びアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  13. メルカプト化合物を含有する請求項1ないし請求項12の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  14. 下記一般式(1)で表される構成単位を含む分散剤を含有する請求項1ないし請求項13の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    Figure 2022176223000018
    [一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Aは2価の連結基、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRが互いに結合して環構造を形成してもよい。]
  15. 上記分散剤における上記一般式(1)で表される構成単位のうちの少なくとも一部が、該構成単位の窒素がアンモニウムイオンとなるように、下記一般式(2)~(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物が結合して塩を形成してなる構成単位である請求項14に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    Figure 2022176223000019
    [一般式(2)において、Rは、炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は-O-Rを表し、Rは、炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は炭素数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。]
    Figure 2022176223000020
    [一般式(3)において、R、Rb’及びRb”は、それぞれ独立に、水素原子;酸性基若しくはそのエステル基;置換基を有してもよい炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよいビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は-O-Rを表し、Rは、置換基を有してもよい、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は炭素数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表し、Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
    Figure 2022176223000021
    [一般式(4)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は-O-Rを表し、Rは、炭素数1~20の、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;置換基を有してもよい、ビニル基、フェニル基若しくはベンジル基;又は炭素数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。ただし、R及びRの少なくとも1つは炭素原子を含む。]
  16. 上記色材が、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アゾ顔料、キノフタロン顔料、ジオキサジン顔料及びフタロシアニン顔料からなる群から選ばれる1種以上の有機顔料である請求項1ないし請求項15の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  17. 前記溶剤が、第1溶剤として沸点が150℃未満のグリコールエーテルアセテート系溶剤を含有し、且つ第2溶剤として沸点が172℃以上200℃以下の溶剤を含有し、前記沸点が172℃以上200℃以下の溶剤の含有量が、全溶剤中1質量%以上30質量%以下である請求項1ないし請求項16の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  18. 前記沸点が172℃以上200℃以下の溶剤が、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、及び3-メトキシブチルアセテートからなる群から選択される少なくとも1種である請求項17に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  19. 請求項1ないし請求項18の何れかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の硬化物である着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  20. 請求項19に記載のカラーフィルタを有するものであることを特徴とする表示装置。
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