JP2022175357A - 熱伝導部材およびそれを備えるバッテリー - Google Patents

熱伝導部材およびそれを備えるバッテリー Download PDF

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Abstract

【課題】熱源と冷却部材との間に介在する熱伝導部材の熱伝導を高める。【解決手段】本発明は、熱源と冷却部材との間に介在させて熱源から冷却部材へと熱を移動させることのできる熱伝導部材1であって、少なくとも厚さ方向に弾性変形可能な弾性シート10と、弾性シート10の厚さ方向の表側の面と裏側の面に交互に露出しながら弾性シート10の厚さ方向と直角でシート面内の所定方向に蛇行して進行するように備えられる熱伝導フィルム20と、弾性シート10と熱伝導フィルム20との間に部分的に備えられ、弾性シート10と熱伝導フィルム20とを接着固定可能な接着層16と、を備え、熱伝導フィルム20は、接着層16を介して弾性シート10に固定された固定領域21と、弾性シート10に固定されていない非固定領域22と、を有する熱伝導部材1およびそれを備えるバッテリーに関する。【選択図】図2

Description

本発明は、熱伝導部材およびそれを備えるバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)などから構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進行してきている。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発は重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。また、現在、バッテリーの高速かつ非接触での充電を実現する試験が進行しており、バッテリーの寿命を損なわないように、バッテリーの過充電に伴う発熱への対処も必要になる。このような事情から、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
上述した熱源からの放熱を促進するための熱伝導部材としては、例えば、熱伝導性に優れる薄いシートを樹脂製のシートの表裏方向に交互に露出させるように備える部材が知られている(特許文献1,2を参照)。
特開2015-201534号公報 特開2012-031242号公報
しかし、上記従来から公知の熱伝導部材には次のような課題がある。熱源と冷却部材との間に熱伝導部材を介在させる場合、熱源から冷却部材への熱伝導性能を上げるには、熱伝導部材と熱源あるいは冷却部材との密着が重要である。このため、熱伝導部材の厚さ方向に加圧して熱伝導部材を圧縮するのが好ましい。ここで、熱伝導部材が熱源と冷却部材との間に挟持されると、熱伝導部材の表側の面または裏側の面に露出している熱伝導フィルムが破損する可能性がある。この結果、熱源から熱伝導部材を介して冷却部材への熱伝導が低下する可能性がある。このような知見から、本発明者は、熱伝導部材が主に厚さ方向に収縮しても熱伝導フィルムが破損しにくく、もって放熱性に優れた熱伝導部材およびそれを備えるバッテリーを発明するに至った。このように、放熱性に優れた熱伝導部材およびそれを備えるバッテリーの開発の成功は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」という本出願人の持続可能な開発目標の達成にも資する。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、熱源と冷却部材との間に介在する熱伝導部材の熱伝導を高めることを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る熱伝導部材は、熱源と冷却部材との間に介在させて前記熱源から前記冷却部材へと熱を移動させることのできる熱伝導部材であって、少なくとも厚さ方向に弾性変形可能な弾性シートと、前記弾性シートの厚さ方向の表側の面と裏側の面に交互に露出しながら前記弾性シートの前記厚さ方向と直角でシート面内の所定方向に蛇行して進行するように備えられる熱伝導フィルムと、前記弾性シートと前記熱伝導フィルムとの間に部分的に備えられ、前記弾性シートと前記熱伝導フィルムとを接着固定可能な接着層と、を備え、前記熱伝導フィルムは、前記接着層を介して前記弾性シートに固定された固定領域と、前記弾性シートに固定されていない非固定領域と、を有する。
(2)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記接着層は、前記熱伝導フィルムの厚さ方向の片面のみに存在しても良い。
(3)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記熱伝導フィルムのうち前記弾性シートの厚さ方向の両面から露出していない部分とそれに隣接する前記弾性シートとの間の少なくとも一部に、前記接着層が介在しない隙間を備え、前記熱伝導フィルムは、前記隙間に接する領域を前記非固定領域としても良い。
(4)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記接着層は、前記熱伝導フィルムのうち前記弾性シートの厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分と前記弾性シートとの間の少なくとも一部に備えられても良い。
(5)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記弾性シートは、その厚さ方向に貫通する少なくとも1つの開口部を備え、前記熱伝導フィルムは、前記開口部の前記厚さ方向の一端側を覆うように備えられても良い。
(6)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記弾性シートは、その厚さ方向の一方の面から他方の面に到達しない位置まで当該厚さ方向に窪む少なくとも1つの凹部を備えても良い。
(7)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記熱伝導フィルムが覆う領域は、前記熱伝導フィルムの厚さ以上に突出していても良い。
(8)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記弾性シートは、前記弾性シートの厚さ方向の少なくとも片面において前記熱伝導フィルムが覆う領域に、前記熱伝導フィルムが覆わない領域よりも突出する突出部を有しても良い。
(9)別の実施形態に係る熱伝導部材において、好ましくは、前記弾性シートは、発泡シートであって、主に前記弾性シートの厚さ方向に長い孔を有しても良い。
(10)一実施形態に係るバッテリーは、前記熱源を、1または2以上のバッテリーセルとし、かつ前記冷却部材を、前記バッテリーセルを入れた筐体とし、上述のいずれかの熱伝導部材を前記バッテリーセルと前記筐体との間に介在させている。
本発明によれば、熱源と冷却部材との間に介在する熱伝導部材の熱伝導を高めることができる。
図1は、第1実施形態に係る熱伝導部材の平面図、右側面図および正面図(1A)と、当該熱伝導部材の斜視図(1B)とを示す。 図2は、図1の熱伝導部材をその平面図におけるA-A線にて切断したときの断面図およびその一部Bの拡大図(2A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(2B)とを示す。 図3は、図1の熱伝導部材の製造方法の一例を説明するための斜視図を示す。 図4は、図3の製造方法の変形例を説明するための斜視図を示す。 図5は、第2実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Dの拡大図(5A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(5B)とを示す。 図6は、第3実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Eの拡大図(6A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(6B)とを示す。 図7は、第4実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Fの拡大図(7A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(7B)とを示す。 図8は、第5実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Gの拡大図(8A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(8B)とを示す。 図9は、第6実施形態に係る熱伝導部材をその厚さ方向であって、その長さ方向に平行に切断したときの断面図およびその一部Hの拡大図(9A)と、当該熱伝導部材の弾性シート断面の電子顕微鏡写真(9B)とを示す。 図10は、熱伝導部材を備えるバッテリーの縦断面図を示す。 図11は、熱伝導部材の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図を示す。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
<熱伝導部材>
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る熱伝導部材の平面図、右側面図および正面図(1A)と、当該熱伝導部材の斜視図(1B)とを示す。図2は、図1の熱伝導部材をその平面図におけるA-A線にて切断したときの断面図およびその一部Bの拡大図(2A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(2B)とを示す。以後、厚さ方向、幅方向および長さ方向は、それぞれ、直方体の最も短い辺の方向、厚さ方向の次に長い辺の方向および最も長い辺の方向をいう。
第1実施形態に係る熱伝導部材1は、熱源と冷却部材との間に介在させて熱源から冷却部材へと熱を移動させることのできる部材である。熱伝導部材1は、弾性シート10と、熱伝導フィルム20と、接着層16と、を備える。弾性シート10は、少なくとも厚さ方向に弾性変形可能なシートである。弾性シート10は、厚さ方向に弾性変形可能であれば、幅方向および長さ方向にも弾性変形可能であっても良い。熱伝導フィルム20は、弾性シート10の厚さ方向の表側の面と裏側の面に交互に露出しながら弾性シート10の厚さ方向と直角でシート面内の所定方向(ここでは、弾性シート10の長さ方向)に蛇行して進行するように備えられるフィルムである。弾性シート10は、好ましくは、その厚さ方向に熱伝導フィルム20を貫通させて凹凸を繰り返すよう配置させることにより熱伝導フィルム20を保持する。すなわち、弾性シート10は、熱源と対向する面および冷却部材と対向する面において、所定間隔を空けて熱伝導フィルム20が露出するように、熱伝導フィルム20を保持する。接着層16は、弾性シート10と熱伝導フィルム20との間に部分的に備えられ、弾性シート10と熱伝導フィルム20とを接着固定可能な層である。熱伝導フィルム20は、接着層16を介して弾性シート10に固定された固定領域21と、弾性シート10に固定されていない非固定領域22と、を有する。本明細書において、「部分的」とは、弾性シート10と熱伝導フィルム20との間において、その全域に接着層16が介在しておらず、接着層16が介在する領域(固定領域21)と、接着層16が介在しない領域(非固定領域22)とが混在することを意味する。接着層16が介在する領域と接着層16が介在しない領域との割合は、熱伝導部材1を用いた製品の形態に応じて適宜設定すれば良いが、好ましくは、熱伝導フィルム20の厚さ方向の両面の面積に対して、非固定領域22が50~95%になるように形成する。
この実施形態では、弾性シート10は、好ましくは、幅方向および長さ方向に比べて厚さ方向の長さが極端に小さい薄いシートである。この実施形態に係る熱伝導フィルム20は、弾性シート10に比べて、熱伝導性が高くて伸縮性が低いフィルムである。熱伝導フィルム20は、表側の面において、弾性シート10の長さ方向に、好ましくは一定のピッチにて露出している。同様に、熱伝導フィルム20は、裏側の面においても、弾性シート10の長さ方向に、好ましくは一定のピッチにて露出している。ただし、ピッチは、一定ではなく、異なっていても良い。
弾性シート10の重要な機能は、熱伝導部材1に、変形容易性と回復力を付与することである。回復力は、弾性シート10の弾性変形性に起因する。変形容易性は、弾性シート10の柔軟性に起因する。弾性シート10は、その厚さに制約はないが、好ましくは0.2~20mm、より好ましくは0.5~10mmの厚さを有する。また、弾性シート10の厚さは、熱伝導フィルム20の厚さより大きいのが好ましい。
弾性シート10は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。弾性シート10は、熱伝導フィルム20を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、弾性シート10は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。この実施形態では、弾性シート10は、シリコーンゴムシートである。弾性シート10は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAl、AlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。弾性シート10は、より好ましくは、その内部に気泡を含むクッション性の高いスポンジである。この実施形態では、弾性シート10は、発泡シートである。また、「弾性シート」は、柔軟性に富み、弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「クッション部材」、「クッションシート」或いは「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。
熱伝導フィルム20の材料は、特に制約はないが、好ましくは、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、可撓性を有する部材である。熱伝導フィルム20は、より好ましくは、炭素フィルム若しくは炭素含有樹脂フィルムである。熱伝導フィルム20は、好ましくは、90質量%以上を炭素から構成されるフィルムである。例えば、熱伝導フィルム20に、樹脂を焼成して成るグラファイト製のフィルムを用いることもできる。ただし、熱伝導フィルム20は、炭素と樹脂とを含むフィルムであっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラフェン、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導フィルム20は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いフィルムとすることができる。熱伝導フィルム20は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。また、熱伝導フィルム20は、「熱伝導シート」と称しても良い。
熱伝導フィルム20を炭素と樹脂とを備えるフィルムとする場合には、当該樹脂が熱伝導フィルム20の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導フィルム20は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導フィルム20の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導フィルム20は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、Al、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なゴムを用いても良い。熱伝導フィルム20は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むフィルムとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、上記フィラーに熱伝導の異方性がある場合は、熱伝導フィルム成型時に流動配向、延伸配向、磁場配向などの方法によりフィラーの配向方向を制御して特定方向への熱伝導性をより高める手法を用いても良い。
熱伝導フィルム20は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導フィルム20の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導フィルム20は、好ましくは、グラファイト製のフィルムであり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導フィルム20は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるフィルムであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02~3mmが好ましく、0.03~0.5mmがより好ましい。
接着層16は、好ましくは、接着性を有する液状若しくは半固体状の接着剤が硬化した後の層である。接着剤としては、弾性シート10と熱伝導フィルム20とを接着固定可能なものであれば特に制約されないが、耐熱性に優れたものが好ましく、熱伝導性に優れたものがより好ましい。このような接着剤としては、例えば、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤等が好ましく、耐熱性およびゴム弾性に優れるシリコーン系接着剤がより好ましい。ただし、接着剤は、熱伝導性の低いものでも良い。
接着層16は、好ましくは、熱伝導フィルム20の厚さ方向の片面のみに存在する。より具体的には、熱伝導フィルム20は、好ましくは、その厚さ方向の両面が接着層16に挟まれた領域は存在せず、その厚さ方向の一方の面のみに接着層16が存在する領域および/またはその厚さ方向の両面ともに接着層16が存在しない領域から構成される。すなわち、熱伝導フィルム20は、好ましくは、固定領域21の反対側の面が非固定領域22となり、その厚さ方向の両面が弾性シート10と接着固定される領域が存在しない。よって、熱伝導部材1の厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮した場合であっても、少なくとも熱伝導フィルム20の厚さ方向の一方の面は弾性シート10と接着固定されていないため、弾性シート10の変形に追従して熱伝導フィルム20が破損するリスクを低減できる。
この実施形態において、接着層16は、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分(以後、単に「熱伝導フィルム20の露出部分」とも称する)と弾性シート10との間の少なくとも一部に備えられる(図2(2A)の一部Bの拡大図を参照)。熱伝導部材1は、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の両面から露出していない部分(以後、単に「熱伝導フィルム20の非露出部分」とも称する)とそれに隣接する弾性シート10との間の少なくとも一部に、接着層16が介在しない隙間60を備える(図2(2A)の一部Bの拡大図を参照)。熱伝導フィルム20は、接着層16に接する領域を固定領域21とし、その他の領域を非固定領域22とする。すなわち、熱伝導フィルム20において、隙間60に接する領域は、非固定領域22となる。よって、熱伝導部材1の厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮した場合であっても、熱伝導フィルム20が弾性シート10の変形に追従せずに隙間60側へ広がるように変形することができ、弾性シート10の変形に追従して熱伝導フィルム20が破損するリスクを低減できる。
この実施形態において、熱伝導部材1は、弾性シート10の表側の面および裏側の面における熱伝導フィルム20が覆う領域を、それ以外の領域に比べて熱伝導フィルム20の厚さ以上に突出させている。熱伝導部材1において、弾性シート10は、その厚さ方向の両面において、熱伝導フィルム20が覆う領域を、熱伝導フィルム20が覆わない領域よりも突出させている。より具体的には、この実施形態に係る弾性シート10は、その長さ方向に所定間隔で、弾性シート10の幅方向に長い突出部14を、厚さ方向の両面それぞれに12個ずつ備える。なお、突出部14は、2個以上であれば、12個に限定されない。熱伝導フィルム20は、弾性シート10の厚さ方向に貫通しながら突出部14の表面を覆っている。熱伝導部材1における熱伝導フィルム20が覆っている領域は、突出部14(弾性シート10の表側の面からの高さ:H1、裏側の面からの高さH2)と熱伝導フィルム20の厚さと接着層16の厚さとの合計分だけ、弾性シート10の表面よりも突出している。このため、熱伝導部材1の厚さ方向の面に接する熱源(若しくは冷却部材)の面に多少の凹凸があっても、熱伝導フィルム20を熱源や冷却部材に確実に接触させることができる。この実施形態では、H1>H2であるが、H1=H2、またはH1<H2でも良い。なお、弾性シート10は、その表側の面および裏側の面のいずれか1つの面における熱伝導フィルム20の領域に、突出部14を備えていても良い。また、弾性シート10は、突出部14を備えなくても良い。この場合、熱伝導部材1は、弾性シート10の表側の面および裏側の面における熱伝導フィルム20が覆う領域を、それ以外の領域に比べて熱伝導フィルム20の厚さだけ突出させていることが好ましい。これは、以後の実施形態または変形例においても同様である。
次に、熱伝導部材1の一部Bの拡大図の領域を示す図2(2B)を参照して、弾性シート10の厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させる製造方法を説明する。
まず、弾性シート10の長さ方向に一定の間隔をあけて、弾性シート10の幅方向に長い細長貫通孔11を形成する。これによって、細長貫通孔11が形成された弾性シート10aができる。この実施形態では、弾性シート10aは、その長さ方向に、合計11個の細長貫通孔11を備える。図2(2B)は、1つの細長貫通孔11の近傍を図示して、一部製造工程を示す。
熱伝導フィルム20の表側の面および裏側の面の所定位置に、接着剤を塗布して接着層16を形成する。接着層16は、弾性シート10aの厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させた際に、弾性シート10aの表側の面または裏側の面から露出する位置に形成されることが好ましい。
次に、弾性シート10aの表側の面に、接着層16が形成された熱伝導フィルム20を配置する。熱伝導フィルム20は、好ましくは、11個の細長貫通孔11を全て覆うように弾性シート10aを覆う。次に、熱伝導フィルム20を挟んで、弾性シート片10bを細長貫通孔11内に挿入する。この結果、細長貫通孔11に弾性シート片10bを挿入すると、弾性シート片10bによって熱伝導フィルム20を弾性シート10aの裏面側に露出させることができる。また、熱伝導フィルム20は、弾性シート10の表側の面または裏側の面から露出した部分の少なくとも一部が接着層16を介して弾性シート10と接着固定された固定領域21となり、その他の部分が非固定領域22となる。なお、弾性シート片10bは、細長貫通孔11の形成時に弾性シート10から切り取った部位であるのが好ましい。
図3は、図1の熱伝導部材の製造方法の一例を説明するための斜視図を示す。図2(2B)では、一部Bの領域だけで製造工程を説明したが、図3では、熱伝導部材の全領域にて製造工程を説明する。
熱伝導部材1の製造方法は、次の各工程(1)、(2)および(3)を含む。
(1)貫通孔形成工程
この工程は、弾性シート10に、厚さ方向の表側の面から裏側の面に貫通する細長貫通孔11を所定間隔おきに複数形成する工程である。
(2)熱伝導フィルム配置工程
この工程は、弾性シート10の表側の面に、好ましくは全ての細長貫通孔11を覆うように熱伝導フィルム20を配置する工程である。ただし、熱伝導フィルム20は、複数ある細長貫通孔11の一部を覆うように配置されても良い。その場合、全ての細長貫通孔11を覆うために複数の熱伝導フィルム20を用いても良い。この点は、以後の実施形態または変形例における同工程でも同様である。この工程で用いる熱伝導フィルム20は、その表側の面および裏側の面の所定位置に接着層16が形成されたフィルムである。すなわち、この工程の前段階として、熱伝導フィルム20の表側の面および裏側の面の所定位置に接着剤を塗布して接着層16を形成することが好ましい。
(3)弾性シート片挿入工程
この工程は、熱伝導フィルム20の上から、弾性シート片10bを細長貫通孔11に挿入して裏側の面から熱伝導フィルム20を露出させる工程である。
図3に示す製造工程では、細長貫通孔11の開口部分の一部(ここでは、開口部分の1つの短辺13)と弾性シート片10bとを連接しておき、弾性シート片10bを、回動軸として機能する短辺13に対して回動することにより、細長貫通孔11に対して弾性シート片10bを着脱可能にしている。すなわち、弾性シート10に細長貫通孔11を形成する際に、弾性シート片10bを細長貫通孔11から完全に分離せず、短辺13の箇所だけ残すようにカットしている。
このように、弾性シート片10bを細長貫通孔11の短辺13に連接しておくと、熱伝導部材1は、次のように製造できる。前述の貫通孔形成工程は、細長貫通孔11の形成、および細長貫通孔11の開口部分の一部(短辺13)につながる弾性シート片10bを回動させて細長貫通孔11から退避させる工程とすることができる。上述の熱伝導フィルム配置工程は、弾性シート片10bを弾性シート10aの外方向に回動させた状態の弾性シート10の表側の面に、細長貫通孔11を覆うように熱伝導フィルム20を配置する工程とすることができる。また、上述の弾性シート片挿入工程は、弾性シート片10bを細長貫通孔11に向けて回動させて細長貫通孔11に挿入する工程とすることができる(矢印Cを参照)。
こうして完成した熱伝導部材1では、弾性シート片10bの先端側の短辺12は、切り込みの形態となっており、その反対側の短辺13は、弾性シート10aと連接状態となっており、切り込まれていない。
図4は、図3の製造方法の変形例を説明するための斜視図を示す。図2(2B)では、一部Bの領域だけで製造工程を説明したが、図4では、熱伝導部材の全領域にて製造工程を説明する。
この変形例に係る製造方法は、図3の製造方法と異なり、弾性シート片10bが細長貫通孔11から完全に分離されている。このため、変形例に係る製造方法は、次の通りとなる。まず、弾性シート10に細長貫通孔11を形成する。このとき、弾性シート片10bは細長貫通孔11から完全に分離される。次に、細長貫通孔11を形成した弾性シート10aの表側の面に、好ましくは全ての細長貫通孔11を覆うように熱伝導フィルム20を配置する。ここで用いる熱伝導フィルム20は、図3の製造方法と同様に、その表側の面および裏側の面の所定位置に接着層16が形成されたフィルムである。最後に、弾性シート片10bを熱伝導フィルム20の上から、細長貫通孔11に向けて挿入する。
こうして完成した熱伝導部材1では、弾性シート片10bの先端側の短辺12およびその反対側の短辺13は、切り込みの形態となっている。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る熱伝導部材について説明する。第1実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Dの拡大図(5A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(5B)とを示す。
第2実施形態に係る熱伝導部材1aは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の両面から露出していない部分とそれに隣接する弾性シート10との間の少なくとも一部に、接着層16を備える。より具体的には、熱伝導部材1aは、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に接着層16を備える。また、熱伝導部材1aは、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の他方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に、接着層16が介在しない隙間60を備える。ただし、隙間60は必須ではない。熱伝導フィルム20は、接着層16を介さずに弾性シート片10bと隙間60なく接するようにしても良い。熱伝導部材1aは、熱伝導部材1(図2を参照)とは異なり、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間に接着層16を備えていない。この実施形態において、熱伝導フィルム20は、接着層16に接する領域、すなわち、非露出部分における厚さ方向の一方の面を固定領域21とし、その他の領域を非固定領域22とする。この実施形態において、熱伝導部材1aは、熱伝導フィルム20の非露出部分の弾性シート10a側の面と弾性シート10aとの間に接着層16を備え、当該非露出部分の弾性シート片10b側の面と弾性シート片10bとの間に隙間60を備える。ただし、熱伝導部材1aは、熱伝導フィルム20の非露出部分において、一方の面が接着層16に接し、かつ他方の面が隙間60に対向する形態であれば、いずれの面が接着層16に接し、または隙間60と対向していても良い。例えば、熱伝導部材1aは、当該非露出部分の弾性シート片10b側の面と弾性シート片10bとの間に接着層16を備え、当該非露出部分の弾性シート10a側の面と弾性シート10aとの間に隙間60を備えても良い。これによって、熱伝導フィルム20の接着層16と弾性シート片10bの側面下方とから貼り付き、弾性シート片10b片が挿入されていく。また、熱伝導フィルム20を弾性シート10aに載置したときに、弾性シート10aの表面に接着剤が付かない。また、熱伝導部材1aは、図5に示すように熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10とで挟まれた空間全体に接着層16を備えず、当該空間の一部領域にのみ接着層16を備えていても良い。
第2実施形態に係る熱伝導部材1aにおいても、第1実施形態に係る熱伝導部材1と同様に、熱伝導部材1aの厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮した場合であっても、熱伝導フィルム20が弾性シート10の変形に追従せずに隙間60側へ広がるように変形することができる。この結果、弾性シート10の変形に追従して熱伝導フィルム20が破損するリスクを低減できる。また、熱伝導部材1aでは、熱伝導フィルム20の存在する領域が突出部14と熱伝導フィルム20の厚さとの合計分だけ突出しており、シート面より高くなっている。このため、熱伝導部材1aの厚さ方向の面に接する熱源(若しくは冷却部材)の面に多少の凹凸があっても、熱伝導フィルム20を熱源や冷却部材に確実に接触させることができる。
次に、熱伝導部材1aの一部Dの拡大図の領域を示す図5(5B)を参照して、弾性シート10の厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させる製造方法を説明する。図5(5B)は、1つの細長貫通孔11の近傍を図示して、一部製造工程を示す。
まず、第1実施形態と同様に、細長貫通孔11が形成された弾性シート10aを形成する。そして、熱伝導フィルム20の裏側の面の所定位置に、接着剤を塗布して接着層16を形成する。接着層16は、熱伝導フィルム20の裏側の面であって、弾性シート10aの厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させた際に熱伝導フィルム20の非露出部分となる位置に形成されることが好ましい。
次に、第1実施形態と同様に、弾性シート10aの表側の面に、接着層16が形成された熱伝導フィルム20を配置し、熱伝導フィルム20を挟んで、弾性シート片10bを細長貫通孔11内に挿入する。この結果、細長貫通孔11に弾性シート片10bを挿入すると、弾性シート片10bによって熱伝導フィルム20を弾性シート10aの裏面側に露出させることができる。また、熱伝導フィルム20は、熱伝導フィルム20の非露出部分のうち弾性シート10a側の面が接着層16を介して弾性シート10aと接着固定された固定領域21となり、その他の部分が非固定領域22となる。なお、弾性シート片10bは、細長貫通孔11の形成時に弾性シート10から切り取った部位であるのが好ましい。また、接着層16は、熱伝導フィルム20の表側の面であって弾性シート10aの厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させた際に熱伝導フィルム20の非露出部分となる位置に形成されていても良い。この場合、接着層16は、熱伝導フィルム20の非露出部分のうち弾性シート片10b側の面と弾性シート片10bとの間に備えられる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る熱伝導部材について説明する。先の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図6は、第3実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Eの拡大図(6A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(6B)とを示す。
第3実施形態に係る熱伝導部材1bは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分と弾性シート10との間の少なくとも一部および、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の両面から露出していない部分とそれに隣接する弾性シート10との間の少なくとも一部に、接着層16を備える。より具体的には、熱伝導部材1bは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の表側の面から露出した部分と弾性シート10との間および、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に、接着層16を備える。また、熱伝導部材1bは、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の他方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に、接着層16が介在しない隙間60を備える。この実施形態において、熱伝導部材1bは、熱伝導フィルム20の非露出部分において、非露出部分の弾性シート10a側の面と弾性シート10aとの間に接着層16を備え、非露出部分の弾性シート片10b側の面と弾性シート片10bとの間に隙間60を備える。ただし、熱伝導部材1bは、熱伝導フィルム20の非露出部分において、一方の面が接着層16に接し、かつ他方の面が隙間60に接する形態であれば、いずれの面が接着層16または隙間60と接していても良い。例えば、熱伝導部材1bは、当該非露出部分の弾性シート片10b側の面と弾性シート片10bとの間に接着層16を備え、当該非露出部分の弾性シート10a側の面と弾性シート10aとの間に隙間60を備えても良い。また、熱伝導部材1bは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の裏側の面から露出した部分と弾性シート10との間に接着層16を備えていても良い。また、熱伝導部材1bは、図6に示すように熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の表側の面から露出した部分と弾性シート10とで挟まれた空間全体に接着層16を備えず、当該空間の一部領域にのみ接着層16を備えていても良い。また、熱伝導部材1bは、図6に示すように熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10とで挟まれた空間全体に接着層16を備えず、当該空間の一部領域にのみ接着層16を備えていても良い。
第3実施形態に係る熱伝導部材1bにおいても、熱伝導部材1,1aと同様に、熱伝導部材1bの厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮した場合であっても、熱伝導フィルム20が弾性シート10の変形に追従せずに隙間60側へ広がるように変形することができる。よって、弾性シート10の変形に追従して熱伝導フィルム20が破損するリスクを低減できる。また、熱伝導部材1bでは、熱伝導フィルム20の存在する領域が少なくとも突出部14と熱伝導フィルム20の厚さとの合計分だけ突出しており、シート面より高くなっている。このため、熱伝導部材1bの厚さ方向の面に接する熱源(若しくは冷却部材)の面に多少の凹凸があっても、熱伝導フィルム20を熱源や冷却部材に確実に接触させることができる。
次に、熱伝導部材1bの一部Eの拡大図の領域を示す図6(6B)を参照して、弾性シート10の厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させる製造方法を説明する。図6(6B)は、1つの細長貫通孔11の近傍を図示して、一部製造工程を示す。
まず、先述の各実施形態と同様に、細長貫通孔11が形成された弾性シート10aを形成する。そして、熱伝導フィルム20の片面(ここでは、裏側の面)の所定位置に、接着剤を塗布して接着層16を形成する。接着層16は、熱伝導フィルム20の裏側の面であって、弾性シート10aの厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させた際に、弾性シート10の表側の面に露出する位置および熱伝導フィルム20の非露出部分となる位置に形成されることが好ましい。
次に、先述の各実施形態と同様に、弾性シート10aの表側の面に、接着層16が形成された熱伝導フィルム20を配置し、熱伝導フィルム20を挟んで、弾性シート片10bを細長貫通孔11内に挿入する。この結果、細長貫通孔11に弾性シート片10bを挿入すると、弾性シート片10bによって熱伝導フィルム20を弾性シート10aの裏面側に露出させることができる。また、熱伝導フィルム20は、弾性シート10aの表側の面に露出した部分および非露出部分の弾性シート10a側の面が接着層16を介して弾性シート10aと接着固定された固定領域21となり、その他の部分が非固定領域22となる。なお、弾性シート片10bは、細長貫通孔11の形成時に弾性シート10から切り取った部位であるのが好ましい。また、接着層16は、熱伝導フィルム20の表側の面であって、弾性シート10aの厚さ方向両面に交互に熱伝導フィルム20を露出させた際に、弾性シート10の表側の面に露出する位置および熱伝導フィルム20の非露出部分となる位置に形成されても良い。この場合、接着層16は、熱伝導フィルム20の弾性シート片10bの裏側の面に露出した部分および熱伝導フィルム20の非露出部分の弾性シート片10b側の面と弾性シート片10bとの間に備えられる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る熱伝導部材について説明する。先の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図7は、第4実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Fの拡大図(7A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(7B)とを示す。
第4実施形態に係る熱伝導部材1cの弾性シート10は、その厚さ方向に貫通する少なくとも1つの開口部62を備える。開口部62は、好ましくは、弾性シート10の幅方向(図7の奥行方向)全域にわたって形成されている。ただし、開口部62は、弾性シート10の幅方向の一部に形成されていても良いし、弾性シート10の幅方向に沿って所定間隔を空けて複数形成されていても良い。また、開口部62は、その形状に特に制約はなく、例えば、平面視にて略矩形状、略円形状、略楕円形状等であっても良い。また、開口部62は、弾性シート10に少なくとも1つ備えられていればその個数、大きさ、配置等は特に制約されず、例えば、弾性シート10の長さ方向(図7の左右方向)に沿って、規則的に複数備えられていても良いし、不規則的に複数備えらえていても良い。熱伝導部材1cの弾性シート10は、熱伝導部材1,1a,1bの弾性シート10と同様に、好ましくは、その厚さ方向に熱伝導フィルム20を貫通させて凹凸を繰り返すよう配置させることにより熱伝導フィルム20を保持する。熱伝導フィルム20は、好ましくは、開口部62の厚さ方向の一端側を覆うように備えられる。
熱伝導部材1cは、好ましくは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分と弾性シート10との間の少なくとも一部に接着層16を備える。ただし、接着層16は、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間に代えて、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に備えられていても良い。また、接着層16は、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間の少なくとも一部、および熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間の少なくとも一部に備えられていても良い。
第4実施形態に係る熱伝導部材1cは、弾性部材10がその厚さ方向に貫通する開口部62を備えるため、当該シートの面に沿う方向に比べてその面に沿う方向と直角である厚さ方向の方が、熱伝導に優れ、かつ厚さ方向に圧縮されにくくなる。このため、熱源から冷却部材への熱移動の際に、熱伝導フィルム20および弾性シート10の両方の熱伝導を期待できる。加えて、弾性シート10が確実に熱伝導フィルム20を保持して、熱源および冷却部材と熱伝導フィルム20との密着を実現しやすくなる。また、熱伝導部材1cの厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮した場合であっても、弾性部材10がその厚さ方向の圧縮により長さ方向へ広がる変形を低減することができる。よって、弾性シート10の変形に追従して熱伝導フィルム20が破損するリスクをさらに低減できる。また、軽量化、圧縮時に必要な荷重の低減も期待できる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る熱伝導部材について説明する。先の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図8は、第5実施形態に係る熱伝導部材の図2と同視の断面図およびその一部Gの拡大図(8A)と、当該熱伝導部材の製造工程の一部状況の拡大断面図(8B)とを示す。
第5実施形態に係る熱伝導部材1dの弾性シート10は、その厚さ方向の一方の面から他方の面に到達しない位置まで当該厚さ方向に窪む少なくとも1つの凹部64を備える。凹部64は、好ましくは、弾性シート10の幅方向(図8の奥行方向)全域にわたって形成されている。ただし、凹部64は、弾性シート10の幅方向の一部に形成されていても良いし、弾性シート10の幅方向に沿って所定間隔を空けて複数形成されていても良い。また、凹部64は、その形状に特に制約はなく、例えば、断面視(厚さ方向かつ長さ方向に平行に切断したときの断面視)にて略矩形状、略半円形状、略三角形状等であっても良い。また、凹部64は、弾性シート10に少なくとも1つ備えられていればその個数、大きさ、および配置等は特に制約されない。例えば、熱伝導部材1dは、弾性シート10の長さ方向(図8の左右方向)に沿って、規則的に複数の凹部64が備えられていても良いし、不規則的に複数の凹部64が備えらえていても良い。また、例えば、熱伝導部材1dは、同一種類の凹部64が複数備えられていても良いし、2種類以上の凹部64が混在して備えられていても良い。熱伝導部材1dの弾性シート10は、熱伝導部材1,1a,1bの弾性シート10,10dと同様に、好ましくは、その厚さ方向に熱伝導フィルム20を貫通させて凹凸を繰り返すよう配置させることにより熱伝導フィルム20を保持する。この実施形態において、熱伝導フィルム20は、好ましくは、弾性シート10の厚さ方向において、凹部64が形成されていない側の面を覆っている。ただし、熱伝導フィルム20は、弾性シート10の厚さ方向において、凹部64側の面を覆っていても良い。
熱伝導部材1dは、好ましくは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分と弾性シート10との間の少なくとも一部に接着層16を備える。ただし、接着層16は、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間に代えて、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に備えられていても良い。また、接着層16は、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間の少なくとも一部、および熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間の少なくとも一部に備えられていても良い。
第5実施形態に係る熱伝導部材1dは、弾性部材10がその厚さ方向に窪む凹部64を備えるため、当該シートの面に沿う方向に比べてその面に沿う方向と直角である厚さ方向の方が、熱伝導に優れ、かつ厚さ方向に圧縮されにくくなる。このため、熱源から冷却部材への熱移動の際に、熱伝導フィルム20および弾性シート10の両方の熱伝導を期待できる。加えて、弾性シート10が確実に熱伝導フィルム20を保持して、熱源および冷却部材と熱伝導フィルム20との密着を実現しやすくなる。また、熱伝導部材1dの厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮した場合であっても、弾性部材10がその厚さ方向の圧縮により長さ方向へ広がる変形を低減することができる。よって、弾性シート10の変形に追従して熱伝導フィルム20が破損するリスクをさらに低減できる。
また、軽量化、圧縮時に必要な荷重の低減も期待できる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る熱伝導部材について説明する。先の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図9は、第6実施形態に係る熱伝導部材をその厚さ方向であって、その長さ方向に平行に切断したときの断面図およびその一部Hの拡大図(9A)と、当該熱伝導部材の弾性シート断面の電子顕微鏡写真(9B)とを示す。
第6実施形態に係る熱伝導部材1eの弾性シート10は、発泡シートであって、主に弾性シート10の厚さ方向に長い孔17を有している。ここで、「主に」とは、孔17の総数に占める当該厚さ方向に長い孔17の数の割合が50%を超えていることを意味する。当該割合は、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上である。孔17は、典型的には、短径wに比べて長径lの大きな形状を有する(図9(9B)の写真を参照)。
一方向に長い孔17を有する発泡シートは、例えば、次のような製法にて得ることができる。加硫化前のシート組成物の両面に樹脂シート(例えば、PETシート)を貼ってから加硫化する。加硫化後、PETシートで挟まれた領域を切り出すと、PETシートで挟んだ方向に長い孔17を有する発泡シートが得られる。
弾性シート10をその厚さ方向に長い孔17を多数備える発泡シートとすると、当該シートの面に沿う方向に比べてその面に沿う方向と直角である厚さ方向の方が、熱伝導に優れ、かつ厚さ方向に圧縮されにくくなる。このため、熱源から冷却部材への熱移動の際に、熱伝導フィルム20および弾性シート10の両方の熱伝導を期待できる。加えて、弾性シート10が確実に熱伝導フィルム20を保持して、熱源および冷却部材と熱伝導フィルム20との密着を実現しやすくなる。また、発泡シートの孔17の長径lが厚さ方向に配向している場合の方が、圧縮永久ひずみが良くなり、この結果、熱源への密着力の向上、および耐久性の向上も期待できる。
熱伝導部材1eは、好ましくは、熱伝導フィルム20のうち弾性シート10の厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分と弾性シート10との間の少なくとも一部に接着層16を備える。ただし、接着層16は、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間の少なくとも一部に代えて、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に備えられていても良い。また、接着層16は、熱伝導フィルム20の露出部分と弾性シート10との間の少なくとも一部、および熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の一方の面とそれに隣接する弾性シート10との間に備えられていても良い。また、熱伝導部材1eは、熱伝導部材1c,1dと同様に、開口部62および/または凹部64を備えていても良い。
<バッテリー>
次に、本実施形態に係るバッテリーについて説明する。
図10は、熱伝導部材を備えるバッテリーの縦断面図を示す。ここで、「縦断面図」は、バッテリーの筐体内部の上方開口面から底部へと垂直に切断する図を意味する。
この実施形態に係るバッテリー40において、熱源は1または2以上のバッテリーセル30である。また、冷却部材はバッテリーセル30を入れた筐体41である。前述の熱伝導部材1は、バッテリーセル30と筐体41との間に介在している。以下、バッテリー40の構造について説明する。
この実施形態において、バッテリー40は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル30を備える。バッテリー40の好適な例としては、リチウムイオンバッテリーを挙げることができる。バッテリー40は、一方に開口する有底型の筐体41を備える。筐体41は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル30は、筐体41の内部44に配置される。バッテリーセル30の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル30は、好ましくは、筐体41内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体41の底部42には、冷却水45を流すために、1または複数の水冷パイプ43が備えられている。バッテリーセル30は、筐体41の一部を構成する底部42(冷却部材の一例)との間に、熱伝導部材1を挟むようにして、筐体41内に配置される。
上記構造のバッテリー40では、バッテリーセル30は、熱伝導部材1を通じて筐体41に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却水45は、「冷却媒体」あるいは「冷却剤」と読み替えても良い。冷却水45に代えて、液体窒素、エタノール等の有機溶剤を用いても良い。
バッテリーセル30を筐体41内にセットした状態では(図10を参照)、熱伝導部材1は、バッテリーセル30と、水冷パイプ43を備える底部42(筐体41の一部)との間において、熱伝導部材1の厚さ方向に圧縮される。この結果、バッテリーセル30からの熱は、熱伝導フィルム20、底部42、水冷パイプ43、冷却水45へと伝わりやすくなる。バッテリー40は、熱伝導部材1に代えて、先述の熱伝導部材1a,1b,1c,1d,1eを備えていても良い。
図11は、熱伝導部材の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図を示す。
先述の実施形態では、バッテリーセル30を縦にしてその下端に熱伝導部材1を接触せしめている状況について説明したが、バッテリーセルの構造および配置の形態は、これに限定されない。図11に示すように、パウチ袋内にバッテリー液を封入したバッテリーセル31の側面を熱伝導部材1の熱伝導フィルム20に接触させるように、バッテリーセル31を配置しても良い。バッテリーセル31は、充電および放電の際に温度上昇する。バッテリーセル31の容器自体が柔軟性に富む材料にて形成されていると、バッテリーセル31の特に側面が膨らむ可能性がある。そのような場合でも、図14に示すように、熱伝導部材1がバッテリーセル31の外面の形状に合わせて変形できるので、充放電時にも放熱性を高く維持できる。また、熱伝導部材1に代えて、熱伝導部材1a,1b,1c,1d,1eにバッテリーセル31の側面を接触させても良い。
(その他実施形態)
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
弾性シート10は、その形状に特に制約はなく、少なくともバッテリーセル30,31と対向する面および底部42と対向する面において、所定間隔を空けて熱伝導フィルム20が露出するように熱伝導フィルム20を保持可能な形状であれば、例えば、楕円、台形、円、多角形状等であっても良い。細長貫通孔11は、例えば、平面視にて細長くない形状の貫通孔でも良い。
また、第2実施形態において、熱伝導部材1aは、熱伝導フィルム20の非露出部分における厚さ方向の両面の少なくとも一部とそれに隣接する弾性シート10との間にそれぞれ接着層16を備えていても良い。この場合、熱伝導フィルム20は、非露出部分において、その厚さ方向の両面が接着層16に挟まれた領域を有していても良い。
また、先述の各実施形態において、弾性シート10は、好ましくは、熱伝導フィルム20と接する縁にテーパー部位を備えていても良い。また、弾性シート10は、テーパー部位に代えて、カーブ部位を備えても良い。ここで、テーパー部位とは、略直角の縁の角を平面状に除して傾斜面とした部位をいう。カーブ部位とは、略直角の縁の角を弧状、すなわちカーブを描くようにした部位をいう。この場合、熱伝導フィルム20は、弾性シート10のテーパー部材(若しくはカーブ部位)を覆うことが好ましい。また、熱伝導フィルム20は、弾性シート10のテーパー部位(若しくはカーブ部位)の箇所に、テーパー部位(若しくはカーブ部位)を備えていても良い。このように構成された熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eによれば、熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eの厚さ方向を熱源と冷却部材とで挟んで圧縮しても、熱伝導フィルム20が弾性シート10の縁で破損するリスクをさらに低減できる。
また、先述の各実施形態において、弾性シート10は、その厚さ方向の少なくとも片面において、熱伝導フィルム20によって覆われている領域を除く領域の少なくとも一部に、熱源または冷却部材と粘着可能な粘着層を備えていても良い。この場合、弾性シート10上の粘着層の高さは、好ましくは、熱伝導フィルム20と同一若しくはそれ以下の高さである。このように構成することにより、熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eを熱源と冷却部材との間で圧縮した際に、粘着層が圧縮されて熱伝導フィルム20側に侵出するリスクを低減できる。なお、粘着層は、熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eを熱源と冷却部材との間に装着し、その後に剥がす動作を繰り返し行うことのできる層であるのが好ましい。
また、先述の各実施形態において、弾性シート10は、その長さ方向において、熱伝導フィルム20を挟んで硬度の異なる部材を備えていても良い。より具体的には、熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eは、その長さ方向の一端から他端に向かって、高硬度の弾性シート、熱伝導フィルム20、低硬度の弾性シート、熱伝導フィルム20、高硬度の弾性シート、熱伝導フィルム20、低硬度の弾性シート、・・・のように繰り返し備えられていても良い。このように構成された熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eにおいて、高硬度の弾性シート上に熱伝導フィルム20を被せた部分をバッテリーセル30側にして、低硬度の弾性シート上に熱伝導フィルム20を被せた部分を筐体41側にすると、バッテリーセル30と熱伝導フィルム20とをより確実に接触させることができる。
また、熱源は、バッテリーセル30,31のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。また、熱伝導部材1,1a,1b,1c,1d,1eは、バッテリー40以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、熱伝導部材1eは、熱伝導部材1dのように、弾性シート10に開口部62を備えていても良い。
本発明は、熱源と当該熱源より低温の冷却部材との間に配置され、熱源から冷却部材へと熱伝導を促進する分野にて利用可能である。
1,1a,1b,1c,1d,1e・・・熱伝導部材、10,10a・・・弾性シート(一例として発泡シート)、10b・・・弾性シート片(一例として発泡シート)、14・・・突出部、16・・・接着層、17・・・孔、20・・・熱伝導フィルム、30,31・・・バッテリーセル(熱源の一例)、40・・・バッテリー(熱源の一例)、41・・・筐体、42・・・底部(冷却部材の一例)、60・・・隙間、62・・・開口部、64・・・凹部。

Claims (10)

  1. 熱源と冷却部材との間に介在させて前記熱源から前記冷却部材へと熱を移動させることのできる熱伝導部材であって、
    少なくとも厚さ方向に弾性変形可能な弾性シートと、
    前記弾性シートの厚さ方向の表側の面と裏側の面に交互に露出しながら前記弾性シートの前記厚さ方向と直角でシート面内の所定方向に蛇行して進行するように備えられる熱伝導フィルムと、
    前記弾性シートと前記熱伝導フィルムとの間に部分的に備えられ、前記弾性シートと前記熱伝導フィルムとを接着固定可能な接着層と、
    を備え、
    前記熱伝導フィルムは、前記接着層を介して前記弾性シートに固定された固定領域と、前記弾性シートに固定されていない非固定領域と、を有することを特徴とする熱伝導部材。
  2. 前記接着層は、前記熱伝導フィルムの厚さ方向の片面のみに存在することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
  3. 前記熱伝導フィルムのうち前記弾性シートの厚さ方向の両面から露出していない部分とそれに隣接する前記弾性シートとの間の少なくとも一部に、前記接着層が介在しない隙間を備え、
    前記熱伝導フィルムは、前記隙間に接する領域を前記非固定領域とすることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導部材。
  4. 前記接着層は、前記熱伝導フィルムのうち前記弾性シートの厚さ方向の少なくとも一方の面から露出した部分と前記弾性シートとの間の少なくとも一部に備えられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱伝導部材。
  5. 前記弾性シートは、その厚さ方向に貫通する少なくとも1つの開口部を備え、
    前記熱伝導フィルムは、前記開口部の前記厚さ方向の一端側を覆うように備えられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱伝導部材。
  6. 前記弾性シートは、その厚さ方向の一方の面から他方の面に到達しない位置まで当該厚さ方向に窪む少なくとも1つの凹部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の熱伝導部材。
  7. 前記熱伝導フィルムが覆う領域は、前記熱伝導フィルムの厚さ以上に突出していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の熱伝導部材。
  8. 前記弾性シートは、前記弾性シートの厚さ方向の少なくとも片面において前記熱伝導フィルムが覆う領域に、前記熱伝導フィルムが覆わない領域よりも突出する突出部を有することを特徴とする請求項7に記載の熱伝導部材。
  9. 前記弾性シートは、発泡シートであって、主に前記弾性シートの厚さ方向に長い孔を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の熱伝導部材。
  10. 前記熱源は1または2以上のバッテリーセルであり、かつ前記冷却部材は前記バッテリーセルを入れた筐体であり、請求項1から9のいずれか1項に記載の熱伝導部材を前記バッテリーセルと前記筐体との間に介在させていることを特徴とするバッテリー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024048572A1 (ja) * 2022-08-31 2024-03-07 住友理工株式会社 バッテリーパック用弾性部材およびその製造方法

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