JP2022171287A - 防水ファン - Google Patents

Abstract

【課題】防水カバーとエポキシ樹脂の接合強度の高い防水ファンを提供する。【解決手段】回転軸２０の軸線回りに回転可能な回転翼Ｗと、永久磁石３３を有するロータ３と、回転翼Ｗよりも内径側に位置し回転軸２０の軸線に対して径方向に延びる複数のステータコアと、各々のステータコアに巻かれた巻き線４２とを有するステータ４と、巻き線４２に電気的に接続された回路基板５と、回路基板５を覆う第一樹脂製の防水カバー６と、少なくともステータ４を覆う第二樹脂製のモールド部７と、を有する。防水カバー６は、巻き線４２と回路基板５とを隔てる仕切り部６４と、仕切り部６４から巻き線４２の間の空間に向かって突出する突出部６５が設けられている。巻き線４２と仕切り部６４と突出部６５との間の隙間がモールド部７を構成する第二樹脂で埋められている。【選択図】図２

Description

本発明は、防水ファンに関する。

特許文献１に、防水ファンが開示されている。この防水ファンは、ファンを駆動させるモータの巻き線を樹脂で覆うようにモールドすることにより、巻き線の防水を図っている。

特開２０１５－１１７６３５号公報

ところで、特許文献１に記載の防水ファンでは、基板の周囲の空間と巻き線の周囲の空間を防水樹脂（エポキシ樹脂）で充填することで基板と巻き線の防水を図っている。
しかしながら、このような構造ではエポキシ樹脂による充填量が多くなることから、基板を収容する空間と巻き線を配置する空間とを防水カバーで仕切り、基板を収容する空間は防水カバーで防水を図りつつ、巻き線の周囲のみにエポキシ樹脂を充填して巻き線の防水を図ることが検討されている。

しかしながら、防水カバーを用いた構造において、周囲温度が高温になったり低温になったりすると、金属製又は樹脂製の防水カバーとエポキシ樹脂との線膨張係数が異なることから、これらの間に熱応力が生じ、防水カバーがエポキシ樹脂から剥離してしまう虞があることを見出した。

そこで、本発明は、防水カバーと防水用の樹脂との接合強度の高い防水ファンを提供する。

本発明の一側面に係る防水ファンは、
回転軸線回りに回転可能な回転翼と、永久磁石を有するロータと、
前記回転翼よりも内径側に位置し前記回転軸線に対して径方向に延びる複数のステータコアと、各々の前記ステータコアに巻かれた巻き線とを有するステータと、
前記巻き線に電気的に接続された回路基板と、
前記回路基板を覆う第一樹脂製の防水カバーと、
少なくとも前記ステータを覆う第二樹脂製のモールド部と、を有し、
前記防水カバーは、
前記巻き線と前記回路基板とを隔てる仕切り部と、
前記仕切り部から前記巻き線の間の空間に向かって突出する突出部が設けられ、
前記巻き線と前記仕切り部と前記突出部との間の隙間が前記第二樹脂で埋められている。

本発明によれば、防水カバーと防水用の樹脂との接合強度の高い防水ファンを提供することができる。

本発明の実施形態に係る防水ファンの正面図である。 防水ファンの断面図である。 防水カバーの斜視図である。 図２とは異なる位置における防水ファンの断面図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。

図１は、本発明の実施形態に係る防水ファン１の正面図である。図３は、防水ファン１に設けられている防水カバー６（第一カバー６１）の前方斜視図である。なお、以降の説明において、便宜的に図中において、符号Ｆは防水ファン１の前方、符号Ｂは防水ファン１の後方をそれぞれ示している。

図１に示すように、防水ファン１は、回転軸２０の回りに回転可能な複数（本例では、７枚）の回転翼Ｗと、当該回転翼Ｗの径方向の外周を囲む円筒体状のケーシングＣと、を備える。防水ファン１は、回転翼Ｗの回転によって、回転軸２０の回転軸線Ａの一方から他方へ流れる気流を生じさせる。なお、以降の説明において便宜的に、回転軸線Ａの一方側を前方Ｆ、他方側を後方Ｂと呼ぶことがある。

複数の回転翼Ｗは、ハブ部２１の周囲に放射状に取り付けられている。ハブ部２１は、略カップ状に形成されており、回転軸２０の周囲を囲うように設けられている。なお、図１に示す防水ファン１では、ステータ４の内部の様子を破線で描いている。

回転翼Ｗはハブ部２１に取り付けられている。回転翼Ｗは、当該回転翼Ｗの回転により、回転翼ＷとケーシングＣとの間に気流を生じさせる。回転翼Ｗは、回転軸線Ａの一方側から他方側へ向けて気流を生じさせる形状及び構造に形成されている。また、回転翼Ｗを囲むケーシングＣは、矩形状に形成されたフレーム部２２と、当該フレーム部２２の中央に区画形成されて、気流を案内する円形状の風洞部２３と、を有する。

図２は、図１におけるＩＩ－ＩＩ線における断面図である。図４は、図１におけるＩＩ－ＩＶ線における断面図である。
図２及び図４に示すように、防水ファン１は、回転翼Ｗを回転駆動させるためのモータ２を備える。モータ２は、回転翼Ｗが取り付けられているハブ部２１の内部に設けられている。モータ２は、例えば、アウターロータ型のブラシレスモータにより構成される。モータ２は、ステータ４と、当該ステータ４の外周に配置されるロータ３と、を有する。

ロータ３は、略カップ状のロータカバー３１と、当該ロータカバー３１の中心部にブッシュ３２によって圧入された回転軸２０と、ロータカバー３１に固定された永久磁石３３と、を有する。ロータカバー３１は、ハブ部２１内に嵌入されている。ロータカバー３１が嵌入されたハブ部２１は、ブッシュ３２を介して、回転軸２０を固定している。

ロータカバー３１は、例えば、炭素鋼鋳鋼品（ＳＣ材）などの磁性体で構成されている。ロータカバー３１の軸方向に沿った内周面には、永久磁石３３が周方向に並ぶように固着されている。ロータカバー３１は、磁力線を閉じて電磁誘導効果を高める。

回転軸２０は、後述するステータフレーム２５に固定されたベアリング２４に回転可能に支持されている。ベアリング２４は、ステータフレーム２５の中央部に形成された筒体状のベアリング保持部２６の内周面に固定されている。

ステータ４は、回転翼Ｗよりも内径側に配置される複数のステータコア４１と、当該ステータコア４１のそれぞれに巻かれた巻き線４２と、ステータフレーム２５を有する。

ステータフレーム２５は概ねカップ状を呈している。ステータフレーム２５と、回転翼Ｗが取り付けられたハブ部２１とは、互いにカップ形状の内側が対向した姿勢で回転軸線Ａの方向に沿って設けられている。

各々のステータコア４１は、回転軸線Ａに対して径方向に延びている。ステータコア４１は、薄い金属板を板厚方向へ複数枚積層して形成されている。ステータコア４１の材料としては、例えば、珪素鋼板が用いられる。

各々のステータコア４１は、インシュレータ４３を介してベアリング保持部２６の外周側に設けられている。インシュレータ４３は、ステータコア４１の上面に設けられた上インシュレータ４３Ａと、ステータコア４１の下面に設けられた下インシュレータ４３Ｂとにより構成されている。上インシュレータ４３Ａには、回転軸線Ａの方向に延びる上内側突出部と上外側突出部が設けられている。これら上内側突出部と上外側突出部との間に上スロット４４Ａが形成されている。下インシュレータ４３Ｂにも、回転軸線Ａの方向に延びる下内側突出部と下外側突出部が設けられている。これら下内側突出部と下外側突出部との間に下スロット４４Ｂが形成されている。

巻き線４２は、ステータコア４１の周囲に巻かれている。巻き線４２は、上スロット４４Ａおよび下スロット４４Ｂの間に収容されている。巻き線４２とステータコア４１の上面との間には上インシュレータ４３Ａが位置しており、また、巻き線４２とステータコア４１の下面との間には下インシュレータ４３Ｂが位置しているので、巻き線４２がステータコア４１と導通しない。また、回転軸線Ａの方向から見て、上インシュレータ４３Ａの形状はステータコア４１より大きく、下インシュレータ４３Ｂの形状はステータコア４１より大きい。このため、上インシュレータ４３Ａと下インシュレータ４３Ｂとの間に位置する巻き線４２もステータコア４１と導通することもない。

防水ファン１はさらに、ステータフレーム２５に支持された回路基板５と、当該回路基板５を覆う防水カバー６と、を備える。

回路基板５は、ステータ４の後側に配置されている。回路基板５には、モータ２を制御するための配線パターンが形成されている。回路基板５は、ステータコア４１に巻回された巻き線４２に電気的に接続されている。回路基板５には、配線パターンに接続される連絡端子５１が半田付けされている。回路基板５は、連絡端子５１に巻き線４２が接続されることで巻き線４２と電気的に接続される。なお、図示を省略するが、回路基板５には、防水ファン１に電源を供給するためのリード線が接続されている。

防水カバー６は、回路基板５を前側から覆う第一カバー６１と、回路基板５を後側から覆う第二カバー６２と、を有する。回路基板５は、第一カバー６１と第二カバー６２とによって形成される収容空間６３に収容されている。防水カバー６（第一カバー６１と第二カバー６２）は、電気絶縁性の合成樹脂で構成されている。

第一カバー６１は、図２及び図３に示すように、後方に開口するカップ状の部材である。第一カバー６１は、ステータコア４１に巻回された巻き線４２と回路基板５とを隔てる仕切り部６４と、当該仕切り部６４から前方へ向かって突出する複数（本例では、４本）の突出部６５と、を有する。

仕切り部６４は、回転軸線Ａに交差する面に沿って延びる板状の部位である。仕切り部６４の中央部には、回転軸２０、ベアリング２４、及びベアリング保持部２６等が挿通される挿通孔６６が設けられている。また、仕切り部６４の周辺部には、回路基板５に半田付けされた連絡端子５１が挿通される連絡孔６７が設けられている。

突出部６５は、回転軸線Ａに沿って延びる筒状の部位である。突出部６５は、回転軸線Ａの方向から見て各々の巻き線４２の間の空間に向かって突出し、当該空間を埋めるように設けられる。突出部６５の内部は、空洞６５ｈとなるように形成されている。図示した例では、突出部６５は、突出方向を横切る断面の形状が等脚台形状を呈している。

第一カバー６１は、仕切り部６４の連絡孔６７に回路基板５の連絡端子５１が挿通されるとともに、突出部６５の各々が各ステータコア４１に巻回された巻き線４２の間の空間内に配置されるように取り付けられる。

第二カバー６２は、図２及び図４に示すように、ステータフレーム２５の形状に対応した形状を有しており、カップ状のステータフレーム２５内に設けられている。第二カバー６２の縁部には凹部６９が形成されており、当該第二カバー６２の凹部６９が第一カバー６１の縁部に形成された凸部６８と嵌合することによって、防水カバー６が形成される。

防水カバー６は、図２に示すように、第一カバー６１の突出部６５における回路基板５から遠い側（前方側）の端部６５ｅが、回転軸線Ａの方向において、ステータコア４１に巻回された巻き線４２における回路基板５から遠い側の端部４２ｅよりも回路基板５側（後方側）に位置するように設けられている。

また、防水ファン１は、図２及び図４に示すように、ステータ４を覆うモールド部７を備える。モールド部７は、電気絶縁性の合成樹脂で構成されている。例えば、モールド部７は、熱硬化型のエポキシ樹脂で構成される。モールド部７は、少なくともステータ４を覆うことができるように、ステータコア４１に巻回された巻き線４２と、防水カバー６の第一カバー６１における仕切り部６４及び突出部６５との間の隙間を埋めるように設けられている。なお、モールド部７を構成する樹脂は、防水カバー６（第一カバー６１及び第二カバー６２）を構成する樹脂と異なる樹脂であってもよいし、同一の樹脂であってもよい。

モールド部７を構成する樹脂は、回路基板５が収容されている収容空間６３内に入り込まないように設けられつつ、ステータ４の周囲を覆うように設けられている。
また、モールド部７を構成する樹脂は、防水カバー６の外部から第一カバー６１の連絡孔６７を介して、連絡端子５１を囲むように連絡孔６７内に入り込み連絡孔６７を塞ぐとともに、連絡端子５１を伝って連絡孔６７から僅かに収容空間６３に突出した状態で設けられている。

以上説明したように、本実施形態に係る防水ファン１によれば、防水カバー６は、ステータコア４１に巻回された巻き線４２と回路基板５とを隔てる仕切り部６４と、仕切り部６４から巻き線４２の間の空間に向かって突出する突出部６５と、を有する。そして、巻き線４２と仕切り部６４と突出部６５との間の隙間が合成樹脂（モールド部７）で埋められることにより、防水ファン１のステータ４がモールド部で覆われる。
これにより、突出部６５によって防水カバー６とモールド部７との接触面積を大きく確保することができるので、防水カバー６とモールド部７との接合強度を高めることができる。したがって、防水カバー６とモールド部７との線膨張係数が相違し、両者間に熱応力が生じても防水カバー６がモールド部７から剥離するのを防止することが可能である。

なお、防水ファンのステータ部分を覆う手法としては、例えば、防水カバーとステータ部分の巻き線との間の空間をシリコン樹脂で埋める手法も行われている。しかしながら、この手法の場合、防水カバーと巻き線との間の空間が大きいため、シリコン樹脂の充填に時間を要し、生産効率に劣る。これに対して、本実施形態の防水ファン１によれば、防水カバー６の突出部６５が巻き線４２の間の空間に向かって突出し、既に巻き線４２の間の空間を埋めているため、シリコン樹脂の充填量を大幅に減少させることができる。これにより、生産効率が向上できる。

また、防水ファン１によれば、突出部６５は内部が空洞６５ａとなるように形成されている。このため、突出部６５は変形しやすい構造であるので、モールド部７の膨張に伴って突出部６５がモールド部７から押された場合でも、突出部６５が変形することにより突出部６５及びモールド部７に過大な力が作用しないようにすることができる。また、突出部６５によりモールド部７の樹脂の充填量が減るので、モールド部７の膨張時に生じる力を減少させることができ、巻き線４２に過大な力が作用しにくい。

また、防水ファン１によれば、仕切り部６４は回転軸線Ａに交差する面に沿って延びる板状の部位であり、突出部６５は回転軸線Ａに沿って延びる筒状の部位となるように形成されている。このため、モールド部７が回転軸線Ａの方向に伸縮した場合には仕切り部６４がモールド部７との接合を維持しやすく、モールド部７が回転軸線Ａに直交する方向に伸縮した場合には突出部６５がモールド部７との接合を維持しやすい。すなわち、モールド部７があらゆる方向に伸縮したとしても、仕切り部６４と突出部６５の延びる方向が異なっているため、モールド部７と防水カバー６との接合状態が維持されやすい。

また、防水ファン１によれば、防水カバー６は、仕切り部６４と突出部６５とを有する第一カバー６１と、第一カバー６１とともに回路基板５を収容する収容空間６３を形成する第二カバーと、を備える。そして、当該回路基板５が収容された収容空間６３にモールド部７が入り込まないように構成されている。このため、モールド部７を形成するための合成樹脂の使用量を抑制することができ、防水ファン１を軽量化できる。

また、防水ファン１によれば、第一カバー６１の突出部６５における回路基板５から遠い側の端部６５ｅが、回転軸線Ａの方向において、ステータコア４１に巻回された巻き線４２における回路基板５から遠い側の端部４２ｅよりも回路基板５側に位置するように設けられている。このため、巻き線４２の間の空間に配置される突出部６５が巻き線４２よりも内側に位置することになるので、モールド部７でステータ４の表面を覆ったときに、モールド部７から突出部６５を突出させないように覆うことができる。これにより、突出部６５とモールド部７との間に隙間が生じることがなく高い防水性を確保することができる。

また、防水ファン１によれば、第一カバー６１には、回路基板５と巻き線４２とを電気的に接続する連絡端子５１が挿通される連絡孔６７が設けられている。そして、モールド部７を構成する樹脂が防水カバー６の外部から第一カバー６１の連絡孔６７を介して連絡孔６７内に入り込み連絡孔６７を塞ぐとともに、僅かに収容空間６３に入り込んだ状態で設けられている。これにより、回路基板５と巻き線４２との電気的接続を実現しつつ、収容空間６３の防水を図ることができる。

以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。

１ 防水ファン
２ モータ
３ ロータ
４ ステータ
５ 回路基板
６ 防水カバー
７ モールド部
２０ 回転軸
２５ ステータフレーム
３１ ロータカバー
３３ 永久磁石
４１ ステータコア
４２ 巻き線
４２ｅ 端部
５１ 連絡端子
６１ 第一カバー
６２ 第二カバー
６３ 収容空間
６４ 仕切り部
６５ 突出部
６５ｅ 端部
６５ｈ 空洞
６７ 連絡孔
Ｗ 回転翼

Claims (6)

1. 回転軸線回りに回転可能な回転翼と、永久磁石を有するロータと、
   前記回転翼よりも内径側に位置し前記回転軸線に対して径方向に延びる複数のステータコアと、各々の前記ステータコアに巻かれた巻き線とを有するステータと、
   前記巻き線に電気的に接続された回路基板と、
   前記回路基板を覆う第一樹脂製の防水カバーと、
   少なくとも前記ステータを覆う第二樹脂製のモールド部と、を有し、
   前記防水カバーは、
   前記巻き線と前記回路基板とを隔てる仕切り部と、
   前記仕切り部から前記巻き線の間の空間に向かって突出する突出部が設けられ、
   前記巻き線と前記仕切り部と前記突出部との間の隙間が前記第二樹脂で埋められている、防水ファン。
2. 前記突出部の内部が空洞である、請求項１に記載の防水ファン。
3. 前記仕切り部は前記回転軸線に交差する面に沿って延びる板状の部位であり、
   前記突出部は、前記回転軸線に沿って延びる筒状の部位である、請求項１に記載の防水ファン。
4. 前記防水カバーは、
   前記仕切り部と前記突出部を含む第一カバーと、
   前記第一カバーとともに前記回路基板を収容する収容空間を形成する第二カバーとを有し、
   前記収容空間には前記第二樹脂が入り込んでいない、請求項１に記載の防水ファン。
5. 前記回転軸線の方向において、前記突出部の前記回路基板から遠い側の端部は、前記巻き線の前記回路基板から遠い側の端部よりも前記回路基板側に位置している、請求項１に記載の防水ファン。
6. 前記第一カバーには、前記回路基板と前記巻き線とを電気的に接続する連絡端子が挿通される連絡孔が設けられており、
   前記第二樹脂は前記収容空間の外から前記連絡孔を介して前記収容空間の中に入り込んでいる、請求項４に記載の防水ファン。

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