JP2022171163A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法、熱可塑性樹脂組成物、及びアシル化植物繊維組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法、熱可塑性樹脂組成物、及びアシル化植物繊維組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、熱可塑性樹脂組成物の着色を抑制しつつ、かつ、従来よりも機械的特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物の製造に供する原料の一態様として、アシル化植物繊維と、リン酸類のアルカリ土類金属塩とを特定の割合で含むアシル化植物繊維組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩の存在下に、(A)アシル化植物繊維と(B)熱可塑性樹脂とを混練した熱可塑性樹脂組成物の製造方法を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、淡色化され、機械的特性に優れたアシル化植物繊維含有熱可塑性樹脂の製造方法、熱可塑性樹脂組成物、及びアシル化植物繊維組成物に関する。
従来、成形材料用樹脂に用いられる補強材料として、炭素繊維やガラス繊維等が広く一般的に使用されている。しかしながら、炭素繊維は難燃性であるためサーマルリサイクルに不向きで、かつ価格が高い。また、ガラス繊維は比較的安価であるが、廃棄に問題がある。
一方、植物繊維は比較的安価であり、かつサーマルリサイクルに優れているため、樹脂の補強材として活用する技術の開発が検討されている。しかしながら、親水性である植物繊維は、疎水性の樹脂中での分散性が低いため、樹脂へ添加した植物繊維が凝集して補強効果が発現せず、逆に強度等の機械的特性が悪化する原因となる。
このような課題に対して、植物繊維の樹脂中での分散性を改善させるために各種検討がなされており、中でもアセチル化セルロースは、未変性セルロースよりも耐熱性が向上することから検討が盛んである。特許文献1では、熱分解開始温度(TD)270℃以上、数平均繊維径10nm以上1μm未満、及び結晶化度60%以上の、アセチル化などにより化学修飾されたセルロース微細繊維と樹脂の複合体が開示されている。また、特許文献2では、(A)ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)植物繊維、及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物が開示されており、(A)、(B)は何れも化学変性してもよいと記載されており、実施例でアセチル化ミクロフィブリル化植物繊維が開示されている。
特許文献3では、硫酸を触媒として、セルロースをアセチル化したのち、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、遷移金属化合物、アンモニア等の塩基を添加するセルロースエステルの製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法を用いる場合には、変性に用いた未反応の変性剤や触媒が、熱可塑性樹脂との溶融混練(以下、単に「混練」と称することがある)時に共存することで、セルロースが短繊維化して所望する機械的特性が得られない、あるいは着色により外観を損ねるといった課題を有していた。そのため、いずれの場合においてもそれらの洗浄などによる除去を行う必要があり、除去工程にかかる製造時間の増加やコストについても課題となっていた。
国際公開第2019/230970号公報 特開2020-075950号公報 特開2006-089574号公報
本発明は、熱可塑性樹脂組成物の着色を抑制しつつ、かつ、従来よりも機械的特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物の製造に供する原料の一態様として、アシル化植物繊維と、リン酸類のアルカリ土類金属塩とを特定の割合で含むアシル化植物繊維組成物を提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、植物繊維をアシル化剤を用いて変性する際に、触媒としてリン酸類を用いると、短繊維化せず、所望の置換度を有するアシル化植物繊維を効率よく得られること、また、こうして得られたアシル化植物繊維中に残存するリン酸類を特定のアルカリ土類金属化合物で中和することにより、触媒を除去することなくそのまま熱可塑性樹脂と混練しても着色し難いこと、さらには、リン酸類のアルカリ土類金属塩の存在下に、アシル化植物繊維と熱可塑性樹脂とを混練すると、前記塩の不存在下で得られる熱可塑性樹脂組成物に比べて機械的特性が向上することをそれぞれ見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
<1>(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩の存在下に、(A)アシル化植物繊維と(B)熱可塑性樹脂とを混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
<2>(c-1)リン酸類の存在下で植物繊維をアシル化した後に、(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩を混合し、次いで(B)熱可塑性樹脂と混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
<3>(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩が、水酸化マグネシウム及び/又は炭酸カルシウムであることを特徴とする前記<2>に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
<4>リン酸類が、リン酸及び/又はポリリン酸であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
<5>アルカリ土類金属が、カルシウム及び/又はマグネシウムであることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
<6>(B)熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン及び/又はポリ乳酸であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
<7>(A)アシル化植物繊維と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩とを(A)/(C)=100/1~50(質量%)の比で含むことを特徴とするアシル化植物繊維組成物、
<8>(A)アシル化植物繊維と(B)熱可塑性樹脂と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩とを(A)/(B)/(C)=1~60/10~98.99/0.01~30(質量%)の比で含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
<9>(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩における、リン酸類が、リン酸及び/又はポリリン酸であり、かつアルカリ土類金属が、カルシウム及び/又はマグネシウムであることを特徴とする前記<7>又は<8>に記載の組成物、
である。
本発明の製造方法によれば、着色を抑制しつつ、かつ従来よりも機械的特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することが出来る。また、熱可塑性樹脂組成物の製造に供する原料として有用なアシル化植物繊維組成物を提供することが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法では、(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩の存在下に、(A)アシル化植物繊維と、(B)熱可塑性樹脂とを混練する。
<(A)アシル化植物繊維>
本発明において(A)アシル化植物繊維(以下、(A)成分と略することがある)は、植物繊維にアシル化剤(a)を加えて変性したものであれば特に限定されないが、アシル化植物繊維の変性率(置換度、DS)は0.02~2.0が好ましく、0.05~1.5がより好ましく、0.06~1.0が更に好ましい。アシル化植物繊維は、未変性の植物繊維に比べて耐熱性や疎水性が高いため、熱可塑性樹脂中に分散しやすい。またアシル化により、植物繊維を構成するセルロースの水酸基による分子内・分子間水素結合が阻害されるため、樹脂と混練する際に微小化・解繊しやすい。なお、置換度(DS)は、重量増加率法、元素分析法、中和滴定法、FT-IR、二次元NMR(1H及び13C-NMR)等の各種分析方法により分析することができる。本発明では次に示す方法でFT-IRで測定した値を置換度とする。
<アシル化植物繊維の置換度(DS)の測定>
複数の置換度(DS)が既知のアシル化植物繊維のFT-IRを測定し、エステル結合の1730cm-1のピークと置換度から検量線を作成した。次いで、実施例で製造したアシル化植物繊維のFT-IR測定を行い、得られたエステル結合のピークと検量線の関係から、置換度を算出した。尚、実施例ではアシル化剤として無水酢酸を用いたことから、検量線作成にはアシル化植物繊維としてアセチル化植物繊維を用いた。アセチル化植物繊維の置換度は、アセチル化植物繊維にアルカリを添加し、エステル結合を加水分解することにより発生した酢酸量を滴定することにより算出した。
植物繊維としては、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート繊維などが挙げられる。好ましい植物繊維としては木材が挙げられ、例えば、マツ、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシアなどが挙げられる。また、これらを原料として得られるパルプ、紙、あるいは古紙なども用いることができる。樹脂組成物の着色抑制のためリグニンを含まない植物繊維が好ましい。
植物繊維は、予めビーズミル、高圧ホモジナイザー、ジェットミル、超音波攪拌装置などで予め解繊処理をしてミクロフィブリル化、ナノフィブリル化したものでも未解繊のものでもいずれも用いることができる。未解繊の植物繊維をアシル化して(A)アシル化植物繊維としたものを(B)熱可塑性樹脂と混練する際に解繊しても良い。予め植物繊維をミクロフィブリル化、又はナノフィブリル化した植物繊維は保水性が高いため、脱水に多大なエネルギーを要するだけでなく、乾燥時に凝集しやすいことから、(A)アシル化植物繊維は未解繊であることが好ましく、(C)成分の存在下に(B)成分と混練すると凝集が起こり難く優れた物性を示す熱可塑性樹脂組成物を得られやすい。更に、混練時に植物繊維を解繊させると、機械的特性が向上することからより好ましい。
(A)アシル化植物繊維を予め解繊した場合の解繊状態の確認は、次のようにして行う。
解繊前後のアシル化植物繊維を各々、水とアルコールの混合物に0.02~0.1%濃度となるように加え、超音波処理することで十分に分散させた各分散液を調製した。次いで、各分散液をガラスシャーレに1滴落とし、カバーガラスをかぶせ余分な液を除いたのち、光学顕微鏡を用いて100-500倍で観察し、解繊前後のアシル化植物繊維の繊維長、繊維径を測定した。解繊前後で繊維長、繊維径に違いがあることを確認した。ナノ解繊が進んでいる場合は、偏光顕微鏡では見えないため、熱可塑性樹脂組成物から熱キシレン等により樹脂を洗い流したのち、電子顕微鏡観察に供することにより解繊された繊維の繊維径を測定した。
また、熱可塑性樹脂組成物中の(A)アシル化植物繊維の解繊状態の確認は、熱可塑性樹脂組成物を0.2gとり、熱プレス機(東洋精機製)で170℃10MPaの圧力をかけて作成したプレスフィルムを目視で0.5mm以上の粗大な粒の数を数え、判断する。3個未満であることが実用レベルである。
<(B)熱可塑性樹脂>
(B)熱可塑性樹脂(以下、(B)成分と略することがある)は、成形材料用途に通常用いられているものであれば特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、ナイロンなどのポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂;ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートなどのアクリル樹脂;ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル-スチレン樹脂などのスチレン樹脂;アイオノマー樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、ならびにオレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等樹脂及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。好ましくはポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸である。
<(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩>
(A)成分と(B)成分とを混練する際に、(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩(以下、(C)成分と略することがある)を存在させると、(C)成分非存在下で混練する場合に比べて、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的特性が向上する。(C)成分としては、例えばリン酸ベリリウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸バリウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸カルシウムがなど挙げられる。好ましくはアルカリ土類金属がカルシウム及びマグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種とリン酸類との塩であり、より好ましくはリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸マグネシウム、さらに好ましくはリン酸マグネシウム、リン酸カルシウムである。
<混練方法>
(C)成分の存在下に(A)成分と(B)成分を混練させる方法としては、熱可塑性樹脂の混練に用いる各種方法を用いることが出来る。例えば一軸、又は多軸混練機、ラボプラストミル、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ボールミルなど各種ミルなどにより機械的に摩砕しながら加熱する溶融混練を用いることが出来る。
多軸混練機を用いる場合は、汎用性、入手のし易さから二軸混練機が好ましい。二軸混練機は同方向、異方向回転二軸押し出し機の何れも使用することが出来る。本発明で使用される二軸混練機のスクリューの長さ/スクリュー径は通常15~60程度、好ましくは30~60程度である。また、スクリューには1か所、又は2か所以上のせき止め構造を有してもよい。
混練温度は、(B)成分が溶融できる温度であれば特に限定されない。混練時に、(A)成分を混練機により解繊する場合、処理回数(パス回数)は、目的とする植物繊維の繊維径、繊維長、求められる熱可塑性樹脂組成物の物性等によりも変化するが、通常1~8回程度、好ましくは1-4回程度、更に好ましくは1-2回程度である。パス回数が多くなりすぎると生産性を落とすだけなく、植物繊維そのものが熱劣化し、熱可塑性樹脂組成物の色目が悪化につながることがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造においては、具体的には、下記の(i)~(iii)の何れかの態様を採用することが出来る。
態様(i):(c-1)リン酸類の存在下で植物繊維に(a)アシル化剤を加えアシル化した後に、(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩を混合して得られる(A)アシル化植物繊維及び(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩を含む混合物を、(B)熱可塑性樹脂と混練する。
態様(ii):(A)アシル化植物繊維と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩を混合した後、(B)熱可塑性樹脂と混練する。
態様(iii):(A)アシル化植物繊維、(B)熱可塑性樹脂、(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩を混合した後、混練する。
<態様(i)を採用する場合>
(c-1)リン酸類の存在下で植物繊維に(a)アシル化剤を加えアシル化した後に、(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩を混合して得られる(A)成分及び(C)成分を含む混合物としたのち、(B)成分と上述の混練方法にて混練する。アシル化反応において、触媒としてリン酸類を用いると、硫酸を触媒として用いる場合と比べて、短繊維化を生じずに所望の置換度を有するアシル化植物繊維を得ることができるばかりでなく、得られるアシル化植物繊維の着色が抑制できる。また、触媒を使用しない場合やリン酸類以外の触媒を用いる場合に比べて、変性効率が上がるためアシル化剤の使用量を減らせるだけでなく、反応時間を短縮化することができる。また、(B)成分との混練に際して、リン酸類を中和しているため洗浄する必要がなく、また混練時に不可欠な(C)成分を含んでいるため、そのまま混練工程に供することができる。
<(c-1)リン酸類>
アシル化反応時の触媒として用いる(c-1)リン酸類としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。好ましくはリン酸、ポリリン酸である。リン酸類は、植物繊維に対して0.4~6質量%用いることが、反応効率や後述する(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩との塩の生成量の観点から好ましい。
<(a)アシル化剤>
(a)アシル化剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水デカン酸、無水安息香酸、無水ステアリン酸などの酸無水物;無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、アルキル若しくはアルケニルコハク酸無水物、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリブタジエンなど多価カルボン酸酸無水物が挙げられる。なかでも樹脂との相溶性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、アルキル若しくはアルケニルコハク酸無水物が好ましく、特に入手のしやすさや導入の容易さから、無水酢酸が好ましい。(a)アシル化剤は、植物繊維の置換度(DS)の観点から、植物繊維に対して50~120質量%用いることが好ましい。
(a)アシル化剤により植物繊維をアシル化する際の反応温度としては20~160℃程度が好ましく、40~120℃程度がより好ましく、60~100℃程度が更に好ましい。温度が高い方が植物繊維と(a)アシル化剤との反応効率が高くなるが、温度が高すぎると一部植物繊維の劣化が起こる為、上記の様な温度範囲とすることが好ましい。
(a)アシル化剤により植物繊維をアシル化する際、アシル化反応を妨げないものであれば溶媒を用いても構わない。溶媒は特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒や、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の硫黄系溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類のジメチル、ジエチル化物等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒が挙げられる。アシル化反応時に用いられた溶媒は、反応後に脱溶媒するか、若しくは(B)成分との混練時に同時に脱溶媒することが好ましい。
<(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩>
アシル化反応の触媒として用いられた(c-1)リン酸類の中和に用いるアルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムが挙げられる。好ましくは水酸化マグネシウム、炭酸カルシウムである。アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩は、アシル化剤となる酸が未反応のまま残存している場合の中和にも寄与するため、リン酸類の当量よりも過剰量用いることが好ましく、リン酸類の酸当量に対し、1~5当量用いることがより好ましい。リン酸類や未反応のアシル化剤をアルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和することで、それらを除去することなく次の(B)成分との混練に供することが可能となるばかりでなく、(c-1)リン酸類との中和塩である(C)成分として活用できるため、(A)成分に本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法で用いる(C)成分を予め混合したアシル化植物繊維組成物を得ることができる。
態様(ii)を採用する場合には、予め(A)成分と(C)成分を混合した後、(B)成分とともに上述の混練方法にて混練する。(A)成分と(C)成分とを混合する場合、(C)成分は粉末をそのまま添加しても良いし、水分散物として添加しても良い。混合する温度は室温でも良いし、加熱しても良いが、通常、10~100℃、好ましくは20~80℃である。混合する容器は特に制限はないが、(C)成分の局在化を防ぐために反応容器に攪拌する設備を備えたものが好ましく、プラネタリーミキサーやバンバリーミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
態様(iii)を採用する場合には、(A)成分、(B)成分、(C)成分を混合した後、上述の混練方法にて混練する。
態様(i)や態様(ii)において、(A)成分に(C)成分を予め混合したアシル化植物繊維組成物として保管する場合や顧客に提供する場合は、(B)成分との混練に際し成分量の調整が容易なことから、(A)アシル化植物繊維と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩とを(A)/(C)=100/1~50(質量%)の範囲の任意の比率で、用途に合わせて含むことが好ましい。
(A)アシル化植物繊維と(B)熱可塑性樹脂と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩との比率は、用途により異なるが、通常(A)/(B)/(C)=1~60/10~98.99/0.01~30(質量%)の比であり、好ましくは(A)/(B)/(C)=2~50/25~97.9/0.1~25(質量%)、より好ましくは(A)/(B)/(C)=5~40/40~94.8/0.2~20(質量%)である。
<(D)相溶化剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造においては、(A)~(C)成分の混練時に、本発明の効果を妨げない範囲で更に相溶化剤を用いることができる。(D)相溶化剤としては例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂、アクリル酸変性ポリエチレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、無水マレイン酸変性エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ基含有樹脂(グリシジルメタクリレート及びエチレンの共重合体等)を挙げることができ、市販の各種相溶化剤を使用しても良い。また、相溶化剤を予め(A)成分または(B)成分と混合しておいてから、他の成分と混練すると、より均一に混ざりやすくなるため好ましい。(D)相溶化剤の使用量としては、(B)成分に対し10~50質量%の範囲であることが、(A)、(B)成分の均一な混合と得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的特性の観点から好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の成分として、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料、染料、無機充填剤、可塑剤、紫外線吸収時、光安定剤、結晶核剤、発泡助剤など各種添加剤を配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出、押出、プレス、ブロー、加圧、圧縮、3Dプリンティングなど各種成形方法で成形体とすることが出来る。成形体の用途としては、例えば、自動車、バイク、自転車、鉄道、ドローン、ロケット、航空機、船舶等の輸送機械用の内外装材や筐体等、風力発電機、水力発電機等のエネルギー機械、エアコン、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、AV機器、ディジタルカメラ、パソコン等の家電筐体、電子基板、携帯電話、スマートフォン等の通信機器筐体、松葉づえ、車いす等の医療用器具、スニーカーやビジネスシューズ等の靴、タイヤ、球技スポーツ用のボール、スキーブーツ、スノーボード板、ゴルフクラブ、プロテクタ、釣り糸、疑似餌等のスポーツ用品、テントやハンモックなどのアウトドア用品、電線被覆材、水道管、ガス管等の土木建築資材、柱材、床材、化粧板、窓枠、断熱材等の建築材、本棚、机、椅子等の家具、産業用ロボット、家庭用ロボット、ホットメルト接着剤、積層式3Dプリンタ用フィラメントやサポート剤、塗料、インク、トナー等の記録材料用バインダー樹脂、フィルムやテープなどの包装材、ペットボトル等の樹脂容器、メガネフレーム、ごみ箱、シャープペンシルケース等の生活雑貨等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特にことわりのないかぎり、「部」とあるのは「質量部」を示す。
<物性値測定法>
これらの実施例の一部で用いられた物性値測定法は、以下のとおりである。
<アシル化植物繊維の置換度(DS)の測定>
複数の置換度(DS)が既知のアシル化植物繊維のFT-IRを測定し、エステル結合の1730cm-1のピークと置換度から検量線を作成した。次いで、実施例で製造したアシル化植物繊維のFT-IR測定を行い、得られたエステル結合のピークと検量線の関係から、置換度を算出した。尚、実施例ではアシル化剤として無水酢酸を用いたことから、検量線作成にはアシル化植物繊維としてアセチル化植物繊維を用いた。アセチル化植物繊維の置換度は、アセチル化植物繊維にアルカリを添加し、エステル結合を加水分解することにより発生した酢酸量を滴定することにより算出した。
<アシル化植物繊維の色目測定>
製造例で得られたアシル化植物繊維を10gとり、測色計(コニカミノルタ製CM-600d)を用いて明度(L*)を測定した。明度が高いほど良いが、アシル化植物繊維そのものの色目が溶融混錬後の樹脂組成物の色目にも影響を与えるため、L*は94以上であることが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物の色目測定>
実施例、比較例で得られたアシル化植物繊維配合熱可塑性樹脂組成物の射出成形体の色目は、射出成形体のL*を測色計にて測定した。L*60以上を実用レベルとした。
<熱可塑性樹脂組成物の引張強度測定>
前記態様(i)を採用して得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形機((株)井本製作所製)に投入し、1BA形のダンベル型小型試験片を得た。得られた試験片はJIS K 7161-1に則り、引張試験機「テンシロンRTM-50(オリエンテック(株)製)」を用いて引張強度(引張弾性率)を測定した。
<熱可塑性樹脂組成物中のアシル化植物繊維の解繊状態の確認>
熱可塑性樹脂組成物を0.2g採取し、熱プレス機(東洋精機製)で170℃10MPaの圧力をかけてプレスフィルムを作成した。目視で0.5mm以上の粗大な粒が3個以上見えるものを×、0個~2個見えるものを○とした。○で実用レベルである。
<アシル化植物繊維組成物の製造および評価>
(製造例1)
撹拌機のついた清浄な容器へ濃度30%の葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)166質量部(固形分50.0質量部)、及びジエチレングリコールジエチルエーテル(ハイソルブEDE、東邦化学工業(株)製)50.0質量部を加え、攪拌下60℃で減圧脱水した。次いで、(a)アシル化剤として無水酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製 特級)31.0質量部、(c-1)リン酸類としてリン酸(関東化学(株)製 鹿一級)0.30質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル30.0質量部を加え、70℃で所定の反応率となるまで常圧で攪拌した後、80℃で減圧脱溶剤を行った。更に(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩として炭酸カルシウム(富士フイルム和光純薬(株)製 特級)2.16質量部を含む水懸濁液を20質量部加え、30分攪拌したのち、130℃で減圧、溶媒を留去し、アセチル化植物繊維とリン酸カルシウムを含むアシル化植物繊維組成物(X-1)を得た。
(製造例2)
製造例1においてリン酸の代わりにポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(フォスファノールML-220、東邦化学工業(株)製)を2.14質量部加えた以外は製造例1と同様に行ってアシル化植物繊維組成物(X-2)を得た。
(製造例3)
製造例1において炭酸カルシウムの代わりに水酸化カルシウム(純正化学(株)製 試薬特級)を0.91質量部加えた以外は製造例1と同様に行って、アシル化植物繊維組成物(X-3)を得た。
(製造例4)
製造例1において炭酸カルシウムの代わりに水酸化マグネシウム(純正化学(株)製 化学用)1.26質量部加えた以外は製造例1と同様に行って、アシル化植物繊維組成物(X-4)を得た。
(製造例5)
NBKPの代わりに高叩解NBKP(以下、「rNBKP」と表記することがある。)を用いた以外は製造例1と同様に行って、アシル化植物繊維組成物(X-5)を得た。
(比較製造例1)
撹拌機のついた清浄な容器へ濃度30%の針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)166質量部(固形分50.0質量部)、及びジエチレングリコールジエチルエーテル50.0質量部を加え、攪拌下60℃で減圧脱水した。次いで、無水酢酸31質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル30質量部を加え、70℃で実施例と同じ時間常圧で攪拌した後、130℃で減圧、溶媒を留去し、比較用のアシル化植物繊維組成物(RX-1)を得た。
(比較製造例2)
リン酸の代わりに硫酸(関東化学(株)製 試薬特級)0.15質量部を使用した以外は製造例1と同様に行って、比較用のアシル化植物繊維組成物(RX-2)を得た。
(比較製造例3)
製造例1において炭酸カルシウムを加えない以外は製造例1と同様に行って、アシル化植物繊維組成物(RX-3)を得た。
Figure 2022171163000001
ML-220:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(フォスファノールML-220、東邦化学工業(株)製)
CaCO3:炭酸カルシウム(富士フィルム和光純薬(株)製 特級)
Ca(OH)2:水酸化カルシウム(純正化学(株)製 試薬特級)
Mg(OH)2:水酸化マグネシウム(純正化学(株)製 化学用)
表2に、実施例1~5、比較例1~3として、製造例1~5及び比較例1~3で得られたアシル化植物繊維組成物(X-1)~(X-5)及び(RX-1)~(RX-3)の各々の組成、(A)アシル化植物繊維の置換度(DS)及びアシル化植物繊維組成物の色目の評価結果を示す。なお、比較例2のアシル化植物繊維組成物(RX-2)は、目視で観察したところアシル化植物繊維が短繊維化していると共に、FT-IRでDSを測定したところ部分的に置換度の高いアシル化植物繊維が存在していた。
Figure 2022171163000002
リン酸類をアシル化反応の触媒として用い、その後洗浄せずにリン酸類をアルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和した実施例1~5のアシル化植物繊維組成物は、リン酸類を用いない比較例1に比べて、同一の反応時間での置換度(DS)が高く、またアシル化触媒として硫酸を用いた比較例2と比べて、色目に優れることがわかる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造(1)>
(実施例6)
(A)、(C)成分として、アシル化植物繊維組成物(X-1)を40質量部、(B)成分として、低密度ポリエチレン樹脂(SBC818、ブラスケム社製、MFR8.3(190℃・2.16kg))を52質量部、(D)成分として無水マレイン酸変性ポリエチレン(ハイワックス(登録商標)HW4052E、三井化学(株)製)8質量部をバッチ式混練機ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)に投入し150℃100rpmで溶融混練し、取り出した。得られた混練物50質量部に低密度ポリエチレン樹脂50質量部を加え150℃100rpmで更に溶融混練し、アシル化植物繊維組成物を20質量%含む熱可塑性樹脂組成物を調製した。
得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形機((株)井本製作所製)に投入し、ダンベル型の試験片を得た。シリンダーの温度は190℃で成形を行った。評価結果を表3に示す。
(実施例7、8)
実施例6においてアシル化植物繊維組成物(X-1)を各々別のアシル化植物繊維組成物(X-2)、(X-4)に変え、混練して熱可塑性樹脂組成物を調製した以外は実施例6と同様にして、ダンベル型の試験片を得た。評価結果を表3に示す。
(実施例9)
アシル化植物繊維組成物(X-1)25質量部を水とエタノールで洗浄し、触媒として使用したリン酸を洗い落としたのち、リン酸カルシウム1.65質量部を加えてアシル化植物繊維組成物(X-6)を調製した。このアシル化植物繊維(X-6)を用いて実施例6と同様に混練、成形しダンベル型の試験片を得た。評価結果を表3に示す。
(比較例4)
実施例6においてアシル化植物繊維組成物(X-1)を比較用のアシル化植物繊維組成物(RX-2)に変えた以外は実施例6と同様に混練、成形しダンベル型の試験片を得た。評価結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例6においてアシル化植物繊維組成物(X-1)を比較用のアシル化植物繊維組成物(RX-3)に変えた以外は実施例6と同様に混練、成形しダンベル型の試験片を得た。評価結果を表3に示す。
Figure 2022171163000003
(C)成分存在下に、(A)成分と(B)成分とを混練した実施例6~9は、(C)成分を含有しない比較例4,5と比べていずれも引張強度(引張弾性率)、色目の両方で優れていることがわかる。また、リン酸を除去せずにそのまま(B)成分と混練した比較例5は、(A)成分の解繊状態が劣った。
<熱可塑性樹脂組成物の製造(2)>
(実施例10)
(A)、(C)成分として、アシル化植物繊維組成物(X-5)を40質量部、(B)成分として、ポリ乳酸樹脂(Ingeo 4032D、Nature Works社製)60質量部をバッチ式混練機ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)に投入し150℃、50rpmで2分、更に100rpmで10分溶融混練し、取り出した。得られた混練物50質量部にポリ乳酸樹脂50質量部を加え150℃、50rpmで1分、100rpmで5分更に溶融混練し、アシル化植物繊維組成物を20質量%含む熱可塑性樹脂組成物を調製した。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形機((株)井本製作所製)に投入し、ダンベル型の試験片を得た。シリンダーの温度は200℃で成形を行った。得られた試験片を引張試験機「テンシロンRTM-50(オリエンテック(株)製)」を用いて引張強度(引張弾性率)を測定した。評価結果を表4に示す。
(比較例6、7)
実施例10においてアシル化植物繊維組成物(X-5)を各々、比較用のアシル化植物繊維(RX-2)、(RX-3)に変え、混練して熱可塑性樹脂組成物を調製した以外は実施例10と同様にして、ダンベル型の試験片を得た。評価結果を表4に示す。
Figure 2022171163000004
(C)成分存在下に、(A)成分と(B)成分とを混練した実施例10は、(C)成分を含有しない比較例6,7と比べて引張強度(引張弾性率)、色目の両方で優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. (C)リン酸類のアルカリ土類金属塩の存在下に、(A)アシル化植物繊維と(B)熱可塑性樹脂とを混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. (c-1)リン酸類の存在下で植物繊維をアシル化した後に、(c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩を混合し、次いで(B)熱可塑性樹脂と混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. (c-2)アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩が、水酸化マグネシウム及び/又は炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. リン酸類が、リン酸及び/又はポリリン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. アルカリ土類金属が、カルシウム及び/又はマグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. (B)熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン及び/又はポリ乳酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. (A)アシル化植物繊維と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩とを(A)/(C)=100/1~50(質量%)の比で含むことを特徴とするアシル化植物繊維組成物。
  8. (A)アシル化植物繊維と(B)熱可塑性樹脂と(C)リン酸類のアルカリ土類金属塩とを(A)/(B)/(C)=1~60/10~98.99/0.01~30(質量%)の比で含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  9. (C)リン酸類のアルカリ土類金属塩における、リン酸類が、リン酸及び/又はポリリン酸であり、かつアルカリ土類金属が、カルシウム及び/又はマグネシウムであることを特徴とする請求項7又は8に記載の組成物。
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