JP2021161340A - 疎水化植物繊維組成物及びその製造方法、並びに成形材料用組成物 - Google Patents

疎水化植物繊維組成物及びその製造方法、並びに成形材料用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は明度の高い成形体を得ることができる疎水化植物繊維組成物を提供することを課題とする。【解決手段】ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と、植物繊維(b)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有し、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との合計(A)と化合物(B)との質量比がA:B=99.9:0.1〜95:5である疎水化植物繊維組成物。好ましくは、疎水性化合物(a)はジエン骨格を有する化合物である。【選択図】なし

Description

本発明は、明度の高い成形体を得ることができる疎水化植物繊維組成物及びその製造方法、並びに成形材料用組成物に関する。
従来、樹脂成形体の強度を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セルロース繊維など、繊維状添加物が利用されている。中でもセルロース繊維は、密度が小さい、弾性率が高い、線熱膨張係数が小さいなどの特徴を有する。また、「カーボンニュートラル」であり持続可能な資源であることから、環境負荷の低減に資する素材になると期待されている。しかしながら、セルロース繊維と樹脂及び/又はゴムを複合化する際には、混練工程が必須となる。混練によりせん断発熱が生じることで、セルロースが着色する。このために成形体の用途が限定されることが問題となっている。
そこで、セルロース繊維複合樹脂において、着色の改善手段として、種々の組成物や方法が提案されている。
例えば特許文献1には、ポリオレフィンとセルロースナノファイバーと酸化防止剤と光安定化剤を含んだ繊維強化複合材料が記載されている。特許文献1によれば、樹脂及びセルロースナノファイバーに加えて、酸化防止剤及び光安定化剤を含有させることにより、比較的低い温度で混練されて調製されても、樹脂及びセルロースナノファイバーが均一に分散され得るため、混練工程におけるせん断発熱による着色の心配がなく、高い白色度で成形体の強度を向上させることが示されている。
特許文献2には、10〜50重量%の木材パルプ繊維と、45〜85重量%の熱可塑性ポリマーとを含む組成物であって、少なくとも20の白色度を有する組成物が示されており、任意成分として酸化防止剤を含むことができる旨、記載されている。
更に特許文献3では、平均粒径が10〜100μmの微細紙粉を20〜70重量部、熱可塑性合成樹脂を30〜80重量部有し、前記微細紙粉及び前記熱可塑性合成樹脂の合計が100重量部である原材料を、特定の2軸混練機を用いて210℃以下の温度で混練することで、微細繊維が均一に分散され黄変が抑制された微細紙粉含有樹脂組成物が得られることが示されている。
しかしながら、これらの文献に記載された方法では、成形体の着色は低減できても、得られた成形体の明度がなお足りないという指摘があった。
特開2019−56088号公報 特表2015−507057号公報 特開2013−7030号公報
本発明は成形材料に供した場合に、明度の高い成形体を得ることができる疎水化植物繊維組成物とその製造方法、疎水化植物繊維組成物を含有する成形材料用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の疎水性化合物と植物繊維とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物を含む組成物を用いた成形体は、十分な明度を有することを見出した。
すなわち、上記の課題を解決しようとする本発明の手段は、
<1>ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と、植物繊維(b)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有し、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との合計(A)と化合物(B)との質量比がA:B=99.9:0.1〜95:5であることを特徴とする疎水化植物繊維組成物、
<2>ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との反応物(C)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有し、反応物(C)と化合物(B)との質量比がC:B=99.9:0.1〜95:5であることを特徴とする疎水化植物繊維組成物、
<3>疎水性化合物(a)がジエン骨格を有する化合物であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の疎水化植物繊維組成物、
<4>疎水性化合物(a)とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを混合後に植物繊維(b)を混合して、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)とを反応することを特徴とする前記<2>に記載の疎水化植物繊維組成物の製造方法、
<5>前記<1>〜<3>いずれか一項に記載の疎水化植物繊維組成物を含有することを特徴とする成形材料用組成物、
である。
本発明によれば、この疎水化植物繊維組成物を含有する成形材料用組成物を用いた成形体は、十分な明度を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の記載は本発明の実施形態の一例であり、本記載に限定されるものではない。
本発明の疎水化植物繊維組成物は、ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と、植物繊維(b)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有する(態様1)。
ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)は、好ましくはそのヨウ素価が50g/100g〜300g/100gであり、より好ましくは100g/100g〜250g/100gである。ヨウ素価40g/100gを下回ると、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)との併用効果が得られず十分な明度が得られない。なお、本発明において「疎水性」とは、水に対して親和性が小さく水に溶解しにくい性質をいう。
本発明におけるヨウ素価とは、JIS K0070に基づき、以下の手順にて測定した値であり、試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値をいう。
試料2gをシクロヘキサンに溶解し、ウィイス液25mLを加えて時々ビーカーを振りながら暗所で30分静置し、10g/100mLよう化カリウム溶液20mLを加える。最後に純水100mLを加え、強めに撹拌しながら0.1mol/L−チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、式(1)を用いてヨウ素価IVを算出する。
IV = (BL−TL)×f×1.269/S・・・(1)
IV: ヨウ素価(g/100g)
BL: 空試験における0.1mol/L−チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(mL)
TL: 本滴定における0.1mol/L−チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(mL)
f: 0.1mol/L−チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
S: 試料採取量(g)
ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)としては、石油樹脂、石炭樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、長鎖のアルキルまたはアルケニル基もしくは長鎖シクロアルキルまたはシクロアルケニル基を有する多塩基酸無水物、ジエン骨格を有する化合物などの疎水性化合物のうち、前記ヨウ素価を満足するものが挙げられ、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、長鎖のアルキルもしくはアルケニル基または長鎖シクロアルキルもしくはシクロアルケニル基を有する多塩基酸無水物、ジエン骨格を有する化合物が好ましい。
長鎖のアルキルもしくはアルケニル基または長鎖シクロアルキルもしくはシクロアルケニル基を有する多塩基酸無水物としては、例えば、アルケニルコハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などが挙げられる。アルケニルコハク酸無水物が好ましく、オクテニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物がより好ましい。
ジエン骨格を有する化合物としては、例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)−ブタジエン共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。ポリイソプレン、ポリブタジエンが好ましく、ポリブタジエンがより好ましい。
ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)は、植物繊維(b)と共有結合が可能な官能基を有してもよい。前記植物繊維(b)との共有結合が可能である官能基としては、例えば、アルデヒド基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、酸無水基、酸ハロゲン化基等が挙げられる。反応性と安全性の観点から酸無水基が好ましい。
植物繊維(b)は、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプなどの植物由来のセルロース繊維が挙げられる。植物由来のセルロース繊維の中でも、パルプが好ましい。パルプとしては、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙などが挙げられる。
これらパルプの中では、特に針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
植物繊維(b)は、絶乾状態であっても、有機溶剤や水分のような揮発性成分を含んだ状態であっても構わない。本発明では、疎水化植物繊維組成物を熱可塑性樹脂及び/又はゴムと混練して成形材料用組成物とするが、熱可塑性樹脂及び/又はゴムとの混練時の生産性の観点から、揮発性成分は植物繊維(b)の質量の100%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましい。
本発明において、植物繊維(b)の絶乾質量は赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製:「FD−620」)を用い、温度150℃で測定する。
ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との質量比は、均質で十分な明度を有する成形体とするためには、(a)/(b)=5/95〜70/30であることが好ましく、15/85〜35/65であるとより好ましい。
本発明においては、植物繊維(b)を予め疎水性化合物(a)及びレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)と混合させて疎水化植物繊維組成物としているので、熱可塑性樹脂及び/又はゴムと複合化する際の混練時においても、植物繊維(b)が着色することなく、十分な明度を有する成形体を得ることができる。
レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)としては、ヒドロキノンモノメチルエーテル、4,4´−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール(例えば、大内新興化学工業株式会社のノクラック300)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン(例えば、株式会社ADEKAのアデカスタブAO−30)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール(例えば、株式会社ADEKAのアデカスタブAO−40)が挙げられる。
また、本発明の疎水化植物繊維組成物は、ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との反応物(C)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有する(態様2)。
ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と植物繊維(b)とが反応した反応物(C)は、植物繊維(b)と共有結合が可能な官能基を有している疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との反応物である。前記反応物(C)としては、例えば、マレイン化石油樹脂変性セルロース、アルケニルコハク酸無水物変性セルロース、マレイン化ポリブタジエン変性セルロースなどが挙げられる。
本発明において、ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)が、植物繊維(b)とエステル結合を形成する化合物である場合は、変性反応の進行はPerkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光分析装置「Spectrum one」を用いて観察する。具体的には1650〜1750cm−1に生じるエステル結合のカルボニル炭素と酸素の伸縮振動に由来するピーク強度が変性反応の進行に伴い増強することから、定性的に確認することができる。
態様1における疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との合計(A)又は態様2における反応物(C)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)との質量比は99.9:0.1〜95:5である必要がある。レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)の比率が0.1質量部より少ないと、十分な明度向上効果が得られず、5質量部より多いと、熱可塑性樹脂及び/又はゴムとの混練工程において、適切なバランスで混練することが厳しくなり結果として甚だしい着色を生じるなどの問題を生じる恐れがある。
本発明の疎水化植物繊維組成物の製造方法においては、疎水性化合物(a)とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とをあらかじめ混合した後に、植物繊維(b)と混合及び/又は反応させることが好ましい。本発明の製造方法によれば、より効率よく十分な明度を有する成形体を得ることができる。
本発明の成形材料用組成物は、疎水化植物繊維組成物と熱可塑性樹脂及び/又はゴムと混合することで得られる。ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)に用いたものが熱可塑性樹脂及び/又はゴムである場合は、熱可塑性樹脂及び/又はゴムは前記疎水性化合物(a)と同じものであってもよい。成形性の観点から、熱可塑性樹脂及び/又はゴムのガラス転移点は−130℃〜120℃であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、石油樹脂;石炭樹脂;テルペン樹脂;ロジン樹脂;スチレン樹脂、アクリル樹脂;スチレンアクリル樹脂;ポリエチレンやポリプロピレン、α−オレフィン−エチレン共重合体などの各種ポリオレフィン;ポリアミド11やポリアミド12などの各種ポリアミド;ポリブチレンサクシネートやポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ乳酸などの各種ポリエステル;ポリオキシメチレンなどの各種ポリエーテル;ポリプロピレンカーボネート、ポリカーボネートジオールなどの各種ポリカーボネート;スチレン系エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体;各種ポリウレタン;ポリ塩化ビニル;及びこれらの変性物から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。これらのなかでも、ポリオレフィン、スチレン樹脂、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びそれらの変性物が好ましく、ポリオレフィン及びそれらの変性物がより好ましい。
ゴムとしては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)−ブタジエン共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及びそれらの変性物から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。これらのなかでも原料モノマーにジエン骨格を有する化合物を含むゴム、及びそれらの変性物がより好ましく、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びその変性物がより好ましい。
本発明の成形材料用組成物は、成形体の強度向上の観点でいえば、植物繊維(b)に由来する植物繊維分を1〜70質量%含有することが好ましい。5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
本発明の成形材料用組成物を成形体の製造に供する場合は、成形工程の前に混練工程を経ておく必要があるが、本発明の成形材料用組成物は、予め混練されたものであってもよい。混練する際の混練方法に特に制限はなく、従来公知の方法をとることができる。例えば、一軸混練機、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー、加圧型ニーダー、ロール混練機等がある。
また本発明の成形材料用組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、タルク、クレイ、結晶化核剤、架橋剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、滑剤、ワックス類、着色剤、安定剤等を配合してもよい。
上記の成形材料用組成物を成形体とするには、一般的な成形方法を用いることができる。例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、発泡成形、3Dプリンタなどが挙げられる。また本発明の成形材料用組成物の用途としては特に限られることはないが、例えば、自動車、バイク、自転車、鉄道、ドローン、ロケット、航空機、船舶等の輸送機械用の内外装材や筐体等、風力発電機、水力発電機等のエネルギー機械、エアコン、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、AV機器、ディジタルカメラ、パソコン等の家電筐体、電子基板、携帯電話、スマートホン等の通信機器筐体、松葉づえ、車いす等の医療用器具、スニーカーやビジネスシューズ等の靴、タイヤ、球技スポーツ用のボール、スキーブーツ、スノーボード板、ゴルフクラブ、プロテクタ、釣り糸、疑似餌等のスポーツ用品、テントやハンモックなどのアウトドア用品、電線被覆材、水道管、ガス管等の土木建築資材、柱材、床材、化粧板、窓枠、断熱材等の建築材、本棚、机、椅子等の家具、産業用ロボット、家庭用ロボット、ホットメルト接着剤、積層式3Dプリンタ用フィラメントやサポート剤、塗料、インク、トナー等の記録材料用バインダー樹脂、フィルムやテープなどの包装材、ペットボトル等の樹脂容器、メガネフレーム、ごみ箱、シャープペンシルケース等の生活雑貨等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との反応物(C)の調製]
(製造例1)
容器へ植物繊維(b)として針葉樹漂白クラフトセルロース100質量部と水400質量部とN−メチルピロリドン(以下、NMPと記載する)150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、疎水性化合物(a)としてヘキサデセニルコハク酸無水物(ヨウ素価55g/100g)20質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、反応物(C−1)を得た。
(製造例2)
容器へ植物繊維(b)として針葉樹漂白クラフトセルロース100質量部と水400質量部とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、疎水性化合物(a)としてRICON130MA3(クレイバレー社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)35質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、反応物(C−2)を得た。
(製造例3)
容器へ植物繊維(b)として針葉樹漂白クラフトセルロース100質量部と水400質量部とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、疎水性化合物(a)としてPOLYVEST MA75(EVONIK社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)35質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、反応物(C−3)を得た。
(比較製造例1)
容器へ植物繊維(b)として針葉樹漂白クラフトセルロース100質量部と水400質量部とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、疎水性化合物として炭素−炭素二重結合を有しないリカシッドHH(新日本理化株式会社製ヘキサヒドロフタル酸無水物;ヨウ素価0g/100g)20質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、反応物(C−4)を得た。
(実施例1)
容器へ植物繊維(b)として針葉樹漂白クラフトセルロース100質量部と水400質量部とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、疎水性化合物(a)としてPOLYVEST MA75(EVONIK社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)35質量部を投入後、昇温せずにそのまま減圧留去によりNMPを留去し、混合物(A−1)を得た。
続いて、別の容器に混合物(A−1)99質量部とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)としてアデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で1時間撹拌し、疎水化植物繊維組成物(J−1)を得た。疎水化植物繊維組成物(J−1)の組成を表1に示す。
Figure 2021161340
表中の略号
PV:POLYVEST MA75(EVONIK社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200/100g
AO40:アデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)
(実施例2)
容器に、製造例1で調製した反応物(C−1)99質量部とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)としてアデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で1時間撹拌し、疎水化植物繊維組成物(J−2)を得た。疎水化植物繊維組成物(J−2)の組成を表2に示す。
(実施例3〜7、比較例1〜5)
反応物(C)と化合物(B)の種類や質量比を表2のように変えた以外は、実施例3に記載の方法に準じて疎水化植物繊維組成物(J−3)〜(J−7)、(H−1)〜(H−5)を得た。疎水化植物繊維組成物(J−3)〜(J−7)、(H−1)〜(H−5)の組成を表2に示す。
Figure 2021161340
表中の略号
ASA:ヘキサデセニルコハク酸無水物(ヨウ素価55g/100g)
RICON:RICON130MA3(クレイバレー社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)
PV:POLYVEST MA75(EVONIK社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)
リカシッド:リカシッドHH(新日本理化株式会社製ヘキサヒドロフタル酸無水物;ヨウ素価0g)
AO40:アデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)
ノクラック:ノクラック300(大内新興化学工業株式会社製4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール))
I1520L:IRGANOX1520L(BASF株式会社製4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o―クレゾール)):ヒンダードフェノール化合物
AO60:アデカスタブAO−60(株式会社ADEKA製テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]):ヒンダードフェノール化合物
(成形材料用組成物を用いた成形体の明度評価1)
(実施例8〜16、比較例6〜10)
実施例1〜7、比較例1〜5で得られた疎水化植物繊維組成物(J−1)〜(J−7)、(H−1)〜(H−5)を用い、疎水化植物繊維組成物と熱可塑性樹脂(ウルトゼックスU−4020L:株式会社プライムポリマー製LLDPE)とを、表3に示した質量比で、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いて180℃、75rpm、10分で混練することで成形材料用組成物を調製した。得られた成形材料用組成物を、手動射出成形機(井本製作所株式会社製)を用いて200℃条件にて厚さ2mm、幅5mmの成形体(ダンベル片)を作成した。このダンベル片を分光測色計CM−600d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて明度(L*)を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2021161340
実施例と比較例から、本願発明で規定する疎水化植物繊維組成物を含む成形材料用組成物を用いた成形体は、本願発明で規定する以外のものに比べて、明度が高いことがわかる。
(疎水性化合物(a)と化合物(B)を予め混合後に植物繊維(b)を混合して、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)とを反応する疎水化植物繊維組成物の製造方法)
(実施例17)
容器へ植物繊維(b)として針葉樹漂白クラフトセルロース100質量部と水400質量部とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去した。次に、疎水性化合物(a)としてPOLYVEST MA75(EVONIK社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)35質量部とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)としてアデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)1.37質量部とをあらかじめ混合したものを投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、疎水化植物繊維組成物(J−8)を得た。(J−8)の組成を表4に示す。
Figure 2021161340
表中の略号
PV:POLYVEST MA75(EVONIK社製無水マレイン酸変性ポリブタジエン;ヨウ素価200g/100g)
AO40:アデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)
(実施例18)
実施例17で得られた疎水化植物繊維組成物(J−8)40質量部と、熱可塑性樹脂としてウルトゼックスU−4020L(株式会社プライムポリマー製LLDPE)60質量部とを、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いて180℃、75rpm、10分で混練することで成形材料用組成物を調製した。得られた成形材料用組成物を、手動射出成形機(井本製作所株式会社製)を用いて200℃条件にて厚さ2mm、幅5mmの成形体(ダンベル片)を作成した。このダンベル片を分光測色計CM−600d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて明度(L*)を測定した。測定結果を表5に示す。
Figure 2021161340
実施例12と実施例18との対比から、疎水性化合物(a)とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)をあらかじめ混合した後に、植物繊維(b)を混合して、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)とを反応すると、得られる疎水化植物繊維組成物を用いた成形体の明度がより高くなることがわかる。
(成形材料用組成物を用いた成形体の明度評価2)
(実施例19、比較例11)
実施例3及び比較例5で得られた疎水化植物繊維組成物(J−3)、(H−5)を用い、疎水化植物繊維組成物とゴム(EP22:JSR株式会社製エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM))とを、表6に示した質量比で、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いて180℃、75rpm、10分で混練することで成形材料用組成物を調製した。得られた成形材料用組成物を、手動射出成形機(井本製作所株式会社製)を用いて200℃条件にて厚さ2mm、幅5mmの成形体(ダンベル片)を作成した。このダンベル片を分光測色計CM−600d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて明度(L*)を測定した。測定結果を表6に示す。
Figure 2021161340
実施例19と比較例11から、本願発明で規定する疎水化植物繊維組成物を含む成形材料用組成物を用いた成形体は、本願発明で規定する以外のものに比べて、明度が高いことがわかる。

Claims (5)

  1. ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と、植物繊維(b)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有し、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との合計(A)と化合物(B)との質量比がA:B=99.9:0.1〜95:5である疎水化植物繊維組成物。
  2. ヨウ素価が40g/100g以上の二重結合を含む疎水性化合物(a)と植物繊維(b)との反応物(C)と、レスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを含有し、反応物(C)と化合物(B)との質量比がC:B=99.9:0.1〜95:5である疎水化植物繊維組成物。
  3. 疎水性化合物(a)がジエン骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の疎水化植物繊維組成物。
  4. 疎水性化合物(a)とレスヒンダードフェノール骨格を持つ化合物(B)とを混合後に植物繊維(b)を混合して、疎水性化合物(a)と植物繊維(b)とを反応することを特徴とする請求項2に記載の疎水化植物繊維組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜3いずれか一項に記載の疎水化植物繊維組成物を含有する成形材料用組成物。
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