JP2022170469A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、制音体のタイヤ内面からの剥離を抑制することのできる、空気入りタイヤを提供することを目的とする。【解決手段】本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内面に制音体が配置され、前記制音体は、スポンジ材であり、基準状態において、タイヤ幅方向断面にて、前記スポンジ材は、矩形状であり、前記スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、前記スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、前記スポンジ材の厚さtは、30mm以下であり、前記スポンジ材の体積率は、5~8%であり、前記スポンジ材の破断時伸び率は、200~250%であり、前記スポンジ材の硬度は、80~140Nである。【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
従来、タイヤの内腔内で生じる空気やガスの共鳴振動(空洞共鳴)を低減するため、タイヤ内面に、スポンジ材等からなる制音体を配置することが知られている(例えば、特許文献1)。制音体は、タイヤの内腔内での空気やガスの振動エネルギーを熱エネルギーへと変換し、タイヤの内腔内での空洞共鳴を抑制することができる。
しかしながら、上記の技術では、制音体がタイヤ内面から剥離してしまうおそれがあり、そのような場合には、最早、制音効果を有効に得ることができなくなるという問題があった。
そこで、本発明は、制音体のタイヤ内面からの剥離を抑制することのできる、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)本発明の空気入りタイヤは、
タイヤ内面に制音体が配置され、
前記制音体は、スポンジ材であり、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、
タイヤ幅方向断面にて、前記スポンジ材は、矩形状であり、且つ、前記スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、前記スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、且つ、前記スポンジ材の厚さtは、30mm以下であり、
前記スポンジ材の体積率は、5~8%であり、
前記スポンジ材の破断時伸び率は、200~250%であり、
前記スポンジ材の硬度は、80~140Nであることを特徴とする。
(1)本発明の空気入りタイヤは、
タイヤ内面に制音体が配置され、
前記制音体は、スポンジ材であり、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、
タイヤ幅方向断面にて、前記スポンジ材は、矩形状であり、且つ、前記スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、前記スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、且つ、前記スポンジ材の厚さtは、30mm以下であり、
前記スポンジ材の体積率は、5~8%であり、
前記スポンジ材の破断時伸び率は、200~250%であり、
前記スポンジ材の硬度は、80~140Nであることを特徴とする。
ここで、「スポンジ材のタイヤ幅方向の幅w」は、位置によって幅が変化する場合には、タイヤ幅方向の最大幅とし、「スポンジ材の厚さt」は、タイヤ径方向に測るものとし、位置によって厚さが変化する場合には、最大厚さとする。
また、「スポンジ材の体積率」とは、タイヤ内腔の全体積に占める、スポンジ材の体積の割合を意味する。ただし、ここでいう「スポンジ材の体積」は、常温、常圧下での、タイヤ1をリムから取り外した状態でのものとする。また、「タイヤの内腔の全体積」は、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填した際の全体積をいうものとする。
また、「スポンジ材の破断時伸び率」とは、JIS K 6400の「軟質ウレタンフォーム試験方法」に定める10項の「引張強さ及び伸び」の測定法に準拠し、1号形のダンベル状試験片に対して測定した値である。
また、「スポンジ材の硬度」とは、JIS K 6400の「軟質ウレタンフォーム試験方法」に定める6項の「硬さ」の測定法のうちのA 法(6.3項)に準拠して測定した値である。
また、「スポンジ材の体積率」とは、タイヤ内腔の全体積に占める、スポンジ材の体積の割合を意味する。ただし、ここでいう「スポンジ材の体積」は、常温、常圧下での、タイヤ1をリムから取り外した状態でのものとする。また、「タイヤの内腔の全体積」は、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填した際の全体積をいうものとする。
また、「スポンジ材の破断時伸び率」とは、JIS K 6400の「軟質ウレタンフォーム試験方法」に定める10項の「引張強さ及び伸び」の測定法に準拠し、1号形のダンベル状試験片に対して測定した値である。
また、「スポンジ材の硬度」とは、JIS K 6400の「軟質ウレタンフォーム試験方法」に定める6項の「硬さ」の測定法のうちのA 法(6.3項)に準拠して測定した値である。
ここで、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
(2)前記スポンジ材の破断時伸び率は、210~240%である、上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)前記スポンジ材の硬度は、90~130Nである、上記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
本発明によれば、制音体のタイヤ内面からの剥離を抑制することのできる、空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図である。図1は、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態でのタイヤ幅方向断面を示している。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)1は、一対のビード部2と、該ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部に連なるトレッド部5とを有している。また、タイヤ1は、一対のビード部2に埋設されたビードコア2aにトロイダル状に跨るカーカス3のクラウン部のタイヤ径方向外側に、ベルト4とトレッドゴムとを順に備えている。
図1に示すように、本実施形態においては、ビードコア2aのタイヤ径方向外側に、図示例で断面略三角形状のビードフィラ2bをさらに備えている。一方で、本発明では、ビード部2の構成は、特に限定されるものではなく、ビードコア2aやビードフィラ2bの断面形状、大きさ、材質は任意の既知のものとすることができる。また、ビードコア2aやビードフィラ2bを有しない構成とすることもできる。
また、本実施形態では、カーカス3は、有機繊維からなる1枚のカーカスプライで構成されているが、本発明では、カーカス3を構成するカーカスプライの枚数や材質も特に限定されない。
また、本実施形態では、ベルト4は、層間でコード(この例ではスチールコード)が互いに交差する、2層のベルト層4a、4bからなるが、本発明では、ベルト構造は特に限定されず、コードの材質等、打ち込み数、傾斜角度、ベルト層数等、任意の構成とすることができる。
また、トレッド部5のゴムの材質等も、任意の既知の構成とすることができる。
また、トレッド部5のゴムの材質等も、任意の既知の構成とすることができる。
図1に示すように、本実施形態のタイヤでは、トレッド部5におけるタイヤ内面6(本例では図示しないインナーライナーのさらに内面)に、接着層8を介して、制音体7が配置されている。接着層8は、任意の既知の接着剤からなるものとすることができる。
本実施形態では、制音体7は、タイヤ幅方向延在領域の少なくとも一部(図示例では全部)が、トレッド部5のタイヤ径方向内側に配置されている。図示例では、接着層8のタイヤ幅方向の幅は、制音体7のタイヤ幅方向の幅より大きいが、同じとすることもでき、小さくすることもできる。
なお、この例では、制音体7及び接着層8は、タイヤ周上に、タイヤ周方向に沿って連続して設けられている。一方で、制音体7や接着層8は、タイヤ周上に、タイヤ周方向に沿って断続的に設けることもできる。
なお、この例では、制音体7及び接着層8は、タイヤ周上に、タイヤ周方向に沿って連続して設けられている。一方で、制音体7や接着層8は、タイヤ周上に、タイヤ周方向に沿って断続的に設けることもできる。
本実施形態では、制音体7は、スポンジ材である。スポンジ材は、海綿状の多孔構造体とすることができ、例えば、ゴムや合成樹脂を発泡させた連続気泡を有する、いわゆるスポンジを含む。また、スポンジ材は、上述のスポンジの他に、動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したウエブ状のものを含む。なお、上述の「多孔構造体」は、連続気泡を有する構造体に限らず、独立気泡を有する構造体も含む意味である。上述のようなスポンジ材は、表面や内部に形成される空隙が振動する空気の振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。これにより、タイヤの内腔での空洞共鳴が抑制され、その結果、ロードノイズを低減することができる。
スポンジ材の材料としては、例えば、エーテル系ポリウレタンスポンジ、エステル系ポリウレタンスポンジ、ポリエチレンスポンジなどの合成樹脂スポンジ、クロロプレンゴムスポンジ(CRスポンジ)、エチレンプロピレンジエンゴムスポンジ(EPDMスポンジ)、ニトリルゴムスポンジ(NBRスポンジ)などのゴムスポンジが挙げられる。制音性、軽量性、発泡の調節可能性、耐久性などの観点を考慮すれば、エーテル系ポリウレタンスポンジを含むポリウレタン系又はポリエチレン系等のスポンジを用いることが好ましい。
スポンジ材の材料としては、例えば、エーテル系ポリウレタンスポンジ、エステル系ポリウレタンスポンジ、ポリエチレンスポンジなどの合成樹脂スポンジ、クロロプレンゴムスポンジ(CRスポンジ)、エチレンプロピレンジエンゴムスポンジ(EPDMスポンジ)、ニトリルゴムスポンジ(NBRスポンジ)などのゴムスポンジが挙げられる。制音性、軽量性、発泡の調節可能性、耐久性などの観点を考慮すれば、エーテル系ポリウレタンスポンジを含むポリウレタン系又はポリエチレン系等のスポンジを用いることが好ましい。
制音体7の形状については、制音体7は、タイヤ幅方向断面視にて矩形状である。制音体7の寸法等について、スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、且つ、スポンジ材の厚さtは、30mm以下である。また、スポンジ材の体積率は、5~8%である。
制音体7の物性等については、スポンジ材の破断時伸び率は、200~250%であり、210~240%であることが好ましい。また、スポンジ材の硬度は、80~140Nであり、90~130Nであることが好ましい。
制音体7のその他の物性等については、スポンジ材の比重は、0.001~0.090とすることが好ましい。スポンジ材の比重を0.001以上とすることにより、制音性を向上させることができ、一方で、スポンジ材の比重を0.090以下とすることにより、スポンジ材による重量増を抑制することができるからである。同様に、スポンジ材の比重は、0.003~0.080とすることがより好ましい。ここで、「比重」とは、JIS K6400の第5項の測定法に準拠し、見かけ密度を比重に換算した値とする。
また、スポンジ材の引張り強さは、20~500kPaとすることが好ましい。引張り強さを20kPa以上とすることにより、接着力を向上させることができ、一方で、引張り強さを500kPa以下とすることにより、スポンジ材の生産性を向上させることができるからである。同様に、スポンジ材の引張り強さは、40~400kPaとすることがより好ましい。ここで、「引張り強さ」とは、JIS K6400の第10項の測定法に準拠し、1号形のダンベル状試験片で測定した値とする。
また、スポンジ材の引裂強さは、1~130N/cmとすることが好ましい。引裂強さを1N/cm以上とすることにより、スポンジ材にクラックが発生するのを抑制することができ、一方で、引裂強さを130N/cm以下とすることにより、スポンジ材の製造性を向上させることができるからである。同様に、スポンジ材の引裂強さは、3~115N/cmとすることがより好ましい。ここで、「引裂強さ」とは、JIS K6400の第11項の測定法に準拠し、1号形の試験片で測定した値とする。
また、スポンジ材の発泡率は、1%以上40%以下とすることが好ましい。発泡率を1%以上とすることにより、制音性を向上させることができ、一方で、発泡率を40%以下とすることにより、スポンジ材の生産性を向上させることができるからである。同様に、スポンジ材の発泡率は、2~25%とすることがより好ましい。ここで、「発泡率」とは、スポンジ材の固相部の比重Aの、スポンジ材の比重Bに対する比A/Bから1を引いて、その値に100を乗じた値をいう。
また、スポンジ材の全体の質量は、5~800gとすることが好ましい。質量を5g以上とすることにより、制音性を低減することができ、一方で、質量を800g以下とすることにより、スポンジ材による重量増を抑制することができるからである。同様に、スポンジ材の質量は、20~600gとすることが好ましい。
また、スポンジ材の引張り強さは、20~500kPaとすることが好ましい。引張り強さを20kPa以上とすることにより、接着力を向上させることができ、一方で、引張り強さを500kPa以下とすることにより、スポンジ材の生産性を向上させることができるからである。同様に、スポンジ材の引張り強さは、40~400kPaとすることがより好ましい。ここで、「引張り強さ」とは、JIS K6400の第10項の測定法に準拠し、1号形のダンベル状試験片で測定した値とする。
また、スポンジ材の引裂強さは、1~130N/cmとすることが好ましい。引裂強さを1N/cm以上とすることにより、スポンジ材にクラックが発生するのを抑制することができ、一方で、引裂強さを130N/cm以下とすることにより、スポンジ材の製造性を向上させることができるからである。同様に、スポンジ材の引裂強さは、3~115N/cmとすることがより好ましい。ここで、「引裂強さ」とは、JIS K6400の第11項の測定法に準拠し、1号形の試験片で測定した値とする。
また、スポンジ材の発泡率は、1%以上40%以下とすることが好ましい。発泡率を1%以上とすることにより、制音性を向上させることができ、一方で、発泡率を40%以下とすることにより、スポンジ材の生産性を向上させることができるからである。同様に、スポンジ材の発泡率は、2~25%とすることがより好ましい。ここで、「発泡率」とは、スポンジ材の固相部の比重Aの、スポンジ材の比重Bに対する比A/Bから1を引いて、その値に100を乗じた値をいう。
また、スポンジ材の全体の質量は、5~800gとすることが好ましい。質量を5g以上とすることにより、制音性を低減することができ、一方で、質量を800g以下とすることにより、スポンジ材による重量増を抑制することができるからである。同様に、スポンジ材の質量は、20~600gとすることが好ましい。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
まず、本実施形態では、タイヤ内面6に(本例では接着層8を介して)制音体7が配置されているため、タイヤ1の制音性を高めることができ、また、接着層8により制音体7のタイヤ内面6からの剥離を抑制することもできる。
そして、本実施形態のタイヤ1では、スポンジ材は、断面矩形状であり、且つ、スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、且つ、スポンジ材の厚さtは、30mm以下であり、さらに、スポンジ材の体積率は、5~8%であるため、タイヤの制音性をより有効に得つつも、タイヤの重量増を抑制し、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を抑制することができる。すなわち、形状が矩形状であることにより、(矩形の)上辺でタイヤ内面6との接着領域を大きく確保して制音体7のタイヤ内面6からの剥離をより一層抑制することができる。また、比t/wが0.4未満だと(幅に対して厚さが薄くなって幅に対する体積が減少して)制音効果を十分に得ることができない。一方で、比t/wが0.55以上だと(厚さに対して幅が小さくなって)タイヤ内面6との接着領域が小さくなり、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を十分に抑制することができない。また、スポンジ材の厚さtが30mm超だと、タイヤの重量増を招いてしまう。また、スポンジ材の体積率が5%未満だと、制音効果を十分に得ることができない、また、スポンジ材の体積率が8%超だと重量増を招いてしまう。
また、スポンジ材の破断時伸び率が、200~250%であることにより、制音体7のタイヤ内面6からの剥離をさらに抑制することができる。すなわち、スポンジ材の破断時伸び率が200%未満だと、スポンジ材が伸びにくく、タイヤ内面6(あるいは接着層8)との界面で引き剥がされる力がかかりやすくなり、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を十分に抑制することができない。なお、スポンジ材の破断時伸び率が200%超だと生産性が低下してしまう。
また、スポンジ材の硬度が、80~140Nであることにより、制音性を向上させつつも、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を抑制することができる。すなわち、スポンジ材の硬度が80N未満だと制音効果を十分に得ることができず、一方で、スポンジ材の硬度が140N超だと、タイヤ内面6(あるいは接着層8)との間での接着力を十分に得ることができず、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を十分に抑制することができない。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、制音体のタイヤ内面からの剥離を抑制することができる。また、タイヤの重量増を抑制し、タイヤの制音性をより有効に得ることができる。
まず、本実施形態では、タイヤ内面6に(本例では接着層8を介して)制音体7が配置されているため、タイヤ1の制音性を高めることができ、また、接着層8により制音体7のタイヤ内面6からの剥離を抑制することもできる。
そして、本実施形態のタイヤ1では、スポンジ材は、断面矩形状であり、且つ、スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、且つ、スポンジ材の厚さtは、30mm以下であり、さらに、スポンジ材の体積率は、5~8%であるため、タイヤの制音性をより有効に得つつも、タイヤの重量増を抑制し、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を抑制することができる。すなわち、形状が矩形状であることにより、(矩形の)上辺でタイヤ内面6との接着領域を大きく確保して制音体7のタイヤ内面6からの剥離をより一層抑制することができる。また、比t/wが0.4未満だと(幅に対して厚さが薄くなって幅に対する体積が減少して)制音効果を十分に得ることができない。一方で、比t/wが0.55以上だと(厚さに対して幅が小さくなって)タイヤ内面6との接着領域が小さくなり、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を十分に抑制することができない。また、スポンジ材の厚さtが30mm超だと、タイヤの重量増を招いてしまう。また、スポンジ材の体積率が5%未満だと、制音効果を十分に得ることができない、また、スポンジ材の体積率が8%超だと重量増を招いてしまう。
また、スポンジ材の破断時伸び率が、200~250%であることにより、制音体7のタイヤ内面6からの剥離をさらに抑制することができる。すなわち、スポンジ材の破断時伸び率が200%未満だと、スポンジ材が伸びにくく、タイヤ内面6(あるいは接着層8)との界面で引き剥がされる力がかかりやすくなり、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を十分に抑制することができない。なお、スポンジ材の破断時伸び率が200%超だと生産性が低下してしまう。
また、スポンジ材の硬度が、80~140Nであることにより、制音性を向上させつつも、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を抑制することができる。すなわち、スポンジ材の硬度が80N未満だと制音効果を十分に得ることができず、一方で、スポンジ材の硬度が140N超だと、タイヤ内面6(あるいは接着層8)との間での接着力を十分に得ることができず、制音体7のタイヤ内面6からの剥離を十分に抑制することができない。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、制音体のタイヤ内面からの剥離を抑制することができる。また、タイヤの重量増を抑制し、タイヤの制音性をより有効に得ることができる。
上記のように、スポンジ材の硬度が80N以上であるにもかかわらず、破断時伸び率が200%以上であるようなスポンジ材を得るためには、とりわけ、エーテル系ポリウレタンスポンジ、エステル系ポリウレタンスポンジ等のポリウレタン系の材質とすることが好ましい。
スポンジ材の破断時伸び率は、210~240%であることが好ましい。スポンジ材の破断時伸び率が210%以上であることにより、制音体7のタイヤ内面6からの剥離をより一層抑制することができ、一方で、スポンジ材の破断時伸び率が240%以下であることにより、生産性をより一層確保することができるからである。
スポンジ材の硬度は、90~130Nであることが好ましい。スポンジ材の硬度が90N以上であることにより、より一層制音効果を高めることができ、一方で、スポンジ材の硬度が130N以下であることにより、制音体7のタイヤ内面6からの剥離をより一層抑制することができるからである。
上記の例では、接着層は単層の接着剤からなるが、これに代えて、不織布を2層の接着層で挟み込んだ構成のものを用いてもよい。本実施形態では、スポンジ材の破断時伸び率は200%以上であるため、破断時伸び率の小さい不織布を用いた上記の構成としても十分剥離しにくいからである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、図1に示した例では、制音体7のタイヤ幅方向端部は、ベルト端(1層のベルト層のタイヤ幅方向端又は2層以上のベルト層のうち最大幅を有するベルト層のタイヤ幅方向端)よりタイヤ幅方向内側においてタイヤ内面6(図示例では接着層8)と接しているが、制音体のタイヤ幅方向端部は、ベルト端よりタイヤ幅方向外側においてタイヤ内面(接着層)と接していても良い。他にも種々の変形が可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。本発明の効果を確かめるため、発明例及び比較例1、2にかかるサンプルを試作して、スポンジ材のタイヤ内面からの剥離を評価する試験を行った。評価は、スポンジ材の(最も剥離が生じやすい箇所である)端部を万力で固定し、剥離に至った力を計測した。また、生じた剥離の形態がスポンジ材に破れが生じたもの(不良)であるか、それ以外の形態であるかについても確認した。各サンプルの諸元及び評価結果を表1に示している。
1:空気入りタイヤ
2:ビード部
2a:ビードコア
2b:ビードフィラ
3:カーカス
4:ベルト
5:トレッド部
6:タイヤ内面
7:制音体
8:接着層
2:ビード部
2a:ビードコア
2b:ビードフィラ
3:カーカス
4:ベルト
5:トレッド部
6:タイヤ内面
7:制音体
8:接着層
Claims (3)
- タイヤ内面に制音体が配置された、空気入りタイヤであって、
前記制音体は、スポンジ材であり、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、
タイヤ幅方向断面にて、前記スポンジ材は、矩形状であり、且つ、前記スポンジ材のタイヤ幅方向の幅wに対する、前記スポンジ材の厚さtの比t/wは、0.4~0.55であり、且つ、前記スポンジ材の厚さtは、30mm以下であり、
前記スポンジ材の体積率は、5~8%であり、
前記スポンジ材の破断時伸び率は、200~250%であり、
前記スポンジ材の硬度は、80~140Nであることを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記スポンジ材の破断時伸び率は、210~240%である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記スポンジ材の硬度は、90~130Nである、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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