JP2022166050A - 吸水性樹脂粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂粉末の提供。【解決手段】有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末であって、吸水性樹脂粉末の表面に水溶性多価金属塩粒子が付着し、SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の数平均粒子径が0.3~15μmである吸水性樹脂粉末。【選択図】図1

Description

本発明は、吸水性樹脂粉末に関する。
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料には、体液を吸収させることを目的として、パルプ等の親水性繊維と吸水性樹脂とをその構成材料とする吸収体が幅広く利用されている。
近年、これら衛生材料は、高機能かつ薄型化が進み、衛生材料一枚あたりの吸水性樹脂の使用量や、吸水性樹脂と親水性繊維とからなる吸収体全体に対する吸水性樹脂の比率が増加する傾向にある。つまり、嵩比重の小さい親水性繊維を少なくし、吸水性に優れかつかさ比重の大きい吸水性樹脂を多く使用することにより、吸収体中における吸水性樹脂の比率を高め、吸水量を低下させることなく衛生材料の薄型化を図っている。
吸収体全体に対する吸水性樹脂の比率が上がるに従って、吸水性樹脂に求められる性能の要求も高まっている。例えば、無加圧下での吸水倍率(CRC)だけでなく、体重がかかった状態でも吸水できるように加圧下での吸水倍率(AAP)が求められたり、ゲルブロッキングを防ぐために通液性(例えば、GBPやSFC)が求められたりする。
また、吸収体の効率的な生産のために、吸水性樹脂の取扱性に対する要求も高まっている。中でも、吸水性樹脂は吸湿性を示すため、湿度によらず粉末としての取扱性が変わらないように、吸湿流動性(別称:anti-caking性)が求められる。
これらの要求を満たすために主に吸水性樹脂粒子表面に添加剤を添加する技術が開発されてきた。
例えば、通液性の向上のために多価金属塩を用いることが知られており、特許文献1には、吸水性ポリマー粒子に、多価金属塩等の非反応性コーティング剤を連続的方法で流動床反応機中0℃~150℃の範囲で噴霧コーティングさせる段階を含む、吸水性物質の製造方法が開示されている。特許文献2~7には、表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂に多価金属塩を混合する、通液性(SFC)の向上方法が開示されている。
表面架橋の改良方法として、特許文献8,9には、流動させながら加熱された吸水性樹脂粒子に気体流を用いて表面架橋剤を混合して表面架橋する、吸水性樹脂の表面架橋方法が開示されている。特許文献10には、流動層を形成しているモノマーに表面架橋剤を噴霧する吸水性樹脂の製造方法が開示されている。特許文献11~13には、流動層混合器で、表面架橋剤と別途添加された吸水性樹脂とを加熱して架橋させる表面架橋方法が開示されている。
吸水速度の向上のために、特許文献14~16には、流動層造粒装置中でバインダーを噴霧する吸水性樹脂微粒子の造粒法が開示され、また特許文献17には、多価金属塩水溶液を噴霧する吸水性樹脂組成物が開示されている。さらに特許文献18、19には、通液性と吸湿流動性とが共に優れた吸水性樹脂を得るために改善された多価金属塩水溶液の添加方法が開示されている。なお、特許文献18(比較例2)によれば、吸水性樹脂に硫酸アルミニウム水和物を粉体添加した場合、吸湿流動性は悪かった。
一方、二酸化ケイ素等の水不溶性無機微粒子を添加して通液性または吸湿流動性を向上させる方法も非常に汎用に行われている。例えば通液性(SFC)の向上のために、特許文献20にはシリカ等を添加した吸水性樹脂が、特許文献21には水不溶性金属燐酸塩を添加した吸水性樹脂が開示されている。また、吸湿流動性の向上のために、特許文献22には水不溶性多価金属複合塩を添加した吸水性樹脂が開示されている。しかしながら、このような水不溶性無機微粒子の添加は通液性または吸湿流動性のいずれかが不十分である場合や、加圧下の吸水倍率を低下させる恐れがあった。
また、特許文献23にはミョウバンの微粒子を添加して尿臭の原因であるアンモニアを中和する技術が開示されているものの、通液性が悪く、吸湿流動性も十分ではなかった。
日本国公開特許公報「特表2009-522387号公報」 日本国公開特許公報「特開2005-097519号公報」 国際公開第2000/053664号パンフレット 国際公開第2000/053644号パンフレット 国際公開第2001/074913号パンフレット 日本国公開特許公報「特表2004-508432号公報」 国際公開第2007/121941号パンフレット 日本国公開特許公報「特開平7-242709号公報」 日本国公開特許公報「特開平7-224204号公報」 国際公開第2003/044120号パンフレット 国際公開第2013/110414号パンフレット 国際公開第2013/110415号パンフレット 国際公開第2009/028568号パンフレット 日本国公開特許公報「特表平3-501493号公報」 日本国公開特許公報「特開平6-313043号公報」 日本国公開特許公報「特開平6-313042号公報」 日本国公開特許公報「特開昭61-257235号公報」 日本国公開特許公報「特開2005-113117号公報」 日本国公開特許公報「特開2005-344103号公報」 国際公開第2007/037522号パンフレット 国際公開第2002/060983号パンフレット 国際公開第2014/054656号パンフレット 日本国公開特許公報「特開2000-79159号公報」
しかしながら、通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂粉末を簡便に製造するという観点からは、上述の従来技術にはさらなる改善の余地があった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂粉末を簡便に製造する方法および吸水性樹脂粉末を提供することである。
本願発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、流動層混合機内で、加熱下で多価金属塩水溶液を表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧することによって、通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂粉末を得ることができることを見出した。さらに従来にない細かな多価金属微粒子が表面に存在する吸水性樹脂粉末は通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明(1)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を、流動層混合機内で有機表面架橋剤による表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧する噴霧工程を有し、上記多価金属塩水溶液の噴霧位置での風温が50℃以上である、吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。
また、本願発明(2)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、有機表面架橋剤で表面架橋された吸水性樹脂に対し、レーザ回折・散乱法で測定される体積平均粒子径が0.3~15μmの水溶性多価金属塩粒子を添加する、吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。
さらに、本願発明(3)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末であって、吸水性樹脂粉末の表面に数平均粒子径0.3~15μm(SEM画像分析)の水溶性多価金属塩粒子が付着した、吸水性樹脂粉末を提供する。
本発明の一態様によれば、通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂粉末を簡便に製造することができる。
また、本発明の一態様によれば、経時色調にも優れた吸水性樹脂粉末を簡便に製造することができる。
実施例1の吸水性樹脂粉末のSEM画像である。
以下、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の製造方法および本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更および実施することができる。
具体的には、本発明は下記各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」または「質量ppm」を意味する。さらに、「~酸(塩)」は「~酸および/またはその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」をそれぞれ意味する。
〔1〕用語の定義
〔1-1〕「吸水性樹脂」「吸水性樹脂粒子」「吸水性樹脂粉末」
本明細書中、「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味し、一般的に粉末状である。ここで、「水膨潤性」とは、ERT441.2-02にて規定されるCRCが5g/g以上であることをいい、「水不溶性」とは、ERT470.2-02にて規定されるExtが0重量%~50重量%であることをいう。なお、要求性能(CRCおよびExt)を満たす範囲内であれば、添加剤等を含有した吸水性樹脂組成物であっても、本明細書中においては「吸水性樹脂」と称する。
便宜上、本明細書中において、多価金属塩水溶液の表面処理または表面架橋を行う前の吸水性樹脂を「吸水性樹脂粒子」、表面処理および表面架橋を行った後の吸水性樹脂を「吸水性樹脂粉末」と称する。
〔1-2〕「EDANA」および「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」とは、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献;2002年改定)に準拠して測定を行う。
〔1-3-1〕遠心分離機保持容量(CRC)(ERT441.2-02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で3分間水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
〔1-3-2〕「Ext」(ERT470.2-02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mLに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
〔1-3-3〕「FLOWRATE」(ERT450.2-02)
「FLOWRATE」は、吸水性樹脂の粉体流動性を意味する。具体的には、円錐型ホッパーの開口部(口径10mm)から100gの吸水性樹脂が流れ落ちる速度(単位;g/s)のことをいう。以下「FLOWRATE」のことを「F.R.」と記載することがある。
〔1-4〕「通液性」
本明細書中、吸水性樹脂粉末の「通液性」は、荷重下または無荷重下での、吸水性樹脂またはそれを膨潤させたゲルの粒子間を通過する液の流れ性のことをいい、代表的な測定方法として、SFCおよびGBPがある。
「SFC(Saline Flow Conductivety)」は、2.07kPa荷重下での吸水性樹脂に対する0.69質量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいい、米国特許第5669894号に開示されるSFC試験方法に準拠して測定される。
「GBP(Gel Bed Pearmeability)」は、WO2004/096304に開示されている方法により測定される。
〔2〕吸水性樹脂粉末の製造方法
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の製造方法(本明細書中、単に「製造方法」とも称する)は、(1)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を、流動層混合機内で表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧する噴霧工程を有し、上記多価金属塩水溶液の噴霧位置での風温が50℃以上である、吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。
本発明の一実施形態では、流動層混合機内において、多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を高温雰囲気下で噴霧することによって、多価金属塩水溶液は噴霧乾燥状態となり、吸水性樹脂の表面に微細な塊状となって付着すると推定される。
また、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の製造方法(2)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、有機表面架橋剤で表面架橋された吸水性樹脂に対し、レーザ回折・散乱法で測定される体積平均粒子径が0.3~15μmの多価金属塩粒子を添加する、吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。
上記構成により、通液性、吸湿流動性、および加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂粉末を得ることができる。
また、上記構成により、表面に水溶性多価金属塩粒子が付着している吸水性樹脂粉末を得ることができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法として代表的な工程(2-1)~(2-9)を記載するが、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法は、後述の表面架橋工程および噴霧工程を含み、他の工程は任意に含まれる。
(2-1)単量体水溶液の調製工程
本工程は、単量体水溶液を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体水溶液の代わりに単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
本工程で使用できる単量体として、アクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)、(無水)マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)、クロトン酸(塩)、イタコン酸(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸(塩)等の酸基含有不飽和単量体;N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の親水性モノマー類、並びにそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、酸基含有不飽和単量体が好ましく、アクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)等のカルボキシル基含有不飽和単量体がより好ましく、アクリル酸(塩)がさらに好ましい。本発明の一実施形態では複数種類の単量体を組み合わせることもできる。全単量体中のアクリル酸(塩)の使用量は10~100モル%、さらには50~100モル%、特に90~100モル%とされ、本発明の一実施形態では、かかるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が好適に使用される。
酸基含有不飽和単量体は部分的に塩型になっていることが好ましく、好ましくは1価の塩基性化合物との塩、より好ましくはアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、さらに好ましくはナトリウム塩である。
本発明の一実施形態における中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10~90モル%、より好ましくは40~85モル%、さらに好ましくは50~80モル%、特に好ましくは60~75モル%である。該中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下することがある。一方、該中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないことがある。
上記中和率は、単量体に対してではなく重合体に対して中和する場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂粉末の中和率についても、上記中和率が適用される。
(内部架橋剤)
本発明の一実施形態では、本工程において内部架橋剤を用いることが好ましい。内部架橋剤としては米国特許第6241928号に例示された化合物が本発明の一実施形態にも適用され、これらの中から反応性を考慮して1種または2種以上の化合物が選択される。
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有し、かつ、重合性不飽和基を2個以上有する化合物、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物が、内部架橋剤として用いられる。
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1~100、より好ましくは6~50である。
上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.0001~10モル%、より好ましくは0.001~1モル%である。該使用量を上記範囲内とすることで所望する吸水性樹脂が得られる。なお、該使用量が少なすぎる場合、ゲル強度が低下し水可溶分が増加する傾向にあり、該使用量が多すぎる場合、吸水性樹脂の吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本工程で添加された内部架橋剤は重合工程、または重合工程後の例えば乾燥工程において架橋反応する。なお、本発明の一実施形態において、内部架橋は上記形態に限らず、重合工程途中や重合工程後の含水ゲル状架橋重合体に内部架橋剤を添加して架橋してもよい。さらにラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、並びに、電子線または紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(その他、単量体水溶液に添加される物質)
本発明の一実施形態では、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
具体的には、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子を、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下(下限は0重量%)で添加することができる。また、炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等を、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下(下限は0重量%)で添加することもできる。
上記物質は、単量体水溶液に添加される形態のみならず、重合途中で添加される形態でもよいし、これらの形態を併用することもできる。
なお、上記親水性高分子として水溶性樹脂または吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体または吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉-アクリル酸重合体、PVA-アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体および吸水性樹脂組成物も本発明の範疇である。
(単量体成分の濃度)
本工程において、単量体水溶液を調製する際に、上記の各物質が添加される。該単量体水溶液中の単量体成分の濃度としては特に限定されないが、吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは10~80重量%、より好ましくは20~75重量%、さらに好ましくは30~70重量%である。
また、水溶液重合または逆相懸濁重合を採用する場合、水以外の溶媒を必要に応じて併用することもできる。この場合、溶媒の種類は特に限定されない。
なお、上記「単量体成分の濃度」とは、下記式(1)で求められる値であり、単量体水溶液の重量には、グラフト成分や吸水性樹脂、逆相懸濁重合における疎水性溶媒の重量は含めない。
(単量体成分の濃度(重量%))=(単量体成分の重量)/(単量体水溶液の重量)×100 …式(1)
(2-2)重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られた単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
(重合開始剤)
本発明の一実施形態で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されない。重合開始剤として、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、またはこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種または2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物またはアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、さらに好ましくは過酸化物の中でも過硫酸塩が使用される。
該重合開始剤の使用量は、単量体成分に対して、好ましくは0.001~1モル%、より好ましくは0.001~0.5モル%である。また、該還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001~0.02モル%である。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤とを併用してもよい。
(重合形態)
本発明の一実施形態に適用される重合形態としては、特に限定されないが、吸水特性および重合制御の容易性等の観点から、好ましくは気相中の噴霧・液滴重合、水溶液重合または逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合または逆相懸濁重合、さらに好ましくは水溶液重合が挙げられる。水溶液重合の中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れも適用される。
具体的な重合形態として、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、米国特許第6241928号および米国特許出願公開第2005/215734号等に、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号および米国特許第6710141号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することで、吸水性樹脂の生産効率が向上する。
(2-3)ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施されている。また、気相重合や逆相懸濁重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
(2-4)乾燥工程
本工程は、上記重合工程および/またはゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められ、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85~99重量%、さらに好ましくは90~98重量%、特に好ましくは92~97重量%である。
上記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥および高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、熱風乾燥の中でも、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、吸水性樹脂の色調および乾燥効率の観点から、好ましくは120~250℃、より好ましくは150~200℃である。なお、熱風の風速および乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総重量および目的とする樹脂固形分の量に応じて、適宜設定すればよい。例えば、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、国際公開第2011/025012号、国際公開第2011/025013号、国際公開第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
上述した乾燥温度や乾燥時間を上記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂のCRC(吸水倍率)やExt(水可溶分)、色調を所望する範囲(下記〔3〕を参照)とすることができる。
(2-5)粉砕工程および分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粒子を得る工程である。上記乾燥工程により得られた乾燥重合体が下記の粒度から外れている場合に、少なくとも表面架橋工程の前に本工程を実施するのが好ましい。
本発明の一実施形態の粉砕工程で使用される機器としては、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミルおよびピンミル等の高速回転式粉砕機;振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。
また、本発明の一実施形態の分級工程としては、特に限定されないが、例えば、篩分級や気流分級等が挙げられる。
本工程で得られる吸水性樹脂粒子の粒子径は、重量平均粒子径(D50)として、通常100~2000μm、好ましくは200~600μm、より好ましくは200~550μm、さらに好ましくは250~500μm、特に好ましくは350~450μmである。また、本工程で得られる吸水性樹脂粒子全体に対する、上記粒子径が150μm未満の吸水性樹脂粒子の割合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。また、本工程で得られる吸水性樹脂粒子全体に対する、上記粒子径が850μm以上の吸水性樹脂粒子の割合は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。なお、これらの吸水性樹脂粒子の割合の下限値としては、何れの場合も少ないほど好ましく、0重量%が望まれるが、0.1重量%程度でもよい。さらに、吸水性樹脂粒子の粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.20~0.50、より好ましくは0.25~0.40、さらに好ましくは0.27~0.35である。なお、吸水性樹脂粒子の粒度は、米国特許第7638570号およびEDANA ERT420.2-02に開示されている測定方法に準じて、標準篩を用いて測定される。
上述した粒子径や粒度分布は、最終製品としての吸水性樹脂粉末についても適用される。そのため、吸水性樹脂粉末が上記範囲の粒子径や粒度分布を維持するように、後述のように表面架橋処理(表面架橋工程)されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
(2-6)表面架橋工程
本発明の一実施形態に係る製造方法は、濃度5重量%以上の多価金属塩水溶液を、流動層混合機内において表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧する噴霧工程を有する。すなわち、本発明の一実施形態に係る製造方法は、吸水性樹脂粒子を有機表面架橋剤で表面架橋する工程を含む。以下、本工程を「表面架橋工程」とも称する。
表面架橋とは、吸水性樹脂粒子の表面層(表面近傍、吸水性樹脂粒子表面から通常は数10μm前後)にさらに架橋密度の高い部分を設けることである。表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等によって架橋密度の高い部分を形成することができる。物性面から、本発明の一実施形態の表面架橋は、吸水性樹脂の官能基と共有結合する有機表面架橋剤での表面架橋を意図する。
本工程の手順は、有機表面架橋剤を用いて吸水性樹脂粒子を表面架橋できる限りにおいて、特に限定されないが、例えば、以下の(I)および(II)の手順を含んでいる。
(I)吸水性樹脂に有機表面架橋剤を混合する工程
本発明の一実施形態の有機表面架橋剤による表面架橋としては、重合性モノマーによる表面架橋重合や、吸水性樹脂の官能基と共有結合またはイオン結合しうる有機表面架橋剤による表面架橋が挙げられる。
本発明の一実施形態の有機表面架橋剤は、吸水性樹脂が有する官能基、特に、カルボキシル基と共有結合反応し、架橋構造を形成し得る有機架橋剤が好ましい。特に好ましくは以下の有機架橋剤が用いられる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2-ブテン-1,4-ジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン-オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール(吸水性樹脂のCOOHと脱水エステル化で架橋);
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物(吸水性樹脂のCOOHとエポキシ基で架橋);
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物(吸水性樹脂のCOOHとアミド化で架橋)や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アゼチジニウム塩等);
2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;
1,2-エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;
尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2-オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;
1,3-ジオキソラン-2-オン、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、1,3-ジオキサン-2-オン、4-メチル-1,3-ジオキサン-2-オン、4,6-ジメチル-1,3-ジオキサン-2-オン、1,3-ジオキソパン-2-オン等のアルキレンカーボネート化合物;
オキサゾリジノンなどのモノまたは多価オキサゾリジノン化合物;
エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ、カチオン性高分子化合物(例えば、デックハーキュレス製カイメン;登録商標);γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール、3-クロロメチル-3-メチルオキセタン、3-クロロメチル-3-エチルオキセタン、多価オキセタン化合物等のオキセタン化合物;等である。これら有機表面架橋剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましくは多価アルコール、多価グリシジル、アルキレンカーボネート、オキサゾリジノン化合物から選ばれる1種以上の有機表面架橋剤が使用される。
有機表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.001~10重量部の範囲内が好ましく、0.01~5重量部の範囲内がより好ましい。本発明の一実施形態において、有機表面架橋剤は、水に溶解して(すなわち、有機表面架橋剤水溶液として)使用され得る。上記水の量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.5~20重量部、より好ましくは0.5~10重量部の範囲である。また、本発明の一実施形態において、水以外に、親水性有機溶媒を用いることも可能である。さらに、吸水性樹脂粒子への有機表面架橋剤水溶液の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲、例えば、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0~10重量部、好ましくは0~5重量部、より好ましくは0~1重量部で、水不溶性微粒子粉体および界面活性剤等を共存させてもよい。
本発明の一実施形態では上記有機表面架橋剤に加えて、吸水性樹脂を多価金属塩で表面架橋することを排除しない。吸水性樹脂を多価金属塩で表面架橋する場合は、表面架橋剤としての多価金属塩とは別途、表面処理工程で水溶性多価金属塩を添加する。
吸水性樹脂粒子と有機表面架橋剤とをより均一に混合するため、非架橋性の水溶性無機塩基類(好ましくは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、および、アンモニアあるいはその水酸化物)や、非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤(好ましくは炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩等)を、さらに吸水性樹脂粒子と有機表面架橋剤とに添加してもよい。これらの使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒子径等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、0.005~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。
吸水性樹脂粒子と有機表面架橋剤とを混合する方法は特に限定されないが、たとえば吸水性樹脂粒子を親水性有機溶剤に浸漬し、有機表面架橋剤水溶液を混合する方法、吸水性樹脂粒子に直接、有機表面架橋剤水溶液を噴霧若しくは滴下して混合する方法等が例示できる。
吸水性樹脂粒子と有機表面架橋剤水溶液とを混合する際に用いられる混合装置は、これら各物質を均一に、かつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上記の混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー(商標)、バッチ式Ploughshare(商標)ミキサー、連続式Ploughshare(商標)ミキサー、Schugi(商標)ミキサー、流動層混合機等が好適である。
(II)吸水性樹脂粒子と有機表面架橋剤水溶液との混合物を加熱する加熱工程
有機表面架橋剤を混合した後の吸水性樹脂粒子は、表面架橋を促進するために加熱される。加熱温度は、40~300℃、好ましくは120~250℃、より好ましくは150~250℃の範囲である。加熱処理時間は、好ましくは1分間~2時間、より好ましくは5分間~1時間である。加熱処理は、通常の乾燥機または加熱炉を用いて行うことができる。加熱処理温度が40℃未満の場合には、加圧下の吸収倍率等の吸収特性が十分に改善されない場合がある。加熱処理温度が300℃を超える場合には、吸水性樹脂粒子の劣化を引き起こし、各種性能が低下する場合がある。
吸水性樹脂粒子と有機表面架橋剤水溶液との混合物を加熱する際に用いられる装置(さらに任意に多価金属塩水溶液を噴霧添加する装置)は、例えばドラムドライヤー、パドルドライヤー、流動層乾燥機、バンド乾燥機等が挙げられる。これらの中でも撹拌力の観点からパドルドライヤーが好ましい。
また、本発明の一実施形態における表面架橋工程としては、ラジカル重合性化合物を含む処理液を吸水性樹脂粒子に添加した後に、活性エネルギーを照射して表面架橋する方法が挙げられる。また、上記処理液に界面活性剤を添加し、活性エネルギーを照射して吸水性樹脂粒子を表面架橋することもできる。
本工程により、吸水性樹脂粒子の加圧下吸水倍率が向上する。表面架橋された吸水性樹脂粒子は通常、すでに後述の好ましい範囲の加圧下吸水倍率を有する。即ち、表面架橋された吸水性樹脂粒子は通常、CRCが25g/g以上のときにAAP(0.7psi)が15g/g以上である。
(III)冷却工程
本発明の一実施形態に係る製造方法は、さらに、(III)吸水性樹脂粒子を冷却する工程を含んでいてもよい。以下、本工程を「冷却工程」とも称する。
冷却工程は、余分な表面架橋反応の進行を停止させ、粉体(吸水性樹脂粉末)の取扱性を良くする観点から、冷却工程は表面架橋工程での加熱後に行われることが好ましい。
具体的には、表面架橋工程での加熱で高温になった吸水性樹脂粒子を、冷却工程において、冷風や冷却伝面等の冷媒と接触させて強制冷却する。
冷却温度は、30~100℃が好ましく、40~80℃がより好ましい。冷却温度が低すぎると、吸水性樹脂粉末の粉体特性が悪くなる場合や、吸水性樹脂粉末の物性低下が起こる場合がある。なお、「冷却温度」は冷風を用いる場合は冷風の温度、冷却伝面を用いる場合は伝面の温度を意図する。また、冷風および冷却伝面を併用する場合はそれぞれ温度を意図し、その両方について上記範囲を満たすことが好ましい。
冷却時間は、好ましくは1分間~1時間、より好ましくは5分間~40分である。
本工程で用いられる装置は、例えばパドルドライヤー、流動層乾燥機、空気輸送装置、バンド乾燥機等が挙げられる。ただし本工程では、パドルドライヤーは冷媒を、流動層乾燥機およびバンド乾燥機は冷風を用いる。
(2-7)表面処理工程
本工程は、流動層混合機内において吸水性樹脂粒子に水溶性多価金属塩水溶液を噴霧、または水溶性多価金属塩粒子を添加し、吸水性樹脂粒子の表面に水溶性多価金属塩粒子を付着させ、吸水性樹脂粒子の表面処理を行う工程である。
(2-7-1)噴霧工程
本発明の一実施形態に係る製造方法(1)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を、流動層混合機内において表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粉末粒子(好ましくは表面架橋後の吸水性樹脂粒子)に噴霧する噴霧工程を有し、上記多価金属塩水溶液の噴霧位置での風温が50℃以上である。また、本発明の一実施形態に係る製造方法(1)では、好ましくは流動層混合機内において表面架橋後の吸水性樹脂粒子の冷却も同時に行われる。
以下、表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に多価金属塩水溶液を噴霧する工程を「噴霧工程」とも称する。
本発明の一実施形態において「多価金属塩水溶液を表面架橋時の吸水性樹脂粒子に噴霧する」とは、流動層混合機内で表面架橋を行う場合、有機表面架橋剤の混合や有機表面架橋剤との反応時に同時または別途に多価金属塩水溶液を噴霧することである。具体的には、有機表面架橋剤の混合機として流動層混合機を使用して多価金属塩水溶液を噴霧したり、有機表面架橋剤を混合した吸水性樹脂粒子の加熱装置として流動層混合機を使用して多価金属塩水溶液を噴霧したり、また有機表面架橋剤の混合機および加熱装置とは別に流動層混合機を使用して多価金属塩水溶液を別途噴霧したりできる。
ここで、有機表面架橋剤の混合機として流動層混合機を使用して多価金属塩水溶液を噴霧する場合、有機表面架橋剤は吸水性樹脂粒子中にわずかに浸透することが好ましい。一方、多価金属塩は吸水性樹脂粒子表面に析出させたいため、本工程で多価金属塩水溶液を噴霧する場合、有機表面架橋剤と多価金属塩水溶液とを別途噴霧、すなわち有機表面架橋剤の添加口とは異なる添加口から多価金属塩水溶液を噴霧するのが好ましく、吸水性樹脂粒子に有機表面架橋剤を滴下または噴霧した後、多価金属塩水溶液を噴霧するのがより好ましい。
また、冷却工程の冷却機として流動層混合機を使用して多価金属塩水溶液を噴霧することもできる。なお、冷却工程について便宜上「表面架橋工程」に記載しているが、冷却工程を行う際、表面架橋反応は実質終了しているので、本工程で多価金属塩水溶液を噴霧する場合、表面架橋後の吸水性樹脂粒子に対する多価金属塩水溶液の噴霧と同義である。表面処理工程では、噴霧は好ましくは流動層混合機の上部から行われるので、仮に冷風の温度が本発明の一実施形態の表面処理工程の好ましい温度範囲より低くとも、高温の吸水性樹脂粒子の層を通った後、噴霧位置での風温が上記範囲であれば、安定して本発明を実施できる。
流動層を形成する流動層混合機としては、流動層乾燥機/冷却機や流動層造粒機として販売されている公知のものを使用できるが、例えば、ラボスケールであればスプレードライヤー Pulvis GBシリーズ(ヤマト科学社製)等を使用することができる。
噴霧工程において、噴霧位置での風温は、50℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。上記風温の上限は、好ましくは250℃以下であり、より好ましくは220℃であり、さらに好ましくは200℃以下である。本明細書中、「噴霧位置での風温」とは、噴霧口付近の風温であり、噴霧口付近の風温を温度計によって測定することができる。なお、後述のように噴霧口は好ましくは流動層混合機内の空間部分に設置されることから、流動層混合機内の空間部分の温度ということもできる。噴霧位置での風温が上記温度であれば、多価金属塩水溶液から溶媒成分(特に水)を好適に蒸発させ、微細な水溶性多価金属塩(本明細書中、「水溶性多価金属塩粒子」とも称される)を吸水性樹脂粉末表面に付着させることができる。すなわち、噴霧された多価金属塩水溶液が吸水性樹脂に吸収される前に、流動層混合機内の気層または吸水性樹脂の表面において、多価金属塩水溶液の液滴が急速に乾燥して、微細な水溶性多価金属塩が塊状、略球状、瘤状に吸水性樹脂の表面に付着すると推定される。
噴霧工程において、導入される吸水性樹脂粒子の温度は50~250℃であることが好ましく、60~220℃であることがより好ましい。この温度は具体的には、バッチ式の流動層混合機の場合、噴霧直前の吸水性樹脂粒子の温度、連続式の流動層混合機の場合、噴霧箇所の直前の位置での吸水性樹脂粒子の温度を意図する。
噴霧工程において、多価金属塩水溶液の噴霧方法は、特に限定されないが、噴霧される液滴のサイズが好適であるという観点からは、二流体スプレーを用いることが好ましい。
噴霧工程において、多価金属塩水溶液の噴霧は、流動層混合機の上部から行ってもよく、流動層混合機の下部から行ってもよい。すなわち、流動層混合機において、スプレーは上部に設置されていてもよく、下部に設置されていてもよい。しかし、水溶性多価金属塩粒子の形成のしやすさという観点からは、流動層混合機の上部から多価金属塩水溶液が噴霧されることが好ましい。一般的に流動層混合機は、下部から熱風を送ることにより、下部に導入された吸水性樹脂粒子を流動化させており、吸水性樹脂粒子が過度に舞い上がるのを防止するため、通常流動層混合機の上部を広くして、風速を遅くしている。流動層混合機の上部から多価金属塩水溶液を噴霧すると、従来技術では巨大な凝集物ができやすく、吸水性樹脂粒子の流動が止まる恐れがあったが、本発明の一実施形態の製造条件では吸水性樹脂粒子の流動を維持できる。さらに、流動層混合機の上部から多価金属塩水溶液を噴霧させると、多価金属塩水溶液が吸水性樹脂粒子に到達するまでの過程で多価金属塩水溶液の溶媒成分が蒸発するため、吸水性樹脂粒子表面で固体の水溶性多価金属塩粒子が形成(析出)されやすいと考えられる。一方、流動層混合機の下部から多価金属塩水溶液を噴霧させると、多価金属塩水溶液の溶媒成分が蒸発することなく、多価金属塩水溶液が吸水性樹脂粒子にすぐに接触するため、水溶性多価金属塩粒子が形成されにくいと考えられる。
上記多価金属塩水溶液中の水溶性多価金属塩は、表面架橋された吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.01~1重量部であることが好ましく、0.05~0.5重量部であることがより好ましい。水溶性多価金属塩が上記割合であれば、通液性に優れた吸水性樹脂粉末を得ることができる。
本明細書中、水溶性多価金属塩は、2価以上、好ましくは3価以上、特に3価または4価の原子価を有する金属の塩を意図する。「水溶性」とは20℃の水に5重量%以上溶解することを意図し、ここで溶解度は結晶水を除いた形で計算(例;硫酸アルミニウムの18水和物の水溶液は、硫酸アルミニウムとしての濃度で計算)される。溶解度が11重量%以上、さらに15重量%以上、特に20重量%以上である水溶性多価金属塩が、本発明の一実施形態において好ましく適用される。本明細書中、「水溶性多価金属塩」を単に「多価金属塩」とも称する。
本発明の一実施形態で使用することができる多価金属塩としては、多価金属カチオンの塩または水酸化物を意図し、特に多価金属の有機酸塩ないし無機酸塩であり、代表的には、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等を例示することができる。多価金属塩は一部が水酸化物、すなわち塩基性塩でもよい。また、これらの結晶水を有する塩を使用するのが好ましい。さらに溶解度にもよるが、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム等の多価金属と有機酸(例えば、アニス酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリオキシル酸、グリコール酸、グルタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸、イミジノ酢酸、リンゴ酸、イセチオン酸、アジピン酸、シュウ酸、サリチル酸、グルコン酸、ソルビン酸、p-オキシ安息香酸等)との組み合わせを例示することができる。
物性の観点から特に好ましいのは、水溶性アルミニウム塩(アルミニウム化合物)、中でも、本発明の一実施形態の多価金属塩の濃度に調整しやすいという観点から、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウムが好ましく、硫酸アルミニウムが特に好ましく、硫酸アルミニウム18水塩、硫酸アルミニウム14~18水塩等の含水結晶の粉末は最も好適に使用することができる。これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価金属塩水溶液中の多価金属塩の濃度は、5重量%以上であることが好ましく、11重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上が特に好ましい。上記濃度の上限は飽和濃度を意図し、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下である。上記濃度が高いほど吸水性樹脂粒子表面に塊状の多価金属塩粒子ができやすいが、過度に濃度が高いと、噴霧ノズルの詰まりや粘度上昇など製造上のトラブルが発生しやすい。
添加する多価金属塩水溶液の液温は室温でもよく、混合性や溶解度を調整するために、適宜、冷却ないし加熱し、例えば0~100℃としてもよい。
表面処理工程では、さらに多価金属塩水溶液と同時に有機酸(塩)を同一溶液または別溶液で噴霧してもよい。有機酸(塩)を用いることにより、多価金属塩(例えば、アルミニウムイオン)が吸水性樹脂粒子の内部に浸透することを抑制し、多価金属塩粒子を吸水性樹脂粒子表面に均一に拡散させることができるため、吸水性樹脂粒子の通液性が大きく向上する。また、有機酸(塩)を用いることにより、従来のように金属成分が吸水性樹脂粒子の表面に面状にかつ不均一に付着してしまう問題を解消することができ、金属成分を吸水性樹脂粒子の表面近傍全体に細かい点状で均一に付着(局在)させることができるという効果を発揮できる。
有機酸(塩)は、そのまま吸水性樹脂粒子と混合してもよいが、多価金属塩と共に混合することが好ましい。また、有機酸(塩)と多価金属塩とを共に水溶液として混合することがより好ましく、有機酸(塩)と多価金属塩とを共通の水溶液として混合することが特に好ましい。
有機酸(塩)としては、例えば、アニス酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリオキシル酸、グリコール酸、グルタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸、イミジノ酢酸、リンゴ酸、イセチオン酸、アジピン酸、シュウ酸、サリチル酸、グルコン酸、ソルビン酸、p-オキシ安息香酸、およびこれらのナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。中でも、グリコール酸、酒石酸、乳酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、リンゴ酸、サリチル酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸、およびこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機酸(塩)の使用量は多くとも多価金属塩のモル数の2倍以内が好ましく、1倍以内がより好ましく、0.5倍以内がさらに好ましい。有機酸(塩)の使用量が多過ぎると噴霧ノズルの詰まりや粘度上昇など製造上のトラブルが発生しやすい。
(2-7-2)水溶性多価金属塩粒子の添加工程
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の製造方法は、上記の噴霧工程以外の方法でも実施することができる。本願発明(2)は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、有機表面架橋剤で表面架橋された吸水性樹脂粒子に対し、レーザ回折・散乱法で測定される体積平均粒子径が0.3~15μmの水溶性多価金属塩粒子を添加する、吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。例えば、多価金属塩水溶液をスプレードライ法や共沸脱水法により水溶性多価金属塩粒子とした後、吸水性樹脂粒子に添加することができる。この場合、略球状の水溶性多価金属塩粒子が付着した吸水性樹脂粉末が得られる。このとき、多価金属塩の使用量は上記噴霧工程において記載されているものと同様の範囲であることが好ましい。
ここで、レーザ回折・散乱法で測定される水溶性多価金属塩粒子の体積平均粒子径は、0.3~15μmが好ましく、0.3~10μmがより好ましく、0.3~5μmがさらに好ましい。レーザ回折・散乱法で測定する際、水溶性多価金属塩粒子が溶解しないよう、測定溶媒は適宜選択される。また、水溶性多価金属塩粒子の凝集を防ぐため、水溶性多価金属塩粒子が添加された測定溶媒に超音波振動を与えてから体積平均粒子径が測定される。なお、レーザ回折・散乱法で測定できない大きな水溶性多価金属塩粒子がないことを、38μmや45μmの目開きをもつ標準篩を水溶性多価金属塩粒子が通過することにより事前に確認してもよい。測定される水溶性多価金属塩粒子全体に対して、好ましくは、目開きが45μmの標準篩上の水溶性多価金属塩粒子が10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以下である。有機表面架橋剤で表面架橋された吸水性樹脂粒子に対し、上記体積平均粒子径をもつ水溶性多価金属塩粒子を吸水性樹脂粒子に添加する。
上記水溶性多価金属塩粒子の形状は、略球状が好ましい。但し、上記水溶性多価金属塩粒子は、上記体積平均粒子径の範囲内で少し凝集しても良い。添加させる上記水溶性多価金属塩粒子の形状が球状に近いほど吸水性樹脂粉末の流動性がよい。なお、水溶性多価金属塩粒子の形状は、2000倍に拡大した、水溶性多価金属塩粒子の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、当該写真の画像解析を行うことで確認できる。
水溶性多価金属塩粒子を吸水性樹脂粒子に添加する場合、ドライブレンドしてもよいが、有機溶媒とともに添加してもよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等の揮発性アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン等の多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量が200~600のポリエチレングリコール等の室温で液状のポリエチレングリコール:等の有機溶媒とともに添加することができる。有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、0.5~5重量部がより好ましい。なお、水溶性多価金属塩粒子が溶解しない程度であればこれらの有機溶媒中に水分が含まれていてもよい。ドライブレンドされた水溶性多価金属塩粒子は吸水性樹脂粉末から剥がれ落ちやすいので、好ましくは、ドライブレンド後に上記の溶媒を添加する。
水溶性多価金属塩粒子を吸水性樹脂粒子に添加する際に用いられる装置は、公知の混合機が用いられ特に限定されない。例えば縦型、横型、さらには斜め向きの撹拌混合機、流動層混合機が挙げられる。さらに、空気輸送中の混合も可能である。具体的には、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、縦型または横型の高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、流動層混合機が挙げられる。水溶性多価金属塩粒子を有機溶媒と共に添加する場合は、凝集物をほぐす機構や乾燥させるための加熱機構が付いた混合機が好適である。具体的には、パドルドライヤー、スチームチューブドライヤー、ドラムドライヤー、流動層乾燥機、加熱ジャケットの付いたスクリュー型混合機やニーダー、等が挙げられる。
(2-8)その他の添加工程
本発明の一実施形態では、さらにその他の添加剤を吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂粉末に添加することができる。例えば、キレート剤、酸化剤、還元剤、カチオン性ポリマー、親水性ポリマー、αヒドロキシカルボン酸、界面活性剤、水不溶性無機微粒子、芳香剤、消臭剤、抗菌剤等が挙げられる。該添加剤の使用量(添加量)は、その用途に応じて適宜決定されるため、特に限定されないが、吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記添加時の添加剤の形態は、粉体、液体、溶液、分散液等が挙げられるが、水を含む場合、水溶性多価金属塩粒子が溶解してしまわない程度とするか、表面処理工程以前に添加することが好ましい。
上記添加剤の中でも、吸水性樹脂粉末のSFCをさらに向上させるため、カチオン性ポリマーおよび/または水不溶性無機微粒子の少なくとも1つを本発明の一実施形態において吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂粉末に使用することが好ましい。上記カチオン性ポリマーとしては、アミノ基を有するカチオン性ポリマーであり、さらには水溶性カチオン性ポリマーであり、好ましくは、25℃の水に2重量%以上、さらには5重量%以上溶解する水溶性ポリマーである。例えば、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアミン、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリ(N-アルキルアリルアミン)、モノアリルアミン-ジアリルアミン共重合体、N-アルキルアリルアミン-モノアリルアミン共重合体、モノアリルアミン-ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ジアリルアミン-ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリアミジン等;およびこれらの塩が好ましく挙げられる。また、国際公開第2009/041727号に記載の改質カチオン性ポリマーがより好ましく挙げられる。
また、上記水不溶性無機微粒子は、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が、好ましくは0.001~200μm、より好ましくは0.005~50μm、さらに好ましくは0.01~10μmの範囲の微粒子である。上記水不溶性無機微粒子は、好ましくは親水性微粒子であり、例えば、シリカ(二酸化珪素)や酸化チタン等の金属酸化物、亜鉛と珪素、または、亜鉛とアルミニウムとを含む複合含水酸化物(例えば、国際公開第2005/010102号に例示)、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、珪酸またはその塩、粘土、珪藻土、シリカゲル、ゼオライト、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、バーミュキュライト、パーライト、イソライト、活性白土、ケイ砂、ケイ石、ストロンチウム鉱石、蛍石、ボーキサイト等が挙げられる。また、このうち二酸化ケイ素および珪酸(塩)がより好ましく、二酸化ケイ素がさらに好ましい。二酸化ケイ素はフュームドシリカまたはコロイダルシリカが好ましく、吸水特性のバランスからコロイダルシリカが好ましい。
カチオン性ポリマーを使用するならばその使用量は吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂粉末100重量部に対して好ましくは0.001~1重量部で、水不溶性無機微粒子を使用するならばその使用量は吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂粉末100重量部に対して好ましくは0.001~1重量部である。カチオン性ポリマーおよび/または水不溶性無機微粒子の使用量は、吸水性樹脂粉末におけるカチオン性ポリマーおよび/または水不溶性無機微粒子の含有量ともいうことができる。
また、吸水性樹脂粉末の表面に付着した水溶性多価金属塩粒子が摩擦等ではがれないよう、界面活性剤を適用することが好ましい。界面活性剤を使用するならば吸水時の吸水性樹脂粉末の物性の低下を防ぐために、その使用量は吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.0001~0.1重量部である。界面活性剤の使用量は、吸水性樹脂粉末における界面活性剤の含有量ともいうことができる。また、吸水物性に対する悪影響を与えないようにするため、他の指標として、吸水性樹脂粉末の成分を0.9重量%塩化ナトリウム水溶液で抽出したとき抽出液の表面張力が好ましくは60~75mN/m、より好ましくは65~72mN/mの範囲になるように使用量が決定される。なお、界面活性剤が添加されていない吸水性樹脂粉末の場合、上記表面張力は通常約71~75mN/mを示す。
上記添加剤の中でも、本発明の吸水性樹脂は、経時着色防止、尿劣化防止等の観点から、キレート剤を含むことが好ましい。本発明のキレート剤としては、効果の面から、高分子化合物または非高分子化合物、中でも非高分子化合物が好ましく、具体的には、アミノ多価カルボン酸、有機多価燐酸、無機多価燐酸から選ばれる化合物が好ましい。効果の面から、キレート剤の分子量は100~5000であることが好ましく、より好ましくは200~1000である。キレート剤がない場合、着色や劣化の面で劣った吸水性樹脂となる。
ここで、多価とは1分子中に複数の該官能基を有し、2~30個、さらには3~20個、特に4~10個の該官能基を有する。また、これらキレート剤は、水溶性キレート剤、具体的には、100g(25℃)の水に1g以上、さらには10g以上溶解する水溶性キレート剤であることが好ましい。
上記アミノ多価カルボン酸としては、イミノ2酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ニトリロ3酢酸、ニトリロ3プロピオン酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン4酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン、ジアミノプロパノール4酢酸、エチレンジアミン2プロピオン酸、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸、グリコールエーテルジアミン4酢酸、ジアミノプロパン4酢酸、N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-2酢酸、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N,N’,N’-4酢酸およびそれらの塩等が挙げられ、中でもジエチレントリアミン5酢酸(塩)、または、トリエチレンテトラミン6酢酸(塩)がより好ましく、ジエチレントリアミン5酢酸(塩)がさらに好ましい。
上記有機多価燐酸としては、エチレンジアミン-N,N’-ジ(メチレンホスフィン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスフィン酸)、シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン-N,N’-ジ酢酸-N,N’-ジ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン-N,N’-ジ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ポリメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびこれらの塩等の上記アミノ多価燐酸や、ニトリロ酢酸-ジ(メチレンホスフィン酸)、ニトリロジ酢酸-(メチレンホスフィン酸)、ニトリロ酢酸-β-プロピオン酸-メチレンホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、等が挙げられる。また、上記無機多価燐酸としては、ピロ燐酸、トリポリ燐酸およびそれらの塩等が挙げられる。本発明のキレート剤としては、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)が好ましい。
また、キレート剤、特に上記の好ましいキレート剤の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対して、0.0001重量部以上、0.001重量部以上、0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上、0.05重量部以上、0.06重量部以上の順に好ましく、1重量部以下、0.5重量部以下、0.2重量部以下、0.15重量部以下の順に好ましい。それにより経時着色防止、尿劣化防止、耐熱性、耐光性、抗菌性、安全性、取扱性等に優れる。
上記添加剤の中でも、本発明の吸水性樹脂は、残存モノマーの低減や着色防止等の観点から、重合工程以降で、酸化剤および/または還元剤を用いることが好ましい。本発明の酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、t-ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過酸化水素、塩素酸塩、臭素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩等が挙げられる。中でも残存モノマーの低減の観点から過硫酸塩が好ましい。これらの酸化剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
また、本発明の還元剤としては、特に、イオウ系、リン系、窒素系還元剤が好適である。具体的には、例えば、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等)、亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム等)、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩、三チオン酸塩、四チオン酸塩、チオ硫酸塩、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸などのスルフィナト酢酸誘導体、ジメチルスルホキサイド、二酸化チオ尿素、亜硝酸塩、アミノ酸やエタノールアミン等の窒素含有有機化合物、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、などが挙げられる。これらの中でも、イオウ系無機還元剤、特に、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩が好ましく、それらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく挙げられる。中でも、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムが特に好ましい。これら還元剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
また、酸化剤または還元剤の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対して、0.0001重量部以上、0.001重量部以上、0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上、0.05重量部以上、0.06重量部以上の順に好ましく、3重量部以下、1重量部以下、0.7重量部以下、0.5重量部以下の順に好ましい。
(2-9)その他の工程
本発明の一実施形態においては、上述した工程以外にも、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種または2種以上の工程をさらに含んでもよい。なお、整粒工程には、加熱処理工程以降で微粉を分級して除去する工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、粉砕を行う工程を含む。また、微粉の再利用工程は微粉をそのまま、または微粉造粒工程で大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程の何れかの工程で添加する工程を含む。
〔3〕吸水性樹脂粉末の特性
また、本願発明は、有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末であって、吸水性樹脂粉末の表面に数平均粒子径0.3~15μm(SEM画像分析)の水溶性多価金属塩粒子が付着した吸水性樹脂粉末を提供する。「水溶性多価金属塩粒子の付着」とは、吸水性樹脂の表面に立体的に水溶性多価金属塩粒子の固体が存在する状態であり、略球状、瘤状、塊状など厚みをもって多価金属塩が吸水性樹脂粉末の表面に存在する。数平均粒子径0.3~15μm(SEM画像分析)の多価金属塩粒子が吸水性樹脂の一粒につき平均して1個以上付着していればよく、好ましくは10個以上、さらには100個以上付着していることが好ましい。
SEM画像分析とは、走査電子顕微鏡を用いて取得した画像での分析を意味する。水溶性多価金属塩粒子の数平均粒子径は、走査電子顕微鏡下2000倍で観察した水溶性多価金属粒子を無作為に20個選択し、この20個の水溶性多価金属塩粒子の直径を定規にて測定し、当該測定値を、顕微鏡の観察倍率にて補正し、補正した測定値の平均値を計算することによって決定する。なお、水溶性多価金属塩粒子が真円でない場合は、平行な2本の接線間の距離のうち最小のもの、即ち最小フェレー径を粒子径とみなす。
水溶性多価金属塩粒子の数平均粒子径は0.3~15μmであり、0.3~10μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。
また、付着した水溶性多価金属塩粒子の粒子径を直径とする球を想定したとき、体積平均粒子径は0.3~15μmが好ましく、0.3~10μmがより好ましく、0.3~5μmがさらに好ましい。
水溶性多価金属塩粒子は、SEM画像において円形に近いことが好ましく、円形であることがより好ましい。上記水溶性多価金属塩粒子は、SEM画像において円形に近づくにつれて、粉体流動性が向上する。円形とは、円形度が0.8以上の図形を意図する。円形度とは、個々の水溶性多価金属塩粒子において、ある一つの方向から水溶性多価金属塩粒子を観察した際の形状での外周の全長をLとし、当該形状での面積をSとした場合に、下記式(2)により求められる値である。
円形度=4π・S/L …式(2)
SEM画像分析における、水溶性多価金属塩粒子の被覆面積は、吸水性樹脂粉末の面積に対して、0.1~50%であることが好ましく、0.5~20%であることがより好ましく、1~10%であることがさらに好ましい。水溶性多価金属塩粒子の被覆面積は、2000倍で取得したSEM画像において、吸水性樹脂粉末上で確認できる全ての水溶性多価金属塩粒子の面積を合計した面積を、吸水性樹脂粉末の面積で割ることにより求められる値である。
水溶性多価金属塩粒子がSEM画像上で他の添加剤と区別が付きにくい場合は、各種元素マッピング手法とSEMとを併用して確認することができる。元素マッピング手法としては、例えば、エネルギー分散型X線分光器(EDS)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)等が挙げられる。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のSFCは、10[10-7・cm・s・g-1]以上が好ましく、30[10-7・cm・s・g-1]以上がより好ましい。上限値は、高値ほど好ましく特に限定されないが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは500[10-7・cm・s・g-1]以下、より好ましくは200[10-7・cm・s・g-1]以下である。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のCRCは、25g/g以上が好ましく、27g/g以上がより好ましい。上限値は、高値ほど好ましく特に限定されないが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは50g/g以下、より好ましくは40g/gである。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のAAP(0.7psi)は、15g/g以上が好ましく、20g/g以上がより好ましく、24g/g以上がさらに好ましい。上限値は、高値ほど好ましく特に限定されないが、他の物性、特にSFCとのバランスの観点から、好ましくは30g/g以下、より好ましくは28g/g以下である。なお、AAP(0.7psi)は、後述の実施例のように、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更し、EDANA法(ERT442.2-02)に準拠して測定される。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の吸湿流動性は、25℃、相対湿度70%で1時間保管したとき、吸湿ブロッキング率が50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の成分を0.9重量%食塩水で抽出したときの表面張力は、好ましくは60~72mN/mの範囲であり、より好ましくは65~72mN/mの範囲である。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の含水率(吸水性樹脂粉末1.0gを180℃3時間乾燥させた際の乾燥減量で規定)は、0.1~15重量%であることが好ましく、1~12重量%であることがより好ましく、3~10重量%であることがさらに好ましい。含水率の制御により、吸水性樹脂粉末の耐衝撃性や吸水速度が向上する。含水率は乾燥工程や表面架橋工程で蒸発させる水の量、噴霧する多価金属塩水溶液の水の量および流動層での乾燥(特に噴霧乾燥)の温度や時間、その他、水の添加により制御できる。本発明の一実施形態では、流動層混合機内で多価金属塩水溶液を噴霧するため、通常は添加した水の全量が吸水性樹脂粒子の含水率に反映されない。噴霧される多価金属塩水溶液中の水の少なくとも一部が乾燥された結果、噴霧される多価金属塩水溶液中の水の80重量%以下、さらに1~70重量%、特に5~60重量%が吸水性樹脂粒子に吸収され、結果として、吸水性樹脂粉末の含水率が向上されることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のExt(水可溶分)は、50重量%以下であり、好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である。下限値については特に限定されないが、好ましくは0重量%、より好ましくは0.1重量%程度である。上記Extが50重量%以下である場合、ゲル強度が弱くならず、液透過性に優れた吸水性樹脂粉末となる。さらに、リウェットが少ないため、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として適する。なお、Extは、内部架橋剤等で制御することができる。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の初期色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは85以上、より好ましくは88以上、さらに好ましくは90以上である。上限値は100であるが、少なくとも80を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは-3~3、より好ましくは-2~2、さらに好ましくは-1~1である。さらに、b値は好ましくは0~10、より好ましくは0~7、さらに好ましくは0~5である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値およびb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の経時色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは70以上、より好ましくは75以上、さらに好ましくは80以上、特に好ましくは83以上である。上限値は100であるが、少なくとも80を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは-3~3、より好ましくは-2~2、さらに好ましくは-1~1である。さらに、b値は好ましくは0~15、より好ましくは0~12、さらに好ましくは0~10である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値およびb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末は、従来の多価金属塩を添加した吸水性樹脂に比べて初期色調に対する経時色調の変化が小さい、即ち着色しにくい傾向にある。
なお、初期色調および経時色調は、WO2009/005114に記載の着色促進試験前および着色促進試験後の着色評価に準拠して測定される。
吸水性樹脂粉末の粒度や高分子構造は上記の通りである。
〔4〕本発明の態様
すなわち、本発明は以下の態様であり得る。
(吸水性樹脂粉末の製造方法)
1.有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を、流動層混合機内で表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧する噴霧工程を有し、上記多価金属塩水溶液の噴霧位置での風温が50℃以上である、吸水性樹脂粉末の製造方法。
2.上記多価金属塩水溶液を、上記流動層混合機内で表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧する、1に記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。かかる構成により、得られる吸水性樹脂の物性が向上する。
3.上記流動層混合機内において表面架橋後の吸水性樹脂粒子の冷却が上記噴霧工程と同時に行われる、1または2に記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。かかる構成により、得られる吸水性樹脂の物性よりが向上するとともに冷却と同時に噴霧するため、工程が簡略化される。
4.上記噴霧工程において、導入される吸水性樹脂粒子の温度が50~250℃である、1~3のいずれかに記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。かかる構成により、吸水性樹脂の物性が向上する。
5.上記噴霧工程において、上記流動層混合機の上部から上記多価金属塩水溶液を噴霧する、1~4のいずれかに記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。かかる構成により、得られる吸水性樹脂の物性が向上するともに、製造上のトラブルが低減する。
6.噴霧される多価金属塩水溶液中の水の少なくとも一部が乾燥され、噴霧される多価金属塩水溶液の水の80重量%以下が吸水性樹脂粒子に吸収される、1~5のいずれかに記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。
7.有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末の製造方法であって、有機表面架橋剤で表面架橋された吸水性樹脂に対し、レーザ回折・散乱法で測定される体積平均粒子径が0.3~15μmの水溶性多価金属塩粒子を添加する、吸水性樹脂粉末の製造方法。
8.上記水溶性多価金属塩が、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.01~1重量部である、1~7のいずれかに記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。かかる構成により、得られる吸水性樹脂の物性が向上する。
9.上記水溶性多価金属塩が水溶性アルミニウム塩である、1~8のいずれかに記載の吸水性樹脂粉末の製造方法。かかる構成により、得られる吸水性樹脂の物性が向上する。
(吸水性樹脂粉末)
10.有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末であって、吸水性樹脂粉末の表面に水溶性多価金属塩粒子が付着し、SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の数平均粒子径が0.3~15μmである吸水性樹脂粉末。かかる構成により、吸水性樹脂の物性が向上する。
11.SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の下記式で規定される円形度が0.8以上である、10に記載の吸水性樹脂粉末。
(円形度)=4π・S/L
(式中、付着した水溶性多価金属塩粒子の外周をL、付着した水溶性多価金属塩粒子の面積をSとする)
12.SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の被覆面積が、吸水性樹脂粉末の面積に対して、0.1~50%である、10または11に記載の吸水性樹脂粉末。かかる構成により、吸水性樹脂の物性が向上する。
13.CRCが25g/g以上、AAP(0.7psi)が15g/g以上である、10~12のいずれに記載の吸水性樹脂粉末。かかる構成により、吸水性樹脂の物性が向上する。
14.重量平均粒子径が100~2000μmである、10~13のいずれかに記載の吸水性樹脂粉末。かかる構成により、吸水性樹脂の物性が向上する。
〔5〕従来技術との相違
上記特許文献1~22に記載の発明に対して、本発明の一実施形態は、加熱下で多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を流動層混合機内において表面架橋時または表面架橋後の吸水性樹脂粒子に噴霧する、吸水性樹脂粉末の製造方法に関する発明である。
反応機構に限定されるものではないが、本発明の一実施形態では、加熱下で流動層混合機において多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩水溶液を噴霧することによって、多価金属塩水溶液は噴霧乾燥状態となり、水溶性多価金属塩が平均粒子径0.3~15μmの微細な塊状となって吸水性樹脂の表面に付着することによって、吸水性樹脂の通液性が向上すると推定される。すなわち、加熱下の流動層で多価金属塩水溶液を噴霧添加することで、多価金属塩水溶液の液滴が気層または気層で流動する吸水性樹脂の表面で乾燥して固体の多価金属塩が付着した状態となると推定される。
従来の攪拌下の多価金属塩水溶液の添加では、撹拌された吸水性樹脂粒子の層に多価金属塩水溶液が添加されるため、多価金属塩は吸水性樹脂に吸収されるか、あるいは吸水性樹脂どうしの接触により薄く伸ばされることにより吸水性樹脂を被覆する。これに対して、本発明の一実施形態では、図1に示すような略球状/塊状で固体の多価金属塩が吸水性樹脂の表面に点状に非連続的に付着する。従来の多価金属塩水溶液での吸水性樹脂の表面処理では、吸水性樹脂が多価金属塩で被覆されるのに対して、本発明の一実施形態は図1のような新たな形状の吸水性樹脂を与える。
上記特許文献1~22は、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末の製造方法および吸水性樹脂粉末を示唆しない。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
吸水性樹脂粒子の諸性能は、以下の方法で測定した。特に記載が無い限り下記測定は室温(20~25℃)、湿度50RH%の条件下で行われたものとする。なお、測定対象物が吸水性樹脂粒子以外である場合には、特に断りのない限り、吸水性樹脂粒子を対象物に読み替えて適用する。
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のSFCは、米国特許第5669894号に記載された測定方法に準拠して測定した。
<遠心分離機保持容量(CRC)>
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のCRCは、EDANA法(ERT441.2-02)に準拠して測定した。
<加圧下吸水倍率(AAP)>
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のAAPは、EDANA法(ERT442.2-02)に準拠して測定した。なお、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更した。
<粉体流動性(FLOWRATE(F.R.))>
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂粉末のF.R.は、EDANA法(ERT450.2-02)に準拠して測定した。
<吸湿ブロッキング率(Blocking Ratio(B.R.))>
底面の直径52mmのアルミカップに、吸水性樹脂粉末約2gを均一に散布した後、温度25℃、相対湿度70%RH下の恒温恒湿機中で1時間放置した。1時間後、上記アルミカップに入った吸水性樹脂粉末を、目開き2000μmのJIS標準篩(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)の上に静かに移し、ロータップ型篩振盪機(株式会社飯田製作所製ES-65型篩振盪機;回転数230rpm、衝撃数130rpm)を用いて8秒間分級し、上記篩上に残存した吸水性樹脂粉末の重量(i(g))および該篩を通過した吸水性樹脂粉末の重量(j(g))を測定した。そして、下記式(3)に従って、吸湿ブロッキング率を算出した。なお、吸湿ブロッキング率が0重量%に近いほど、吸湿流動性が高いことを示す。
吸湿ブロッキング率(重量%)=((i(g))/(i(g)+j(g)))×100 …式(3)
<抽出液の表面張力>
吸水性樹脂粉末の抽出液の表面張力は、吸水性樹脂粉末から0.9重量%塩化ナトリウム水溶液で抽出した抽出液について測定した値である。具体的には十分に洗浄された容量100mLのビーカーに、23℃~25℃に調温された0.9質量%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)50mLを投入し、該生理食塩水の表面張力を、表面張力計(自動表面張力計K11、クルス社製)を用いて測定し、表面張力の測定値が71mN/m~75mN/mの範囲内であることを確認する。続いて、該生理食塩水に、十分に洗浄された25mm長のフッ素樹脂製の回転子と吸水性樹脂0.5gとを投入し、500rpmで4分間攪拌する。その後、攪拌を停止して膨潤した吸水性樹脂を沈降させ、上澄み液について上記と同様にして測定した値を表面張力とした。
<含水率>
EDANA法(ERT430.2-02)において、吸水性樹脂の粒子または粉末1gを180℃で3時間(無風オーブン)乾燥させたときの乾燥減量に変更して測定した。
<多価金属塩水溶液中の多価金属塩粒子の体積平均粒子径>
試験管中にシクロヘキサンと多価金属塩粒子とを入れて、超音波洗浄機で多価金属塩粒子を分散させた。この分散液をレーザ回折・散乱法で分析して、多価金属塩粒子の体積平均粒子径を求めた。
〔製造例1:吸水性樹脂粒子の製造(重合・乾燥・粉砕・分級)〕
シグマ型羽根を2本有する内容量10Lのジャケット付きニーダーに、中和率75%、単量体濃度38重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を5500g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)を4.5g投入し、混合した後、窒素を吹き込んで脱気した。次いでニーダーの内容物を撹拌しながら30℃に調整し、10重量%過硫酸ナトリウム水溶液28.3g、その後1重量%L-アスコルビン酸2.0gを注入したところ、重合は速やかに始まり、40分後に粒子径が1~5mmの含水ゲルが得られた。この含水ゲルを目開き300μmのステンレスメッシュ上で50cm×70cmに広げて、熱風式乾燥機(製品名;71-6S 佐竹化学機械社製)で180℃40分乾燥した。得られた乾燥重合体をロールミル粉砕し、目開きが850μmと150μmの標準篩で分級して、粒子径が150~850μmの吸水性樹脂粒子(1)(重量平均粒子(D50)は370μm)を得た。
〔製造例2:吸水性樹脂粒子の表面架橋〕
上記製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100重量部を高速撹拌しながら、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(TWEEN60)0.001重量部、エチレンカーボネート0.3重量部、プロピレングリコール0.6重量部、脱イオン水3重量部からなる表面架橋剤水溶液を噴霧添加し、パドルドライヤーで200℃、40分間撹拌しながら加熱した。さらに、表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)を、凝集をほぐしながら目開き850μmの篩を通過させた。ここで上記表面架橋剤は吸水性樹脂粒子(1)の官能基であるカルボキシル基と共有結合(COOHとOHの脱水反応)で架橋する有機架橋剤である。
こうして得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)は、重量平均粒子(D50)が380μmであった。得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)についての各種物性値の測定結果を表1に示す。また、表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)の抽出液の表面張力は70mN/mであった。なお、製造例1に引き続き行われた実施例、比較例で得られた吸水性樹脂粉末の表面張力はいずれも70mN/m程度であった。
〔実施例1:多価金属塩の濃度が27重量%の多価金属塩水溶液の加熱下での添加〕
製造例2で得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)に対して、加熱下で流動層混合機内において多価金属塩の濃度が27重量%の多価金属塩水溶液を噴霧した。
具体的には、流動層を形成する流動層混合機(製品名;Pulvis GB22、ヤマト科学社製)に吸水性樹脂粒子(1)を500g仕込み、熱風;100℃、風量;0.2m/min(パンチング;8cmφ、風速;0.66m/s)の条件で吸水性樹脂粒子(1)を流動させながら温めた。吸水性樹脂粒子(1)の温度および流動層排気温度が80℃となった後、27重量%硫酸アルミニウム水溶液5g(吸水性樹脂粒子100重量%に対して1重量%)を15g/分の速さで噴霧した。さらに、硫酸アルミニウム水溶液を噴霧した吸水性樹脂粒子を5分間、流動層混合機内で混合させることにより、吸水性樹脂粉末(1)を得た。各種物性値の測定結果を表1に示す。
なお、硫酸アルミニウムの飽和水溶液濃度(20℃)は約50重量%であり、実施例1では硫酸アルミニウム水溶液の噴霧乾燥と同時に吸水性樹脂粒子への添加が行われると推定される。その結果、図1に示すように硫酸アルミニウム水和物の球状粒子の付着が観察された。取得したSEM画像に基づくと、硫酸アルミニウム水和物の数平均粒子径は3μm、被覆面積は吸水性樹脂粉末の面積に対して2%、円形度は0.85であった。さらに上記操作において、吸水性樹脂粒子に対して水73重量%および硫酸アルミニウム27重量%が添加され、吸水性樹脂の含水率の向上は約0.2%となっていた。すなわち、添加した水の27重量%が吸収された。
〔比較例1:多価金属塩の濃度が4重量%の多価金属塩水溶液の室温下での添加〕
送風;24℃(吸水性樹脂温度;24℃)、風量;0.6m/min(パンチング;8cmφ、風速;2.0m/s)の条件で吸水性樹脂粒子を流動させながら、4重量%硫酸アルミニウム水溶液25g(吸水性樹脂粒子100重量%に対して5重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして吸水性樹脂粉末の製造を試みた。しかし、硫酸アルミニウム水溶液を噴霧した後、吸水性樹脂粒子はすぐに流動しなくなり、凝集体状になった。
〔比較例2:多価金属塩の濃度が4重量%の多価金属塩水溶液の加熱下での添加〕
4重量%硫酸アルミニウム水溶液25g(吸水性樹脂粒子100重量%に対して5重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして吸水性樹脂粉末の製造を試みた。しかし、硫酸アルミニウム水溶液を噴霧した後、吸水性樹脂粒子はすぐに流動しなくなり、凝集体状になった。
〔比較例3:多価金属塩の濃度が4重量%の多価金属塩水溶液の加熱下での添加(風量変更)〕
風量を0.36m/min(パンチング;8cmφ、風速;1.2m/s)とした以外は比較例2と同様に吸水性樹脂粉末の製造を試みたところ、吸水性樹脂粒子の流動は止まらなかったが、流動層混合機内で吸水性樹脂粒子が飛散した。さらに硫酸アルミニウム水溶液を噴霧した吸水性樹脂粒子を5分間、流動層混合機内で混合させることにより、比較吸水性樹脂粉末(3)を得た。比較吸水性樹脂粉末(3)の各種物性値の測定結果を表1に示す。なお、SEMによる観察で、比較吸水性樹脂粉末(3)の表面に硫酸アルミニウム水和物の粒子や塊は見られなかった。
〔比較例4:多価金属塩の濃度が4重量%の多価金属塩水溶液の室温下での添加(噴霧方向変更)〕
硫酸アルミニウム水溶液の噴霧をパンチングメタル付近から上向きに行った以外は、比較例1と同様に吸水性樹脂粉末の製造を試みたところ、吸水性樹脂粒子の流動は止まらなかった。さらに硫酸アルミニウム水溶液を噴霧した吸水性樹脂粒子を5分間、流動層混合機内で混合させることにより、比較吸水性樹脂粉末(4)を得た。比較吸水性樹脂粉末(4)の各種物性値の測定結果を表1に示す。なお、SEMによる観察で、比較吸水性樹脂粉末(4)の表面に硫酸アルミニウム水和物の粒子や塊は見られなかった。
〔参考例1〕
実施例1において吸水性樹脂粒子を用いずに流動層混合機内で、多価金属塩の濃度が27重量%の硫酸アルミニウム水溶液を噴霧させたところ、硫酸アルミニウム水和物の微粉末が得られた。この微粉末を目開き45μmの篩で分級することにより大きな凝集物を除くと、レーザ回折・散乱法で測定した体積平均粒子径が4μmである硫酸アルミニウム水和物の微粒子が得られた。
〔実施例2〕
製造例2で得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)100重量部に参考例1で得られた硫酸アルミニウム水和物0.25重量部を添加、混合し、吸水性樹脂粉末(2)を得た。吸水性樹脂粉末(2)の各種物性値の測定結果を表1に示す。取得した吸水性樹脂粉末(2)のSEM画像に基づくと、硫酸アルミニウム水和物の数平均粒子径は2μmであった。
〔実施例3〕
上記実施例2において、参考例1で得られた硫酸アルミニウム水和物0.5重量部を添加、混合した以外は、実施例2と同様に操作して、吸水性樹脂粉末(3)を得た。吸水性樹脂粉末(3)の各種物性値の測定結果を表1に示す。
〔比較例5〕
製造例2で得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)100重量部をプラスチック容器に入れ、スパチュラで撹拌しながら27重量%硫酸アルミニウム水溶液1重量部を注射器で添加、混合し、80℃の無風オーブンで30分間加熱した。さらに凝集物を崩しながら目開きが850μmの篩を通過させて、比較吸水性樹脂粉末(5)を得た。比較吸水性樹脂粉末(5)の各種物性値の測定結果を表1に示す。
〔比較例6〕
製造例2で得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)100重量部をプラスチック容器に入れ、スパチュラで撹拌しながら27重量%硫酸アルミニウム水溶液1重量部、60重量%乳酸ナトリウム0.3重量部、プロピレングリコール0.025重量部からなる液を注射器で添加、混合し、80℃の無風オーブンで30分間加熱した。さらに凝集物を崩しながら目開きが850μmの篩を通過させて、比較吸水性樹脂粉末(6)を得た。比較吸水性樹脂粉末(6)の各種物性値の測定結果を表1に示す。
Figure 2022166050000002
(まとめ)
製造例2(表面架橋された吸水性樹脂粒子)を用いて、多価金属塩を添加する実施例1の吸水性樹脂粉末(1)(多価金属塩の濃度が27%の多価金属塩水溶液の加熱下での添加)と比較例1~4の比較吸水性樹脂粉末(1)~(4)(多価金属塩の濃度が4重量%の多価金属塩水溶液の加熱下または室温での添加)とを製造した。これらの対比により、多価金属塩の濃度が5重量%以上の多価金属塩を加熱下で噴霧する本発明の一実施形態の製造方法では、凝集もなく安定的に吸水性樹脂粉末が得られるとともに、吸水性樹脂粉末の通液性(SFC)および吸湿流動性が高いことが分かる。また流動層混合機を用いないで多価金属塩を添加する従来の高通液性、高吸湿流動性技術に相当する比較例5、6により得られた比較吸水性樹脂粉末と比べても実施例1~3で得られた吸水性樹脂粉末は通液性、吸湿流動性に優れていることが分かる。さらに、シリカ等を添加した吸水性樹脂と異なり、本発明の一実施形態の製造方法で得られた表面架橋された吸水性樹脂粒子は、加圧下吸水倍率(AAP)が製造例2の表面架橋された吸水性樹脂粒子とほぼ同等の加圧下吸水倍率を示す。実施例1の吸水性樹脂粉末は、図1に示すように、数平均粒子径3μm程度の球状の多価金属塩(硫酸アルミニウム)の粒子の付着がSEM画像で観察された。さらに実施例1で得られた吸水性樹脂粉末の含水率から噴霧した水溶液中の水が乾燥したことが示唆される。
〔製造例3〕
製造例1においてポリエチレングリコールジアクリレートの使用量を11.2重量部に変更した以外は製造例1と同様に操作して、吸水性樹脂粒子(3)を得た。
〔製造例4〕
製造例2において、吸水性樹脂粒子(3)を用いた以外は製造例2と同様に操作して、表面架橋された吸水性樹脂粒子(4)を得た。表面架橋された吸水性樹脂粒子(4)の各種物性値の測定結果を表2に示す。
〔実施例4〕
実施例3において、表面架橋された吸水性樹脂粒子(4)を用いた以外は、実施例3と同様に操作して吸水性樹脂粉末(4)を得た。吸水性樹脂粉末(4)の各種物性値の測定結果を表2に示す。
〔比較例7〕
比較例5において、表面架橋された吸水性樹脂粒子(4)を用いた以外は、比較例5と同様に操作して比較吸水性樹脂粉末(7)を得た。比較吸水性樹脂粉末(7)の各種物性値の測定結果を表2に示す。
〔比較例8〕
比較例6において、表面架橋された吸水性樹脂粒子(4)を用いた以外は、比較例6と同様に操作して比較吸水性樹脂粉末(8)を得た。比較吸水性樹脂粉末(8)の各種物性値の測定結果を表2に示す。
Figure 2022166050000003
(まとめ)
内部架橋剤の使用量を変更して、表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)よりもCRCの低い表面架橋された吸水性樹脂粒子(2)を作製し、実施例4、比較例7、8の吸水性樹脂粉末を製造した。これらについて各種物性値を測定したところ、SFCの違いがより明確になった。すなわち、実施例4の吸水性樹脂粉末(4)は比較例7の比較吸水性樹脂粉末(7)よりもSFCが高く、吸湿ブロッキング率が低く、0重量%に近いことから、通液性および吸湿流動性の面で明らかに優れている。また、実施例4の吸水性樹脂粉末(4)は比較例8の比較吸水性樹脂粉末(8)に対しても、吸湿ブロッキング率が低く、0重量%に近いことから、吸湿流動性の面で優れている。
〔参考例2〕
ポリエチレングリコール(分子量200)4重量部に13.5重量%の硫酸アルミニウム水溶液2重量部を激しくかき混ぜながら添加することにより、硫酸アルミニウム水和物が析出、分散した分散液(1)を得た。
〔実施例5〕
製造例2で得られた、表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)100重量部に、参考例2で得られた分散液(1)6重量部を、かき混ぜながら滴下した。さらに180℃のオーブンで30分間乾燥させ、目開きが850μmの篩を通過させることにより吸水性樹脂粉末(5)を得た。吸水性樹脂粉末(5)の各種物性値の測定結果を表3に示す。なお、SEM画像で観察したところ、硫酸アルミニウム水和物はやや細長い多面体で、数平均粒子径は1μmであった。粉立ち(ダスト)はなかった。
〔参考例3〕
参考例1で得られた硫酸アルミニウム水和物0.5重量部をポリエチレングリコール(分子量200)4重量部および脱イオン水1.5重量部の混合液に分散させて、分散液(2)を得た。
〔実施例6〕
実施例5において、分散液(1)の代わりに参考例3で得られた分散液(2)6重量部を添加した以外は同様に操作し、吸水性樹脂粉末(6)を得た。吸水性樹脂粉末(6)の各種物性値の測定結果を表3に示す。なお、SEM画像で観察したところ、硫酸アルミニウム水和物の形状は球状、多面体などが混在し、数平均粒子径は1μm、円形度は0.81であった。粉立ち(ダスト)はなかった。
〔比較例9〕
実施例5において、分散液(1)の代わりにポリエチレングリコール(分子量200)4重量部、脱イオン水2重量部からなる水溶液を添加した以外は同様に操作し、比較吸水性樹脂(9)を得た。比較吸水性樹脂(9)の各種物性値の測定結果を表3に示す。
Figure 2022166050000004
実施例5,6、比較例9におけるF.R.の比較から、硫酸アルミニウム粒子が含まれていることにより、吸水性樹脂のF.R.が向上していることがわかる。また、実施例5と実施例6を比較すると、球状の硫酸アルミニウム粒子が含まれていると、吸水性樹脂のF.R.とSFCが向上することが分かる。さらに、表1の記載と表3の記載との対比から、球状硫酸アルミニウムをポリエチレングリコールとともに添加すると、吸水性樹脂のSFCが大きく向上することが分かる。
〔実施例7〕
乳酸アルミニウムを乳鉢ですりつぶし、体積平均粒子径4μmの乳酸アルミニウム粒子を得た。
得られた乳酸アルミニウム0.5重量部を、表面架橋された吸水性樹脂(1)100重量部に添加、混合し、吸水性樹脂粉末(7)を得た。吸水性樹脂粉末(7)の各種物性値の測定結果を表4に示す。
Figure 2022166050000005
本発明を用いて製造される吸水性樹脂粉末は、通液性に優れるので、紙オムツや生理用ナプキンをはじめ各種衛生材料やその他、各種吸水性樹脂の用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 有機表面架橋剤で表面架橋され且つ水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粉末であって、吸水性樹脂粉末の表面に水溶性多価金属塩粒子が付着し、SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の数平均粒子径が0.3~15μmである吸水性樹脂粉末。
  2. SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の下記式で規定される円形度が、0.8以上である、請求項1に記載の吸水性樹脂粉末。
    (円形度)=4π・S/L
    (式中、付着した水溶性多価金属塩粒子の外周をL、付着した水溶性多価金属塩粒子の面積をSとする)
  3. SEM画像分析による水溶性多価金属塩粒子の被覆面積が、吸水性樹脂粉末の面積に対して、0.1~50%である、請求項1または2に記載の吸水性樹脂粉末。
  4. CRCが25g/g以上、AAP(0.7psi)が15g/g以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粉末。
  5. 重量平均粒子径が100~2000μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粉末。
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