JP2022164446A - 複合成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工数が少なく、かつ複合成形体の側面にも均一に表面層を形成できる複合成形体の製造方法及び複合成形体、並びにその製造に用いられる袋状前駆体を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、前記発泡粒子層を被覆し、熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物とを備える複合成形体の製造方法であって、繊維で形成された生地からなる袋体に、熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子が充填した袋状前駆体を成形型内に前記袋状前駆体を配置した後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧することにより、前記発泡粒子を被覆している前記熱硬化性樹脂を流動化させて前記袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させ、前記袋体に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて繊維硬化物層を形成し、前記発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂を硬化させて前記発泡粒子同士が接着した発泡粒子層を形成し、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とを前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着させる、複合成形体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、複合成形体の製造方法、複合成形体、及び袋状前駆体に関する。
従来、建築物、輸送媒体など様々な構造体の構成素材において、軽量で強度に優れる素材が求められている。この軽量化の手段の一つとして、炭素繊維と熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とを一体化した複合材料である、炭素繊維複合材料の利用が進んでいる。前記炭素繊維複合材料の更なる軽量化の手法として、発泡体と炭素繊維複合材料との複合化についても検討が進んでいる。
例えば、特許文献1には、強度がより改良された複合成形体を提供することを目的として、脂肪族ポリエステル系樹脂発泡粒子と、該発泡粒子間に形成された強化繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物とが固着一体化された複合成形体が開示されている。また、例えば、引用文献2には、機械的強度、衝撃吸収性、軽量性に優れた複合体の効率的な製造方法として、合成樹脂が含侵された強化繊維を含む形成材を加熱し、その上に発泡粒子を載置し、金型に沿って仮賦形する繊維強化複合体の製造方法が開示されている。
特許第5952979号公報 特開2015-047757号公報
しかしながら、従来の発泡樹脂積層体では、芯材となる発泡樹脂と表面材等となるシート材等とを別途作製し、それらを接着する際に押圧する必要があることから、製造工数が多いという課題があった。また、芯材の側面部分に均一にシート材などの表面層を接着することが難しいという課題があった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、製造工数が少なく、かつ複合成形体の側面にも均一に繊維硬化物層を形成できる複合成形体の製造方法及び複合成形体、並びにその製造に用いられる袋状前駆体を提供することである。
本発明は、以下に記載の<1>~<13>を提供する。
<1> 熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、前記発泡粒子層を被覆し、熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物層とを備える複合成形体の製造方法であって、繊維で形成された生地からなる袋体に熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を充填した袋状前駆体を成形型内に配置した後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧することにより、前記発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂を流動化させて前記袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させ、前記袋体に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて繊維硬化物層を形成し、前記発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂を硬化させて前記発泡粒子同士が接着した発泡粒子層を形成し、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とを熱硬化性樹脂硬化物を介して接着させる、複合成形体の製造方法。
<2> 前記袋体を構成する生地が、織物、編物、又は不織布である、<1>に記載の複合成形体の製造方法。
<3> 前記袋体を構成する生地の坪量が50~500g/mである、<1>又は<2>に記載の複合成形体の製造方法。
<4> 前記袋体を構成する生地が伸縮性を有し、前記繊維がビニロン繊維又はポリエステル繊維である、<1>~<3>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
<5> 前記熱硬化性樹脂に強化繊維が添加されており、前記強化繊維の添加量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して20~300質量部である、<1>~<4>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
<6> 前記発泡粒子の熱硬化性樹脂の塗布量が、前記発泡粒子100質量部に対して、20~200質量部である、<1>~<5>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
<7> 前記複合成形体の体積に対する前記袋状前駆体の体積の比が、1.5~5である、<1>~<6>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
<8> 前記熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の、前記発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分が15質量%以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
<9> 型締め後の加熱工程における加熱温度が、前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上、発泡粒子の融点以下である、<1>~<8>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
<10> 熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、前記発泡粒子層を被覆し、熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物層とを備え、
前記繊維硬化物層は繊維で構成される生地からなる袋体に前記熱硬化性樹脂が含浸、硬化してなり、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とが前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着している、複合成形体。
<11> 前記発泡粒子の総質量に対する、前記熱硬化性樹脂硬化物の総質量の比が0.2~2である、<10>に記載の複合成形体。
<12> 前記複合成形体の前記繊維硬化物層を除いた部分の密度の標準偏差を密度の算術平均値で除した値である変動係数(%)が10%以下である、<10>又は<11>に記載の複合成形体。
<13> <1>~<9>のいずれかに記載の製造方法に用いられる袋状前駆体であって、熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子が前記袋体中に充填されており、前記発泡粒子の、前記熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分が15質量%以下である、袋状前駆体。
本発明によれば、製造工数が少なく、かつ複合成形体の側面にも均一に繊維硬化物層を形成できる複合成形体の製造方法を提供することができる。
また、得られた複合成形体は、複合成形体の外面側に繊維硬化物層が形成されているので、強度に優れる複合成形体を得ることができる。また、本発明の製造に用いられる袋状前駆体は、袋状に形成されているので、複合成形体の外面側に繊維硬化物層を形成させるのに適するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[複合成形体の製造方法]
本発明の複合成形体の製造方法(以下、単に「複合成形体の製造方法」ともいう)は、熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、その外側(表面)に繊維で形成された生地に熱硬化性樹脂が含浸硬化されてなる熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物層とを備える複合成形体の製造方法であって、繊維で形成された生地からなる袋体に熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を充填した袋状前駆体を、成形型内に前記袋状前駆体を配置した後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧することにより前記発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂を流動化させて前記袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させ、前記袋体に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて繊維硬化物層を形成し、前記発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂を硬化させて前記発泡粒子同士が接着した発泡粒子層を形成し、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とを熱硬化性樹脂硬化物を介して接着させるものである。
なお、発泡粒子層の形状は、特に限定されず、直方体形状、円盤形状、円柱形状など所望の形状を有していればよく、発泡粒子が複数段積み重なった層状形状を有していることが好ましい。
<袋体>
袋体は、繊維で形成された生地からなる。袋体を構成する生地は、織物、編物、又は不織布であることが好ましく、伸縮性を有し、前記繊維がビニロン繊維又はポリエステル繊維であることがより好ましい。本明細書中、「伸縮性を有する」とは、JIS L 1096:2010のA法に準拠して測定される伸び率が、好ましくは10%以上、であることをいう。袋体を構成する生地の伸び率の下限は、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上である。一方、前記伸び率の上限は、好ましくは500%以下、より好ましくは300%以下である。
上記袋体を用いることにより、後述する熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子が充填された袋状前駆体が、成形型の内部空間の形状に沿った形に変形するため、種々の形状を有する複合成形体を製造できる。
また、上記袋体に熱硬化性樹脂が含浸され、繊維硬化物層を形成するので、複合成形体の側面部分にも繊維硬化物層が存在する複合成形体を製造することができる。また、袋状前駆体には発泡粒子が充填されているので、形成される発泡粒子層は、熱硬化性樹脂層は発泡粒子層を覆うように被覆して形成されることが好ましい。
袋体を構成する生地の坪量は、50~500g/mであることが好ましく、より好ましくは55~450g/m、更に好ましくは60~400g/mであり、更に好ましくは80~200g/mである。上記範囲内であれば、後述する熱硬化性樹脂の含浸が容易であり、繊維硬化物層が容易に形成できる。
<発泡粒子>
本発明の複合成形体における発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がより好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、通常、ジカルボン酸と二価アルコールとを縮重合させてなる線状ポリエステル等を採用することができる。ポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルである。芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂は、その主鎖に脂肪族エステルを主成分として含むものである。その脂肪族エステルの主鎖中の含有割合は、少なくとも60モル%、好ましくは80~100モル%、より好ましくは90~100モル%である。脂肪族ポリエステル系樹脂には、ヒドロキシ酸重縮合物、ラクトンの開環重合物及び多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との重縮合体等が包含される。ヒドロキシ酸重縮合物としてはポリ乳酸、ヒドロキシ酪酸の重縮合物等が挙げられる。ラクトンの開環重合物としてはポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等が挙げられる。多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との重縮合体としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート等が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂の硬化時の発熱による発泡粒子の減容を防止する観点からは、脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。
発泡粒子を構成するポリ乳酸系樹脂は、結晶性を有することが好ましい。ポリ乳酸系樹脂が結晶性を有することにより、複合成形体の製造時に、発泡粒子が減容したり、発泡粒子が熱収縮を起こして熱硬化性樹脂との界面に隙間を生じたり、複合成形体にヒケが生じたりしてしまうことを防止、抑制することができる。
結晶化が進んだポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得る方法としては、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度が調整できる限り、特にその方法は限定されない。例えば、発泡工程において加熱処理を行い、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を進行させて発泡粒子を得る方法、発泡粒子を65℃以上の雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。なお、発泡粒子を熱処理する温度は、好ましくは66~80℃であり、より好ましくは67~75℃である。また、熱処理時間は8時間以上であることが好ましく、その上限は概ね48時間である。
また、ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィン成分を50質量%以上含有する樹脂であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用されてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ジアミンとカルボン酸との重縮合により得られる、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリテトラメチレンアジパミド等、ラクタムの開環重合により得られるポリカプロアミド等が挙げられる。
ポリアミド共重合体としては、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレン、カプロラクタム/ヘキサメチレンアミノアジピン酸/ラウリルラクタム、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体等が挙げられる。
発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度及び融解温度(融点)の少なくともいずれかは、耐熱性の観点から、その下限が好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上である。そして、発泡粒子の生産性の観点から、その上限が好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、発泡粒子を脱泡せずに、JIS K 7121-1987により熱流束示差走査熱量測定にて得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度として求められる。なお、ガラス転移温度を求めるための試験片はJIS K 7121-1987の「3.試験片の状態調節(3)」に記載の『一定の熱処理を行った後、ガラス転移温度を測定する場合』に準拠して試験片を作製する。具体的には、試験片が、DSC装置の容器において、200℃まで10℃/分の加熱速度にて昇温して加熱溶解され、直ちに0℃まで10℃/分の冷却速度にて冷却される。
発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂の融解温度(融点)は、発泡粒子を脱泡せずに、JIS K 7121-1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定により測定される値である。具体的には、JIS K 7121-1987の「3.試験片の状態調節(2)」の条件(但し、冷却速度10℃/分)により試験片を状態調整した試験片が使用される。該融解温度は、該試験片が10℃/分の加熱速度にて昇温されることにより得られた融解ピークの頂点の温度である。但し、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度が融点である。
発泡粒子としては、熱可塑性樹脂の樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得たものの他、発泡ストランド、発泡成形体及び押出発泡体の粉砕物等が挙げられる。
なお、樹脂粒子の形状は、円柱状、球状、角柱状、楕円球状、円筒状等を採用することができる。かかる樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子は、発泡前の樹脂粒子形状、上記の円柱状、球状、角柱状、楕円球状、円筒状等に略対応した形状を有する発泡粒子となる。
発泡粒子の平均粒径は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。上記範囲内であれば、複合成形体の強度の向上に好適である。なお、発泡粒子の平均粒径は、少なくとも100個以上の発泡粒子の最大外形寸法として測定される値の平均値である。
さらに、本発明に用いられる発泡粒子としては、発泡層のみからなる単層の発泡粒子だけではなく、多層構造の発泡粒子を用いることができる。なお、多層構造の発泡粒子とは、具体的には、発泡した芯層と、該芯層を被覆する被覆層とからなる発泡粒子が例示される。また、被覆層は発泡状態であっても非発泡状態であってもよい。
前記多層構造の発泡粒子としては、例えば、結晶構造を有するポリ乳酸樹脂を芯層に用いることが好ましい。また、結晶化しない或いはほとんど結晶化しないポリ乳酸樹脂(以下、併せて「低結晶性ポリ乳酸系樹脂」という)を被覆層に用いることが好ましい。低結晶性ポリ乳酸系樹脂は熱硬化性樹脂に溶解又は膨潤しやすい特性を有することから、被覆層のポリ乳酸系樹脂が低結晶性であると、発泡粒子は、高い、熱硬化性樹脂液体原料との親和性を有する。一方、結晶構造を有するポリ乳酸系樹脂は、熱硬化性樹脂液体原料に対して溶解しにくく、また、膨潤され難いことから、芯層のポリ乳酸樹脂が結晶構造を有していると、発泡粒子の形状が維持され易くなる。上記のようなポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、例えば、特開2012-025869号公報に記載された方法により調製することができる。
本発明に用いられる発泡粒子の嵩密度は、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは20kg/m以上、更に好ましくは30kg/m以上であり、そして、好ましくは250kg/m以下、より好ましくは200kg/m以下、更に好ましくは150kg/m以下である。上記範囲内であれば、発泡粒子が高い軽量化効果を発揮する。また、発泡粒子が独立気泡構造を形成しやすいので、複合成形体の強度が向上する。
なお、発泡粒子の嵩密度は、次のようにして求められる。発泡粒子がメスシリンダー等の容器内に自由落下によって充填される。その後、該容器を振動させる。発泡粒子の嵩体積は、振動後の体積が恒量に達したときの該メスシリンダーの目盛りの値である。容器内に充填された発泡粒子の全質量を該嵩体積で除することにより発泡粒子の嵩密度が求められる。
発泡粒子の1個当りの質量(粒子質量)の下限は、発泡粒子の充填性の観点から、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは0.5mg以上であり、更に好ましくは0.8mg以上である。そして、発泡粒子の1個当りの質量の上限は好ましくは20mg以下、より好ましくは5mg以下である。
なお、粒子質量は、100個の粒子を無作為に選び、選んだ100個の粒子をまとめて質量を測定し、測定した質量を100で除した値を算出した、平均粒子質量である。
発泡粒子としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂発泡体である株式会社ジェイエスピー製の商品名「LACTIF(登録商標)」のうち、嵩密度が15~200kg/mである発泡粒子等が例示される。また、特公昭53-1313号公報、国際公開第2012/086305号、特開2012-025869号公報等を参照して、発泡粒子を得ることもできる。
<熱硬化性樹脂>
本発明において、熱硬化性樹脂は未硬化状態であり、硬化剤と反応して硬化し得る樹脂であり、熱硬化性樹脂が硬化した後は熱硬化性樹脂硬化物となる。
熱硬化性樹脂が未硬化状態であるとは、硬化が進んでいない状態であるAステージ状態のみならず、硬化が進み始めているが、完全に硬化していない状態(半硬化状態)であるBステージ状態も含む。上記Aステージ状態、及びBステージ状態は、JIS K 6900-1994で定義される。なお、熱硬化性樹脂が硬化状態であるか未硬化状態であるかの確認は、JIS K 7122-1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に準拠して行う。そして、熱硬化性樹脂の硬化発熱ピークが観測される場合には、熱硬化性樹脂は未硬化状態であると判断される。上記観点から、熱硬化性樹脂層の硬化発熱ピークが110~180℃で観測されることが好ましく、120~160℃で観測されることがより好ましい。また、該硬化発熱ピークの熱量は3J/g以上であることが好ましく、5J/g以上であることがより好ましい。なお、上記硬化発熱ピークが他の樹脂のピークと重複する場合には、その分を差し引くことで算出される。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ウレタン系樹脂等が例示される。これらの中でも、発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂との接着性に優れる観点から、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂のうちの1種、又は2種以上の組合せであることが好ましく、エポキシ系樹脂から構成されることがより好ましい。
不飽和ポリエステル系樹脂としては、不飽和多価カルボン酸と多価アルコールとから得られる縮合生成物をビニルモノマーに溶解させて得られる不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。不飽和多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸等が例示される。多価アルコールとしてはエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が例示される。ビニルモノマーとしては、スチレン系モノマー等が例示される。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ系樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ系樹脂;脂環式エポキシ系樹脂;グリシジルエーテル型エポキシ系樹脂;グリシジル化アミン型エポキシ系樹脂;ハロゲン化エポキシ系樹脂;或いは、グリシジル化ポリエステル、グリシジル化ポリウレタン、グリシジル化アクリル等のエポキシ基含有モノマーもしくはオリゴマーの付加重合体等が挙げられる。これらのエポキシ系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
ビニルエステル系樹脂(エポキシアクリレート系樹脂と呼ばれることもある)としては、原料のエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタクリル酸を用いてエステル化し、その反応物に重合性モノマーを付加重合させて得られる樹脂が挙げられる。原料のエポキシ化合物には、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物等が用いられるが、高い強度を得る観点からビスフェノールA型エポキシ化合物から製造されるビニルエステル樹脂が好適に用いられる。
(強化繊維)
本発明において、強化繊維を添加することが好ましく、熱硬化性樹脂に強化繊維が添加されていることがより好ましい。このような場合には、熱硬化性樹脂硬化物の3次元網目構造がさらに強化されるので、より強度に優れるものとなる。なお、このような構造の3次元網目構造は、複合成形体を形成する際に、後述する複合粒子を用いる等して形成することができる。
上記観点から、強化繊維の添加量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、20~300質量部添加されていることが好ましく、より好ましくは30~250質量部である。
強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、セラミックス繊維、スチール繊維、ステンレス(SUS)繊維、アルミニウム繊維、ホウ素繊維及びこれらの2以上の併用が挙げられる。これらの中でも高強度性、汎用性、経済性等の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、ビニロン繊維が好ましく、ガラス繊維、炭素繊維がより好ましい。
なお、発泡粒子の表面に被覆された未硬化状態の熱硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂に付着した強化繊維とをあわせて、「熱硬化性樹脂層」ということがある。具体的には、熱硬化性樹脂層は、熱硬化性樹脂が硬化された際には、強化繊維で強化された繊維強化プラスチック(FRP)層として機能する。後述する複合粒子において、熱硬化性樹脂層は発泡粒子の表面を被覆している。
発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂層においては、強化繊維が、熱硬化性樹脂層の厚み方向中央部よりも熱硬化性樹脂層の外表面側に多く存在していることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂層には、強化繊維の含有量が外表面に向けて増加する、強化繊維の傾斜構造が形成される。
また、熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂は、発泡粒子の表面に被覆されており、実質的に未硬化の状態であるAステージ状態、又は常温において固体状ないし半固体状を示し、一般に「Bステージ」と呼ばれる状態(以下において「Bステージ品」、「Bステージ材料」ということがある。)であることが好ましい。また、取扱性の観点から熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂はBステージ状態であることが好ましい。
また、後述する複合粒子において、上述の強化繊維による傾斜構造が熱硬化性樹脂層に形成されている場合には、複合粒子の流動性がさらに向上している。なお、熱硬化性樹脂層の外表面の少なくとも一部には、外表面に露出した強化繊維による凹凸が形成されていることが好ましい。このような凹凸の構造により、さらに複合粒子同士の互着を防ぐことができる。
同様の観点から、熱硬化性樹脂層の外表面には、少なくとも一部の強化繊維が露出していることが好ましい。強化繊維が熱硬化性樹脂層の外表面に露出していることで、複合粒子同士の互着をより効率的に防ぐことができる。なお、個々の強化繊維の中の一部分が熱硬化性樹脂層の外表面から露出していればよい。
(熱硬化性樹脂粉末)
熱硬化性樹脂層には、常温において固体状ないし半固体状を示すBステージ状態にあるものを粉末状に粉砕したものを添加して、複合粒子の流動性を向上させることができる。このような、Bステージ状の熱硬化性樹脂粉末を用いた場合には、複合粒子の流動性を向上させることができる。この際、発泡粒子の表面側に熱硬化性樹脂粉末が偏在するように付着させることが好ましい。
(硬化剤)
熱硬化性樹脂層は、熱硬化性樹脂と反応して硬化物を生成し得る硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、熱硬化性樹脂と反応して硬化し、硬化物を生成し得るものであれば特に制限されるものではない。例えばエポキシ樹脂の硬化剤として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等の酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール樹脂、無水フタル酸誘導体、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、アルミニウムキレート、BFのようなルイス酸のアミン錯体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して用いられる。
熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル系樹脂を使用する場合は、硬化剤(重合開始剤)として過酸化物を用いることが好ましい。過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、パーオキシパーベンゾエート、パーオキシケタール、ジクミルパーオキシド等の有機過酸化物が好ましく用いられる。これらの過酸化物は単独で又は2以上の混合物として用いられる。過酸化物に加えて連鎖移動剤を使用してもよい。
硬化剤の添加量の下限は、熱硬化性樹脂を効率的に硬化させる観点から、熱硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。そして、硬化剤の添加量の上限は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
(その他の改質剤)
熱硬化性樹脂層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、増量剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、防カビ剤、可塑剤、カップリング剤、電気伝導性フィラー、磁性体フィラー、熱伝導性フィラー、帯電防止剤、弾性微粒子等の改質剤を必要に応じて含有してもよい。特に難燃性を得るためには難燃剤を含有することが好ましい。
本発明の複合成形体の製造方法は、少なくとも以下の工程(A)~(D)を含む。
工程(A):繊維で形成された生地からなる袋体に、熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を充填して、袋状前駆体を形成する工程、
工程(B):成形型内に、前記袋状前駆体を配置する工程、
工程(C):型締め後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧して、前記熱硬化性樹脂を流動化させて、前記袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させる工程、
工程(D):前記袋体に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて繊維硬化物層を形成し、前記発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂を硬化させて前記発泡粒子同士が接着した発泡粒子層を形成し、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とを前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着させる工程。
<工程(A)>
工程(A)では、繊維で形成された生地からなる袋体に、熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を充填して、袋状前駆体を形成する。熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を袋体に充填して袋状前駆体を形成する方法は、特に限定されず、従来公知の方法により充填して形成できる。
前記袋体には発泡粒子が充填され、充填された発泡粒子が発泡粒子層を形成する。したがって、発泡粒子層は繊維硬化物層の内面側に形成されることが好ましく、発泡粒子層が繊維硬化物層に覆われ被覆されることが好ましく、特に発泡粒子層が繊維硬化物層に全面被覆されていることがより好ましい。このようにして複合成形体の繊維硬化物層が形成されることにより、複合成形体の強度が向上する。
(袋体の製造方法)
袋体は、例えば、上記生地を袋状に縫合することにより、又は、伸縮性を有する生地を袋状に形成することにより作製できる。
(熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の製造方法)
熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子は、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面を未硬化状態の熱硬化性樹脂層で被覆した複合粒子を用いてもよい。このような複合粒子を用いた場合には、特に、均一に熱硬化性樹脂硬化物の3次元網目構造を形成できる観点から好ましい態様である。
≪複合粒子の製造方法≫
複合粒子は、具体的には、熱可塑性樹脂発泡粒子と未硬化状態の熱硬化性樹脂とが混合されることにより、発泡粒子が未硬化状態の熱硬化性樹脂で被覆された被覆物を形成する工程(1-1)を経ることにより作製することができる。さらに、複合粒子の流動性を向上させる工程(1-2)を経ることが好ましい。
工程(1-1)では、熱硬化性樹脂と硬化剤(重合開始剤)とを撹拌等により混合することにより、熱硬化性樹脂と硬化剤(重合開始剤)とが均一に分散された、熱硬化性樹脂混合液が調製される。
次いで、発泡粒子と熱硬化性樹脂混合液とを混合、または発泡粒子に熱硬化性樹脂混合液を塗布する。そして、発泡粒子表面に熱硬化性樹脂混合液が被覆(コーティング)された被覆物が形成される。なお、発泡粒子と熱硬化性樹脂混合液との混合は、混合運動で発泡粒子の切断、破壊等を伴わないように、プロシェアミキサー、ヘンシェルミキサー等のバッチ型ミキサー、又はモーノポンプ、スクリューポンプ等の連続型ミキサーを用いて行うことが好ましい。なお、複合粒子の強度をさらに向上させたい場合などにおいては、熱硬化性樹脂に強化繊維が含有される。
工程(1-2)では、複合粒子の流動性を向上させる。例えば、工程(1-2)では、発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂に強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末を付着させることにより、発泡粒子の表面に、強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末と未硬化状態の熱硬化性樹脂とを含む熱硬化性樹脂層が形成される工程や、発泡粒子が未硬化状態の熱硬化性樹脂で被覆された被覆物を風乾することによって該被覆物の表面のみ熱硬化性樹脂の硬化状態を進行させる工程などが挙げられる。
また、工程(1-2)では、工程(1-1)で得られた被覆物と、強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末とが混合されることが好ましい。工程(1-1)で得られた被覆物において、発泡粒子表面に被覆された熱硬化性樹脂混合液は未硬化状態である。したがって、該被覆物と強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末とを混合することにより、発泡粒子表面に被覆された熱硬化性樹脂混合液に強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が付着する。そして、複合粒子の外表面側に、特に強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が多く含まれる熱硬化性樹脂層が形成される。
さらに、熱硬化性樹脂混合液で被覆された発泡粒子被覆物が形成された後に、強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が後工程で被覆物に付着されることが好ましい。このようにして、複合粒子の最表面に強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末を偏在させることができる。そして、複合粒子の流動性がより向上する。
複合粒子は、複合粒子の流動性の観点からは、複合粒子の最表面において、強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が多く含有されるように形成されることが好ましい。例えば、工程(1-1)と工程(1-2)が繰り返され、最終的に工程(1-2)を経て複合粒子が形成されることが好ましい。工程(1-1)と工程(1-2)が繰り返されることによって、熱硬化性樹脂層中の強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末は樹脂層の厚み方向中央部よりも該樹脂層の外表面側に多く存在し、さらに、複合粒子に含有される強化繊維又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末の含有量が調整可能となる。
(熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子)
≪熱硬化性樹脂の塗布量≫
熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の、熱硬化性樹脂の塗布量は、発泡粒子100質量部に対して、20~200質量部であることが好ましい。発泡粒子の熱硬化性樹脂の塗布量が上記範囲であることにより、熱硬化性樹脂が発泡粒子間の隙間に移動するとともに、袋体にも好適に含浸される。
≪ふるい残分≫
熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の、発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分が15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、そして、その下限は特に限定されないが、0質量%である。
なお、発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分は、JIS Z 8801-1:2019に基づき測定される。具体的には、発泡粒子の平均粒径が5mmである場合、JIS Z 8801-1:2019の規定に適合する試験用篩(目開き10mm)を用いて発泡粒子をふるい分けする。篩上に残った発泡粒子の質量を測定することにより、篩上に残った発泡粒子の質量分率を算出する。なお、発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有する篩が存在しない場合には、平均粒径の2倍よりも低く、最も近い目開きの篩を使用して測定を行うこととする。
(袋状前駆体)
袋状前駆体の体積は、得られる複合成形体の体積に対する体積の比が、1.5~5であることが好ましく、より好ましくは1.7~4である。このような袋状前駆体を形成しておけば、成形型の形状に合わせて、比較的自由に形状を変えることができる。
<工程(B)>
工程(B)では、成形型内に、工程(A)で得られた袋状前駆体を配置する。
本工程に用いる金型は、所望の形状であればよいが、少なくとも一軸方向に圧縮できることが好ましく、一軸方向のみに圧縮できることがより好ましい。例えば、板状の成形体を得るための金型であれば、最も広い面に垂直な方向(Z軸方向、厚み方向)に圧縮できることが好ましい。
配置方法は、特に限定されないが、金型の形状に合わせて、1個又は2個以上の袋状前駆体を配置することが好ましい。
<工程(C)>
工程(C)では、型締め後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧して、前記発泡粒子を被覆している前記熱硬化性樹脂を流動化させて、前記袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させる。
(加熱及び押圧工程)
工程(B)を経て、袋状前駆体が配置された成形型の型締め後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧する。加熱、圧縮工程の順序は、加熱後に圧縮しても、加熱時に圧縮してもよいが、圧縮時に同時に加熱して、熱硬化性樹脂の流動性を向上させることが好ましい。
型締め後の加熱工程における加熱温度は、型締め後の加熱工程における加熱温度が、前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上、発泡粒子の融点以下であることが好ましい。具体的には、加熱温度は、100~140℃であることが好ましく、110~130℃であることがより好ましい。
本発明の複合成形体の製造方法は、押圧工程を有することにより、発泡粒子に被覆された熱硬化性樹脂の流動性が向上し、熱硬化性樹脂を介して発泡粒子同士が接着し、熱硬化性樹脂を硬化させて発泡粒子層を形成するので、強度に優れる。また、流動性が向上した熱硬化性樹脂は、発泡粒子の表面から袋体にも染み出し、熱硬化性樹脂が袋体を形成している生地に含浸される。そして、袋体に含浸された熱硬化性樹脂が硬化すると、均一な厚みを有する繊維硬化物層が形成される。
型締め後の押圧工程における圧縮率は、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.7以上が更に好ましく、2.0以上がより更に好ましい。また、5.0以下が好ましい。圧縮率は、得られる複合成形体の体積に対する袋状前駆体の体積の比を意味する。圧縮率が上記範囲内であれば、熱硬化性樹脂を流動化させることが可能であり、且つ複合成形体の成形も容易である。
(熱硬化性樹脂を硬化させる工程)
工程(D):前記袋体に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて繊維硬化物層を形成し、前記発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂を硬化させて前記発泡粒子同士が接着した発泡粒子層を形成し、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とを前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着させる。
金型を加熱して、袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させるとともに、発泡粒子同士を、熱硬化性樹脂を介して接着させて硬化させて複合成形体を製造する。
未硬化状態の熱硬化性樹脂を加熱硬化させる工程は、80℃から450℃で行われればよく、100℃から150℃で行われることがより好ましい。未硬化状態の熱硬化性樹脂を完全に加熱硬化させて、Cステージ状態とすることで、点接着で接着している複合粒子同士の接着が強固になり、複合成形体の剛性を上げることができる。なお、「Cステージ状態」は、JIS K 6900-1994で定義される。上記熱硬化性樹脂を硬化させる工程は、加熱、押圧工程と同時に押圧した状態で行うか、又は押圧工程の後に行うことができるが、押圧工程と同時に硬化させることが好ましい。
本発明の複合成形体の製造方法は、袋状前駆体を用いることにより、表面層としてのシート材等と芯材としての発泡粒子層とを別途作製する必要がないため、製造工数が少ないという利点を有する。また、袋状前駆体は、持ち運びやすく、取扱い性に優れるため、製造負担が軽減される。
また、本発明の複合成形体の製造方法は、上述したように、熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を押圧することにより、発泡粒子に被覆された熱硬化性樹脂が、発泡粒子間の隙間に移動するとともに、発泡粒子同士が熱硬化性樹脂を介して接着することで複合成形体の強度が向上する。また、袋体にも熱硬化性樹脂が染み出し、熱硬化性樹脂が袋体に含浸されるので、熱硬化性樹脂が硬化した後、袋体の生地を構成する繊維は強化繊維として機能する。したがって、複合成形体の強度が向上する。
なお、工程(C)、及び工程(D)においては、熱硬化性樹脂の流動化、袋体への含浸、熱硬化性樹脂の硬化、発泡粒子層や繊維硬化物層の形成、発泡粒子同士の接着や発泡粒子層と繊維硬化物層の接着が、同時並行的に起こってもよい。
[複合成形体]
前記複合成形体は、繊維で構成される生地からなる袋体と、前記袋体に充填された発泡粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物とを備える。また、前記複合成形体は、前記発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂の硬化物を介して、前記発泡粒子が接着してなる発泡粒子層と、前記袋体に前記熱硬化性樹脂が含浸、硬化されてなる繊維硬化物層とを有する。さらに、前記繊維硬化物層は前記発泡粒子層を被覆しており、前記繊維硬化物層を構成する熱硬化性樹脂と前記発泡粒子層を構成する熱硬化性樹脂とが一体硬化されている。
したがって、前記複合成形体は、熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、前記発泡粒子層を被覆し、熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物層とを備え、前記繊維硬化物層は繊維で構成される生地からなる袋体に前記熱硬化性樹脂が含浸、硬化してなり、前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とが前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着している。
また、得られた複合成形体は、複合成形体の外面側に繊維硬化物層を形成することができるので、強度に優れる複合成形体を得ることができる。
なお、複合成形体が側面を有するような形状であっても、前記袋体に前記熱硬化性樹脂が含浸、硬化されてなる繊維硬化物層が形成されているため、複合成形体の側面部分にも繊維硬化物層が形成され、より強度に優れる複合成形体を形成することができる。
また、前記袋体に前記熱硬化性樹脂が含浸、硬化されてなる繊維硬化物層が形成されているため、複合成形体の全面に、均一に繊維硬化物層を形成することもできる。このような場合には、方向性に関係なく、複合成形体の強度を向上させることができるとともに、複合成形体の外観も向上する。
(発泡粒子と熱硬化性樹脂硬化物の質量比)
本発明の複合成形体は、発泡粒子の総質量に対する、前記熱硬化性樹脂硬化物の総質量の比が0.1~5であることが好ましい。上記範囲内であれば、軽量性を有しつつ、強度に優れる複合成形体となる。上記観点から、該比は、0.2~2であることが好ましい。
(変動係数)
複合成形体の繊維硬化物層を除いた部分の密度の標準偏差を密度の算術平均値で除した値である変動係数(%)が10%以内であることが好ましい。上記範囲内であれば、複合成形体の発泡粒子層部分に密度ムラが発生していないので、より強度に優れた複合成形体となる
上記変動係数は、複合成形体の繊維硬化物層を除いた部分の密度の標準偏差を密度の算術平均値(n=10)で除することにより求められる。
(3点曲げ試験)
複合成形体の1.0mmたわみ曲げ荷重は、好ましくは1.5N以上、より好ましくは2.0N以上であり、そして、好ましくは500N以下、より好ましくは300N以下である。
複合成形体の最大降伏点荷重は、好ましくは20N以上、より好ましくは25N以上、更に好ましくは30N以上であり、そして、好ましくは2000N以下、より好ましくは1800N以下、更に好ましくは1600N以下である。
複合成形体の1.0mmたわみ曲げ荷重及び最大降伏点荷重は、実施例に記載される方法により測定できる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
[測定及び評価]
(発泡粒子の質量)
発泡粒子の質量は、100個の粒子を無作為に選び、選んだ100個の粒子をまとめて質量を測定し、測定した質量を100で除した値を算出した。
(発泡粒子及び複合粒子の嵩密度)
発泡粒子及び複合粒子の嵩密度は、次のようにして求めた。発泡粒子又は複合粒子をメスシリンダー等の容器内に自由落下によって充填した後、該容器を振動させた。発泡粒子又は複合粒子の嵩体積は、振動後の体積が恒量に達したときの該メスシリンダーの目盛りの値とした。容器内に充填された発泡粒子又は複合粒子の全質量を該嵩体積で除することにより発泡粒子又は複合粒子の嵩密度を求めた。
(ふるい残分)
熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分は、JIS Z 8801-1:2019に基づき測定した。具体的には、熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の平均粒径が5mmである場合、JIS Z 8801-1:2019の規定に適合する試験用篩(平均目開き10mm)を用いて前記発泡粒子をふるい分けした。篩上に残った前記発泡粒子の質量を測定することにより、篩上に残った発泡粒子の質量分率を算出した。なお最大粒子径の2倍の目開きを使用するのは、単独の前記発泡粒子が篩から確実に落とされ、複数の前記発泡粒子が塊状となった場合には確実に捕獲できればよい。
(複合成形体の密度)
サンプルの外形寸法より体積H(単位:L)を求め、サンプルの質量W(単位:g)を体積Hで除した値を、単位換算を行うことにより、サンプルの密度(単位:kg/m)とした。さらに具体的には、複合成形体から無作為に少なくとも10箇所から切り出した試験片(50mm×50mm×50mm)の密度を測定した。
(複合成形体の密度の変動係数)
複合成形体の繊維硬化物層を除いた部分の密度の標準偏差を密度の算術平均値(n=10)で除して、変動係数(%)を求めた。
(3点曲げ試験)
複合成形体は、JIS K 7171:2006に準拠して、具体的には以下の方法で1.0mmたわみ曲げ荷重、最大降伏点荷重を測定した。
まず、各成形体から幅50mm×長さ400mm×厚み27.5mmの試験片をとなるように切り出した。なお、試験片厚みが上記範囲未満の場合には、成形体厚みの試験片とした。切り出した試験片は、室温23℃、湿度50%RHの恒室内で試験片を24時間以上放置した後、支点間距離300mm、圧子の半径R5.0mm、支持台の半径R2.0mm、試験速度5mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、(株)島津製作所製の卓上形精密万能試験機「オートグラフAGS-10kNG」によりたわみ-曲げ荷重カーブ(SSカーブ)を測定した。
前記SSカーブのたわみ量1.0mmの時の荷重(1.0mmたわみ荷重(N))を測定し、5点以上の測定値の平均値を測定結果として採用した。
製造例1
<発泡粒子の作製>
脂肪族ポリエステル樹脂の発泡粒子として多層構造のポリ乳酸系発泡粒子(発泡粒子)を特許文献1に記載された方法で作製した。
芯層;結晶性ポリ乳酸樹脂:ユニチカ株式会社製「テラマックTP-4000E」(融点:163℃、MFR(190℃/2.16kgf):4.6g/10min、ビカット軟化温度:157℃)
被覆層;低結晶性ポリ乳酸樹脂:ユニチカ株式会社製「テラマックTP-4001E」(融点:なし、MFR(190℃/2.16kgf):6.0g/10min、ビカット軟化温度58℃)
複合粒子の製造に用いられる発泡粒子は、多層構造の発泡粒子であり、嵩密度は38kg/m、平均粒径は4mm、粒子質量は1.0mgであった。
製造例2
<複合粒子の作製>
内容積が200mLのポリプロピレン製ビーカーに、熱硬化性樹脂r1(エポキシ樹脂、DIC株式会社製の商品名「EPICLON 850」)を100質量部、アミン系硬化剤h1(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、三菱ガス化学株式会社製、商品名「1,3-BAC」)を9.5質量部、イミダゾール系硬化剤h2(2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成株式会社製、商品名「2E4MZ」)を3質量部混合し、熱硬化性樹脂原料1を得た。
次いで、最大内容積が約20Lのポリエチレン製袋に、表1に示す量の製造例1で得られた発泡粒子を投入し、樹脂混合液を投入し、発泡粒子の表面が熱硬化性樹脂原料1で均一に塗布されるように表1に示す量混合した。
次いで、表1に示す量のガラス繊維f1(セントラル硝子株式会社製、商品名「ミルドファイバーEFK80-31/T」平均長さ80μm、径13μm、L/D:6.2)を2回に分割して、ポリエチレン製袋に投入して混合した。得られた粒子状物を、目開き2mmの金属製のメッシュ(東京スクリーン株式会社製)を用いて、粒子に付着しなかったガラス繊維を除去した。以上の操作により、粒子状の複合粒子1(熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子、以下、これを複合粒子ということがある)を得た。
Figure 2022164446000001
製造例3
(熱硬化性樹脂原料2(Bステージ状態となった粉末)の作製)
製造例2で得られた熱硬化性樹脂原料1をポリエチレン製のポリ袋に投入し、厚み5mm程度に展開させ、室温(23℃)で20時間養生した。養生後、フィルム状になった熱硬化性樹脂原料1を粉砕し、熱硬化性樹脂原料2(Bステージ状態となった粉末)を得た。
実施例1
ポリエステル繊維を編んで形成された、表2に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、製品名02番)を寸法縦300mm×横300mmの2枚の生地の周囲をヒートシールした袋体に体積が2.7Lとなるまで、複合粒子1を充填し、袋状前駆体とした。表1の袋状前駆体の体積(A)は、複合粒子1の充填後の体積である。
なお、生地の周囲をヒートシールする際は粒子を充填可能な開口部を設け、粒子充填後シールし袋状前駆体とした。
縦300mm×横300mm×深さ20mmのアルミ製の金型内に袋状前駆体を配置した。配置後、上型を載せ厚み方向に33%(3倍)に押圧した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表2に示す。
実施例2
製造例2において、熱硬化性樹脂原料1を得た後、最大内容積が約20Lのポリエチレン製袋に、表2に示す量の製造例1で得られた発泡粒子を投入し、熱硬化性樹脂原料1を投入し、発泡粒子の表面が熱硬化性樹脂原料1で均一に塗布されるように表2に示す量混合した。
次いで、表2に示す量のカーボン繊維f2(ACA株式会社製、商品名「炭素繊維ミルド品20μm相当品無規格品」、平均長さ:20μm)を2回に分割して、ポリエチレン製袋に投入して混合した。次いで、熱硬化性樹脂原料2(Bステージ状態となった粉末)を表2に示す量をポリエチレン製袋に投入して混合した。得られた粒子状物を、目開き2mmの金属製のメッシュ(東京スクリーン株式会社製)を用いて、粒子に付着しなかった強化繊維を除去した。以上の操作により、粒子状の複合粒子2を得た。
得られた複合粒子2を用いて、実施例1と同様にして、袋状前駆体を形成し、実施例1と同様に成形して複合成形体を得た。
実施例3
製造例2において、熱硬化性樹脂原料1を得た後、最大内容積が約20Lのポリエチレン製袋に、表2に示す量の製造例1で得られた発泡粒子を投入し、熱硬化性樹脂原料1を投入し、発泡粒子の表面が熱硬化性樹脂原料1で均一に塗布されるように表2に示す量混合した。
次いで、熱硬化性樹脂原料2(Bステージ状態となった粉末)を表2に示す量ポリエチレン製袋に投入して混合した。得られた粒子状物を、目開き2mmの金属製のメッシュ(東京スクリーン株式会社製)を用いて、粒子に付着しなかった強化繊維を除去した。以上の操作により、粒子状の複合粒子3を得た。
得られた複合粒子3を用いて、実施例1と同様にして、袋状前駆体を形成し、実施例1と同様に成形して複合成形体を得た。
実施例4
強化ポリエステル繊維を編んで形成された、表2に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、製品名05番)を寸法縦300mm×横300mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋体に体積が2.7Lとなるまで、複合粒子2を充填し、袋状前駆体とした。その後、実施例1と同様に成形して複合成形体を得た。
実施例5
ビニロン繊維を編んで形成された、表2に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名ビニロン)寸法縦300mm×横300mmを2枚用いて、周囲をヒートシールしたフウロに体積が2.7Lとなるまで、複合粒子2を充填し、袋状前駆体とした。その後、実施例1と同様に成形して複合成形体を得た。
実施例6
ポリエステル繊維を編んで形成された、表2に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名02番)寸法縦1208mm×35mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋体に容積が3.0Lとなるまで、複合粒子2を充填し、袋状前駆体とした。
次いで、縦1208mm×横35mm×深さ70mmのアルミ製の金型に袋状前駆体を配置した。配置後、上型を載せ厚み方向に50%(2倍)に押圧した後、110℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表2に示す。
実施例7
ポリエステル繊維を編んで形成された、表2に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名02番)寸法縦1208mm×35mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋体を2個作製した。
それぞれのヒートシールした袋体に、容積が各1.5Lとなるまで、複合粒子2を充填し、袋状前駆体とした。
一個目の袋体を縦1208mm×横35mm×深さ70mmのアルミ製の金型に配置した。次いで、鉄パイプ(外径サイズ:11mm×11mm、肉厚:1.2mm、長さ:1190mm、質量:419.2g)を前記袋体の上に載せた。次いで、二個目の袋体を前記鉄パイプの上に載せ、上型を載せ厚み方向に50%(2倍)に押圧した後、110℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために、温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表2に示す。
比較例1
袋状前駆体を作製しなかった以外は、実施例1と同様に複合成形体を製造した。
比較例2
袋状前駆体を作製しなかった以外は、実施例2と同様に複合成形体を製造した。
比較例3
袋状前駆体を作製しなかった以外は、実施例3と同様に複合成形体を製造した。
比較例4
複合粒子を用いず、製造1で作製した発泡粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして袋状前駆体を作製した。金型に発泡粒子を充填した後、熱硬化性樹脂を投入して、加熱及び押圧、硬化させ、複合成形体を得ようとしたが発泡粒子部分が溶融してしまい成形品を得ることができなかった。
Figure 2022164446000002
実施例8
製造例2において、熱硬化性樹脂原料1を得た後、最大内容積が約20Lのポリエチレン製袋に、表3に示す量の製造例1で得られた発泡粒子を投入し、樹脂混合液を投入し、発泡粒子の表面が熱硬化性樹脂原料1で均一に塗布されるように表3に示す量混合した。
次いで、表3に示す量のカーボン繊維f2(ACA株式会社製、商品名「炭素繊維ミルド品20μm相当品無規格品」、平均長さ20μm)を2回に分割して、ポリエチレン製袋に投入して混合し、室温(23℃)で4時間養生させた。
一方で、内容積が200mLのポリプロピレン製ビーカーに、熱硬化性樹脂r1(エポキシ樹脂、DIC株式会社製の商品名「EPICLON 850」)を100質量部、アミン系硬化剤h1(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、三菱ガス化学株式会社製、商品名「1,3-BAC」)を4.67質量部、イミダゾール系硬化剤h2(2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成株式会社製、商品名「2E4MZ」)を1.5質量部混合し、熱硬化性樹脂原料3を得た。
養生後の混合物を手でほぐし、熱硬化性樹脂原料3を表3に示す量添加し混合した。混合後、室温(23℃)で20時間養生し、得られた粒子状物を、目開き2mmの金属製のメッシュ(東京スクリーン株式会社製)を用いて、粒子に付着しなかった強化繊維を除去した。以上の操作により、複合粒子4を得た。
ポリエステル繊維を編んで形成された、表4に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名02番)寸法縦300mm×横300mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋体に体積が2.7Lとなるまで、複合粒子4を充填し、袋状前駆体とした。
縦300mm×横300mm×深さ20mmのアルミ製の金型に袋状前駆体を配置した後、上型を載せ厚み方向に33%(3倍)に押圧した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表3に示す。
実施例9
ポリエステル繊維を編んで形成された、表3に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名05番)寸法縦300mm×横300mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋体に体積が2.7Lとなるまで、複合粒子4を充填し、袋状前駆体とした。
縦300mm×横300mm×深さ20mmのアルミ製の金型に袋状前駆体を配置した後、上型を載せ厚み方向に33%(3倍)に押圧した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表3に示す。
実施例10
ポリエステル繊維を編んで形成された、表3に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名ビニロン)寸法縦300mm×横300mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋体に体積が2.7Lとなるまで、複合粒子4を充填し、袋状前駆体とした。
縦300mm×横300mm×深さ20mmのアルミ製の金型に袋状前駆体を配置した後、上型を載せ厚み方向に33%(3倍)に押圧した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表3に示す。
実施例11
ポリエステル繊維を編んで形成された、表3に示された坪量の生地(ミツカワ株式会社製、商品名ビニロン)寸法縦300mm×横300mmを2枚用いて、周囲をヒートシールした袋状に体積が2.7Lとなるまで、複合粒子4を充填し、袋状前駆体とした。
縦300mm×横300mm×深さ20mmのアルミ製の金型に袋状前駆体を配置した後、上型を載せ厚み方向に33%(3倍)に押圧した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後、冷却のために温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体を得た。得られた複合成形体の物性等を表3に示す。
Figure 2022164446000003
比較例1乃至3の複合成形体と、実施例1乃至3の複合成形体と対比すると、実施例1乃至3の複合成形体の方がより曲げ物性が向上していることが分かる。

Claims (13)

  1. 熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、前記発泡粒子層を被覆し、熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物層とを備える複合成形体の製造方法であって、
    繊維で形成された生地からなる袋体に熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子を充填した袋状前駆体を成形型内に配置した後、前記袋状前駆体を加熱及び押圧することにより、
    前記発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂を流動化させて前記袋体に前記熱硬化性樹脂を含浸させ、
    前記袋体に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて繊維硬化物層を形成し、
    前記発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂を硬化させて前記発泡粒子同士が接着した発泡粒子層を形成し、
    前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とを前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着させる、
    複合成形体の製造方法。
  2. 前記袋体を構成する生地が、織物、編物、又は不織布である、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
  3. 前記袋体を構成する生地の坪量が50~500g/mである、請求項1又は2に記載の複合成形体の製造方法。
  4. 前記袋体を構成する生地が伸縮性を有し、前記繊維がビニロン繊維又はポリエステル繊維である、請求項1~3のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  5. 前記熱硬化性樹脂に強化繊維が添加されており、前記強化繊維の添加量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して20~300質量部である、請求項1~4のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  6. 前記発泡粒子の熱硬化性樹脂の塗布量が、前記発泡粒子100質量部に対して、20~200質量部である、請求項1~5のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  7. 前記複合成形体の体積に対する前記袋状前駆体の体積の比が、1.5~5である、請求項1~6のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  8. 前記熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の、前記発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分が15質量%以下である、請求項1~7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  9. 型締め後の加熱工程における加熱温度が、前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上、発泡粒子の融点以下である、請求項1~8のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  10. 熱硬化性樹脂硬化物を介して複数の発泡粒子が接着した発泡粒子層と、前記発泡粒子層を被覆し、熱硬化性樹脂硬化物を含む繊維硬化物層とを備え、
    前記繊維硬化物層は繊維で構成される生地からなる袋体に前記熱硬化性樹脂が含浸、硬化してなり、
    前記繊維硬化物層と前記発泡粒子層とが前記熱硬化性樹脂硬化物を介して接着している、複合成形体。
  11. 前記発泡粒子の総質量に対する、前記熱硬化性樹脂硬化物の総質量の比が0.2~2である、請求項10に記載の複合成形体。
  12. 前記複合成形体の前記繊維硬化物層を除いた部分の密度の標準偏差を密度の算術平均値で除した値である変動係数(%)が10%以下である、請求項10又は11に記載の複合成形体。
  13. 請求項1~9のいずれかに記載の製造方法に用いられる袋状前駆体であって、
    熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子が前記袋体中に充填されており、
    前記熱硬化性樹脂が被覆された発泡粒子の、前記発泡粒子の平均粒径の2倍の目開きを有するふるいによるふるい残分が15質量%以下である、
    袋状前駆体。
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