JP2022163966A - メチレンマロネートを含有する硬化性組成物とその硬化物 - Google Patents

メチレンマロネートを含有する硬化性組成物とその硬化物 Download PDF

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萌 河合
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Abstract

【課題】消泡性の改善されたメチレンマロネートを含有する硬化性組成物を提供することを目的とする。【解決手段】単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートと、フッ素変性シリコーンとを含む、硬化性組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関する。
セメント系材料は、強度や耐久性に優れた硬化物を与える。セメント系材料は建築構造物を構築する上で必要とされる材料である。建築構造物などのセメント系構造体は、二酸化炭素や塩化物イオンなどの劣化因子の侵入を防ぐことが求められる。
例えば、特許文献1には、セメント系構造体の表面の少なくとも一部を、下記式(I)で表されるジエステル化合物を含有する表面保護剤で被覆して、前記セメント系構造体への劣化因子の侵入を抑制する方法が開示されている。特許文献1には、上記表面保護剤でモルタル供試体を保護することにより、二酸化炭素や塩化物イオン等の劣化因子の侵入を抑制できることが開示されている。
Figure 2022163966000001
式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、若しくは1~15個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である、又はR及びRが一緒になって3~15個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を形成しており、R及びRは、それぞれ独立に1~30個の炭素原子を有する1価の有機基を表す、又はR及びRが一緒になって3~30個の炭素原子を有する2価の有機基を形成している。
国際公開第2020-158756号
上記のとおり、メチレンマロネートを含む表面保護剤が良好な劣化因子の侵入抑制効果を有することが知られているが、表面保護剤組成物を作成時や塗布時等に発生する泡を抜けやすくすることについて、改善の余地があった。
よって、本開示は、消泡性の改善されたメチレンマロネートを含有する硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。すなわち本開示の硬化性組成物は、単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートと、フッ素変性シリコーンとを含む、硬化性組成物である。
本開示の硬化性組成物によれば、良好な消泡性を有することから、基材がひび割れなどした際においても追従性を有し、外観にも優れた塗膜を形成することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[本開示の硬化性組成物]
<単官能メチレンマロネート>
本開示の硬化性組成物は、1種または2種以上の単官能メチレンマロネートを含むことができる。単官能のメチレンマロネートとしては、特に制限されないが、例えば、下記一般式(6)で表される構造単位を2または3以上含む化合物が例示される。
Figure 2022163966000002
一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、1~15個の炭素原子有する一価の炭化水素基である、又はR及びRが一緒になって3~15個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を形成していることを示し、R及びRは、それぞれ独立に1~30個の炭素原子を有する1価の有機基を表す。
上記一般式(1)、および後述する一般式(2)~(4)において、RおよびRの炭素数は、0~10個が好ましく、0~5個が好ましい。R及びRの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が例示される。
上記一般式(1)、および後述する一般式(2)~(4)において、R及びRが一緒になって3~15個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を形成している場合、2価の炭化水素基の炭素数としては、4~12個が好ましく、5~9個がより好ましい。2価の炭化水素基の具体例としては、1,3-プロピレン基、1、4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基、1,6-へキシレン基、1,5-へキシレン基等が挙げられる。
上記一般式(1)、および後述する一般式(2)~(4)において、RおよびRの炭素数は、0~10個が好ましく、0~5個が好ましい。R及びRの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が例示される。
上記一般式(1)、および後述する一般式(2)~(4)において、R及びRは、1価の有機基であり、そのような有機基としては、1~30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、又は1~15個の炭素原子を有する炭化水素基の少なくとも一つの水素原子がハロゲン、1~15個の炭素原子を有するアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アジド基、シアノ基、アシルオキシ基、カルボキシル基及び1~15個の炭素原子を有するアルキルエステル基からなる群から選択される置換基により置換された1価の基、又は複素環を有する基が挙げられる。当該一価の基は、置換基を1~5個以下有すると好ましく、1~3個有するとより好ましい。複素環としては、テトラヒドロフルフリル基等が挙げられる。
及びRの1価の炭化水素基の炭素原子の数としては、1~20個であることが好ましく、1~15個であることがより好ましく、1~10個であることが更に好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基は、直鎖状脂肪族炭化水素基、分岐鎖状脂肪族炭化水素基、及び脂環式炭化水素基のいずれであってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれであってもよい。なお、芳香族炭化水素基は、芳香環を有する基であって、脂肪族部分を有していてもよく、脂環式炭化水素基は、環状の脂肪族炭化水素部分を有する基であって、直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素部分を有していてもよい。
上記直鎖の飽和炭化水素基としては、メチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基等が挙げられる。
上記分岐鎖の飽和炭化水素基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基、tert-オクチル基、イソオクチル基、1-エチルヘキシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、1-エチルオクチル基、1-プロピルヘプチル基、1-ブチルヘキシル基、2-エチルオクチル基、2-プロピルヘプチル基、2-ブチルヘキシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、1-エチルノニル基、1-プロピルオクチル基、1-ブチルヘプチル基、1-ペンチルヘキシル基、2-エチルノニル基、2-プロピルオクチル基、2-ブチルヘプチル基、2-ペンチルヘキシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、1-エチルデシル基、1-プロピルノニル基、1-ブチルオクチル基、1-ペンチルヘプチル基、2-エチルデシル基、2-プロピルノニル基、2-ブチルオクチル基、2-ペンチルヘプチル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、1-エチルウンデシル基、1-プロピルデシル基、1-ブチルノニル基、1-ペンチルオクチル基、1-ヘキシルヘプチル基、2-エチルウンデシル基、2-プロピルデシル基、2-ブチルオクチル基、2-ペンチルオクチル基、2-ヘキシルヘプチル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1-エチルドデシル基、1-プロピルウンデシル基、1-ブチルデシル基、1-ペンチルノニル基、1-ヘキシルオクチル基、2-エチルドデシル基、2-プロピルウンデシル基、2-ブチルデシル基、2-ペンチルノニル基、2-ヘキシルオクチル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル(イソステアリル)基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル基、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル基、イソイコシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネオイコシル基、イソヘンイコシル基、sec-ヘンイコシル基、tert-ヘンイコシル基、ネオヘンイコシル基、イソドコシル基、sec-ドコシル基、tert-ドコシル基、ネオドコシル基、イソトリコシル基、sec-トリコシル基、tert-トリコシル基、ネオトリコシル基、sec-ヘキサコシル基、tert-ヘキサコシル基、ネオヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、sec-ヘプタコシル基、tert-ヘプタコシル基、ネオヘプタコシル基、イソオクタコシル基、sec-オクタコシル基、tert-オクタコシル基、ネオオクタコシル基、イソノナコシル基、sec-ノナコシル基、tert-ノナコシル基、ネオノナコシル基、イソトリアコンチル基、sec-トリアコンチル基、tert-トリアコンチル基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
上記不飽和炭化水素基としては、直鎖アルケニル基、又は分岐鎖アルケニル基が挙げられ、直鎖アルケニル基としては、具体的には、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノネニル基、イソデセニル基、イソドデセニル基、イソオクタデセニル基、イソイコセニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基;ナフチル基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、等のアラルキル基;スチリル基(Ph-CH=C-基);シンナミル基(Ph-CH=CHCH-基);1-ベンゾシクロブテニル基;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、ジスチレン化フェニル基などが挙げられる。
本開示の硬化性組成物の保存安定性を向上する観点から、上記式(1)におけるRとRの合計の炭素数が12以上であることが好ましく、上記式(1)におけるRとRの炭素数がそれぞれ6以上であることがより好ましい。
本開示の硬化性組成物に含まれる単官能メチレンマロネート100質量%に対し、上記式(1)におけるRとRの合計の炭素数が12以上の単官能メチレンマロネートの割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
上記単官能メチレンマロネートとしては、メチレンマロン酸メチルプロピル、メチレンマロン酸ジ-n-ヘキシル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシル、メチレンマロン酸ジイソプロピル、メチレンマロン酸ブチルメチル、メチレンマロン酸エトキシエチルエチル、メチレンマロン酸メトキシエチルメチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ジ-n-ペンチル、メチレンマロン酸エチルペンチル、メチレンマロン酸メチルペンチル、メチレンマロン酸エチルエチルメトキシル、メチレンマロン酸エトキシエチルメチル、メチレンマロン酸ブチルエチル、メチレンマロン酸ジ-n-ブチル、メチレンマロン酸ジエチル(DEMM)、メチレンマロン酸ジエトキシエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸ジ-n-プロピル、メチレンマロン酸エチルヘキシル、メチレンマロン酸フェンキルメチル、メチレンマロン酸メンチルメチル、メチレンマロン酸2-フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸3-フェニルプロピル、メチレンマロン酸ジメトキシエチル、メチレンマロン酸ジ-n-ヘプチル、メチレンマロン酸ジ-n-オクチル、メチレンマロン酸ジ-n-ノニル、メチレンマロン酸ジ-n-デシル等が挙げられる。これらの中でも、メチレンマロン酸ジ-n-ヘキシル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシルが好ましい。
<多官能メチレンマロネート>
本開示の硬化性組成物は、1種または2種以上の多官能メチレンマロネートを含むことができる。多官能メチレンマロネートとしては、メチレンマロネート構造単位を2または3以上含む化合物であれば、特に制限されない。多官能メチレンマロネートとしては、例えば、下記一般式(2)で表される構造単位を2または3以上含む化合物が例示される。
Figure 2022163966000003
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、1~15個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である、又はR及びRが一緒になって3~15個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を形成していることを示す。なお、一般式(2)で表される構造単位とは、上記一般式(2)のカッコ内の構造単位を表す。
上記多官能メチレンマロネートは、上記一般式(2)で表される構造単位以外に、多価アルコールの残基を含むことが好ましい。多価アルコールの残基とは、多価アルコールから少なくとも2の水素原子を除いた基を表す。例えば、エチレングリコール、HO-CHCH-OH、の残基は、-CHCH-で表すことができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、1,9-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ブチルエチル-1,3-プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール等の2価のアルコール;グリセリン、ポリグリセリン、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールなどが例示される。
上記多価アルコールとしては、分子量が400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、50以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。
本開示の硬化性組成物は、多官能メチレンマロネートとして、下記一般式(3)で表される構造単位を2または3以上含む化合物を含んでいても良い。
Figure 2022163966000004
一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、1~15個の炭素原子有する一価の炭化水素基である、又はR及びRが一緒になって3~15個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を形成していることを示し、Rは、分子量400以下の多価アルコールの残基を表す。なお、一般式(3)で表される構造単位とは、上記一般式(3)のカッコ内の構造単位を表す。多価アルコールの残基の好ましい形態は上記のとおりである。
本開示の硬化性組成物は、多官能メチレンマロネートとして、下記一般式(4)で表される構造の化合物を含んでいても良い。
Figure 2022163966000005
一般式(4)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、1~15個の炭素原子有する一価の炭化水素基である、又はR及びRが一緒になって3~15個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を形成していることを示し、R及びRは、それぞれ独立に1~30個の炭素原子を有する1価の有機基を表し、Rは、同一もしくは異なって、分子量400以下の多価アルコールの残基を表し、nは1以上、55以下の数である。多価アルコールの残基の好ましい形態は上記のとおりである。
本開示の硬化性組成物に含まれる多官能メチレンマロネートに含まれる式(2)で表される構造単位の含有量は、架橋効率を向上させる観点から、1.0mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは1.5mmol/g以上、さらに好ましくは2.0mmol/g以上、よりさらに好ましくは2.5mmol/g以上である。また後述する本開示のアクリル樹脂との相溶性を向上させる観点から、6.0mmol/g以下であることが好ましく、より好ましくは5.6mmol/g以下、さらに好ましくは5.2mmol/g以下である。
本開示の硬化性組成物に含まれる多官能メチレンマロネートは、特に限定されないが、重量平均分子量(以下、Mwともいう)が、300以上10000以下であることが好ましく、300以上5000以下であることがより好ましく、更に400以上3000以下であることがより好ましい。
本開示における多官能メチレンマロネートの重量平均分子量は、通常はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置として、東ソー(株)製、品番:HLC-8220GPC、分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super MultiporeHZ-Nを用い、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕によって換算した値である。上記の条件で測定することが妥当でない多官能メチレンマロネートについては、上記条件を適宜、最小限の変更を加えて測定しても良い。
上記多官能メチレンマロネートは、例えば、ジエチルメチレンマロネート等のジアルキルメチレンマロネートと多価アルコールとをエステル交換させて製造することが可能であり、例えば、国際公開第2017/210415号、特表2015-517973号公報、特表2018-502852号公報、または国際公開第2018/031101号公報に記載の方法や、これに適宜、公知の製法を組み合わせた方法により製造することが可能である。所望により、上記の方法に加え、多官能メチレンマロネートの合成・精製工程において酸安定剤としてリン酸またはリン酸エステルを共存させることにより製造しても良い。
<フッ素変性シリコーン>
本開示におけるフッ素変性シリコーンは、ポリシロキサンの側鎖および/または末端のアルキル基から選択される少なくとも1つのアルキル基を、フッ素含有有機基に置換した構造の化合物であることが好ましい。本開示におけるフッ素変性シリコーンは、フッ素含有有機基を1分子中に1つ有していても良く、2以上を有していても良い。
上記フッ素含有有機基としては、フッ素原子を含有すれば特に制限されないが、例えば上記RやRとして例示された有機基において少なくとも1つの水素原子をフッ素原子に置換した有機基が例示される。
本開示におけるフッ素変性シリコーンは、シロキサン構造単位、-O-Si(-R-、を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。上記Rは、アルキル基を表す。本開示におけるフッ素変性シリコーンは、上記以外の構造単位を含んでいても良く、特に限定されないが、例えば上記フッ素含有有機基以外の上記RやRとして例示された有機基が例示される。
本開示におけるフッ素変性シリコーンは、溶剤を含んでいても良い。溶剤としては、シリコーン油が挙げられ、シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ミネラルスピリッツ、ホワイトスピリット、鉱物油、酢酸ブチル、プロピレングリコール、イソブタノール、イソパラフィン、メトキシプロピルアセテート、メシチレン等が例示される。
本開示におけるフッ素変性シリコーンは、消泡剤として販売されているものを使用しても良い。
<本開示の硬化性組成物の組成>
本開示の硬化性組成物における単官能メチレンマロネートと多官能メチレンマロネートの合計の含有量としては、特に制限されないが、硬化性組成物の総質量に対して、50質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、95質量%以上であってよい。
本開示の硬化性組成物は、単官能メチレンマロネートと多官能メチレンマロネートのいずれかを含んでいても良く、両方を含んでも良い。また、本開示の硬化性組成物は、単官能メチレンマロネート及び/または多官能メチレンマロネートを2種以上含んでも良い。
本開示の硬化性組成物が、単官能メチレンマロネートを2種以上含む形態も、好ましい形態の一つである。単官能メチレンマロネートを2種以上含む場合、第1の単官能メチレンマロネートと第2の単官能メチレンマロネートとの質量比は任意であるが、例えば20/80~80/20、好ましくは、30/70~70/30としてもよい。上記範囲に設定することにより、本開示の硬化性組成物の消泡性が向上する傾向にある。
上記第1の単官能メチレンマロネートをホモポリマーのガラス転移温度が30℃未満、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは10℃以下、よりさらに好ましくは0℃以下の単官能メチレンマロネート、上記第2の単官能メチレンマロネートをホモポリマーのガラス転移温度が60℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上の単官能メチレンマロネートとしても良い。上記範囲であることにより、本開示の硬化性組成物の硬化膜がべたつきすぎたり、堅牢すぎない良好なバランスが得られる傾向にある。
本開示の硬化性組成物は、フッ素変性シリコーンを単官能メチレンマロネートと多官能メチレンマロネートの合計に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下含むことが好ましく、0.001質量%以上、0.1質量%以下含むことが好ましい。上記範囲に設定することにより、本開示の硬化性組成物の消泡性が向上する傾向にある。
本開示の硬化性組成物は、所望に応じて、酸安定剤、溶剤、分散剤、成膜助剤、湿潤剤、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ラジカル重合禁止剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、樹脂改質剤、界面活性剤、活性水素を有するポリマー以外の重合体、単官能又は多官能の単量体、接着促進剤、充填剤、チキソトロープ剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、乳白剤、重合開始剤などを含んでも良い。
酸安定剤としては、有機スルホン酸が好ましく、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(トシル酸)等の芳香族スルホン酸等が挙げられる。
その他の酸安定剤としては、硫酸、亜硫酸、リン酸、リン酸エステル、トルフルオロ酢酸等の水中での酸解離定数(pKa)が3以下である酸、好ましくは2.5以下である酸が例示される。
上記酸安定剤は、限定されないが、本開示の硬化性組成物の製造時、保管時、輸送時などにおける、意図しないアニオン重合を抑制する目的で配合することが好ましい。
本開示の硬化組成物は、酸安定剤を多官能メチレンマロネートと単官能メチレンマロネートの合計100質量%に対して、0.0001質量部以上含むことが好ましく、0.001質量部以上含むことがより好ましく、0.003質量部以上含むことがさらに好ましく、0.1質量部以下含むことが好ましく、0.05質量部以下含むことがより好ましく、0.03質量部以下含むことがさらに好ましい。
上記樹脂改質剤は、限定されないが、数平均分子量が150~10000の炭化水素系化合物等が例示される。炭化水素系化合物としては、ポリブタジエン、水素化ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン等が例示される。上記樹脂改質剤は、任意であり、添加しなくても良いが、多官能メチレンマロネートと単官能メチレンマロネートの合計100質量%に対して、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。
上記チキソトロープ剤は、限定されないが、脂肪酸アマイドワックス等の分子構造中にアミド結合を有する化合物、疎水性フュームドシリカ等が例示される。上記チキソトロープ剤は、任意であり、添加しなくても良いが、多官能メチレンマロネートと単官能メチレンマロネートの合計100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
[本開示の硬化性組成物の用途]
本開示の樹脂組成物は、接着剤、粘着剤、インク、プライマー、保護コーティング剤、シーリング剤、建築塗料、自動車塗料など、種々の用途・分野において幅広く使用できる。また、各種表面に対する塗料組成物、接着・粘着剤組成物、例えば、コンクリートやモルタル基材の養生被膜剤、表面保護剤、塗膜防水材、フロアコート剤、ガラスや樹脂のハードコート剤などに好適に使用することができる。さらに、例えば電子部品の接着剤や封止剤、フィルム、プルプレグ用の硬化性組成物として好適に使用することができる。
[本開示の表面保護剤]
本開示の表面保護剤の形態、および好ましい形態は、特に言及する場合を除き、本開示の樹脂組成物の形態、および好ましい形態と同様である。
[本開示の表面保護方法]
<被覆工程>
本開示の表面保護方法は、セメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面の少なくとも一部を、本開示の表面保護剤で被覆する工程(以下、「被覆工程」とも言う)を備える。
セメント系成形体の表面の少なくとも一部を、本開示の表面保護剤で被覆することにより、セメント系成形体の表面からの水分の散逸を効果的に抑止することが可能となるため、ひび割れ等の欠陥の少ない被膜付きセメント系構造体を得やすい。
また、セメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面の少なくとも一部を、本開示の表面保護剤で被覆することにより、セメント系成形体又はセメント系構造体への劣化因子の侵入を抑制することが可能となる。なお、劣化因子とは、例えば、セメント系成形体又はセメント系構造体の中性化、塩害、凍害、化学的浸食、アルカリ骨材反応の原因となる物質であり、具体的には、二酸化炭素、塩化物イオン、酸、アルカリ、硫酸塩、水等が挙げられる。
上記被覆工程は、特に限定されないが、セメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面に、本開示の表面保護剤を塗布、吹付け、もしくは印刷等したり、本開示の表面保護剤にセメント系成形体もしくはセメント系構造体を含侵したりすることにより実施してもよい。好ましくは、セメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面に、本開示の表面保護剤を塗布することが好ましい。被覆工程は、1回だけ実施しても良く、2回以上実施しても良い。
表面保護剤の使用量は、特に制限はないが、セメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面に対し、50~500g/mであると好ましく、50~300g/m2であるとより好ましく、50~200g/mであると更に好ましい。
<硬化工程>
単官能メチレンマロネートおよび多官能メチレンマロネートは、セメント系成形体表面のSi-O-基や、水酸化カルシウム等の作用により、被覆後、自発的に重合反応を開始する傾向にある(以下、「硬化工程」ともいう)。Si-O-基の作用により、アニオン重合反応が起こった場合は、単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートに由来する構造単位を含む重合体は、セメント系成形体の表面のSi-O-基と共有結合した構造となる。言い換えれば、被膜とセメント系成形体との間に共有結合が形成されるため、より密着性及び耐久性の高い被膜が得られる傾向にある。
<乾燥工程>
本開示の表面保護剤をセメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面に塗工などして被覆した後、被膜(塗膜)の硬化を促進するために加熱を行ってもよい。加熱温度は、100℃以下であることが好ましく、室温(25℃)より大きいことが好ましい。加熱温度が100℃以下であると、副反応等を抑制しながら、硬化時間を短縮できる傾向にある。
<養生工程>
セメント系成形体の表面の少なくとも一部を、本開示の表面保護剤で被覆した場合、すなわち本開示の表面保護剤を養生剤として使用する場合(「本開示の養生剤」とも言う)、セメント系成形体を得る方法としては、特に制限されず、公知の方法により打設を行うことにより得ることができる。例えば、コンクリート打設用の型枠にセメント組成物を流し込み、セメント系組成物を硬化させる方法が挙げられる。鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリート等を得る場合には、型枠内の所定の位置に鉄筋等の芯材を配置してから打設を行ってよい。
脱型後、得られたセメント系成形体に養生を行う。セメント系成形体には、養生前に水中養生等の初期養生を行ってもよい。本開示の養生剤は、セメント系成形体の全面に塗布することが好ましいが、少なくとも一部の面のみに塗布し、塗布しなかった面を養生シート等で覆うことにより水分の散逸を防いでもよい。なお、養生前にセメント系成形体の表面に荒均し締固め、定規ずり等を行って表面を均してもよい。また、養生は、セメント系成形体を脱型せずに行ってもよい。
本開示の養生剤の塗布量としては、上記のとおり特に制限はないが、セメント系成形体もしくはセメント系構造体の表面に対し、50~500g/mであると好ましく、50~300g/m2であるとより好ましく、50~200g/mであると更に好ましい。
セメント系成形体の表面の少なくとも一部を、本開示の養生剤で被覆して、養生時のセメント系成形体の収縮を低減することができる。セメント系成形体の収縮低減率は、材齢6週間(42日経過)時点で23%以上であると好ましく、25%以上であると好ましい。また、セメント系成形体の表面の少なくとも一部を、本開示の養生剤で被覆して、養生時のセメント系成形体の乾燥を抑制することができる。乾燥の抑制は、養生時のセメント系成形体の質量の継時変化(質量変化率)により評価することができる。質量変化率は、材齢6週間(42日経過)時点で2.0%以下であると好ましい。なお、収縮低減率及び質量変化率は、実施例に記載した方法により測定する。
<被膜付きセメント系構造体>
本開示の養生剤でセメント系成形体の表面を被覆した後に、セメント系成形体を養生することにより、または、本開示の表面保護剤でセメント系構造体を被覆することにより、被膜付きセメント系構造体が得られる。本開示の被膜付きセメント系構造体は、セメント系構造体と、当該セメント系構造体の表面の少なくとも一部を被覆する被膜を備える。被膜は、上記養生剤の硬化物を含む。なお、セメント系構造体は、養生後のセメント系成形体である。本開示の被膜付きセメント系構造体は、建築構造物等の建築材料等に使用することができる。
また、本開示の養生剤でセメント系成形体の表面を被覆した後に、または、本開示の表面保護剤でセメント系構造体を被覆した後に、当該被膜が硬化した被膜が形成される。当該硬化した被膜は、単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートが重合した重合体(つまり、単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートに由来する構造単位を含む重合体)を含むため、被膜の強度及び耐久性が高くなる傾向がある。また、本開示の養生剤、および本開示の表面保護剤は消泡性に優れるため、基材がひび割れなどした際においても追従性を有し、外観にも優れた塗膜を形成することが可能となる
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)>
テトラヒドロフランで溶解・希釈し、孔径0.45μmのフィルターで濾過したものを、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置、及び条件で測定した。
装置:HLC-8020GPC(東ソー株式会社製)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
分離カラム:TSKgel SuperHM-M、TSKgel Supe
rH-RC(東ソー株式会社製)もしくはTSKgel SuperHZM-M、TSKgel SuperH-RC(東ソー株式会社製)
<消泡性試験(A)>
内容物が視認可能なスクリューバイアル(容量20ml)に評価用組成物を5g入れ、遠心分離機で脱泡を行った後、ホモジナイザーを用いて以下の条件で高速攪拌し強制的に泡立ちを発生させた。その後、回転を停止し発泡した組成物の停止直後及び30分後の泡立ちを目視で確認した。
(条件)
ホモジナイザー:HG-200(Hsiang Tai社製)
シャフトジェネレーター型式:K-12S
回転数:8000rpm
攪拌時間:5min
温度:20℃.
<消泡性評価方法(B)>
内容物が視認可能なスクリューバイアル(容量20ml)に評価用組成物を5g入れ、遠心分離機で脱泡を行った後、振盪機を用いて強制的に泡立ちを発生させた。その後、攪拌を停止し発泡した組成物の停止直後及び30分後の泡立ちを目視で確認した。
(条件)
振盪機:Vortexer(Heathrow Scientific社製)
回転数:3000rpm
攪拌時間:5min
温度:20℃.
<消泡性の評価基準>
〇:気液界面及び液中に泡がほとんど確認されない。
△:気液界面には泡がほとんど確認されないが液中には気泡が確認できる。
×:気液界面及び液中に無数の泡が視認できる。
<モルタル試験板の作製>
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)450g、水225g、及びセメント強さ試験用標準砂(JIS R5201-1997附属書2の5.1.3に規定:セメント協会)1350gを、ホバート型モルタルミキサー(ホバート社製、型番:N-50)を用い、JIS R5201-1997の方法に従い、モルタルの混練を行った。
混練して得られたモルタルをポリスチレン製ケース(アズワン社製、スチロール角型ケース18cm×9cm×4.5cm 9型)に200g流し込み、密閉し、20℃で7日間養生した。養生後、型枠から脱型し、モルタル試験板が得られた。
<ローラー塗装における仕上り外観>
モルタル試験板に、ローラー(トラスコ中山社製、材質:ポリエステルマイクロファイバー、サイズ:1インチ)およびローラーハンドル(トラスコ中山社製、サイズ:1インチ)を用いて、評価用組成物を、塗布量100g/mで塗装した。組成物が硬化した後、塗装面の外観について目視で観察を行い、下記の基準に従って評価した。
<塗装面の外観の評価基準>
○:塗装面に凹凸が無く、均一な塗膜を形成
×:塗装時に巻き込んだ気泡により、塗装面に多数の凹凸が存在
<製造例1>
1,4-ブタンジオールとメチレンマロン酸ジエチルを用いて、リン酸エステル300ppmの存在下でエステル交換反応を行い、リン酸エステル130ppm存在下で精製を行って、ポリエステル型の多官能メチレンマロネート(以下、BD-PESという)を製造した。ポリエステル型多官能メチレンマロネート(1)は、酸安定剤としてメタンスルホン酸を10ppm、リン酸エステルを100ppm、二官能の多官能マロネートを20質量%、単官能のメチレンマロネートとしてメチレンマロン酸ジエチルを0.07質量%含んでいた。
<実施例1>
ジヘキシルメチレンマロネート(DHMM)45質量部、ジシクロヘキシルメチレンマロネート(DCHMM)45質量部に対して、水素化ポリブタジエンであるGI-1000(日本曹達社製)を10質量部配合した後、その混合物の質量に対してチクソトロピック剤としてディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)を0.5質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(1)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、本開示の硬化性組成物(1)の消泡性を評価した。評価結果を表1および表2に示した。
<実施例2>
DHMM45質量部、DCHMM45質量部に対して、GI-1000(日本曹達社製)を10質量部配合した後、その混合物の質量に対してディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンを含む組成物であるフローレンAO-98(共栄社化学社製)を0.5質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(2)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、本開示の硬化性組成物(2)の消泡性を評価した。評価結果を表1に示した。
<実施例3>
DHMM45質量部、DCHMM45質量部に対して、GI-1000(日本曹達社製)を10質量部配合した後、その混合物の質量に対してディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンを含む組成物であるフローレンAO-108(共栄社化学社製)を0.5質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(3)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、本開示の硬化性組成物(3)の消泡性を評価した。評価結果を表1に示した。
<比較例1>
DHMM45質量部、DCHMM45質量部に対して、GI-1000(日本曹達社製)を10質量部配合した後、その混合物の質量に対してディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、添加し攪拌混合することで比較硬化性組成物(1)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、比較硬化性組成物(1)の消泡性を評価した。評価結果を表1および表2に示した。
<比較例2~13>
上記実施例1において、フッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)の代わりに表1に記載の消泡剤を使用する他は実施例1と同様にして、比較硬化性組成物(2)~(14)を作成し、消泡性を評価した。
<実施例4>
DHMM100質量部に対してディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)を0.5質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(4)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、本開示の硬化性組成物(4)の消泡性を評価した。評価結果を表2に示した。
<実施例5>
DCHMM100質量部に対してディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)を0.5質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(5)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、本開示の硬化性組成物(5)の消泡性を評価した。評価結果を表2に示した。
<実施例6>
BD-PES100質量部に対してディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)を0.5質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(6)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、本開示の硬化性組成物(6)の消泡性を評価した。評価結果を表2に示した。
<比較例14~16>
フッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)を添加しない以外はそれぞれ実施例4~6と同様にして、比較硬化性組成物(14)~(16)を作成した。
上記消泡性試験(A)および消泡性試験(B)に基づき、比較硬化性組成物(14)~(16)の消泡性を評価した。評価結果を表2に示した。
<実施例7>
ジヘキシルメチレンマロネート(DHMM)45質量部、ジシクロヘキシルメチレンマロネート(DCHMM)45質量部に対して、水素化ポリブタジエンであるGI-1000(日本曹達社製)を10質量部配合した後、その混合物の質量に対してチクソトロピック剤としてディスパロンBB102(楠本化成社製)を5質量部、およびフッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)を0.05質量部添加し、攪拌混合することで本開示の硬化性組成物(7)を作成した。
<実施例8および比較例16~17>
上記実施例7において、フッ素変性シリコーンとしてのダッポーSN-374(サンノプコ社製)の代わりに表3に記載の消泡剤を使用する他は実施例7と同様にして、本開示の硬化性組成物(8)および比較硬化性組成物(16)~(17)を作成した。
Figure 2022163966000006
Figure 2022163966000007
Figure 2022163966000008

以上より、本開示の硬化組成物は、良好な消泡性を有し、均一な塗装面を形成することが明らかになった。

Claims (2)

  1. 単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートと、フッ素変性シリコーンとを含む、硬化性組成物。
  2. 単官能メチレンマロネートおよび/または多官能メチレンマロネートと、フッ素変性シリコーンとを含む、表面保護剤。
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