JP2022163638A - 透湿性等を有した合成皮革、その合成皮革の製造方法、及び、製造装置 - Google Patents

透湿性等を有した合成皮革、その合成皮革の製造方法、及び、製造装置 Download PDF

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Kazuhiro Fujita
一宏 本間
Kazuhiro Homma
秀彦 原田
Hidehiko Harada
樹邦 榎崎
Tatsukuni Enosaki
知宏 長尾
Tomohiro Nagao
有喜彦 白畑
Yukihiko Shirahata
貴之 大石
Takayuki Oishi
竜也 福井
Tatsuya Fukui
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Abstract

【課題】基材繊維層に基材連通孔を備える等して「透湿性の向上」などを実現する。【解決手段】合成皮革1は、有毛布帛2の毛羽繊維2Bに基材樹脂3を塗布した基材繊維層3’が形成され、基材繊維層3’の表裏を連通した基材連通孔3Aを備えたり、所定の透湿率測定試験で求めた透湿率が0.10%以上であったり、JIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じる透湿度が100g/m2以上である。基材繊維層3’の表面3a’側は略平坦であったり、基材繊維層3’の表面3a’側を表面樹脂4で覆って形成された表面コート層4’の表裏を連通した表面連通孔4Aを備えたり、JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じる摩耗強さが0.1g以下であったり、基材繊維層3’等に凹部5が形成されていても良い。合成皮革1の製造方法は基材塗布工程S1を有し、溶剤を使用せず、合成皮革1の製造装置は防爆設備を有さない。【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも1つの層が形成された合成皮革、その合成皮革の製造方法、及び、製造装置に関する。
従来、ポリウレタン合成皮革の製造方法が知られている(特許文献1)。
この製造方法は、(a)顆粒状熱溶融型ポリウレタン、紫外線硬化性ポリウレタン、多溶剤型ポリウレタン、単一溶剤型ポリウレタン、水性ポリウレタン、および湿分硬化ポリウレタンよりなる群から選択されるポリウレタンで皮膜層を形成する工程、(b)湿分硬化ポリウレタンを、前記皮膜層または基材層上に接着層として塗布する工程、および(c)基材層または皮膜層を前記接着層上に付着させる工程からなる。
特開2000-54272号公報
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法による合成皮革は、その請求項2等に開示されたように、上述した工程(a)において、ポリウレタンをロール塗布等の方式により、剥離紙や剥離膜の上に塗布するため、当該剥離紙等に対してポリウレタンが密閉状に塗布されるため、特許文献1の製造方法によって製造された合成皮革は、透湿性に乏しい問題がある。
更に、特許文献1の製造方法では、その請求項4等に開示されたように、上述した工程(a)において、単一溶剤型等のポリウレタンを、溶剤を使用して希釈し、それを剥離紙等の上に塗布するため、当該製造方法において、防爆設備が必須となる。
本発明は、このような点に鑑み、基材繊維層に基材連通孔を備える等によって、「透湿性の向上」などを実現する合成皮革、合成皮革の製造方法、及び、製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係る合成皮革1は、少なくとも1つの層が形成された合成皮革であって、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備え、前記有毛布帛の毛羽繊維と、その毛羽繊維に塗布された基材樹脂で、基材繊維層が形成され、前記基材繊維層は、その表裏を連通した基材連通孔を備えていることを第1の特徴とする。
本発明に係る合成皮革1の第2の特徴は、少なくとも1つの層が形成された合成皮革であって、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備え、前記有毛布帛の毛羽繊維と、その毛羽繊維に塗布された基材樹脂で、基材繊維層が形成され、当該合成皮革は、下記透湿率測定試験にて求めた透湿率が0.10%以上である点にある。
<透湿率測定試験>
(1)重量(TR)の水を入れた直径10cmのガラス製容器の開口部を、当該合成皮革で密閉する。この密閉では、当該合成皮革における前記基材繊維層が形成された側が前記ガラス製容器側に向き、接着剤及び結束バンドを使用する。
(2)当該合成皮革で密閉した前記ガラス製容器を、200℃まで加熱する。
(3)加熱を開始してから45分後に、当該合成皮革の上に、直径10cmのシャーレを載置する。この載置では、当該合成皮革における前記基材繊維層が形成された側とは反対の側が前記シャーレの開口部に接し、前記シャーレの内部に水を付着させる。
(4)前記シャーレを載置してから1分後に、前記シャーレの内部に付着した水の重量(TR)を測定する。
(5)測定した前記シャーレの内部に付着した水の重量(TR)を、加熱前に前記ガラス製容器に入れた水の重量(TR)で割って100をかけた値を、透湿率とする。尚、透湿率を丸める場合の値の丸め方は、小数第3位を四捨五入して小数点以下2桁に丸める。
本発明に係る合成皮革1の第3の特徴は、少なくとも1つの層が形成された合成皮革であって、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備え、前記有毛布帛の毛羽繊維と、その毛羽繊維に塗布された基材樹脂で、基材繊維層が形成され、当該合成皮革は、JIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じる透湿度が100g/m以上である点にある。
本発明に係る合成皮革1の第4の特徴は、上記第1~3の特徴に加えて、前記基材繊維層の表面側は、その少なくとも一部が略平坦である点にある。
本発明に係る合成皮革1の第5の特徴は、上記第1~4の特徴に加えて、前記基材繊維層の表面側を覆う表面樹脂で、表面コート層が形成され、前記表面コート層は、その表裏を連通した表面連通孔を備えている点にある。
本発明に係る合成皮革1の第6の特徴は、上記第1~5の特徴に加えて、当該合成皮革は、JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じる摩耗強さにおける質量の減量が0.1g以下である点にある。
本発明に係る合成皮革1の第7の特徴は、上記第1~6の特徴に加えて、少なくとも前記基材繊維層には、凹部が形成されている点にある。
これらの特徴により、有毛布帛2の少なくとも毛羽繊維に基材樹脂3を塗布して形成された基材繊維層3’に、その表裏を連通した基材連通孔3Aを設けることによって、特許文献1とは異なり、合成皮革における透湿性を向上させることが出来る(「透湿性の向上」)。
これは、特許文献1とは異なり、当該合成皮革1を製造する際、剥離紙等を使用せずとも良くなる(基材繊維層3’等で合成皮革1の表面(露出面)側を密閉することはなくなる)ため、基材繊維層3’等に基材連通孔3Aなどを形成できるとも言え、更に、当該合成皮革1を製造する際、溶剤も使用せずとも良くなるため、当該合成皮革1を製造する装置においても、防爆設備が不要となるとも言える。
その他、合成皮革1を、所定の透湿率測定試験にて求めた透湿率を0.10%以上としたり、JIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じる透湿度(謂わば、JIS透湿度)を100g/m以上としても良い。
尚、合成皮革1は、「透湿性等を有した合成皮革」であるとも言える。
又、基材繊維層3’の表面3a’側を略平坦としたり、基材繊維層3’等に凹部5を形成することによって、合成皮革1における意匠性も向上できる(「意匠性の向上」)。
更に、基材繊維層3’の表面3a’側を表面樹脂4で覆って形成した表面コート層4’に、その表裏を連通した表面連通孔4Aを設けたり、合成皮革1を、JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じる摩耗強さにおける質量の減量を0.1g以下とすることによって、耐摩耗性も向上できる(「耐摩耗性の向上」)。
本発明に係る合成皮革1の製造方法は、少なくとも1つの層が形成された合成皮革の製造方法であって、前記合成皮革は、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備えていて、前記有毛布帛の少なくとも毛羽繊維に基材樹脂を塗布する基材塗布工程を、少なくとも有し、当該製造方法の何れの工程においても、溶剤を使用しないことを第1の特徴とする。
本発明に係る合成皮革1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記基材塗布工程の後に、少なくとも前記基材繊維層を、その表面側から型材で押圧するエンボス工程を有している点にある。
本発明に係る合成皮革1の第3の特徴は、上記第2の特徴に加えて、前記エンボス工程の後に、前記基材繊維層の表面側を表面樹脂で覆う表面コート工程を有している点にある。
本発明に係る合成皮革1の第4の特徴は、上記第1~3の特徴に加えて、当該製造方法の何れの工程においても、離型シートを使用しない点にある。
本発明に係る合成皮革1の第5の特徴は、上記第2又は3の特徴に加えて、前記エンボス工程のみで、離型シートを使用する点にある。
これらの特徴により、有毛布帛2の毛羽繊維に基材樹脂3を塗布する基材塗布工程S1を少なくとも有し、当該製造方法の何れの工程においても、溶剤を使用しないことによって、特許文献1とは異なり、防爆設備が不要となり、「製造方法の簡素化」等が図れる。
尚、合成皮革1の製造方法は、「透湿性等を有した合成皮革の製造方法」であるとも言える。
又、基材塗布工程S1の後に、基材繊維層3’の表面3a’側から型材で押圧するエンボス工程S2を有することによって、当該エンボス工程S2において、基材樹脂3が再溶解する等のため、有毛布帛2における毛羽繊維等の繊維と基材樹脂3を互いにより強固に絡み合わせることが可能となり、合成皮革1の耐摩耗性を向上させることが出来る(「耐摩耗性の向上」)と共に、型材に応じた凹部5を、合成皮革1の表面(露出面)側に形成でき、意匠性も向上させることが出来る(「意匠性の向上」)。
更に、エンボス工程S2の後に、基材繊維層3’の表面3a’側を表面樹脂4で覆う表面コート工程S3を有することによって、合成皮革1の耐摩耗性も向上できる(「耐摩耗性の向上」)。
そして、当該製造方法の何れの工程においても離型シートを使用しない、又は、エンボス工程のみで離型シートを使用する(換言すれば、エンボス工程S2以外においては離型シートを使用しない)ことによって、特許文献1とは異なり、剥離紙等に対して表面樹脂4が密閉状に塗布されることが抑制され、製造する合成皮革1の透湿性を向上させることが出来る(「透湿性の向上」)。
ここで、本発明における「離型シート」とは、離型するシート状物を意味し、離型紙や、剥離紙、剥離膜等を含む。
本発明に係る合成皮革1の製造装置は、少なくとも1つの層が形成された合成皮革の製造装置であって、前記合成皮革は、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備えていて、前記有毛布帛の少なくとも毛羽繊維に基材樹脂を塗布する基材塗布部を、少なくとも有し、当該製造装置は、防爆設備を有していないことを第1の特徴とする。
この特徴により、少なくとも基材塗布部を有した製造装置に、防爆設備を設けないことによって、特許文献1とは異なり、「製造装置の小型化」等が図れる。
これは、特許文献1とは異なり、合成皮革1の製造装置において、剥離紙等や溶剤を使用しなくなる(基材繊維層3’で合成皮革1の表面(露出面)側を密閉することはなくなる)ため、基材繊維層3’等に基材連通孔3Aなどを形成して、製造する合成皮革1の「透湿性の向上」を図れるとも言える。
尚、合成皮革1の製造装置は、「透湿性等を有した合成皮革の製造装置」であるとも言える。
ここで、本発明における「防爆設備」とは、溶剤や塗料等から生じた可燃性のガスと酸素(空気)が混ざり、爆発性雰囲気となる可能性のある個所にて、爆発を防ぐための設備であって、帯電や静電気火花の発生を抑制する設備(例えば、アースや除電ブラシをはじめ、帯電抑制等を施した機器)であったり、表面が高温になり難い(高温表面熱を抑制する)設備などを含む。
本発明に係る合成皮革によると、基材繊維層に基材連通孔を備える等によって、「透湿性の向上」などを実現できる。
本発明に係る合成皮革の具体例1における断面視を示す図面代用写真である。 具体例1における基材繊維層等の断面視を示す拡大図面代用写真である。 具体例1の外観斜視を示す図面代用写真であって、(a)は有毛布帛の表面(毛羽繊維)側を示し、(b)は毛羽繊維等に塗布された基材樹脂を示し、(c)はエンボス工程直後の基材繊維層の表面側を示し、(d)は表面コート層の表面側を示す。尚、(a)と(b)は、同じ照明等の条件下において撮像した1つの図面代用写真で示され、(c)と(d)も同様である。 具体例1の平面視を示す拡大図面代用写真である。 本発明に係る合成皮革を示す断面概要図であって、(a)は表面コート層が形成されていない場合を示し、(b)は表面コート層が形成された場合を示す。 本発明に係る合成皮革の具体例2における断面視を示す図面代用写真である。 具体例2における基材繊維層等の断面視を示す拡大図面代用写真である。 具体例2の外観斜視を示す図面代用写真であって、(a)は有毛布帛の表面(毛羽繊維)側を示し、(b)は毛羽繊維等に塗布された基材樹脂を示し、(c)はエンボス工程直後の基材繊維層の表面側を示し、(d)は表面コート層の表面側を示す。尚、(a)と(b)は、同じ照明等の条件下において撮像した1つの図面代用写真で示され、(c)と(d)も同様である。 本発明に係る合成皮革の具体例3における断面視を示す図面代用写真である。 具体例3の外観斜視を示す図面代用写真であって、(a)は有毛布帛の表面(毛羽繊維)側を示し、(b)は毛羽繊維等に塗布された基材樹脂を示し、(c)はエンボス工程直後の基材繊維層の表面側を示し、(d)は表面コート層の表面側を示す。尚、(a)と(b)は、同じ照明等の条件下において撮像した1つの図面代用写真で示され、(c)と(d)も同様である。 具体例3の平面視を示す拡大図面代用写真である。 本発明に係る合成皮革の製造方法を示すフローチャートであって、(a)は第1実施形態を示し、(b)は第2実施形態を示し、(c)は第3実施形態を示し、(d)は第4実施形態を示し、(e)は第5実施形態を示す。 上述した具体例1の各工程前後における断面視を示す図面代用写真であって、(a)は基材塗布工程前を示し、(b)は基材塗布工程後でエンボス工程前を示し、(c)はエンボス工程後を示す。尚、図13(c)は図1と同じ図面代用写真を用いている。 上述した具体例2の各工程前後における断面視を示す図面代用写真であって、(a)は基材塗布工程前を示し、(b)は基材塗布工程後でエンボス工程前を示し、(c)はエンボス工程後を示す。尚、図14(c)は図6と同じ図面代用写真を用いている。 上述した具体例3の各工程前後における断面視を示す図面代用写真であって、(a)は基材塗布工程前を示し、(b)は基材塗布工程後でエンボス工程前を示し、(c)はエンボス工程後を示す。尚、図15(c)は図9と同じ図面代用写真を用いている。
<合成皮革1の全体構成>
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1~11、13~15には、本発明に係る合成皮革1が示されており、この合成皮革1は、少なくとも1つの層が形成されたシート状物である。
合成皮革1は、後述する有毛布帛2と、後述する基材繊維層3’を有している。
合成皮革1は、後述する表面コート層4’や、後述する凹部5を有していても良く、その他、合成皮革1の裏面1b側にバッキング樹脂を塗布して、バッキング層が形成されていても構わない。
ここで、合成皮革1の「表面1a」とは、自動車等のシート(椅子)を覆うシートカバーや、靴などの繊維製品に使用する時に露出する側の面であるとも言える。
逆に、合成皮革1の「裏面1b」とは、シートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出しない側の面であるとも言える。
合成皮革1の厚さは、何れの値でも良いが、例えば、50μm以上10000μm以下(0.05mm以上10.00mm以下)、好ましくは100μm以上5000μm以下(0.10mm以上5.00mm以下)、更に好ましくは300μm以上2000μm以下(0.30mm以上2.00mm以下)であっても良く、482μmや、815μm、882μm、943μm、1250μm等であっても構わない。尚、本発明における合成皮革1の厚さや、後述する各層3’、4’等の厚さの測定には、電子顕微鏡における所定倍率での目視判定によっても良い。
合成皮革1の目付も、特に限定はないが、例えば、200g/m以上900g/m以下、好ましくは300g/m以上800g/m以下、更に好ましくは400g/m以上700g/m以下であっても良い。
合成皮革1は、所望により、酸化チタン、炭酸カルシウム等の体質顔料やフィラー(充填材)を任意に添加したり、消臭剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、撥水剤、防汚剤、着色剤、香料、発泡剤等を添加した素材を用いても良い。
合成皮革1は、その色彩についても、黒色系、茶色系、青色系、白色系、赤色系、橙色系、黄色系、緑色系、紫色系など何れの色調でも良く、彩度や明度についても何れの値でも構わない。合成皮革1の模様についても、無地や、花や草木などの植物の柄、動物の柄、幾何学模様、表面凹凸等による模様など何れでも良い。
<有毛布帛2>
図1~11、13~15に示したように、有毛布帛2は、後述する基布2Aと、後述す毛羽繊維2Bを備えている。
ここで、有毛布帛2における「毛羽繊維2Bが設けられた側(謂わば、毛羽繊維側)」は、合成皮革1を自動車等のシート(椅子)を覆うシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出する表面1aに近い側であるとも言える。
逆に、有毛布帛2の「裏面2b(謂わば、裏面2b側)」は、合成皮革1をシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出しない裏面1bに近い面であるとも言え、後述する有毛布帛2における基布2Aの裏面2Abであるとも言える。
有毛布帛2の厚さ(基布2Aの厚さと、毛羽繊維2Bの高さ(毛羽繊維2Bの先端から基布2Aの表面2Aaまで下した垂線の長さ)を足した値とも言える)は、何れの値でも良いが、例えば、40μm以上9000μm以下(0.04mm以上9.00mm以下)、好ましくは80μm以上4500μm以下(0.08mm以上4.50mm以下)、更に好ましくは250μm以上1800μm以下(0.25mm以上1.80mm以下)であっても良い。
有毛布帛2(後述の基布2Aや毛羽繊維2B)を構成する繊維は、何れの素材・構成・繊度等でも良いが、まず素材について、例えば、熱可塑性の素材であるポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル繊維、ナイロン(ポリアミド)繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)を主成分とするアクリル繊維、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ポリウレタン(PU)繊維、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(ビニロン繊維)などの合成繊維でも良く、その他、ガラス繊維、羊毛、絹などであり、これらを単独又は組み合わせて用いられても良いが、有毛布帛2を構成する繊維は、ポリエステル繊維が好ましいと言える。
有毛布帛2における繊維の構成としては、マルチフィラメントやモノフィラメント、スパン(紡績糸)など何れであっても良く、又、断面視で溶解除去し得る成分と溶解除去し得ない成分が混在する複合繊維であっても構わない。
有毛布帛2を構成する繊維には、熱収縮繊維が用いられていても良く、その他、酸化チタン等の無機系添加剤を一定量含むセミダル糸であったり、好ましくは酸化チタン等をより多く含むダル糸であっても構わない。
有毛布帛2を構成する繊維の繊度についても、特に限定はないが、例えば、総繊度で、5dtex以上500dtex以下、好ましくは10dtex以上300dtex以下、更に好ましくは20dtex以上200dtex以下(33dtexや、55dtex、84dtex、167dtexなど)であっても良い。
又、有毛布帛2を構成する繊維がマルチフィラメントの場合、その各フィラメントの単繊維繊度も、特に限定はないが、例えば、0.1dtex以上50.0dtex以下、好ましくは0.5dtex以上30.0dtex以下、更に好ましくは1.0dtex以上20.0dtex以下(0.5dtexや、1.2dtex、2.3dtex、2.5dtex、2.8dtex、3.5dtexなど)であっても良い。
<基布2A>
図1~11、13~15に示したように、基布2Aは、上述した有毛布帛2において、繊維で構成されたもの(シート状物)である。
ここで、基布2Aの「表面2Aa」は、合成皮革1を自動車等のシート(椅子)を覆うシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出する表面1aに近い面であるとも言え、この表面2Aaに毛羽繊維2Bが設けられている。
逆に、基布2Aの「裏面2Ab」は、合成皮革1をシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出しない裏面1bに近い面(合成皮革1がバッキング層を有さなければ、謂わば、合成皮革1の裏面1bそのもの)であるとも言え、上述した有毛布帛2そのものの裏面2bであるとも言える。
基布2Aの厚さも、何れの値でも良いが、例えば、30μm以上8500μm以下(0.03mm以上8.50mm以下)、好ましくは60μm以上4100μm以下(0.06mm以上4.10mm以下)、更に好ましくは200μm以上1500μm以下(0.20mm以上1.50mm以下)であっても良い。
基布2Aを構成する繊維は、何れの素材・構成・繊度等は、上述した有毛布帛2の素材・構成・繊度等と同じであると言えるが、後述する毛羽繊維2Bの素材・構成・繊度等と、同じであっても良いし、異なっていても良い。
基布2Aは、編物や織物などや、それらを組み合わせたものであっても良い。
基布2Aが編物の場合、例えば、トリコット編などの経編や、丸編などの緯編など、それぞれ何れの組織であっても構わない。
又、基布2Aが織物の場合、例えば、何れの織組織でも構わないが、例えば、平織や綾織、朱子織(5枚朱子織や、経出し変化朱子織など)、二重織、二重織以上の多重織などであっても良い。
尚、基布2Aは、後述するモケット織物(モケット織地)など、後述する起毛以外の手段で毛羽繊維2Bを備えた有毛布帛2における基布部分(設けられた毛羽繊維2Bの基端側を支える布帛部分)であったり、その他、スエード、ベロア、不織布などでも良い。
<毛羽繊維2B>
図1~11、13~15に示したように、毛羽繊維2Bは、上述した基布2Aに設けられた繊維である。
ここで、毛羽繊維2Bが「基布2Aに設けられる」とは、基布2Aの表面2Aaに、毛羽繊維2Bの基端が繋がっている(又は、固定されている)場合を含み、特に、基布2Aの表面2Aaと、毛羽繊維2Bの長さ方向との成す角αが略90°の場合(謂わば、当該角αは立設角αであるとも言える)だけでなく、基布2Aの表面2Aaに対して毛羽繊維2Bの長さ方向が斜めになっている等の場合も含み、その斜めになっている等の場合における立設角αは、例えば、45°以上90°以下、好ましくは60°以上90°以下、更に好ましくは80°以上90°以下であっても良い。
特に、立設角αが、例えば、45°以上である場合(謂わば、毛羽繊維2Bが基布2Aから立設している場合)、当該有毛布帛2は、立毛布帛であるとも言える。
その他、立設角αは、例えば、45°未満(つまり、0°以上45°未満)であっても良く、その他、0°以上30°以下や、0°以上20°以下、0°以上10°以下などであったり、略0°であっても(謂わば、毛羽繊維2Bが、基布2Aの表面2Aaに略沿っていても)構わない。
尚、後述する基材樹脂3を当該毛羽繊維2Bに塗布した後や、後述する凹部5が形成された後(換言すれば、後述するエンボス工程S2の後)において、立設角αは、例えば、45°未満(つまり、0°以上45°未満)であっても良く、その他、0°以上30°以下や、0°以上20°以下、0°以上10°以下などであったり、略0°であっても(謂わば、毛羽繊維2Bが、基布2Aの表面2Aaに略沿っていても)構わない。
毛羽繊維2Bの長さ(立設角αが略90°の場合は、毛羽繊維2Bの高さ(謂わば、立設高さ)と略同じとも言える。尚、立設角αが略90°でない場合には、上述したように、毛羽繊維2Bの先端から基布2Aの表面2Aaへ下した垂線の長さが毛羽繊維2Bの高さであるとも言える。)は、何れの値でも良いが、例えば、20μm以上5000μm以下(0.02mm以上5.00mm以下)、好ましくは15μm以上1000μm以下(0.015mm以上1.000mm以下)、更に好ましくは10μm以上500μm以下(0.01mm以上0.50mm以下)であっても良い。
毛羽繊維2Bを構成する繊維は、何れの素材・構成・繊度等は、上述した有毛布帛2の素材・構成・繊度等と同じであると言えるが、上述した基布2Aの素材・構成・繊度等と、同じであっても良いし、異なっていても(例えば、後述するダブルラッシェル編地やモケット織物において、表地や裏地と連結糸を、それぞれ別の素材の繊維を用いるなどであっても)良い。
毛羽繊維2Bは、上述した基布2Aに設けられていれば、何れの繊維でも良いが、例えば、上述した基布2Aにおける表面2Aaと裏面2Abの少なくとも一方(例えば、基布2Aがトリコット編地であれば、シンカーループ面とニードルループ面の少なくとも一方など)を起毛することで設けられた(立設した)起毛毛羽の繊維であっても構わない。
基布2Aに対する起毛は、例えば、起毛針を有した針布や、サンドペーパーなどのエメリー部材を用いて行われても良く、その他、ニードルパンチ針、ブラシ針等を用いて行われていても構わない。
その他、有毛布帛2は、上述した起毛の代わりに、基布2Aの表面2Aaに設けられた毛羽繊維2Bを備えた(つまり、起毛せずとも、元々毛羽繊維2Bを備えた)有毛布帛2としては、シンカーループ丸編地などのループを有した編地(編物)におけるループをカットしたものなどであっても良く、この場合、カットしたループが毛羽繊維2Bであり、カットしたループの基端側を支える布帛部分が基布2Aとなる。
又、有毛布帛2は、上述した起毛の代わりに、ダブルラッシェル編地における表地と裏地を連結する連結糸をカット(センターカット)したものであったり、表地と裏地を連結する連結糸をカットしたモケット織物などであっても良く、この場合、カットした連結糸が毛羽繊維2Bであり、カットした連結糸の基端側を支える表地や裏地が基布2Aとなる。
<基材樹脂3>
図1~11、13~15に示したように、基材樹脂3は、上述した有毛布帛2における少なくとも毛羽繊維2Bに塗布される(付着している)樹脂である。
つまり、基材樹脂3は、有毛布帛2における毛羽繊維2Bだけに塗布されていても良いし、又、有毛布帛2における毛羽繊維2Bだけでなく、基布2Aにも塗布されていても構わない。
基材樹脂3の素材も、特に限定はないが、例えば、ポリウレタン(PU)樹脂や、ポリアクリロニトリル(PAN)を主成分とするポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などであったり、その他、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン(ポリアミド)樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、アセテート樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂(ビニロン樹脂)などの合成樹脂でも良く、これらを単独又は組み合わせて用いられても良いが、基材樹脂3の素材は、ポリウレタン樹脂やポリアクリル樹脂、特に、ポリウレタン樹脂が好ましいと言える。
基材樹脂3の塗布量(付着量)も、何れの値でも良いが、例えば、乾燥重量で、30g/m以上180g/m以下、好ましくは40g/m以上170g/m以下、更に好ましくは50g/m以上160g/m以下であっても構わない。
尚、基材樹脂3は、上述した有毛布帛2における各毛羽繊維2Bの先端(上端)から基端(基布2A側)までの範囲に亘って付着している場合だけでなく、その先端から、長さ方向における中途部(毛羽繊維2Bの長さ方向における中間点より先端寄りの部分や、当該中間点近傍部分、当該中間点より基端寄り部分など)までの範囲に亘ってしか基材樹脂3が付着していない毛羽繊維2Bが存在しても(換言すれば、基材樹脂3を有毛布帛2の毛羽繊維2B側に塗布した後においても、その中途部から基端までの範囲は基材樹脂3が付着していない毛羽繊維2Bが存在しても)良い。
又、基材樹脂3は、有毛布帛2における各毛羽繊維2Bの何れの毛羽繊維2Bに対しても、略一様に付着していても良いが、その他、各毛羽繊維2Bごとに、付着した範囲が異なっていても構わない。
その他、基材樹脂3は、隣接する毛羽繊維2Bの少なくとも2本に亘って付着しているとも言える。
<基材繊維層3’>
図1~11、13~15に示したように、基材繊維層3’は、上述した有毛布帛2の毛羽繊維2Bと、その毛羽繊維2Bに塗布された(付着した)基材樹脂3で形成される層である。
基材繊維層3’は、毛羽繊維2Bと基材樹脂3が混在しており、隣接する各毛羽繊維2Bの間に、基材樹脂3が存在している(付着している)層であると言える。
このような基材繊維層3’を有した合成皮革1は、有毛布帛2への基材樹脂3の含浸部分が、少なくとも有って(有毛布帛2における毛羽繊維2Bの間に、基材樹脂3が含浸した部分が、少なくとも存在して)も良いとも言える。
ここで、基材繊維層3’の「表面3a’」は、合成皮革1を自動車等のシート(椅子)を覆うシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出する表面1aに近い面(合成皮革1が表面コート層4’を有さなければ、謂わば、合成皮革1の表面1aそのもの)であるとも言える。
逆に、基材繊維層3’の「裏面3b’」は、合成皮革1をシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出しない裏面1bに近い面であるとも言える。
基材繊維層3’の厚さも、何れの値でも良いが、例えば、20μm以上500μm以下(0.02mm以上0.50mm以下)、好ましくは15μm以上400μm以下(0.015mm以上0.400mm以下)、更に好ましくは10μm以上300μm以下(0.01mm以上0.30mm以下)であっても良い。
基材繊維層3’の表面3a’側は、その少なくとも一部(例えば、後述する凹部5以外の部分)が、略平坦であっても良い(図1、5、6、9等参照)。
尚、基材繊維層3’の厚さは、基材樹脂3が各毛羽繊維2Bの先端から基端までの範囲に亘って付着している場合において、基材樹脂3を塗布する前の毛羽繊維2Bの高さと略同じでも良いし、基材樹脂3を塗布する前の毛羽繊維2Bの高さより小さい値であっても(謂わば、基材樹脂3を塗布した後等において、当該基材樹脂3を塗布等された毛羽繊維2Bの立設角αが、基材樹脂3を塗布する前等より小さくなっても)構わない。
又、基材繊維層3’の厚さは、基材樹脂3が各毛羽繊維2Bの先端から基端までの範囲に亘って付着していない(換言すれば、その中途部から基端までの範囲は基材樹脂3が付着していない毛羽繊維2Bが存在する)場合においても、基材樹脂3を塗布する前の毛羽繊維2Bの高さより小さい値であっても良く、基材樹脂3を塗布する前の毛羽繊維2Bの高さと略同じとなることは少ないとも言える。
又、基材繊維層3’は、後述する基材連通孔3Aを備えていても良い(図1、4、5、11等参照)。
更に、基材繊維層3’は、その少なくとも一部に、凹部5が形成されていても良く(図1、3、5、6、8~10等参照)、合成皮革1が後述する表面コート層4’を有する場合には、基材繊維層3’が表面コート層4’と一緒に凹部5が形成される(換言すれば、基材繊維層3’に形成された凹部5と、表面コート層4’に形成された凹部5が、平面視において略同じ位置にある(重なる)こととなる。)
このような基材繊維層3’の断面視における毛羽繊維2Bと基材樹脂3の割合は、当該基材繊維層3’の厚さ方向(及び/又は、表面3a’や裏面3b’に略沿った方向)で、略一様であっても良いが、略一様でなくとも構わない。
毛羽繊維2Bと基材樹脂3の割合が略一様でない場合では、例えば、基材繊維層3’の厚さ方向における表面3a’寄りの部分(層)は、基材樹脂3の割合が高くても(又は、ほぼ基材樹脂3のみであっても)良い。
又、基材繊維層3’は、当該基材繊維層3’(例えば、基材樹脂3の割合が高い層など)内の少なくとも一部等に、気泡が(当該気泡の大きさは問わず)存在していても良く、この場合、基材繊維層3’の少なくとも一部が、発泡した層(発泡層)であるとも言え、基材繊維層3’全体が発泡層であったり、基材繊維層3’が発泡層と非発泡層で構成される等であっても構わない。
ここで、上述した基材樹脂3の割合が高い層内に気泡が存在している場合、当該基材樹脂3の割合が高い層全体に気泡が存在していれば、その全体が発泡層であるとも言えるが、例えば、当該基材樹脂3の割合が高い層における厚さ方向における表面3a’寄りの部分には気泡がほぼ存在しない等であれば(つまり、当該基材樹脂3の割合が高い層の一部だけに気泡が存在していれば)、その気泡がほぼ存在しない非発泡層は、表皮層であるとも言える。
尚、当該気泡は、基材樹脂3のみに囲まれていたり、基材樹脂3と毛羽繊維2Bに囲まれていても構わない。
その他、毛羽繊維2Bと基材樹脂3の割合が略一様でない場合において、例えば、基材繊維層3’の厚さ方向における表面3a’からより遠い(有毛布帛2寄りの)部分(層)は、基材樹脂3の割合が低くても良く、この部分によって、基材繊維層3’全体が有毛布帛2の毛羽繊維2Bに付着している(接着している)ことから、この部分は、付着部分(付着層、接着層)であるとも言える。
又、後述する表面樹脂4に覆われていない部分を有する合成皮革1における基材繊維層3’の表面3a’は、例えば、同じ照明等の条件下において、全体的等に、後述する表面コート層4’を有する合成皮革1における当該表面コート層4’の表面4a’より、光が反射する部分が広くても(又は、「てかり(光沢)」のある部分(てかって見える部分))が多くても)良い(図3、8、10参照)。
<基材連通孔3A>
図1~11、13~15(特に、図1、3、5等)に示したように、基材連通孔3Aは、上述した基材繊維層3’の表裏を連通した孔である。
ここで、基材連通孔3Aが「基材繊維層3’の表裏を連通する」とは、当該基材繊維層3’における表面3a’側と裏面3b’側(一方面側と他方面側とも言える)を連通させる(表面3a’側と裏面3b’側を連結して、液体や水蒸気、気体等を、当該基材連通孔3Aによって、基材繊維層3’の表面3a’側から裏面3b’側へ(又は、裏面3b’側から表面3a’側へ)通過させるものである。
基材連通孔3Aは、何れの平面視(断面視)形状や、平面視(断面視)の大きさ、単位面積当たりの個数などでも良いが、まず平面視形状について、例えば、表面3a’や裏面3b’にて露出している部分は、特に限定はなく、所定の形状(謂わば、基材繊維層3’において、隣接する所定の毛羽繊維2Bの間に、基材樹脂3が存在していない(付着していない)部分の形状や、基材樹脂3の量(付着量)が少なく、隣接する所定の毛羽繊維2Bの間に隙間が空いている部分の形状)であるとも言え、隣接する所定の毛羽繊維2Bの状況によっては、基材連通孔3Aの平面視形状は、略三角形状や、略四角形状(略平行四辺形状)、略直線状(長手方向を有した形状)、略円形、略楕円形などであっても良い。
基材連通孔3Aにおける平面視(断面視)の大きさは、例えば、表面3a’等にて露出している部分の面積は、1μm以上500μm以下であっても良く、露出している部分が略三角形状の場合における当該略三角形状の各辺の長さや、露出している部分が略直線状の場合における長手方向の長さが、0.1μm以上50μm以下であっても構わない。
基材連通孔3Aの単位面積当たりの個数は、例えば、1個/mm以上30個/mm以下であっても良い。
基材連通孔3Aの平面視形状や平面視の大きさは、基材繊維層3’の表面3a’や裏面3b’にて露出している部分の形状や大きさが、その連通方向の途中における基材連通孔3Aの平面視形状や平面視の大きさと異なっていても良い(つまり、基材連通孔3Aの平面視形状や平面視の大きさは、連通方向の途中で変化しても良い。)
基材連通孔3Aの連通方向は、基材繊維層3’の断面視(側断面視)において、略直線状であっても良く、その他、略曲線状であったり(カーブしていたり)、蛇行等していても構わない。
基材連通孔3Aの長さ(連通長さ)は、その連通方向が略直線状である場合には、上述した基材繊維層3’の厚さと略同じであると言え、その連通方向が略曲線状などである場合には、当該基材連通孔3Aの連通方向に略沿った長さ(そのカーブに略沿った長さ)等であると言える。
尚、基材連通孔3Aは、穿孔加工(パンチングロール、平板状パンチ型等にて基材繊維層3’に孔を穿孔する等の加工)によって形成されていなくとも良い。
<表面樹脂4>
図1~11、13~15(特に、図2、5、7等)に示したように、表面樹脂4は、上述した基材繊維層3’の表面3a’側を覆う樹脂であり、基材繊維層3’の表面をコート(coat)しているとも言える。
つまり、表面樹脂4は、基材繊維層3’の表面3a’に付着している。
表面樹脂4の素材も、特に限定はないが、例えば、ポリウレタン(PU)樹脂や、ポリアクリロニトリル(PAN)を主成分とするポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂などであったり、その他、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン(ポリアミド)樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、アセテート樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂(ビニロン樹脂)などの合成樹脂でも良く、これらを単独又は組み合わせて用いられても良い。
又、表面樹脂4には、リン酸エステル等のリン系難燃剤を配合したり、シリコーン樹脂などを配合しても良い。
表面樹脂4の塗布量(付着量、コーティング量)も、何れの値でも良いが、例えば、乾燥重量で、1g/m以上20g/m以下、好ましくは3g/m以上18g/m以下、更に好ましくは5g/m以上15g/m以下であっても構わない。
<表面コート層4’>
図1~11、13~15(特に、図2、5、7等)に示したように、表面コート層4’は、上述した基材繊維層3’の表面3a’側を覆う表面樹脂4で形成される層である。
ここで、表面コート層4’の「表面4a’」は、合成皮革1を自動車等のシート(椅子)を覆うシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出する表面1aに近い面(謂わば、合成皮革1の表面1aそのもの)であるとも言え、逆に、表面コート層4’の「裏面4b’」は、合成皮革1をシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出しない裏面1bに近い面であるとも言える。
表面コート層4’の厚さも、何れの値でも良いが、例えば、1μm以上100μm以下(0.001mm以上0.100mm以下)、好ましくは5μm以上50μm以下(0.005mm以上0.050mm以下)、更に好ましくは10μm以上30μm以下(0.010mm以上0.030mm以下)であっても良い。
表面コート層4’は、後述する表面連通孔4Aを備えていても良い。
又、表面コート層4’も、その少なくとも一部に、凹部5が形成されていても良く、上述したように、表面コート層4’が基材繊維層3’と一緒に凹部5が形成される(換言すれば、表面コート層4’に形成された凹部5と、基材繊維層3’に形成された凹部5が、平面視において略同じ位置にある(重なる)こととなる。)
更に、表面コート層4’の表面4a’側や裏面4b’側は、その少なくとも一部が、略平坦でなくとも(凹凸を有していても)良く、その逆に、略平坦であっても良い。
その他、ここまで述べた表面コート層4’を有する合成皮革1における当該表面コート層4’の表面4a’は、例えば、同じ照明等の条件下において、全体的等に、表面樹脂4に覆われていない部分を有する合成皮革1における上述した基材繊維層3’の表面3a’より、光が反射する部分が狭くても(又は、「てかり(光沢)」のある部分(てかって見える部分))が少なくても)良い(図3、8、10参照)。
<表面連通孔4A>
図1~11、13~15(特に、図5等)に示したように、表面連通孔4Aは、上述した表面コート層4’の表裏を連通した孔である。
ここで、表面連通孔4Aが「表面コート層4’の表裏を連通する」も、当該表面コート層4’における表面4a’側と裏面4b’側(一方面側と他方面側とも言える)を連通させる(表面4a’側と裏面4b’側を連結して、液体、水蒸気、気体等を、当該表面連通孔4Aによって、表面コート層4’の表面4a’側から裏面4b’側へ(又は、裏面4b’側から表面4a’側へ)通過させるものである。
表面連通孔4Aも、何れの平面視(断面視)形状や、平面視(断面視)の大きさ、単位面積当たりの個数などでも良いが、まず平面視形状について、例えば、表面4a’や裏面4b’にて露出している部分が、略円形や略楕円形、略三角形状、略四角形状(略平行四辺形状)、略直線状(長手方向を有した形状)など、表面コート層4’において、表面樹脂4が存在していない(塗布されていない)部分や、表面樹脂4の量(塗布量)が少なく、孔が空いている部分であるとも言える。
表面連通孔4Aにおける平面視(断面視)の大きさも、例えば、表面4a’等にて露出している部分の面積は、1μm以上500μm以下であっても良く、露出している部分が略三角形状の場合における当該略三角形状の各辺の長さや、露出している部分が略直線状の場合における長手方向の長さが、0.1μm以上50μm以下であっても構わない。
表面連通孔4Aの単位面積当たりの個数は、例えば、1個/mm以上30個/mm以下であっても良い。
表面連通孔4Aの平面視形状や平面視の大きさも、表面コート層4’の表面4a’や裏面4b’にて露出している部分の形状や大きさが、その連通方向の途中における表面連通孔4Aの平面視形状や平面視の大きさと異なっていても良い(つまり、表面連通孔4Aの平面視形状や平面視の大きさは、連通方向の途中で変化しても良い。)
表面連通孔4Aの連通方向も、表面コート層4’の断面視(側断面視)において、略直線状であっても良く、その他、略曲線状であったり(カーブしていたり)、蛇行等していても構わない。
表面連通孔4Aの長さ(連通長さ)も、その連通方向が略直線状である場合には、上述した表面コート層4’の厚さと略同じであると言え、その連通方向が略曲線状などである場合には、当該表面連通孔4Aの連通方向に略沿った長さ(そのカーブに略沿った長さ)等であると言える。
尚、表面連通孔4Aも、穿孔加工(パンチングロール、平板状パンチ型等にて表面コート層4’に孔を穿孔する等の加工)によって形成されていなくとも良い。
<凹部5>
図1~11、13~15(特に、図1、3、5、6、8~10、13~15等)に示したように、凹部5は、少なくとも上述した基材繊維層3’には形成されている凹んだ部分(凹み)である。
つまり、凹部5は、基材繊維層3’のみに形成されているだけでなく、合成皮革1が表面コート層4’を有している場合であれば、基材繊維層3’及び表面コート層4’に形成されていても良く、その他、表面コート層4’の有無を問わず、上述した有毛布帛2(の基布2A等)までも貫通して(にも亘って)凹部5が形成されていても良い。
凹部5は、1つの合成皮革1の基材繊維層3’等に対して、1つだけ形成されていたり、複数形成されていても良い。
凹部5の平面視形状は、特に限定はないが、例えば、天然皮革様の連続模様であったり、その他、略帯状や略筋状、略線状などであったり、ジグザグ状や、点線状、略X字状、略円形状、湾曲線状の他、略三角形状、略正五角形状、略正六角形状、略正方形状、略円形状(略真円形状)などであっても良い。
凹部5の深さは、合成皮革1の表面1a(基材繊維層3’の表面3a’等)から凹部5の底までの深さであったり、逆に、凹部5の底から合成皮革1の表面1aまでの高さであるとも言え、その値には特に限定はなく、例えば、0.1mm以上20mm以下、好ましくは0.3mm以上10mm以下、更に好ましくは0.5mm以上7mm以下であっても良い。
ここまで述べた合成皮革1は、上述したように、その裏面1b側にバッキング樹脂を塗布されていても良く、以下は、バッキング樹脂等について述べる。
<バッキング樹脂>
バッキング樹脂は、ここまで述べた合成皮革1の裏面1b(特に、有毛布帛2の裏面2b)側を覆う樹脂である。
つまり、バッキング樹脂は、有毛布帛2の裏面2bに付着している。
バッキング樹脂の素材も、特に限定はないが、例えば、ポリウレタン(PU)樹脂や、ポリアクリロニトリル(PAN)を主成分とするポリアクリル樹脂、シリコーン樹脂などであったり、その他、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ナイロン(ポリアミド)樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、アセテート樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂(ビニロン樹脂)などの合成樹脂でも良く、これらを単独又は組み合わせて用いられても良い。
バッキング樹脂の塗布量(付着量)も、何れの値でも良いが、例えば、乾燥重量で、30g/m以上180g/m以下、好ましくは40g/m以上170g/m以下、更に好ましくは50g/m以上160g/m以下であっても構わない。
<バッキング層>
バッキング層は、ここまで述べた合成皮革1の裏面1b(特に、有毛布帛2の裏面2b)側を覆うバッキング樹脂で形成される層である。
ここでも、バッキング層の「表面」は、合成皮革1を自動車等のシート(椅子)を覆うシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出する表面1aに近い面であるとも言え、逆に、バッキング層の「裏面」は、合成皮革1をシートカバーなどの繊維製品に使用する時に露出しない裏面1bに近い面(謂わば、合成皮革1の裏面1bそのもの)であるとも言える。
バッキング層の厚さも、何れの値でも良いが、例えば、20μm以上500μm以下(0.02mm以上0.50mm以下)、好ましくは15μm以上400μm以下(0.015mm以上0.400mm以下)、更に好ましくは10μm以上300μm以下(0.01mm以上0.30mm以下)であっても良い。
ここまで述べた合成皮革1を製造する方法について、次に詳解する。
<合成皮革1の製造方法>
図12~15に示したように、上述した合成皮革1の製造方法(以下、「当該製造方法」とも言う)は、後述する基材塗布工程S1を少なくとも有していると共に、当該製造方法の何れの工程においても、溶剤を使用しない。
当該製造方法は、後述するエンボス工程S2や、後述する表面コート工程S3を有していても良い。
又、当該製造方法は、何れの工程においても、離型シートを使用しなかったり、後述するエンボス工程S2のみで、離型シートを使用しても(つまり、エンボス工程S2以外では、離型シートは使用しなくても)良い。
その他、当該製造方法は、後述する布帛構成工程S0-1や、後述する起毛工程S0-2、カット工程S0-2’、バッキング工程などを有していても良い。
尚、当該製造方法において、基材塗布工程S1のみを有している場合は第1実施形態とし、基材塗布工程S1とエンボス工程S2を有している場合は第2実施形態とし、基材塗布工程S1とエンボス工程S2と表面コート工程S3を有している場合は第3実施形態とし、布帛構成工程S0-1と起毛工程S0-2と基材塗布工程S1とエンボス工程S2と表面コート工程S3を有している場合は第4実施形態とし、布帛構成工程S0-1とカット工程S0-2’と基材塗布工程S1とエンボス工程S2と表面コート工程S3を有している場合は第5実施形態とし、その他、バッキング工程や、後述する布帛構成・カット工程等も有している場合は、また別の実施形態とする。
<基材塗布工程S1>
図12~15に示したように、基材塗布工程S1は、上述した有毛布帛2の少なくとも毛羽繊維2Bに、上述した基材樹脂3を塗布する工程である。
基材塗布工程S1では、特に制限はないが、上述したように、例えば、基材樹脂3を、有毛布帛2の毛羽繊維2Bに、エマルジョン状態で塗布しても(付着させても)良い。ここで、基材塗布工程S1において、エマルジョン状態の溶媒として、有機溶剤等の溶剤は使用しない。
塗布の具体的な手段は、特に限定するものではないが、刷毛等による塗布や、スプレー塗布のほか、コンマ・ダイレクト法、グラビア・ダイレクト法、グラビア・リバース法、リバースロールコート法、エアーナイフコート法、キスコート法等を使用したり、その他、薄膜コーター、ロールプリント加工機、インクジェットプリント加工機、ローターダンプニング(ローラーダンプ)や、ナイフ(コーターナイフや、ドクターナイフ等)などを用いても良い。尚、ナイフを用いて基材樹脂3を塗布する場合は、当該ナイフの刃先が、平刃、J刃、U刃、コンマ刃等の形状・構成のナイフで、コーティングしても良い。
又、基材樹脂3をエマルジョン状態で塗布する際、その溶媒は、有機溶剤等の溶剤以外であれば、特に限定はないが、水などを用いても良く、この場合、塗布する基材樹脂3は、水を溶媒とする水系ポリウレタン樹脂エマルジョンや、水系ポリアクリル樹脂エマルジョン等となる。
その他、基材塗布工程S1によって、基材樹脂3は、隣接する毛羽繊維2Bの少なくとも2本に亘って付着するとも言える。
<エンボス工程S2>
図12~15に示したように、エンボス工程S2は、上述した基材塗布工程S1の後に、少なくとも上述した基材繊維層3’を、その表面3a’側から型材で押圧する工程である。
つまり、エンボス工程S2においては、型材が基材繊維層3’の表面3a’側に当接した状態で、当該型材を所定の条件にて押圧することで、基材繊維層3’のみを押圧したり、基材繊維層3’と共に、有毛布帛2(の基布2Aや、先端から長さ方向中途部までに亘る範囲のみに基材樹脂3が付着した毛羽繊維2Bが存在すれば、当該毛羽繊維2B)も押圧することとなる。
エンボス工程S2について詳解すれば、型材と、これを受ける受型との間に、押圧される前の合成皮革1(有毛布帛2と基材繊維層3’を有した合成皮革1)を挟み、所定の条件で、型材を、基材繊維層3’の表面3a’側から、受型側の方向へ押圧する。
エンボス工程S2における上述の条件は、特に限定はないが、押圧する(エンボスする)対象である基材繊維層3’や有毛布帛2の素材に応じた所定の値であっても良く、例えば、型材や受型の温度(エンボス温度)は、型材が140℃で、受型が180℃など、押圧時間が30秒などであっても良い。
尚、このエンボス工程S2において、型材の押圧面(押圧する側の面)に凸部が形成されていれば、平面視における少なくとも一部(当該凸部を押圧された箇所等)に、基材繊維層3’等に、当該凸部に応じた形状の凹部5が形成されると共に、型材の押圧面における凸部ではない部分が略平坦であれば、基材繊維層3’の表面3a’は、平面視における少なくとも一部(当該凸部ではない部分を押圧された箇所等)が、略平坦となる。
ここで、型材の押圧面に凸部が形成されておらず、当該押圧面全体が略平坦であれば、基材繊維層3’の表面3a’全体が略平坦になる。
このようなエンボス工程S2においては、合成皮革1(有毛布帛2)の下(有毛布帛2の裏面2b側)に、シリコーン樹脂等の耐熱性を有したエラストマー素材の離型シートを敷いた状態で、型材を押圧する等しても良い。
又、エンボス工程S2において、基材樹脂3が再溶解する等のため、有毛布帛2における毛羽繊維等の繊維と基材樹脂3を互いにより強固に絡み合わせることが可能となるとも言え、この場合、基材樹脂3は、隣接する毛羽繊維2Bの少なくとも2本に亘って付着(又は融着)しているとも言える。
ここまで述べたエンボス工程S2で用いられる型材と受型は、その構成に特に限定はないが、例えば、フラット形状であったり、ロール形状であっても良い。
型材と受型がロール形状である場合、合成皮革1は長尺状であり、型材側のロール端部(少なくとも一方か両方のロール端部)を、型材の押圧面における凸部の高さと略同じにし且つこの略同じ高さにしたロール端部に当たらない幅の合成皮革1(基材繊維層3’や有毛布帛2)を用いて、受型側のロールとは、主にロール端部が当接することで、型材側のロールと、受型側のロールの間隔や、押圧力を略一定に保ちながら、基材繊維層3’の表面3a’、凹部5を形成したり、少なくとも一部を略平坦にし易くなる。
又、エンボス工程S2においても、有機溶剤等の溶剤は使用しない。
その他、ここまで述べたエンボス工程S2直後の(表面樹脂4に覆われていない部分を有する)合成皮革1における基材繊維層3’の表面3a’は、例えば、同じ照明等の条件下において、全体的等に、後述する表面コート工程S3直後の(表面コート層4’を有する合成皮革1における)表面コート層4’の表面4a’より、光が反射する部分が広くても(又は、「てかり(光沢)」のある部分(てかって見える部分))が多くても)良い(図3、8、10参照)。
<表面コート工程S3>
図12~15に示したように、表面コート工程S3は、上述したエンボス工程S2の後に、基材繊維層3’の表面3a’側を表面樹脂4で覆う(コーティングする)工程である。
表面コート工程S3も、特に制限はないが、上述したように、例えば、表面樹脂4を、エンボス工程S2にて押圧した基材繊維層3’の表面3a’に、エマルジョン状態で覆っても(コーティングさせても)良い。ここで、表面コート工程S3においても、エマルジョン状態の溶媒として、有機溶剤等の溶剤は使用しない。
表面樹脂4で覆う具体的な手段は、特に限定するものではないが、キスコート法、グラビアコート法、ロールコート法等を使用したり、その他、コンマコーター等の薄膜コーターや、ロールプリント加工機、インクジェットプリント加工機、ローターダンプニング等を用いても良い。
又、表面樹脂4をエマルジョン状態で塗布する際、その溶媒は、有機溶剤等の溶剤以外であれば、特に限定はないが、水などを用いても良く、この場合、コーティングする表面樹脂4は、水を溶媒とする水系ポリウレタン樹脂エマルジョンや、水系ポリアクリル樹脂エマルジョン等となる。
その他、ここまで述べた表面コート工程S3直後の(表面コート層4’を有する合成皮革1における)表面コート層4’の表面4a’は、例えば、同じ照明等の条件下において、全体的等に、上述したエンボス工程S2直後の(表面樹脂4に覆われていない部分を有する)合成皮革1における基材繊維層3’の表面3a’より、光が反射する部分が広くても(又は、「てかり(光沢)」のある部分(てかって見える部分))が多くても)良い(図3、8、10参照)。
尚、上述したエンボス工程S2等にて、基材繊維層3’に凹部5が形成されている場合は、この凹部5の凹みに沿って、表面コート工程S3にて表面樹脂4を塗布することとなるため、基材繊維層3’に凹部5が形成されるだけでなく、当該凹部5が形成された平面視位置に、表面コート層4’にも凹部5が形成されるとも言える。
<布帛構成工程S0-1>
図12~15に示したように、布帛構成工程S0-1は、上述した基材塗布工程S1の前に、上述した有毛布帛2を構成する工程である。
尚、上述したように、有毛布帛2は、編物である場合と、織物である場合があるが、有毛布帛2が編物である場合には、布帛構成工程S0-1は、編物編成工程S0-1であると言え、有毛布帛2が織物である場合には、布帛構成工程S0-1は、織物織成工程S0-1であると言える。
ここで、編物編成工程S0-1の場合、当該工程で用いられる編機は、特に限定はないが、例えば、トリコット編機や、ダブルラッシェル編機等の経編機や、丸編機等の緯編機などであっても良く、これらの経編機や緯編機のゲージも、特に限定はなく、例えば、28ゲージ(28G)などであっても構わない。又、編物編成工程S0-1での経編機の速度も、何れの値でも良く、例えば、1500rpm回転以上などであっても良い。
又、織物織成工程S0-1の場合、当該工程で用いられる織機も、特に限定はないが、例えば、ドビー織機や、ジャガード織機、ブルモケット織機、ワイヤモケット織機などであっても良く、これらの織機のうち、ドビー織機の筬の数も、特に限定はなく、例えば、24羽や、27.5羽であっても構わない。
このような布帛構成工程S0-1にて構成された有毛布帛2が、毛羽繊維2Bを備えていなければ、当該製造方法は、布帛構成工程S0-1の後に、後述する起毛工程S0-2を行う。
又、布帛構成工程S0-1にて構成された有毛布帛2が、上述したシンカーループ丸編地や、表地と裏地が連結糸で連結されたダブルラッシェル編地、表地と裏地が連結糸で連結されたモケット織物などのように、起毛せずとも、基布2Aの表面2Aaに設けられた毛羽繊維2Bを備えていれば、当該製造方法は、布帛構成工程S0-1の後に、後述するカット工程S0-2’を行う。
<起毛工程S0-2>
図12~15に示したように、起毛工程S0-2は、布帛構成工程S0-1にて構成された有毛布帛2が毛羽繊維2Bを備えていない場合に、上述した有毛布帛2の基布2Aを起毛する工程である。
起毛工程S0-2において、起毛針を有した針布(ロール状であれば、起毛ロール)による針布起毛加工を用いても良く、針布起毛加工の場合は、針布の密度・長さ・角度・尖端形状や、起毛時の針布の回転数・基布2Aとの接圧・接触回数などを変えて、起毛状態を調整できる。
起毛工程S0-2においては、エメリー起毛加工であっても良く、WETかDRYか(湿潤状態か乾燥状態か)、エメリー部材(サンドペーパーや、エメリーロールなど)、加工速度エメリー部材と基布2Aの接触回数などを変えて、起毛状態を調整できる。
又、起毛工程S2においては、起毛による立毛した繊維毛羽を切断しても良く、起毛後に毛足を整えるための揃毛加工も施しても良く、その他、基布2Aに対する起毛は、バフィング機、ニードルパンチ機におけるニードルパンチ針、ブラシ針等による起毛加工を用いても構わない。
<カット工程S0-2’>
図12~15に示したように、カット工程S0-2’は、布帛構成工程S0-1にて構成された有毛布帛2が、毛羽繊維2Bとなり得るシンカーループ丸編地におけるループや、ダブルラッシェル編地における連結糸、モケット織物における連結糸などを備えている場合に、当該ループや連結糸をカット(切断)する工程である。
カット工程S0-2’において、シンカーループ丸編地におけるループなどをカットする場合、シャーリング機などによって、当該ループをシャーリング(剪毛)し、所定の長さに揃えても良い。
又、カット工程S0-2’において、ダブルラッシェル編地や、モケット織物における連結糸などをカットする場合、シャーリング機などによって、当該連結糸を、表地と裏地の間における途中(例えば、略中間)でセンターカットし、表地で基布2Aを構成し且つセンターカットされた一方の連結糸で毛羽繊維2Bを構成すると共に、裏地で別の基布2Aを構成し且つセンターカットされた他方の連結糸で毛羽繊維2Bを構成しても良い。
尚、ここまで述べたループや連結糸のカットと、上述した有毛布帛2の構成を、1つの工程で行っても良く、この場合、当該工程は、布帛構成・カット工程であるとも言える。
<バッキング工程>
バッキング工程は、上述した合成皮革1の裏面1b(有毛布帛2の裏面2b)に、バッキング樹脂を塗布する工程である。
バッキング工程も、特に制限はないが、例えば、バッキング樹脂を、有毛布帛2の裏面2bに、エマルジョン状態で塗布しても(付着させても)良い。ここで、バッキング工程においても、エマルジョン状態の溶媒として、有機溶剤等の溶剤は使用しない。
塗布の具体的な手段は、特に限定するものではないが、刷毛等による塗布や、スプレー塗布のほか、コンマ・ダイレクト法、グラビア・ダイレクト法、グラビア・リバース法、リバースロールコート法、エアーナイフコート法、キスコート法等を使用したり、その他、薄膜コーター、ロールプリント加工機、インクジェットプリント加工機、ローターダンプニング等を用いても良い。
又、バッキング樹脂をエマルジョン状態で塗布する際、その溶媒は、有機溶剤等の溶剤以外であれば、特に限定はないが、水などを用いても良く、この場合、塗布するバッキング樹脂は、水を溶媒とする水系ポリウレタン樹脂エマルジョンや、水系ポリアクリル樹脂エマルジョン等となる。
尚、バッキング工程は、有毛布帛2の裏面2bが存在すれば、当該裏面2bへのバッキング樹脂の塗布が可能であることから、布帛構成工程S0-1の直後に行われたり、その他、起毛工程S0-2やカット工程S0-2’の後に行われたり、基材塗布工程S1の後や、エンボス工程S2の後、表面コート工程S3の後に行われても良い。
ここまで述べた合成皮革1の製造方法を行う製造装置について、次に詳解する。
<合成皮革1の製造装置>
上述した合成皮革1の製造装置(以下、「当該製造装置」とも言う)は、後述する基材塗布部を少なくとも有していると共に、防爆設備を有していない。
当該製造装置は、後述するエンボス部や、後述する表面コート部を有していたり、その他、後述する布帛構成部や、後述する起毛部、カット部、バッキング部などを有していても良い。
これらの各部全てを、1つの装置機体(装置筐体)が有していても良く、この場合、当該1つの装置機体が当該製造装置となる。逆に、これらの各部が、別々の(別体の)複数の装置機体に分かれて存在していても良い。この場合、各部が上述した各工程に対応するものであり、各装置機体が少なくとも1つの各部を有し、且つ、それらの装置機体のうちの何れかが基材塗布部を有していれば、これら複数の装置機体を合わせた全体が、当該製造装置であるとも言える。ここで、複数の装置機体を合わせた全体が、当該製造装置であるとも言える場合、これら複数の装置機体の少なくとも1つが、後述する基材塗布部を有することとなる。
尚、各部が、複数の装置機体に分かれて存在している場合においても、何れの装置機体も、防爆設備を有していない。
<基材塗布部>
基材塗布部は、上述した基材塗布工程S1を行う部分である、
つまり、基材塗布部は、上述した有毛布帛2の少なくとも毛羽繊維2Bに、上述した基材樹脂3を塗布する部分である。
ここで、1つの装置機体が、基材塗布部のみを有する場合、上述したコンマ・ダイレクト法、グラビア・ダイレクト法、グラビア・リバース法、リバースロールコート法、エアーナイフコート法、キスコート法等が使用できる装置機体や、その他、薄膜コーター、ロールプリント加工機、インクジェットプリント加工機等そのものが、当該製造装置であるとも言え、この場合、これらコンマ・ダイレクト法等が使用できる装置機体や、薄膜コーター等は、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、基材塗布部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
<エンボス部>
エンボス部は、上述したエンボス工程S2を行う部分である。
つまり、エンボス部は、上述した基材塗布部にて基材塗布工程S1が行われた後に、少なくとも上述した基材繊維層3’を、その表面3a’側から型材で押圧する部分である。
ここで、1つの装置機体が、エンボス部のみを有する場合、上述した型材や受型を有した装置機体が、当該製造装置であるとも言え、この場合、この装置機体は、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、エンボス部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
<表面コート部>
表面コート部は、上述した表面コート工程S3を行う部分である。
つまり、表面コート部は、上述したエンボス部にてエンボス工程S2が行われた後に、基材繊維層3’の表面3a’側を表面樹脂4で覆う(コーティングする)部分である。
ここで、1つの装置機体が、表面コート部のみを有する場合、上述したキスコート法、グラビアコート法、ロールコート法等が使用できる装置機体や、その他、コンマコーター等の薄膜コーターや、ロールプリント加工機、インクジェットプリント加工機、ローターダンプニング等そのものが、当該製造装置であるとも言え、この場合、これらキスコート法が使用できる装置機体や、コンマコーター等は、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、表面コート部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
<布帛構成部>
布帛構成部は、上述した布帛構成工程S0-1を行う部分である。
つまり、布帛構成部は、上述した基材塗布部にて基材塗布工程S1が行われる前に、有毛布帛2を構成する部分である。
尚、上述したように、有毛布帛2が編物である場合には、布帛構成部は、編物編成部であると言え、有毛布帛2が織物である場合には、布帛構成部は、織物織成部であると言える。
ここで、1つの装置機体が、布帛構成部のみを有し且つ有毛布帛2が編物である場合、上述したトリコット編機や、ダブルラッシェル編機等の経編機や、丸編機等の緯編機などそのものが、当該製造装置であるとも言え、1つの装置機体が、布帛構成部のみを有し且つ有毛布帛2が織物である場合、上述したドビー織機や、ジャガード織機、ダブルモケット織機、ワイヤモケット織機などそのものが、当該製造装置であるとも言える。
これらの場合、これらトリコット編機等の編機や、ドビー織機等の織機などは、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、布帛構成部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
<起毛部>
起毛部は、上述した起毛工程S0-2を行う部分である。
つまり、起毛部は、上述した布帛構成部にて布帛構成工程S0-1が行われた後に、有毛布帛2が毛羽繊維2Bを備えていない場合に、上述した有毛布帛2の基布2Aを起毛する部分である。
ここで、1つの装置機体が、起毛部のみを有する場合、上述した起毛針を有した針布(ロール状であれば、起毛ロール)を備えた装置機体や、エメリー部材(サンドペーパーや、エメリーロールなど)を備えた装置機体、バフィング機、ニードルパンチ機や、ブラシ針を備えた装置機体などそのものが、当該製造装置であるとも言え、この場合、これら起毛針を有した針布(ロール状であれば、起毛ロール)を備えた装置機体などは、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、起毛部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
<カット部>
カット部は、上述したカット工程S0-2’を行う部分である。
つまり、カット部は、上述した布帛構成工程S0-1にて構成された有毛布帛2が、毛羽繊維2Bとなり得るシンカーループ丸編地におけるループや、ダブルラッシェル編地における連結糸、モケット織物における連結糸などを備えている場合に、当該ループや連結糸をカット(切断)する部分である。
ここで、1つの装置機体が、カット部のみを有する場合、上述したシャーリング機や、センターカットをする装置機体などそのものが、当該製造装置であるとも言え、この場合、これらシャーリング機などは、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、カット部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
<バッキング部>
バッキング部は、上述したバッキング工程を行う部分である、
つまり、バッキング部は、上述した合成皮革1の裏面1b(有毛布帛2の裏面2b)に、バッキング樹脂を塗布する部分である。
ここで、1つの装置機体が、バッキング部のみを有する場合、上述したコンマ・ダイレクト法、グラビア・ダイレクト法、グラビア・リバース法、リバースロールコート法、エアーナイフコート法、キスコート法等が使用できる装置機体や、その他、薄膜コーター、ロールプリント加工機、インクジェットプリント加工機等そのものが、当該製造装置であるとも言え、この場合、これらコンマ・ダイレクト法等が使用できる装置機体や、薄膜コーター等は、防爆設備を有さない。
又、1つの装置機体が、バッキング部と共に、他の各部の少なくとも1つを有していても良く、この場合も、その1つの装置機体も、防爆設備を有していない。
ここまで述べた合成皮革1について、次に詳解する。
<試験1、2>
ここからは、まず本発明に係る合成皮革1の実施例1~8と、比較例1、2について言及する。
これらのうち、実施例1や、実施例3、5、8を用いて、後述する試験1、2を行う。
<実施例1>
実施例1の合成皮革1では、有毛布帛2が編物のトリコット編地を起毛したものであり、基材樹脂3がポリウレタン(PU)樹脂であり、表面樹脂4はポリウレタン(PU)樹脂であっても良く、凹部5が基材繊維層3’等に形成されていても構わない。
特に、実施例1における有毛布帛2となるトリコット編地は、布帛構成(編物編成)工程S0-1にて、28ゲージで3枚筬の経編機における第1筬(後述の表1中では「L1」と表記、以下同様)を1-2/1-0の順に繰り返し操作してポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex24フィラメント(後述の表1中では「84T24F」と表記、以下同様)、スピンドローヤーン糸(後述の表1中では「SDY」と表記、以下同様)且つセミダル糸(後述の表1中では「SD」と表記、以下同様))が編み込まれ、第2筬(後述の表1中では「L2」と表記、以下同様)を1-0/1-2の順に繰り返し操作してポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex24フィラメント、スピンドローヤーン糸且つセミダル糸)が編み込まれ、第3筬(後述の表1中では「L3」と表記、以下同様)を1-0/4-5の順に繰り返し操作してポリエステルマルチフィラメント糸(167dtex48フィラメント、ウーリー加工糸(後述の表1中では「加工糸」と表記、以下同様))且つセミダル糸)が編み込まれている。
ここで、実施例1における有毛布帛2となるトリコット編地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度が39本(ウェール)/インチ、コース密度が72コース/インチである。
このような実施例1における布帛構成工程S0-1の後に、上述した起毛工程S0-2にて当該トリコット編地のシンカーループ面を起毛して基布2Aに設けられた毛羽繊維2Bを備えた有毛布帛2とし、上述した基材塗布工程S1にてシンカーループ面が起毛されたトリコット編地である有毛布帛2の毛羽繊維2B等に基材樹脂3を塗布して基材繊維層3’が形成される。尚、実施例1における基材塗布工程S1の後に、上述したエンボス工程S2にて基材繊維層3’等を、当該基材繊維層3’の表面側から型材で押圧しても良い。
尚、実施例1は、図1~4で示した具体例1である。
<実施例2>
実施例1の合成皮革1において、第1、2筬にて編み込む糸を、ポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex24フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)とすることで、実施例2の合成皮革1を得た。
<実施例3>
実施例1の合成皮革1における有毛布帛2となるトリコット編地について、第1筬の操作を1-0/1-2の順とし、第1筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex36フィラメント、スピンドローヤーン糸且つセミダル糸)とし、第2筬の操作を1-0/3-4の順とし、第2筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(33dtex12フィラメント、高収縮糸(後述の表1中では「高収縮」と表記、以下同様)且つセミダル糸)とし、第3筬の操作を1-0/3-4の順とし、第3筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex72フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)とポリエステルママルチフィラメント糸(33dtex12フィラメント、高収縮糸、ウーリー加工糸且つセミダル糸)の引き揃えとすることで、実施例3の合成皮革1を得た。
ここで、実施例3における有毛布帛2となるトリコット編地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度が44本(ウェール)/インチ、コース密度が82コース/インチである。
<実施例4>
実施例1の合成皮革1における有毛布帛2となるトリコット編地について、第1筬の操作を1-0/1-2の順とし、第1筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex36フィラメント、スピンドローヤーン糸且つセミダル糸)とし、第2筬の操作を1-0/3-4の順とし、第2筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex144フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)とし、第3筬の操作を1-0/2-3の順とし、第3筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(55dtex24フィラメント、スピンドローヤーン糸且つセミダル糸)とすることで、実施例4の合成皮革1を得た。
ここで、実施例3における有毛布帛2となるトリコット編地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度が40本(ウェール)/インチ、コース密度が78コース/インチである。
<実施例5>
実施例5の合成皮革1では、実施例1~4とは異なり、有毛布帛2が編物の丸編地を起毛したものであり、その他は実施例1~4と同様に、基材樹脂3がポリウレタン(PU)樹脂であり、表面樹脂4はポリウレタン(PU)樹脂であっても良く、凹部5が基材繊維層3’等に形成されていても構わない。
特に、実施例5における有毛布帛2となる丸編地は、布帛構成(編物編成)工程S0-1にて、28ゲージで3色インターロック(スムース編、両面編)の丸編機における両ニット(ダイヤル側ニットとシリンダー側ニット)にポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex36フィラメント、仮撚(後述の表1中では「1H」と表記、以下同様)ウーリー加工糸且つセミダル糸)が編み込まれ、ダイヤル側ニットにポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex72フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)とポリエステルマルチフィラメント糸(33dtex12フィラメント、高収縮糸、ウーリー加工糸且つセミダル糸)の引き揃えが編み込まれ、シリンダー側ニットにポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex36フィラメント、仮撚(1H)ウーリー加工糸且つセミダル糸)が編み込まれている。
ここで、実施例5における有毛布帛2となる丸編地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度が43本(ウェール)/インチ、コース密度が70コース/インチである。
このような実施例5における布帛構成工程S0-1の後に、上述した起毛工程S0-2にて当該丸編地の何れか一方の面を起毛して基布2Aに設けられた毛羽繊維2Bを備えた有毛布帛2とし、上述した基材塗布工程S1にて何れか一方の面が起毛された丸編地である有毛布帛2の毛羽繊維2B等に基材樹脂3を塗布して基材繊維層3’が形成される。尚、実施例5における基材塗布工程S1の後に、上述したエンボス工程S2にて基材繊維層3’等を、当該基材繊維層3’の表面側から型材で押圧しても良い。
尚、実施例5は、図9~11で示した具体例3である。
<実施例6>
実施例6の合成皮革1では、実施例1~5とは異なり、有毛布帛2が織物の5枚朱子織地を起毛したものであり、その他は実施例1~5と同様に、基材樹脂3がポリウレタン(PU)樹脂であり、表面樹脂4はポリウレタン(PU)樹脂であっても良く、凹部5が基材繊維層3’等に形成されていても構わない。
特に、実施例6における有毛布帛2となる5枚朱子織地は、布帛構成(織物織成)工程S0-1にて、27.5羽のドビー織機における経糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex72フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)とポリエステルマルチフィラメント糸(33dtex12フィラメント、高収縮糸、ウーリー加工糸且つセミダル糸)の引き揃えが織り込まれ、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(167dtex48フィラメント、仮撚(1H)ウーリー加工糸且つセミダル糸)の双糸(後述の表1中では「×2ply」と表記、以下同様)が織り込まれている。
ここで、実施例6における有毛布帛2となる5枚朱子織地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度(経糸密度)が165本(ウェール)/インチ、コース密度(緯糸密度)が75コース/インチである。
このような実施例6における布帛構成工程S0-1の後に、上述した起毛工程S0-2にて当該5枚朱子織地の何れか一方の面を起毛して基布2Aに設けられた毛羽繊維2Bを備えた有毛布帛2とし、上述した基材塗布工程S1にて何れか一方の面が起毛された5枚朱子織地である有毛布帛2の毛羽繊維2B等に基材樹脂3を塗布して基材繊維層3’が形成される。尚、実施例6における基材塗布工程S1の後に、上述したエンボス工程S2にて基材繊維層3’等を、当該基材繊維層3’の表面側から型材で押圧しても良い。
尚、実施例6は、図6~8で示した具体例2である。
<実施例7>
実施例6の合成皮革1における有毛布帛2を、織物の経出し変化朱子織地を起毛したものとし、ドビー織機を24羽とし、当該ドビー織機における経糸を2種類とし、それら2種類のうちの一方の経糸1としてポリエステルマルチフィラメント糸(167dtex144フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)の双糸が織り込まれ、それら2種類のうちの他方の経糸2としてポリエステルマルチフィラメント糸(167dtex48フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)の双糸が織り込まれ、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(167dtex48フィラメント、ウーリー加工糸且つセミダル糸)の双糸が織り込まれることで、実施例7の合成皮革1を得た。
ここで、実施例7おける有毛布帛2となる経出し変化朱子織地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度(経糸密度)が98本(ウェール)/インチ、コース密度(緯糸密度)が63コース/インチである。
<実施例8>
実施例1の合成皮革1において、基材繊維層3’の表面3a’側を表面樹脂4で覆い、当該基材繊維層3’の表面3a’側に、表面コート層4’を形成することで、実施例8の合成皮革1を得た。
<比較例1>
実施例1の合成皮革におけるトリコット編地について、トリコット編機を2枚筬とし、そのトリコット編機における第1筬の操作を2-1/1-0の順とし、第1筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex36フィラメント、スピンドローヤーン糸且つセミダル糸)とし、第2筬の操作を1-0/3-4の順とし、第2筬にて編み込む糸をポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex36フィラメント、スピンドローヤーン糸且つセミダル糸)とすると同時に、当該トリコット編地の何れの面も起毛しないことで、比較例1の合成皮革を得た。つまり、比較例1は、毛羽繊維を有さない点で、本発明に係る合成皮革1とは異なる。
ここで、比較例1におけるトリコット編地は、機上(エンボス工程等の後)で、ウェール密度が39本(ウェール)/インチ、コース密度が51コース/インチである。
<比較例2>
実施例7の合成皮革における経出し変化朱子織地について、当該経出し変化朱子織地の何れの面も起毛しないことで、比較例2の合成皮革を得た。又、比較例2も、毛羽繊維を有さない点で、本発明に係る合成皮革1とは異なる。
ここまで述べた実施例のうちの実施例1~7と、比較例1、2における布帛の種類(編物や織物、それらの詳細)、機種(編機や織機、それらのゲージ数・筬数)、組織(編組織や織組織)、糸の詳細、ウェール方向・コース方向や経方向・緯方向の密度、起毛の有無、塗布する樹脂の種類を、後述の表1に示す。
Figure 2022163638000002
<試験1(透湿率測定試験)>
試験1の透湿率測定試験では、上述した実施例1の合成皮革1と、毛羽繊維を有さず、又、溶剤を用いてポリウレタン樹脂等を布帛に塗布した従来の合成皮革に対して、後述する透湿率測定試験にて求めた透湿率TRを比較する。
本発明における透湿率測定試験は、以下の(1)~(5)の手順に沿って行われる。
(1)重量TRの水を入れた直径10cmのガラス製容器の開口部を、ここまで述べた合成皮革1で密閉する。この密閉では、合成皮革1における上述した基材繊維層3’が形成された側(つまり、合成皮革1の表面1a側)がガラス製容器側に向き、接着剤及び結束バンドを使用する。
(2)合成皮革1で密閉したガラス製容器を、200℃まで加熱する。
(3)加熱を開始してから45分後に、合成皮革1の上に、直径10cmのシャーレを載置する。この載置では、合成皮革1における基材繊維層3’が形成された側とは反対の側(合成皮革1の裏面1b側)がシャーレの開口部に接し、シャーレの内部に水を付着させる。
(4)シャーレを載置してから1分後に、シャーレの内部に付着した水の重量TRを測定する。
(5)測定したシャーレの内部に付着した水の重量TRを、加熱前にガラス製容器に入れた水の重量TRで割って100をかけた値を、透湿率TRとする。尚、透湿率TRを丸める場合の値の丸め方は、小数第3位を四捨五入して小数点以下2桁に丸める。
尚、合成皮革1で密閉したガラス製容器を加熱する試験器具も、特に限定はないが、例えば、アズワン株式会社製「Hot Plate Stirrer RSH-1DN」等を使用しても良い。
又、合成皮革1の試験体は、1つであったり、複数であっても良く、透湿率TRは、それらの平均値であっても良く、それらのうち、最大値と最小値を除く値の平均値であっても構わない。
更に、加熱前にガラス製容器に入れた水の重量TRは、特に限定はないが、例えば、100g等であっても良く、入れる水も、特に限定はないが、蒸留水であっても構わない。
ここで、シャーレの内部に付着した水の重量TRは、(当該試験後におけるシャーレ自体と、シャーレの内部に付着した水を合わせた重量W1)から、(当該試験前におけるシャーレ自体の重量W2)を引いた値としても良い。
この透湿率測定試験での測定結果と共に、実施例1と従来の合成皮革それぞれの3つの試験体ア~ウにおける当該試験後の重量W1、当該試験前の重量W2、シャーレの内部に付着した水の重量TR、加熱前にガラス製容器に入れた水の重量TR、透湿率TRを、以下の表2に示す。
Figure 2022163638000003
<試験1(透湿率測定試験)の評価>
表2で示されたように、実施例1は、3つの試験体ア~ウ全ての透湿率TRが、0.20%以上であり、それらの平均値も、小数第3位を四捨五入して小数点以下2桁に丸めれば、0.21%であることから、透湿性有りと言える。
一方、従来の合成皮革は、3つの試験体ア~ウ全ての透湿率TRが、0.00%であり、それらの平均値も、当然0.00%であることから、透湿性無しと言える。
ここで、透湿率TRが「0.00%」より少しでも大きければ、若干の水蒸気は合成皮革を通過しているとも言えるが、本発明では余裕をもって、透湿率TRが、「0.00%」と「0.20%」のちょうど中間の「0.10%以上」であれば、透湿性が有ると言える。
ここまで述べたように、透湿率TRは、0.10%以上であれば良いとも言え、好ましくは0.15%以上、更に好ましくは0.20%以上、より更に好ましくは0.30%以上であっても構わない。
それに加え、透湿率TRは、10.0%以下であっても良く、好ましくは5.0%以下、更に好ましくは1.0%以下、より更に好ましくは0.5%以下であっても構わない。
この他、合成皮革1における透湿性は、上述した透湿率TRだけでなく、以下に述べるJIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じる透湿度(謂わば、JIS透湿度)によって表現されていても良い。
<JIS透湿度>
本発明における合成皮革1の「JIS透湿度」は、上述したように、JIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じて測定される。
尚、本発明における「JIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じる」とは、JIS-K-6404-3:2020の透湿試験(謂わば、JIS透湿試験)に記載された通りに測定されることを含む以外に、当該JISの記載を準用して(、又は、一部を変更して)測定されることも含む。
このようなJIS透湿度は、上述した試験1で示したように、透湿率TRが0.10%以上(下限値が0.10%)であることを鑑みれば、同じ透湿性の試験であるJIS透湿試験において、JIS透湿度は、100g/m以上であっても良く、好ましくは200g/m以上、更に好ましくは300g/m以上、より更に好ましくは400g/m以上であっても構わないとも言える。
それに加え、JIS透湿度は、4000g/m以下であっても良く、好ましくは3000g/m以下、更に好ましくは2000g/m以下、より更に好ましくは1500g/m以下であっても構わない。
以下、このJIS透湿試験である試験2について述べる。
<試験2(JIS-K-6404-3:2020(透湿試験))>
試験2のJIS-K-6404-3:2020の透湿試験(JIS透湿試験)では、上述した実施例3、5、8の合成皮革1と、毛羽繊維を有さず、又、溶剤を用いてポリウレタン樹脂等を布帛に塗布した従来の合成皮革に対して、当該JIS透湿試験にて求めたJIS透湿度を比較する。
本発明におけるJIS透湿試験は、<1>透湿試験装置としては、試験片を装着させるステンレスシャーレ(透湿試験用カップ)と、デシケータとからなり、ステンレスシャーレには、株式会社オオモリ製ステンレスシャーレ(SUS304)♯25-04内径89.4mm×高さ20mm、肉厚0.6mmを使用し、<2>はかりは、0.001gが読み取れるものを用い、<3>試験片の採取及び調製については、試料から直径150mmの円形に切った試験片を採取し、試料片の状態調節及び試験の雰囲気は、JIS-K-6404-3:2020の5.1により、<4>当該試験の手順における封かん剤として、質量比でパラフィン:ポリエチレン=90:10の混合物に替えて、化学反応型充填剤のシリコーン樹脂(コニシ株式会社製バスボンドQ ♯4888)を用い、そして、デシケータの底に入れる乾燥に十分な塩化カルシウム(無水)に替えて、山仁薬品株式会社製シリカゲル(インジケータF 緑 0N6 500g)を用いた以外は、JIS-K-6404-3:2020の記載通りに実施した。
尚、JIS透湿度(JIS-K-6404-3:2020における透湿度T)の計算は、以下の式(1)による。
Figure 2022163638000004
このJIS透湿試験にて測定結果と共に、実施例3、5、8と従来の合成皮革それぞれにおける透湿度T、2時間後の試験体の質量C、24時間後の試験体の質量C24、ステンレスシャーレの透湿面積Cを、以下の表3に示す。
Figure 2022163638000005
<試験2(JIS-K-6404-3:2020(透湿試験))の評価>
表3で示されたように、実施例3、5、8は、JIS透湿度が少なくとも844.8g/m以上であることから、透湿性有りと言える。
一方、従来の合成皮革は、JIS透湿度が0g/m以上であることから、透湿性無しと言える。
ここで、JIS透湿度が「0g/m」より少しでも大きければ、若干の水蒸気は合成皮革を通過しているとも言えるが、本発明では余裕をもって、JIS透湿度が、少なくとも844.8gと、余裕をもって「0g/m」より大きいことから、例えば、JIS透湿度は、上述したように、「100g/m以上」であれば、透湿性が有ると言える。
<摩耗強さにおける質量の減量M>
その他、本発明における合成皮革1の「摩耗強さにおける質量の減量M」は、上述したように、JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じて測定される。
尚、本発明における「JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じる」とは、JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に記載された通りに測定されることを含む以外に、当該JISの記載を準用して測定されることも含む。
このような摩耗強さにおける質量の減量Mは、0.1g(0.10g)以下であっても良く、好ましくは0.05g以下、更に好ましくは0.03g以下、より更に好ましくは0.01g以下であっても構わない。
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。合成皮革1や、合成皮革1の製造方法、及び、製造装置等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
合成皮革1は、表面樹脂4が、基材繊維層3’の表面3a’側を覆っていなかったり、表面コート層4’を有していなくとも良く、又、表面樹脂4が、基材繊維層3’の表面3a’側の少なくとも一部を覆っていても良い。
その他、表面樹脂4に覆われていない部分を有する合成皮革1における基材繊維層3’の表面3a’は、凹部5の有無を問わず、JIS-Z-8741:1997に準じる鏡面光沢度Gs(60°)が60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、又は、85%以上等であっても良い。
又、表面コート層4’を有する合成皮革1における当該表面コート層4’の表面4a’は、凹部5の有無を問わず、JIS-Z-8741:1997に準じる鏡面光沢度Gs(60°)が50%以下、好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、より更に好ましくは20%以下であっても良い。
更に、表面コート層4’の有無を問わず、合成皮革1の表面1aは、凹部5の有無を問わず、JIS-Z-8741:1997に準じる鏡面光沢度Gs(60°)が50%以下、好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、より更に好ましくは20%以下であっても良い。
合成皮革1が表面コート層4’を有している場合、基材繊維層3’における基材連通孔3Aと、表面コート層4’における表面連通孔4Aが連通していても良く、この場合、基材繊維層3’と表面コート層4’の間に、基材連通孔3Aと表面連通孔4Aを連通させる隙間が存在していても良い。
合成皮革1は、基材繊維層3’等に、凹部5が形成されていなくとも良い。
合成皮革1は、バッキング樹脂が、合成皮革1の裏面1b(特に、有毛布帛2の裏面2b)側を覆っていなかったり、バッキング層を有していなくとも良く、又、バッキング樹脂が、合成皮革1の裏面1b側の少なくとも一部を覆っていても良い。
合成皮革1の製造方法は、エンボス工程S2や、表面コート工程S3を有していなくとも良く、ここまで述べた布帛構成工程S0-1、起毛工程S0-2、カット工程S0-2’、基材塗布工程S1、エンボス工程S2、表面コート工程S3、その他、バッキング工程、布帛構成・カット工程等以外の工程を備えていても良い。
合成皮革1の製造装置は、エンボス部や、表面コート部を有していなかったり、その他、布帛構成部や、起毛部、カット部、バッキング部を有していなくとも良い。
有毛布帛2は、上述した他、所定の繊維で構成された基布2Aに、毛羽繊維2Bから成るパイル糸をタフト(植設)し、当該パイル糸をカットしたものであっても良い。
有毛布帛2が、編物の丸編地を起毛したものである場合、当該丸編地は、有底又は無底の略筒状であるが、起毛して有毛布帛2として用いる際には、筒状部分を切り離して略シート状として用いても良い。
本発明に係る合成皮革や、本発明に係る合成皮革の製造方法により製造された合成皮革、及び、本発明に係る合成皮革の製造装置により製造された合成皮革は、自動車(乗用車)や鉄道車両、航空機、船舶等の乗り物の内部(室内)における椅子や内装材(内壁材、天井材、床材など)を覆うことが出来、特に、自動車であれば、カーシート(椅子)や、ハンドルカバー、オーナメント(ドアトリム)、ダッシュボード、グローブボックス、インストルメントパネル、コンソールボックスなどの内装材(内壁材、天井材、床材)等を覆うものとして利用可能である。
この他、本発明に係る合成皮革や、本発明に係る合成皮革の製造方法により製造された合成皮革、及び、本発明に係る合成皮革の製造装置により製造された合成皮革は、上述した自動車等の乗り物の内部だけでなく、家屋やビル等の建物の内部における椅子やベッド等の家具類や、壁材、天井材、床材等の内装材、照明器具などを覆う際に利用可能である他、更には、産業資材用途、靴や衣料などの生活資材用途などに利用しても良い。
1 合成皮革
2 有毛布帛
2A 基布
2B 毛羽繊維
3 基材樹脂
3’ 基材繊維層
3A 基材連通孔
4 表面樹脂
4’ 表面コート層
4A 表面連通孔
5 凹部
TR 透湿率
TR シャーレの内部に付着した水の重量
TR 加熱前にガラス製容器に入れた水の重量
M JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じる摩耗強さにおける質量の減量
S1 基材塗布工程
S2 エンボス工程
S3 表面コート工程

Claims (13)

  1. 少なくとも1つの層が形成された合成皮革であって、
    繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備え、
    前記有毛布帛の毛羽繊維と、その毛羽繊維に塗布された基材樹脂で、基材繊維層が形成され、
    前記基材繊維層は、その表裏を連通した基材連通孔を備えていることを特徴とする合成皮革。
  2. 少なくとも1つの層が形成された合成皮革であって、
    繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備え、
    前記有毛布帛の毛羽繊維と、その毛羽繊維に塗布された基材樹脂で、基材繊維層が形成され、
    当該合成皮革は、下記透湿率測定試験にて求めた透湿率が0.10%以上であることを特徴とする合成皮革。
    <透湿率測定試験>
    (1)重量(TR)の水を入れた直径10cmのガラス製容器の開口部を、当該合成皮革で密閉する。この密閉では、当該合成皮革における前記基材繊維層が形成された側が前記ガラス製容器側に向き、接着剤及び結束バンドを使用する。
    (2)当該合成皮革で密閉した前記ガラス製容器を、200℃まで加熱する。
    (3)加熱を開始してから45分後に、当該合成皮革の上に、直径10cmのシャーレを載置する。この載置では、当該合成皮革における前記基材繊維層が形成された側とは反対の側が前記シャーレの開口部に接し、前記シャーレの内部に水を付着させる。
    (4)前記シャーレを載置してから1分後に、前記シャーレの内部に付着した水の重量(TR)を測定する。
    (5)測定した前記シャーレの内部に付着した水の重量(TR)を、加熱前に前記ガラス製容器に入れた水の重量(TR)で割って100をかけた値を、透湿率とする。尚、透湿率を丸める場合の値の丸め方は、小数第3位を四捨五入して小数点以下2桁に丸める。
  3. 少なくとも1つの層が形成された合成皮革であって、
    繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備え、
    前記有毛布帛の毛羽繊維と、その毛羽繊維に塗布された基材樹脂で、基材繊維層が形成され、
    当該合成皮革は、JIS-K-6404-3:2020(透湿試験)に準じる透湿度が100g/m以上であることを特徴とする合成皮革。
  4. 前記基材繊維層の表面側は、その少なくとも一部が略平坦であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の合成皮革。
  5. 前記基材繊維層の表面側を覆う表面樹脂で、表面コート層が形成され、
    前記表面コート層は、その表裏を連通した表面連通孔を備えていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の合成皮革。
  6. 当該合成皮革は、JIS-L-1096:2010(C法(テーバ法))に準じる摩耗強さにおける質量の減量が0.1g以下であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の合成皮革。
  7. 少なくとも前記基材繊維層には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の合成皮革。
  8. 少なくとも1つの層が形成された合成皮革の製造方法であって、
    前記合成皮革は、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備えていて、
    前記有毛布帛の少なくとも毛羽繊維に基材樹脂を塗布する基材塗布工程を、少なくとも有し、
    当該製造方法の何れの工程においても、溶剤を使用しないことを特徴とする合成皮革の製造方法。
  9. 前記基材塗布工程の後に、少なくとも前記基材繊維層を、その表面側から型材で押圧するエンボス工程を有していることを特徴とする請求項8に記載の合成皮革の製造方法。
  10. 前記エンボス工程の後に、前記基材繊維層の表面側を表面樹脂で覆う表面コート工程を有していることを特徴とする請求項9に記載の合成皮革の製造方法。
  11. 当該製造方法の何れの工程においても、離型シートを使用しないことを特徴とする請求項8~10の何れか1項に記載の合成皮革の製造方法。
  12. 前記エンボス工程のみで、離型シートを使用することを特徴とする請求項9又は10に記載の合成皮革の製造方法。
  13. 少なくとも1つの層が形成された合成皮革の製造装置であって、
    前記合成皮革は、繊維で構成された基布と、前記基布に設けられた毛羽繊維を有した有毛布帛を備えていて、
    前記有毛布帛の少なくとも毛羽繊維に基材樹脂を塗布する基材塗布部を、少なくとも有し、
    当該製造装置は、防爆設備を有していないことを特徴とする合成皮革の製造装置。
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