JP2022162280A - ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリカーボネートジオールの製造に用いられるエステル交換反応触媒のウレタン化反応に及ぼす影響を低減させるとともに、経時的にウレタン化反応性が変化しにくいポリカーボネートジオール、及びその製造方法を提供する。【解決手段】エステル交換反応触媒を用いて重合されたポリカーボネートジオールと、リン酸モノエステルと、リン酸ジエステルと、リン酸トリエステルと、を混合し、加熱する工程、を含み、前記エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比が、0.1~5であり、前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルとの質量比が、50~90:3~25:0.01~5(リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル)の関係を満たす、ポリカーボネートジオールの製造方法による。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法に関する。
ジオールとカーボネート化合物を原料として工業的にポリカーボネートジオールを製造する場合、一般的にはエステル交換反応触媒が使用される。使用されたエステル交換反応触媒は、ポリカーボネートジオール中に残存するため、そのポリカーボネートジオールをポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ウレタン弾性繊維などの原料として用いた場合、イソシアネートとの反応を促進し、ウレタン反応を制御することは困難であった。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートやナフタレンジイソシアネートなどの反応性の高いイソシアネート化合物を用いた場合、ウレタン反応を制御する事は極めて困難となり、高分子量化してゲルが生成するなどの問題が発生した。これを完全に防止するには、エステル交換反応触媒を吸着剤により分離する方法があるが、工程が煩雑であり、工業的に行うには問題があった。
エステル交換反応触媒のウレタン反応に及ぼす影響を低減するため、種々の処理方法が開示されている。例えば、エステル交換反応触媒を用いて重合された脂肪族ポリカーボネートジオールに、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルを合わせて使用し、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルを予め極性溶媒に溶解し、極性溶媒の溶液として添加することを特徴とする脂肪族ポリカーボネートジオールの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により得られ、リン酸及び/又は亜リン酸を含有するポリカーボネートジオール生成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第4749024号 特許第6526943号
しかしながら、特許文献1の方法では、ウレタン反応に対するエステル交換触媒の影響を抑えることはできるが、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの割合によっては、例えば生産から3年以上経過するとウレタン反応性が変化する場合があった。また、特許文献2の方法では、リン酸の量によっては、その腐食性により、反応器の材質が制限させる問題があった。
本発明は、ポリカーボネートジオールの製造に用いられるエステル交換反応触媒のウレタン化反応に及ぼす影響(すなわち、ウレタン化反応の過剰な促進)を低減させるとともに、経時的にウレタン化反応性が変化しにくいポリカーボネートジオールを供給することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、所定のリン化合物を所定の量及び割合で使用することによって、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の実施形態を含む。
[1]
エステル交換反応触媒を用いて重合されたポリカーボネートジオールと、
下記式(a)で表されるリン酸モノエステルと、
下記式(b)で表されるリン酸ジエステルと、
下記式(c)で表されるリン酸トリエステルと、
を混合し、加熱する工程、
を含み、
前記エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比が、0.1~5であり、
前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルとの質量比が、
50~90:3~25:0.01~5
(リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル)
の関係を満たす、
ポリカーボネートジオールの製造方法
Figure 2022162280000001
[式中、
1は、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
3は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である]。
[2]
前記混合において、リン酸を更に混合することを含み、
前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルと、前記リン酸との質量比が、
50~90:3~25:0.01~5:3~25
(リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル:リン酸)
の関係を満たす、
[1]に記載の製造方法。
[3]
前記加熱を、70℃~170℃で15分間~5時間実施する、
[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記混合において、前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルと、前記リン酸とを、SP値が8.0~11.0(cal/cm31/2である溶媒に溶解した溶液として混合する、
[2]又は[3]に記載の製造方法。
[5]
エステル交換反応触媒を用いて重合されたポリカーボネートジオールと、
下記式(a)で表されるリン酸モノエステルと、
下記式(b)で表されるリン酸ジエステルと、
下記式(c)で表されるリン酸トリエステルと、
を含み、
前記エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比が、0.1~5であり、
前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルとの質量比が、
50~90:3~25:0.01~5
(リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル)
の関係を満たす、
ポリカーボネートジオール
Figure 2022162280000002
[式中、
1は、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
3は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である]。
[6]
リン酸を更に含み、
前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルと、前記リン酸との質量比が、
50~90:3~25:0.01~5:3~25
(リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル:リン酸)
の関係を満たす、
[5]に記載のポリカーボネートジオール。
本発明によれば、ポリカーボネートジオールの製造に用いられるエステル交換反応触媒のウレタン化反応に及ぼす影響を低減させ、さらに経時的にウレタン化反応性が変化しにくいポリカーボネートジオールを供給することが出来る。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリカーボネートジオール及びその製造方法>
本発明の一実施形態は、エステル交換反応触媒を用いて重合されたポリカーボネートジオールと、下記式(a)で表されるリン酸モノエステル(以下、「リン酸モノエステル(a)」ともいう。)と、下記式(b)で表されるリン酸ジエステル(以下、「リン酸ジエステル(b)」ともいう。)と、下記式(c)で表されるリン酸トリエステル(以下、「リン酸トリエステル(c)」ともいう。))とを混合し、加熱する工程を含み、
前記エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比が、0.1~5であり、
前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルとの質量比が、50~90:3~25:0.01~5(リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル)の関係を満たす、ポリカーボネートジオールの製造方法、及び前記方法により製造されるポリカーボネートジオールに関する。
Figure 2022162280000003
[式中、
1は、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
3は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である]。
本実施形態の製造方法で得られたポリカーボネートジオールによれば、エステル交換反応触媒によるウレタン化反応への影響を低減させることができ、また、ウレタン化反応性が経時的に変化することを抑制することができる。
本明細書において、リン酸モノエステル(a)、リン酸ジエステル(b)及びリン酸トリエステル(c)をまとめて「リン酸エステル」と総称し、リン酸エステル及びその他のリン含有化合物をまとめて「リン化合物」と総称する。
式(a)~(c)のR1~R3は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、好ましくは炭素数3~12のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数3~8のアルキル基である。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピルリン、イソプロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ラウリル、ステアリル、イソデシル等が挙げられる。アリール基の具体例としては、例えば、フェニル等が挙げられる
本実施形態の製造方法において使用するリン酸モノエステル(a)と、リン酸ジエステル(b)と、リン酸トリエステル(c)との質量比は、50~90:3~25:0.01~5の関係を満たす。リン酸エステルが前記関係を満たすことで、エステル交換反応触媒のウレタン化反応に及ぼす影響を低減させるとともに、経時的にその効果が持続する。リン酸モノエステル(a)の質量比は、好ましくは60~85である。リン酸ジエステル(b)の質量比は、好ましくは5~20である。
本実施形態の製造方法では、リン酸エステルに加えて、リン酸を混合してもよい。リン酸を混合する場合、リン酸モノエステル(a)と、リン酸ジエステル(b)と、リン酸トリエステル(c)と、リン酸との質量比は、50~90:3~25:0.01~5:3~25の関係を満たすことが好ましい。リン酸の質量比が3以上であれば、リン酸エステルと合わせてエステル交換反応触媒のウレタン化反応に及ぼす影響を効率よく低減させることが出来る。リン酸の質量比が25以下であれば、反応器を腐食させることは少ない。リン酸の質量比は、好ましくは5~20である。
エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比は0.1~5であり、好ましくは0.5~3.5であり、更に好ましくは0.5~2.5である。なお、「リンのモル数」におけるリンは、リン酸エステルに由来するリンに限定されず、例えばリン酸に由来するリンも対象となる。前記比が0.1以上であれば、エステル交換反応触媒のウレタン化反応に及ぼす影響を低減できる。前記比が5以下であれば、過剰のリンによるウレタン化反応の促進を抑制できる。前記比は、下記実施例に記載の誘電結合プラズマ(ICP)による元素分析により得られる触媒金属とリンの分析値から計算される。
脂肪族ポリカーボネートジオール中のエステル交換反応触媒の量は、脂肪族ポリカーボネートジオールの製造に引き続き加熱処理を行う場合は、仕込んだ触媒量を元に計算されればよく、市販のポリカーボネートジオールを用いる場合は、ポリカーボネートジオールに含まれる触媒金属量を決定して計算される。
リン化合物と脂肪族ポリカーボネートジオールの相溶性は必ずしもよくない。加えるリン化合物によっては、脂肪族ポリカーボネートジオール中に分散しにくく、加熱処理温度を上げる、または、加熱処理時間を長くする必要があった。予めリン化合物を溶媒に溶解または分散して添加する場合、脂肪族ポリカーボネートジオール中にリン化合物が溶解または分散しやすくなり、溶媒を使用しない場合と比較して、低い加熱処理温度で短時間処理することが可能となる。
使用する溶媒は、SP値(溶解度パラメータ)が8.0~11.0(cal/cm31/2であるものが好ましい。本発明で使用する溶媒の例としては、1,4-ジオキサン、1-ブタノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、アセトン、2-エチルヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエステルなどをあげることが出来る。添加する温度が制約されにくいという観点から、溶媒の沸点は100℃以上であることが好ましく、150℃以上であればさらに好ましい。
ウレタン化反応に影響を与えないためには、用いる溶媒の量は少ない方が好ましい。通常、用いる溶媒の質量は、リン化合物の質量に対し0.5倍~5倍であり、好ましくは0.5倍~3倍、さらに好ましくは0.5倍~2倍である。
溶媒にリン化合物が分散した状態で脂肪族ポリカーボネートジオールに加えることも出来るが、リン化合物が溶媒に溶解した状態で加えたほうが、所定量のリン化合物を添加することができるとともに、リン化合物が脂肪族ポリカーボネートジオールに溶解または分散しやすいため、より好ましい。
本発明の脂肪族ポリカーボネートジオールの製造方法としては、脂肪族ポリカーボネートジオールの重合に引き続き、リン化合物を添加して加熱処理してもよい。あるいは、リン化合物などを添加するなどのウレタン化反応に対するエステル交換反応触媒の影響を軽減させる処置を取ることなく製造した脂肪族ポリカーボネートジオールに対し、リン化合物を加えて改めて加熱処理してもよい。
本実施形態の製造方法に付いて、脂肪族ポリカーボネートジオールの重合に引き続き加熱処理する方法を例として説明する。所定の重合度となった後、仕込んだエステル交換反応触媒の量を元に計算された量のリン化合物を反応器に添加し、加熱攪拌する。加熱処理温度は、70℃~170℃が好ましい。必要に応じて、重合終了における温度から所定の加熱処理温度まで冷却後、リン化合物を添加する。加熱処理温度が70℃以上であれば、加熱処理時間が長くならず経済的である。加熱温度が170℃以下であれば、脂肪族ポリカーボネートジオールが着色したり、加えたリン化合物が分解することも少ない。加熱処理温度が75℃~160℃であれば、上記の問題が発生する可能性は低下し、75℃~155℃であればさらに好ましい。加熱処理時間は、所定のウレタン化反応速度となるため必要な時間であり、加熱処理温度や処理方法により異なるが、通常は15分間~5時間である。加熱処理時間が15分間以上であれば処理が不十分となることが少なく、5時間以下であれば生産性に問題がない。
リン化合物を予め溶媒に溶解して脂肪族ポリカーボネートジオールに添加する場合、加熱処理温度を70~150℃に下げて処理することが可能であり、さらに70℃~125℃としても、30分間~4時間加熱処理することで効果を発揮することが出来る。
加熱処理時に脂肪族ポリカーボネートジオールが着色する可能性があるため、処理容器内を窒素などの不活性ガスで置換して処理することが好ましい。
本発明の処理方法は特に限定されず、例えば、加熱装置と攪拌機を備えた反応器で加熱攪拌してもよいし、インラインミキサーやスタティックミキサーで連続して加熱処理してもよい。
本発明形態の脂肪族ポリカーボネートは、エステル交換反応触媒を用い、ジヒドロ化合物とカーボネート化合物から得られる。
本実施形態のポリカーボネートジオールの製造方法で用いるジヒドロ化合物は、特に限定されないが、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-ドデカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,15-ペンタデカンジオールなどの側鎖を持たないジオール;2-メチル-1、8-オクタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチルー1、5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、1,4-シクロヘキサンジオールなどの環状ジオールが挙げられる。当該ジオールは1種類又は2種類以上をジヒドロ化合物として用いてもよい。側鎖を持たないジオールから1種類又は2種類以上のジオールをジヒドロ化合物として用いて用いた場合、塗膜の耐薬品性や機械的強度が高くなるので好ましく、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオールから1種類又は2種類以上をジヒドロ化合物として用いた場合、より好ましい。1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールから選ばれる2種類のジオールをポリカーボネートジオールの原料として用いた場合、さらに好ましい。1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールをジヒドロ化合物として用いた場合、特に好ましい。
2種類以上のジオールをジヒドロ化合物として用いる場合、それらジオールの比は特に限定されないが、得られるポリカーボネートジオールが常温で液状となるように使用する原料の比を設定することが好ましい。2種のジオールを原料として用いる場合、モル比で20/80~80/20の間で仕込み量を設定することが好ましい。この範囲であれば、得られるポリカーボネートジオールが液状となる。30/70~70/30とすればさらに好ましく、40/60~60/40とすれば、0℃以下でも液状となるのでより好ましい。
さらに、本実施形態のポリカーボネートジオールの性能を損なわない範囲で、1分子に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどをポリカーボネートジオールの原料として用いることもできる。この1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物をポリカーボネートジオールの原料としてあまり多く用いると、ポリカーボネートの重合反応中に架橋してゲル化が起きてしまう。したがって、1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物をポリカーボネートジオールの原料として用いる場合であっても、当該化合物は、ポリカーボネートジオールの原料として用いるジオールのモル数に対し、0.1~5モル%にするのが好ましい。この割合は0.1~1モル%であることが、より好ましい。
本実施形態のポリカーボネートジオールの製造方法で用いるカーボネート化合物は、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートなどが挙げられる。これらの内から1種又は2種以上のカーボネートをポリカーボネートジオールの原料として用いることができる。入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点より、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネートを用いることが好ましい。
本実施形態のポリカーボネートジオールの製造方法では、エステル交換反応触媒を添加する。該触媒としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属のアルコラート、水素化物、オキシト゛、アミド、炭酸塩、水酸化物、窒素含有ホウ酸塩、さらに有機酸の塩基性アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。また、前記触媒として、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、タングステン、レニウム、オスミニウム、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛、ビスマス、イッテルビウム、の金属、塩、アルコキシド、有機化合物が挙げられる。それらから1つ又は複数の触媒を選択し使用することができる。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛、イッテルビウムの金属、塩、アルコキシド、有機化合物から1つ又は複数の触媒を用いた場合、ポリカーボネートジオールの重合が良好に行われ、得られるポリカーボネートジオールを用いたウレタン反応に対する影響も少ないので好ましい。前記触媒として、チタン、イットリビウム、スズ、ジルコニウム、マグネシウムの金属、塩、アルコキシド、有機化合物を用いた場合、さらに好ましい。
本実施形態のポリカーボネートジオールの製造方法は、例えば、Schnell著、ポリマー・レビューズ第9巻、p9~20(1994年)に記載される種々の方法で製造することができる。
本実施形態のポリカーボネートジオールの製造方法の具体例を以下に示す。本実施形態のポリカーボネートジオールの製造方法は、特に限定されないが、例えば、2段階に分けて行うことができる。ジヒドロ化合物とカーボネート化合物とをモル比(ジヒドロ化合物:カーボネート化合物)で、例えば、20:1~1:10の割合で混和し、常圧又は減圧下、100~250℃で1段目の反応を行う。カーボネート化合物としてジメチルカーボネートを用いる場合、生成するメタノールをジメチルカーボネートとの混合物として除去して低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。カーボネート化合物としてジエチルカーボネートを用いる場合、生成するエタノールをジエチルカーボネートとの混合物として除去して低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。また、カーボネート化合物としてエチレンカーボネートを用いる場合、生成するエチレングリコールをエチレンカーボネートとの混合物として除去して低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。次いで、2段目の反応は、前記1段目の反応生成物を、減圧下、120~250℃で加熱して、未反応のジオールとカーボネートを除去するとともに、低分子量ポリカーボネートジオールを縮合させて、所定の分子量のポリカーボネートジオールを得る反応である。
本実施形態の製造方法で得られるポリカーボネートジオールの数平均分子量は、300~5000であることが好ましい。ポリカーボネートジオールの数平均分子量が300以上であれば、得られるポリウレタンの低温特性が良好となる。ポリカーボネートジオールの数平均分子量が5000以下であれば、塗料の構成材料として用いる場合、塗料固形分濃度などが制限されることもなく、また得られるポリウレタンの成型加工性も低下することがないので好ましい。ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、450~3000であることがさらに好ましい
次に、実施例及び比較例によって、本発明を説明する。
以下の実施例は、本発明を例示するために記載するものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
以下の実施例及び比較例において示す物性値は、下記の方法で測定した。
1)ポリカーボネートジオールの反応速度
攪拌機、冷却管、温度計を備えた1Lのセパラブルフラスコにポリカーボネートジオールを75g入れた。約2.5kPaで減圧しながら、80℃で3時間加熱攪拌行い、ポリカーボネートジオールを乾燥した。フラスコ内のポリカーボネートジオールの温度が80℃であることを確認後、脂肪族ポリカーボネートジオールの2倍モル量のジフェニルメタンジイソシアネートを加えた。80℃で30分間反応後、イソシアネートの反応率から反応速度を測定した。
2)経時安定性
ポリカーボネートジオールを容器に入れ、容器内を窒素で置換した後、密閉して50℃の恒温機の中に4週間静置した。その後、上記1)の方法で反応速度を測定し、下記式(1)でウレタン反応速度比を求め、エステル交換触媒に対する抑制効果の安定性を表す指標とした。なお、50℃での4週間は、室温(23℃)での約3年に相当すると想定される。また、エステル触媒に対する抑制効果が経時的に全く変化しない場合は、式(1)の反応速度比が1となる。反応速度比が0.85~1.15であれば、保存時間に関わらず、ウレタン反応条件の変更が必要となることは少なく、0.90~1.10であればウレタン反応条件の変更は殆ど必要ない。反応速度比が0.95~1.05であれば更に好ましい。
反応速度比=B/A (1)
A:50℃で4週間静置する前の脂肪族ポリカーボネートジオールを用いた場合の反応速度
B:50℃で4週間静置した後の脂肪族ポリカーボネートジオールを用いた場合の反応速度
3)ポリカーボネートジオールの数平均分子量の決定
脂肪族ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、無水酢酸及びピリジンを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する「中和滴定法(JIS K0070-1992)」によって水酸基価(OH価)を決定し、下記式(2)を用いて計算した。
数平均分子量=2/(OH価×10-3/56.1) (2)
4)誘電結合プラズマ(ICP)による含有元素(触媒金属及びリン)の分析
脂肪族ポリカーボネートジオール中に含有する元素を以下のとおり分析した。まず、サンプルをテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、高純度硝酸(関東化学製)を加えてマイクロウエーブ分解装置(マイルストーンゼネラル社製、ETHOS TC)を用いて分解した。なお、サンプルは完全に分解され、得られた分解液は無色透明となった。分解液に純水を加えて検液とした。得られた検液について誘電結合プラズマ分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、iCAP6300 Duo)を用い、各元素の標準液を元に定量を行った。
[リン酸エステル組成物の調製]
下記表1の割合でリン酸エステル組成物を調整した。
Figure 2022162280000004
[実施例1]
規則充填物を充填した理論段数10段の精留塔、コンデンサー、攪拌機を備えた加熱ジャケット付き20L反応器に、1,6-ヘキサンジオール10.6kg(90モル)、エチレンカーボネート7.9kg(90モル)を仕込み、触媒としてチタンテトライソプロポキシド1.6gを添加した。反応器を1kPaまで減圧し窒素を導入して大気圧に戻すという操作を3回繰返し、反応器内部を窒素で置換した。
ジャケットに熱媒を流すことにより加熱を開始し、圧力を7~8kPaに調整し、160℃の反応温度で3時間加熱した。このとき精留塔からの抜き出しは行わなかった。
その後、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を抜きながら、15時間反応した。さらに、圧力を0.3~0.6kPa、反応温度160~175℃で、蒸留塔を使用せずに、留出する成分を全量抜き出しながら5時間反応した。常圧に戻した後、2-エチルヘキサノール1.8gにリン酸エステル組成物1を1.5g加え撹拌して均一とした溶液を加え、窒素を流通しながら120℃で3時間撹拌し、数平均分子量1987の、室温で白色固体である脂肪族ポリカーボネートジオール(以降、PC-1と略す。)を得た。
[実施例2~7]
表2に示すリン酸エステル組成物を用い、表2に示す量を添加した以外は実施例1に示す方法で脂肪族ポリカーボネートジオール(以降、各々をPC-2~7と略す。)を得た。なお、2-エチルヘキサノールの量は、実施例1に示すリン酸エステル組成物との重量比となるよう調整した。
[比較例1~6]
表2に示すリン酸エステル組成物を用い、表2に示す量を添加した以外は実施例1に示す方法で脂肪族ポリカーボネートジオール(以降、各々をPC-21~26と略す。)を得た。なお、2-エチルヘキサノールの量は、実施例1に示すリン酸エステル組成物との重量比となるよう調整した。
[実施例8]
実施例1で用いた装置に、1,6-ヘキサンジオール10.6kg(90モル)、エチレンカーボネート7.9kg(90モル)を仕込み、触媒としてチタンテトラブトキシド0.9gを添加した。反応器を1kPaまで減圧し窒素を導入して大気圧に戻すという操作を3回繰返し、反応器内部を窒素で置換した。
ジャケットに熱媒を流すことにより加熱を開始し、圧力を7~8kPaに調整し、160℃の反応温度で3時間加熱した。このとき精留塔からの抜き出しは行わなかった。
その後、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を抜きながら、15時間反応した。さらに、圧力を0.3~0.6kPa、反応温度160~175℃で、蒸留塔を使用せずに、留出する成分を全量抜き出しながら5時間反応した。常圧に戻した後、2-エチルヘキサノール0.7gにリン酸エステル組成物9を0.6g加え撹拌して均一とした溶液を加え、窒素を流通しながら120℃で3時間撹拌し、脂肪族ポリカーボネートジオール(以降、PC-8と略す。)を得た。
[実施例9]
実施例1で用いた装置に、1,5-ペンタンジオール5.0kg、1,6-ヘキサンジオール5.5kg、エチレンカーボネート8.3kgを仕込み、触媒としてチタンテトライソプロポキシド1.6gを添加した。反応器を1kPaまで減圧し窒素を導入して大気圧に戻すという操作を3回繰返し、反応器内部を窒素で置換した。
ジャケットに熱媒を流すことにより加熱を開始し、圧力を7~8kPaに調整し、160℃の反応温度で3時間加熱した。このとき精留塔からの抜き出しは行わなかった。
その後、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を抜きながら、15時間反応した。さらに、圧力を0.3~0.6kPa、反応温度160~175℃で、蒸留塔を使用せずに、留出する成分を全量抜き出しながら5時間反応した。常圧に戻した後、1-ブタノール1.7gにリン酸エステル組成物10を1.4g加え撹拌して均一とした溶液を加え、窒素を流通しながら120℃で3時間撹拌し、脂肪族ポリカーボネートジオール(以降、PC-9と略す。)を得た。
[実施例10]
実施例1で用いた装置に、1,4-ブタンジオール6.9kg、1,6-ヘキサンジオール3.0kg、エチレンカーボネート8.9kgを仕込み、触媒としてチタンテトラブトキシド1.8gを添加した。反応器を1kPaまで減圧し窒素を導入して大気圧に戻すという操作を3回繰返し、反応器内部を窒素で置換した。
ジャケットに熱媒を流すことにより加熱を開始し、圧力を7~8kPaに調整し、反応器内温140℃で3時間加熱した。このとき蒸留塔からの抜き出しは行わなかった。
その後、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を抜きながら、15時間反応した。さらに、圧力を0.3~0.6kPa、反応温度160~175℃で、蒸留塔を使用せずに、留出する成分を全量抜き出しながら5時間反応した。常圧に戻した後、2-エチルヘキサノール2.0gと1-ブタノール0.1gを混ぜた溶剤にリン酸エステル組成物9を1.8g加え撹拌して均一とした溶液を加え、窒素を流通しながら120℃で3時間撹拌し、脂肪族ポリカーボネートジオール(以降、PC-10と略す。)を得た。
<経時安定性>
PC-1~5、PC-8~10、PC-21~23、PC-26について、上記「2)経時安定性」の方法で経時安定性を評価した。結果を表2に示す。
<反応速度>
PC-2、PC-6、PC-7、PC-24、PC-25について、上記「1)ポリカーボネートジオールの反応速度」の方法で反応速度を測定した。エステル交換反応触媒のウレタン化反応への影響を低減させなかった場合、1)ポリカーボネートジオールの反応速度」の方法で反応速度を測定すると、10分でイソシアネートの反応率が45%を超え(ポリカーボネートの水酸基が全て反応した場合、イソシアネートの反応率は50%となる。)ウレタン化反応を制御することは困難となる。一方、30分でのイソシアネート反応率が8~20%であれば、ウレタン化反応を制御することは容易であり好ましい。PC-2を使用した場合、イソシアネート反応率は、上記の範囲となり、エステル交換反応触媒によるウレタン化反応への影響を低減できている。PC-2の反応速度を1とした場合の結果を表2にまとめた。反応速度は1.3以下であることが好ましい。
Figure 2022162280000005
[参考例1]
セパラブルフラスコに、脂肪族ポリカーボネートジオールPC-1を110g、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネートを55g、N,N-ジメチルホルムアミドを100g、触媒としてジラウリン酸ジブチル錫を0.02g仕込み、80℃で2時間反応してウレタンプレポリマーを得た。その後、鎖伸長剤として1,4-ブタンジオールを9.9g、N,N-ジメチルホルムアミドを308g滴下し、更に4時間反応を行い、ポリウレタン樹脂溶液を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に流延し、室温で30分間放置して溶剤をとばした後、100℃の乾燥機に2時間入れて乾燥させてポリウレタンフィルムを得た。
[参考例2]
脂肪族ポリカーボネートジオールPC-9を40g、レベリング剤としてBYK-331(BYKケミカル製)を0.75g、シンナー(キシレン/酢酸ブチル=70/30(質量比))に2質量%となるように溶解したジブチルスズジラウレート溶液を1.25g、並びにシンナーを40g混ぜて撹拌し、塗料主剤を得た。得られた塗料主剤に、硬化剤として有機ポリイソシアネート(デュラネートTPA-100、旭化成ケミカルズ製、イソシアネート(NCO)含量:23.1%)を7.5g加えて、コーティング組成物塗布液を調製した。
本発明のポリカーボネートジオールは、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ウレタン弾性繊維などの原料として好適である。

Claims (6)

  1. エステル交換反応触媒を用いて重合されたポリカーボネートジオールと、
    下記式(a)で表されるリン酸モノエステルと、
    下記式(b)で表されるリン酸ジエステルと、
    下記式(c)で表されるリン酸トリエステルと、
    を混合し、加熱する工程、
    を含み、
    前記エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比が、0.1~5であり、
    前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルとの質量比が、
    50~90:3~25:0.01~5
    (リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル)
    の関係を満たす、
    ポリカーボネートジオールの製造方法
    Figure 2022162280000006
    [式中、
    1は、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
    2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
    3は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である]。
  2. 前記混合において、リン酸を更に混合することを含み、
    前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルと、前記リン酸との質量比が、
    50~90:3~25:0.01~5:3~25
    (リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル:リン酸)
    の関係を満たす、
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記加熱を、70℃~170℃で15分間~5時間実施する、
    請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記混合において、前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルと、前記リン酸とを、SP値が8.0~11.0(cal/cm31/2である溶媒に溶解した溶液として混合する、
    請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. エステル交換反応触媒を用いて重合されたポリカーボネートジオールと、
    下記式(a)で表されるリン酸モノエステルと、
    下記式(b)で表されるリン酸ジエステルと、
    下記式(c)で表されるリン酸トリエステルと、
    を含み、
    前記エステル交換反応触媒のモル数に対する、リンのモル数の比が、0.1~5であり、
    前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルとの質量比が、
    50~90:3~25:0.01~5
    (リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル)
    の関係を満たす、
    ポリカーボネートジオール
    Figure 2022162280000007
    [式中、
    1は、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
    2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
    3は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である]。
  6. リン酸を更に含み、
    前記リン酸モノエステルと、前記リン酸ジエステルと、前記リン酸トリエステルと、前記リン酸との質量比が、
    50~90:3~25:0.01~5:3~25
    (リン酸モノエステル:リン酸ジエステル:リン酸トリエステル:リン酸)
    の関係を満たす、
    請求項5に記載のポリカーボネートジオール。
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