JP2022160199A - 成形型、これを用いた複合成形品の製造方法及びスペーサ - Google Patents
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Abstract
【課題】構造の簡略化を図りながらも、ウェルドラインの発生を抑制し得る成形型、これを用いた複合成形品の製造方法及びスペーサを提供する。【解決手段】可撓性を有するシート体11の一方面を樹脂成形体13に沿わせた複合成形品10を一体成形する際に用いられる成形型1であって、前記シート体が配置される空間を区画し、前記シート体の一方面に対向する第1型面4を有した第1型2及び該第1型面に対向される第2型面9を有した第2型7を備え、前記第1型は、前記第1型面において開口する樹脂供給口3から離間した位置に、その周囲の前記第1型面と前記シート体との間に空間を形成するように前記シート体に当接され、かつ先端面6aと前記シート体との間に樹脂層14が形成されるように固定的に設けられた押え突部6を備え、該押え突部における溶融樹脂の流動方向下流側の側面6cは、前記先端面から離間するに従い下流側となる傾斜面とされている。【選択図】図1
Description
本発明は、複合成形品を一体成形する際に用いられる成形型、これを用いた複合成形品の製造方法及びスペーサに関する。
従来より、シート体の一方面を樹脂成形体に沿わせた複合成形品を一体成形する際に用いられる成形型が知られている。このような複合成形品を成形する際において樹脂供給口が設けられた側の成形型の面にシート体が沿わせられた状態では、シート体が溶融樹脂の抵抗となるため、シート体を型面に押し付けるピンが設けられる場合がある。この場合には、ゲート部から射出された樹脂がピンの外周面に沿ってピンを回り込むように流れ、つまり、ピンによって分流されてピンの樹脂流動方向下流側において合流することからウェルドラインが生じ易くなる懸念がある。
例えば、下記特許文献1には、インサートフィルムが固定される可動型と、溶融樹脂の射出口を有する固定型と、固定型からキャビティ内に突き出てインサートフィルムを可動型に押し付け、キャビティ内に射出された溶融樹脂の射出圧力によって固定型内に押し込まれる固定ピンと、からなるインサート成形金型が開示されている。
例えば、下記特許文献1には、インサートフィルムが固定される可動型と、溶融樹脂の射出口を有する固定型と、固定型からキャビティ内に突き出てインサートフィルムを可動型に押し付け、キャビティ内に射出された溶融樹脂の射出圧力によって固定型内に押し込まれる固定ピンと、からなるインサート成形金型が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載されたインサート成形金型では、固定ピン後端にバネやエアーシリンダなどの突き出し手段を設ける必要があり、また、固定ピンが射出圧力によって固定型内に押し込まれるように突き出し力を設定する必要があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、構造の簡略化を図りながらも、ウェルドラインの発生を抑制し得る成形型、これを用いた複合成形品の製造方法及びスペーサを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明に係る成形型は、可撓性を有するシート体の一方面を樹脂成形体に沿わせた複合成形品を一体成形する際に用いられる成形型であって、前記シート体が配置される空間を区画し、前記シート体の一方面に対向する第1型面を有した第1型及び該第1型面に対向される第2型面を有した第2型を備え、前記第1型は、前記第1型面において開口する樹脂供給口から離間した位置に、その周囲の前記第1型面と前記シート体との間に空間を形成するように前記シート体に当接され、かつ先端面と前記シート体との間に樹脂層が形成されるように固定的に設けられた押え突部を備え、該押え突部における溶融樹脂の流動方向下流側の側面は、前記先端面から離間するに従い下流側となる傾斜面とされていることを特徴とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る複合成形品の製造方法は、本発明に係る成形型を用い、シート体の一方面を樹脂成形体に沿わせた複合成形品を一体成形する複合成形品の製造方法であって、前記第1型面と前記第2型面との間に前記シート体を配置し、前記押え突部によって前記シート体と該押え突部周囲の前記第1型面との間に空間が形成されるように型閉する工程と、前記樹脂供給口から溶融樹脂を供給して前記押え突部の先端面と前記シート体との間に樹脂層が形成されるように前記樹脂成形体を成形する工程と、を備えていることを特徴とする。
前記目的を達成するために、本発明に係るスペーサは、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサであって、可撓性を有するシート体と、該シート体の一方面が沿わせられた合成樹脂製のスペーサ本体と、を備えており、前記スペーサ本体の厚さ方向で前記シート体が設けられた側とは異なる側には、有底状の凹部が設けられ、該凹部における冷却水の水流方向両側の内側面のうちの少なくとも一方は、該凹部の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面であることを特徴とする。
本発明に係る成形型、これを用いた複合成形品の製造方法及びスペーサは、上述のような構成としたことで、構造の簡略化を図りながらも、ウェルドラインの発生を抑制することができる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1~図5は、第1実施形態に係る成形型の一例、これを用いた複合成形品の製造方法の一例及び他例並びにスペーサの一例を模式的に示す図である。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1~図5は、第1実施形態に係る成形型の一例、これを用いた複合成形品の製造方法の一例及び他例並びにスペーサの一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る成形型1は、図1及び図2に示すように、可撓性を有するシート体11の一方面を樹脂成形体13に沿わせた複合成形品10を一体成形する際に用いられる。
本実施形態では、複合成形品10は、図3に示すように、内燃機関20のシリンダブロック21に設けられた冷却水流路24内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサである。このような構成とすれば、詳細には後述するが成形型1を用いて、冷却水流路24内に配置されて冷却水の流れを規制するスペーサを、ウェルドラインの発生を抑制して成形することができる。本実施形態に係る成形型1を用いて成形される複合成形品10としては、このようなスペーサに限られないが、以下では、一例として複合成形品10を、スペーサ10として説明し、樹脂成形体13を、スペーサ本体13として説明する。成形型1の具体的構成の一例については後述する。
本実施形態では、複合成形品10は、図3に示すように、内燃機関20のシリンダブロック21に設けられた冷却水流路24内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサである。このような構成とすれば、詳細には後述するが成形型1を用いて、冷却水流路24内に配置されて冷却水の流れを規制するスペーサを、ウェルドラインの発生を抑制して成形することができる。本実施形態に係る成形型1を用いて成形される複合成形品10としては、このようなスペーサに限られないが、以下では、一例として複合成形品10を、スペーサ10として説明し、樹脂成形体13を、スペーサ本体13として説明する。成形型1の具体的構成の一例については後述する。
図3では、自動車用エンジン等の内燃機関20の一例として、往復動されるピストン28,28,28をそれぞれに収容する複数(図例では、3つ)のシリンダボア27,27,27が互いに隣接して直列状に設けられたシリンダブロック21を例示している。このシリンダブロック21には、図示省略のシリンダヘッドがガスケットを介して組み付けられる。シリンダボア27,27,27の周囲には、オープンデッキタイプの冷却水流路(ウォータージャケット)24が一連(環状)に溝状に形成されている。この冷却水流路24には、シリンダボア27を取り囲むように円弧状とされた円弧状部24aと、隣接するシリンダボア27,27間の部分が互いに接近して対をなしてくびれ状とされたくびれ部24bと、が設けられている。この冷却水流路24の溝幅方向両側は、シリンダボア27側の内周側壁面26とシリンダボア27とは反対側の外周側壁面25とによって区画されている。シリンダブロック21には、この冷却水流路24に通じる冷却水(不凍液も含む)導入口22と冷却水排出口23とが設けられている。冷却水排出口23は、不図示のラジエータに配管接続され、ラジエータのアウトレット側は、ウォータポンプ(不図示)を介して冷却水導入口22に配管接続される。これによって、冷却水が冷却水流路24とラジエータとの間で循環する。
スペーサ10は、図4(a)、(b)に示すように、シート体11と、このシート体11の一方面が沿わせられた合成樹脂製のスペーサ本体13と、を備えている。図例では、冷却水流路24内に、複数のスペーサ10,10が配置された例を示している。これらスペーサ10,10は、冷却水流路24の概ね全周に亘って設けられている。これらスペーサ10,10は、シリンダボア配列方向に直交する方向に2分割(図例では、略2等分)されている。これらスペーサ10,10のシート体11,11及びスペーサ本体13,13は、互いに同様の構成であるので以下では一方を例にとって説明する。
スペーサ本体13は、図3に示すように、厚さ方向が冷却水流路24の溝幅方向となるように配される薄板状とされている。このスペーサ本体13は、冷却水流路24の円弧状部24aに応じて円弧状に形成された円弧状部18と、冷却水流路24のくびれ部24bに応じて屈曲状に形成され、隣り合う円弧状部18,18同士を接続する接続部19と、を備えている。
スペーサ本体13の厚さ方向でシート体11が設けられた側とは異なる側には、図2(a)、(b)に示すように、有底状の凹部(外周側凹部)17が設けられている。このような構成とすれば、外周側凹部17を設けているので軽量化を図ることができる。このスペーサ本体13は、本実施形態では、図2(a)及び図4(a)に示すように、シート体11に厚さ方向に貫通して設けられた孔(貫通孔)12に連通する凹部(内周側凹部)16を区画するように設けられ厚さ方向一方側に向けて突出する有底筒状の突部15を備えている。本実施形態では、突部15は、各円弧状部18における外周側壁面25に対面する面の周方向略中央部に位置するように設けられ、外周側凹部17は、この突部15から周方向に離間した位置に設けられている。これら突部15及び外周側凹部17の具体的構成の一例については後述する。
スペーサ本体13の厚さ方向でシート体11が設けられた側とは異なる側には、図2(a)、(b)に示すように、有底状の凹部(外周側凹部)17が設けられている。このような構成とすれば、外周側凹部17を設けているので軽量化を図ることができる。このスペーサ本体13は、本実施形態では、図2(a)及び図4(a)に示すように、シート体11に厚さ方向に貫通して設けられた孔(貫通孔)12に連通する凹部(内周側凹部)16を区画するように設けられ厚さ方向一方側に向けて突出する有底筒状の突部15を備えている。本実施形態では、突部15は、各円弧状部18における外周側壁面25に対面する面の周方向略中央部に位置するように設けられ、外周側凹部17は、この突部15から周方向に離間した位置に設けられている。これら突部15及び外周側凹部17の具体的構成の一例については後述する。
シート体11は、スペーサ本体13の円弧状部18における内周側壁面26に対面する面に沿って設けられている。このシート体11の冷却水流路24の周方向に沿う寸法及びシート体11の冷却水流路24の深さ方向に沿う寸法は、スペーサ本体13の円弧状部18の周方向に沿う寸法及び円弧状部18の冷却水流路24の深さ方向に沿う寸法よりも小とされている。図例では、スペーサ本体13の複数(図例では、3つ)の円弧状部18,18,18のそれぞれに、シート体11,11,11が設けられた例を示している。これらシート体11,11,11は、それぞれの周方向中央部が各円弧状部18,18,18の周方向中央部に一致するように設けられているが、このような例に限られない。これらシート体11,11,11は、互いに同様の構成であるので、以下では一つを例にとって説明する。シート体11の貫通孔12の具体的構成の一例については後述する。
シート体11は、本実施形態では、所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化する特性を有している。このような構成とすれば、圧縮状態から厚さ方向に膨大化する特性を有したシート体11をスペーサ本体13に一体成形したスペーサ10を、ウェルドラインの発生を抑制して成形することができる。このシート体11としては、所定の外的要因としての吸水によって厚さ方向に復元(膨張)可能とされたセルロース系スポンジでもよい。セルロース系スポンジは、加圧して圧縮した状態で乾燥すれば、セルロース分子間が水素結合し、その圧縮状態が維持される一方、水に晒される等によって吸水すれば、水分子がセルロース分子間の水素結合を解離させ、圧縮状態から復元する特性を有している。
上記のようなシート体11を設けた構成とすれば、スペーサ10を冷却水流路24内に挿入する際にシート体11が圧縮状態であるので、挿入性を向上させることができる。一方、図4(b)に示すように、シート体11が吸水によって膨大化すれば、このシート体11及びスペーサ本体13によって冷却水の流れを効果的に規制することができる。図例では、シート体11が膨大化した状態で、シート体11が内周側壁面26に当接し、スペーサ本体13の突部15が外周側壁面25に当接しているような例を示しているが、このような例に限られない。
シート体11としては、上記のようなセルロース系スポンジに限られず、水可溶性または熱溶融性のバインダーで圧縮状態とされたゴム系発泡体や合成樹脂系発泡体等でもよく、その他、種々の構成とされたものでもよい。
シート体11としては、上記のようなセルロース系スポンジに限られず、水可溶性または熱溶融性のバインダーで圧縮状態とされたゴム系発泡体や合成樹脂系発泡体等でもよく、その他、種々の構成とされたものでもよい。
成形型1は、図1(a)、(b)に示すように、シート体11が配置される空間を区画し、シート体11の一方面に対向する第1型面4を有した第1型2及び第1型面4に対向される第2型面9を有した第2型7を備えている。第1型2は、第1型面4において開口する樹脂供給口3から離間した位置に、その周囲の第1型面4とシート体11との間に空間を形成するようにシート体11に当接され、かつ先端面6aとシート体11との間に樹脂層14が形成されるように固定的に設けられた押え突部6を備えている(図2(b)も参照)。このような構成とすれば、シート体11が溶融樹脂の抵抗になり難くなり、樹脂供給口3から供給された溶融樹脂の流動性を向上させることができる。また、この押え突部6が第1型2に固定的に設けられているので、固定ピンを出没自在としたようなものと比べて、成形型1の構造の簡略化を図ることができる。これにより、押え突部6の形状を流動性が良好となるように容易に種々の形状にすることができ、簡単な構造でウェルドラインを生じ難くすることができる。また、押え突部6の先端面6aとシート体11との間に樹脂層14が設けられるので、押え突部6が設けられていた部位がシート体11のみやバリ状の樹脂のみになるようなことを抑制することができる。押え突部6が設けられていた部位に樹脂層14が形成されることなくシート体11のみとなった場合において、例えば、シート体11が透水性を有しているような場合には、当該部分を冷却水が通過し意図しない水流が発生するような懸念があるが、上記構成によれば、このようなことを防止することができる。
この押え突部6における溶融樹脂の流動方向下流側の側面(下流側面)6cは、先端面6aから離間するに従い下流側となる傾斜面とされている。このような構成とすれば、ウェルドラインを生じ難くすることができる。つまり、押え突部6の先端面6aに沿って溶融樹脂が流れ、かつ先端面6aに沿って流れる溶融樹脂が傾斜面とされた下流側面6cに沿って流れ易くなることから、押え突部6の外周面(側面)6dに沿って押え突部6を回り込むように流れる溶融樹脂を減少させることができ、ウェルドラインを生じ難くすることができる。これにより、成形された複合成形品としてのスペーサ10に局所的な強度低下によるクラックが生じたり、外観不良が生じたりすることを抑制することができる。この押え突部6の具体的構成については後述する。
本実施形態では、第2型7には、シート体11に形成された貫通孔12に挿通される位置決め突起8が設けられている。このような構成とすれば、スペーサ本体13に対するシート体11の位置ずれを抑制することができる。つまり、シート体11が成形型1のキャビティ内において移動するようなことを抑制することができる。この位置決め突起8は、先端面8aと対向側との間に溶融樹脂の流動可能な隙間を空けて配される。このような構成とすれば、位置決め突起8の先端面8aを覆う部位を含むスペーサ本体13が成形されることとなり、シート体11の位置決めが可能でありながらも、スペーサ本体13に位置決め突起8によって貫通孔が形成されることがない(図4(a)参照)。
本実施形態では、成形型1の位置決め突起8の対向側となる第1型2には、位置決め突起8を受け入れてスペーサ本体13に位置決め突起8の先端面8a及び外周面8bを覆う突部15を形成する突起受入凹所5が設けられている。このような構成とすれば、スペーサ本体13の一方面から突出する有底筒状の突部15を形成することができる。
本実施形態では、成形型1の位置決め突起8の対向側となる第1型2には、位置決め突起8を受け入れてスペーサ本体13に位置決め突起8の先端面8a及び外周面8bを覆う突部15を形成する突起受入凹所5が設けられている。このような構成とすれば、スペーサ本体13の一方面から突出する有底筒状の突部15を形成することができる。
本実施形態では、成形型1には、複数の位置決め突起8,8及び複数の突起受入凹所5,5が設けられている(図2(a)参照)。このような構成とすれば、複数の位置決め突起8,8によってシート体11をより確実に位置決めすることができる。
成形型1の第1型2及び第2型7は、これらによって区画されるキャビティが上記したスペーサ本体13に応じた形状となるように形成されている。第1型2の樹脂供給口3、及び突起受入凹所5並びに第2型7の位置決め突起8は、スペーサ本体13の各円弧状部18,18,18を形成する部位それぞれの周方向(冷却水流路24の周方向)中央部に設けられている。第1型2の押え突部6は、本実施形態では、スペーサ本体13の各円弧状部18,18,18を形成する部位のそれぞれに周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、2箇所)に設けられている。以下では、第1型2の樹脂供給口3、突起受入凹所5及び押え突部6並びに第2型7の位置決め突起8について、一つの円弧状部18を形成する部位を例にとって説明する。
成形型1の第1型2及び第2型7は、これらによって区画されるキャビティが上記したスペーサ本体13に応じた形状となるように形成されている。第1型2の樹脂供給口3、及び突起受入凹所5並びに第2型7の位置決め突起8は、スペーサ本体13の各円弧状部18,18,18を形成する部位それぞれの周方向(冷却水流路24の周方向)中央部に設けられている。第1型2の押え突部6は、本実施形態では、スペーサ本体13の各円弧状部18,18,18を形成する部位のそれぞれに周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、2箇所)に設けられている。以下では、第1型2の樹脂供給口3、突起受入凹所5及び押え突部6並びに第2型7の位置決め突起8について、一つの円弧状部18を形成する部位を例にとって説明する。
位置決め突起8は、本実施形態では、円柱状とされている(図2(a)も参照)。また、本実施形態では、2つの位置決め突起8,8を冷却水流路24の深さ方向に間隔を空けて設けている。これら2つの位置決め突起8,8は、樹脂供給口3から等距離の位置となるように設けられている。これら2つの位置決め突起8,8は、突出寸法及び径が互いに同寸とされている。上記したシート体11には、これら2つの位置決め突起8,8が挿通される貫通孔12,12が設けられている。これら貫通孔12,12の内径は、各位置決め突起8,8の挿通が可能なように、位置決め突起8,8の径に応じた径とされている。位置決め突起8,8の突出寸法は、シート体11の厚さ寸法T1よりも大とされている。
突起受入凹所5は、位置決め突起8に対応させて、本実施形態では、凹所深さ方向に見て位置決め突起8と同心状の円形状とされている。また、本実施形態では、2つの突起受入凹所5,5を、樹脂供給口3から等距離の位置となるように、冷却水流路24の深さ方向に間隔を空けて設けている。これら2つの突起受入凹所5,5は、深さ寸法及び径が互いに同寸とされている。
2つの押え突部6,6は、冷却水流路24の深さ方向で一致した位置となるように、かつ樹脂供給口3から等距離の位置となるように、樹脂供給口3から周方向に離間した位置に設けられている。これら2つの押え突部6,6は、突出寸法、冷却水流路24の深さ方向に沿う寸法及び周方向に沿う寸法が互いに同寸法とされている。これら押え突部6,6は、図1(a)に示すように、凹湾曲面状とされた第1型面4から第2型面9に向けて突出するように設けられている。これら押え突部6,6は、可撓性を有したシート体11が樹脂供給口3やその周囲の第1型面4に密着しないように樹脂供給口3から離間した位置に設けられている。これら押え突部6,6を設ける位置や個数は、図例に限られず、シート体11が全体または概ね全体に亘って第1型面4に対して非接触状となるように適宜の位置や個数としてもよい。例えば、シート体11の概ね全体としてのシート体11の厚さ方向一方面の70%以上が第1型面4に対して非接触状となるように押え突部6,6が設けられていてもよい。これら押え突部6,6は、互いに同様の構成であるので、以下では、具体的構成について一方の押え突部6を例にとって説明する。
本実施形態では、図1(a)、(b)に示すように、型閉状態における押え突部6の先端面6aとこれに対向する第2型面9との間の寸法(隙間寸法)G1がシート体11の厚さ寸法T1よりも大とされている。このような構成とすれば、樹脂供給口3から供給された溶融樹脂によってシート体11が押え突部6の先端面6aから離間するようにして第2型面9に押し付けられて押え突部6の先端面6aとシート体11との間に樹脂層14を設けることができる。押え突部6の突出寸法や隙間寸法G1、樹脂層14の厚さ寸法は、シート体11の厚さ寸法T1や大きさ、スペーサ10の形状に応じて、また強度上の観点やシート体11の第1型面4への密着を防ぐ観点等から適宜の寸法としてもよい。図例では、樹脂層14の厚さ寸法を、シート体11の厚さ寸法T1よりも僅かに大とし、押え突部6の突出寸法を、樹脂層14の厚さ寸法よりも僅かに大としたような例を示しているが、このような例に限られない。
この押え突部6は、本実施形態では、図1及び図2(d)に示すように、溶融樹脂の流動方向に沿って長尺状に形成されている。このような構成とすれば、溶融樹脂の流れに対する抵抗を小さくすることができ、意図しない方向に溶融樹脂が流れることや溶融樹脂の充填不良を抑制することができる。図例では、押え突部6は、突出方向(スペーサ10の厚さ方向)に見て概ね方形状とされている。
押え突部6の先端面6aは、突出方向に見て概ね方形状とされ、第1型面4に概ね平行な湾曲面状(本実施形態では、凹湾曲面状)とされている。この先端面6aは、緩やかな湾曲面状とされ、概ね平坦面状とされている。
押え突部6の先端面6aは、突出方向に見て概ね方形状とされ、第1型面4に概ね平行な湾曲面状(本実施形態では、凹湾曲面状)とされている。この先端面6aは、緩やかな湾曲面状とされ、概ね平坦面状とされている。
押え突部6の下流側面6cは、図2(b)に示すように、この先端面6aとの溶融樹脂の流動方向下流側の縁部となる先端下流側縁部6acから第1型面4に向けて、先端面6aとのなす角度が鈍角となるように傾斜する傾斜面とされている。先端面6aと下流側面6cとのなす角度は、ウェルドラインを抑制する観点等から適宜の角度としてもよく、例えば、100度~170度程度としてもよく、図例では、120度程度とした例を示している。
先端下流側縁部6acは、図2(d)に示すように、湾曲面状とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなり、下流側におけるウェルドラインをより生じ難くすることができる。図例では、先端下流側縁部6acは、突湾曲面状(R面取状)とされている。
下流側面6cにおける第1型面4からの立上部(下流側立上部)6ceは、湾曲面状とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなり、下流側におけるウェルドラインをより生じ難くすることができる。図例では、下流側立上部6ceは、凹湾曲面状とされている。
先端下流側縁部6acは、図2(d)に示すように、湾曲面状とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなり、下流側におけるウェルドラインをより生じ難くすることができる。図例では、先端下流側縁部6acは、突湾曲面状(R面取状)とされている。
下流側面6cにおける第1型面4からの立上部(下流側立上部)6ceは、湾曲面状とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなり、下流側におけるウェルドラインをより生じ難くすることができる。図例では、下流側立上部6ceは、凹湾曲面状とされている。
押え突部6における溶融樹脂の流動方向上流側の側面(上流側面)6bは、先端面6aから離間するに従い上流側となる傾斜面とされている。このような構成とすれば、押え突部6の先端面6a側に溶融樹脂を円滑に流動させることができ、下流側におけるウェルドラインをより生じ難くすることができる。この上流側面6bと先端面6aとのなす角度は、上記同様、例えば、100度~170度程度であってもよい。
この上流側面6bと先端面6aとの縁部(先端上流側縁部)6abは、上記同様、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなる。
この上流側面6bにおける第1型面4からの立上部(上流側立上部)6beは、上記同様、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなる。
この上流側面6bと先端面6aとの縁部(先端上流側縁部)6abは、上記同様、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなる。
この上流側面6bにおける第1型面4からの立上部(上流側立上部)6beは、上記同様、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなる。
押え突部における溶融樹脂の流動方向に沿う両側の側面6d,6dと下流側面6cとの縁部(側部下流側縁部)6cd,6cdは、湾曲面状とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなり、下流側におけるウェルドラインをより生じ難くすることができる。図例では、これら側部下流側縁部6cd,6cdは、突湾曲面状(R面取状)とされている。
これら両側の側面6d,6dと上流側面6bとの縁部(側部上流側縁部)6bd,6bdも同様、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなる。
これら両側の側面6d,6dは、先端面6aから離間するに従い互いに離れる側となる傾斜面とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂をより円滑に流動させることができる。
これら両側の側面6d,6dと上流側面6bとの縁部(側部上流側縁部)6bd,6bdも同様、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が下流側に向けて円滑に流れ易くなる。
これら両側の側面6d,6dは、先端面6aから離間するに従い互いに離れる側となる傾斜面とされている。このような構成とすれば、溶融樹脂をより円滑に流動させることができる。
これら両側の側面6d,6dと先端面6aとの縁部(先端側部縁部)6ad,6adは、上記同様、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が円滑に流れ易くなる。
これら両側の側面6d,6dにおける第1型面4からの立上部(側部立上部)6de,6deは、上記同様、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が円滑に流れ易くなる。
つまり、本実施形態では、押え突部6は、第1型面4側の突出方向基端から突出方向先側に向かうに従い先細状に形成されている。また、押え突部6は、その先端面6aの周縁部(本実施形態では、四周縁部)6ab,6ac,6ad,6adが湾曲面状とされている。このような構成とすれば、押え突部6によって押えられるシート体11に傷が付くようなことを防止することができる。また、押え突部6は、その周方向全体(本実施形態では、四周全体)の立上部6be,6ce,6de,6deが湾曲面状とされている。また、押え突部6は、その側面(本実施形態では、四周側面)6b,6d,6d,6c同士の縁部6bd,6bd,6cd,6cdが湾曲面状とされている。
これら両側の側面6d,6dにおける第1型面4からの立上部(側部立上部)6de,6deは、上記同様、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。このような構成とすれば、上記同様、溶融樹脂が円滑に流れ易くなる。
つまり、本実施形態では、押え突部6は、第1型面4側の突出方向基端から突出方向先側に向かうに従い先細状に形成されている。また、押え突部6は、その先端面6aの周縁部(本実施形態では、四周縁部)6ab,6ac,6ad,6adが湾曲面状とされている。このような構成とすれば、押え突部6によって押えられるシート体11に傷が付くようなことを防止することができる。また、押え突部6は、その周方向全体(本実施形態では、四周全体)の立上部6be,6ce,6de,6deが湾曲面状とされている。また、押え突部6は、その側面(本実施形態では、四周側面)6b,6d,6d,6c同士の縁部6bd,6bd,6cd,6cdが湾曲面状とされている。
上記のような構成とされた成形型1を用い、シート体11の一方面をスペーサ本体13に沿わせたスペーサ10を一体成形する複合成形品の製造方法は、第1型面4と第2型面9との間にシート体11を配置し、押え突部6,6によってシート体11と押え突部6,6周囲の第1型面4との間に空間が形成されるように型閉する工程と、樹脂供給口3から溶融樹脂を供給して押え突部6,6の先端面6a,6aとシート体11との間に樹脂層14が形成されるようにスペーサ本体13を成形する工程と、を備えている。本実施形態では、同製造方法は、シート体11に形成された貫通孔12に、成形型1に設けられた位置決め突起8を挿通させてシート体11を位置決めする工程を備えている。
具体的には、図1(a)に示すように、第1型2と第2型7とを型開した状態で、第2型7の位置決め突起8をシート体11の貫通孔12に挿通させてシート体11を第2型7に対して位置決めする。そして、図1(b)に示すように、押え突部6,6によってシート体11と押え突部6,6周囲の第1型面4との間に空間が形成されるように第1型2と第2型7とを型閉し、樹脂供給口3を介してキャビティ内に溶融樹脂を供給する。
この樹脂供給口3から供給された溶融樹脂は、第1型2の第1型面4と、押え突部6,6によって第1型面4から離間されたシート体11と、の間を流れ、押え突部6,6の先端面6a,6a側を流れる。また、両側の位置決め突起8,8の先端面8a,8a及び外周面8b,8b並びに両側の突起受入凹所5,5の底面及び内周面に沿って流れる。
そして、適宜、保圧、型開、離型すれば、シート体11の一方面をスペーサ本体13に沿わせたスペーサ10が成形される。
この樹脂供給口3から供給された溶融樹脂は、第1型2の第1型面4と、押え突部6,6によって第1型面4から離間されたシート体11と、の間を流れ、押え突部6,6の先端面6a,6a側を流れる。また、両側の位置決め突起8,8の先端面8a,8a及び外周面8b,8b並びに両側の突起受入凹所5,5の底面及び内周面に沿って流れる。
そして、適宜、保圧、型開、離型すれば、シート体11の一方面をスペーサ本体13に沿わせたスペーサ10が成形される。
このスペーサ10のスペーサ本体13に設けられた外周側凹部17における冷却水の水流方向両側の内側面17b,17cのうちの少なくとも一方は、外周側凹部17の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面とされている。このような構成とすれば、外周側凹部17を設けて軽量化を図ることが可能でありながらも、水流方向両側の内側面17b,17cのうちの少なくとも一方を傾斜面としているので、冷却水の水流への影響を軽減することができ、また、水流によってスペーサ本体13が破損等するようなことを軽減することができる。本実施形態では、水流方向両側の内側面17b,17cを、外周側凹部17の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面としている。このような構成とすれば、冷却水の水流への影響をより効果的に軽減することができる。本実施形態では、この外周側凹部17は、冷却水の水流方向となる円弧状部18の周方向に沿って長尺状に形成されている。このような構成とすれば、冷却水の水流への影響やスペーサ本体13が破損等をより効果的に軽減することができる。
本実施形態では、スペーサ本体13の円弧状部18には、図2(a)及び図4(a)に示すように、その周方向中央部において冷却水流路24の深さ方向に間隔を空けて2つの突部15,15が設けられ、これら突部15,15間の中間部から周方向両側に間隔を空けた位置のそれぞれに外周側凹部17,17が設けられている。
これら突部15,15は、円弧状部18の径方向外側に向けて突出するように設けられている。これら突部15,15は、有底の略円筒形状とされている。これら突部15,15は、互いに突出寸法及び径が同寸とされている。これら突部15,15のシート体11側においてそれぞれ開口するように内周側凹部16,16が設けられている。これら内周側凹部16,16は、これらの深さ方向に見て、略円形状とされている。これら内周側凹部16,16の径は、シート体11の貫通孔12,12の径と略同径とされている。
これら突部15,15は、円弧状部18の径方向外側に向けて突出するように設けられている。これら突部15,15は、有底の略円筒形状とされている。これら突部15,15は、互いに突出寸法及び径が同寸とされている。これら突部15,15のシート体11側においてそれぞれ開口するように内周側凹部16,16が設けられている。これら内周側凹部16,16は、これらの深さ方向に見て、略円形状とされている。これら内周側凹部16,16の径は、シート体11の貫通孔12,12の径と略同径とされている。
両側の外周側凹部17,17は、円弧状部18の径方向外側に向けて開口するように設けられている。これら外周側凹部17,17は、互いに同様の構成であるので、以下では、具体的構成について一方の外周側凹部17を例にとって説明する。
この外周側凹部17は、上記した押え突部6によって成形され押え突部6に応じた形状とされている。つまり、この外周側凹部17は、深さ方向(スペーサ10の厚さ方向)に見て概ね方形状とされている。この外周側凹部17の底面17aは、深さ方向に見て概ね方形状とされ、スペーサ本体13の外周側壁面25側に向く面に概ね平行な湾曲面状(本実施形態では、突湾曲面状)とされている。この底面17aは、緩やかな湾曲面状とされ、概ね平坦面状とされている。外周側凹部17の水流方向両側の内側面17b,17cのうちの一方の第1内側面17b及び他方の第2内側面17cは、いずれも外周側凹部17の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面とされている。水流方向に沿う両側の内側面17d,17dも同様、外周側凹部17の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面とされている。
この外周側凹部17は、上記した押え突部6によって成形され押え突部6に応じた形状とされている。つまり、この外周側凹部17は、深さ方向(スペーサ10の厚さ方向)に見て概ね方形状とされている。この外周側凹部17の底面17aは、深さ方向に見て概ね方形状とされ、スペーサ本体13の外周側壁面25側に向く面に概ね平行な湾曲面状(本実施形態では、突湾曲面状)とされている。この底面17aは、緩やかな湾曲面状とされ、概ね平坦面状とされている。外周側凹部17の水流方向両側の内側面17b,17cのうちの一方の第1内側面17b及び他方の第2内側面17cは、いずれも外周側凹部17の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面とされている。水流方向に沿う両側の内側面17d,17dも同様、外周側凹部17の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面とされている。
第1内側面17bと底面17aとの入隅部(第1底側入隅部)17ab、第2内側面17cと底面17aとの入隅部(第2底側入隅部)17ac及び両側の内側面17d,17dと底面17aとの入隅部(側部底側入隅部)17ad,17adは、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。
第1内側面17bの開口縁部(第1開口縁部)17be、第2内側面17cの開口縁部(第2開口縁部)17ce及び両側の内側面17d,17dの開口縁部(側部開口縁部)17de,17deは、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。
第1内側面17bと両側の内側面17d,17dとの入隅部(第1側部入隅部)17bd,17bd及び第2内側面17cと両側の内側面17d,17dとの入隅部(第2側部入隅部)17cd,17cdは、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。
第1内側面17bの開口縁部(第1開口縁部)17be、第2内側面17cの開口縁部(第2開口縁部)17ce及び両側の内側面17d,17dの開口縁部(側部開口縁部)17de,17deは、湾曲面状(図例では、突湾曲面状)とされている。
第1内側面17bと両側の内側面17d,17dとの入隅部(第1側部入隅部)17bd,17bd及び第2内側面17cと両側の内側面17d,17dとの入隅部(第2側部入隅部)17cd,17cdは、湾曲面状(図例では、凹湾曲面状)とされている。
つまり、本実施形態では、外周側凹部17は、底側から開口側に向かうに従い拡開状に形成されている。また、外周側凹部17は、その底面17aの周方向全体(本実施形態では、四周全体)の入隅部17ab,17ac,17ad,17adが湾曲面状とされている。また、外周側凹部17は、その開口周縁部(本実施形態では、四周縁部)17be,17ce,17de,17deが湾曲面状とされている。また、外周側凹部17は、その内側面(本実施形態では、四周内側面)17b,17d,17d,17c同士の入隅部17bd,17bd,17cd,17cdが湾曲面状とされている。
上記のような構成とすれば、冷却水の水流への影響をより効果的に軽減することができる。また、入隅部及び開口周縁部にエッジが形成されているものに比べて、水流、熱または冷却水による膨張、変形等による入隅部及び開口周縁部に対する応力の集中を回避することができ、クラックの発生を防止することができる。
上記した例では、シート体11を所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化する特性を有した構成としたが、このような特性を有していない構成であってもよい。シート体11としては、例えば、皮革や布、織物、木質単板、樹脂シート、コルクシート等であってもよく、後記するシート体11Aのようなものであってもよい。
上記のような構成とすれば、冷却水の水流への影響をより効果的に軽減することができる。また、入隅部及び開口周縁部にエッジが形成されているものに比べて、水流、熱または冷却水による膨張、変形等による入隅部及び開口周縁部に対する応力の集中を回避することができ、クラックの発生を防止することができる。
上記した例では、シート体11を所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化する特性を有した構成としたが、このような特性を有していない構成であってもよい。シート体11としては、例えば、皮革や布、織物、木質単板、樹脂シート、コルクシート等であってもよく、後記するシート体11Aのようなものであってもよい。
次に、上記した成形型1を用いた複合成形品の製造方法の他例について図5を参照して説明する。先に説明した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。また、先に説明した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
本例では、シート体11Aは、厚さ方向に圧縮可能とされ、圧縮前の厚さ寸法T2が型閉状態における押え突部6の先端面6aとこれに対向する第2型面9との間の隙間寸法G1以上とされ、樹脂供給口3から供給される溶融樹脂によって圧縮される構成とされている。このような構成とすれば、型閉状態においてシート体11Aが押え突部6の先端面6aとこれに対向する第2型面9との間に挟み込まれるようにして保持されるので、シート体11Aの位置ずれを抑制することができる。このシート体11Aの圧縮前の厚さ寸法T2は、図5(b)に示すように、シート体11Aが型閉状態で全体または概ね全体に亘って第1型面4に対して非接触状となるように適宜の寸法としてもよい。つまり、シート体11Aと第1型面4との間に全体または概ね全体に亘って隙間が形成され、樹脂供給口3からの溶融樹脂が流れる空間が形成されるように適宜の寸法としてもよい。このシート体11Aの圧縮前の厚さ寸法T2は、好ましくは、隙間寸法G1の1.0倍~1.2倍であってもよい。このシート体11Aの圧縮後(溶融樹脂によって圧縮された状態)の厚さ寸法は、隙間寸法G1の0.3倍~0.5倍であってもよい。このシート体11Aとしては、圧縮変形可能な柔軟性を有したものであればよく、ウレタンフォーム等の樹脂発泡体から形成されたものであってもよい。
上記した例では、押え突部6の外郭形状を突出方向に見て略方形状とした例を示しているが、楕円状や半楕円状、菱形状、三角形状、その他の多角形状等としてもよい。また、先端面6aが概ね方形状とされた態様に代えて、円状や楕円状、半楕円状、菱形状、三角形状、その他の多角形状等としてもよく、更には、線状や点状等の極めて面積が小とされていてもよい。この押え突部6は、少なくとも下流側面6cが傾斜面とされていればよく、上記のような形状に限られず、その他、種々の形状とされていてもよい。
上記した例では、成形型1は、湾曲形状のスペーサ本体13に沿わせるように可撓性を有したシート体11,11Aを変形させて一体成形する構成とされた例を示したが、平板状の複合成形品を成形する構成とされていてもよい。このような場合においてシート体11,11Aが反り等によって湾曲しているような場合にも上記のような押え突部6を設けることで複合成形品10を好適に成形することができる。
上記した各例では、シート体11,11Aの一方面を樹脂成形体13に沿わせた複合成形品10を、冷却水流路24内に配置されるスペーサ10とした例を示しているが、自動車の内装トリムやガーニッシュ、産業機械、電子機器、建築資材等において用いられる種々の部品や部材を構成するものとしてもよい。上記した成形型1及びスペーサ(複合成形品)10を構成する各部の構成は、上記した例に限られず、その他、種々の変形が可能である。
上記した例では、成形型1は、湾曲形状のスペーサ本体13に沿わせるように可撓性を有したシート体11,11Aを変形させて一体成形する構成とされた例を示したが、平板状の複合成形品を成形する構成とされていてもよい。このような場合においてシート体11,11Aが反り等によって湾曲しているような場合にも上記のような押え突部6を設けることで複合成形品10を好適に成形することができる。
上記した各例では、シート体11,11Aの一方面を樹脂成形体13に沿わせた複合成形品10を、冷却水流路24内に配置されるスペーサ10とした例を示しているが、自動車の内装トリムやガーニッシュ、産業機械、電子機器、建築資材等において用いられる種々の部品や部材を構成するものとしてもよい。上記した成形型1及びスペーサ(複合成形品)10を構成する各部の構成は、上記した例に限られず、その他、種々の変形が可能である。
1 成形型
2 第1型
3 樹脂供給口
4 第1型面
6 押え突部
6a 先端面
6ac 先端下流側縁部(先端面と下流側面との縁部)
6b 上流側面(流動方向上流側の側面)
6c 下流側面(流動方向下流側の側面)
6cd 側部下流側縁部(側面と下流側面との縁部)
6ce 下流側立上部(下流側面における第1型面からの立上部)
6d 側面(流動方向に沿う側面)
7 第2型
8 位置決め突起
9 第2型面
10 スペーサ(複合成形品)
11,11A シート体
12 貫通孔(孔)
13 スペーサ本体(樹脂成形体)
14 樹脂層
17 外周側凹部(凹部)
17b 第1内側面(水流方向の内側面)
17c 第2内側面(水流方向の内側面)
20 内燃機関
21 シリンダブロック
24 冷却水流路
G1 隙間寸法(押え突部の先端面とこれに対向する第2型面との間の寸法)
T1,T2 シート体の厚さ寸法
2 第1型
3 樹脂供給口
4 第1型面
6 押え突部
6a 先端面
6ac 先端下流側縁部(先端面と下流側面との縁部)
6b 上流側面(流動方向上流側の側面)
6c 下流側面(流動方向下流側の側面)
6cd 側部下流側縁部(側面と下流側面との縁部)
6ce 下流側立上部(下流側面における第1型面からの立上部)
6d 側面(流動方向に沿う側面)
7 第2型
8 位置決め突起
9 第2型面
10 スペーサ(複合成形品)
11,11A シート体
12 貫通孔(孔)
13 スペーサ本体(樹脂成形体)
14 樹脂層
17 外周側凹部(凹部)
17b 第1内側面(水流方向の内側面)
17c 第2内側面(水流方向の内側面)
20 内燃機関
21 シリンダブロック
24 冷却水流路
G1 隙間寸法(押え突部の先端面とこれに対向する第2型面との間の寸法)
T1,T2 シート体の厚さ寸法
Claims (14)
- 可撓性を有するシート体の一方面を樹脂成形体に沿わせた複合成形品を一体成形する際に用いられる成形型であって、
前記シート体が配置される空間を区画し、前記シート体の一方面に対向する第1型面を有した第1型及び該第1型面に対向される第2型面を有した第2型を備え、
前記第1型は、前記第1型面において開口する樹脂供給口から離間した位置に、その周囲の前記第1型面と前記シート体との間に空間を形成するように前記シート体に当接され、かつ先端面と前記シート体との間に樹脂層が形成されるように固定的に設けられた押え突部を備え、該押え突部における溶融樹脂の流動方向下流側の側面は、前記先端面から離間するに従い下流側となる傾斜面とされていることを特徴とする成形型。 - 請求項1において、
型閉状態における前記押え突部の先端面とこれに対向する前記第2型面との間の寸法が前記シート体の厚さ寸法よりも大とされていることを特徴とする成形型。 - 請求項1において、
前記シート体は、厚さ方向に圧縮可能とされ、圧縮前の厚さ寸法が型閉状態における前記押え突部の先端面とこれに対向する前記第2型面との間の寸法以上とされ、前記樹脂供給口から供給される溶融樹脂によって圧縮されることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記押え突部における溶融樹脂の流動方向上流側の側面は、前記先端面から離間するに従い上流側となる傾斜面とされていることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記押え突部の前記先端面と溶融樹脂の流動方向下流側の前記傾斜面との縁部が湾曲面状であることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記押え突部における溶融樹脂の流動方向に沿う両側の側面と溶融樹脂の流動方向下流側の前記傾斜面との縁部が湾曲面状であることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至6のいずれか1項において、
溶融樹脂の流動方向下流側の前記傾斜面における前記第1型面からの立上部が湾曲面状であることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至7のいずれか1項において、
前記押え突部は、溶融樹脂の流動方向に沿って長尺状に形成されていることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至8のいずれか1項において、
前記第2型には、前記シート体に形成された孔に挿通される位置決め突起が設けられていることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至9のいずれか1項において、
前記複合成形品は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサであることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至10のいずれか1項において、
前記シート体は、所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化する特性を有していることを特徴とする成形型。 - 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の成形型を用い、シート体の一方面を樹脂成形体に沿わせた複合成形品を一体成形する複合成形品の製造方法であって、
前記第1型面と前記第2型面との間に前記シート体を配置し、前記押え突部によって前記シート体と該押え突部周囲の前記第1型面との間に空間が形成されるように型閉する工程と、前記樹脂供給口から溶融樹脂を供給して前記押え突部の先端面と前記シート体との間に樹脂層が形成されるように前記樹脂成形体を成形する工程と、を備えていることを特徴とする複合成形品の製造方法。 - 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサであって、
可撓性を有するシート体と、該シート体の一方面が沿わせられた合成樹脂製のスペーサ本体と、を備えており、
前記スペーサ本体の厚さ方向で前記シート体が設けられた側とは異なる側には、有底状の凹部が設けられ、該凹部における冷却水の水流方向両側の内側面のうちの少なくとも一方は、該凹部の開口を拡開させる側に傾斜する傾斜面であることを特徴とするスペーサ。 - 請求項13において、
前記凹部は、冷却水の水流方向に沿って長尺状に形成されていることを特徴とするスペーサ。
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JP2021064816A JP2022160199A (ja) | 2021-04-06 | 2021-04-06 | 成形型、これを用いた複合成形品の製造方法及びスペーサ |
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JP (1) | JP2022160199A (ja) |
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2021
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