JP2022158638A - 作業工具及びインパクト工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】動作モードの切替がスムーズに行え、レバー部材の組立性も良好となる作業工具を提供する。【解決手段】インパクトドライバ1は、モードチェンジリング6と、モードチェンジリング6の操作に伴い、支軸289を介して揺動するモードチェンジシフタ285のリンク部286と、リンク部286の揺動と連係して直線移動するハンマスリーブと、を含んでなる。そして、リンク部286は、支軸289がリンク部286に挿入されることで揺動可能となっており、リンク部286における支軸289の挿入部分は、リンク部286に沿って延びる長円孔288となっている。【選択図】図9

Description

本開示は、動作モードの切替部を備えたインパクトドライバ等の作業工具及びインパクト工具に関する。
電動工具やエア工具等の作業工具では、内部機構の切替部材の位置を変更することで動作モードの切替を可能としたものがある。例えば特許文献1には、減速部のインターナルギヤをケース内で軸線方向へスライド可能に設け、インターナルギヤの位置を変更することで出力される速度を変更可能とした電動工具が開示されている。ここではケースの外側に、シフトアーム(レバー部材)が設けられている。シフトアームは、ケースの左右に設けた突起(支軸)によって回転可能に支持されて、左右両端に設けたピンがケースに設けた貫通孔を介してインターナルギヤ(切替部材)に係止している。シフトアームの中間部位は、シフトノブ(操作部材)に連結されている。操作部材をスライドさせると、シフトアームが突起を中心に揺動してインターナルギヤを軸線方向にスライドさせることができる。
実用新案登録第2585716号公報(図4)
上記従来のシフトアームは、突起を中心に揺動するため、回転するに従ってインターナルギヤの軸心からピンがずれることになる。よって、インターナルギヤのストロークが大きくなると、インターナルギヤに傾きが生じ、ピンが脱落したり、切替不良が起きたりするおそれがある。また、シフトアームを突起に組み付ける際、シフトアームを曲げる必要があり、シフトアームの剛性が高いと組み付けが難しくなっていた。
そこで、本開示は、動作モードの切替がスムーズに行え、レバー部材の組立性も良好となる作業工具及びインパクト工具を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、本開示の第1は、作業工具であって、
操作部材と、
前記操作部材の操作に伴い、支軸を介して揺動するレバー部材と、
前記レバー部材の揺動と連係して直線移動する切替部材と、を含んでなる作業工具であって、
前記レバー部材は、前記支軸が前記レバー部材に挿入されることで揺動可能となっており、前記レバー部材における前記支軸の挿入部分は、前記レバー部材に沿って延びる長孔となっていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2は、インパクト工具であって、
モータと、
前記モータにより回転するアンビルと、
前記アンビルを回転方向に打撃するハンマと、
前記ハンマに外装される動作モード切替用のスリーブ部材と、
前記スリーブ部材の外周に設けられるリング溝と、
前記リング溝に係止する係止部と、
前記係止部を、前記スリーブ部材の軸線方向にのみ移動させるリンク部と、を有することを特徴とする。
本開示によれば、動作モードの切替がスムーズに行え、レバー部材の組立性も良好となる。
インパクトドライバの側面図である。 インパクトドライバの平面図である。 インパクトドライバの背面図である。 インパクトドライバの後方からの斜視図である。 右側の半割ハウジングを省略して本体を中央縦断面で示すインパクトドライバの説明図である。 リヤカバーを取り外した状態のインパクトドライバの一部斜視図で、図6Aは前方から、図6Bは後方からそれぞれ示している。 図1のA-A線拡大断面図である。 本体ハウジングの胴体部の分解斜視図である。 作動ユニットの説明図で、図9Aは側面、図9Bは正面をそれぞれ示す。 図9BのC-C線拡大断面図である。 図9BのD-D線拡大断面図である。 図12Aは、図9BのE-E線部分断面図、図12Bは、図9BのF-F線部分断面図、図12Cは、図9BのG-G線部分断面図である。 図1のB-B線拡大断面図である。 減速部の後方からの分解斜視図である。 図15Aは、図10のH-H線断面、図15Bは、図10のI-I線断面、図15Cは、図10のJ-J線断面をそれぞれ示す。 図16Aは、図10のK-K線断面、図16Bは、図10のL-L線断面、図16Cは、図10のM-M線断面をそれぞれ示す。 減速部の前方からの分解斜視図である。 図18Aは、図10のN-N線断面、図18Bは、図10のO-O線断面、図18Cは、図10のP-P線断面をそれぞれ示す。 ドリルモードで1速を選択した作動ユニットの説明図で、図19Aは平面、図19Bは側面、図19Cは底面、図19Dは水平断面、図19Eは中央縦断面をそれぞれ示す。 震動ドリルモードで2速を選択した作動ユニットの説明図で、図20Aは平面、図20Bは側面、図20Cは底面、図20Dは水平断面、図20Eは中央縦断面をそれぞれ示す。 インパクト大モード(3速)を選択した作動ユニットの説明図で、図21Aは平面、図21Bは側面、図21Cは底面、図21Dは水平断面、図21Eは中央縦断面をそれぞれ示す。 インパクト小モード(4速)を選択した作動ユニットの説明図で、図22Aは平面、図22Bは側面、図22Cは底面、図22Dは水平断面、図22Eは中央縦断面をそれぞれ示す。 打撃部の分解斜視図である。 図24Aは、図10のQ-Q線断面、図24Bは、図10のR-R線断面、図24Cは、図10のS-S線断面をそれぞれ示す。 震動部の分解斜視図である。 図26Aは、図10のT-T線断面、図26Bは、図10のU-U線断面、図26Cは、図10のV-V線断面をそれぞれ示す。 作動ユニットの下方からの斜視図である。 図10のW-W線拡大断面図である。 ビットの装着構造の説明図で、図29Aはビット挿入時、図29Bは、ビット装着時、図29Cはビット抜き取り時をそれぞれ示す。 図30Aは、インパクト大モードでインナハンマが最大ストローク後退した状態を示す作動ユニットの中央縦断面図、図30Bは、X-X線断面図である。 図31Aは、釘打ち用ビットを装着したアンビル部分の縦断面図、図31Bは、釘打ち用ビットの分解斜視図である。
本開示の一実施形態において、切替部材は、ケースの内部に設けられ、操作部材及びレバー部材は、ケースの外部に設けられて、支軸は、ケースの外面から突出しているものであってもよい。この構成によれば、ケース越しでも切替部材をスムーズに直線移動させることができる。リンク部の組み付けもケースの外部で容易に行える。
本開示の一実施形態において、レバー部材と切替部材との連係は、レバー部材の端部に設けた係止ピンを切替部材に係止させて行われるものであってもよい。この構成によれば、リンク部の揺動を切替部材の直線移動に変換することができる。
本開示の一実施形態において、係止ピンは、切替部材の直線移動方向に沿ってケースに設けられた直線状のガイド孔を介して切替部材に係止しているものであってもよい。この構成によれば、切替部材の軸線方向に沿った係止ピンの移動をガイドすることができる。
本開示の一実施形態において、ケース内には、スピンドルと、スピンドルに外装されるハンマとを含む打撃部が設けられ、切替部材は、ハンマに外装されて軸線方向に移動可能としたスリーブ部材であってもよい。この構成によれば、打撃部でのインパクトモードの切替がスムーズに行える。
本開示の一実施形態において、スリーブ部材には、外周にリング溝が形成され、リング溝に係止ピンが係止しているものであってもよい。この構成によれば、スリーブ部材をスムーズに直線移動させることができる。
本開示の一実施形態において、レバー部材は、一対設けられて一端部同士が連結部で連結され、連結部が操作部材の操作に伴って揺動し、各レバー部材の他端部に設けた係止ピンがそれぞれリング溝に係止しているものであってもよい。この構成によれば、スリーブ部材を確実に直線移動させることができる。
本開示の一実施形態において、係止ピンは、スリーブ部材の軸線を中心とした点対称位置に配置されていてもよい。この構成によれば、スリーブ部材に傾きが生じにくくなる。
本開示の一実施形態において、操作部材は、動作モードを切り替えるために設けられるものであってもよい。この構成によれば、動作モードの切替に伴うスリーブ部材の直線移動を連係して行うことができる。
本開示の一実施形態において、操作部材は、回転操作によって動作モードを切り替えるものであってもよい。この構成によれば、動作モードの切替が容易に行える。
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。
(インパクトドライバの概略及びハウジング構造の説明)
図1は、作業工具及び電動工具、さらにはインパクト工具の一例である充電式のインパクトドライバの側面図である。図2は、インパクトドライバの平面図である。図3は、インパクトドライバの背面図である。図4は、インパクトドライバの後方からの斜視図である。図5は、右側の半割ハウジングを省略して本体を中央縦断面で示すインパクトドライバの説明図である。
インパクトドライバ1は、本体2とハンドル3とを有する。本体2は、中心軸を前後方向として形成されている。本体2の内部には、モータ4と作動ユニット5とが設けられている。作動ユニット5は、前部に、外部に露出するモードチェンジリング6を備えている。モードチェンジリング6の前側には、前方へ露出するハンマケース7が設けられている。作動ユニット5は、ハンマケース7の中心から前向きに突出するアンビル8を備えている。作動ユニット5の上面には、上方へ露出する速度切替ダイヤル9が回転操作可能に設けられている。ハンドル3は、本体2から下方へ突出している。ハンマケース7の前面には、ゴム製のバンパ43が装着されている。
インパクトドライバ1は、ハウジングとして、本体ハウジング10とリヤカバー11とハンマケース7とを備えている。本体ハウジング10は、胴体部12と、グリップ部13と、ガード部14と、バッテリ装着部15とを含んでいる。胴体部12は、筒状に形成されて本体2の前後端を除く中間部分を形成する。胴体部12の左右後部には、複数の吸気口16,16・・が形成されている。胴体部12は、モータ4及び作動ユニット5を保持して、前側にモードチェンジリング6とハンマケース7とを露出させている。
グリップ部13は、胴体部12の後端から下向きに形成されて、ハンドル3の後側を形成する。グリップ部13の上端には、スイッチ17が設けられている。スイッチ17は、トリガ18を前向きに突出させている。グリップ部13は、胴体部12の後端に位置している。よって、グリップ部13の根元を把持して本体2を前方へ押しやすくなっている。スイッチ17の上側には、モータ4の正逆切替ボタン19が設けられている。
ガード部14は、胴体部12の前端から下向きに形成されて、ハンドル3の前側を形成する。ガード部14は、グリップ部13よりも小さい左右幅で形成され、正面視でグリップ部13と重なっている。ガード部14の上端は、本体2の前方でアンビル8の下方まで湾曲状に延びる立ち上がり部20となっている。立ち上がり部20の上端には、ライト21が設けられている。ライト21は、アンビル8の前方を照射する。ガード部14の内部には、配線収容空間22が形成されている。配線収容空間22には、例えば、後述するコントローラ25とライト21、さらにはセンサ等とを電気的に接続する図示しないリード線が収容されている。
バッテリ装着部15は、グリップ部13の下端とガード部14の下端とが繋がっている。よって、ハンドル3はループ状に形成される。バッテリ装着部15には、電源となるバッテリパック23が前方からスライド装着される。バッテリ装着部15には、端子台24とコントローラ25とが設けられている。端子台24には、バッテリパック23が電気的に接続される。コントローラ25は、制御回路基板26を備えている。コントローラ25は、モータ4の制御やバッテリパック23の残容量の監視といった各種制御を行う。また、コントローラ25は、出力トルクが所定値以上となった場合にモータ4の回転を停止させる電子クラッチ機能も備えている。
ガード部14の裏側(内側)には、表示部27が設けられている。表示部27は、図示しないリード線を介して制御回路基板26と電気的に接続されている。表示部27は、バッテリパック23の残容量や電子クラッチの段数等を表示する。表示部27は、タッチパネルで形成されており、電子クラッチの段数は、表示部27へのタッチ操作で選択できる。
本体ハウジング10及びリヤカバー11は、樹脂製である。本体ハウジング10は、左右の半割ハウジング10a,10bに分割され、右側から複数のネジ28,28・・によって組み付けられる。
リヤカバー11は、キャップ部30と、ネジ止め部31とを備える。キャップ部30は、背面視円形状で、図6に示すように、胴体部12の後端に形成した筒状部32に後方から被せられていんろう結合される。キャップ部30の周面には、複数の排気口33,33・・が形成されている。排気口33は、何れもキャップ部30の周方向に延びる長円状である。但し、キャップ部30の上半分では、図7に示すように、周方向に長い排気口33A(区別する際は「33A」と表記する。)が左右に1つずつ形成されている。キャップ部30の下半分では、周方向に短い排気口33B(区別する際は「33B」と表記する。)が左右に2つずつ形成されている。上半分の2つの排気口33A,33Aにおいて、周方向で互いに隣接する内縁34a,34aは、上下方向に形成されている。周方向で互いに離間する内縁34b、34bは、左右方向に形成されている。下半分の4つの排気口33Bの内縁は、内縁34bと平行となるようにそれぞれ左右方向に形成されている。
キャップ部30の内側には、モータ4の回転軸53に設けたファン35が配置されている。このファン35が正逆何れに回転しても、2つの排気口33A,33Aでは、内縁34a,34aによって上向きに空気が案内されて上方へ排出されることになる。
ネジ止め部31は、キャップ部30の下部から下向きに形成される。胴体部12の後面で筒状部32の下方には、上下方向に延びる回り止め部36が突設されている。回り止め部36の中央上側には、雌ネジ部37が形成されている。雌ネジ部37の下方には、後方に開口する通し孔38が形成されている。通し孔38は、下方のグリップ部13と本体2内部との配線を通すためのものである。
ネジ止め部31は、回り止め部36に左右から嵌合する一対のリブ39,39を前面に有している。リブ39,39の間に、円形の透孔40を備えている。
よって、リヤカバー11の組み付け時は、キャップ部30を筒状部32に嵌合させ、ネジ止め部31のリブ39,39を回り止め部36に嵌合させる。この状態で、透孔40に後方から貫通させたネジ41を雌ネジ部37にねじ込む。すると、1本のネジ41のみでリヤカバー11は組み付けられる。
(本体の内部機構の説明)
モータ4は、ステータ45と、ロータ46とを備えたインナロータ型のブラシレスモータである。ステータ45の前後には、インシュレータ47,47が設けられている。前側のインシュレータ47の左右には、図8に示すように、上下2つの位置決め凹部48,48がそれぞれ形成されている。前側のインシュレータ47の下部には、端子ユニット49が設けられている。端子ユニット49は、ステータ45にインシュレータ47,47を介して巻回される複数のコイル50,50・・と電気的に接続される。端子ユニット49には、コントローラ25との間に配線されるリード線が接続される。
胴体部12を形成する左右の半割ハウジング10a,10bの内面には、位置決め凹部48,48に係止する上下2つの係止爪51,51が突設されている。係止爪51,51の後方で半割ハウジング10a,10bの内面には、ステータ45の周面に沿った支持リブ52がそれぞれ設けられている。よって、ステータ45は、胴体部12の後部で保持される。
ロータ46は、中心に回転軸53を備えてステータ45を貫通している。回転軸53の後端は、リヤカバー11のキャップ部30の中心に軸受54を介して支持されている。ファン35は、軸受54の前側で回転軸53に設けられて、径方向で軸受54とオーバーラップしている。回転軸53の前端には、ピニオン55が形成されている。
作動ユニット5は、図9及び図10、図11に示すように、後ギヤケース60と前ギヤケース61とを備えている。
後ギヤケース60は、後面を後板部62で閉塞して前端を開口した有底筒状となっている。前ギヤケース61は、前面を前板部63で閉塞して後端を開口した有底筒状となっている。前ギヤケース61は、後ギヤケース60よりも大径に形成されて、後端の開口が後ギヤケース60の前端に外装されている。後ギヤケース60の左右の側面には、前ギヤケース61の後端が当接する上下2つの後ストッパ64,64(図8,図9A)がそれぞれが形成されている。後ストッパ64,64の間で後ギヤケース60の左右の側面には、前方を開口させた半筒部65,65が前後方向に突設されている。
前ギヤケース61の左右の側面には、半筒部65,65に上方から当接する前ストッパ66,66がそれぞれ形成されている。よって、前ギヤケース61は、後ストッパ64により後方への移動が規制され、半筒部65により周方向の回転が規制された状態となる。
ハンマケース7は、図12A及び図13に示すように、前板部63に後方から複数のネジ67,67・・により固定されている。モードチェンジリング6は、前板部63とハンマケース7との間で回転可能に支持されている。
後ギヤケース60の前部で左右の側面には、4つの後側係止凹部68,68・・がそれぞれ設けられている。後側係止凹部68は、後ギヤケース60の周方向に所定間隔をおいてそれぞれ前後方向に設けられている。前ギヤケース61の前部上側でモードチェンジリング6の後側には、図8及び図13にも示すように、2つの前側係止凹部69,69がそれぞれ周方向に並べて設けられている。各前側係止凹部69は、左右外側へ向けて開口している。
胴体部12の後部で左右の半割ハウジング10a,10bの内面には、各後側係止凹部68に係止する4つの後側係止部70,70・・が設けられている。胴体部12の前部で左右の内面には、各前側係止凹部69に係止する2つの前側係止部71,71が設けられている。
よって、作動ユニット5は、前側及び後側係止凹部68,69に前側及び後側係止部70,71がそれぞれ係止することで、胴体部12内で回転及び前後移動を規制された状態で保持される。
特に、前ギヤケース61は、図13に示すように、軸心を通る正面視左右方向よりも上側で左右の半割ハウジング10a,10bに挟持される。よって、挟持部分の下側で前ギヤケース61と胴体部12との間に連係切替部78を設ける空間を、周方向に180°を越えて広く確保することができる。
後ギヤケース60の後板部62の中心には、前方へ突出する正面視円形の肉厚部72が形成されている。肉厚部72に、軸受73を介して入力ギヤ74が保持されている。入力ギヤ74は、後部に回転軸53のピニオン55が噛合して、回転軸53と一体回転可能となっている。入力ギヤ74は、後側に、第1ギヤ部74aを、前側に、第1ギヤ部74aより小径の第2ギヤ部74bをそれぞれ備えている。
作動ユニット5には、後方から、減速部75と、打撃部76と、震動部77と、これらの作動部を連係させて切り替える連係切替部78とが設けられている。以下、順番に説明する。
(1)減速部の説明
減速部75は、後ギヤケース60内に設けられている。減速部75は、図14にも示すように、3つの遊星歯車80,80・・と、各遊星歯車80が噛合するインターナルギヤ81との組を軸線方向に3段並設している。各段ごとに減速比は異なっている。以下、後段(1段目)から順に80A(1段目),80B(2段目),80C(3段目)のように符号A~Cを付して説明する。2段目のインターナルギヤ81Bと3段目のインターナルギヤ81Cとの間には、係合リング82が設けられている。
1段目の各遊星歯車80Aは、図10,図11,図15Aに示すように、1段目のインターナルギヤ81Aと、入力ギヤ74の第1ギヤ部74aとに噛合している。各遊星歯車80Aは、後側にギヤ部83を、前側に小径の軸受部84をそれぞれ備えている。
2段目の各遊星歯車80Bは、各遊星歯車80Aの軸受部84に外装されている。よって、1段目と2段目の各遊星歯車80A,80Bは、互いに径方向にオーバーラップすることになる。遊星歯車80Bは、図15Cにも示すように、2段目のインターナルギヤ81Bと、入力ギヤ74の第2ギヤ部74bとに噛合している。
遊星歯車80Bの前側には、円盤状の後キャリア85が設けられている。後キャリア85は、後方へ突出する3本のピン86,86・・を備えている。各ピン86には、遊星歯車80Aの軸受部84が、軸受(ここではニードルベアリング)87を介して支持されている。後キャリア85の中心には、スパーギヤ88がスプライン結合されて、前方に突出している。
このように、入力ギヤ74を介して同じ方向に回転する各遊星歯車80A,80Bが、互いに径方向にオーバーラップすることで、両遊星歯車80A,80Bを含めた軸長が短くなってピン86を短くすることができる。軸受87も1つで済む。また、遊星歯車80Aとピン86との接触長さを短くすることができ、摩擦抵抗による機械損失が小さくなる。
特に、遊星歯車80Bの支持を遊星歯車80Aの軸受部84としたことで、遊星歯車80Aと遊星歯車80Bとの相対角速度が、遊星歯車80Bとピン86との相対角速度よりも遅くなる。よって、遊星歯車80Bで減速している時の機械損失を小さくすることができる。つまり、遊星歯車80Bが回転しないピン86に接触するよりも、速度が遅くても同じ方向へ回転する遊星歯車80Aに接触する方が機械損失が小さくなる。
1段目のインターナルギヤ81Aは、後ギヤケース60の後板部62の前側にワッシャ89を介して回転可能に配置されている。インターナルギヤ81Aの内歯部の後側には、中心側へ縮径する後フランジ部90が形成されている。後フランジ部90は、後板部62の肉厚部72の外周面に近接している。インターナルギヤ81Aの外周には、複数の後係止リブ91,91・・が設けられている。各後係止リブ91は、図14及び図15Aに示すように、周方向へ等間隔をおいて前後方向に設けられている。インターナルギヤ81Aの前面には、リング状の保持溝92が同軸で形成されている。保持溝92には、図15Bに示すように、Oリング93が収容されている。
2段目のインターナルギヤ81Bは、インターナルギヤ81Aより多い内歯数を有している。インターナルギヤ81Bは、インターナルギヤ81Aと軸線方向に隣接してOリング93に圧接している。インターナルギヤ81Bも回転可能に配置されている。
インターナルギヤ81Bの内歯部の前側には、中心側へ縮径する前フランジ部94が形成されている。前フランジ部94は、後キャリア85の外周面に近接している。インターナルギヤ81Bの外周には、図14及び図16Aにも示すように、複数の前係止リブ95が設けられている。前係止リブ95は、周方向に後係止リブ91と同じ間隔をおいて前後方向に設けられている。
こうしてインターナルギヤ81A,81Bの間には、図11に示すように、後フランジ部90と前フランジ部94とOリング93とにより、インターナルギヤ81A,81Bの径方向内側のグリスを外側に逃がさない保持空間Sが形成される。よって、グリス枯れの防止に繋がる。なお、グリス枯れが生じても、遊星歯車80Aの軸受87にニードルベアリングを用いているので、潤滑は維持できる。
係合リング82は、インターナルギヤ81Bの前側で後ギヤケース60内に収容されている。係合リング82は、外周に複数の係合爪100,100・・を備えている。各係合爪100は、周方向へ等間隔に配置されて径方向外側へ突出し、且つ前方に延びている。後ギヤケース60の内周面には、図16B及び図17に示すように、複数の係合溝101,101・・が設けられている。各係合溝101は、後ギヤケース60の前端から後方へ延びる。各係合溝101には、係合リング82の各係合爪100が前方から嵌合する。
よって、係合リング82は、後ギヤケース60内で回転規制される。係合リング82の左右で係合爪100,100の外面には、径方向外側へ突出する突起102,102が設けられている。突起102,102は、後述する速度切替サポータ106,106に設けた透孔108,108に係止する。速度切替サポータ106,106は、後ギヤケース60内で後述するブラケット板136によって前後移動が規制される。よって、係合リング82は、前方への移動が規制され、インターナルギヤ81A,81Bも前方への移動が規制される。
後ギヤケース60の左右の側面で半筒部65,65の後側には、前後方向に開口103,103が形成されている。半筒部65,65の内側には、スリット104,104が前後方向に形成されている。各スリット104は、後ギヤケース60の前端に開放している。
開口103,103の内側で後ギヤケース60の内周面には、図17及び図18Aに示すように、前後方向に延びる一対の溝105,105が形成されている。溝105,105内には、速度切替サポータ106,106が設けられている。速度切替サポータ106は、溝105に嵌合して前後方向に延びる板状となっている。速度切替サポータ106の後部には、前後一対の四角孔107,107が形成されている。四角孔107,107は、開口103,103の内側に位置している。四角孔107,107の前側で速度切替サポータ106には、係合リング82の突起102が係止する透孔108が形成されている。透孔108の前部には、速度切替サポータ106の前端から後方へ切り込まれる内スリット109が形成されている。
速度切替サポータ106,106の後部外側には、速度切替プレート110,110が設けられている。速度切替プレート110は、速度切替サポータ106の前後の四角孔107,107に跨がって前後方向に延びる板状である。速度切替プレート110は、図11に示すように、前後方向の中央部を、速度切替サポータ106の四角孔107,107の間の仕切111に当接させている。速度切替プレート110の前後両端には、後係止部112と前係止部113とが設けられている。両係止部112,113は、後ギヤケース60の中心側へカール状に折り曲げられて形成されている。
よって、各速度切替プレート110は、仕切111に当接する中央部を支点として後ギヤケース60の開口103内で内側へ交互に揺動可能となる。後係止部112の内側には、1段目のインターナルギヤ81Aの外周が位置している。後係止部112は、後ギヤケース60の内側へ揺動すると、後側の四角孔107を介して後係止リブ91に係止可能となる。このとき反対側の前係止部113は、開口103よりも外側へ突出してインターナルギヤ81Aの外周から離れる。前係止部113の内側には、2段目のインターナルギヤ81Bの外周が位置している。前係止部113は、後ギヤケース60の内側へ揺動すると、前側の四角孔107を介して前係止リブ95に係止可能となる。このとき反対側の後係止部112は、開口103よりも外側へ突出してインターナルギヤ81Bの外周から離れる。
速度切替プレート110の外側で後ギヤケース60の外周には、速度切替リング114が回転可能に設けられている。速度切替リング114は、前後に蛇行しながら周方向に連続する枠状体である。速度切替リング114には、後側で周方向に延びる10個の後押圧部115,115・・と、前側で周方向に延びる10個の前押圧部116,116・・とを備えている。後押圧部115と前押圧部116とは、周方向へ交互に配置されて、隣接する各押圧部115,116同士が傾斜部117,117・・によって繋がっている。各後押圧部115を含む仮想円は、速度切替プレート110,110の後係止部112,112の外側に位置している。各前押圧部116を含む仮想円は、速度切替プレート110,110の前係止部113,113の外側に位置している。
よって、速度切替リング114が回転すると、後押圧部115が速度切替プレート110の後端外側に位置する位相と、前押圧部116が速度切替プレート110の前端外側に位置する位相とに交互に切り替わることになる。後押圧部115が速度切替プレート110の後端外側に位置する位相では、後押圧部115が速度切替プレート110の後端を内側へ押圧する。よって、速度切替プレート110は、後係止部112が1段目のインターナルギヤ81Aの後係止リブ91に係止する後傾姿勢に揺動する。これによりインターナルギヤ81Aの回転が規制される。一方、前押圧部116が速度切替プレート110の前端外側に位置する位相では、前押圧部116が速度切替プレート110の前端を内側へ押圧する。よって、速度切替プレート110は、前係止部113が2段目のインターナルギヤ81Bの前係止リブ95に係止する前傾姿勢に揺動する。これによりインターナルギヤ81Bの回転が規制される。この揺動は、左右の速度切替プレート110,110で同調して行われる。
両位相の間では、傾斜部117が速度切替プレート110の外側を通過する際に速度切替プレート110を内側へ押圧して前傾姿勢と後傾姿勢とに変化させる。
速度切替リング114の前方には、フェースギヤリング120が結合されている。フェースギヤリング120は、速度切替リング114と同径のリング体である。フェースギヤリング120の前面には、前方へ突出する複数の歯121,121・・が、周方向へ等間隔をおいて連続形成されている。フェースギヤリング120の後面には、複数の切欠き122,122・・が形成されている。各切欠き122は、速度切替リング114の前押圧部116に対応している。各前押圧部116には、対応する切欠き122に嵌合する嵌合突起123がそれぞれ形成されている。よって、フェースギヤリング120と速度切替リング114とは、回転方向で一体に結合される。
速度切替リング114は、速度切替ダイヤル9によって回転操作される。速度切替ダイヤル9は、平面視が円盤状である。後ギヤケース60の上面には、図10に示すように、上支持突起124が上向きに突設されている。速度切替ダイヤル9の下面中心には、上支持突起124が挿入される受け孔125が形成されている。よって、速度切替ダイヤル9は、上支持突起124を中心に回転可能となる。速度切替ダイヤル9の下面には、上ギヤ126が同軸で設けられている。上ギヤ126は、図18Aにも示すように、フェースギヤリング120の歯121に噛合している。速度切替ダイヤル9の上面には、直径方向にツマミ部127が突設されている。
3段目の各遊星歯車80Cは、図16Cにも示すように、後キャリア85の前側に配置されてスパーギヤ88に噛合している。各遊星歯車80Cは、円盤状の前キャリア130にピン131,131・・を介して支持されている。ここではピン131の軸線方向長さを短くして、遊星歯車80Cと前キャリア130とを直接当接させている。これにより、ピン131の曲げモーメントが低減されて破損が起きにくくなる。
前キャリア130の前部外周には、複数の外係合歯132,132・・が形成されている。前キャリア130の中心には、後述するスピンドル165の後端がスプライン結合されている。スプライン結合により、スピンドル165のこじれの影響を受けにくくなっている。よって、スピンドル165側から各ギヤやピンに偏った衝撃荷重が加わりにくくなり、減速部75の耐久性が向上する。スピンドル165周りで前キャリア130の前面には、図10及び図17に示すように、リング状の凹み部133が形成されている。
3段目のインターナルギヤ81Cは、後ギヤケース60内で前後移動可能に配置される。インターナルギヤ81Cの後部外周には、複数の係合リブ134,134・・が設けられている。係合リブ134は、係合リング82の係合爪100と同じ数(10個)形成されている。インターナルギヤ81Cの前部外周には、リング状の凹溝135が形成されている。
インターナルギヤ81Cは、後退位置では、内歯を遊星歯車80Cに噛合させたまま、係合リブ134が係合リング82の係合爪100と周方向で係合する。よって、インターナルギヤ81Cは回転規制される。インターナルギヤ81Cは、前進位置では、図11に示すように、係合リング82から離間して、内歯を遊星歯車80Cと前キャリア130の外係合歯132とに噛合させる。
インターナルギヤ81Cの前側には、ブラケット板136が設けられている。ブラケット板136は、スピンドル165の後端を軸受137を介して支持している。ブラケット板136は、軸受137の保持部分の外周に、後方へ突出するリング状の軸受止め部138を有している。ブラケット板136は、外周に、複数の係合突起139,139・・を周方向へ等間隔で備えている。各係合突起139は、後ギヤケース60の内周面に設けた各係合溝101の前端の幅広部140(図17)にそれぞれ係合する。よって、ブラケット板136は、後ギヤケース60内で回転且つ後方への移動が規制される。
軸受止め部138は、図10に示すように、前キャリア130の前面に設けた凹み部133内に突出している。よって、前キャリア130は、軸受止め部138と径方向にオーバーラップするため、軸線方向にコンパクトとなる。ブラケット板136の前面で軸受137の外周側にも、リング状の逃げ凹部141(図17)が形成されている。
3段目のインターナルギヤ81Cの凹溝135には、図11及び図18Aに示すように、速度切替ワイヤ145が係合している。速度切替ワイヤ145は、前ギヤケース61の下部外側に設けられている。速度切替ワイヤ145は、正面視が半円状に形成され、左右両端は、後方へ折曲される折曲部146,146となっている。折曲部146,146は、後ギヤケース60の左右の半筒部65,65に前方から差し込まれている。折曲部146,146の後端は、半筒部65,65内で後ギヤケース60の中心側へ折り曲げられる係止端部147,147となっている。係止端部147,147は、後ギヤケース60のスリット104,104を貫通した後、速度切替サポータ106,106の内スリット109,109を貫通して、インターナルギヤ81Cの凹溝135に係止している。速度切替ワイヤ145の下部で左右方向の中央には、下向きに突出する左右一対のU字状の突起部148,148が形成されている。
ブラケット板136の左右両側の係合突起139,139の外周面には、抜け止め突起149,149が外向きに突設されている。抜け止め突起149,149は、後ギヤケース60のスリット104,104の前方に位置して係止端部147,147を抜け止めする。
後ギヤケース60の下面には、図10及び図14に示すように、下支持突起150が下向きに突設されている。下支持突起150は、上支持突起124と同軸上に配置されている。下支持突起150には、速度切替ギヤ151が回転可能に外装されている。速度切替ギヤ151は、速度切替ダイヤル9の上ギヤ126と同じ大きさ及び歯数で形成され、フェースギヤリング120の歯121と噛合している。速度切替ギヤ151の下面で偏心位置には、偏心ピン152が下向きに突設されている。
速度切替ギヤ151の下側には、速度切替ホルダ153が設けられている。速度切替ホルダ153は、胴体部12の内底面に形成された受け座42(図5,図8)上で前後移動可能に支持されている。速度切替ホルダ153は、前後方向に延びる板状で、後部には、左右方向に延びる長孔154が形成されている。長孔154には、速度切替ギヤ151の偏心ピン152が上方から挿入されている。長孔154の左右方向の中央部は、前後に膨らむ円形状部155となっている。速度切替ホルダ153の後端は、上側へ折曲されるストッパ156となっている。
長孔154の前側で速度切替ホルダ153の上面には、上向きにガイド突起157が設けられている。ガイド突起157は、左右方向に延びている。
ガイド突起157の前側で速度切替ホルダ153の前部には、前後一対のホルダ板159,159が一体に形成されている。ホルダ板159,159は、前後に間隔をおいて左右方向に延びている。ホルダ板159,159の間には、前後方向に延びてホルダ板159,159同士を連結する左右一対の連結板160,160が形成されている。連結板160,160に、速度切替ワイヤ145の突起部148,148が下方から係合している。よって、速度切替ワイヤ145は、ホルダ板159,159の間で保持されて速度切替ホルダ153とは前後方向に一体となる。
減速部75では、上側の速度切替ダイヤル9をツマミ部127を介して回転操作する。すると、上ギヤ126を介してフェースギヤリング120及び速度切替リング114が回転する。ここでは速度切替ダイヤル9を90°回転させると、フェースギヤリング120及び速度切替リング114は18°回転する。よって、速度切替ダイヤルの90°の回転操作ごとに、後押圧部115,115による速度切替プレート110,110の後傾姿勢への揺動と、前押圧部116,116による速度切替プレート110,110の前傾姿勢への揺動とが交互に切り替わることになる。すなわち、上ギヤ126の90°回転ごとに、後押圧部115による1段目のインターナルギヤ81Aの回転規制と、前押圧部116による2段目のインターナルギヤ81Bの回転規制とが切り替わることになる。
上ギヤ126が回転すると、フェースギヤリング120を介して速度切替ギヤ151も逆方向へ同時に回転する。この回転量(角度)は上ギヤ126と同じとなる。すると、偏心ピン152が偏心運動し、長孔154を介して速度切替ホルダ153を前後方向へスライドさせる。よって、速度切替ワイヤ145が一体に前後移動し、係止端部147が凹溝135に係止する3段目のインターナルギヤ81Cを前後にスライドさせる。ここでは上ギヤ126の180°の回転ごとに、速度切替ホルダ153が前方又は後方へスライドする。よって、インターナルギヤ81Cは、速度切替ワイヤ145を介して前進位置又は後退位置に切り替わることになる。
速度切替ワイヤ145の左右両端は、後方へ折り曲げられる折曲部146,146となり、折曲部146,146が、半筒部65,65の前端から差し込まれて後方へ延びている。よって、インターナルギヤ81Cを軸線方向へ直線移動させることができる。また、半筒部65,65によって折曲部146,146の外側へのたわみが防止されるため、係止端部147,147が凹溝135から外れにくくなる。さらに、半筒部65,65は前方にのみ開口しているので、グリス漏れが起きにくい。
こうして減速部75では、速度切替ダイヤル9の90°ごとの回転に伴い、1段目と2段目のインターナルギヤ81A,81Bの回転規制及びその解除と、3段目のインターナルギヤ81Cの前後位置とを組み合わせることで、1速-4速の変速段が選択可能となっている。速度切替ダイヤル9の上面には、速度を示す1-4の数字が90°ごとに表記されている。各数字の径方向外側で速度切替ダイヤル9の外周縁には、切欠き部161がそれぞれ形成されている。切欠き部161には、前ギヤケース61の上面に保持された左右方向のリーフスプリング162(図9,図14)が係止可能となっている。よって、速度切替ダイヤル9の90°回転ごとにクリック作用が得られる。
また、後ギヤケース60の外周には、図14及び図16Aに示すように、複数のクリック凹部118,118・・が形成されている。速度切替リング114の各後押圧部115及び各前押圧部116の内周側には、クリック凹部118と回転方向で係合するクリック凸部119がそれぞれ形成されている。よって、速度切替リング114が回転する際、クリック凹部118とクリック凸部119との係合によってクリック作用が得られる。
図19は、1速を示している。この速度切替ダイヤル9の回転位置では、図19Dに示すように、速度切替プレート110は前傾姿勢にある。よって、2段目のインターナルギヤ81Bが回転規制され、1段目のインターナルギヤ81Aは回転フリーとなる。このとき、速度切替ギヤ151は、図19Cに示すように、偏心ピン152が左側後方に位置する第1回転位置にある。よって、速度切替ホルダ153は、後退位置にあって3段目のインターナルギヤ81Cを後退位置に位置させる。よって、インターナルギヤ81Cは、係合リング82に係合して回転規制される。
入力ギヤ74から入力される回転は、1段目の遊星歯車80Aと2段目の遊星歯車80Bとに伝わる。しかし、1段目のインターナルギヤ81Aは回転フリーで2段目のインターナルギヤ81Bが回転規制されている。よって、遊星歯車80Aは公転運動せず、減速比が大きい2段目の遊星歯車80Bのみがインターナルギヤ81B内で公転運動する。遊星歯車80Bの公転により回転する後キャリア85の回転は、3段目の遊星歯車80Cに伝わり、インターナルギヤ81C内で公転運動させる。遊星歯車80Cの公転により回転する前キャリア130の回転は、スピンドル165に伝わる。
図20は、2速を示している。速度切替ダイヤル9は、1速から平面視で90°右回転している。この速度切替ダイヤル9の回転位置では、フェースギヤリング120の18°の回転により、速度切替プレート110は、後傾姿勢となる。よって、1段目のインターナルギヤ81Aが回転規制され、2段目のインターナルギヤ81Bは回転フリーとなる。このとき、速度切替ギヤ151は、平面視で90°左回転して、図20Cに示すように、偏心ピン152が右側後方に位置する第2回転位置にある。よって、速度切替ホルダ153の後退位置は変わらず、インターナルギヤ81Cも係合リング82に係合する後退位置で回転規制される。なお、偏心ピン152が90°回転する際、後側へ膨らむ円弧状軌跡に沿って移動することになるが、速度切替ホルダ153の長孔154の中央部は円形状部155によって前後に幅広となっているため、偏心ピン152の回転は許容される。また、速度切替ホルダ153に過度の負荷がかかることがない。
よって、入力ギヤ74から入力される回転は、遊星歯車80Aと遊星歯車80Bとに伝わるが、遊星歯車80Bは公転運動せず、減速比が小さい1段目の遊星歯車80Aのみがインターナルギヤ81A内で公転運動する。遊星歯車80Aの公転により回転する後キャリア85の回転は、3段目の遊星歯車80Cに伝わり、インターナルギヤ81C内で公転運動させる。遊星歯車80Cの公転により回転する前キャリア130の回転は、1速より大きい速度でスピンドル165に伝わる。
図21は、3速を示している。速度切替ダイヤル9は、2速から平面視で90°右回転している。この速度切替ダイヤル9の回転位置では、フェースギヤリング120の18°の回転により、速度切替プレート110は、1速と同じ前傾姿勢となる。よって、2段目のインターナルギヤ81Bが回転規制され、1段目のインターナルギヤ81Aは回転フリーとなる。
このとき、速度切替ギヤ151は、2速から平面視で90°左回転し、図21Cに示すように、偏心ピン152が右側前方に位置する第3回転位置となる。よって、速度切替ホルダ153が前進位置に移動し、速度切替ワイヤ145を介してインターナルギヤ81Cを前進位置に移動させる。この前進位置では、回転フリーとなるインターナルギヤ81Cにより、3段目の遊星歯車80Cと前キャリア130とが回転方向で一体となる。
よって、入力ギヤ74から入力される回転は、遊星歯車80Aと遊星歯車80Bとに伝わるが、遊星歯車80Aは公転運動せず、減速比が大きい2段目の遊星歯車80Bのみがインターナルギヤ81B内で公転運動する。遊星歯車80Bの公転により回転する後キャリア85の回転は、3段目の遊星歯車80Cからインターナルギヤ81Cを介して前キャリア130に伝わる。よって、3段目の減速がキャンセルされ、前キャリア130の回転は、2速より大きい速度でスピンドル165に伝わる。
図22は、4速を示している。速度切替ダイヤル9は、3速から平面視で90°右回転している。この速度切替ダイヤル9の回転位置では、フェースギヤリング120の18°の回転により、速度切替プレート110は、2速と同じ後傾姿勢となる。よって、1段目のインターナルギヤ81Aが回転規制され、2段目のインターナルギヤ81Bは回転フリーとなる。
このとき、速度切替ギヤ151は、3速から平面視で90°左回転し、図22Cに示すよい、偏心ピン152が左側前方に位置する第4回転位置となる。よって、速度切替ホルダ153及びインターナルギヤ81Cは前進位置のままとなる。
よって、入力ギヤ74から入力される回転は、遊星歯車80Aと遊星歯車80Bとに伝わるが、遊星歯車80Bは公転運動せず、減速比が小さい1段目の遊星歯車80Aのみがインターナルギヤ81A内で公転運動する。遊星歯車80Aの公転により回転する後キャリア85の回転は、3段目の遊星歯車80Cからインターナルギヤ81Cを介して前キャリア130に伝わる。よって、前キャリア130の回転は、3速より大きい速度でスピンドル165に伝わる。
このように、減速部75での変速段は、速度切替ダイヤル9の回転操作で選択できる。しかし、特定の動作モードにおいては、モードチェンジリング6の回転に伴う連係切替部78の連係動作により、減速部75では特定の変速段へ自動的に切り替わるようになっている。この連係動作については追って説明する。
(2)打撃部の説明
打撃部76は、図10,図11,図23に示すように、スピンドル165と、インナハンマ166と、アウタハンマ167と、ハンマスリーブ168と、外コイルバネ169と、内コイルバネ170と、アンビル8とを含んでいる。
打撃部76は、アンビル8の前部を除いて前ギヤケース61内に収容されている。アンビル8は、前ギヤケース61の前板部63を貫通している。前板部63には、アンビル8を支持する軸受171が保持されている。前ギヤケース61内でアンビル8の後端には、径方向へ突出する一対の腕部172,172が設けられている。
スピンドル165は、後部がブラケット板136に支持されて前方へ延びる。スピンドル165の前端には、小径部173が形成されている。アンビル8の後端軸心には、小径部173が嵌合する有底孔174が形成されている。腕部172が前板部63に当接するアンビル8の前進位置では、小径部173を除くスピンドル165の前面とアンビル8の後面との間に隙間が形成される。よって、アンビル8は隙間分だけ後方へ移動可能となる。
スピンドル165の軸心には、貫通孔175が全長に亘って形成されている。貫通孔175の前部には、ボール176が収容されている。ボール176の後方で貫通孔175には、開口径が小さくなる縮径部177が形成されている。ボール176と縮径部177との間には、コイルバネ178が設けられて、ボール176を有底孔174の内面に押圧させている。よって、アンビル8は、常態では前進位置に付勢される。
ブラケット板136の前方でスピンドル165の後部には、フランジ179が形成されている。小径部173の後方でスピンドル165の前部には、一対の内カム溝180,180が形成されている。内カム溝180は、尖端が前を向くV字状となっている。
インナハンマ166は、円筒状で、スピンドル165の前部に外装されている。インナハンマ166の前面には、前方へ突出する一対の爪181,181が形成されている。爪181,181は、回転方向でアンビル8の腕部172,172と係合する。インナハンマ166の内周面には、前端から後方へ延びる一対の外カム溝182,182が設けられている。外カム溝182,182とスピンドル165の内カム溝180との間には、カムボール183,183が跨がって嵌合している。よって、インナハンマ166は、カムボール183,183を介してスピンドル165と結合される。但し、インナハンマ166は、内カム溝180と外カム溝182との間でカムボール183が転動する範囲でスピンドル165に対して前後及び回転方向へ相対移動可能となる。
インナハンマ166の後面には、リング状の溝部184が形成されている。インナハンマ166の周面で後端寄りには、複数(6個)の内嵌合溝185,185・・が形成されている。内嵌合溝185は、インナハンマ166の周方向へ等間隔に形成されて、前後方向に延びている。
アウタハンマ167は、前方を開口した有底筒状で、スピンドル165の後部に外装されている。アウタハンマ167は、底板部190と、内筒部191と、外筒部192とを備えている。底板部190は、中心をスピンドル165に貫通される。内筒部191は、底板部190の内周から前方へ突出する。外筒部192は、底板部190の外周から前方へ突出する。外筒部192は、内筒部191よりも前方へ延びるように長く形成されている。
底板部190の内面外周には、リング状の内溝193が形成されている。内溝193には、図18Bにも示すように、複数のボール194,194・・が全周に亘って収容されている。ボール194は、ワッシャ195を介して外コイルバネ169の後端を受けている。ボール194の内側で底板部190の内面には、内コイルバネ170の後端が当接している。
内溝193の後方に当たる底板部190の後面には、リング状の凸部196が形成されている。凸部196は、ブラケット板136の前面の逃げ凹部141内に突出している。よって、ブラケット板136と底板部190とが径方向にオーバーラップして軸線方向にコンパクトとなる。
内筒部191の内周面には、後端から前方へリング状の内凹部197が形成されている。内凹部197は、スピンドル165のフランジ179に前方から対向している。フランジ179の前側でスピンドル165の外周には、くびれ部198が形成されている。くびれ部198には、複数のボール199,199・・が全周に亘って嵌合している。ボール199は、内凹部197の前端内面に当接して内筒部191を軸線方向に受けている。内筒部191の前側でスピンドル165には、止めリング200が係止している。よって、アウタハンマ167は、内筒部191がボール199と止めリング200との間で前後移動が規制された状態で、スピンドル165と相対回転可能に連結される。
外筒部192には、複数(6個)の保持スリット201,201・・が形成されている。保持スリット201は、図18Cに示すように、外筒部192の周方向へ等間隔をおいて配置され、前後方向へ延びている。各保持スリット201は、インナハンマ166の内嵌合溝185に対応してその径方向外側に位置している。但し、保持スリット201は、内嵌合溝185よりも前後方向に長く形成されている。外筒部192の周方向で保持スリット201,201・・の間には、図24Bにも示すように、半球状の複数の凹部202,202・・がそれぞれ形成されている。各凹部202には、ボール203が嵌合されている。保持スリット201,201・・の内側で外筒部192の内周面には、図10,図11及び図24に示すように、支持溝204,204・・がそれぞれ前後方向に形成されている。各支持溝204は、外筒部192の前端から保持スリット201よりも後方へ長く形成されている。
ハンマスリーブ168は、アウタハンマ167に外装されるスリーブ部材である。ハンマスリーブ168の内周面には、複数(6個)の外嵌合溝210,210・・が形成されている。各外嵌合溝210は、ハンマスリーブ168の周方向へ等間隔をおいて配置され、ハンマスリーブ168の全長に亘って形成されている。但し、各外嵌合溝210は、径方向の深さが、図18Cに示すように最も浅い後溝部211、図24A及び24Bに示すように後溝部211よりも深い中溝部212、図24Cに示すように中溝部212よりも深い前溝部213、と前方へ向かうに従って段階的に深くなるように形成されている。外嵌合溝210は、アウタハンマ167の保持スリット201に対応してその径方向外側に位置している。周方向で外嵌合溝210,210・・の間には、外嵌合溝210よりも前後方向に短い複数の結合溝214,214・・が、ハンマスリーブ168の前端から後方へ向けてそれぞれ形成されている。各結合溝214には、アウタハンマ167の凹部202に嵌合したボール203がそれぞれ嵌合している。よって、アウタハンマ167とハンマスリーブ168とは、回転方向で一体に結合される。但し、ハンマスリーブ168は、ボール203が結合溝214を相対移動するストロークで前後移動可能となる。ハンマスリーブ168の後部外周には、リング溝215が形成されている。
径方向で重なるインナハンマ166の各内嵌合溝185と、アウタハンマ167の各保持スリット201及び支持溝204と、ハンマスリーブ168の各外嵌合溝210とには、各溝及びスリットに跨がって複数(5個)の結合ボール216,216・・がそれぞれ嵌合している。この嵌合状態を維持するため、5個の結合ボール216の前側で保持スリット201,201・・には、複数のU字状のクリップ220,220・・がそれぞれ係止している。各クリップ220は、両端を前向きにし、且つ短手方向がアウタハンマ167の外筒部192の径方向に沿う姿勢で、保持スリット201の前端に後方から差し込まれている。各クリップ220の径方向内側の内端部221は、図24Cに示すように、外筒部192の支持溝204に係止している。各クリップ220の径方向外側の外端部222は、ハンマスリーブ168の外嵌合溝210に係止している。
よって、インナハンマ166とアウタハンマ167とは、結合ボール216により、外筒部192の前部がインナハンマ166に外装する状態で前後方向に連結される。但し、回転方向では、ハンマスリーブ168の前後位置に応じて一体と別体とが切り替わる。
外コイルバネ169と内コイルバネ170とは、インナハンマ166とアウタハンマ167との間でスピンドル165へ二重に外装されている。外コイルバネ169の前端は、溝部184の外側でインナハンマ166の後面に当接している。
内コイルバネ170は、外コイルバネ169よりも大径のワイヤで外コイルバネ169と逆巻きに形成されている。内コイルバネ170の前端は、インナハンマ166の溝部184に挿入している。溝部184の前側内面には、内コイルバネ170の前端を受けるワッシャ223及び複数のボール224,224・・(図24B)が収容されている。
この外コイルバネ169と内コイルバネ170とにより、インナハンマ166は、カムボール183がスピンドル165の内カム溝180の尖端に位置し、且つインナハンマ166の外カム溝182の後端に位置する図10及び図11の前進位置に付勢される。
アンビル8の有底孔174の内周面と、インナハンマ166の内周面と、アウタハンマ167の内筒部191の内周面とには、それぞれグリス溝225,225・・が設けられている。各グリス溝225は、各内周面の全周に亘るリング状である。
特に、アンビル8の有底孔174の内周面と、インナハンマ166の内周面とのグリス溝225は、前後方向に所定間隔をおいて2つ配置されている。このように内周面に複数のグリス溝225を設けたことで、各内周面とその内側の軸との間でグリスが分散し、潤滑が維持される。
スピンドル165の中間部で内カム溝180の後方には、貫通孔175と連通する連通孔226が直径方向に形成されている。連通孔226は、前進位置のインナハンマ166のグリス溝225の1つと連通している。
打撃部76では、モードチェンジリング6の回転操作により、ハンマスリーブ168が前後移動して打撃作動の能動と非能動とが切り替わる。
ハンマスリーブ168の後退位置では、図22Eに示すように、外嵌合溝210の最も深い前溝部213がアウタハンマ167の保持スリット201の外側に位置する。このため、5個の結合ボール216は、遠心力が作用すると、前溝部213と保持スリット201及び支持溝204とに嵌合し、インナハンマ166の内嵌合溝185から離れる。よって、インナハンマ166のみが打撃作用を生じさせる。
ハンマスリーブ168が後退位置から前進した中間位置では、図21Eに示すように、外嵌合溝210の中溝部212が保持スリット201の外側に位置する。このため、5個の結合ボール216は、遠心力が作用すると、外側の3個の結合ボール216が中溝部212と保持スリット201とに跨がって嵌合する。内側の2個の結合ボール216は、保持スリット201の支持溝204と内嵌合溝185とに跨がって嵌合する。よって、インナハンマ166とアウタハンマ167とハンマスリーブ168との3つが一体となって打撃作用を生じさせる。
ハンマスリーブ168が中間位置から前進した前進位置では、図19E及び図20Eに示すように、外嵌合溝210の後溝部211及び中溝部212が保持スリット201の外側に位置する。このため、5個の結合ボール216は、遠心力が作用しても移動が規制される。よって、インナハンマ166は後退できず、打撃作用は生じない。
(3)震動部の説明
震動部77は、前ギヤケース61の前板部63とハンマケース7との間に設けられる。震動部77は、図10,図11,図25に示すように、アンビル8と、前側カム230と、後側カム231と、規制リング232と、コイルバネ233と、震動切替プレート234とを含んでいる。
前側カム230は、リング状で、ハンマケース7内の前部でアンビル8へ一体に固定されている。前側カム230の後面には、周方向に凹凸が連続する前側カム面235が形成されている。前側カム230は、軸受236によってハンマケース7に支持されている。前側カム230の前側でアンビル8には、サークリップ237が係止固定されている。
後側カム231は、前側カム230の後方でアンビル8に外装される。後側カム231は、図26Aにも示すように、前側カム230より大径のリング状である。後側カム231の前面には、周方向に凹凸が連続する後側カム面238が形成されている。後側カム231の後面外周には、図26Bにも示すように、周方向に等間隔をおいて3つのカム爪239,239・・が後ろ向きに形成されている。カム爪239の内側で後側カム231の後方には、周方向に複数のボール240,240・・が配置されている。ボール240の後方で前板部63の前側には、図26Cにも示すように、受けワッシャ241が配置されてボール240を支持している。受けワッシャ241の外周には、3つの係止突起242,242・・が径方向外側へ突出している。前板部63の前面には、止めリブ243が突設されている。止めリブ243は、係止突起242と回転方向で係止して受けワッシャ241を回転規制する。
規制リング232は、受けワッシャ241より大径で、前板部63の前方で前後移動可能に設けられている。ハンマケース7の後面には、規制リング232より小径でリング状のガイドリブ245が後ろ向きに突設されている。ガイドリブ245の外側でハンマケース7の後面には、3本の規制ピン246,246・・が設けられている。規制ピン246は、周方向に等間隔をおいて配置されて後方へ突出し、図12Aに示すように、前板部63に設けた受け孔63aに後端が挿入されている。各規制ピン246の内側でガイドリブ245には、切欠凹部247がそれぞれ形成されている。
規制リング232の外周には、各規制ピン246が係合する3つの係合凹部248,248・・がそれぞれ形成されている。よって、規制リング232は、規制ピン246により回転が規制された状態で規制ピン246に沿って前後移動可能となる。各係合凹部248の内側で規制リング232の内周には、中心側へ突出する3つの規制凸部249,249・・が形成されている。各規制凸部249は、ガイドリブ245の切欠凹部247を介してガイドリブ245の内側に突出している。規制リング232の前進位置では、各規制凸部249が、後側カム231に設けた各カム爪239と回転方向で係合する。よって、後側カム231は、回転が規制される。規制リング232の後退位置では、各規制凸部249が各カム爪239の後方に離間する。よって、後側カム231は回転フリーとなる。
規制リング232の後側には、ワッシャ250が設けられている。ワッシャ250は、規制リング232と同径で、各規制ピン246が貫通する透孔251,251・・を備えている。
各コイルバネ233は、図12Aに示すように、前板部63の受け孔63a内でワッシャ250と受け孔63aの底部との間に配置されている。各コイルバネ233は、ワッシャ250を貫通した各規制ピン246の後端に外装されている。よって、ワッシャ250及び規制リング232は、各コイルバネ233によって前方へ付勢される。
震動切替プレート234は、規制リング232の外側に、規制ピン246と異なる位相で周方向に等間隔で3つ配置されている。各震動切替プレート234は、前後方向へ延びる細板状である。各震動切替プレート234の前部には、内側へ折曲されて規制リング232の前面に係止する前折曲部252がそれぞれ形成されている。各震動切替プレート234の後部には、外側へ折り返される後折曲部253がそれぞれ形成されている。各後折曲部253の外側端部は、幅方向の両端が後方外側へ折り返されるテーパ部254となっている。
前ギヤケース61の前板部63の外周面には、3つの保持溝255,255・・が形成されている。各保持溝255は、径方向外側及び前方に開口している。各保持溝255には、震動切替プレート234が嵌合している。但し、各テーパ部254は保持溝255から径方向外側へ突出している。
ハンマケース7の内周面には、3つの支持リブ256,256・・が内側に向けて突設されている。各支持リブ256は、各保持溝255に前方から挿入されて、保持溝255の内面との間で震動切替プレート234を支持する。よって、各震動切替プレート234は、保持溝255と支持リブ256との間で前後移動可能となる。但し、各震動切替プレート234は、前折曲部252が係止する規制リング232と共に前方へ付勢される。
震動部77では、モードチェンジリング6の回転操作により、各震動切替プレート234の前進規制と前記規制の解除とを切り替えて震動の有無を選択可能となっている。すなわち、震動切替プレート234の前進規制が解除されると、前述のように規制リング232が前進して規制凸部249が後側カム231のカム爪239と係合する。よって、後側カム231の回転が規制される。この場合、アンビル8が回転すると、前側カム230の前側カム面235が後側カム231の後側カム面238と回転方向で係合する。このため、アンビル8は、スピンドル165との隙間分前後方向へ微動し、震動が発生する。
震動切替プレート234の前進が規制されると、前述のように規制リング232が後退して規制凸部249がカム爪239から後方に離間する。よって、後側カム231の回転規制は解除される。この場合、アンビル8が回転しても、前側カム230は後側カム231と係合しないため、アンビル8に震動は発生しない。
ここでは前側カム230を軸受236で直接支持させると共に、後側カム231の前方への移動規制を軸受236を利用して行っている。よって、部品点数が削減すると共に、軸線方向のコンパクト化に繋がる。
(4)連係切替部の説明
モードチェンジリング6の内周で震動切替プレート234の外側には、図10及び図23に示すように、周方向に突条260が形成されている。突条260には、前方へ付勢される震動切替プレート234の後折曲部253が後方から係合している。突条260には、周方向に等間隔をおいて3つの先細りテーパ状の切除部261,261・・が形成されている。各切除部261には、後折曲部253のテーパ部254が嵌合可能となっている。よって、各切除部261が各テーパ部254の前方に位置するモードチェンジリング6の回転位置では、コイルバネ233の付勢により、規制リング232及び震動切替プレート234が前進位置へ前進する。よって、前述のように規制リング232が後側カム231の回転を規制する。ここからモードチェンジリング6を回転させると、テーパ状の各切除部261が各テーパ部254を後方へ押圧して震動切替プレート234及び規制リング232を後退位置へ後退させる。すると、規制リング232が後側カム231から後方へ離間して後側カム231を回転フリーとする。
図23及び図27に示すように、モードチェンジリング6の後端には、ガイド板265が一体に形成されている。ガイド板265は、モードチェンジリング6の周方向に沿った円弧状に形成されて後方へ延びている。ガイド板265には、屈曲形状のガイドスリット266が形成されている。ガイドスリット266は、正面視で左回転方向の先端部に、ガイド板265の右回転方向に延びる第1スリット267を有している。第1スリット267には、第1スリット267の終端から右回転方向へ向かうに従って前方へ傾斜する第2スリット268が連続形成されている。第2スリット268には、第2スリット268の終端から右回転方向に延びる第3スリット269が連続形成されている。第3スリット269には、第3スリット269の終端から右回転方向へ向かうに従って前方へ傾斜する第4スリット270が連続形成されている。第4スリット270には、第4スリット270の終端から右回転方向に延びる第5スリット271が連続形成されている。
ガイド板265の内側でモードチェンジリング6の突条260の後面には、周方向に複数の凸部272,272・・が形成されている。各凸部272は、周方向に所定間隔をおいて配置されている。凸部272の後方で前ギヤケース61の下面には、図12Cにも示すように、凸部272,272の間へ弾性的に係合するリーフスプリング273が保持されている。リーフスプリング273の係合位置は、各動作モードの切替位置となっている。
ガイド板265の外面でガイドスリット266以外の部位には、厚肉部274が形成されている。厚肉部274の外面は、ガイドスリット266よりも径方向外側へ突出している。厚肉部274は、第2スリット268及び第3スリット269の前側に、後方へ突出する三角形状の第1山部275を有している。厚肉部274は、第4スリット270及び第5スリット271の前側から、右回転方向側へ向かうに従って後方へ移動する斜辺を有する第2山部276を有している。第2山部276の斜辺は、第5スリット271の終端を越えて後方へ延びている。第2山部276の斜辺には、周方向に短い後平坦部277と前平坦部278とが形成されている。前平坦部278は、第5スリット271の前方に位置している。
ガイドスリット266には、前ギヤケース61の下側に設けたモードチェンジレバー280が係合している。モードチェンジレバー280は、前部に、前後方向へ延びる直線部281を有している。直線部281は、前ギヤケース60の下面に設けた支持枠282を貫通して、後述するロッドホルダ310に支持されている。モードチェンジレバー280は、直線部281の後端に、上下方向へ延びる四角枠部283を有している。直線部281の後端上面には、上向きの案内突起284が形成されている。案内突起284は、ガイドスリット266に外側から係合して、ガイドスリット266内を相対移動可能となっている。
モードチェンジレバー280の四角枠部283には、前ギヤケース61の下側に設けたモードチェンジシフタ285が貫通している。モードチェンジシフタ285は、左右一対のリンク部286,286と、リンク部286,286間を連結する連結部287とを有する。連結部287は、モードチェンジレバー280の四角枠部283を左右方向に貫通している。リンク部286,286は、連結部287の左右両端から上向き且つ左右外側に延びる。各リンク部286の中間部には、リンク部286の伸長方向に延びる長円孔288がそれぞれ形成されている。前ギヤケース61の下半分側で左右の周面には、図18Cにも示すように、一対の支軸289,289が外向きに形成されている。支軸289,289は、長円孔288,288に遊挿している。
リンク部286,286の上端には、前ギヤケース61の径方向外側から一対の係止ピン290,290が挿入されている。前ギヤケース61の左右の側面には、前後方向へ延びる一対のガイド孔291,291が形成されている。係止ピン290,290は、ガイド孔291,291を貫通して、前ギヤケース61内のハンマスリーブ168のリング溝215に係合している。
よって、モードチェンジリング6が回転操作されると、案内突起284がガイドスリット266に係合するモードチェンジレバー280が、ガイドスリット266に案内されて前後移動する。すると、モードチェンジシフタ285の連結部287が前後移動するため、左右のリンク部286,286は、支軸289,289を中心に前後に揺動する。よって、上端の係止ピン290,290が係止するハンマスリーブ168が前後に直線移動する。
ここではリンク部286と支軸289との結合が長円孔288によって行われている。よって、リンク部286の下端を前後に揺動させても、長円孔288内で支軸289が相対移動して、係止ピン290をガイド孔291に沿って前後へ直線移動させることができる。よって、ハンマスリーブ168は常に軸心の左右外側に位置する係止ピン290,290によって傾くことなくスムーズに直線移動する。また、長円孔288と支軸289との間の遊びにより、モードチェンジシフタ285が硬い材料で作成されていても、組み付けは支障なく行える。
ガイド板265の内側には、連係ワインダ295が設けられている。連係ワインダ295は、ガイド板265に内側から重ねた状態で固定される円弧状の板体である。連係ワインダ295には、周方向に沿って案内窓296が形成されている。案内窓296の後端には、屈曲形状のガイド端部297が形成されている。ガイド端部297は、ガイド板265と同様の左回転方向の先端部に、連係ワインダ295の周方向に延びる第1端部298を有している。第1端部298には、第1端部298の終端から右回転方向側へ向かうに従って前方へ傾斜する第2端部299が連続形成されている。第2端部299には、第2端部299の終端から周方向に延びる第3端部300が連続形成されている。
連係ワインダ295には、連係バー301が係止している。連係バー301は、前ギヤケース61の下面で前後方向に設けた帯状溝303(図18C,図23)内で前後方向に延びる板体である。前端には、連係ワインダ295のガイド端部297に前方から掛止する掛止ピン302が設けられている。連係バー301の後部は、速度切替ホルダ153の上側に配置されている。連係バー301の後部は、ホルダ板159,159の間で下向きに折曲されている。連係バー301の後部は、速度切替ワイヤ145の突起部148の前側で連結板160,160の間を貫通している。連係バー301の下端は、速度切替ホルダ153の下側で逆T字状に形成されて抜け止めされている。
よって、連係バー301は、ガイド端部297の第1端部298に掛止ピン302が掛止している状態では、前後移動可能となる。モードチェンジリング6と共に連係ワインダ295が正面視で左回転すると、連係バー301は、第2端部299の傾斜によって前方へスライドする。連係バー301は、掛止ピン302が第3端部300に掛止している状態では、後方への移動が規制される。
速度切替ホルダ153の後部上側には、連係カム305が設けられている。図12B及び図14に示すように、連係カム305は、前方へ向かうに従って左右幅が狭くなり、左右に斜面を有する先細り状の板体である。連係カム305の後部で左右方向の中央には、後端から前向きに切込み306が形成されている。切込み306には、速度切替ギヤ151の偏心ピン152が上方から貫通している。連係カム305の下面には、左右方向にガイド凹部307が形成されている。ガイド凹部307には、速度切替ホルダ153の上面に設けたガイド突起157が係合している。よって、連係カム305は、速度切替ホルダ153と一体に前後移動する。また、連係カム305は、偏心ピン152の偏心運動の左右方向の移動に応じ、速度切替ホルダ153上で左右にスライドする。
速度切替ホルダ153のホルダ板159,159の左右には、2本の平行な左ロッド308と右ロッド309とが前後に貫通している。ホルダ板159,159を貫通した左右ロッド308,309の後端は、連係カム305の左右の斜面にそれぞれ対向している。右ロッド309は、左ロッド308よりも前後の長さが短くなっている。左右ロッド308,309の前部は、ロッドホルダ310の左右を貫通している。ロッドホルダ310は、前ギヤケース61の支持枠282内に支持されて、モードチェンジレバー280の直線部281を貫通させている。ロッドホルダ310の上面には、連係バー301が支持されている。
よって、左右ロッド308,309は、ホルダ板159,159とロッドホルダ310とによって平行に支持されてそれぞれ前後へスライド可能となっている。ロッドホルダ310の後側で左右ロッド308,309には、抜け止め用のサークリップ311と、クッション用のコイルバネ312とが設けられている。ロッドホルダ310を貫通した左右ロッド308,309の前端は、モードチェンジリング6のガイド板265に設けた厚肉部274の後面に対向している。
連係切替部78では、モードチェンジリング6の回転操作に伴い、モードチェンジシフタ285を介してハンマスリーブ168の前後位置が切り替わる。
また、モードチェンジリング6の回転操作に伴い、連係バー301を介して速度切替ホルダ153の前後移動が許容される状態と、速度切替ホルダ153が前進位置のまま後退が規制される状態とが切り替わる。
また、モードチェンジリング6の回転操作に伴い。左右ロッド308,309の前後移動が、速度切替ホルダ153と共に前後移動が許容される連係カム305と厚肉部274との間で規制されない状態と、左右ロッド308,309の前後移動が、速度切替ホルダ153と共に前進位置のままとなる連係カム305と厚肉部274とにより規制される状態とに切り替わる。
これらの組み合わせにより、機械式で4つの動作モードが選択できるようになっている。各動作モードについては、追って詳述する。
(5)ビット装着構造の説明
図28及び図29にも示すように、アンビル8の軸心には、前端に開口するビット挿入孔315が形成されている。ビット挿入孔315は、横断面が正六角形である。アンビル8の前端には、ビットスリーブ316が前後移動可能に外装されている。ビットスリーブ316の内側でアンビル8には、一対のボール収容部317,317が設けられている。ボール収容部317は、前後方向に延びる長円状で、ビット挿入孔315を中心とした点対称位置に設けられている。ボール収容部317は、径方向外側から内側へ向かうに従って横断面が小さくなる先細り形状となっている。ボール収容部317,317には、一対のボール318,318が収容されている。ボール318は、ボール収容部317内で径方向及び前後方向へ移動可能に収容されている。ボール318は、ボール収容部317の径方向内側の開口よりも大径で、径方向内側の位置では、開口からビット挿入孔315内へ突出可能となっている。ボール収容部317の後部でアンビル8には、図25にも示すように、リング状の溝319が形成されている。溝319には、前後2つのOリング320,320が外装されている。
ビットスリーブ316の内周には、リング状のストッパ部321が形成されている。ストッパ部321は、ボール318,318の外側に位置するとボール318,318をボール収容部317,317の開口からの突出位置に規制する。ストッパ部321の前側でアンビル8には、後方へ向かうに従って大径となるコニカルスプリング322が外装されている。コニカルスプリング322の前端は、アンビル8の前端にリングスプリング323で位置決めされたフラットワッシャ324に当接している。コニカルスプリング322の後端は、ストッパ部321に当接している。よって、ビットスリーブ316は、コニカルスプリング322によって後方に付勢される。ビットスリーブ316の後方には、アンビル8に係止したサークリップ237が位置している。よって、ビットスリーブ316は、図10に示すように、サークリップ237に当接する後退位置に付勢される。この後退位置では、ストッパ部321がボール318,318の外側に位置する。
ビットスリーブ316が後退位置にある状態で、ビットBをビット挿入孔315に挿入する。すると、図29Aに示すように、ビットBと当接したボール318,318が、Oリング320の付勢に抗してボール収容部317,317内でストッパ部321の後方へ移動する。すると、ボール318,318はボール収容部317,317の後部へ退避する。よって、ビットBは、ビットスリーブ316を前方へスライドさせなくてもそのままビット挿入孔315に挿入できる。このとき、ボール収容部317,317は、径方向内側から径方向外側へ拡がるテーパ状となっているため、ビットBと当接してボール収容部317,317の後部へ当接したボール318,318は、テーパ形状に沿ってビット挿入孔315から離れる方向へ移動する。よって、ビット挿入時の荷重が低減される。
ビットの挿入が完了すると、図29Bに示すように、Oリング320の付勢によってボール318,318がストッパ部321の内側へ移動する。よって、ボール318,318は、ボール収容部317,317からの突出位置へ復帰してビットBに係止し、ビットBを抜け止めする。
一方、図29Cに示すように、コニカルスプリング322の付勢に抗してビットスリーブ316を前方へスライドさせれば、ストッパ部321によるボール318,318の移動規制が解除される。よって、ビット挿入孔315からビットBを抜き取ることができる。ビットBを抜き取ると、ボール318,318は、Oリング320の付勢によってボール収容部317,317からの突出位置に戻り、図29Bの状態となる。
ここでは、ビットスリーブ316の付勢にコニカルスプリング322を採用しているので、コニカルスプリング322の自由長を長くしても座屈しにくくなる。よって、ビットBの着脱不良対策となる。また、付勢力のアップに繋がる。よって、振動によるビットBの脱落が起きにくくなる。
(各動作モードの説明)
次に、連係切替部78による各動作モードの切替及び動作を説明する。なお、前ギヤケース61の前部で左右の側面には、ストッパリブ327,327が突設されている(図9A,図13,図23)。ストッパリブ327,327は、モードチェンジリング6の回転操作に伴うガイド板265の左右の回転位置を規制する。
(1)ドリルモード
図19Aに示すように、モードチェンジリング6が、正面視で最も右回転させた位置がドリルモードとなる。
ドリルモードでは、ガイド板265も右回転位置にあり、厚肉部274の第1、第2山部275,276は、左右ロッド308,309の前方から退避している(図19B,C)。
よって、モードチェンジレバー280は、ガイドスリット266の第1スリット267に案内突起284が位置する後退位置にある。すると、モードチェンジシフタ285の連結部287が後退位置にあることで、左右のリンク部286,286は、支軸289,289を中心にして揺動し、上端の係止ピン290,290をガイド孔291,291の前端へスライドさせる。
よって、ハンマスリーブ168は前進位置となるため、前述のように外嵌合溝210の後溝部211及び中溝部212が保持スリット201の外側に位置する。このため、5個の結合ボール216は、遠心力が作用しても移動が規制されることになり、インナハンマ166の後退を規制する(図19D,E)。
連係バー301の掛止ピン302は、連係ワインダ295のガイド端部297の第1端部298に掛止して、前方への移動が許容されている。よって、速度切替ホルダ153は、前後移動可能となり、速度切替ギヤ151の回転も許容されるため、速度切替ダイヤル9による1速-4速の選択が可能となる。
一方、モードチェンジリング6の突条260に設けた切除部261は、震動切替プレート234から周方向にずれている。よって、震動切替プレート234は後退位置となる(図19E)。
このドリルモードで、アンビル8にビットBを装着した後、トリガ18を押し込んでスイッチ17をONさせる。すると、モータ4に給電されてロータ46と共に回転軸53が回転する。
すると、入力ギヤ74からの入力が、減速部75で選択された速度で減速され、スピンドル165に伝わる。インナハンマ166は、アウタハンマ167、ハンマスリーブ168、スピンドル165と共に回転し、腕部172,172を介してアンビル8を回転させる。よって、ビットBによる被加工材の穿孔等が可能となる。
このとき、ビットB及びアンビル8へのトルクが高まっても、インナハンマ166は後退を規制されているため、打撃部76で打撃は発生しない。また、震動切替プレート234は後退位置にあるため、震動部77によるアンビル8の震動も発生しない。
(2)震動ドリルモード
図20Aに示すように、モードチェンジリング6が、ドリルモードから正面視で所定角度左回転させた位置が震動ドリルモードとなる。
震動ドリルモードでは、ガイド板265は右寄りの回転位置にあり、厚肉部274の第1、第2山部275,276は、左右ロッド308,309の前後移動を許容する位置にある。モードチェンジレバー280は、案内突起284が第1スリット267の端部に位置するため、後退位置となる。よって、ハンマスリーブ168は前進位置となるため、インナハンマ166の後退は規制される(図20B~D)。
連係バー301の掛止ピン302は、連係ワインダ295のガイド端部297の第1端部298に係合したままで、前方への移動が許容されている。よって、速度切替ホルダ153は前後移動可能となり、速度切替ギヤ151の回転も許容されるため、速度切替ダイヤル9による1速-4速の選択が可能となる。
一方、モードチェンジリング6の突条260に設けた切除部261は、震動切替プレート234のテーパ部258の前方に位置している。よって、震動切替プレート234は前進し、規制リング232を後側カム231との係合位置に前進させる(図20E)。
この震動ドリルモードで、アンビル8にビットBを装着した後、トリガ18を押し込んでスイッチ17をONさせる。すると、モータ4に給電されてロータ46と共に回転軸53が回転する。
すると、入力ギヤ74からの入力が、減速部75で選択された速度で減速され、スピンドル165に伝わる。インナハンマ166は、アウタハンマ167、ハンマスリーブ168、スピンドル165と共に回転し、腕部172,172を介してアンビル8を回転させる。よって、ビットBによる被加工材の穿孔等が可能となる。
このとき、後側カム231の回転が規制されているので、ビットBが被加工材に押し付けられてアンビル8が後退すると、回転する前側カム230が後側カム231に係合する。よって、アンビル8に軸線方向の震動が発生する。
そして、ビットB及びアンビル8へのトルクが高まっても、インナハンマ166は後退を規制されているため、打撃部76で打撃は発生しない。
(3)インパクト大モード
図21Aに示すように、モードチェンジリング6が、震動ドリルモードから正面視で所定角度左回転させた位置がインパクト大モードとなる。
インパクト大モードでは、ガイド板265も左回転して、モードチェンジレバー280の案内突起284を第2スリット268を介して第3スリット269に相対移動させる。よって、モードチェンジレバー280は中間位置まで前進する。すると、モードチェンジシフタ285の連結部287が前進して左右のリンク部286,286を支軸289,289を中心に揺動させる。よって、上端の係止ピン290,290がガイド孔291,291の中間位置へ後退し、ハンマスリーブ168を中間位置にスライドさせる(図21B~E)。この中間位置では、前述のように、外嵌合溝210の中溝部212が保持スリット201の外側に位置する。
また、モードチェンジリング6の突条260に設けた切除部261は、震動切替プレート234から周方向にずれている。よって、震動切替プレート234は後退位置となる(図21E)。
一方、ガイド板265は、厚肉部274の第1山部275を左ロッド308の前方に移動させる。また、第2山部276の前平坦部278を右ロッド309の前方に移動させる。よって、左右ロッド308,309の前進が規制される。
そして、連係ワインダ295も左回転して、連係バー301の掛止ピン302を、第1端部298から第2端部299を介して第3端部300まで相対移動させる。よって、連係バー301は前進位置までスライドし、速度切替ホルダ153及び連係カム305を前進位置まで前進させる。
このとき、連係カム305は、前進する際、前進が規制される左ロッド308に斜辺が当接する。よって、連係カム305は、斜辺のガイドによって右側へスライドし、偏心ピン152を介して速度切替ギヤ151を3速の位置に回転させる。右ロッド309は連係カム305のスライドに干渉しない。こうして連係カム305が後退及び左側へのスライドが規制されることで、速度切替ギヤ151及び速度切替ダイヤル9の回転を規制するため、減速部75での3速が固定されることになる。
このインパクト大モードで、アンビル8にビットBを装着した後、トリガ18を押し込んでスイッチ17をONさせる。すると、モータ4に給電されてロータ46と共に回転軸53が回転する。
すると、入力ギヤ74からの入力が、減速部75で3速で減速され、スピンドル165に伝わる。インナハンマ166は、アウタハンマ167、ハンマスリーブ168、スピンドル165と共に回転し、腕部172,172を介してアンビル8を回転させる。よって、ビットBによるネジ締め等が可能となる。このとき、遠心力の発生により、5個の結合ボール216のうちの最後尾を含む外側3個の結合ボール216は、径方向外側へ移動する。よって、前述のようにインナハンマ166と共にアウタハンマ167とハンマスリーブ168も一体に回転する。
ネジ締めが進んでアンビル8のトルクが高まると、図30に示すように、インナハンマ166が、カムボール183,183をスピンドル165の内カム溝180,180に沿って転動させながら2つの外内コイルバネ169,170の付勢に抗して回転しながら後退する。このとき内嵌合溝185の2個の結合ボール216は、アウタハンマ167の支持溝204内を後退する。径方向外側の3個の結合ボール216は、アウタハンマ167の保持スリット201とハンマスリーブ168の中溝部212とに跨がって嵌合した状態となる。よって、アウタハンマ167とハンマスリーブ168とは、内カム溝180に沿ったインナハンマ166の回転に追従して回転する。
そして、爪181,181が腕部172,172から離れると、外内コイルバネ169,170の付勢と内カム溝180,180の案内とにより、インナハンマ166は、前進しながらアウタハンマ167及びハンマスリーブ168と共に回転して爪181,181を再び腕部172,172に係合させる。よって、アンビル8に回転打撃力(インパクト)が発生する。この繰り返しによってさらなる締め付けが可能となる。このインパクトは、インナハンマ166にアウタハンマ167及びハンマスリーブ168の質量を加えて発生するため、トータルの慣性力が大きく(インパクト小モードの約3.7倍)なる。その上で3速に制限して回転させるため、トルクが大きくなってもカムアウトは起きにくくなる。
ここでは、自由長の短い2つの外内コイルバネ169,170を同じ巻数で使用している。よって、インナハンマ166が最後退した際の弾性エネルギーを大きくすることができる。一方、インナハンマ166が前進位置にある際の付勢力を小さくできるため、2つの外内コイルバネ169,170を用いても取付荷重を下げることができる。また、インナハンマ166の後退が起きやすくなる(インナハンマ166の爪181がアンビル8の腕部172を乗り越えるタイミングが早くなる)。
(4)インパクト小モード
図22Aに示すように、モードチェンジリング6が、インパクト大モードから正面視で所定角度左回転させた位置がインパクト小モードとなる。
インパクト小モードでは、ガイド板265も左回転して、モードチェンジレバー280の案内突起284を第4スリット270を介して第5スリット271に相対移動させる。よって、モードチェンジレバー280は前進位置まで前進する。すると、モードチェンジシフタ285の連結部287が前進して左右のリンク部286,286を支軸289,289を中心に揺動させる。よって、上端の係止ピン290,290がガイド孔291,291の後退位置へ後退し、ハンマスリーブ168を後退位置にスライドさせる(図22B~E)。
また、モードチェンジリング6の突条260に設けた切除部261は、震動切替プレート234から周方向にずれている。よって、震動切替プレート234は後退位置となる(図22E)。
一方、ガイド板265は、厚肉部274の第1山部275を左ロッド308の前方から左側に退避させる。また、第2山部276の後平坦部277を右ロッド309の前方に移動させる。よって、左ロッド308の前進が許容され、右ロッド309は、第2山部276の斜面に当接することで後退する。
そして、連係ワインダ295も左回転するが、連係バー301の掛止ピン302の位置は第3端部300のままである。よって、連係バー301及び速度切替ホルダ153は前進位置で変わらない。
しかし、連係カム305では、第2山部276に押圧されて後退した右ロッド309が斜辺に当接する。よって、連係カム305は、斜辺のガイドによって左側へスライドし、偏心ピン152を介して速度切替ギヤ151を4速の位置に回転させる。左ロッド308は、連係カム305のスライドに伴って斜辺が当接することで、第1山部275と第2山部276との間で前進する。こうして連係カム305が後退及び右側へのスライドが規制されることで、速度切替ギヤ151及び速度切替ダイヤル9の回転を規制するため、減速部75での4速が固定されることになる。
このインパクト小モードで、アンビル8にビットBを装着した後、トリガ18を押し込んでスイッチ17をONさせる。すると、モータ4に給電されてロータ46と共に回転軸53が回転する。
すると、入力ギヤ74からの入力が、減速部75で4速で減速され、スピンドル165に伝わる。インナハンマ166は、スピンドル165と共に回転し、腕部172,172を介してアンビル8を回転させる。よって、ビットBによるネジ締め等が可能となる。
ハンマスリーブ168の後退位置では、前述のように外嵌合溝210の最も深い前溝部213がアウタハンマ167の保持スリット201の外側に位置する。よって、遠心力の発生により、5個の結合ボール216の全てが径方向外側へ移動する。このため、インナハンマ166では、内側2個の結合ボール216が内嵌合溝185から径方向外側へ離間する。よって、インナハンマ166のみがスピンドル165と一体に回転する。
ネジ締めが進んでアンビル8のトルクが高まると、インナハンマ166が、カムボール183,183をスピンドル165の内カム溝180,180に沿って転動させながら2つの外内コイルバネ169,170の付勢に抗して回転しながら後退する。そして、爪181,181が腕部172,172から離れると、外内コイルバネ169,170の付勢と内カム溝180,180の案内とにより、インナハンマ166は、前進しながら回転して爪181,181を再び腕部172,172に係合させる。よって、アンビル8に回転打撃力(インパクト)が発生する。この繰り返しによってさらなる締め付けが可能となる。このときのインパクトは、インナハンマ166のみにより4速で発生するため、高速であっても低トルクとなる。よって、カムアウトや締め過ぎを抑制できる。
(5)ドライバ(クラッチ)モード
ドリルモード又は震動ドリルモードの状態で表示部27を操作することで、ドライバモードが選択できる。
ドライバモードでは、コントローラ25がモータ4の出力トルク(モータ電流や回転数)を監視する。出力トルクが所定値以上となると、コントローラ25がモータ4の回転を停止させる。この出力トルクの所定値は、表示部27において段数を選択することで変更できる。
ドライバモードの場合、減速部75では、速度切替ダイヤル9による1速-4速の選択が可能となる。
一方、各動作モードにおいて、回転軸53の回転と共にファン35が回転する。すると、吸気口16から外気が吸い込まれ、胴体部12内を通過してモータ4を冷却する。その後、空気は、ファン35の径方向外側に送られ、排気口33を通って外部に排出される。前述のように、上側2つの排気口33A,33Aでは、内縁によって上向きに空気が案内されて上方へ排出される。よって、排気口33A,33Aに上方から異物が侵入しにくくなる。
また、スイッチ17のONと共にライト21が点灯してビットBの前方を照射する。よって、暗い場所でも支障なく作業が行える。但し、ライト21は、表示部27のタッチ操作で任意にON/OFFさせることもできる。
(動作モードと変速段とを対応させる開示に係る効果)
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4による回転を減速する減速部75と、減速部75で減速された回転によって作動可能な打撃部76及び震動部77(複数の作動部)とを有する。インパクトドライバ1は、打撃部76と震動部77とを選択してドリルモード、震動ドリルモード、インパクト大モード、インパクト小モード(所定の動作モード)として作動させる連係切替部78(切替部)を有し、減速部75では、4段の変速段が選択可能である。
そして、連係切替部78は、打撃部76(特定の作動部)の選択に応じて減速部75を連係動作させ、減速部75を、打撃部76に係るインパクト大モード及びインパクト小モードにそれぞれ対応した3速及び4速(所定の変速段)で作動させる。
この構成によれば、4段の変速が可能な減速部75を有する場合でも、ドリルモード、震動ドリルモード、インパクト大モード、インパクト小モードといった複数の動作モードと変速段とを適切に対応させることができる。
減速部75は、4段の変速段が選択可能である。よって、機械式の減速部75でも選択の幅が広くなって使い勝手に優れる。また、複数の動作モードに適した変速段を選択できる。
作動部は、アンビル8を回転方向に打撃する打撃部76を含み、変速段が特定される作動部は、動作モードがインパクト大モード及びインパクト小モードとなる打撃部76となっている。よって、打撃力に応じた適切な変速段で使用できる。
インパクトモードは、アンビル8への打撃力が大きいインパクト大モードと、打撃力がインパクト大モードよりも小さいインパクト小モードとの何れかに切替可能である。そして、連係切替部78は、インパクト大モードの変速段(ここでは3速)よりも、インパクト小モードの変速段(ここでは4速)の方が高速となるように減速部75を連係動作させる。よって、インパクトモードが2タイプでも適切な変速段で使用できる。インパクト大モードではカムアウトを低減してトルクアップが期待でき、インパクト小モードでは作業スピードを高速としつつネジの頭飛びや締め過ぎを低減することができる。
連係切替部78は、打撃部76でアンビル8への打撃を行わないドリルモードに切替可能であり、ドリルモードでは、減速部75による4段の変速段が選択可能である。よって、ドリルモードでの使い勝手を良好とすることができる。
作動部は、アンビル8を軸線方向に震動させる震動部77を含む。そして、連係切替部78は、打撃部76でアンビル8への打撃を行わず、震動部77によりアンビル8に震動を発生させる震動ドリルモードに切替可能であり、震動ドリルモードでは、減速部75による4段の変速段が選択可能である。よって、震動ドリルモードでの使い勝手を良好とすることができる。
減速部75は、各変速段ごとに位置を変更する速度切替ホルダ153及び連係カム305(位置変更部材)を有し、連係切替部78は、作動部を選択操作するためのモードチェンジリング6(モード切替部材)を有する。そして、速度切替ホルダ153及び連係カム305とモードチェンジリング6との間に、モードチェンジリング6の操作に応じて速度切替ホルダ153及び連係カム305を所定の変速段(ここでは3速及び4速)に係る位置へ強制的に移動させるガイド板265、連係ワインダ295、連係バー301、左ロッド308及び右ロッド309(連係部材)が設けられている。
よって、モードチェンジリング6の回転操作に応じて動作モードに適した変速段が自動的に選択される。
モードチェンジリング6は、回転操作により打撃部76と震動部77とが選択可能である。よって、モードチェンジリング6による動作モードの切替が容易に行える。
減速部75は、筒状の後ギヤケース60(ケース)に収容され、インターナルギヤ81A~81Cと、インターナルギヤ81A~81C内で公転運動する遊星歯車80A~80Cと、遊星歯車80A~80Cを支持する後キャリア85及び前キャリア130とを軸線方向に3段有してなる。よって、変速段を設定しやすい減速部が得られる。
減速部75では、軸線方向に隣接して互いに減速比が異なる2つのインターナルギヤ81A,81Bがそれぞれ回転可能に設けられる。また、減速部75では、インターナルギヤ81A,81Bの何れか一方と選択的に係止して回転規制可能な速度切替プレート110(係止部材)が設けられる。さらに、他の1つのインターナルギヤ81Cは、回転可能に設けられると共に、後ギヤケース60内で回転規制されて遊星歯車80Cを公転運動させる後退位置(第1のスライド位置)と、後ギヤケース60内で回転規制されない状態で遊星歯車80Cと前キャリア130とに同時に係合する前進位置(第2のスライド位置)とに軸線方向へスライド可能に設けられている。そして、速度切替プレート110による2つのインターナルギヤ81A,81Bの一方の回転規制と、1つのインターナルギヤ81Cのスライド位置とを組み合わせることで、4段の変速段が選択可能となっている。
よって、機械式の減速部75でも4段変速が可能となる。
速度切替プレート110は、中間部が支持されて両端部が揺動可能に設けられている。速度切替プレート110は、一端部が一方のインターナルギヤ81Aの外周に係止し、他端部が他方のインターナルギヤ81Bの他方の外周に係止しない後傾姿勢(第1の揺動姿勢)と、一端部がインターナルギヤ81Aの外周に係止せず、他端部がインターナルギヤ81Bの外周に係止する前傾姿勢(第2の揺動姿勢)とに切替可能である。よって、1つの速度切替プレート110の揺動を利用して2つのインターナルギヤ81A,81Bの回転規制とその解除とが簡単に行える。
後ギヤケース60における速度切替プレート110の外側には、速度切替リング114(リング状部材)が回転可能に設けられている。速度切替リング114には、速度切替プレート110の一端部を押圧して速度切替プレート110を後傾姿勢に切り替える後押圧部115(第1の押圧部)と、他端部を押圧して速度切替プレート110を前傾姿勢に切り替える前押圧部116(第2の押圧部)とが、回転方向の所定角度ごとに交互に設けられている。そして、後ギヤケース60に設けられた速度切替ダイヤル9(回転操作部材)の回転操作により、速度切替リング114を回転させてインターナルギヤ81A,81Bの選択的な回転規制を可能としている。
よって、速度切替リング114と速度切替ダイヤル9とを用いた速度切替プレート110の姿勢の切替が省スペースで容易に行える。
速度切替リング114には、周方向に沿って複数の歯121が設けられ、速度切替ダイヤル9には、歯121に噛合する上ギヤ126(ギヤ)が設けられて、速度切替ダイヤル9の回転操作によって速度切替リング114が回転可能である。
よって、速度切替ダイヤル9の回転操作により速度切替プレート110の姿勢の切替が可能となる。
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4により駆動し、所定の変速段が選択可能な減速部75と、減速部75により打撃作動するインナハンマ166(ハンマ)と、減速部75の変速と、インナハンマ166の打撃作動の可否とを切替可能な連係切替部78(切替部)とを有する。そして、連係切替部78は、インナハンマ166が打撃作動可能な場合は、減速部75での変速段の選択が制限され、インナハンマ166が打撃作動不能な場合は、減速部75での変速段の選択を可能としている。
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4により駆動し、所定の変速段が選択可能な減速部75とを有し、ドリルモード、震動ドリルモード、ドライバモード、インパクトモードの各動作モードでそれぞれ駆動可能である。そして、インパクトドライバ1は、ドリルモード、震動ドリルモード、ドライバモードでは、減速部75での変速段の選択が可能であり、インパクトモード(インパクト大モード及びインパクト小モード)では、減速部75での変速段の選択が制限される。
よって、インパクトモード(インパクト大モード及びインパクト小モード)では、常に適切な変速段で使用可能となる。
動作モードと変速段とを対応させる開示については、以下の変更が可能である。
減速部の変速段は、4段に限らず、3段や5段以上であってもよい。
上記形態では、インパクト大モードでは3速、インパクト小モードでは4速にそれぞれ変速段を対応させているが、これに限らない。例えば両モードとも同じ変速段とすることもできる。
インパクトモードは、インパクト大モードとインパクト小モードとの2タイプに限らない。打撃部がハンマを1つのみ備えて単一のインパクトモードを選択できるものであってもよい。インパクト大モード及びインパクト小モードにインパクト中モードを加えた3タイプも採用できる。
インパクトモード以外の動作モードは、上記形態に限らない。ドリルモードと、震動ドリルモードと、ドライバモードとのうちの何れか1つ或いは2つはなくてもよい。
上記形態では、インパクトモードのみを所定の変速段と対応させているが、インパクトモード以外の動作モードにも所定の変速段を対応させることができる。
複数のインパクトモードのみを選択できるインパクト工具であっても本開示は採用できる。インパクトモードがない電動工具であっても本開示は採用できる。
速度切替ホルダと連係カムとの形状は、上記形態に限らない。位置変更部材としては、速度切替ホルダと連係カム以外の部材も採用できる。
連係部材は、上記形態に限らず適宜変更可能である。例えば、連係バーを速度切替ホルダと一体に形成することもできる。
位置変更部材及び連係部材は、作動ユニットの下側でなく左右何れかに設けることもできる。ケースの内部に設けることもできる。
モータは、ブラシレスモータに限らない。バッテリパックを用いないAC工具であってもよい。
上記形態では、機械式4モードのインパクトドライバを例示しているが、本開示はこのインパクトドライバに限らない。例えば、ドライバモードを、電子クラッチでなく機械式のクラッチで実現したインパクトドライバや、アングルインパクトドライバ等のインパクト工具、ドライバドリル等の電動工具についても本開示は適用可能である。
(2つのインターナルギヤと係止部材との開示に係る効果)
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4による回転を減速する減速部75と、減速部75で減速された回転によって作動する打撃部76及び震動部77と、を有する。また、減速部75は、インターナルギヤ81A~81Cと、インターナルギヤ81A~81C内で公転運動する遊星歯車80A~80Cと、遊星歯車80A~80Cを支持する後キャリア85及び前キャリア130とを軸線方向に3段有してなる。
減速部75は、前段に位置する回転可能なインターナルギヤ81A(前段側インターナルギヤ)と、インターナルギヤ81Aの後段に位置し、インターナルギヤ81Aと減速比が異なる回転可能なインターナルギヤ81B(後段側インターナルギヤ)とを有する。また、減速部75は、インターナルギヤ81A,81Bの径方向外側に配置され、インターナルギヤ81Aに係止してインターナルギヤ81Aの回転を規制する後傾姿勢(第1の位置)と、インターナルギヤ81Bに係止してインターナルギヤ81Bの回転を規制する前傾姿勢(第2の位置)とにそれぞれ切替可能な速度切替プレート110(係止部材)を有する。そして、減速部75は、速度切替プレート110を後傾姿勢と前傾姿勢との何れかへ選択的に切替操作可能な速度切替リング114及び速度切替ダイヤル9(操作部)とを有している。
この構成によれば、軸線方向にコンパクトとなり、変速の切替もスムーズに安定して行える減速部75を得ることができる。
速度切替プレート110は、中間部が支持されて両端部が揺動可能に設けられ、後傾姿勢では一端部がインターナルギヤ81Aの外周に係止し、前傾姿勢では他端部がインターナルギヤ81Bの外周に係止する。よって、1つの速度切替プレート110で2つのインターナルギヤ81A,81Bの回転規制とその解除とが省スペースで合理的に行える。
減速部75は、筒状の後ギヤケース60に収容され、操作部は、速度切替リング114と速度切替ダイヤル9とを備えている。よって、速度切替リング114を用いた速度切替プレート110の姿勢の切替が省スペースで容易に行える。特に、速度切替リング114には、周方向に複数の歯121が連続形成され、速度切替ダイヤル9には、上ギヤ126が一体に形成されている。よって、速度切替ダイヤル9の回転操作により速度切替リング114の回転が簡単に行える。
速度切替リング114には、歯121を形成したフェースギヤリング120(ギヤリング)が一体に設けられている。よって、速度切替リング114に歯121を簡単に設けることができる。
速度切替リング114は、後押圧部115と前押圧部116とを軸線方向へ互い違いに突出させながら周方向へ蛇行状に延びる枠状体である。よって、速度切替リング114の構成がシンプルとなる。
速度切替プレート110は、複数設けられている。よって、インターナルギヤ81A,81Bの回転規制を確実に行うことができる。
速度切替プレート110は、インターナルギヤ81A,81Bの軸線を中心とした点対称位置に配置されている。よって、インターナルギヤ81A,81Bを軸線から傾かせることなく回転規制できる。
インターナルギヤ81A,81Bの外周には、軸線方向に延びる後係止リブ91及び前係止リブ95(係止リブ)が、インターナルギヤ81A,81Bの周方向へ所定間隔をおいて複数設けられている。また、速度切替プレート110の両端部には、後係止リブ91及び前係止リブ95と周方向に係止する後係止部112及び前係止部113が形成されている。よって、インターナルギヤ81A,81Bの回転規制とその解除とが確実に行える。
後係止部112及び前係止部113は、カール状に形成されている。よって、後係止リブ91及び前係止リブ95と係止しやすくなる。
インターナルギヤ81A,81Bは、軸線方向に隣接配置されて、互いの対向面間にOリング93(シール部材)が介在されている。そして、インターナルギヤ81A,81Bのそれぞれ対向面と反対側の端部には、中心側へ張り出す後フランジ部90及び前フランジ部94がそれぞれ形成されている。よって、インターナルギヤ81A,81Bの間に、インターナルギヤ81A,81Bの径方向内側のグリスを外側に逃がさない保持空間Sが形成され、グリス枯れの防止に繋がる。
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4により回転する後キャリア85と、後キャリア85に保持されるピン86と、ピン86に保持され、第1の歯数を有する遊星歯車80A(第1遊星歯車)及び、第1の歯数と異なる第2の歯数を有する遊星歯車80B(第2遊星歯車)と、遊星歯車80Aと噛合するインターナルギヤ81A(第1インターナルギヤ)と、遊星歯車80Bと噛合するインターナルギヤ81B(第2インターナルギヤ)と、インターナルギヤ81A,81Bの何れか一方を回転不能とする速度切替プレート110(固定部材)とを有する。
この構成によれば、1つの速度切替プレート110で2つのインターナルギヤ81A,81Bを選択的に回転不能とすることができる。よって、軸線方向にコンパクトとなり、変速の切替もスムーズに安定して行える減速部75を得ることができる。
2つのインターナルギヤと係止部材との開示については、以下の変更が可能である。
速度切替プレート(係止部材)が回転規制を行う前段側と後段側との2つのインターナルギヤは、上記形態の1段目と2段目とに限らない。例えば2段目と3段目のインターナルギヤとにおいて係止部材で回転規制を行ってもよい。減速部の変速段も4段に限らない。係止部材と2つのインターナルギヤとの組は、複数組設けてもよい。
係止部材の数は2つに限らない。例えばインターナルギヤの周方向に3つ以上配置して回転規制を行ってもよい。
係止部材の形状は、上記形態の速度切替プレートに限らない。前後の係止部はカール状でなくてもよい。例えば単純に折り曲げた折曲端部で前後の係止部を形成してもよい。別体の部品を取り付けて前後の係止部を形成してもよい。例えば係止部材を弾性体で形成し、前後の係止部をピン部材で形成することもできる。
係止部材の中間部の支持は、上記形態の速度切替サポータによる構造に限らない。ケースに直接仕切を設けて係止部材を支持させてもよい。ピン部材で係止部材の中間部を支持させてもよい。
リング状部材は、上記形態の速度切替リングに限らない。リング状部材は、周方向へ蛇行状に延びる枠状体でなく、帯状体としてもよい。よって、歯は、別体のギヤリングを用いず、リング状部材に直接形成することもできる。
変速に係る2つのインターナルギヤの間のシール部材は、複数設けてもよい。Oリング以外のシール部材も採用できる。
シール部材を用いずに2つのインターナルギヤの対向面間のシールを行うこともできる。例えば、何れか一方の対向面にリング状の突条を、他方の対向面にリング状の溝をそれぞれ形成して、突条を溝に挿入させることでシールを図ることもできる。
変速に係る2つのインターナルギヤは、軸線方向に隣接していなくてもよい。この場合、インターナルギヤの対向面間のシール部材は省略できる。フランジ部も省略できる。
モータは、ブラシレスモータに限らない。バッテリパックを用いないAC工具であってもよい。
上記形態では、機械式4モードのインパクトドライバを例示しているが、本開示は、インパクトドライバに限らず、遊星歯車とインターナルギヤとを用いた減速部を有する電動工具であれば、他のインパクト工具、ドライバドリルやスクリュードライバ等の他の電動工具にも適用可能である。
(レバー部材の開示に係る効果)
上記形態のインパクトドライバ1は、モードチェンジリング6(操作部材)と、モードチェンジリング6の操作に伴い、支軸289を介して揺動するモードチェンジシフタ285のリンク部286(レバー部材)と、リンク部286の揺動と連係して直線移動するハンマスリーブ168(切替部材)と、を含んでなる。そして、リンク部286は、支軸289がリンク部286に挿入されることで揺動可能となっており、リンク部286における支軸289の挿入部分は、リンク部286に沿って延びる長円孔288(長孔)となっている。
この構成によれば、支軸289を中心にリンク部286が揺動しても、ハンマスリーブ168の軸線とリンク部286の端部の移動軌跡とが平行となる。よって、ハンマスリーブ168のストローク量が大きくなっても、ハンマスリーブ168からリンク部286が脱落したり、動作モードの切替不良が生じたりするおそれが低減される。すなわち、動作モードの切替がスムーズに行える。また、リンク部286の組立性も良好となる。
ハンマスリーブ168は、前ギヤケース61の内部に設けられ、モードチェンジリング6及びリンク部286は、前ギヤケース61の外部に設けられて、支軸289は、前ギヤケース61の外面から突出している。よって、前ギヤケース61越しでもハンマスリーブ168をスムーズに直線移動させることができる。モードチェンジシフタ285の組み付けも前ギヤケース61の外部で容易に行える。
リンク部286とハンマスリーブ168との連係は、リンク部286の端部に設けた係止ピン290をハンマスリーブ168に係止させて行われる。よって、リンク部286の揺動をハンマスリーブ168の直線移動に変換することができる。
係止ピン290は、ハンマスリーブ168の直線移動方向に沿って前ギヤケース61に設けられた直線状のガイド孔291を介してハンマスリーブ168に係止している。よって、ハンマスリーブ168の軸線方向に沿った係止ピン290の移動をガイドすることができる。
前ギヤケース61内には、スピンドル165と、スピンドル165に外装されるインナハンマ166(ハンマ)とを含む打撃部76が設けられ、切替部材は、インナハンマ166に外装されて軸線方向に移動可能としたハンマスリーブ168(スリーブ部材)となっている。よって、打撃部76でのインパクトモードの切替がスムーズに行える。
ハンマスリーブ168には、外周にリング溝215が形成され、リング溝215に係止ピン290が係止している。よって、ハンマスリーブ168をスムーズに直線移動させることができる。
リンク部286は、一対設けられて一端部同士が連結部287で連結され、連結部287がモードチェンジリング6の操作に伴って揺動し、各リンク部286の他端部に設けた係止ピン290がそれぞれリング溝215に係止している。よって、ハンマスリーブ168を確実に直線移動させることができる。
係止ピン290は、ハンマスリーブ168の軸線を中心とした点対称位置に配置されている。よって、ハンマスリーブ168に傾きが生じにくくなる。
モードチェンジリング6は、動作モードを切り替えるために設けられる。よって、動作モードの切替に伴うハンマスリーブ168の直線移動を連係して行うことができる。
モードチェンジリング6は、回転操作によって動作モードを切り替える。よって、動作モードの切替が容易に行える。
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4により回転するアンビル8と、アンビル8を回転方向に打撃するインナハンマ166と、インナハンマ166に外装される動作モード切替用のハンマスリーブ168とを有する。また、インパクトドライバ1は、ハンマスリーブ168の外周に設けられるリング溝215と、リング溝215に係止する係止ピン290(係止部)と、係止ピン290を、ハンマスリーブ168の軸線方向にのみ移動させるリンク部286と、を有する。
この構成においても、ハンマスリーブ168からリンク部286が脱落したり、動作モード切替時の切替不良が生じたりするおそれが低減される。よって、動作モードの切替がスムーズに行える。また、リンク部286の組立性も良好となる。
レバー部材の開示については、以下の変更が可能である。
リンク部に設ける長孔は、長円孔に限らず、楕円孔であってもよい。四角孔であってもよい。
係止ピンは、リンク部へ一体に設けてもよい。
2つのリンク部は、連結部で連結せず、左右別々に揺動するものであってもよい。
リンク部は、ケースの内部にあってもよい。
レバー部材は、インパクトモード以外の動作モードの切替用であってもよい。よって、切替部材は、例えば減速部に設けた変速用のインターナルギヤであってもよい。
上記形態では、ギヤケースに支軸を設け、リンク部に長孔を設けているが、これと逆であってもよい。すなわち、リンク部に支軸を設け、ギヤケースに長孔を設けることでも、ハンマスリーブやインターナルギヤ等の切替部材を軸線方向にのみ移動させることができる。
モータは、ブラシレスモータに限らない。バッテリパックを用いないAC工具であってもよい。
本開示は、インパクトドライバ以外の他の電動工具にも適用できる。
本開示は、電動工具に限らず、エアやエンジンを駆動源とする作業工具であっても適用可能である。
(遊星歯車同士がオーバーラップする開示に係る効果)
上記形態のインパクトドライバ1は、モータ4と、モータ4による回転を減速する減速部75と、減速部75で減速された回転によって作動する打撃部76及び震動部77と、を有する。また、減速部75が、インターナルギヤ81A~81Cと、インターナルギヤ81A~81C内で公転運動する複数の遊星歯車80A~80Cと、各遊星歯車80A~80Cをそれぞれピン86,131を介して支持する後キャリア85及び前キャリア130とを軸線方向に3段有してなる。そして、軸線方向に隣接する前段の各遊星歯車80Aと後段の各遊星歯車80Bとが、互いに径方向にオーバーラップした状態で1本のピン86にそれぞれ支持されている。
この構成によれば、軸線方向にコンパクトとなって耐久性が高い減速部75が得られる。
前段の遊星歯車80Aには、後段の遊星歯車80Bに隣接するギヤ部83と、遊星歯車80Bの内径側に延びる軸受部84とが設けられており、遊星歯車80Bは、軸受部84に外装されてオーバーラップしている。よって、遊星歯車80A,80B同士をコンパクトにオーバーラップさせることができる。また、遊星歯車80Bがピン86と接触しないので、遊星歯車80Bを使用する際の摩擦抵抗による機械損失を小さくすることができる。
軸受部84とピン86との間には、軸受87が設けられている。よって、1つの軸受87で2つの遊星歯車80A,80Bが支持可能となる。
軸受87は、ニードルベアリングである。よって、径方向によりコンパクトとなる。また、グリス枯れが生じても必要な潤滑が得られる。
前段のインターナルギヤ81Aと、後段のインターナルギヤ81Bとは、それぞれ回転可能に設けられている。そして、インターナルギヤ81Aとインターナルギヤ81Bとを選択的に回転規制する速度切替プレート110、速度切替リング114、速度切替ダイヤル9(回転規制部)が設けられている。よって、2つのインターナルギヤ81A,81Bの回転規制の切替によって2つの変速段が容易に実現できる。
遊星歯車同士がオーバーラップする開示については、以下の変更が可能である。
オーバーラップさせる遊星歯車は、1段目と2段目とに限らない。例えば2段目と3段目との遊星歯車同士をオーバーラップさせてもよい。減速部の段数も4段に限らない。
上記形態では、前段の遊星歯車に軸受部を設けて後段の遊星歯車を軸受部に外装させているが、これと逆であってもよい。すなわち、後段の遊星歯車をピンに支持させて前段側へ延びる軸受部を形成し、その軸受部に前段の遊星歯車を外装させることもできる。
軸受部とピンとの間の軸受は、ニードルベアリング以外も採用できる。軸受がなくてもよい。
上記形態では、1段目の遊星歯車に設けた軸受部に2段目の遊星歯車を外装させてオーバーラップさせているが、3段目以降の遊星歯車も軸受部に外装させてもよい。すなわち、本開示は、3段以上の遊星歯車をオーバーラップさせる態様も含む。
モータは、ブラシレスモータに限らない。バッテリパックを用いないAC工具であってもよい。
上記形態では、機械式4モードのインパクトドライバを例示しているが、本開示は、インパクトドライバに限らず、遊星歯車とインターナルギヤとを用いた減速部を有する電動工具であれば、他のインパクト工具、ドライバドリルやスクリュードライバ等の他の電動工具にも適用可能である。
(釘打ち用ビットの説明)
震動ドリルモードでは、釘打ち用ビットを用いた釘打ちが可能である。この釘打ち用ビットB1は、図31に示すように、シャフト部330と、ヘッド部331と、複数のボール332,332・・と、ワッシャ333と、ゴムスリーブ334とを備えている。
シャフト部330は、通常のビットBと同様にビット挿入孔315へ挿入される。但し、シャフト部330の横断面形状は、正六角形ではなく円形となっている。よって、シャフト部330は、ビット挿入孔315内で回転可能に保持される。シャフト部330の後端には、くびれ部335が形成されている。くびれ部335には、ビット挿入孔315に差し込んだ状態でボール収容部317,317のボール318,318が係合する。
ヘッド部331は、シャフト部330と一体に設けられる。ヘッド部331は、大径の円形状で、前端面は、外周部分を除いて平坦となっている。ヘッド部331の前寄り外周には、リング状の係止溝336が形成されている。ヘッド部331の後面でシャフト部330の根元には、リング状凹部337が形成されている。ボール332,332・・は、リング状凹部337に嵌合している。
ワッシャ333は、ヘッド部331の後方でシャフト部330に貫通されて、ボール332,332・・を受けている。
ゴムスリーブ334は、ヘッド部331とワッシャ333とに跨がって外装される。ゴムスリーブ334の前後端には、中心側へ折り返されるリング状の前縮径部338と後縮径部339とがそれぞれ形成されている。前縮径部338は、ヘッド部331の係止溝336に係止する。後縮径部339は、ワッシャ333の後端に係止する。よって、ワッシャ333は、ボール332に当接した状態でヘッド部331と連結される。
釘打ち用ビットB1は、ビットBと同様にシャフト部330をビット挿入孔315に差し込む。すると、ボール収容部317,317のボール318,318がくびれ部335に係合して抜け止めされる。同時にワッシャ333がアンビル8の前端面に当接する。この状態でヘッド部331の後端はワッシャ333に当接しない。
釘打ちを行う場合、ヘッド部331の前端面を釘の頭に当接させ、震動ドリルモードでインパクトドライバ1を作動させる。すると、アンビル8に発生する前後方向の震動がヘッド部331を介して釘に伝わる。よって、インパクトドライバ1を押し込むと、釘を被加工材へ打ち込むことができる。このときアンビル8の回転にワッシャ333が追従しても、ヘッド部331とワッシャ333との間のボール332,332・・によって回転伝達が遮断されるため、ヘッド部331が回転することはない。
この釘打ち用ビットB1は、上記形態の機械式4モードのインパクトドライバ以外のインパクトドライバや電動工具(震動モードを有し、最終出力軸に六角穴を有してビットを着脱できる電動工具)にも装着して使用可能である。
1・・インパクトドライバ、2・・本体、3・・ハンドル、4・・モータ、5・・作動ユニット、6・・モードチェンジリング、7・・ハンマケース、8・・アンビル、9・・速度切替ダイヤル、10・・本体ハウジング、11・・リヤカバー、12・・胴体部、13・・グリップ部、25・・コントローラ、30・・キャップ部、31・・ネジ止め部、53・・回転軸、60・・後ギヤケース、61・・前ギヤケース、74・・入力ギヤ、75・・減速部、76・・打撃部、77・・震動部、78・・連係切替部、80A~80C・・遊星歯車、81A~81C・・インターナルギヤ、85・・後キャリア、106・・速度切替サポータ、110・・速度切替プレート、114・・速度切替リング、120・・フェースギヤリング、126・・上ギヤ、130・・前キャリア、145・・速度切替ワイヤ、151・・速度切替ギヤ、153・・速度切替ホルダ、165・・スピンドル、166・・インナハンマ、167・・アウタハンマ、168・・ハンマスリーブ、169・・外コイルバネ、170・・内コイルバネ、216・・結合ボール、230・・前側カム、231・・後側カム、234・・震動切替プレート、280・・モードチェンジレバー、285・・モードチェンジシフタ、295・・連係ワインダ、301・・連係バー、305・・連係カム、B・・ビット、B1・・釘打ち用ビット。

Claims (11)

  1. 操作部材と、
    前記操作部材の操作に伴い、支軸を介して揺動するレバー部材と、
    前記レバー部材の揺動と連係して直線移動する切替部材と、を含んでなる作業工具であって、
    前記レバー部材は、前記支軸が前記レバー部材に挿入されることで揺動可能となっており、前記レバー部材における前記支軸の挿入部分は、前記レバー部材に沿って延びる長孔となっている作業工具。
  2. 前記切替部材は、ケースの内部に設けられ、前記操作部材及び前記レバー部材は、前記ケースの外部に設けられて、前記支軸は、前記ケースの外面から突出している請求項1に記載の作業工具。
  3. 前記レバー部材と前記切替部材との連係は、前記レバー部材の端部に設けた係止ピンを前記切替部材に係止させて行われる請求項2に記載の作業工具。
  4. 前記係止ピンは、前記切替部材の直線移動方向に沿って前記ケースに設けられた直線状のガイド孔を介して前記切替部材に係止している請求項3に記載の作業工具。
  5. 前記ケース内には、スピンドルと、前記スピンドルに外装されるハンマとを含む打撃部が設けられ、前記切替部材は、前記ハンマに外装されて軸線方向に移動可能としたスリーブ部材である請求項3又は4に記載の作業工具。
  6. 前記スリーブ部材には、外周にリング溝が形成され、前記リング溝に前記係止ピンが係止している請求項5に記載の作業工具。
  7. 前記レバー部材は、一対設けられて一端部同士が連結部で連結され、前記連結部が前記操作部材の操作に伴って揺動し、各前記レバー部材の他端部に設けた前記係止ピンがそれぞれ前記リング溝に係止している請求項6に記載の作業工具。
  8. 前記係止ピンは、前記スリーブ部材の軸線を中心とした点対称位置に配置されている請求項7に記載の作業工具。
  9. 前記操作部材は、動作モードを切り替えるために設けられる請求項1乃至8の何れかに記載の作業工具。
  10. 前記操作部材は、回転操作によって前記動作モードを切り替える請求項9に記載の作業工具。
  11. モータと、
    前記モータにより回転するアンビルと、
    前記アンビルを回転方向に打撃するハンマと、
    前記ハンマに外装される動作モード切替用のスリーブ部材と、
    前記スリーブ部材の外周に設けられるリング溝と、
    前記リング溝に係止する係止部と、
    前記係止部を、前記スリーブ部材の軸線方向にのみ移動させるリンク部と、を有するインパクト工具。
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