JP2022158107A - 波長変換部材及び発光デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】励起光として紫外光を用いた場合においても、蛍光体を効率良く励起させることができ、しかも紫外光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制することができる、波長変換部材を提供する。【解決手段】光源7から出射された励起光の波長を変換するための波長変換部材1であって、第1のガラスマトリクス4と、第1のガラスマトリクス4中に分散している蛍光体粒子5とにより構成されている、第1の層2と、第1の層2上に設けられており、第2のガラスマトリクス6により構成されている、第2の層3と、を備え、第1の層2が、光源7側に設けられており、励起波長における第1のガラスマトリクス4の透過率TA及び第2のガラスマトリクス6の透過率TBの差|TA-TB|が、蛍光波長における第1のガラスマトリクス4の透過率LA及び第2のガラスマトリクス6の透過率LBの差|LA-LB|よりも大きく、かつ、TA>TBである、波長変換部材1。【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発する光の波長を別の波長に変換する波長変換部材及び該波長変換部材を用いた発光デバイスに関する。
近年、蛍光ランプや白熱灯に代わる次世代の発光デバイスとして、低消費電力、小型軽量、容易な光量調節という観点から、LEDやLDを用いた発光デバイスに対する注目が高まってきている。そのような発光デバイスの一例として、例えば、下記の特許文献1には、青色光を出射するLED上に、LEDからの光の一部を吸収して黄色光に変換する波長変換部材が配置された発光デバイスが開示されている。この発光デバイスは、LEDから出射された青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光を発する。
LEDやLDを用いた発光デバイスとして、一般照明用途だけでなく、波長変換部材やセンサーと組み合せたセンシング用の発光デバイスも提案されている。例えば、下記の特許文献2には、紫外光及び/または可視光を発する発光素子と、該発光素子上に設けられた蛍光体層とを具備するメタンガスセンサー用光源が開示されている。
特開2000-208815号公報 特開2013-170205号公報
蛍光とともに励起光が外部に漏洩するとセンサーとしての機能に悪影響を及ぼす場合がある。更に紫外光は、その波長が小さい場合は人体にも悪影響を及ぼしやすい。そのため、特許文献2に記載の発光デバイスでは、蛍光体層の表面に励起光を透過せず、蛍光のみを透過するフィルターを形成している。しかしながら、このようなフィルターを蛍光体層の表面に形成すると、製造工程が煩雑になりコストアップに繋がるという問題がある。
以上に鑑み、本発明は、励起光として紫外光を用いた場合においても、蛍光体を効率良く励起させることができ、しかも紫外光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制することができる、波長変換部材及び該波長変換部材を用いた発光デバイスを提供することを目的とする。
本発明に係る波長変換部材は、光源から出射された励起光の波長を変換するための波長変換部材であって、第1のガラスマトリクスと、前記第1のガラスマトリクス中に分散している蛍光体粒子とにより構成されている、第1の層と、前記第1の層上に設けられており、第2のガラスマトリクスにより構成されている、第2の層と、を備え、前記第1の層が、前記光源側に設けられており、励起波長における前記第1のガラスマトリクスの透過率T及び前記第2のガラスマトリクスの透過率Tの差|T-T|が、蛍光波長における前記第1のガラスマトリクスの透過率L及び前記第2のガラスマトリクスの透過率Lの差|L-L|よりも大きく、かつ、T>Tであることを特徴としている。
本発明においては、前記励起波長における透過率差と、前記蛍光波長における透過率差との差|T-T|-|L-L|が、20%以上であることが好ましい。
本発明においては、前記第1のガラスマトリクスの励起波長における透過率Tが、20%以上であり、前記第2のガラスマトリクスの励起波長における透過率Tが、65%以下であることが好ましい。
本発明においては、前記第1のガラスマトリクスの蛍光波長における透過率Lが、50%以上であり、前記第2のガラスマトリクスの蛍光波長における透過率Lが、50%以上であることが好ましい。
本発明においては、前記第2の層が、蛍光体粒子を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明においては、前記第2の層の厚みが、前記第1の層の厚みよりも大きいことが好ましい。
本発明においては、前記第2の層の前記第1の層に対する厚みの比(第2の層/第1の層)が、1以上、30以下であることが好ましい。
本発明においては、前記励起光が、UV光であることが好ましい。
本発明においては、前記蛍光が、可視光であることが好ましい。
本発明に係る発光デバイスは、励起光を出射する光源と、本発明に従って構成される波長変換部材と、を備えることを特徴としている。
本発明によれば、励起光としてUV光を用いた場合においても、蛍光体を効率良く励起させることができ、しかも外付けフィルターを用いることなくUV光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制することができる、波長変換部材及び該波長変換部材を用いた発光デバイスを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る波長変換部材を示す模式的正面断面図である。 図2は、第1のガラスマトリクス及び第2のガラスマトリクスの透過率スペクトルの一例を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスを示す模式的正面断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスの変形例を示す模式的正面断面図である。 図5は、UVLEDを照射したときに、波長変換部材の出射面側から発せられる光のエネルギー分布スペクトルの一例を示す図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
[波長変換部材]
図1は、本発明の一実施形態に係る波長変換部材を示す模式的正面断面図である。図1に示すように、本実施形態の波長変換部材1は、矩形板状の形状を有している。もっとも、波長変換部材1は、略円板状の形状を有していてもよく、その形状は特に限定されない。
波長変換部材1は、第1の層2及び第2の層3を備える。第1の層2は、第1の主面2a及び第2の主面2bを有する。第1の層2の第1の主面2a上に、第2の層3が設けられている。また、第1の層2の第2の主面2bは、光源7が設けられる側の面である。従って、第2の層3は、光源7側とは反対側に設けられている。
第1の層2は、第1のガラスマトリクス4と、蛍光体粒子5とにより構成されている、蛍光体ガラスである。本実施形態において、蛍光体粒子5は、第1のガラスマトリクス4中に分散されている。また、第2の層3は、第2のガラスマトリクス6により構成されている。
本実施形態においては、図1に示すように、光源7からの励起光Aが波長変換部材1に出射される。励起光Aは、第2の主面2b側から第1の層2に入射する。励起光Aが、蛍光体が配置された第1の層2に照射されると、蛍光Bが出射する。蛍光Bは、第2の層3を通り、波長変換部材1から出射される。
図2は、このような波長変換部材1を構成する第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6の透過率スペクトルの一例を示す図である。なお、図2では、第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6におけるそれぞれ単独の透過率スペクトルを示している。第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6の透過率スペクトルは、それぞれ、厚み1mmのガラス板について測定するものとする。このガラス板は、第1のガラスマトリクス4または第2のガラスマトリクス6の原料であるガラス粉末(平均粒子径2.5μm)の圧粉体を、ガラス粉末の軟化点+50℃で真空焼成して焼結体を得た後、得られた焼結体を厚み1mmとなるように切削加工やラップ研磨、ポリッシュ研磨加工することにより作製することができる。本特許が示す透過率とは、ポリッシュ研磨加工した厚み1mmの焼結体における全光線透過率のことを表し、JIS K7105に準拠した方法で測定することができる。また、第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6の透過率スペクトルは、分光光度計により測定することができる。
図2に示すように、本実施形態では、励起波長における第1のガラスマトリクス4の透過率T及び第2のガラスマトリクス6の透過率Tの差の絶対値|T-T|が、蛍光波長における第1のガラスマトリクス4の透過率L及び第2のガラスマトリクス6の透過率Lの差の絶対値|L-L|よりも大きい。より具体的には、励起波長において、第1のガラスマトリクス4の透過率Tが、第2のガラスマトリクス6の透過率Tよりも大きい。他方、蛍光波長においては、第1のガラスマトリクス4の透過率L及び第2のガラスマトリクス6の透過率Lがともに大きく、その差が小さい。本発明において、励起波長とは励起光源の発光強度が最大となる波長、蛍光波長とは蛍光強度が最大となる波長を意味する。なお、本実施形態において、励起波長の透過率は、UV光、具体的に波長200nm~380nmにおける透過率のことをいうものとする。また、蛍光波長の透過率は、可視光、具体的には波長380nm~800nmにおける透過率のことをいうものとする。
このような光学的性質を有する第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6を用いた波長変換部材1に、励起光AとしてのUV光を入射させると、第1の層2を構成する第1のガラスマトリクス4の励起波長における透過率が高いことから、ガラスによる励起光Aの吸収を小さくすることができ、第1の層2において効率よく蛍光に波長変換することができる。一方、第2の層3においては、第2の層3を構成する第2のガラスマトリクス6の励起波長における透過率が低いことから、第2の層3において励起光AであるUV光を遮蔽することができる。そのため、UV光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制することができる。また、第1の層2及び第2の層3を構成する第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6の蛍光波長における透過率が高いことから、蛍光を効率よく出射させることができる。よって、本実施形態の波長変換部材1によれば、励起光AとしてUV光を用いた場合においても、蛍光体を効率良く励起させることができ、しかもUV光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制することができる。
本発明においては、上記励起波長における透過率差と、上記蛍光波長における透過率差との差|T-T|-|L-L|が、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは75%以上である。上記差|T-T|-|L-L|が上記下限値以上である場合、蛍光体をより一層効率良く励起させつつ、しかもUV光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響をより一層抑制することができる。なお、上記差|T-T|-|L-L|の上限値は、特に限定されないが、例えば、95%とすることができる。
本発明において、第2の層3の厚みは、第1の層2の厚みよりも大きいことが好ましい。この場合、UV光をより一層確実に遮蔽しつつ、蛍光の出射効率をより一層高めることができる。
特に、第2の層3の第1の層2に対する厚みの比(第2の層3/第1の層2)が、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは7以下である。上記厚みの比(第2の層3/第1の層2)が上記下限値以上である場合、UV光をより一層確実に遮蔽しつつ、蛍光の出射効率をより一層高めることができる。他方、上記厚みの比(第2の層3/第1の層2)が上記上限値以下である場合、波長変換部材の発光強度をより一層高めることができる。
なお、波長変換部材1全体の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.125mm以上、さらに好ましくは0.15mm以上、特に好ましくは0.175mm以上、最も好ましくは0.2mm以上である。波長変換部材1全体の厚みは、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.75mm以下、特に好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.3mm以下である。波長変換部材1全体の厚みが上記下限値以上である場合、波長変換部材1の発光強度や機械的強度をより一層高めることができる。また、波長変換部材1の厚みが上記上限値以下である場合、波長変換部材1における光の散乱や吸収をより一層抑制することができ、蛍光の出射効率をより一層高めることができる。
また、後述するように、第1のガラスマトリクス4と第2のガラスマトリクス6は、基本的に各層の原料となるグリーンシートを積層して同時焼成することにより作製されるため、第1のガラスマトリクス4に使用されるガラス粉末と第2のガラスマトリクス6に使用されるガラス粉末の軟化点の差は小さいことが好ましい。第1のガラスマトリクス4に使用されるガラス粉末と第2のガラスマトリクス6に使用されるガラス粉末の軟化点の差は、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下、特に好ましくは10℃以下であり、両者の軟化点が同じであることが最も好ましい。
(第1の層)
第1の層2は、第1のガラスマトリクス4と、第1のガラスマトリクス4中に分散している蛍光体粒子5とにより構成されている。
第1のガラスマトリクス;
第1のガラスマトリクス4は、無機蛍光体等の蛍光体粒子5の分散媒として用いることができるガラスにより構成されている。また、第1のガラスマトリクス4は、UV光及び蛍光を透過させるガラス(UV光透過ガラス)により構成されている。
第1のガラスマトリクス4の励起波長における透過率Tは、好ましくは20%以上であり、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上である。第1のガラスマトリクス4の励起波長における透過率Tが上記下限値以上である場合、ガラスによる励起光の吸収をより一層小さくすることができ、第1の層2においてより一層効率よく蛍光を出射させることができる。第1のガラスマトリクス4の励起波長における透過率Tの上限値は、特に限定されないが、例えば、95%とすることができる。
第1のガラスマトリクス4の蛍光波長における透過率Lは、好ましくは50%以上であり、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。第1のガラスマトリクス4の蛍光波長における透過率Lが上記下限値以上である場合、第1の層2においてより一層効率よく蛍光を効率よく出射させることができる。第1のガラスマトリクス4の蛍光波長における透過率Lの上限値は、特に限定されず、例えば、95%とすることができる。
第1のガラスマトリクス4を構成するガラスとしては、上述の光学的性質を有する限りにおいて特に限定されず、例えば、ホウ珪酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、スズリン酸塩系ガラス、ビスマス酸塩系ガラス、テルライト系ガラスを用いることができる。
第1のガラスマトリクス4を構成するガラスの具体例としては、例えば、モル%で、SiO 40%~60%、B 0.1%~35%、Al 0.1%~10%、LiO 0%~10%、NaO 0%~10%、KO 0%~10%、LiO+NaO+KO 0.1%~10%、MgO 0%~45%、CaO 0%~45%、SrO 0%~45%、BaO 0%~45%、MgO+CaO+SrO+BaO 0.1%~45%、ZnO 0%~15%を含有するガラスを用いることができる。
第1のガラスマトリクス4を構成するガラスは、質量%で、SiO 55%~75%、Al 1%~10%、B 10%~30%、CaO 0%~5%、BaO 0%~5%、LiO+NaO+KO 1%~15%を含有するガラスであってもよい。
また、第1のガラスマトリクス4を構成するガラスは、質量%で、SiO+B 60%~90%、LiO+NaO+KO 0%~20%、MgO+CaO+SrO+BaO 0%~20%を含有するガラスであってもよい。
第1のガラスマトリクス4を構成するガラスがFeやTiOを含有すると、UV光の透過率が低下する傾向があるため、これらの含有量は少ないほうが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、意図して含有していない原料のことを意味し、客観的には1000ppm未満であることを指す。
なお、本明細書において、「x+y+・・・」は各成分の含有量の合量を意味する。
第1のガラスマトリクス4の軟化点は、250℃~1000℃であることが好ましく、300℃~950℃であることがより好ましく、500℃~900℃であることがさらに好ましい。第1のガラスマトリクス4の軟化点が低すぎると、波長変換部材1の機械的強度や化学的耐久性が低下する場合がある。また、第1のガラスマトリクス4自体の耐熱性が低いため、蛍光体粒子5から発生する熱により軟化変形するおそれがある。一方、第1のガラスマトリクス4の軟化点が高すぎると、製造時に焼成工程が含まれる場合、蛍光体粒子5が劣化して、波長変換部材1の発光強度が低下する場合がある。なお、波長変換部材1の化学的安定性及び機械的強度をより一層高める観点からは、第1のガラスマトリクス4の軟化点が、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上、さらに好ましくは650℃以上である。ただし、第1のガラスマトリクス4の軟化点が高くなると、焼成温度も高くなり、結果として製造コストが高くなる傾向がある。また、蛍光体粒子5の耐熱性が低い場合、焼成により劣化するおそれがある。よって、波長変換部材1をより一層安価に製造する場合や、蛍光体粒子5の耐熱性のより低い場合は、第1のガラスマトリクス4の軟化点が、好ましくは550℃以下、より好ましくは530℃以下、さらに好ましくは500℃以下、特に好ましくは480℃以下、最も好ましくは460℃以下である。
蛍光体粒子;
蛍光体粒子5は、励起光の入射により蛍光を出射するものであれば、特に限定されない。蛍光体粒子5としては、例えば、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、塩化物蛍光体、酸塩化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体、カルコゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ハロリン酸塩化物蛍光体、又はガーネット系化合物蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。UV光を吸収して可視光を出射する蛍光体としては、例えば、LuAl12(蛍光波長550nm)、Si6-zAl8-z:Eu(0<z<4.2)(=β-SiAlON:Eu)(蛍光波長545nm)、LaSi11:Ce(蛍光波長535nm)等が挙げられる。
蛍光体粒子5の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上である。蛍光体粒子5の平均粒子径が小さすぎると、量子効率が悪く発光強度が低下する傾向がある。一方、蛍光体粒子5の平均粒子径が大きすぎると、第1のガラスマトリクス4内での分散状態が悪くなり発光色が不均一になる傾向がある。よって、蛍光体粒子5の平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下である。
なお、本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した平均粒子径D50のことをいうものとする。
第1の層2中における蛍光体粒子5の含有量は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上である。第1の層2中における蛍光体粒子5の含有量は、好ましくは70体積%以下、より好ましくは65体積%以下、さらに好ましくは50体積%以下である。蛍光体粒子5の含有量が少なすぎると、所望の蛍光強度を得るために第1の層2の厚みを厚くする必要があり、その結果、波長変換部材1の内部散乱やマトリクスによる吸収が増加することで、光取り出し効率が低下する場合がある。一方、蛍光体粒子5の含有量が多すぎると、相対的にガラスの割合が減少し、ガラスが蛍光体を支持する力が弱くなるため、波長変換部材1の機械的強度が低下する場合がある。
本実施形態において、第2のガラスマトリクス6は、ガラス粉末のみの粉末焼結体からなるが、これに限定されない。例えば、第2のガラスマトリクス6には、熱膨張係数調整や光散乱効果を得ることを目的としてフィラー粉末等の他の無機粉末を含有させてもよい。このようにすれば、第1の層2と第2の層3の熱膨張係数を容易に整合させることができ、熱膨張係数差に起因する波長変換部材1の反りやクラック等の発生をより一層抑制することができる。また、フィラー粉末の光散乱効果により、波長変換部材1の発光強度をより一層向上させることができる。さらに、高熱伝導率のフィラー粉末を含有させることで、波長変換部材1の放熱効率をより一層向上させることができる。フィラー粉末としては、MgO、Al、BN、AlN等が挙げられる。なかでも、MgO、Al、BNは可視域における透過率に優れるため好ましい。
第1の層;
第1の層2の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.03mm以上であり、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.3mm以下である。第1の層2の厚みが上記下限値以上である場合、波長変換部材1の発光強度や機械的強度をより一層高めることができる。また、第1の層2の厚みが上記上限値以下である場合、第1の層2における光の散乱や吸収をより一層抑制することができ、蛍光の出射効率をより一層高めることができる。
(第2の層)
第2の層3は、第2のガラスマトリクス6により構成されている。第2のガラスマトリクス6は、励起光(例えばUV光)を遮蔽し、蛍光を透過させるガラス(UV光遮蔽ガラス等)により構成されている。
第2のガラスマトリクス6の励起波長における透過率Tは、好ましくは65%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。第2のガラスマトリクス6の励起波長における透過率Tが上記上限値以下である場合、第2の層3において励起光を一層確実に遮蔽することができ、例えば励起光がUV光である場合にその漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響をより一層確実に抑制することができる。第2のガラスマトリクス6の励起波長における透過率Tの下限値は、特に限定されないが、例えば、0%とすることができる。
第2のガラスマトリクス6の蛍光波長における透過率Lは、好ましくは50%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。第2のガラスマトリクス6の蛍光波長における透過率Lが上記下限値以上である場合、波長変換部材1においてより一層効率よく蛍光を効率よく出射させることができる。第2のガラスマトリクス6の蛍光波長における透過率Lの上限値は、特に限定されず、例えば、95%とすることができる。
第2のガラスマトリクス6を構成するガラスとしては、上述の光学的性質を有する限りにおいて特に限定されず、例えば、ホウ珪酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、スズリン酸塩系ガラス、ビスマス酸塩系ガラス、テルライト系ガラスを用いることができる。
第2のガラスマトリクス6を構成するガラスの具体例としては、例えば、モル%で、SiO 40%~60%、B 0.1%~35%、Al 0.1%~10%、LiO 0%~10%、NaO 0%~10%、KO 0%~10%、LiO+NaO+KO 0.1%~10%、MgO 0%~45%、CaO 0%~45%、SrO 0%~45%、BaO 0%~45%、MgO+CaO+SrO+BaO 0.1%~45%、ZnO 0%~15%、CeO 0.001%~10%を含有するガラスを用いることができる。
第2のガラスマトリクス6を構成するガラスは、質量%で、SiO 30%~85%、Al 0%~30%、B 0%~50%、LiO+NaO+KO 0%~10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0%~50%を含有するガラスであってもよい。
第2のガラスマトリクス6の軟化点は、250℃~1000℃であることが好ましく、300℃~950℃であることがより好ましく、500℃~900℃であることがさらに好ましい。第2のガラスマトリクス6の軟化点が低すぎると、波長変換部材1の機械的強度や化学的耐久性が低下する場合がある。一方、第2のガラスマトリクス6の軟化点が高すぎると、製造時に焼成工程が含まれる場合、蛍光体粒子5が劣化して、波長変換部材1の発光強度が低下する場合がある。
第2の層;
第2の層3の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上であり、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下である。第2の層3の厚みが上記下限値以上である場合、第2の層3において励起光をより一層確実に遮蔽することができ、例えば励起光がUV光である場合にその漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響をより一層確実に抑制することができる。また、第2の層3の厚みが上記上限値以下である場合、第2の層3における光の散乱や吸収をより一層抑制することができ、蛍光の出射効率をより一層高めることができる。
第2の層3は、蛍光体粒子を実質的に含有していないことが望ましい。もっとも、第2の層3は、蛍光体粒子を含有していてもよい。
(波長変換部材の製造方法)
以下、波長変換部材の製造方法の一例について説明する。
まず、第1の層形成用グリーンシートを準備する。具体的には、第1のガラスマトリクス4となるガラス粒子と蛍光体粒子5とを含むスラリーを用意する。上記スラリーには、通常、バインダー樹脂や溶剤が含まれている。続いて、用意したスラリーを支持基材上に塗布し、基材と所定間隔を空けて設置されたドクターブレードをスラリーに対して相対的に移動させることにより、第1の層形成用グリーンシートを形成する。上記支持基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを用いることができる。
次に、第2の層形成用グリーンシートを準備する。具体的には、第2のガラスマトリクス6となるガラス粒子を含むスラリーを用意し、上記と同様にして第2の層形成用グリーンシートを得る。
なお、第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6となるガラス粒子の材料は、上述した第1のガラスマトリクス4及び第2のガラスマトリクス6の材料と同じものを用いることができる。また、ガラス粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。ガラス粒子の平均粒子径が小さすぎると、生産コストが高くなったり、取扱い性が低下したりする傾向がある。一方、ガラス粒子の平均粒子径が大きすぎると、得られる波長変換部材1において、焼成後のガラスマトリクス中に気泡が残存しやすくなり、波長変換部材1の光取出し効率が低下するおそれがある。よって、ガラス粒子の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。また、蛍光体粒子の平均粒子径は、上述の第1の層2で説明した範囲とすることが望ましい。
次に、第1の層形成用グリーンシートと第2の層形成用グリーンシートを熱圧着等により積層し、積層体を得る。続いて、積層体を、ガラス粒子の軟化点~ガラス粒子の軟化点+100℃程度で焼成することにより、第1の層2及び第2の層3が積層された焼結体からなる波長変換部材1を得ることができる。上記焼成は、減圧雰囲気で行うことが好ましく、特に真空雰囲気で行うことがより好ましい。この場合、より一層緻密性に優れた波長変換部材1を得ることができる。また、積層体を一対の拘束部材で挟持した状態で焼成することが好ましい。この場合、波長変換部材1の平坦度(特に、第1の層2及び第2の層3の界面の平坦度)が向上し、その後の研磨工程で所望の厚みに加工しやすくなる。なお、焼成の前に、ガラス粒子の軟化点より低い温度で脱バインダー処理を行うことが好ましい。この場合、得られる波長変換部材1において、光の吸収や散乱の原因となる有機成分残渣を低減することができ、発光強度をより一層向上させることができる。
また、得られた焼結体における第1の層2を所望の厚みになるように研磨することが好ましい。具体的には、焼結体における第1の層2を所定厚みになるように研磨して波長変換部材1の色度調整を行うことが好ましい。得られた焼結体における第2の層3を所望の厚みになるように研磨してもよい。
なお、波長変換部材1の製造方法は、上記の方法には限定されない。例えば、第1の層形成用グリーンシートと第2の層形成用グリーンシートとをそれぞれ別々に焼成した後、得られた各焼成体を熱圧着あるいは接着剤により接合することにより、波長変換部材1を得てもよい。
[発光デバイス]
図3は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスを示す模式的正面断面図である。図3に示すように、発光デバイス11は、上述した一実施形態に係る波長変換部材1と、波長変換部材1に励起光Aを出射する光源7とを備える。発光デバイス11において、光源7は、励起光Aが第1の層2側から波長変換部材1に直接的に入射するように配置されている。
発光デバイス11の波長変換部材1においても、第1の層2及び第2の層3を設けることにより、蛍光体を効率良く励起させつつ、しかもUV光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制することができる。
なお、光源7の配置は上記に限定されない。例えば、図4に示す変形例では、光源7と波長変換部材1との間に導光板12が配置されている。光源7は、励起光Aが導光板12に直接的に入射するように配置されている。光源7から出射された励起光Aは、導光板12を通り、波長変換部材1に入射する。具体的には、励起光Aは導光板12の端面から入射し、導光板12の主面から出射し、波長変換部材1に入射する。ここで、導光板12は励起光Aに対し、なるべく吸収を抑えた材料を使用する。
発光デバイス11は、例えば、センシング用の発光デバイス、高演色性照明に好適に用いることができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、モル%で、SiO 45%、Al 4%、B 18%、LiO 1.5%、NaO 1.5%、KO 1.5%、BaO 25%、ZnO 3.5%の組成を有するガラス粒子A(軟化点:690℃、熱膨張係数:86.1×10-7/℃、平均粒子径:2.5μm)を準備した。
次に、ガラス粒子Aと、蛍光体粒子(LuAl12、平均粒子径:15μm)と、バインダー樹脂(共栄社化学株式会社製、オリコックス)と、可塑剤(アジピン酸ジオクチル)と、分散剤(共栄社化学株式会社製、フローレンG-700)と、有機溶剤(メチルエチルケトン)とを混練することによりスラリー状の混合物を得た。得られたスラリー状混合物をドクターブレード法によりシート状に成形し、室温で乾燥させることにより第1の層形成用グリーンシートを得た。なお、蛍光体粒子の添加量は、第1の層中において30体積%となるように調整した。
次に、第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、モル%で、SiO 45%、Al 4%、B 18%、LiO 1.5%、NaO 1.5%、KO 1.5%、BaO 25%、ZnO 3%、CeO 0.5%の組成を有するガラス粒子X(軟化点:690℃、熱膨張係数:86.1×10-7/℃、平均粒子径:2.5μm)を準備した。
次に、ガラス粒子Xと、バインダー樹脂(共栄社化学株式会社製、オリコックス)と、可塑剤(アジピン酸ジオクチル)と、分散剤(共栄社化学株式会社製、フローレンG-700)と、有機溶剤(メチルエチルケトン)とを混練することによりスラリー状の混合物を得た。得られたスラリー状混合物をドクターブレード法によりシート状に成形し、室温で乾燥させることにより第2の層形成用グリーンシートを得た。
次に、第1の層形成用グリーンシートと第2の層形成用グリーンシートを所定のサイズに切断した後、両者を熱圧着した。得られた積層体を電気炉中にて脱脂処理を施した後、真空ガス置換炉にて、740℃(第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子及び第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子の軟化点+50℃)で真空焼成を実施した。得られた焼成体に対して、片面ずつ所望の層厚みになるように研磨加工を施すことにより、第1の層及び第2の層が積層されてなる波長変換部材を得た。なお、第1の層の厚みは40μmであり、第2の層の厚みは160μmであった。
(実施例2)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、質量%で、SiO 68%、Al 4%、B 19%、NaO 7%、KO 1%、F 1%の組成を有するガラス粒子B(軟化点700℃、熱膨張係数:41.9×10-7/℃、平均粒子径:2.5μm)を準備した。
また、第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、質量%で、SiO 50%、Al 6%、B 5%、CaO 12%、BaO 25%、ZnO 2%の組成を有するガラス粒子Y(軟化点:850℃、熱膨張係数:68.0×10-7/℃、平均粒子径:2.5μm)を準備した。
また、真空焼成を900℃(第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子及び第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子のうち高い方の軟化点+50℃)で実施した。
その他の点は、実施例1と同様にして、波長変換部材を得た。なお、第1の層の厚みは40μmであり、第2の層の厚みは160μmであった。
(実施例3)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、質量%で、SiO 71%、Al 6%、B 13%、NaO 7%、KO 1%、CaO 1%、BaO 1%の組成を有するガラス粒子C(軟化点:737℃、熱膨張係数:66.0×10-7/℃、平均粒子径:2.5μm)を準備した。
また、第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例2と同じガラス粒子Yを準備した。
また、真空焼成を900℃(第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子及び第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子のうち高い方の軟化点+50℃)で実施した。
その他の点は、実施例1と同様にして、波長変換部材を得た。なお、第1の層の厚みは40μmであり、第2の層の厚みは160μmであった。
なお、実施例1~3で用いた第1のガラスマトリクス及び第2のガラスマトリクスそれぞれの波長250nmにおける透過率(UV-C透過率)、波長280nmにおける透過率(励起波長での透過率)、波長300nmにおける透過率(UV-B透過率)、波長350nmにおける透過率(UV-A透過率)、及び波長550nmにおける透過率(VIS透過率=蛍光波長での透過率)を測定した結果を下記の表1に示す。なお、第1のガラスマトリクス及び第2のガラスマトリクスの透過率は、それぞれ厚み1mmのガラス板について測定した。このガラス板は、上述した方法により作製した。また、第1のガラスマトリクス及び第2のガラスマトリクスの透過率は、分光光度計(日本分光社製、品番V-670)により測定した。
Figure 2022158107000002
(比較例1)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例1の第2のガラスマトリクスと同じガラス粒子Xを準備した。
次に、ガラス粒子Xと、蛍光体粒子(LuAl12、平均粒子径:15μm)と、バインダー樹脂(共栄社化学株式会社製、オリコックス)と、可塑剤(アジピン酸ジオクチル)と、分散剤(共栄社化学株式会社製、フローレンG-700)と、有機溶剤(メチルエチルケトン)とを混練することによりスラリー状の混合物を得た。得られたスラリー状混合物をドクターブレード法によりシート状に成形し、室温で乾燥させることによりグリーンシートを得た。なお、蛍光体粒子の添加量は、得られる波長変換部材中において6体積%となるように調整した。
次に、得られたグリーンシートを電気炉中にて脱脂処理を施した後、真空ガス置換炉にて、740℃で真空焼成を実施した。得られた焼成体に対して、所望の層厚みになるように研磨加工を施すことにより、第1の層のみからなる波長変換部材を得た。なお、波長変換部材の厚みは200μmであった。
(比較例2)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例1の第1のガラスマトリクスと同じガラス粒子Aを準備した。その他の点は、比較例1と同様にして、第1の層のみからなる波長変換部材を得た。なお、波長変換部材の厚みは200μmであった。
(比較例3)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例1の第1のガラスマトリクスと同じガラス粒子Aを準備した。
また、第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例2の第1のガラスマトリクスと同じガラス粒子Bを準備した。
また、真空焼成を750℃(第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子及び第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子のうち高い方の軟化点+50℃)で実施した。
その他の点は、実施例1と同様にして、波長変換部材を得た。なお、第1の層の厚みは40μmであり、第2の層の厚みは160μmであった。
(比較例4)
第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例1の第2のガラスマトリクスと同じガラス粒子Xを準備した。
また、第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子として、実施例2の第2のガラスマトリクスと同じガラス粒子Yを準備した。
また、真空焼成を900℃(第1のガラスマトリクスとなるガラス粒子及び第2のガラスマトリクスとなるガラス粒子のうち高い方の軟化点+50℃)で実施した。
その他の点は、実施例1と同様にして、波長変換部材を得た。なお、第1の層の厚みは40μmであり、第2の層の厚みは160μmであった。
(評価)
まず、励起光源としてのUVLED(λp=280nm)のエネルギー分布スペクトルを、発光スペクトル測定装置(オーシャンフォトニクス社製)を用いて測定した。このときのピーク強度をI1とした。
次に、実施例1~3及び比較例1~4で作製した波長変換部材それぞれに対して、UVLED(λp=280nm)を照射し、波長変換部材の出射面側から発せられる光のエネルギー分布スペクトルを、同じ発光スペクトル測定装置(オーシャンフォトニクス社製)を用いて測定した。図5にその一例を示すように、得られたエネルギー分布スペクトルから、励起光源の透過光のピーク強度をI2とし、蛍光ピーク強度をI3として測定した。測定したI2とI1の比(I2/I1)及びI3とI1の比(I3/I1)を下記の表2に示した。
Figure 2022158107000003
表2より、実施例1~3の波長変換部材では、比(I2/I1)が小さく、UV光を十分に遮蔽できていることがわかる。また、実施例1~3の波長変換部材では、比(I3/I1)が大きく、蛍光体を効率良く励起することができていることがわかる。
一方、比較例1,4の波長変換部材では、比(I3/I1)が小さく、蛍光体を効率良く励起することができなかった。また、比較例2,3の波長変換部材では、比(I2/I1)が大きく、UV光を十分に遮蔽することができなかった。
以上より、励起波長における第1のガラスマトリクス及び第2のガラスマトリクスの透過率差|T-T|が、蛍光波長における第1のガラスマトリクス及び第2のガラスマトリクスの透過率差|L-L|よりも大きく、かつ、T>Tである実施例1~3の波長変換部材では、励起光としてUV光を用いた場合においても、蛍光体を効率良く励起させることができ、しかも外付けフィルターを用いることなくUV光の漏洩による周辺部材の劣化や人体への影響を抑制できることが確認できた。
1…波長変換部材
2…第1の層
2a…第1の主面
2b…第2の主面
3…第2の層
4…第1のガラスマトリクス
5…蛍光体粒子
6…第2のガラスマトリクス
7…光源
11…発光デバイス
12…導光板

Claims (10)

  1. 光源から出射された励起光の波長を変換するための波長変換部材であって、
    第1のガラスマトリクスと、前記第1のガラスマトリクス中に分散している蛍光体粒子とにより構成されている、第1の層と、
    前記第1の層上に設けられており、第2のガラスマトリクスにより構成されている、第2の層と、
    を備え、
    前記第1の層が、前記光源側に設けられており、
    励起波長における前記第1のガラスマトリクスの透過率T及び前記第2のガラスマトリクスの透過率Tの差|T-T|が、蛍光波長における前記第1のガラスマトリクスの透過率L及び前記第2のガラスマトリクスの透過率Lの差|L-L|よりも大きく、かつ、T>Tである、波長変換部材。
  2. 前記励起波長における透過率差と、前記蛍光波長における透過率差との差|T-T|-|L-L|が、20%以上である、請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記第1のガラスマトリクスの励起波長における透過率Tが、20%以上であり、前記第2のガラスマトリクスの励起波長における透過率Tが、65%以下である、請求項1又は2に記載の波長変換部材。
  4. 前記第1のガラスマトリクスの蛍光波長における透過率Lが、50%以上であり、前記第2のガラスマトリクスの蛍光波長における透過率Lが、50%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  5. 前記第2の層が、蛍光体粒子を実質的に含有しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  6. 前記第2の層の厚みが、前記第1の層の厚みよりも大きい、請求項1~5のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  7. 前記第2の層の前記第1の層に対する厚みの比(第2の層/第1の層)が、1以上、30以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  8. 前記励起光が、UV光である、請求項1~7のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  9. 前記蛍光が、可視光である、請求項1~8のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  10. 励起光を出射する光源と、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の波長変換部材と、
    を備える、発光デバイス。
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