JP2022156172A - リチウム二次電池及びリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池及びリチウム二次電池の製造方法の提供。【解決手段】リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備え、前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなり、(1)を満たす、リチウム二次電池。20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2(1)(リチウム二次電池を放電させ、放電後の電圧をV0とする。その後1.0mA/cm2で充電し、2秒後の電圧をV1とする。前記V1とV0との差(V1-V0)から算出した正極の単位面積当たりの直流抵抗値をRsとする。)【選択図】なし
Description
本発明は、リチウム二次電池及びリチウム二次電池の製造方法に関する。
リチウム二次電池を構成する負極について、従来の負極材料である黒鉛よりも理論容量が大きい材料を用い、電池性能を向上させる検討が行われている。このような材料として、黒鉛と同様に、例えばリチウムイオンを吸蔵可能及び放出可能な金属材料が注目されている。
金属材料から形成された負極の例として、例えば特許文献1には、多孔質のアルミニウム合金であり、シリコン又はスズの少なくとも1種を含む二次電池用負極活物質から構成される負極が記載されている。
特許文献1に記載されている金属負極は、一般的にサイクル維持率が低下しやすいという課題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池及びリチウム二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池及びリチウム二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の[1]~[4]を包含する。
[1]リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備え、前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなり、下記(1)を満たす、リチウム二次電池。
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)
(リチウム二次電池を放電させ、放電後の電圧をV0とする。その後1.0mA/cm2で充電し、2秒後の電圧をV1とする。前記V1とV0との差(V1-V0)から算出した正極の単位面積当たりの直流抵抗値をRsとする。)
[2]下記(2)を満たす、[1]に記載のリチウム二次電池。
10Ω/cm2≦Ra≦100Ω/cm2 (2)
(Raは、リチウム二次電池を放電させ、交流インピーダンス測定を実施し、得られたインピーダンスのコール・コールプロットを解析して求まる前記アルミニウム負極の交流抵抗値である。)
[3]リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備え、前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなるリチウム二次電池の製造方法であって、プレ電池を組み上げる工程と、プレ電池を初回充放電させる工程と、放電状態のプレ電池を、周囲温度50℃以上で4時間以上保存するエージング工程と、を備えるリチウム二次電池の製造方法。
[4]前記エージング工程の前のプレ電池のRaに対する、前記エージング工程後の電池のRaの増加率が0%以上20%以下を満たす、[3]に記載のリチウム二次電池の製造方法。
[1]リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備え、前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなり、下記(1)を満たす、リチウム二次電池。
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)
(リチウム二次電池を放電させ、放電後の電圧をV0とする。その後1.0mA/cm2で充電し、2秒後の電圧をV1とする。前記V1とV0との差(V1-V0)から算出した正極の単位面積当たりの直流抵抗値をRsとする。)
[2]下記(2)を満たす、[1]に記載のリチウム二次電池。
10Ω/cm2≦Ra≦100Ω/cm2 (2)
(Raは、リチウム二次電池を放電させ、交流インピーダンス測定を実施し、得られたインピーダンスのコール・コールプロットを解析して求まる前記アルミニウム負極の交流抵抗値である。)
[3]リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備え、前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなるリチウム二次電池の製造方法であって、プレ電池を組み上げる工程と、プレ電池を初回充放電させる工程と、放電状態のプレ電池を、周囲温度50℃以上で4時間以上保存するエージング工程と、を備えるリチウム二次電池の製造方法。
[4]前記エージング工程の前のプレ電池のRaに対する、前記エージング工程後の電池のRaの増加率が0%以上20%以下を満たす、[3]に記載のリチウム二次電池の製造方法。
本発明によれば、サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池及びリチウム二次電池の製造方法を提供することができる。
<リチウム二次電池>
本実施形態は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備えるリチウム二次電池である。
アルミニウム負極は、アルミニウム含有金属からなる。
本実施形態は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、電解質と、を備えるリチウム二次電池である。
アルミニウム負極は、アルミニウム含有金属からなる。
本実施形態のリチウム二次電池は、プレ電池を組み立てた後に初回充放電を実施し、所定のエージング工程を経て製造される。
本明細書において、初回充放電前のリチウム二次電池をプレ電池と記載する。
本明細書において、「初回充放電」とは、プレ電池を組み上げた後に最初に実施する充電及び放電を意味する。図1(a)は、プレ電池に配置されたアルミニウム負極40の断面の模式図である。プレ電池を初回充電すると、アルミニウム負極40の表面にリチウムイオンが吸蔵され、Li-Al合金層41が形成される。Li-Al合金層は、リチウムとアルミニウムとの合金層である。この様子を図1(b)に示す。Li-Al合金層41はリチウムイオンを含むため、充電と放電が可能になる。
本明細書において、「初回充放電」とは、プレ電池を組み上げた後に最初に実施する充電及び放電を意味する。図1(a)は、プレ電池に配置されたアルミニウム負極40の断面の模式図である。プレ電池を初回充電すると、アルミニウム負極40の表面にリチウムイオンが吸蔵され、Li-Al合金層41が形成される。Li-Al合金層は、リチウムとアルミニウムとの合金層である。この様子を図1(b)に示す。Li-Al合金層41はリチウムイオンを含むため、充電と放電が可能になる。
次に初回放電を実施すると、リチウムイオンが脱離し、Li-Al合金層41は、柱状構造41aが複数並んだ状態となる。この様子を図1(c)に示す。柱状構造41aの表面は結晶構造が安定せず、脆い状態である。
放電状態、つまり、図1(c)の状態でエージング工程を実施すると、表面が安定化した柱状構造のLi-Al層42が形成される。本発明は表面が安定化した柱状構造のLi-Al合金層が形成されたことを、Rsの値を指標として判断するという技術思想に係る。
アルミニウム負極は、下記(1)を満たす。
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)
(リチウム二次電池を放電させ、放電後の電圧をV0とする。その後1.0mA/cm2で充電し、2秒後の電圧をV1とする。前記V1とV0との差(V1-V0)から算出した正極の単位面積当たりの直流抵抗値をRsとする。)
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)
(リチウム二次電池を放電させ、放電後の電圧をV0とする。その後1.0mA/cm2で充電し、2秒後の電圧をV1とする。前記V1とV0との差(V1-V0)から算出した正極の単位面積当たりの直流抵抗値をRsとする。)
[Rsの算出方法]
V0は放電状態でのリチウム二次電池の電圧、V1はエージング工程を実施した後のリチウム二次電池の電圧である。エージング工程により抵抗値が増加するため、V1はV0よりも高い値となる。後述の方法により組み上げたプレ電池を用いて、V1及びV0をそれぞれ算出する。
V0は放電状態でのリチウム二次電池の電圧、V1はエージング工程を実施した後のリチウム二次電池の電圧である。エージング工程により抵抗値が増加するため、V1はV0よりも高い値となる。後述の方法により組み上げたプレ電池を用いて、V1及びV0をそれぞれ算出する。
V1とV0との差(V1-V0)を算出し、下記式により直流抵抗値Rsを算出する。
Rs=V/I
(Rsは直流抵抗値であり、VはV1-V0であり、Iは電流(mA/cm2)である。)
Rs=V/I
(Rsは直流抵抗値であり、VはV1-V0であり、Iは電流(mA/cm2)である。)
本発明者らの検討により、プレ電池を放電状態でエージングすると、抵抗値が増加することが見いだされた。抵抗値の増加は、Li-Al合金の結晶状態が変化したためと考えられる。具体的には結晶化が進むと、リチウムイオンが脱離しにくくなり、抵抗が増加したと考えられる。
結晶化が進むとLi-Al合金の結晶構造は安定すると考えられる。このため、Rsが(1)を満たす場合、サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池を製造できると考えられる。
放電状態でエージング工程を実施しない場合、抵抗値は増加しないものの表面が安定化しないと考えられる。このため、表面の結晶構造が脆い状態のままになると考えられる。この様子を図1(e)に示す。
(1)は、下記(1)-1~(1)-3のいずれか1つであることが好ましい。
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)-1
20Ω/cm2≦Rs≦50Ω/cm2 (1)-2
20Ω/cm2≦Rs≦30Ω/cm2 (1)-3
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)-1
20Ω/cm2≦Rs≦50Ω/cm2 (1)-2
20Ω/cm2≦Rs≦30Ω/cm2 (1)-3
リチウム二次電池は下記(2)を満たすことが好ましい。
10Ω/cm2≦Ra≦100Ω/cm2 (2)
(Raは、リチウム二次電池を放電させ、交流インピーダンス測定を実施し、得られたインピーダンスのコール・コールプロットを解析して求まる前記アルミニウム負極の交流抵抗値である。)
10Ω/cm2≦Ra≦100Ω/cm2 (2)
(Raは、リチウム二次電池を放電させ、交流インピーダンス測定を実施し、得られたインピーダンスのコール・コールプロットを解析して求まる前記アルミニウム負極の交流抵抗値である。)
[Raの算出方法]
室温で、106HZから10-1Hzの周波帯で、複素インピーダンス測定を行い、300Hzから10000Hzの周波数帯から、アルミニウム負極成分の円弧を半円で近似して表面抵抗を求める。
室温で、106HZから10-1Hzの周波帯で、複素インピーダンス測定を行い、300Hzから10000Hzの周波数帯から、アルミニウム負極成分の円弧を半円で近似して表面抵抗を求める。
後述の方法により組み上げたプレ電池を用いて、インピーダンス測定装置として、ポテンショ/ガルバノスタット(ソーラトロン社製、SI1287)及び周波数応答アナライザ(ソーラトロン社製、1255B)を用いて交流インピーダンス測定を実施する。プレ電池を25℃の恒温槽に置き、周波数106から10-1Hz、電圧振幅10mVにて交流インピーダンス法により、試験電池のインピーダンススペクトルを測定する。
本発明者らの検討により、プレ電池を放電状態でエージングすると、アルミニウム負極を用いた電池では、抵抗値が増加することが見いだされた。抵抗値の増加は、Li-Al合金の結晶状態が変化したためと考えられる。エージング工程によりLi-Al合金の結晶構造は安定すると考えられるため、Raが(2)を満たすアルミニウム負極を用いると、サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池を製造できると考えられる。
(2)は、下記(2)-1~(2)-3のいずれか1つであることが好ましい。
10Ω/cm2≦Ra≦50Ω/cm2 (2)-1
10Ω/cm2≦Ra≦40Ω/cm2 (2)-2
10Ω/cm2≦Ra≦30Ω/cm2 (2)-3
10Ω/cm2≦Ra≦50Ω/cm2 (2)-1
10Ω/cm2≦Ra≦40Ω/cm2 (2)-2
10Ω/cm2≦Ra≦30Ω/cm2 (2)-3
以下、本実施形態のリチウム二次電池を構成する材料について説明する。
≪アルミニウム負極≫
本実施形態において、アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなる。
アルミニウム負極は、下記に説明するアルミニウム負極1~3が挙げられる。
本実施形態において、アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなる。
アルミニウム負極は、下記に説明するアルミニウム負極1~3が挙げられる。
[アルミニウム負極1]
アルミニウム負極1はアルミニウム含有金属からなる。アルミニウム含有金属は負極活物質として作用する。
アルミニウム負極1のアルミニウム含有金属は、アルミニウム金属相に非アルミニウム金属相が分散して存在する。
非アルミニウム金属相は、アルミニウムを含まない金属相を意味する。
非アルミニウム金属相は、Si、Ge、Sn、Ag、Sb、Bi、In及びMgからなる群より選択される1種以上を含む非アルミニウム金属化合物から構成されるものが好ましい。
アルミニウム負極1はアルミニウム含有金属からなる。アルミニウム含有金属は負極活物質として作用する。
アルミニウム負極1のアルミニウム含有金属は、アルミニウム金属相に非アルミニウム金属相が分散して存在する。
非アルミニウム金属相は、アルミニウムを含まない金属相を意味する。
非アルミニウム金属相は、Si、Ge、Sn、Ag、Sb、Bi、In及びMgからなる群より選択される1種以上を含む非アルミニウム金属化合物から構成されるものが好ましい。
非アルミニウム金属相は、Si、Ge、Sn、Ag、Sb、Bi及びInからなる群より選択される1種以上を含む非アルミニウム金属化合物からなるものがさらに好ましい。
(アルミニウム負極1の製造方法)
アルミニウム負極1は、合金の鋳造工程と、圧延工程とを備える製造方法により製造することが好ましい。
アルミニウム負極1は、合金の鋳造工程と、圧延工程とを備える製造方法により製造することが好ましい。
・合金の鋳造工程
鋳造を行う場合には、まず、アルミニウム又は高純度アルミニウムに、非アルミニウム金属相を構成する金属を所定量添加し、混合物1を得る。高純度アルミニウムは後述する方法により得られる。次に680℃以上800℃以下で混合物1を溶融し、アルミニウムと金属の合金溶湯1を得る。
鋳造を行う場合には、まず、アルミニウム又は高純度アルミニウムに、非アルミニウム金属相を構成する金属を所定量添加し、混合物1を得る。高純度アルミニウムは後述する方法により得られる。次に680℃以上800℃以下で混合物1を溶融し、アルミニウムと金属の合金溶湯1を得る。
アルミニウム相を構成するアルミニウムには、純度が99.9質量%以上のアルミニウム、純度が99.99質量%以上の高純度アルミニウム等が使用できる。
非アルミニウム金属相を構成する金属とは、Si、Ge、Sn、Ag、Sb、Bi、In及びMgからなる群より選択される1種以上である。非アルミニウム金属相を構成する金属には、例えば、純度99.999質量%以上の高純度シリコンが用いられる。
真空処理などで清浄にされた合金溶湯1は鋳型を用いて鋳造することで、鋳塊となる。
鋳型としては、50℃以上200℃以下に加熱した鉄製の鋳型や黒鉛製の鋳型を用いる。アルミニウム負極1は、鋳型に680℃以上800℃以下の合金溶湯1を流し込む方法で鋳造できる。また、半連続鋳造により鋳塊を得てもよい。
鋳型としては、50℃以上200℃以下に加熱した鉄製の鋳型や黒鉛製の鋳型を用いる。アルミニウム負極1は、鋳型に680℃以上800℃以下の合金溶湯1を流し込む方法で鋳造できる。また、半連続鋳造により鋳塊を得てもよい。
・圧延工程
得られた合金の鋳塊は、そのまま切削加工してアルミニウム負極1に利用できる。鋳塊に圧延加工、押出加工又は鍛造加工等を施して、板状にすることが好ましい。また、圧延加工により板状にすることがより好ましい。
得られた合金の鋳塊は、そのまま切削加工してアルミニウム負極1に利用できる。鋳塊に圧延加工、押出加工又は鍛造加工等を施して、板状にすることが好ましい。また、圧延加工により板状にすることがより好ましい。
鋳塊の圧延工程は、例えば、熱間圧延と冷間圧延とを行い、鋳塊を板状に加工する工程である。
熱間圧延は、例えば、鋳塊を温度350℃以上550℃以下、1回の圧延当たりの加工率を2%以上30%以下の条件で、アルミニウム鋳塊を目的の厚さとなるまで繰り返し行われる。ここで「加工率」とは、圧延をしたときの厚さの変化の割合を意味する。例えば厚さ1mmの板を厚さ0.7mmにした場合には、加工率は30%である。
熱間圧延は、例えば、鋳塊を温度350℃以上550℃以下、1回の圧延当たりの加工率を2%以上30%以下の条件で、アルミニウム鋳塊を目的の厚さとなるまで繰り返し行われる。ここで「加工率」とは、圧延をしたときの厚さの変化の割合を意味する。例えば厚さ1mmの板を厚さ0.7mmにした場合には、加工率は30%である。
熱間圧延の後、必要に応じ、冷間圧延の前に中間焼鈍処理を行うことが好ましい。中間焼鈍処理は、例えば、熱間圧延した板材を加熱して昇温し、その後、放冷することにより行う。
中間焼鈍処理における昇温工程は、例えば350℃以上550℃以下の温度に昇温すればよい。また、昇温工程は、例えば350℃以上550℃以下の温度を1時間以上5時間以下程度保持してもよい。
中間焼鈍処理における放冷工程は、昇温後、直ちに放冷してもよい。放冷工程は、20℃程度にまで放冷することが好ましい。
冷間圧延は、アルミニウムの再結晶温度未満の温度で実施することが好ましい。また、1回の圧延当たりの圧延率を1%以上20%以下の条件で、アルミニウム鋳塊を目的の厚さとなるまで繰り返し圧延することが好ましい。冷間圧延の温度は、圧延加工される金属の温度を、10℃から80℃以下に調整すればよい。
冷間圧延後には、さらに熱処理を行ってもよい。冷間圧延後の熱処理は、通常大気中で行うが、窒素雰囲気あるいは真空雰囲気などで行ってもよい。熱処理により加工硬化した板材を軟質化することができるほか、結晶組織を制御することで各種物性、具体的には硬度、導電率及び引張強度を調整する場合もある。
熱処理条件としては、例えば300℃以上400℃以下の温度で、5時間以上10時間以下熱処理する条件が挙げられる。
熱処理条件としては、例えば300℃以上400℃以下の温度で、5時間以上10時間以下熱処理する条件が挙げられる。
アルミニウム負極1の厚みは、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、7μm以上がさらに好ましい。また、200μm以下が好ましく、190μm以下がより好ましく、180μm以下がさらに好ましい。
アルミニウム負極1の厚みの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、アルミニウム負極1の厚みは5μm以上200μm以下が好ましい。
アルミニウム負極1の厚みは、シックネスゲージ又はノギスを用いて測定すればよい。
アルミニウム負極1の厚みの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、アルミニウム負極1の厚みは5μm以上200μm以下が好ましい。
アルミニウム負極1の厚みは、シックネスゲージ又はノギスを用いて測定すればよい。
・アルミニウムの高純度化方法
アルミニウム負極の材料又は合金の材料として高純度アルミニウムを用いる場合、アルミニウムを高純度化する精製方法として、例えば偏析法および三層電解法を例示できる。
アルミニウム負極の材料又は合金の材料として高純度アルミニウムを用いる場合、アルミニウムを高純度化する精製方法として、例えば偏析法および三層電解法を例示できる。
偏析法は、アルミニウム溶湯の凝固の際の偏析現象を利用した純化法であり、複数の手法が実用化されている。偏析法の一つの形態としては、容器の中に溶湯アルミニウムを注ぎ、容器を回転させながら上部の溶湯アルミニウムを加熱、撹拌しつつ底部より精製アルミニウムを凝固させる方法がある。偏析法により、純度99.99質量%以上の高純度アルミニウムを得ることができる。
三層電解法は、アルミニウムを高純度化する電解法である。三層電解法の一つの形態としては、まず、Al-Cu合金層に、比較的純度の低いアルミニウム等(例えば純度99.9質量%以下のJIS-H2102の時1種程度のグレード)を投入する。その後、溶融状態で陽極とし、その上に例えばフッ化アルミニウムおよびフッ化バリウム等を含む電解浴を配置し、陰極に高純度のアルミニウムを析出させる方法である。
三層電解法では純度99.999質量%以上の高純度アルミニウムを得ることができる。
三層電解法では純度99.999質量%以上の高純度アルミニウムを得ることができる。
アルミニウムを高純度化する方法は、偏析法、三層電解法に限定されるものではなく、帯溶融精製法、超高真空溶解性製法等、既に知られている他の方法でもよい。
[アルミニウム負極2]
アルミニウム負極2としては、下記(1)~(5)の高純度アルミニウム又は高純度アルミニウム合金が好ましい。
(1)高純度アルミニウム-マグネシウム合金1
純度99.999%のアルミニウムと、マグネシウムとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のマグネシウムの含有率は、0.1質量%以上4.0質量%以下である。平均腐食速度は0.04mm/年~0.06mm/年である。
(2)高純度アルミニウム-マグネシウム合金2
純度99.9%のアルミニウムと、マグネシウムとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のマグネシウムの含有率は、0.1質量%以上1.0質量%以下である。平均腐食速度は0.1mm/年~0.14mm/年である。
(3)高純度アルミニウム-ニッケル合金
純度99.999%のアルミニウムと、ニッケルとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のニッケルの含有率は、0.1質量%以上1.0質量%以下である。平均腐食速度は0.1mm/年~0.14mm/年である。
(4)高純度アルミニウム-マンガン-マグネシウム合金
純度99.99%のアルミニウムと、マンガンと、マグネシウムとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のマンガンとマグネシウムの合計含有率は、1.0質量%以上2.0質量%以下である。平均腐食速度は0.03mm/年~0.05mm/年である。
(5)高純度アルミニウム
純度99.999%のアルミニウムである。平均腐食速度は0.05mm/年である。
アルミニウム負極2としては、下記(1)~(5)の高純度アルミニウム又は高純度アルミニウム合金が好ましい。
(1)高純度アルミニウム-マグネシウム合金1
純度99.999%のアルミニウムと、マグネシウムとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のマグネシウムの含有率は、0.1質量%以上4.0質量%以下である。平均腐食速度は0.04mm/年~0.06mm/年である。
(2)高純度アルミニウム-マグネシウム合金2
純度99.9%のアルミニウムと、マグネシウムとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のマグネシウムの含有率は、0.1質量%以上1.0質量%以下である。平均腐食速度は0.1mm/年~0.14mm/年である。
(3)高純度アルミニウム-ニッケル合金
純度99.999%のアルミニウムと、ニッケルとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のニッケルの含有率は、0.1質量%以上1.0質量%以下である。平均腐食速度は0.1mm/年~0.14mm/年である。
(4)高純度アルミニウム-マンガン-マグネシウム合金
純度99.99%のアルミニウムと、マンガンと、マグネシウムとの合金である。アルミニウム含有金属全量中のマンガンとマグネシウムの合計含有率は、1.0質量%以上2.0質量%以下である。平均腐食速度は0.03mm/年~0.05mm/年である。
(5)高純度アルミニウム
純度99.999%のアルミニウムである。平均腐食速度は0.05mm/年である。
(アルミニウム負極2の製造方法)
アルミニウム負極2の製造方法は、アルミニウム負極2が高純度アルミニウムであるアルミニウム負極2の製造方法1と、高純度アルミニウム合金であるアルミニウム負極2の製造方法2とに分けて説明する。
アルミニウム負極2の製造方法は、アルミニウム負極2が高純度アルミニウムであるアルミニウム負極2の製造方法1と、高純度アルミニウム合金であるアルミニウム負極2の製造方法2とに分けて説明する。
アルミニウム負極2の製造方法1及びアルミニウム負極2の製造方法2は、まず、アルミニウムを高純度化する。アルミニウムを高純度化する方法としては、上述の(アルミニウム負極1の製造方法)において説明したアルミニウムの高純度化方法が挙げられる。
・アルミニウム負極2の製造方法1
アルミニウム負極2の製造方法1は、高純度アルミニウムの鋳造工程と、圧延工程とを備えることが好ましい。
アルミニウム負極2の製造方法1は、高純度アルミニウムの鋳造工程と、圧延工程とを備えることが好ましい。
・・鋳造工程
上述の方法により高純度化したアルミニウムを鋳造し、圧延に好適な形状のアルミニウム鋳塊を得ることができる。
鋳造を行う場合には、例えば高純度アルミニウムを約680℃以上800℃以下で溶融し、アルミニウム溶湯を得る。
アルミニウム溶湯は、ガスや非金属介在物を除去して清浄にする処理を行うことが好ましい。
上述の方法により高純度化したアルミニウムを鋳造し、圧延に好適な形状のアルミニウム鋳塊を得ることができる。
鋳造を行う場合には、例えば高純度アルミニウムを約680℃以上800℃以下で溶融し、アルミニウム溶湯を得る。
アルミニウム溶湯は、ガスや非金属介在物を除去して清浄にする処理を行うことが好ましい。
清浄にされたアルミニウム溶湯は鋳型を用いて鋳造することで、鋳塊となる。
鋳型としては、50℃以上200℃以下に加熱した鉄製の鋳型や黒鉛製の鋳型を用いる。アルミニウム負極2は、鋳型に680℃以上800℃以下のアルミニウム溶湯を流し込む方法で鋳造できる。また、半連続鋳造により鋳塊を得てもよい。
鋳型としては、50℃以上200℃以下に加熱した鉄製の鋳型や黒鉛製の鋳型を用いる。アルミニウム負極2は、鋳型に680℃以上800℃以下のアルミニウム溶湯を流し込む方法で鋳造できる。また、半連続鋳造により鋳塊を得てもよい。
・・圧延工程
得られたアルミニウムの鋳塊は、そのまま切削加工してアルミニウム負極2に利用できる。本実施形態においては、アルミニウムの鋳塊に圧延加工、押出加工又は鍛造加工等を施して、板材にすることが好ましい。本実施形態においては、圧延加工することがより好ましい。
圧延工程は、アルミニウム負極1の製造方法において説明した圧延工程と同様の方法により実施できる。
得られたアルミニウムの鋳塊は、そのまま切削加工してアルミニウム負極2に利用できる。本実施形態においては、アルミニウムの鋳塊に圧延加工、押出加工又は鍛造加工等を施して、板材にすることが好ましい。本実施形態においては、圧延加工することがより好ましい。
圧延工程は、アルミニウム負極1の製造方法において説明した圧延工程と同様の方法により実施できる。
・アルミニウム負極2の製造方法2
アルミニウム負極2の製造方法2は、高純度アルミニウム合金の鋳造工程と、圧延工程とを備えることが好ましい。
アルミニウム負極2の製造方法2は、高純度アルミニウム合金の鋳造工程と、圧延工程とを備えることが好ましい。
・・鋳造工程
鋳造を行う場合には、まず、高純度アルミニウムに、金属元素を所定量添加し、混合物2を得る。次に680℃以上800℃以下で混合物2を溶融し、アルミニウムと金属の合金溶湯2を得る。
添加する金属元素は、Mg、Ni、Mn、Zn、Cd、Pbからなる群より選択される1種以上が好ましい。添加するこれらの元素を含む金属は、純度が99質量%以上であることが好ましい。
鋳造を行う場合には、まず、高純度アルミニウムに、金属元素を所定量添加し、混合物2を得る。次に680℃以上800℃以下で混合物2を溶融し、アルミニウムと金属の合金溶湯2を得る。
添加する金属元素は、Mg、Ni、Mn、Zn、Cd、Pbからなる群より選択される1種以上が好ましい。添加するこれらの元素を含む金属は、純度が99質量%以上であることが好ましい。
合金溶湯2を用いる以外は、アルミニウム負極1の製造方法における鋳造工程と同様の方法により、高純度アルミニウム合金鋳塊を得る。
・・圧延工程
上述のアルミニウム負極2の製造方法1と同様の方法により、圧延工程を行う。
上述のアルミニウム負極2の製造方法1と同様の方法により、圧延工程を行う。
アルミニウム負極2の厚みは、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、7μm以上がさらに好ましい。また、200μm以下が好ましく、190μm以下がより好ましく、180μm以下がさらに好ましい。
アルミニウム負極2の厚みの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、アルミニウム負極2の厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
アルミニウム負極2の厚みの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、アルミニウム負極2の厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
[アルミニウム負極3]
アルミニウム負極3はアルミニウム含有金属である。
アルミニウム負極3のビッカース硬度は10HV以上70HV以下であることが好ましく、20HV以上70HV以下がより好ましく、30HV以上70HV以下がさらに好ましく、35HV以上55HV以下が特に好ましい。
アルミニウム負極3はアルミニウム含有金属である。
アルミニウム負極3のビッカース硬度は10HV以上70HV以下であることが好ましく、20HV以上70HV以下がより好ましく、30HV以上70HV以下がさらに好ましく、35HV以上55HV以下が特に好ましい。
アルミニウム負極3がリチウムを吸蔵すると、アルミニウム負極を構成する金属の結晶構造にひずみが生じる場合がある。
ビッカース硬度が上記上限値以下であると、アルミニウム負極3がリチウムを吸蔵した際に結晶構造のひずみを緩和でき、結晶構造を維持できると推察される。このため、アルミニウム負極3を用いたリチウム二次電池は、充電および放電を繰り返した場合にも、サイクル維持率が低下しにくくなる。
ビッカース硬度が上記上限値以下であると、アルミニウム負極3がリチウムを吸蔵した際に結晶構造のひずみを緩和でき、結晶構造を維持できると推察される。このため、アルミニウム負極3を用いたリチウム二次電池は、充電および放電を繰り返した場合にも、サイクル維持率が低下しにくくなる。
ビッカース硬度は下記の方法により測定した値を用いる。
[測定方法]
アルミニウム負極3の硬度の指標として、マイクロビッカース硬度計を用いてビッカース硬度(HV0.05)を測定する。
ビッカース硬度は、JIS Z2244:2009「ビッカース硬さ試験-試験方法」に従って測定される値である。ビッカース硬度の測定には、アルミニウム負極3に正四角錐のダイヤモンド圧子を試験片の表面に押し込み、その試験力を解除した後、表面に残ったくぼみの対角線長さから算出する。
上記の規格では、試験力によって硬さ記号を変えることが定められている。本実施形態においては、例えば、試験力0.05kgf(=0.4903N)のときのマイクロビッカース硬さHV0.05である。
アルミニウム負極3の硬度の指標として、マイクロビッカース硬度計を用いてビッカース硬度(HV0.05)を測定する。
ビッカース硬度は、JIS Z2244:2009「ビッカース硬さ試験-試験方法」に従って測定される値である。ビッカース硬度の測定には、アルミニウム負極3に正四角錐のダイヤモンド圧子を試験片の表面に押し込み、その試験力を解除した後、表面に残ったくぼみの対角線長さから算出する。
上記の規格では、試験力によって硬さ記号を変えることが定められている。本実施形態においては、例えば、試験力0.05kgf(=0.4903N)のときのマイクロビッカース硬さHV0.05である。
(負極集電体)
アルミニウム負極に負極集電体を使用する場合には、負極集電体の材料はCu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
アルミニウム負極に負極集電体を使用する場合には、負極集電体の材料はCu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
このような負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
アルミニウム負極が集電体を兼ねる場合には、別途の集電体は不要の場合もある。
≪正極≫
正極は正極活物質を有する。
正極活物質には、リチウム含有化合物又は他の金属化合物を用いることができる。リチウム含有化合物としては、例えば、層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物、層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物及びオリビン型構造を有するリン酸鉄リチウムが挙げられる。
正極は正極活物質を有する。
正極活物質には、リチウム含有化合物又は他の金属化合物を用いることができる。リチウム含有化合物としては、例えば、層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物、層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物及びオリビン型構造を有するリン酸鉄リチウムが挙げられる。
また他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム若しくは二酸化マンガンなどの酸化物、又は硫化チタン若しくは硫化モリブデンなどの硫化物が挙げられる。
(導電材)
導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することで、正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができる。
導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することで、正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができる。
正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して5質量部以上20質量部以下であると好ましい。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
(バインダー)
バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
これらの熱可塑性樹脂は、2種以上を混合して用いてもよい。バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤全体に対するフッ素樹脂の割合を1質量%以上10質量%以下、ポリオレフィン樹脂の割合を0.1質量%以上2質量%以下とすることによって、正極集電体との密着力および正極合剤内部の結合力がいずれも高い正極合剤を得ることができる。
(正極集電体)
正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。正極集電体は、負極集電体と同じ材質であってもよい。
正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。正極集電体は、負極集電体と同じ材質であってもよい。
正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、正極合剤を正極集電体上で加圧成型する方法が挙げられる。また、有機溶媒を用いて正極合剤をペースト化し、得られる正極合剤のペーストを正極集電体の少なくとも一面側に塗布して乾燥させ、プレスし固着することで、正極集電体に正極合剤を担持させてもよい。
正極合剤をペースト化する場合、用いることができる有機溶媒としては、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンなどのアミン系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸メチルなどのエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド系溶媒;が挙げられる。
正極合剤のペーストを正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法および静電スプレー法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
(電解質)
リチウム二次電池が有する電解質は、液系電解質であってもよく、固体電解質であってもよい。液系電解質としては、電解質および有機溶媒を含有する電解液が挙げられる。
リチウム二次電池が有する電解質は、液系電解質であってもよく、固体電解質であってもよい。液系電解質としては、電解質および有機溶媒を含有する電解液が挙げられる。
・電解液
電解液に含まれる電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C4F9SO3)、LiC(SO2CF3)3、Li2B10Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、LiFSI(ここで、FSIはbis(fluorosulfonyl)imideのことである)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。なかでも電解質としては、フッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2およびLiC(SO2CF3)3からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
電解液に含まれる電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C4F9SO3)、LiC(SO2CF3)3、Li2B10Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、LiFSI(ここで、FSIはbis(fluorosulfonyl)imideのことである)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。なかでも電解質としては、フッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2およびLiC(SO2CF3)3からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
また電解液に含まれる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、1,2-ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2-ジメトキシエタン、1,3-ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3-メチル-2-オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3-プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、又はこれらの有機溶媒にさらにフルオロ基を導入したもの(有機溶媒が有する水素原子のうち1以上をフッ素原子で置換したもの)を用いることができる。
有機溶媒としては、これらのうちの2種以上を混合して用いることが好ましい。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒および環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。このような混合溶媒を用いた電解液は、動作温度範囲が広く、高い電流レートにおける充放電を行っても劣化し難く、長時間使用しても劣化し難く、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという多くの特長を有する。
また、電解液としては、得られるリチウム二次電池の安全性が高まるため、LiPF6などのフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテルなどのフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、高い電流レートにおける充放電を行っても容量維持率が高いため、さらに好ましい。
電解液は、リン酸トリス(トリメチルシリル)及びホウ酸トリス(トリメチルシリル)等の添加物を含んでいてもよい。
・固体電解質
固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖又はポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S-SiS2、Li2S-GeS2、Li2S-P2S5、Li2S-B2S3、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-Li2SO4、Li2S-GeS2-P2S5などの硫化物を含む無機系固体電解質が挙げられ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。これら固体電解質を用いることで、リチウム二次電池の安全性をより高めることができることがある。
固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖又はポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S-SiS2、Li2S-GeS2、Li2S-P2S5、Li2S-B2S3、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-Li2SO4、Li2S-GeS2-P2S5などの硫化物を含む無機系固体電解質が挙げられ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。これら固体電解質を用いることで、リチウム二次電池の安全性をより高めることができることがある。
また、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
(セパレータ)
リチウム二次電池がセパレータを有する場合、セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
リチウム二次電池がセパレータを有する場合、セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
セパレータは、電池使用時(充放電時)に電解質を良好に透過させるため、JIS P 8117で定められるガーレー法による透気抵抗度が、50秒/100cc以上、300秒/100cc以下であることが好ましく、50秒/100cc以上、200秒/100cc以下であることがより好ましい。
また、セパレータの空孔率は、好ましくは30体積%以上80体積%以下、より好ましくは40体積%以上70体積%以下である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
<リチウム二次電池の製造方法>
本実施形態のリチウム二次電池の製造方法について説明する。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
本実施形態のリチウム二次電池の製造方法について説明する。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
本実施形態により製造されるリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能であるアルミニウム負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である正極と、電解質と、を備える。
リチウム二次電池としては、電解質として電解液を用いた非水電解液型二次電池が挙げられる。また、リチウム二次電池としては、電解質として固体電解質を用いた全固体電池が挙げられる。
リチウム二次電池としては、電解質として電解液を用いた非水電解液型二次電池が挙げられる。また、リチウム二次電池としては、電解質として固体電解質を用いた全固体電池が挙げられる。
本実施形態のリチウム二次電池の製造方法は、プレ電池を組み上げる工程と、プレ電池を初回充放電させる工程と、エージング工程と、を有する。各工程について説明する。
[プレ電池を組み上げる工程]
図2は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図2に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
次いで、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
[初回充放電工程]
上記の方法によりプレ電池を組み上げた後、プレ電池のアルミニウム負極にリチウムイオンを吸蔵させ、初回充電する。その後、放電する。
上記の方法によりプレ電池を組み上げた後、プレ電池のアルミニウム負極にリチウムイオンを吸蔵させ、初回充電する。その後、放電する。
[エージング工程]
初回充放電後、放電状態のプレ電池を周囲温度50℃以上で4時間以上保存する。
保存時間の下限値は、4.5時間以上、5時間以上、6時間以上、が挙げられる。
保存時間の上限値は、20時間以下、15時間以下、10時間以下、が挙げられる。
保存時間の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例としては、保存時間は、4時間以上20時間以下、5時間以上15時間以下、6時間以上10時間以下が挙げられる。
初回充放電後、放電状態のプレ電池を周囲温度50℃以上で4時間以上保存する。
保存時間の下限値は、4.5時間以上、5時間以上、6時間以上、が挙げられる。
保存時間の上限値は、20時間以下、15時間以下、10時間以下、が挙げられる。
保存時間の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例としては、保存時間は、4時間以上20時間以下、5時間以上15時間以下、6時間以上10時間以下が挙げられる。
保存温度は、Li-Al合金の結晶構造を安定化させる観点から、52℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましい。保存温度の上限値は、例えば100℃以下、80℃以下が挙げられる。
保存温度は、例えば50℃以上100℃以下、55℃以上80℃以下が挙げられる。
保存温度は、例えば50℃以上100℃以下、55℃以上80℃以下が挙げられる。
保存時間と保存温度の組み合わせとしては、以下の組み合わせが挙げられる。
・50℃以上100℃以下で、4時間以上20時間以下。
・55℃以上80℃以下で、5時間以上15時間以下。
・50℃以上100℃以下で、4時間以上20時間以下。
・55℃以上80℃以下で、5時間以上15時間以下。
エージング工程を実施する前のプレ電池のRaに対する、エージング工程後の電池のRaの増加率が0%以上20%以下を満たすことが好ましく、8%以上15%以下を満たすことが好ましい。
Raの増加率は、以下の式により求める。
(エージング工程後の電池のRa-エージング工程前のプレ電池のRa)/エージング工程前のプレ電池のRa ×100
(エージング工程後の電池のRa-エージング工程前のプレ電池のRa)/エージング工程前のプレ電池のRa ×100
上記のエージング工程によりLi-Al合金層が安定すると考えられる。ここで「Li-Al合金層が安定する」とは、アルミニウムとリチウムとの合金の結晶構造が安定化し、新たな合金層の形成が抑制されることを意味する。Li-Al合金層が安定すると、放電容量が安定しやすい。このためエージング工程を有することで、サイクル維持率が低下しにくいリチウム二次電池が得られる。
従来、負極材料として黒鉛を用いたリチウム二次電池を製造した場合、リチウム二次電池を組み立てた後にエージングがされる。
従来のエージングは、電極表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜を安定的に生成させることを目的としている。従来のエージングは、例えば室温放置エージング、又は高温放置エージングである。
従来のエージングは、電極表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜を安定的に生成させることを目的としている。従来のエージングは、例えば室温放置エージング、又は高温放置エージングである。
一方、負極材料としてアルミニウムを用いる場合には、充放電試験の結果において、初回の充電曲線の形状と、2サイクル目以降の充電曲線の形状とに顕著な差が認められない。
この結果から、従来の知見では、負極材料としてアルミニウムを用いる場合には、電極表面のSEI被膜の安定的な生成のための処理は不要であると考えられた。このため、負極材料としてアルミニウムを用いる場合には、従来は、通常電極表面にSEI被膜の安定的な生成のためのエージングを要しないと考えられていた。
しかし、初回放電を行った後、電極表面の構造に変化が生じ、脆くなること、さらに、新面が発生してしまうことが本発明者らにより確認され、改良が必要であることが明らかになった。
この結果から、従来の知見では、負極材料としてアルミニウムを用いる場合には、電極表面のSEI被膜の安定的な生成のための処理は不要であると考えられた。このため、負極材料としてアルミニウムを用いる場合には、従来は、通常電極表面にSEI被膜の安定的な生成のためのエージングを要しないと考えられていた。
しかし、初回放電を行った後、電極表面の構造に変化が生じ、脆くなること、さらに、新面が発生してしまうことが本発明者らにより確認され、改良が必要であることが明らかになった。
本発明者らの検討により、アルミニウム負極の表面は初回充放電後に脆くなるため、結晶性を向上させるため、さらに表面のSEI形成するために、エージングを要することが見いだされた。
本明細書において「サイクル維持率が低下しにくい」とは、下記の方法により測定するサイクル維持率維持率の値が90%以上99%以下の範囲内にあることを意味する。
[サイクル維持率の測定方法]
まず、コイン型のリチウム二次電池のプレ電池を室温で10時間静置することでセパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させる。
次に、室温において4.2Vまで1mAで定電流充電してから4.2Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を5時間行った後、3.4Vまで1mAで放電する定電流放電を行うことでプレ電池の初期充放電を行う。放電容量を測定し、得られた値を「初期放電容量」(mAh)とする。
プレ電池の初期充放電後、放電状態のプレ電池を所定の条件でエージング処理した後、初期充放電の条件と同様に1mAで充電、1mAで放電を繰り返す。
その後、100サイクル目の放電容量(mAh)を測定する。
エージング後の2回目の放電容量(初期から3サイクル目)と100サイクル目の放電容量から、下記の式でサイクル維持率を算出する。
サイクル維持率(%)=100サイクル目の放電容量(mAh)/2回目放電容量(mAh)×100
まず、コイン型のリチウム二次電池のプレ電池を室温で10時間静置することでセパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させる。
次に、室温において4.2Vまで1mAで定電流充電してから4.2Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を5時間行った後、3.4Vまで1mAで放電する定電流放電を行うことでプレ電池の初期充放電を行う。放電容量を測定し、得られた値を「初期放電容量」(mAh)とする。
プレ電池の初期充放電後、放電状態のプレ電池を所定の条件でエージング処理した後、初期充放電の条件と同様に1mAで充電、1mAで放電を繰り返す。
その後、100サイクル目の放電容量(mAh)を測定する。
エージング後の2回目の放電容量(初期から3サイクル目)と100サイクル目の放電容量から、下記の式でサイクル維持率を算出する。
サイクル維持率(%)=100サイクル目の放電容量(mAh)/2回目放電容量(mAh)×100
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<Rsの算出方法>
上記[Rsの算出方法]に記載の方法により、Rsを算出した。
上記[Rsの算出方法]に記載の方法により、Rsを算出した。
<Raの算出方法>
上記[Raの算出方法]に記載の方法により、Raを算出した。
上記[Raの算出方法]に記載の方法により、Raを算出した。
<実施例1>
[負極の作製]
実施例1に用いたシリコン-アルミニウム合金は下記の方法により製造した。
高純度アルミニウム(純度:99.99質量%以上)および高純度化学製シリコン(純度:99.999質量%以上)を、760℃に加熱・保持することで、シリコン含有量が1.0質量%であるアルミニウム-シリコン合金溶湯を得た。
次に、合金溶湯を温度740℃で、2時間、真空度50Paの条件で保持して清浄化した。
合金溶湯を150℃にて乾燥した鋳鉄鋳型(22mm×150mm×200mm)にて鋳造し、鋳塊を得た。
[負極の作製]
実施例1に用いたシリコン-アルミニウム合金は下記の方法により製造した。
高純度アルミニウム(純度:99.99質量%以上)および高純度化学製シリコン(純度:99.999質量%以上)を、760℃に加熱・保持することで、シリコン含有量が1.0質量%であるアルミニウム-シリコン合金溶湯を得た。
次に、合金溶湯を温度740℃で、2時間、真空度50Paの条件で保持して清浄化した。
合金溶湯を150℃にて乾燥した鋳鉄鋳型(22mm×150mm×200mm)にて鋳造し、鋳塊を得た。
圧延は以下の条件で行った。鋳塊の両面を2mm面削加工した後、厚さ18mmから加工率99.6%で冷間圧延を行った。得られた圧延材の厚みは100μmであった。
アルミニウム純度99.999%、シリコン含有量1.0質量%の高純度アルミニウム-シリコン合金箔(厚さ100μm)を、φ16mmの円盤状に切り出し、アルミニウム負極11を製造した。
アルミニウム純度99.999%、シリコン含有量1.0質量%の高純度アルミニウム-シリコン合金箔(厚さ100μm)を、φ16mmの円盤状に切り出し、アルミニウム負極11を製造した。
[正極の作製]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(製品名セルシード。日本化学工業株式会社製。平均粒径(D50)10μm)90質量部と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製)5質量部と、導電材としてアセチレンブラック(製品名デンカブラック。デンカ株式会社製)5質量部とを混合し、更にN-メチル-2-ピロリドン70質量部を混合して正極の電極合剤とした。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(製品名セルシード。日本化学工業株式会社製。平均粒径(D50)10μm)90質量部と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製)5質量部と、導電材としてアセチレンブラック(製品名デンカブラック。デンカ株式会社製)5質量部とを混合し、更にN-メチル-2-ピロリドン70質量部を混合して正極の電極合剤とした。
得られた電極合剤を、ドクターブレード法により、集電体である厚み15μmのアルミニウム箔上に塗工した。塗工した電極合剤を、60℃で2時間乾燥させた後、更に150℃で10時間真空乾燥させて、N-メチル-2-ピロリドンを揮発させた。乾燥後の正極活物質の塗工量は21.5mg/cm2であった。
得られた電極合剤層と集電体との積層体を圧延した後、φ14mmの円盤状に切り出し、コバルト酸リチウムを形成材料とする正極合剤層と、集電体との積層体である正極を製造した。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=30:70(体積比)で混合させてなる混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなる割合で溶解した電解液を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=30:70(体積比)で混合させてなる混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなる割合で溶解した電解液を作製した。
≪リチウム二次電池の製造≫
[プレ電池を組み上げる工程]
上記の負極と正極との間にポリエチレン製多孔質セパレータを配置して、電池ケース(規格2032)に収納し、上記の電解液を注液し、電池ケースを密閉することにより、直径20mm、厚み3.2mmのコイン型のプレ電池を作製した。
[プレ電池を組み上げる工程]
上記の負極と正極との間にポリエチレン製多孔質セパレータを配置して、電池ケース(規格2032)に収納し、上記の電解液を注液し、電池ケースを密閉することにより、直径20mm、厚み3.2mmのコイン型のプレ電池を作製した。
[初回充放電工程]
コイン型のプレ電池を室温において1mAで4.2Vまで定電流充電した。
その後、3.4Vまで1mAで放電する定電流放電した。
コイン型のプレ電池を室温において1mAで4.2Vまで定電流充電した。
その後、3.4Vまで1mAで放電する定電流放電した。
[エージング工程]
その後、放電状態で、60℃で8時間保存した。これにより、リチウム二次電池1を製造した。
その後、放電状態で、60℃で8時間保存した。これにより、リチウム二次電池1を製造した。
リチウム二次電池1のRsは50Ωであり、Raは35Ω/cm2、またRaのエージング前後での増加分は10%であった。
リチウム二次電池1について、上記[サイクル維持率の測定方法]に記載の方法により測定したサイクル維持率は、90%であった。
<比較例1>
上記[エージング工程]を、25℃で8時間の条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で、リチウム二次電池2を製造した。
上記[エージング工程]を、25℃で8時間の条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で、リチウム二次電池2を製造した。
リチウム二次電池2のRsは10Ω/cm2であり、Raは34Ω/cm2、またRaのエージング前後の増加は5%であった。
リチウム二次電池2について、上記[サイクル維持率の測定方法]に記載の方法により測定したサイクル維持率は、70%であった。
<比較例2>
上記[エージング工程]を、45℃で4時間の条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で、リチウム二次電池3を製造した。
上記[エージング工程]を、45℃で4時間の条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で、リチウム二次電池3を製造した。
リチウム二次電池3のRsは10Ωであり、Raは30Ω/cm2、またRaのエージング前後での増加は7%であった。
リチウム二次電池3について、上記[サイクル維持率の測定方法]に記載の方法により測定したサイクル維持率は、80%であった。
<比較例3>
上記[エージング工程]を、45℃で8時間の条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で、リチウム二次電池4を製造した。
上記[エージング工程]を、45℃で8時間の条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で、リチウム二次電池4を製造した。
リチウム二次電池4のRsは10Ωであり、Raは32Ω/cm2、またRaのエージング前後の増加は7%であった。
リチウム二次電池4について、上記[サイクル維持率の測定方法]に記載の方法により測定したサイクル維持率は、60%であった。
上記の結果から、初回充放電後に所定のエージング工程を実施し、Rsが(1)を満たすリチウム二次電池は、サイクル維持率が低下しにくいことが確認できた。
また、初回充放電後に所定のエージング工程を実施しない場合にはエージング前後でのRaの増加率が実施例よりも低い、換言すれば実施例よりも抵抗値の変化が小さいことが確認できた。
1…セパレータ、2…正極、3…アルミニウム負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード
Claims (4)
- リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、
電解質と、を備え、
前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなり、
下記(1)を満たす、リチウム二次電池。
20Ω/cm2≦Rs≦100Ω/cm2 (1)
(リチウム二次電池を放電させ、放電後の電圧をV0とする。その後1.0mA/cm2で充電し、2秒後の電圧をV1とする。前記V1とV0との差(V1-V0)から算出した正極の単位面積当たり直流抵抗値をRsとする。) - 下記(2)を満たす、請求項1に記載のリチウム二次電池。
10Ω/cm2≦Ra≦100Ω/cm2 (2)
(Raは、リチウム二次電池を放電させ、交流インピーダンス測定を実施し、得られたインピーダンスのコール・コールプロットを解析して求まる前記アルミニウム負極の交流抵抗値である。) - リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なアルミニウム負極と、
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、
電解質と、を備え、
前記アルミニウム負極はアルミニウム含有金属からなるリチウム二次電池の製造方法であって、
プレ電池を組み上げる工程と、
プレ電池を初回充放電させる工程と、
放電状態のプレ電池を、周囲温度50℃以上で4時間以上保存するエージング工程と、を備えるリチウム二次電池の製造方法。 - 前記エージング工程の前のプレ電池のRaに対する、前記エージング工程後のプレ電池のRaの増加率が0%以上20%以内である、請求項3に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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2021
- 2021-03-31 JP JP2021059729A patent/JP2022156172A/ja active Pending
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