JP2022155624A - 非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成することのできる負極と、前記負極を用いた前記非水電解質二次電池とを提供する。本発明は持続可能な開発目標(SDGs)の目標12、3、7、11に関連する。【解決手段】 本発明の非水電解質二次電池用負極は、負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層を集電体上に有し、前記負極合剤層の前記集電体とは反対側の表面部における空隙率が、40%以上であることを特徴とするものである。また、本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を有し、前記負極として、本発明の非水電解質二次電池用負極を有することを特徴とするものである。【選択図】 図6

Description

本発明は、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成することのできる負極と、前記負極を用いた前記非水電解質二次電池に関するものである。
近年、種々の機器の駆動電源として、非水電解質二次電池が広く適用されている。非水電解質二次電池の社会への提供により、国際連合が制定する持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、目標12(持続可能な生産消費形態を確保する)、目標3(あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する)、目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する)、および目標11(包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する)の達成に貢献することができる。
また、最近では、スマートフォンなどの移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての非水電解質二次電池にはさらなる高容量化が要求されている。そこで、非水電解質二次電池の高容量化に向けて、活物質にケイ素またはケイ素酸化物を使用する検討が活発にされている。
しかし、ケイ素やケイ素酸化物などの、リチウムとSiとの合金を形成する材料は、充放電に伴う体積膨張・収縮が大きく、そのため充放電サイクルを繰り返すと活物質の微粉化などにより活物質が劣化し、容量が低下するという課題があった。
これに対し、特許文献1には、結着力に優れるポリイミドやポリアミドイミド、ポリアミドをバインダとして使用することで、SiO(0.5≦x≦1.5)で表されるケイ素酸化物を活物質とした場合の電池の充放電に伴う体積膨張・収縮による問題を抑えて、充放電サイクル特性の向上を図る技術が提案されている。
また、特許文献2には、負極活物質粒子としてケイ素またはケイ素合金を用い、バインダとしてポリイミド樹脂を用いた負極を有するリチウム二次電池が記載されており、負極集電体上に塗布する負極合剤スラリーの粘度、および前記スラリーを乾燥する際の温度を調整することにより、導電剤粒子の表層への移動を生じさせ、負極活物質層の表面層における導電助剤の濃度を、中央部における導電助剤の濃度より高くして、サイクル特性を向上させることが提案されている。
国際公開第2009/063902号 国際公開第2012/132958号
しかしながら、非水電解質二次電池に求められる充放電サイクル特性は、最近になって益々高度になっており、特許文献1、2に記載されている技術においても、改善の余地がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成することのできる負極と、前記負極を用いた前記非水電解質二次電池とを提供することにある。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層を集電体上に有し、前記負極合剤層の前記集電体とは反対側の表面部における空隙率が、40%以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を有し、前記負極として、本発明の非水電解質二次電池用負極を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成することのできる負極と、前記負極を用いた前記非水電解質二次電池とを提供することができる。すなわち、本発明の非水電解質二次電池は、充放電サイクル特性に優れたものである。
非水電解質二次電池に係る負極の負極合剤層の走査型電子顕微鏡画像を輝度毎に数値化して作成されるヒストグラムの一例である。 負極合剤層の切断面の走査型電子顕微鏡画像の一例である。 図1に示すヒストグラムのフィッティング結果を示す図である。 図1に示すヒストグラムから空隙による輝度の分布を抽出した結果を示す図である。 本発明の非水電解質二次電池の一例を模式的に表す平面図である。 図5のI-I線断面図である。
<非水電解質二次電池用負極>
本発明の非水電解質二次電池用負極(以下、単に「負極」という場合がある)は、負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層を集電体上に有し、前記負極合剤層の前記集電体とは反対側の表面部における空隙率が、40%以上である。
例えば、特許文献1の実施例(段落[0146])や特許文献2の実施例(段落[0051])にあるように、負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層を集電体上に有する負極を作製するにあたっては、集電体上に負極合剤層を形成した後に、圧延処理などの圧縮処理を施すことが一般的である。
負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層は、空隙を含む多孔質体であることが通常であるが、前記の圧縮処理を経て製造された場合、処理の影響を受けやすい負極合剤層の表面部分では空隙率が低下する。本発明者らの検討によれば、負極合剤層の表面部分での空隙率が一定以上低下した場合、負極合剤層内への非水電解質(非水電解液)の浸透性が低下しすぎて、電池の充放電サイクル特性を低下させてしまうこと、特に、ケイ素やケイ素酸化物などのように硬い材料を活物質として用いた場合には、負極合剤層の表面部分での空隙率の低下がより大きくなり、前記問題がより顕著になることが明らかとなった。
そこで、本発明の負極では、負極合剤層における集電体とは反対側の表面部の空隙率を40%以上と高くすることで、ケイ素やケイ素酸化物などのような硬い材料を負極活物質に使用しても、負極合剤層内への非水電解質の浸透性を良好に維持できるようにして、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成できるようにしている。
負極に使用する負極活物質には、従来から知られている非水電解質二次電池に用いられている負極活物質、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に制限はない。例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)などの元素、その合金およびその化合物(酸化物など);リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;リチウム金属やリチウム/アルミニウム合金;も負極活物質として用いることができる。
これらの負極活物質の中でも、電池の容量を高め得ることから、ケイ素またはケイ素酸化物を使用することが好ましい。なお、前記の通り、ケイ素またはケイ素酸化物を負極活物質として使用した場合には、特に電池の充放電サイクル特性が低下しやすいが、本発明の負極であれば、これを抑制することができる。
ケイ素酸化物としては、組成式SiO(0.5≦x≦1.5)で表されるものなどが挙げられる。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中にSi(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
負極活物質として使用するケイ素やケイ素酸化物は、炭素材料との複合体とすることができる。このような複合体としては、ケイ素またはケイ素酸化物の粒子の表面を炭素材料で被覆して複合化したもの、ケイ素またはケイ素酸化物の粒子と炭素材料とを造粒させることで複合化したものなどが挙げられる。ケイ素またはケイ素酸化物の粒子の表面を炭素材料で被覆して複合化したものとしては、ケイ素またはケイ素酸化物の粒子と炭化水素系ガス(トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなど)とを気相中で加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させたものが好ましい。
ケイ素またはケイ素酸化物と炭素材料との複合体の場合、ケイ素またはケイ素酸化物:100質量部に対して、炭素材料が、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、7質量部以上であることが更に好ましく、また、20質量部以下であることが好ましく、17質量部以下であることがより好ましい。
負極活物質は、その粒子の表面をポリイミドで被覆したものとすることができる。特にケイ素やケイ素酸化物は、電池の充放電に伴う体積膨張・収縮量が大きく、前記の通り、電池の充放電が繰り返されると微粉化するなどして劣化するため、電池の充放電サイクル特性低下を引き起こしやすい。しかし、ケイ素またはケイ素酸化物の粒子の表面を、大きな結着力を有するポリイミドで被覆すると、電池の充放電時の体積膨張・収縮量を小さくすることができるため、充放電を繰り返しても微粉化などによる劣化が生じ難くなることから、電池の充放電サイクル特性をより高めることが可能となる。
また、ケイ素やケイ素酸化物のような負極活物質を用いた電池においては、充放電を繰り返すと、ケイ素やケイ素酸化物の体積変化によって負極合剤層の空隙率が増大する傾向にある。負極合剤層の空隙率が大きいと、例えばその機械的強度が小さくなるため、電池内で負極合剤層の割れが発生するなどの問題が生じやすくなる。しかしながら、ポリイミドで表面を被覆したケイ素またはケイ素酸化物を負極活物質として用いた場合には、負極合剤層の前記表面部における空隙率が前記の値を満たすように、負極合剤層の空隙率をあらかじめ大きくしていても、電池の充放電を繰り返すことによる負極合剤層の空隙率の増大を抑制できるため、かかる観点からも、電池の充放電サイクル特性をより高めることが可能となる。
負極活物質の粒子の表面をポリイミドで被覆する場合、ポリイミドの量は、負極活物質の粒子を被覆することによる前記の効果を良好に確保する観点から、負極活物質:100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。ただし、負極活物質の粒子の表面を被覆するポリイミドの量が多すぎると、負極活物質におけるLiイオンの吸蔵・放出の効率が低下する虞があることから、その量は、負極活物質:100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。
負極活物質の粒子の表面をポリイミドで被覆する方法としては、例えば、ポリアミック酸(ポリアミド酸)を溶剤〔水またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶剤〕に溶解させた溶液(ポリアミック酸溶液)中に負極活物質の粒子を入れたり、ポリアミック酸溶液を負極活物質の粒子表面に吹き付けたりして、負極活物質の粒子の表面にポリアミック酸溶液を付着させた後、加熱して溶剤を除去しつつポリアミック酸を反応させてポリイミドを形成する方法などが挙げられる。ポリアミック酸溶液には、DREAMBOND(登録商標、Industrial Summit Technology Corporation社製)、ユピア(登録商標、宇部興産社製)などの市販品を用いることができる。
負極合剤層に含有させるバインダとしては、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
負極合剤層には、導電助剤を含有させることができる。負極合剤層に含有させる導電助剤としては、例えば、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなど)、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの粉末)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59-20971号公報に記載のもの)などの材料のうちの1種または2種以上が挙げられる。
負極合剤層においては、負極活物質の含有量を85~90質量%とし、バインダの含有量を5~10質量%とすることが好ましい。また、導電助剤を使用する場合には、負極合剤層における導電助剤の含有量は3~8質量%とすることが好ましい。負極合剤層の厚みは、例えば35~55μmであることが好ましい。
負極集電体には、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。負極集電体の厚みは、例えば5~30μmであることが好ましい。
負極合剤層は、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成できるようにする観点から、集電体とは反対側の表面部における空隙率が、40%以上であり、45%以上であることが好ましい。ただし、負極合剤層における集電体と反対側の表面部の空隙率が大きすぎると、例えば負極合剤層の機械的強度が低下して電池内において割れなどが生じやすくなる。よって、こうした問題の発生を抑える観点からは、負極合剤層における集電体と反対側の表面部の空隙率は、55%以下であることが好ましく、52%以下であることがより好ましい。
また、負極合剤層全体の空隙率は、50%以上であることが好ましく、53%以上であることがより好ましく、60%以下であることが好ましく、57%以下であることがより好ましい。
本明細書でいう負極合剤層の空隙率は、以下の方法によって求められる値である。
負極合剤層を厚み方向に切断し、切断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(反射電子像)を取得する。使用する機器および条件は、例えば以下のようにすることができる(後記の実施例で記載している値は、下記の機器および条件で求めた値である)。
走査型電子顕微鏡:日立S4800
検出器:反射電子モード
加速電圧:2kV
倍率:3,000倍
取込解像度:2,560×1,920
最小ドット長:16.5nm(円相当径:18.6nm)
最小ドット面積:163nm
負極合剤層の厚み方向の一方の端部から他方の端部までの全体の情報を解析に用いるため、負極合剤層の厚み方向の全てが1視野に入りきらない場合には、厚み方向に2視野に分けるなどして全体の情報を得るものとする。
画像解析ソフト「ImageJ」を用い、得られたSEM画像を輝度毎に数値化してヒストグラムを作成する。図1は、SEM画像のヒストグラムの一例を示す図である。図1に示すヒストグラムにおいて、輝度が約180付近にある高輝度のピークは活物質によるものであり、輝度が約130付近にある中輝度のピークは導電助剤およびバインダによるものであり、輝度が約80付近にあるブロードなピークは空隙によるものである。
得られたヒストグラムに対し、まず、活物質による輝度の分布と、導電助剤(およびバインダ)による輝度の分布とを特定するため、ガウス分布でのフィッティングを実施する。ここで、活物質におよび導電助剤は、それぞれ単一材料と仮定してフィッティングを行う。
図2に、負極合剤層の切断面のSEM画像の一例を示す。取得されるSEM画像においては、負極合剤層の切断面の情報だけでなく、図2に示すように切断面から一定の深さまでの輝度情報も反映されるため、本来空隙である部分についても、その下に存在する活物質や導電助剤の輝度情報を拾い出し、見かけ上前記材料で占有されていると判断される部分が存在することになる。また、活物質の切断面は、本来単一の輝度となるはずであるが、図2に示すように、切断面に存在する微小な凹凸などの影響により、本来の輝度よりも低い値を示す微小領域が点在する輝度情報が得られることがある。
図3に、ヒストグラムに対してフィッテッングを行った結果を示す。前記の見かけ上前記材料で占有されていると判断される部分と、活物質の切断面内で輝度の低い部分において得られる輝度の値は、ほぼ同程度となるため、これらを合わせて1つの輝度の分布を新たに想定し、ヒストグラムに対しガウス分布でのフィッティングを実施する。
次に、求められたそれぞれの分布を全体のヒストグラムから減算し、残存する輝度の低い領域を空隙の輝度が反映されたものとして、ヒストグラム全体に対するその領域の割合(面積比)を見かけの空隙率として算出する。前記の方法で、ヒストグラムから空隙による輝度の分布を抽出した結果を、図4に示す。
なお、前記の減算によりヒストグラムから除かれることになる「見かけ上前記材料で占有されていると判断される部分」は、本来空隙として空隙率の計算に加算されるべき部分であるため、以下に述べる補正により、実際の空隙率の算出を行う。
詳細な説明は省略するが、実際の空隙率:S(%)と前記ヒストグラムから算出される見かけの空隙率:T(%)とは、
T=S
の関係があり、nの値を求めることにより、実際の空隙率を算出することができる。
実際の空隙率:Sは、負極合剤層の各構成材料の真密度:ρi(g/cm)と、質量%で表される各構成材料の比率:ai、負極合剤層の厚み:t(cm)、負極合剤層の単位面積あたりの質量:m(g/cm)が分かれば、下記式(1)を用いて求めることができる。そこで、あらかじめ負極合剤層の厚みと単位面積あたりの質量を測定しておき、下記式(1)により実際の空隙率(全体の平均値)を求め、ヒストグラムから算出された見かけの空隙率との関係式からnの値を算出しておくことにより、同じ負極合剤層について得られる別のヒストグラムに対し、算出される見かけの空隙率:Tから直接実際の空隙率:Sを算出することが可能となる。
S=100-(Σai/ρi)×(m/t) (1)
なお、電子顕微鏡の加速電圧や倍率が異なるなど、SEM画像の取得条件が異なる場合には、輝度の情報が得られる深さが異なり、nの値が変わる可能性があるため、SEM画像の取得条件を変更した場合は、nの値を算出し直す必要がある。
そして、前記の方法により、負極合剤層の集電体とは反対側の表面から厚み方向に10μmの位置までの領域のSEM画像から求められる空隙率を、「負極合剤層の集電体とは反対側の表面部の空隙率」とする。また、前記(1)により求められる実際の空隙率Sを、「負極合剤層全体の空隙率」とする。
また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合、負極合剤層の集電体と反対側の表面部における導電助剤の含有量(A)が、負極合剤層の厚み方向の中央より集電体側における導電助剤の含有量(B)よりも多いことが好ましい。これを満たす負極を用いることで、電池の負荷特性をより高めることができる。
なお、負極合剤層において、前記導電助剤の含有量(A)と前記導電助剤の含有量(B)との比:(A)/(B)は、前記の効果をより良好に確保する観点から2以上であることが好ましく、負極合剤層全体の導電率をある程度高くする観点から、3.5以下であることが好ましい。
負極合剤層の導電助剤の含有量は、負極合剤層の空隙率の測定の際に求めるSEM画像の輝度毎のヒストグラムから、フィッテッングによって抽出した「導電助剤などによる輝度の部分(図3の分布2)」の面積の、ヒストグラム全体の面積に対する割合から算出する。
そして、前記の方法により、負極合剤層の集電体とは反対側の表面から厚み方向に10μmの位置までの領域のSEM画像から求められる導電助剤の含有量を「導電助剤の含有量(A)」とし、負極合剤層の厚み方向の中央から集電体側に10μmの位置までの領域のSEM画像から求められる導電助剤の含有量を「導電助剤の含有量(B)」とする。
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、さらには必要に応じて導電助剤などを含有する負極合剤を、NMPなどの有機溶剤や水といった溶剤に分散させてペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥する工程を経て製造することができる。
なお、通常は、前記の通り、負極集電体の表面に負極合剤含有組成物を塗布し、乾燥して負極合剤層(負極合剤含有組成物の乾燥塗膜)を形成した後に、圧延処理などの圧縮処理を行うが、この場合、負極合剤層の前記表面部の空隙が潰れてしまう。よって、前記表面部の空隙率を前記の値に調整するには、集電体に塗布した負極合剤含有組成物を乾燥して負極合剤層を形成した後には、圧縮処理を施さないか、圧縮処理を施す場合は負極合剤層の前記表面部の空隙率が前記の値を下回らない条件で行えばよく、圧縮処理を施さないことがより好ましい。なお、負極合剤層形成後に圧縮処理を施す場合の条件は、圧縮処理を行う装置によって変動するため、処理後の負極における負極合剤層の前記表面部の空隙率が、前記の値を満たし得るような条件抽出を行ってから、負極を製造すればよい。
また、集電体に塗布した負極合剤含有組成物を乾燥して負極合剤層を形成した後に圧縮処理を施すと、乾燥後の段階で負極合剤層の前記表面部に存在していた導電助剤が、負極合剤層の内部側(集電体側)に押し込まれるためか、前記表面部の導電助剤量が少なくなって、前記表面部付近での導電性が低下する虞がある。
しかし、集電体に塗布した負極合剤含有組成物を乾燥して負極合剤層を形成した後に、圧縮処理を施さないか、負極合剤層の前記表面部の空隙率が前記の値を下回らない条件で圧縮処理を施した場合には、前記表面部での導電助剤量の減少を抑え得ることから、導電助剤の含有量(A)と導電助剤の含有量(B)との関係を前記のように調整することができ、これにより、電池の負荷特性をより高め得る負極を得ることができる。
なお、負極合剤層の形成後に圧縮処理を施さないか、または、負極合剤層の前記表面部における空隙率が40%以上となる条件で圧縮処理を施した場合、負極合剤層の表面(集電体とは反対側の表面)は、その表面粗さが、一般的な負極製造時に採用されているような条件で圧縮処理を施した場合に比べて大きくなる。例えば、本発明の負極においては、負極合剤層の、集電体とは反対側の表面における凹凸の算術平均粗さを、4.1μm以上とすることができる。また、負極合剤層の、集電体と反対側の表面における凹凸の算術平均粗さは、通常、6μm以下である。
本明細書でいう「負極合剤層の、集電体と反対側の表面における凹凸の算術平均粗さ」は、日本産業規格(JIS) B 0601(2013)に規定の算術平均粗さであり、具体的には、共焦点レーザ顕微鏡(レーザテック株式会社製「リアルタイム走査型レーザ顕微鏡 1LM-21D」)を用い、50倍の倍率で90μm×90μmの視野を3視野観察し、視野毎に900×900ピクセルで測定して各点の平均線からの絶対値を算術平均することにより求められる各視野の数値を、さらに算術平均して得られる値である。
なお、負極においては、負極合剤層が含有する負極活物質に、Liイオンをドープすることができる。
ケイ素酸化物のような容量の大きな負極活物質を用いて構成した非水電解質二次電池では、一般に、充電によって正極から放出されたLiのうち、前記負極活物質に取り込まれて次の放電時に放出されずに残留するものの割合が大きく、電池が本来備えている容量を十分に引き出し得ない虞がある。しかしながら、負極活物質にあらかじめLiイオンをドープ(プレドープ)しておくことで、充放電時に正極と負極との間を行き来できるLiの割合を高めて電池の不可逆容量を低減できるため、より高容量の電池を形成できるようになる。
負極活物質にLiイオンをドープするには、非水電解質二次電池内で行う方法(系内プレドープ)もあるが、非水電解質二次電池に組み込まれる前の負極に係る負極活物質にLiイオンをドープするには、例えば、以下の系外プレドープ(i)または(ii)を採用することができる。
系外プレドープ法(i)
Liイオンをドープしていない負極活物質を用いて製造した負極を使用し、その負極活物質にLiイオンをドープする。
系外プレドープ法(i)において、負極の負極合剤層中の負極活物質へのLiイオンのドープは、例えば、テトラヒドロフランやジエチルエーテルなどの溶媒に、ビフェニル、多環芳香族化合物(アントラセン、ナフタレンなど)、p-ベンゾキノン、金属Liなどを溶解させた溶液中に、負極を浸漬し、その後溶剤で洗浄および乾燥させることで実施することができる〔以下、系外プレドープ法(i-1)という〕。このときのLiイオンのドープ量は、前記溶液中の各成分量などの調整によって制御することができる。
また、系外プレドープ法(i)では、負極(作用極)とリチウム金属箔(対極。リチウム合金箔を含む。)とを非水電解液中に浸漬し、これらの間に通電する方法によっても、負極合剤層中の負極活物質にLiイオンをドープすることができる〔以下、系外プレドープ法(i-2)という〕。非水電解液には、非水電解質二次電池用の非水電解液(詳しくは後述する)と同じものが使用できる。このときのLiイオンのドープ量は、負極(負極合剤層)の面積当たりの電流密度や、通電する電気量の調整によって制御することができる。
系外プレドープ法(ii)
Liイオンをドープしていない負極活物質に、Liイオンを直接ドープする。この場合、系外プレドープ法(i-1)の説明で先に記載した負極を浸漬する前記溶液中に、負極に代えて負極活物質(Liイオンドープ前の負極活物質)を浸漬することで、負極活物質にLiイオンをドープすることができる。
この系外プレドープ法(ii)を採用する場合には、これによって得られた負極活物質(Liイオンをドープした負極活物質)を使用して、前記の方法などによって負極を製造することで、Liイオンをドープした負極活物質を含有する負極を得ることができる。なお、この場合、負極の製造に使用する負極活物質には、その一部または全部に、系外プレドープ法(ii)によってLiイオンをドープしたものを使用することができる。
<非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を有し、負極が本発明の非水電解質二次電池用負極である。
(正極)
非水電解質二次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造を有するものが挙げられる。
正極活物質は、従来から知られている非水電解質二次電池に用いられている正極活物質、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に制限はない。具体的には、例えば、LiとLi以外の金属M(Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Alなど)とで構成される金属酸化物(リチウム含有複合酸化物)が使用できる。このようなリチウム含有複合酸化物としては、例えば、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物;LiCo1-xNiOなどの層状構造のリチウム含有複合酸化物;LiMn、Li4/3Ti5/3などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePOなどのオリビン構造のリチウム含有複合酸化物;前記の酸化物を基本組成とし各種元素で置換した酸化物;などが挙げられる。
正極合剤層の導電助剤としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ-ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。また、正極合剤層のバインダには、PVDF、PTFE、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体〔P(VDF-CTFE)〕、SBR、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好適に用いられる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを、NMPなどの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じて圧延処理などの圧縮処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極は、前記の製造方法で製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法で製造したものであってもよい。
正極集電体には、アルミニウムやステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。正極集電体の厚みは、5~30μmであることが好ましい。
正極合剤層においては、正極活物質の含有量を60~95質量%とすることができ、バインダの含有量を1~15質量%とすることができ、導電助剤の含有量を3~20質量%とすることができる。また、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30~150μmであることが好ましい。
(セパレータ)
非水電解質二次電池のセパレータとしては、強度が十分で、かつ非水電解質を多く保持できるものがよく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、エチレン-プロピレン共重合体を含んでいてもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
さらに、セパレータには、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層と、融点が150℃以上の樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層とから構成された積層型のセパレータを使用することができる。ここで、「融点」とは日本産業規格(JIS) K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味し、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔膜からなるセパレータや、前記積層型のセパレータ)の厚みは、10~30μmであることがより好ましい。
(非水電解質)
非水電解質二次電池の非水電解質には、通常、非水系の液状電解質(非水電解液)が用いられる。非水電解液としては、有機溶媒にリチウム塩などの電解質塩を溶解させたものが用いられる。その有機溶媒としては、特に限定されることはないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネートなどの鎖状エステル;エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルとの混合溶媒;などが挙げられ、特に鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が適している。
非水電解液の調製にあたって有機溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfSO)(Rf’SO)、LiC(RfSO、LiN(RfOSO〔ここでRf、Rf’はフルオロアルキル基〕などが単独でまたは2種以上混合して用いられる。非水電解液中における電解質塩の濃度は、特に制限はないが、0.3mol/l以上であることが好ましく、0.4mol/l以上であることがより好ましく、また、1.7mol/l以下であることが好ましく、1.5mol/l以下であることがより好ましい。
また、非水電解液には、電池の充放電サイクル特性のさらなる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、1,3-プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t-ブチルベンゼンなどの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
非水電解質二次電池において、非水電解質としては、前記非水電解液以外にも、前記非水電解液をポリマーなどからなるゲル化剤でゲル化したゲル状の電解質や、公知の固体電解質を用いることもできる。
(電極体)
非水電解質二次電池において、負極と正極とは、セパレータを介して積層した積層体(積層電極体)や、この積層体を更に渦巻状に巻回した巻回体(巻回電極体)などの形態で使用される。
(非水電解質二次電池の形態など)
非水電解質二次電池の形態については、特に制限はない。例えば、小型の円筒形、コイン形、ボタン形、扁平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。
図5および図6に、本発明の非水電解質二次電池の一例を模式的に表す図面を示す。図5は、非水電解質二次電池の平面図であり、図6は図5のI-I線断面図である。
図5および図6に示す非水電解質二次電池1は、2枚の金属ラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層した電極体と、非水電解質(図示しない)とを収容しており、ラミネートフィルム外装体2は、その外周部において、上下の金属ラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。
なお、図6では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体2を構成している各層や、正極5および負極6の各層を区別して示していない。
正極5は、電池1内で正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内で負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側をラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
非水電解質二次電池においては、前記の通り、Liイオンをドープした負極活物質を少なくとも含有する負極を用いてもよいが、Liイオンをドープしていない負極活物質を含有する負極を用いて電池を組み立て、その電池内において負極の負極合剤層中の負極活物質へLiイオンをドープ(系内プレドープ)してもよい。
負極の負極合剤層中の負極活物質への系内プレドープは、例えば、正極および負極とは別にLi供給源(リチウム金属箔、リチウム合金箔など)を有する電極、すなわち、Liイオンを負極活物質にドープするためのプレドープ用電極を使用して電池を組み立て、このプレドープ用電極に通電することで、電池内で前記Li供給源から負極合剤層中の負極活物質にLiイオンをドープすることにより実施することができる。よって、系内プレドープによって負極活物質へLiイオンをドープする形式の電池の場合、Liイオンのドープが終了した時点においても、Li供給源の一部が残存するかまたは全部が消失したプレドープ用電極が電池内に残存している。
他方、系外プレドープによってあらかじめLiイオンをドープした負極活物質を含有する負極を用いて組み立てた非水電解質二次電池の場合には、Liイオンのドープに利用される(または利用された)プレドープ用電極を内部に有しない。
本発明の非水電解質二次電池は、従来から知られている非水電解質二次電池と同じ用途に適用することができる。また、本発明の非水電解質二次電池用負極は、本発明の非水電解質二次電池を構成できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極の作製>
負極活物質である酸化ケイ素(SiO):87質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:5質量部、およびバインダであるポリアクリル酸:8質量部を、水を溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。
この負極合剤含有ペーストを負極集電体となる厚みが6μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥して、厚みが46μmの負極合剤層を負極集電体の片面に有する負極を作製した。得られた負極においては、負極合剤層の平面視のサイズが2.5cm×4.1cmであった。また、負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布する際には、負極集電体の一部に負極合剤層を形成しない露出部を設けておき、そこを負極外部端子として利用した。
前記負極において、負極合剤層の前記表面部および全体の空隙率は、それぞれ47.8%、55.3%であった。また、負極合剤層の前記表面部における導電助剤の含有量(A)は、負極合剤層の厚み方向の中央より集電体側における導電助剤の含有量(B)よりも多く、その比(A)/(B)は2.9であった。さらに、負極合剤層の表面の凹凸の算術平均粗さは5.5μmであり、前記算術平均粗さを求める際に測定した凸部の最大山高さは38.8μmであった。
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:85質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。
この正極合剤含有ペーストを負極集電体となる厚みが11μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥してからローププレス機で圧縮処理を施して、厚みが58μmの正極合剤層を正極集電体の片面に有する正極を作製した。得られた正極においては、正極合剤層の平面視のサイズが2.7cm×4.2cmであった。また、正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布する際には、正極集電体の一部に正極合剤層を形成しない露出部を設けておき、そこを正極外部端子として利用した。
<電池の組み立て>
前記の正極と前記の負極とを、PE製微多孔膜セパレータ(厚み16μm、空孔率40%)を介在させつつ重ね合わせて積層電極体とした。この積層電極体を8cm×7cmのアルミニウムラミネートフィルムからなる袋状の外装体内に挿入した。なお、積層電極体の正極外部端子および負極外部端子の一部は、外装体の開口部から突出するようにした。次に、ECとDECとMECとを1:1:1の体積比で混合した溶液にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた後、更にVCを1質量%となる量で溶解させて調製した非水電解液を外装体内に注入した。その後、外装体の開口部を封口して、図5に示す外観で、図6に示す断面構造の非水電解液二次電池を作製した。
実施例2
実施例1で用いたものと同じ酸化ケイ素を、ポリアミック酸溶液「DREAMBOND」(登録商標、Industrial Summit Technology Corporation社製)と混合し、200℃で10時間加熱して、ポリイミドで表面を被覆した酸化ケイ素(酸化ケイ素:95質量部に対して、ポリイミドが5質量部)を得た。これを負極活物質として用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例2で作製した負極において、負極合剤層の前記表面部および全体の空隙率は、それぞれ50.3%、55.7%であった。また、負極合剤層の前記表面部における導電助剤の含有量(A)は、負極合剤層の厚み方向の中央より集電体側における導電助剤の含有量(B)よりも多く、その比(A)/(B)は2.3であった。さらに、負極合剤層の表面の凹凸の算術平均粗さは4.3μmであり、前記算術平均粗さを求める際に測定した凸部の最大山高さは38.5μmであった。
比較例1
負極集電体の表面に負極合剤含有ペーストを塗布し、乾燥した後に、ロールプレス機で圧縮処理を施した以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例1で作製した負極において、負極合剤層の前記表面部および全体の空隙率は、それぞれ38.2%、45.7%であった。また、負極合剤層の前記表面部における導電助剤の含有量(A)と、負極合剤層の厚み方向の中央より集電体側における導電助剤の含有量(B)とは同等で、その比(A)/(B)は0.9であった。さらに、負極合剤層の表面の凹凸の算術平均粗さは4.0μmであり、前記算術平均粗さを求める際に測定した凸部の最大山高さは26.8μmであった。
実施例および比較例の非水電解質二次電池について、設計容量に対して0.5Cの電流値で4.35Vになるまで定電流充電し、その後0.5Cの電流値で2.5Vになるまで定電流放電する一連の操作を1000サイクル繰り返した。そして、各電池について、1000サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した値を百分率で表した容量維持率を求めて、充放電サイクル特性を評価した。
前記の評価結果を、各電池に用いた負極について、前記の方法で求めた負極合剤層の前記表面部の空隙率、負極合剤層の表面の凹凸の算術平均粗さ、および負極合剤層の表面の凸部の最大山高さと併せて表1に示す。
Figure 2022155624000002
表1に示す通り、負極合剤層の前記表面部の空隙率を好適な値に調整した負極を用いた実施例1、2の非水電解質二次電池は、前記表面部の空隙率が不適な負極を用いた比較例1の電池に比べて、充放電サイクル特性評価時の容量維持率が大きく、優れた充放電サイクル特性を有していた。
なお、実施例1の電池と実施例2の電池とを比較すると、表面をポリイミドで被覆した負極活物質を使用した実施例2の電池の方が、表面を被覆していない負極活物質を使用した実施例1の電池よりも、充放電サイクル特性の評価結果が良好であった。これは、実施例2の電池では、ポリイミドの採用によって充放電の繰り返しによる負極活物質の体積変化が小さく、実施例1の電池に比べて負極合剤層の導電性の低下が抑制されたためであると考えられる。
1 非水電解質二次電池
2 ラミネートフィルム外装体
3 正極外部端子
4 負極外部端子
5 正極
6 負極
7 セパレータ

Claims (6)

  1. 負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層を集電体上に有する非水電解質二次電池用負極であって、
    前記負極合剤層の前記集電体とは反対側の表面部における空隙率が、40%以上であることを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  2. 前記負極活物質として、ケイ素またはケイ素酸化物を含有する請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
  3. 前記負極合剤層が導電助剤を含有し、
    前記負極合剤層の前記表面部における導電助剤の含有量が、前記負極合剤層の厚み方向の中央より集電体側における導電助剤の含有量よりも多い請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用負極。
  4. 前記負極合剤層の前記集電体とは反対側の表面の凹凸の算術平均粗さが、4.1μm以上である請求項1~3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
  5. 前記負極活物質の表面がポリイミドで被覆されている請求項1~4のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
  6. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を有する非水電解質二次電池であって、
    前記負極として、請求項1~5のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極を有することを特徴とする非水電解質二次電池。
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