JP2022154650A - 車椅子 - Google Patents

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宣明 仲野谷
Nobuaki Nakanoya
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Abstract

【課題】軽量かつ収納や移送を容易とするとともに、移動時のがたつきを抑えることができ、さらに、安価で製造することができる車椅子を提供する。【解決手段】座面10、座面10に対し回転可能に取り付けられた前脚パイプ11、及び、座面10に対し回転可能に取り付けられた後脚パイプ12を有するパイプ椅子1と、パイプ椅子1が取り付けられた台21、台21の下面21Bに固定される取付座、及び、取付座に対し下方側から設置されるキャスター22を有する平台車である台車2とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は車椅子に関するものである。
従来の車椅子は、介添者が車椅子を押すという機能に加え、搭乗者(要介護者)本人により自走する機能に重点を置いて設計されている。例えば、車椅子に取り付けられる車輪は、搭乗者本人の腕力により自走するために、大径に設計されている。
特開2002-336304号公報
しかしながら、自走することが困難な要介護者の場合、車椅子は介添者が押して移動させる移動装置としての機能のみを有すればよく、この介添者にとって、軽量かつ収納や移送などが容易であることが重要となる。また、従来の車椅子よりも製造コストを下げられることが好ましい。
そのため、例えば上記特許文献1には、台車にパイプ椅子を固定した介護用移動装置が開示されている。しかしながら、上記特許文献1に開示された介護移動装置は、折りたたむ際の手間が非常にかかってしまい、容易に収納できるとは言い難い。さらに、上記特許文献1に開示された固定具では、その形状がパイプ椅子の脚部にフィットしきれず、移動時にがたつきが生じることが想定される。
上述の課題に鑑み、本発明では、軽量かつ収納や移送を容易とするとともに、移動時のがたつきを抑えた車椅子を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点における車椅子によれば、
座面、当該座面に対し回転可能に取り付けられた前脚パイプ、及び、当該座面に対し回転可能に取り付けられた後脚パイプを有するパイプ椅子と、
前記パイプ椅子が取り付けられた台、当該台の下面に固定される取付座、及び、当該取付座に対し下方側から設置されるキャスターを有する台車とを備える
ことを特徴とする。
より好ましくは、
前記台車は平台車である
ことを特徴とする。
より好ましくは、
前記前脚パイプは、その下端において幅方向に延伸するパイプ片であって、前記台の上面に固定される前脚下端部を有し、
前記後脚パイプは、その下端において幅方向に延伸するパイプ片であって、前記台の上面に固定される後脚下端部を有し、
前記台は、前記前脚下端部との接触箇所を含む一部であって、当該台から切り分けられた嵌脱部を有し、
前記取付座の一部が前記台に嵌合した状態の前記嵌脱部を当該台の下方側から支持する
ことを特徴とする。
本発明の第2の観点における車椅子によれば、
座面、当該座面に対し回転可能に取り付けられた前脚パイプ、及び、当該座面に対し回転可能に取り付けられた後脚パイプを有するパイプ椅子と、
前記パイプ椅子が着脱可能な台、当該台の下面に固定される板状部材、当該板状部材に対し下方側から固定される取付座、及び、当該取付座に対しそれぞれ下方側から設置されるキャスターを有する台車とを備える
ことを特徴とする。
より好ましくは、
前記台車は平台車である
ことを特徴とする。
より好ましくは、
前記台において幅方向に延伸するようにして当該台を垂直方向に貫通したスリットであって、前記前脚パイプの下端において幅方向に延伸するパイプ片である前脚下端部を、前記パイプ椅子の着座可能状態において、上方側から挿入することが可能な形状である前方スリットと、
前記台において幅方向に延伸するようにして当該台を垂直方向に貫通したスリットであって、前記後脚パイプの下端において幅方向に延伸するパイプ片である後脚下端部を、前記パイプ椅子の着座可能状態において、上方側から挿入することが可能な形状である後方スリットとを備え、
前記板状部材は、前記前方スリット及び前記後方スリットの開口部分をそれぞれ下方側から覆うようにして前記台に固定される
ことを特徴とする。
本発明に係る車椅子によれば、軽量かつ収納や移送を容易とするとともに、移動時のがたつきを抑えることができ、さらに、安価で製造することができる。
本発明の実施例1に係る車椅子の構成を説明する全体斜視図である。 本発明の実施例1に係る車椅子の台車前方側の拡大斜視図である。 本発明の実施例1に係る車椅子の台車後方側の拡大斜視図である。 本発明の実施例1に係る車椅子の台車後方側の拡大斜視図(別角度)である。 本発明の実施例2に係る車椅子の構成を説明する全体斜視図である。 本発明の実施例2に係る車椅子のキャスター近傍(前方側及び後方側)の拡大斜視図である。 本発明の実施例1における太円筒部材の斜視図である。 本発明の実施例1に係る車椅子の台車後方側の拡大図(変形例)である。 本発明の実施例1に係る細円筒部材の斜視図である。 本発明の実施例1における小平板の正面図である。 本発明の実施例2における小平板の正面図である。 本発明の実施例1に係る車椅子の折り畳み状態を示す全体側面図である。 本発明の実施例1に係る車椅子のキャスター近傍(前方側及び後方側)の拡大正面図である。 本発明の実施例1に係る車椅子のキャスター近傍(前方側及び後方側)の拡大正面図(変形例)である。 本発明の実施例1に係る車椅子の構成を説明する全体側面図である。
以下では、本発明に係る車椅子を実施例により具体的に説明する。なお本発明は、成人向けカート、ハイブリットカー、人力車等の乗り物全般に適用可能であるが、実施例では、一般的な車椅子の用途として用いるものとして説明する。
また、実施例に記載されている「方向」を示す単語については、パイプ椅子及び台車の向きを基準としたものである(例えば、「パイプが幅方向に延伸している」といった記載は、「パイプがパイプ椅子(台車)の幅方向に延伸している」という意味である)。
[実施例1]
本実施例に係る車椅子は、台車にパイプ椅子を固定具のみで付けたものであって、出先の地のホームセンター等において、現地調達で製作できるため、緊急時、災害時等に迅速に対応できるものである。
図1は、本実施例に係る車椅子の構成を説明する全体斜視図である。図1に示すように、本実施例に係る車椅子は、主たる構成としてパイプ椅子1及び台車2を備えている。
パイプ椅子1は、折り畳み可能な一般的なパイプ椅子である。詳述すると、パイプ椅子1は、主たる構成として、搭乗者が着座可能な座面10と、略矩形で背もたれを有し、座面10に対し第1所定範囲の回転角度で回転可能に取り付けられた前脚パイプ11と、略U字状で、座面10に対し第2所定範囲の回転角度で回転可能に取り付けられた後脚パイプ12とを備えており、これにより着座可能状態と折り畳み状態とに変形可能となっている。ただし、本実施例においては、パイプ椅子1の細部の形状について限定するものではなく、折り畳み可能な一般的なパイプ椅子であればよい。
一方、台車2は、取手が付いていない一般的な平台車である。詳述すると、台車2は、水平に設置された平板状の台21と、台21の下面21Bの四隅にそれぞれ固定される平板状の取付座23(図4参照)と、取付座23に対し下方側から設置され、方向転換自在な車輪を有するキャスター22とを備えている。ただし、後述するように、台21の一部が加工され嵌脱部21Cが形成されている。また、キャスター22はブレーキ付のものを用いてもよい。
そして、パイプ椅子1は台車2の台21に取り付けられている。パイプ椅子1の前脚パイプ11は、その下端において幅方向に延伸し接地するパイプ片である前脚下端部11Aの幅方向両端付近が、それぞれ前脚用固定具3により台車2における台21の上面21Aに固定されている。
なお図1中では、前脚下端部11Aの幅方向両端付近に、それぞれ前脚用固定具3が2つずつ設けられている状態が示されているが、本実施例は、前脚用固定具3の個数及び前脚下端部11Aにおける固定箇所を限定するものではなく、1つ以上の前脚用固定具3により前脚下端部11Aが台車2の上面21Aに固定されていればよい。
ここで、図2を用いて前脚用固定具3の形状について詳述する。前脚用固定具3は、把持部31、フランジ部32,33、ネジ35,36、及び、座金37,38を備えている。
把持部31は、前脚下端部11Aの周面形状に対応した半円環状の部材であって、前脚下端部11Aを上方側から把持している。ただし、この「把持」とは、把持部31が前脚下端部11Aをその周方向に回転可能な程度に接触するようにして覆っている状態を指している。なお、把持部31の材質は、好ましくは硬質ポリ塩化ビニルであるものとする。
フランジ部32,33は、把持部31の前後端に(把持部31と一体的に)形成されており、それぞれ台車2の上面21Aに平行して延伸し上面21Aに接している。ネジ35,36は、それぞれ座金37,38を介してフランジ部32,33を上方側から貫通し、台21に螺合される。これにより、前脚下端部11Aが上面21Aに固定されることになる。ただし、前脚下端部11Aを上面21Aに固定するには、ネジ35,36ではなく接着剤を用いてもよい。
一方、図1におけるパイプ椅子1の後脚パイプ12は、その下端において幅方向に延伸し接地するパイプ片である後脚下端部12Aの幅方向両端付近が、それぞれ後脚用固定具4により台車2の上面21Aに固定されている。
なお、図1中では後脚下端部12Aの幅方向両端付近にそれぞれ後脚用固定具4が1つずつ設けられている状態が示されているが、本実施例は、後脚用固定具4の個数及び後脚下端部12Aにおける固定箇所を限定するものではなく、1つ以上の後脚用固定具4により後脚下端部12Aが台車2の上面21Aに固定されていればよい。
ここで、図3を用いて後脚用固定具4の形状について詳述する。後脚用固定具4は、長尺把持部41、フランジ部42,43、ネジ45,46、座金47,48、及び、止め具49,50を備えている。
長尺把持部41は、アーチ部41A、及び、長辺部41B,41Cを備えている。長辺部41B,41Cは、互いに対向するようにして垂直に立てられた平板であり、後脚下端部12Aを前後方向に把持している。これは、長辺部41Bと長辺部41Cとの離間距離を、後脚下端部12Aの外径と略同一とし、長辺部41B,41Cが後脚下端部12Aを強く挟むことで可能となる。
ただし、後脚下端部12Aに対し所定以上の上向きの力が加わると、後脚下端部12Aは長辺部41B,41Cに対し摺動しつつ上方向に移動することが可能となっている。
あるいは、長辺部41B,41Cによって後脚下端部12Aを強く挟むのではなく、図7に示すような硬質ポリ塩化ビニル等からなる円筒形状の太円筒部材71を、長尺把持部41内側の後脚下端部12A上方における隙間を埋めるようにして挿入することで、後脚下端部12Aが上方向へ移動できないようにし、太円筒部材71を外すことで上方向へ移動できるようにしてもよい。なお、図7では2本の太円筒部材71を上下方向に重ねて長尺把持部41の内側に挿入する状態が表わされているが、太円筒部材71は必ずしも2本というわけではなく、長尺把持部41の長さに合わせた本数にすればよい。
あるいは、図8に示すように、長辺部41B,41Cそれぞれに対し、前後方向に貫通する孔72を形成し、図9に示すような硬質ポリ塩化ビニル等から成る円筒形状の細円筒部材73の両端をこれら2つの孔72に架設するようにして挿入することで、後脚下端部12Aが上方向へ移動できないようにし、細円筒部材73を外すことで上方向へ移動できるようにしてもよい。なお、孔73に挿入された細円筒部材73が後脚下端部12Aに接するような位置に、孔72を形成するのが好ましい。
アーチ部41Aは、長辺部41Bの上端部と長辺部41Cの上端部とを連結するようにして(長辺部41B,41Cと一体的に)成形され、後脚下端部12Aの周面形状に対応したアーチ状の部材である。これにより、上述のように後脚下端部12Aが長辺部41B,41Cに沿って上方向に移動した場合、アーチ部41Aに嵌合するようにして止まることになる。
フランジ部42,43は、長尺把持部41の前後端に(長尺把持部41と一体的に)成形されており、それぞれ台車2の上面21Aに平行して延伸し上面21Aに接している。ネジ45,46は、それぞれ座金47,48を介してフランジ部42,43を上方側から貫通し、台21に螺合される。これにより、後脚下端部12Aが上面21Aに固定されることになる。ただし、後脚下端部12Aを上面21Aに固定するには、ネジ45,46ではなく着剤を用いてもよい。
止め具49,50は、それぞれ後脚下端部12Aの周面形状に対応した形状であり、長尺把持部41をその幅方向両端側から挟持するようにして後脚下端部12Aに固定された円環状の部材である。この止め具49,50が長尺把持部41により幅方向に係止されることになるために、止め具49,50が固定された後脚下端部12Aも固定されることになる。なお、図示していないが、止め具49,50の後脚下端部12Aへの固定にはネジを用いてもよい。
ところで、台車2については、図1,2に示すように、上面21Aの前脚下端部11A及び前脚固定具3との接触箇所を含む、台21の一部が、台21から垂直方向に切り取られるようにして加工された嵌脱部21Cを備えている。嵌脱部21Cは、自身が切り分けられた台21の穴21Dに対して嵌脱可能となっている。
また、台車2の取付座23は既に説明したように一般的なものではあるが、本実施例においては嵌脱部21Cの加工を行っているために、前方側の2つの取付座23については、その一部が台21の穴21Dの位置に重複した状態となっている(図2の破線参照)。これにより、嵌脱部21Cが穴21Dに嵌合した状態においては、取付座23(の一部)が嵌脱部21C(の幅方向両端)を下方側から支持することになり、嵌脱部21Cが下方に落下することを防ぐことができる。
さらに、上面21Aにおける穴21D近傍には、穴21Dに嵌合した状態の嵌脱部21Cの上方向への移動を係止する係止部24が取り付けられている。なお、図1,2中では上面21Aにおける穴21D近傍の四隅にそれぞれ係止部24が1つずつ設けられている状態が示されているが、本実施例は、係止部24の個数、及び、係止部24の上面21Aにおける固定箇所を限定するものではなく、1つ以上の係止部24により嵌脱部21Cが台21に固定可能であればよい。
係止部24は、小平板24A、ネジ24B、及び、座金24Cを備えている。小平板24Aは、平板状の部材であり、好ましくはステンレス製のものである。ネジ24Bは、座金24Cを介して小平板24Aの一端を上方から貫通して台車2の台21に螺合されている。
これにより、作業者(多くの場合は介添者)は、ネジ24Bを緩めた状態において、小平板24Aを指で水平方向に(上面21Aに対し摺動させつつ)回転させることができる。
よって、係止部24は、ネジ24Bを回転軸として小平板24Aを回転させ、小平板24Aを、穴21Dに嵌合した状態の嵌脱部21C上に位置させるか否かによって、嵌脱部21Cの上方向への移動(台21からの取り外し)の係止と係止解除とを切り替えることができるものである。
ただし、小平板24Aにおけるネジ24B用の孔は、図10に示すように、小平板24Aの長手方向に延伸するような楕円形状の楕円孔74としてもよい。これにより、小平板24Aを回転させながら若干位置をずらすことができるようになり、より嵌脱部21Cを係止しやすい位置に持っていくことができる。
また、既に説明したように、前脚用固定具3が前脚下端部11Aを回転可能に把持しているため、台21の穴21Dから上方に取り外された状態の嵌脱部21Cは、前脚下端部11Aに対し周方向に回転可能となる。
また、図1,2のように、前脚下端部11Aの両端側にそれぞれ2つずつの前脚用固定具3が設けられている場合、この隣り合う前脚用固定具3間には僅かに(幅方向に)隙間を設けるようにし、その隙間から露出した前脚下端部11Aの周面に、ビスが打たれているようにしてもよい(図示略)。これにより、前脚用固定具3(嵌脱部21C)が前脚下端部11Aに対し幅方向にずれることを係止することができる。
なお、台21には、穴21D以外にも、台21を垂直方向に貫通する指挿入用穴21Eが形成されている。指挿入用穴21Eは、台21の端縁近傍における任意の位置に形成される。そして、指挿入用穴21Eは複数形成されていてもよい。
また、キャスター22の車輪の大きさについては、通常の100mmであっても、125mmあるいは130mmであってもよく、あるいはこれらを取り替えられるようにしてもよい。ただし、両者を切り替え可能にする場合、125mmや130mmの装着時に、取付座23にキャスター22の車輪(あるいは車輪のカバー部分)が接触し、車輪が動きにくい状態になってしまう可能性がある。そのため、図13に示すように、キャスター22を取付座23に取り付ける方法として、キャスター22を取付座23に取り付けるための棒81に螺子切りに形成し、この棒81を当該螺子切りに螺合する孔82が形成された取付座23に挿入するようにすることで、キャスター22と取付座23との離間距離を可変とし、125mmや130mmの車輪等が台車の台にぶつからないようにする。あるいは、図14に示すように、棒81には螺子切りが形成される代わりに、上下方向に整列した複数の挿入孔83が形成され、そこにピン84を挿入し、ピン84によって棒81を係止することで、上記離間距離を可変とするようにしてもよい。なお、当該段落においては、キャスター22の車輪の大きさについて100mm、125mm、130mmを例にして説明したが、他の大きさのものにも適用可能である。
さらに、キャスター22は固定式ではなく、自在式とする。特に、旋回ロック及び車輪ロックの両方が可能なものとする。
さらに、旋回ロック及び車輪ロックの両方を同時に(ほぼ1モーションで)作動させることが可能なものとすることで、ストッパーの機能開始時に、旋回ロック機能も同時に作動させることによって、昇降時に発生する車輪旋回方向の動きを抑制できるため、より安定したストッパー機能を提供できる。
また、前輪側又は後輪側のいずれかの旋回ロック機能のみを進行方向にて作動(固定)させることが可能なものとすることで、自在式のキャスター22が、固定式と同等の機能を有するものへと変化するため、直進安定性の向上をはかることができる。加えて、旋回作動部分が2輪に減少するため、状況に応じた2種類の異なる旋回性能、操作性を得ることができ、また、旋回操作力の軽減が期待できる。
さらに、本実施例に係る車椅子は、図15に示すように、パイプ椅子1の座面10の下面10A側に工具保持部85が固定されるものとしてもよい。工具保持部85は、一般的な工具(スパナ、ドライバー、あるいは、車載工具用のドライバー(1本でプラスとマイナスに切り替えられるドライバー)を把持することができるものである。ただし、工具保持部85は、座面10の下面側に限らず、台21の上面21Aあるいは下面21Bに設けられるものとしてもよい。
なお、パイプ椅子1には、取り外し可能なひじ掛けを付けることも可能であり、さらに、台21の下面21Bには、静電気を除去するために伝導体からなる線材(アースベルト等)を接地するようにして設けても良い。
以上が、本実施例に係る車椅子の構成についての説明である。以下では、本実施例に係る車椅子の扱い方を説明する。
《使用時》
使用時には、台21の穴21Dに嵌合した状態の嵌脱部21C上に、前脚用固定具3における係止部24の小平板24Aを位置させることで、嵌脱部21Cを係止した状態として、搭乗者が座面10に座る。
この状態において、介添者は、パイプ椅子1の前脚パイプ11における前脚上端部11Bを握りつつ、本実施例に係る車椅子を押すことで、キャスター22の車輪が回転し、本実施例に係る車椅子を移動させることができる。なお、前脚上端部11Bとは、前脚パイプ11の上端において幅方向に延伸するパイプ片である。また、移動時の方向転換も容易にできる。
《折り畳み(又は展開)時》
折り畳み時には、まず、台21の穴21Dに嵌合した状態の嵌脱部21C上から、前脚用固定具3における係止部24の小平板24Aを外す。
次に、後脚パイプ12を、後脚用固定具4における長尺把持部41のアーチ部41Aに後脚下端部12Aが嵌合するまで持ち上げる。
さらに、前脚パイプ11を上方に持ち上げることで、嵌脱部21Cを台21の穴21Dから上方に取り外す。
その状態のまま、前脚パイプ11を、その前脚下端部11Aが後脚パイプ12の後脚下端部12Aに接するように移動させることで、パイプ椅子1を折り畳む(この処理自体は一般的なパイプ椅子の折り畳みと同じである)。
折り畳まれたパイプ椅子1を、アーチ部41Aに嵌合した後脚下端部12Aを回転軸として前方向に倒すようにして台21上に載置する。これにより、図12に示すように本実施例に係る車椅子を折り畳み状態とすることができる。
なおこのとき、嵌脱部21Cは前脚下端部11Aに対し周方向に回転させて、図12に示すように、後脚下端部12Aやアーチ部41Aに干渉しないようにしている。
この状態の本実施例に係る車椅子は、作業者(介添者)が指挿入用穴21Eに指を通すようにして台21の端縁部分を掴むことで、容易に持ち運ぶことが可能となる。
なお、折り畳み状態から展開する際には、折り畳み時と逆の手順で展開すればよい。
以上が、本実施例に係る車椅子の扱い方の説明である。
本実施例に係る車椅子によれば、従来の車椅子に比べ、軽量、かつ方向転換が容易となるため、利便性が向上する。
また、買い物かご等の荷物を台21の上面21A(パイプ椅子1の下方)に載置することもできる。さらに、工具保持部85を設けた場合、いずれかのネジが緩んだ場合には、工具保持部85に把持された工具を使用することによりその場でネジを締め直すことができる。
なお、台車2として平台車を使用しているが、使用者の利便にあわせ、ハンドル台車等、他の形状の台車を用いてもよい。また、台車2の大きさ、材質は使用者の意向により変更可能であり、使用者の利用状況に応じた利便性の向上も期待できる。
また、台車2の向きについては、パイプ椅子1に対して前後反対であってもよい。その場合、固定具3,4や嵌脱部21C等の位置は、パイプ椅子1の向きに合わせるものとする。
そして、上述の工具保持部85の設置、台車形状、台車2の向き等の種々の変更は、下記実施例2においても適用可能である。
[実施例2]
本実施例では、実施例1と同一部分については極力省略し、異なる部分を中心に説明する。
図5は、本実施例に係る車椅子の構成を説明する全体斜視図である。図5に示すように、本実施例に係る車椅子は、主たる構成としてパイプ椅子1及び台車5を備えている。
図5,6に示すように、台車5は、取手が付いていない平台車であり、水平に設置された平板状の台51と、台51の下面51Bの前方及び後方にそれぞれ固定された板状部材52と、各板状部材52に対しそれぞれ下方側から2つずつ固定された取付座23と、取付座23に対し下方側から設置され、方向転換自在な車輪を有するキャスター22とを備えている。また、台51の一部が加工されスリット51C,51Dが形成されている。
前方スリット51Cは、台51の前方において幅方向に延伸するようにして台51を垂直方向に貫通したスリットであり、上方側から前脚下端部11Aを挿入することが可能な形状である。後方スリット51Dは、台51の後方において幅方向に延伸するようにして台51を垂直方向に貫通したスリットであり、上方側から後脚下端部12Aを挿入することが可能な形状である。また、前方スリット51Cと後方スリット51Dとの(台車5における前後方向の)離間距離は、着座可能状態のパイプ椅子1の前脚下端部11Aと後脚下端部12Aとの離間距離と等しくなっている。
これにより、着座可能状態のパイプ椅子1において、前脚下端部11A及び後脚下端部12Aが、台51の前方スリット51C及び後方スリット51Dにそれぞれ挿入可能となる。
板状部材52には、台51の下面51Bにおける前方スリット51Cの開口部分に対応した位置において、前方スリット51Cの開口部分を下方側から覆うようにして台51に固定されている板状部材52と、台51の下面51Bにおける後方スリット51Dに対応した位置において、後方スリット51Dの開口部分を下方側から覆うようにして台51に固定されている板状部材52とがある。
これにより、板状部材52は、前方スリット51Cに挿入された前脚下端部11Aを前方スリット51Cの下方において支持し、さらに、後方スリット51Dに挿入された後脚下端部12Aを前方スリット51Cの下方において支持することができる。
前後脚用固定具6は、この状態において、前脚パイプ11における前脚下端部11Aの幅方向両側、及び、後脚下端部12Aの幅方向両側を、それぞれ上方側から固定することができる。
なお図5中では、前脚下端部11Aの幅方向両側に、それぞれ前後脚用固定具6が1つずつ設けられており、後脚下端部12Aの幅方向両側に、それぞれ前後脚用固定具6が1つずつ設けられている状態が示されているが、本実施例は、前後脚用固定具6の個数及び下端部11A,12Aにおける固定箇所を限定するものではなく、1つ以上の前後脚用固定具6により前脚下端部11Aが台車5の上面51Aに固定され、かつ、1つ以上の前後脚用固定具6により後脚下端部12Aが台車5の上面51Aに固定されることができればよい。
ここで、前後脚用固定具6の形状について詳述する。前後脚用固定具6は小平板61及びネジ62を備えている。小平板61は、略トラック形状あるいは楕円形状(矩形でもよい)の平板であり、好ましくはステンレス製のものである。ネジ62は小平板61の中心に対し上方側から貫通し、台51に螺合されている。
これにより、作業者(多くの場合は介添者)は、ネジ62を緩めた状態において、小平板61を指で水平方向に(上面51Aに対し摺動させつつ)回転させることができる。
よって、前後脚用固定具6は、ネジ62を回転軸として小平板61を回転させ、小平板61を、スリット51C,51Dにそれぞれ挿入された状態の下端部11A,12A上に位置させるか否かによって、下端部11A,12Aの上方向への移動(台51からの取り外し)の係止と係止解除とを切り替えることができるものである。これにより、パイプ椅子1は台車5の台51に対して着脱可能となっている。
ただし、小平板61におけるネジ62用の孔は、図11に示すように、小平板61の長手方向に延伸するような楕円形状の楕円孔75としてもよい。これにより、小平板61を回転させながら若干位置をずらすことができるようになり、より下端部11A,12Aを係止しやすい位置に持っていくことができる。
なお、台51には、台51を垂直方向に貫通する指挿入用穴51Eが形成されている。指挿入用穴51Eは、好ましくは台51の端縁近傍における任意の位置に形成される。そして、指挿入用穴51Eは複数形成されていてもよい。
なお、本実施例においても、実施例1において図13~15を用いて説明したような変更(ひじ掛け及び伝導体からなる線材含む)が可能である。
以上が、本実施例に係る車椅子の構成についての説明である。以下では、本実施例に係る車椅子の扱い方を説明する。
《使用時》
使用時には、まず、着座可能状態のパイプ椅子1の前脚下端部11A及び後脚下端部12Aを、台51の前方スリット51C及び後方スリット51Dにそれぞれ挿入する(このとき、前脚下端部11Aは前方スリット51Cの下方に固定されている板状部材52に、後脚下端部12Aは後方スリット51Dの下方に固定されている板状部材52に、それぞれ支持される)。
そして、前脚下端部11A及び後脚下端部12Aを、それぞれ前後脚用固定具6により上方側から固定する。これにより、パイプ椅子1は台車5に固定される。
この状態において、介添者は、パイプ椅子1の前脚パイプ11における前脚上端部11Bを握りつつ、本実施例に係る車椅子を押すことで、キャスター22の車輪が回転し、本実施例に係る車椅子を移動させることができる。また、移動時の方向転換も容易にできる。
《折り畳み(又は展開)時》
折り畳み時には、まず、台51のスリット51C,51Dに挿入された状態の下端部11A,12A上から、前後脚用固定具6における小平板61を外す。
次に、パイプ椅子1を上方に持ち上げることで、台車5から取り外し、パイプ椅子1を折り畳む(この処理自体は一般的なパイプ椅子の折り畳みと同じである)。これにより、本実施例に係る車椅子を折り畳み状態とすることができる。
この状態において、台車5については、作業者(介添者)が指挿入用穴51Eに指を通すようにして台51の端縁部分を掴むことで、容易に持ち運ぶことが可能となる。
なお、折り畳み状態から展開する際には、折り畳み時と逆の手順で展開すればよい。
以上が、本実施例に係る車椅子の扱い方の説明である。
本実施例に係る車椅子によれば、従来の車椅子に比べ、軽量、かつ方向転換が容易となるため、利便性が向上する。また、買い物かご等の荷物を台21の上面21A(パイプ椅子1の下方)に載置することもできる。さらに、実施例1に比べ簡単に折り畳むことが可能となるとともに、パイプ椅子及び台車の加工が少ないため簡単に製造することが可能となる。
本発明は、車椅子として好適である。
1 パイプ椅子
2,5 台車
3 前脚用固定具
4 後脚用固定具
6 前後脚用固定具
10 座面
11 前脚パイプ
12 後脚パイプ
21 台
22 キャスター
23 取付座
24 小平板
31 把持部
32,33 フランジ部
35,36 ネジ
37,38 座金
41 長尺把持部
42,43 フランジ部
45,46 ネジ
47,48 座金
49,50 止め具
51 台
52 板状部材
61 小平板
62 ネジ
71 大円筒部材
72 孔
73 小円筒部材
74,75 楕円孔
81 棒
82 孔
83 挿入孔
84 ピン
85 工具保持部

Claims (6)

  1. 座面、当該座面に対し回転可能に取り付けられた前脚パイプ、及び、当該座面に対し回転可能に取り付けられた後脚パイプを有するパイプ椅子と、
    前記パイプ椅子が取り付けられた台、当該台の下面に固定される取付座、及び、当該取付座に対し下方側から設置されるキャスターを有する台車とを備える
    ことを特徴とする車椅子。
  2. 前記台車は平台車である
    ことを特徴とする請求項1に記載の車椅子。
  3. 前記前脚パイプは、その下端において幅方向に延伸するパイプ片であって、前記台の上面に固定される前脚下端部を有し、
    前記後脚パイプは、その下端において幅方向に延伸するパイプ片であって、前記台の上面に固定される後脚下端部を有し、
    前記台は、前記前脚下端部との接触箇所を含む一部であって、当該台から切り分けられた嵌脱部を有し、
    前記取付座の一部が前記台に嵌合した状態の前記嵌脱部を当該台の下方側から支持する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車椅子。
  4. 座面、当該座面に対し回転可能に取り付けられた前脚パイプ、及び、当該座面に対し回転可能に取り付けられた後脚パイプを有するパイプ椅子と、
    前記パイプ椅子が着脱可能な台、当該台の下面に固定される板状部材、当該板状部材に対し下方側から固定される取付座、及び、当該取付座に対しそれぞれ下方側から設置されるキャスターを有する台車とを備える
    ことを特徴とする車椅子。
  5. 前記台車は平台車である
    ことを特徴とする請求項4に記載の車椅子。
  6. 前記台において幅方向に延伸するようにして当該台を垂直方向に貫通したスリットであって、前記前脚パイプの下端において幅方向に延伸するパイプ片である前脚下端部を、前記パイプ椅子の着座可能状態において、上方側から挿入することが可能な形状である前方スリットと、
    前記台において幅方向に延伸するようにして当該台を垂直方向に貫通したスリットであって、前記後脚パイプの下端において幅方向に延伸するパイプ片である後脚下端部を、前記パイプ椅子の着座可能状態において、上方側から挿入することが可能な形状である後方スリットとを備え、
    前記板状部材は、前記前方スリット及び前記後方スリットの開口部分をそれぞれ下方側から覆うようにして前記台に固定される
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の車椅子。
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