JP2022154516A - 検査対象物の状態診断システム、状態診断装置および画像の位置特定方法 - Google Patents

検査対象物の状態診断システム、状態診断装置および画像の位置特定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】検査対象物を撮像した動画像に基づいて撮像位置を特定することができる、検査対象物の状態診断システム、状態診断装置、画像の位置特定方法およびプログラムを提供する。【解決手段】状態診断システムは検査対象物10の表面に沿って移動部305を撮像可能範囲内で移動させる移動機構300と、移動部に取り付けられ検査対象表面の動画像を撮像するカメラ200と、撮像可能範囲内における移動部の位置座標を取得する座標取得部104と、動画像の複数の画像に基づいてカメラの移動方向変化点を検出し、座標取得部から得られる移動部の座標方向変化点とカメラの移動方向変化点とを対応づけることで動画像から所望の位置座標に対応する検査用画像を検出するデータ処理部109と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は検査対象物の状態を診断する技術に係り、特に検査対象物の画像を用いた状態診断システム、状態診断装置および画像の位置特定方法に関する。
建物の外装材(外壁材)の剥離、剥落などを未然に防止するために、建物の状態を検査する方法が種々提案されている。たとえば特許文献1には、ビルの外壁など広い面積の外装材を低コストかつ効率的に診断する状態評価装置が開示されており、それによれば打撃により検査を行う検出部を外壁平面に沿って移動させ、外壁の検査位置と検査結果とを関連付けて外壁全体の状態評価情報を生成する。
特許文献1によれば、フレーム上方に設けられたカメラがフレームの四隅に設けられた基準点とフレーム内をxy方向に移動可能な検出部に設けられた指標とを視野に収め、検出部の打撃をトリガとして撮像を行う。したがって、撮像された画像における基準点と検出部の指標との位置関係から検出部の検査位置を特定することができ、検査位置とその検査結果とを対応付けることができる。
特開2019-178953号公報
上述した特許文献1では、検出部の打撃タイミングに応じてカメラ撮像が行われるので検査タイミングに同期した撮像画像を容易に取得することができる。しかしながら、画像により外壁の表面状態を診断する場合には、カメラを検査対象の外壁に近接させて移動しながら撮像する動画像での撮像が必要となる。動画像に基づいて打撃のようなトリガ信号無しに検査位置を特定する技術はこれまで提案されていない。
そこで、本発明の目的は、検査対象物を撮像した動画像に基づいて撮像位置を特定することができる、検査対象物の状態診断システム、状態診断装置、画像の位置特定方法およびプログラムを提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の一実施の形態によれば、状態診断システムであって、検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構と、前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと、前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得する座標取得部と、前記動画像から検査用画像を検出するデータ処理部と、を備え、前記データ処理部が、前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出し、前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する検査用画像を検出する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記移動方向変化点は、注目画像と前記注目画像より時間的に前後する2つの画像とに含まれる特定画像部分の移動方向が所定角度以上に変化する前記注目画像の時点であり得る。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記検査用画像からエッジ部分を抽出し、前記エッジ部分から前記検査対象物のタイル領域を矩形検出アルゴリズムにより抽出することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記データ処理部は前記検査用画像から抽出されたタイル領域に基づいて前記検査対象物の表面状態を評価することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記データ処理部は前記検査用画像から画像処理により少なくとも一つのタイル領域のひび割れ線を検出することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記データ処理部は、第1のひび割れ線の端点と第2のひび割れ線の端点とが所定の距離以内であって所定の角度内の位置関係であれば、これらの端点を接続し、前記第1および第2のひび割れ線を一つのひび割れ線として検出することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記移動部に取り付けられた打診ユニットを更に有し、前記打診ユニットは前記検査対象物の表面を打撃し、その打撃音を検査信号として前記データ処理部へ出力することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、状態診断装置であって、検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構を制御する移動制御部と、前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと有線あるいは無線で接続するインタフェースと、前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得する座標取得部と、前記動画像から検査用画像を検出するデータ処理部と、を備え、前記データ処理部が、前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出し、前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する検査用画像を検出する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態によれば、画像の一特定方法であって、検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構を制御する移動制御部と、前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと有線あるいは無線で接続するインタフェースと、を有する状態診断装置における画像の位置特定方法であって、座標取得部が前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得し、データ処理部が、前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出し、前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する画像を特定する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態によれば、プログラムであって、検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構を制御する移動制御部と、前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと有線あるいは無線で接続するインタフェースと、を有する状態診断装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得する機能と、前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出する機能と、前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する画像を特定する機能と、を前記コンピュータに実現することを特徴とする。
本発明の一実施の形態による状態診断システムは、動画像から移動方向変化点を検出し、カメラの位置座標から得られた座標方向変化点と対応づけることで、カメラから得られる動画像とカメラを移動させる移動制御とが同期していないシステムであっても、動画像の画像が検査対象物のどの位置の画像なのか知ることができ、検査対象物を撮像した画像に基づいて画像の撮影位置を特定することが可能となる。
本発明の一実施の形態によれば、複数の画像に含まれる特定画像部分の移動方向の変化を角度変化により容易に検出することができる。
本発明の一実施の形態によれば、検査用画像のエッジを検出しタイル領域を矩形検出アルゴリズムにより抽出することで検査用画像からタイル領域を確実に抽出することが可能となる。
本発明の一実施の形態によれば、抽出されたタイル領域の画像に基づいて表面状態を評価することができる。
本発明の一実施の形態によれば、画像処理によりひび割れ線を検出することができる。
本発明の一実施の形態によれば、画像上での複数のひび割れ線の方向を考慮して再接続することができ、複数のひび割れ線を一つのひび割れ線として検出することができる。
本発明の一実施の形態によれば、前記検査対象物の表面を打撃して検査できる打診ユニットをカメラと同様に移動させることができ、検査対象物10の全域を効率的に検査することができる。
本発明の一実施の形態による状態診断装置は、カメラを接続可能なインタフェースを有し、接続されたカメラから動画像を入力し、動画像から検出された移動方向変化点とカメラ本体の位置座標から得られた座標方向変化点とを対応づけることで、カメラから得られる動画像とカメラを移動させる移動制御とが同期していないシステムであっても、動画像の画像が検査対象物のどの位置の画像なのか知ることができ、検査対象物を撮像した画像に基づいて画像の撮影位置を特定することが可能となる。またインタフェースを介してカメラを接続することができるために、環境や検査対象物の状態に適した性能のカメラで検査を行うことができるという利点がある。
本発明の一実施の形態による画像の位置特定方法は、動画像から移動方向変化点を検出し、カメラの位置座標から得られた座標方向変化点と対応づけることで、カメラから得られる動画像とカメラを移動させる移動制御とが同期していないシステムであっても、動画像の画像が検査対象物のどの位置の画像なのか知ることができ、検査対象物を撮像した画像に基づいて画像の撮影位置を特定することが可能となる。
本発明の一実施の形態によるプログラムは、動画像から移動方向変化点を検出し、カメラの位置座標から得られた座標方向変化点と対応づけることで、カメラから得られる動画像とカメラを移動させる移動制御とが同期していないシステムであっても、検査対象物を撮像した画像に基づいて画像の撮影位置を特定することができる状態診断装置をコンピュータ上で実現することが可能となる。
図1は本発明の第1実施形態による状態診断システムの全体的構成を示すブロック図である。 図2は第1実施形態による状態診断システムに用いられるxyアクチュエータの一例を示す概略的平面図である。 図3は図2のxyアクチュエータのI-I線断面図である。 図4は第1実施形態におけるxyアクチュエータのキャリッジ動作軌跡の一例を示す模式図である。 図5は第1実施形態による状態診断装置における撮像時の制御動作の一例を示すフローチャートである。 図6は検査対象物に対する撮像範囲の移動の一例を示す模式図である。 図7は第1実施形態による状態診断装置における画像の位置特定方法を示すフローチャートである。 図8は第1実施形態による状態診断装置における動画像から得られる移動軌跡とxyアクチュエータから取得される検査点座標との対応を示す模式図である。 図9は撮像画像の移動方向検出方法の一例を示す模式図である。 図10は撮像画像の移動方向変化部の検出方法の一例を示す模式図である。 図11は第1実施形態による状態診断装置における撮像画像の移動方向変化部をxyアクチュエータの折り返し点に対応づけた同期方法の一例を示す模式図である。 図12は第1実施形態による状態診断装置における撮像フレームとxyアクチュエータの折り返し点座標および時刻との対応を例示する模式図である。 図13は本発明の第2実施形態による状態診断装置の機能構成を示すブロック図である。 図14は第2実施形態による状態診断装置に用いられるxyアクチュエータの一例を示す概略的平面図である。 図15は図14のxyアクチュエータのI-I線断面図である。 図16は第2実施形態による状態診断装置における打診ユニットの構成を示す模式的断面図である。 図17は第2実施形態による状態診断装置におけるタイル領域検出方法の一例を示すフローチャートである。 図18は第2実施形態による状態診断装置におけるタイル領域検出方法を説明するためのタイル壁面の一例を示す図である。 図19(A)~図19(D)は第2実施形態による状態診断装置におけるタイル領域検出方法を説明するための画像処理の一例を示す図である。 図20は第2実施形態による状態診断装置におけるひび割れ検査手順の概略を示すフローチャートである。 図21は第2実施形態による状態診断装置におけるひび割れ検査手順の二値化処理の一例を示すも模式図である。 図22は第2実施形態による状態診断装置におけるひび割れ検査手順による画像処理の結果を模式的に示す図である。 図23は第2実施形態による状態診断装置におけるひび割れ再接続処理の一例を示すフローチャートである。 図24は第2実施形態による状態診断装置におけるひび割れ再接続処理の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素は単なる例示であって、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨ではない。
1.第1実施形態
1.1)システム構成
図1に例示するように、本発明の第1実施形態による状態診断システムは検査対象物10の状態を評価するシステムであり、状態診断装置100と、撮像ユニットの一例としてのカメラ200と、移動機構の一例としてのxyアクチュエータ300とを備える。状態診断装置100は、後述するように、コンピュータのプロセッサ上で所定のプログラムを実行させ、それによってxyアクチュエータ300を移動制御し、それに伴って移動するカメラ200から動画像を入力し、動画像から必要なタイミングの検査用画像を抽出し、それを画像処理することで検査対象物10の状態評価を行う。本実施形態による状態診断システムは非同期システムであり、カメラ200本体の移動とカメラ200により撮像される動画像とは必ずしも同期していない。
カメラ200は有線あるいは無線の所定のインタフェースにより状態診断装置100に接続可能であり、撮像された所定形式の動画ファイルを状態診断装置100へ出力することができる。ここでは動画像の送信と電源供給を考慮して有線のインタフェースが採用され、カメラ200は状態診断装置100に着脱可能に接続される。撮像時のフレームレートは選択可能であり、たとえば30~240fps(frames per second)のなかの予め決められたレートに設定可能である。図1に例示するように、カメラ200はインターネット等の標準時刻に合わせることができるが、撮像は自己のタイミングCLK1に従って所定フレームレートで実行される。撮像部201で撮像された動画像はインタフェース202を通して状態診断装置100へ送信される。カメラ200は近距離で焦点が合い広い画角であることが望ましい。
xyアクチュエータ300は状態診断装置100の制御下で移動部をxy方向に移動させる。カメラ200はxyアクチュエータ300の移動部に固定されることで所定の撮像可能範囲内でxy方向に移動可能である。以下xyアクチュエータ300の構成および動作について図2~図4を参照しながら説明する。
<移動機構>
図2および図3に例示するように、xyアクチュエータ300は矩形のフレーム301に固定された一対の平行なyフレーム302と、yフレーム302に直交するxステージ303とを備える。xステージ303は各yフレーム302上で移動可能なyキャリッジ304上に固定され、一対のyキャリッジ304はy軸ステッピングモータM1の回転によりy軸方向に移動する。したがって、xステージ303はy軸ステッピングモータM1によりy軸方向の所望位置に移動可能である。
xステージ303にはxキャリッジである移動部305が移動可能に設けられ、移動部305にカメラ200および発光部306が固定されている。発光部306は、少なくともカメラ200の撮像範囲200aの検査対象物10を照明する光源であり、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。移動部305はx軸ステッピングモータM2の回転によりxステージ303上を移動する。したがって、移動部305に固定されたカメラ200はx軸ステッピングモータM2によりx軸方向の所望位置に移動可能である。
こうしてy軸ステッピングモータM1およびx軸ステッピングモータM2のそれぞれの回転を制御することで、移動部305に固定されたカメラ200は撮像可能範囲307を所定ルートに従って所定速度で(あるいは所定ステップ毎に)移動しながら撮像可能範囲307の全域を撮像することができる。なお、フレーム301の四隅には、フレーム301を検査対象物10上で移動可能にするキャスタ308が設けられ、図示しない駆動手段により検査対象物10上においてフレーム301を移動させることもできる。
より詳しくは、図4に例示するように、x軸ステッピングモータM2を所定角度だけ回転させることでカメラ200をx軸方向に所定距離Δxだけ移動させ、y軸ステッピングモータM2を所定角度だけ回転させることでカメラ200をy軸方向に所定距離Δyだけ移動させることができる。たとえば撮像可能範囲307の左上を走査始点、Tを走査の開始時刻とし、それを座標点p(0,0;T)と表記すれば、x軸方向にΔxだけ移動した点はx座標を+1あるいは-1だけ変化させ、y軸方向にΔyだけ移動した点はy座標を+1あるいは-1だけ変化させる。これによってカメラ200の任意の位置は座標p(x,y;T)と表記される。ただし、Tは始点p(0,0;T)からの経過時間である。なお移動距離ΔxおよびΔyの精度については、y軸ステッピングモータM1およびx軸ステッピングモータM2に付加されたエンコーダにより十分な位置決め精度を得ることができるものとする。
図4に示すように、カメラ200は始点座標p(0,0;T)から順次x軸方向に走査し、第1のx軸走査ラインの終点p(m,0;Tm(1))、すなわち撮像可能範囲307の右端に到達すると、y軸方向に第2のx軸走査ラインの右端p(m,2;Tm(2))まで移動し、今度は逆方向に撮像可能範囲307の左端まで走査する、というスキャン動作を繰り返す。したがって、この座標p(m,0;Tm(1))あるいはp(m,2;Tm(2))は座標方向の変化点、すなわちスキャン折り返し点とみなすことができる。以下、上側の座標方向変化点p(m,0;Tm(1))を各x軸走査ラインの右端のスキャン折り返し点とする。
スキャン折り返し点では、カメラ200がほぼ90°の角度で移動方向を変化させる。この90°の移動方向の変化はカメラ200の動画像でも同様に90°の移動方向の変化として現れる。したがって、動画像の移動方向が90°近く変化したことを検出すれば、その時点のフレーム情報を実際のカメラ200のスキャン折り返し点と見なすことができ、これを基準としてカメラ200のフレーム画像をxyアクチュエータ300の動作と同期させることができる。
ただし、移動方向の有効な変化を検出できればよいので、変化角度は図4のような90°である必要はなく、始点側へ引き返す場合には180°であってもよい。本実施形態によれば、一例として、動画像において90°の移動方向変化を検出することでカメラ200とxyアクチュエータ300との間で同期を確立するものとする。
なお、y軸ステッピングモータM1およびx軸ステッピングモータM2によるyキャリッジ304および移動部305の移動手段は方式を問わない。送りネジ方式であってもベルト送り方式であってもよいが、本実施例ではベルト送り方式が用いられている。このようなxyアクチュエータ300としては市販されている製品を利用することができる。カメラ200の撮像可能範囲307のサイズはたとえば60×60cm程度である。また、移動機構はxyアクチュエータ300に限定されるものではなく、十分な位置決め精度が得られるならばロボットアーム等を用いても良い。
<状態診断装置>
図1に戻って、状態診断装置100は、図示しないメモリに格納されたプログラムをプロセッサ上で実行することにより以下に述べる各種機能を実現することができる。状態診断装置100の制御動作はタイミングCLK2に従って実行され、インターネット等の標準時刻に合わせて動作を開始するが、カメラ200のCLK1と同期している必要はない。
状態診断装置100は有線あるいは無線のインタフェース101を介してカメラ200と接続可能である。動画像蓄積部102は、カメラ200からインタフェース101を通して入力した動画ファイルを格納する。動画ファイルは、たとえばAVIやMOV等の周知の形式を用いることができ、ここでは動画ファイルに1秒単位のタイムスタンプが付加されているものとする。
xy移動制御部103はタイミングCLK2に従ってxyアクチュエータ300のy軸ステッピングモータM1およびx軸ステッピングモータM2を制御し、上述したようにカメラ200を固定した移動部305をxy方向に移動させる。座標取得部104は、図4に示すように移動部305上のカメラ200の位置および時刻を座標p(x,y;T)として画像位置同期部107へ出力する。またカメラ200によって撮像された動画ファイルはタイムスタンプと共に動画像蓄積部102に格納される。
移動検出部105は、動画ファイルから複数のフレーム画像を順次読み出し、オプティカルフロー等の方法により画像の移動方向、したがってカメラ200の移動方向を検出する。移動方向変化検出部106は、後述する方法により移動方向が所定角度以上変化したか否かを判断し、所定角度以上変化した画像フレーム番号Fおよび時間情報tを移動方向変化点として画像位置同期部107へ出力する。
画像位置同期部107は、座標取得部104からカメラ200の位置情報を座標p(x,y;T)として入力し、後述するように、タイムスタンプを手がかりとして座標変化点p(m,y;T)の時刻Tmに対して動画像の移動方向変化点の時刻tを対応づける。こうしてカメラ200の位置座標と動画像とを同期させ、所定の座標に対応する動画ファイルの画像フレームを特定することができる。
評価部108は画像位置同期部107から所定位置の画像を入力し、画像処理により検査対象の区画を認識し、当該区画の状態を評価する。たとえば検査対象物10がタイル壁面であれば、入力画像から一つのタイル領域を検出し、タイル領域のひび割れ等の状態を画像認識技術により診断することができる。タイル領域の検出については、第2実施形態の項で詳しく説明する。
状態診断装置100はコンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより上述した諸機能を実現することができる。以下、第1実施形態による状態診断システムの全体的な動作を図5~図12を参照しながら詳細に説明する。
1.2)動作
<動画像取得>
図5に例示するように、状態診断装置100のデータ処理部であるプロセッサ109は初期設定により、タイミングCLK2を標準時刻に合わせてリセットし、カメラ200を起動し、xyアクチュエータ300の移動部305を原点位置p(0,0)にリセットする(動作501)。
カメラ200は上述したように自己のタイミングCLK1に従って検査対象物10を撮像し、所定間隔(ここでは1秒間隔)のタイムスタンプと共に動画像データを出力する(動作502)。ここでは240fpsのフレームレートで撮像されたものとする。状態診断装置100はカメラ200から動画像データを受信し、フレーム分解されたフレーム画像F(i)からなる動画ファイルを動画像蓄積部102に蓄積する(動作503)。
このカメラ200による撮像と共に、状態診断装置100のプロセッサ109はxy移動制御部103を制御して、xyアクチュエータ300の移動部305を図4に示すように移動させ、これによって図6に例示するようにカメラ200の撮像範囲200aを検査対象物10上で所定速度あるいは所定ステップごとに移動させる(動作504)。その際、プロセッサ109は座標取得部104から移動部305の座標p(x,y;T)を入力し記録する(動作505)。
状態診断装置100のプロセッサ109は移動部305の座標を監視しながら撮像可能範囲307の全域を走査したか否かを判断し(動作506)、全域の走査が完了していなければ(動作506のNO)、上記動作502~506を全域の走査が完了するまで繰り返す。全域の走査が完了すれば(動作506のYES)、カメラ200の撮像を停止し、処理を終了する(動作507)。
<移動方向変化の検出>
図7に例示するように、状態診断装置100のプロセッサ109は、動画像蓄積部102の動画ファイルから複数のフレーム画像を順次読み出し、オプティカルフローにより特定画像部分の移動方向、したがってカメラ200の移動方向を検出する(動作601)。たとえば図6に例示するタイルが配列された壁面であれば、フレーム画像毎に特定のタイル画像の移動をフォローすることでカメラ200の移動方向を検出できる。
続いて、プロセッサ109は移動方向が所定角度以上変化したか否かを判断し、所定角度以上変化した画像フレーム番号Fおよび時間情報tを移動方向変化点として検出する(動作602)。以下、図8~図10を参照しながら移動方向変化点の検出方法の一例を説明する。
まず、図8に例示するように、複数のフレーム画像からオプティカルフローにより画像の移動軌跡401aが取得され、座標取得部104から入力した座標p(x,y)からカメラ200の移動を示す座標軌跡401bが取得されたものとする。座標軌跡401bは図4に示す座標系でのスキャン軌跡に対応する。移動軌跡401aと座標軌跡401bとは同じカメラ200のスキャン移動に基づいているが、カメラ200の動画像とカメラ位置を示す座標とは対応付けされていない。このために動画像のフレーム画像が検査対象物10のどの位置(座標)の画像なのか知ることができない。そこで本実施形態では、たとえば移動軌跡401a上での移動方向変化点402a、403aと座標軌跡401b上での座標方向変化点(スキャン折り返し点)402b、403bとをそれぞれ検出し、それらを基準として動画像と座標とを同期させる。移動方向変化点と座標方向変化点(スキャン折り返し点)との対応付けはx軸ライン毎に実行しても良いが、所定数のx軸ライン毎に実行しても良く、また図8の移動方向変化点403aのように所定値を超えて外れた時に実行してもよい。すなわち、同じ動きのパターンを繰り返すときには、一度同期をとればその後の移動方向変化点(角)があっても同期をとらず、繰り返しから大きく外れたときに移動方向変化点(角)で同期をとればよい。
図9に示すように、ある画像フレームF(i)での注目点の位置に対して、Nフレーム前の画像フレームF(i-N)の注目点の位置をベクトルm1、Nフレーム後の画像フレームF(i+N)の注目点の位置をベクトルm2、ベクトルm1とm2がなす角度をθとする(ここではi>N、ただしi、Nは0以上の整数である。)。この場合、移動方向の変化はベクトルm1とm2の内積S=|m1|・|m2|cosθにより計算することができる。すなわち、|m1|=|m2|=1とすれば、注目点がx軸方向に移動している時にはθ=180°であるから内積S=-1、y軸方向に方向転換したときにはθ=90°であるから内積S=0、折り返したときθ=0°であるから内積S=+1となる。したがって、θ=90°や0°のような明確な角度変化のみを検出し、それ以外の角度変化を無視するようにS値のしきい値THを設定すれば、移動軌跡401a上での移動方向の変化点402a等および座標軌跡401b上での座標方向変化点402b等を検出することができる。
図10に例示するように、移動軌跡401a上での移動方向の変化点402a(1)および402a(2)はいずれも移動方向が90°前後の角度で変化している。したがって、変化点に到達するまでの画像フレームでは注目点がx軸方向に移動しているのでSは略-1であるが、第1の変化点402a(1)ではSは略0近傍に上昇し、続いて略-1に戻り、第2の変化点402a(2)で再度略0近傍に上昇し、その後次のx軸ラインを移動するのでSは略-1を維持する。したがって適当にしきい値THを設定することによりS値がピークを示す(すなわち移動方向の変化点を示す)画像フレームのフレーム番号および時刻を特定することができる。ここでは移動方向の変化点402aをS値の第1のピーク点402a(1)で検出し、同様の手順で座標軌跡401b上の座標方向変化点(スキャン折り返し点)402bを検出するものとする。
<画像位置同期>
図7に戻って、プロセッサ109は、上述した動作602により画像フレーム番号Fおよび時刻tを移動方向変化点402aとして検出すると、当該移動方向変化点402aを座標方向変化点402bに対応付けることで、動画像のフレーム番号の進行(すなわち画像の時間変化)を位置座標の時間変化と同期させることができる(動作603)。以下、図11を参照しながら画像位置同期について説明する。
図11に例示するように、複数のフレーム画像から検出された移動方向変化点402aのS値のピークと座標方向変化点402bのS値ピークとを時間的に合わせることで対応付けが可能である。その際、動画像のタイムスタンプを次のように利用することができる。
一例として、xyアクチュエータ300による撮像可能範囲307を60×60cmとし、xyアクチュエータ300がカメラ200を秒速20cmで移動させるものとする。また、カメラ200は240fpsのフレームレートで撮像し、1秒間隔のタイムスタンプを付加するものとする。この場合、カメラ200が1つのx軸ラインを撮像可能範囲307の端から端まで移動するには3秒を要し、タイムスタンプ毎にカメラ200はスキャン距離として20cm移動し、その間に240フレームの画像を出力する。したがって移動方向変化点402aがあるフレーム画像のタイムスタンプ時刻tmと座標方向変化点402bの位置座標の時刻Tmとのズレは最大±1秒程度であり、この範囲内で最も近い移動方向変化点402aと座標方向変化点402bとを一致させれば良い。
<画像取得>
図7に戻って、プロセッサ109は、上述した動作603により画像位置同期を確立すると、xyアクチュエータ300による各位置座標p(x,y)に対応する1以上のフレーム画像を検査用の画像データとして出力する(動作604)。以下、図12を参照しながら画像取得について説明する。
図12に例示するように、移動方向変化点を示す画像フレームF(n)と位置座標402aの時刻Tmとを対応づけることで、画像フレームF(0)~F(n)を位置座標の時間T0~Tmに対応させることができ、これによって所定の位置座標p(0,0)、p(1,0)、p(2,0)・・・にそれぞれ対応する画像フレームF(0)、F(i)、F(j)・・・を特定することができる。こうしてカメラ200の位置座標と撮像画像とを同期させ、検査対象物10の所定の位置座標における撮像画像を出力することができる。こうして得られた撮像画像を用いて評価部108が当該検査対象物10の状態を診断することが可能となる。
1.3)効果
以上述べたように、本発明の第1実施形態によれば、カメラ200から得られる動画像とカメラ200本体をスキャン移動させるxyアクチュエータ300の移動制御とが同期していないシステムであっても、動画像のフレーム画像が検査対象物10のどの位置の画像なのか知ることができる。上述したように動画像から移動方向変化点を検出し、カメラ200の位置座標から座標方向変化点(スキャン折り返し点)を検出し、移動方向変化点と座標方向変化点とのタイミングを合わせることで、カメラ200の動画像とカメラ位置を示す座標とを対応付ける。これにより検査対象物を撮像した画像に基づいて画像の撮影位置を特定することが可能となる。
2.第2実施形態
2.1)システム構成
図13に例示するように、本発明の第2実施形態による状態診断システムは状態診断装置700と、撮像ユニットの一例としてのカメラ200と、移動機構の一例としてのxyアクチュエータ300と、カメラ200と共に移動する診断ユニット800とを備える。状態診断装置700は、第1実施形態と同様にコンピュータのプロセッサ上で所定のプログラムを実行させることでxyアクチュエータ300を制御し、動画像を用いて検査対象物10の状態評価を行い、さらに診断ユニット800により検査対象物10を打撃することで状態評価を行う。以下、第2実施形態における第1実施形態と異なる構成および機能について説明し、第1実施形態と同様の機能を有するブロックには同一参照番号を付して詳細な説明は省略する。
状態診断装置700のデータ処理部であるプロセッサ701はプログラムを実行することで、第1実施形態と同様の移動検出部105、移動方向変化検出部106、画像位置同期部107および評価部108からなる機能を実現する。本実施形態における評価部108はタイル領域検出部702およびひび割れ検出部703からなる。
タイル領域検出部702は画像位置同期部107から所定位置の画像を入力し、画像処理により検査対象のタイル領域を検出し、ひび割れ検出部703は画像位置同期部107から入力した所定位置の画像から画像処理によりひび割れ等を検出する。ひび割れ等の検出結果はタイル領域の位置座標と共に診断情報蓄積部704に格納される。
診断ユニット800は検査対象物10の表面を打撃することで検査信号を出力するセンサ手段であり、たとえば特開2016-205900号公報に開示された検出ユニットを採用することができる。診断ユニット800は打診制御部705により制御され、打診制御部705はxyアクチュエータ300を制御するxy移動制御部103によるスキャン制御に同期して制御される。診断ユニット800は後述するようにxyアクチュエータ300の移動部305に固定されている。
診断ユニット800から得られた打撃による検査信号は打診評価部706により評価され、その評価結果は位置座標と共に診断情報蓄積部704に格納される。したがって、診断情報蓄積部704には、検査対象物10の各位置の表面状態がカメラ200の撮像画像に基づく画像診断結果と診断ユニット800による打撃診断結果として格納される。xyアクチュエータ300の構成および動作は第1実施形態で説明した通りである。以下、図14および図15を参照してxyアクチュエータ300に取り付けられた診断ユニット800周りの構成について説明する。
図14および図15に例示するように、xyアクチュエータ300は一対の平行なyフレーム302とyフレーム302に直交するxステージ303とを備え、既に説明したように、xステージ303はy軸ステッピングモータM1によりy軸方向に移動可能であり、移動部305はx軸ステッピングモータM2によってxステージ303上をx軸方向に移動可能である。
本実施形態では、移動部305にはxステージ303の直下に打診ユニット800が検査対象物10の表面と対向するように固定されている。また移動部305には打診ユニット800に隣接した位置にカメラ200および発光部306が固定され、カメラ200の撮像範囲200aに診断ユニット800が入らないように設置されている。移動部305に対するカメラ200と診断ユニット800との位置関係は固定されているので、撮像範囲200aと診断ユニット800による打撃位置とのオフセットは補正可能である。
こうしてy軸ステッピングモータM1およびx軸ステッピングモータM2のそれぞれの回転を制御することで、移動部305に固定されたカメラ200は撮像可能範囲307をスキャン移動しながら撮像し、移動部305に固定された診断ユニット800は同じくスキャン移動しながら検査対象物10の表面状態を打撃検査することができる。
診断ユニット800は図4に示すスキャン座標p(x,y;T)に従って移動し、移動量Δx毎およびΔy毎に打撃検査をすることで、検査結果と打撃位置とを対応づけることができる。
図16に例示するように、本実施形態における打診ユニット800は筐体801内に打撃部802が固定されており、打撃部802はソレノイドからなり、たとえばソレノイドが通電されるとプランジャ803を所定の力で下方に押し出し、通電が停止されるとバネ等の手段でプランジャ803を上方へ引き込む。プランジャ803の下端には打撃ハンマ804が設けられ、筐体801の底面にあるベース805の中央に設けられた開口部806を移動可能に貫通している。ソレノイドの通電により打撃ハンマ804は開口部806を通して検査対象物10の検査面に打撃を与えることができる。
筐体801の下端部の4方向の側面には防振ゴム808を介してマイクロフォン809が設けられ、これらの上にマイクロフォンカバー810が設けられている。マイクロフォン809は打撃時の検査面からの打音を検出する。なお、この例では4個のマイクロフォン458が設けられているが、これに限定されるものではない。
打診ユニット800はxyアクチュエータ300により検査すべき位置に移動すると、打撃ハンマ804が検査面を打撃する。このときの検査面の打撃による打音はマイクロフォン458により検出され、この打音検出信号から検査面の剥離等の状態を評価することができる。
なお、ここではカメラ200は検査対象物10の表面から15cm程度離れて配置され、タイル領域の検出ができる十分な大きさおよび個数のタイル枠が撮像できるものとする。
2.2)タイル領域検出
タイル領域検出部702は画像位置同期部107から所定位置の画像を入力し、画像処理により検査対象のタイル領域を検出する。以下、図17~図19を参照しながら、タイル領域検出手順の一例について説明する。
図17において、タイル領域検出部702は入力画像から水平方向のエッジと垂直方向のエッジをそれぞれ抽出し、これらのエッジ情報からタイル枠の大まかな位置を検出する(動作901)。たとえば、図18に例示するように、タイルが配列された検査対象物10をカメラ200が撮像範囲200aで撮像した場合、図19(A)に例示する水平方向のエッジ抽出画像と図19(B)に例示する垂直方向のエッジ抽出画像とが得られる。これらのエッジ抽出画像から矩形のタイルが存在する大まかな領域、たとえば参照番号10aで示す領域を得ることができる。なお、他の方法として、入力画像からタイルの角部に対応する部分を検出して大まかな領域を特定することもできる。
続いて、タイル領域検出部702は、領域10aに対して矩形検出アルゴリズムを適用し、矩形状の領域を正確に検出する(動作902)。矩形検出アルゴリズムとしてはHarrisのコーナー検出等のアルゴリズムを利用することができる。矩形検出アルゴリズムにより、図19(D)に例示するようなタイル領域10bを特定することができる。
図17に戻って、タイル領域検出部702は、タイル領域10bが直前の撮像画像から検出された領域と同一であるか否かを判定する(動作903)。同一タイル領域であるかどうかは、たとえばタイル同士の重なり度合い(面積)により決定することができる。同一タイル領域があれば、最も良いタイル画像を画質、輝度ムラおよび所定タイルの大きさのいずれか、あるいはそれらの組み合わせにより決定する(動作904)。
2.3)打診情報と画像診断情報
こうして撮像範囲200aから各タイル領域が決定されると、ひび割れ検出部703は、次項に例示するようなひび割れ検出を行い、その検出結果をタイルの位置座標と共に診断情報蓄積部704へ蓄積する。また、上述したように診断ユニット800により得られる打診評価結果も位置座標と共に診断情報蓄積部704に蓄積される。
2.4)ひび割れ検出
上述したようにひび割れ検出部703は図20~図24に例示する画像処理によりひび割れ検出を行う。
図20はひび割れ検出手順の概略を示す。まずひび割れ検出部703は複数のタイル領域を含む撮像範囲200aのラスタ画像を二値化する前処理を行い(動作910)、続いて二値化画像をベクトル化する(動作911)。ベクトル化された画像に対して、ノイズ除去と複数のひび割れがあればそれらの再接続処理とを実行する(動作912)。こうして得られたひび割れ検出結果がタイル領域の座標と共に診断情報蓄積部704に格納される(動作913)。以下、ひび割れ検出部703の各処理動作について詳述する。
<二値化処理>
図21に例示するように、ひび割れ検出部703には、撮像範囲200aのラスタ画像920が入力される。続いて、ラスタ画像920をグレースケール化し、それにより得られたグレースケール画像921から局所的な黒領域を除去することで背景画像922を生成する。続いて、グレースケール画像921から背景画像922を差し引くことで差分画像923を生成し、それを二値化することで二値化画像924を生成する。以下、説明を簡略化するために、ひび割れ近傍のラスタ画像924Aを取り上げ、ベクトル化について説明する。
<ベクトル化処理>
図22に例示するように、ひび割れ検出部703はラスタ画像924Aを細線化して細線化画像924Bを生成し、それに対してベクトル化を行う。これにより任意の曲線がベクトル化された多数の線分として表現されたベクトル画像924Cが得られる。ラスタ画像924の他の部分も同様にベクトル化される。ここでベクトル画像924Cにおいて、たとえば連続線C(1)、C(2)、C(3)・・・が離散的に存在する場合、ひび割れ検出部703は、次に述べるひび割れ再接続処理により、所定値より短い線(ここではC(4)、C(5))をノイズとして除去した後、離散的な連続線から一続きの曲線をひび割れとして検出する。以下、図23および図24を参照してひび割れ再接続処理の一例について説明する。
<ひび割れ再接続処理>
図23において、ひび割れ検出部703は、ベクトルの長さの閾値を予め指定しておき、閾値より短いベクトルをノイズとして排除した後、ベクトル画像924Cに例示する撮像範囲200aのベクトル画像から端点を有するひび割れの線を選択する(動作931)。以下、選択されたひび割れ線の端点を注目端点という。ここでは、図24における曲線Cが選択され、その端点Pが注目端点となる。
続いてひび割れ検出部703は、ひび割れ線の注目端点から以下の条件a)およびb)を満たす範囲内で他のひび割れ線の端点を探索する(動作932)。
条件a)ひび割れ線の注目端点の線分を延長する側であって注目端点を中心とした指定角度以内であること、言い換えれば注目端点と向かい合う位置関係にあること;および
条件b)ひび割れ線の注目端点から指定距離以内であること。
図24によれば、条件a)および条件b)を満たす探索範囲Rは、曲線Cの端部にある長さLの線分SC0を延長する方向を中心線とし曲線Cの注目端点Pを中心とした角度α以下の範囲(条件a)であり、かつ注目端点Pから線分SC0の長さLのn倍(1以上の実数)の距離(n×L)以内の範囲(条件b)となる。言い換えれば探索範囲Rは、曲線Cの注目端点Pを中心とし、曲線Cの端部にある線分SC0の長さに比例した半径を有する中心角αの扇形状を有する。
ひび割れ検出部703は、上記探索の結果、該当する他のひび割れ線が存在するか否かを判断し(動作933)、注目端点と該当する他のひび割れ線の端点とを接続し、一つのひび割れ線として登録する(動作934)。なお、探索範囲内に複数の他の端点が存在する場合には、注目端点に最も近い距離の他の端点を選択すれば良い。
図24を参照すれば、探索範囲R内には曲線Cの端点Pと曲線Cの端点Pとが存在するので、これら。曲線Cは一部が探索範囲R内に入っているが、その端点Pは探索範囲R内に存在しないので探索対象から除外される。この例では曲線Cの端点Pが曲線Cの端点Pより注目端点Pに近いので、ひび割れ検出部703は注目端点Pを曲線Cの端点Pと接続させ、これらを一つのひび割れ線として登録する。
図23に戻って、他のひび割れ線が存在しない場合(動作933のNO)、あるいは動作934に続いて、未探索の端点の有無が判断される(動作935)。未探索の端点があれば(動作935のYES)、ひび割れ検出部703は探索が完了するまで上記動作931~935を繰り返し、全ての端点の探索が終了すれば(動作935のNO)、ひび割れ再接続処理を終了する。
ひび割れ検出部703は、登録されたひび割れ検出結果をタイル領域の座標と共に診断情報蓄積部704に格納する。こうして撮像範囲200aにおけるひび割れの総合評価を行うことが可能となる。ここでは、図22におけるベクトル画像925に例示するように、複数のタイルにわたる一つのひび割れ線Cを検出することができ、1枚のタイルだけを対象にひび割れを評価した場合に見落としていたひびを抽出することができる。
2.4)効果
上述したように、本発明の第2実施形態によれば、非同期システムであっても第1実施形態と同様にカメラ200の動画像とカメラ位置を示す座標とを対応付けることができ、さらに位置座標に対応したタイル画像からタイル領域を検出して評価することができる。
また、カメラ200の撮像画像に基づく画像診断結果と診断ユニット800による打撃診断結果とが位置座標とともに診断情報蓄積部704に格納されるので、タイル壁面からなる検査対象物10の表面状態を画像と打診により評価することができる。特に、複数のタイルにわたるひびを抽出することで、例えば、検査対象の躯体側のひび割れに起因する長いひび割れを抽出することができ、これにより補修の工法を選定することが容易になる。例えば、タイルだけの補修をするか、下地まで補修するか、という工法を選定することが容易になるという利点がある。
本発明は建物の壁面あるいは床面の状態診断システムに適用可能である。
10 検査対象物
100 状態診断装置
101 インタフェース
102 動画像蓄積部
103 xy移動制御部
104 座標取得部
105 移動検出部
106 移動方向変化検出部
107 画像位置同期部
108 評価部
109 プロセッサ(データ処理部)
200 カメラ
200a 撮像範囲
201 撮像部
202 インタフェース
300 xyアクチュエータ
305 移動部
307 撮像可能範囲
401a 動画像から得られる移動軌跡
401b スキャン座標軌跡
402a、403a 移動方向変化点
402b、403b スキャン折り返し点(座標方向変化点)
701 プロセッサ(データ処理部)
702 タイル領域検出部
703 ひび割れ検出部
704 診断情報蓄積部
705 打診制御部
706 打診評価部
800 診断ユニット

Claims (10)

  1. 検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構と、
    前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと、
    前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得する座標取得部と、
    前記動画像から検査用画像を検出するデータ処理部と、
    を備え、
    前記データ処理部が、
    前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出し、
    前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する検査用画像を検出する、
    ことを特徴とする状態診断システム。
  2. 前記移動方向変化点は、注目画像と前記注目画像より時間的に前後する2つの画像とに含まれる特定画像部分の移動方向が所定角度以上に変化する前記注目画像の時点であることを特徴とする請求項1に記載の状態診断システム。
  3. 前記検査用画像からエッジ部分を抽出し、前記エッジ部分から前記検査対象物のタイル領域を矩形検出アルゴリズムにより抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の状態診断システム。
  4. 前記データ処理部は前記検査用画像から抽出されたタイル領域に基づいて前記検査対象物の表面状態を評価することを特徴とする請求項1-3のいずれか1項に記載の状態診断システム。
  5. 前記データ処理部は前記検査用画像から画像処理により少なくとも一つのタイル領域のひび割れ線を検出することを特徴とする請求項4に記載の状態診断システム。
  6. 前記データ処理部は、第1のひび割れ線の端点と第2のひび割れ線の端点とが所定の距離以内であって所定の角度内の位置関係であれば、これらの端点を接続し、前記第1および第2のひび割れ線を一つのひび割れ線として検出することを特徴とする請求項5に記載の状態診断システム。
  7. 前記移動部に取り付けられた打診ユニットを更に有し、前記打診ユニットは前記検査対象物の表面を打撃し、その打撃音を検査信号として前記データ処理部へ出力することを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の状態診断システム。
  8. 検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構を制御する移動制御部と、
    前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと有線あるいは無線で接続するインタフェースと、
    前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得する座標取得部と、
    前記動画像から検査用画像を検出するデータ処理部と、
    を備え、
    前記データ処理部が、
    前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出し、
    前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する検査用画像を検出する、
    ことを特徴とする状態診断装置。
  9. 検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構を制御する移動制御部と、前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと有線あるいは無線で接続するインタフェースと、を有する状態診断装置における画像の位置特定方法であって、
    座標取得部が前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得し、
    データ処理部が、
    前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出し、
    前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する画像を特定する、
    ことを特徴とする画像の位置特定方法。
  10. 検査対象物の表面に沿って移動部を撮像可能範囲内で移動させる移動機構を制御する移動制御部と、前記移動部に取り付けられ前記検査対象物の表面の動画像を撮像するカメラと有線あるいは無線で接続するインタフェースと、を有する状態診断装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
    前記撮像可能範囲内における前記移動部の位置座標を取得する機能と、
    前記動画像の複数の画像に基づいて前記カメラの移動方向変化点を検出する機能と、
    前記座標取得部から得られる前記移動部の座標方向変化点と前記カメラの移動方向変化点とを対応づけることで前記動画像から所望の位置座標に対応する画像を特定する機能と、
    を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
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