JP2022153289A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動溶着性と塗装性を両立することが可能な熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた成形体を提供すること。【解決手段】ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)と、ポリエステル樹脂(C)と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(C)の含有量は、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部超15質量部未満であり、熱可塑性樹脂組成物のpHは7.5以下である、熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来、熱可塑性樹脂からなる成形体同士を接合する方法として、振動溶着法が知られている。振動溶着法は、摩擦によって成形体の一部を溶融させて接合する方法であり、接着剤を用いたり、成形体を加熱したりする必要がなく、短時間で成形体同士を接合できるという利点を有する。
このような振動溶着法に好適に適用可能な熱可塑性樹脂組成物が種々検討されている。例えば、特許文献1~2では、ゴム状重合体に単量体をグラフト重合させてなるグラフト重合体等を含む熱可塑性樹脂組成物が、振動溶着用として提案されている。
特開2000-302824号公報 特開2004-67841号公報
ところで、振動溶着法に適用される成形体に関して、振動溶着の前又は後にアクリル樹脂塗料等で成形体を塗装して用いることがある。このような用途で用いる場合に、特許文献1、2等の従来の熱可塑性樹脂組成物を適用した場合には、振動溶着性と塗装性の両立が困難であることが本発明者等の検討により明らかになった。
そこで本発明は、振動溶着性と塗装性を両立することが可能な熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた成形体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者等は鋭意検討した結果、以下の[1]~[4]に記載の発明により、上記課題を解決できることを見出した。
[1] ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)と、ポリエステル樹脂(C)と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
ポリエステル樹脂(C)の含有量は、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部超15質量部未満であり、
熱可塑性樹脂組成物のpHは7.5以下である、熱可塑性樹脂組成物。
[2] ポリエステル樹脂(C)がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部以下の表面改質剤を更に含む、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体が、ブタジエン系ゴム質重合体を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5] グラフト共重合体(A)における単量体が更にシアン化ビニル系単量体を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6] 共重合体(B)が、スチレン・アクリロニトリル共重合体、α-メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル・アクリロニトリル・スチレン共重合体及びスチレン・N-フェニルマレイミド・アクリロニトリル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7] 表面改質剤が脂肪酸アマイドである、[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8] 表面改質剤がエチレン・ビスステアリン酸アマイドである、[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9] 振動溶着用である、[1]~[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、振動溶着性と塗装性を両立することが可能な熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた成形体を提供することができる。
振動溶着強度評価方法を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを示し、「(メタ)アクリレート」等の類似の表現についても同様である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と、共重合体(B)と、ポリエステル樹脂(C)とを含有する。
[グラフト共重合体(A)]
グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合してなる。
上記ゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等のブタジエン系ゴム質重合体;エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体等のエチレン-プロピレン系ゴム質重合体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とする(メタ)アクリル系ゴム質重合体;シリコーン系ゴム質重合体;ブタジエン系ゴム質重合体/(メタ)アクリル系ゴム質重合体の複合ゴム質重合体;シリコーン系ゴム質重合体/(メタ)アクリル系ゴム質重合体の複合ゴム質重合体、及び塩素化ポリエチレンゴムなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのゴム質重合体の中で、耐衝撃性と流動性のバランスの観点から、ブタジエン系ゴム質重合体が好ましく、スチレン-ブタジエン共重合体であるゴム質重合体がより好ましい。ブタジエン系ゴム質重合体におけるブタジエン由来の構成単位の含有量は、塗装性をより向上させる観点から、50質量%以上であると好ましく、60質量%以上であるとより好ましく、70質量%以上であると更に好ましい。
ブタジエン系ゴム質重合体は、上記の単量体以外の単量体由来の構成単位、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構成単位を有していてもよい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ブタジエン系ゴム質重合体における芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有量は、それぞれ独立に、例えば30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下とすることができる。ゴム質重合体がこれらの構成単位を含む場合の含有量の下限は特に限定されないが、それぞれ独立に、例えば1質量%以上とすることができる。
ゴム質重合体としては、従来公知の方法で製造されるものを用いることができ、従来公知の方法で平均粒子径を調整したものを用いることもできる。
グラフト重合に供するビニル系単量体は、芳香族ビニル系単量体を含み、更にシアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル等を含んでもよい。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記と同様のものを好適に用いることができる。
上記グラフト重合に用いられる芳香族ビニル系単量体の含有量は、単量体全量を基準として、例えば40~90質量%、好ましくは45~85質量%、より好ましくは50~80質量%とすることができる。上記グラフト重合に用いられるシアン化ビニル系単量体の含有量は、ビニル系単量体全量を基準として、例えば10~40質量%、好ましくは15~35質量%、より好ましくは20~30質量%とすることができる。
グラフト共重合体(A)は、耐衝撃性と流動性のバランスの観点から、上記ゴム質重合体を10~90質量%含むことが好ましく、30~80質量%含むことがより好ましく、40~70質量%含むことが更に好ましい。
グラフト共重合体(A)は、従来公知の方法、例えば乳化重合により、上記ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合させることにより得ることができる。乳化重合の際には、重合開始剤、乳化剤、重合調整剤等を用いてもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t-ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤が挙げられる。
上記乳化剤としては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等が挙げられる。好ましく用いられる乳化剤の具体例としては、オレイン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸又はその塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記重合調整剤としては、例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン等が挙げられる。
また、グラフト共重合体(A)は、従来公知の方法によりパウダー化されていてもよい。パウダー化の方法としては、例えば凝固剤を用いた方法、スプレードライヤーやアトマイザーを用いた方法が挙げられる。
凝固剤としては、例えば硫酸、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。このような凝固剤を用いて、グラフト共重合体のラテックスを凝固した後に、洗浄、脱水等の回収工程を経て、その後乾燥することにより、パウダー化することができる。特に、硫酸等の酸を用いると、グラフト共重合体(A)の樹脂pHを低く調整することができる。
スプレードライヤーやアトマイザーを用いると、グラフト共重合体のラテックスを直接噴霧・乾燥させて、パウダー化することもできる。
[共重合体(B)]
共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる。
芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル単量体としては、上記と同様のものを好適に用いることができる。
上記単量体における芳香族ビニル系単量体の含有量は、単量体全量を基準として、例えば50~95質量%、好ましくは55~90質量%、より好ましくは60~85質量%とすることができる。上記単量体におけるシアン化ビニル単量体の含有量は、単量体全量を基準として、例えば5~50質量%、好ましくは10~45質量%、より好ましくは15~40質量%とすることができる。
上記単量体は、更に(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイミド系単量体を含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、上記と同様のものを好適に用いることができる。マレイミド系単量体としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記単量体が(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/又はマレイミド系単量体を含む場合のその含有量は、それぞれ独立に、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることができる。これらの単量体を含む場合の含有量の下限は特に限定されないが、それぞれ独立に、例えば1質量%以上とすることができる。
共重合体(B)の具体例としては、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、α-メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体(αMS-ACN樹脂)、メタクリル酸メチル・アクリロニトリル・スチレン共重合体(MAS樹脂)、スチレン・N-フェニルマレイミド・アクリロニトリル共重合体(S-A-NPMI樹脂)等が挙げられる。
共重合体(B)は、従来公知の方法、例えば乳化重合により、上記単量体を重合させることにより得ることができる。乳化重合の際には、上記グラフト共重合体(A)の場合と同様に、重合開始剤、乳化剤、重合調整剤等を用いてもよい。共重合体(B)は、上記グラフト共重合体(A)の場合と同様に、パウダー化することもできる。
熱可塑性樹脂組成物における共重合体(B)の含有量は、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計を基準として、例えば40~90質量%、好ましくは45~85質量%、より好ましくは50~80質量%とすることができる。
[ポリエステル樹脂(C)]
ポリエステル樹脂(C)としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂等が挙げられる。振動溶着性と塗装性をより向上させる観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(C)の含有量は、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部超15質量部未満である。ポリエステル樹脂(C)の含有量をこの範囲とすることにより、塗装性を更に向上させることができる。ポリエステル樹脂(C)の含有量は、同様の観点から、1.5質量部超13質量部未満であると好ましく、2質量部超11質量部未満であるとより好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、上述のグラフト共重合体(A)、共重合体(B)及びポリエステル樹脂(C)以外の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、脂肪酸アマイド(例えば、エチレン・ビスステアリン酸アマイド(EBS))等の表面改質剤、二リン酸等の酸性添加剤等が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、塗装性をより向上させる観点から、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部以下の表面改質剤、好ましくは脂肪族アマイド、より好ましくはエチレン・ビスステアリン酸アマイドを含むことが好ましい。表面改質剤の含有量の下限は、特に限定されないが、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、例えば0.01質量部以上とすることができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物のpHは7.5以下である。当該pHが7.5以下であることにより、振動溶着性と塗装性の両立が可能となる。熱可塑性樹脂組成物のpHは、同様の観点から、7.3以下であると好ましく、7.1以下であるとより好ましい。なお、熱可塑性樹脂組成物のpHは、例えば、実施例に記載されている方法で測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物のpHは、例えば、熱可塑性樹脂組成物に二リン酸等の酸性添加剤を添加する方法や、グラフト共重合体(A)や共重合体(B)をパウダー化する際に、硫酸等の酸を添加する方法により調整することができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、バンバリーミキサー、ロールミル、二軸押出機等の公知の装置を用い溶融混練することによりペレット状にて得ることができる。また得られた熱可塑性樹脂組成物には必要に応じて可塑剤、滑剤、難燃剤、顔料、充填剤、繊維強化剤等を適宜配合することが可能である。またこのようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出し成形、圧縮成形、射出圧縮成形、ブロー成形等により成形することができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、成形した際の振動溶着性及び塗装性に優れることから、振動溶着用及び/又は被塗装用の用途に好適に用いることができる。具体的には、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、車両外装部品であるスポイラー等の用途に好適に用いることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す%は質量に基づくものである。
[グラフト共重合体(A-1)パウダー]
ガラスリアクターに、スチレン-ブタジエンゴムラテックス(スチレン5%、ブタジエン95%、質量平均粒子径440nm)を固形分換算で60質量部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し65℃に到達したところで、ブドウ糖0.06質量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03質量部及び硫酸第1鉄0.001質量部を脱イオン水10質量部に溶解した水溶液を添加した後に、70℃に昇温した。その後、アクリロニトリル10質量部、スチレン30質量部、ターシャリ-ドデシルメルカプタン0.3部、t-ブチルハイドロパーオキサイド0.1質量部の混合液及びオレイン酸カリウム1.0質量部(固形分換算)を脱イオン水20質量部に溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体(A-1)ラテックスを得た。その後、得られたグラフト共重合体(A-1)ラテックスを硫酸マグネシウム及び硫酸を含む水溶液に添加し、凝固、脱水、乾燥させることでグラフト共重合体(A-1)パウダーを得た。
得られたグラフト共重合体(A-1)パウダーのグラフト率は42%、アセトン可溶部の還元粘度は0.28dl/gであった。
なお、実施例中、グラフト共重合体パウダー等のグラフト率、アセトン可溶部の還元粘度、及び上記スチレン-ブタジエンゴムラテックスの質量平均粒子径は下記のように求めた。
<グラフト率>
グラフト率(%)=(X―Y)/Y×100
X:グラフト重合後の共重合体のアセトン不溶分の質量
Y:グラフト重合後の共重合体中のゴム質重合体の質量
<アセトン可溶部の還元粘度>
グラフト重合後の重合体のアセトン可溶分を乾燥後、N,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求めた。
<スチレン-ブタジエンゴムラテックスの質量平均粒子径>
四酸化オスミウム(OsO)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製IP-1000PC)を用いて800個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、質量平均粒子径を算出した。
[グラフト共重合体(A-2)パウダー]
上述のグラフト共重合体(A-1)ラテックスを、硫酸マグネシウムを含む水溶液に添加し、凝固、脱水、乾燥させることでグラフト共重合体(A-2)パウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A-2)パウダーのグラフト率は42%、アセトン可溶部の還元粘度は0.28dl/gであった。
[AS樹脂(B-1)ペレット]
公知の塊状重合法により、スチレン75質量部、アクリロニトリル25質量部からなるAS樹脂(B-1)ペレットを得た。得られたAS樹脂(B-1)ペレットの還元粘度は0.45dl/gであった。
[AS樹脂(B-2)パウダー]
ガラスリアクターに脱イオン水120質量部を添加した後、窒素置換を行った。その後、反応器を60℃に昇温し、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3質量部を溶解した3%水溶液を添加した。その後、スチレン75質量部、アクリロニトリル25質量部、ターシャリ-ドデシルメルカプタン0.07質量部からなる混合液とオレイン酸カリウム1.5質量部(固形分換算)を溶解した5%水溶液とを60℃で4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してAS樹脂(B-2)ラテックスを得た。その後、得られたAS樹脂(B-2)ラテックスを、硫酸マグネシウムを含む水溶液に添加し、凝固、脱水、乾燥させることでAS樹脂(B-2)パウダーを得た。アセトン可溶部の還元粘度は、1.2dl/gであった。
[AMS樹脂(B-3)パウダー]
ガラスリアクターに脱イオン水150質量部とロジン酸ナトリウム0.7質量部(固形分換算)を仕込み、撹拌を開始し、窒素置換を行った。窒素置換後、アクリロニトリル4.2質量部、α-メチルスチレン10.8質量部、ターシャリ-ドデシルメルカプタン0.08質量部を仕込み槽内を昇温し65℃に到達したところで、脱イオン水10質量部に過硫酸カリウム0.2質量部を溶解した水溶液を添加した。その後、槽内温度を1時間かけて70℃に到達させた時点でアクリロニトリル23.8質量部、α-メチルスチレン61.2質量部、ターシャリ-ドデシルメルカプタン0.46質量部からなる混合物及びロジン酸ナトリウム1.5質量部(固形分換算)を4.5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、4.5時間保持してAMS樹脂(B-3)ラテックスを得た。その後、得られたAMS樹脂(B-3)ラテックスを、硫酸マグネシウムを含む水溶液に添加し、凝固、脱水、乾燥させることでAMS樹脂(B-3)パウダーを得た。アセトン可溶部の還元粘度は、0.47dl/gであった。
[PBT樹脂(C)]
・ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製 商品名「ノバデュラン5020」)
[その他添加剤]
・二リン酸:富士フイルム和光純薬(株)製
・エチレン・ビスステアリン酸アマイド(EBS):花王(株)製 カオーワックス EB-FF
(実施例1~4、比較例1~5)
各材料を表1に記載の配合割合(単位:質量部)で混合した後、シリンダ温度250℃に設定したφ26mmの2軸押出機にて主スクリュー回転数400rpm、吐出量20kg/hrの条件で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを以下に示す方法で評価した。その結果を表1に示す。
<熱可塑性樹脂組成物(ペレット)のpH>
(1)100ml三角フラスコに、各実施例及び比較例で得られたペレット1gと1級テトラヒドロフラン(安定剤含有)40mlを加え、24時間静置させた。
(2)200mlビーカーに1級メタノール40mlを加え、マグネチックスターラーで撹拌させる。そこに(1)で得られた試料を加え、さらに純水40mlを加えて撹拌させる。
(3)(2)で得られた試料をJIS Z-8802に準拠してpHを測定した。pHの測定には、卓上型電気伝導率計(東亜DKK(株)製 CM-25R)を用いた。
<メルトボリュームフローレイト(MVR)>
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法1133に準拠して、220℃、98.07N荷重の条件でメルトボリュームフローレイト(単位:cm/10分)を測定した。
<シャルピー衝撃強度(NC)>
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、ISO試験方法179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値(単位:kJ/m)を測定した。
<荷重たわみ温度(HDT)>
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、ISO75に準拠し、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度(単位:℃)を測定した。
<吸い込み評価>
各実施例及び比較例で得られたペレットを、それぞれ射出成形機((株)日本製鋼所製「J-180ADS」)を用いて射出成形した。塗装評価用金型として、(縦150mm×横90mm×厚さ2mm)を用いて、シリンダ温度200℃、金型温度15℃、射出速度は50mm/sの成形条件で成形を行った。得られた試験片にアクリル樹脂塗料を塗装し、成形品に現れる吸い込み現象を目視にて観察し、下記基準で塗装性(吸い込み性)を判定した。
OK:成形品表面に凹凸は全く発生せず、非常に優れている。
NG:成形品表面に凹凸が全体に発生し、実用レベルに達していない。
<振動溶着性評価>
各実施例及び比較例で得られたペレットを、それぞれ射出成形機((株)日本製鋼所製「J-180ADS」)を用いて射出成形した縦50mm×横90mm×厚さ2.5mmの塗装評価用金型を用いて、シリンダ温度235℃、金型温度50℃、射出速度は20mm/sの成形条件で成形し、縦50mm×横90mm×厚み2.5mmの成形体を2つ準備した。
図1(A)に示すように、2つの成形体1A及び1Bを、横90mm×厚み2.5mmの面(溶着面2)が互いに向き合うように振動溶着機にセットし、これらの面同士を加圧0.25MPa、振幅0.45mm、溶け代0.5mmの条件で振動溶着させた。図1(B)に示すように、得られた振動溶着試験片1Cを溶着面2に対して垂直方向に二等分されるように切削するとともに、当該切削面から20mmの幅で切削し、縦100mm×横20mm×厚み2.5mmの試験片を作製した。
得られた試験片を試験速度1mm/minで引っ張り試験を行い、破断するまでに要した応力を測定し、振動溶着強度を判定した。
OK:破断点応力が15MPa以上
NG:破断点応力が15MPa未満
Figure 2022153289000001
1A,1B…成形体、1C…振動溶着試験片、2…溶着面。

Claims (5)

  1. ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)と、ポリエステル樹脂(C)と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    ポリエステル樹脂(C)の含有量は、グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部超15質量部未満であり、
    熱可塑性樹脂組成物のpHは7.5以下である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリエステル樹脂(C)がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の合計100質量部に対して、1質量部以下の表面改質剤を更に含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 振動溶着用である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
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