JP2022151305A - 封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置 - Google Patents

封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022151305A
JP2022151305A JP2021054314A JP2021054314A JP2022151305A JP 2022151305 A JP2022151305 A JP 2022151305A JP 2021054314 A JP2021054314 A JP 2021054314A JP 2021054314 A JP2021054314 A JP 2021054314A JP 2022151305 A JP2022151305 A JP 2022151305A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactive compound
resin composition
composition
sealing
thermoplastic polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021054314A
Other languages
English (en)
Inventor
和人 小川
Kazuto Ogawa
絵美 岩谷
Emi Iwatani
剛 島田
Takeshi Shimada
央之 藤原
Hisayuaki Fujiwara
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2021054314A priority Critical patent/JP2022151305A/ja
Publication of JP2022151305A publication Critical patent/JP2022151305A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

Figure 2022151305000001
【課題】半導体素子を封止する封止材を作製するために使用でき、封止材の低弾性率化及び低線膨張係数化を実現しやすい封止用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】封止用樹脂組成物は、樹脂成分(A)と、無機充填材(B)とを含有する。樹脂成分(A)は、反応性化合物(p)と、反応性化合物(p)と熱硬化反応性を有する重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)と、熱可塑性ポリマー(r)とを含有する。樹脂成分(A)を熱硬化させた場合に得られる硬化物は、熱可塑性ポリマー(r)を含むマトリクスと、マトリクス中に分散する反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応生成物を含む分散相とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置に関し、詳しくは半導体装置における封止材を作製するために使用可能な封止用樹脂組成物、この封止用樹脂組成物の製造方法及びこの封止用樹脂組成物の硬化物を含む封止材を備える半導体装置に関する。
従来、トランジスタ、IC等の半導体素子の封止に関し、生産性向上、コスト低減等の観点から樹脂封止が行われている。樹脂封止は、例えばエポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、無機充填材などを含有する封止用樹脂組成物を成形して封止材を作製することにより行われている(特許文献1参照)。特許文献1には、封止用樹脂組成物に、低応力化剤としてシリコーンエラストマー等を含有させることも開示されている。低応力化剤によって封止材の弾性率を低めることで、封止材の変形及び破損等が抑制される。
特開2018-16735号公報
近年、車載用の半導体装置などの過酷な環境下で使用される半導体装置には、振動や高温に耐えうる高い信頼性が求められている。そのため、封止材に衝撃、熱膨張、熱収縮などによる変形及び破損が生じにくいように、封止材の更なる低弾性率化及び低線膨張係数化が要求される。
本発明の課題は、半導体素子を封止する封止材を作製するために使用でき、封止材の低弾性率化及び低線膨張係数化を実現しやすい封止用樹脂組成物、この封止用樹脂組成物の製造方法及びこの封止用樹脂組成物から作製された封止材を備える半導体装置を、提供することである。
本発明の一態様に係る封止用樹脂組成物は、樹脂成分(A)と、無機充填材(B)とを含有する。前記樹脂成分(A)は、反応性化合物(p)と、前記反応性化合物(p)と熱硬化反応性を有する重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)と、熱可塑性ポリマー(r)とを含有する。前記樹脂成分(A)を熱硬化させた場合に得られる硬化物は、熱可塑性ポリマー(r)を含むマトリクスと、前記マトリクス中に分散する前記反応性化合物(p)と前記反応性化合物(q)との反応生成物を含む分散相とを備える。
本発明の一態様に係る封止用樹脂組成物の製造方法は、反応性化合物(p)と、前記反応性化合物(p)と熱硬化反応性を有する重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)との混合物を混練した混練物(C)と、無機充填材(B)とを混合することを含む。
本発明の一態様に係る半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子を封止する封止材とを備える。前記封止材は、前記封止用樹脂組成物の硬化物である。
本発明の一態様によると、半導体素子を封止する封止材を作製するために使用でき、封止材の低弾性率化及び低線膨張係数化を実現しやすい封止用樹脂組成物、及びこの封止用樹脂組成物の製造方法、及びこの封止用樹脂組成物から作製された封止材を備える半導体装置を、提供できる。
図1は、本発明の一実施形態における半導体装置の概略の断面図である。 図2は、実施例1の組成物から作製されたサンプルの走査型電子顕微鏡画像である。 図3は、実施例2の組成物から作製されたサンプルの走査型電子顕微鏡画像である。 図4は、実施例3の組成物から作製されたサンプルの走査型電子顕微鏡画像である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、樹脂成分(A)と、無機充填材(B)とを含有する。樹脂成分(A)は、反応性化合物(p)と、この反応性化合物(p)と熱硬化反応性を有する重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)と、熱可塑性ポリマー(r)とを含有する。樹脂成分(A)を熱硬化させた場合に得られる硬化物は、熱可塑性ポリマー(r)を含むマトリクスと、マトリクス中に分散する反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応生成物を含む分散相とを備える。すなわち、樹脂成分(A)の硬化物は、いわゆる海島構造を有する。例えば樹脂成分(A)の硬化物の断面を走査型電子顕微鏡で500倍以上の倍率で撮影した画像から、断面が均一ではなくマトリクスと分散相との存在が確認できれば、樹脂成分(A)の硬化物はマトリクスと分散相とを有すると判断できる。
本実施形態によると、組成物(X)を熱硬化させて得られる硬化物は、低い弾性率及び低い線膨張係数を有しやすい。このため、組成物(X)から半導体装置における封止材を作製すると、封止材の低弾性率化及び低線膨張係数化を実現しやすい。
組成物(X)を製造する場合は、反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とを混練した混練物(C)を用意し、反応性化合物(p)と、混練物(C)と、無機充填材(B)とを混合することが好ましい。この方法により組成物(X)を製造すると、樹脂成分(A)の硬化物が上記のマトリクスと分散相とを有する構造を有しやすい。
組成物(X)の組成について、更に詳しく説明する。
組成物(X)に含まれる成分(構成成分)について説明する。
上記のとおり、組成物(X)は、樹脂成分(A)と無機充填材(B)とを含有する。樹脂成分(A)は、組成物(X)中の無機充填材(B)を除く成分である。
樹脂成分(A)は、反応性化合物(p)と、反応性化合物(q)と、熱可塑性ポリマー(r)とを含有する。
反応性化合物(p)と反応性化合物(q)とは、加熱されることで反応して硬化する。例えば反応性化合物(p)と反応性化合物(q)とのうち一方が熱硬化性樹脂であり、他方が硬化剤である。
なお、反応性化合物(p)と反応性化合物(q)とが加熱されることで反応して硬化するのであれば、反応性化合物(p)と反応性化合物(q)の各々に含まれる化合物は上記のみには限られない。
上述のとおり、反応性化合物(q)の重量平均分子量は1000以下である。この場合、樹脂成分(A)の硬化物が上記のマトリクスと分散相とを備える構造を有しやすい。特に、組成物(X)の製造の際に反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)との混練物(C)を使用する場合には、混練物(C)の流動開始温度が低減しやすくなり、そのため混練物(C)と反応性化合物(p)とを混練しやすい。この点については、後に詳しく説明する。なお、本実施形態において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて得られた測定結果から、標準ポリスチレンによる検量線を用いて得られた値とする。また、高化式フローテスターを用いて昇温法で混練物(C)の測定を行い、プランジャー変位が安定値から1mm変化した時の温度を流動開始温度とする。
熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びマレイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するのであれば、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれを含んでもよい。
エポキシ樹脂は、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、オレフィン酸化型(脂環式)エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。より具体的には、エポキシ樹脂は、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のアルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ビスフェノールA型ブロム含有エポキシ樹脂等のブロム含有エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタンやイソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;並びにフタル酸やダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上の成分を含有する。
硬化剤は、例えばフェノール化合物を含有する。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びマレイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含有する場合、硬化剤がフェノール化合物を含有すれば、熱硬化性樹脂と硬化剤とが熱硬化反応しうる。なお、硬化剤は、熱硬化性樹脂と熱硬化反応するならば、フェノール化合物には限らない。例えば熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含有する場合、硬化剤は例えばフェノール化合物、酸無水物、イミダゾール化合物及びアミン化合物のうち少なくとも一種の成分を含有できる。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含有し、かつ硬化剤がフェノール化合物を含有するならば、封止材は、半導体装置におけるリードフレームなどの金属部分との高い密着性を有することができる。
フェノール化合物は、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;フェニレン骨格又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂;フェニレン骨格又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;トリフェノールメタン型樹脂等の多官能型フェノール樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール型樹脂;並びにトリアジン変性ノボラック樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂1当量に対し、硬化剤は0.5~1.5当量の範囲内であることが好ましい。硬化剤が1.5当量以下であれば、組成物(X)の良好な硬化性と、封止材の良好な耐熱性及び強度とが、実現できる。硬化剤が0.5当量以上であれば、封止材62が、金属部分との間の特に高い密着性と、特に高い耐湿性とを有することができる。硬化剤が0.6~1.4当量の範囲内であれば、より好ましい。
反応性化合物(q)が結晶性を有することが好ましい。この場合、樹脂成分(A)の硬化物が上記のマトリクスと分散相とを備える構造を更に有しやすい。特に、組成物(X)の製造時に反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)との混練物(C)を使用する場合には、混練物(C)の流動開始温度が特に低減しやすくなり、かつ混練物(C)の流動性が特に高まりやすい。
反応性化合物(q)が結晶性を有する場合、反応性化合物(q)の融点は、100℃以上250℃以下であることが好ましい。この場合、反応性化合物(q)は、フェニル基や、ナフチル基など芳香族基を有していることが好ましい。この場合、樹脂成分(A)の硬化物が上記のマトリクスと分散相とを備える構造を特に有しやすく、組成物(X)は良好な成形性を有しやすく、また組成物(X)の硬化物の低弾性率化及び低線膨張係数化が特に実現されやすい。すなわち、この融点が100℃以上であることで混練により混練物(C)を容易に調製することができ、250℃以下であることで組成物(X)での反応性化合物(q)の融け残りを起こりにくくできる。これにより、組成物(X)の均質性を高めることができる。融点は、120℃以上230℃以下であればより好ましく、150℃以上230℃以下であれば更に好ましい。なお、融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて得られるDSC曲線に融解ピークが現れる温度である。
反応性化合物(q)が熱硬化性樹脂であり、かつ結晶性を有する場合は、反応性化合物(q)は例えば結晶性エポキシ樹脂である。反応性化合物(q)が硬化剤であり、かつ結晶性を有する場合は、反応性化合物(q)は例えば結晶性フェノール化合物である。
反応性化合物(q)が結晶性エポキシ樹脂を含有する場合、結晶性エポキシ樹脂は、例えばビフェニル型エポキシ樹脂(例えば三菱化学株式会社製のYX4000H及びYL6121H)、疑似アントラセン骨格含有2官能エポキシ樹脂(例えば三菱化学株式会社のYX8800H及びYX8800UH)、チオエーテル構造含有2官能エポキシ樹脂(例えば新日鉄化学株式会社製のYSLV-120-TE及びYSLV-50-TE)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例えば新日鉄化学株式会社製のYSLV-80XY及びYSLV-70XY)、アントラキノン型2官能エポキシ樹脂(例えば新日鉄化学株式会社製のYDC-1312)、フルオレン型2官能エポキシ樹脂(例えば大阪ガスケミカル株式会社のOGSOL PG-100またはPG-500)、イミド骨格含有2官能エポキシ樹脂(例えば日本化薬工業株式会社のWHR-991S)、及びナフタレン骨格含有多官能エポキシ樹脂(例えばDIC株式会社のEXA470シリーズ)よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
反応性化合物(q)が結晶性フェノール化合物を含有する場合、結晶性フェノール化合物は、例えば、本州化学工業株式会社製のBisP-AP、TrisP-AP、及び株式会社プリンテック社製TP-VG100等である。
熱可塑性ポリマー(r)は、例えばポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一種の熱可塑性エラストマーを含有する。なお、熱可塑性ポリマー(r)は、前記のみには制限されない。
熱可塑性ポリマー(r)の重量平均分子量は10000以上200000以下であることが好ましい。この場合、樹脂成分(A)の硬化物が上記のマトリクスと分散相とを備える構造を有しやすく、かつ組成物(X)の硬化物の低弾性率化及び低線膨張係数化が特に実現されやすい。すなわち、重量平均分子量10000以上であることで相分離構造を形成しやすくでき、200000以下であることで樹脂成分(A)の粘度上昇を抑制することができる。重量平均分子量は、20000以上150000以下であればより好ましく、25000以上100000以下であれば更に好ましい。
熱可塑性ポリマー(r)の割合は、反応性化合物(q)に対して20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。この割合が20質量%以上であると反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とがお互いが部分相溶しやすくなるため、特に混練物(C)を調製する場合に混練物(C)の融点降下現象が発生しやすく、そのため組成物(X)を調製する際に原料を加熱混練しやすくなる。また、この割合が80質量%以下であると組成物(X)の粘度上昇を抑制することができる。この割合は30質量%以上70質量%以下であればより好ましく、40質量%以上60質量%以下であれば更に好ましい。
無機充填材(B)は、例えば溶融球状シリカ等の溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ及び窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。無機充填材(B)は、封止材62の線膨張係数を低めることができる。無機充填材(B)が溶融シリカを含有することが好ましい。この場合、組成物(X)中の無機充填材(B)の高い充填性と、成形時の組成物(X)の高い流動性とが得られる。無機充填材(B)がアルミナ、結晶シリカ及び窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することも好ましく、この場合、封止材62の高い熱伝導性が得られる。
無機充填材(B)の平均粒径は例えば0.2μm以上70μm以下であり、好ましくは0.5μm以上20μm以下である。この場合、組成物(X)は成形時に特に良好な流動性を有することができる。なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定値から算出される体積基準のメディアン径であり、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定できる。無機充填材(B)は、成形時の組成物(X)の粘度、封止材62の物性等の調整のために、平均粒径の異なる二種以上の成分を含有してもよい。
無機充填材(B)の割合は、組成物(X)の全体に対して60質量%以上93質量%以下であることが好ましい。無機充填材(B)の割合が60質量%以上であれば封止材62の線膨張係数を特に低めやすい。無機充填材(B)の割合が93質量%以下であれば、成形時の組成物(X)の良好な流動性が確保されやすい。
樹脂成分(A)は、本実施形態の効果を損なわない範囲内において、上記以外の適宜の添加剤を含有してもよい。例えば樹脂成分(A)は、硬化促進剤、カップリング剤、イオントラップ剤、離型剤、難燃剤、着色剤等からなる群から選択される少なくとも一種の添加剤を含有してよい。
硬化促進剤は、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン類;2-(ジメルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンとパラベンゾキノンの付加反応物、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;ボレート以外の対アニオンを持つ4級ホスホニウム塩;並びに2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。
硬化促進剤の割合は、組成物(X)の全体に対して、0.001質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。
カップリング剤は、無機充填材(B)と樹脂成分(A)との親和性向上及び金属部分に対する封止材62の密着性向上に寄与できる。
カップリング剤は、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、及びアルミニウム/ジルコニウムカップリング剤からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。シランカップリング剤は、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のグリシドキシシラン;N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;アルキルシラン;ウレイドシラン;並びにビニルシランからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
カップリング剤の割合は、無機充填材(B)とカップリング剤の合計量に対して0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。この場合、封止材62と金属部分との密着性が特に高くなる。
組成物(X)の製造方法について、詳しく説明する。
上記の組成物(X)の構成成分を混合することで、組成物(X)を調製できる。この場合、例えば構成成分をミキサー、ブレンダーなどで十分均一になるまで混合し、続いて熱ロールやニーダーなどの混練機により加熱しながら混練してから、室温に冷却する。
特に本実施形態では、上記のとおり、反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とを混練した混練物(C)を用意し、反応性化合物(p)と、混練物(C)と、無機充填材(B)とを混合することが好ましい。
反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とを混練する際には、反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とを混合してから、加熱しながら混練することが好ましい。反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とは熱硬化反応を生じないため、加熱しても硬化反応を生じさせることなく、反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とを十分に混練できる。混練時の加熱温度は、反応性化合物(q)の流動開始温度と熱可塑性ポリマー(r)の流動開始温度とのうち高い数値以上であることが好ましい。この加熱温度は反応性化合物(q)及び熱可塑性ポリマー(r)の種類にもよるが、例えば150℃以上250℃以下である。
このように混練物(C)を作製すると、混練物(C)は、重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)を含有することで、熱可塑性ポリマー(r)のみと比べると、流動開始温度が低く、かつ流動開始温度以上での流動性が高くなる。例えば流動開始温度が50℃以上150℃以下になることも実現されうる。反応性化合物(q)が結晶性を有する場合には、混練物(C)の流動性が特に高くなりやすい。
この混練物(C)を、混練物(C)以外の構成成分、すなわち反応性化合物(p)及び無機充填材(B)、並びに必要に応じて使用される適宜の添加物と混合する。混練物(C)以外の構成成分は、一度に全部混合してもよいし、分割して混合してもよい。
混練物(C)と反応性化合物(p)とを混合する場合には、混練物(C)と反応性化合物(p)とを混合してから、加熱しながら混練することが好ましい。この場合、混練物(C)と反応性化合物(p)とが十分に混合しやすい。このときの加熱温度は、混練物(C)の流動開始温度以上であり、かつ反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応開始温度よりも低いことが好ましい。上記のとおり、混練物(C)の流動開始温度は熱可塑性ポリマー(r)の流動開始温度よりも低くなっているため、熱可塑性ポリマー(r)の流動開始温度が反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応開始温度よりも高くても、加熱混練によって反応性化合物(p)と混練物(C)とを十分に混合させやすい。加熱温度は、事情に応じて適宜設定されるが、例えば90℃以上150℃以下である。
上記の方法で調製された組成物(X)を粉砕することで、粉体状の組成物(X)を製造してもよい。また、粉体状の組成物(X)を打錠することでタブレット状の組成物(X)を製造してもよい。これら以外にも、組成物(X)は適宜の形状を有してよい。本実施形態に係る組成物(X)は25℃で固体であることが好ましい。
上記のとおり、組成物(X)中の樹脂成分(A)を熱硬化させた場合に得られる硬化物は、熱可塑性ポリマー(r)を含むマトリクスと、マトリクス中に分散する反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応生成物を含む分散相とを備える。
樹脂成分(A)の硬化物は、例えば樹脂成分(A)の構成成分のみを加熱しながら混練して樹脂成分(A)の構成成分のみ含有する組成物を調製し、この組成物を熱硬化させることで得られる。また、樹脂成分(A)の硬化物は、組成物(X)から無機充填材(B)を除くことで樹脂成分(A)のみを含有する組成物を調製し、この組成物を熱硬化させることで得られてもよい。樹脂成分(A)のみを含有する組成物を熱硬化させる方法の具体例は、実施例の欄において説明する。組成物を熱硬化させる際の加熱時間等の成形条件は、組成物が十分に硬化する条件であればよいが、例えば130℃以上180℃以下が好ましい。この硬化物を切断して、断面を電子顕微鏡で観察することで、上記のマトリクス及び分散相の存在を確認できる。
このような特性を有する組成物(X)は、上記説明した組成及び方法によって製造できる。本実施形態では、反応性化合物(p)と混練物(C)と無機充填材(B)とを混合すること、特に反応性化合物(p)と混練物(C)とを加熱しながら混練することを含む方法により組成物(X)を製造すると、樹脂成分(A)の硬化物が上記のマトリクスと分散相とを有しやすい。その理由は次のとおりと推察される。
まず混練物(C)を作製してから、混練物(C)と混練物(C)以外の構成成分とを混合すると、既に説明したとおり、混練物(C)の流動開始温度は熱可塑性ポリマー(r)の流動開始温度よりも低いため、組成物(X)中に熱可塑性ポリマー(r)を十分に混合しやすい。このため、組成物(X)中の樹脂成分(A)で、混練物中に反応性化合物(p)が分散した構造が形成されやすい。この樹脂成分(A)が加熱されて硬化すると、混練物中の反応性化合物(q)が反応性化合物(p)と反応することで、混練物中の反応性化合物(q)が消費され、これにより熱可塑性ポリマー(r)を含むマトリクスが形成される。また、反応性化合物(p)は反応性化合物(q)と結びついて、反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応生成物が生成し、これが分散相を形成する。これにより、樹脂成分(A)の硬化物がマトリクスと分散相とを有すると考えられる。
このように樹脂成分(A)の硬化物がマトリクスと分散相とを有すると、組成物(X)の硬化物中で熱可塑性ポリマー(r)が微細に分散できる。これにより、組成物(X)から作製される封止材の低弾性率化及び低線膨張係数化が実現できると考えられる。
樹脂成分(A)の硬化物における分散相の平均長径は5nm以上1000nm以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の硬化物中に反応性化合物(p)と反応性化合物(q)との反応生成物と熱可塑性ポリマー(r)とが特に微細に分散することができ、これにより、封止材の低弾性率化及び低線膨張係数化が特に実現されやすくなる。この平均長径は500nm以下であればより好ましく、100nm以下であれば更に好ましい。
樹脂成分(A)の硬化物におけるマトリクス及び分散相の存在を確認する方法、及び分散相の平均長径を求める方法の詳細は、実施例の欄で説明する。
組成物(X)の硬化物の弾性率は、10GPa以下あることが好ましく、5GPa以下であればより好ましく、4GPa以下であれば更に好ましい。また、組成物(X)の硬化物の線膨張係数は、10ppm/℃以下であることが好ましい。この弾性率及び線膨張係数の測定方法は、実施例の欄で詳しく説明する。また、組成物(X)の流動性を評価する方法は、実施例において説明する。
組成物(X)から作製された封止材62を備える半導体装置1、及びその製造方法の例について説明する。
半導体装置1は、例えばMini、Dパック、D2パック、To22O、To3P、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)といった、挿入型パッケージ、又はクワッド・フラット・パッケージ(QFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、プラスチック・ボール・グリッド・アレイ(PBGA)、ファインピッチ・ボール・グリッド・アレイ(FBGA(、ウェハー・レベル・パッケージ(WLP)、パネル・レベル・パッケージ(PLP)、ファン・アウト・ウェハー・レベル・パッケージ(FO-WLP)ファン・アウト・パネル・レベル・パッケージ(FO-PLP)、といった、表面実装型のパッケージである。
図1に、本実施形態における半導体装置1の断面図を示す。この半導体装置1は、金属製のリードフレーム52と、リードフレーム52に搭載されている半導体素子50と、半導体素子50とリードフレーム52とを電気的に接続するワイヤ56と、半導体素子50を封止する封止材62とを備える。
本実施形態では、リードフレーム52は、ダイパッド58、インナーリード521及びアウターリード522を備える。リードフレーム52は、例えば銅製又は42アロイなどの鉄合金製である。リードフレーム52は、銅製又は42アロイなどの鉄合金製の主体53と、主体53を覆うメッキ層54とを備えることが好ましい。この場合、リードフレーム52の腐食が抑制される。メッキ層54は、銀、ニッケル及びパラジウムのうち少なくとも一種の成分を含むことが好ましい。メッキ層54は、銀、ニッケル及びパラジウムのうちいずれか一種の金属のみを含んでもよく、銀、ニッケル及びパラジウムのうち少なくとも一種の金属を含む合金を含んでもよい。メッキ層54が積層構造を有してもよく、具体的には例えばパラジウム層、ニッケル層及び金層からなる積層構造を有してもよい。メッキ層54の厚みは例えば1~20μmの範囲内であるが、特にこれに制限されない。
リードフレーム52のダイパッド58上に半導体素子50を適宜のダイボンド材60で固定する。これによりリードフレーム52に半導体素子50を搭載する。半導体素子50は、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード又は固体撮像素子である。半導体素子50は、SiC、GaN等の新規のパワーデバイスであってもよい。
続いて、半導体素子50とリードフレーム52におけるインナーリード521とを、ワイヤ56で接続する。ワイヤ56は、金製でもよいが、銅と銀のうち少なくとも一方を含んでもよい。例えばワイヤ56は銀製又は銅製でもよい。ワイヤ56が銅と銀のうち少なくとも一方を含む場合、ワイヤ56はパラジウムなどの金属の薄膜でコートされていてもよい。
続いて、組成物(X)を成形することで、半導体素子50を封止する封止材62を形成する。封止材62はワイヤ56も封止している。封止材62はダイパッド58及びインナーリード521も封止し、そのため封止材62は、リードフレーム52と接しており、リードフレーム52がメッキ層54を備える場合はメッキ層54と接している。
封止用組成物を加圧成形法で成形することで封止材62を作製することが好ましい。加圧成形法は、例えば射出成形法、トランスファ成形法又は圧縮成形法である。
封止用組成物を加圧成形法で成形する条件は、封止用組成物の組成に応じて適宜設定される。例えば封止用組成物が熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を、硬化剤としてフェノール化合物を含有する場合、組成物(X)を加圧成形法で成形する際の成形圧力は例えば3.0MPa以上であり、成形温度は120℃以上である。
特にトランスファ成形法の場合は、金型への組成物(X)の注入圧力は例えば3MPa以上であり、4MPa以上710MPa以下あれば好ましい。また、加熱温度(金型温度)は120℃以上であることが好ましく、160℃以上190℃以下であれば更に好ましい。また、加熱時間は例えば30秒以上300秒以下であり、60秒以上180秒以下であれば更に好ましい。
トランスファ成形法では、金型内で封止材62を作製した後、金型を閉じたままで封止材62を加熱することにより後硬化(ポストキュア)を行ってから、金型を開いて半導体装置1を取り出すことが好ましい。後硬化のための加熱条件は、例えば加熱時間が160℃以上190℃以下、加熱時間が2時間以上8時間以下である。
以下に、実施例により本実施形態の効果を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
1.組成物の調製
組成物の構成成分として下記の原料を用意した。
-エポキシ樹脂1:疑似アントラセン型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、品番YX8800UH。
-エポキシ樹脂2:特殊多官能型エポキシ樹脂、株式会社プリンテック製、品名TECHMORE VG3101L。
-混練物1:ポリエステル系熱可塑性エラストマー(ユニチカ株式会社製、品番UE-3400、流動開始温度40℃)とフェノール化合物(結晶性を有する化合物。プリンテック製。品名TP-VG100。重量平均分子量1000以下、融点230℃)とを、1:1の質量比で混合し、加熱温度150℃の条件で加熱混練して得られた混練物。混練物の流動開始温度65℃。
-混練物2:ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー(エムテック化学社製、品名PDパウダー、流動開始温度90℃)とフェノール化合物(結晶性を有する化合物。プリンテック社製、品名TP-VG100。重量平均分子量1000以下、融点230℃)とを、1:1の質量比で混合し、加熱温度150℃の条件で加熱混練して得られた混練物。混練物の流動開始温度93℃。
-混練物3:アクリル系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレ製、品番LA2140とフェノール化合物(結晶性を有する化合物。プリンテック社製、品名TP-VG100。重量平均分子量1000以下、融点230℃)とを、1:1の質量比で混合し、200℃の条件で加熱混練して得られた混練物。混練物の流動開始温度80℃。
-混練物4:ポリエステル系熱可塑性エラストマー(ユニチカ株式会社製、品番UE-3400、流動開始温度40℃)とフェノール化合物(結晶性を有する化合物。本州化学工業株式会社製。品名BiSP-AP。重量平均分子量1000以下、融点190℃)とを、1:1の質量比で混合し、加熱温度150℃の条件で加熱混練して得られた混練物。混練物の流動開始温度62℃。
-混練物5:ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー(エムテック化学社製、品名PDパウダー、流動開始温度90℃)とフェノール化合物(結晶性を有する化合物。本州化学工業株式会社製。品名BiSP-AP。重量平均分子量1000以下、融点190℃)とを、1:1の質量比で混合し、加熱温度150℃の条件で加熱混練して得られた混練物。混練物の流動開始温度90℃。
-混練物6:アクリル系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレ製、品番LA2140)とフェノール化合物(結晶性を有する化合物。本州化学工業株式会社製。品名BiSP-AP。重量平均分子量1000以下、融点190℃)とを、1:1の質量比で混合し、200℃の条件で加熱混練して得られた混練物。混練物の流動開始温度80℃。
-フェノール化合物1:結晶性を有する化合物。プリンテック社製、品名TP-VG100。重量平均分子量1000以下、融点87℃。
-シリコーンエラストマー:ダウ・東レ株式会社製、品番EP2601。
-PMMAコアシェルゴム:三菱レーヨン社製、品番J-5800。
-PSQパウダー:日興リカ株式会社製、品番MKN03。
-硬化促進剤:四国化成株式会社製、2PHZ。
-カップリング剤:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製、品番KBM573。
-着色剤:カーボンブラック、三菱化学株式会社製、品番MA600。
-離型剤:カルナバワックス、大日化学社製、品名カルナバF-100
-球状溶融シリカ:電気化学工業社製、品番FB5SDC。
原料を表に示す組成で配合し、ミキサーを用いて10分間混合してから、2軸ロールを用い110℃で加熱しながら混練した。これにより混合物を冷却してから粉砕した。これにより得られた粉体を打錠することで、タブレット状の組成物を得た。
2.評価試験
組成物に対し、次の評価試験を実施した、これらの結果は表1に示す。
(1)線膨張係数
神藤金属工業所社製のトランスファ成形機(型番ETA-30D)を用い、注入圧力6.86MPa(70kg/cm2)、金型温度175℃、保持時間150秒の条件で、組成物を成形し、続いて175℃で4時間加熱することで後硬化させた。これにより、直径5mm、長さ20mmのサイズの試験片を作製した。
株式会社リガク製の熱機械分析装置であるThermo plus TMA8310を用いて、試験片を空気雰囲気中で昇温速度5℃/分の条件で加熱した。試験片を加熱する過程で、試験片の50℃での寸法と100℃での寸法とを測定し、その結果から、試験片の線膨張係数を算出した。
(2)曲げ弾性率
試験片のサイズを10mm×85mm×4mmとしたこと以外は、上記の「(1)線膨張係数」の場合と同じ方法で、試験片を作製した。
インストロン社製の万能材料試験機モデル5965を用い、試験片に対して3点曲げ試験を行い、それにより得られた応力ひずみ曲線から、試験片の曲げ弾性率を求めた。
(3)ストレスインデックス
上記の「(1)線膨張係数」の試験で得られた線膨張係数と、「(2)曲げ弾性率」の試験で得られた曲げ弾性率とを乗じた値を、ストレスインデックスとして算出した。このストレスインデックスの値が小さいほど、シリコンウェハや非アルカリガラスウェハ、42アロイのような低線膨張基材に成型をしたときの封止材の反り性が良好だと評価できる。
(4)反り評価
ダミーチップとして12inch775μmのダミーウエハを使用し、TOWA株式会社製のコンプレッションモールド機である型式CPM-1080を用いて、成型温度130℃、保持時間600秒の条件で、ダミーチップを覆う厚み400μmの封止材を作製した。ニコン社製の測定顕微鏡である型番MM-800を用い、封止材の中心を基準とした、封止材の外周部分8箇所の反り量を測定し、反り量の最大値を反りの評価値とした。
(5)分散相の平均長径
組成物の構成成分のうち、無機充填材を除く成分(樹脂成分)を、ホットプレート上で20g混合し、さらにホットプレートを150℃に加熱して 10分間加熱することで硬化させることで、硬化物を得た。この硬化物から切片を切り出し、この切片をルテニウムで染色することで、サンプルを得た。このサンプルを走査型電子顕微鏡で500倍の倍率で観察して、マトリクス及び分散相の存在の有無を確認した。その結果、実施例1~6ではマトリクス及び分散相の存在が確認され、比較例1~4ではマトリクス及び分散相の存在は確認されなかった。実施例1について得られた走査型電子顕微鏡画像を図2に、実施例2について得られた走査型電子顕微鏡画像を図3に、実施例3について得られた走査型電子顕微鏡画像を図4に、それぞれ示す。また、走査型電子顕微鏡を用いて得られた画像から、分散相の平均長径を求めた。具体的には、10個の分散相の像の長径の寸法を測定し、得られた値の平均値を分散相の平均長径とした。
(6)流動性(成形性)
EIMS T901の規格に準拠し、組成物をトランスファー成型機(型番MF-015、株式会社テクノマルシチ製)を用いて、温度170℃、注入圧力7.0MPaの条件で成型した場合の、流動長(単位cm)を測定した。この値が100cm以上であれば成形性が特に良好であると判断できる。
Figure 2022151305000002
1 半導体装置
50 半導体素子
62 封止材

Claims (10)

  1. 樹脂成分(A)と、無機充填材(B)とを含有し、
    前記樹脂成分(A)は、反応性化合物(p)と、前記反応性化合物(p)と熱硬化反応性を有する重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)と、熱可塑性ポリマー(r)とを含有し、
    前記樹脂成分(A)を熱硬化させた場合に得られる硬化物は、前記熱可塑性ポリマー(r)を含むマトリクスと、前記マトリクス中に分散する前記反応性化合物(p)と前記反応性化合物(q)との反応生成物を含む分散相とを備える、
    封止用樹脂組成物。
  2. 前記分散相の平均長径は5nm以上1000nm以下である、
    請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  3. 前記反応性化合物(p)と、前記反応性化合物(q)と前記熱可塑性ポリマー(r)とを混練した混練物(C)と、前記無機充填材(B)とを混合することを含む方法で製造された、
    請求項1又は2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 前記反応性化合物(q)は、結晶性を有する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
  5. 前記反応性化合物(p)と前記反応性化合物(q)とのうち、一方は熱硬化性樹脂であり、他方は硬化剤である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
  6. 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びマレイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含有する、
    請求項5に記載の封止用樹脂組成物。
  7. 前記硬化剤は、フェノール化合物を含有する、
    請求項5又は6に記載の封止用樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性ポリマー(r)は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一種の熱可塑性エラストマーを含有する、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
  9. 反応性化合物(p)と、
    前記反応性化合物(p)と熱硬化反応性を有する重量平均分子量1000以下の反応性化合物(q)と熱可塑性ポリマー(r)とを混練した混練物(C)と、
    無機充填材(B)とを混合することを含む、
    封止用樹脂組成物の製造方法。
  10. 半導体素子と、
    前記半導体素子を封止する封止材とを備え、
    前記封止材は、請求項1から7のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物である、
    半導体装置。
JP2021054314A 2021-03-26 2021-03-26 封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置 Pending JP2022151305A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021054314A JP2022151305A (ja) 2021-03-26 2021-03-26 封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021054314A JP2022151305A (ja) 2021-03-26 2021-03-26 封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022151305A true JP2022151305A (ja) 2022-10-07

Family

ID=83465325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021054314A Pending JP2022151305A (ja) 2021-03-26 2021-03-26 封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022151305A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080128922A1 (en) Epoxy resin composition for encapsulating semiconductor and semiconductor device
JP2013249458A (ja) 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置
JP7126186B2 (ja) 封止用樹脂組成物、その硬化物、及び半導体装置
JP2004300431A (ja) 半導体封止用樹脂組成物および半導体装置
JP2013067694A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP2012241178A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP4772305B2 (ja) 圧縮成形用シート状樹脂組成物と樹脂封止型半導体装置およびその製造方法
JP2022151305A (ja) 封止用樹脂組成物、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体装置
JP4950010B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法および半導体装置の製造方法
JP2018104603A (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP4281104B2 (ja) 樹脂組成物及び電子部品装置
JP6025043B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP2003268071A (ja) エポキシ系樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP7176669B1 (ja) 封止用樹脂組成物およびこれを用いた電子装置
WO2023182085A1 (ja) 封止用樹脂組成物及び半導体装置
JP7365641B2 (ja) 封止用樹脂組成物及び半導体装置
JP2000017052A (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP7296578B2 (ja) 半導体封止用組成物及び電子部品装置
JP4639427B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2013234305A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP2023093108A (ja) 樹脂組成物、電子部品装置、電子部品装置の製造方法及び樹脂組成物の製造方法
JP2000026707A (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2022057463A (ja) 封止用樹脂組成物、及び半導体装置
JP2023007647A (ja) 半導体パッケージの目標特性の推定方法、封止用樹脂組成物の製造方法及び半導体パッケージの製造方法
JP2021138809A (ja) 封止用樹脂組成物、及び半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231102