JP2022151269A - 水中油型乳化調味料 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得る水中油型乳化調味料の提供。【解決手段】ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを含有する水中油型乳化調味料であって、ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が、0.3~0.65であり、油相の総重量が、前記乳化調味料に対して、70重量%以上であり、前記乳化調味料は糖類を含有しないか、又は前記乳化調味料が糖類を含有する場合には、当該糖類中の固形分が、前記乳化調味料に対して、5.5重量%以下であり、前記乳化調味料は卵白を含有しないか、又は前記乳化調味料が卵白を含有する場合には、当該卵白の含有量が生換算で、前記乳化調味料に対して、2重量%以下である、乳化調味料。【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型乳化調味料に関する。詳細には、耐熱性に優れた水中油型乳化調味料に関する。また、本発明は、当該水中油型乳化調味料が用いられた加熱調理食品、及び当該水中油型乳化調味料を用いる加熱調理食品の製造方法等に関する。本発明は、水中油型乳化調味料の耐熱性向上方法にも関する。
マヨネーズ等の水中油型乳化調味料は、生野菜等にかけてそのまま喫食される他、焼成パン等の加熱調理食品に用いられて、他の食材とともに加熱調理される場合がある。
一般に水中油型乳化調味料は、加熱されると乳化状態が崩れやすくなるため、加熱後は油分離を生じて外観が悪くなったり、味覚品質が低下したりするという問題がある。これらの問題に対し、水中油型乳化調味料に耐熱性を持たせる方法として、従来、酵素処理卵黄を用いることや、水中油型乳化調味料の粒度分布等を調整すること等が提案されている(特許文献1、2)。
一方、焼成パン等の加熱調理食品は、味覚品質等の官能特性が、その賞味期限内において、出来立て直後から一定であることが求められる。しかし、上記の方法等によって耐熱性を持たせた従来の水中油型乳化調味料は、加熱された直後は油分離が多少抑えられているものの、その後は徐々に油分離が進み、加熱直後(出来立て直後)と加熱から数日後では、味覚品質等に変化が生じるという問題があった。
また、水中油型乳化調味料は、加熱されると食感が低下する(なめらかさが損なわれ、口溶けが悪くなる)という問題もある。
特開2016-198028号公報 特開2007-129925号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得る水中油型乳化調味料、並びに当該水中油型乳化調味料を利用した加熱調理食品等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討し、水中油型乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が特定の範囲である水中油型乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得ることを見出した。
また、本発明者らは、水中油型乳化調味料における油相の量や所定の成分の量を調整することで、水中油型乳化調味料が加熱された後も好ましい食感を保持し得ることも見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを含有する水中油型乳化調味料であって、
ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が、0.3~0.65であり、
油相の総重量が、前記乳化調味料に対して、70重量%以上であり、
前記乳化調味料は糖類を含有しないか、又は前記乳化調味料が糖類を含有する場合には、当該糖類中の固形分が、前記乳化調味料に対して、5.5重量%以下であり、
前記乳化調味料は卵白を含有しないか、又は前記乳化調味料が卵白を含有する場合には、当該卵白の含有量が生換算で、前記乳化調味料に対して、2重量%以下である、
乳化調味料。
[2]マヨネーズである、[1]記載の乳化調味料。
[3]加熱調理食品用である、[1]又は[2]記載の乳化調味料。
[4][1]~[3]のいずれか一つに記載の乳化調味料を含有する、加熱調理食品。
[5][1]~[3]のいずれか一つに記載の乳化調味料を添加すること、及び当該乳化調味料を加熱することを含む、加熱調理食品の製造方法。
[6]水中油型乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が、0.3~0.65となるように、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを添加すること、及び
水中油型乳化調味料における油相の総重量を、当該乳化調味料に対して、70重量%以上に調整することを含み、
糖類を添加することを含まないか、又は糖類を添加することを含む場合には、当該糖類中の固形分が、水中油型乳化調味料に対して、5.5重量%以下となるように添加し、
卵白を添加することを含まないか、又は卵白を添加することを含む場合には、水中油型乳化調味料における卵白の含有量が生換算で、当該乳化調味料に対して、2重量%以下となるように添加する、
水中油型乳化調味料の耐熱性向上方法。
本発明によれば、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得る、耐熱性に優れた水中油型乳化調味料を提供できる。
本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し得る。また、本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し得る。また、本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
また、本発明によれば、上記の耐熱性に優れた水中油型乳化調味料が用いられた加熱調理食品、及び当該水中油型乳化調味料を用いる加熱調理食品の製造方法も提供できる。
また、本発明によれば、水中油型乳化調味料の耐熱性向上方法も提供できる。
加塩殺菌処理卵黄に含まれるリン脂質の総量(ステアロ・オレオ・レシチンとして)の測定フローを示す。 酵素処理卵黄に含まれるリン脂質の総量(ステアロ・オレオ・レシチンとして)の測定フローを示す。 加塩殺菌処理卵黄に含まれるリン脂質の組成比の測定フローを示す。 酵素処理卵黄に含まれるリン脂質の組成比の測定フローを示す。
本発明の水中油型乳化調味料(以下、「本発明の乳化調味料」とも称する)は、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを含有することを特徴の一つとする。
本発明において「乳化調味料」とは、乳化構造を有する調味料を意味し、「水中油型乳化調味料」とは、水相を外相(連続相)とし、油相を内相(分散相)とする水中油型の乳化構造(水相中に油滴粒子が均一分散した乳化構造)を有する調味料を意味する。また、乳化調味料等における「調味料」とは、食品に対して、調味(味つけ)の目的で使用される食品をいう。ここでいう「食品」とは、経口的に摂取され得るものを広く包含する概念であり、特に断りのない限り、いわゆる食べ物の他、飲料、食品添加物等も包含される。本発明の乳化調味料は、例えば、日本農林規格(JAS規格)で定義される半固体状ドレッシング(例、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング、マヨネーズタイプ調味料等)、乳化液状ドレッシング等のドレッシング等として提供され得るが、これらに制限されず、ドレッシングのJAS規格に適合しないドレッシング(例、ドレッシングタイプ調味料、サラダ用調味料等のドレッシング類)、ソース、たれ等であってもよい。
「ホスファチジルコリン」は、グリセロリン脂質の非極性部(グリセロール骨格のsn-1位及びsn-2位)に脂肪酸2分子がエステル結合し、極性頭部(グリセロール骨格のsn-3位)にコリンがリン酸エステル結合している構造を有するリン脂質の総称である。グリセロール骨格のsn-1位及びsn-2位に結合している脂肪酸の炭素原子数は特に制限されないが、通常2~30である。これらの脂肪酸は、飽和及び不飽和のいずれであってもよく、飽和脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸の例としては、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸等が挙げられるが、これらに制限されない。グリセロール骨格のsn-1位及びsn-2位に結合している脂肪酸2分子は、同一であってよく、異なっていてもよい。また、「リゾホスファチジルコリン」は、ホスファチジルコリンの2つの脂肪酸残基のうちの一つが、加水分解されて水酸基(-OH)となっているリゾ体のホスファチジルコリンである。
本発明において用いられるホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリンは特に制限されないが、例えば、ホスファチジルコリン及び/又はリゾホスファチジルコリンを含有する素材からホスファチジルコリン及び/又はリゾホスファチジルコリンを単離せずに、当該素材をそのまま用いてよい。ホスファチジルコリン及び/又はリゾホスファチジルコリンを含有する素材は特に制限されないが、例えば、卵黄(酵素処理卵黄等を包含する)、全卵、レシチン(リン脂質を含有する脂質製品)等が挙げられる。あるいは、本発明において用いられるホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリンは、ホスファチジルコリン及び/又はリゾホスファチジルコリンを含有する素材(例、卵黄、全卵、レシチン等)から、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって、抽出、精製されたものであってもよい。また、本発明において用いられるホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリンは、自体公知の方法(例えば、合成法、酵素法等)又はそれに準ずる方法によって製造したものであってもよく、市販品を用いてもよい。
本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量は、本発明の乳化調味料に対して、通常0.03重量%以上である。また、本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量は、本発明の乳化調味料に対して、通常0.3重量%以下である。
本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量は、薄層クロマトグラフィー法により測定される。あるいは、本発明の乳化調味料の各原材料におけるホスファチジルコリンの含有量を測定し、当該測定値と、各原材料の本発明の乳化調味料における含有割合から、本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量を算出できる。本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量の測定は、図1~4に記載のフローを参考に行い得る。
本発明の乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量は、本発明の乳化調味料に対して、通常0.03重量%以上である。また、本発明の乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量は、本発明の乳化調味料に対して、通常0.3重量%以下である。
本発明の乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量は、ホスファチジルコリンと同様、薄層クロマトグラフィー法又はそれに準ずる方法により測定される。あるいは、本発明の乳化調味料の各原材料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量を測定し、当該測定値と、各原材料の本発明の乳化調味料における含有割合から、本発明の乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量を算出できる。本発明の乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量の測定は、図1~4に記載のフローを参考に行い得る。
本発明の乳化調味料の原材料には、ホスファチジルコリン及び/又はリゾホスファチジルコリンを含有するもの(例、卵黄、全卵等)が用いられ得る。そのような原材料を本発明の乳化調味料が含有する場合、当該原材料に由来するホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリンの量も、本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量、リゾホスファチジルコリンの含有量に算入される。
本発明において、乳化調味料の原材料(例、卵黄、全卵等)に含まれるホスファチジルコリンの量、リゾホスファチジルコリンの量は、薄層クロマトグラフィー法又はそれに準ずる方法により測定される。詳細には、薄層クロマトグラフィー法又はそれに準ずる方法により、乳化調味料の原材料に含まれるリン脂質の総量及びその組成比を測定し、リン脂質の総量に対しての比率から、ホスファチジルコリンの量、リゾホスファチジルコリンの量を算出できる。乳化調味料の原材料に含まれるリン脂質の総量の測定フローの例として、加塩殺菌処理卵黄に含まれるリン脂質の総量を測定する場合のフローを図1に、酵素処理卵黄に含まれるリン脂質の総量を測定する場合のフローを図2にそれぞれ示す。また、乳化調味料の原材料に含まれるリン脂質の組成比の測定フローの例として、加塩殺菌処理卵黄に含まれるリン脂質の組成比を測定する場合のフローを図3に、酵素処理卵黄に含まれるリン脂質の組成比を測定する場合のフローを図4にそれぞれ示す。
本発明の乳化調味料は、ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比([リゾホスファチジルコリンの含有量]/[ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計])が、特定の範囲内であることが重要である。当該重量比が特定の範囲内であることにより、本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え得る。また、当該重量比が特定の範囲内であることにより、本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得る。
具体的には、本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比は、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.32以上であり、特に好ましくは0.35以上である。また、本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比は、好ましくは0.65以下であり、より好ましくは0.63以下であり、特に好ましくは0.6以下である。
本発明の乳化調味料を構成する油相の量は、本発明の乳化調味料が加熱された後も好ましい食感を保持し得ることから、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは72重量%以上である。また、本発明の乳化調味料を構成する油相の量は、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは88重量%以下であり、特に好ましくは85重量%以下である。例えば、本発明の乳化調味料を構成する油相の量は、本発明の乳化調味料が加熱された後も好ましい食感を保持し得ることから、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは70~90重量%であり、より好ましくは70~88重量%であり、特に好ましくは72~85重量%である。
本発明の乳化調味料を構成する水相の量は、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは10~30重量%であり、より好ましくは12~30重量%であり、特に好ましくは15~28重量%である。
本発明の乳化調味料において、油相を構成する成分(以下、「油相成分」とも称する)は、食品に添加可能な親油性の物質であれば特に制限されず、例えば、食用油脂、親油性のある着香料、香味油等が挙げられる。
食用油脂としては、例えば、キャノーラ油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油等の食用植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、鯨油等の食用動物油脂等が挙げられるが、好ましくは食用植物油脂である。また、上述の食用油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の食用油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。食用油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの食用油脂は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の乳化調味料において、水相を構成する成分(以下、「水相成分」とも称する)は、乳化調味料の種類等に応じて適宜決定すればよく、特に制限されないが、例えば、水、食酢、かんきつ類の果汁、食塩、糖類、醤油、味噌、全卵、卵黄、卵白、調味料、酸味料、乳化剤、増粘剤、澱粉、香料、着色料、香辛料、香辛料抽出物等が挙げられる。
水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水等が挙げられるが、これらに制限されず、食品製造用水として適合するものを用い得る。
食酢としては、醸造酢を用いてもよいし、合成酢を用いてもよい。醸造酢としては、例えば、米酢(純米酢、玄米酢等)、米黒酢、麦芽酢、ハトムギ酢等の穀物酢等、ぶどう酢、りんご酢、柿酢等の果実酢が用いられる。また、合成酢としては、例えば、蒸留酢、濃縮酢等が挙げられる。これらの食酢は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
かんきつ類の果汁としては、例えば、レモン果汁、ユズ果汁、ベニユ果汁、ハナユ果汁、無核ユズ果汁、ユコウ果汁、スダチ果汁、カボス果汁、ダイダイ果汁、ライム果汁、シークワーサー果汁等が挙げられる。これらのかんきつ類の果汁は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
糖類としては、例えば、砂糖(上白糖、グラニュー糖)、ぶどう糖、果糖、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖、砂糖混合高果糖液糖、水あめ等が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
調味料としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系調味料;イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸系調味料;たんぱく加水分解物等が挙げられる。これらの調味料は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の乳化調味料のpHは、通常3以上であり、好ましくは、3.5以上であり、より好ましくは、3.8以上である。本発明の乳化調味料のpHは、通常5以下である。
本発明の乳化調味料は、卵黄を含有するものであってよく、本発明の乳化調味料が卵黄を含有する場合、本発明の乳化調味料における卵黄の含有量は生換算で、安定した乳化状態と好ましい味覚品質の保持の観点から、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上である。また、本発明の乳化調味料が卵黄を含有する場合、本発明の乳化調味料における卵黄の含有量は生換算で、好ましい味覚品質の保持の観点から、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下である。
本発明において、卵黄の「生換算」の含有量は、当該含有量を算出するための卵黄の重量として、卵黄の水分含量を48.2重量%としたときの当該卵黄の総重量を用いることにより算出される。
本発明において用いられる卵黄は、食品に一般的に用いられ得るものであれば特に制限されず、例えば、家禽類の殻付卵(例、鶏卵等)を割卵して卵殻を取り除いた卵内容物(全卵)から、卵白を分離して得られる生卵黄、当該生卵黄に自体公知の加工処理(例、殺菌処理、冷凍処理、濾過処理、乾燥処理、酵素処理、脱糖処理、脱コレステロール処理、加糖処理、加塩処理等)又はそれに準ずる処理を施して得られる加工卵黄等が挙げられる。卵黄として、酵素処理又はそれに準ずる処理を施して得られる加工卵黄(酵素処理卵黄)が用いられる場合、当該処理に用いられる酵素は特に制限されないが、例えば、ホスホリパーゼ(例、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD等)等が挙げられる。また、卵黄として、卵白を分離していない全卵や、全卵に上述の自体公知の加工処理又はそれに準ずる処理を施して得られる加工全卵等を用いてもよい。本発明の乳化調味料が、全卵、加工全卵等を含有する場合、その卵黄部分の量を、本発明の乳化調味料における卵黄の含有量に算入する。
本発明の乳化調味料において、糖類は、上記の通り、任意成分であり、本発明の乳化調味料は、糖類を含有しないものであってよく、又は糖類を含有するものであってもよい。本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい食感を保持し得ることから、好ましくは、糖類を含有しないか、又は本発明の乳化調味料が糖類を含有する場合には、当該糖類中の固形分が、本発明の乳化調味料に対して、5.5重量%以下であり、より好ましくは、糖類を含有しないか、又は本発明の乳化調味料が糖類を含有する場合には、当該糖類中の固形分が、本発明の乳化調味料に対して、5重量%以下であり、特に好ましくは、糖類を含有しないか、又は本発明の乳化調味料が糖類を含有する場合には、当該糖類中の固形分が、本発明の乳化調味料に対して、4.5重量%以下である。本発明の乳化調味料は、糖類を含有しないことが最も好ましい。
本発明において、糖類中の固形分は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載の常圧加熱乾燥法で測定できる水分量から算出される。
本発明の乳化調味料において、卵白は、上記の通り、任意成分であり、本発明の乳化調味料は、卵白を含有しないものであってよく、又は卵白を含有するものであってもよい。本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい食感を保持し得ることから、好ましくは、卵白を含有しないか、又は本発明の乳化調味料が卵白を含有する場合には、当該卵白の含有量が生換算で、本発明の乳化調味料に対して、2重量%以下であり、より好ましくは、卵白を含有しないか、又は本発明の乳化調味料が卵白を含有する場合には、当該卵白の含有量が生換算で、本発明の乳化調味料に対して、1.9重量%以下であり、特に好ましくは、卵白を含有しないか、又は本発明の乳化調味料が卵白を含有する場合には、当該卵白の含有量が生換算で、本発明の乳化調味料に対して、1.8重量%以下である。本発明の乳化調味料は、卵白を含有しないことが最も好ましい。
本発明において、卵白の「生換算」の含有量は、当該含有量を算出するための卵白の重量として、卵白の水分含量を88.4重量%としたときの当該卵白の総重量を用いることにより算出される。
本発明において用いられる卵白は、食品に一般的に用いられ得るものであれば特に制限されず、例えば、家禽類の殻付卵(例、鶏卵等)を割卵して卵殻を取り除いた卵内容物(全卵)から、卵黄を分離して得られる生卵白、当該生卵白に自体公知の加工処理(例、殺菌処理、冷凍処理、濾過処理、乾燥処理、酵素処理、脱糖処理、脱リゾチーム処理、加糖処理、加塩処理等)又はそれに準ずる処理を施して得られる加工卵白等が挙げられる。また、卵白として、卵黄を分離していない全卵や、全卵に上述の自体公知の加工処理又はそれに準ずる処理を施して得られる加工全卵等を用いてもよい。本発明の乳化調味料が、全卵、加工全卵等を含有する場合、その卵白部分の量を、本発明の乳化調味料における卵白の含有量に算入する。
本発明の乳化調味料の製造方法は特に制限されず、本発明の乳化調味料は、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて製造し得る。例えば、水相成分の混合物を、食用油脂を注加しながらホバートミキサー等で撹拌して、予備乳化物を得た後、コロイドミル等の乳化機で乳化すること等によって製造し得る。撹拌条件は、水中油型に乳化できれば特に制限されず、撹拌に使用する乳化機の種類等に応じて適宜設定してよい。
本発明の乳化調味料の製造には、乳化食品の製造に使用され得る装置を制限なく用いることができる。当該装置は、特に限定されないが、回転式の乳化機が好ましく、例えば、上述のホバートミキサー及びコロイドミルの他、ホモミキサー、スティックミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等が挙げられる。
本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し得る。また、本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
水中油型乳化調味料の加熱後の乳化安定性の評価方法は特に制限されないが、例えば、水中油型乳化調味料の油滴の平均粒子径を所定のサイズ(例、3~4μm程度)に調整した上で加熱し(例、190℃で2分間焼成等)、加熱後の油滴の平均粒子径を測定して、加熱前の油滴の平均粒子径に対する、加熱後の油滴の平均粒子径の比率([加熱後の油滴の平均粒子径(μm)]/[加熱前の油滴の平均粒子径(μm)])を求めること等によって評価し得る。加熱前の油滴の平均粒子径に対する、加熱後の油滴の平均粒子径の比率が1.5を超える水中油型乳化調味料は、油相と水相の分離の度合いが大きくなるため、当該比率が1.5以下である場合、加熱された後も十分な乳化安定性を保持していると評価できる。
本発明において、水中油型乳化調味料の油滴の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-3100)により測定される体積平均粒子径である。
水中油型乳化調味料は、油滴の凝集、合一が進むと、油相と水相とに分離して外観が損なわれること等から、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し得る水中油型乳化調味料は、加熱された後も好ましい外観を保持し得ると評価できる。
本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し得る。また、本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
水中油型乳化調味料の加熱後の官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)の評価方法は特に制限されないが、例えば、水中油型乳化調味料を加熱して(例、190℃で5分間焼成等)、加熱後の官能特性について官能試験を実施すること等によって、加熱された後も好ましい官能特性を保持できるか否かを評価し得る。また、例えば、水中油型乳化調味料を加熱し(例、190℃で5分間焼成等)、加熱から数日後(1~3日後)の官能特性について、加熱直後の官能特性を基準とする官能試験を実施すること等によって、加熱後の官能特性が、その後も維持されるか否かを評価し得る。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、水中油型乳化調味料の加熱後の官能特性(例、味覚品質等)の変化は、加熱後の乳化状態の変化(油分離の進行等)に起因すると推測される。したがって、加熱後の官能特性(例、味覚品質等)を、その後も維持し得る水中油型乳化調味料は、加熱後に保持している乳化安定性を、その後も維持し得るものと評価できる。
本発明の乳化調味料は、耐熱性に優れ、上述の通り、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得ることから、加熱調理食品に好適に用いられ得る。本発明の乳化調味料は、好ましくは、加熱調理食品用である。
本発明において「加熱調理食品用」調味料とは、加熱調理食品の調味(味つけ)のために専ら用いられる調味料をいい、加熱調理食品又はその原材料に塗布したり、線状や網目状にかけたりして用いられる。また、本発明において「加熱調理食品」とは、その製造工程に、原材料を加熱調理(例、焼成調理、炒め調理、オーブン調理、マイクロ波調理、過熱水蒸気調理等)することを少なくとも含む、食品をいう。加熱調理食品の具体例としては、パン(例、コーンマヨパン、卵マヨパン、ベーコンマヨパン、明太子マヨパン、ソーセージマヨパン、ピザパン等の焼成パン等)、ピザ、パイ等が挙げられるが、これらに制限されない。加熱調理食品は、冷凍食品の形態で提供(流通、販売)されるものであってよく、すなわち、本発明における「加熱調理食品」には、上記の食品の冷凍品も包含される。
本発明は、本発明の乳化調味料を含有する加熱調理食品(以下、「本発明の加熱調理食品」とも称する)も提供する。
本発明の加熱調理食品は、本発明の乳化調味料に加えて、その他の原材料(食材)を含有する。本発明の加熱調理食品の原材料は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されず、加熱調理食品の種類等に応じた原材料を適宜用いてよい。
本発明の加熱調理食品における、本発明の乳化調味料の含有量は、特に制限されず、加熱調理食品の種類等に応じて適宜調整してよい。
本発明の加熱調理食品の製造方法は、本発明の乳化調味料を添加すること、及び当該乳化調味料を加熱することを含むこと以外は特に制限されず、加熱調理食品の種類、提供形態等に応じた製造工程を適宜含んでよい。
本発明の加熱調理食品の製造方法において、本発明の乳化調味料を添加する方法は特に制限されず、例えば、加熱調理食品又はその原材料の外表面に塗布したり、線状や網目状にかけたりしてよく、あるいは、加熱調理食品又はその原材料の内部に注入したり、塗布したりしてもよい。
本発明の加熱調理食品の製造方法において、本発明の乳化調味料を加熱する方法は特に制限されず、加熱調理食品の種類等に応じた加熱方法を適宜用いてよいが、例えば、焼成、炒め、オーブン加熱、マイクロ波加熱、過熱水蒸気加熱等が挙げられる。加熱条件(例、加熱温度、加熱時間等)は、加熱調理食品の種類や加熱方法等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、本発明の乳化調味料を焼成する場合、加熱温度は、通常150~250℃であり、加熱時間は、通常1~10分間である。
本発明は、水中油型乳化調味料の耐熱性向上方法(以下、「本発明の方法」とも称する)も提供する。
本発明の方法は、水中油型乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量が、上述の本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量と同様となるように、ホスファチジルコリンを添加することを含んでよい。
本発明の方法は、水中油型乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量が、上述の本発明の乳化調味料におけるリゾホスファチジルコリンの含有量と同様となるように、リゾホスファチジルコリンを添加することを含んでよい。
本発明の方法は、水中油型乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比([リゾホスファチジルコリンの含有量]/[ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計])が、上述の本発明の乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比と同様となるように、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを添加することを含むことが好ましい。
本発明の方法は、水中油型乳化調味料における油相の総重量が、上述の本発明の乳化調味料における油相の総重量と同様となるように調整することを含むことが好ましい。
本発明の方法は、水中油型乳化調味料における水相の総重量が、上述の本発明の乳化調味料における水相の総重量と同様となるように調整することを含んでよい。
本発明の方法は、水中油型乳化調味料における卵黄の含有量が、上述の本発明の乳化調味料における卵黄の含有量と同様となるように、卵黄を添加することを含んでよい。
本発明の方法は、糖類を添加することを含まないか、又は糖類を添加することを含む場合には、当該糖類中の固形分が、上述の本発明の乳化調味料が糖類を含有する場合における当該糖類中の固形分の量と同様となるように添加することが好ましい。本発明の方法は、糖類を添加することを含まないことが最も好ましい。
本発明の方法は、卵白を添加することを含まないか、又は卵白を添加することを含む場合には、水中油型乳化調味料における卵白の含有量が、上述の本発明の乳化調味料が卵白を含有する場合における当該卵白の含有量と同様となるように添加することが好ましい。本発明の方法は、卵白を添加することを含まないことが最も好ましい。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化調味料は、耐熱性を有することを所望されるものであれば特に制限されない。本発明の方法が用いられる水中油型乳化調味料の油相成分(油相を構成する成分)及び水相成分(水相を構成する成分)は、上述の本発明の乳化調味料の油相成分及び水相成分と同様のものを用いてよい。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化調味料の製造方法は特に制限されず、例えば、上述の本発明の乳化調味料の製造方法と同様の方法等で行い得る。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化調味料のpHは、上述の本発明の乳化調味料のpHと同様に設定し得る。
本発明の方法によれば、水中油型乳化調味料の耐熱性を向上でき、本発明の方法が用いられた水中油型乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し得る。また、本発明の方法が用いられた水中油型乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
本発明の方法が用いられた水中油型乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し得る。また、本発明の方法が用いられた水中油型乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において「%」と記載されている場合は、特に断りのない限り、「重量%」を意味する。
[実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料(マヨネーズ)の作製]
下表2、3に示す水相の原材料のうち、高酸度酢以外の原材料(加塩殺菌卵黄、加塩殺菌卵白、水あめ、グルタミン酸ナトリウム、食塩、酵素処理(ホスホリパーゼA2処理)乾燥卵黄、水)を、下表2、3に示す配合割合(単位:重量%)で混合してホバートミキサー(ホバート(HOBART)社製)に投入した後、高酸度酢を混合し、得られた混合物をホバートミキサーを使用して撹拌しつつ、食用植物油をゆっくりと注加し(注加中は150rpmで撹拌し続けた)、注加完了後に150rpmで3分間撹拌して、予備乳化物を得た。その後、得られた予備乳化物を、水中油型乳化調味料の油滴の平均粒子径が3.4~4μmになるよう、コロイドミルにてせん断速度10,000~200,000(1/s)で乳化し、実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料(マヨネーズ)をそれぞれ作製した。
ここで水中油型乳化調味料の油滴の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-3100)を用いて、下表1に示す条件にて測定した。
Figure 2022151269000001
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料の作製に用いた原材料(下表2、3に示す原材料)のうち、水以外は、いずれも食品用として市販されているものを使用した。水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料の作製に用いた加塩殺菌卵黄におけるホスファチジルコリンの含有量は、加塩殺菌卵黄100g当たり5.43gであり、リゾホスファチジルコリンの含有量は、加塩殺菌卵黄100g当たり0.42gであった。
また、実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料の作製に用いた酵素処理乾燥卵黄におけるホスファチジルコリンの含有量は、酵素処理乾燥卵黄100g当たり1.96gであり、リゾホスファチジルコリンの含有量は、酵素処理乾燥卵黄100g当たり9.67gであった。
加塩殺菌卵黄におけるホスファチジルコリンの含有量及びリゾホスファチジルコリンの含有量は、薄層クロマトグラフィー法で、図1、3に記載のフローに沿って、加塩殺菌卵黄における含まれるリン脂質の総量(ステアロ・オレオ・レシチンとして)及びその組成比を測定し、リン脂質の総量に対しての比率から算出した。また酵素処理乾燥卵黄におけるホスファチジルコリンの含有量及びリゾホスファチジルコリンの含有量は、薄層クロマトグラフィー法で、図2、4に記載のフローに沿って、酵素処理卵黄における含まれるリン脂質の総量(ステアロ・オレオ・レシチンとして)及びその組成比を測定し、リン脂質の総量に対しての比率から算出した。
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料の作製に用いた水あめ中の固形分(75重量%)は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載の常圧加熱乾燥法で測定した水分量から算出した。
Figure 2022151269000002
Figure 2022151269000003
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料における(1)ホスファチジルコリンの含有量、(2)リゾホスファチジルコリンの含有量、(3)ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比([リゾホスファチジルコリンの含有量]/[ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計])、(4)卵黄の総含有量(加塩殺菌卵黄と酵素処理乾燥卵黄の合計量、生換算)、(5)加塩殺菌卵白の含有量(生換算)、(6)水あめ中の固形分の量(水中油型乳化調味料に対する割合)を、それぞれ表4、5に示す。
尚、表4、5中の「PC」及び「LPC」は、それぞれ「ホスファチジルコリン」及び「リゾホスファチジルコリン」を意味する。
Figure 2022151269000004
Figure 2022151269000005
[焼成後の乳化安定性の評価]
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料を、いずれも油滴の平均粒子径が3.4~4μmの範囲内になるよう調整した上で、容積の等しいアルミ製円柱状容器(高さ:4cm、底面の半径(外径):0.6cm、厚さ:0.03mm)に6gずつ入れ、オーブントースター(パナソニック株式会社製、NE-MS261)を190℃で10分間予熱した後に、190℃で2分間焼成した。その後容器内のマヨネーズを全量回収し、焼成直後(焼成終了から30分以内)の油滴の平均粒子径(体積平均粒子径)を測定して、焼成前の油滴の平均粒子径に対する、焼成後の油滴の平均粒子径の比率([焼成後の油滴の平均粒子径(μm)]/[焼成前の油滴の平均粒子径(μm)])を算出した。
ここで水中油型乳化調味料の油滴の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-3100)を用いて、表1に示す条件にて測定した。
焼成前の油滴の平均粒子径に対する、焼成後の油滴の平均粒子径の比率が、1.5を超える水中油型乳化調味料は、油相と水相の分離の度合いが大きくなるため、当該比率が1.5以下である場合を「〇:焼成後も十分な乳化安定性を保持している」、当該比率が1.5を超える場合を「×:焼成後に十分な乳化安定性を保持していない」と判定した。
[焼成後の味覚品質の評価]
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料を、ポリボトル容器から8枚切り食パン上に7gずつ絞り出し、オーブントースター(パナソニック株式会社製、NE-MS261)を190℃で10分間予熱した後に、食パンごと190℃で5分間焼成し、焼成終了から20分後及び焼成終了から1日後に、味覚品質についての官能評価を実施した。官能評価は、4名の専門パネルが、焼成終了から20分後の水中油型乳化調味料及び焼成終了から24℃で1日間保管後の水中油型乳化調味料をそれぞれ食し、これらの水中油型乳化調味料における味覚品質の差(バラつき)の有無、程度について、下記の尺度に基づいて0.1点刻みで評点付けし、4名の評点の平均点を算出することにより行った。当該平均点が3点以上である場合を「〇:焼成後の味覚品質が維持された」、当該平均点が3点未満である場合を「×:焼成後の味覚品質が維持されなかった」と判定した。4名の専門パネルは、焼成後の味覚品質の評価尺度について、評点が0.1点変動するには、味覚品質に差がどの程度あればよいのか等がパネル間で共通となるよう、予め訓練された。
[焼成後の味覚品質の評価尺度]
5点:味覚品質の差を全く感じない
4点:味覚品質の差をわずかに感じる
3点:味覚品質の差を少し感じるが許容範囲内である
2点:味覚品質の差を感じる
1点:味覚品質の差を強く感じる
0点:味覚品質の差を非常に強く感じる
[焼成後の食感(なめらかさ)の評価]
実施例1~7及び比較例1~9の水中油型乳化調味料を、ポリボトル容器からアルミホイル上に5gずつ絞り出し、オーブントースター(パナソニック株式会社製、NE-MS261)を190℃で10分間予熱した後に、190℃で5分間焼成し、焼成後の食感(なめらかさ)についての官能評価を実施した。官能評価は、4名の専門パネルが、焼成直後(焼成終了から30分以内)の水中油型乳化調味料を直接スプーンですくって口の中に含み、なめらかさの程度について、下記の尺度に基づいて0.25点刻みで評点付けし、4名の評点の平均点を算出することにより行った。当該平均点が3.5点以上である場合を「〇:焼成後もなめらかな食感を保持している」、当該平均点が3.5点未満である場合を「×:焼成後になめらかな食感を保持していない」と判定した。4名の専門パネルは、焼成後の食感(なめらかさ)の評価尺度について、評点が0.25点変動するには、なめらかさがどの程度変化すればよいのか等がパネル間で共通となるよう、予め訓練された。
[焼成後の食感(なめらかさ)の評価尺度]
1点:ぷりぷりとした食感が強く感じられ、全くなめらかでない
2点:ぷりぷりとした食感が感じられ、なめらかでない
3点:少しぷりぷりとした食感が感じられるが許容範囲である
4点:なめらかである
5点:非常になめらかである
結果を下表6、7に示す。表6、7の「総合評価」は、焼成後の乳化安定性、焼成後の味覚品質、及び焼成後の食感(なめらかさ)の全ての評価が「〇」である場合を「〇」、いずれかの評価が「×」である場合を「×」と判定した。
Figure 2022151269000006
Figure 2022151269000007
表6、7に示される結果から明らかなように、実施例1~7の水中油型乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい食感(なめらかな食感)とを兼ね備えていた。また、実施例1~7の水中油型乳化調味料は、加熱後の好ましい味覚品質が、その後も維持された。
一方、ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が0.19である比較例4、8の水中油型乳化調味料は、加熱後に十分な乳化安定性を保持していなかった。
また、ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が0.75である比較例3、7の水中油型乳化調味料は、加熱後の味覚品質が経時的に変化し、維持されなかった。
また、水あめ中の固形分が、水中乳化調味料に対して6重量%である比較例1、5の水中油型乳化調味料、卵白の含有量(生換算)が2.7重量%である比較例2、6の水中油型乳化調味料、並びに、油相の総重量が69重量%である比較例9の水中油型乳化調味料は、いずれも加熱後に好ましい食感(なめらかな食感)を保持していなかった。
これらの結果から、水中油型乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が特定の範囲である水中油型乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(味覚品質、食感、外観)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得ることが確認された。また、水中油型乳化調味料における油相の量や所定の成分(卵白、糖類)の量を調整することで、水中油型乳化調味料が加熱された後も好ましい食感(なめらかな食感)を保持し得ることが確認された。
本発明によれば、加熱された後も十分な乳化安定性と好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)とを兼ね備え、かつ、これらを喫食時まで維持し得る、耐熱性に優れた水中油型乳化調味料を提供できる。
本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し得る。また、本発明の乳化調味料は、加熱された後も十分な乳化安定性を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し得る。また、本発明の乳化調味料は、加熱された後も好ましい官能特性(例、味覚品質、食感、外観等)を保持し、かつ、これを喫食時まで維持し得る。
また、本発明によれば、上記の耐熱性に優れた水中油型乳化調味料が用いられた加熱調理食品、及び当該水中油型乳化調味料を用いる加熱調理食品の製造方法も提供できる。
また、本発明によれば、水中油型乳化調味料の耐熱性向上方法も提供できる。

Claims (6)

  1. ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを含有する水中油型乳化調味料であって、
    ホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が、0.3~0.65であり、
    油相の総重量が、前記乳化調味料に対して、70重量%以上であり、
    前記乳化調味料は糖類を含有しないか、又は前記乳化調味料が糖類を含有する場合には、当該糖類中の固形分が、前記乳化調味料に対して、5.5重量%以下であり、
    前記乳化調味料は卵白を含有しないか、又は前記乳化調味料が卵白を含有する場合には、当該卵白の含有量が生換算で、前記乳化調味料に対して、2重量%以下である、
    乳化調味料。
  2. マヨネーズである、請求項1記載の乳化調味料。
  3. 加熱調理食品用である、請求項1又は2記載の乳化調味料。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化調味料を含有する、加熱調理食品。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化調味料を添加すること、及び当該乳化調味料を加熱することを含む、加熱調理食品の製造方法。
  6. 水中油型乳化調味料におけるホスファチジルコリンの含有量とリゾホスファチジルコリンの含有量との合計に対するリゾホスファチジルコリンの含有量の重量比が、0.3~0.65となるように、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンを添加すること、及び
    水中油型乳化調味料における油相の総重量を、当該乳化調味料に対して、70重量%以上に調整することを含み、
    糖類を添加することを含まないか、又は糖類を添加することを含む場合には、当該糖類中の固形分が、水中油型乳化調味料に対して、5.5重量%以下となるように添加し、
    卵白を添加することを含まないか、又は卵白を添加することを含む場合には、水中油型乳化調味料における卵白の含有量が生換算で、当該乳化調味料に対して、2重量%以下となるように添加する、
    水中油型乳化調味料の耐熱性向上方法。
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