JP2022150625A - 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法 - Google Patents

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Teppei Tateno
浩 栗原
Hiroshi Kurihara
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Satsuki YAMAGUCHI
大和 ▲高▼見沢
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Abstract

【課題】 研磨層の端部の研磨特性と、スクラッチの低減とを両立させた研磨パッドを提供することを目的とする。【解決手段】 イソシアネート末端プレポリマー及び硬化剤に由来するポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドであって、前記イソシアネート末端プレポリマーは、少なくともポリイソシアネート化合物由来構成単位と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオール由来構成単位とを含む、研磨パッド。【選択図】図1

Description

本発明は、光学材料、半導体ウエハ、半導体デバイス、ハードディスク用基板、金属やセラミック表面などを研磨するための研磨パッド(特には、CMP用研磨パッド)に関する。
光学材料、半導体ウエハ、半導体デバイス、ハードディスク用基板の表面を平坦化するための研磨法として、化学機械研磨(chemical mechanical polishing,CMP)法が一般的に用いられている。
CMP法について、図1を用いて説明する。図1のように、CMP法を実施する研磨装置1には、研磨パッド3が備えられ、当該研磨パッド3は、保持定盤16に保持された被研磨物8に当接するとともに、研磨を行う層である研磨層4と研磨層4を支持するクッション層6を含む。研磨パッド3は、被研磨物8が押圧された状態で回転駆動され、被研磨物8を研磨する。その際、研磨パッド3と被研磨物8との間には、スラリー9が供給される。スラリー9は、水と各種化学成分や硬質の微細な砥粒の混合物(分散液)であり、その中の化学成分や砥粒が流されながら、被研磨物8との相対運動により、研磨効果を増大させるものである。スラリー9は溝又は孔を介して研磨面に供給され、排出される。
ところで、モールド法によって製造される硬質ポリウレタン研磨パッドの分野では、従来から、所望の研磨性能を得るためにプレポリマーの検討がなされている。とりわけ、プレポリマー中のポリオールに由来する化学構造部分はポリウレタン樹脂の主鎖となるため重要である。
特許文献1では、側鎖にエチレンオキサイドの繰り返し単位を有するポリオールに由来するポリウレタン研磨パッドが開示されている。
特許文献2では、分子量50~300のアルキレングリコールを有するポリオールに由来する研磨パッドが開示されている。
特開2012-714号公報 特開2016-190313号公報
しかし、これら従来の研磨パッドでは、被研磨物の中央部から端部まで平坦に研磨できる平坦性の点で不満が残るものであり、特に、被研磨物8の最端部が中央部より大きく研磨される「端部ダレ」という過研磨現象が問題となる。端部ダレの問題を解決するために、端部形状に追従しない程度に研磨パッドを硬質化させる方法が考えられるが、硬質化すると、今度はスクラッチが増加するという問題がおこり、端部の研磨特性と、スクラッチの低減の両立は困難であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、研磨層の端部の研磨特性と、スクラッチの低減とを両立させた研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、特定の組成のプレポリマーに由来する成分を含むポリウレタン研磨層を含む研磨パッドとすることで、平坦性とスクラッチが改善することを見出し、本発明を達成した。すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] イソシアネート末端プレポリマー及び硬化剤に由来するポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドであって、
前記イソシアネート末端プレポリマーは、少なくともポリイソシアネート化合物由来構成単位と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオール由来構成単位とを含む、研磨パッド。
[2] 前記ダングリング鎖が直鎖状アルキル基である、[1]に記載の研磨パッド。
[3] 前記研磨層は中空微小球体を含有する、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[4] 前記研磨層の密度が0.7~0.9g/cmであり、かつ、前記研磨層のD硬度が50~70度である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の研磨パッド。
[5] 前記硬化剤が少なくとも3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の研磨パッド。
[6] 前記研磨パッドが、さらに涙型気泡を有するクッション層を積層した積層研磨パッドである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の研磨パッド。
[7] ポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドの製造方法であって、
ポリイソシアネート化合物と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールとを反応させ、イソシアネート末端プレポリマーを得る工程と、
前記イソシアネート末端プレポリマーと、硬化剤とを反応性させ、前記ポリウレタン樹脂を得る工程と、
前記ポリウレタン樹脂を成形し、研磨層の形状にする工程と、を含む製造方法。
イソシアネート末端プレポリマーの原料として特定のポリオールを用いることにより、研磨層の平坦性の研磨特性(端部の研磨特性)と、スクラッチの低減とを両立させた研磨パッドを提供することができる。
図1は、研磨装置1の斜視図である。 図2は、研磨パッドの断面図である。
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、発明を実施するための形態に限定されるものではない。
<<研磨パッド>>
研磨パッド3の構造について図2(a)を用いて説明する。研磨パッド3は、図2(a)のように、研磨層4と、必要に応じてクッション層6とを含む。研磨パッド3の形状は円盤状が好ましいが、特に限定されるものではなく、また、大きさ(径)も、研磨パッド3を備える研磨装置1のサイズ等に応じて適宜決定することができ、例えば、直径10cm~2m程度とすることができる。
なお、本発明の研磨パッド3は、好ましくは図2(a)に示すように、研磨層4がクッション層6に接着層7を介して接着されている。
研磨パッド3は、クッション層6に配設された両面テープ等によって研磨装置1の研磨定盤10に貼付される。研磨パッド3は、研磨装置1によって被研磨物8を押圧した状態で回転駆動され、被研磨物8を研磨する(図1参照)。
<研磨層>
(構成)
研磨パッド3は、被研磨物8を研磨するための層である研磨層4を備える。研磨層4を構成する材料は、特定のポリウレタン樹脂である。
研磨層4の大きさ(径)は、研磨パッド3と同様であり、直径10cm~2m程度とすることができ、研磨層4の厚みは、通常1~5mm程度とすることができる。
研磨層4は、研磨装置1の研磨定盤10と共に回転され、その上にスラリー9を流しながら、スラリー9の中に含まれる化学成分や砥粒を、被研磨物8と一緒に相対運動させることにより、被研磨物8を研磨する。
研磨層4は、中空微小球体4Aが分散されていてもよい。中空微小球体4Aが分散されている場合は、研磨層4が摩耗されると中空微小球体4Aが研磨面に露出され研磨面に微少な空隙が生じ、この微少な空隙がスラリーを保持することで被研磨物8の研磨をより進行させることができる。
研磨層4は、イソシアネート末端プレポリマーと、硬化剤(鎖伸長剤)と、必要により中空微小球体4Aとを混合した混合液を注型し硬化させた発泡体をスライスすることで形成されている。すなわち、研磨層4は、モールド法により成型されている。
(中空微小球体)
本発明の研磨パッドにおける研磨層4に含有される中空微小球体4Aは、研磨層4の研磨面や研磨層4の断面に中空体として確認でき、当該中空体は、通常、2~200μmの開口径(中空微小球体4Aの直径)を有する。中空微小球体4Aの形状は、球状、楕円状、及びこれらに近い形状のものが挙げられる。なお、研磨精度を向上させる観点から、不活性ガスを混入させる機械発泡や水に代表される化学発泡剤ではなく、発泡径がより均一になることに加え、独立気泡となりスラリーが研磨層内部に浸透して研磨層が劣化した結果発生する端部ダレを抑制できる、中空微小球体による発泡を有することが好ましい。
中空微小球体4Aは、市販のバルーンを用いることができるが、既膨張タイプのもの、及び、未膨張のものが挙げられる。未膨張のものは、加熱膨張性微小球状体であり、加熱膨張させることができる。
(溝加工)
本発明の研磨層4の被研磨物8側の表面には、溝加工を設けることができる。溝は、特に限定されるものではなく、研磨層4の周囲に連通しているスラリー排出溝、及び研磨層4の周囲に連通していないスラリー保持溝のいずれでもよく、また、スラリー排出溝とスラリー保持溝の両方を有してもよい。スラリー排出溝としては、格子状溝、放射状溝などが挙げられ、スラリー保持溝としては、同心円状溝、パーフォレーション(貫通孔)などが挙げられ、これらを組み合わせることもできる。
(密度)
本発明において、研磨層の密度は限定されるものではない。しかし、密度が高すぎるとスクラッチの要因となる場合があり、密度が低すぎると端部ダレの要因となる場合がある観点から、好ましくは0.65~0.95g/cmであり、より好ましくは0.70~0.90g/cmである。
(D硬度)
本発明において、研磨層のD硬度についても特に限定されるものではない。しかし、硬度が高すぎるとスクラッチの要因となる場合があり、硬度が低すぎると端部ダレの要因となる場合がある観点から、好ましくは40~70度であり、より好ましくは45~65度である。
研磨層において、密度及びD硬度のいずれか一方、より好ましくは両方ともに上記の好ましい範囲となることで、平坦性とスクラッチ抑制の両立が達成できる傾向にある。
<クッション層>
(構成)
本発明の研磨パッド3は、必要に応じてクッション層6を有するものとすることができる。クッション層6は、研磨層4の被研磨物8への当接をより均一にすることが望ましい。クッション層6の材料としては、樹脂を含浸させた含浸不織布、合成樹脂やゴム等の可撓性を有する材料、気泡構造を有する発泡体等のいずれから構成されていてもよい。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリブタジエン、シリコーン等の樹脂や天然ゴム、ニトリルゴム、ポリウレタンゴム等のゴムなどが挙げられる。密度及び圧縮弾性率の調整の観点で、可撓性合成樹脂が好ましく、材料にポリウレタンを用いることが好ましい。
また、さらに好ましくは、水系凝固液(水を主成分とする凝固液)により脱溶媒されシート状に形成(湿式成膜)されたポリウレタン樹脂製のクッション層6を用いる。クッション層6は内部に涙型気泡6Aが形成された発泡構造を有している。クッション層6は、スポンジ状の微細気泡を有するポリウレタン樹脂製のものも好ましく用いられる。湿式成膜されたポリウレタン樹脂製のクッション層を用いることで、適度にクッション性を有してスクラッチを抑制しつつ、平坦性も維持できる傾向にある。
本発明の研磨パッド3におけるクッション層6の圧縮弾性率、密度、気泡は特に限定されるものではなく、公知の特性値を有するクッション層6を用いることができる。以下、本発明の研磨パッドは湿式成膜されたポリウレタン樹脂製のクッション層を用いる例を記載するが、クッション層を用いなくてもよく、他のクッション層を用いてもよい。
<接着層>
接着層7は、クッション層6と研磨層4を接着させるための層であり、通常、両面テープ又は接着剤から構成される。両面テープ又は接着剤は、当技術分野において公知のもの(例えば、接着シート)を使用することができる。
研磨層4およびクッション層6は、接着層7で貼り合わされている。接着層7は、例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系から選択される少なくとも1種の粘着剤で形成することができる。例えば、アクリル系粘着剤が用いられ、厚みが0.1mmに設定することができる。
<<研磨パッドの製造方法>>
本発明の研磨パッド3の製造方法について説明する。
<研磨層の材料>
研磨層の材料としては、本発明では、主成分としてはポリウレタン樹脂である。具体的な主成分の材料としては、例えば、イソシアネート末端プレポリマーと硬化剤とを反応させて得られるポリウレタン樹脂材料を挙げることができる。
イソシアネート末端プレポリマーと硬化剤とを用いた研磨層4の製造方法としては、例えば、イソシアネート末端プレポリマーを調製する調製工程;イソシアネート末端プレポリマー、硬化剤、任意選択的な添加剤、及び任意選択的な中空微小球体を準備する材料準備工程;イソシアネート末端プレポリマー、硬化剤、任意選択的な添加剤、及び任意選択的な中空微小球体を混合して成形体成形用の混合液を得る混合工程;前記成形体成形用混合液から研磨層を成形する硬化工程、を含む製造方法が挙げられる。
以下、調製工程;材料準備工程、混合工程、成形工程に分けて、それぞれ説明する。
<調製工程>
本発明で用いられるイソシアネート末端プレポリマーは、少なくともポリイソシアネート化合物由来構成単位と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオール由来構成単位とを含むものであり、イソシアネート末端プレポリマーは、イソシアネート基を分子末端に含むものである。また、イソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネート化合物と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールとを反応させることにより得ることができる。前記反応に特に制限はなく、ポリウレタン樹脂の製造において公知の方法及び条件を用いて付加重合反応すればよい。例えば、40℃に加温した炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオール化合物に、窒素雰囲気にて撹拌しながら50℃に加温したポリイソシアネート化合物を添加し、30分後に80℃まで昇温させ更に80℃にて60分間反応させるといった方法で製造することができる。
以下、各成分について説明する。
(ポリイソシアネート化合物)
イソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネート化合物を原料として用いる。
ポリイソシアネート化合物としては、市販されているものを用いてもよく特に限定されない。
本明細書において、ポリイソシアネート化合物とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。
ポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネー卜(MDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1、4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、複数のポリイソシアネート化合物を組み合わせて用いてもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、2,4-TDI及び/又は2,6-TDIを含むことが好ましく、2,4-TDI及び2,6-TDIを含むことがより好ましい。2,4-TDI及び2,6-TDIのみからなることがさらにより好ましい。2,4-TDI対2,6-TDIの質量比は、100:0~50:50であることが好ましく、90:10~60:40であることがより好ましく、90:10~70:30であることがさらにより好ましく80:20であることがさらにより好ましい。
(イソシアネート末端プレポリマーの原料としてのポリオール)
本発明では、イソシアネート末端プレポリマーは、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールを用いることにより得ることができる。
本明細書において、「ポリオール化合物」とは、分子内に2つ又はそれ以上の水酸基(OH)を有する化合物を意味する。
本明細書において、ポリオール化合物は、主鎖とダングリング鎖を有するものとする。主鎖とは、ポリオールの主骨格を形成する部分である。一方、「ダングリング鎖」とは、主鎖から分岐している片方の末端が自由な分岐鎖を指し、「炭素数5~10のダングリング鎖」とは、当該ダングリング鎖を構成する炭素数が5以上、10以下であるものをいう。なお、本明細書におけるポリオール化合物は、イソシアネート末端プレポリマーの原料として用いられるため、両末端が水酸基である最長の炭素鎖を主鎖として扱う。換言すれば、「ダングリング鎖」とは、末端に水酸基を有さない分岐鎖を指す。
炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールの主鎖は、炭素原子、水素原子、水酸基以外に、窒素原子、酸素原子も含んでもよい。一方、ダングリング鎖には、炭素原子、水素原子以外に、炭素原子、窒素原子、酸素原子を含むことができるが、反応及び物性を制御する観点から、好ましいダングリング鎖は、炭素原子及び水素原子からなる炭化水素から構成されるものであり、より好ましいダングリング鎖は、アルキル基から構成されるものである。
ダングリング鎖そのものは、直鎖状であっても、分岐鎖を有していてもよいが、平坦性及びスクラッチ抑制効果を確実に奏するためには、直鎖状(分岐鎖を有さない)であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることが最も好ましい。
ダングリング鎖の炭素数は、通常5以上、10以下である。ダングリング鎖の炭素数が5未満だと、分岐鎖が短すぎて研磨層を構成する樹脂分子の凝集力(分子間力)が増大するために弾性が不足し、端部形状、特に被研磨物の端部の凹凸が発生して平坦性改善効果が得られない場合があり、また、炭素数が10を超えると、その分イソシアネート末端プレポリマーの主鎖が短くする必要があるため、研磨層が硬質化しすぎてスクラッチ抑制効果が得られにくくなる。ダングリング鎖の好ましい炭素数は、6以上、9以下であるである。
また、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールの主鎖の炭素数は、特に限定されるものではないが、例えば、25以上65以下、好ましくは30以上、60以下である。主鎖の炭素数が25以上であれば、タングリング鎖に対してポリオール主鎖長が十分に長いので、タングリング鎖の立体障害による反応への影響を軽減できるため好ましく、また、65以下であれば、主鎖長由来の硬度が高く維持できることで端部ダレを抑制できる観点から好ましい。
炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールの例は、例えば、5-オクチル-1,30-トリアコンタンジオール(主鎖の炭素数30、ダングリング鎖の炭素数8)などが挙げられ、その他、本明細書の実施例で用いた1,36-ヘンテトラコンタンジオール(主鎖の炭素数36、ダングリング鎖の炭素数5)、1,31-ヘンテトラコンタンジオール(主鎖の炭素数31、ダングリング鎖の炭素数10)も挙げられる。なお、上記化合物はあくまでも例示であって、主鎖に対するダングリング鎖の接続位置は特に制限されるものではない。
本発明で用いられる炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、主鎖の長さを制御してより確実に本発明の効果を得る観点及び、イソシアネート末端プレポリマーのNCO当量(後述)に伴って反応を制御する観点から、好ましくは500~1100、より好ましくは600~1000の数平均分子量(Mn)を有するポリオールが挙げられる。
なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定することができる。なお、ポリウレタン樹脂からポリオール化合物の数平均分子量を測定する場合は、アミン分解等の常法により各成分を分解した後、GPCによって推定することもできる。
イソシアネート末端プレポリマーの原料としてのポリオールは、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールに加えて、本発明の主旨を損なわない範囲で他のポリオールを加えることができるが、通常は他のポリオールと併用しない。一方で、本発明の主旨を損なわない範囲で公知のイソシアネート末端プレポリマーを併用してもよい。
<材料準備工程>
本発明の研磨層4の製造のために、イソシアネート末端プリポリマー、硬化剤、任意選択的な添加剤、及び任意選択的な中空微小球体を準備する。イソシアネート末端プレポリマーについては、すでに説明したので、ここでは、硬化剤、添加剤、及び中空微小球体について説明する。
(硬化剤)
本発明の研磨層4の製造方法では、混合工程において硬化剤(鎖伸長剤ともいう)をイソシアネート末端プレポリマーなどと混合させる。硬化剤を加えることにより、その後の成形体成形工程において、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物の主鎖末端が硬化剤と結合してポリマー鎖を形成し、硬化する。
硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[3-(イソプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルペンチルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス(3,5-ジアミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6-ジアミノ-4-メチルフェノール、トリメチルエチレンビス-4-アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド-di-p-アミノベンゾネート等の多価アミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタン、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等の多価アルコール化合物が挙げられる。また、多価アミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。反応を制御する観点から、多価アミン化合物を用いることが好ましく、ジアミン化合物であればより好ましく、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンビス-o-クロロアニリン)(以下、MOCAと略記する。)を用いることがさらに好ましい。
(添加剤)
研磨層4の材料として、酸化剤等の添加剤を必要に添加することができる。本発明においては、本発明の効果を阻害するものでなければ、特に限定されるものではない。
(中空微小球体)
研磨層4は、必要により、外殻を有し、内部が中空状である中空微小球体4Aを含む。上記したように、中空微小球体4Aの材料としては、市販のものを使用することができる。あるいは、常法により合成することにより得られたものを使用してもよい。中空微小球体4Aの外殻の材質としては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及び有機シリコーン系樹脂、並びにそれらの樹脂を構成する単量体を2種以上組み合わせた共重合体が挙げられる。また、市販品の中空微小球体としては、以下に限定されないが、例えば、エクスパンセルシリーズ(アクゾ・ノーベル社製商品名)、マツモトマイクロスフェア(松本油脂(株)社製商品名)などが挙げられる。
中空微小球体4Aの材料は、イソシアネート末端プレポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部、さらにより好ましくは2~4質量部となるように添加する。
また、上記の成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、従来使用されている発泡剤を、中空微小球体4Aと併用してもよく、下記混合工程中に前記各成分に対して非反応性の気体を吹き込んでもよい。該発泡剤としては、水の他、炭素数5又は6の炭化水素を主成分とする発泡剤が挙げられる。該炭化水素としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサンなどの鎖状炭化水素や、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素が挙げられる。
<混合工程>
混合工程では、前記準備工程で得られた、イソシアネート末端プレポリマー、硬化剤、任意選択的な添加剤、任意選択的な中空微小球体を混合機内に供給して攪拌・混合する。混合工程は、上記各成分の流動性を確保できる温度に加温した状態で行われるが、加熱しすぎると、中空微小球体が、膨張してしまい、所定の開口分布を有さなくなってしまうため、注意が必要である。
<成形工程>
成形体成形工程では、前記混合工程で調製された成形体成形用混合液を30~100℃に予熱した棒状の型枠内に流し込み一次硬化させた後、100~150℃程度で10分~5時間程度加熱して二次硬化させることにより硬化したポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂成形体)を成形する。このとき、イソシアネート末端プレポリマー、硬化剤が反応してポリウレタン樹脂発泡体を形成することにより該混合液は硬化する。
イソシアネート末端プレポリマーは、粘度が高すぎると、流動性が悪くなり混合時に略均一に混合することが難しくなる。温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり、却って混合斑が生じることにより、得られる成形体に形成される中空微小球体の大きさにバラツキが生じる。このため、イソシアネート末端プレポリマーは、温度50~80℃における粘度を500~4000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。このことは、例えば、イソシアネート末端プレポリマーの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。イソシアネート末端プレポリマーは、50~80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
成形工程では、必要により注型された混合液を型枠内で反応させ発泡体を形成させる。このとき、イソシアネート末端プレポリマーと硬化剤との反応によりイソシアネート末端プレポリマーが架橋硬化する。この架橋硬化の進行と同時に、イソシアネート末端プレポリマーのイソシアネート基と分散液に分散希釈された水とが反応することで、二酸化炭素が発生する。
成形体を得た後、シート状にスライスして複数枚の研磨層4を形成する。スライスには、一般的なスライス機を使用することができる。スライス時には成形体の下層部分を保持し、上層部から順に所定厚さにスライスされる。スライスする厚さは、例えば、1.3~2.5mmの範囲に設定されている。厚さが50mmの型枠で成型した発泡体では、例えば、発泡体の上層部および下層部の約10mm分をキズ等の関係から使用せず、中央部の約30mm分から10~25枚の研磨層4が形成される。硬化成型ステップで内部に中空微小球体4Aが略均等に形成された発泡体が得られる。
得られた研磨層4の研磨面に、必要により溝加工を施してもよい。本発明においては、溝加工の方法及びその形状は特に限定されない。
このようにして得られた研磨層4は、その後、研磨層4の研磨面とは反対側の面に両面テープが貼り付けられる。両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープの中から任意に選択して使用することが出来る。
<クッション層6の製造方法>
クッション層6の形成工程では、クッション層6を湿式成膜する。すなわち、ポリウレタン樹脂が有機溶媒に略均一に溶解された樹脂溶液を調製する準備工程、準備工程で調製された樹脂溶液をシート状に展延し、水系凝固液中で樹脂溶液から有機溶媒を脱溶媒させてポリウレタン体を凝固再生させる凝固再生工程、凝固再生工程で凝固再生されたポリウレタン体を洗浄・乾燥してクッション層6を形成する洗浄・乾燥工程の各工程を経て形成されるが、以下、工程順に説明する。
(準備工程)
準備工程では、ポリウレタン樹脂および添加剤を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を調製する。樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒にポリウレタン樹脂および添加剤を略均一に溶解させ、濾過により凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡することで調製される。有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略記する。)等を用いることができる。例えば、有機溶媒にDMFを用いる。ポリウレタン樹脂には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用いることができる。
添加剤としては、カーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤およびポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。添加剤の種類や添加量を変えることで、クッション層6の内部に形成される涙型気泡6Aの大きさや量(個数)を制御することができる。クッション層6の圧縮弾性率および密度は、ポリウレタン樹脂、有機溶媒の選定、樹脂および有機溶媒の混合比、涙型気泡6Aの大きさや量、クッション層6の厚みを設定することで調整することができる。例えば、樹脂溶液100部に対して、ポリウレタン樹脂を45~62部、DMFを8~30部の範囲にそれぞれ設定する。
(凝固再生工程)
凝固再生工程では、準備工程で調製された樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し(シート状に展延し)、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂をシート状に凝固再生させる。準備工程で調製した樹脂溶液を常温下でナイフコータ等の塗布機により帯状の成膜基材に略均一に塗布する。このとき、塗布機と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)を調整する。本例では、クッション層6の厚さが0.5~2.0mmの範囲となるように塗布量を調整する。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができる。不織布、織布を用いる場合は、樹脂溶液の塗布時に成膜基材内部への浸透を抑制するため、予め水またはDMF水溶液(DMFと水との混合液)等に浸漬する前処理(目止め)が行われる。成膜基材としてPET製等の可撓性フィルムを用いる場合は、液体の浸透性を有していないため、前処理が不要となる。
樹脂溶液が塗布された成膜基材は、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする水系凝固液に浸漬される。水系凝固液中では、まず、塗布された樹脂溶液の表面にスキン層を構成する微多孔が厚み数μm程度にわたって形成される。その後、樹脂溶液中のDMFと水系凝固液との置換の進行により、ポリウレタン体が成膜基材の片面にシート状に凝固再生される。DMFが樹脂溶液から脱溶媒され、DMFと水系凝固液とが置換されることにより、ポリウレタン体中に多数の涙型気泡6Aを立体網目状に形成する。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、樹脂溶液の表面側(スキン層側)で脱溶媒が生じて、成膜基材側が表面側より大きな孔径の涙型気泡6Aが形成される。すなわち、ポリウレタン体の内部には、ポリウレタン体の厚み方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の多数の発泡6が略均等に分散した状態で形成される。
(洗浄・乾燥工程)
洗浄・乾燥工程では、凝固再生工程で凝固再生された帯状(長尺状)のポリウレタン体を洗浄した後乾燥させ、クッション層6を形成する。すなわち、ポリウレタン体が成膜基材から剥離され、水等の洗浄液中で洗浄されポリウレタン体中に残留するDMFが除去される。洗浄後、ポリウレタン体をシリンダ乾燥機で乾燥させる。シリンダ乾燥機は内部に熱源を有するシリンダを備えている。ポリウレタン体がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥し、クッション層6が形成される。
<接合工程>
クッション層を積層した研磨パッドとする場合は、接合工程で、形成された研磨層4およびクッション層6を接着層7で貼り合わせる(接合する)。接着層7には、例えば、アクリル系粘着剤を用い、厚さが0.1mmとなるように接着層7を形成する。すなわち、研磨層4の研磨面と反対側の面にアクリル系粘着剤を略均一の厚さに塗布する。研磨層4の研磨面Pと反対側の面と、クッション層6の表面(スキン層が形成された面)と、を塗布された粘着剤を介して圧接させて、研磨層4およびクッション層6を接着層7で貼り合わせる。そして、円形等の所望の形状に裁断した後、汚れや異物等の付着が無いことを確認する等の検査を行い、研磨パッド3を完成させる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例において、特段の指定のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
NCO当量とは、“(ポリイソシアネート化合物の質量(部)+ポリオール化合物の質量(部))/[(ポリイソシアネート化合物1分子当たりの官能基数×ポリイソシアネート化合物の質量(部)/ポリイソシアネート化合物の分子量)-(ポリオール化合物1分子当たりの官能基数×ポリオール化合物の質量(部)/ポリオール化合物の分子量)]”で求められるNCO基1個当たりのプレポリマー(PP)の分子量を示す数値である。本発明で用いられるイソシアネート末端プレポリマーのNCO当量は、より確実に本発明の効果を得る観点から、350~700が好ましく、400~650がより好ましい。
(研磨層の製造)
研磨パッドの作製にプレポリマーとして、ダングリング鎖の異なるポリオールA~D及び2,4-TDI由来のイソシアネート末端プレポリマーA~Dを用意した。ポリオールA~Dとイソシアネート末端プレポリマーA~Dの関係を表1に示す。ポリオールのダングリング鎖はいずれも直鎖状アルキル基であった。これに中空微小球体(日本フィライト社製EXPANCEL461DE20D70)を加え、55℃に加熱し減圧下で脱泡した。硬化剤のMOCAは、120℃で溶解させ、減圧下で脱泡した。これらをプレポリマー:MOCA:中空微小球体を重量比で表2の割合で混合した。得られた混合液を注型し、80℃で30分、加熱硬化させた後に脱型し、さらに120℃のオーブンで4時間加熱し、最終的に厚さ1.3mmにスライスし研磨層を作製した。使用したポリオールA~Dを下記する。
ポリオールA:1,36-ヘンテトラコンタンジオール(ダングリング鎖の炭素数5)
ポリオールB:1,31-ヘンテトラコンタンジオール(ダングリング鎖の炭素数10)
ポリオールC:1,26-ヘンテトラコンタンジオール(ダングリング鎖の炭素数15)
ポリオールD:ポリプロピレングリコール(ダングリング鎖の炭素数1)
Figure 2022150625000002
Figure 2022150625000003
(密度)
得られた研磨層について、密度(g/cm)は、日本工業規格(JISK6505)に準拠して、測定用サンプル片の体積と重量から算出した。
(D硬度)
得られた研磨層について、日本工業規格(JIS-K-6253)に準拠して、D型硬度計を用いてD硬度測定を行った。ここで、D硬度を測定するための試料は、少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように、必要に応じて複数枚の測定用サンプルを重ねることで得た。
(クッション層の製造)
クッション層の作製にポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。30%ポリウレタン樹脂溶液100部に対して、溶媒のDMFの25部、顔料としてカーボンブラック20%を含むDMF分散液40部、成膜安定剤の疎水性活性剤2部を添加し混合してポリウレタン樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液を厚さ0.7mmでPET基材(厚さ0.188mm)に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液から有機溶媒を脱溶媒させ、PET基材を含めてクッション層を作製した。このクッション層は厚さ0.7mm、A硬度が59であった。
(研磨パッドの製造)
研磨層3およびクッション層6を厚さ0.1mmの両面テープ(PET基材の両面にアクリル系樹脂からなる接着剤を備えるもの)で貼り合わせて研磨パッドを製造した。
(研磨性能評価(エッジプロファイルの作成))
実施例及び比較例の研磨パッドについて、下記研磨条件について、研磨を実施した。研磨実施の際に直径121点において、研磨レート(RR)を測定した。なお、半径140mmより内側は2.5mmピッチで測定、外側は1mmピッチで測定した。その後、被研磨物の最エッジ部(中心から149mmの部分)の研磨レートを中心から100~140mmの部分の研磨レートの平均で割った値を「最エッジレート」として算出し、端部ダレの評価とした。最エッジレートが1.00に近いほど、被研磨物の中心と端部とで研磨レートが均等であり、被研磨物を端部まで平坦に研磨できていることを示す。また、被研磨物の中心から140mmより外側の部分での研磨レートにおいて143~147mmの部分を基準に上下に各2%以上の凹凸が確認されたもの(過剰研磨部分とその反動部分に相当)が確認されたものは、「リバウンドあり」と評価した。
(研磨条件)
使用研磨機:荏原製作所社製、F-REX300X
Disk:3M A188(#100)
回転数:(定盤)85rpm、(トップリング)86rpm
研磨圧力:3.5psi
研磨剤:フジミインコーポレーテッド製、品番:PL6115(PL6115原液:純水=重量比1:1の混合液を使用)
研磨剤温度:20℃
研磨剤吐出量:200ml/min
被研磨物:12インチシリコンウエハ上にテトラエトキシシランをPE-CVDで絶縁膜1μmの厚さになるように形成した基板
パッドブレーク:35N 10分
コンディショニング:Ex-situ、35N、4スキャン
研磨処理枚数:25枚
(研磨性能評価(スクラッチ性))
実施例及び比較例の研磨パッドについて、スクラッチ性を評価した。研磨後の被研磨物を、ウエハ表面検査装置(KLAテンコール社製、SurfscanSP2xpDLS)の高感度測定モードを用いて、大きさが90nm以上となるディフェクト(表面欠陥)を検出した。検出された各ディフェクトについて、レビューSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、RS-4000)を用いて解析を行い、「スクラッチ」の個数を計測した。研磨試験結果を表3に示す。
Figure 2022150625000004
実施例1及び実施例2の研磨パッドは最エッジレート、スクラッチ個数共に良好な結果が得られた。一方、ダングリング鎖の長い比較例1では良好な平坦性が得られたものの、スクラッチは大幅に悪化した。ダングリング鎖が短い比較例2ではスクラッチ数は良好な結果であったが、平坦性では悪化した。よって、ダングリング鎖が適度に長いことで平坦性がよく、ダングリング鎖が適度に長すぎないことでスクラッチが抑制できたことが確認できた。
本発明は、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
1 研磨装置
3 研磨パッド
4 研磨層
4A 中空微小球体
6 クッション層
6A 涙型気泡
7 接着層
8 被研磨物
9 スラリー
10 研磨定盤

Claims (7)

  1. イソシアネート末端プレポリマー及び硬化剤に由来するポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドであって、
    前記イソシアネート末端プレポリマーは、少なくともポリイソシアネート化合物由来構成単位と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオール由来構成単位とを含む、研磨パッド。
  2. 前記ダングリング鎖が直鎖状アルキル基である、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記研磨層は中空微小球体を含有する、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記研磨層の密度が0.7~0.9g/cmであり、かつ、前記研磨層のD硬度が50~70度である、請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  5. 前記硬化剤が少なくとも3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  6. 前記研磨パッドが、さらに涙型気泡を有するクッション層を積層した積層研磨パッドである、請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  7. ポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドの製造方法であって、
    ポリイソシアネート化合物と、炭素数5~10のダングリング鎖を有するポリオールとを反応させ、イソシアネート末端プレポリマーを得る工程と、
    前記イソシアネート末端プレポリマーと、硬化剤とを反応性させ、前記ポリウレタン樹脂を得る工程と、
    前記ポリウレタン樹脂を成形し、研磨層の形状にする工程と、を含む製造方法。
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