JP2022150565A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022150565A
JP2022150565A JP2021053218A JP2021053218A JP2022150565A JP 2022150565 A JP2022150565 A JP 2022150565A JP 2021053218 A JP2021053218 A JP 2021053218A JP 2021053218 A JP2021053218 A JP 2021053218A JP 2022150565 A JP2022150565 A JP 2022150565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heating element
power
amount
supplied
fixing device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021053218A
Other languages
English (en)
Inventor
康平 若津
Kohei Wakatsu
一洋 道田
Kazuhiro Michida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2021053218A priority Critical patent/JP2022150565A/ja
Priority to US17/686,686 priority patent/US11709446B2/en
Publication of JP2022150565A publication Critical patent/JP2022150565A/ja
Priority to US18/329,648 priority patent/US20230314990A1/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2053Structural details of heat elements, e.g. structure of roller or belt, eddy current, induction heating
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature
    • G03G15/2042Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature specially for the axial heat partition
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G2215/00Apparatus for electrophotographic processes
    • G03G2215/20Details of the fixing device or porcess
    • G03G2215/2003Structural features of the fixing device
    • G03G2215/2016Heating belt
    • G03G2215/2035Heating belt the fixing nip having a stationary belt support member opposing a pressure member

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うこと。【解決手段】定着フィルム51、発熱体54b1、54b3を有し定着フィルム51を加熱するヒータ54、加圧ローラ53と、ヒータ54の温度を検知するサーミスタ59a、交流電源55から発熱体54b1、54b3への電力供給路を切り替えるトライアック56a、56b、トライアック56a、56bを制御し発熱体54b1、54b3に電力供給するCPU94を備え、CPU94はヒータ54の温度と目標温度とに基づいて、発熱体54b1、54b3へ単位期間あたりに供給する電力量を決定し電力を供給する第1の電力制御(S101~S103)と、第1の電力制御における、発熱体54b1と発熱体54b3へ供給する電力量との比率を制御する、又は発熱体54b1と発熱体54b3へ電力を供給する期間との比率を制御する第2の電力制御(S105~S108)とを行う。【選択図】図7

Description

本発明は、定着装置、及び定着装置を備える画像形成装置に関する。
定着装置において、用紙を加熱するヒータ(加熱装置)の長手方向のヒータ幅より幅の狭い用紙を連続印刷すると、用紙が通過しないヒータの領域において、温度が徐々に上昇する非通紙部昇温という現象が生じる。そして、非通紙部の温度上昇が顕著になると、定着フィルムや加圧ローラといった定着装置の定着部材が温度上昇によるダメージを受けることがある。そこで、例えば、特許文献1では、ヒータの長手方向の中央部と端部の発熱比率を切り替えることで、定着装置における非通紙部昇温を低減させる構成が提案されている。
特開2001-100558号公報
上述した方式では、定着装置の長手方向の端部の温度を、長手方向の中央部の温度に対して一定範囲内に保持するように温度制御が行われているが、より精度の高い温度制御が求められている。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うことを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
(1)記録材上のトナーを加熱することで記録材に定着させる定着装置であって、筒状のフィルムと、第1の発熱体と、長手方向の長さが前記第1の発熱体よりも短い第2の発熱体と、を有し、前記フィルムの内部空間に配置され、前記フィルムを加熱するヒータと、前記フィルムとニップ部を形成する加圧ローラと、前記ヒータの温度を検知する検知手段と、交流電源から前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体への電力供給路を切り替える切替手段と、前記切替手段を制御し、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体に電力を供給させる制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記ヒータの温度と前記ヒータの目標温度とに基づいて、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体へ単位期間あたりに供給する電力量を決定し、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体に電力を供給する第1の電力制御と、前記第1の電力制御における、前記第1の発熱体へ供給する電力量と前記第2の発熱体へ供給する電力量との比率を制御する、又は前記第1の電力制御における、前記第1の発熱体へ電力を供給する期間と前記第2の発熱体へ電力を供給する期間との比率を制御する第2の電力制御と、を行うことを特徴とする定着装置。
(2)記録材に画像形成を行う画像形成部と、記録材を前記画像形成部に給送する給紙部と、前記(1)に記載の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うことができる。
実施例1~4の画像形成装置の構成を示す断面図 実施例1~4の画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図 実施例1~4の定着装置の構成を説明する断面模式図 実施例1~4のヒータの構成を示す模式図 実施例1~4のヒータの断面を示す模式図 実施例1~4の定着装置の電力制御回路の構成を示す模式図 実施例1の発熱体の電力供給制御シーケンスを示すフローチャート 実施例1の発熱体への電力供給状態を説明する図 実施例2の発熱体の電力供給制御シーケンスを示すフローチャート 実施例2の発熱体への電力供給状態を説明する図 実施例3の発熱体の電力供給制御シーケンスを示すフローチャート 実施例4の発熱体の電力供給制御シーケンスを示すフローチャート
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施例において、記録材を定着装置の定着ニップ部に通すことを、通紙するという。また、発熱体が発熱している領域で、記録材が通紙していない領域を非通紙領域(又は非通紙部)といい、記録材が通紙している領域を通紙領域(又は通紙部)という。更に、非通紙領域が通紙領域に比べて温度が高くなってしまう現象を、非通紙部昇温という。
[画像形成装置の全体構成]
図1は実施例1の定着装置を搭載した一例の画像形成装置である、インライン方式のカラー画像形成装置の構成を示す断面図である。図1を用いて電子写真方式のカラー画像形成装置の構成を説明する。なお、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーションとしている。また、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
第1ステーションで、像担持体である感光ドラム1aは、OPC感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層等からなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低く略絶縁されている。帯電手段である帯電ローラ2aは感光ドラム1aに当接し、感光ドラム1aの回転に伴い、従動回転しなから感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧又は交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面とのニップ部から、感光ドラム1aの回転方向の上流側及び下流側の微小な空気ギャップにおいて放電が発生する。これにより、感光ドラム1aが帯電される。クリーニングユニット3aは、後述する1次転写後に感光ドラム1a上に残ったトナーをクリーニングするユニットである。現像手段である現像ユニット8aは非磁性一成分トナー5aを格納し、現像ローラ4a、現像剤塗布ブレード7aを有している。感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、画像形成装置に対して着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9a(画像形成部)に収容されている。
露光手段である露光装置11aは、レーザ光を回転多面鏡によって反射させ、感光ドラム1a上を走査するスキャナユニット又はLED(発光ダイオード)アレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電高電圧電源20aに接続されている。現像ローラ4aは、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像高電圧電源21aに接続されている。1次転写ローラ10aは、1次転写ローラ10aへの電圧供給手段である1次転写高電圧電源22aに接続されている。以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成を有している。他のステーションについて、第1ステーションと同一の機能を有する部品は同一の符号を付し、符号の添え字にステーションごとにb、c、dを付している。なお、以下の説明において、特定のステーションについて説明する場合を除き、添え字a、b、c、dを省略する。
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ15、テンションローラ14、補助ローラ19の3本のローラにより支持されている。テンションローラ14だけが、バネ(不図示)で中間転写ベルト13を張る方向の力が加えられており、中間転写ベルト13に適当なテンション力が維持されるようになっている。2次転写対向ローラ15はメインモータ99(図2参照)からの回転駆動を受けて回転し、外周に巻かれた中間転写ベルト13が回動する。中間転写ベルト13は感光ドラム1a~1d(例えば、図1では反時計回り方向に回転)に対して、矢印方向(例えば、図1では時計回り方向)に略同速度で移動する。また、1次転写ローラ10は中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と対向する位置に配置されて、中間転写ベルト13の移動に伴い従動回転する。中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と1次転写ローラ10とが当接している位置を1次転写位置という。補助ローラ19、テンションローラ14及び2次転写対向ローラ15は電気的に接地されている。なお、第2~第4ステーションも1次転写ローラ10b~10dは第1ステーションの1次転写ローラ10aと同様の構成を有しているので、説明を省略する。
次に、図1に示す画像形成装置の画像形成動作について説明する。画像形成装置は待機状態時に印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートする。感光ドラム1や中間転写ベルト13等は、メインモータ99によって所定のプロセススピードで、図中矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電高電圧電源20aにより電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に帯電され、続いて露光装置11aから照射された走査ビーム12aによって画像情報に基づいた静電潜像が形成される。現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像ローラ4aに塗布される。そして、現像ローラ4aには、現像高電圧電源21aにより所定の現像電圧が印加される。感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像ローラ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーが付着することによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(例えば、Y(イエロー))のトナー像が形成される。他の色M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各ステーション(プロセスカートリッジ9b~9d)も同様に動作する。各色の1次転写位置間の距離に応じたタイミングでコントローラ(不図示)からの書き出し信号を遅らせながら、露光装置11からの走査ビーム12によって、静電潜像が各感光ドラム1a~1d上に形成される。それぞれの1次転写ローラ10a~10dにはトナーと逆極性の直流高電圧が印加される。これにより、感光ドラム1a~1d上のトナー像が、順に中間転写ベルト13に転写されて(以下、1次転写という)、中間転写ベルト13上に多重トナー像が形成される。
その後、トナー像の作像に合わせて、カセット16(給紙部)に積載されている記録材である用紙Pは、給紙ソレノイド(不図示)によって回転駆動される給紙ローラ17により給送される。給送された用紙Pは搬送ローラ(不図示)によりレジストレーションローラ(以下、レジストローラという)18に搬送される。用紙Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期して、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25との当接部である転写ニップ部へ搬送される。2次転写ローラ25には、2次転写高電圧電源26によりトナーと逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して用紙P上(記録材上)に転写される(以下、2次転写という)。一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留したトナーは、クリーニングユニット27によって清掃される。2次転写が終了した後の用紙Pは、定着手段である定着装置50へと搬送され、トナー像が定着された用紙Pは画像形成物(プリント、コピー)として排出トレイ30に排出される。なお、定着装置50の定着フィルム51、ニップ形成部材52、加圧ローラ53、ヒータ54については後述する。
[画像形成装置の制御ブロック図]
図2は画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図であり、この図を参照しながら画像形成装置の印刷動作について説明する。ホストコンピュータであるPC110は、画像形成装置の内部にあるビデオコントローラ91に対して、印刷画像の画像データや印刷情報を含んだ印刷指令を送信する。
ビデオコントローラ91は、PC110から受信した画像データを露光データに変換し、エンジンコントローラ92内にある露光制御装置93に転送するとともに、印刷指令をCPU94に送信する。露光制御装置93はCPU94により制御され、露光データに応じてレーザ光のオン・オフを行う露光装置11の制御を行う。制御手段であるCPU94は、ビデオコントローラ91から印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートさせる。
エンジンコントローラ92には、CPU94、メモリ95等が搭載されている。CPU94は、メモリ95に予め格納されたプログラムに従って動作する。また、CPU94は、時間を測定するタイマを有しており、メモリ95には後述する定着装置50を制御する各種情報が格納されている。高電圧電源96は、上述した帯電高電圧電源20、現像高電圧電源21、1次転写高電圧電源22、2次転写高電圧電源26から構成される。また、定着電力制御装置97は、供給制御部である双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56、電力を供給する発熱体を排他的に選択する切替部としての発熱体切替器57(図6参照)等から構成される。定着電力制御装置97は、定着装置50において電力供給する発熱体を選択し、供給する電力量を決定する。
駆動装置98はメインモータ99、定着モータ100等から構成される。また、センサ101は定着装置50の温度を検知する温度検知手段である定着温度センサ59、用紙Pの幅を検知する紙幅センサ31等からなり、センサ101の検知結果はCPU94に送信される。CPU94はセンサ101の検知結果を取得し、検知結果に基づいて、露光装置11、高電圧電源96、定着電力制御装置97、駆動装置98を制御する。これにより、CPU94は、静電潜像の形成、現像されたトナー像の用紙Pへの転写、転写されたトナー像の用紙Pへの定着等を行い、PC110から受信した画像データがトナー像として用紙P上に印刷される画像形成工程の制御を行う。なお、本発明が適用される画像形成装置は、図1で説明した構成の画像形成装置に限定されるものではなく、異なる幅の用紙Pを印刷することが可能で、後述するヒータ54を有する定着装置50を備える画像形成装置であればよい。
[定着装置の構成]
次に、発熱体により用紙P上のトナー像を加熱する加熱装置(ヒータ)を制御する定着装置50の構成について図3を用いて説明する。ここで「長手方向」とは、後述する用紙Pの搬送方向と略直交する加圧ローラ53の回転軸方向のことである。また、用紙Pの搬送方向に略直交する方向(長手方向)の用紙Pの長さを用紙幅という。
図3は、定着装置50の構成を説明する断面模式図である。定着装置50では、図中左側から未定着のトナー像Tを担持した用紙Pは、定着フィルム51(以下、フィルム51という)と加圧ローラ53とが当接して構成される定着ニップ部Nに向かって、図中矢印方向に搬送される。定着ニップ部Nでは、定着フィルム51は加圧ローラ53とヒータ40により挟持される。そして、用紙Pは、定着ニップ部Nにおいて図中左側から右方向に搬送されながら加熱されることにより、トナー像Tが用紙Pに定着される。定着装置50は、円筒状のフィルム51、フィルム51を保持するニップ形成部材52、フィルム51と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ53、及び用紙Pを加熱する加熱装置であるヒータ54(ヒータ部)により構成されている。
フィルム51は加熱回転体としての定着フィルムである。フィルム51は、基層として、例えばポリイミドを用いており、基層の上にシリコーンゴムからなる弾性層、PFAからなる離型層が形成されている。フィルム51が回転することにより、ニップ形成部材52及びヒータ54とフィルム51との間に生じる摩擦力を低減するために、フィルム51の内面にはグリスが塗布されている。
ニップ形成部材52は、フィルム51を内側からガイドすると共に、フィルム51と加圧ローラ53との間で定着ニップ部Nを形成させる。ニップ形成部材52は剛性・耐熱性・断熱性を有する部材であり、液晶ポリマー等により形成されている。フィルム51は、ニップ形成部材52に対して外嵌されている。加圧ローラ53は、加圧回転体としてのローラであり、芯金53a、弾性層53b、離型層53cから構成されている。加圧ローラ53は、長手方向の両端部を回転可能に保持されており、定着モータ100(図2)によって回転駆動され、加圧ローラ53が回転することにより、フィルム51は従動回転する。加熱部材であるヒータ54は定着フィルム51の内部空間に配置されて、ニップ形成部材52に保持され、フィルム51の内面と接している。ヒータ54の詳細については後述する。
[ヒータ部の概要]
次に、加熱部であるヒータ54について説明する。図4は、発熱体が配置されたヒータ54を、図3に示す加圧ローラ53側から見たときのヒータ54の構成を示す模式図である。図4において、基準線aは、発熱体54b1a、54b1b、54b2、54b3の長手方向の中心線であり、定着装置50の定着ニップ部Nに搬送される用紙Pの長手方向(用紙幅方向)の中心線でもある。図4に示すように、ヒータ54は、基板54a、発熱体54b1a、54b1b、54b2、54b3、導体54c、接点54d1~54d4、保護ガラス層54eを有している。導体54cは、図中、黒く塗られた部分である。本実施例の基板54aには、セラミックであるアルミナ(Al)が用いられている。セラミック基板としては、アルミナ(Al)、窒化アルミ(AlN)、ジルコニア(ZrO)、炭化ケイ素(SiC)などが広く知られており、中でもアルミナ(Al)は、価格が安く、入手が容易である。また、基板54aには強度面に優れる金属を用いてもよい。金属基板を用いる場合には、ステンレス(SUS)が価格的にも強度的にも優れており、好適に用いられる。また、セラミック基板、金属基板のいずれにおいても、導電性を有する場合は絶縁層を設けて使用すればよい。基板54a上には、発熱体54b1a、54b1b、54b2、54b3、導体54c、接点54d1~54d4が配置され、その上に各発熱体とフィルム51との絶縁を確保するために、保護ガラス層54eがコーティングされている。
各発熱体は、長手方向の長さ(図4中の左右方向の長さ)が異なっており、発熱体54b1a、54b1bの長手方向の長さL1は222mm、発熱体54b2の長手方向の長さL2は188mm、発熱体54b3の長手方向の長さL3は154mmである。長手方向の長さL1、L2、L3の大小関係は、長さL1>長さL2>長さL3となっている。例えば、使用する用紙PがA4サイズの場合には、発熱体54b1a、54b1bが使用され、使用する用紙PがB5サイズの場合には、発熱体54b2が主に使用され、使用する用紙PがA5サイズの場合には、発熱体54b3が主に使用される。また、各発熱体は、短手方向(図4中の上下方向)に発熱体54b1a、54b2、54b3、54b1bの順に配置されている。
図4に示すように、発熱体54b1a、54b1bは、導体54cを介して、それぞれ一端を接点54d2(第1の接点)に、他端を接点54d4(第4の接点)に電気的に接続されている。また、発熱体54b2は、導体54cを介して、一端を接点54d2に、他端を接点54d3(第3の接点)に電気的に接続されている。同様に、発熱体54b3は、導体54cを介して、一端を接点54d1(第2の接点)に、他端を接点54d3に電気的に接続されている。なお、図4に示すように、発熱体54b1aと発熱体54b1bの長手方向の長さは同じ長さL1であり、この2つの発熱体54b1a、54b1bは、常に同時に使用される。以下では、一対の発熱体54b1a、54b1bを合わせて発熱体54b1(第1の発熱体)と呼ぶ。また、発熱体の抵抗値は、発熱体54b1が10.7Ω(発熱体54b1aと54b1bの合成抵抗値)、発熱体54b2(第3の発熱体)が24.1Ω、発熱体54b3(第2の発熱体)が24.1Ωである。
図4において、破線で囲まれているのは、定着温度センサ59である。破線は、定着温度センサ59が、基板54aの裏面(発熱体54b1、54b2、54b3が配置されている面の反対側)に配置されていることを表すと共に、定着温度センサ59が基板54aに当接する位置を示している。定着温度センサ59の温度を検知するサーミスタ59aは、発熱体54b1、54b2、54b3の長手方向の中心線上で、かつ、定着装置50に搬送される用紙Pの中心線である基準線a上に配置されている。
[ヒータ部の構成]
図5は、図4に示すヒータ54を、定着装置50に搬送される用紙Pの長手方向の中心線(図4の基準線a)で切断したときのヒータ54の断面を示す模式図である。ヒータ54の温度を検知する温度検知手段である定着温度センサ59は、次の部材から構成されている。すなわち、定着温度センサ59は、サーミスタ59a、ホルダ59b、ホルダ59bとサーミスタ59aとの間の熱伝導を遮断するセラミックペーパー59c、サーミスタ59aを物理的、電気的に保護する絶縁樹脂シート59dで構成されている。サーミスタ59aは、ヒータ54の温度に応じて抵抗値が変化し、出力である電圧が変化する温度検知素子であり、ジュメット線(不図示)と配線によりCPU94と接続されており、ヒータ54の温度に応じた電圧をCPU94に出力する。CPU94は、定着温度センサ59(サーミスタ59a)の温度検知結果に基づいて、ヒータ54の温度制御を行う。定着温度センサ59は、保護ガラス層54eにより覆われた発熱体54b1、54b2、54b3が配置された基板54aの面とは反対側の面に配置され、基板54aと接している。
[電力制御回路]
図6は、定着装置50の電力制御回路の構成を示す模式図である。本実施例の定着装置50は、用紙Pのサイズに応じて、電力供給を行う発熱体を切り替えることで、ヒータ54の長手方向における所望の温度分布を形成する。
定着装置50の電力制御回路は、電力供給路の接続又は切断を行う切替手段であるトライアック56a、56b、発熱体切替器57、トライアック状態検知部58、及びすべての発熱体への電力供給を遮断するリレー60(第2のリレー)を有している。トライアック56a、56bは、交流電源55から各発熱体54b1、54b2、54b3への電力供給路の接続又は切断を行う。発熱体切替器57は、本実施例ではC接点リレーにより構成されている(以下、リレー57という)。また、トライアック状態検知部58は、トライアック56a、56bのオン状態・オフ状態の監視を行う。
トライアック56a(第1のスイッチ)は、交流電源55とヒータ54の接点54d4との間の電力供給路の接続(オン状態)、又は切断(オフ状態)を行う。一方、トライアック56b(第2のスイッチ)は、交流電源55とリレー57を介してヒータ54の接点54d3との間、又は交流電源55とヒータ54の接点54d1との間の電力供給路の接続(オン状態)、又は切断(オフ状態)を行う。リレー57(第1のリレー)は、ヒータ54の接点54d3をトライアック56b、又は交流電源55に接続するように切替可能である。
例えば、交流電源55から発熱体54b1に電力を供給する場合には、トライアック56aをオンして交流電源55とヒータ54の接点54d4とを接続し、トライアック56bをオフする。これにより、発熱体54b1(54b1a、54b1b)がヒータ54の接点54d2、54d4を介して、交流電源55と接続される。また、交流電源55から発熱体54b2に電力を供給する場合には、トライアック56bをオンして交流電源55とリレー57とを接続し、リレー57を制御してヒータ54の接点54d3をトライアック56bと接続し、トライアック56aをオフする。これにより、発熱体54b2の一端がヒータ54の接点54d3、リレー57、トライアック56bを介して交流電源55と接続され、発熱体54b2の他端がヒータ54の接点54d2を介して、交流電源55と接続される。
また、交流電源55から発熱体54b3に電力を供給する場合には、トライアック56bをオンし、リレー57を制御してヒータ54の接点54d3を交流電源55と接続して、トライアック56aをオフする。これにより、発熱体54b3の一端がヒータ54の接点54d3、リレー57を介して交流電源55と接続され、発熱体54b3の他端がヒータ54の接点54d1、トライアック56bを介して、交流電源55と接続される。なお、トライアック56a、56bのオン・オフ動作は、CPU94からの指令(制御信号)によって行われる。
トライアック状態検知部58は、トライアック56a、56bのオン状態、オフ状態を検知する。例えばCPU94の予期せぬ故障等によって、トライアック56a、56bが同時にオン状態になった場合には、トライアック状態検知部58は、リレー60をオフ状態に設定して、交流電源55から定着装置50(ヒータ54)への電力供給を強制的に遮断する。これにより、トライアック56a、56bは、どちらか一方のみがオン状態となる、両方ともオフ状態となる状態が保証され、定着装置50の故障を防止することができる。
このように、トライアック56a、56b、トライアック状態検知部58、リレー57は、3つの発熱体54b1、54b2、54b3のうちの1つの発熱体にのみ、交流電源55から電力供給されるように電力供給路の接続を切り替える切替部として動作する。本実施例では、このような構成の切替部を用いたが、いずれか一つの発熱体にのみ電力供給が可能となればよく、電力供給路を制御する構成は上述した構成に限定されない。
また、切替部の切替期間、すなわち、いずれの発熱体にも電力供給が行われない過渡期間はなるべく短いことが好ましい。その理由としては、用紙Pの印刷途中での発熱体の切替期間が長いと、ヒータ54の意図しない温度低下が発生し、用紙P上のトナーの溶融不足を招く場合があるためである。本実施例では、用紙Pの印刷途中での発熱体の切替には、トライアック56aとトライアック56bのオン・オフ状態を切り替える方式を用いている。そのため、本実施例では、トライアック56aとトライアック56bのオン・オフ状態の切替に要する時間は限りなく0に近い。これにより、交流電源55の電圧波形の半波期間(電源周波数の半周期)、トライアック56aを介して電力供給した後、次の半波期間(半周期)ではトライアック56bを介して電力供給することが可能となる。一方、印刷途中での発熱体の切替えにリレー57を用いる場合には、発熱体の切替時間を短くすることは難しい。なぜなら、リレー57の切替えに100msec(ミリ秒)程度の時間がかかる上、リレー57の切替え途中に電流が流れることで発生する接点溶着を防止するための期間を設ける必要があるからである。意図的にリレー57の切替時間を長くする実験を行ったところ、リレー57の切替時間が320msecを越えると、用紙P上のトナーの溶融不足が発生することがあった。そのため、リレー57を用紙Pの印刷中の発熱体の切替えに用いる場合であっても、リレー57の切替時間は320msec以下に設定することが好ましい。
[第1の電力制御]
本実施例では、定着温度センサ59が検知したヒータ54の温度を目標温度に近づけるために行う「第1の電力制御」と、複数の発熱体への電力量の配分を目標電力量に近づけるために行う「第2の電力制御」とを同時並行で行う。まず、第1の電力制御について説明する。第1の電力制御では、一定の周期で、ヒータ54の目標温度と定着温度センサ59により検知された温度との差分に応じて、発熱体へ供給する電力量を算出する。具体的には、CPU94は、一定の周期で、温度検知手段であるサーミスタ59aにて検知したヒータ54の温度情報に基づいて、ヒータ54の温度を用紙Pへの画像形成に適した目標温度に到達させるために必要な電力量を算出する。なお、本実施例では、交流電源55の位相制御により、発熱体への電力供給を行う。
本実施例では、電力量の算出にPI制御を用いており、PI制御による電力算出は、交流電源55の電圧波形の2半波(電源周波数の1周期)を1周期単位として、周期的に行われる。PI制御では、CPU94が、周期単位毎にサーミスタ59aによるヒータ54の検知温度と目標温度とを比較し、2つの温度の差分の大きさに応じて、PI制御における比例項と積分項の値を決定する。ここで、比例項は温度の差分の大きさに比例した値であり、積分項は温度の差分の積算値に応じた値である。CPU94は、比例項と積分項の値に基づいて、発熱体へ供給する電力量を決定する。本実施例では、予め、発熱体ごとに温度の差分の大きさに応じた比例項と積分項の値を設定しており、選択された発熱体の比例項と積分項の値を用いて、第1の電力制御であるPI制御の計算を行う。以下では、A5サイズの用紙Pに印刷を行う際の電力供給を行う発熱体として、発熱体54b1、54b3を用いた場合を例に説明する。
具体的に、本実施例のPI制御について説明する。nをPI制御を行うタイミング(周期)番号、タイミング番号に対応する比例項をP(単位:%)、積分項をI(単位:%)とする。PI制御により発熱体に投入される電力デューティD(単位:%)は、次の(式1)~(式3)で表される。
=P+I(100%≧P+I≧0%のとき)・・・(式1)
=100 (P+I>100%のとき)・・・(式2)
=0 (0%>P+Iのとき)・・・(式3)
ここで、電力デューティDは、交流電源55の交流電圧波形に対して、どれだけの電力供給を行うかで決定される電力量の投入割合を表したものである。電力デューティDは、位相制御により決定される電力供給パターンに応じて、0%~100%の値を取りうる。(式2)より、比例項P、積分項Iを加算した値が100%より大きい場合の電力デューティDは100%となる。一方、(式3)より、比例項P、積分項Iを加算した値が0%より小さい負の値の場合の電力デューティDは0%となる。位相制御による発熱体への電力供給パターンは、記憶部であるメモリ95に予め記憶されている。CPU94は、電力デューティDに応じて、メモリ95から該当する電力供給パターンを選択し、選択した電力供給パターンに応じて発熱体への電力供給を行う。
用紙Pへの印刷が開始されると、まず、積分制御によって操作される積分項Iの出力値の初期値Iが決定される。表1は、発熱体54b1、54b3の積分項Iの初期値I(単位:%)を示した表である。表1に示すように、発熱体54b1の初期値Iは32.5%であり、発熱体54b3の初期値Iは50%である。なお、比率IPについては後述する。
Figure 2022150565000002
電圧波形における2半波の周期(電源周波数の1周期)毎に、サーミスタ59aによるヒータ54の温度検知が行われ、ヒータ54の目標温度とサーミスタ59aにより検知された温度との差分ΔT(=目標温度-サーミスタ59aの検知温度)が算出される。表2は、算出された差分ΔT(単位:℃)に対応する、発熱体54b1、54b3の比例項P(単位:%)の値を示した表である。表2では、差分ΔTが-15℃から15℃までの差分ΔTが1℃変化する毎の発熱体54b1、54b3の比例項Pの値が示されている。例えば、2つの温度差分ΔTが-10℃の場合には、発熱体54b1の比例項Pは-27.5%となり、発熱体54b3の比例項Pは-42.5%となる。同様に、2つの温度差分ΔTが5℃の場合には、発熱体54b1の比例項Pは15%となり、発熱体54b3の比例項Pは22.5%となる。なお、比率PPについては後述する。
Figure 2022150565000003
また、CPU94は、2半波の周期で算出される温度の差分ΔTを積算した積算値ΔTをメモリ95に記憶させている。CPU94は、積分項Iを、次の(式4)を用いて算出する。
=In-1+ΔI・・・(式4)
例えば、積分項Iは、上述した積分項Iの初期値Iを用いて、I=I+ΔIにより算出される。また、ΔIの値は、差分ΔTを積算した積算値ΔTに応じて変化する。表3は、積算値ΔT(単位:℃)に応じた、発熱体54b1、54b3のΔIの値を示した表である。表3に示すように、積算値ΔTの値が-400以上で400未満の場合には、発熱体54b1、54b3のΔIの値は0%となる。一方、積算値ΔTの値が400以上の場合には、発熱体54b1のΔIの値は5%となり、発熱体54b3のΔIの値は10%となる。また、積算値ΔTの値が-400未満の場合には、発熱体54b1のΔIの値は-5%となり、発熱体54b3のΔIの値は-10%となる。
Figure 2022150565000004
上述した処理により、各発熱体の比例項P、積分項Iの値が決定され、決定された比例項P、積分項Iの値により電力デューティDが決定され、決定された電力デューティDに応じた電力が該当の発熱体に供給される。本実施例では、上述した電力デューティDの決定は2半波周期で行われ、決定された電力デューティDに基づいた電力が、次の2半波の期間に供給される。また、電力デューティDに応じた電力は、上述した切替部によって選択された発熱体へ供給される。本実施例では、電力を供給する発熱体を切り替えるタイミングは、PI制御の更新タイミング、すなわち電力デューティDを更新するタイミングと一致させている。
[発熱体への電力供給制御の例]
次に、実際の用紙Pへの印刷時の発熱体への電力供給の制御について説明する。表4は、用紙Pへの印刷において、時間経過に応じて発熱体に供給される電力量がどのように決定されるかを説明した表である。
Figure 2022150565000005
表4は、上から順に、次の項目から構成されている。すなわち、表4は、タイミングn、時間(単位:sec(秒))、目標温度(単位:℃)、サーミスタ検出値(単位:℃)、差分ΔT(単位:℃)、積算値ΔT(単位:℃)から構成されている。更に、表4は、電力供給される選択発熱体、発熱体54b1、54b3の電力計算結果(比例項P、積分項I、Duty(電力デューティ))、実際の電力デューティ、比率DPから構成されている。なお、比率DPについては後述する。
表4において、タイミングnが1のとき(時間は0secのとき)、サーミスタ59aによるヒータ54の検知温度を示すサーミスタ検出値は215℃であり、目標温度220℃との差分ΔTは、5℃(=220℃-215℃)である。また、このときの差分ΔTの積算値を示すΔTは380℃である。発熱体54b1の電力計算は、表2より差分ΔTが5℃の場合の比例項Iは15%となり、積分項Iは表3よりΔIは0%なので、式4よりI=I+ΔI=32.5%となる。その結果、電力デューティ(Duty)は、47.5%(=15%+32.5%)となる。同様に、発熱体54b3の電力計算は、表2より差分ΔTが5℃の場合の比例項Iは22.5%となり、積分項Iは表3よりΔIは0%なので、式4よりI=I+ΔI=50%となる。その結果、電力デューティ(Duty)は、72.5%(=22.5%+50%)となる。タイミングnが1のときの選択発熱体は54b1なので、ヒータ54に実際に供給される電力デューティは47.5%となる。
続いて、タイミングnが2のとき(時間は0.020secのとき)、サーミスタ59aによるヒータ54の検知温度を示すサーミスタ検出値は216℃であり、目標温度220℃との差分ΔTは、4℃(=220℃-216℃)である。また、このときの差分ΔTの積算値を示すΔTは384℃(=380℃+4℃)である。発熱体54b1の電力計算は、表2より差分ΔTが4℃の場合の比例項Pは12.5%となり、積分項Iは表3よりΔIは0%なので、式4よりI=I+ΔI=32.5%となる。その結果、電力デューティ(Duty)は、45%(=12.5%+32.5%)となる。同様に、発熱体54b3の電力計算は、表2より差分ΔTが4℃の場合の比例項Pは17.5%となり、積分項Iは表3よりΔIは0%なので、式4よりI=I+ΔI=50%となる。その結果、電力デューティ(Duty)は、67.5%(=17.5%+50%)となる。タイミングnが1のときの選択発熱体は54b3なので、ヒータ54に実際に供給される電力デューティは67.5%となる。
そして、タイミングnが7のとき(時間は0.120secのとき)、サーミスタ59aによるヒータ54の検知温度を示すサーミスタ検出値は217℃であり、目標温度220℃との差分ΔTは、3℃(=220℃-217℃)である。また、このときの差分ΔTの積算値を示すΔTは401℃(=398℃+3℃)となる。ところが、上述した表3により、積算値ΔTが400℃以上の場合には、ΔIは0%ではなく、発熱体54b1の場合には5%、発熱体54b3の場合には10%となる。更に、積算値ΔTは積算値が400℃を超えると一旦リセットされる。そのため、積算値ΔTは1(=401-400)となっている。発熱体54b1の電力計算は、表2より差分ΔTが3℃の場合の比例項Pは10%となり、積分項Iは表3よりΔIは5%なので、式4よりI=I+ΔI=32.5%+5%=37.5%となる。その結果、電力デューティ(Duty)は、47.5%(=10%+37.5%)となる。同様に、発熱体54b3の電力計算は、表2より差分ΔTが3℃の場合の比例項Pは15%となり、積分項Iは表3よりΔIは10%なので、式4よりI=I+ΔI=50%+10%=60%となる。その結果、電力デューティ(Duty)は、75%(=15%+60%)となる。タイミングnが7のときの選択発熱体は54b1なので、ヒータ54に実際に供給される電力デューティは47.5%となる。
[発熱体に供給する電力比率]
第1の電力制御であるPI制御によって、サーミスタ59aにより検知されるヒータ54の温度を目標温度に近づけて安定させるためには、次のことが重要である。すなわち、電力供給先が抵抗値の異なる発熱体に切替えが行われた場合でも、サーミスタ59が配置されたヒータ54の長手方向の中央部に供給される電力量の大きさが急峻に変化せず、安定して供給されることが重要である。言い換えれば、電力が供給される発熱体の切替えが行われた場合においても、発熱体の長手方向の単位長さ当たりの供給電力が急峻に変化しないことが重要である。
ここで、発熱体の長手方向の単位長さ当たりに供給される電力量Wは、交流電源55の交流電圧をV、発熱体の抵抗値をR、発熱体の長手方向の長さ(幅)をL、電力デューティをDとすると、次の(式5)で表される。
W=(V/R)×D×(1/L)(W/m)
=(V×D)/(R×L)・・・(式5)
発熱体が切り替えられても、発熱体の長手方向の単位長さ当たりに供給される電力量Wが急峻に変化しないためには、式(5)から、発熱体の抵抗値Rと長さLの積に応じた電力デューティDを発熱体ごとに設定することが必要である。
ここで、発熱体54b1の抵抗値をR1、長手方向の長さをL1、比例項をP1、積分項の初期値をI1、電力デューティをD1とする。同様に、発熱体54b3の抵抗値をR2、長手方向の長さをL2、比例項をP2、積分項の初期値をI2、電力デューティをD2とする。また、発熱体54b3に供給される電力デューティの単位長さあたりの比例項Pに対する、発熱体54b1に供給される電力デューティの単位長さあたりの比例項Pの比率をPPとする。同様に、発熱体54b3に供給される電力デューティの単位長さあたりの積分項の初期値Iに対する、発熱体54b1に供給される電力デューティの単位長さあたりの積分項の初期値Iの比率をIPとする。更に、発熱体54b3に供給される電力デューティDの単位長さあたりの値に対する、発熱体54b1に供給される電力デューティDの単位長さあたりの値の比率をDPとする。
上述した比例項Pの比率PP、積分項の初期値Iの比率IP、電力デューティDの単位長さあたりの比率DPは、それぞれ、次の(式6)、(式7)、(式8)のように表される。
PP=(P1/(R1×L1))/(P2/(R2×L2))
=(P1/P2)×((R2×L2)/(R1×L1))・・・(式6)
P=(I1/(R1×L1))/(I2/(R2×L2))
=(I1/I2)×((R2×L2)/(R1×L1))・・・(式7)
DP=(D1/(R1×L1))/(D2/(R2×L2))
=(D1/D2)×((R2×L2)/(R1×L1))・・・(式8)
(式5)で表される発熱体の長手方向の単位長さ当たりの電力量Wを、発熱体切替時において急峻に変化させないためには、(式8)に示す比率DPの値をなるべく1に近づけるのがよい。表1に示す比率IP、表2に示す比率PPは、それぞれ(式7)より算出した比率IP、(式6)より算出した比率PPの値を示している。表1、表2に示すように、比率IP、及び比率PPの値は1に近い値となっている。このように、比率IP、及び比率PPの値は1に近い値となっていることで、ヒータ54の温度と目標温度との差分ΔTによらず、発熱体の切替えが行われた前後で比例項Pと積分項Iの値が急峻に変化しないことがわかる。そして、比例項の比率PPと積分項の比率IPが1に近いということは、比例項Pと積分項Iの合算で表される電力デューティDの比率DPも1に近づくことになる。
しかしながら、電力デューティDの比率DPを1から遠ざける要因として、次の2つのケースを考慮する必要がある。第1のケースは、比例項Pと積分項Iの合算値が100%を超える、又は0%未満になり、電力デューティDが100%、又は0%となるケースである。電力デューティDが100%になるケースとしては、ヒータ54を室温近くの温度から目標温度に向けて定着装置50を暖める途中の定着装置立ち上げ時が考えられる。一方、電力デューティDが0%になるケースとしては、定着装置50の立ち上げが完了した直後など、目標温度に対してサーミスタ59aによるヒータ54の検知温度が大きくオーバーシュートしているケースが考えられる。このように、第1のケースは、定着装置50の暖め途中などの過渡期に発生する。そのため、時間が経過し、サーミスタ59aの検知温度がある程度、目標温度に近づいた場合には、電力デューティDの値は0%~100%の間で制御され、発熱体毎の電力デューティの比率DPは1に近づくことになる。
また、電力デューティDの比率DPを1から遠ざける第2のケースは、積分項Iが変化するケースである。上述した(式4)に示されるように、積分項Iは時間経過と共に、変化していく可能性がある。しかしながら、本実施例の構成では、積分項Iの変化があったとしても電力デューティDの比率DPの変化は限定的であり、比率DPは0.8~1.2の間に収まり、電力の急峻な変化を抑制できることが、表1、表3に示す設定値を用いた実験で確認されている。また、本実施例の構成を用いて、発熱体毎の比例項P、積分項Iの比率を変化させ、意図的に電力デューティの比率DPの値を変化させる実験を行った。実験の結果、電力デューティの比率DPが0.7未満、又は1.3よりも大きいと、サーミスタ59aによるヒータ54の検知温度が目標温度に近づかず、検知温度が上昇下降を繰り返す場合があった。このように、発熱体切替えを行う場合においても、ヒータ54の温度制御を安定させるためには、電力デューティの比率DPの値は0.7~1.3の間に保つことが好ましい。
以上説明したように、本実施例では、第1の電力制御であるPI制御によって、発熱体への電力供給(電力供給量)を変更する。具体的には、位相制御によって電力供給のON/OFFの比率(電力デューティ)を変更する。これにより、定着装置50のヒータ54の温度を制御する。また、本実施例では、発熱体の単位長さ当たりの電力量が、発熱体の抵抗値、長手方向の長さ、及び電力デューティDによって表される。電力デューティは第1の電力制御のPI制御によって決定され、発熱体の抵抗値と長手方向の長さ(幅)に応じて、電力デューティDの大きさを変化させる。具体的には、発熱体の抵抗値と長手方向の幅を乗じた積が大きいほど、電力デューティDの値を大きくする。そして、上述した電力デューティDの比率DPの値を1になるべく近づけるように設定する。このような構成にすることで、発熱体の切替時に発熱体に供給される電力量が急峻に変化することを防止し、定着装置50の温度を安定させることが可能となる。
また、本実施例では、2半波を周期単位とするPI制御を用いたが、PI制御の更新周期や制御方法は、これに限定されるものではない。また、本実施例では、位相制御による電力供給のON/OFFの比率を変更する方式を用いたが、電力供給を制御する方法はこれに限定されるものではない。例えば、電流制限回路を設けて交流電源55から供給される電流の振幅を制限することで、電力供給量の大きさを変更してもよい。また、上述した切替部による発熱体の選択は、後述する第2の電力制御によって行われるが、第2の電力制御については後述する。
[カウント温度予測方式]
次に、定着装置50の各部材の温度を予測する予測手段であるカウント温度予測方式について説明する。本実施例では、定着装置50の各部材(例えばフィルム51、加圧ローラ53、ニップ形成部材52等)の温度を、カウント値を用いて予測している。カウント値は、CPU94により更新され、定着装置50において用紙Pを1枚定着処理するごとに+1加算される。定着装置50における用紙Pの定着処理枚数が多いほど、カウント値は大きくなる。一方、定着処理が終了した後の待機状態には、定着装置50の各部材が自然冷却されていくため、カウント値も時間経過と共に減算される。具体的には、予め定着装置50の各部材の冷却特性を調べておき、経過時間を変数とする演算式を用いてカウント値を減少させる。このように、カウント値を管理して定着装置50の各部材の温度を予測する方式をカウント温度予測方式と呼ぶ。
CPU94は、カウント値が0の状態から第1のカウント値までの期間をゾーン1、第1のカウント値から第2のカウント値までの期間をゾーン2と呼び、ゾーン番号に応じて発熱体の切替頻度を変化させる。ゾーンの数は2つに限定することはなく、3つ以上設けてもよい。本実施例では、第1のカウント値を30、第2のカウント値を100、第3のカウント値を200とし、ゾーンをゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4の4つのゾーンに分けている。定着装置50の温度が室温のCold状態(カウント値が0)から印刷を開始すると、30枚印刷した時点でカウント値が第1のカウント値である30に到達する。そのため、30枚目の用紙Pの定着処理終了でゾーン1が終了し、31枚目の用紙Pからはゾーン2に切り替わる。
ここで、A5サイズの用紙Pの連続印刷を行う場合について説明する。本実施例では、定着装置50は、長手方向の長さ(幅)が最大の発熱体54b1と、A5サイズの用紙Pの用紙幅に応じた長手方向の幅を有する発熱体54b3と、を切り替えて、用紙Pの定着動作を行う。なお、B5サイズの用紙Pの連続印刷を行う場合には、定着装置50は、長手方向の長さ(幅)が最大の発熱体54b1と、B5サイズの用紙Pの用紙幅に応じた長手方向の幅を有する発熱体54b2と、を切り替えて、用紙Pの定着動作を行う。同様に、A4サイズやレターサイズの用紙Pの連続印刷を行う場合には、定着装置50は、長手方向の長さ(幅)が最大の発熱体54b1のみを用いて、用紙Pの定着動作を行う。以下では、用紙Pの印刷を行う場合の例としては、A5サイズの用紙Pを用いた印刷を用いることとする。
上述したゾーン番号が小さい場合は、定着装置50の各部材は低温状態であり、その場合には、長手方向の長さが最も長い発熱体である発熱体54b1により多くの電力を供給する。その理由は、フィルム51内のグリスを定着ニップ部Nの長手方向において均一に溶かすためである。フィルム51の長手方向において、温度ムラにより温度が低い箇所があるとグリスが均一に溶けないため、フィルム51の摺動抵抗が長手方向で均一にならず、その結果、フィルム51が変形するおそれがある。
一方、ゾーン番号が大きくなればなるほど、定着装置50の各部材はより高温状態となり、その場合には、一定割合で発熱体54b1へ電力を供給し、より多くの電力を発熱体54b3へ供給する。これにより、発熱体の長手方向の端部で温度が低下して、フィルム51の摺動抵抗が均一にならず、フィルム51が変形することを防止している。しかしながら、発熱体の長手方向の端部の温度が高くなりすぎると、フィルム51の耐熱温度を超えてしまい、フィルム51を破損させてしまうおそれがある。また、発熱体の長手方向の端部の温度が、中央部の温度に比べて低すぎたり高すぎたりすると、定着ニップ部Nを通過する用紙Pの温度ムラにつながる。その結果、定着ニップ部Nを通過する用紙Pの端部領域で、用紙P上のトナーへの熱供給の過不足が発生し、画質不良が生じるおそれがある。そのため、用紙幅が小さい用紙Pを印刷する場合には、用紙Pが通過するフィルム51の通紙領域と用紙Pが通過しない非通紙領域の温度差を、適切な範囲に収めることが好ましい。
[第2の電力制御]
そこで、本実施例では、第2の電力制御として、各発熱体へ電力供給を行う時間配分を変更する制御を行い、定着装置50のフィルム51の長手方向における温度差を所定の範囲内に収めるように制御する。具体的には、発熱体54b1に対して、所定の期間である第1の期間、電力を供給する。そして、第1の期間が経過した後、A5サイズの用紙Pに対応した発熱体54b3に、第1の期間の所定の倍数の期間、電力を供給する。本実施例では、第1の期間を、PI制御周期と同じ時間幅(期間)である交流電源の電圧波形の2半波(電源周期の1周期分)とする。このように、本実施例では、第1の電力制御であるPI制御による電力供給量を第1の期間毎(2半波周期)に更新し、発熱体54b1への電力供給を第1の期間、続いて、発熱体54b3への電力供給を第1の期間の所定倍の期間、行うように制御する。
表5は、上述したカウンタ値に応じて決定されるゾーンの番号と、対応するゾーンにおける発熱体54b3の発熱体54b1に対する電力供給期間の時間比を示す表である。表5の時間比Xは、発熱体54b1へ電力を供給する第1の期間である単位期間(交流電源の電圧波形の2半波の期間)に対して、発熱体54b3へ電力を供給する第2の期間を単位期間の所定の倍数としたときの倍数の値を示している。表5より、ゾーン1では、時間比Xが0のため、発熱体54b3への電力供給は行われないが、ゾーン2では、時間比が1のため、発熱体54b3への電力供給は、発熱体54b1と同じ時間(第1の期間)行われる。そして、ゾーン2、ゾーン3では、発熱体54b3への電力供給は、時間比Xの値に応じて、それぞれ、発熱体54b1の第1の期間の3倍、5倍、行われる。本実施例では、PI制御周期と、発熱体54b1に電力供給を行う期間を共に同じ第1の期間としたが、必ずしも同じ時間幅とする必要はなく、例えば、発熱体54b1に電力供給を行う期間を第1の期間の所定倍数の期間であってもよい。このように、本実施例では、ゾーン番号に応じて、時間比Xを調整することで、電力配分を目標値に近づけて、フィルム51の長手方向の温度を制御する。
Figure 2022150565000006
[発熱体への電力供給の制御シーケンス]
図7は、A5サイズの用紙Pの印刷を行う印刷ジョブを実行したときの発熱体54b1、54b3への電力供給を行う制御シーケンスを示すフローチャートである。図7の処理は、印刷ジョブを開始したときに起動され、CPU94により実行される。発熱体54b3への電力供給期間は、上述した表5に示すカウンタ値に対応するゾーンに応じた時間比に基づいて決定される。カウンタ値はCPU94により更新されるが、図7には不図示の別の処理にて行われるものとする。また、発熱体54b1へ電力供給を行い、その後、発熱体54b3へ切り替えて電力供給を行い、再び発熱体54b1へ切り替えるまでをセットと呼び、セット数をnと表す。更に、1セットのうちにPI制御の設定値である比例項P、積分項Iが更新される回数を制御数と呼び、制御数をmと表す。mは0から始まることとする。
印刷ジョブが開始されると、ステップ(以下、Sとする)100では、CPU94は、セット数nに0を設定する。S101では、CPU94は、セット数nに1加算して、セット数nを更新し、制御数mに0を設定する。S102では、CPU94は、サーミスタ59aにより検知されたヒータ54の温度と目標温度との差分ΔTに基づいて、発熱体54b1に対する比例項P、積分項Iの値を算出するPI制御により、電力デューティDを決定する。S103では、CPU94は、電力供給先を発熱体54b1に切り替え、メモリ95からS102で算出した電力デューティDに応じた電力供給パターンを選択し、所定の単位周期の期間(ここでは2半波の期間)(図中、単位期間と表示)、電力供給を行う。S104では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了していないと判断した場合には処理をS105に進め、終了していると判断した場合には処理を終了する。
S105では、CPU94は、上述した表5のカウント値に応じたゾーンに設定されている時間比Xの値と、制御数mの値との大小比較を行う。CPU94は、制御数mの値が時間比Xの値以上(m≧X)であると判断した場合には処理をS101に戻し、制御数mの値が時間比X未満であると判断した場合には処理をS106に進める。S106では、CPU94は、サーミスタ59aにより検知されたヒータ54の温度と目標温度との差分ΔTに基づいて、発熱体54b3に対する比例項P、積分項Iの値を算出するPI制御により、電力デューティDを決定する。S107では、CPU94は、電力供給先を発熱体54b3に切替え、メモリ95からS107で算出した電力デューティDに応じた電力供給パターンを選択し、所定の単位周期の期間(ここでは2半波の期間)(図中、単位期間と表示)、電力供給を行う。S108では、CPU94は、制御数mを1加算して、制御数mを更新する。S109では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了していないと判断した場合には処理をS105に戻し、終了していると判断した場合には処理を終了する。
[発熱体への電力供給例]
次に、本実施例における電力制御方法について説明する。本実施例では、発熱体54b1に一定期間(第1の期間)、電力を供給した後、発熱体54b1と比べて長手方向の長さが短い発熱体54b3への電力供給が可能な状態に切り替える。そして、発熱体54b3への電力供給期間が発熱体54b1への電力供給期間の所定倍(X倍)になったときに、再び発熱体54b1への電力供給が可能な状態に切り替えて、発熱体54b1に電力供給を行う。以下では、カウント値が表5に示すゾーン4であるときのA5サイズの用紙Pの連続印刷を例に説明する。ゾーン4の場合の時間比Xは、表5に示すように、発熱体54b3の電力供給期間は、発熱体54b1の電力供給期間の5倍(X=5)である。また、1周期単位(ここでは2半波の期間)において、発熱体54b1へ供給される電力量をWLn,mと表し、発熱体54b3へ供給される電力量をWSn,mと表す。
具体的な電力供給例について、図8を用いて説明する。図8は、発熱体54b1と、発熱体54b3への電力供給状態を交流電源55の交流電圧波形を用いて説明した図である。図8において、「発熱体54b1」は発熱体54b1への電力供給状態を示し、「発熱体54b3」は発熱体54b3への電力供給状態を示している。また、図8において、横軸は時間を示し、交流電圧波形において実線で示す部分は、電力デューティに応じた電力供給パターンに基づいて電力供給されている状態を示し、破線部分は電力供給が行われていない状態を示す。
ここで、交流電源の電圧をV、また、最小の周期単位(2半波)の時間をS(sec(秒))と表す。また、セット数nが1、制御mが0のときの発熱体54b1には、PI制御で電力デューティDが35%の電力量が供給されており、単位長さあたりの電力量WLn,mは、(式5)より次のように算出される。
WLn,m=(V/R)×D×(1/L)×S
WL1,0=(V/10Ω)×(1/222mm)×S×35%
≒0.16VS(W・sec/m)と算出される。
電力量WL1,0が発熱体54b1へ投入された後、次の制御である制御数mが1のときから発熱体54b3へ切り替えられて電力供給が行われる。制御数mが1のときには、PI制御によって電力デューティDが80%の電力量が供給されており、単位長さあたりの電力量WSn,mは、(式5)より次のように算出される。
WSn,m=(V/R)×D×(1/L)×S
WS1,1=(V/30Ω)×(1/154mm)×S×80%
≒0.17VS(W・sec/m)と算出される。
その後、制御数mが5まで発熱体54b3のPI制御が行われ、発熱体54b3に電力が供給される。図8に示すように、発熱体54b3には、制御数mが2~5の期間において、それぞれ、0.14VS、0.05VS、0.11VS、0.07VSの電力量が供給されている。PI制御は2半波周期で実施されるため、毎回、電力デューティは変化する。そのため、制御数mが1~5における発熱体54b3に供給される電力量も変化している。
そして、電力供給先が発熱体54b1へ再び切り替えられ、セット数nが2のセットが開始される。セット数nが1の期間において、発熱体54b1に供給された電力量は0.16VSであり、発熱体54b3に供給された電力量は0.54VSとなっている。その結果、供給された電力量の比は、発熱体54b1:発熱体54b3=0.16VS:0.54VS=1:3.4となっている。
[電力比の測定]
上述した電力比を確認するため、次の条件で実験を行った。図6に示す回路において、ヒータ54の各発熱体に流れる電流を測定するために、トライアック56aと発熱体54b1との間、及びトライアック56bと発熱体54b2、54b3との間に電流計を設置した。そして、定着装置50の熱量を安定させるため、カセット16から給送する用紙Pの給送間隔を一定にし、用紙Pの連続印刷を複数回行う。本実施例では、20枚の用紙Pの印刷を1つの印刷ジョブとし、印刷ジョブ間の間隔時間を3分に設定した。これにより、印刷を開始する前の定着装置50の加圧ローラの長手方向の中心部付近の温度は毎回90℃程度となり、定着装置50の温度が安定した。また、そのときのカウント値によるゾーンは、ゾーン4であった。このような安定した状態で、連続印刷時の電流値を測定し、予め測定しておいたヒータ54の発熱体54b1、54b3の抵抗値に基づいて、発熱体54b1、54b3に供給された電力量Wを算出した。また、電流測定値は、複数枚の用紙Pにおける電流値の平均値を求めた。上述した作業を繰り返し行うことで、各発熱体に供給された電力を積算した電力量の比を算出した。
表6は、上述した実験を3回行った結果をまとめた表である。表6において、測定電力比は、実験の各回における発熱体54b1に供給された電力量:発熱体54b3に供給された電力量の比を示しており、フィルム端部温度はフィルム51の端部の最高温度(単位:℃)を示している。表6より、フィルム51の端部の最高温度が一定の範囲内に収まっていることがわかる。このように、上述した制御を行うことで、定着装置50の定着フィルム51の長手方向の中央部の温度が一定の範囲内に収まるように制御しつつ、端部の温度も一定の範囲内に収まるように制御することができている。
Figure 2022150565000007
[フリッカ]
発熱体の切替頻度によっては、フリッカが増加する場合がある。フリッカとは、照明機器と加熱装置に電力供給する交流電源が共通であった場合に、加熱装置の急峻な電流変化によって照明の電圧が変動して照明のちらつきが発生する等の現象のことである。本実施例においては、発熱体の切替頻度を低下させることで電流変化の頻度が低下し、フリッカが軽減される場合がある。一方、発熱体の切替頻度が低下すると、フィルム51の長手方向の端部温度の上昇や低下が発生する場合がある。例えば、交流電源の電源周期を50Hzとした場合、1つの発熱体に接続される最大の時間は0.1秒(発熱体54b3の場合)となっている。1つの発熱体へ連続して電力供給する時間を長くすることで、意図的に切替え頻度を低下させると、発熱体54b3へ電力供給する時間が32秒を超えると、フィルム51の長手方向端部の温度低下が発生し、用紙P上のトナーの溶融不足が発生する場合があった。そのため、発熱体の切替頻度を低下させる場合においても、一つの発熱体に電力を投入する時間は32秒以下に抑えることが好ましい。また、本実施例では、発熱体54b1へ電力供給を行う期間をもとに、発熱体54b3へ電力供給を行う期間を設定したが、逆に、発熱体54b3へ電力供給する期間をもとに、発熱体54b1へ電力供給する期間を設定してもよい。このような場合も同様に、定着装置50の定着フィルム51の長手方向の中央部の温度が一定の範囲内に収まるように制御しつつ、端部の温度も一定の範囲内に収まるように制御することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うことができる。
実施例1では、第1の電力制御としてサーミスタの検知温度を目標温度に近づけるPI制御と、第2の電力制御として各発熱体に電力供給を行う時間配分を変更することにより、電力量を目標値に近づける電力制御と、を同時並行で行う制御について説明した。実施例2では、第1の制御については実施例1と同様に行い、第2の制御については、各発熱体に実際に供給される電力量を目標値の電力量に近づける制御について説明する。なお、本実施例における定着装置を含む画像形成装置の構成は実施例1と同様であり、同じ装置、部材は実施例1と同じ符号を用いることにより、ここでの説明を省略する。
[第2の電力制御]
本実施例では、第2の電力制御として、第1の電力制御であるPI制御によって発熱体に供給される電力の積算量を、目標とする電力量の配分値に近づけることを特徴としている。具体的には、長手方向の長さが最も長い発熱体54b1と、A5サイズの用紙幅に対応した発熱体54b3へ供給する電力の積算量の比率を調整することにより、定着装置50のフィルム51の長手方向の領域の温度を制御する。ここで「電力の積算量」とは、実施例1で説明した発熱体の抵抗値と長手方向の長さ(幅)と電力デューティに基づいて算出される、発熱体の単位長さ当たりの電力量を積算したものである。単位長さあたりの電力の積算量を制御することで、発熱体の抵抗値や長手方向の幅によらず、長手方向の領域の発熱量をより正確に制御することが可能となる。
表7は、実施例1で説明したカウント温度予測方式のカウンタ値に応じて決定されるゾーンの番号と、対応するゾーンにおける発熱体54b3の発熱体54b1に対する電力供給量の比(電力比)を示す表である。表7の電力比Xは、単位期間において発熱体54b1に供給した電力量に対して、発熱体54b3に供給する電力量の倍数の値を示している。表7より、ゾーン1では、電力比Xが0のため、発熱体54b3への電力供給は行われないが、ゾーン2では、電力比が1のため、発熱体54b3に供給される電力量は、発熱体54b1と同じ電力量である。そして、ゾーン2、ゾーン3では、発熱体54b3へ供給される電力量は、電力比Xの値に応じて、それぞれ、発熱体54b1に供給される電力量の3倍、5倍となっている。本実施例では、発熱体の単位長さ当たりの電力量の比を指標としているが、複数の発熱体の電力の積算量の比が制御されていればよい。
Figure 2022150565000008
[発熱体への電力供給の制御シーケンス]
図9は、A5サイズの用紙Pの印刷を行う印刷ジョブを実行したときの発熱体54b1、54b3への電力供給を行う制御シーケンスを示すフローチャートである。図9の処理は、印刷ジョブを開始したときに起動され、CPU94により実行される。発熱体54b3へ供給される電力量は、表7のカウンタ値に対応するゾーンに応じた電力比に基づいて決定される。カウンタ値はCPU94により更新されるが、図9には不図示の別の処理にて行われるものとする。また、実施例1の図7と同様に、セット数をnと表し、制御数をmとする。
印刷ジョブが開始されると、S200では、CPU94はセット数nに0を設定する。
S201では、CPU94は、セット数nに1加算して、セット数nを更新し、制御数mに0を設定する。S202では、CPU94は、サーミスタ59aにより検知されたヒータ54の温度と目標温度との差分ΔTに基づいて、発熱体54b1に対する比例項P、積分項Iの値を算出するPI制御により、電力デューティDを決定する。そして、CPU94は、発熱体54b1の単位長さあたりの電力量WLn,0を算出する。S203では、CPU94は、電力供給先を発熱体54b1に切替え、メモリ95からS202で算出した電力デューティDに応じた電力供給パターンを選択し、所定の単位周期の期間(ここでは2半波の期間)(図中、単位期間と表示)、電力供給を行う。S204では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了していないと判断した場合には処理をS205に進め、終了していると判断した場合には処理を終了する。
S205では、CPU94は、表7のカウント値に応じたゾーンに設定されている電力比Xの値を取得し、同一セット内で発熱体54b3に供給する予定の電力量WSpreを決定する。電力量WSpreは、WLn,0の電力量のX倍であり、CPU94は、予定電力量WSpre=発熱体54b1に供給された電力量WLn,0×Xの式を用いて、予定電力量WSpreを算出する。また、CPU94は、同一セット内で発熱体54b3へ投入された電力量の合計(積算量)を示す積算電力量WSallに0を設定する。
S206では、CPU94は、予定電力量WSpreと積算電力量WSallの大小比較を行う。CPU94は、積算電力量WSallは予定電力量WSpre以上(予定電力量以上)(WSpre≦WSall)であると判断した場合には処理をS201に戻す。一方、CPU94は、積算電力量WSallは予定電力量WSpre未満であると判断した場合には処理をS207に進める。
S207では、CPU94は、サーミスタ59aにより検知されたヒータ54の温度と目標温度との差分ΔTに基づいて、発熱体54b3に対する比例項P、積分項Iの値を算出するPI制御により、電力デューティDを決定する。そして、CPU94は、発熱体54b3の単位長さあたりの電力量WSn,mを算出する。S208では、CPU94は、電力供給先を発熱体54b3に切替え、メモリ95からS207で算出した電力デューティDに応じた電力供給パターンを選択し、所定の単位周期の期間(ここでは2半波の期間)(図中、単位期間と表示)、電力供給を行う。S209では、CPU94は、制御数mに1加算して、制御数mを更新する。また、CPU94は、積算電力量WSallに電力量WSn,mを加算して、積算電力量WSallを更新する。S210では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了していないと判断した場合には処理をS206に戻し、終了していると判断した場合には処理を終了する。
[発熱体への電力供給例]
次に、本実施例における電力制御方法について説明する。本実施例では、発熱体54b1に一定期間、電力を供給した後、発熱体54b1と比べて長手方向の端部の発熱量が小さい発熱体54b3への電力供給が可能な状態に切り替える。そして、発熱体54b3への電力供給量(積算電力量)が発熱体54b1への電力供給量の所定倍(X倍)になったときに、再び発熱体54b1への電力供給が可能な状態に切り替えて、発熱体54b1に電力供給を行う。以下では、カウント値が表7に示すゾーン4であるときのA5サイズの用紙Pの連続印刷を例に説明する。ゾーン4の場合の時間比Xは、表7に示すように、発熱体54b3の電力供給量は、発熱体54b1の電力供給量の5倍(X=5)である。また、1周期単位(ここでは2半波の期間)において、発熱体54b1へ供給される電力量をWLn,mと表し、発熱体54b3へ供給される電力量をWSn,mと表す。
具体的な電力供給例について、図10を用いて説明する。図10は、発熱体54b1と、発熱体54b3への電力供給状態を交流電源55の交流電圧波形を用いて説明した図である。図10において、「発熱体54b1」は発熱体54b1への電力供給状態を示し、「発熱体54b3」は発熱体54b3への電力供給状態を示している。また、図10において、横軸は時間を示し、交流電圧波形において実線で示す部分は、電力デューティに応じた電力供給パターンに基づいて電力供給されている状態を示し、破線部分は電力供給が行われていない状態を示す。また、WSallは、同一セットnにおける発熱体54b3に供給された積算電力量を表している。
ここで、交流電源の電圧をV、また、最小の周期単位(2半波)の時間をS(sec(秒))と表す。また、セット数nが1、制御mが0のときの発熱体54b1には、PI制御で電力デューティDが35%の電力量が供給されており、単位長さあたりの電力量WLn,mは、次のように算出される。
WLn,m=(V/R)×D×(1/L)×S
WL1,0=(V/10Ω)×(1/222mm)×S×35%
≒0.16VS(W・sec/m)と算出される。
電力量WL1,0が発熱体54b1へ投入された後、次の制御である制御数mが1のときから発熱体54b3へ切り替えられて電力供給が行われる。制御数mが1のときには、PI制御によって電力デューティDが80%の電力量が供給されており、単位長さあたりの電力量WSn,mは、次のように算出される。
WSn,m=(V/R)×D×(1/L)×S
WS1,1=(V/30Ω)×(1/154mm)×S×80%
≒0.17VS(W・sec/m)と算出される。
発熱体54b3へ投入された電力の合計をWSallとすると、
WSall=WSn,1+WSn,2+WSn,3
と表される。
その後、CPU94はPI制御を続け、WSall=X×WL1,0=5×WL1,0≒0.79VS(W・sec/m)を超えるまで、発熱体54b3に電力供給を行う。そして、電力供給先が発熱体54b1へ再び切り替えられ、セット数nが2のセットが開始される。セット数nが1の期間において、発熱体54b1に供給された電力量は0.16VSであり、発熱体54b3に供給された電力量は0.81VSとなっており、発熱体54b1に対する発熱体54b3の電力量の比は約5倍となっている。このように上述した制御を行うことにより、本実施例では、実際に発熱体に供給される電力量の比と、電力比Xで設定される電力比の値が近くなる。
[電力比の測定]
本実施例においても、実施例1と同様の条件で実験を行い、発熱体に供給された電力量の測定と、フィルム51の非通紙部領域の温度測定を行った。表8は、上述した実験を3回行った結果をまとめた表である。表8において、測定電力比は、実験の各回における発熱体54b1に供給された電力量:発熱体54b3に供給された電力量の比を示しており、フィルム端部温度はフィルム51の端部の最高温度(単位:℃)を示している。表8より、おおむね目標値に近い電力比(1:5)が実現できており、フィルム51の端部の最高温度が一定の範囲内に収まっている。このように、上述した制御を行うことで、定着装置50の定着フィルム51の長手方向の中央部の温度が一定の範囲内に収まるように制御しつつ、端部の温度も精度よく制御することができている。
Figure 2022150565000009
以上説明したように、本実施例によれば、非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うことができる。
実施例2では、第2の発熱体に供給する積算電力量が第1の発熱体に供給した電力量の所定倍を超えたことを検知すると、第2の発熱体への電力供給を終了する制御を行っている。そのため、第2の発熱体に供給される電力量は、第1の発熱体に供給された電力量の所定倍よりも大きくなってしまう。実施例3では、あるセットにおいて予定された第2の発熱体に供給された電力の積算量が所定倍の電力量よりも超過した電力量を次回のセットにおける電力量から削減することにより、第2の発熱体に供給する積算電力量を調整する実施例について説明する。なお、本実施例における定着装置を含む画像形成装置の構成は実施例1、2と同様であり、同じ装置、部材は実施例1と同じ符号を用いることにより、ここでの説明を省略する。
[発熱体への電力供給の制御シーケンス]
図11は、A5サイズの用紙Pの印刷を行う印刷ジョブを実行したときの発熱体54b1、54b3への電力供給を行う制御シーケンスを示すフローチャートである。図11の処理は、印刷ジョブを開始したときに起動され、CPU94により実行される。発熱体54b3へ供給される電力量は、実施例2の表7のカウンタ値に対応するゾーンに応じた電力比に基づいて決定される。カウンタ値はCPU94により更新されるが、図11には不図示の別の処理にて行われるものとする。また、実施例2の図9と同様に、セット数をnと表し、制御数をmとする。
図11において、S300~S305の処理は、実施例2の図9のS200~S205の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。
S306では、CPU94は、同一セットnにおいて発熱体54b3に電力供給されたる積算電力量WSallと発熱体54b3に供給予定の予定電力量との大小比較を行う。ここで、発熱体54b3に供給予定の予定電力量は、次のように算出される。すなわち、予定電力量は、発熱体54b1に電力供給された電力量WLn,0の電力量を電力比X倍した予定電力量WSpreから、前回のセット(n-1)において、発熱体54b3に予定量を超えて供給された電力量を差し引いた電力量となる。そして、前回のセット(n-1)において、発熱体54b3に予定量を超えて供給された電力量は、WSall(n-1)-WSpre(n-1)により表される。したがって、セットnにおける予定電力量は、WSpre-(WSall(n-1)-WSpre(n-1))と表される。CPU94は、積算電力量WSallが、予定電力量である(WSpre-(WSall(n-1)-WSpre(n-1)))以上であると判断した場合には処理をS307に進め、予定電力量未満と判断した場合には処理をS308に進める。
S307では、CPU94は、セットnにおける予定電力量の超過分をWSall-WSpreにより算出し、次のセット(n+1)において、S306の処理において参照するためにメモリ95に格納し、処理をS301に戻す。S308~S311の処理は、実施例2の図9のS207~S210の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。
[電力比の測定]
本実施例においても、実施例2と同様の条件で実験を行い、発熱体に供給された電力量の測定と、フィルム51の非通紙部領域の温度測定を行った。表9は、上述した実験を3回行った結果をまとめた表である。表9において、測定電力比は、実験の各回における発熱体54b1に供給された電力量:発熱体54b3に供給された電力量の比を示しており、フィルム端部温度はフィルム51の端部の最高温度(単位:℃)を示している。表9に示す測定電力比の値は、実施例2の表8に示す測定電力比よりもばらつきが小さく、その結果、フィルム51の端部の温度のばらつきも実施例2よりも小さくなっている。
Figure 2022150565000010
以上説明したように、本実施例によれば、非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うことができる。
実施例3では、上述した構成で、カセット16から給送する用紙Pの給送間隔を一定にし、用紙Pに対する連続印刷を行った場合、フィルム51の長手方向の端部の温度分布を安定させることが可能であった。しかしながら、先行する用紙Pと後続の用紙Pとの間隔(以下、紙間という)が長くなった場合には、フィルム51の長手方向の端部の温度が低下してしまうことがあり、画質の低下を招くおそれがある。本実施例では、紙間が長くなった場合の発熱体の制御について説明する。なお、本実施例における定着装置を含む画像形成装置の構成は実施例3と同様であり、同じ装置、部材は実施例3と同じ符号を用いることにより、ここでの説明を省略する。
[第2の電力制御]
先行紙と後続紙との紙間が長くなると、フィルム51が定着ニップ部Nに通紙されるA5サイズの用紙Pに奪われる熱量が小さくなるため、フィルム51の長手方向の中央部の熱量が過多になる。ところが、実際には、ヒータ54の温度は、ヒータ54の長手方向の中央部に配置されたサーミスタ59aが検知する温度に基づいて、ヒータ54の中央部の温度が一定になるように制御される。そのため、紙間が長くなった場合には、発熱体54b1と発熱体54b3の電力の積算量の比Xを一定にして制御すると、フィルム51の長手方向の端部の温度が低下してしまうことになる。紙間が長くなるケースとして、例えば、ビデオコントローラ91がPC110から受信した画像データを、露光制御装置93に転送するため、露光データに変換する時間がかかる場合が考えられる。この場合には、CPU94は、カセット16から給送する用紙Pの紙間を長くして、中間転写ベルト13上に形成されるカラー画像と用紙Pの先端位置を合わせるようにタイミングを調整する。
そのため、本実施例では紙間が長くなった場合には、CPU94は、発熱体54b3に電力供給中の場合には、電力供給先を、長手方向全体を均一に加熱する発熱体54b1に切り替えて、紙間の期間は、発熱体54b1に電力供給を行うように制御する。これにより、フィルム51がA5サイズの用紙Pに熱を奪われない期間である紙間の時間が長い区間では、定着ニップ部Nの長手方向全体を温めることで、フィルム51の長手方向の端部の温度低下を防ぐことができる。また、本実施例では、発熱体54b3に電力供給を行っている期間に長い紙間に到達した際に、発熱体54b3の積算電力量が、発熱体54b1の電力供給量のX倍に到達していない場合には、積算電力量の不足分を次のセットで補うように制御を行う。
[発熱体への電力供給の制御シーケンス]
図12は、実施例3の図11に示す、A5サイズの用紙Pの印刷を行う印刷ジョブを実行したときの発熱体54b1、54b3への電力供給を行う制御シーケンスを示すフローチャートに、紙間時間が長い場合の処理を追加したフローチャートである。
図12において、S400~S405の処理は、実施例3の図11のS300~S305の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。S406では、CPU94は、紙間が所定の時間よりも長いかどうか(長紙間到達?)判断し、紙間が所定の時間よりも長い(長紙間到達)と判断した場合には処理をS414に進め、紙間が所定の時間内であると判断した場合には処理をS407に進める。S407~S411の処理は、実施例3の図11のS306~S310の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。
S412では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了していないと判断した場合には処理をS413に進め、終了していると判断した場合には処理を終了する。S413では、CPU94は、紙間が所定の時間よりも長いかどうか(長紙間到達?)判断し、紙間が所定の時間よりも長い(長紙間到達)と判断した場合には処理をS414に進め、紙間が所定の時間内であると判断した場合には処理をS407に戻す。
S414では、CPU94は、今回のセットnにおいて、発熱体54b3に供給される予定であった積算電力量の不足分をWSall-WSpreにより算出し、メモリ95に格納する。なお、式(WSall-WSpre)は負の値となる。また、S406の処理において、紙間が所定の時間よりも長い(長紙間到達)と判断された場合には、WSallの値は0であり、式(WSall-WSpre)により算出される積算電力量の不足分は、WSpreの値と同じ値となる。
S415では、CPU94は、サーミスタ59aにより検知されたヒータ54の温度と目標温度との差分ΔTに基づいて、発熱体54b1に対する比例項P、積分項Iの値を算出するPI制御により、電力デューティDを決定する。そして、CPU94は、発熱体54b1の単位長さあたりの電力量WLn,0を算出する。S416では、CPU94は、電力供給先を発熱体54b1に切替え、メモリ95からS415で算出した電力デューティDに応じた電力供給パターンを選択し、所定の単位周期の期間(ここでは2半波の期間)、電力供給を行う。S417では、CPU94は、カセット16から給送される用紙Pの先端を検知したかどうか判断し、用紙Pの先端を検知したと判断した場合には処理をS401に戻し、用紙Pの先端を検知していないと判断した場合には処理をS415に戻す。
図12に示す処理は、実施例3とは、追加された紙間が長かった場合の処理のみ異なる。上述したように、発熱体54b1と発熱体54b3のいずれを制御中であっても、長い紙間が生じた場合には、CPU94は、電力供給先を長手方向の長さ(幅)の広い発熱体54b1へ切り替えて制御を行う。その場合のCPU94による制御は、S414から開始される。まず、長い紙間が生じた場合には、CPU94は発熱体54b3の予定電力量と実際に供給された電力量との差分(WSall-WSpren)を算出する。なお、発熱体54b1での制御から直接、S414の処理に移行する場合は、WSpre=0なので、差分はWSallとなる。その後、次の用紙Pの先端が定着ニップ部Nに到達するまで、発熱体54b1のみに電力供給を行うように制御する。このような制御を行うことにより、フィルム51の長手方向の端部の温度が低下するのを防止することができる。そして、CPU94は、次の用紙Pの先端が定着ニップ部Nに到達したことを検知すると、新しいセットnを開始する。
以上説明したように、本実施例によれば、非通紙部昇温が生じないように定着装置の温度制御を精度よく行うことができる。
51 定着フィルム
53 加圧ローラ
54 ヒータ
54b1、54b3 発熱体
56a、56b トライアック
59a サーミスタ
94 CPU

Claims (20)

  1. 記録材上のトナーを加熱することで記録材に定着させる定着装置であって、
    筒状のフィルムと、
    第1の発熱体と、長手方向の長さが前記第1の発熱体よりも短い第2の発熱体と、を有し、前記フィルムの内部空間に配置され、前記フィルムを加熱するヒータと、
    前記フィルムとニップ部を形成する加圧ローラと、
    前記ヒータの温度を検知する検知手段と、
    交流電源から前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体への電力供給路を切り替える切替手段と、
    前記切替手段を制御し、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体に電力を供給させる制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記ヒータの温度と前記ヒータの目標温度とに基づいて、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体へ単位期間あたりに供給する電力量を決定し、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体に電力を供給する第1の電力制御と、前記第1の電力制御における、前記第1の発熱体へ供給する電力量と前記第2の発熱体へ供給する電力量との比率を制御する、又は前記第1の電力制御における、前記第1の発熱体へ電力を供給する期間と前記第2の発熱体へ電力を供給する期間との比率を制御する第2の電力制御と、を行うことを特徴とする定着装置。
  2. 前記制御手段は、前記第1の電力制御及び前記第2の電力制御を前記単位期間の周期で実行し、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体への電力供給を前記単位期間の間、行うことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記制御手段は、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体への電力供給を位相制御により行うことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 制御手段は、前記第1の電力制御において、前記第1の発熱体に対する、前記第2の発熱体の長手方向の単位長さあたりの電力デューティの比率が1に近い値になるように、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体への電力供給量を決定することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体の各々の電力デューティは、各々の発熱体の抵抗値と長手方向の長さとの積が大きいほど、大きくなることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記制御手段は、前記第2の電力制御により、前記第1の発熱体に前記単位期間に電力を供給した後、前記フィルムの温度に応じた所定の倍数の前記単位期間の間、連続して前記第2の発熱体に電力供給することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記第2の発熱体に供給される電力量は、前記単位期間ごとに前記第1の電力制御により決定されることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記制御手段は、前記第2の電力制御により、前記第1の発熱体に前記単位期間、前記第1の電力制御により決定された電力供給量を供給した後、前記第2の発熱体に供給された電力供給量の積算値が、前記単位期間に前記第1の発熱体に供給された電力供給量に前記フィルムの温度に応じた所定の倍数を乗じた予定電力量以上となるまで前記第2の発熱体に電力供給することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  9. 前記第2の発熱体に供給される電力量は、前記単位期間ごとに前記第1の電力制御により決定され、
    前記制御手段は、前記単位期間ごとに前記第2の発熱体に供給される電力量を加算して前記積算値を算出し、算出した前記積算値が前記予定電力量以上になるまで、連続する前記単位期間の間、前記第2の発熱体に電力供給することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記制御手段は、前記第2の電力制御により、前記第2の発熱体に供給された電力供給量の前記積算値が前記予定電力量を超過した場合には、次回の前記第2の発熱体に供給すべき前記予定電力量から超過した前記電力量を削減することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の定着装置。
  11. 前記フィルムの温度は、前記ニップ部を通過する記録材の枚数に応じて更新されるカウント値に基づいて予測され、
    前記カウント値は、前記ニップ部を記録材が通過すると増加し、記録材が前記ニップ部を通過しない時間経過に伴って減少することを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の定着装置。
  12. 前記ヒータは、長手方向の長さが前記第2の発熱体よりも短い第3の発熱体を有し、
    前記第1の発熱体は、長手方向の長さが略同じ長さの一対の発熱体であり、
    前記ヒータを有する基板の短手方向において、前記第1の発熱体、前記第2の発熱体、前記第3の発熱体、前記第1の発熱体の順に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の定着装置。
  13. 前記ヒータは、
    前記第1の発熱体の一端と前記第2の発熱体の一端とが電気的に接続される第1の接点と、
    前記第3の発熱体の一端が電気的に接続される第2の接点と、
    前記第2の発熱体の他端と前記第3の発熱体の他端とが電気的に接続される第3の接点と、
    前記第1の発熱体の他端が電気的に接続される第4の接点と、
    を有することを特徴とする請求項12に記載の定着装置
  14. 前記切替手段は、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第1のリレーを有し、
    前記第1のスイッチは、前記交流電源と前記第4の接点との接続又は切断を行い、
    前記第2のスイッチは、前記交流電源と前記第1のリレー、及び前記交流電源と前記第2の接点との接続又は切断を行い、
    前記第1のリレーは、前記第2のスイッチと前記第3の接点との接続、又は前記交流電源と前記第3の接点との接続を切替可能であることを特徴とする請求項13に記載の定着装置。
  15. 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチの状態を検知する検知部と、
    前記交流電源と前記第1の接点との間の電力供給路の接続又は切断を行う第2のリレーと、を備え、
    前記検知部は、前記第1のスイッチが前記交流電源と前記第4の接点とを接続し、前記第2のスイッチが前記交流電源と前記第1のリレーとを接続した場合には、前記第2のリレーを駆動して前記電力供給路を切断することを特徴とする請求項14に記載の定着装置。
  16. 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、双方向サイリスタであることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の定着装置。
  17. 前記検知手段は、サーミスタであることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の定着装置。
  18. 前記ヒータは前記フィルムの内部空間に配置されており、前記ヒータと前記加圧ローラで前記フィルムを挟持しており、記録材上の画像は前記ニップ部で前記フィルムを介して加熱されることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の定着装置。
  19. 記録材に画像形成を行う画像形成部と、
    記録材を前記画像形成部に給送する給紙部と、
    請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の定着装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  20. 前記制御手段は、前記給紙部から給送される記録材が所定の時間内に検知されない場合には、前記給紙部から給送される記録材が検知されるまで、前記第1の発熱体に前記第1の電力制御により決定された前記単位期間あたりの電力量を連続して前記単位期間の間、供給することを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
JP2021053218A 2021-03-26 2021-03-26 定着装置及び画像形成装置 Pending JP2022150565A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021053218A JP2022150565A (ja) 2021-03-26 2021-03-26 定着装置及び画像形成装置
US17/686,686 US11709446B2 (en) 2021-03-26 2022-03-04 Fixing unit and image forming apparatus
US18/329,648 US20230314990A1 (en) 2021-03-26 2023-06-06 Fixing unit and image forming apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021053218A JP2022150565A (ja) 2021-03-26 2021-03-26 定着装置及び画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022150565A true JP2022150565A (ja) 2022-10-07

Family

ID=83364632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021053218A Pending JP2022150565A (ja) 2021-03-26 2021-03-26 定着装置及び画像形成装置

Country Status (2)

Country Link
US (2) US11709446B2 (ja)
JP (1) JP2022150565A (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022176686A (ja) 2021-05-17 2022-11-30 キヤノン株式会社 画像形成装置及び定着装置
JP2023030629A (ja) 2021-08-23 2023-03-08 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP2023031969A (ja) 2021-08-26 2023-03-09 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP2023033771A (ja) 2021-08-30 2023-03-13 キヤノン株式会社 画像形成装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001100558A (ja) 1999-09-28 2001-04-13 Canon Inc 加熱装置及び画像形成装置
JP6271899B2 (ja) * 2013-07-30 2018-01-31 キヤノン株式会社 画像加熱装置および画像形成装置
JP7305357B2 (ja) 2019-01-18 2023-07-10 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置
US10732549B1 (en) * 2019-03-14 2020-08-04 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Image forming apparatus and image forming method
JP7277191B2 (ja) * 2019-03-20 2023-05-18 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP7395292B2 (ja) 2019-09-06 2023-12-11 キヤノン株式会社 画像形成装置
JP7383428B2 (ja) 2019-09-06 2023-11-20 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP7309531B2 (ja) 2019-09-06 2023-07-18 キヤノン株式会社 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20230314990A1 (en) 2023-10-05
US20220308509A1 (en) 2022-09-29
US11709446B2 (en) 2023-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2022150565A (ja) 定着装置及び画像形成装置
US9665048B2 (en) Image forming apparatus having a temperature setting portion to control a target temperature
US6713725B2 (en) Image heating apparatus
USRE45252E1 (en) Image forming apparatus with change unit for changing temperature of fixing unit at time of actuating image forming unit
US5204723A (en) Heating apparatus having heater with branch
US8755705B2 (en) Image heating apparatus
JP7383428B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JPH10221986A (ja) 画像形成装置及び加熱定着装置の加熱用ヒータ
JP2022139959A (ja) 画像形成装置
US20220197199A1 (en) Image heating apparatus, image forming apparatus, and heater
JP2012123244A (ja) 画像形成装置
JP2021043245A (ja) 画像形成装置
US6862416B2 (en) Image heating apparatus and image forming apparatus
JP2010286650A (ja) 加熱装置
JP2000206811A (ja) 加熱定着装置および画像形成装置
JP2006039027A (ja) 画像形成装置
JP2011107447A (ja) 画像形成装置
JP4902259B2 (ja) 画像形成装置
JP2020003615A (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JPH1020711A (ja) 画像形成装置
JP2023030629A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2006010943A (ja) 加熱装置
JP2009186752A (ja) 画像形成装置
JP2007058083A (ja) 画像形成装置における制御方法
US11650525B2 (en) Image heating device and image forming apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240318