JP2022149882A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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崇史 大関
Takashi Ozeki
恭平 高橋
Kyohei Takahashi
美子 渡邉
Yoshiko Watanabe
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Abstract

【課題】本発明は、高い耐水性を有するインクジェット記録媒体を提供する。【解決手段】本発明のインクジェット記録媒体は基材層、多孔質溶剤吸収層、及び多孔質顔料定着層がこの順に積層されており、前記多孔質溶剤吸収層は、第1の無機粒子及び第1のバインダ樹脂を含有しており、前記多孔質顔料定着層は、第2の無機粒子及び第2のバインダ樹脂を含有しており、かつ前記第2のバインダ樹脂は、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂である。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録媒体に関する。
特許文献1は、インクジェット方式によるプリンタに用いられる記録媒体として、インク受容層が、顔料インク内の溶剤を吸収することのできる溶剤吸収層の上に、顔料を担持することのできる顔料定着層を有することを特徴とする顔料インク用インクジェット記録媒体を開示している。
特開2000-127613号公報
インクジェット記録媒体の実用において、耐水性の向上が求められている。高い耐水性は、例えば、雨水等の水分が存在する環境下、例えば屋外におけるインクジェット記録媒体の適用に有利である。
特許文献1が開示するような、基材層、溶剤吸収層、及び顔料定着層がこの順に積層されているインクジェット記録媒体に対してインクジェットプリントを行うと、インク中の顔料は、顔料定着層に保持され、インク中の溶剤は、溶剤吸収層に吸収される。
上記のような構成を有するインクジェット記録媒体の耐水性を向上させることが求められている。
したがって、本発明は、高い耐水性を有するインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者は、以下の手段により上記課題を達成することができることを見出した:
《態様1》
基材層、多孔質溶剤吸収層、及び多孔質顔料定着層がこの順に積層されており、
前記多孔質溶剤吸収層は、第1の無機粒子及び第1のバインダ樹脂を含有しており、
前記多孔質顔料定着層は、第2の無機粒子及び第2のバインダ樹脂を含有しており、かつ
前記第2のバインダ樹脂は、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂である、
インクジェット記録媒体。
《態様2》
前記第2の無機粒子の平均一次時粒子径は、0.1μm~20.0μmである、態様1に記載のインクジェット記録媒体。
《態様3》
前記多孔質顔料定着層の質量に対する前記第2の無機粒子の質量は、20質量%~60質量%である、態様1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
《態様4》
前記多孔質顔料定着層の厚みは、3.0μm~50.0μmである、態様1~3のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
《態様5》
前記第1の無機粒子の平均一次粒子径は、3.0nm~50.0nmである、態様1~4のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
《態様6》
前記多孔質溶剤吸収層の質量に対する前記第1の無機粒子の質量は、50質量%~95質量%である、態様1~5のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
《態様7》
前記多孔質溶剤吸収層の厚みは、0.1μm~20.0μmである、態様1~6のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
《態様8》
前記第1のバインダ樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂である、態様1~7のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
《態様9》
前記第1の無機粒子及び前記第2の無機粒子は、ゲル法シリカ粒子又は気相法シリカ粒子である、態様1~8のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
《態様10》
前記基材層は、不透明基材層である、態様1~9のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体。
本発明によれば、高い耐水性を有するインクジェット記録媒体を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に従うインクジェット記録媒体1を示す模式図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に従うインクジェット記録媒体2を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本発明のインクジェット記録媒体は、基材層、多孔質溶剤吸収層、及び多孔質顔料定着層がこの順に積層されており、多孔質溶剤吸収層は、第1の無機粒子及び第1のバインダ樹脂を含有しており、多孔質顔料定着層は、第2の無機粒子及び第2のバインダ樹脂を含有しており、かつ第2のバインダ樹脂は、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂である。
図1は、本発明の第1の実施形態に従うインクジェット記録媒体1を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に従うインクジェット記録媒体1は、基材層10、多孔質溶剤吸収層20、及び多孔質顔料定着層30がこの順に積層されている。ここで、多孔質溶剤吸収層20は、第1の無機粒子及び第1のバインダ樹脂を含有している。また、多孔質顔料定着層30は、第2の無機粒子及び第2のバインダ樹脂を含有している。第2のバインダ樹脂は、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂である。
原理によって限定されるものではないが、本発明のインクジェット記録媒体が高い耐水性を有する原理は、以下のとおりである。
特許文献1が開示する様に、従来のインクジェット記録媒体は、顔料定着層に、無機粒子及び樹脂バインダとしてのポリビニルアルコールを含有している。
樹脂バインダとしてポリビニルアルコールを採用した顔料定着層を有するインクジェット記録媒体は、耐水性が低い。これは、水溶性の樹脂であるポリビニルアルコールの耐水性が低いため、インクジェット記録媒体が水に接する環境下において、ポリビニルアルコールがバインダとして機能しにくく、無機粒子が顔料定着層から脱落しやすいことによると考えられる。
顔料定着層の樹脂バインダとして非水溶性の非晶性ポリエステルを採用することで、インクジェット記録媒体の耐水性を向上させることが考えられる。
通常、顔料定着層は、無機粒子と樹脂バインダの混合物、例えばスラリーを、溶剤吸収層の上に塗布して形成することができる。
しかしながら、無機粒子と非水溶性の非晶性ポリエステルとの混合物を溶剤吸収層の上に塗布しても、溶剤吸収層の上に耐水性の顔料定着層を安定して形成できない場合がある。これは、混合物を溶剤吸収層の上に塗布した際に、樹脂バインダとしての非水溶性の非晶性ポリエステルが、溶剤吸収層に吸収されるためであると考えられる。
しかしながら、非水溶性の非晶性ポリエステルのうち、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂を採用すると、溶剤吸収層上に耐水性の顔料定着層を安定して形成することができる。
これは、スルホン酸基が顔料定着層の形成に用いられる無機粒子と高い親和性を有していることによると考えられる。すなわち、無機粒子とスルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂の混合物、例えばスラリーにおいて、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂が無機粒子に吸着しやすいと考えられる。
これにより、無機粒子とスルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂の混合物、例えばスラリーを溶剤吸収層上に塗布しても、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂が溶剤吸収層に吸収されにくい。
なお、本発明のインクジェット記録媒体は、例えばインクジェット印刷を行う任意の対象に適用することができる。本発明のインクジェット記録媒体は、例えば印刷用紙、包装体、標識、又はステッカー等であってよい。特に、本発明のインクジェット記録媒体は、高い耐水性を有することから、例えば建築物の壁や掲示板、及び乗物、例えば自動車やバイク等に適用する標識、例えばステッカー等に採用してよい。
《基材層》
基材層は、多孔質溶剤吸収層及び多孔質顔料定着層がこの順に積層される基材となる層である。
基材層は、インク受容層を積層することができる任意の材料からなる層であってよい。基材層は、紙、布、又はプラスチック等であってよい。基材層がプラスチックである場合、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリエチレンテレフタレート等を採用することができる。
基材層は、不透明基材層であってよい。なお、不透明であるとは、例えば全光線透過率が、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満であることを意味する。へーズ値は、50%以上、60%以上、70%以上であってよい。
ここで、全光線透過率は、JIS K 7361に準拠して測定できる。また、ヘーズ値は、JIS K7136に準拠して測定できる。
また、基材層は、任意の色に着色されている、有色基材層であってよい。有色基材層は、例えば白色、青色、赤色、黄色、橙色、紫色、緑色、ピンク色、茶色、銀色、灰色、黒色、又はその他の任意の色に着色されていてよい。また、基材層には任意の絵柄が印刷されていてもよく、このような印刷としては例えばオフセット印刷を挙げることができる。
《多孔質溶剤吸収層》
多孔質溶剤吸収層は、第1の無機粒子及び第1のバインダ樹脂を含有している。
多孔質溶剤吸収層は、第1の無機粒子間に形成される空隙等により、多孔質となっている。多孔質溶剤吸収層は、所望により、更に架橋剤、分散剤、インク定着剤等の各種添加剤を含有していることができる。
多孔質溶剤吸収層の厚みは、0.1μm~20.0μmであってよい。
多孔質溶剤吸収層の厚みが0.1μm以上であると、多孔質溶剤吸収層の空隙の数を増やすことができ、インク中の溶剤を吸収しやすく、したがって、特に高いインク速乾性が得られる。他方、多孔質溶剤吸収層の厚みが20.0μm以下であると、インク記録媒体全体をより薄型化することができ、加えて、多孔質溶剤吸収層の強度を特に高めることができる。
多孔質溶剤吸収層の厚みは、0.1μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、又は5.0μm以上であってよく、20.0μm以下、15.0μm以下、10.0μm以下、又は5.0μm以下であってよい。
多孔質溶剤吸収層の厚みは、1.0μm~15.0μmであることが特に好ましい。
なお、多孔質溶剤吸収層の「厚み」とは、平均の厚みを意味している。
〈第1の無機粒子〉
第1の無機粒子は、多孔質溶剤吸収層に空隙を形成させることができ、当該空隙にインク中の溶剤を受容させること、例えば吸収及び/又は保持させることができる任意の無機粒子を採用することができる。
第1の無機粒子は、例えばシリカ、タルク、カオリン、クレー、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、及びこれらの混合物等を使用することができる。シリカは、ゲル法シリカ粒子又は気相法シリカ粒子であってよい。第1の無機粒子は、気相法シリカ粒子であることが特に好ましい。
第1の無機粒子の平均一次粒子径は、インク中の顔料の平均一次粒子径よりも小さいことが好ましい。第1の無機粒子の平均一次粒子径がインク中の顔料の平均一次粒子径よりも小さいと、インクジェット印刷時に、顔料が多孔質溶剤吸収層に吸収されにくく、すなわち多孔質顔料定着層に顔料が保持されやすい。
第1の無機粒子の平均一次粒子径は、3.0nm~50.0nmであることが好ましい。
第1の無機粒子の平均一次粒子径は、3.0nm以上、5.0nm以上、10.0nm以上、又は15.0nm以上であってよく、50.0nm以下、40.0nm以下、30.0nm以下、又は20.0nm以下であってよい。第1の無機粒子の平均一次粒子径は、3.0nm~30.0nmであることが特に好ましい。
多孔質溶剤吸収層の質量に対する第1の無機粒子の質量は、50質量%~95質量%であることが好ましい。
多孔質溶剤吸収層の質量に対する第1の無機粒子の質量が50質量%以上であると、多孔質溶剤吸収層の空隙の量を適度に大きくすることができる。そのため、特に高いインク速乾性が得られる。他方、多孔質溶剤吸収層の質量に対する第1の無機粒子の質量が95質量%以下であると、多孔質溶剤吸収層の強度を特に高めることができる。
多孔質溶剤吸収層の質量に対する第1の無機粒子の質量は、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってよく、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下であってよい。多孔質溶剤吸収層の質量に対する第1の無機粒子の質量は、70質量%~90質量%であることが特に好ましい。
〈第1のバインダ樹脂〉
第1のバインダ樹脂は、第1の無機粒子を多孔質溶剤吸収層に保持することができる任意のバインダ樹脂であってよい。
第1のバインダ樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂であってよい。
ここで、「ポリビニルアルコール系樹脂」とは、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールの誘導体、例えばポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化して得られるポリビニルアセタール等を挙げることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ベンズアセタール化ポリビニルアルコールであってよい。
《多孔質顔料定着層》
多孔質顔料定着層は、第2の無機粒子及び第2のバインダ樹脂を含有している。
多孔質顔料定着層は、第2の無機粒子間に形成される空隙等により、多孔質となっている。多孔質顔料定着層は、所望により、更に架橋剤、分散剤、インク定着剤等の各種添加剤を含有していることができる。
多孔質顔料定着層の厚みは、3.0μm~50.0μmであってよい。
多孔質顔料定着層の厚みが3.0μm以上であると、多孔質顔料定着層の空隙の量を大きくすることができ、インク中の溶剤を吸収しやすく、したがって、特に高いインク速乾性が得られる。他方、多孔質顔料定着層の厚みが50.0μm以下であると、インク記録媒体全体をより薄型化することができ、加えて、多孔質顔料定着層の強度を特に高めることができる。
多孔質顔料定着層の厚みは、3.0μm以上、4.0μm以上、5.0μm以上、又は10.0μm以上であってよく、50.0μm以下、45.0μm以下、40.0μm以下、又は30.0μm以下であってよい。
多孔質顔料定着層の厚みは、5.0μm~30.0μmであることが特に好ましい。
なお、多孔質顔料定着層の「厚み」とは、平均の厚みを意味している。
〈第2の無機粒子〉
第2の無機粒子は、多孔質顔料定着層に空隙を形成させることができ、当該空隙にインク中の顔料を受容させること、例えば吸収及び/又は保持させることができる任意の無機粒子を採用することができる。
第2の無機粒子は、例えばシリカ、タルク、カオリン、クレー、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、及びこれらの混合物等を使用することができる。シリカは、ゲル法シリカ粒子又は気相法シリカ粒子であってよい。第2の無機粒子は、ゲル法シリカ粒子であることが特に好ましい。
第2の無機粒子の平均一次時粒子径は、0.1μm~20.0μmであることが好ましい。
第2の無機粒子の平均一次粒子径は、0.1μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、又は1.5μm以上であってよく、20.0μm以下、10.0μm以下、5.0μm以下、又は3.0μm以下であってよい。第2の無機粒子の平均一次粒子径は、0.1μm~5.0μmであることが特に好ましい。
多孔質顔料定着層の質量に対する第2の無機粒子の質量は、20質量%~60質量%であることが好ましい。
多孔質顔料定着層の質量に対する第2の無機粒子の質量が20質量%以上であると、多孔質顔料定着層の空隙の量を適度に大きくすることができる。そのため、特に高いインク速乾性が得られる。他方、多孔質顔料定着層の質量に対する第2の無機粒子の質量が60質量%以下であると、多孔質顔料定着層の強度を特に高めることができる。
多孔質顔料定着層の質量に対する第2の無機粒子の質量は、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は35質量%以上であってよく、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下であってよい。多孔質顔料定着層の質量に対する第2の無機粒子の質量は、25質量%~55質量%であることが特に好ましい。
〈第2のバインダ樹脂〉
第2のバインダ樹脂は、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂である。
ここで、本発明における「非晶性」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて-100℃から300℃まで20℃/minの速度で昇温した際に明確な融解ピークを持たないことを意味する。
非結晶性ポリエステル樹脂としては、例えばスルホン酸基を導入した非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。この様な非結晶性ポリエステル樹脂は、側鎖にスルホン酸基を有していてよい。また、スルホン酸基のうち一部は、スルホン酸ナトリウム基であってよい。
第2のバインダ樹脂の水酸基価は、3KOHmg/g~10KOHmg/gであってよい。第2のバインダ樹脂の水酸基価は、3KOHmg/g以上、4KOHmg/g以上、5KOHmg/g以上、又は6KOHmg/g以上であってよく、10KOHmg/g以下、9KOHmg/g以下、8KOHmg/g以下、又は7KOHmg/g以下であってよい。なお、水酸基価は、JIS K 0070-1992に準拠して測定することができる。
第2のバインダ樹脂の分子量は、10000~30000であってよい。
第2のバインダ樹脂の分子量は、10000以上、13000以上、15000以上、又は17000以上であってよく、30000以下、27000以下、24000以下、又は21000以下であってよい。
《粘着層》
本発明のインクジェット記録媒体は、多孔質溶剤吸収層及び多孔質顔料定着層が積層されている側の反対側に、粘着層が積層されていることができる。
粘着層は、本発明のインクジェット記録媒体を他の物体に貼付するための層である。
粘着層は、例えばアクリル系の粘着性樹脂であってよい。
粘着層は、経年による粘着性の低下を抑制する観点から、例えば紫外線吸収剤を含有していることができる。
図2は、本発明の第2の実施形態に従うインクジェット記録媒体2を示す模式図である。
図2に示すように、本発明の第2の実施形態に従うインクジェット記録媒体2は、基材層10のうち多孔質溶剤吸収層20及び多孔質顔料定着層30が積層されている側の反対側に、粘着層40が積層されていることを除いて、図1と同様である。
《実施例1、並びに比較例1及び2》
〈実施例1〉
(多孔質溶剤吸収層の形成)
イオン交換水50重量部に対して、分散剤としてのカチオン性ポリマー(固形分52.3wt%)1.7重量部を添加し、続いて2-プロパノール35重量部を加え、分散媒を作製した。分散媒をホモジナイザー(製品名:バイオミキサーBM-2、(株)日本精機製作所製)で3000rpmの回転条件で撹拌しながら第1の無機粒子としての気相法シリカ(平均一次粒子径7nm)15重量部を少量ずつ添加し、固形分15.6wt%のシリカ分散液を調製した。
次いで、第1のバインダ樹脂としての部分ベンズアセタール化ポリビニルアルコール(重合度:3500、ベンズアセタール化度:8mol%)の水/2-プロパノール溶液31重量部に、上記シリカ分散液70重量部を混ぜ、樹脂/シリカの固形分比が25/75の割合になるようにした。
次いでヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤0.1重量部を添加、撹拌させて、多孔質溶剤吸収層用の塗工液を調製した。
次いで、卓上塗工機(製品名:コントロールコーター 7000型、(株)井元製作所製)を使用して、基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)系合成紙上に、塗工液を塗布し、100℃2分間オーブンで乾燥させた後、60℃で1日エージングして、基材上に、厚さ10μmの多孔質溶剤吸収層を形成した。
(多孔質顔料定着層の形成)
メチルエチルケトン42重量部とシクロヘキサノン42重量部との混合液に、ポリエーテル燐酸エステル1.5重量部を加え、これに第2の無機粒子としてのゲル法シリカ(平均粒径1.7μm)15重量部を加え、ホモジナイザー(製品名:バイオミキサーBM-2、(株)日本精機製作所製)を使用し分散させ、シリカ分散液を調製した。
次いで、分子鎖内にスルホン酸基を有する非晶性ポリエステル樹脂(分子量:18×10、水酸基価:6KOHmg/g)を、メチルエチルケトン/シクロヘキサノンの割合が1:1である溶媒に溶解させ、樹脂分が40質量%である非晶性ポリエステル樹脂の溶液を調製した。
この非晶性ポリエステル樹脂の溶液39重量部と、上記シリカ分散液60重量部とを攪拌混合し、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤0.5重量部を添加、攪拌させて、塗工液を調製した。
次いで、多孔質溶剤吸収層の表面に対して、塗工液をバーコーターにて塗布後、100℃2分間オーブンで乾燥させた後、60℃3日間エージングして、多孔質溶剤吸収層上に、厚さ15μmの多孔質顔料定着層を形成した。
以上のようにして、実施例1のインクジェット記録媒体を調製した。以下の表1において、実施例1のインクジェット記録媒体の構成を示した。
〈比較例1〉
以下の点を除いて実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録媒体を調製した。
(多孔質顔料定着層の形成)
水51重量部と2-プロパノール34重量部との混合液に、第2の無機粒子としてのゲル法シリカ(平均粒径1.7μm)15重量部を加え、ホモジナイザー(製品名:バイオミキサーBM-2、(株)日本精機製作所製)を使用し分散させ、シリカ分散液を調製した。
次いで、第2のバインダ樹脂としての部分ベンズアセタール化ポリビニルアルコール(重合度:3500、ベンズアセタール化度:8mol%)の水/2-プロパノール溶液63重量部に、上記シリカ分散液37重量部とを混合攪拌し、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤0.1重量部を添加、撹拌させて、塗工液を調製した。
次いで、多孔質溶剤吸収層表面に対して、塗工液をバーコーターにて塗布後、100℃2分間オーブンで乾燥させた後、60℃3日間エージングして、厚さ15μmの多孔質顔料定着層を形成した。
以下の表1において、比較例1のインクジェット記録媒体の構成を示した。
〈比較例2〉
多孔質顔料定着層に用いる第2のバインダ樹脂を、分子鎖内にスルホン酸基を有しない非晶性ポリエステル樹脂(分子量:16×10、水酸基価:7KOHmg/g)としたことを除いて実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録媒体を調製した。
以下の表1において、比較例2のインクジェット記録媒体の構成を示した。
〈評価〉
(造膜性)
各例のインクジェット記録媒体の多孔質顔料定着層を形成した側の表面を指でこすり、塗膜が形成されているかを評価した。
指にゲル法シリカの転移が見られないものは、多孔質顔料定着層が形成されていることを意味する。また、指にゲル法シリカの転移が見られたものは、多孔質顔料定着層が形成されていないこと意味する。
以下の表1において、指にゲル法シリカの転移が見られなかったものを「良」、及び指にゲル法シリカの転移が見られたものを「不良」と記載している。
(インク速乾性)
各例のインクジェット記録媒体に、インクジェットプリンタ(製品名:PIXUS TR703、キヤノン(株)製)で100ポイントの文字を水性顔料インクで印字し、排出されてから5秒後にガーゼで擦った際の文字の状態を評価した。
ガーゼで擦った際に尾引きが生じなかったものは、インク速乾性が高いことを意味する。また、ガーゼで擦った際に尾引きが生じたものは、インク速乾性が低いことを意味する。
以下の表1において、ガーゼで擦った際に尾引きが生じなかったものを「良」、及びガーゼで擦った際に尾引きが生じたものを「不良」と記載している。なお、「-」は、評価していないことを示す。
(耐水性)
各例のインクジェット記録媒体の多孔質顔料定着層を形成した側の表面を水を含んだガーゼで200回強く擦り、多孔質顔料定着層の剥離を評価した。
多孔質顔料定着層の剥離が生じなかったものは、高い耐水性を有していることを示す。また、多孔質顔料定着層の剥離が生じたものは、低い耐水性を有していることを示す。
以下の表1において、多孔質顔料定着層の剥離が生じなかったものを「良」、及び多孔質顔料定着層の剥離が生じたものを「不良」と記載している。なお、「-」は、評価していないことを示す。
〈結果〉
以下の表1に、各例の構成及び評価結果を示す。
Figure 2022149882000002
表1に示すように、多孔質顔料定着層に用いた第2のバインダ樹脂が分子鎖内にスルホン酸基を有する非晶性ポリエステル樹脂であった実施例1では、造膜性、インク速乾性、及び耐水性のいずれにおいても良好な結果が得られた。
これに対して、多孔質顔料定着層に用いた第2のバインダ樹脂がポリビルアルコール系樹脂であった比較例1では、造膜性及びインク速乾性は良好ではあったが、耐水性は低かった。
また、多孔質顔料定着層に用いた第2のバインダ樹脂が分子鎖内にスルホン酸基を有しない非晶性ポリエステル樹脂であった比較例2では、そもそも多孔質顔料定着層を形成することができなかった。そのため、インク速乾性及び耐水性については評価していない。
1及び2 インクジェット記録媒体
10 基材層
20 多孔質溶剤吸収層
30 多孔質顔料定着層
40 粘着層

Claims (10)

  1. 基材層、多孔質溶剤吸収層、及び多孔質顔料定着層がこの順に積層されており、
    前記多孔質溶剤吸収層は、第1の無機粒子及び第1のバインダ樹脂を含有しており、
    前記多孔質顔料定着層は、第2の無機粒子及び第2のバインダ樹脂を含有しており、かつ
    前記第2のバインダ樹脂は、スルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂である、
    インクジェット記録媒体。
  2. 前記第2の無機粒子の平均一次時粒子径は、0.1μm~20.0μmである、請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記多孔質顔料定着層の質量に対する前記第2の無機粒子の質量は、20質量%~60質量%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記多孔質顔料定着層の厚みは、3.0μm~50.0μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記第1の無機粒子の平均一次粒子径は、3.0nm~50.0nmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記多孔質溶剤吸収層の質量に対する前記第1の無機粒子の質量は、50質量%~95質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 前記多孔質溶剤吸収層の厚みは、0.1μm~20.0μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  8. 前記第1のバインダ樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  9. 前記第1の無機粒子及び前記第2の無機粒子は、ゲル法シリカ粒子又は気相法シリカ粒子である、請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  10. 前記基材層は、不透明基材層である、請求項1~9のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
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