JP2022149404A - クリップ及びクリップを備えた乗物用シート - Google Patents

クリップ及びクリップを備えた乗物用シート Download PDF

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Hidenori Kanai
亮介 竹田
Ryosuke Takeda
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Abstract

【課題】組付作業が容易なクリップ及びクリップを備えた乗物用シートを提供する【解決手段】屈曲部14を介して互いに接続された第1棒状部15及び第2棒状部16を有する第1部材12を第2部材10に固定するためのクリップ13であって、第1棒状部15の少なくとも一部を受容する第1溝24を有する第1部分17と、第2棒状部16の少なくとも一部を受容する第2溝27を有する第2部分18と、第1部分17と第2部分18とを接続し、第1部材12に対する第2部材10の相対位置を維持する接続部19と、第1部分17に設けられ、第2部材10に係合する係合部31とを有する。【選択図】図6

Description

本発明は、クリップ及びクリップを備えた乗物用シートに関する。
特許文献1は、乗物用シートのシートバックにおいて、受圧部材から延びる棒状部材の一端をアッパメンバに固定する樹脂製のクリップを開示している。クリップは、棒状部材が挿入される貫通孔が形成された本体部と、本体部から突出し、アッパメンバに形成された係合孔に挿入される弾性爪とを有する。
特開2004-262294号公報
特許文献1に係るクリップは、棒状部材に対して変位可能に取り付けられる。そのため、棒状部材に取り付けられたクリップをアッパメンバに取り付けるときに、クリップの棒状部材に対する位置及び向きを固定しなければならない。その結果、クリップによる棒状部材のアッパメンバへの取付作業が煩雑になるという問題がある。特に、自動化機械によって棒状部材をアッパメンバに取り付ける場合には、クリップの位置決めのために複雑な機構が必要になる。
本発明は、以上の背景に鑑み、組付作業が容易なクリップ及びクリップを備えた乗物用シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、屈曲部(14)を介して互いに接続された第1棒状部(15)及び第2棒状部(16)を有する第1部材(12)を第2部材(10)に固定するためのクリップ(13)であって、前記第1棒状部(15)の少なくとも一部を受容する第1溝(24)を有する第1部分(17)と、前記第2棒状部(16)の少なくとも一部を受容する第2溝(27)を有する第2部分(18)と、前記第1部分(17)と前記第2部分(18)とを接続し、前記第1部材(12)に対する前記第2部材(10)の相対位置を維持する接続部(19)と、前記第1部分(17)に設けられ、前記第2部材(10)に係合する係合部(31)とを有する。
この態様によれば、第1溝に第1棒状部が受容され、かつ第2溝に第2棒状部が受容されることによって、第1部材に対するクリップの位置が定まる。そのため、クリップによる第1部材の第2部材への組付作業を容易にすることができる。
上記の態様において、前記第1溝(24)の開口方向と前記第2溝(27)の開口方向とが互いに異なるとよい。
この態様によれば、クリップが第1部材から脱落し難くなる。
上記の態様において、前記第1部分(17)は、前記接続部(19)側に第1端面(22)を有し、前記第2部分(18)は、前記接続部(19)側に第2端面(23)を有し、前記第1溝(24)の一端は前記第1端面(22)に到達し、前記第2溝(27)の一端は前記第2端面(23)に到達し、前記第1端面(22)、前記接続部(19)、及び前記第2端面(23)は、前記第1溝(24)及び前記第2溝(27)のそれぞれと直交する方向に延びる第3溝(28)を画定し、前記第1溝(24)は、前記第3溝(28)の延在方向における第1側に向けて開口し、前記第2溝(27)は、前記第3溝(28)の延在方向における第2側に向けて開口しているとよい。
この態様によれば、作業者は、第3溝に第1棒状部及び第2棒状部の境界部を挿入し、クリップを回転させることによって、第1溝に第1棒状部を受容させ、かつ第2溝に第2棒状部を受容させることができる。これにより、クリップを第1部材に容易に組み付けることができる。
上記の態様において、前記第1溝(24)の開口端における幅は前記第1棒状部(15)の直径よりも小さく、前記第2溝(27)の開口端における幅は前記第2棒状部(16)の直径よりも小さいとよい。
この態様によれば、第1溝に第1棒状部を維持することができ、かつ第2溝に第2棒状部を維持することができる。これにより、クリップが第1部材から脱落し難くなる。
上記の態様において、前記第1溝(24)の開口端を構成する一対の縁部(24C)は、前記第1溝(24)の底部(24A)側に向けて互いに近接するように傾斜し、前記第2溝(27)の開口端を構成する一対の縁部(27C)は、前記第2溝(27)の底部(27A)側に向けて互いに近接するように傾斜しているとよい。
この態様によれば、第1溝に第1棒状部を押し込むことによって第1溝に第1棒状部を受容させることができる。また、第2溝に第2棒状部を押し込むことによって第2溝に第2棒状部を受容させることができる。
上記の態様において、前記第2棒状部(16)が、前記第1棒状部(15)に対して第1角(α)を有して傾斜し、前記第2部分(18)が前記第1部分(17)に対して前記第1角(α)を有して傾斜しているとよい。
この態様によれば、簡素な構成でクリップを第1部材に対して位置決めすることができる。
上記の態様において、前記係合部(31)は、前記第1部分(17)から突出した弾性爪(34)を有し、前記第2部材(10)は前記係合部が挿入される結合孔(32)を有するとよい。
この態様によれば、第1部材に組み付けられたクリップを第2部材側に容易に取り付けることができる。
上記の態様において、前記第1部分(17)の方が前記第2部分(18)よりも長く形成されているとよい。
この態様によれば、クリップが第1部材及び第2部材を安定性良く接続することができる。
本発明の他の態様は、クリップ(13)を有する乗物用シート(1)であって、上下に延びる左右のサイドメンバ(9)と、左右に延びて左右の前記サイドメンバ(9)の上端に結合したアッパメンバ(10)と、左右に延びて左右の前記サイドメンバ(9)の下端に結合したロアメンバ(11)と、金属棒によって形成され、前記ロアメンバ(11)から前記アッパメンバ(10)に延びる複数のワイヤ(12)と、複数の前記ワイヤ(12)に支持され、左右のサイドメンバ(9)の間かつアッパメンバ(10)とロアメンバ(11)の間に配置された板状の受圧部材(8)とを有し、前記第1部材は、前記ワイヤ(12)であり、前記第2部材は、アッパメンバ(10)であり、前記クリップ(13)が前記ワイヤ(12)の上端部を前記アッパメンバ(10)に固定する。
この態様によれば、クリップによってワイヤをアッパメンバに容易に取り付けることができる。
上記の態様において、前記クリップ(13)の前記係合部(31)は、前記アッパメンバ(10)の前面(10A)に形成された結合孔(32)に前方から挿入されるとよい。
この態様によれば、クリップによってワイヤをアッパメンバに容易に取り付けることができる。
本発明の一態様は、屈曲部(14)を介して互いに接続された第1棒状部(15)及び第2棒状部(16)を有する第1部材(12)を第2部材(10)に固定するためのクリップ(13)であって、前記第1棒状部(15)の少なくとも一部を受容する第1溝(24)を有する第1部分(17)と、前記第2棒状部(16)の少なくとも一部を受容する第2溝(27)を有する第2部分(18)と、前記第1部分(17)と前記第2部分(18)とを接続し、前記第1部材(12)に対する前記第2部材(10)の相対位置を維持する接続部(19)と、前記第1部分(17)に設けられ、前記第2部材(10)に係合する係合部(31)とを有する。
この態様によれば、第1溝に第1棒状部が受容され、かつ第2溝に第2棒状部が受容されることによって、第1部材に対するクリップの位置が定まる。そのため、クリップによる第1部材の第2部材への組付作業を容易にすることができる。
上記の態様において、前記第1溝(24)の開口方向と前記第2溝(27)の開口方向とが互いに異なるとよい。
この態様によれば、クリップが第1部材から脱落し難くなる。
上記の態様において、前記第1部分(17)は、前記接続部(19)側に第1端面(22)を有し、前記第2部分(18)は、前記接続部(19)側に第2端面(23)を有し、前記第1溝(24)の一端は前記第1端面(22)に到達し、前記第2溝(27)の一端は前記第2端面(23)に到達し、前記第1端面(22)、前記接続部(19)、及び前記第2端面(23)は、前記第1溝(24)及び前記第2溝(27)のそれぞれと直交する方向に延びる第3溝(28)を画定し、前記第1溝(24)は、前記第3溝(28)の延在方向における第1側に向けて開口し、前記第2溝(27)は、前記第3溝(28)の延在方向における第2側に向けて開口しているとよい。
この態様によれば、作業者は、第3溝に第1棒状部及び第2棒状部の境界部を挿入し、クリップを回転させることによって、第1溝に第1棒状部を受容させ、かつ第2溝(27)に第2棒状部を受容させることができる。これにより、クリップを第1部材に容易に組み付けることができる。
上記の態様において、前記第1溝(24)の開口端における幅は前記第1棒状部(15)の直径よりも小さく、前記第2溝(27)の開口端における幅は前記第2棒状部(16)の直径よりも小さいとよい。
この態様によれば、第1溝に第1棒状部を維持することができ、かつ第2溝に第2棒状部を維持することができる。これにより、クリップが第1部材から脱落し難くなる。
上記の態様において、前記第1溝(24)の開口端を構成する一対の縁部(24C)は、前記第1溝(24)の底部(24A)側に向けて互いに近接するように傾斜し、前記第2溝(27)の開口端を構成する一対の縁部(27C)は、前記第2溝(27)の底部(27A)側に向けて互いに近接するように傾斜しているとよい。
この態様によれば、第1溝に第1棒状部を押し込むことによって第1溝に第1棒状部を受容させることができる。また、第2溝に第2棒状部を押し込むことによって第2溝に第2棒状部を受容させることができる。
上記の態様において、前記第2棒状部(16)が、前記第1棒状部(15)に対して第1角(α)を有して傾斜し、前記第2部分(18)が前記第1部分(17)に対して前記第1角(α)を有して傾斜しているとよい。
この態様によれば、簡素な構成でクリップを第1部材に対して位置決めすることができる。
上記の態様において、前記係合部(31)は、前記第1部分(17)から突出した弾性爪(34)を有し、前記第2部材(10)は前記係合部が挿入される結合孔(32)を有するとよい。
この態様によれば、第1部材に組み付けられたクリップを第2部材側に容易に取り付けることができる。
上記の態様において、前記第1部分(17)の方が前記第2部分(18)よりも長く形成されているとよい。
この態様によれば、クリップが第1部材及び第2部材を安定性良く接続することができる。
本発明の他の態様は、クリップ(13)を有する乗物用シート(1)であって、上下に延びる左右のサイドメンバ(9)と、左右に延びて左右の前記サイドメンバ(9)の上端に結合したアッパメンバ(10)と、左右に延びて左右の前記サイドメンバ(9)の下端に結合したロアメンバ(11)と、金属棒によって形成され、前記ロアメンバ(11)から前記アッパメンバ(10)に延びる複数のワイヤ(12)と、複数の前記ワイヤ(12)に支持され、左右のサイドメンバ(9)の間かつアッパメンバ(10)とロアメンバ(11)の間に配置された板状の受圧部材(8)とを有し、前記第1部材は、前記ワイヤ(12)であり、前記第2部材は、アッパメンバ(10)であり、前記クリップ(13)が前記ワイヤ(12)の上端部を前記アッパメンバ(10)に固定する。
この態様によれば、クリップによってワイヤをアッパメンバに容易に取り付けることができる。
上記の態様において、前記クリップ(13)の前記係合部(31)は、前記アッパメンバ(10)の前面(10A)に形成された結合孔(32)に前方から挿入されるとよい。
この態様によれば、クリップによってワイヤをアッパメンバに容易に取り付けることができる。
実施形態に係るシートのフレームの斜視図 シートバックフレームの正面図 第1実施形態に係るクリップの側面図 第1実施形態に係るクリップの側面図 クリップの平面図 第1実施形態に係るクリップがアッパメンバに係合した状態を示す説明図 第2実施形態に係るクリップがアッパメンバに係合した状態を示す説明図 第3実施形態に係るクリップがアッパメンバに係合した状態を示す説明図 第4実施系谷係るクリップの平面図
以下、図面を参照して、本発明に係るクリップ及び乗物用シートの一実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、乗物用シート1は、車室のフロアに設けられたシートクッション2と、シートクッション2の後部に結合されたシートバック3を有する。シートクッション2は、骨格をなすシートクッションフレーム4を有する。シートクッションフレーム4にはパッド(不図示)が支持され、パッドの外面には表皮材が被せられている。シートクッションフレーム4は、前後に延びる左右のクッションサイドメンバ5と、左右に延び、左右のクッションサイドメンバ5の前端部のそれぞれに結合したフロントメンバ6とを有する。左右のクッションサイドメンバ5の後端部は、上方に傾斜して延びている。
シートバック3は、骨格をなすシートバックフレーム7と、シートバックフレーム7に支持された受圧部材8(ランバーサポート)と、シートバックフレーム7及び受圧部材8に支持されたパッド(不図示)と、パッドの外面に被せられた表皮材を有する。シートバックフレーム7は、上下に延びる左右のバックサイドメンバ9と、左右に延び、左右のバックサイドメンバ9の上端部のそれぞれに結合したアッパメンバ10と、左右に延び、左右のバックサイドメンバ9の下端部のそれぞれに結合したロアメンバ11とを有する。アッパメンバ10は、板金材によって形成されている。アッパメンバ10は、後方に向けて開口した溝形の板金から形成されている。アッパメンバ10は、面が前後を向く前壁部10Aと、前壁部10Aの上縁から後方に向かって延びる上壁部10Bと、前壁部10Aの下縁から後方に向かって延びる下壁部10Cを有する。左右のバックサイドメンバ9の下端は、リクライニング機構を介して左右において対応するクッションサイドメンバ5の後端に結合されている。
アッパメンバ10からロアメンバ11には、複数のワイヤ12が掛け渡されている。本実施形態におけるワイヤ12は、シートバックフレーム7の上下に延び、左右対称に形成されている。ワイヤ12は、金属から形成されている。ワイヤ12の下部はロアメンバ11に結合し、ワイヤ12の上部はクリップ13を介してアッパメンバ10に結合している。左右のワイヤ12は、下端が互いに接続されていてもよい。ワイヤ12は、アッパメンバ10とロアメンバ11の間において、受圧部材8を支持している。ワイヤ12は上部に、屈曲部14を介して互いに接続された第1棒状部15及び第2棒状部16を有する。第1棒状部15は、屈曲部14よりも上方に配置され、上下に直線状に延びている。第2棒状部16は、第1棒状部15に対して傾斜角αを有し、屈曲部14から下方かつ後方に向かって直線状に延びている。傾斜角αは、90度以上180度以下の鈍角である。
受圧部材8は、着座者の背部を支持する板状の部材である。受圧部材8は、アッパメンバ10及びロアメンバ11にワイヤ12を介して係止されている。受圧部材8は、可撓性を有し、樹脂材料等によって形成されているとよい。受圧部材8は、シートバックフレーム7の前方かつ下部に配置されている。受圧部材8はシートバックフレーム7の左右方向及び上下方向に向かって延びている。受圧部材8の一部は、ロアメンバ11の前方の一部に重なるように配置されている。
ワイヤ12(第1部材)の上端部は、クリップ13によってアッパメンバ10(第2部材)に結合されている。クリップ13は可撓性を有し、例えば、樹脂によって形成されている。図3及び図4に示すように、クリップ13は、第1部分17、第2部分18、及び接続部19を有する。接続部19は、第1部分17と第2部分18を接続している。第1部分17は第1軸線Xを有し、第2部分18は第1軸線Xに対して傾斜した第2軸線Yを有する。第1部分17及び第2部分18の外形は、例えば直方体や円筒形等に形成されているとよい。本実施形態では、第1部分17は第1軸線Xに沿って延びる直方体に形成され、第2部分18は第2軸線Yに沿って延びる直方体に形成されている。本実施形態において、第1部分17の第1軸線X方向の長さは、第2部分18の第2軸線Y方向の長さよりも長く形成されている。第1軸線Xと第2軸線Yとのなす角は、第1棒状部15と第2棒状部16との傾斜角αと等しく設定されているとよい。
第1部分17は、第1軸線Xに沿った方向における一端に第1端面22を有し、他端に第2端面23を有する。図5に示すように、第1部分17は、第1軸線Xに沿って形成された第1溝24を有する。第1溝24は、底部24Aと、底部24Aの両側縁から底部24Aに対して突出した一対の側壁24Bによって画定されている。第1溝24は、第1端面22及び第2端面23に到達している。第2部分18は、第2軸線Yに沿った方向における一端に第3端面25を有し、他端に第4端面26を有する。第2部分18は、第2軸線Yに沿って形成された第2溝27を有する。第2溝27は、底部27Aと、底部27Aの両側縁から底部27Aに対して突出した一対の側壁27Bによって画定されている。第2溝27は、第3端面25及び第4端面26に到達している。
接続部19は、第2端面23と第3端面25の間において、第1軸線X、第2軸線Yと重ならない位置にある。接続部19は、板状に形成され、第1部分17の一方の側壁24Bと、第2部分18の他方の側壁27Bを接続している。接続部19と、第2端面23と、第3端面25とによって第3溝28が形成されている。第3溝28は、第1軸線X及び第2軸線Yのそれぞれと直交する方向に延びている。第3溝28は、第1溝24の第2端面23側の端部と接続し、第2溝27の第3端面25側の端部と接続している。第1溝24の開口方向は、第3溝28の延在方向の一方と一致し、第2溝27の開口方向は、第3溝28の延在方向の他方と一致する。すなわち、第1溝24と第2溝27とは互いに相反する方向に開口している。
第1溝24は、第1棒状部15の少なくとも一部を受容する。第1溝24を形成する一対の側壁24Bの内面の開口端側のそれぞれには、互いに近づく方向に突出した一対の第1突出部29が設けられている。一対の第1突出部29によって、第1溝24の開口端における幅は第1棒状部15の直径よりも小さく設定されている。第1溝24の開口端を構成する一対の縁部24Cは、第1溝24の底部24A側に向けて互いに近接するように傾斜している。具体的には、一対の第1突出部29の開口端側の面が第1溝24の底部24A側に向けて互いに近接するように傾斜している。
第2溝27は、第2棒状部16の少なくとも一部を受容する。第2溝27を形成する一対の側壁27Bの内面の開口端側のそれぞれには、互いに近づく方向に突出した一対の第2突出部30が設けられている。一対の第2突出部30によって、第2溝27の開口端における幅は第2棒状部16の直径よりも小さく設定されている。第2溝27の開口端を構成する一対の縁部27Cは、第2溝27の底部27A側に向けて互いに近接するように傾斜している。具体的には、一対の第2突出部30の開口端側の面が第2溝27の底部27A側に向けて互いに近接するように傾斜している。
第1部分17の側壁24Bの外面には、ワイヤ12をアッパメンバ10に係合するための係合部31が設けられている。図6に示すように、アッパメンバ10は、クリップ13を係合するための複数の係合孔32を有する。本実施形態において係合孔32は、アッパメンバ10の前壁部10Aの左部と右部にそれぞれ1つずつ形成されている。各係合孔32は、アッパメンバ10に対して、前後方向に形成されている。係合部31は可撓性を有し、例えば、樹脂によって形成されている。係合部31は、第1部分17の側壁24Bの外面から略垂直に延びる支持部33と、支持部33の先端33Bから支持部33の基端33Aに向かって延びる複数の弾性爪34を有する。本実施形態における弾性爪34は、支持部33に対して左右対称に形成され、第1軸線Xに沿って並んだ一対の弾性爪34である。各弾性爪34は、支持部33の先端33B上に基部34Aを有する。各弾性爪34は、基部34Aから基端33Aに向かうにつれて支持部33の外周面から遠ざかるように延びる遊端部34Bを有する。
ワイヤ12をアッパメンバ10に固定する方法は以下のとおりである。まず、作業者は、ワイヤ12の屈曲部14の後方に、第3溝28が前方に向けて開口し、かつ左右に延在するようにクリップ13を配置する。そして、作業者は、ワイヤ12の屈曲部14を、第3溝28に前方から受容させる。続いて、作業者は、第3溝28を通過し前後に延びる軸線を中心としてクリップ13を回転させる。これにより、第1棒状部15が第1溝24に進入し、第2棒状部16が第2溝27に進入する。このとき、第1棒状部15は一対の第1突出部29間を通過し、第2棒状部16は一対の第2突出部30間を通過する。これにより、第1棒状部15が一対の第1突出部29間に係止され、かつ第2棒状部16が一対の第2突出部30に係止されるため、クリップ13がワイヤ12に結合される。
次に、作業者は、ワイヤ12に結合されたクリップ13の係合部31を係合孔32に挿入する。これにより、クリップ13はアッパメンバ10に固定される。
ワイヤ12が屈曲部14を介して第1棒状部15と第2棒状部16を有し、第1棒状部15をクリップ13の第1溝24が挟持し、第2棒状部16をクリップ13の第2溝27がそれぞれ受容するため、ワイヤ12に対するクリップ13の位置を定めやすく、組付け作業がしやすい。第1溝24と第2溝27が互いに異なる方向に開口しており、第1溝24の開口幅が第1突出部29を有することで第1棒状部15の直径よりも小さく、第2溝27の開口幅が第2突出部30を有することで第2棒状部16の直径よりも小さいため、クリップ13がワイヤ12から脱落しにくい。また、第1溝24の開口端を構成する一対の縁部24Cは、第1溝24の底部24A側に向けて互いに近接するように傾斜し、第2溝27の開口端を構成する一対の縁部27Cは、第2溝27の底部27A側に向けて互いに近接するように傾斜している。この各縁部24C、27Cの構造により、作業者が第1溝24及び第2溝27にワイヤ12を押し込むことで、第1溝24及び第2溝27がワイヤ12を容易に受容することができる。
接続部19と、第2端面23と、第3端面25とによって第3溝28が形成され、第1溝24、第2溝27が第3溝28の延在方向の少なくとも一部に向けてそれぞれ開口している。この構造により、作業者は、ワイヤ12の屈曲部14を、第3溝28に前方から受容させた後、第3溝28を通過し前後に延びる軸線を中心としてクリップ13を回転させることで、第1溝24を第1棒状部15に、第2溝27を第2棒状部16にそれぞれ容易に係止させることができる。第1軸線Xと第2軸線Yとのなす角が、第1棒状部15と第2棒状部16との傾斜角αと等しく設定されていることにより、ワイヤ12に対するクリップ13の位置決めを簡素な構造で行うことができる。アッパメンバ10の前壁部10Aは係合孔32を有するため、クリップ13の第1部分17に設けられた係合部31を、係合孔32に前方から挿入することができる。
第2実施形態に係るクリップ213及び乗物用シート1は、第1実施形態に係るクリップ13及び乗物用シート1と比較して、クリップ213の形状及びワイヤ212の形状が相違する。以下の説明では、相違する構成についてのみ説明し、第1実施形態に係るクリップ13及び乗物用シート1と同様の構成については、上記の記載を援用して説明を省略する。
図7に示すように、ワイヤ212の上部は、後方に向けて屈曲する第1の屈曲部235と、下方に向けて屈曲する第2の屈曲部236を有する。ワイヤ212は、屈曲部235、236を介して互いに接続された第1棒状部215、第2棒状部216及び中間棒状部214を有する。第1棒状部215は、第1の屈曲部235よりも上方に配置され、上下に直線状に延びている。中間棒状部214は、第1の屈曲部235と第2の屈曲部236の間に配置され、第1棒状部215に対して略垂直に接続し、前後に直線状に延びている。第2棒状部216は、第2の屈曲部236の下方に配置され、中間棒状部214に対して略垂直に接続し、上下に直線状に延びている。
本実施形態に係るクリップ213の第1部分217は第1軸線X'を有し、接続部219は第1軸線X'に対して略垂直に延びる第3軸線Zを有する。第2部分218は、第3軸線Zに対して略垂直に延びる第2軸線Y'を有する。第1部分217、接続部219、及び第2部分218の外形は、例えば直方体や円筒形等に形成されているとよい。本実施形態では、第1部分217は第1軸線X'に沿って延びる直方体に形成され、接続部219は第3軸線Zに沿って延びる直方体に形成され、第2部分218は第2軸線Y'に沿って延びる直方体に形成されている。
第1部分217は、第1軸線X'に沿った方向における一端に第5端面222を有し、他端において、接続部219に接続されている。第1部分217は、第1軸線X'に沿って形成された第1溝224を有する。第1溝224は、底部224Aと、底部224Aの両側縁から底部224Aに対して突出した一対の側壁224Bによって画定されている。第2部分218は、第2軸線Y'に沿った方向における一端において接続部219に接続され、他端に第6端面223を有する。第2部分218は、第2軸線Y'に沿って形成された第2溝227を有する。第2溝227は、底部227Aと、底部227Aの両側縁から底部227Aに対して突出した一対の側壁227Bによって画定されている。接続部219は、第3軸線Zに沿って形成された第3溝228を有する。第3溝228は、底部228Aと、底部228Aの両側縁から底部228Aに対して突出した一対の側壁228Bによって画定されている。第3溝228は、第1溝224及び第2溝227と接続している。第1溝224、第2溝227、及び第3溝228は互いに同一の方向に開口している。また、第1溝224、第2溝227、及び第3溝228は、第1軸線X'、第2軸線Y'、及び第3軸線Zを含む平面に対して直交する方向に開口している。
第3溝228は、中間棒状部214を受容する。第3溝228を形成する一対の側壁228Bの内面の開口端側のそれぞれには、互いに近づく方向に突出した一対の第3突出部238が設けられている。一対の第3突出部238によって、第3溝228の開口端における幅は中間の直径よりも小さく設定されている。第3溝228の開口端を構成する一対の縁部228Cは、第3溝228の底部228A側に向けて互いに近接するように傾斜している。具体的には、一対の第3突出部238の開口端側の面が第3溝228の底部228A側に向けて互いに近接するように傾斜している。
ワイヤ212をアッパメンバ10に固定する方法は以下のとおりである。作業者は、第1棒状部215を第1溝224に、第2棒状部216を第2溝227に、中間棒状部214を第3溝228に前方から押し込んで受容させる。このとき、第1棒状部215は一対の第1突出部29間を通過し、第2棒状部216は一対の第2突出部30間を通過し、中間棒状部214は第3突出部238を通過する。これにより、第1棒状部215が一対の第1突出部29間に係止され、第2棒状部216が一対の第2突出部30に係止され、かつ、中間棒状部214が第3突出部238に係止されるため、クリップ213がワイヤ212に結合される。
次に、作業者は、ワイヤ212に結合されたクリップ213の係合部31を係合孔32に挿入する。これにより、クリップ213はアッパメンバ10に固定される。
第1棒状部215を第1溝224が受容し、第2棒状部216を第2溝227が受容し、中間棒状部214を第3溝228が受容するこの態様により、クリップ213がワイヤ212により安定して結合される。
第3実施形態に係るクリップ313及び乗物用シート1は、第2実施形態に係るクリップ213及び乗物用シート1と比較して、クリップ313の形状及びワイヤ312の形状が相違する。以下の説明では、相違する構成についてのみ説明し、第1実施形態及び第2実施形態に係るクリップ13、213及び乗物用シート1と同様の構成については、上記の記載を援用して説明を省略する。
図8に示すように、ワイヤ312は、第1棒状部215の上端から後方に延びる第4棒状部339を有する。係合部31の支持部33には、支持部33に沿って延びる第4溝340が形成されている。第4溝340は、第1溝224と同一の方向に開口している。第4溝340の一端は第1溝224に接続している。第4溝340の他端は支持部33の先端33Bに到達していてもよく、到達していなくてもよい。
第4溝340は、第4棒状部339を受容する。第4溝340を形成する一対の側壁340Bの内面の開口端側のそれぞれには、互いに近づく方向に突出した一対の第4突出部341が設けられている。一対の第4突出部341によって、第4溝340の開口端における幅は中間の直径よりも小さく設定されている。第4溝340の開口端を構成する一対の縁部340Cは、第4溝340の底部340A側に向けて互いに近接するように傾斜している。具体的には、一対の第4突出部341の開口端側の面が第4溝340の底部340A側に向けて互いに近接するように傾斜している。
ワイヤ312をアッパメンバ10に固定する方法は以下のとおりである。作業者は、第1棒状部215を第1溝224に、第2棒状部216を第2溝227に、中間棒状部214を第3溝228に、第4棒状部339を第4溝340に前方から押し込んで受容させる。このとき、第1棒状部215は一対の第1突出部29間を通過し、第2棒状部216は一対の第2突出部30間を通過し、中間棒状部214は一対の第3突出部238間を通過し、第4棒状部339は一対の第4突出部341間を通過する。これにより、第1棒状部215が一対の第1突出部29間に係止され、第2棒状216部が一対の第2突出部30間に係止され、中間棒状部214が一対の第3突出部238間に係止され、かつ、第4棒状部339が一対の第4突出部341間に係止されるため、クリップ313がワイヤ312に結合される。
次に、作業者は、ワイヤ312に結合されたクリップ313の係合部31を係合孔32に前方から挿入する。このとき、係合部31が係合孔32に挿入されるのと同時に、第4棒状部339も係合孔32を通過する。これにより、クリップ313はアッパメンバ10に固定される。
第1棒状部215を第1溝224が受容し、第2棒状部216を第2溝227が受容し、中間棒状部214を第3溝228が受容し、かつ、第4棒状部339を第4溝340がそれぞれ受容するこの態様により、クリップ313がワイヤ312により安定して結合される。係合部31に第4溝340が形成されているため、第1部分217に弾性爪34を設ける必要が無く、クリップ313の構造を簡素化できる。
第4実施形態に係るクリップ413及び乗物用シート1は、第1実施形態に係るクリップ13及び乗物用シート1と比較して、クリップ413の形状及びアッパメンバ410の形状が相違する。以下の説明では、相違する構成についてのみ説明し、第1実施形態に係るクリップ13及び乗物用シート1と同様の構成については、上記の記載を援用して説明を省略する。
図9に示すように、アッパメンバ410は、係合孔432の縁部に円筒状の突出部442を有する。突出部442は係合孔432の縁部から前方に延びている。突出部442は、例えば、アッパメンバ410の背面側からドリルによって係合孔432を穿孔した場合に生じるバリであってもよい。第1部分417の側壁424Bは、外面に形成された第5溝445を有する。第5溝445は、支持部433を中心とした環状に形成されている。
クリップ413がアッパメンバ410に取り付けられた状態において、突出部442は第5溝445に受容される。この態様により、係合孔432の生成時に生じた突出部442が干渉することなく、クリップ413をアッパメンバ410に固定することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第2実施形態において、第1溝224、第2溝227及び第3溝228は同一の方向に開口し、第3実施形態において、第1溝224、第2溝227、第3溝228、及び第4溝340は同一の方向に開口しているが、各開口は互いに相反する方向に開口していてもよい。
1 :シート
7 :シートバックフレーム
8 :受圧部材
9 :バックサイドメンバ
10 :アッパメンバ
11 :ロアメンバ
12 :ワイヤ
13 :クリップ
14 :屈曲部
15 :第1棒状部
16 :第2棒状部
17 :第1部分
18 :第2部分
19 :接続部
X :第1軸線
Y :第2軸線
22 :第1端面
23 :第2端面
24 :第1溝
25 :第3端面
26 :第4端面
27 :第2溝
28 :第3溝
29 :第1突出部
30 :第2突出部
31 :係合部
32 :係合孔
33 :支持部
34 :弾性爪

Claims (10)

  1. 屈曲部を介して互いに接続された第1棒状部及び第2棒状部を有する第1部材を第2部材に固定するためのクリップであって、
    前記第1棒状部の少なくとも一部を受容する第1溝を有する第1部分と、
    前記第2棒状部の少なくとも一部を受容する第2溝を有する第2部分と、
    前記第1部分と前記第2部分とを接続し、前記第1部材に対する前記第2部材の相対位置を維持する接続部と、
    前記第1部分に設けられ、前記第2部材に係合する係合部とを有するクリップ。
  2. 前記第1溝の開口方向と前記第2溝の開口方向とが互いに異なる請求項1に記載のクリップ。
  3. 前記第1部分は、前記接続部側に第1端面を有し、
    前記第2部分は、前記接続部側に第2端面を有し、
    前記第1溝の一端は前記第1端面に到達し、
    前記第2溝の一端は前記第2端面に到達し、
    前記第1端面、前記接続部、及び前記第2端面は、前記第1溝及び前記第2溝のそれぞれと直交する方向に延びる第3溝を画定し、
    前記第1溝は、前記第3溝の延在方向における第1側に向けて開口し、
    前記第2溝は、前記第3溝の延在方向における第2側に向けて開口している請求項2に記載のクリップ。
  4. 前記第1溝の開口端における幅は前記第1棒状部の直径よりも小さく、
    前記第2溝の開口端における幅は前記第2棒状部の直径よりも小さい請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載のクリップ。
  5. 前記第1溝の開口端を構成する一対の縁部は、前記第1溝の底部側に向けて互いに近接するように傾斜し、
    前記第2溝の開口端を構成する一対の縁部は、前記第2溝の底部側に向けて互いに近接するように傾斜している請求項4に記載のクリップ。
  6. 前記第2棒状部が、前記第1棒状部に対して第1角を有して傾斜し、
    前記第2部分が前記第1部分に対して前記第1角を有して傾斜している請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載のクリップ。
  7. 前記係合部は、前記第1部分から突出した弾性爪を有し、
    前記第2部材は前記係合部が挿入される結合孔を有する請求項1~請求項6のいずれか1つの項に記載のクリップ。
  8. 前記第1部分の方が前記第2部分よりも長く形成されている請求項1~請求項7のいずれか1つの項に記載のクリップ。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか1つの項に記載のクリップを有する乗物用シートであって、
    上下に延びる左右のサイドメンバと、
    左右に延びて左右の前記サイドメンバの上端に結合したアッパメンバと、
    左右に延びて左右の前記サイドメンバの下端に結合したロアメンバと、
    金属棒によって形成され、前記ロアメンバから前記アッパメンバに延びる複数のワイヤと、
    複数の前記ワイヤに支持され、左右のサイドメンバの間かつアッパメンバとロアメンバの間に配置された板状の受圧部材とを有し、
    前記第1部材は、前記ワイヤであり、
    前記第2部材は、アッパメンバであり、
    前記クリップが前記ワイヤの上端部を前記アッパメンバに固定する乗物用シート。
  10. 前記クリップの前記係合部は、前記アッパメンバの前面に形成された結合孔に前方から挿入される請求項9に記載の乗物用シート。
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