JP2022148763A - ドライブシャフト - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構造でありながら、自動車への組み付けを容易に行い得るドライブシャフトを提供する。【解決手段】外側継手部材3を有する摺動式等速自在継手2と、自動車の静止側部材8の孔部9に嵌合され、外側継手部材3の軸部5を回転自在に支持する転がり軸受10と、軸方向移動可能な状態で軸部5の外周に嵌合され、静止側部材8に固定されたときに転がり軸受10の外輪12と軸方向で係合することにより等速自在継手2のアウトボード側への軸方向移動を規制する規制部材20とを備えたドライブシャフト1であって、軸部5のうち規制部材20の移動可能領域に、規制部材20に対して締め代をもって嵌合される大径部Aと、転がり軸受10に近接配置され、規制部材20に対する締め代がない小径部Bとを設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、ドライブシャフトに関する。
車台上に搭載されたエンジンや電動モータを駆動源とする自動車においては、駆動源の出力(トルク)が、車幅方向に沿って配置された動力伝達装置としてのドライブシャフトを介して駆動輪に伝達される。ドライブシャフトは、駆動源側(インボード側)に配置され、連結した二軸の軸方向変位および角度変位を許容する摺動式等速自在継手と、駆動輪側(アウトボード側)に配置され、連結した二軸の角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、両等速自在継手をトルク伝達可能に連結した中間シャフトと、を備える。
ところで、FF車(およびFFベースの4WD車)の多くは、エンジンおよびトランスミッションを効率良くエンジンルーム内に収める観点から、エンジンとトランスミッションを横一列に並べて配置している。この種のいわゆる横置きエンジンタイプの自動車では、デファレンシャルが車幅方向の中央部よりも外側にシフトした位置に配置される関係上、左右のドライブシャフト(左側の駆動輪にトルクを伝達するドライブシャフト、および右側の駆動輪にトルクを伝達するドライブシャフト)の全長を相互に異ならせる必要がある。この場合に何ら対策を講じなければ、左右のドライブシャフトの捩じり剛性差等に起因して左右の駆動輪へのトルク伝達性に差が生じるため、自動車の運転性能や乗り心地に悪影響が及ぶ。そこで、一般的には、左右のドライブシャフトの中間シャフトの全長を均等にしつつ、左右のドライブシャフト間で摺動式等速自在継手(を構成する外側継手部材の軸部)の全長を相互に異ならせる、といった対策が採られている。
ドライブシャフトにおいては、摺動式等速自在継手のインボード側の端部(同等速自在継手を構成する外側継手部材の軸部の自由端)がデファレンシャルとトルク伝達可能に連結される。また、左右のドライブシャフトのうち上記軸部の全長が長い方のドライブシャフトにおいては、作動時の挙動が不安定化等するのを可及的に防止するため、上記軸部が、サポートベアリングとも称される転がり軸受、および金属製のブラケットを介して自動車の静止側部材(例えば、エンジン)に対して回転自在に支持されるのが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1において、転がり軸受の内輪は、軸方向に位置決めされた状態で軸部の外周に装着され、転がり軸受の外輪は、軸方向に位置決めされた状態でブラケット(に設けられた円筒部)の内周に装着される。
特開2017-7464号公報
ところで、特許文献1に記載されたドライブシャフトを自動車に組み付ける際には、内周に摺動式等速自在継手の軸部を支持する転がり軸受の外輪が装着される円筒部と、円筒部の一端外周に設けられ、自動車の静止側部材に対して取付固定されるフランジ部と、円筒部の他端内周に設けられ、外輪と軸方向で係合可能な環状凸部とを一体に有する複雑形状のブラケットを用い、かつ上記環状凸部と円筒部の内径面に嵌合した止め輪とで転がり軸受(の外輪)、ひいては摺動式等速自在継手が軸方向に位置決めされる。そのため、特許文献1のドライブシャフトは、自動車に対する組み付けに手間とコストを要する。
係る実情に鑑み、本発明は、自動車に対する組み付けを容易にかつ精度良く行うことができるドライブシャフトを提供し、これにより、自動車の動力伝達系を構築するのに必要なコストの低減に寄与することを目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明に係るドライブシャフトは、
カップ部、およびカップ部の底部から軸方向に延び、自由端がデファレンシャルとトルク伝達可能に連結される軸部を有する外側継手部材を含む摺動式等速自在継手と、
自動車の静止側部材の孔部に嵌合され、軸部を静止側部材に対して回転自在に支持する転がり軸受と、
カップ部と転がり軸受との間で軸方向移動可能に上記軸部の外周に嵌合され、上記静止側部材に固定されたときに転がり軸受の外輪と軸方向で係合することにより摺動式等速自在継手のデファレンシャルとは反対側への軸方向移動を規制する規制部材と、を備え、
軸部のうち規制部材の移動可能領域に、規制部材に対して締め代をもって嵌合される大径部と、転がり軸受に近接配置され、規制部材に対する締め代がない小径部とが設けられていることを特徴とする。
上記の構成を有するドライブシャフトによれば、摺動式等速自在継手の軸部に装着された転がり軸受を自動車の静止側部材の孔部に嵌合した後、軸部の外周に嵌合された規制部材を静止側部材に対して固定することにより、上記軸部が自動車の静止側部材に対して回転自在に支持されると共に、外側継手部材を含む摺動式等速自在継手が軸方向(自動車の車幅方向)で位置決めされる。また、本発明に係るドライブシャフトの構成上、規制部材は、静止側部材の孔部に嵌合された転がり軸受が静止側部材の孔部から抜け落ちるのを防止する抜け止め機能を有していれば足り、従来のブラケットのように転がり軸受の外輪を保持するための円筒部は不要である。そのため、規制部材としては、例えば平板状の形態をなした単純形状の部材を採用することが可能となる。
また、軸部の外周に嵌合された規制部材が軸方向移動可能であれば、例えば自動車の静止側部材に対して規制部材を容易にかつ精度良く固定可能とする(ドライブシャフトの組付作業性を高める)上で有利となるが、ドライブシャフトの運搬時、およびドライブシャフトを自動車に組み付ける際のハンドリング時等に、規制部材が自由に軸方向移動するのに伴って外側継手部材の軸部や転がり軸受にキズ・凹みなどの欠陥が生じるおそれがある。
そこで、本発明に係るドライブシャフトでは、軸部のうち、その外周に嵌合された規制部材が軸方向移動可能な領域に、規制部材に対して締め代をもって嵌合される大径部と、規制部材に対する締め代がない小径部とを設け、この小径部を転がり軸受に近接配置している。この場合、軸部の大径部に規制部材を嵌合すれば規制部材の軸方向移動を規制する(規制部材を仮固定する)ことができるので、ドライブシャフトの運搬時およびハンドリング時等に規制部材が自由に軸方向移動することに由来したキズ・凹みなどの欠陥が外側継手部材の軸部や転がり軸受に形成されるのを防止することが可能となる。その一方、規制部材を静止側部材に固定する際には、規制部材を軸方向移動させて規制部材の嵌合部位を大径部→小径部に変更することにより、規制部材を静止側部材に対して容易にかつ精度良く固定することができる。
軸部の大径部を規制部材に対して締め代をもって嵌合するために採用し得る技術手段としては、例えば、軸孔の中心側に突出し、内径端部が大径部に圧接可能な凸部を規制部材に設ける、あるいは、規制部材の端面に内径端部が大径部に圧接可能な凸部を設けることが考えられる。
上記凸部の内径端部(上記大径部に圧接可能な部分)には、転がり軸受に接近するにつれて徐々に内径側にシフトした傾斜面を設けることができる。このようにすれば、軸部の大径部に対して規制部材を嵌合し易くなる。
以上の構成において、転がり軸受は、軸部の外周にしまりばめされた内輪と、静止側部材の軸孔にすきまばめされる外輪と、内外輪間に介在する複数のボールとを備えた球軸受(深溝球軸受)で構成することができる。このような転がり軸受を用いることにより、静止側部材の軸孔に対して転がり軸受を容易に嵌合することができる。なお、ここでいう「しまりばめ」および「すきまばめ」の定義は、JIS B 0401-1に規定されている「しまりばめ」および「すきまばめ」の定義に準ずる(以下の説明においても同様)。
以上に示すように、本発明によれば、簡素な構造でありながら、自動車への組み付けを容易にかつ精度良く行い得るドライブシャフトを実現することができる。これにより、自動車の動力伝達系を構築するのに必要なコストの低減に寄与することができる。
本発明の一実施形態に係るドライブシャフトを含む自動車の動力伝達系の部分概略断面図である。 図1のX-X線矢視断面図である。 図1に示すドライブシャフトの部分拡大図である。 (a)図は、運搬時におけるドライブシャフトの要部拡大図、(b)図は、自動車への組み付け作業時におけるドライブシャフトの要部拡大図である。 本発明の他の実施形態に係るドライブシャフトの部分拡大図である。 本発明の他の実施形態に係るドライブシャフトの部分拡大図である。 本発明の他の実施形態に係るドライブシャフトの部分拡大図である。 本発明の他の実施形態に係るドライブシャフトの部分拡大図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドライブシャフト1を含む自動車の動力伝達系の部分概略断面図である。同図に示すドライブシャフト1は、駆動源側(図1の紙面右側であり、以下「インボード側」という)に配置され、連結した二軸の軸方向変位および角度変位の双方を許容する摺動式等速自在継手2と、駆動輪側(図1の紙面左側であり、以下「アウトボード側」という)に配置され、連結した二軸の角度変位のみを許容する図示外の固定式等速自在継手と、摺動式等速自在継手2と固定式等速自在継手をトルク伝達可能に連結した図示外の中間シャフトとを備える。
摺動式等速自在継手2は、有底筒状のカップ部4と、カップ部4の底部から軸方向に延びた軸部5とを有する外側継手部材3を備え、軸部5の自由端(インボード側の端部)は図示外のデファレンシャルとトルク伝達可能に連結されている。図示は省略しているが、外側継手部材3のカップ部4の内周には、中間シャフトに連結された内側継手部材等が収容される。
外側継手部材3の軸部5には、円筒面状の第1外周面5aと、第1外周面5aよりも外径寸法が大きい円筒面状の第2外周面5bと、第2外周面5bよりも外径寸法が大きい円筒面状の第3外周面5cとが設けられ、これらの外周面5a~5cは、インボード側からアウトボード側に向けて順に配置されている。第2外周面5bの軸方向寸法は、平板状をなした規制部材20(詳細は後述する)の軸方向寸法(板厚)よりも大きく設定され、第3外周面5cの軸方向寸法は、規制部材20の板厚以下に設定される。また、軸部5の第1外周面5aには環状溝5dが設けられている。
ドライブシャフト1において、摺動式等速自在継手2としては、例えば、トリポード型等速自在継手(TJ)や、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)などが採用され、また、固定式等速自在継手としては、例えば、バーフィールド型等速自在継手(BJ)、アンダーカット型等速自在継手(UJ)などが採用されるが、これらの等速自在継手の詳細構造は公知であることから詳細説明を省略する。
ドライブシャフト1は、自動車の静止側部材(例えば、デファレンシャルを収容したハウジング)8の孔部9に嵌合され、外側継手部材3の軸部5を静止側部材8に対して回転自在に支持した転がり軸受10と、転がり軸受10と外側継手部材3のカップ部4との間に配置され、静止側部材8に固定された規制部材20とをさらに備える。
転がり軸受10には、例えば、複数のボール13を介して相対回転する内輪11および外輪12を備えた単列の深溝玉軸受が採用される。内輪11と外輪12の間には、複数のボール13を周方向に所定の間隔を空けて保持する円環状の保持器や、内外輪間の開口部をシールする一対のシール装置などが配置されるが、ここではこれらの図示を省略している。
転がり軸受10の内輪11は、軸部5に設けられた第1外周面5aに対してしまりばめされ、軸部5の第1外周面5aと第2外周面5bを繋ぐ段差面、および軸部5の環状溝5dに嵌合された止め輪6により軸方向で位置決めされている。また、転がり軸受10の外輪12は、自動車の静止側部材8の孔部9に対してすきまばめされており、静止側部材8に対して固定された規制部材20により抜け止めされている。
図1および図2に示すように、規制部材20は、所定厚みの金属板(例えば、SPCCやSPHCに代表される鋼板、あるいはステンレス鋼板等)にプレス加工(打ち抜き加工)を施すことにより形成された平板状の部材であり、外側継手部材3の軸部5が挿通された軸孔21と、軸孔21の径方向外側に設けられ、当該規制部材20を静止側部材8に固定するための固定部材(ここでは固定ピン)が挿通された固定用孔22とを有する。この規制部材20は、静止側部材8に固定される前、軸部5のうち、転がり軸受10と外側継手部材3のカップ部4との間の軸方向領域、つまり第2外周面5bおよび第3外周面5cが設けられた軸方向領域を軸方向に沿って移動可能に設けられている。
本実施形態の規制部材20には、軸孔21の中心側に突出し、内径端部が軸部5の第3外周面5cに圧接可能な凸部23が一体的に設けられている。凸部23は、軸孔21の内周面(軸孔21を画成する画成面)の一箇所又は周方向の複数箇所に設けられ、ここでは周方向の3箇所に等配されている。凸部23(3つの凸部23)の内接円の直径寸法D(図3参照)は、軸部5に設けられた第3外周面5cの外径寸法D2(図3参照)よりも僅かに小さく、軸部5の第2外周面5bの外径寸法D1(図3参照)よりも大きい。そのため、軸部5のうち、第3外周面5cは規制部材20(の軸孔21)に対して締め代をもって嵌合可能である一方で、第2外周面5bは規制部材20(の軸孔21)に対する締め代を有さない。以上から、軸部5の第3外周面5cは本発明でいう大径部Aを構成し、軸部5の第2外周面5bは本発明でいう小径部Bを構成する。
以上の構成を有する本実施形態のドライブシャフト1を自動車に組み込む際、摺動式等速自在継手2は以下のようにして軸方向で位置決め固定される。
まず、図4(a)に示すように、外側継手部材3の軸部5のうち、第1外周面5aに転がり軸受10を位置決め固定すると共に、大径部Aとしての第3外周面5cに対して規制部材20の軸孔21を締め代をもって嵌合した状態でドライブシャフト1を持ち運び、転がり軸受10を静止側部材8の孔部9に挿入(すきまばめ)すると共に、軸部5の自由端を図示外のデファレンシャルに対してトルク伝達可能に連結する。軸部5の自由端がデファレンシャルに対して連結されると、摺動式等速自在継手2(ドライブシャフト1)のインボード側への移動が規制される。
軸部5の自由端をデファレンシャルに連結した後、図4(b)に示すように、軸部5の第3外周面5cに嵌合されていた規制部材20をインボード側に移動させて第2外周面5b(小径部B)の外周に嵌合し、規制部材20を静止側部材8(図1参照)に対して固定する。ここでは、静止側部材8のアウトボード側の端面に予め固定していた固定ピンを規制部材20の固定用孔22に挿入した後、固定ピンに対してナット部材を締結することにより、規制部材20が静止側部材8に対して固定される。規制部材20が静止部材8に対して固定されると、転がり軸受10の外輪12が規制部材20と軸方向で係合可能となるので、軸部5の外周に転がり軸受10が装着(内輪11がしまりばめ)された外側継手部材3、ひいては外側継手部材3を構成部材とする摺動式等速自在継手2のアウトボード側(デファレンシャルとは反対側)への軸方向移動が規制される。これにより、ドライブシャフト1を構成する摺動式等速自在継手2が軸方向で位置決め固定される。
以上で説明した本実施形態のドライブシャフト1によれば、摺動式等速自在継手2の軸部5に装着された転がり軸受10を自動車の静止側部材8の孔部9に嵌合した後、軸部5の外周に嵌合された規制部材20を静止側部材8に対して固定することにより、軸部5が静止側部材8に対して回転自在に支持されると共に、外側継手部材3、ひいては摺動式等速自在2が軸方向(自動車の車幅方向)で位置決めされる。また、本実施形態のドライブシャフト1の構成上、規制部材20は、静止側部材8の孔部9に嵌合された転がり軸受10が静止側部材8の孔部9から抜け落ちるのを防止する抜け止め機能を有していれば足り、従来のブラケットのように転がり軸受10の外輪12を保持するための円筒部は不要である。そのため、規制部材20には、平板状の形態をなした単純形状の部材を採用することができるので、これを通じてドライブシャフト1のコスト低減を図ることができる。
また、本実施形態のドライブシャフト1では、外側継手部材3の軸部5のうち、その外周に嵌合された規制部材20が軸方向に移動可能な移動可能領域に、規制部材20(の軸孔21)に対して締め代をもって嵌合される大径部Aとしての第3外周面5cを設けているので、この第3外周面5cに規制部材20を嵌合(仮固定)しておけば、規制部材20が自由に軸方向移動するのを規制することができる。そのため、軸部5の第3外周面5cに規制部材20を嵌合した状態でドライブシャフト1の運搬作業、さらには自動車への組み付け作業等を実施すれば、これらの作業を実施する際に規制部材20が自由に軸方向移動することに由来したキズ・凹み等の欠陥が外側継手部材3の軸部5や転がり軸受10に形成されるのを防止することができる。
また、軸部5に設けられる小径部Bとしての第2外周面5bは、規制部材20(の軸孔21)に対して締め代を有さないことから、第2外周面5bの外周に規制部材20が嵌合されると規制部材20は径方向にも移動可能となる。そのため、規制部材20を静止側部材8に対して固定する際に、規制部材20を軸方向移動させて規制部材20の嵌合部位を大径部A→小径部Bに変更すれば、規制部材20を静止側部材8に対して固定する際に必要となる規制部材20の径方向の位置決めを容易にかつ精度良く行い得る。
以上より、本発明に係るドライブシャフト1は、簡素な構造でありながら、自動車への組み付けを容易にかつ精度良く行うことができる。
以上、本発明の一実施形態に係るドライブシャフト1について説明を行ったが、ドライブシャフト1には本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、図5に示すように、規制部材20に設けた凸部23の内径端部(大径部Aとしての第3外周面5cに圧接可能な部分)には、転がり軸受10に接近するにつれて(インボード側に向かうにつれて)徐々に内径側にシフトした傾斜角θの傾斜面24を設けても良い。このようにすれば、軸部5の第3外周面5cに対して規制部材20を嵌合し易くなるので、ドライブシャフト1の運搬時等に実施すべき規制部材20の仮固定作業をスムーズに実施することができる。
内径端部が軸部5の第3外周面5c(大径部A)に圧接可能な凸部23は、図3に示すように規制部材20の厚み方向全域に亘って設ける他、図6や図7に示すように規制部材20の厚み方向の一部のみに設けるようにしても良い。なお、図6は、規制部材20の厚み方法の中央部に凸部23を設けた場合を示し、図7は、規制部材20の厚み方向の端部(インボード側の端部)に凸部23を設けた場合を示している。
また、内径端部が軸部5の第3外周面5c(大径部A)に圧接可能な凸部23は、規制部材20の軸孔21の内周面ではなく、図8に示すように、規制部材20の端面(アウトボード側の端面)に設けても良い。
以上で説明した実施形態では、凸部23を一体に有する規制部材20を採用したが、規制部材20としては、凸部23が樹脂やゴムなどの別材料で形成されたものを採用しても良い。この場合には、例えば、凸部23を除く部分が金属板のプレス成形品とされたベース部材をインサート部品として凸部23を型成形することにより、樹脂等の別材料で形成された凸部23を有する規制部材20を安価にかつ精度良く得ることができる。
以上で説明した実施形態では、自動車の静止側部材8に固定された固定ピン、および固定ピンに締結されるナット部材を用いて規制部材20を静止側部材8に固定したが、静止側部材8に対する規制部材20の固定方法はこれに限られない。例えば、規制部材20の固定用孔22に挿通したボルト部材(の雄ねじ部)を静止側部材8に設けた雌ねじ部に締結することにより、規制部材20を静止側部材8に固定することも可能である。
本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 ドライブシャフト
2 摺動式等速自在継手
3 外側継手部材
4 カップ部
5 軸部
5b 第2外周面(小径部)
5c 第3外周面(大径部)
8 静止側部材
9 軸孔
10 転がり軸受
11 内輪
12 外輪
20 規制部材
21 軸孔
23 凸部
24 傾斜面
A 大径部
B 小径部

Claims (5)

  1. カップ部、および該カップの底部から軸方向に延び、自由端がデファレンシャルとトルク伝達可能に連結される軸部を有する外側継手部材を含む摺動式等速自在継手と、
    自動車の静止側部材の孔部に嵌合され、前記軸部を前記静止側部材に対して回転自在に支持する転がり軸受と、
    前記カップ部と前記転がり軸受との間で軸方向移動可能に前記軸部の外周に嵌合され、前記静止側部材に固定されたときに前記転がり軸受の外輪と軸方向で係合することにより前記摺動式等速自在継手の前記デファレンシャルとは反対側への軸方向移動を規制する規制部材と、を備えたドライブシャフトであって、
    前記軸部のうち前記規制部材の移動可能領域に、前記規制部材に対して締め代をもって嵌合される大径部と、前記転がり軸受に近接配置され、前記規制部材に対する締め代がない小径部とが設けられていることを特徴とするドライブシャフト。
  2. 前記規制部材の軸孔の中心側に突出し、内径端部が前記大径部に圧接可能な凸部を前記規制部材に設けることにより、前記大径部が前記規制部材に対して締め代をもって嵌合される請求項1に記載のドライブシャフト。
  3. 内径端部が前記大径部に圧接可能な凸部を前記規制部材の端面に設けることにより、前記大径部が前記規制部材に対して締め代をもって嵌合される請求項1に記載のドライブシャフト。
  4. 前記凸部の内径端部に、前記転がり軸受に接近するにつれて徐々に内径側にシフトした傾斜面が設けられている請求項2又は3に記載のドライブシャフト。
  5. 前記転がり軸受は、前記軸部の外周にしまりばめされた内輪と、前記静止側部材の軸孔にすきまばめされる外輪と、内外輪間に介在する複数のボールとを備えた球軸受である請求項1~4の何れか一項に記載のドライブシャフト。
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