JP2022146060A - 化粧シートの製造方法 - Google Patents

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健 小笠原
Takeshi Ogasawara
美幸 飯原
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Abstract

【課題】 繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表裏の印刷絵柄層相互を位置同調させることができる化粧シートの製造方法を提供する。【解決手段】 下記工程(i)~工程(iii)をこの順に含む化粧シートの製造方法。工程(i):まず、透明熱可塑性樹脂層の裏面上に裏面絵柄層を、透明熱可塑性樹脂層の長手方向に周期な配列にて積層する。工程(ii):次に、裏面絵柄層について、透明熱可塑性樹脂層の長手方向の絵柄1周期分の寸法PRMDおよび短手方向の寸法PRTDを計測する。工程(iii):次に、透明熱可塑性樹脂層の裏面の反対面である表面上に、インクジェット印刷法を用いて、表面絵柄層を、表面絵柄層の長手方向の絵柄1周期分の寸法PFMDおよび短手方向の寸法PFTDを、PFMD=PRMD、かつ、PFTD=PRTDとなる関係とした上で、裏面絵柄層および表面絵柄層の両絵柄を互いに見当を合わせて印刷する。【選択図】 図1

Description

本開示は、高い意匠性を有する化粧シートの製造方法に関するものである。
建材建具や床材等の表面に意匠を付与するために使用される化粧シートにおいて、その基材として透明熱可塑性樹脂層が広く使用されている。透明熱可塑性樹脂層は耐摩耗性や耐傷性に優れているためである。
この様な化粧シートにおいて、近年、より高い意匠性が要求されるようになってきている。例えば、木材の意匠であれば、より天然の木材に近い意匠が要求されるようになってきている。この様な要求に対し、エンボス加工による凹凸柄と絵柄層とを併用したり(特許文献1)、透明熱可塑性樹脂層の表裏各々の面側に各々絵柄層(すなわち表面絵柄層および裏面絵柄層)を付与したりすることが行われている。
しかしながら、透明熱可塑性樹脂層の表裏各々の面側に表面絵柄層および裏面絵柄層を付与する場合において、表面絵柄層および裏面絵柄層相互の平面視における相互位置を同調させることは困難である。そのため、表面絵柄層と裏面絵柄層との平面視における相互位置が同調した、高い意匠性を有する化粧シートを製造することが困難であった。表面絵柄層および裏面絵柄層相互の平面視における相互位置を同調させることが困難である理由は、例えば以下が考えられる。
裏面絵柄層を形成した着色熱可塑性樹脂層の表面側に透明熱可塑性樹脂層を貼り合せる際の両層にかかる熱による両層の残留応力開放による伸縮や、両層の搬送時に加わる張力による伸縮により、裏面絵柄層の寸法も縦横に(すなわち2次元的に)伸縮する。そのため、裏面絵柄層と表面絵柄層との平面視における位置が同調する(すなわち表裏の見当が合う)様に裏面絵柄層の印刷用の版と表面絵柄層の印刷用の版とを高精度に製版したとしても、裏面絵柄層と表面絵柄層とのかかる位置同調は困難となる。
特許文献1に係る化粧シートは、透明な合成樹脂基材シートの表面にピッチ状のエンボス模様を有する透明なエンボス樹脂層が、裏面にインクジェット印刷絵柄層が各設けられ、裏面のインクジェット印刷絵柄層を表面のエンボス模様と同調させるものである。
特開2020-055211号公報
特許文献1は、裏面のインクジェット印刷絵柄層と表面のエンボス模様とを同調させるものであり、表裏の印刷絵柄層相互を同調させるものではない。また同調させる方法としては、賦形されたエンボス模様のピッチを測定して、そのピッチにインクジェット印刷絵柄層のピッチを合わせるものである。この方法においては、繰り返し絵柄であるインクジェット印刷絵柄層のピッチの先頭付近では精度良く同調すると考えられるが、ピッチの終端に近づくにつれて同調がずれてくるものと考えられる。
以上から、本開示の目的は、透明熱可塑性樹脂層の表面側に表面絵柄層を裏面側に裏面絵柄層を有する化粧シートにおいて、繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表裏の印刷絵柄層相互を位置同調させることができる化粧シートの製造方法を提供することである。
本開示の化粧シートの製造方法は、裏面絵柄層、帯形状の透明熱可塑性樹脂層、および表面絵柄層の少なくとも3層をこの順に積層してなる化粧シートの製造方法であって、以下の工程(i)~工程(iii)をこの順に含むものである。
工程(i):まず、透明熱可塑性樹脂層の一方の面を裏面として選択する。そして、透明熱可塑性樹脂層の帯形状の長方形の長辺方向に対応する方向を長手方向、および長手方向と直交する短辺方向を短手方向としたときに、透明熱可塑性樹脂層の裏面上に裏面絵柄層を、透明熱可塑性樹脂層の長手方向に周期な配列にて積層する。
工程(ii):次に、裏面絵柄層について、透明熱可塑性樹脂層の長手方向の絵柄1周期分の寸法PR MDおよび短手方向の寸法PR TDを計測する。
工程(iii):次に、透明熱可塑性樹脂層の裏面の反対面である表面上に、インクジェット印刷法を用いて、表面絵柄層を、表面絵柄層の長手方向の絵柄1周期分の寸法PF MDおよび短手方向の寸法PF TDを、
F MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TD
となる関係とした上で、裏面絵柄層および表面絵柄層の両絵柄を互いに見当を合わせて印刷する。
上記化粧シートの製造方法において、化粧シートはさらに着色熱可塑性樹脂層を含み、着色熱可塑性樹脂層、裏面絵柄層、透明熱可塑性樹脂層、および表面絵柄層の少なくとも4層をこの順に積層してなる化粧シートの製造方法であって、
工程(i)は、着色熱可塑性樹脂層の一方の面側に裏面絵柄層を積層した後、透明熱可塑性樹脂層の裏面と裏面絵柄層とが対向するように積層することにより透明熱可塑性樹脂層の裏面上に裏面絵柄層を積層する化粧シートの製造方法であってもよい。
上記化粧シートの製造方法において、PR MDおよびPR TDを計測する際にテンプレートマッチングを用い、テンプレートマッチングに使用するテンプレートは絵柄領域内に2箇所以上設定されるものであってもよい。
本開示によれば、透明熱可塑性樹脂層の表面側に表面絵柄層を裏面側に裏面絵柄層を有する化粧シートにおいて、繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表裏の印刷絵柄層相互を位置同調させることができる化粧シートの製造方法を提供することができる。
本開示の化粧シートの第1実施形態の層構成の概略を示す断面図 本開示の化粧シートについて、(a)概略を示す平面図、(b)部分拡大平面図 本開示の化粧シートの第2実施形態の層構成の概略を示す断面図 本開示の化粧シートの第3実施形態の層構成の概略を示す断面図 本開示の第1実施形態に係る化粧シートの製造方法を説明する概略断面図 本開示の化粧シートの製造方法に係るインクジェット印刷機における被印刷物の経路および各機器の配置の概要を説明する図 テンプレート絵柄の例を説明する図 本開示の第2実施形態に係る化粧シートの製造方法を説明する概略断面図 本開示の第3実施形態に係る化粧シートの製造方法を説明する概略断面図
〔化粧シート〕
以下、本開示の化粧シートの製造方法に係る化粧シートの第1実施形態について、図1を参照して説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状、装飾などは理解を容易にするため適宜誇張、単純化などしている。また説明に直接的な関係しない構成などについては適宜省略している。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これら
は、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は適宜置き換えても、本開示の本質も特許請求の範囲の解釈も不変である。本開示においては、シートの語を、いわゆる板、シート、およびフィルムと通常呼称されている厚みの形態のものも包含する広義の意味で用いるものとする。
また、本明細書において表面、裏面の言葉を使用しているが、表面、裏面の区別に技術的な意味は無く、シートの一方の面を表面としたときに、他方の面が裏面である。本明細書における化粧シートにおいては、化粧シートを使用する際に通常の観察面となる側の面を表面と、その反対側の裏面として説明している。
(第1実施形態)
まず、本開示の化粧シートの製造方法に係る化粧シートの第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る化粧シート1の層構成の概略を示す断面図である。化粧シート1は、図1における下から、着色熱可塑性樹脂層14、裏面絵柄層13、透明熱可塑性樹脂層11、表面絵柄層12の順に積層されている。化粧シート1の観察面は、通常表面絵柄層12側であるため、本明細書においては、表面絵柄層12側を表面、着色熱可塑性樹脂層14側を裏面としている。なお、表面側から裏面絵柄層13が視認でき、上記積層順が乱されない範囲においては、上記以外の他の層が含まれていてもよい。例えば、透明熱可塑性樹脂層11と表面絵柄層12との間にプライマー層があってもよい。この場合には透明熱可塑性樹脂層11と表面絵柄層12との密着性を高めることができる。
図2(a)に化粧シート1の平面図の概略を示す。図2(a)に示す様に、製造時における化粧シート1は帯形状(長尺状)をなす。本明細書においては、帯形状の長方形(網掛け部として例示)の長辺方向に対応する方向を長手方向LD、長手方向と直交する短辺方向を短手方向SDとする。短手方向SDを幅方向という場合もある。製造時において、化粧シート1は長手方向LDに搬送される。
化粧シート1の各構成要素について説明する。
<透明熱可塑性樹脂層>
透明熱可塑性樹脂層11は可視光に対し透明性を有するものであり、ここでの透明とは無色透明および着色透明の両方を包含するものである。
透明熱可塑性樹脂層11の材料としては、透明性を有していれば特に制限はなく、例えば、加工適性に優れ、燃焼時に有害なガスを発生しないことなどから、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン-6,ナイロン-66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独であっても2種以上の混合物であってもよいが、意匠としての表面絵柄層12や裏面絵柄層13などが設けられるための適性、昨今問題となっている燃焼時に有害なガスを発生しないこと、あるいは、コストなどを総合的に考慮するとポリオレフィン系樹脂シートが好ましく用いられる。
ポリオレフィン系樹脂としては限定されず、例えば、ポリエチレン(低密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
ポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体も好ましく、例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン結晶部を有するプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン等が挙げられる。その他、エチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等も好ましい。
上記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、1)主原料がハードセグメントである高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなるもの、2)特公平6-23278号公報記載の、ハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物からなるもの、3)特開平9-111055号公報、特開平5-77371号公報、特開平7-316358号公報等に記載のエチレンープロピレンーブテン共重合体からなるもの、が代表的なものである。
透明熱可塑性樹脂層11の厚さは、特に限定はない。建材用化粧材として使用される場合は、通常20μm以上500μ以下である。
<着色熱可塑性樹脂層>
着色熱可塑性樹脂層14の材料としては、着色されていれば特に制限はなく、例えば、

ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリ酸メチル等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂等からなる着色熱可塑性樹脂フィルムを挙げることができる。
ここで、ポリエステル樹脂フィルムとは、いわゆる押出口金から溶融押し出されたフィルムであって、通常、縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムであり、ジカルボン酸とグリコールとから縮重合によって得られたポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられ、またグリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。具体的には例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン-p-オキシベンゾエート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。本開示の場合、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
着色熱可塑性樹脂層14に係る熱可塑性樹脂フィルムは、顔料および/または染料を配合されていることにより着色フィルムとされており、その顔料としては、無機顔料と有機顔料とに分類することができ、無機顔料としては、酸化チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック、弁柄、朱、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンククロメートなどが挙げられる。有機顔料としては、フタロシアニン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの顔料で代表的なものとして、キナクリドン、ウォッチアングレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。また染料としては、天然染料と合成染料に分類することができ、天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表される。合成染料としては、アゾ染料、インジゴイド染料、硫化染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等が挙げられる。これらの顔料および染料は、1種または2種以上併用して使用することができ、耐光性に優れ、基材シートに隠蔽性を持たすようにするためには、無機顔料が最適である。
着色熱可塑性樹脂層14の厚さとしては、特に限定はない。一般に20~100μm、好ましくは30~50μmであることが、平滑性、強度、耐熱性、特に耐熱寸法安定性に優れている点で好ましい。
<裏面絵柄層>
裏面絵柄層13は化粧シート1において、透明熱可塑性樹脂層11の裏面側に形成されている。第1実施形態に係る化粧シート1においては、着色熱可塑性樹脂層14の表面側に裏面絵柄層13を形成し、裏面絵柄層13の表面側(着色熱可塑性樹脂層14が存在する面側とは反対の面側)と、透明熱可塑性樹脂層11の裏面側とが対向するように積層することにより、透明熱可塑性樹脂層11の裏面側に裏面絵柄層13が形成されている。
裏面絵柄層13の絵柄としては、特に限定はされないが、例えば木目模様、石目模様、一部が錆びた金属表面を模した模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表面絵柄層12と裏面絵柄層13とを位置同調させるという本開示の作用効果からすれば、本開示における裏面絵柄層13の絵柄は、表裏の見当ずれが問題となりにくい上記単色ベタ柄、単色グラデーションよりも、それ以外の上記例示した絵柄が適当と考えられる。
裏面絵柄層13の形成方法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法等の有版印刷法、あるいはインクジェット印刷法、各種転写印刷法等の無版印刷法等の各種印刷方法が選択可能である。本開示の化粧シートの製造方法からすれば、円筒形の版をその周長方向に回転させることにより繰り返し絵柄を印刷する方法、すなわち上記のうちグラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などであることが好ましい。
裏面絵柄層13の形成(通常は印刷)に用いるインクは、公知の着色剤(染料又は顔料)を樹脂、すなわちバインダー樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得ることができる。着色剤として、無機顔料、有機顔料、金属粉顔料、真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等が挙げられる。例えば、無機顔料としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、黄鉛、カドミウムレッド等を、有機顔料としては、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料、各種色相の有彩色アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ニッケル-アゾ錯体、ジオキサジン顔料等を、金属粉顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の鱗片状箔片を、真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の鱗片状箔片を挙げることができる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用したり、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに使用したりしてもよい。
裏面絵柄層13に使用する樹脂(バインダー樹脂)としては、各種ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体のアクリル系樹脂、ポリオール化合物を主剤としイソシアネート化合物を硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等を使用することもできる。上記樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記樹脂には架橋剤、重合開始剤、または、重合促進剤を添加して、塗膜強度、および耐久性を向上させることが好ましい。上記樹脂のなかでは アクリル系樹脂またはアクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物が好ましい。可塑剤のブリードを抑制することができるからである。アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物の場合、混合の質量比は、[アクリル系樹脂の質量]/[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の質量]は2/8~8/2の範囲とすることが、裏面絵柄層13の着色熱可塑性樹脂層14への印刷適正と密着性、並びに耐候性、耐擦傷性等の耐久性の点で好ましい。
裏面絵柄層13の厚さは、通常は0.1μm以上50μm以下であり、好ましくは1μm以上25μm以下である。
<表面絵柄層>
表面絵柄層12は化粧シート1において、透明熱可塑性樹脂層11の表面側に形成されている。本開示の化粧シート1においては、表面絵柄層12と裏面絵柄層13とが繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく位置同調していることが特徴となっている。
表面絵柄層12の絵柄としては、特に限定はされないが、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表面絵柄層12と裏面絵柄層13とを位置同調させるという本開示の作用効果からすれば、裏面絵柄層13と位置同調していることが好ましい絵柄であることが好ましい。例えば裏面絵柄層13の絵柄に対し、位置同調させた別の絵柄を表面絵柄層12として付加することにより、化粧シート1の絵柄全体としてより高意匠となるような場合である。一例として、裏面絵柄層13の絵柄が木目調の絵柄である場合に、表面絵柄層12がないと仮定すると透明熱可塑性樹脂層11のため不自然に艶の高い安っぽい印象の外観となってしまうが、裏面絵柄層13の木目調の絵柄に位置同調したグロスマット柄を表面絵柄層12により形成すれば、意匠性の高い化粧シート1とすることができる。
本開示における表面絵柄層12の形成方法は、インクジェット印刷法に限られる。本開示の特徴は、後述する通り、インクジェット印刷法による表面絵柄層12の形成方法にあるからである。
上記グロスマット柄とは、表面に物理的凹凸を形成することなく、視覚的に凹凸を表現する絵柄のことである。グロスマット柄の形成に係るグロスマット印刷は、印刷により光沢(グロス)部分と艶消し(マット)部分を模様状に設けることにより、視覚の錯覚により物理的凹凸とは無関係に光沢部分が突出して見え、艶消し部が窪んで見えることを利用した手法である。
グロスマット柄の形成方法としては、公知の光沢インクを用いて突出して見せたい部分を印刷し、公知の艶消しインクを用いて窪んで見せたい部分を印刷する方法、光沢基材上に窪んで見せたい部分について艶消しインクを用いて印刷する方法、あるいは艶消し基材上に突出して見せたい部分について光沢インクを用いて印刷する方法などがある。例えば、裏面絵柄層13が木目模様の場合、透明熱可塑性樹脂層11は通常高光沢であるため、導管溝部分を艶消しインクにて印刷することによりグロスマット柄の表面絵柄層12を形成する方法である。
艶消しインクの膜厚は厚過ぎると物理的な厚みが視覚的な窪み効果を打ち消すことになるため、薄い程好ましく、通常100μm程度以下が望ましい。光沢インクについては膜厚が視覚的に突出効果を増幅するため、厚くても支障はない。
用いられる艶消しインクとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂放射線樹脂等の中から、用途、必要な物性、印刷適正等を考慮して選択したバインダーに、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものを用いることができる。
上記バインダーを構成する樹脂としては、例えば、エチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン等のスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クロマン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
これらの内、ポリオールとイソシアネートから形成される熱可塑性ウレタン樹脂、或いは1液硬化型又は2液硬化型のウレタン樹脂の使用が好ましい。
上記添加する無機系物質としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン、紺青、群青、コバルトブルー、カーボンブラック、二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、三塩化ビスマス等を挙げることができる。
また艶消し顔料としては、例えば、粒径が0.1~10μm程度の炭酸カルシウム、炭酸バリウム、シリカ、アルミナ、ガラスバルーン、ポリエチレン微粉末等を挙げることができる。
表面絵柄層12の塗布量は40g/m2以下であることが好ましく、25g/m2以下であることがより好ましい。本開示のおける化粧シートにおいては、表面絵柄層12は全面ではなく部分的に存在することも多いため、下限は特に定めない。25g/m2を上回る場合には有機分が増加するため不燃性能が損なわれる懸念がある。
(第2実施形態)
次に、本開示の化粧シートの製造方法に係る化粧シートの第2実施形態について説明する。図3は、第2実施形態に係る化粧シート101の層構成の概略を示す断面図である。化粧シート101は、図3における下から、着色熱可塑性樹脂層14、裏面絵柄層13、透明熱可塑性樹脂層11、表面絵柄層12、表面保護コート層15の順に積層されている。すなわち第1実施形態に係る化粧シート1の表面絵柄層12の表面側に表面保護コート層15を積層した形態である。表面保護コート層15は、表面の艶調整や、耐スクラッチ性等の表面物性向上のために設けられる。
第2実施形態に係る化粧シート101においても、表面側から裏面絵柄層13が視認でき、上記積層順が乱されない範囲においては、上記以外の他の層が含まれていてもよい。例えば、透明熱可塑性樹脂層11と表面絵柄層12との間にプライマー層があってもよい。この場合には透明熱可塑性樹脂層11と表面絵柄層12との密着性を高めることができる。
<表面保護コート層>
表面保護コート層15は、塗液(或いはインク)を用いて公知の塗工法(あるいは印刷法)で形成すれば良い。表面保護コート層15の樹脂には、耐スクラッチ性等の表面物性を向上できる点で、2液硬化型等のウレタン樹脂、あるいは、アクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂等を使用するのが好ましい。また耐スクラッチ性を付与する場合には、α-アルミナ等のアルミナやシリカ等を、減摩剤として添加しても良い。なお、表面保護コート層15には、着色剤や無機充填剤、或いは、紫外線吸収剤や光安定剤等の公知の各種添加剤を添加しても良い。
表面保護コート層15の厚さは、特に限定はない。建材用化粧材として使用される場合は、通常1μm以上50μm以下である。
(第3実施形態)
次に、本開示の化粧シートの製造方法に係る化粧シートの第3実施形態について説明する。図4は、第3実施形態に係る化粧シート201の各形態における層構成の概略を示す断面図である。図4(a)に係る化粧シート201は、図4(a)における下から、裏面絵柄層13、透明熱可塑性樹脂層11、表面絵柄層12の順に積層されている。すなわち、第1実施形態に係る化粧シート1の構成から着色熱可塑性樹脂層14を除外した形態である。
第1実施形態に係る化粧シート1において裏面絵柄層13は、着色熱可塑性樹脂層14に形成されてから透明熱可塑性樹脂層11と積層されることにより透明熱可塑性樹脂層11の裏面側に形成さるものであった。それに対し、第3実施形態に係る化粧シート201における裏面絵柄層13は、透明熱可塑性樹脂層11に対し、その裏面側に直接形成(印刷)される点が異なっている。
第3実施形態に係る化粧シート201においても、表面側から裏面絵柄層13が視認でき、上記積層順が乱されない範囲においては、上記以外の他の層が含まれていてもよい。例えば、透明熱可塑性樹脂層11と表面絵柄層12との間にプライマー層があってもよい。この場合には透明熱可塑性樹脂層11と表面絵柄層12との密着性を高めることができる。
また、図4(b)に示す通り、第2実施形態に係る化粧シート101と同様に、表面絵柄層12の表面側に表面保護コート層15が積層されていても良い。また裏面絵柄層13の裏面側に裏面プライマー層16が積層されていても良く、図4(c)に示す様に、表面保護コート層15および裏面プライマー層16の両方を有していてもよい。裏面プライマー層16は、主に被化粧材表面と化粧シート201との接着性を向上させるために設けられる。
<裏面プライマー層>
裏面プライマー層16の形成には、バインダーに硬化剤、また紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、ブロッキング防止剤等の公知の各種添加剤を適宜混合した樹脂組成物が用いられる。バインダーとしては、例えば、上記の裏面絵柄層13に用い得るバインダーとして例示したもの、すなわち、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。例えば、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体とアクリルポリオール樹脂との混合物をバインダーとして用いることができる。
また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型など、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
プライマー層の厚さは、層間密着性の向上効果、更には各層の熱収縮の緩和効果を得る観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更に好ましい。また、上限としては、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下が更に好ましい。
〔化粧シートの製造方法〕
(第1実施形態の製造方法)
以下、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法について、図5の概略断面図を参照して説明する。化粧シート1、およびその構成要素である透明熱可塑性樹脂層11、着色熱可塑性樹脂層14は帯形状をなしており、図2に示した通り、該帯形状の長方形の長辺方向に対応する方向を長手方向LD、および該長手方向と直交する短辺方向を短手方向SDとする。
まず、着色熱可塑性樹脂層14を準備し(図5(a))、その一方の面(表面)側に裏面絵柄層13を着色熱可塑性樹脂層14の長手方向に周期な配列にて積層する(図5(b))。着色熱可塑性樹脂層14に対して裏面絵柄層13を積層する方法は、円筒形の版をその周長方向に回転させることにより繰り返し絵柄を印刷する方法、すなわちグラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などであることが好ましい。帯形状である着色熱可塑性樹脂層14の長手方向LDに裏面絵柄層13を周期な配列にて積層(印刷)することが、容易に、すなわち安価かつ高速に行うことができるからである。中でも、着色熱可塑性樹脂層14のような熱可塑性樹脂に対する印刷適正に優れたグラビア印刷法であることが好ましい。
次に、裏面絵柄層13の表面側(着色熱可塑性樹脂層14とは反対側)と、透明熱可塑性樹脂層11の裏面側とを対向する様に積層する(図5(c))。この積層は、例えば公知の透明接着剤を用いて接着(積層)することができる。また積層する両層の間にTダイから熱溶融した透明樹脂を押し出して冷却することにより、両層の間にバインダーとしての透明樹脂層を形成することで、裏面絵柄層13と透明熱可塑性樹脂層11とを積層してもよい。この場合には冷却後には、該バインダーとしての透明樹脂層と透明熱可塑性樹脂層11との区別がつかなくなっていても構わない。上記いずれの積層方法においても、透明熱可塑性樹脂層11の表面側から裏面絵柄層13が視認できるような材料を選定すべきである。
次に透明熱可塑性樹脂層11の表面側に表面絵柄層12をインクジェット印刷機を用いて積層する(図5(d))。表面絵柄層12の積層において、繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく裏面絵柄層13と表面絵柄層12との位置同調している、すなわち両者の見当が精度よく合っていることが本開示の特徴となる。以下その方法について説明する。
本開示においては、インクジェット印刷機による印刷より前に、透明熱可塑性樹脂層11に積層された裏面絵柄層13の伸縮量を測定することを要する。該伸縮量の測定は、インクジェット印刷を行う印刷機の搬送系における、インクジェット印刷ユニットより上流部で測定されることが好ましい。該伸縮量の測定とインクジェット印刷とを別工程とした場合には、伸縮量の測定時とインクジェット印刷時とで透明熱可塑性樹脂層11にかかる張力が異なることで伸縮量が異なったり、伸縮量測定工程からインクジェット印刷工程の間の保管時に伸縮量の変化が生じたりすることで、測定した伸縮量とインクジェット印刷時の伸縮量が異なることが懸念される。このような場合には、伸縮量を測定し、その伸縮量を基に表面絵柄層12に係る絵柄データを補正してインクジェット印刷を行うという本開示の製造方法による効果が低減する恐れが高い。それに対し、インクジェット印刷を行う印刷機の搬送系における、インクジェット印刷ユニットより上流部で伸縮量を測定する場合においては、測定から印刷までの張力の変化は少ないと考えられ、その間の伸縮量の変化もごくわずかであると考えられる。
インクジェット印刷機において、インクジェット印刷ユニットより上流部で伸縮量を測定する方法について図6を参照しながら説明する。図6はインクジェット印刷機における被印刷物の経路および各機器の配置の概要を示す図であり、説明とは関係のない部分については大幅に省略している。図6(a)と図6(b)とは、カメラ30付近のローラー配置、およびカメラ30の位置が異なっており、これについては後述する。
インクジェット印刷機40において、巻き出し部41から巻き出された透明熱可塑性樹脂層11は、ニップロール43、光電センサー35、カメラ30、インクジェット印刷ユニット45、ニップロール43を経て巻き取り部42にて巻き取られる。図6に例示したインクジェット印刷機40は、ロールから巻き出しロールに巻き取るいわゆるロールtoロールの印刷機であり、インクジェット印刷ユニット45において透明熱可塑性樹脂層11に対し表面絵柄層12が積層(印刷)される。しかしこれに限らず、巻き取り部42に代わり、表面絵柄層12の印刷後に断裁され、枚葉積層されるものであっても構わない。
図6に示す様に、インクジェット印刷機におけるインクジェット印刷ユニット45より上流部で、なるべくインクジェット印刷ユニット45から離れた場所に、テンプレートマッチングのための画像を取得するカメラ30を設置する。
本開示に係る化粧シート1の製造方法においては、テンプレートマッチングに係るテンプレート20を2箇所以上設定する。図2(b)に化粧シート1の部分拡大平面図を示し、図2(a)における例えば破線で囲んだ部分の拡大図である。化粧シート1の幅方向において、絵柄が存在する幅方向の領域を絵柄領域IR、その両脇の絵柄が存在しない幅方向の領域を非絵柄領域NIRとすると、絵柄領域IRおよび非絵柄領域NIRは図2(b)に示す幅方向の領域である。本開示の化粧シート1においては、テンプレート20は、図2(b)に示す通り、絵柄領域IRの幅方向における両端付近に各設けられる。幅方向について片側だけでなく絵柄領域IRの両端付近にテンプレート20を各設けることにより、すなわちテンプレート20を幅方向に離れた位置に2箇所以上設定することにより、幅方向についても伸縮補正が可能となる。以降は、テンプレート20が2箇所設定されているものとして説明する。
化粧シート1の非絵柄領域NIRはエンドユーザー使用時までには除去されていることが多い。化粧シートにおいて非絵柄領域NIRが除去された後のもの、あるいは非絵柄領域NIRを初めから有さないものであっても、本開示に係る化粧シートの製造方法を用いて製造されたものであれば当然に本開示の対象である。
本開示に係る化粧シート1の製造方法においては、表裏絵柄の位置同調に関し、いわゆる見当マークを用いることを要さない。見当マークは、化粧シート1として使用する際には不要かつ絵柄を損なうものであるため、通常は非絵柄領域NIRに設けられるものである。本開示に係る化粧シート1の製造方法においては、仮に製造時に非絵柄領域NIRを有さない品目であったとして、表裏絵柄の位置同調に関し、見当マークを使用しないため、見当マークを設けるが必要なく、それにもかかわらず表裏絵柄が位置同調した化粧シートを製造することができる。
上記の通り、テンプレート20は、絵柄領域IRの幅方向における両端付近に各設けられる。そしてテンプレート20のための画像はカメラ30を用いて取得される。絵柄領域IRの両端付近にテンプレート20を各設けるための、カメラ30による画像取得方法としては以下の方法が考えられる。
一つ目は、2次元(面状)に配置された受光素子を有するカメラ(エリアセンサーカメラ)を複数用いる方法である。絵柄領域IRの両端付近に各設けられる2箇所のテンプレート20に対応して、2台のエリアセンサーカメラを使用する。2台のカメラの内、一方は幅方向右端付近のテンプレート用であり、他方は幅方向左端付近のテンプレート用である。この方法であれば、カメラ1台当たりの視野を狭くすることができるため、高い画素分解能の画像を取得することができ、そのためテンプレートマッチングの位置精度を高めることができる。また、カメラの設置距離を小さくすることができるため、インクジェット印刷機におけるカメラの設置が容易となる。この方法においてはカメラ1台当たりの視野が狭いため、視野がローラー上あるいはローラー近傍となる位置にカメラを設置することができ、安定した画像を取得することができる(図6(a))。その反面、被印刷物である透明熱可塑性樹脂層11およびその絵柄領域IRの幅方向の寸法は品目により異なるため、品目替え(段取り替え)の際にカメラの幅方向の位置を調整する必要がある。また幅方向に関し、2台のカメラ間の距離およびテンプレートマッチングの結果から幅方向の伸縮量を算出するため、2台のカメラ間の距離を把握し画像処理装置に設定することが重要となるが、2台のカメラ間の距離を管理する負荷が生じる。
二つ目は、エリアセンサーカメラを1台のみ用いる方法である。この方法では、1台のカメラで取得した1つの画像内において、絵柄領域IRの両端付近にテンプレート20を各設ける必要があるため、絵柄領域IRをすべて含む程度にカメラの視野を広くする必要がある。通常は絵柄領域IRが最大となる品目においても絵柄領域IRがカメラの視野に収まる様にカメラを設置し、品目替え(段取り替え)時においてもカメラの位置調整は行わない。カメラの視野が広いため、カメラの設置距離を大きく取る必要がある。またカメラの視野が広いため、視野をローラー上とすることが出来ず、絵柄領域IRの距離と同程度以上のローラー間距離がある部分を視野とする必要があるため、インクジェット印刷機におけるカメラの設置位置の制約が大きい(図6(b))。上記の通り、カメラの視野がローラー間となるため、被印刷物である透明熱可塑性樹脂層11のバタつきにより取得絵柄が多少変形する懸念がある。その反面、品目により異なる絵柄領域IRの幅方向の寸法が最大となる品目に合わせてカメラを設置することにより、品目替え(段取り替え)の際にカメラの幅方向の位置を調整する必要はない。
三つ目は、1次元(線状)に配置された受光素子を有するカメラ(ラインセンサーカメラ)を用いる方法である。ラインセンサーカメラとは、スキャナーやFAXの読み取り部と同様に線状配置の受光素子を用い、被読取り物の搬送と同期して幅方向の1次元情報を連続的に取得して、搬送と同期して多数取得した幅方向の1次元情報を順次搬送方向(長手方向)に配置することにより結果的に2次元画像を取得する方法である。ラインセンサーの視野は、上記エリアセンサーカメラが1台の場合と同様に、絵柄領域IRをすべて含む必要がある。ラインセンサーカメラに係るラインセンサーは、視野長さとラインセンサーの長さが略一致し、ラインセンサーと被読取り物とが近接した近接型あっても、エリアセンサーカメラの様に離れた位置から被読取り物を読み取るレンズ縮小型であっても良い。一般的には、ラインセンサーカメラの汚染に強く、インクジェット印刷機において紙通し作業を阻害し難いレンズ縮小型のラインセンサーカメラが用いられることが多い。ラインセンサーカメラにおいては、上記エリアセンサーカメラが1台の場合とは異なり、視野は搬送方向(長手方向)にほとんど幅を持たないため、視野をローラー上とすることができる(図6(a))。そのため、バタつきの影響がない安定した画像取得が可能となる。
上記の内、カメラ(エリアセンサーカメラ)を複数用いる方法においては、製造する化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の幅に応じて、カメラ30の視野の中心付近にテンプレートマッチングのテンプレートとして適した絵柄が来る様に、複数のカメラ30の各々につき短手方向(幅方向)の位置を調整する。以降、テンプレートマッチングのテンプレートに含まれる絵柄のことをテンプレート絵柄という場合がある。
上記の通り、テンプレート絵柄はテンプレートマッチングのテンプレートとして使用される。テンプレートマッチングを精度良く、誤マッチングなく行うためには、テンプレート絵柄は以下のような特徴を持つ絵柄であることが好ましい。縦方向、および横方向ともに輪郭がある絵柄であること、絵柄の輪郭が明瞭であること、テンプレート絵柄内およびその近傍にテンプレート絵柄あるいはその一部領域と類似した絵柄部分がないこと、などである。
図7に木目絵柄の場合におけるテンプレート絵柄の具体的な例について、概念的な絵柄例を示しながら説明する。各図において、テンプレート20として設定される領域の例を図内部に矩形で示している。木目の節部分の絵柄(図7(a))や、板目柄(図7(b))、杢目柄(図7(c))などであれば縦横とも絵柄の輪郭があるため好ましい。それに対し、木目絵柄のうち柾目柄(図7(d))や導管柄(図7(e))については、絵柄の輪郭の方向が偏っており、縦横ともに輪郭がある絵柄ではないため、テンプレートマッチングの対象となる絵柄としては適当ではない。
インクジェット印刷機には、化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の搬送量検出手段47が設置されている。搬送量検出手段47は一例として、化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の搬送速度と同期しているローラー、例えばニップロール43に設けられるロータリーエンコーダー47である。ニップロール43に設けられたロータリーエンコーダー47であれば、化粧シート1の品目、すなわち裏面絵柄層13の印刷ピッチに依らず、1パルス当たりの搬送量は固定となるため、パルス数をカウントすることにより搬送距離を把握することができる。
また搬送方向(長手方向)において、カメラ30の視野の中心付近にテンプレート絵柄が来る様に撮像タイミングを調整する。例えば、カメラ30により任意のタイミングで撮像し、撮像された絵柄位置からテンプレート絵柄として設定したい絵柄の位置までの距離、あるいはロータリーエンコーダー47のパルス数を入力して搬送方向(長手方向)の撮像位置をシフトさせる。そして新に撮像された絵柄位置についても同様に距離、あるいはパルス数を入力することにより撮像位置を再度シフトさせる。このような手順を数回繰り返すことによりテンプレート絵柄がカメラ30の視野の中心付近となる様に調整することができる。
あるいは裏面絵柄層13の印刷する際に、化粧シート1の幅方向両端の非絵柄領域NIRに絵柄と同じ版胴により頭出しマーク25を印刷しておく。頭出しマーク25は裏面絵柄とおなじピッチで周期的に印刷されることとなる。そして、カメラ30よりさらに上流に頭出しマーク25を検出する光電センサー35を設けておき、光電センサー35が頭出しマーク25を検出してからロータリーエンコーダーの所定のパルス数をカウントしたタイミングで撮像する様にすれば良い。該所定のパルス数は、光電センサー35からカメラ30までの搬送長(パス長)により決まる固定の値で、品目により異なる繰り返し絵柄のピッチには依存しない。
化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の搬送が開始されたら、カメラ30が所定のタイミングにてテンプレート絵柄を含む絵柄を撮像して基準画像とする。そして、その基準画像の一部領域であるテンプレート絵柄をテンプレートマッチングのテンプレート(参照画像)として伸縮量検出手段に登録し、また基準画像内における該テンプレートの位置も基準位置として同時に登録する。伸縮量検出手段は、通常テンプレートマッチング手法を用いた画像処理装置である。テンプレートマッチングとは、取得画像の中から登録した参照画像(テンプレート)と似ている位置を探すことである。
基準画像におけるテンプレート登録以降のカメラ30の撮像タイミングは、ロータリーエンコーダー47からのパルスをカウントすることで決めることができる。裏面絵柄層13の繰り返しピッチは、品目ごとに設計値として決まっており、裏面絵柄層13(および頭出しマーク25)を印刷した際の版胴周長でもある。該設計値(該版胴周長)により、絵柄の繰り返しピッチに対応するパルス数は一意に決めることができる。所定パルス数のタイミングにて撮像した場合、裏面絵柄層13の印刷後、カメラ30による撮像まで、透明熱可塑性樹脂層11が一切伸縮しないのであれば、撮像された画像内における参照画像(テンプレート)の位置は理論的には不変のはずである。
しかし実際には、裏面絵柄層13の印刷後、カメラ30による撮像までに透明熱可塑性樹脂層11に伸縮が生じる、裏面絵柄層13の印刷時とカメラ30による撮像時とでは伸縮量が異なるなどの理由により、撮像された画像内における参照画像(テンプレート)の位置は撮像のたびに変動する。
基準画像内におけるテンプレート位置(基準位置)に対する、取得画像内におけるテンプレートの位置の変位量は、テンプレートマッチングの結果により把握することができる。画像処理装置内において、基準画像に対する取得画像の変位量(位置ずれ量)は、画素(ピクセル)数単位で把握されるが、1画素に相当する実際の寸法はカメラ30の設置により固定の値となっている。そのため、取得画像内における参照画像(テンプレート)の位置の変位量(位置ずれ量)を実際の寸法として容易に把握することができる。そして、参照画像(テンプレート)の位置の変位量(位置ずれ量)こそが、カメラ30の撮像位置における、化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の設計値に対する伸縮量となる。
ここで、搬送方向(長手方向LD)については、参照画像(テンプレート)の位置の縦方向(搬送方向)の変位量(位置ずれ量)をそのまま搬送方向(長手方向LD)における伸縮量とすることができる。テンプレート20は絵柄領域IRにおける短手方向SDの両端付近に都合2箇所設定されているため、搬送方向(長手方向LD)における伸縮量も2つの値を把握することとなるが、通常は2つの値はほぼ一致するためどちらか片方の値を採用すればよい。あるいは両者の平均値を採用しても良い。
幅方向(短手方向SD)についての伸縮量は、2箇所のテンプレート20による変位量(位置ずれ量)から算出され把握される。すなわち2箇所のテンプレート20による幅方向(短手方向SD)についての各変位量(位置ずれ量)の差分が、化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の幅方向(短手方向SD)における設計値に対する伸縮量となる。例えば、2箇所のテンプレート20による幅方向(短手方向)の各変位量(位置ずれ量)が、同じ向きかつ同じ寸法である場合は、化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の幅方向(短手方向SD)の伸縮量は0である。また、右側に設定されたテンプレート20による幅方向(短手方向SD)の変位量(位置ずれ量)が右方向にYa、左側に設定されたテンプレート20による幅方向(短手方向SD)の変位量(位置ずれ量)が右方向にYbであれば、化粧シート1(透明熱可塑性樹脂層11)の幅方向(短手方向SD)の伸縮量はYa-Ybであり、Ya-Ybが正であれば伸び、負であれば縮みである。
以上の通り、基準画像取り込み以降における各絵柄1周期分の伸縮量を把握することができる。ここで、裏面絵柄層13の設計値について、長手方向の絵柄1周期分の寸法PS MDおよび短手方向の寸法PS TDとし、各絵柄1周期分の伸縮量について、長手方向の伸縮量をΔPR MDおよび短手方向の伸縮量をΔPR TDとする。そうするとインクジェット印刷機のカメラ30の位置における裏面絵柄層13の実測値について、長手方向の絵柄1周期分の寸法PR MDおよび短手方向の寸法PR TDとすると、PR MDおよびPR TDは以下の通り表すことができる。
R MD = PS MD + ΔPR MD
R TD = PS TD + ΔPR TD
上述の通り、表面絵柄層12はインクジェット印刷法により印刷する。インクジェット印刷法は版を用いない無版印刷法である。本開示に係る化粧シートの製造方法で使用するインクジェット印刷機は、家庭用のインクジェットプリンターと同様に、いわゆるドライバーソフトウェアにて、絵柄データに応じて、インクの吐出位置、量を制御することにより絵柄を形成するものである。このようにインクジェット印刷では、版を用いずに単にインクの吐出位置、量をソフトウェア的に制御するものであるため、印刷工程の進行中であっても絵柄データを容易に更新することができる。
本開示においては、インクジェット印刷の上記特性を利用して、インクジェット印刷機において実測された裏面絵柄層13の伸縮を含んだ実測データに合わせて、表面絵柄層12の画像データを伸縮補正することにより、表面絵柄層12の画像データを裏面絵柄層13の実測データに合わせこむ。換言すれば、表面絵柄層12の画像データの長手方向の絵柄1周期分の寸法PF MD、短手方向の寸法PF TDとすると、裏面絵柄層13の実測値における長手方向の絵柄1周期分の寸法PR MDおよび短手方向の寸法PR TDとの関係が、
F MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TD
となる様に表面絵柄層12の画像データを伸縮補正する。その上で、表面絵柄層12の絵柄を裏面絵柄層13の絵柄と見当を合わせて印刷する。
上記にPF MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TDと記載したが、数学的に厳密な意味での「=(イコール)」は幅を持たないため、実際の製造に係る寸法について「=」を厳密な意味で解釈することは適当ではない。裏面絵柄層13の設計値、すなわち長手方向の絵柄1周期分の寸法PS MDおよび短手方向の寸法PS TDは、仕様上1mm単位である。
また、絵柄1周期分の伸縮量、すなわち長手方向の伸縮量をΔPR MDおよび短手方向の伸縮量をΔPR TDは、テンプレートマッチングに係るカメラ30の画素(ピクセル)分解能に依存する。例えばカメラ30の視野が5cm各、画素数が1000×1000画素のカメラであれば、カメラ30の視野における画素寸法は50μmとなる。この場合、テンプレートマッチングの結果が画素単位であれば、ΔPR MDおよびΔPR TDの値についても50μm単位の離散値となり、テンプレートマッチングの結果がサブピクセルのものについては50μmより小さな寸法の離散値となる。その結果、
R MD = PS MD + ΔPR MD
R TD = PS TD + ΔPR TD
により算出されるPR MD、およびPR TDについても50μmもしくはそれ以下の単位による離散値となる。
さらに、PF MD、およびPF TDに係る画像データもデジタルデータであるため、伸縮補正後のPF MD、およびPF TDについても離散値となる。そして、PR MD、およびPR TDの離散値と、PF MD、およびPF TDの離散値は厳密には一致しない。その結果、厳密な意味で、PF MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TDとすることは不可能に近い。
従って、上記「PF MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TDとなる様に」なる表現は、「計算値からの量子化の際に、PF MDがPR MDに、PF TDがPR TDに最も近くなる様に」という意味となる。そして、実際に製造された化粧シート1における実測においては、上記各デジタル画像データの量子化誤差や、ロータリーエンコーダーの分解能や、および光電センサーの検出誤差などの各種工程誤差の蓄積を考慮しても、PF MDとPR MDとの差、およびPF TDとPR TDとの差が各3mm以内に収まると考えられる。
表面絵柄層12の長手方向の見当については、前述の光電センサー35を用いる。光電センサー35からインクジェット印刷ユニット45までのパス長は品目によらず固定長であるため、上述のロータリーエンコーダー47の所定の固定のパルス数をカウントすることで、表面絵柄層12の印刷タイミングを制御することができる。上記の通り、光電センサー35およびロータリーエンコーダー47を用いて所定のタイミングで表面絵柄層12の印刷を開始すれば、表面絵柄層12の絵柄と裏面絵柄層13の絵柄との見当について、少なくとも絵柄の先頭部分については合わせる事ができる。さらに本開示においては、表面絵柄層12の絵柄データは裏面絵柄層13の伸縮を含んだ実測データに合わせて伸縮補正されている。このことにより、本開示に係る化粧シート1においては、絵柄の先頭部分のみだけでなく絵柄の後尾まで長手方向の絵柄1周期分の前面にわたり、表面絵柄層12と裏面絵柄層13とが位置同調した(見当の合った)状態とすることができる。
上記の製造方法にて、第1実施形態に係る化粧シート1を得ることができる。
なお上記説明においては、最初に取得した基準画像および基準位置を更新することなく使用した。しかしこれに限らず、インクジェット印刷進行途中で基準画像および基準位置を更新してもよい。この場合には変位量(位置ずれ量)を把握するための取得画像をそのまま基準画像として更新する。基準画像を更新する場合には、基準画像更新時の変位量(位置ずれ量)が新たな基準となるが、基準画像を更新する都度その時の変位量(位置ずれ量)を加えていけばよい。基準画像の更新頻度は任意である。毎回でも数回~数十回おきでも更新しなくともよい。
また上記説明においては、表面絵柄層12の画像データに対する伸縮補正を毎回行っている。しかしこれに限らず、表面絵柄層12の画像データに対する伸縮補正は数回~数百回に一度の頻度であっても実用の精度的には十分と考えられる。透明熱可塑性樹脂層11の伸縮量に関し、経験上、突然大幅に変動することはほとんど考えられず、変動する場合には連続的に生じるわずかな伸縮が蓄積して伸縮補正が必要な程の伸縮量となる場合がほとんどだからである。表面絵柄層12の画像データに対する伸縮補正を数回~数百回に一度の頻度とする場合においては、画像データに対する伸縮補正の計算負荷を大幅に減らすことができる。またカメラ30からインクジェット印刷ユニット45までに十分なパス長を確保できず、画像データに対する伸縮補正を毎回行うことが困難であるような場合において特に有効である。
以上の第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法は、以下の様に表すこともできる。
以下の工程(i)~工程(iii)をこの順に含む、裏面絵柄層13、帯形状の透明熱可塑性樹脂層11、および表面絵柄層12の少なくとも3層をこの順に積層してなる化粧シート1の製造方法。
工程(i):まず、透明熱可塑性樹脂層11の一方の面を裏面として選択する。そして、透明熱可塑性樹脂層11の帯形状の長方形の長辺方向に対応する方向を長手方向LD、および該長手方向と直交する短辺方向を短手方向SDとしたときに、透明熱可塑性樹脂層11の裏面上に裏面絵柄層13を、透明熱可塑性樹脂層11の長手方向に周期な配列にて積層(印刷)する。
工程(ii):次に、裏面絵柄層13について、透明熱可塑性樹脂層11の長手方向の絵柄1周期分の寸法PR MDおよび短手方向の寸法PR TDを計測する。
工程(iii):次に、透明熱可塑性樹脂層11の裏面の反対面である表面上に、インクジェット印刷法を用いて、表面絵柄層12を、表面絵柄層12の長手方向の絵柄1周期分の寸法PF MDおよび短手方向の寸法PF TDを、
F MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TD
となる関係とした上で、裏面絵柄層13および表面絵柄層12の両絵柄を互いに見当を合わせて印刷する。
第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法は、上記製造方法に対しさらに以下の様に限定して表すことができる。
上記の工程(i)は、以下の通り限定することができる、着色熱可塑性樹脂層14、裏面絵柄層13、透明熱可塑性樹脂層11、および表面絵柄層12の少なくとも4層をこの順に積層してなる化粧シート1の製造方法。
工程(i):着色熱可塑性樹脂層14の一方の面側に裏面絵柄層13を積層した後、透明熱可塑性樹脂層11の裏面と裏面絵柄層13とが対向するように積層することにより透明熱可塑性樹脂層11の裏面上に裏面絵柄層13を積層する。
また、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法においては、PR MDおよびPR TDを計測する際にテンプレートマッチングを用いており、テンプレートマッチングに使用するテンプレートは絵柄領域内に2箇所以上設定されている。
上記の通り、本開示の化粧シートの製造方法においては、繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表裏の印刷絵柄層相互を位置同調した化粧シート1とすることができる。そのため例えば、裏面絵柄層13に係る絵柄が木目絵柄で、表面絵柄層12に係る絵柄が木目絵柄に位置同調すべきマット柄であるような場合には、裏面の木目絵柄と表面のマット柄が精度よく位置同調しているため、より天然の木材に近い自然な感じとすることができ、すなわち意匠性の高い化粧シートとすることができる。
また、裏面絵柄層13に係る絵柄が石目模様の場合には、例えばその暗部を表面絵柄層12に係る絵柄のマット部として暗部と位置同調させることにより、より意匠性の高い化粧シートとすることができる。裏面絵柄層13に係る絵柄が一部が錆びた金属表面を模した模様である場合には、例えばその錆びを模した部分を表面絵柄層12に係る絵柄のマット部として錆びを模した部分と位置同調させることにより、より意匠性の高い化粧シートとすることができる。
また、本開示の化粧シートの製造方法においては、表面絵柄層12に係る絵柄を裏面絵柄層13に係る絵柄と位置同調させるにあたり、いわゆる見当マークを必要としない。そのため、非絵柄領域NIRが存在しない品目であっても表裏の絵柄を精度よく位置同調させることができる。
また表面絵柄層12の印刷にインクジェット印刷法を使用しているため、表面絵柄層12の印刷に係る版を作成する必要がなく、また製造品目の変更(いわゆる段取り替え)時においても、版を交換する必要もなく、光電センサー35から印刷部までのパス長を変化させるための機構も不要となる。また製造開始時における初期見当合わせのロスも少なくすることができる。
(第2実施形態の製造方法)
以下、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法について、図8の概略断面図を参照して説明する。第2実施形態に係る化粧シート101は、上述の通り第1実施形態に係る化粧シート1の表面絵柄層12の表面側に表面保護コート層15を積層した形態である。
表面絵柄層12を積層するまで、すなわち第1実施形態に係る化粧シート1を得るまでは、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法と同様であるため説明は省略する。図8(a)は図5(d)と同一の図である。
第1実施形態に係る化粧シート1を得た(図8(a))後、表面絵柄層12の表面側に表面保護コート層15を積層することで第2実施形態に係る化粧シート101を得る(図8(b))。
表面絵柄層12の表面側に表面保護コート層15を積層する方法は、公知の塗工法(あるいは印刷法)を用いれば良い。コーターで塗工してもよいし、グラビア印刷法などの印刷法を用いて塗工してもよい。
第2実施形態に係る化粧シート101においては、第1実施形態に係る化粧シート1に係る上記効果に加え、以下の効果を奏する。例えば、裏面絵柄層13に係る絵柄が木目絵柄で、表面絵柄層12に係る絵柄が木目絵柄に位置同調したマット柄である場合に、表面保護コート層15を裏面絵柄層13よりも艶の高い(グロス)材質とすることで、より意匠性の高い化粧シート101とすることができる。
(第3実施形態の製造方法)
以下、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法について、図9の概略断面図を参照して説明する。第3実施形態に係る化粧シート201は、上述の通り第1実施形態に係る化粧シート1の構成から着色熱可塑性樹脂層14を除外した形態である。
まず、透明熱可塑性樹脂層11を準備し(図9(a))、その一方の面(裏面)側に裏面絵柄層13を透明熱可塑性樹脂層11の長手方向に周期な配列にて積層する(図9(b))。透明熱可塑性樹脂層11に対して裏面絵柄層13を積層する方法は、第1実施形態の製造方法における着色熱可塑性樹脂層14に対して裏面絵柄層13を積層する方法と同様に、円筒形の版をその周長方向に回転させることにより繰り返し絵柄を印刷する方法、すなわちグラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などであることが好ましい。帯形状である透明熱可塑性樹脂層11の長手方向に裏面絵柄層13を周期な配列にて積層(印刷)することが、容易に、すなわち安価かつ高速に行うことができるからである。中でも、透明熱可塑性樹脂層11のような熱可塑性樹脂に対する印刷適正に優れたグラビア印刷法であることが好ましい。
次に透明熱可塑性樹脂層11の表面側に表面絵柄層12をインクジェット印刷機を用いて積層する(図9(c))。表面絵柄層12の積層において、繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく裏面絵柄層13と表面絵柄層12とが位置同調している、すなわち両者の見当が精度よく合っていることが本開示の特徴となる。透明熱可塑性樹脂層11の表面側に表面絵柄層12をインクジェット印刷機を用いて積層する方法、は第1実施形態に係る化粧シート1の場合と同様であるため省略する。また第3実施形態においても第2実施形態と同様に、化粧シート201の表面絵柄層12の表面側に表面保護コート層15を積層した形態としてもよい(図9(d))。
第3実施形態に係る化粧シート201においても、第1実施形態の化粧シート1と同様に、繰り返し絵柄の全面にわたり精度よく表裏の印刷絵柄層相互を位置同調しているため、第1実施形態の化粧シート1に係る上記効果と同様の効果を得ることができる。第3実施形態に係る化粧シート201は、着色熱可塑性樹脂層14を含まないため、層構成中に含まれる熱可塑性樹脂層は透明熱可塑性樹脂層11のみである。そのため、第3実施形態に係る化粧シート201は、第1実施形態に係る化粧シート1や第2実施形態に係る化粧シート101と比較して、厚さを薄くすることができる。そのため柔らかく、コシのない化粧シート201とすることができ、そのため被化粧材に対しその表面形状に対し追従性よく貼り付けることができる。また、着色熱可塑性樹脂層14を含まないため、裏面絵柄層13を通して被化粧材表面の色が化粧シート201の表面側からも観察できる場合もあり、このような場合には被化粧材表面の色を活かした意匠とすることができる。
1、101、201 化粧シート
11 透明熱可塑性樹脂層
12 表面絵柄層
13 裏面絵柄層
14 着色熱可塑性樹脂層
15 表面保護コート層
16 裏面プライマー層
20 テンプレート
25 頭出しマーク
30 カメラ
35 光電センサー
40 インクジェット印刷機
41 巻き出し部
42 巻き取り部
43 ニップロール
45 インクジェット印刷ユニット
47 搬送量検出手段(ロータリーエンコーダー)
LD 長手方向
SD 短手方向

Claims (3)

  1. 裏面絵柄層、帯形状の透明熱可塑性樹脂層、および表面絵柄層の少なくとも3層をこの順に積層してなる化粧シートの製造方法であって、以下の工程(i)~工程(iii)をこの順に含む、化粧シートの製造方法。
    工程(i):まず、前記透明熱可塑性樹脂層の一方の面を裏面として選択する。そして、前記透明熱可塑性樹脂層の帯形状の長方形の長辺方向に対応する方向を長手方向、および前記長手方向と直交する短辺方向を短手方向としたときに、前記透明熱可塑性樹脂層の前記裏面上に前記裏面絵柄層を、前記透明熱可塑性樹脂層の前記長手方向に周期な配列にて積層する。
    工程(ii):次に、前記裏面絵柄層について、前記透明熱可塑性樹脂層の前記長手方向の絵柄1周期分の寸法PR MDおよび前記短手方向の寸法PR TDを計測する。
    工程(iii):次に、前記透明熱可塑性樹脂層の前記裏面の反対面である表面上に、インクジェット印刷法を用いて、前記表面絵柄層を、前記表面絵柄層の前記長手方向の絵柄1周期分の寸法PF MDおよび短手方向の寸法PF TDを、
    F MD=PR MD、かつ、PF TD=PR TD
    となる関係とした上で、前記裏面絵柄層および前記表面絵柄層の両絵柄を互いに見当を合わせて印刷する。
  2. 前記化粧シートはさらに着色熱可塑性樹脂層を含み、前記着色熱可塑性樹脂層、前記裏面絵柄層、前記透明熱可塑性樹脂層、および前記表面絵柄層の少なくとも4層をこの順に積層してなる化粧シートの製造方法であって、
    前記工程(i)は、前記着色熱可塑性樹脂層の一方の面側に前記裏面絵柄層を積層した後、前記透明熱可塑性樹脂層の前記裏面と前記裏面絵柄層とが対向するように積層することにより前記透明熱可塑性樹脂層の前記裏面上に前記裏面絵柄層を積層するものである、請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
  3. 前記PR MDおよび前記PR TDを計測する際にテンプレートマッチングを用い、前記テンプレートマッチングに使用するテンプレートは絵柄領域内に2箇所以上設定される、請求項1または請求項2に記載の化粧シートの製造方法。
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