JP2022145488A - 重合体、水性樹脂分散体、粉体、改質剤、樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ乳酸を含む脂肪族ポリエステルの弾性率を低下することができ、得られる樹脂組成物の透明性を良好に維持できる脂肪族ポリエステルの改質剤として用いることが可能な、複合樹脂を提供する。【解決手段】脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)からなるポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)と、の重合体。【選択図】なし
Description
本発明は、重合体、水性樹脂分散体、粉体、改質剤、樹脂組成物および成形体に関する。
一般的に、包装材料として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等が幅広く使用されている。しかしながら、これらは燃焼時の発熱量が高かったり、燃焼での処理が困難であったりといった理由で、埋め立て処理されることが多いが、分解せずに残存するために環境汚染の一因になりうる。そのため、近年、生分解性樹脂の使用が望まれており、特に、ポリ乳酸(以下、PLAという場合がある。)は自然環境下で微生物等により分解されやすいことから注目されている。しかしながら、ポリ乳酸の成形体は、透明性に優れ、弾性率及び剛性は高い傾向があるものの、包装材料等に使用するには柔軟性に劣る傾向がある。そこで、ポリ乳酸を改質するために低分子の可塑剤や軟質樹脂を添加する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸に可塑剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したポリ乳酸系樹脂組成物が記載されている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸に可塑剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したポリ乳酸系樹脂組成物が記載されている。
しかしながら、低分子量の化合物(特許文献1に記載のポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度10のポリグリセリンから構成されている。段落[0035])を可塑剤として用いた場合、可塑剤がブリードアウトしてしまい、得られる成形体の透明性が失われることが懸念される。また、ポリ乳酸に軟質樹脂をブレンドする方法であれば、ブリードアウトの問題は生じないが、軟質樹脂(例えば、ポリウレタン)はポリ乳酸との相溶性が不足しており、透明性を損なうなどの課題があった。本発明の課題は、上記実情を鑑み、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルに添加することにより良好な柔軟性と透明性を備えた成形体を得ることができる重合体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定のポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)と、の重合体を、脂肪族ポリエステルの改質剤として用いることで、上記課題を解決可能であることを見出し、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1]脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)からなるポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)と、の重合体。
[2]前記ポリウレタン(A)と前記ラジカル重合性単量体(b)の重合体との質量比が55:45~95:5である、[1]に記載の重合体。
[3]前記脂肪族ポリオール(a2)の分子量は、100~10000である[1]又は[2]に記載の重合体。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の複合樹脂を含む水性樹脂分散体。
[5][1]~[3]のいずれかに記載の重合体からなるφ2.8mm以下の粉体。
[6][1]~[3]のいずれかに記載の重合体からなる改質剤。
[7][1]~[3]のいずれかに記載の重合体と、脂肪族ポリエステルと、を含む樹脂組成物。
[8][7]に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
[2]前記ポリウレタン(A)と前記ラジカル重合性単量体(b)の重合体との質量比が55:45~95:5である、[1]に記載の重合体。
[3]前記脂肪族ポリオール(a2)の分子量は、100~10000である[1]又は[2]に記載の重合体。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の複合樹脂を含む水性樹脂分散体。
[5][1]~[3]のいずれかに記載の重合体からなるφ2.8mm以下の粉体。
[6][1]~[3]のいずれかに記載の重合体からなる改質剤。
[7][1]~[3]のいずれかに記載の重合体と、脂肪族ポリエステルと、を含む樹脂組成物。
[8][7]に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明により、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルに添加することで良好な柔軟性と透明性を備えた成形体を得ることが可能な重合体を提供することができる。
本明細書において、「△~△△」の表記は、「△以上△△以下」を意味する。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
<重合体>
本実施形態に係る重合体は、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)及び脂肪族ポリオール(a2)からなるポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)と、の重合体である。なお、重合体は、ブロック共重合体やグラフト共重合体が挙げられるが、相分離構造の適切な制御のし易さの観点から、重合体は、該ポリウレタン(A)を主鎖とし、ラジカル重合性単量体の重合体をグラフト側鎖とするグラフト重合体であることが好ましい。言い換えると、本実施形態に係るラジカル重合性単量体により変性された、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)及び脂肪族ポリオール(a2)からなる変性ポリウレタン(A)であることが好ましい。なお、本発明における変性ポリウレタンとは、ポリウレタンの少なくとも一部がラジカル重合性単量体の重合体により変性されたポリウレタンを意味し、変性ポリウレタン100質量部におけるラジカル重合性単量体の重合体の割合が50質量部より大きい場合も、本発明においては変性ポリウレタンと称すものとする。
本実施形態に係る重合体は、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)及び脂肪族ポリオール(a2)からなるポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)と、の重合体である。なお、重合体は、ブロック共重合体やグラフト共重合体が挙げられるが、相分離構造の適切な制御のし易さの観点から、重合体は、該ポリウレタン(A)を主鎖とし、ラジカル重合性単量体の重合体をグラフト側鎖とするグラフト重合体であることが好ましい。言い換えると、本実施形態に係るラジカル重合性単量体により変性された、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)及び脂肪族ポリオール(a2)からなる変性ポリウレタン(A)であることが好ましい。なお、本発明における変性ポリウレタンとは、ポリウレタンの少なくとも一部がラジカル重合性単量体の重合体により変性されたポリウレタンを意味し、変性ポリウレタン100質量部におけるラジカル重合性単量体の重合体の割合が50質量部より大きい場合も、本発明においては変性ポリウレタンと称すものとする。
上述の通り、重合体を構成するポリウレタン(A)は、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)及び脂肪族ポリオール(a2)からなるポリウレタンである。すなわち、本実施形態に係る重合体を構成するポリウレタン(A)は、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)と、を重縮合反応させることにより得られるポリウレタンである。
脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートである。
このようなポリイソシアネートの具体例としては、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチル2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。このような脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートは、得られる重合体の黄変が少なく、ポリウレタンにしたときに軟質な物性が得られるため好ましい。なかでも、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートの炭素数は特段の制限はないが、得られるポリウレタンを柔軟にするために20以下であることが好ましく、11以下であることが特に好ましい。
なお、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネート(a1)は2種以上用いてもよい。
このようなポリイソシアネートの具体例としては、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチル2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。このような脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートは、得られる重合体の黄変が少なく、ポリウレタンにしたときに軟質な物性が得られるため好ましい。なかでも、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートの炭素数は特段の制限はないが、得られるポリウレタンを柔軟にするために20以下であることが好ましく、11以下であることが特に好ましい。
なお、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネート(a1)は2種以上用いてもよい。
脂肪族ポリオール(a2)とは、1分子中に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する脂肪族の有機化合物である。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール類の少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるジオール;ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール等のポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエーテルポリオール類、その他、水添ポリブタジエンジオール、ポリアクリル酸エステルジオール等;トリオールとのモノエステル、例えば、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等;2,2-ジメチロール酢酸、2,2-ジメチロール乳酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2-ジメチロールブタン酸(DMBA)、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸などのポリヒドロキシルカルボン酸等、ジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノブタンスルホン酸等、N-メチルジエタノールアミン等が挙げられる。
脂肪族ポリオール(a2)を用いることにより、ポリウレタン樹脂にしたときに軟質な物性が得られる。なお、脂肪族ポリオール(a2)は2種以上用いてもよい。
脂肪族ポリオール(a2)を用いることにより、ポリウレタン樹脂にしたときに軟質な物性が得られる。なお、脂肪族ポリオール(a2)は2種以上用いてもよい。
脂肪族ポリオール(a2)の分子量は、特段の制限はないが、100~10000であることが好ましく、300~7000であることがさらに好ましく、500~3000であることが特に好ましい。分子量を100以上とすることにより、ポリウレタン樹脂にした時に高い柔軟性が得られやすくなる傾向がある。また、該質量平均分子量を10000以下とすることにより、脂肪族ポリオールの粘度が高すぎることなく、取り扱い性が良好となりやすい傾向がある。なお、脂肪族ポリオールがオリゴマーである場合、上記分子量は質量平均分子量を意味するものとする。
ポリウレタン(A)は、ラジカル重合性官能基を有することが好ましい。ポリウレタン(A)がラジカル重合性官能基を有することにより、該ラジカル重合性官能基を起点として、ラジカル重合性単量体(b)の重合反応が進み、ラジカル重合性単量体(b)の重合体からなる側鎖が形成されることになる。このようにして、ポリウレタン(A)からなる主鎖、および、ラジカル重合性単量体(b)の重合体からなる側鎖を有するグラフト共重合体を得ることができる。
ラジカル重合性官能基とは、炭素-炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよく、具体的には、(メタ)アクリロイル基、アリル基、その他のビニル基、などを挙げることが出来る。特に(メタ)アクリロイル基は、ラジカル重合性官能基を有する化合物の貯蔵安定性が優れている観点や、当該化合物の重合性を制御することが容易である観点から好ましい。
ポリウレタン(A)の質量平均分子量は特段の制限はないが、改質剤の取り扱い性のために、7,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、一方、柔軟性のために、200,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがさらに好ましい。
(ラジカル重合体単量体(b))
ラジカル重合性単量体(b)は、特段の制限はないが、好ましい例としては、上記したラジカル重合性官能基を有する単量体化合物が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリロイル基、アリル基、その他のビニル基を有する単量体等が挙げられる。
ラジカル重合性単量体(b)は、特段の制限はないが、好ましい例としては、上記したラジカル重合性官能基を有する単量体化合物が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリロイル基、アリル基、その他のビニル基を有する単量体等が挙げられる。
(メタ)アクロイル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリレートが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のその他の(メタ)アクリル系単量体などが挙げられる。
アリル基を有する重合性単量体としては、アリルアルコール、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他のビニル基を有する重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン等のラジカル重合性単量体等が挙げられる。
上記のなかでも、特に(メタ)アクリロイル基は、ラジカル重合性単量体の貯蔵安定性が優れている観点や、当該単量体の重合性を制御することが容易である観点から好ましい。また、脂肪族ポリエステルとの高い親和性を満たすために、アルキル基の炭素数が1~5以下の(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が1~3以下の(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。これらは1種単独で使用して、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、特に(メタ)アクリロイル基は、ラジカル重合性単量体の貯蔵安定性が優れている観点や、当該単量体の重合性を制御することが容易である観点から好ましい。また、脂肪族ポリエステルとの高い親和性を満たすために、アルキル基の炭素数が1~5以下の(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が1~3以下の(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。これらは1種単独で使用して、2種以上を併用してもよい。
なかでも、重合体をポリ乳酸の改質剤として使用する場合、得られる成形体の透明性と柔軟性を特に良好に保つために、ラジカル重合性単量体(b)として、複数種のラジカル重合性単量体を用いることが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、および、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる2種以上を併用することが好ましい。この場合、ラジカル重合性単量体(b)由来の全構成単位100質量部におけるメチル(メタ)アクリレートの割合は、80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましく、95質量部以上であることが特に好ましい。
ラジカル重合性単量体(b)の重合体の質量平均分子量は、特段の制限はないが、脂肪族ポリエステルとの相溶性のために、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがさらに好ましく、2,000以上であることが特に好ましく、一方、ポリウレタン部分との相溶性のために、10,000,000以下であることが好ましく、8,000,000以下であることがさらに好ましい。
ポリウレタン(A)とラジカル重合性単量体(b)の重合体との質量比、すなわち、ポリウレタン(A)とラジカル重合性単量体(b)との重合体における、ポリウレタン(A)に由来する構成単位とラジカル重合性単量体(b)の重合体に由来する構成単位との質量比は、特段の制限はないが、55:45~95:5であることが好ましく、60:40~95:5であることがより好ましい。質量比をこのような範囲に設定することで、柔軟性を維持したまま脂肪族ポリエステルと該重合体が混和しやすくなる。
<ポリウレタン(A)とラジカル重合性単量体(b)との重合体の製造方法>
ポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)との重合体は、特段の制限はないが、有機溶媒中でポリウレタン(A)からなる主鎖を重合して得た後に水中に乳化分散し、その後、側鎖を構成するラジカル重合性単量体(b)を重合する方法により製造することが可能である。以下、各工程について詳細に説明する。
ポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)との重合体は、特段の制限はないが、有機溶媒中でポリウレタン(A)からなる主鎖を重合して得た後に水中に乳化分散し、その後、側鎖を構成するラジカル重合性単量体(b)を重合する方法により製造することが可能である。以下、各工程について詳細に説明する。
ポリウレタン(A)とラジカル重合性単量体(b)との重合体は、特段の制限はないが、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)と、の重縮合反応によりポリウレタン(A)を製造した後に、該ポリウレタン(A)に対してラジカル重合性単量体(b)を重合させることにより製造することができる。
該重縮合反応は有機溶媒中で行うことが好ましい。使用可能な有機溶媒としては、特段の制限はないが、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
該重縮合反応の反応時間は特段の制限はなく、公知の範囲で行うことができる。
該重縮合反応の反応温度は特段の制限はなく、公知の範囲で行うことができる。なお、反応温度とは反応中の有機溶媒の温度を意味するものとする。
使用する脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)の量は特段の制限はないが、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)に対する脂肪族ポリオール(a2)の割合は、ポリウレタンの取り扱い性のために、(a2)の活性水素含有基1当量に対して(a1)のイソシアネートが1.0当量以上であることが好ましく一方、ポリウレタン(A)の溶融性を良好にするために、3.5当量以下であることが好ましく、2.0当量以下であることが特に好ましい。
なお、上述の通り、ポリウレタン(A)はラジカル重合性官能基を有することが好ましいが、ラジカル重合性官能基を有するポリウレタン(A)を得るには、ポリウレタン(A)の原料として使用する脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)及び脂肪族ポリオール(a2)のうち少なくとも一方にラジカル重合性官能基を有するものを使用する方法や、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)と、ラジカル重合性官能基を有する第3成分(a3)と、を反応させる方法や、ポリウレタン(前駆体)を合成した後に、酸-エポキシ反応を利用した高分子反応などによりポリウレタンにラジカル重合性反応基を導入する方法などが挙げられる。
上記のラジカル重合性官能基を有する第3成分(a3)としては、好ましくは、ラジカル重合性官能基を有する一価アルコールが挙げられる。なお、ラジカル重合性官能基を有する一価アルコールとは、上記した脂肪族アルコール一分子中に、1つの水酸基およびラジカル重合性官能基を有する脂肪族の有機化合物をいう。
ラジカル重合性官能基を有する一価アルコール(a3)の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ラジカル重合性官能基を有する一価アルコール(a3)の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ラジカル重合性官能基の含有量(ポリウレタン(A)を構成する全単量体における、ラジカル重合性官能基を有する単量体の含有割合)は特段の制限はないが、複合樹脂の溶融性を良好にするため、5mol%以下が好ましく、2mol%以下がより好ましい、一方、ポリウレタン(A)とラジカル重合性単量体(b)の共重合を容易に形成させるため、ポリウレタン(A)中、0.01mol%以上が好ましく、0.05mol%以上がより好ましい。
ポリウレタン(A)を製造するための原料として、脂肪族又は脂環式ポリオール(a1)と、脂肪族イソシアネート(a2)と、任意成分である上記第3成分(a3)以外に、さらに、イオン性基含有アルコール(a4)を併用してもよい。イオン性基を併用することによって、次の工程において、ポリウレタン(A)を水中に乳化分散させる際に、乳化剤が不要になったり、その添加量を低減することが可能であるために、精製作業が容易になる。また、得られる重合体の純度を向上できるなどのメリットがある。なお、イオン性基イオン性基としては、例えば、カルボン酸基(カルボキシ基)、スルホン酸基などのアニオン性基などを挙げることができる。
乳酸、ヒドロキシ酪酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸、およびサリチル酸、バニリン酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、および3―ヒドロキシプロパンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。これらイオン性基含有アルコール(a4)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ポリウレタン(A)を製造するにあたり、鎖伸長剤を使用してもよい。具体的には、上記で得られた乳化液に、例えば、下記に示すような鎖伸長剤を加えて、鎖伸長反応を行うことができる。そして、減圧下において、有機溶媒を除去し、水性ポリウレタン(ポリウレタン含有水分散液)を得ることができる。
鎖伸長剤は、イソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物等が挙げられる。このイソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物としては、水、ポリアミン化合物等が挙げられる。前記ポリアミン化合物の例としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類を挙げることができる。
鎖伸長剤は、ウレタンプレポリマーの合成時に添加してもよいし、後述の転相乳化後に添加してもよい。
鎖伸長剤は、ウレタンプレポリマーの合成時に添加してもよいし、後述の転相乳化後に添加してもよい。
本発明において、各成分(a2)、(a3)、(a4)及び鎖伸長剤と、成分(a1)との使用比率は、特段の制限はないが、(a2)、(a3)、(a4)及び鎖伸長剤の活性水素含有基1当量に対して(a1)のイソシアネートが、1.0~1.8当量であることが好ましく、1.1~1.5当量であることが特に好ましい。
ポリウレタンの合成により得られた反応溶液を所定温度まで冷却後、トリエチルアミンなどの中和剤を加え中和し、水を加えて乳化する。界面活性剤(乳化剤)としては、従来から公知のものを利用できる。例えば、ドデシルベンゼン硫酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩等のような陰イオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のような非イオン性乳化剤;セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルピリジニウムクロリド等のような陽イオン性乳化剤を適宜選択して使用できる。また、上記の如き乳化剤の代りに、あるいは乳化剤を併用して水溶性オリゴマーを分散剤として使用することも可能である。さらにポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等のような水溶性高分子物質を上記乳化剤と併用したり、あるいは重合後、乳化液に添加したりすることも有効である。このようにして、水性のポリウレタン(A)を得ることができる。
なお、乳化剤は使用しても使用しなくてもよい。
次に、得られた水性ポリウレタンに、ラジカル重合開始剤、および、ラジカル重合性単量体(b)を加え、所定時間反応させることにより、本実施形態に係る重合体の水分散体を得ることができる。なお、ラジカル重合性単量体(b)は、これを水中に乳化分散させた乳化液として、上記の水性ポリウレタンに添加してもよい。
ラジカル重合性単量体(b)は、上記で挙げたラジカル重合性単量体(b)を使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、一般的にラジカル重合に使用されるものが使用可能であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]およびその塩類、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]およびその塩類、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]およびその塩類、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)およびその塩類、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}およびその塩類、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)およびその塩類、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物類と還元剤成分とを組み合わせたレドックス系などが挙げられる。
ラジカル重合性単量体(b)を重合してなる重合体の分子量を調整する目的で、分子量調整剤を添加してもよい。本発明において、分子量調整剤として、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-テトラデシルメルカプタン、n-ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α-メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いることが好ましい。分子量調整剤の使用量は、ラジカル重合性単量体の全量に対して1質量%以下であることが好ましい。
ラジカル重合の反応時間は特段の制限はなく、公知の範囲で行うことができる。
ラジカル重合の反応温度は特段の制限はないなく、公知の範囲で行うことができる。なお、反応温度とは反応中の有機溶媒の温度を意味するものとする。
上述の方法でラジカル重合を行うことにより、水中で分散された状態で、コロイド状の粒子である重合体(以下、水性重合体分散体と称す場合がある)を得ることができる。
該コロイド状の粒子の大きさは、特段の制限はないが、0.03μm以上1μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上0.35μm以下であることがさらに好ましい。
水性重合体分散体から共重合体を分離、又は回収する方法は、特段の制限はなく、公知の方法で行うことができ、キャスト乾燥法や、塩を用いた凝固法などにより共重合体を得ることができる。
水性重合体分散体から共重合体を分離、又は回収する方法は、特段の制限はなく、公知の方法で行うことができ、キャスト乾燥法や、塩を用いた凝固法などにより共重合体を得ることができる。
水性重合体分散体は、所定の処理、例えば、電解質を溶解させた水中にて凝固させ、脱イオン水にて洗浄、脱水、乾燥の後、粉体とすることができる。該粉体は、脂肪族ポリエステルとの混合のし易さ、および、取り扱い安さの観点から、φ2.8mm以下の粒子径を有することが好ましく、φ1.5mm以下がより好ましく、φ1.0mm以下がさらに好ましい。
<改質剤、樹脂組成物>
本実施形態に係る重合体は、脂肪族ポリエステルの改質剤として使用することができる。本実施形態に係る重合体を脂肪族ポリエステルに対する改質剤として添加することにより、脂肪族ポリエステルの透明性を大きく損なうことなく、柔軟性を付与することが可能である。
本実施形態に係る重合体は、脂肪族ポリエステルの改質剤として使用することができる。本実施形態に係る重合体を脂肪族ポリエステルに対する改質剤として添加することにより、脂肪族ポリエステルの透明性を大きく損なうことなく、柔軟性を付与することが可能である。
脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(βヒドロキシ酪酸)、ポリ―β―プロビオラクトン、ポリ―ε―カプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート―co―ブチレンアジペート)を挙げることができる。
本実施形態に係る重合体と、脂肪族ポリエステルとを含む樹脂組成物は、良好な透明性を維持しつつ、脂肪族ポリエステルの弾性率を低下させることができる。よって、脂肪族ポリエステルの用途展開に幅を持たせることが可能となり、例えば、柔軟性に優れ、かつ、生分解性を有するフィルム用途に好適である。
<成形体>
本実施形態に係る樹脂組成物は、透明性に優れるとともに、柔軟性を有する。よって、成形加工が容易であり、また、フィルムとした場合に、透明性および柔軟性に優れたフィルムとすることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、透明性に優れるとともに、柔軟性を有する。よって、成形加工が容易であり、また、フィルムとした場合に、透明性および柔軟性に優れたフィルムとすることができる。
以下、本発明の樹脂組成物を用いたフィルムの製造方法の一例について説明する。フィルムは、例えば、溶融押出によるフィルム成形法によって製造することができる。フィルム原料となる本発明の樹脂組成物は、予め同方向2軸押出機、ニーダー、ヘンシェルミキサーなどを用いてプレコンパウンドしても構わない。各原料をドライブレンドした後、直接フィルム押出機に投入しても構わない。
フィルム原料となる組成物を溶融して押出した後は、例えばキヤステイングドラム上で急冷してフィルムを成形し、フィルム成形後一定時間熱を加える処理を施すようにすればよい。必要に応じて、フィルム成形後加熱縦延伸ロールを用いて縦延伸したり、必要に応じてテンターを用いて延伸したりしてもよい。また、キャスト法以外に、インフレーション法、延伸法を採用することもできる。
脂肪族ポリエステルに添加する改質剤の量を調整することにより、本実施形態が要求する物性、すなわち貯蔵弾性率およびヘイズを調整することができる。
成形体のヘイズは、包装材として使用した際、保護対象物の概観確認のために、95%以下であることが好ましく、91%以下であることがさらに好ましく、80%以下であることが特に好ましい。なお、成形体のヘイズは実施例に記載の方法により測定することができる。
成形体の貯蔵弾性率は、包装材の使いやすさのために、3.5GPa以下であることが好ましく、3.0GPa以下であることがさらに好ましく、2.5GPa以下であることが特に好ましい。なお、成形体の貯蔵弾性率は実施例に記載の方法により測定することができる。
すなわち、例えば、本実施形態に係る成形体を食品包装用フィルムに使用する場合、ヘイズ及び貯蔵弾性率が上記の好ましい範囲を両立して満たすことが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、実施例で使用した化合物は下記のとおりである。
施例に限定されるものではない。なお、実施例で使用した化合物は下記のとおりである。
脂肪族ポリイソシアネート(a1-1):ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
脂環族ポリイソシアネート(a1-2):1,3―ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
脂肪族ポリオール(a2-1):株式会社ダイセル製ポリカプロラクトンポリオール「プラクセル220EB」(平均分子量=2000)
脂肪族ポリオール(a2-2):「capa(登録商標)2054」(平均分子量=550)(Ingevity Corp社製)
脂肪族ポリオール(a2-3):2,2’-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)
脂肪族ポリオール(a2-4):グリセロールモノメタクリレート「ブレンマ―GLM」(日油株式会社製)
ラジカル重合性官能基含有アルコール(a3-1):ヒドロキシエチルメタクリレート
中和剤1:トリエチルアミン(TEA)
鎖伸長剤1:ヒドラジン
ラジカル重合性単量体(b-1):メタクリル酸メチル
ラジカル重合性単量体(b-2)メタクリル酸ブチル
乳化剤1:「ペレックスOTP」(花王株式会社製)
重合開始剤1:過硫酸カリウム
重合開始剤2:クメンハイドロパーオキサイド 「パークミルH-80」(日油株式会社製)
重合助剤1:硫酸第一鉄
重合助剤2:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
重合助剤3:ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
PEs1:ポリ乳酸「REVODE 190」(Zhejiang Hisun Biomaterials社製)
脂環族ポリイソシアネート(a1-2):1,3―ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
脂肪族ポリオール(a2-1):株式会社ダイセル製ポリカプロラクトンポリオール「プラクセル220EB」(平均分子量=2000)
脂肪族ポリオール(a2-2):「capa(登録商標)2054」(平均分子量=550)(Ingevity Corp社製)
脂肪族ポリオール(a2-3):2,2’-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)
脂肪族ポリオール(a2-4):グリセロールモノメタクリレート「ブレンマ―GLM」(日油株式会社製)
ラジカル重合性官能基含有アルコール(a3-1):ヒドロキシエチルメタクリレート
中和剤1:トリエチルアミン(TEA)
鎖伸長剤1:ヒドラジン
ラジカル重合性単量体(b-1):メタクリル酸メチル
ラジカル重合性単量体(b-2)メタクリル酸ブチル
乳化剤1:「ペレックスOTP」(花王株式会社製)
重合開始剤1:過硫酸カリウム
重合開始剤2:クメンハイドロパーオキサイド 「パークミルH-80」(日油株式会社製)
重合助剤1:硫酸第一鉄
重合助剤2:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
重合助剤3:ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
PEs1:ポリ乳酸「REVODE 190」(Zhejiang Hisun Biomaterials社製)
<合成例1-1>
脂肪族ポリオール(a2-1)85.8質量部に、脂肪族ポリオール(a2-3)9.6質量部と、脂肪族ポリオール(a2-4)4.6質量部とを加え、さらに、メチルエチルケトン131.5質量部を加え十分に攪拌した。
次に、脂肪族ポリイソシアネート(a1-1)36.1質量部を加えて70℃で4時間反応させ、ポリウレタンプレポリマー(PU前駆体)を得た。
反応溶液を40℃まで冷却し、中和剤1を6.5質量部加えて中和した後、水328.6質量部を加えて乳化液を得た。次いで、鎖伸長剤1を1.8質量部と水57.9質量部の混合物を加え、鎖伸長反応を行った。
得られた乳化液を減圧下、30~60℃にてメチルエチルケトンを除去し、不揮発分35.8%の、安定な半透明の水分散液である水性ポリウレタン樹脂(PU含有水分散液)1を得た。以上の反応の配合組成を表1に示す。
脂肪族ポリオール(a2-1)85.8質量部に、脂肪族ポリオール(a2-3)9.6質量部と、脂肪族ポリオール(a2-4)4.6質量部とを加え、さらに、メチルエチルケトン131.5質量部を加え十分に攪拌した。
次に、脂肪族ポリイソシアネート(a1-1)36.1質量部を加えて70℃で4時間反応させ、ポリウレタンプレポリマー(PU前駆体)を得た。
反応溶液を40℃まで冷却し、中和剤1を6.5質量部加えて中和した後、水328.6質量部を加えて乳化液を得た。次いで、鎖伸長剤1を1.8質量部と水57.9質量部の混合物を加え、鎖伸長反応を行った。
得られた乳化液を減圧下、30~60℃にてメチルエチルケトンを除去し、不揮発分35.8%の、安定な半透明の水分散液である水性ポリウレタン樹脂(PU含有水分散液)1を得た。以上の反応の配合組成を表1に示す。
<合成例1-2~1-6>
配合組成を表1の通りに変更した以外は、合成例1-1と同様の方法により水性ポリウレタン樹脂2~6を得た。
配合組成を表1の通りに変更した以外は、合成例1-1と同様の方法により水性ポリウレタン樹脂2~6を得た。
<合成例1-7>
配合組成を表1の通りに変更した以外は、合成例1-1と同様の方法により水性ポリウレタン樹脂7を得た。次に、得られた水性ポリウレタン樹脂7をプラスチックシャーレに注ぎ、60℃の熱風乾燥機で12時間乾燥させたのち、60℃の減圧乾燥器を用いて減圧下で24時間乾燥させ、ポリウレタン樹脂7を得た。
配合組成を表1の通りに変更した以外は、合成例1-1と同様の方法により水性ポリウレタン樹脂7を得た。次に、得られた水性ポリウレタン樹脂7をプラスチックシャーレに注ぎ、60℃の熱風乾燥機で12時間乾燥させたのち、60℃の減圧乾燥器を用いて減圧下で24時間乾燥させ、ポリウレタン樹脂7を得た。
<合成例2-1>
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、および滴下ポンプを備えたフラスコに固形分25%となるよう調整した合成例1-1により得られた水性ポリウレタン樹脂1を260部仕込み、フラスコを70℃に昇温した。その後、重合開始剤1を0.1部を添加し、ラジカル重合性単量体(b-1)とラジカル重合性単量体(b-2)と、乳化剤と脱イオン水を含むあらかじめ乳化分散させたプレ乳化液58.4gを2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を70℃に保持し、滴下が終了してから70℃で1.5時間保持した。その後、反応液を室温まで冷却し、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレート重合体の水分散体1を得た。以上の反応の配合組成を表2に示す。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、および滴下ポンプを備えたフラスコに固形分25%となるよう調整した合成例1-1により得られた水性ポリウレタン樹脂1を260部仕込み、フラスコを70℃に昇温した。その後、重合開始剤1を0.1部を添加し、ラジカル重合性単量体(b-1)とラジカル重合性単量体(b-2)と、乳化剤と脱イオン水を含むあらかじめ乳化分散させたプレ乳化液58.4gを2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を70℃に保持し、滴下が終了してから70℃で1.5時間保持した。その後、反応液を室温まで冷却し、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレート重合体の水分散体1を得た。以上の反応の配合組成を表2に示す。
得られた水分散体1を100部、60℃の酢酸カルシウム5部が入った脱イオン水150部に添加して、重合物を凝固し、脱イオン水で洗浄し、脱水、乾燥して、粒子径800μmの粉体状のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレート重合体である重合体1を得た。
<合成例2-2>
配合組成を表2の通りに変更した以外は、合成例2-1と同様の方法により水分散体2を製造し、粉体状の重合体2を得た。
配合組成を表2の通りに変更した以外は、合成例2-1と同様の方法により水分散体2を製造し、粉体状の重合体2を得た。
<合成例2-3~2-6>
配合組成を表2の通りに変更した以外は、合成例2-1と同様の方法により水分散体3~6を得た。次に、得られた水分散体3~6をプラスチックシャーレに注ぎ、60℃の熱風乾燥機で12時間乾燥させたのち、60℃の減圧乾燥器を用いて減圧下で24時間乾燥させ、重合体3~6を得た。
配合組成を表2の通りに変更した以外は、合成例2-1と同様の方法により水分散体3~6を得た。次に、得られた水分散体3~6をプラスチックシャーレに注ぎ、60℃の熱風乾燥機で12時間乾燥させたのち、60℃の減圧乾燥器を用いて減圧下で24時間乾燥させ、重合体3~6を得た。
<実施例1~実施例6、比較例1、比較例2>
それぞれ、表3に示す配合比となるように原料50gを計量し、混練・押出成形評価試験装置(東洋精機製作所社製、製品名:ラボプラストミル4C150)を用いて温度190度で1分間予熱させた後、回転数30rpm、混練時間5分で溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物1~8(樹脂混合物)を得た。得られた樹脂組成物1~8(樹脂混合物)の貯蔵弾性率およびヘイズを下記に記載する方法により評価した。得られた結果を表3に示す。
それぞれ、表3に示す配合比となるように原料50gを計量し、混練・押出成形評価試験装置(東洋精機製作所社製、製品名:ラボプラストミル4C150)を用いて温度190度で1分間予熱させた後、回転数30rpm、混練時間5分で溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物1~8(樹脂混合物)を得た。得られた樹脂組成物1~8(樹脂混合物)の貯蔵弾性率およびヘイズを下記に記載する方法により評価した。得られた結果を表3に示す。
<評価>
(ヘイズ値の測定方法)
実施例および比較例にて得られた樹脂組成物を、圧縮成形機(東洋精機製作所社製、ミニテストプレス MP-2FH)を用いて、ヒーター温度190℃、プレス圧5MPa、保持時間2分で成形した後、冷却することでフィルムを得た。
上記フィルムを、日本電飾社製ヘイズメーター(製品名:NDH4000)を用い、JIS K7361-1に規格に準拠してヘイズ値を測定した。
ヘイズは以下の基準で評価した。
〇:70%以下、
△:70%超94%以下
×94%超
(ヘイズ値の測定方法)
実施例および比較例にて得られた樹脂組成物を、圧縮成形機(東洋精機製作所社製、ミニテストプレス MP-2FH)を用いて、ヒーター温度190℃、プレス圧5MPa、保持時間2分で成形した後、冷却することでフィルムを得た。
上記フィルムを、日本電飾社製ヘイズメーター(製品名:NDH4000)を用い、JIS K7361-1に規格に準拠してヘイズ値を測定した。
ヘイズは以下の基準で評価した。
〇:70%以下、
△:70%超94%以下
×94%超
(貯蔵弾性率の測定)
上記フィルムを、動的粘弾性測定装置(SII社製、製品名:DMS6100)を用いて引張モードで動的粘弾性を測定し、周波数10Hzの20℃の時の貯蔵弾性率を求めた。
上記フィルムを、動的粘弾性測定装置(SII社製、製品名:DMS6100)を用いて引張モードで動的粘弾性を測定し、周波数10Hzの20℃の時の貯蔵弾性率を求めた。
比較例1及び比較例2を比較すると、ポリ乳酸に対して従来のポリウレタン樹脂を添加した場合、貯蔵弾性率を低下させられることはできたものの、ヘイズが大きくなることが分かる。これに対して、本発明のように、ポリ乳酸に特定の重合体を添加することで、貯蔵弾性率を低下させることができるとともに、ヘイズの大幅な増加を防ぐことができることが分かる。
本発明の重合体を脂肪族ポリエステル(PLAを含む)の改質剤として用いることで、脂肪族ポリエステルの弾性率を低下させることができ、ブリードアウトの問題が生じず、得られる樹脂組成物の透明性を良好に維持することができる。また、該樹脂組成物は、透明性および柔軟性に優れた成形体を製造する用途に好適である。
Claims (8)
- 脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート(a1)と、脂肪族ポリオール(a2)からなるポリウレタン(A)と、ラジカル重合性単量体(b)と、の重合体。
- 前記ポリウレタン(A)と前記ラジカル重合性単量体(b)の重合体との質量比が55:45~95:5である、請求項1に記載の重合体。
- 前記脂肪族ポリオール(a2)の分子量は、100~10000である請求項1又は2に記載の重合体。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体を含む水性樹脂分散体。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体からなるφ2.8mm以下の粉体。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体からなる改質剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体と、脂肪族ポリエステルと、を含む樹脂組成物。
- 請求項7に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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JP2021208290A Pending JP2022145488A (ja) | 2021-03-19 | 2021-12-22 | 重合体、水性樹脂分散体、粉体、改質剤、樹脂組成物および成形体 |
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