JP2022145224A - 被検者の出血傾向を解析する解析方法、解析装置、解析システム、及び解析プログラム - Google Patents

被検者の出血傾向を解析する解析方法、解析装置、解析システム、及び解析プログラム Download PDF

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Abstract

Figure 2022145224000001
【課題】
本発明によれば、通常の凝固検査で取得される値に基づいて、重篤な出血を引き起こす患者を検出する。
【解決手段】
本発明は、被検者の出血傾向を解析する解析方法であって、被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得し、取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得し、取得した前記最大速度到達時間又は最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得し、取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力する、前記解析方法により課題を解決する。
【選択図】図14

Description

本発明は、出験者の出血傾向を解析する解析方法、解析装置、解析システム、及び解析プログラムに関する。
特許文献1には、血友病A患者の重症度を判定する方法が開示されている。特許文献1の方法では、被検者の血液の凝固反応曲線から補正1次曲線を算出し、得られた補正1次曲線から、演算対象領域値Sを、最大高さ値Vmax(100%)に対して、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、および90%にそれぞれ設定し、10個の演算対象領域を抽出し、各演算対象領域値Sでの対象領域について、扁平率vABおよび時間率vTBを算出する。また、凝固第VIII因子(FVIII)の活性レベルに基づいて重症度が判定された、重症、中等症、および軽症の血友病Aの患者の血液(テンプレート検体)について、補正1次曲線から、各演算対象領域値Sでの対象領域について、扁平率vABおよび時間率vTBを算出する。そして、被験者の血液の扁平率vABおよび時間率vTBと、各テンプレート検体の扁平率vABおよび時間率vTBとの間で直線回帰式を求め、相関性が最も高いテンプレート検体を決定し、血友病A患者の重症度を判定する。
国際公開第2020/158948号
血友病A患者が重篤な出血を引き起こした場合、身体、特に関節に後遺症が残り、クオリティー・オブ・ライフ(QOL) が著しく損なわれる場合がある。血友病A患者の重症度は、FVIIIの活性レベルを測定することにより判定されている。しかし、FVIIIの活性レベル測定により軽症又は中等症と判定された患者であっても、重篤な出血を引き起こすことがある。特許文献1には血友病A患者の重症度を判定する方法が開示されているが、FVIIIの活性レベルに基づいて重症度が判定された患者のテンプレート検体との相関性により判定しているため、FVIIIの活性レベル測定により軽症又は中等症と判定され、後に重篤な出血を引き起こす患者を検出することができない。本発明は、従来のFVIIIの活性レベル測定及び特許文献1の方法では検出することができなかった、重篤な出血を引き起こす患者を検出することを課題とする。
本発明は、被検者の出血傾向を解析する解析方法であって、被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得し、取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得し、取得した前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得し、取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力する、前記解析方法に関する。
本発明は、被検者の出血傾向を解析する解析装置(100)であって、解析装置(100)は、制御装置(10)を備え、制御装置(10)は、被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得し、取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得し、取得した前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得し、取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力する、解析装置(100)に関する。
本発明は、コンピュータに実行させたときに、コンピュータに、被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得するステップと、取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得するステップと、取得した前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得するステップと、取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力するステップとを実行させる被検者の出血傾向を解析する解析プログラム(132)に関する。
本発明によれは、従来は検出できなかった、重篤な出血を引き起こす患者を検出することができる。
解析システム1の外観を示す図である。 解析システム1のハードウエア構成を示す図である。 補助記憶装置13が記憶している情報を示す図である。 測定装置200の光照射部の構成を示す図である。 (A)キュベット80がない状態の検出部22の構成を示す図である。(B)キュベット80がある状態の検出部22の構成を示す図である。 測定処理及び解析処理の流れを示す図である。 測定処理の流れを示す図である。 解析処理の流れを示す図である。 (A)時系列データセットの一例を示す図である。(B)凝固曲線を示す図である。(C)正規化した凝固曲線を示す図である。 (A)一次微分凝固曲線を示す図である。(B)二次微分凝固曲線を示す図である。 比較処理の流れを示す図である。 比較処理の変形例の流れを示す図である。 41名の血友病A患者を、縦軸(Y軸)が出血スコア値を示し、横軸(X軸)がFVIIIの活性を示す二次元散布図にプロットした図である。 (A)健常な被検者の凝固曲線、一次微分凝固曲線、二次微分凝固曲線を示す。(B)血友病Aを有する被検者の凝固曲線、一次微分凝固曲線、二次微分凝固曲線を示す。 (A)縦軸が、数式1によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、中等症又は重症の被検者群を示す箱ひげ図である。(B)縦軸が、数式2によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。(C)縦軸が、数式3によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。 (A)縦軸が、数式2によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。(B)縦軸が、数式3によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。
1.解析システム1
図1から図5を用いて、解析システム1を説明する。
解析システム1は、図1に示すように、被検者の出血傾向を解析する解析装置100と、凝固反応を開始した血液検体に光を照射し、光学情報を取得する検出部を備える測定装置200とを備える。
解析システム1が解析の対象とする血液検体は、被検者から採取された血液、又は採取した血液を処理して得られる試料である。血液検体として、例えば、全血や血漿を例示することができる。血液は、採血時にヘパリン製剤以外の抗凝固剤を使用して採取することが好ましい。抗凝固剤としてクエン酸塩、例えばクエン酸ナトリウム溶液を用いることができる。血液検体として、例えば、抗凝固剤として3.1%から3.3%(重量/容量)のクエン酸三ナトリウム溶液を用い、この抗凝固剤と採取した血液が容量比で約1:8.5から1:9.5となるように混合した試料から分離した血漿を用いることができる。
血液を採取する被検者は、制限されないが、例えば、出血傾向が疑われる被検者である。出血傾向が疑われる被検者は例えば、第VIII因子活性が低い患者である。第VIII因子の活性低下の要因には、第VIII因子の機能的な要因によるものと量的な要因によるものとが含まれる。また、出血傾向が疑われる被検者は、例えば血友病Aを有する患者である。
1-1.解析装置100
図2は、解析システム1のハードウエア構成を示す図である。
解析装置100は、測定装置200と通信可能に接続されている。また、解析装置100は、メディアドライブ98と接続されている。また、解析装置100は、ネットワーク99を介して電子カルテシステム1000と接続されている。ネットワーク99は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)であるが、インターネットであってもよい。
解析装置100は、制御装置10、入力装置16、及び出力装置17を備える。制御装置10は、データ処理を行うCPU(Central Processing Unit)11と、データ処理の作業領域に使用する主記憶装置12と、主記憶装置12に転送される情報を保存する補助記憶装置13と、各装置の間でデータを伝送するバス14と、外部機器とのデータの入出力を行うインタフェース(I/F)15とを備えている。入力装置16、出力装置17、メディアドライブ98、ネットワーク99及び測定装置200、は、インタフェース(I/F)15に接続されている。インタフェース(I/F)15は、例えばUSB、IEEE1394又はイーサネットである。補助記憶装置13は、例えばソリッドステートドライブ又はハードディスクドライブである。入力装置16は、例えばキーボード又はマウスであり、出力装置17は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。出力装置17には、被検者の出血傾向に関する情報が出力される。
図3は、補助記憶装置13が記憶している情報を示す図である。補助記憶装置13は、測定装置200が血液凝固測定を行うための測定プログラム131と、被検者の出血傾向を解析する解析プログラム132と、解析に使用する数式を格納する関数データベース(DB)DB1と、基準値を格納する基準値データベース(DB)DB2と、を記憶している。
1-2.測定装置の構成
図2に戻り、測定装置200のハードウエア構成を説明する。測定装置200は、血液検体が凝固反応を開始するように、試料を調製する試料調製部20と、光照射部27と、検出部22と、インタフェース(I/F)25とを備える。インタフェース(I/F)15は、例えばUSB、IEEE1394又はイーサネットである。
図4に光照射部27の構成を示す。光照射部27は、5つの光源321、322、323、324及び325と、5つの光源321~325に対応して設けられた5つの光ファイバ部330a、330b、330c、330d及び330eと、光源321~325と光ファイバ部330a~330eの入射端331とを保持するための1つの保持部材340とを含んでいる。光源321~325、光ファイバ部330a~330e及び保持部材340は、金属製のハウジング310内に収容されている。光源321~325は、いずれもLEDにより構成され、第1光源321は、660nmの光を発生する。第2光源322は、405nmの光を発生する。第3光源323は、800nmの光を発生する。第4光源324は、340nmの光を発生する。第5光源325は、575nmの光を発生する。光源321~325は、測定装置200の制御装置10からの制御により光を発生する。
光ファイバ部330a~330eは、それぞれ、1本のコアを有する光ファイバ素線を束ねたケーブルとして構成されている。光ファイバ部330a~330eは、中間部333において1つに束ねられ、1つに束ねられた光ファイバ部330a~330eは、2つの束に分けられ、それぞれの束の出射端332が、ハウジング310に設けられた取出口311によって保持されている。取出口311には、光照射部27と検出部22を接続する光ファイバ21の入射端352も保持されている。光ファイバ部330a~330eの出射端332と光ファイバ21の入射端352の間には、出射端332から出射した光の強度分布を均一化するための均一化部材350が設けられている。均一化部材350は、入射面351から入射した光を内部で多重反射させる部材であり、例えば、多角柱状のロッドホモジナイザーである。
図5(A)及び(B)に検出部22の構成を示す。なお、検出部22は、光照射部27に接続された各光ファイバ21に設けられているが、光ファイバ21と検出部22の接続の構成、及び、検出部22のハードウエア構成は、全ての検出部22について同一であるため、ここでは1つの検出部22について説明する。図5(A)は、凝固時間測定試薬と血液検体を混合するためのキュベット80を保持していない状態の検出部22を示す図である。検出部22には、入射端352(図4)が光照射部27の取出口311に保持された光ファイバ21の他端353が挿入される穴22bが形成されている。さらに、検出部22には、穴22bを、キュベット80を保持するための保持部22aに連通させる連通孔22cが形成されている。
穴22bの径は、連通孔22cの径よりも大きい。穴22bの端部には、光ファイバ21からの光を集光するレンズ22dが配置されている。さらに、保持部22a内壁面には、連通孔22cに対向する位置に孔22fが形成されている。この孔22fの奥に、受光部22gが配置されている。受光部22gは、例えばフォトダイオードであり、受光光量に応じた電気信号を出力する。レンズ22dを透過した光は、連通孔22c、保持部22a及び孔22fを介して、受光部22gの受光面に入射する。光ファイバ21は、端部353が穴22bに挿入された状態で、板ばね22eによって固定されている。
図5(B)は、キュベット80を保持している状態の検出部22を示す図である。保持部22aにキュベット80が保持されると、レンズ22dによって集光された光は、キュベット80及びキュベット80に収容された試料を透過して、受光部22gに入射する。試料において血液凝固反応が進むと、試料の濁度が上昇する。これに伴い、試料を透過する光の光量(透過光量)が減少し、受光部22gから出力される電気信号のレベルが低下する。受光部22gから出力される電気信号は、A/D変換器22hによりデジタル信号に変換され、通信I/F25(図1参照)を介して解析装置100に送信される。受光部22gから出力され、A/D変換器22hにより変換された信号は、透過光量を反映した光学情報である。
なお、測定装置200として、米国特許第10,048,249号に記載の装置が使用でき、当該明細書は、本明細書に組み込まれる(U.S. Patent No. 10,048,249 is hereby incorporated by reference)。
1-3.測定処理及び解析処理
図6に、解析装置100の制御装置10による測定・解析処理の流れを示す。制御装置10は、ステップS1において、測定プログラム131に基づいて測定処理を実行する。次に、制御装置10は、ステップS2において、解析プログラム132に基づいて解析処理を実行する。
1-4.測定プログラムの処理
図7に、測定プログラム131に基づいて制御装置10が実行する測定処理の流れを示す。
制御装置10は、入力装置16からオペレータが入力した測定開始要求を受け付け、ステップS11において、オペレータが入力装置16から入力した情報に基づき、各血液検体についてオーダーされた血液凝固パラメータ(検査項目)の情報を血液検体ごとに取得する。なお制御装置10は、血液凝固パラメータの情報を、ネットワーク99を介して、例えば医療施設の電子カルテシステム1000から取得してもよい。
以下、ステップS11で取得した血液凝固パラメータ(検査項目)が活性化部分トロンボプラスチン時間(以下、「APTT」と略記することがある)である場合について説明する。APTTを測定する場合には、凝固時間測定試薬と、凝固活性化試薬とを用いる。凝固時間測定試薬として、シリカ、エラジン酸、セライト等の活性化剤と;動物由来、植物由来、又は人工合成されたリン脂質;等を含むAPTT測定用検査試薬を使用できる。APTT測定用検査試薬として、シスメックス株式会社製のトロンボチェック(登録商標) APTTシリーズ、積水メディカル株式会社のコアグピア(登録商標) APTT-N、Siemens Healthcare Diagnostics Products GmbHのデータファイ・APTTを例示できる。凝固活性化試薬は、カルシウムイオンを供給できる試薬であり、例えば、20mMの塩化カルシウム溶液である。
制御装置10は、ステップS12において、キュベット80に血液検体を分注するよう測定装置200の試料調製部20を制御する。
制御装置10は、ステップS13において、血液検体が分注されたキュベット80に、ステップS11で取得した血液凝固パラメータに対応する凝固時間測定試薬を分注することにより、測定試料を調製するよう測定装置200の試料調製部20を制御する。また、制御装置10は、ステップS13において、凝固時間測定試薬が分注された血液検体に、凝固活性化試薬を分注するように測定装置200の試料調製部20を制御する。
制御装置10は、ステップS14において、ステップS13において凝固活性化試薬が分注されたキュベット80に対して、光照射を開始するよう光照射部27を制御する。本例では、制御装置10は、第1光源321のみが光を照射するよう、光照射部27を制御する。制御装置10は、受光部22gから出力される、キュベット80及び測定試料を介して受光した光の強度に応じた信号(デジタルデータ)を、キュベット80に凝固活性化試薬を分注した時から、所定の測定時間(例えば、120秒から180秒)に達するまで継続して受信する。制御装置10は、継続的に受信したデジタルデータを、血液検体の凝固反応に関する時系列データセットとして、補助記憶装置13に記憶する。制御装置10がデジタルデータを受信する時間間隔は、例えば、0.1秒から0.5秒である。
1-5.解析プログラムの処理
図8に、解析プログラム132に基づいて制御装置10が実行する被検者の出血傾向を解析する解析処理の流れを示す。制御装置10は、入力装置16からオペレータが入力した測定開始要求を受け付けることにより解析処理を開始する。なお、制御装置10は、図7に示すステップS14の終了をトリガとして解析処理を開始してもよい。また、制御装置10は、図6に示すステップS1においてFVIIIの活性レベルを測定しておき、FVIIIの活性レベルと所定値(例えば、10%)とを比較し、FVIIIの活性レベルが所定値より小さい場合に、解析処理を開始してもよい。所定値は、特に限定されないが、血友病A患者の重症度判定において、軽症又は中等症と診断される活性レベルであることが好ましい。FVIIIの活性レベルが所定値より小さい場合には、所定値より大きい場合と比較して、後に重篤な出血を引き起こす可能性が高い。従って、FVIIIの活性レベルが所定値より小さい被検者について解析処理を実行することにより、効率的に、重篤な出血を引き起こす患者を検出することができる。
制御装置10は、ステップS21において、被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得する。具体的には、制御装置10は、ステップS14で補助記憶装置13に記憶した時系列データセットを読み出す。
時系列データセットについて、図9(A)及び(B)を用いてより詳細に説明する。本例において、時系列データセットは、測定試料に光を照射したときの、当該測定試料を透過した光の強度(以下、「透過光強度」とよぶ)と、当該透過光を検出したときの時間とからなる二次元配列データのセットである。図9(A)は、時系列データセットの一例を示す図である。図9(A)の時系列データセットは、上段が透過光強度を示し、下段が各透過光強度を取得した時間(後述する時間(tI)からの経過時間)を示す。時系列配列データセットを、縦軸(Y軸)が透過光強度を示し、横軸(X軸)が透過光強度をモニタリングした測定時間(秒:sec)を示す二次元グラフ上にプロットすると、図9(B)に示す血液凝固曲線となる。
次に、図8に示すS22において、制御装置10は、ステップS21で取得した時系列データセットが示す血液凝固曲線を正規化し、得られた血液凝固曲線を微分することにより、一次微分凝固曲線を取得し、該一次微分凝固曲線を微分することにより、二次微分凝固曲線を取得する。
図9(C)に、図9(B)で示した血液凝固曲線を正規化することによって得られた血液凝固曲線を示す。図9(C)に示すように、正規化することによって得られた血液凝固曲線は、縦軸が0%(L1:ベースライン)から100%(L2)の間で表されるように、時系列データセットに含まれる各透過光強度が相対値化されている。
図10(A)に、図9(C)で示した血液凝固曲線を微分することによって得られる一次微分凝固曲線を示す。図10(B)に、図10(A)で示した一次微分凝固曲線を微分することによって得られる二次微分凝固曲線を示す。
制御装置10は、図8に示すステップS23において、基準時間(tc)を取得する。基準時間(tc)は、例えば、血液試料が凝固開始後、所定の凝固状態に到達するまでの時間である。
基準時間(tc)の取得について、図9(C)を参照して説明する。図9(C)に示す血液凝固曲線において、時間(tI)は、血液試料に凝固活性化試薬を添加した時点である。時間(tI)では、血液試料中のフィブリノーゲンはフィブリンに変化しておらず、フィブリンの析出が起こらないため、透過光強度は高値を示す。その後、凝固反応が進行してフィブリンが析出し始めると、析出したフィブリンが光を遮り、透過光強度が減少し始める。この時点が、時間(tII)であり、凝固反応開始時間となる。制御装置10は、血液凝固曲線において、透過光強度が減少し始めた時間を演算によって取得し、時間(tII)とする。また制御装置10は、時間(tII)のときの透過光強度の変化量を0%とする。
その後、反応が進みフィブリンの析出が進行するにつれて透過光強度はさらに減少する。血液試料中のフィブリノーゲンの大半がフィブリンに変化すると反応は収束し、血液凝固曲線はプラトーになる。制御装置10は、血液凝固曲線がプラトーになり始めた時間を演算によって取得し、時間(tIII)とする。時間(tIII)は、凝固反応終了時間である。また制御装置10は、時間(tIII)のときの透過光強度の変化量を100%とする。次に、制御装置10は、透過光強度の変化量が50%のときの時間(ラインL3と血液凝固曲線との交点における時間)を、基準時間(tc)として取得する。基準時間(tc)は、本実施形態においては、凝固時間である。凝固時間は、透過光強度の変化量が50%である必要はなく、例えば、30%、40%、60%、又は70%など、任意の変化量が使用できる。また、基準時間(tc)は、例えば、凝固反応開始時間である時間(tII)からカウントした一定の時間であってもよい。
なお、血液凝固反応曲線の正規化は省略可能であり、その場合、制御装置10は、図9(B)に示す血液凝固曲線を微分することにより、一次微分凝固曲線を取得する。また制御装置10は、図9(B)に示す血液凝固曲線に基づいて、基準時間(tc)を取得する。
制御装置10は、図8に示すステップS23において、ステップS22で取得した図10(A)に示す一次微分凝固曲線に基づいて、凝固反応開始時間(tII)から凝固反応の速度が最大となるまでの時間である最大速度到達時間(tmin1)を演算により取得する。なお、制御装置10は、最大速度到達時間(tmin1)として、図10(B)に示す二次微分凝固曲線に基づいて、凝固反応開始時間(tII)から凝固反応の加速度が0となるまでの時間(ta0)を演算により取得してもよい。
制御装置10は、図8に示すステップS23において、ステップS22で取得した図10(B)に示す二次微分凝固曲線に基づいて、凝固反応開始時間(tII)から凝固反応の加速度が最大となるまでの時間である最大加速度到達時間(tmin2)を演算により取得する。
制御装置10は、図8に示すステップS23において、ステップS22で取得した図10(A)に示す一次微分凝固曲線に基づいて、一次微分値の最大値min1の絶対値である|min1|を、最大凝固反応速度として演算により取得する。
制御装置10は、図8に示すステップS23において、ステップS22で取得した図10(B)に示す二次微分凝固曲線に基づいて、二次微分値の最大値min2の絶対値である|min2|を、最大凝固反応加速度として演算により取得し、二次微分値の最小値max2の絶対値である|max2|を、最大凝固反応減速度(すなわち、凝固反応加速度の最小値)として演算により取得する。
制御装置10は、図8に示すステップS24において、ステップS23で取得した値に基づき、値(S)を取得する。この値(S)は、血液凝固反応開始後に、どの程度速く血液凝固反応が進行したかを反映する。また値(S)は、出血傾向の低い被検者の血液の場合は、血液凝固反応のほぼ中間時点において血液凝固反応の速度が最大になり、出血傾向の高い被検者の血液の場合は、血液凝固反応の中間時点よりも早い時点において血液凝固反応の速度が最大になることを反映する。
値(S)を算出するための数式は、関数データベースDB1に格納されている。
値(S)は、以下の数式により表すことができる。
値(S)=(tc-tmin1)×(|min1|) (数式1)(「-」は減算を示す。「×」は乗算を示す。)
制御装置10は、図8に示すステップS25において、ステップS24において取得した値(S)を所定の基準値と比較する。所定の基準値は、被検者の出血傾向の高さを判定するための基準値であり、あらかじめ設定され、補助記憶装置13の基準値データベースDB2に格納されている。
制御装置10は、図8に示すステップS26において、ステップS25において行った値と基準値の比較に基づいて、結果を出力する。結果には、出血傾向に関する情報が含まれ得る。
出血傾向に関する情報には、出血傾向の程度を示すラベルを含む。出血傾向の程度を示すラベルは、出血傾向の程度を、数値や記号で示してもよいし、文章や単語で示してもよい。出血傾向の程度を示すラベルとして、出血傾向が低いことを示す第1のラベル、及び出血傾向が中程度又は高いことを示す第2のラベルを含む。ステップS25の比較に用いられる基準値は、出血傾向が低い被検者であるか、出血傾向が中程度又は高い被検者であるか、を判別するための第1の基準値である。
第1及び第2のラベルは、基準値と紐付けられて基準値データベースDB2にあらかじめ格納されている。
第1及び第2の基準値は、例えば、日本血栓止血学会から提供されているInternational Society on Thrombosis and Haemostasis Bleeding Assessment Tool (ISTH-BAT)による出血スコア値に対応するように設定することができる。すなわち、ISTH-BATの出血スコア値が既知である複数の被検者の血液検体について、値(S)を取得し、例えば、ISTH-BATの出血スコア値が10以下の被検者については、第1のラベル又が出力され、ISTH-BATの出血スコア値が10より大きい被検者については、第2のラベルが出力されるように、第1及び第2の基準値を設定する。
なお、制御装置10は、図8に示すステップS25を行わず、ステップS26において、ステップS24で取得した値(S)を結果として出力してもよい。また、制御装置10は、ステップS25を行ったとしても、ステップS26において、ステップS24で取得した値(S)を、結果として出力してもよい。また、制御装置10は、ステップS26において、ステップS24で取得した値(S)と、ステップS25の比較結果に基づく出血傾向に関する情報とを出力してもよい。
図11を用いて、ステップS25の比較処理について説明する。
ステップS51において、値(S)と、第1の基準値を比較し、値(S)の方が大きい場合(「YES」の場合)、制御装置10は、ステップS53に進み、基準値データベースDB2に格納されている出血傾向が中程度である、又は高いことを示す第2のラベルを選択する。制御装置10は、図8に示すステップS26に進み、ステップS53において選択した第2のラベルを、被検者の出血傾向が中程度である、又は高いことを示す情報として出力装置17に出力する。
ステップS51において、値(S)が第1の基準値以下である場合(「NO」の場合)、制御装置10は、ステップS55に進み、基準値データベースDB2に格納されている出血傾向が低いことを示す第1のラベルを選択する。制御装置10は、図8に示すステップS26に進み、ステップS55において選択した第1のラベルを、被検者の出血傾向が低いことを示す情報として出力装置17に出力する。
1-6.解析システム1の変形例
上記した例では、ステップS11(図7)において、血液凝固パラメータ(検査項目)としてAPTTを取得する例を示したが、血液凝固パラメータ(検査項目)は、例えば、プロトロンビン時間(以下、「PT」と略記することがある)、トロンボテスト、フィブリノーゲン、第VIII因子活性、第II因子活性、第V因子活性、第VII因子活性、第IX因子活性、第X因子活性、第XI因子活性、第XII因子活性、又は全血凝固時間であってもよい。
血液凝固パラメータ(検査項目)としてPTを取得する場合には、凝固時間測定試薬として、トロンビンを含むPT測定用検査試薬を使用できる。PT測定用検査試薬として、シスメックス株式会社製のトロンボチェック(登録商標) PTシリーズ、積水メディカル株式会社のコアグピア(登録商標) PTシリーズを例示できる。PT測定用検査試薬は、一般的に凝固の活性化に必要なカルシウムイオンを含んでいる。
上記した例では、ステップS24において、値(S)を取得するための数式として、数式1を使用したが、値(S)は、例えば、基準時間(tc)から最大速度到達時間(tmin1)を減じた値、又は、基準時間(tc)から最大加速度到達時間(tmin2)を減じた値であってもよい。
また、値(S)は、基準時間(tc)から最大速度到達時間(tmin1)を減じた値、又は、基準時間(tc)から最大加速度到達時間(tmin2)を減じた値と、係数とに基づく値であってもよい。係数は、例えば、|min1|、|min2|、又は、|min2|と|max2|に基づく係数であってもよい。例えば、|min2|と|max2|に基づく係数は、2つの値の差(|min2|-|max2|、又は|max2|-|min2|)(「-」は減算を示す)、又は2つの値の除算値(|min2|/|max2|、又は|max2|/|min2|)であってもよい(「/」は除算を示す)。係数を用いることにより、値(S)が、凝固反応開始後に、どの程度速く血液凝固反応が進行したかをより強く反映し、出血傾向の高い被検者の検出感度を向上させることができる。
値(S)は、例えば以下の数式で示す値であり得る。
値(S)=(tc-tmin1)×(|min2|) (数式2)
値(S)=(tc-tmin1)×(|min2|-|max2|)(数式3)
値(S)=(tc-tmin1)×(|max2|-|min2|)(数式3’)
値(S)=(tc-tmin1)×(|min2|/|max2|)(数式4)
値(S)=(tc-tmin1)×(|max2|/|min2|)(数式4’)
値(S)=(tc-tmin1) (数式5)
値(S)=(tc-tmin2)×(|min1|) (数式6)
値(S)=(tc-tmin2)×(|min2|) (数式7)
値(S)=(tc-tmin2)×(|min2|-|max2|)(数式8)
値(S)=(tc-tmin2)×(|max2|-|min2|)(数式8’)
値(S)=(tc-tmin2)×(|min2|/|max2|)(数式9)
値(S)=(tc-tmin2)×(|max2|/|min2|)(数式9’)、又は
値(S)=(tc-tmin2) (数式10)
(「-」は減算を示す。「×」は乗算を示す。「/」は除算を示す。)
図12に、図11で示した比較処理の変形例を示す。
この場合、出血傾向の程度を示すラベルは、出血傾向が低い、又は中程度であることを示す第3のラベル、及び出血傾向が高いことを示す第4のラベルを含む。また、基準値は、出血傾向が低い、又は中程度の被検者であるか、出血傾向が高い被検者であるか、を判別するための第2の基準値である。第1及び第2の基準値は、例えば、ISTH-BATの出血スコア値が15以下の被検者については、第3のラベル又が出力され、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きい被検者については、第4のラベルが出力されるように、第2の基準値を設定する。
ステップS61において、値(S)と、第2の基準値を比較し、値(S)の方が大きい場合(「YES」の場合)、制御装置10は、ステップS63に進み、基準値データベースDB2に格納されている、出血傾向が高いことを示す第4のラベルを選択する。制御装置10は、図8に示すステップS26に進み、ステップS63において選択した第4のラベルを、被検者の出血傾向が高いことを示す情報として出力装置17に出力する。
ステップS61において、値(S)が第2基準値以下である場合(「NO」の場合)、制御装置10は、ステップS65に進み、基準値データベースDB2に格納されている、出血傾向が低い、又は中程度であることを示す第3のラベルを選択する。制御装置10は、図8に示すステップS26に進み、ステップS65において選択した第3のラベルを、被検者の出血傾向が低い、又は中程度であることを示す情報として出力装置17に出力する。
なお、上記した例では、第1の基準値及び第2の基準値の一方を使用しているが、両方の基準値を用いて、出血傾向が低い被検者と、出血傾向が中程度の被検者と、出血傾向が高い被検者とを判定するようにしてもよい。
また、上記した例では、検出部22の受光部22gは、キュベット80及びキュベット80に収容された試料を透過した光(透過光)を検出しているが、検出部22を、キュベット80に収容された試料により散乱した光(散乱光)を受光し、制御装置10が、散乱光強度の変化に基づく血液凝固反応曲線を解析するようにしてもよい。
2.効果の検証
図13は、FVIIIの活性測定に基づいて血友病の重症度を診断した結果、軽症又は中等症と判定された41名の被検者について、ISTH-BATの出血スコア値を算出し、各被検者を、縦軸(Y軸)が出血スコア値を示し、横軸(X軸)がFVIIIの活性を示す二次元散布図にプロットした図を示す。図13に示す枠Pは、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きく、FVIIIの活性が10%より小さい被検者群が属する領域である。FVIIIの活性測定に基づく血友病の重症度診断では、FVIIIの活性が1%以上5%未満の場合、中等症と判定され、FVIIIの活性が5%以上40%未満の場合、軽症と判定される。従って、枠Pに属する被検者は、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きく、重篤な出血を引き起こす可能性があるにもかかわらず、FVIIIの活性測定に基づく診断では、軽症又は中等症と判定されてしまう。
図14(A)に、血友病を有していない健常な被検者の血液凝固曲線、一次微分凝固曲線、二次微分凝固曲線を上から順に示す。図14(B)に、ISTH-BATの出血スコア値が25であり、高い出血傾向を有する被検者(図13に示した枠Pに属する被検者)の血液凝固曲線、一次微分凝固曲線、二次微分凝固曲線を上から順に示す。
図14(A)に示すように、健常な被検者の場合、基準時間(tc)と、最大速度到達時間(tmin1)がほぼ同じ時間となる。従って、値(S)は、0に近い値となるため、図11及び図12に示した比較処理において、出血傾向が低いことを示す第1のラベル、又は、出血傾向が低い、又は中程度であることを示す第3のラベルが選択される。一方、図14(B)に示すように、高い出血傾向を有する被検者の場合、基準時間(tc)と最大速度到達時間(tmin1)の差が、健常な被検者の差よりも大きいため、図11及び12に示した比較処理において、出血傾向が中程度、又は高いことを示す第2のラベル、又は、出血傾向が高いことを示す第4のラベルが選択される。
同様に、基準時間(tc)と最大加速度到達時間(tmin2)の差も、高い出血傾向を有する被検者の方が、健常な被検者よりも大きいため、高い出血傾向を有する被検者について、出血傾向が中程度、又は高いことを示す第2のラベル、又は、出血傾向が高いことを示す第4のラベルが選択される。
図13の二次元散布図の作成に用いた、血友病Aを保有する被検者41名の血漿を用いて、APTTを測定し、値(S)を取得することにより、本発明の効果を検証した。図15(A)から(C)にその結果を示す。図15(A)から(C)は、縦軸(Y軸)が値(S)を示す箱ひげ図である。図15(A)の箱ひげ図を作成するにあたり、41名の被検者を、ISTH-BATの出血スコア値が10以下である被検者群(軽症の被検者群)と、ISTH-BATの出血スコア値が10より大きい被検者群(中等症又は重症の被検者群)とに分割した。図15(A)は、縦軸が、数式1によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、中等症又は重症の被検者群を示す箱ひげ図である。
図15(A)に示すように、値(S)を用いることにより、ISTH-BATの出血スコア値が10以下である、軽症の被検者群と、ISTH-BATの出血スコア値が10より大きい、中等症又は重症の被検者群と、を判別することができており、値(S)とISTH-BATの出血スコア値は、高い相関性を有する。
同様に、図15(B)及び(C)の箱ひげ図を作成するにあたり、41名の被検者を、ISTH-BATの出血スコア値が15以下である被検者群(軽症又は中等症の被検者群)と、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きい被検者群(重症の被検者群)とに分割した。図15(B)は、縦軸が、数式2によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。図15(B)に示すように、値(S)を用いることにより、ISTH-BATの出血スコア値が15以下である、軽症又は中等症の被検者群と、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きい、重症の被検者群と、を判別することができており、値(S)とISTH-BATの出血スコア値は、高い相関性を有する。
図15(C)は、縦軸が、数式3によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。図15(C)に示すように、値(S)を用いることにより、ISTH-BATの出血スコア値が15以下である、軽症又は中等症の被検者群と、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きい、重症の被検者群と、を判別することができており、値(S)とISTH-BATの出血スコア値は、高い相関性を有する。
上記のように、値(S)は、ISTH-BATの出血スコア値との相関が高く、値(S)を用いることにより、FVIII測定に基づく検査では、軽症又は中等症と判定されるにもかかわらず、出血スコア値が高い枠P(図13)内に属する患者、すなわち、FVIIIの活性レベル測定では検出することができなかった、重篤な出血を引き起こす患者を検出することができる。
次に、図16(A)及び(B)の箱ひげ図を作成するにあたり、図13の二次元散布図の作成に用いた、血友病Aを保有する被検者41名から、FVIIIの活性レベルが10%未満の被検者を抽出し、抽出した被検者を、ISTH-BATの出血スコア値が15以下である被検者群(軽症又は中等症の被検者群)と、ISTH-BATの出血スコア値が15より大きい被検者群(重症の被検者群)とに分割した。図16(A)は、縦軸が、数式2によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。図16(A)に示すように、FVIIIの活性レベルが10%未満の被検者を抽出することにより、全被検者を対象とする場合(図15(B)参照)と比較し、軽症又は中等症の被検者群と重症の被検者群との判別性能が向上した。同様に、図16(B)は、縦軸が、数式3によって得られた値(S)を示し、左側の箱ひげが軽症又は中等症の被検者群を示し、右側の箱ひげが、重症の被検者群を示す箱ひげ図である。図16(B)に示すように、FVIIIの活性レベルが10%未満の被検者を抽出することにより、全被検者を対象とする場合(図15(C)参照)と比較し、軽症又は中等症の被検者群と重症の被検者群との判別性能が向上した。従って、FVIIIの活性レベルが所定値より小さい被検者を抽出することにより、FVIIIの活性レベル測定では検出することができなかった、重篤な出血を引き起こす患者を、より効率的に検出することができる。
100 解析装置
10 制御装置
22 検出部
132 解析プログラム

Claims (15)

  1. 被検者の出血傾向を解析する解析方法であって、
    被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得し、
    取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得し、
    取得した前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得し、
    取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力する、
    前記解析方法。
  2. 前記値の取得において、
    前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、係数と、に基づいて前記値を取得する、
    請求項1に記載の解析方法。
  3. 前記係数は、凝固反応速度の最大値、凝固反応加速度の最大値、又は凝固反応加速度の最大値と最小値との差を含む、
    請求項2に記載の解析方法。
  4. 前記基準時間は、凝固反応の開始後、前記血液検体が所定の凝固状態に到達するまでの時間である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の解析方法。
  5. 前記値に基づく出血傾向に関する情報は、出血傾向の程度を示すラベルを含む、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の解析方法。
  6. 前記ラベルは、出血傾向が低い又は中程度であることを示す第1のラベル、及び出血傾向が高いことを示す第2のラベルを含む、
    請求項5に記載の解析方法。
  7. 前記ラベルは、出血傾向が低いことを示す第3のラベル、及び出血傾向が中程度又は高いことを示す第4のラベルを含む、
    請求項5又は6に記載の解析方法。
  8. 前記値の取得において、
    前記最大速度到達時間と、前記基準時間と、に基づいて前記値を取得する、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の解析方法。
  9. 以下のいずれかの式により、前記値を取得する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の解析方法:
    値(S)=(tc-tmin1)×(|min1|) (数式1)
    値(S)=(tc-tmin1)×(|min2|) (数式2)
    値(S)=(tc-tmin1)×(|min2|-|max2|)(数式3)
    (tcは基準時間を示し、tmin1は最大速度到達時間を示し、|min1|は、前記最大速度到達時間における凝固反応速度の絶対値を示し、|min2|は、前記最大加速度到達時間における凝固反応加速度の絶対値を示し、|max2|は、凝固反応の加速度が最小となる最大凝固反応減速度の絶対値を示す。式中、「-」は減算を示し、「×」は乗算を示す)。
  10. さらに、凝固第VIII因子の活性レベルを測定し、
    測定した前記凝固第VIII因子の活性レベルが所定値より小さいとき、取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力する、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の解析方法。
  11. 前記血液検体の凝固反応が、活性化部分トロンボプラスチン時間により測定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の解析方法。
  12. 前記被検者が血友病Aを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の解析方法。
  13. 被検者の出血傾向を解析する解析装置であって、
    前記解析装置は、制御装置を備え、
    前記制御装置は、
    被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得し、
    取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得し、
    取得した前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得し、
    取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力する、
    前記解析装置。
  14. 請求項13に記載の解析装置と、
    凝固反応を開始した前記血液検体に光を照射し、光学情報を取得する測定装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記光学情報に基づく前記時系列データセットを取得する、
    解析システム。
  15. コンピュータに実行させたときに、コンピュータに、
    被検者から採取した血液検体の凝固反応に関する時系列データセットを取得するステップと、
    取得した前記時系列データセットに基づき、凝固反応の速度が最大となるまでの最大速度到達時間、又は凝固反応の加速度が最大となるまでの最大加速度到達時間と、凝固反応における基準時間と、を取得するステップと、
    取得した前記最大速度到達時間又は前記最大加速度到達時間と、前記基準時間と、に基づく値を取得するステップと、
    取得した前記値、又は、前記値に基づく出血傾向に関する情報を出力するステップと
    を実行させる被検者の出血傾向を解析する解析プログラム。
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