JP2022145010A - 圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】周囲温度の影響を受けにくく周波数安定度の高い小型の圧電発振器を提供する。【解決手段】水晶振動子2、ICチップ4、及び前記水晶振動子2を加熱する薄膜ヒータ3が搭載された搭載基板5が、パッケージ6内に気密に封止された水晶発振器(圧電発振器)であって、搭載基板5の第1水晶基板5aの上面に、水晶振動子2、ICチップ4、及び薄膜ヒータ3が搭載され、第1水晶基板5aの下面に、金属板5cが熱伝導体として配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、圧電発振器に関し、更に詳しくは、周囲温度の影響を受けにくい周波数安定度の高い圧電発振器に関する。
移動体通信機器等に用いる水晶発振器などの圧電発振器として、周波数安定度が高い恒温槽型の圧電発振器がある(例えば、特許文献1参照)。
この圧電発振器では、発振回路ユニットを収容するインナーオーブンと、インナーオーブンを収容するアウターオーブンとの二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆っている。
また、インナーオーブン内のインナープリント基板と、アウターオーブン内のアウタープリント基板とは、接続ピンによって電気的機械的に接続され、アウタープリント基板と、外側金属ケース内のベースプリント基板とは、接続ピンによって電気的機械的に接続され、ベースプリント基板は、接続ピンによってマザープリント基板に設けたスルーホール等に挿通し半田接続されることによって、当該圧電発振器はマザープリント基板上に搭載される。
移動体通信機器等では、機器の小型化が求められており、それに伴って圧電発振器についても小型化が求められている。
上記特許文献1の圧電発振器では、インナーオーブンとアウターオーブンとの二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆う三重構造となっているので、大きくならざるを得ず、小型化を図るのは困難である。
また、インナープリント基板とアウタープリント基板、アウタープリント基板とベースプリント基板、及び、ベースプリント基板とマザープリント基板を電気的機械的にそれぞれ接続する接続ピンは、熱伝導率が高く、周囲温度の影響を受け易い。
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであって、小型化を図ることができると共に、周囲温度の影響を受けにくい周波数安定度の高い圧電発振器を提供することを目的とする。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
(1)本発明の圧電発振器は、圧電振動子、集積回路素子、及び前記圧電振動子を加熱する発熱体が搭載された絶縁基板が、パッケージ内に気密に封止された圧電発振器であって、前記絶縁基板の一方側の面に、前記圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載され、前記絶縁基板の他方側の面に、熱伝導体が配置されている。
本発明によると、圧電振動子、集積回路素子及び圧電振動子を加熱する発熱体が搭載された絶縁基板の一方側の面(部品搭載面)とは反対側の面である他方側の面に、熱伝導体が配置されている。そのため、発熱体からの熱は、絶縁基板を介して、熱伝導体に伝導され、熱伝導体の熱伝導性により、絶縁基板全体に伝導されるようになる。その結果、発熱体の熱は、熱伝導体により、絶縁基板全体に拡散伝導され、絶縁基板の温度分布は均一化される。これにより、当該絶縁基板の部品搭載面上の圧電振動子は、その温度が安定的に保持され、その発振周波数特性が安定するようになる。
本発明によると、一方側の面に圧電振動子、集積回路素子、及び前記圧電振動子の部品を搭載し、他方側の面に熱伝導体を配置し、これらをパッケージに気密封止するだけの構造であるので、小型化を図ることが容易である一方、圧電振動子の発振周波数特性が安定化する。
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記熱伝導体が、前記絶縁基板の前記他方側の面に接触するように配置されている。
この実施態様によると、熱伝導体が絶縁基板に直接接触しているので、発熱体等が搭載された絶縁基板からの熱が、熱伝導体に効率的に伝達して拡散することができる。
(3)本発明の他の実施態様では、前記熱伝導体が、導電性接着剤によって前記絶縁基板の前記他方側の面に接合されている。
この実施態様によると、発熱体等が搭載された絶縁基板からの熱が、熱伝導率の高い金属フィラーが充填されている導電性接着剤を介して、熱伝導体に効率的に伝達される。
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記熱伝導体は、前記絶縁基板の前記一方側の面に搭載されている前記圧電振動子、前記集積回路素子及び前記発熱体に、平面視で重なる大きさを有する。
この実施態様によると、熱伝導体は、絶縁基板に搭載されている圧電振動子、集積回路素子及び発熱体に、平面視で重なる大きさを有するので、絶縁基板の圧電振動子等が搭載されている面内において、熱伝導体によって温度分布を均一化することができる。
(5)本発明の一実施態様では、前記絶縁基板の前記一方側の面に、前記圧電振動子、前記集積回路素子及び前記発熱体の内の少なくとも前記圧電振動子と前記発熱体とが積層されて搭載されている。
この実施態様によると、絶縁基板の一方側の面である搭載面には、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体の内の少なくとも圧電振動子と発熱体とが積層されて搭載されるので、圧電振動子を発熱体によって効率的に加熱できる一方、絶縁基板上に圧電振動子と発熱体とを個別に搭載するのに比べて、絶縁基板上における圧電振動子と発熱体の占有面積を小さくすることができる。
(6)本発明の他の実施態様では、前記熱伝導体が金属板であり、前記絶縁基板の前記一方側の面には、前記パッケージの内面に形成された接続電極に電気的に接続される配線パターンが形成され、前記配線パターンの内のグランド配線が、前記絶縁基板に形成された貫通電極を介して前記金属板に電気的に接続されている。
この実施態様によると、金属板からなる熱伝導体によって、発熱体からの熱を、広く分散させて絶縁基板の温度分布の均一化を図ることができると共に、金属板は金属箔などに比べて熱容量が大きいので、絶縁基板の温度の変化を抑制することができる。
また、絶縁基板の搭載面とは反対側の面に設けられる金属板を、絶縁基板に形成した貫通電極を介して絶縁基板の搭載面の配線パターンの内のグランド配線に電気的に接続するので、絶縁基板の配線パターンを、パッケージの内面に形成された接続電極に、半田等によって接合することでグランド接続することができる。
(7)本発明の更に他の実施態様では、前記熱伝導体は、前記絶縁基板における前記配線パターンの、前記パッケージの前記接続電極との接続箇所に、平面視で重ならないように配置されている。
この実施態様によると、熱伝導体は、絶縁基板における配線パターンの、パッケージの接続電極との接続箇所に、平面視で重ならないように配置されているので、熱伝導体の熱が、絶縁基板とパッケージとの接続箇所を介して放熱するのを抑制することができる。
(8)本発明の他の実施態様では、前記熱伝導体が、金属箔、又は、金属膜である。
この実施態様によると、絶縁基板に搭載されている発熱体からの熱を、金属箔や金属膜を介して広く分散させることができ、絶縁基板の温度分布の均一化を図ることができる。
(9)本発明の更に他の実施態様では、前記熱伝導体からの放熱を抑制する断熱基板を備える。
この実施態様によると、圧電振動子等が搭載された絶縁基板の搭載面とは反対側の面に設けられて、絶縁基板の温度を均一化するための熱伝導体からの放熱を抑制する断熱基板を備えているので、熱伝導体の放熱が抑制されて絶縁基板の温度を均一な温度に安定して保持することができ、絶縁基板に搭載されている圧電振動子の温度を安定に保持して、周波数の安定化を図ることができる。
(10)本発明の一実施態様では、前記断熱基板は、前記熱伝導体を、前記絶縁基板との間で挟むように配置されている。
この実施態様によると、絶縁基板に搭載されている発熱体からの熱を、絶縁基板の搭載面とは反対側の面に配置された熱伝導体によって、広く伝達して絶縁基板の温度分布を均一化することができる一方、熱伝導体の絶縁基板側とは反対側の面の断熱基板によって、熱伝導体からの放熱を抑制することができる。
(11)本発明の他の実施態様では、前記断熱基板は、窪み部及び貫通部の少なくともいずれか一方からなる断熱用空間を有する。
この実施態様によると、断熱基板の断熱用空間を形成する窪み部や貫通部によって、絶縁基板の温度を均一化する熱伝導体からの熱が放熱されるのを効果的に抑制することができる。
(12)本発明の更に他の実施態様では、前記断熱基板の前記断熱用空間が、平面視で前記熱伝導体に重なるように設けられている。
この実施態様によると、断熱基板の断熱用空間は、平面視で、熱伝導体に重なるように設けられているので、熱伝導体の放熱を、断熱用空間によって効果的に抑制することができる。
(13)本発明の一実施態様では、前記断熱基板は、複数の前記窪み部を有し、隣接する窪み部の間に直線状に延びる桟部が形成されている。
この実施態様によると、断熱空間を形成する複数の窪み部によって、熱伝導体からの放熱を抑制できる一方、隣接する窪み部の間には、直線状に延びる桟部が形成されているので、この桟部によって、断熱基板を補強することができる。
(14)本発明の他の実施態様では、前記圧電振動子は、両主面に励振電極がそれぞれ形成された圧電振動板と、該圧電振動板の一方の主面の励振電極を覆って封止する第1封止部材と、前記圧電振動板の他方の主面の励振電極を覆って封止する第2封止部材とを備え、前記第1封止部材と前記圧電振動板とが、互いに対向する面にそれぞれ形成された接合用金属膜によって接合され、前記第2封止部材と前記圧電振動板とが、互いに対向する面にそれぞれ形成された接合用金属膜によって接合される。
この実施態様によると、圧電振動子は、圧電振動板及び第1,第2封止部材の三層の積層構造であるので、収容凹部を有するベースと、このベースの凹部を覆って封止するリッドとを備える圧電振動子に比べて、薄型化を図ることができる。
本発明によれば、二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆って断熱するといった多重の構造ではなく、圧電振動子、集積回路素子、及び圧電振動子を加熱する発熱体が搭載された絶縁基板が、パッケージ内に気密に封止された圧電発振器であって、前記絶縁基板の一方側の面に、前記圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載され、前記絶縁基板の他方側の面に、熱伝導体が配置されているという構造であるので、小型化を図ることが容易である一方、当該絶縁基板の部品搭載面上の圧電振動子は、その温度が安定的に保持され、その発振周波数特性が安定する。
これによって、本発明によれば、周囲の温度変化に影響されることなく安定した周波数特性を有する小型の圧電発振器を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、圧電発振器として、外部の温度変化に影響されることなく高安定な周波数を出力する恒温槽型の水晶発振器に適用して説明する。
(実施形態1)
図1ないし図3を参照して、本発明の実施形態1に係る水晶発振器を説明する。図1は実施形態1に係る水晶発振器をそのリッドを外した状態で示す概略平面図、図2は図1の水晶発振器をその側面から見た部分断面図、図3は図1に対応し、図解の明瞭化のため、ボンディングワイヤー等の図示を略した水晶発振器の概略平面図である。
図1ないし図3を参照して、本発明の実施形態1に係る水晶発振器を説明する。図1は実施形態1に係る水晶発振器をそのリッドを外した状態で示す概略平面図、図2は図1の水晶発振器をその側面から見た部分断面図、図3は図1に対応し、図解の明瞭化のため、ボンディングワイヤー等の図示を略した水晶発振器の概略平面図である。
これらの図を参照して、実施形態1の水晶発振器1は、圧電振動子としての水晶振動子2と、水晶振動子2を加熱する発熱体として機能する薄膜ヒータ3と、発振回路が内蔵されて発振用ICの機能を有する集積回路素子としてのICチップ4と、これらを搭載した搭載基板5と、これら部品2~5を内部に気密に封止して収納するパッケージ6と、を備える。
7は、パッケージ6内部の部品2~5、後述のバイパスコンデンサ9、その他を相互接続するボンディングワイヤーである。
パッケージ6は、ベース6aと、シールリング6bと、リッド6cとを備える。
ベース6aは、図中における左右方向が長辺、上下方向が短辺となる平面視矩形をなし、上部が平面視矩形状に開口した収納凹部6dを有する。
ベース6aはまた、底板部6a1と、底板部6a1の外周に形成された側壁部6a2と、この側壁部6a1の内周に形成された一対の段部6a3とを備える。
一対の段部6a3は、長辺方向に平行に延び、互いに短辺方向で対向している。
ベース6aは、さらにまた、アルミナ等のセラミック材料からなり、例えば、3枚のセラミックグリーンシートを積層して上部が開口し、内部に前記段部6a3を有する凹状に一体焼成して構成される。
リッド6cは、シールリング6bを介してベース6aの側壁部6a2の上面に接合されて当該ベース6a上部の開口を閉塞して収納凹部6dを気密に封止する。
リッド6cによる気密封止は、真空雰囲気中または窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われ、パッケージ6の内部空間は、真空または不活性ガス雰囲気とされる。
実施形態1では、水晶振動子2を加熱するための薄膜ヒータ3の熱の伝導を促進して温度分布の均一化を図ると共に、ベース6aから当該水晶発振器1が搭載される図示略の外部基板側へ放熱されるのを抑制して、水晶振動子2の温度を安定に維持できるようにするために、次の構成の搭載基板5を備える。
すなわち、搭載基板5は、平面視略矩形で、図4に拡大して示すように、上下一対の第1、第2水晶基板5a,5bと、両水晶基板5a,5b間の金属板5cとを含む。図4に示される搭載基板5の縦横比、両水晶基板5a,5b相互の厚さ比、導電性接着剤5eの厚さ、等は図解の都合で図2に示されるそれとは多少相違ないし誇張している場合がある。
第1水晶基板5aは、平面視略矩形の絶縁基板として、上面(部品搭載面)に水晶振動子2、薄膜ヒータ3、ICチップ4、バイパスコンデンサ9等が搭載されている。
第1水晶基板5aの下面に凹部5a1が形成され、その凹部5a1に熱伝導体としての金属板5cが嵌め込まれた状態で配置されている。
第1水晶基板5aの下面の凹部5a1に嵌めこまれた金属板5cは、当該凹部5a1に導電性接着剤5eで接合された状態で接触している。この接触により、薄膜ヒータ3の熱は、熱伝導率が高い金属フィラーが充填されている導電性接着剤5eを介して、金属板5c全体に効率的に伝達して拡散するようになっている。なお、本実施形態では金属板5cに、熱伝導が良好な銅(Cu)が用いられている。金属板5cの材料としては、銅以外に銀(Ag)や金(Au)、アルミニウム(Al)などを用いてもよい。
第2水晶基板5bは、平面視略矩形の断熱基板として、長辺方向に延び短辺方向で対向する下面外周縁が、ベース6aの収納凹部6d内の一対の段部6a3上に搭載される。
第2水晶基板5bはまた、その上面に、長辺方向に沿って、2つの第1、第2窪み部(凹部)5b1,5b2が形成され、これら窪み部5b1,5b2は、桟部5b3を間にして隣接して形成されている。搭載基板5は、桟部5b3により、全体の撓みが防止される構造となっている。
第2水晶基板5bにおいて、窪み部5b1,5b2は、第2水晶基板5b上面で開口しているが、当該開口が第1水晶基板5aの下面の金属板5cで閉塞されることで、断熱用空間を形成する。なお、窪み部5b1,5b2に代えて貫通部であってもよく、第2水晶基板5bは、窪み部及び貫通部の少なくともいずれか一方からなる断熱用空間を有する。
第2水晶基板5bの厚みは、第1水晶基板5aのそれに比べて厚くなっていて、これにより強度が高くなって、窪み部5b1,5b2の深さを深くすることができ、また、サイズを大きくすることができ、これにより、効果的な断熱を図ることができる。
パッケージ6のベース6a内の段部6a3上には、複数の接続電極6eが形成されている。第1水晶基板5aの上面には、前記複数の接続電極6eそれぞれに接続される複数の配線パターン5dが形成されている。
搭載基板5においては、第1水晶基板5aと第2水晶基板5bとが互いに重なった状態で導電性接着剤8によって互いの長辺方向の外周縁が接合された状態で、第1水晶基板5aの上面における複数の配線パターン5dは、ベース6aの段部6a3上の接続電極6eに接合されている。
第1水晶基板5aの上面である部品搭載面に形成されている配線パターン5dは、図示略のグランド用配線パターンを含み、このグランド用配線パターンは、第1水晶基板5aの貫通電極5a2を介して、金属板5cに電気的に接続されている。
上記構成の搭載基板5においては、熱伝導体である金属板5cによって、薄膜ヒータ3からの熱を、広く分散させて第1水晶基板5aの温度分布の均一化を図ることができると共に、金属箔などに比べて熱容量が大きいので、第1水晶基板5aの温度の変化を抑制することができる。
また、第1水晶基板5aにおいて、上述のように、その部品搭載面とは反対側の面に設けられている金属板5cを、第1水晶基板5aの部品搭載面の配線パターン5dの内のグランド用配線パターンに電気的に接続する一方、金属板5cを第1水晶基板5aの反対側の面に形成された凹部5a1に埋め込んでいる。そのため、第1水晶基板5aの配線パターン5dを、パッケージ6の内面に形成された接続電極6eに、導電性接着剤8によって接合する際に、導電性接着剤8が、第1水晶基板5aの反対側の面に埋め込まれた金属板5cに接触するのを防止する、すなわち、電気的短絡を防止することができる。
なお、第1水晶基板5aの凹部5a1の形成を省略し、金属板5cを、第1水晶基板5aの反対側の面に導電性接着剤等によって接合してもよい。
金属板5cは、当該水晶発振器1に搭載されている前記各部品に対しては、電磁遮蔽体として作用するので、前記各部品は、当図示略の当該圧電発振器下方側に位置する外部基板やその他からの電気的なノイズに影響されにくくなり、その動作上の信頼性が向上する。
特に、金属板5cは、水晶振動子2、ICチップ4、薄膜ヒータ3、その他の部品に平面視で重なる大きさを有して、第1水晶基板5aの下面のほぼ全体を覆う広い平面積を有するので、前記各部品に対する電磁遮蔽効果が特に高い。
金属板5cはまた、図1、図3の概略平面図において、点線で示すように、第1水晶基板5a上面の外周縁よりの配線パターン5dとは、平面視で重ならない形状に形成されている。この形状により、金属板5cの熱が、第1水晶基板5aとパッケージ6との接続箇所を介して放熱するのを抑制することができる。
また、第1水晶基板5aの上面には、水晶振動子2と、薄膜ヒータ3とが積層されて搭載されているので、第1水晶基板5aと薄膜ヒータ3とを個別に搭載するのに比べて、第1水晶基板5a上における水晶振動子2と薄膜ヒータ3との占有面積を小さくすることができる。
このように実施形態1では、絶縁基板である第1水晶基板5aの下面凹部5a1に、熱伝導体としての金属板5cが嵌め込まれていることを特徴とする。
すなわち、実施形態1では、薄膜ヒータ3からの熱は、第1水晶基板5aを介して、金属板5cに伝導され、金属板5cの熱伝導性により、第1水晶基板5aの全体に略均等にかつ速やかに伝導される。その結果、薄膜ヒータ3で発生した熱は、金属板5cの熱伝導性により、第1水晶基板5a全体に拡散伝導され、第1水晶基板5aの温度分布は均一化される。これにより、第1水晶基板5aの上面の水晶振動子2は、その温度が安定的に保持され、その結果、その発振周波数特性が安定する。
また、実施形態1では、第1水晶基板5aの上面において、長辺方向一方と他方に水晶振動子2とICチップ4とを隣接搭載し、水晶振動子2の上面には薄膜ヒータ3を搭載し、これらをパッケージ6で気密封止するだけの構造であるので、小型化を図ることが容易である。
さらに、実施形態1においては、搭載基板5を構成する第1,第2水晶基板5a,5bは、セラミック基板に比べて、その平面の平坦度が良好である。
そのため、セラミックからなるベース6aの収納凹部6dの底面に反りがあっても、ベース6aの収納凹部6dの底面に、非導電性接着剤を介してダイボンディングされた第1,第2水晶基板5a,5b上面の平坦度は良好である。
また、実施形態1では、金属板5cからの放熱を抑制する第2水晶基板5bを断熱基板として備えるので、金属板5cの放熱が抑制されて第1水晶基板5aの温度を均一な温度に安定して保持することができ、その結果として、第1水晶基板5aに搭載されている水晶振動子2の温度を安定に保持して、発振周波数の安定化を図ることができる。
また、実施形態1では、断熱基板としての第2水晶基板5bは、金属板5cを、第1水晶基板5aとの間で挟むように配置しているので、第1水晶基板5aに搭載されている金属板5cからの熱を、第1水晶基板5aの搭載面とは反対側の面に配置された金属板5cによって、広く伝達して第1水晶基板5aの温度分布を均一化することができる一方、金属板5cの第1水晶基板5a側とは反対側の面の第2水晶基板5bによって、金属板5cからの放熱を抑制することができる。
なお、上記搭載基板5においては、断熱基板としての第2水晶基板5bが、絶縁基板としての第1水晶基板5aの下面に設けられているが、搭載基板5の変形例として、当該第2水晶基板5bを省略し、第1水晶基板5aの部品搭載面に、水晶振動子2、薄膜ヒータ3を搭載し、第1水晶基板5aの部品搭載面と反対側の面に、金属板5cを配置した構成としてもよい。
図5を参照して、水晶振動子2を説明する。
水晶振動子2は、その両主面が、XZ´平面であるATカット水晶板からなる。水晶振動子2はまた、両主面に対向して設けられた励振電極2a1,2a2を有する水晶振動板2aと、水晶振動板2aの励振電極2a1が形成された一方の主面側を覆って気密に封止する直方体の第1封止部材2bと、水晶振動板2aの励振電極2a2が形成された他方の主面側を覆って気密に封止する直方体の第2封止部材2cとを備えている。第1、第2封止部材2b,2cは、ATカット水晶板からなる。第2封止部材2cの他方の主面には、一対の外部接続端子2c1,2c2が設けられている。
第1封止部材2bと水晶振動板2aは、互いに対向する面にそれぞれ形成された図示しない接合用金属膜によって接合され、第2封止部材2cと水晶振動板2aは、互いに対向する面にそれぞれ形成された図示しない接合用金属膜によって接合されている。
このように水晶振動子2は、水晶振動板2aの両主面側に、第1,第2封止部材2b,2cがそれぞれ接合されて、いわゆるサンドイッチ構造の平面視矩形で直方体形状のパッケージが構成される。
実施形態1によると、水晶振動子2は、水晶振動板2a及び第1,第2封止部材2b1,2b2の三層の積層構造であるので、収容凹部6dを有するベース6と、このベース6の凹部を覆って封止するリッド6cとを備える水晶振動子に比べて、薄型化を図ることができる。
図6を参照して、薄膜ヒータ3を説明する。
薄膜ヒータ3は、水晶等の基板3aに、蛇行したパターンの抵抗配線3bが形成されている。この基板3aは、平面視略矩形の4つの角部の内の一つの角部が矩形に切欠かれた第1切欠き部3a1と、一方の長辺の短辺寄りの部分が矩形に切欠かれた第2切欠き部3a2とを有している。これら切欠き部3a1,3a2は、図3に示すように、薄膜ヒータ3を、水晶振動子2上に搭載した状態で、水晶振動子2の第1,第2外部接続端子2c1,2c2の一部を、上方へ露出させるための切欠きである。
抵抗配線3bの両端部3b1,3b2は、一方の短辺側へ引出されており、この抵抗配線3bには、例えば、ニクロム、クロム、タングステン等が使用される。
薄膜ヒータ3は、抵抗配線3bが形成されていない下面側を、図示略の非導電性接着剤によって、水晶振動子2に接合する。この状態では、上記のように薄膜ヒータ3の第1,第2切欠き部3a1,3a2bから水晶振動子2の第2封止部材2cの第1,第2外部接続端子2c1,2c2の一部が上方へ露出している。なお、薄膜ヒータ3と水晶振動子2との接合は、非導電性接着剤に代えて、導電性接着剤を用いてもよい。
この水晶振動子2の第1,第2外部接続端子2c1,2c2、及び、薄膜ヒータ3の抵抗配線3bの両端部3b1,3b2が、ボンディングワイヤ-7によって、ICチップ4の実装端子あるいは搭載基板5の第1水晶基板5aの所要の配線パターンにそれぞれ電気的に接続される。
上述の搭載基板5は、二枚の第1、第2水晶基板5a,5bと、両水晶基板5a,5b間の金属板5cとで構成されているが、第2水晶基板5bを省略し、第1水晶基板5aと、第1水晶基板5aの下面に嵌め込んだ金属板5cとで構成してもよい。
なお、金属板5cに代えて、金属箔または金属膜を第1水晶基板5a下面に設けて、薄膜ヒータ3からの熱をこれら金属箔または金属膜を介して伝達させて、第1水晶基板5aの温度分布の均一化を図ってもよい。前記金属箔または金属膜の材料については、例えば銀や金、アルミニウムなどが挙げられる。
(実施形態2)
図7および図8を参照して、本発明の実施形態2に係る水晶発振器を説明する。
図7および図8を参照して、本発明の実施形態2に係る水晶発振器を説明する。
実施形態2に係る水晶発振器1aは、パッケージ61がH型の断面構造になっている。
パッケージ61は、平面視矩形形状の中間ベース61cと、中間ベース61cより上側の上側パッケージ61aと、中間ベース61cより下側の下側パッケージ61bとからなる。
上側パッケージ61aと下側パッケージ61bは、それぞれ、収納凹部61d,61eを有する。
上側パッケージ61aの収納凹部61dは、実施形態1と同様、リッド62およびシールリング64で気密封止される。
上側パッケージ61aは、収納凹部61dの内部に2段構成の段部63a,63bを有し、下側の段部63bに実施形態1の搭載基板5と同様の構成を有する搭載基板51が支持されている。
搭載基板51の上面には、発振回路を内蔵していない発熱体としてのヒータIC31、圧電振動子としての水晶振動子21、および、集積回路素子として発振回路を内蔵している発振用IC41の各部品が、順次、積層されて搭載されている。
搭載基板51は、実施形態1の搭載基板5と同様に、二枚の第3、第4水晶基板51a,51bと、両水晶基板51a,51b間の金属板51cとを含む。
上側の第3水晶基板51aは、絶縁基板として、実施形態1の第1水晶基板5aと同様、その下面に金属板51cが嵌め込まれた凹部51dを有し、上面(部品搭載面)に前記ヒータIC31、水晶振動子21、および発振用IC41の各部品が搭載されている。
第3水晶基板51aは、貫通電極51eを有し、金属板51cは、貫通電極51eを介して、ヒータIC31に接続されている。これにより、ヒータIC31で発生した熱は、金属板51cに伝導され易くなっている。
ヒータIC31は、上面周辺に複数の実装端子31aを有し、これら複数の実装端子31aは、上側の段部63a上の複数の接続電極81にボンディングワイヤー71により接続されて、図示略の制御回路からヒータ駆動信号が印加されて発熱動作するようになっている。
水晶振動子21は、複数の実装端子21aを有し、これら複数の実装端子21aは、上側の段部63a上の複数の接続電極81にボンディングワイヤー71により接続されて、発振用IC41の発振回路から発振駆動信号が印加されて発振動作するようになっている。
発振用IC41は、下面に図示略の複数の実装端子を有し、これら実装端子は水晶振動子21に対して駆動信号を印加するための複数の金属バンプ91で接続されている。
下側の第4水晶基板51bは、実施形態1の第2水晶基板5bと同様、長手方向に隣接した窪み部51b1,51b2からなる断熱用空間を有した断熱基板を構成している。両窪み部51b1,51b2の隣接間には、実施形態1の桟部5b3と同様、桟部51b3が形成されている。なお、窪み部51b1,51b2に代えて貫通部であってもよく、第4水晶基板51bは、窪み部及び貫通部の少なくともいずれか一方からなる断熱用空間を有する。
下側パッケージ61bの収納凹部61eの底面には、複数のバイパスコンデンサ82が実装されている。
以上の構成を有する実施形態2においては、圧電振動子としての水晶振動子21、集積回路素子としての発振用IC41、及び水晶振動子21を加熱する発熱体としてのヒータIC31が搭載された搭載基板51が、上側パッケージ61a内に気密に封止された水晶発振器1aであって、搭載基板51の第3水晶基板51aの上面に、水晶振動子21、発振用IC41、及びヒータIC31が搭載され、第3水晶基板51aの下面に、実施形態1の金属板5cと同様の構成で、熱伝導体として金属板51cが配置されているので、実施形態1と同様、水晶振動子21は、その温度が安定的に保持され、その発振周波数特性が安定するようになる。
また、実施形態2によると、実施形態1と同様、小型化を図ることが容易である一方、水晶振動子21の発振周波数特性が安定化する。
実施形態2では、パッケージがH型の断面構造になっていたが、本発明は当該構造以外のパッケージにも適用可能である。例えば、上方のみが開口した凹部を有する第1容器に、ヒータIC、水晶振動子、発振用ICが搭載された搭載基板を収容し、バイパスコンデンサが搭載された第2容器を前記第1容器の底面側に接合することでパッケージを構成するようにしてもよい。あるいは、前記第1容器の底面側にバイパスコンデンサを接合し、当該バイパスコンデンサを包囲するように、枠体や、上方が開口した基板の各上面側を、前記第1容器の底面側に接合することでパッケージを構成するようにしてもよい。
また、熱伝導体を絶縁基板の他方側の面に配置するとともに、絶縁基板の一方側の面に搭載される部品の上部にも、絶縁基板を介して熱伝導体を配置するようにしてもよい。このような構成の場合、絶縁基板の他方側と、当該絶縁基板に搭載される部品を挟んで前記絶縁基板の一方側にも熱伝導体が配置されるため、絶縁基板の温度分布をより効率的に均一化させることができる。
1 水晶発振器(圧電発振器)
2 水晶振動子(圧電振動子)
2a 水晶振動板
2b 第1封止部材
2c 第2封止部材
3 薄膜ヒータ(発熱体)
4 ICチップ(集積回路素子)
5 搭載基板
5a 第1水晶基板(絶縁基板)
5b 第2水晶基板(断熱基板)
5c 金属板(熱伝導体)
5d 配線パターン
5e 導電性接着剤
6 パッケージ
6a ベース
6b シールリング
6c リッド
6d 収納凹部
2 水晶振動子(圧電振動子)
2a 水晶振動板
2b 第1封止部材
2c 第2封止部材
3 薄膜ヒータ(発熱体)
4 ICチップ(集積回路素子)
5 搭載基板
5a 第1水晶基板(絶縁基板)
5b 第2水晶基板(断熱基板)
5c 金属板(熱伝導体)
5d 配線パターン
5e 導電性接着剤
6 パッケージ
6a ベース
6b シールリング
6c リッド
6d 収納凹部
Claims (14)
- 圧電振動子、集積回路素子及び前記圧電振動子を加熱する発熱体が搭載された絶縁基板が、パッケージ内に気密に封止された圧電発振器であって、
前記絶縁基板の一方側の面に、前記圧電振動子、前記集積回路素子及び前記発熱体が搭載され、前記絶縁基板の他方側の面に、熱伝導体が配置されている、
ことを特徴とする圧電発振器。 - 前記熱伝導体が、前記絶縁基板の前記他方側の面に接触するように配置されている、
請求項1に記載の圧電発振器。 - 前記熱伝導体が、導電性接着剤によって前記絶縁基板の前記他方側の面に接合されている、
請求項1に記載の圧電発振器。 - 前記熱伝導体は、前記絶縁基板の前記一方側の面に搭載されている前記圧電振動子、前記集積回路素子及び前記発熱体に、平面視で重なる大きさを有する、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の圧電発振器。 - 前記絶縁基板の前記一方側の面に、前記圧電振動子、前記集積回路素子及び前記発熱体の内の少なくとも前記圧電振動子と前記発熱体とが積層されて搭載されている、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の圧電発振器。 - 前記熱伝導体が金属板であり、
前記絶縁基板の前記一方側の面には、前記パッケージの内面に形成された接続電極に電気的に接続される配線パターンが形成され、前記配線パターンの内のグランド配線が、前記絶縁基板に形成された貫通電極を介して前記金属板に電気的に接続されている、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の圧電発振器。 - 前記熱伝導体は、前記絶縁基板における前記配線パターンの、前記パッケージの前記接続電極との接続箇所に、平面視で重ならないように配置されている、
請求項6に記載の圧電発振器。 - 前記熱伝導体が、金属箔、又は、金属膜である、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の圧電発振器。 - 前記熱伝導体からの放熱を抑制する断熱基板を備える、
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の圧電発振器。 - 前記断熱基板は、前記熱伝導体を、前記絶縁基板との間で挟むように配置されている、
請求項9に記載の圧電発振器。 - 前記断熱基板は、窪み部及び貫通部の少なくともいずれか一方からなる断熱用空間を有する、
請求項9または10に記載の圧電発振器。 - 前記断熱基板の前記断熱用空間が、平面視で前記熱伝導体に重なるように設けられている、
請求項11に記載の圧電発振器。 - 前記断熱基板は、複数の前記窪み部を有し、隣接する窪み部の間に直線状に延びる桟部が形成されている、
請求項11または12に記載の圧電発振器。 - 前記圧電振動子は、両主面に励振電極がそれぞれ形成された圧電振動板と、該圧電振動板の一方の主面の励振電極を覆って封止する第1封止部材と、前記圧電振動板の他方の主面の励振電極を覆って封止する第2封止部材とを備え、
前記第1封止部材と前記圧電振動板とが、互いに対向する面にそれぞれ形成された接合用金属膜によって接合され、前記第2封止部材と前記圧電振動板とが、互いに対向する面にそれぞれ形成された接合用金属膜によって接合される、
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の圧電発振器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021046250A JP2022145010A (ja) | 2021-03-19 | 2021-03-19 | 圧電発振器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021046250A JP2022145010A (ja) | 2021-03-19 | 2021-03-19 | 圧電発振器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022145010A true JP2022145010A (ja) | 2022-10-03 |
Family
ID=83455126
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021046250A Pending JP2022145010A (ja) | 2021-03-19 | 2021-03-19 | 圧電発振器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022145010A (ja) |
-
2021
- 2021-03-19 JP JP2021046250A patent/JP2022145010A/ja active Pending
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