JP2022144473A - ポリエステル繊維およびそれからなる繊維球状体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 柔らかくかつ羽毛に近似した風合いに富み、優れた初期嵩高性を有し、洗濯後の嵩高性の低減率が小さく、クッションやダウンジャケット等の中綿素材として好適に用いられるポリエステル繊維を用いてなる繊維球状体を提供する。【解決手段】 少なくとも2種類の単繊維繊度の異なる繊維が混繊均一度15%以下で混繊されているポリエステル繊維であり、単繊維繊度0.5~1.2dtexのポリエステル繊維Aと単繊維繊度2.0~6.6dtex、中空率が15~35%のポリエステル繊維Bを含み、ポリエステルAとポリエステルBの繊維直径の比率が3.5以下であり、ポリエステル繊維Aが質量比20%以上50%以下であるポリエステル繊維および繊維球状体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル繊維およびそれからなる繊維球状体に関するものである。
従来、ダウンジャケットやシュラフなどの中綿素材やクッション材として、羽毛やポリエステル系繊維が広く用いられている。
羽毛は、一般的に水鳥の羽毛が使用され、風合いに富み軽量で保温性に優れ、体に沿いやすく嵩高に優れており、回復率の高いことが知られている。しかしながら、天然の羽毛を得ようとした場合、その供給量には限度がある上、自然条件や疫病の影響によって供給量が変動するという課題がある。
さらには、自然保護の観点から、野生の水鳥を捕捉することには限度があり、一方、水鳥を飼育して羽毛を得ようとした場合、多くの水鳥を飼育しなければならず、その結果、多量の飼料を必要とするだけでなく、水鳥の排泄物による水質汚染や感染症の発生とその拡散という課題が生じている。
また、羽毛を詰め綿として使用できるようにするためには、採毛、選別、消毒、脱脂および布団詰めなどの多くの工程を経る必要があり、かつ、羽毛が舞い上がるという点でも作業が繁雑になり、その結果、羽毛を使った製品具の価格は高くなるという傾向がある。
一方、ポリエステル系短繊維は、安価で嵩高に優れており、繊維製造時の製糸性や不織布等の製品に加工する際の加工性が良好である。そのため、ポリエステル短繊維をカードなどで開繊した繊維ウェッブを層状に積層したシートを、側地で覆う方法がよく知られている。しかしながら、この方法では、層状の繊維ウェッブ積層体を側地で覆うために手間がかかる、羽毛に比べて風合いに劣る、洗濯後の嵩高低下が大きい等の課題がある。
このような課題に対し、風合いがソフトで弾力性に優れ、圧縮耐久性に優れた形態安定性を有するポリエステル繊維球状綿(ファイバーボール)からなる中綿が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1記載の繊維球状綿は、洗濯後の嵩高低下の抑制が十分でないという課題があった。
また、特許文献2では捲縮部と非捲縮部とを有するステープルファイバーAと全体に捲縮を有するステープルファイバーBを混合し、捲縮部が集まって玉状をなし、非捲縮部が玉状部から突出した形状を有する柔軟性と嵩高に優れた集合体とする方法が記載されている。また、特許文献3では主繊維と副繊維の混率のばらつきを10質量%以内とすることにより、均質な性能を発揮させる方法が記載されている。しかしながらいずれの方法も混率の均一性が不十分であり、得られる繊維球状体の初期嵩高や洗濯後の嵩高低下率が小さくなる課題があった
WO2016/121643号公報 特開平06-280148号公報 特開2018-111913号公報
そこで本発明の目的は、上述した従来技術における課題を解決し、柔らかくかつ羽毛に近似した風合いに富み、優れた初期嵩高を有し、洗濯後の嵩高の低減率が小さく、クッションやダウンジャケット等の中綿素材として好適に用いられるポリエステル繊維の繊維球状体を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、少なくとも2種類の単繊維繊度の異なる繊維が混繊均一度15%以下であり、単繊維繊度0.5~1.2dtexのポリエステル繊維Aと単繊維繊度2.0~6.6dtex、中空率が15~35%のポリエステル繊維Bを含み、ポリエステルAとポリエステルBの繊維径の比率が3.5以下であるポリエステル繊維および該ポリエステル繊維からなる繊維球状体である。
本発明によれば、柔らかくかつ羽毛に近似した風合いに富み、優れた初期嵩高を有し、洗濯後の嵩高の低減率が小さく、クッションやダウンジャケット等の中綿素材として好適に用いられるポリエステル繊維の繊維球状体が得られる。
次に、本発明のポリエステル繊維、それからなる繊維球状体とその製造方法の実施態様について、具体的に説明する。
本発明のポリエステル繊維は、少なくとも少なくとも2種類の単繊維繊度の異なる繊維、すなわち、ポリエステル繊維Aおよびポリエステル繊維Bからなる。
本発明で用いられるポリエステル繊維Aおよびポリエステル繊維Bを構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリブチレンナフタレートなどが挙げられるが、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。これらのポリエステルはリサイクルされたポリエステルでも当然何ら問題もない。例えば、液体飲用品用ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルを市中から回収し、この回収PETボトルを再溶融、ペレット化した再生ポリエステル及び、回収されたPET製品を解重合することにより生成させたビス-ヒドロキシエチルテレフタレートを再生重合原料とし、該再生重合原料を重合することにより得られる再生ポリエステルであっても良い。ポリエステル繊維Aに用いられるポリエステルの固有粘度は、0.60~0.75とするであることが好ましい。固有粘度は、さらに好ましくは、0.62~0.72である。固有粘度が0.60未満では、繊維の剛性が低くなることにより、十分な嵩高を有する繊維球状体が得られない。一方、固有粘度が0.75を超えると、溶融粘度が高くなり繊維の製造が困難となる。
ポリエステル繊維Bに用いられるポリエステルの固有粘度は、0.60~0.75とするであることが好ましい。固有粘度は、さらに好ましくは0.62~0.72である。固有粘度が0.60未満では、捲縮の発現が弱くなり、繊維球状体への加工が困難となる。また、繊維の剛性も低くなることにより、十分な嵩高を有する繊維球状体が得られない。一方、固有粘度が0.75を超えると、溶融粘度が高くなり繊維の製造が困難となる。
本発明で用いられるポリエステル繊維Aの単繊維繊度は、0.5~1.2dtexであることが重要である。単繊維繊度は、好ましくは0.7~1.1dtexである。単繊維繊度が0.5dtex未満になると、繊維の剛性が低くなることにより、嵩高に欠ける繊維球状体となる。一方、単繊維繊度が1.2dtexを超えると、剛性が高くなることにより、柔らかくかつ羽毛に近似した繊維球状体が得られない。
ポリエステル繊維Bの単繊維繊度は、2.0~6.6dtexであることが重要である。単繊維繊度は、好ましくは2.2~4.4dtexである。単繊維繊度が2.0dtex未満になると単繊維繊度が細くなるため、捲縮の発現力が低下して捲縮が低くなることにより、繊維球状体への加工において繊維が球状に丸まり難くなり、繊維球状体の形成が難しくなる。さらには、繊維の剛性が低くなることにより、嵩高に欠ける繊維球状体となる。一方、単繊維繊度が6.6dtexを超えると、繊維とした際の剛性が高くなることにより、柔らかくかつ羽毛に近似した繊維球状体が得られない。
本発明で用いられるポリエステル繊維Bは中空繊維であり、その中空率は15~35%であることが重要である。中空率は、より好ましくは20~30%である。中空率が15%未満になると、捲縮の発現力が低下し、捲縮が低くなることにより、繊維球状体への加工において繊維が球状に丸まり難くなり、繊維球状体の形成が難しくなる。一方、中空率が35%を超えると、製糸での糸切れが多く安定した繊維製造が困難となることがある。
このポリエステル繊維Bの中空率は、繊維横断面の拡大写真によって、中空部分を含めた繊維断面の全面積に対する中空部分面積の割合を算出し、%で表示することができる。
本発明において、中空とは、繊維横断面において、繊維外形内部に空洞部を有することをいう。空洞部の総面積と空洞部を含めた繊維断面の総面積に対する中空率が15~35%であれば、空洞部の数はいくつであっても構わない。空洞部は、好ましくは繊維中心(中央)部に位置するものであるが、繊維中心部からずれて偏心で位置するものであってもよい。空洞部は、好ましくは繊維中心に位置するものである。
中空率は、主に口金設計、ポリエステル固有粘度および冷却条件に依存し、当業者がおのおのの特定の設定によって制御することができる。
本発明のポリエステル繊維Aの捲縮数は、4~18山/25mmであることが好ましい。捲縮数は、好ましくは6~12山/25mmである。捲縮数が4山/25mm未満になると、繊維球状体の嵩高が劣位となる。一方、捲縮数が18山/25mmを超えると、繊維球状体への加工時、ネップが発生する可能性がある。
本発明のポリエステル繊維Aの捲縮度は、7~35%であることが好ましい。より好ましくは10~25%である。捲縮度が7%未満になると、繊維球状体の嵩高が劣位となる。一方、捲縮度が35%を超えると、繊維球状体への加工時、ネップが発生する可能性がある。
本発明のポリエステル繊維Bの捲縮数は、2~8山/25mmであることが好ましい。捲縮数は、好ましくは3~7山/25mmである。捲縮数が2山/25mm未満になると、繊維球状体への加工において繊維が球状に丸まり難くなり、繊維球状体の形成が難しくなる。一方、捲縮数が8山/25mmを超えると、得られた繊維球状体の直径が小さく、その密度が高くなることで、嵩高に欠ける繊維球状体となる。
本発明のポリエステル繊維Bの捲縮度は、6~20%であることが好ましい。より好ましくは10~17%である。捲縮度が6%未満になると、繊維球状体への加工において繊維が球状に丸まり難くなり、繊維球状体の形成が難しくなる。一方、捲縮度が14%を超えると、得られた繊維球状体の直径が小さくなり密度が高くなるため、嵩高に欠ける繊維球状体となる。
本発明で用いられるポリエステル繊維Aおよびポリエステル繊維Bの繊維長は、20~50mmであることが好ましい。繊維長は、好ましくは25~40mmである。繊維長が20mm未満になると、繊維球状体への加工において繊維同士の絡みが弱くなり、繊維の絡みが解除されることにより、球状体の形状維持が難しくなる。一方、繊維長が50mmを超えると、繊維球状体への加工において繊維が球状に丸まり難くなり、繊維球状体の形成が難しくなり、さらには繊維球状体同士が絡み易くなることにより、流動性に欠け製品品位が悪化する。ポリエステル繊維Aの断面形状は丸断面でも異形断面でも良いが、好ましくは丸断面である。ポリエステル繊維Bの断面形状は中空部を有していれば丸断面でも異形断面でも良いが、好ましくは丸断面である。
本発明で用いられるポリエステル繊維に付着させる油剤は、ポリシロキサンを含み、0.3~1.0質量%の範囲(割合)で付与され付着していることが好ましい。油剤付着量は、好ましくは全繊維質量に対して0.4~0.8質量%である。ポリシロキサンを含む油剤が0.3質量%未満では、繊維の平滑性が低くなり繊維球状体同士が絡み易くなることにより、繊維球状体の流動性に欠け製品品位が悪化する。一方、油剤付着量が1.0質量%を超えても、それ以上の繊維平滑性の向上は認められず、原単位の悪化に繋がる場合がある。
本発明で用いられるポリシロキサンとしては、例えば、アミノ変性シリコーンなどを使用することができる。ポリエステル繊維にポリシロキサンを付与し付着させるためには、ポリシロキサン含む油剤を付与することにより実施することができる。この油剤には、ポリシロキサン他に、リン酸系化合物、脂肪族化合物およびハロゲン系化合物を含むことが好ましく、さらには、酸化防止剤、防燃剤および静電防止剤を含んでいることが好ましい態様である。
本発明のポリエステル繊維は、混繊均一度が15.0%以下のポリエステル繊維である。混繊均一度は次のようにして測定した。まず、ポリエステル繊維300gをオープナーとカーディングで処理して繊維ウェブを作製する。次に、光学顕微鏡写真機を用いて1000倍の倍率で繊維ウェブの繊維軸方向に直交する繊維横断面の写真を、各写真内で繊維断面の総本数が600本以上確認されるように撮影する。ランダムに5枚撮影した各写真内のランダムに選んだ600本の断面本数のうち細繊度品種(ポリエステル繊維A)の本数を確認し、各写真の細繊度品種の混率(本数割合)を求め、それらから変動係数を算出し、その値を混繊均一度とした。
本発明のポリエステル繊維は、紡出口金から少なくとも2種類の単繊維繊度の異なる繊維を同時に紡出する、もしくは、異なる生産機で紡出し、缶に収納した未延伸糸を2種類以上使用し、それらの未延伸糸をまとめて延伸することにより得られるが、2~100個程度の紡出口金から、少なくとも2種類の単繊維繊度の異なる繊維を同時に紡出することが好ましい。この時、異なる繊度の割合は、同時に紡糸し得られる短繊維全体の好ましくは20%以上、となるように紡糸することが好ましい。
ここでいう異なる繊度の割合とは、2種類以上の異なる繊度の繊維の内、最も混率の低い繊維の本数割合を指す。例えば、1.0T(単繊維繊度1.0dtexの繊維。以下、同様に記す。)が20%、3.5Tが80%の混繊した繊維の場合、異なる繊度の割合は20%となる。本発明は異なる繊度の割合を20%以上とすることで、得られる混繊状態が良好であり好ましい。5%未満では、得られる混繊状態が悪く好ましくない。なお、本発明においては、単繊維繊度の小さい繊維(ポリエステル繊維A)の混率が低いことが好ましく、その上限としては、50%以下とすることが好ましい。
2種類以上の異なる繊度の繊維を得るためには、例えば口金ホール数が異なる口金を取り付けたり、紡出するポリマー吐出量を変更したりして、目標の単繊維繊度に調整すればよい。また、本発明の効果を損なわない限り、2種類以上または1種類の繊維が異形断面を有していても問題ない。
口金ホール数が異なる口金を取り付ける場合は、ポリマー吐出量を全ての口金で一定にすることで、口金の単孔あたりの吐出量が調整でき、単繊維を調整することができる。紡出するポリマー吐出量を変更する場合は、単孔あたりの吐出量を調整することで、所定の単繊維に調整して得ることができる。また、1枚の口金で繊度の異なる繊維を同時に紡糸混繊する場合は、口金の孔径、孔長等を調整し、1枚の口金のなかに複数の孔径や孔長等を存在させることにより、少なくとも2つ以上の異繊度を同時に紡糸することができる。
本発明では、紡糸時に、異なる繊維を紡糸する口金を紡糸機全体に均等に振り分け取り付けることが好ましい。例えば、2種類の異繊度を50%ずつの割合で混繊する場合は、得られる単繊維繊度の繊維が異なる口金を交互に取り付ける。片方のポリエステル繊維Aの混繊率が33%で、ポリエステル繊維Bの混繊率が66%の場合(小数点以下切り捨て)は、前記ポリエステル繊維Aの口金を2錘並べて取り付けた横に前記ポリエステル繊維Bの口金を1錘並べて取り付け、これを繰り返す。また例えば、3種類の異繊度混繊の場合、各33%(小数点以下切り捨て)ずつの割合で混繊する場合は、得られる繊維が異なる口金((A)、(B)および(C)の口金)を並べて取り付け、これを繰り返す。いずれか1種の口金を紡糸機の1箇所に固めて取り付け紡糸を行うと、紡糸での混繊状態が悪くなり均一性が劣る傾向を示すことから、それぞれを均等に振り分けることが好ましい。
本発明において、ポリエステル繊維Bは中空繊維であり、繊維径が中実繊維対比大きくなるため、本特許記載の混繊均一度を達成するためにはポリエステル繊維Aとポリエステル繊維Bの繊維径の比率の制御が必要となる。ポリエステル繊維Aとポリエステル繊維Bの繊維径の比率(ポリエステル繊維Bの繊維直径(μm)/ポリエステル繊維Aの繊維直径(μm))は3.5以下であることが好ましい。繊維径の比率が3.5より大きい場合、ポリエステル繊維Bの分散性が悪化し、混繊均一度が悪化する。
本発明のポリエステル繊維球状体は、好ましくは、ポリエステル繊維Bが集まって球状をなし、ポリエステル繊維Aが球状部から突出した形状を有しており、少なくとも2種のポリエステル繊維を高速気流下で混合することにより得ることができる。この形状を取ることにより、各繊維球状体間での絡み合いは少なく、それぞれ分離独立しているため優れた嵩高性を有する。
ポリエステル中空繊維球状体の大きさは、好ましくは平均直径が3~10mmであり、より好ましくは4~6mmである。平均直径が3mm未満の繊維球状体の加工は難しく、平均直径が10mmを超えると繊維球状体は吹き込みなどの製品加工性に欠けた製品となる
本発明のポリエステル繊維球状体の嵩高は、7500以上~10500cm/30g以下であることが好ましい。より好ましくは8000以上~10500cm/30g以下である。嵩高が7500cm/30g未満になると、嵩高が得られず、軽量感やボリューム感に劣る繊維球状体となる。一方、嵩高が10500cm/30gを超える繊維球状体を得る製造条件を得ることは困難である。
次に、本発明で用いられるポリエステル繊維とポリエステル繊維球状体の製造方法について、具体的に例示説明する。
まず、ポリエステルを溶融し、中実丸孔繊維用吐出孔を好ましくは800~2000孔有する紡糸口金(A)と中空繊維用吐出孔を好ましくは90~500孔有する紡糸口金(B)を通して、融点よりも15~30℃程度高い紡糸温度で、中空部が形成されるように溶融紡出し、紡出直後に好ましくは10~25℃の温度の空気を好ましくは80~170m/分の風量で冷却させ、紡糸油剤を付与し、好ましくは引き取り速度1000~1700m/分で一旦、缶に納めることにより未延伸糸トウを得る。
次いで、得られた未延伸糸トウを好ましくは2.0~3.0倍の延伸倍率で、好ましくは温度75~100℃の液浴を用いて延伸を施し、スタフィングボックス式捲縮機を用いて捲縮を付与し、ポリシロキサンを含む油剤を好ましくは濃度3~10質量%で含まれた油剤水溶液を、繊維質量に対して好ましくは0.3~1.0質量%の範囲となるようにシャワーで付与し、好ましくは130~165℃の温度で好ましくは5~20分熱セットし、所定の繊維長に切断し、ポリエステル繊維を製造することができる。
本発明のポリエステル繊維球状体の形成方法は、前記のようにして得られた2種以上のポリエステル繊維を、ガーネットワイヤーが表面に設けられた複数のローラが設けられたカードなどを用いて開繊を十分に行い、空気の乱流の起きやすい円筒状の空間の中で複数のフィンが着いて回転する回転体が設けられた部屋の中に、開繊を十分に行った繊維を吹き込み所定時間乱流撹拌後に取り出せるようにした装置などで球状体化したり、開繊を十分に行った繊維をある程度大きな部屋に空気の渦流を起こさせながら滞留させて球状体化したりして、剛体(フィン)や空気から力学的な力を受けることにより、ループ状の捲縮がさらに進行し、繊維球状体を形成することができる。
次に、本発明のポリエステル繊維とその製造方法について、実施例を用いて詳細に説明する。物性等の測定方法は、次のとおりである。
(1)混繊均一度
300gの繊維を、大和機工株式会社製オープナーを用い、処理速度150g/分で予備開繊を行い、大和機工株式会社製カード機を用い、処理速度100g/分でカーディング処理した後の繊維ウェブを、光学顕微鏡写真機を用いて1000倍の倍率で断面写真を、各写真内で繊維断面の総本数が600本以上確認されるように撮影した。ランダムに5枚撮影した各写真内のランダムに選んだ600本の断面本数のうち細繊度品種(ポリエステル繊維A)の本数を確認し、各写真の細繊度品種の混率(本数割合)を求め、それらから変動係数を算出し、その値を混繊均一度とした。
(2)固有粘度
紡糸する前のポリエステル原料をオルソクロロフェノールに溶解して、ウベローデ粘度計を用いて自然落下時間を測定し、標準試料との相対値で固有粘度をN=3の平均値で求めた。
(3)単繊維繊度、捲縮数、捲縮度、繊維長
JIS L1015(2010年)に準じて測定した。
(4)中空率
得られたポリエステル中空繊維(ポリエステル繊維B)の断面を顕微鏡を用いて400倍の倍率で撮影し、さらに断面写真を拡大コピーした。コピーした用紙について、20本分の繊維部断面を切り取り、電子天秤で質量を測定する。次に前記20本分の中空部を切り取り、電子天秤で質量を測定し、次式(1)で示す質量比率で算出した
中空率(%)=(中空部質量/繊維部断面質量)×100・・・(1)
ここで中空部質量及び繊維部断面質量は20本の平均値を用いる。
(5)ポリエステル繊維Aの繊維直径
次式(2)によってポリエステル繊維Aの繊維直径を算出した。
ポリエステル繊維Aの繊維直径(μm)=(400×単繊維繊度(dtex)/π×ポリマー密度(g/cm))0.5・・・(2)
ポリマー密度は1.38g/cmで算出した。
(6)ポリエステル繊維Bの繊維直径
次式(3)によってポリエステル繊維Bの繊維直径を算出した。
ポリエステル繊維Bの繊維直径(μm)=(400×単繊維繊度(dtex)/π×ポリマー密度(g/cm))0.5 × (100/(100-中空率))0.5・・・(3)
ポリマー密度は1.38g/cmで算出した。
(7)繊維直径の比率
次式(4)によってポリエステル繊維Aとポリエステル繊維Bの繊維直径の比率を算出した。
繊維直径の比率=ポリエステル繊維Bの繊維直径(μm)/ポリエステル繊維Aの繊維径(μm)・・・(4)。
(8)繊維球状体の風合い
10人のパネラーが手で触れた時の触感(風合い;ソフト性)をランク付けで、良好~不良を5~0点として評価した。その平均点が4点を超えるとS(非常に良い)とし、3点以上4点以下をA(良い)、3点未満をB(悪い)とした。A(良い)以上を、合格とした。
(9)繊維球状体の初期嵩高
繊維球状体サンプル30g±0.1gを計量し、内径が28.8cmで高さが50cmの測定シリンダーに投入し、94.3gの荷重をかけて5分後の嵩高を測定する。測定結果は5回の平均値とし、次式(5)により算出した。
嵩高=V=πdH/4(単位:cm/30g)・・・(5)
(式中、dは、次の測定シリンダー内径d=28.8cmである。Hは、試料の嵩高(平均値)であり、単位はcmである。)
9000cm/30gを超えるとS(非常に良い)とし、7500cm/30g以上9000cm/30g以下をA(良い)、7500cm/30g未満をB(悪い)とした。A(良い)以上を、合格とした。
(10)繊維球状体の洗濯後の嵩高低下率
嵩高を測定したポリエステル繊維球状体をJIS L1930(繊維製品の家庭洗濯試験方法)のC4M法に基づき3回洗濯し、吊干し乾燥後の嵩高を測定し、次式(6)より算出した。
洗濯後の繊維球状体の嵩高低下率(%)=(1-(洗濯後の嵩高(cm/30g)/洗濯前の嵩高(cm/30g)))×100・・・(6)
25%未満をS(非常に良い)とし、25%以上30%未満をA(良い)、30%以上をB(悪い)とした。A(良い)以上を、合格とした。
[実施例1]
ポリエステル繊維A、ポリエステル繊維Bを次の方法で製造した。固有粘度が0.65のポリエチレンテレフタレート(融点260℃)を溶融し、ポリエステル繊維Aとポリエステル繊維Bが質量比でポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=50/50となるように交互に取り付けた異なる孔数の口金から紡糸し、中実丸型断面のポリエステル繊維Aと中実丸型断面のポリエステル繊維Aと空洞部を1つ有する中空丸型断面のポリエステル繊維Bが混繊されたポリエステル繊維を得た。
次いで、得られた未延伸糸を、80℃の温度の液浴を用いて、2.6倍の延伸倍率で延伸を施し、スタフィングボックス式捲縮機を用いて捲縮を付与し、165℃の温度で乾燥し、切断し、ポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維Aは単繊維繊度0.8dtex、捲縮数8山/25mm、捲縮度12%、繊維長30mm、繊維直径8.6μmであり、ポリエステル繊維Bは単繊維繊度3.5dtex、捲縮数6山/25mm、捲縮度15%、繊維長30mm、中空率28%、繊維直径21.2μmであった。
次いで、得られたポリエステル繊維を、ガーネットワイヤーが表面に設けられた複数のローラが設けられたカードで、開繊を十分に行い、空気の乱流の起きやすい円筒状の空間の中で複数のフィンが着いて回転する回転体が設けられた部屋の中に、繊維を吹き込み所定時間乱流撹拌後に取り出せるようにした装置で、ポリエステル繊維球状体を得た。表1に示す通り、優れた風合い、初期嵩高を有し、かつ洗濯後の嵩高低下率の小さいポリエステル繊維球状体が得られた。
[実施例2]
質量比をポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=40/60としたこと以外は実施例1と同じ条件でポリエステル繊維球状体を製造した。表1に示す通り、優れた風合い、初期嵩高を有し、かつ洗濯後の嵩高低下率の小さいポリエステル繊維球状体が得られた。
[実施例3]
質量比をポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=20/80としたこと以外は実施例1と同じ条件でポリエステル繊維球状体を製造した。表1に示す通り、優れた風合い、初期嵩高を有し、かつ洗濯後の嵩高低下率の小さいポリエステル繊維球状体が得られた。
[実施例4]
ポリエステル繊維Bを単繊維繊度3.4dtex、捲縮数5山/25mm、捲縮度14%、繊維長30mm、中空率22%、繊維直径20.0μmとしたこと以外は1と同じ条件でポリエステル繊維球状体を製造した。表1に示す通り、優れた風合い、初期嵩高を有し、かつ洗濯後の嵩高低下率の小さいポリエステル繊維球状体が得られた。
[比較例1]
紡糸混繊を行わず単繊維繊度0.8dtexのポリエステル繊維Aと単繊維繊度3.5dtexの中空率28%のポリエステル繊維Bを得たのち、ポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=質量比50:50での比率で混合して、実施例1同様にポリエステル繊維球状を製造した。表1に示す通り、混繊均一性が劣位となり、初期嵩高が劣位の結果となった。
[比較例2]
質量比をポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=20/80としたこと以外は比較例1と同じ条件でポリエステル繊維球状を製造した。表1に示す通り、混繊均一性が劣位となり、嵩高と洗濯後の嵩高低下率が劣位の結果となった。
[比較例3]
質量比をポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=100/0としたこと以外は比較例1と同じ条件でポリエステル繊維球状を製造した。表1に示す通り、風合い、初期嵩高が劣位の結果となった。
[比較例4]
質量比をポリエステル繊維A/ポリエステル繊維B=0/100としたこと以外は比較例1と同じ条件でポリエステル繊維球状を製造した。表1に示す通り、風合い、初期嵩高、洗濯後の嵩高低下率が劣位の結果となった。
Figure 2022144473000001

Claims (3)

  1. 少なくとも2種類の単繊維繊度の異なる繊維が混繊均一度15%以下のポリエステル繊維であり、単繊維繊度0.5~1.2dtexのポリエステル繊維Aと単繊維繊度2.0~6.6dtex、中空率が15~35%のポリエステル繊維Bを含み、ポリエステル繊維Aとポリエステル繊維Bの繊維直径の比率が3.5以下であるポリエステル繊維。
  2. ポリエステル繊維Aが質量比20%以上50%以下でポリエステル繊維Bと紡糸混繊されてなる請求項1に記載のポリエステル繊維。
  3. 請求項1または2に記載のポリエステル繊維からなる繊維球状体。
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